(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132395
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】係留施設管理方法、及び係留施設管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230914BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037669
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】522053942
【氏名又は名称】多田 潔
(71)【出願人】
【識別番号】522053953
【氏名又は名称】杉原 眼太
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】多田 潔
(72)【発明者】
【氏名】杉原 眼太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】係留施設の管理者の作業を低減する。
【解決手段】係留施設管理方法は、船舶50の位置を表す船舶位置情報を取得することを含む。また、係留施設管理方法は、船舶位置情報と、係留場61の位置とに基づき、船舶50が係留場61に着岸したことを判定することを含む。舶位置情報は、係留作業を行っているときの船舶50の乗員の位置を表してもよい。また、船舶50が係留場61に着岸したことを判定することは、船舶位置情報により表される船舶の位置が、係留場61に対応して設けられた着岸領域65に含まれるかを判定することを含んでもよい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の位置を表す船舶位置情報を取得することと、
前記船舶位置情報と、係留場の位置とに基づき、前記船舶が前記係留場に着岸したことを判定することと、
を含む係留施設管理方法。
【請求項2】
前記船舶位置情報は、係留作業を行っているときの前記船舶の乗員の位置を表す
請求項1に記載の係留施設管理方法。
【請求項3】
前記船舶が前記係留場に着岸したことを判定することは、
前記船舶位置情報により表される前記船舶の位置が、前記係留場に対応して設けられた着岸領域に含まれるかを判定することと、
前記船舶の位置が前記着岸領域に含まれるとき、前記船舶が前記係留場に着岸したと判定することと、
を含む請求項1または2に記載の係留施設管理方法。
【請求項4】
前記船舶の位置が前記着岸領域に含まれるかを判定することは、
前記船舶の位置が閾値以上の時間連続して、前記着岸領域に含まれているとき、前記船舶の位置が前記着岸領域に含まれると判定すること
を含む請求項3に記載の係留施設管理方法。
【請求項5】
前記船舶の位置と、前記係留場の位置とに基づき、前記船舶が前記係留場から離岸したことを判定することをさらに含む請求項1から4のいずれか1項に記載の係留施設管理方法。
【請求項6】
各時刻における水面の高さを表す水位情報と、前記船舶の喫水を表す情報と、前記係留場の平均水深を表す係留場水深情報とに基づき、前記係留場の利用期間に前記船舶が停泊可能な前記係留場を検索することと、
検索された前記係留場を表す検索情報を出力することと、
をさらに含む請求項1から5のいずれか1項に記載の係留施設管理方法。
【請求項7】
前記係留場を検索することは、
前記水面の高さと、前記係留場水深情報とに基づき、各時刻における前記係留場における水深を決定することと、
前記船舶が前記係留場に停泊する期間において、決定された前記水深が前記船舶の喫水より長い前記係留場を検索することと、
を含む請求項6に記載の係留施設管理方法。
【請求項8】
各時刻における水面の高さを表す水位情報と、前記船舶の喫水を表す情報と、前記船舶が前記係留場に停泊するための入出経路における平均水深を表す経路水深情報とに基づき、利用期間に前記係留場を利用するために前記船舶が前記入出経路を通過する経路通過期間に、前記入出経路を通過できる前記係留場を検索することと、
検索された前記係留場を表す検索情報を出力することと、
をさらに含み、
前記係留場を検索することは、
前記水面の高さと、前記経路水深情報とに基づき、各時刻における前記入出経路における水深を決定することと、
前記経路通過期間において、決定された前記水深が前記船舶の喫水より長い前記係留場を検索することと、
を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の係留施設管理方法。
【請求項9】
船舶の位置を表す船舶位置情報を取得する通信装置と、
前記船舶位置情報と、係留場の位置とに基づき、前記船舶が前記係留場に着岸したことを判定する演算装置と、
