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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132400
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20230914BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037683
(22)【出願日】2022-03-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会名 ロボティクス・メカトロニクス講演会2021 in Osaka 開催日 令和3年6月6日 [刊行物等] 刊行物 ロボティクス・メカトロニクス講演会2021 in Osaka 予稿集 発行日 令和3年6月6日 [刊行物等] 刊行物 日刊工業新聞、令和3年6月10日付朝刊、第19面 発行日 令和3年6月10日 [刊行物等] 刊行物 2021年度大会(東海) 学術講演梗概集 建築デザイン発表梗概集 発行日 令和3年7月20日 [刊行物等] 集会名 2021年度日本建築学会大会 開催日 令和3年9月7日 [刊行物等] 集会名 SICE 中部支部 シンポジウム&若手研究発表会 2021 開催日 令和3年10月26日 [刊行物等] 集会名 山崎ワークショップ 第5回講演会 開催日 令和3年12月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 義明
(72)【発明者】
【氏名】三浦 一幸
(72)【発明者】
【氏名】宮口 幹太
(72)【発明者】
【氏名】山崎 公俊
(72)【発明者】
【氏名】宮入 恭祐
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2G024AC10
2G024CA30
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA11
2G064AA05
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB22
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
2G064CC41
2G064CC42
2G064CC43
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】表示システムの使用性を高めることが可能となる、表示システムを提供すること。
【解決手段】表示システム10は、対象面2に塗り材3を所定器具4を介して塗る作業である塗り作業の状況を表示するためのシステムであって、塗り作業の状況に関する作業状況パラメータを計測する計測部20と、計測部20の計測結果を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、作業状況パラメータは、所定器具4に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度と、所定器具4の位置又は/及び姿勢と、対象面2に対する塗り材3の塗り回数と、塗り材3が塗られた対象面2の色度、輝度、又は/及び空間周波数領域における類似度と、の少なくともいずれか1つを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象面に塗り材を所定器具を介して塗る作業である塗り作業の状況を表示するための表示システムであって、
前記塗り作業の状況に関する作業状況パラメータを計測する計測手段と、
前記計測手段の計測結果を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記作業状況パラメータは、前記所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度と、前記所定器具の位置又は/及び姿勢と、前記対象面に対する前記塗り材の塗り回数と、前記塗り材が塗られた前記対象面の色度、輝度、又は/及び空間周波数領域における類似度と、の少なくともいずれか1つを含む、
表示システム。
【請求項2】
前記計測手段は、前記所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度を検出する検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記検出手段の検出結果を前記表示手段に表示させる、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記計測手段は、
前記塗り作業の塗り動作を撮像する第1撮像手段と、
前記第1撮像手段によって撮像された第1撮像画像に基づいて、前記塗り動作が行われた距離である塗り距離を算出し、当該算出された前記塗り距離に基づいて、前記塗り材の塗り回数を特定する第1特定手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第1特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる、
請求項1又は2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記計測手段は、
前記塗り材が塗られた前記対象面を撮像する第2撮像手段と、
前記第2撮像手段によって撮像された第2撮像画像に基づいて、前記対象面の色度又は/及び輝度を特定する第2特定手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第2特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記計測手段は、
前記塗り材が塗られた前記対象面を撮像する第3撮像手段と、
前記第3撮像手段によって撮像された第3撮像画像に基づいて、パワースペクトル画像を生成し、当該生成された前記パワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像に基づいて、空間周波数領域における類似度を特定する第3特定手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記第3特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項6】
前記計測手段の計測結果が基準値に近似するか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記判定手段の判定結果を前記表示手段に表示させる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業者による塗装作業の品質を把握するためのシステムの一つとして、作業者の作業所要時間を測定し、作業者の実作業時間の合計である全実作業時間とを比較し、全実作業時間が全標準作業時間を超過したとき、各作業工程において実作業時間が標準作業時間を超過した作業工程を検出して作業者の作業習熟度を評価するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-166679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来のシステムにおいては、上述したように、各作業工程において実作業時間が標準作業時間を超過した作業工程を検出して作業者の作業習熟度を評価するものの、実作業時間の短縮化が塗装作業の品質を高めることに必ずしもつながらない可能性があることから、上記作業習熟度の評価に基づいて塗装作業の品質を正確に把握することが難しくなるおそれがあった。よって、システムの使用性の観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表示システムの使用性を高めることが可能となる、表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の表示システムは、対象面に塗り材を所定器具を介して塗る作業である塗り作業の状況を表示するための表示システムであって、前記塗り作業の状況に関する作業状況パラメータを計測する計測手段と、前記計測手段の計測結果を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、前記作業状況パラメータは、前記所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度と、前記所定器具の位置又は/及び姿勢と、前記対象面に対する前記塗り材の塗り回数と、前記塗り材が塗られた前記対象面の色度、輝度、又は/及び空間周波数領域における類似度と、の少なくともいずれか1つを含む。
【0007】
請求項2に記載の表示システムは、請求項1に記載の表示システムにおいて、前記計測手段は、前記所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度を検出する検出手段を備え、前記表示制御手段は、前記検出手段の検出結果を前記表示手段に表示させる。
【0008】
請求項3に記載の表示システムは、請求項1又は2に記載の表示システムにおいて、前記計測手段は、前記塗り作業の塗り動作を撮像する第1撮像手段と、前記第1撮像手段によって撮像された第1撮像画像に基づいて、前記塗り動作が行われた距離である塗り距離を算出し、当該算出された前記塗り距離に基づいて、前記塗り材の塗り回数を特定する第1特定手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第1特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる。
