IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岡田 泰一の特許一覧

<>
  • 特開-軸受の製造方法 図1
  • 特開-軸受の製造方法 図2
  • 特開-軸受の製造方法 図3
  • 特開-軸受の製造方法 図4
  • 特開-軸受の製造方法 図5
  • 特開-軸受の製造方法 図6
  • 特開-軸受の製造方法 図7
  • 特開-軸受の製造方法 図8
  • 特開-軸受の製造方法 図9
  • 特開-軸受の製造方法 図10
  • 特開-軸受の製造方法 図11
  • 特開-軸受の製造方法 図12
  • 特開-軸受の製造方法 図13
  • 特開-軸受の製造方法 図14
  • 特開-軸受の製造方法 図15
  • 特開-軸受の製造方法 図16
  • 特開-軸受の製造方法 図17
  • 特開-軸受の製造方法 図18
  • 特開-軸受の製造方法 図19
  • 特開-軸受の製造方法 図20
  • 特開-軸受の製造方法 図21
  • 特開-軸受の製造方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132406
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】軸受の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/42 20060101AFI20230914BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
F16C33/42 Z
F16C19/06
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037696
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】511008713
【氏名又は名称】岡田 泰一
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(72)【発明者】
【氏名】岡田 泰一
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA02
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA44
3J701BA47
3J701BA50
3J701EA03
3J701EA06
3J701EA31
3J701EA49
3J701FA46
(57)【要約】
【課題】組立作業が簡単で安価な軸受を提供する。
【解決手段】軸受1は、外輪2、内輪3、複数の玉4及びリング状弾性体5で構成される。軸受1は、各玉4が回転軸心周りに転動することで外輪2と内輪3とが中心線C1周りに相対回転するよう構成される。リング状弾性体5は、中心線C1を中心とした周方向に弾性変形可能になっている。リング状弾性体5は、玉4の一部外形に沿う湾曲形状に形成された複数の転動保持部5aを備え、該各転動保持部5aは、中心線C1を中心として周方向において等間隔に形成されており、各玉4を転動可能に保持している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪と、回転軸心が前記中心線と同方向又は交差する方向に延びるとともに前記外輪と内輪との間において前記中心線を中心とした周方向に複数並設され、且つ、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接するように配設された転動体と、前記中心線を中心とした周方向において前記各転動体を所定の間隔に保持する保持器とを備え、前記各転動体が前記回転軸心周りに転動することにより前記外輪と内輪とが前記中心線周りに相対回転するよう構成された軸受であって、
前記保持器は、前記中心線を中心とした周方向に弾性変形可能なリング状弾性体であり、
該リング状弾性体には、前記転動体の一部外形に沿う湾曲形状に形成され、且つ、前記転動体を転動可能に保持する複数の転動保持部が前記中心線を中心とした周方向において等間隔に形成されていることを特徴とする軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受において、
前記外輪の内周面又は前記内輪の外周面には、前記中心線を中心として環状に延び、且つ、前記リング状弾性部材が前記中心線を中心とした周方向において移動可能に嵌入する環状凹条溝部が設けられていることを特徴とする軸受。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の軸受において、
前記転動体は、前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に接する転動面が前記回転軸心を中心として環状に延びる樽状又は鼓状をなしていることを特徴とする軸受。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の軸受において、
前記転動体の外周面には、前記回転軸心を中心として環状に延び、且つ、転動する前記転動体を案内可能に前記リング状弾性部材が嵌入する環状凹条切込部が設けられていることを特徴とする軸受。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の軸受において、
前記リング状弾性体は、帯板材を環状にした環状部材を加工してなることを特徴とする軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸体を回転自在に支持する軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されている軸受は、中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪を備え、当該外輪及び内輪の間には、中心線が外輪及び内輪の中心線と一致する環状をなす保持器が配設されている。該保持器は、中心線周りに環状に延びるリム部と、該リム部から中心線に沿う方向で且つ同方向に延出する複数の柱部とを備え、該各柱部は、保持器を径方向から見たときに櫛歯状となるように、中心線周りに等間隔に設けられている。各柱部の間には、球状をなす複数の転動体が配設され、隣り合う2つの柱部が当該2つの柱部の間に位置する転動体を回転可能に保持している。