(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132391
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230914BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230914BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K1/02 D
H05K1/03 650
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037664
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】和田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 浩司
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA16
5E316AA32
5E316BB02
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC37
5E316DD17
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5E316DD47
5E316EE12
5E316FF03
5E316FF07
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG16
5E316GG17
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5E316GG40
5E316HH11
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB25
5E338BB61
5E338BB63
5E338EE27
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層上に形成される第1導体層と、前記第1導体層上に形成されている接着層と、前記絶縁層と前記第1導体層上に形成されている樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層、とを有する。前記接着層は前記第1導体層と前記樹脂絶縁層で挟まれていて、前記第1導体層の上面と側面は平滑であって、前記接着層はほぼ平滑な平滑膜と前記平滑膜から突出している突出部で形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成される第1導体層と、
前記第1導体層上に形成されている接着層と、
前記絶縁層と前記第1導体層上に形成されている樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層、とを有するプリント配線板であって、
前記接着層は前記第1導体層と前記樹脂絶縁層で挟まれていて、前記第1導体層の上面と側面は平滑であって、前記接着層はほぼ平滑な平滑膜と前記平滑膜から突出している突出部で形成されている。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記平滑膜はほぼ均一な厚みを有し、前記突出部は前記平滑膜の上面と前記突出部の頂部間に高さを有し、前記高さの最大値は前記厚みの10倍以上30倍以下である。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記平滑膜はほぼ均一な厚みを有し、前記厚みは10nm以上、120nm以下であって、前記突出部は前記平滑膜の上面と前記突出部の頂部間に高さを有し、前記高さは200nm以上、450nm以下である。
【請求項4】
請求項1のプリント配線板であって、前記突出部から露出する前記平滑膜の面積と前記接着層の面積との比は0.1以上、0.5以下である。
【請求項5】
請求項1のプリント配線板であって、前記樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、前記樹脂絶縁層中の前記無機粒子の量は70wt%以上である。
【請求項6】
請求項1のプリント配線板であって、前記接着層は前記第1導体層から露出する前記絶縁層を覆っていない。
【請求項7】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1導体層の前記上面上の前記平滑膜は前記第1導体層の前記上面の形状にほぼ沿って形成されている。
【請求項8】
請求項7のプリント配線板であって、前記第1導体層の前記側面上の前記平滑膜は前記第1導体層の前記側面の形状にほぼ沿って形成されている。
【請求項9】
請求項1のプリント配線板であって、さらに、前記樹脂絶縁層を貫通し前記第1導体層に至るビア導体用の開口と前記開口に形成されていて前記第1導体層と前記第2導体層を接続するビア導体を有し、前記開口により露出される前記第1導体層上に前記接着層は形成されていない。
【請求項10】
請求項1のプリント配線板であって、前記接着層は有機製の材料で形成されている。
【請求項11】
請求項1のプリント配線板であって、前記突出部は複数の突起で形成されていて、前記複数の突起により前記突出部の上面に凹凸が形成される。
【請求項12】
請求項1のプリント配線板であって、前記突出部は複数の突起で形成されていて、1mm2当たりの前記突起の数は5以上、15以下である。