を備える係留施設管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係留施設管理方法、及び係留施設管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶を使用するときに、近隣の係留施設、例えば漁港、桟橋などを一時的に利用したいという要望がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、船舶の近隣の係留施設を検索し、予約するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、係留施設の予約を許可することで、係留施設を管理する管理者は、船舶による係留施設への停泊、離岸を管理する作業が増加する。
【0006】
このような状況に鑑み、本開示は、係留施設の管理者の作業を低減することを目的とする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態に係る係留施設管理方法は、船舶(50)の位置を表す船舶位置情報を取得することを含む。また、係留施設管理方法は、船舶位置情報と、係留場(61)の位置とに基づき、船舶(50)が係留場(61)に着岸したことを判定することを含む。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態に係る係留施設管理システム(1000)は、通信装置(130)と、演算装置(120)とを備える。通信装置(130)は、船舶(50)の位置を表す船舶位置情報を取得する。演算装置(120)は、船舶位置情報と、係留場(61)の位置とに基づき、船舶(50)が係留場(61)に着岸したことを判定する。
【発明の効果】
【0010】
上記の形態によれば、係留施設の管理者の作業を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態における係留施設管理システムの概略図である。
【
図2】一実施の形態における係留施設管理装置の構成を表す図である。
【
図3】一実施の形態における係留施設データを説明するための図である。
【
図4】一実施の形態における係留施設管理システムの機能ブロックを表す図である。
【
図5】一実施の形態における端末の構成を表す図である。
【
図6】一実施の形態において、船舶が係留場に着岸するときに係留施設管理システムにより実行される処理を表すフローチャートである。
【
図7】一実施の形態において、船舶が係留場から離岸するときに係留施設管理システムにより実行される処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る係留施設管理システム1000は、
図1に示すように、係留施設管理装置100と、端末200とを備える。係留施設管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、決済装置10と、海象配信装置11と通信可能に接続されている。決済装置10は、係留施設60の利用料金に関する決済処理を行う。海象配信装置11は、海象、例えば現在の水面の高さなどを配信する。ここで、水面の高さは、係留施設60における水面の海抜高度を表す。また、水面の高さは、係留施設60における水面の高度を表してもよく、水面の標高を表してもよい。
【0013】
船舶50が係留施設60に係留するとき、ユーザ、例えば船舶50の乗員は、端末200を用いて、係留施設60の利用の予約を係留施設管理装置100に申請する。例えば、ユーザは、端末200に利用する係留施設60の条件、例えば係留施設60を利用する期間、船舶50からの距離などを入力する。端末200は、入力された条件を表す条件情報を係留施設管理装置100に出力する。係留施設管理装置100は、条件情報に表される条件を満たす係留施設60を検索し、検索された係留施設60に関する検索情報を端末200に出力する。端末200は、検索情報を表示する。ユーザは、表示された検索情報から利用する係留施設60を選択する。端末200は、選択された係留施設60の利用を予約する予約情報を係留施設管理装置100に出力する。係留施設管理装置100は、端末200から出力された予約情報に基づき、係留施設60を予約する。
【0014】
係留施設管理装置100は、端末200が出力する船舶50の船舶位置情報に基づき、船舶50の停泊期間、例えば着岸時間と離岸時間とを管理する。例えば、係留施設管理装置100は、船舶50の位置が係留施設60に着岸したことを表すとき、船舶50が係留施設60に着岸したと判定する。また、係留施設管理装置100は、船舶50の位置が係留施設60から離岸したことを表すとき、船舶50が係留施設60から離岸したと判定する。
【0015】
係留施設管理装置100は、船舶50の着岸時間と、離岸時間とに基づき、船舶50の停泊期間に応じた利用料金を決定し、決済情報を決済装置10に出力する。決済装置10は、決済情報に基づき、係留施設60の利用料金の決済処理を行う。
【0016】
このように、係留施設管理システム1000は、端末200を用いて係留施設60を予約し、船舶50の停泊期間を管理し、係留施設60の利用料金の決済情報を決済装置10に出力する。これにより、係留施設管理システム1000は、係留施設60の管理を支援し、係留施設60の利用を促進する。
【0017】
(係留施設管理システムの構成)
図1に示す係留施設管理システム1000の係留施設管理装置100の構成を説明する。係留施設管理装置100は、