【0009】
請求項4に記載の表示システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、前記計測手段は、前記塗り材が塗られた前記対象面を撮像する第2撮像手段と、前記第2撮像手段によって撮像された第2撮像画像に基づいて、前記対象面の色度又は/及び輝度を特定する第2特定手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第2特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる。
【0010】
請求項5に記載の表示システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、前記計測手段は、前記塗り材が塗られた前記対象面を撮像する第3撮像手段と、前記第3撮像手段によって撮像された第3撮像画像に基づいて、パワースペクトル画像を生成し、当該生成された前記パワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像に基づいて、空間周波数領域における類似度を特定する第3特定手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第3特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる。
【0011】
請求項6に記載の表示システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、前記計測手段の計測結果が基準値に近似するか否かを判定する判定手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記判定手段の判定結果を前記表示手段に表示させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の表示システムによれば、作業状況パラメータを計測する計測手段と、計測手段の計測結果を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、作業状況パラメータは、所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度と、所定器具の位置又は/及び姿勢と、対象面に対する塗り材の塗り回数と、塗り材が塗られた対象面の色度、輝度、又は/及び空間周波数領域における類似度と、の少なくともいずれか1つを含むので、塗り作業の品質を正確に把握でき、表示システムの使用性を高めることが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の表示システムによれば、計測手段が、所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度を検出する検出手段を備え、表示制御手段が、検出手段の検出結果を表示手段に表示させるので、検出手段の検出結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0014】
請求項3に記載の表示システムによれば、計測手段が、塗り作業の塗り動作を撮像する第1撮像手段と、第1撮像手段によって撮像された第1撮像画像に基づいて、塗り距離を算出し、当該算出された塗り距離に基づいて、塗り材の塗り回数を特定する第1特定手段と、を備え、表示制御手段が、第1特定手段の特定結果を表示手段に表示させるので、第1特定手段の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0015】
請求項4に記載の表示システムによれば、計測手段が、塗り材が塗られた対象面を撮像する第2撮像手段と、第2撮像手段によって撮像された第2撮像画像に基づいて、対象面の色度又は/及び輝度を特定する第2特定手段と、を備え、表示制御手段が、第2特定手段の特定結果を表示手段に表示させるので、第2特定手段の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0016】
請求項5に記載の表示システムによれば、計測手段が、塗り材が塗られた対象面を撮像する第3撮像手段と、第3撮像手段によって撮像された第3撮像画像に基づいて、パワースペクトル画像を生成し、当該生成されたパワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像に基づいて、空間周波数領域における類似度を特定する第3特定手段と、を備え、表示制御手段が、第3特定手段の特定結果を表示手段に表示させるので、第3特定手段の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0017】
請求項6に記載の表示システムによれば、計測手段の計測結果が基準値に近似するか否かを判定する判定手段をさらに備え、表示制御手段が、判定手段の判定結果を表示手段に表示させるので、判定手段の判定結果を表示でき、塗り作業の品質を一層正確に把握しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係る表示システムを概念的に示す図である。
図2】制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
図3】実施の形態1に係る表示処理のフローチャートである。
図4】第1検出情報の表示例を示す図であり、(a)は熟練者に関する第1検出情報を示す図、(b)は非熟練者に関する第1検出情報を示す図である。
図5】第2検出情報の表示例を示す図であり、(a)は熟練者に関する第2検出情報を示す図、(b)は非熟練者に関する第2検出情報を示す図である。
図6】実施の形態2に係る表示システムを概念的に示す図である。
図7】制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
図8】実施の形態2に係る表示処理のフローチャートである。
図9】塗り回数情報の表示例を示す図であり、(a)は1回目の塗り動作が行われた際の塗り回数情報を示す図、(b)は2回目の塗り動作が行われた際の塗り回数情報を示す図、(c)は3回目の塗り動作が行われた際の塗り回数情報を示す図である。
図10】実施の形態3に係る表示システムを概念的に示す図である。
図11】制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
図12】実施の形態3に係る表示処理のフローチャートである。
図13】色度情報の表示例を示す図であり、(a)は熟練者に関する色度情報を示す図、(b)は非熟練者に関する色度情報を示す図である。
図14】実施の形態4に係る表示システムを概念的に示す図である。
図15】制御ユニットの電気的構成を示したブロック図である。
図16】実施の形態4に係る表示処理のフローチャートである。
図17】類似度情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る表示システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、対象面に塗り材を所定器具を介して塗る作業である塗り作業の状況を表示するための表示システムに関する。
【0021】
ここで、「対象面」とは、塗り材が塗られる対象となる面を意味する。この対象面は、例えば、構造物を構成する建設部材(例えば、壁材、床材、梁材、柱材、天井材等)の外面又は/及び内面を含む概念であるが、実施の形態では、壁材の外面として説明する。
【0022】
また、上記建設部材を含む「構造物」の具体的な構造や種類については任意であり、例えば、建築構造物(一例として、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設等)や土木構造物(一例として、橋梁、トンネル、ダム等)を含む概念である。
【0023】
また、「塗り材」の具体的な種類については任意であり、例えば、下地調整材(一例として、モルタル製又は樹脂製の下地調整材等)、下塗材(一例として、シーラー、プライマー、フィラー、バインダー等)、中塗材(一例として、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料等)、上塗材(一例として、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料等)、パテ材、及びシール材等を含む概念であるが、実施の形態では、上塗材として説明する。
【0024】
また、「所定器具」の具体的な種類については任意であり、例えば、ローラブラシ、はけ、こて等を含む概念であるが、実施の形態では、ブラシ部と、ブラシ部を回転可能に支持する柄部とを有するローラブラシとして説明する。
【0025】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0026】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る表示システムについて説明する。この実施の形態1は、後述の作業状況パラメータが、所定器具に作用する力、モーメント、角速度、及び加速度である形態である。
【0027】
(構成-建設部材)