そして、各転動体は、外輪の内周面と内輪の外周面とにそれぞれ接していて、保持器によって隣り合う転動体が互いに間隔をあけた状態で外輪と内輪との間を転動することにより、外輪と内輪とがスムーズに相対回転するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-168084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の如き保持器を備えた軸受は、外輪と内輪との間に保持器を位置させた状態において転動体を保持器の各柱部の間に1つずつ入れ込んで組み立てる必要があり、組立作業が煩雑であるという問題がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、組立作業が簡単な軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明では、中心線を中心とした周方向に保持器を弾性変形可能な構造にしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪と、回転軸心が前記中心線と同方向又は交差する方向に延びるとともに前記外輪と内輪との間において前記中心線を中心とした周方向に複数並設され、且つ、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接するように配設された転動体と、前記中心線を中心とした周方向において前記各転動体を所定の間隔に保持する保持器とを備え、前記各転動体が前記回転軸心周りに転動することにより前記外輪と内輪とが前記中心線周りに相対回転するよう構成された軸受を対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記保持器は、前記中心線を中心とした周方向に弾性変形可能なリング状弾性体であり、該リング状弾性体には、前記転動体の一部外形に沿う湾曲形状に形成され、且つ、前記転動体を転動可能に保持する複数の転動保持部が前記中心線を中心とした周方向において等間隔に形成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記外輪の内周面又は前記内輪の外周面には、前記中心線を中心として環状に延び、且つ、前記リング状弾性部材が前記中心線を中心とした周方向において移動可能に嵌入する環状凹条溝部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記転動体は、前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に接する転動面が前記回転軸心を中心として環状に延びる樽状(球面コロ)又は鼓状をなしていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記転動体の外周面には、前記回転軸心を中心として環状に延び、且つ、転動する前記転動体を案内可能に前記リング状弾性部材が嵌入する環状凹条切込部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記リング状弾性体は、帯板材を環状にした環状部材を加工してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、軸受を組み立てる際、中心線を中心とした周方向にリング状弾性体を伸縮させることにより、外輪と内輪との間に各転動体を位置させた後にリング状弾性体を各転動体に対して組み付けることが可能になり、軸受の組立作業を簡単に行うことができる。
【0014】
第2の発明では、外輪と内輪とが中心線周りに相対回転する際、外輪及び内輪の回転時におけるリング状弾性体の中心線に沿う方向の移動が規制されるので、各転動体がリング状弾性体に対して中心線に沿う方向においてずれることなく中心線を中心とした周方向に案内されるようになり、安定した転動動作を行うことができる。また、転動体の初動時等の当該転動体に衝撃が加わった際にその衝撃をリング状弾性体が吸収可能になるので、軸受の安定した動作を実現できるだけでなく、故障し難い軸受にすることができる。
【0015】
第3の発明では、回転軸心と交差する方向における外輪及び内輪に対する各転動体の接触面積が広くなるので、回転軸心と交差する方向に加わる力に対する耐荷重を大きくすることができる。
【0016】
第4の発明では、外輪と内輪とが中心線周りに相対回転する際、各転動体の中心線に沿う方向の移動が規制されるので、各転動体がリング状弾性体に対して中心線に沿う方向にずれることなく転動動作を行うようになり、軸受動作を安定させることができる。
【0017】
第5の発明では、転動体とリング状弾性体における各転動保持部との接触面積が大きくなるので、リング状弾性体に対する各転動体の転動動作が安定するようになる。したがって、保持器と転動体とを介して相対回転する外輪及び内輪の動作がさらに安定するようになり、軸受の動作性能をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係る軸受の一部内部構造を見えるようにした斜視図である。
図2図1に係る軸受の一部内部構造を見えるようにした正面図である。
図3】(a)は、本発明の実施形態1の変形例1に係る図2相当図であり、(b)は、実施形態1の変形例1に係る軸受を側方から見た概略断面図である。
図4】(a)は、本発明の実施形態1の変形例2の内部構造を見えるようにした正面図であり、(b)は、実施形態1の変形例2に係る図3(b)相当図である。
図5】(a)は、本発明の実施形態2に係る図3(a)相当図であり、(b)は、実施形態2に係る図3(b)相当図であり、(c)は、(a)のA-A線における断面図である。
図6】(a)は、実施形態2に係るリング状弾性体の正面図であり、(b)は、実施形態2に係るリング状弾性体に対して各転動体を配置させた状態を示す側面図である。
図7】(a)は、本発明の実施形態3に係る図3(a)相当図であり、(b)は、実施形態3に係る図3(b)相当図であり、(c)は、(a)のB-B線における概略断面図である。
図8】(a)は、本発明の実施形態4に係る図3(a)相当図であり、(b)は、実施形態4に係る図3(b)相当図である。
図9】(a)は、本発明の実施形態5に係る図4(a)相当図であり、(b)は、実施形態5に係る図4(b)相当図である。
図10】(a)は、本発明の実施形態5に係る図3(a)相当図であり、(b)は、図10(a)のC-C線における断面図である。
図11】(a)は、本発明の実施形態5のリング状弾性体の正面図であり、(b)は、本発明の実施形態5のリング状弾性体の側面図である。
図12】本発明の実施形態6に係る図3(a)相当図である。
図13】(a)は、図12のD-D線における断面図であり、(b)は、実施形態6の転動体の側面図である。
図14】(a)は、実施形態6の変形例に係る図13(a)相当図であり、(b)は、実施形態6の変形例に係る図13(b)相当図である。
図15】(a)は、本発明の実施形態7に係る図3(a)相当図であり、(b)は、実施形態7に係る軸受を側方から見た概略断面図である。
図16】(a)は、本発明の実施形態7に係る軸受の一部内部構造を見えるようにした斜視図であり、(b)は、実施形態7の転動体の側面図である。
図17】本発明の実施形態7に係る軸受の組み立て方について説明する図である。