図2に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。係留施設管理装置100は、例えば、コンピュータを含む。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0018】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、端末200から取得する情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200、または決済装置10に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0019】
記憶装置140は、係留施設60を管理するための様々なデータ、例えばユーザデータ300と、係留施設データ310と、係留施設管理プログラム320とを格納する。記憶装置140は、係留施設管理プログラム320を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。係留施設管理プログラム320は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0020】
ユーザデータ300は、係留施設管理システム1000を利用するユーザを識別するユーザ識別情報、例えばアカウントと、ユーザの決済情報とを記憶する。決済情報は、ユーザが係留施設60を利用するときに、利用料金を決済するときに用いられ、例えばクレジットカードの情報、銀行口座の情報などを含む。
【0021】
係留施設データ310は、管理する係留施設60に関する施設情報を格納する。例えば、施設情報は、係留施設60の位置を表す情報を含む。また、施設情報は、
図3に示すように、離岸領域66を表す離岸領域情報を含んでもよい。離岸領域66は、船舶50の離岸を判定するために使用される。また、施設情報は、係留施設60内の係留場61に停泊するための入出経路、例えば港外から係留施設60までの経路において、最も水深が浅い位置の平均水深を表す経路水深情報を含んでもよい。平均水深は、水面の高さの平均値から水底までの距離を表す。
【0022】
また、係留施設データ310は、船舶50が停泊する位置を表す係留場61に関する係留場情報を格納する。係留場情報は、例えば係留場61の位置を表す情報、各係留場61に対応して設定される着岸領域65を表す着岸領域情報、係留場61の利用料金を表す料金情報などを含む。ここで、着岸領域65は、船舶50の着岸を判定するために使用される。また、係留場情報は、係留場61の平均水深を表す係留場水深情報を含んでもよい。また、係留場情報は、係留場61を利用可能な期間と、係留場61の利用が予約されている期間と、予約しているユーザとを表す。
【0023】
演算装置120は、係留施設管理プログラム320を読み出し実行することで、
図4に示すように、施設情報出力部150と、着岸判定部160と、離岸判定部170とを実現する。施設情報出力部150は、端末200から取得される条件情報に基づき、係留施設60を検索する。着岸判定部160は、船舶50が係留場61に着岸したかを判定する。離岸判定部170は、船舶50が係留場61から離岸したかを判定する。
【0024】
次に、
図1に示す端末200の構成を説明する。端末200は、
図5に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240と、測位装置250とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0025】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、係留施設管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を係留施設管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0026】
測位装置250は、端末200の位置、例えば端末200を所有するユーザ、例えば船舶50の乗員の位置を測定する。測位装置250は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を含む。
【0027】
記憶装置240は、係留施設60の利用を予約し、利用料金を支払うための様々なデータ、例えば表示プログラム330を格納する。記憶装置240は、表示プログラム330を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム330は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0028】
演算装置220は、表示プログラム330を読み出し実行することで、
図4に示すように、入出力装置210と協働して、表示部260を実現する。表示部260は、ユーザにより入力された利用する係留施設60の条件を表す条件情報を係留施設管理装置100に出力する。また、表示部260は、測位装置250により測定された船舶50の位置、例えばユーザの位置を表す船舶位置情報を係留施設管理装置100に出力する。表示部260は、例えばWebブラウザにより実現されてもよい。