【請求項13】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1導体層の前記平滑な面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は0.18μm以下である。
【請求項14】
請求項1のプリント配線板であって、さらに、前記樹脂絶縁層と前記第2導体層上に積層されている複数の第3導体層と複数の層間樹脂絶縁層とを有し、前記第3導体層と前記層間樹脂絶縁層は交互に積層され、前記層間樹脂絶縁層の中の一つは前記樹脂絶縁層と前記第2導体層の直上に形成され、前記第1導体層の数と前記第2導体層の数は1であって、前記第3導体層の数は3以上、18以下である。
【請求項15】
請求項1のプリント配線板であって、前記プリント配線板の各辺の長さが50mm以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術はプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層を順次積層することと、導体回路の表面の少なくとも一部に、トリアジン化合物を含む層を形成することを含む多層プリント配線板の製造方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の技術を用いてプリント配線板が製造されると、以下の不具合が発生すると予想される。特許文献1は、特許文献1の
図4(c)と
図8(c)と
図13(c)に多層プリント配線板を開示している。これらの図で開示されている上層導体回路は2層である。さらに、上層導体回路が積層されると、上層導体回路と層間樹脂絶縁層との間に働くストレスは増えると考えられる。例えば、ビルドアップ層内の導体層の数が5以上であると、層間樹脂絶縁層と上層導体回路との間に剥がれが発生すると予測される。プリント配線板のサイズが大きくなると、上層導体回路と層間樹脂絶縁層との間に働くストレスは増えると考えられる。例えば、プリント配線板の各辺の長さが50mmを超えると、層間樹脂絶縁層と上層導体回路との間に剥がれが発生すると予測される。例えば、上層導体回路が15μm以下の幅を有する導体回路を含むと、15μm以下の幅を有する導体回路と層間樹脂絶縁層との間に剥がれが発生すると予測される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層上に形成される第1導体層と、前記第1導体層上に形成されている接着層と、前記絶縁層と前記第1導体層上に形成されている樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成されている第2導体層、とを有する。前記接着層は前記第1導体層と前記樹脂絶縁層で挟まれていて、前記第1導体層の上面と側面は平滑であって、前記接着層はほぼ平滑な平滑膜と前記平滑膜から突出している突出部で形成されている。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板は、第1導体層と樹脂絶縁層で挟まれる接着層を有する。接着層はほぼ平滑な平滑膜と平滑膜から突出している突出部で形成されている。接着層は突出部と平滑膜によって形成される凹凸を有する。そのため、第1導体層と樹脂絶縁層が接着層を介して十分に密着する。高い品質を有するプリント配線板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
【
図2】プリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
【
図3A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図3G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。
図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と樹脂絶縁層20と第2導体層30とビア導体40とを有する。プリント配線板2は第1導体層10上に接着層100を有する。接着層100は第1導体層10と樹脂絶縁層20で挟まれている。第1導体層10と第2導体層30は隣接している。第1導体層10と第2導体層30の間に導体層は存在しない。
【0009】
絶縁層4は熱硬化性樹脂を用いて形成される。絶縁層4は光硬化性樹脂でも良い。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第3面6(図中の上面)と第3面6と反対側の第4面8(図中の下面)を有する。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aは第3面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aは銅とケイ素とアルミニウムを含む合金(銅合金)で形成されている。第1層11aと第2層11bはスパッタで形成される。第2層11bは銅で形成されている。電解めっき層10bは銅で形成されている。第1層11aは絶縁層4に接している。第1導体層10の上面と側面は平滑である。第1導体層10の平滑な面(上面と側面)の粗さは二乗平均平方根粗さ(Rq)で示される。第1導体層10の平滑な面のRqは0.18μm以下である。
【0011】
第1導体層10の上面は第1表面と第2表面で形成される。第1表面は開口26から露出していて、接着層100で覆われていない。第2表面は第1表面以外の部分であって、接着層100で覆われている。第1導体層10の側面は接着層100で覆われている。接着層100は有機製の材料で形成されている。有機製の材料は窒素系有機化合物である。窒素系有機化合物は例えばテトラゾール化合物である。窒素系有機化合物の例は特開2015-54987号公報に開示されている。接着層100は第1導体層10から露出する第3面6を覆っていない。接着層100は第1導体層10と樹脂絶縁層20で挟まれている。接着層100は第1導体層10と樹脂絶縁層20を接着している。