図18】(a)は、本発明の実施形態8に係る図17相当図であり、(b)は、本発明の実施形態8に係る図16(b)相当図である。
図19】(a)は、本発明の実施形態9に係る一部内部構造を見えるようにした平面図であり、(b)は、実施形態9に係る軸受を側方から見た一部概略断面図である。
図20】(a)は、本発明の実施形態9に係る図11(a)相当図であり(b)は、本発明の実施形態9に係る図11(b)相当図である。
図21】(a)は、本発明の実施形態10に係る図19(a)相当図であり、(b)は、図21(a)のF-F線における断面図である。
図22】(a)は、本発明の実施形態10に係る図20(a)相当図であり(b)は、本発明の実施形態10に係る図20(b)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0020】
《発明の実施形態1》
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る軸受1を示す。該軸受1は、互いに中心線C1が一致する環状で、且つ、厚みが同じ高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ材)製の外輪2及び内輪3を備え、該内輪3は、外輪2の内側に配設されている。
【0021】
外輪2の内周面には、中心線C1を中心として環状に延びる断面円弧状をなす外側ガイド溝2aが形成されている。
【0022】
また、外輪2の内周面における外側ガイド溝2aの両隣りには、中心線C1を中心として環状に延びる一対の外側蓋取付用溝2cが形成されている。
【0023】
内輪3の外周面における外輪2の内周面の外側ガイド溝2aと対向する位置には、中心線C1を中心として環状に延びる断面円弧状をなす内側ガイド溝3aが形成されている。
【0024】
また、内輪3の外周面における内側ガイド溝3aの両隣りには、中心線C1を中心として環状に延びる一対の内側蓋取付用溝3cが形成されている。
【0025】
外輪2と内輪3との間には、何れも同じ直径寸法を有する高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ材)製の複数の玉4(転動体)が配設されている。該各玉4は、外輪2の外側ガイド溝2a及び内輪3の内側ガイド溝3aの各断面の曲率に対応する球面になっていて、外側ガイド溝2aと内側ガイド溝3aとにそれぞれ中心線C1を中心とした周方向において当該中心線C1と同方向に延びる回転軸心周りに転動可能に接している。
【0026】
外輪2と内輪3との間には、中心線C1を中心として周方向に環状に延びるリング状弾性体5(保持器)が配設され、該リング状弾性体5は、環状に延び、且つ、断面略円形状をなす高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ材)からなる針金を変形させることにより得られている。
【0027】
該リング状弾性体5は、玉4の一部外形に沿う略半円形状に湾曲形成された複数の転動保持部5aを備えている。該転動保持部5aは、中心線C1を中心とした周方向に等間隔に形成され、周方向に弾性変形可能になっている。
【0028】
すなわち、リング状弾性体5は、各転動保持部5aにより、正面視で中心線C1を中心とした周方向に沿って波状に延びる形状をなしていて、各転動保持部5aは、中心線C1を中心とした周方向において各玉4を等間隔の位置で転動可能に保持するようになっている。
【0029】
そして、外輪2及び内輪3は、各玉4が回転軸心周りに転動することにより、中心線C1周りに相対回転するようになっている。
【0030】
外輪2及び内輪3の間における中心線方向一側の開口領域及び他側の開口領域には、中心線C1を中心に環状に延び、且つ、略板状をなす金属材からなる蓋部6が配設され、該蓋部6は、外輪2の外側蓋取付用溝2cと内輪3の内側蓋取付用溝3cとにそれぞれ嵌合させることにより外輪2と内輪3とに取り付けられている。尚、図2における二点鎖線を境とした概ね上半部分は、便宜上、蓋部6を省略して示している。
【0031】
次に、本発明の実施形態1に係る軸受1の組み立て方について詳述する。
【0032】
先ず、外輪2及び内輪3を中心線C1が鉛直方向に向く姿勢にして台座上に載置した後、外輪2の内周面の一箇所に内輪3の外周面を接触させ、その後、外輪2と内輪3との間において配置可能な最大個数の玉4を外側ガイド溝2a及び内側ガイド溝3aに沿って配置する。
【0033】
次いで、外輪2と内輪3との互いの中心線C1が一致した状態となるようにした後、外側ガイド溝2a及び内側ガイド溝3aに配置された各玉4を中心線C1を中心とした周方向において等間隔な位置となるような配置にするとともに、リング状弾性体5の各転動保持部5aが各玉4に対応する位置となるようにリング状弾性体5を外輪2及び内輪3の上方に配置する。
【0034】
しかる後、リング状弾性体5を下降させて外輪2と内輪3との間に入り込ませる。すると、各転動保持部5aが対応する各玉4の外周面に沿って摺接しながら伸縮して各玉4に外嵌合し、当該各玉4をそれぞれ保持する。
【0035】
そして、最後に、各蓋部6を外輪2及び内輪3の間における中心線方向一側の開口領域および他側の開口領域を覆うように外輪2と内輪3との間に装着して軸受1の組み立てを終了する。
【0036】
このように、本発明の実施形態1によると、軸受1を組み立てる際、中心線C1を中心とした周方向にリング状弾性体5を伸縮させることにより、外輪2と内輪3との間に各玉4を位置させた後にリング状弾性体5を各玉4に対して組み付けることが可能になり、軸受1の組立作業を簡単に行うことができる。
【0037】
また、本発明の実施形態1によると、外輪2と内輪3との間に塵などが混入するのを蓋部6が防ぐようになる。したがって、混入した塵などが玉4と外輪2及び内輪3との間に入り込んで玉4の転動時における転がり抵抗が大きくなってしまうといったことが生じ難くなるので、外輪2と内輪3との間におけるスムーズな相対回転動作を維持可能であるとともに、軸受1の故障を発生させ難くすることができる。
【0038】
尚、本発明の実施形態1のリング状弾性体5の各転動保持部5aは、内輪3側から各玉4を外嵌合する形状になっているが、これに限らず、図3及び図4に示すように、外輪2側から内輪3側に向かって斜めに外嵌合する形状や、内輪3側から外輪2側に向かって斜めに外嵌合する形状であってもよい。
【0039】
《発明の実施形態2》
図5及び図6は、本発明の実施形態2に係る軸受1を示す。この実施形態2は、内輪3の構成の一部が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0040】
内輪3の外周面には、図5(c)に示すように、中心線C1を中心として環状に延びる内側環状凹条溝部3bが形成され、該内側環状凹条溝部3bには、各玉4を保持した状態のリング状弾性体5が嵌入可能になっている。内側環状凹条溝部3bは、外輪2及び内輪3が互いに相対回転する際、リング状弾性体5を各玉4と一体に案内するようになっている。