最初に、実施の形態1に係る後述の塗り材3が塗られる建設部材1の構成について説明する。
【0028】
以下の説明では、図1のX方向を建設部材1の左右方向(-X方向を建設部材1の左方向、+X方向を建設部材1の右方向)、図1のY方向を建設部材1の前後方向(+Y方向を建設部材1の前方向、-Y方向を建設部材1の後方向)、図1のZ方向を建設部材1の上下方向(+Z方向を建設部材1の上方向、-Z方向を建設部材1の下方向)と称する。
【0029】
建設部材1は、図示しない構造物(具体的には、オフィスビル)の基本構造体である。この建設部材1は、例えばコンクリート製の壁材等を用いて構成されており、構造物の図示しない床材同士の相互間に立設されている。
【0030】
また、図1に示すように、建設部材1には、対象面2が設けられている。この対象面2は、後述の塗り材3が塗られる対象となる面であり、図1に示すように、建設部材1の2つの主面のうち、構造物の外側に位置する主面全体(つまり、外面全体)にわたって設けられている。
【0031】
(構成-表示システム)
次に、表示システム10の構成について説明する。
【0032】
表示システム10は、対象面2に塗り材3(具体的には、上塗材)を所定器具4(具体的には、ローラブラシ)を介して塗る作業(以下、「塗り作業」と称する)の状況を表示するためのシステムであり、図1に示すように、計測部20、及び制御ユニット30を備えている。
【0033】
(構成-表示システム-計測部)
計測部20は、作業状況パラメータを計測する計測手段であり、図1に示すように、検出部21を備えている。
【0034】
ここで、「作業状況パラメータ」とは、塗り作業の状況に関するパラメータであり、実施の形態1では、所定器具4に作用する力(具体的には、所定器具4を対象面2に押圧した際に作用する押圧力)、モーメント(具体的には、押圧力が作用する方向に沿った回転軸のモーメント)、角速度(具体的には、所定器具4の柄部の角速度)、及び加速度として説明する。なお、「角速度」とは、所定器具4に取り付けられた検出部21(具体的には、後述の慣性計測装置)を基準とした各回転軸周りの回転速度を意味する。
【0035】
(構成-表示システム-計測部-検出部)
検出部21は、所定器具4に作用する所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、又は/及び加速度を検出する検出手段である。この検出部21は、例えば公知の検出装置(一例として、力覚センサ及び慣性計測装置(いわゆるIMU)を組み合わせたもの等)を用いて構成されており、図1に示すように、所定器具4に取り付けられている。
【0036】
(構成-表示システム-制御ユニット)
制御ユニット30は、表示システム10を制御するためのユニットである。この制御ユニット30は、図1に示すように、建設部材1の周辺(又は、建設部材1の周辺以外の位置(一例として、建設部材1から離れた現場事務所等))に設けられており、図2に示すように、操作部31、通信部32、表示部33、電源部34、制御部35、及び記憶部36を備えている。
【0037】
(構成-表示システム-制御ユニット-操作部)
操作部31は、制御ユニット30に対する操作入力を受け付ける操作手段である。
【0038】
(構成-表示システム-制御ユニット-通信部)
通信部32は、計測部20(具体的には、検出部21)と制御ユニット30との相互間で通信するための通信手段である。
【0039】
(構成-表示システム-制御ユニット-表示部)
表示部33は、制御部35の制御に基づいて各種の情報を表示する表示手段であり、例えば、公知の液晶ディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いて構成されている。
【0040】
(構成-表示システム-制御ユニット-電源部)
電源部34は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、制御ユニット30の各部に供給すると共に、計測部20にも供給する電源手段である。
【0041】
(構成-表示システム-制御ユニット-制御部)
制御部35は、制御ユニット30の各部及び計測部20を制御する制御手段であり、例えば内部メモリを備える公知のコンピュータを用いて構成されている。
【0042】
また、この制御部35は、図2に示すように、機能概念的に、表示制御部35a及び判定部35bを備えている。
【0043】
表示制御部35aは、計測部20の計測結果を表示部33に表示させる表示制御手段である。
【0044】
判定部35bは、計測部20の計測結果が基準値に近似するか否かを判定する判定手段である。
【0045】
(構成-表示システム-制御ユニット-記憶部)
記憶部36は、制御ユニット30の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な公知の記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリの如き不揮発性記録媒体を用いて構成されている。
【0046】
(表示処理)
次に、上述のように構成された表示システム10における制御ユニット30の制御部35によって実行される表示処理について説明する。以下の説明では、図3に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。
【0047】
表示処理は、塗り作業の状況を表示するための処理である。この表示処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態1では、表示システム10に電源が投入された後に起動される。また、測定処理の前提については、実施の形態1では、対象面2に塗り材3がまだ塗られていないものとする。
【0048】
表示処理が起動されると、図3に示すように、SA1において制御部35は、作業状況パラメータを計測するタイミング(以下、「計測タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0049】
この計測タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、制御ユニット30の操作部31を介して所定操作が受け付けられたか否か、制御ユニット30の通信部32を介して外部装置(例えば、携帯端末等)から作業状況パラメータの計測を指示する計測指示情報を受信したか否かに基づいて判定する。ここで、上記所定操作が受け付けられた場合、又は上記計測指示情報を受信した場合には計測タイミングが到来したと判定し、上記所定操作が受け付けられていない場合、及び上記計測指示情報を受信していない場合には計測タイミングが到来していないと判定する。
【0050】
そして、制御部35は、計測タイミングが到来するまで待機し(SA1、No)、計測タイミングが到来したと判定された場合(SA1、Yes)にはSA2へ移行する。
【0051】
SA2において制御部35は、検出部21を用いて、所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、及び加速度を検出する。
【0052】
この所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、及び加速度を検出する方法については任意であるが、例えば以下の通りに検出してもよい。
【0053】
すなわち、塗り作業において、作業者Mによって所定器具4を介して塗り材3が所定方向(例えば、対象面2の上端部から下端部に至る方向等)に塗られる動作(以下、「塗り動作」と称する)が複数回行われる場合には、塗り動作毎の所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、及び加速度を塗り動作に要した時間(以下、「動作時間」と称する)と関連づけて検出し、当該検出した力等を示す情報(以下、「検出情報」と称する)を制御ユニット30の記憶部36に送信して記憶する(より具体的には、上記検出した力等を示す情報を塗り動作毎に相互に関連づけて記憶部36に記憶する)。なお、上記塗り動作毎の検出開始及び検出終了については、例えば、制御ユニット30の操作部31(又は検出部21)を介して所定操作が受け付けられることで設定してもよい。
【0054】
SA3において表示制御部35aは、SA2にて検出された検出情報(すなわち、検出部21の検出結果)を表示部33に表示させる。
【0055】
この検出情報の表示方法については任意であるが、実施の形態1では以下の通りに表示させる。
【0056】
すなわち、検出情報のうち、所定器具4に作用する力を示す情報(以下、「第1検出情報」と称する)を表示する場合には、まず、複数の塗り動作にて検出された第1検出情報の平均値及び標準偏差を算出すると共に、第1検出情報に対応する動作時間に基づいて正規化時間を算出する。そして、図4に示すように、表示部33に表示されたグラフであって、横軸が正規化時間であり、縦軸が力であるグラフ上に、上記算出した第1検出情報の平均値(図4では、実線で示す)及び標準偏差(図4では、ハッチングで示す)を上記算出した正規化時間と関連付けて表示させる。
【0057】
また、検出情報のうち、所定器具4に作用するモーメントを示す情報(以下、「第2検出情報」と称する)を表示する場合には、まず、複数の塗り動作にて検出された第2検出情報の平均値及び標準偏差を算出すると共に、第2検出情報に対応する動作時間に基づいて正規化時間を算出する。そして、図5に示すように、表示部33に表示されたグラフであって、横軸が正規化時間であり、縦軸がモーメントであるグラフ上に、上記算出した第2検出情報の平均値(図5では、実線で示す)及び標準偏差(図5では、ハッチングで示す)を上記算出した正規化時間と関連付けて表示させる。