【0029】
(係留施設管理システムの動作)
船舶50が係留施設60に設けられた係留場61に着岸するときの係留施設管理システム1000の動作を説明する。ユーザは、係留施設60を利用するために端末200を操作して、表示プログラム330を実行する。例えば、ユーザは、ユーザ識別情報を端末200の入出力装置210入力して、表示プログラム330を実行する。端末200の演算装置220は、表示プログラム330が実行されると、係留施設管理方法の一部である
図6に示す処理を開始する。
【0030】
ステップS110において、演算装置220により実現される表示部260は、ユーザにより入力される係留施設60の条件情報を係留施設管理装置100に出力する。例えば、表示部260は、船舶50の船舶情報を入力する船舶入力欄と、検索する係留施設60の条件を入力する条件入力欄を表示する。ユーザは、船舶入力欄に船舶50の船舶情報を入力し、条件入力欄に係留施設60の条件情報を入力する。入力された船舶情報と、条件情報とは、係留施設管理装置100に出力される。
【0031】
ここで、船舶情報は、船舶50の大きさなどを含む。船舶50の大きさは、例えば船舶50の前後方向の長さを表す全長、水平面内で前後方向に直交する方向の長さを表す全幅、船舶50の全体容量を表す総トン数などを含む。また、船舶情報は、船舶50の最下端、例えばキールの下端から喫水線までの鉛直方向の長さを表す喫水を示す情報を含んでもよい。ここで、喫水は、船舶50の最下端から満載喫水線までの鉛直方向の長さを表してもよい。
【0032】
また、条件情報は、船舶50からの距離に関する条件を含むとき、船舶50の位置を表す船舶位置情報を含む。例えば、表示部260は、測位装置250により測定される位置を表す船舶位置情報を取得する。表示部260は、条件入力欄に入力された条件情報に、取得された船舶位置情報を加えて係留施設管理装置100に出力する。
【0033】
ステップS120において、係留施設管理装置100の施設情報出力部150は、条件情報に基づき、ユーザが入力した条件を満たす係留場61を検索する。例えば、条件情報が係留施設60を利用する利用期間を含むとき、施設情報出力部150は、条件情報に基づき、利用期間に利用可能な係留場61を検索する。
【0034】
また、施設情報出力部150は、船舶50に関する船舶情報に基づき、利用可能な係留場61を検索する。例えば、施設情報出力部150は、船舶50の大きさに基づき、船舶情報に表される船舶50の全長より長い船舶50が停泊できる係留場61を検索する。また、施設情報出力部150は、船舶50の喫水より長い水深を持つ係留場61を検索する。
【0035】
施設情報出力部150は、海象配信装置11から利用期間の各時刻における予想される水面の高さを表す水位情報を取得して、船舶50が利用可能な係留場61を検索してもよい。例えば、施設情報出力部150は、係留場61の平均水深を表す係留場水深情報と、水位情報とに基づき、利用期間において最も浅くなる係留場61の水深を表す利用期間水深を決定する。例えば、係留場水深情報により表される平均水深と、水位情報により表される水面の高さの基準面が同じとき、施設情報出力部150は、係留場水深情報により表される平均水深に、水位情報により表される水面の高さを加算することで、利用期間における係留場61の水深を利用期間水深として算出する。施設情報出力部150は、決定された利用期間水深が船舶50の喫水より長い係留場61を検索する。
【0036】
施設情報出力部150は、係留施設60に停泊するための入出経路において最も浅い位置の平均水深を表す経路水深情報と、水位情報とに基づき、船舶50が利用可能な係留場61を検索してもよい。例えば、施設情報出力部150は、利用期間に着岸と離岸とを行うために、船舶50が入出経路を通過する経路通過期間を決定する。施設情報出力部150は、水位情報と、経路水深情報とに基づき、決定された経路通過期間において最も浅くなる入出経路の水深を決定する。例えば、経路水深情報により表される平均水深と、水位情報により表される水面の高さの基準面が同じとき、施設情報出力部150は、経路水深情報により表される平均水深に、水位情報により表される水面の高さを加算することで、経路通過期間において最も浅くなる入出経路の水深を算出する。施設情報出力部150は、決定された入出経路の水深が船舶50の喫水より長い係留施設60に設けられた係留場61を検索する。
【0037】
施設情報出力部150は、検索された係留場61を表す検索情報を端末200に出力する。
【0038】
ステップS130において、端末200の表示部260は、ユーザによる係留場61の利用の予約を受け付ける。例えば、表示部260は、係留施設管理装置100の施設情報出力部150から取得された検索情報を入出力装置210に表示する。検索情報は、ユーザが入力した条件を満たす利用可能な係留場61を表す。ユーザは、表示された係留場61の一覧から利用する係留場61を選択し、選択された係留場61の利用を予約する操作を入出力装置210に入力する。表示部260は、選択された係留場61の利用の予約を表す予約情報を係留施設管理装置100に出力する。