【0041】
尚、実施形態2の軸受1の組み立て方は、リング状弾性体5の各転動保持部5aを各玉4に外嵌合させた後に、リング状弾性体5をその周方向に縮めた状態で内側環状凹条溝部3bに対応させるとともに周方向に拡げて(伸ばして)当該内側環状凹条溝部3bに嵌め込むようにする以外は、実施形態1と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0042】
このように、本発明の実施形態2によると、外輪2と内輪3とが中心線C1周りに相対回転する際、外輪2及び内輪3の回転時におけるリング状弾性体5の中心線C1に沿う方向の移動が規制されるので、各玉4がリング状弾性体5に対して中心線C1に沿う方向においてずれることなく中心線C1を中心とした周方向に案内されるようになり、安定した転動動作を行うことができる。
【0043】
また、玉4の初動時等に当該玉4に衝撃が加わった際にその衝撃をリング状弾性体5が吸収可能になるので、軸受1の安定した動作を実現できるだけでなく、故障し難い軸受1にすることができる。
【0044】
《発明の実施形態3》
図7は、本発明の実施形態3に係る軸受1を示す。この実施形態3は、外輪2の構成の一部が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0045】
外輪2の内周面には、図7(c)に示すように、中心線C1を中心として環状に延びる外側環状凹条溝部2bが形成され、該外側環状凹条溝部2bには、各玉4を保持した状態のリング状弾性体5が嵌入可能になっている。外側環状凹条溝部2bは、外輪2及び内輪3が互いに相対回転する際、リング状弾性体5を各玉4と一体に案内するようになっている。
【0046】
尚、実施形態3の軸受1の組み立て方は、リング状弾性体5の各転動保持部5aを各玉4に外嵌合させた後に、リング状弾性体5をその周方向に縮めた状態で外側環状凹条溝部2bに対応させるとともに周方向に拡げて(伸ばして)当該外側環状凹条溝部2bに嵌め込むようにする以外は、実施形態1と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0047】
このように、本発明の実施形態3によると、外輪2と内輪3とが中心線C1周りに相対回転する際、リング状弾性体5の中心線C1に沿う方向の移動が規制されるので、各玉4がリング状弾性体5に対して中心線C1に沿う方向においてずれることなく中心線C1を中心とした周方向に案内されるようになり、安定した転動動作を行うことができる。
【0048】
また、玉4の初動時等に当該玉4に衝撃が加わった際にその衝撃をリング状弾性体5が吸収可能になるので、軸受1の安定した動作を実現できるだけでなく、故障し難い軸受1にすることができる。
【0049】
《発明の実施形態4》
図8は、本発明の実施形態4に係る軸受1を示す。この実施形態4は、リング状弾性体5の構成の一部が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0050】
実施形態4のリング状弾性体5は、帯板状に延びる高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ材)を環状にした環状部材を加工してなるものであり、断面略長方形状をなしている。そして、帯板状における幅広側の面が各玉に接するような形状になっている。
【0051】
尚、軸受1の組み立て方については、実施形態1と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0052】
このように、本発明の実施形態4によると、実施形態1のリング状弾性体5と比較して、玉4とリング状弾性体5における各転動保持部5aとの接触面積が大きくなるので、リング状弾性体5に対する各玉4の転動動作が安定するようになる。したがって、リング状弾性体5と玉4とを介して相対回転する外輪2及び内輪3の動作がさらに安定するようになり、軸受1の動作性能をさらに向上させることができる。
【0053】
尚、本発明の実施形態4のリング状弾性体5の各転動保持部5aは、各玉4の赤道面の法線方向が内輪3の外周面と略垂直をなす各玉4の赤道付近に外嵌合する形状になっているが、これに限らず、外輪2側から内輪3側に向かって斜めに外嵌合する形状や、内輪3側から外輪2側に向かって斜めに外嵌合する形状であってもよい。
【0054】
《発明の実施形態5》
図9図11は、本発明の実施形態5に係る軸受1を示す。この実施形態5は、外輪2、内輪3及びリング状弾性体5の各構成の一部が実施形態1と異なるとともに、蓋部6が設けられていない以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0055】
実施形態5の外輪2の外側ガイド溝2aは、図10(b)に示すように、実施形態1の外側ガイド溝2aよりも幅広に形成されている。
【0056】
また、実施形態5の内輪3の内側ガイド溝3aは、実施形態1の内側ガイド溝3aよりも幅広に形成されていて、その幅寸法は、外側ガイド溝2aの幅寸法に対応している。
【0057】
リング状弾性体5は、図11に示すように、各転動保持部5aが中心線C1を中心とした周方向に沿って交互に中心線方向一側と他側とに開放する並びになっている。
【0058】
すなわち、実施形態5のリング状弾性体5が各玉4を保持すると、図9(b)に示すように、軸受1を径方向から見て中心線C1を中心とした周方向に沿って各玉4がリング状弾性体5を順に跨ぐように千鳥状に配置されていて、外輪2と内輪3とが相対回転する際、各玉4は、当該玉4の進路方向に見たときに中心線C1に沿う方向において玉直径寸法の1/2程度重なる状態で外側ガイド溝2aと内側ガイド溝3aとに案内されるようになっている。
【0059】
尚、軸受1の組み立て方については、実施形態1と同様であるので詳細な説明を省略する。外輪2の内周縁部又は内輪3の外周縁部の所定の位置に、外輪2と内輪3との間に玉4を外側ガイド溝2a及び内側ガイド溝3aに沿って嵌入させるため、中心線C1方向に見て湾曲状をなす切欠凹部を設けてもよい。
【0060】
このように、本発明の実施形態5によると、軸受1を径方向から見て中心線C1を中心とした周方向に沿って各玉4がリング状弾性体5を順に跨ぐように千鳥状に配置されていても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
《発明の実施形態6》
図12及び図13は、本発明の実施形態6に係る軸受1を示す。この実施形態6は、所謂コロ軸受であり、転動体として玉4ではなくコロ7を用いる点と、外輪2、内輪3及びリング状弾性体5の各構成の一部とが玉軸受の実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0062】
コロ7は、図13(b)に示すように、柱中心線が中心線C1と同方向に延びる略円柱状をなしており、その外周面が外輪2の内周面と内輪3の外周面とにそれぞれ接するようになっている。