【0058】
また、検出情報のうち、所定器具4に作用する角速度を示す情報(以下、「第3検出情報」と称する)を表示する場合には、まず、複数の塗り動作にて検出された第3検出情報の平均値及び標準偏差を算出すると共に、第3検出情報に対応する動作時間に基づいて正規化時間を算出する。そして、図示は省略するものの、図4と略同様に、表示部33に表示されたグラフであって、横軸が正規化時間であり、縦軸が角速度であるグラフ上に、上記算出した第3検出情報の平均値及び標準偏差を上記算出した正規化時間と関連付けて表示させる。
【0059】
また、検出情報のうち、所定器具4に作用する加速度を示す情報(以下、「第4検出情報」と称する)を表示する場合には、まず、複数の塗り動作にて検出された第4検出情報の平均値及び標準偏差を算出すると共に、第4検出情報に対応する動作時間に基づいて正規化時間を算出する。そして、図示は省略するものの、図4と略同様に、表示部33に表示されたグラフであって、横軸が正規化時間であり、縦軸が加速度であるグラフ上に、上記算出した第4検出情報の平均値及び標準偏差を上記算出した正規化時間と関連付けて表示させる。
【0060】
このようなSA2、SA3の処理により、検出部21の検出結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0061】
図3に戻り、SA4において判定部35bは、SA2にて検出された検出情報が基準値に近似するか否かを判定し、その判定結果を示す判定情報JDを生成する。
【0062】
この判定情報JDの生成方法については任意であるが、例えば以下の通りに生成してもよい。
【0063】
すなわち、SA2にて検出された検出情報=図4(b)に示す第1検出情報(一例として、非熟練者に関する第1検出情報)であり、基準値=図4(a)に示す第1検出情報(一例として、熟練者に関する第1検出情報)である場合には、まず、図4(a)に示す第1検出情報の平均値と図4(b)に示す第1検出情報の平均値との差(具体的には、正規化時間毎の差)が閾値未満である個数が所定数未満であるか否かを判定してもよい(又は、図4(a)に示す第1検出情報の標準偏差と図4(b)に示す第1検出情報の標準偏差との差(具体的には、正規化時間毎の差)が閾値未満である個数が所定数未満であるか否かを判定してもよい)。そして、上記所定数未満である場合には、検出情報が基準値に近似すると判定し、上記所定数未満でない場合には、検出情報が基準値に近似しないと判定して、当該判定した結果を示す情報を判定情報JDとして生成してもよい(なお、第2検出情報から第4検出情報に関する判定情報JDの生成方法についても略同様とする)。
【0064】
なお、基準値の設定方法については、熟練者に関する第1検出情報を設定することに限らず、例えば、制御ユニット30の記憶部36にあらかじめ記憶された値、又は表示システム10の管理者によって制御ユニット30の操作部31を介して入力された値を設定してもよい。
【0065】
図3に戻り、SA5において表示制御部35aは、SA4にて生成された判定情報JD(すなわち、判定部35bの判定結果)を表示部33に表示させる。
【0066】
この判定情報JDの表示方法については任意であるが、例えば、図4(b)及び図5(b)、に示すように、各グラフの近傍に表示させてもよい。あるいは、各グラフが表示される画面とは異なる画面に表示させてもよい。
【0067】
このようなSA4、SA5の処理により、判定部35bの判定結果を表示でき、塗り作業の品質を一層正確に把握しやすくなる。
【0068】
なお、SA3からSA5の処理については、SA2の処理後にすぐに実行されてもよい。あるいは、SA2の処理後であればいつでも実行できるように、所定の操作を制御ユニット30の操作部31を介して受け付けられてから実行されてもよい。
【0069】
図3に戻り、SA6において制御部35は、表示処理を終了するタイミング(以下、「終了タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0070】
この終了タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、制御ユニット30の操作部31を介して所定操作が受け付けられたか否か、又は制御ユニット30の通信部32を介して外部装置から表示処理の終了を指示する終了情報を受信したか否かに基づいて判定する。ここで、上記所定操作が受け付けられた場合、又は上記終了情報を受信した場合には終了タイミングが到来したと判定し、上記所定操作が受け付けられていない場合、及び上記終了情報を受信していない場合には終了タイミングが到来していないと判定する。
【0071】
そして、制御部35は、終了タイミングが到来したと判定された場合(SA6、Yes)には表示処理を終了する。一方、終了タイミングが到来していないと判定された場合(SA6、No)にはSA1へ移行し、SA6において終了タイミングが到来したと判定されるまで、SA1からSA6の処理を繰り返す。
【0072】
このような表示処理により、塗り作業の品質を正確に把握でき、表示システム10の使用性を高めることが可能となる。
【0073】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、作業状況パラメータを計測する計測部20と、計測部20の計測結果を表示部33に表示させる表示制御部35aと、を備え、作業状況パラメータは、所定器具4に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度と、所定器具4の位置又は/及び姿勢と、対象面2に対する塗り材3の塗り回数と、塗り材3が塗られた対象面2の色度、輝度、又は/及び空間周波数領域における類似度と、の少なくともいずれか1つを含むので、塗り作業の品質を正確に把握でき、表示システム10の使用性を高めることが可能となる。
【0074】
また、計測部20が、所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、又は/及び加速度を検出する検出部21を備え、表示制御部35aが、検出部21の検出結果を表示部33に表示させるので、検出部21の検出結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0075】
また、計測部20の計測結果が基準値に近似するか否かを判定する判定部35bをさらに備え、表示制御部35aが、判定部35bの判定結果を表示部33に表示させるので、判定部35bの判定結果を表示でき、塗り作業の品質を一層正確に把握しやすくなる。
【0076】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る表示システムについて説明する。この実施の形態2は、作業状況パラメータが対象面に対する塗り材の塗り回数である形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0077】
(構成-建設部材)
最初に、実施の形態2に係る建設部材1の構成について説明する。
【0078】
実施の形態2に係る建設部材1は、実施の形態1に係る建設部材1と略同一に構成されている。また、図6に示すように、建設部材1には、対象面2が設けられており、具体的には、構造物の外側に位置する主面全体にわたって設けられている。
【0079】
(構成-表示システム)
次に、表示システム110の構成について説明する。
【0080】
実施の形態2に係る表示システム110は、図6に示すように、実施の形態1に係る表示システム10と略同一に構成されている。ただし、図7に示すように、制御ユニット30の判定部35bは、省略されると共に、計測部20の構成の詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0081】
(構成-表示システム-計測部)
計測部20は、作業状況パラメータを計測する計測手段であり、図6図7に示すように、第1撮像部22及び第1特定部23を備えている。
【0082】
ここで、「作業状況パラメータ」は、実施の形態2では、対象面2に対する塗り材3の塗り回数として説明する。
【0083】
(構成-表示システム-計測部-第1撮像部)
図6に戻り、第1撮像部22は、塗り作業の塗り動作を撮像する第1撮像手段である。この第1撮像部22は、例えば公知の撮像装置(一例として、Kinect(登録商標)等の如き動作計測用撮像装置)を用いて構成されており、図6に示すように、建設部材1の対象面2よりも建物の外側の位置に設けられている。
【0084】
(構成-表示システム-計測部-第1特定部)
第1特定部23は、第1撮像部22によって撮像された撮像画像(以下、「第1撮像画像」と称する)に基づいて、塗り動作が行われた距離(以下、「塗り距離」と称する)を算出し、当該算出された塗り距離に基づいて、塗り材3の塗り回数を特定する第1特定手段であり、図7に示すように、制御ユニット30の制御部35に設けられている。
【0085】
(表示処理)
次に、上述のように構成された表示システム110における制御ユニット30の制御部35によって実行される表示処理について説明する。
【0086】
表示処理が起動されると、図8に示すように、SB1において制御部35は、SA1の処理と同様に、計測タイミングが到来したか否かを判定する。
【0087】
そして、制御部35は、計測タイミングが到来するまで待機し(SB1、No)、計測タイミングが到来したと判定された場合(SB1、Yes)にはSB2へ移行する。