【0039】
ステップS140において、係留施設管理装置100の施設情報出力部150は、端末200から取得する予約情報に基づき、係留場61の利用の予約を登録する。例えば、施設情報出力部150は、予約情報に基づき、係留場61の利用が予約された期間と、予約を行ったユーザとを関連付けて係留施設データ310に登録する。ここで、ユーザは、例えば表示プログラム330を実行するときに入力されるユーザ識別情報に基づき、特定される。
【0040】
ステップS150において、係留施設管理装置100の着岸判定部160は、係留施設データ310と、船舶50の位置とに基づき、予約された係留場61への船舶50の着岸を判定する。例えば、端末200の表示部260は、測位装置250により測定される位置を、船舶50の位置を表す船舶位置情報として係留施設管理装置100に出力する。船舶50の位置は、ユーザ、例えば船舶50の乗員の位置を表してもよい。
【0041】
係留施設管理装置100の着岸判定部160は、端末200から取得する船舶位置情報が予約された係留場61への船舶50の着岸を表すかを判定する。例えば、着岸判定部160は、船舶位置情報により表される船舶50の位置と、予約された係留場61の位置とに基づき、船舶50が係留場61に着岸したかを判定する。例えば、着岸判定部160は、船舶位置情報により表される船舶50の位置が、係留場61の位置として表す
図2に示す着岸領域65内に含まれるかを判定する。着岸判定部160は、船舶50の位置が、予約された係留場61に対応する着岸領域65内に含まれるとき、船舶50が予約された係留場61に着岸したと判定する。また、着岸判定部160は、船舶50の位置が着岸領域65内に連続して閾値以上の時間留まるとき、船舶50が予約された係留場61に着岸したと判定してもよい。ここで、閾値は、船舶50を停泊するために、乗員が係留作業を行う期間に応じて決定されてもよい。
【0042】
着岸判定部160は、ステップS150の処理を、船舶位置情報が予約された係留場61への船舶50の着岸を表すと判定されるまで繰り返す。船舶位置情報が船舶50の着岸を表すと判定されると、着岸判定部160は、船舶50が係留場61に着岸したと判定された着岸時間を係留施設データ310に登録し、ステップS160の処理を行う。
【0043】
ステップS160において、着岸判定部160は、予約された係留場61を利用するための基本料金を決済するための処理を行う。例えば、着岸判定部160は、係留施設データ310から、船舶50が着岸した係留場61の基本料金を取得する。例えば、基本料金は、係留場61を利用するための最低料金を表す。また、着岸判定部160は、ユーザデータ300に基づき、係留場61を予約したユーザの決済情報を取得する。着岸判定部160は、基本料金を決済するために、ユーザの決済情報と、基本料金を表す情報とを、決済装置10に出力する。
【0044】
決済装置10は、ユーザの決済情報と、基本料金を表す情報とに基づき、予約したユーザに対する基本料金の決済処理を行う。
【0045】
このように、係留施設管理システム1000は、係留施設60の管理者が行う係留場61への停泊の確認を支援する。これにより、係留施設60の管理者の作業が低減される。
【0046】
次に、船舶50が係留施設60に設けられた係留場61から離岸するときの係留施設管理システム1000の動作を説明する。船舶50が係留場61から離岸するとき、ユーザは、端末200の入出力装置210に、表示プログラム330を実行するための操作を入力する。表示プログラム330が実行されると、端末200の演算装置220により実現される表示部260は船舶50の位置を表す船舶位置情報を係留施設管理装置100に出力する。例えば、表示部260は、測位装置250により測定された位置を表す船舶位置情報を出力する。係留施設管理装置100の演算装置120は、船舶位置情報を取得すると、係留施設管理方法の一部である
図7に示す処理を実行する。
【0047】
ステップS210において、演算装置120により実現される離岸判定部170は、係留施設データ310と、船舶50の位置とに基づき、係留場61からの船舶50の離岸を判定する。例えば、離岸判定部170は、端末200から取得する船舶位置情報が係留場61から船舶50の離岸を表すかを判定する。例えば、離岸判定部170は、船舶位置情報により表される船舶50の位置が
図2に示す離岸領域66内に含まれるかを判定する。離岸判定部170は、船舶50の位置が、停泊していた係留場61を有する係留施設60に対応する離岸領域66内に含まれるとき、船舶50が係留場61から離岸したと判定する。また、離岸判定部170は、船舶50の位置が離岸領域66内に連続して閾値以上の時間留まるとき、船舶50が係留場61から離岸したと判定してもよい。
【0048】
ここで、離岸領域66は、係留施設60から出発するときに船舶50が通過する領域、かつ、係留施設60に停泊中に船舶50が存在しない領域を表す。例えば離岸領域66は、港口を含んでもよい。
【0049】