【0063】
コロ7の外周面における中心線方向中央部には、周方向に延びる断面凹状の環状凹条切込部7aが形成されている。
【0064】
実施形態6の外輪2の内周面における中央部分には、図13(a)に示すように、実施形態1の如き外側ガイド溝2aが設けられておらず、中心線C1を中心として環状に延びる外側環状凹条溝部2bが設けられている。
【0065】
実施形態6の内輪3の外周面には、図12に示すように、実施形態1の如き内側ガイド溝3aが設けられておらず、中心線C1に沿って平坦な形状になっている。
【0066】
実施形態6のリング状弾性体5は、正面視で中心線C1を中心とした周方向に沿って波状に延びる形状をなすとともに、中心線C1と直交する所定の平面内に位置する形状になっている。
【0067】
各転動保持部5aは、中心線C1に向かって開放していて、内周側部分が各コロ7の環状凹条切込部7aに嵌入する一方、外周側部分が外輪2の外側環状凹条溝部2bに嵌入するようになっている。尚、各コロ7は、各転動保持部5aに遊嵌する状態になっていて、各転動保持部5a内において中心線C1を中心とした周方向に移動可能になっている。
【0068】
次に、本発明の実施形態6に係る軸受1の組み立て方について詳述する。
【0069】
先ず、外輪2を中心線C1が鉛直方向に向く姿勢にして台座上に載置した後、リング状弾性体5を外輪2の外側環状凹条溝部2bにはめ込む。
【0070】
次に、内輪3をその中心線C1が鉛直方向に向く姿勢にして台座上に載置した後、各コロ7を内輪3の外周面にその柱中心線が鉛直方向に向く姿勢で環状に並設させる。
【0071】
しかる後、一体となった外輪2及びリング状弾性体5を、内輪3及び該内輪3の外周面に並設させた各コロ7の上方に配置した後、内輪3の中心線C1に対して外輪2の中心線C1が斜めに交差するように外輪2及びリング状弾性体5を傾けた状態で下降させる。その後、外輪2の中心線C1と内輪3の中心線C1とが一致するように、一体となった外輪2及びリング状弾性体5を内輪3及び各コロ7に対して次第に傾けていく。外輪2の中心線C1と内輪3の中心線C1とを一致させると、リング状弾性体5の各転動保持部5aに各コロ7の環状凹条切込部7aが外嵌合し、リング状弾性体5がその周方向に伸長しながら、各コロ7は内輪3の外周面の外側に等間隔に配置される。
【0072】
そして、最後に、各蓋部6を外輪2及び内輪3の間における中心線方向一側の開口領域および他側の開口領域を覆うように外輪2と内輪3との間に装着して軸受1の組み立てを終了する。
【0073】
このように、本発明の実施形態6によると、各コロ7の外側環状凹条溝部2bにリング状弾性体5が嵌入しているので、外輪2と内輪3とが中心線C1周りに相対回転する際、各コロ7の中心線C1に沿う方向の移動が規制されるようになり、各コロ7がリング状弾性体5に対して中心線C1に沿う方向にずれることなく転動動作を行うようになり、軸受動作を安定させることができる。
【0074】
尚、本発明の実施形態6のコロ7は、リング状弾性体5が嵌入する環状凹条切込部7aが1つ形成されているが、これに限らず、図14に示すように、2つ形成するとともに一対のリング状弾性体5をそれぞれ嵌入させる構成であってもよい。
【0075】
《発明の実施形態7》
図15図17は、本発明の実施形態7に係る軸受1を示す。この実施形態7は、外輪2、内輪3及びリング状弾性体5の各構成の一部が実施形態6と異なるとともに、蓋部6が設けられていない以外は実施形態6と同様であるので、実施形態6と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態6と異なる構成についてのみ説明する。
【0076】
実施形態7のコロ7は、図15(b)に示すように、柱中心線方向において両端側より中央部分の外径が小さい鼓状をなしている。
【0077】
実施形態7の外輪2の内周面には、実施形態6の如き外側蓋取付用溝2cと外側環状凹条溝部2bとが設けられておらず、その代わりに、中心線C1側に張り出す緩やかに湾曲する断面形状をなすとともに中心線C1を中心として環状に延びる外側環状張出部2dが設けられている。すなわち、外側環状張出部2dは、コロ7の外周面に対応する形状をなしていて、当該コロ7の環状凹条切込部7aを除く外周面全域に接するようになっている。
【0078】
実施形態7の内輪3の外周面には、中心線C1から離れる側に張り出す緩やかに湾曲する断面形状をなすとともに中心線C1を中心として環状に延びる内側環状張出部3dが設けられている。すなわち、内側環状張出部3dは、コロ7の外周面に対応する形状をなしていて、当該コロ7の環状凹条切込部7aを除く外周面全域に接するようになっている。
【0079】
実施形態7のリング状弾性体5の各転動保持部5aは、中心線C1の反対側に向かって開放していて、外周側部分が各コロ7の環状凹条切込部7aに嵌入する一方、内周側部分が内輪3の外周面から離間した位置となっている。
【0080】
次に、本発明の実施形態7に係る軸受1の組み立て方について詳述する。
【0081】
先ず、外輪2を中心線C1が鉛直方向に向く姿勢にして台座上に載置する。次に、配置可能な最大個数のコロ7を各々の外周面が外輪2の内周面に接触するように中心線C1周りに所定の間隔をあけて配置する。
【0082】
次いで、中心線C1周りに環状に並設された複数のコロ7の内側領域にリング状弾性体5をその周方向に縮めた状態で入れ込んだ後、その周方向に伸長させながら各コロ7の環状凹条切込部7aに嵌入させる。すると、リング状弾性体5の弾性力で各コロ7を外輪2の内周面に押し付けた状態で外輪2、各コロ7及びリング状弾性体5が一体になる。
【0083】
しかる後、図17に示すように、外輪2の中心線C1に対して内輪3の中心線C1が斜めに交差するように内輪3を傾けた状態で一体となった外輪2、各コロ7及びリング状弾性体5の内側領域に入れ込んだ後、外輪2の中心線C1に対して内輪3の中心線C1が一致するように外輪2に対して内輪3を次第に傾けていき、外輪2の中心線C1と内輪3の中心線C1とを一致させる。
【0084】
このように、本発明の実施形態7によると、各コロ7が鼓状をなすとともにその転動面が外輪2の内周面及び内輪3の外周面に接しているので、回転軸心と交差する方向における外輪2及び内輪3に対する各コロ7の接触面積が広くなり、回転軸心と交差する方向に加わる力に対する耐荷重を大きくすることができる。
【0085】
《発明の実施形態8》
図18は、本発明の実施形態8に係る軸受1を示す。この実施形態8は、外輪2、内輪3、リング状弾性体5及びコロ7の各構成の一部が実施形態7と異なっている以外は実施形態7と同様であるので、実施形態7と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態7と異なる構成についてのみ説明する。
【0086】