【0088】
SB2において制御部35は、第1撮像部22を用いて、塗り作業を撮像する。
【0089】
この塗り作業の撮像方法については任意であるが、実施の形態2では、塗り作業の開始時点から終了時点の間にかけて、第1撮像部22によって少なくとも対象面2及び所定器具4を含む第1撮像画像(具体的には、動画)を撮像し、当該撮像した第1撮像画像を制御ユニット30の記憶部36に記憶する。
【0090】
SB3において第1特定部23は、SB2にて撮像された第1撮像画像に基づいて、塗り距離を算出し、当該算出された塗り距離に基づいて、塗り材3の塗り回数を特定する。
【0091】
この塗り材3の塗り回数を特定する方法については任意であるが、実施の形態2では以下の通りに特定する。
【0092】
すなわち、まず、公知の画像解析手法を用いて、SB2にて撮像された第1撮像画像から対象面2に関する点群データ(具体的には、3次元の位置座標に関するデータ)を抽出する。また、公知の画像解析手法を用いて、SB2にて撮像された第1撮像画像から所定器具4(具体的には、所定器具4のローラ部)に関する点群データ(具体的には、3次元の位置座標に関するデータであって、ローラ部の中心軸と底面の交点を原点とし,ローラ部の中心軸方向をz軸、当該z軸に基づいて定められたx軸及びy軸とする位置座標からなるデータ)を抽出する。次に、対象面2に関する点群データ及び所定器具4に関する点群データを用いて、所定器具4のローラ部と対象面2に関する点群データとの接触判定を行うと共に、所定器具4のローラ部の半径以内に当該ローラ部の点座標が収まっている否かを判定する。次いで、これらの判定に基づいて、対象面2に関する点群データと所定器具4に関する点群データとの距離のうち、閾値未満の距離を塗り距離として抽出する。続いて、対象面2に関する点群データのうち、上記塗り距離に対応する点群データについては、塗り材3が塗られたものとして、当該点群データにおける塗り材3の塗り回数を1アップする(つまり、1つ増分する)。そして、これらの工程を第1撮像画像の開始時点から終了時点にかけて繰り返すことにより、塗り距離に対応する点群データの塗り回数を特定し、当該特定された塗り材3の塗り回数を示す情報(以下、「塗り回数情報」と称する)を生成して、当該点群データと相互に関連付けて時系列順に制御ユニット30の記憶部36に記憶する。
【0093】
SB4において表示制御部35aは、SB3にて生成された塗り回数情報(すなわち、第1特定部23の特定結果)を表示部33に表示させる。
【0094】
この塗り回数情報の表示方法については任意であるが、実施の形態2では、塗り回数情報を表示部33に識別可能に表示させる。
【0095】
具体的には、図9(a)から図9(c)に示すように、塗り材3の塗り回数に応じて異なる態様(例えば、色彩、又は/及び模様等)で塗り回数情報を表示させる。また、第1撮像画像の開始時点から終了時点までの塗り回数情報を時系列順に表示させる(例えば、図9(a)、図9(b)、図9(c)の順に表示させてもよい)。
【0096】
ただし、これに限らず、例えば、熟練者に関する塗り回数情報と、非熟練者に関する塗り回数情報とを同時に表示させることにより、これら塗り回数情報を比較して視認しやすくしてもよい。
【0097】
あるいは、制御ユニット30が判定部35bを備える場合には、上述した塗り回数情報の表示に加えて、判定情報を表示部33に表示させてもよい。一例として、判定部35bは、熟練者に関する塗り回数情報及び非熟練者に関する塗り回数情報に基づいて、異なる塗り回数である点群データの個数が閾値未満であるか否かを判定する。そして、上記閾値未満である場合には、計測部20の計測結果が基準値に近似すると判定し、上記閾値未満でない場合には、計測部20の計測結果が基準値に近似しないと判定して、当該判定結果を示す判定情報を表示部33に表示させてもよい。
【0098】
このようなSB2からSB4の処理により、第1特定部23の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0099】
なお、SB3及びSB4の処理については、SB2の処理後にすぐに実行されてもよい。あるいは、SB2の処理後であればいつでも実行できるように、所定の操作を制御ユニット30の操作部31を介して受け付けられてから実行されてもよい。
【0100】
図8に戻り、SB5において制御部35は、SA6の処理と同様に、終了タイミングが到来したか否かを判定する。
【0101】
そして、制御部35は、終了タイミングが到来したと判定された場合(SB5、Yes)には表示処理を終了する。一方、終了タイミングが到来していないと判定された場合(SB5、No)にはSB1へ移行し、SB5において終了タイミングが到来したと判定されるまで、SB1からSB5の処理を繰り返す。
【0102】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、計測部20が、塗り作業の塗り動作を撮像する第1撮像部22と、第1撮像部22によって撮像された第1撮像画像に基づいて、塗り距離を算出し、当該算出された塗り距離に基づいて、塗り材3の塗り回数を特定する第1特定部23と、を備え、表示制御部35aが、第1特定部23の特定結果を表示部33に表示させるので、第1特定部23の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0103】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3に係る表示システムについて説明する。この実施の形態3は、作業状況パラメータが塗り材の塗られた対象面の色度及び輝度である形態である。ただし、この実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0104】
(構成-建設部材)
最初に、実施の形態3に係る建設部材1の構成について説明する。
【0105】
実施の形態3に係る建設部材1は、実施の形態1に係る建設部材1と略同一に構成されている。また、図10に示すように、建設部材1には、対象面2が設けられており、具体的には、構造物の外側に位置する主面全体にわたって設けられている。
【0106】
(構成-表示システム)
次に、表示システム210の構成について説明する。
【0107】
実施の形態3に係る表示システム210は、図10に示すように、実施の形態1に係る表示システム10と略同一に構成されている。ただし、図11に示すように、制御ユニット30の判定部35bは、省略されると共に、計測部20の構成の詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0108】
(構成-表示システム-計測部)
計測部20は、作業状況パラメータを計測する計測手段であり、図10図11に示すように、第2撮像部24及び第2特定部25を備えている。
【0109】
ここで、「作業状況パラメータ」は、実施の形態3では、塗り材3が塗られた対象面2の色度及び輝度として説明する。
【0110】
(構成-表示システム-計測部-第2撮像部)
図10に戻り、第2撮像部24は、塗り材3が塗られた対象面2を撮像する第2撮像手段である。この第2撮像部24は、例えば公知の撮像装置(一例として、デジタルカメラ等)を用いて構成されており、図10に示すように、建設部材1の対象面2よりも建物の外側の位置に設けられている。
【0111】
(構成-表示システム-計測部-第2特定部)
第2特定部25は、第2撮像部24によって撮像された撮像画像(以下、「第2撮像画像」と称する)に基づいて、対象面2の色度又は/及び輝度を特定する第2特定手段であり、図11に示すように、制御ユニット30の制御部35に設けられている。
【0112】
(表示処理)
次に、上述のように構成された表示システム210における制御ユニット30の制御部35によって実行される表示処理について説明する。
【0113】
表示処理が起動されると、図12に示すように、SC1において制御部35は、SA1の処理と同様に、計測タイミングが到来したか否かを判定する。
【0114】
そして、制御部35は、計測タイミングが到来するまで待機し(SC1、No)、計測タイミングが到来したと判定された場合(SC1、Yes)にはSC2へ移行する。
【0115】
SC2において制御部35は、第2撮像部24を用いて、塗り材3が塗られた対象面2を撮像する。
【0116】
この上記対象面2の撮像方法については任意であるが、実施の形態3では、塗り作業が終わった後に、所望の光環境で上記対象面2を撮像可能にする図10の撮像ボックス40(例えば、対象面2側の側面が開放された撮像ボックス40であって、当該撮像ボックス40に光源部(一例として、LEDライト等)が設けられた撮像ボックス40。図10では、想像線で示す。)の中で、上記対象面2を含む第2撮像画像(具体的には、静止画)を撮像し、当該撮像した第2撮像画像を制御ユニット30の記憶部36に記憶する。ただし、これに限らず、例えば、所望の光環境が既に整っている場合には、撮像ボックス40を用いることなく、第2撮像画像を撮像してもよい。
【0117】
SC3において第2特定部25は、SC2にて撮像された第2撮像画像(具体的には、第2撮像画像の部分のうち、塗り材3が塗られている部分)に基づいて、上記対象面2の色度及び輝度を特定する。
【0118】
ここで、上記対象面2の色度を特定する方法については任意であるが、実施の形態3では、公知の画像解析手法を用いて、SC2にて撮像された第2撮像画像から各画素毎の色度を特定する。さらに、上記特定した各画素毎の色度に基づいて、平均色度、分散、歪度、及び尖度を算出し、当該算出した平均色度、分散、歪度、及び尖度を示す情報(以下、「色度情報」と称する)を生成する。