【0012】
図2は、パッド14の上面内の第2表面上に形成されている接着層100の一部を示す拡大断面図である。
図2に示されるように、接着層100は、ほぼ平滑な平滑膜110と平滑膜110から突出している複数の突出部120で形成されている。パッド14の側面に形成されている接着層100は、
図2に示されている接着層と同様な平滑膜110と複数の突出部120で形成されている。形状も同様である。信号配線12の上面と側面に形成されている接着層100は、
図2と同様な平滑膜110と複数の突出部120で形成されている。形状も同様である。
【0013】
平滑膜110はほぼ均一な厚みTを有する。平滑膜110の厚みTは、10nm以上、120nm以下である。突出部120から露出する平滑膜110の面積(S1)と接着層100の面積(S2)との比(S1/S2)は0.1以上、0.5以下である。第1導体層10の上面上の平滑膜110は第1導体層10の上面の形状にほぼ沿って形成されている。第1導体層10の第2表面上の平滑膜110は第1導体層10の第2表面の形状にほぼ沿って形成されている。第1導体層10の側面上の平滑膜110は第1導体層10の側面の形状にほぼ沿って形成されている。第1導体層10の上面と側面にうねりが形成されている場合、平滑膜110はそのうねりに追随している。
【0014】
突出部120は複数の突起122で形成されている。複数の突起122により、突出部120の上面に凹凸が形成される。1mm2あたりの突起122の数は5以上、15以下である。突出部120は、平滑膜110の上面と突出部120の頂部間に高さH1、H2を有する。高さH1、H2の最大値は、平滑膜110の厚みTの10倍以上30倍以下である。高さH1、H2は、200nm以上、450nm以下である。
【0015】
樹脂絶縁層20は、接着層100を介して第1導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は接着層100によって第1導体層10と接着している。樹脂絶縁層20は第1面22(図中の上面)と第1面22と反対側の第2面24(図中の下面)を有する。樹脂絶縁層20の第2面24は第1導体層10と対向する。樹脂絶縁層20はパッド14を露出する開口26を有している。樹脂絶縁層20はエポキシ系樹脂とエポキシ系樹脂内に分散されている無機粒子で形成されている。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子は、例えば、シリカやアルミナである。樹脂絶縁層20中の無機粒子の量は70wt%以上である。
【0016】
樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されていない。第1面22は荒らされていない。第1面22は平滑に形成されている。一方、開口26の内壁面は凹凸を有する。樹脂絶縁層20の厚さは、第2導体層30の厚さの2倍以上である。樹脂絶縁層20の厚さは第1面22と第1導体層10の上面の間の距離である。
【0017】
第2導体層30は樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36とを含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第2導体層30は主に銅によって形成される。第2導体層30は、第1面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第1面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aは銅とケイ素とアルミニウムを含む合金(銅合金)で形成されている。第2層31bは銅で形成されている。電解めっき層30bは銅で形成されている。第1層31aは第1面22に接している。
【0018】
ビア導体40は開口26内に形成されている。ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。
図1ではビア導体40はパッド14とランド36を接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。
【0019】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図3A~
図3Gは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。
図3A~
図3Gは断面図である。
図3Aは絶縁層4と絶縁層4の第3面6上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。
【0020】
図3Bに示されるように、第1導体層10の上面と側面上に、接着層100が形成される。接着層100は、
図3Aに示される途中基板を窒素系有機化合物を含む薬液に浸漬することによって形成される。薬液のphは7以下である。途中基板を薬液に浸漬することで第1導体層10の上面と側面上に平滑膜110と突出部120(
図2)が成長する。途中基板が薬液に浸漬される前に第1導体層10の上面と側面の酸化膜が除去される。改変例では接着層100は、第1導体層10上に薬液を塗布することによって形成される。接着層100が形成されると、途中基板が薬液から取り出される。接着層100が乾燥される。乾燥前の接着層100の上面は平滑でもよい。その場合、乾燥により、接着層の一部が凝集する。凝集することで、平滑膜110と突出部120を含む接着層100が形成される。