実施形態8のコロ7は、図18(b)に示すように、柱中心線方向において両端側より中央部分の外径が大きい樽状(球面コロ)をなしている。
【0087】
実施形態8の外輪2の内周面には、実施形態7の如き外側環状張出部2dが設けられておらず、その代わりに、中心線C1から離れる側に窪む緩やかに湾曲する断面形状をなすとともに中心線C1を中心として環状に延びる外側環状凹条部2eが設けられている。すなわち、外側環状凹条部2eは、コロ7の外周面に対応する形状をなしていて、当該コロ7の環状凹条切込部7aを除く外周面全域に接触するようになっている。
【0088】
実施形態8の内輪3の外周面には、実施形態7の如き内側環状張出部3dが設けられておらず、その代わりに、中心線C1側に窪む緩やかに湾曲する断面形状をなすとともに中心線C1を中心として環状に延びる内側環状凹条部3eが設けられている。すなわち、内側環状凹条部3eは、コロ7の外周面に対応する形状をなしていて、当該コロ7の環状凹条切込部7aを除く外周面全域に接触するようになっている。
【0089】
実施形態8のリング状弾性体5の各転動保持部5aは、中心線C1側に向かって開放していて、内周側部分が各コロ7の環状凹条切込部7aに嵌入する一方、外周側部分が外輪2の内周面から離間した位置となっている。
【0090】
次に、本発明の実施形態8に係る軸受1の組み立て方について詳述する。
【0091】
先ず、内輪3を中心線C1が鉛直方向に向く姿勢にして台座上に載置する。次に、配置可能な最大個数のコロ7を各々の外周面が内輪3の外周面に接触するように中心線C1周りに所定の間隔をあけて配置する。
【0092】
次いで、中心線C1周りに環状に並設された複数のコロ7の外側にリング状弾性体5をその周方向に伸長させた状態で囲うようにはめ込んだ後、その周方向に縮めながら各コロ7の環状凹条切込部7aに嵌入させる。すると、リング状弾性体5の弾性力で各コロ7を内輪3の外周面に押し付けた状態で内輪3、各コロ7及びリング状弾性体5が一体になる。
【0093】
しかる後、図18(a)に示すように、外輪2の中心線C1に対して内輪3の中心線C1が斜めに交差するように一体となった内輪3、各コロ7及びリング状弾性体5を傾けた状態で外輪2の内側領域に入れ込んだ後、外輪2の中心線C1に対して内輪3の中心線C1が一致するように外輪2に対して一体となった内輪3、各コロ7及びリング状弾性体5を次第に傾けていき、外輪2の中心線C1と内輪3の中心線C1とを一致させる。
【0094】
このように、発明の実施形態8によると、各コロ7が樽状(球面コロ)をなすとともにその転動面が外輪2の内周面及び内輪3の外周面に接しているので、回転軸心と交差する方向における外輪2及び内輪3に対する各コロ7の接触面積が広くなり、回転軸心と交差する方向に加わる力に対する耐荷重を大きくすることができる。
【0095】
《発明の実施形態9》
図19及び図20は、本発明の実施形態9に係る軸受1を示す。この実施形態9は、所謂スラスト軸受であり、外輪2、内輪3、及びリング状弾性体5の各構成の一部が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
【0096】
実施形態9の外輪2は、中心線方向一側に開口するとともに中心線C1を中心として環状に延びる扁平なドーナツ形状をなしており、図示しないハウジング内に収容された状態になっている。外輪2の内側には、開口部(図示せず)が形成される一方、外周縁部には、中心線方向一側に突出する外周壁部2fが形成されている。
【0097】
実施形態9の外側ガイド溝2aは、外輪2における外周壁部2fの内側において中心線方向一側に開口するとともに中心線C1周りに環状に延びる形状をなしている。
【0098】
実施形態9の内輪3は、中心線方向他側に開口するとともに中心線C1を中心として環状に延びる扁平なドーナツ形状をなしており、その内側には、軸G1を嵌合可能な貫通孔3fが形成されている。
【0099】
実施形態9の内側ガイド溝3aは、図19には図示しないが、外輪2の外側ガイド溝2aに対向する位置に形成されていて、外側ガイド溝2aと内側ガイド溝3aとの間に複数の玉4が配設されている。
【0100】
実施形態9のリング状弾性体5は、図20に示すように、中心線C1を中心とした環状に針金を二周巻くように変形して形成されている。各転動保持部5aは、中心線C1に向かって開口しており、中心線C1を中心として環状に並設され、且つ、外側ガイド溝2aと内側ガイド溝3aとの間に配設された各玉4にその外側からそれぞれ嵌合するようになっている。
【0101】
次に、本発明の実施形態9に係る軸受1の組み立て方について詳述する。
【0102】
先ず、図示しないハウジングに収容された外輪2を中心線C1が鉛直方向に向く姿勢にして台座上に載置する。次に、外輪2の外側ガイド溝2aに対して中心線C1を中心とした周方向に所定の間隔となるように各玉4を配置するとともに、環状に配置された各玉4にそれぞれ各転動保持部5aが外側から嵌合するようにリング状弾性体5を配置した後、内側ガイド溝3aが各玉4に外嵌合するように外輪2に対して内輪3を上方から取り付ける。
【0103】
このように、本発明の実施形態9によると、転動体が玉4で構成されたスラスト軸受である軸受1であっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0104】
《発明の実施形態10》
図21及び図22は、本発明の実施形態10に係る軸受1を示す。この実施形態10は、転動体として玉4ではなくコロ7を用いる点と、外輪2、内輪3及びリング状弾性体5の各構成の一部とが実施形態9と異なっている以外は実施形態9と同様であるので、実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その他、実施形態9と異なる構成についてのみ説明する。
【0105】
実施形態10のコロ7は、柱中心線方向において両端部より中央部分の外径が大きい樽状(球面コロ)をなしている。
【0106】
実施形態10の外輪2の内側には、開口部2gが形成されていて、その厚みは、開口部2gから外周縁部に向かうにつれて次第に厚くなる形状になっている。
【0107】
外輪2における中心線方向一側の面は、中心線方向他側に窪む緩やかに湾曲する断面形状をなすとともに中心線C1を中心として環状に延びる外側環状湾曲面2hになっていて、該外側環状湾曲面2hは、コロ7の外周面に対応する形状になっている。
【0108】
実施形態10の外側環状凹条溝部2bは、外側環状湾曲面2hの略中央部分において中心線C1周りを環状に延びるように形成されている。
【0109】
実施形態10の内輪3の厚みは、軸G1を嵌合可能な貫通孔3fから外周縁部に向かうにつれて次第に薄くなる形状になっている。
【0110】
内輪3における中心線方向他側の面は、中心線方向一側に窪む緩やかに湾曲する断面形状をなすとともに中心線C1を中心として環状に延びる内側環状湾曲面3hになっていて、該内側環状湾曲面3hは、コロ7の外周面に対応する形状になっている。