【0119】
また、上記対象面2の輝度を特定する方法については任意であるが、実施の形態3では、公知の画像解析手法を用いて、SC2にて撮像された第2撮像画像から各画素毎の輝度を特定する。さらに、上記特定した各画素毎の輝度に基づいて、平均輝度及び分散を算出し、当該算出した平均輝度及び分散を示す情報(以下、「輝度情報」と称する)を生成する。
【0120】
SC4において表示制御部35aは、SC3にて生成された色度情報及び輝度情報(すなわち、第2特定部25の特定結果)を表示部33に表示させる。
【0121】
ここで、色度情報及び輝度情報の表示方法については任意であるが、実施の形態3では、複数の色度情報(又は複数の輝度情報)を同時に表示部33に表示させる。
【0122】
具体的には、図13(a)に示すように、熟練者に関する複数の色度情報(図13(a)では、「第1プロ色度情報」から「第3プロ色度情報」が該当する)と、当該色度情報に基づいて算出した平均色度、分散、歪度、及び尖度の平均値及び分散値を示す情報とを表形式で表示させる。さらに、図13(b)に示すように、非熟練者に関する複数の色度情報(図13(b)では、「アマ色度情報」が該当する)と、当該色度情報に基づいて算出した平均色度、分散、歪度、及び尖度の平均値及び分散値を示す情報とを表形式で併せて表示させる(なお、複数の輝度情報の表示方法についても、略同様とする)。
【0123】
ただし、これに限らず、例えば、単一の色度情報(又は単一の輝度情報)のみを表示部33に表示させてもよい。
【0124】
あるいは、制御ユニット30が判定部35bを備える場合には、上述した色度情報及び輝度情報の表示に加えて、判定情報を表示部33に表示させてもよい。一例として、判定部35bは、熟練者に関する複数の色度情報に基づいて算出した平均色度(又は、分散、歪度、尖度)の平均値(又は分散値)と非熟練者に関する複数の色度情報に基づいて算出した平均色度(又は、分散、歪度、尖度)の平均値(又は分散値)との差が閾値未満であるか否かを判定する。そして、上記閾値未満である場合には、計測部20の計測結果が基準値に近似すると判定し、上記閾値未満でない場合には、計測部20の計測結果が基準値に近似しないと判定して、当該判定結果を示す判定情報を表示部33に表示させてもよい。
【0125】
このようなSC2からSC4の処理により、第2特定部25の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0126】
なお、SC3及びSC4の処理については、SC2の処理後にすぐに実行されてもよい。あるいは、SC2の処理後であればいつでも実行できるように、所定の操作を制御ユニット30の操作部31を介して受け付けられてから実行されてもよい。
【0127】
図12に戻り、SC5において制御部35は、SA6の処理と同様に、終了タイミングが到来したか否かを判定する。
【0128】
そして、制御部35は、終了タイミングが到来したと判定された場合(SC5、Yes)には表示処理を終了する。一方、終了タイミングが到来していないと判定された場合(SC5、No)にはSC1へ移行し、SC5において終了タイミングが到来したと判定されるまで、SC1からSC5の処理を繰り返す。
【0129】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、計測部20が、塗り材3が塗られた対象面2を撮像する第2撮像部24と、第2撮像部24によって撮像された第2撮像画像に基づいて、対象面2の色度又は/及び輝度を特定する第2特定部25と、を備え、表示制御部35aが、第2特定部25の特定結果を表示部33に表示させるので、第2特定部25の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0130】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4に係る表示システムについて説明する。この実施の形態4は、作業状況パラメータが塗り材の塗られた対象面の空間周波数領域における類似度である形態である。ただし、この実施の形態4の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0131】
(構成-建設部材)
最初に、実施の形態4に係る建設部材1の構成について説明する。
【0132】
実施の形態4に係る建設部材1は、実施の形態1に係る建設部材1と略同一に構成されている。また、図14に示すように、建設部材1には、対象面2が設けられており、具体的には、構造物の外側に位置する主面全体にわたって設けられている。
【0133】
(構成-表示システム)
次に、表示システム310の構成について説明する。
【0134】
実施の形態4に係る表示システム310は、図14に示すように、実施の形態1に係る表示システム10と略同一に構成されている。ただし、図15に示すように、制御ユニット30の判定部35bは、省略されると共に、計測部20の構成の詳細については、下記に示す工夫が施されている。
【0135】
(構成-表示システム-計測部)
計測部20は、作業状況パラメータを計測する計測手段であり、図14図15に示すように、第3撮像部26及び第3特定部27を備えている。
【0136】
ここで、「作業状況パラメータ」は、実施の形態4では、塗り材3が塗られた対象面2の空間周波数領域における類似度として説明する。
【0137】
(構成-表示システム-計測部-第3撮像部)
図14に戻り、第3撮像部26は、塗り材3が塗られた対象面2を撮像する第3撮像手段である。この第3撮像部26は、例えば公知の撮像装置(一例として、デジタルカメラ等)を用いて構成されており、図14に示すように、建設部材1の対象面2よりも建物の外側の位置に設けられている。
【0138】
(構成-表示システム-計測部-第3特定部)
第3特定部27は、第3撮像部26によって撮像された第3撮像画像に基づいて、パワースペクトル画像を生成し、当該生成されたパワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像に基づいて、空間周波数領域における類似度を特定する第3特定手段であり、図15に示すように、制御ユニット30の制御部35に設けられている。
【0139】
(表示処理)
次に、上述のように構成された表示システム310における制御ユニット30の制御部35によって実行される表示処理について説明する。
【0140】
表示処理が起動されると、図16に示すように、SD1において制御部35は、SA1の処理と同様に、計測タイミングが到来したか否かを判定する。
【0141】
そして、制御部35は、計測タイミングが到来するまで待機し(SD1、No)、計測タイミングが到来したと判定された場合(SD1、Yes)にはSD2へ移行する。
【0142】
SD2において制御部35は、SC2の処理と略同様に、第3撮像部26を用いて、塗り材3が塗られた対象面2を撮像する。
【0143】
SD3において第3特定部27は、SD2にて撮像された第3撮像画像(具体的には、第3撮像画像の部分のうち、塗り材3が塗られている部分)に基づいて、パワースペクトル画像を生成し、当該生成されたパワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像に基づいて、空間周波数領域における類似度を特定する。
【0144】
ここで、「基準パワースペクトル画像」とは、空間周波数領域における類似度と特定するための基準となるパワースペクトル画像を意味する。この基準パワースペクトル画像は、例えば、記憶部36にあらかじめ記憶されたパワースペクトル画像であってもよい。あるいは、後述する第3撮像画像に基づいてパワースペクトル画像を生成する方法を用いて、第3撮像部26によって撮像され、且つ熟練者によって塗り材3が塗られた対象面2を含む撮像画像に基づいて生成されたパワースペクトル画像であってもよい。
【0145】
また、空間周波数領域における類似度を特定する方法については任意であるが、実施の形態4では以下の通りに特定する。
【0146】
すなわち、まず、SD2にて撮像された第3撮像画像の部分のうち、塗り材3が塗られている部分(以下、「抽出画像」と称する)を抽出する。次に、公知の画像処理方法を用いて、抽出画像をフーリエ変換する。次いで、公知の画像処理方法を用いて、上記フーリエ変換した抽出画像の中央部の周波数が0Hzとなるように、当該抽出画像を変換することにより(いわゆる周波数領域の入れ替えを行うことにより)、パワースペクトル画像を生成する。次に、上記生成したパワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像の各々から所定の周波数領域(例えば、100cycle/mm未満の周波数領域の如き低周波数領域)だけをそれぞれ抽出した後に、公知の画像処理方法を用いて、当該抽出した周波数領域を対数極座標系にそれぞれ変換する。そして、公知の方法(一例として、位相相互相関法等)を用いて、上記変換されたパワースペクトル画像の位相成分と上記変換された基準パワースペクトル画像の位相成分とを照合することにより、空間周波数領域における類似度を特定し、当該特定した類似度を示す情報(以下、「類似度情報」と称する)を生成する。
【0147】
SD4において表示制御部35aは、SD3にて生成された類似度情報(すなわち、第3特定部27の特定結果)を表示部33に表示させる。
【0148】