【0021】
図3Cに示されるように、接着層100で覆われている第1導体層10上に樹脂絶縁層20と保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第3面6と対向している。樹脂絶縁層20の第1面22上に保護膜50が形成されている。
【0022】
保護膜50は樹脂絶縁層20の第1面22を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と樹脂絶縁層20との間には剥離層(図示省略)が形成されている。
【0023】
図3Dに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。レーザ光Lはパッド14を覆う接着層100を貫通しパッド14に至る。あるいは、レーザ光Lによって接着層100が完全に除去されない。開口26の底は接着層100で形成される。パッド14に至るビア導体用の開口26が形成される。あるいは、接着層100に至るビア導体用の開口26が形成される。開口26によりパッド14を覆う接着層100が露出される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口26が形成される時、第1面22は保護膜50で覆われている。そのため、開口26が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22に樹脂が付着することが抑制される。
【0024】
図3Eに示されるように、開口26内が洗浄される。接着層100がレーザLで完全に除去されない場合、開口26内を洗浄することにより開口26から露出する接着層100が除去される。開口26からパッド14が露出する。開口26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。開口26内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。酸化剤を含む薬液を用いて洗浄を行うことができる。酸化剤の例は過マンガン酸カリウムである。洗浄はデスミア処理を含む。樹脂絶縁層20の第2面24とパッド14の間に形成されている接着層100は除去されない。そのため、樹脂絶縁層20の第2面24とパッド14の間に隙間が形成されない。プラズマにより、エポキシ系樹脂が選択的に除去される。開口26の内壁面はプラズマで荒らされる。開口26の内壁面は樹脂絶縁層20を形成する樹脂と無機粒子で形成される。一方、樹脂絶縁層20の第1面22は保護膜50で覆われている。第1面22はプラズマの影響を受けない。樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されない。第1面22は荒らされない。第1面22は平滑に形成されている。
【0025】
図3Fに示されるように、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。保護膜50除去後、樹脂絶縁層20の第1面22を荒らすことは行われない。
【0026】
図3Gに示されるように、樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。第1層31aが第1面22上にスパッタで形成される。同時に、開口26から露出する内壁面とパッド14上に第1層31aがスパッタで形成される。その後、第1層31a上に第2層31bがスパッタで形成される。シード層30aは開口26から露出するパッド14の上面と開口26の内壁面にも形成される。第1層31aは銅とケイ素とアルミニウムを含む合金で形成される。第2層31bは銅で形成される。
【0027】
シード層30a上にめっきレジスト(図示しない)が形成される。めっきレジストは、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36(
図1)を形成するための開口を有する。
【0028】
めっきレジストから露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。電解めっき層30bは開口26を充填する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36が形成される。第2導体層30が形成される。開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、ビア導体40が形成される。ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成する。
【0029】
めっきレジストが除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。第2導体層30とビア導体40は同時に形成される。実施形態のプリント配線板2(
図1)が得られる。
【0030】
実施形態のプリント配線板2(
図1、
図2)は、第1導体層10と樹脂絶縁層20で挟まれる接着層100を有する。接着層100は第1導体層10と樹脂絶縁層20を接着している。接着層100はほぼ平滑な平滑膜110と平滑膜110から突出している突出部120で形成されている。接着層100が突出部120と平滑膜110によって形成される凹凸を有する。接着層100は複数の突起122によって形成される凹凸を有する。そのため、第1導体層10と樹脂絶縁層20が接着層100を介して十分に密着する。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。例えば、プリント配線板2の各辺の長さが50mm以上であっても、樹脂絶縁層20が第1導体層10から剥がれがたい。プリント配線板2の各辺の長さが100mm以上であっても、接着層100起因のクラックが樹脂絶縁層20内に発生しがたい。第1導体層10が15μm以下の幅を有する導体回路を含んでも、樹脂絶縁層20が第1導体層10から剥がれがたい。第1導体層10が10μm以下の幅を有する導体回路を含んでも、接着層100起因のクラックが樹脂絶縁層20内に発生しがたい。