【0111】
実施形態10のリング状弾性体5は、各転動保持部5aの開口方向が中心線C1側の斜め方向に向くようになっており、内周側部分がコロ7の外周面に嵌合する一方、外周側部分が外側環状凹条溝部2bに嵌入するようになっている。
【0112】
次に、本発明の実施形態10に係る軸受1の組み立て方について詳述する。
【0113】
先ず、図示しないハウジングに収容された外輪2を中心線C1が鉛直方向に向く姿勢にして台座上に載置する。次に、外輪2の外側環状凹条溝部2bにリング状弾性体5の各転動保持部5aの外側部分を嵌入させるとともに、当該各転動保持部5aの内側部分に各コロ7を配置して各コロ7の外周面を外輪2の外側環状湾曲面2hに接触させる。しかる後、環状に配置された各コロ7に内側環状湾曲面3hが接するように外輪2に対して内輪3を上方から取り付ける。
【0114】
このように、本発明の実施形態10によると、転動体がコロ7で構成されるスラスト軸受である軸受1であっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0115】
また、本発明の実施形態9の如き転動体を案内する外側ガイド溝2a及び内側ガイド溝3aが無いので、転動体7は中心線C1を中心とする外輪2及び内輪3の径方向に移動することができる。そのため、軸G1に垂直な方向の振れや振動を吸収することができるので、軸受1の安定した動作を実現することができる。
【0116】
尚、例えば、軸受1が大型である場合、細長い金属部材を二重や多重に巻いて得た環状部材からリング状弾性体5を得るようにしてもよい。そうすると、軸受1が大型でそれに伴ってリング状弾性体5が大きな構造になったとしても、当該リング状弾性体5を構成する金属部材の断面係数が大きくなり過ぎてリング状弾性体5が撓み難くなってしまうといったことを防ぐことができる。また、リング状弾性体5が大きい場合、中心線方向に見て略C字状となるように一部に切欠部を設けた構造にしてもよい。そうすると、リング状弾性体5が大きな構造になって当該リング状弾性体5を構成する金属部材の断面係数が大きくなり過ぎたとしても、リング状弾性体5が撓み易くなり、軸受1への取り付け作業を容易にすることができる。
【0117】
また、本発明の実施形態1~10では、リング状弾性体5を含む軸受1を炭素鋼で形成しているが、これに限らず、例えば、合金鋼やステンレス鋼等のその他合金属材や、ゴム、プラスチック、セラミック等の非金属材で形成しても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0118】
1 軸受
2 外輪
2b 外側環状凹条溝部
3 内輪
3b 内側環状凹状溝部
4 玉(転動体)
5 リング状弾性体(保持器)
5a 転動保持部
6 蓋部
7 コロ(転動体)
7a 環状凹条切込部
C1 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2022-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記保持器は、円環状の金属材を曲げ変形させることにより形成され、且つ、前記中心線を中心とした周方向に弾性変形可能なリング状弾性体であり、該リング状弾性体は前記中心線を中心とした周方向において等間隔に位置するとともに前記転動体の一部外形に沿う湾曲形状に形成され、且つ、前記転動体を転動可能に保持する複数の転動保持部を有し、該各転動保持部により、前記中心線を中心とした周方向に沿って波状に延びる形状をなしていることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記リング状弾性体は、帯板材を環状にした環状部材を曲げ変形させて形成された断面長方形状の構造体であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪と、回転軸心が前記中心線と同方向又は交差する方向に延びるとともに前記外輪と内輪との間において前記中心線を中心とした周方向に複数並設され、且つ、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接するように配設された転動体と、前記中心線を中心とした周方向において前記各転動体を所定の間隔に保持する保持器とを備え、前記各転動体が前記回転軸心周りに転動することにより前記外輪と内輪とが前記中心線周りに相対回転するよう構成された軸受であって、
前記保持器は、円環状の金属材を曲げ変形させることにより形成され、且つ、前記中心線を中心とした周方向に弾性変形可能なリング状弾性体であり、
該リング状弾性体は前記中心線を中心とした周方向において等間隔に位置するとともに前記転動体の一部外形に沿う湾曲形状に形成され、且つ、前記転動体を転動可能に保持する複数の転動保持部を有し、該各転動保持部により、前記中心線を中心とした周方向に沿って波状に延びる形状をなしていることを特徴とする軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受において、
前記外輪の内周面又は前記内輪の外周面には、前記中心線を中心として環状に延び、且つ、前記リング状弾性部材が前記中心線を中心とした周方向において移動可能に嵌入する環状凹条溝部が設けられていることを特徴とする軸受。
【請求項3】
請求項1又は2記載の軸受において、
前記転動体は、前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に接する転動面が前記回転軸心を中心として環状に延びる樽状又は鼓状をなしていることを特徴とする軸受。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の軸受において、
前記転動体の外周面には、前記回転軸心を中心として環状に延び、且つ、転動する前記転動体を案内可能に前記リング状弾性部材が嵌入する環状凹条切込部が設けられていることを特徴とする軸受。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の軸受において、
前記リング状弾性体は、帯板材を環状にした環状部材を曲げ変形させて形成された断面長方形状の構造体であることを特徴とする軸受。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-08