ここで、類似度情報の表示方法については任意であるが、実施の形態4では、複数の類似度情報を同時に表示部33に表示させる。
【0149】
具体的には、SD2にて撮像された第3撮像画像に、熟練者によって塗り材3が塗られた対象面2を含む撮像画像と、非熟練者によって塗り材3が塗られた対象面2を含む撮像画像とが含まれる場合には、図17に示すように、これらの撮像画像に基づいて生成されたパワースペクトル画像(図17では、熟練者に関するパワースペクトル画像として「第1プロパワースペクトル画像」、「第2プロパワースペクトル画像」が該当し、非熟練者に関するパワースペクトル画像として「アマパワースペクトル画像」が該当する)と基準パワースペクトル画像とに基づいて生成した複数の類似度情報(図17では、各パワースペクトル画像同士に関する複数の類似度情報)を、表形式で表示させる。
【0150】
ただし、これに限らず、例えば、単一の類似度情報のみを表示部33に表示させてもよい。
【0151】
あるいは、制御ユニット30が判定部35bを備える場合には、上述した類似度情報の表示に加えて、判定情報を表示部33に表示させてもよい。一例として、判定部35bは、類似度情報が閾値未満であるか否かを判定し、上記閾値未満である場合には、計測部20の計測結果が基準値に近似すると判定し、上記閾値未満でない場合には、計測部20の計測結果が基準値に近似しないと判定して、当該判定結果を示す判定情報を表示部33に表示させてもよい。
【0152】
このようなSD2からSD4の処理により、第3特定部27の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0153】
なお、SD3及びSD4の処理については、SD2の処理後にすぐに実行されてもよい。あるいは、SD2の処理後であればいつでも実行できるように、所定の操作を制御ユニット30の操作部31を介して受け付けられてから実行されてもよい。
【0154】
図16に戻り、SD5において制御部35は、SA6の処理と同様に、終了タイミングが到来したか否かを判定する。
【0155】
そして、制御部35は、終了タイミングが到来したと判定された場合(SD5、Yes)には表示処理を終了する。一方、終了タイミングが到来していないと判定された場合(SD5、No)にはSD1へ移行し、SD5において終了タイミングが到来したと判定されるまで、SD1からSD5の処理を繰り返す。
【0156】
(実施の形態4の効果)
このように実施の形態4によれば、計測部20が、塗り材3が塗られた対象面2を撮像する第3撮像部26と、第3撮像部26によって撮像された第3撮像画像に基づいて、パワースペクトル画像を生成し、当該生成されたパワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像に基づいて、空間周波数領域における類似度を特定する第3特定部27と、を備え、表示制御部35aが、第3特定部27の特定結果を表示部33に表示させるので、第3特定部27の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0157】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0158】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0159】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0160】
(作業状況パラメータについて)
上記実施の形態1から4では、作業状況パラメータが、所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、及び加速度と、対象面2に対する塗り材3の塗り回数と、塗り材3が塗られた対象面2の色度、輝度、及び空間周波数領域における類似度とを含むと説明したが、これに限らない。例えば、作業状況パラメータは、所定器具4に作用する速度と、所定器具4の位置(具体的には、所定器具4の3次元位置)又は/及び姿勢(具体的には、所定器具4の柄部に対する所定器具4のブラシ部の回転角(図1のXZ平面の回転角))と、の少なくともいずれか1つをさらに含んでもよい。
【0161】
ここで、作業状況パラメータが、所定器具4に作用する速度である場合の計測方法及び表示方法については任意であるが、例えば以下の通りに行ってもよい。
【0162】
すなわち、上記速度の計測方法については、まず、第1撮像部22と同一の撮像手段によって対象面2及び所定器具4を含む撮像画像(具体的には、動画)を撮像する。次に、公知の画像解析手法を用いて、当該撮像した撮像画像から所定器具4(具体的には、所定器具4のローラ部)に関する点群データ(具体的には、3次元の位置座標に関するデータ)を抽出する。そして、上記抽出した点群データから、t=T及びt=T+1での所定器具4の位置の差を時間(T+1-T)でそれぞれ割ることにより、上記速度を計測してもよい。ただし、これに限らず、例えば、実施の形態1に係る検出部21を用いて、速度を計測してもよい。
【0163】
また、上記速度の表示方法については、上記速度を時系列毎に表形式又はグラフ形式で表示してもよく、あるいは、塗り動作毎の上記速度の平均値を表形式又はグラフ形式で表示してもよい。
【0164】
また、作業状況パラメータが、所定器具4の位置である場合の計測方法及び表示方法については任意であるが、例えば以下の通りに行ってもよい。
【0165】
すなわち、所定器具4の位置の計測方法については、まず、公知の3次元距離画像センサによって所定器具4に関する点群データ(具体的には、3次元の位置座標に関するデータ)を取得する。また、公知のモーションキャプチャシステム(例えば、RGBDカメラを用いた光学式のモーションキャプチャシステム等)によって所定器具4に関する点群データ(具体的には、3次元の位置座標に関するデータ)を取得する。そして、これら2つの点群データに基づいて所定器具4の位置を推定することにより、計測してもよい(例えば、人手で設定した塗装対象領域内において人が映っていない領域を抽出し、当該抽出した領域の中で粒子フィルタを用いて推定すべき部分を探すことにより、計測してもよい)。ただし、これに限らず、例えば、上記3次元距離画像センサ又は上記モーションキャプチャシステムのいずれか一方のみによって取得された所定器具4に関する点群データに基づいて、所定器具4の位置を推定することにより、計測してもよい。
【0166】
また、所定器具4の位置の表示方法については、所定器具4の位置を時系列毎に表形式又はグラフ形式で表示してもよい。あるいは、塗り動作毎に所定器具4の位置の移動量(具体的には、3次元位置の移動量)を表形式で表示してもよい。あるいは、所定器具4の位置を撮像画像(具体的には、対象面2を含む撮像画像)に重畳表示してもよい。
【0167】
また、作業状況パラメータが、所定器具4の姿勢である場合の計測方法及び表示方法については任意であるが、例えば以下の通りに行ってもよい。
【0168】
すなわち、所定器具4の姿勢の計測方法については、まず、公知の3次元距離画像センサによって所定器具4に関する点群データ(具体的には、3次元の位置座標に関するデータ)を取得する。また、公知のモーションキャプチャシステム(例えば、RGBDカメラを用いた光学式のモーションキャプチャシステム等)によって所定器具4に関する点群データ(具体的には、3次元の位置座標に関するデータ)を取得する。そして、公知の方法を用いて、これら2つの点群データに基づいて所定器具4のブラシ部の回転角(図1のXZ平面の回転角)を算出する。また、上記点群データと同じタイミングで、実施の形態1に係る検出部21を用いて、所定器具4の柄部の回転角(図1のXZ平面の回転角)を検出する。そして、上記算出した所定器具4のブラシ部の回転角及び所定器具4の柄部の回転角から、所定器具4の柄部に対する所定器具4のブラシ部の回転角を算出することにより、計測してもよい。
【0169】
また、所定器具4の姿勢の表示方法については、所定器具4の姿勢を時系列毎に表形式又はグラフ形式で表示してもよい。あるいは、塗り動作毎に所定器具4の姿勢の平均値を表形式で表示してもよい。あるいは、所定器具4の姿勢を撮像画像(具体的には、対象面2を含む撮像画像)に重畳表示してもよい(この場合には、当該姿勢の方向に応じて所定器具4の色彩を変えて表示してもよい)。
【0170】
(制御ユニットについて)
実施の形態1では、制御ユニット30が、判定部35bを備えると説明したが、これに限らず、例えば、判定部35bを省略してもよい。この場合には、表示処理のSA4、SA5の処理を省略してもよい。
【0171】
(計測部について)
実施の形態1では、計測部20は、検出部21を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、検出部21に加えて、第1撮像部22、第1特定部23、第2撮像部24、第2特定部25、第3撮像部26、又は/及び第3特定部27を備えることで、実施の形態2から実施の形態4の少なくともいずれかに係る表示処理を実行できるようにしてもよい。
【0172】
この場合において、例えば、実施の形態3及び実施の形態4に係る表示処理を実行できるように計測部20を構成する場合には、第2撮像部24及び第3撮像部26の両方を備えずに、第2撮像部24及び第3撮像部26の機能を有する撮像部(第2撮像手段及び第3撮像手段に対応)を備えてもよい。
【0173】
(表示処理について)