離岸判定部170は、ステップS210の処理を、船舶位置情報が係留場61からの船舶50の離岸を表すと判定されるまで繰り返す。船舶位置情報が船舶50の離岸を表すと判定されると、離岸判定部170は、船舶50が係留場61から離岸したと判定された離岸時間を係留施設データ310に登録し、ステップS220の処理を行う。
【0050】
ステップS220において、離岸判定部170は、係留施設データ310に基づき、係留場61の利用料金を決済するための処理を行う。例えば、離岸判定部170は、係留施設データ310に登録された着岸時間と、離岸時間とに基づき、船舶50が係留場61に停泊していた時間を決定する。例えば、離岸判定部170は、着岸時間から離岸時間までに経過した時間を、船舶50が係留場61に停泊していた時間として決定する。なお、離岸判定部170は、着岸時間から離岸時間までの間において、端末200から出力される位置情報に表される乗員の位置は、着岸領域65に含まれても、含まれなくてもよい。また、端末200は、乗員の位置を表す位置情報を係留施設管理装置100に出力しなくてもよい。
【0051】
離岸判定部170は、係留場61に対応する利用料金と、船舶50が係留場61に停泊していた時間に基づき、船舶50による係留場61の利用料金を決定する。例えば、係留場61に対応する利用料金が単位時間当たりの料金を表すとき、離岸判定部170は、単位時間当たりの料金に船舶50が係留場61に停泊していた時間を乗算して得られる料金を、船舶50による係留場61の利用料金として決定する。
【0052】
また、離岸判定部170は、ユーザデータ300に基づき、係留場61を利用したユーザの決済情報を取得する。離岸判定部170は、利用料金を決済するために、ユーザの決済情報と、利用料金を表す情報とを、決済装置10に出力する。
【0053】
決済装置10は、ユーザの決済情報と、利用料金を表す情報とに基づき、係留場61を使用したユーザに対する利用料金の決済処理を行う。
【0054】
このように、係留施設管理システム1000は、係留施設60の管理者が行う係留場61からの離岸の確認を支援する。これにより、係留施設60の管理者の作業が低減される。
【0055】
(変形例)
以上において説明した処理は一例であり、各ステップの順番、処理内容は、機能を阻害しない範囲で変更してもよい。また、説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよい。例えば、
図6に示すステップS150において、係留施設管理装置100の着岸判定部160は、船舶50の位置に基づき、係留場61への船舶50の着岸を任意の方法で判定してもよい。例えば、着岸判定部160は、船舶50の位置から係留場61の位置までの距離に基づき、係留場61への船舶50の着岸を決定してもよい。例えば、船舶50の位置から係留場61の位置までの距離が閾値より小さいとき、着岸判定部160は、船舶50が係留場61に着岸したと判定してもよい。また、着岸判定部160は、船舶50の位置に基づき、船舶50の速度を決定し、決定された速度が閾値より小さく、船舶50の位置から係留場61の位置までの距離が閾値より小さいとき、船舶50が係留場61に着岸したと判定してもよい。
【0056】
また、
図7に示すステップS210において、係留施設管理装置100の離岸判定部170は、船舶50の位置に基づき、任意の方法で船舶50の離岸を判定してもよい。例えば、離岸判定部170は、船舶50の位置から係留場61の位置までの距離に基づき、係留場61からの船舶50の離岸を決定してもよい。例えば、船舶50の位置から係留場61の位置までの距離が閾値より大きいとき、離岸判定部170は、船舶50が係留場61から離岸したと判定してもよい。また、離岸判定部170は、船舶50の位置から
図3に示す着岸領域65までの距離に基づき、係留場61からの船舶50の離岸を決定してもよい。船舶50の位置から着岸領域65までの距離は、例えば、船舶50の位置から着岸領域65に含まれる各位置までの距離のうち、最も小さい距離を表してもよい。
【0057】
また、
図6に示すステップS150において、着岸判定部160は、船舶50の位置が予約された係留場61と異なる係留場61への着岸を表すとき、端末200に着岸する係留場61が異なることを表すエラー情報を出力してもよい。例えば、着岸判定部160は、船舶50の位置が予約された係留場61と異なる係留場61に対応する着岸領域65に含まれるとき、エラー情報を出力する。また、着岸判定部160は、船舶50の位置が予約された係留場61と異なる係留場61に対応する着岸領域65に連続して閾値以上の時間留まるとき、エラー情報を出力してもよい。着岸判定部160は、船舶50の位置が予約された係留場61に対応する着岸領域65に含まれず、かつ、他の係留場61に対応する着岸領域65に含まれるとき、エラー情報を出力してもよい。これにより、船舶50が異なる係留場61に停泊することが低減される。
【0058】
図2に示すユーザデータ300は、船舶50に関する船舶情報、例えば船舶50の大きさなどを記憶してもよい。この場合、