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、軸体を回転自在に支持する軸受の製造方法に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記保持器は、円環状の金属材を曲げ変形させることにより形成、且つ、前記中心線を中心とした周方向に弾性変形可能なリング状弾性体であり、該リング状弾性体は、前記中心線を中心とした周方向において等間隔に位置するとともに前記転動体の一部外形に沿う湾曲形状に形成、且つ、前記転動体を転動可能に保持する複数の転動保持部を有し、該各転動保持部により、前記中心線を中心とした周方向に沿って波状に延びる形状をなことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記外輪の内周面又は前記内輪の外周面には、前記中心線を中心として環状に延び、且つ、前記リング状弾性部材が前記中心線を中心とした周方向において移動可能に嵌入する環状凹条溝部設けことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記転動体は、前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に接する転動面が前記回転軸心を中心として環状に延びる樽状(球面コロ)又は鼓状をなことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記転動体の外周面には、前記回転軸心を中心として環状に延び、且つ、転動する前記転動体を案内可能に前記リング状弾性部材が嵌入する環状凹条切込部設けことを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記リング状弾性体は、帯板材を環状にした環状部材を曲げ変形させて形成する断面長方形状の構造体であることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪と、回転軸心が前記中心線と同方向又は交差する方向に延びるとともに前記外輪と内輪との間において前記中心線を中心とした周方向に複数並設され、且つ、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接するように配設された転動体と、前記中心線を中心とした周方向において前記各転動体を所定の間隔に保持する保持器とを備え、前記各転動体が前記回転軸心周りに転動することにより前記外輪と内輪とが前記中心線周りに相対回転するよう構成された軸受の製造方法であって、
前記保持器は、円環状の金属材を曲げ変形させることにより形成、且つ、前記中心線を中心とした周方向に弾性変形可能なリング状弾性体であり、
該リング状弾性体は、前記中心線を中心とした周方向において等間隔に位置するとともに前記転動体の一部外形に沿う湾曲形状に形成、且つ、前記転動体を転動可能に保持する複数の転動保持部を有し、該各転動保持部により、前記中心線を中心とした周方向に沿って波状に延びる形状をなことを特徴とする軸受の製造方法
【請求項2】
請求項1に記載の軸受の製造方法において、
前記外輪の内周面又は前記内輪の外周面には、前記中心線を中心として環状に延び、且つ、前記リング状弾性部材が前記中心線を中心とした周方向において移動可能に嵌入する環状凹条溝部設けことを特徴とする軸受の製造方法
【請求項3】
請求項1又は2記載の軸受の製造方法において、
前記転動体は、前記外輪の内周面及び前記内輪の外周面に接する転動面が前記回転軸心を中心として環状に延びる樽状又は鼓状をなことを特徴とする軸受の製造方法
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の軸受の製造方法において、
前記転動体の外周面には、前記回転軸心を中心として環状に延び、且つ、転動する前記転動体を案内可能に前記リング状弾性部材が嵌入する環状凹条切込部設けことを特徴とする軸受の製造方法
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の軸受の製造方法において、
前記リング状弾性体は、帯板材を環状にした環状部材を曲げ変形させて形成する断面長方形状の構造体であることを特徴とする軸受の製造方法
【手続補正書】
【提出日】2023-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪と、回転軸心が前記中心線と同方向又は交差する方向に延びるとともに前記外輪と内輪との間において前記中心線を中心とした周方向に複数並設され、且つ、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接するように配設された球状の転動体と、前記中心線を中心とした周方向において前記各転動体を所定の間隔に保持する保持器とを備え、前記各転動体が前記回転軸心周りに転動することにより前記外輪と内輪とが前記中心線周りに相対回転するよう構成された軸受の製造方法であって、
前記保持器は、断面略円形状をなす円環状の金属材を曲げ変形させることにより形成し、且つ、前記中心線を中心とした周方向に弾性変形可能なリング状弾性体であり、
該リング状弾性体は、前記中心線を中心とした周方向において等間隔に位置するとともに前記転動体の一部外形に沿う湾曲形状に形成し、且つ、前記転動体を転動可能に保持する複数の転動保持部を有し、該各転動保持部により、前記中心線を中心とした周方向に沿って波状に延びる形状をなすことを特徴とする軸受の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受の製造方法において、
前記外輪の内周面又は前記内輪の外周面には、前記中心線を中心として環状に延び、且つ、前記リング状弾性部材が前記中心線を中心とした周方向において移動可能に嵌入する環状凹条溝部を設けることを特徴とする軸受の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線が一致する環状をなす外輪及び内輪と、回転軸心が前記中心線と同方向又は交差する方向に延びるとともに前記外輪と内輪との間において前記中心線を中心とした周方向に複数並設され、且つ、前記外輪の内周面と前記内輪の外周面とにそれぞれ接するように配設された球状の転動体と、前記中心線を中心とした周方向において前記各転動体を所定の間隔に保持する保持器とを備え、前記各転動体が前記回転軸心周りに転動することにより前記外輪と内輪とが前記中心線周りに相対回転するよう構成された軸受の製造方法であって、
前記保持器は、断面略円形状をなす円環状の金属材を曲げ変形させることにより形成し、且つ、前記中心線を中心とした周方向に弾性変形可能なリング状弾性体であり、
該リング状弾性体は、前記中心線を中心とした周方向において等間隔に位置するとともに前記転動体の一部外形に沿う湾曲形状に形成し、且つ、前記転動体を転動可能に保持する複数の転動保持部を有し、該各転動保持部により、前記中心線を中心とした周方向に沿って波状に延びる形状をなすことを特徴とする軸受の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の軸受の製造方法において、
前記外輪の内周面又は前記内輪の外周面には、前記中心線を中心として環状に延び、且つ、前記リング状弾性が前記中心線を中心とした周方向において移動可能に嵌入する環状凹条溝部を設けることを特徴とする軸受の製造方法。