【0031】
実施形態のプリント配線板2では樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂で形成されている。第1面22には無機粒子が露出しない。第1面22には凹凸が形成されない。樹脂絶縁層20の第1面22近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面22の比誘電率は場所によって大きく変わらない。第1信号配線32と第2信号配線34が第1面22に接していても、第1信号配線32と第2信号配線34間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態のプリント配線板2ではノイズが抑制される。実施形態のプリント配線板2にロジックICが実装されても、第1信号配線32で伝達されるデータと第2信号配線で伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。ロジックICの誤動作を抑制することができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが5mm以上であっても、両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第1信号配線32の長さと第2信号配線34の長さが10mm以上、20mm以下であっても、ロジックICの誤動作を抑制することができる。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0032】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、シード層10a、30aの第1層11a、31aは、銅と第2元素で形成されている。第2元素は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、炭素、酸素、スズ、カルシウム、マグネシウムの中から選ばれる。第1層11a、31aは銅を含む合金で形成される。第2層11b、31bは銅で形成される。第2層11b、31bを形成している銅の量(原子量%)は99.9%以上である。99.95%以上が好ましい。
【0033】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2では、シード層10a、30aの第1層11a、31aは、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、カルシウム、マグネシウムのうちのいずれか1つの金属で形成されている。
【0034】
[実施形態の別例3]
実施形態の別例3のプリント配線板2は、複数の導体層と複数の層間樹脂絶縁層と複数のビア導体とを有する。導体層と層間樹脂絶縁層は交互に積層されている。隣接する導体層はビア導体で接続される。別例3では、導体層の数は5以上、20以下である。各層間樹脂絶縁層の厚みはほぼ等しい。導体層と層間樹脂絶縁層を接着層100で接着することができる。実施形態と別例3では、接着層100の構成と形状は同様である。接着層100は実施形態と同様に導体層の上面と側面上に形成される。接着層100は導体層と層間樹脂絶縁層で挟まれている。導体層の数は5以上であっても、樹脂絶縁層が導体層から剥がれがたい。導体層の数は20以下なので、接着層100起因のクラックが樹脂絶縁層内に発生しがたい。導体層の数は10以上であることが好ましい。導体層の数は15以上であることがより好ましい。接着層100が効果的に働く。
【0035】
図1のプリント配線板2は、2つの導体層(第1導体層10と第2導体層30)を有する。第1導体層10の数は1である。第2導体層30の数は1である。第1導体層10と第2導体層30は別例3の導体層に含まれる。
図1の樹脂絶縁層20は別例3の層間樹脂絶縁層に含まれる。別例3では、第1導体層10と第2導体層30以外の導体層は第3導体層である。別例3では、複数の層間樹脂絶縁層の中の一つが樹脂絶縁層20と第2導体層30の直上に形成されている。樹脂絶縁層20と第2導体層30の直上に形成されている層間樹脂絶縁層は第1層間樹脂絶縁層である。別例3では、第1層間樹脂絶縁層と第2導体層30の間に接着層100が形成されている。あるいは、第1層間樹脂絶縁層と第2導体層30の間に接着層100は形成されていない。
【0036】
[実施形態の別例4]
別例4では、
図1のプリント配線板2の絶縁層4下に導体層が形成されている。そして、絶縁層4は
図1の樹脂絶縁層20で形成される。導体層と第1導体層10は導体層と第1導体層10で挟まれる樹脂絶縁層を貫通するビア導体で接続される。絶縁層4下に導体層を形成することと絶縁層4を樹脂絶縁層20で形成することと導体層と第1導体層10を挟む樹脂絶縁層にビア導体を形成すること以外、実施形態と別例4は同様である。
【符号の説明】
【0037】
2:プリント配線板
4:絶縁層
10:第1導体層
12:信号配線
14:パッド
20:樹脂絶縁層
30:第2導体層
30a:シード層
30b:電解めっき層
32:第1信号配線
34:第2信号配線
36:ランド
100:接着層
110:平滑膜
120:突出部
122:突起
T:厚み
H1,H2:高さ