図6に示すステップS120において、係留施設管理装置100の施設情報出力部150は、ユーザ識別情報に基づき、ユーザデータ300から船舶50に関する船舶情報を取得してもよい。例えば、ステップS110において、端末200の表示部260は、船舶情報が入力される船舶入力欄の表示を省略してもよい。
【0059】
図2に示す係留施設データ310に記憶された経路水深情報は、係留施設60内の係留場61に停泊するための入出経路における平均水深を任意の方法で表してもよい。例えば、経路水深情報は、入出経路において、最も水深が浅い位置における水底の高さ、例えば海抜高度、標高などを表してもよい。この場合、施設情報出力部150は、
図6に示すステップS120において、海象配信装置11から取得する水深情報の表す水面の高さと、経路水深情報が表す位置における水底の高さとの差に基づき、船舶50が入出経路を通過する期間において最も浅くなる水深を決定する。
【0060】
また、
図2に示す係留施設データ310に記憶された係留場水深情報は、係留施設60内の係留場61における平均水深を任意の方法で表してもよい。例えば、係留場水深情報は、係留場61における水底の高さ、例えば海抜高度、標高などを表してもよい。この場合、施設情報出力部150は、
図6に示すステップS120において、海象配信装置11から取得する水深情報の表す水面の高さと、係留場水深情報が表す水底の高さとの差に基づき、利用期間において最も浅くなる水深を決定する。
【0061】
また、
図6に示すステップS120において、施設情報出力部150は、海象配信装置11から取得する水位情報と、係留場61の平均水深を表す係留場水深情報と、船舶50の喫水を表す情報とに基づき、船舶50が係留場61に停泊可能な停泊可能期間を決定してもよい。例えば、施設情報出力部150は、水位情報と、係留場水深情報とに基づき、各時刻において、係留場61の水深を決定する。決定された係留場61の水深が船舶50の喫水より長い期間が停泊可能期間として決定される。決定された停泊可能期間を表す情報は、検索情報とともに端末200に出力される。端末200の表示部260は、検索情報とともに停泊可能期間を表す情報を表示する。これにより、ユーザ、例えば船舶50の乗員は、船舶50を係留場61に停泊可能な期間を確認することができる。
【0062】
また、
図6に示すステップS120において、施設情報出力部150は、海象配信装置11から取得する水位情報と、係留場61への入出経路における平均水深を表す経路水深情報と、船舶50の喫水を表す情報とに基づき、船舶50が入出経路を通過可能な通過可能期間を決定してもよい。例えば、施設情報出力部150は、水位情報と、経路水深情報とに基づき、各時刻において、入出経路において最も浅い位置の水深を決定する。決定された水深が船舶50の喫水より長い期間が通過可能期間として決定される。決定された通過可能期間を表す情報は、検索情報とともに端末200に出力される。端末200の表示部260は、検索情報とともに通過可能期間を表す情報を表示する。これにより、ユーザ、例えば船舶50の乗員は、船舶50が係留場61に入出可能な期間を確認することができる。
【0063】
また、利用料金の決済は、任意のタイミングで行われてもよい。例えば、船舶50が着岸したときに決済は行われず、船舶50が離岸したときに利用料金全額の決済を行ってもよい。この場合、
図6に示すステップS160は省略される。また、決済方法も任意の方法で行われてもよい。例えば、係留施設管理装置100は、決済装置10に決済情報を出力せずに、係留施設60を利用したユーザに請求書を発行するための情報を出力してもよい。この場合、係留施設60の管理者は、出力された情報に基づき、係留施設60を利用したユーザへの請求書を発行する。
【0064】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、
図1に示す係留施設管理システム1000に端末200は含まれなくてもよい。例えば、端末200の処理は、外部の端末200で実行されてもよい。また、係留施設管理装置100の処理は、すべてまたは一部が端末200で実行されてもよい。また、端末200の処理は、すべてまたは一部が係留施設管理装置100で実行されてもよい。また、係留施設管理プログラム320は、表示プログラム330を含んでもよい。また、端末200は、船舶50に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、2 :記憶媒体
10 :決済装置
11 :海象配信装置
20 :ネットワーク
50 :船舶
60 :係留施設(mooring)
61 :係留場(berth)
65 :着岸領域
66 :離岸領域
100 :係留施設管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :施設情報出力部
160 :着岸判定部
170 :離岸判定部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :測位装置
260 :表示部
300 :ユーザデータ
310 :係留施設データ
320 :係留施設管理プログラム
330 :表示プログラム
1000 :係留施設管理システム