実施の形態1では、SA2において、制御部35が、検出部21を用いて、所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、及び加速度を検出すると説明したが、これに限らず、例えば、所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、又は加速度のいずれか1つ、2つ、又は3つのみを検出してもよい。
【0174】
また、実施の形態1では、SA2において所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、及び加速度が検出されると、SA3においてこれらの検出情報がすぐに表示されると説明したが、これに限らない。例えば、SA2において所定器具4に作用する力、モーメント、角速度、及び加速度が検出されて制御ユニット30の記憶部36に一旦保存されてから所定時間経過後に、制御ユニット30の制御部35(又は、制御ユニット30とは異なる別の制御装置の制御部であって、制御部35と同様の機能を有する制御部)が、これらの検出情報が公知の解析方法で解析してもよい。そして、上記解析が行われた後に、、制御ユニット30の制御部35(又は、別の制御装置の制御部)が当該解析結果を検出情報と共に表示してもよい(なお、実施の形態2から4に係る表示処理についても略同様とする)。
【0175】
また、実施の形態3では、SC3において、第2特定部25が、SC2にて撮像された第2撮像画像に基づいて、対象面2の色度及び輝度を特定すると説明したが、これに限らず、例えば、対象面2の色度又は輝度のいずれか一方のみを特定してもよい。この場合には、SC4において、表示制御部35aが、色度情報又は輝度情報のいずれか一方のみを表示部33に表示させてもよい。
【0176】
また、実施の形態3では、第2特定部25が、第2撮像部24にて撮像された第2撮像画像に基づいて、対象面2の色度及び輝度を特定し、表示制御部35aが、第2特定部25の特定結果を表示部33に表示させると説明したが、これに限らない。例えば、第2特定部25が、公知の画像処理方法を用いて、第2撮像部24にて撮像された第2撮像画像に基づいて色度分布画像又は/及び輝度分布画像を作成し、表示制御部35aが、色度分布画像又は/及び輝度分布画像を表示部33に表示させてもよい。この場合において、例えば、第2特定部25が、複数の第2撮像画像(一例として、熟練者に関する第2撮像画像及び非熟練者に関する第2撮像画像)に基づいて色度分布画像又は/及び輝度分布画像をそれぞれ作成する場合には、表示制御部35aが、複数の色度分布画像又は/及び複数の輝度分布画像を表示部33に同時に表示させてもよい。
【0177】
(付記)
付記1の表示システムは、対象面に塗り材を所定器具を介して塗る作業である塗り作業の状況を表示するための表示システムであって、前記塗り作業の状況に関する作業状況パラメータを計測する計測手段と、前記計測手段の計測結果を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、前記作業状況パラメータは、前記所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度と、前記所定器具の位置又は/及び姿勢と、前記対象面に対する前記塗り材の塗り回数と、前記塗り材が塗られた前記対象面の色度、輝度、又は/及び空間周波数領域における類似度と、の少なくともいずれか1つを含む。
【0178】
付記2の表示システムは、付記1に記載の表示システムにおいて、前記計測手段は、前記所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度を検出する検出手段を備え、前記表示制御手段は、前記検出手段の検出結果を前記表示手段に表示させる。
【0179】
付記3の表示システムは、付記1又は2に記載の表示システムにおいて、前記計測手段は、前記塗り作業の塗り動作を撮像する第1撮像手段と、前記第1撮像手段によって撮像された第1撮像画像に基づいて、前記塗り動作が行われた距離である塗り距離を算出し、当該算出された前記塗り距離に基づいて、前記塗り材の塗り回数を特定する第1特定手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第1特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる。
【0180】
付記4の表示システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、前記計測手段は、前記塗り材が塗られた前記対象面を撮像する第2撮像手段と、前記第2撮像手段によって撮像された第2撮像画像に基づいて、前記対象面の色度又は/及び輝度を特定する第2特定手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第2特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる。
【0181】
付記5の表示システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、前記計測手段は、前記塗り材が塗られた前記対象面を撮像する第3撮像手段と、前記第3撮像手段によって撮像された第3撮像画像に基づいて、パワースペクトル画像を生成し、当該生成された前記パワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像に基づいて、空間周波数領域における類似度を特定する第3特定手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記第3特定手段の特定結果を前記表示手段に表示させる。
【0182】
付記6の表示システムは、付記1から5のいずれか一項に記載の表示システムにおいて、前記計測手段の計測結果が基準値に近似するか否かを判定する判定手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記判定手段の判定結果を前記表示手段に表示させる。
【0183】
(付記の効果)
付記1に記載の表示システムによれば、作業状況パラメータを計測する計測手段と、計測手段の計測結果を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、作業状況パラメータは、所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度と、所定器具の位置又は/及び姿勢と、対象面に対する塗り材の塗り回数と、塗り材が塗られた対象面の色度、輝度、又は/及び空間周波数領域における類似度と、の少なくともいずれか1つを含むので、塗り作業の品質を正確に把握でき、表示システムの使用性を高めることが可能となる。
【0184】
付記2に記載の表示システムによれば、計測手段が、所定器具に作用する力、モーメント、速度、角速度、又は/及び加速度を検出する検出手段を備え、表示制御手段が、検出手段の検出結果を表示手段に表示させるので、検出手段の検出結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0185】
付記3に記載の表示システムによれば、計測手段が、塗り作業の塗り動作を撮像する第1撮像手段と、第1撮像手段によって撮像された第1撮像画像に基づいて、塗り距離を算出し、当該算出された塗り距離に基づいて、塗り材の塗り回数を特定する第1特定手段と、を備え、表示制御手段が、第1特定手段の特定結果を表示手段に表示させるので、第1特定手段の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0186】
付記4に記載の表示システムによれば、計測手段が、塗り材が塗られた対象面を撮像する第2撮像手段と、第2撮像手段によって撮像された第2撮像画像に基づいて、対象面の色度又は/及び輝度を特定する第2特定手段と、を備え、表示制御手段が、第2特定手段の特定結果を表示手段に表示させるので、第2特定手段の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0187】
付記5に記載の表示システムによれば、計測手段が、塗り材が塗られた対象面を撮像する第3撮像手段と、第3撮像手段によって撮像された第3撮像画像に基づいて、パワースペクトル画像を生成し、当該生成されたパワースペクトル画像及び基準パワースペクトル画像に基づいて、空間周波数領域における類似度を特定する第3特定手段と、を備え、表示制御手段が、第3特定手段の特定結果を表示手段に表示させるので、第3特定手段の特定結果を表示でき、塗り作業の品質を正確に把握しやすくなる。
【0188】
付記6に記載の表示システムによれば、計測手段の計測結果が基準値に近似するか否かを判定する判定手段をさらに備え、表示制御手段が、判定手段の判定結果を表示手段に表示させるので、判定手段の判定結果を表示でき、塗り作業の品質を一層正確に把握しやすくなる。
【符号の説明】
【0189】
1 建設部材
2 対象面
3 塗り材
4 所定器具
10 表示システム
20 計測部
21 検出部
22 第1撮像部
23 第1特定部
24 第2撮像部
25 第2特定部
26 第3撮像部
27 第3特定部
30 制御ユニット
31 操作部
32 通信部
33 表示部
34 電源部
35 制御部
35a 表示制御部
35b 判定部
36 記憶部
40 撮像ボックス
110 表示システム
210 表示システム
310 表示システム
JD 判定情報
M 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17