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  • 特開-開閉体装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132442
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】開閉体装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/06 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B60R7/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037773
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】若林 大輔
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA08
3D022CC01
3D022CD12
3D022CD18
(57)【要約】
【課題】当接面による配置スペースを抑制できる開閉体装置を提供する。
【解決手段】開閉体装置1は、開口部を有する第一部材2と、第一部材2に移動可能に配置され、第一部材2に対する移動により開口部を開閉する第二部材3と、第二部材3の移動方向に対し交差する方向に突出して第一部材2と第二部材3とにそれぞれ形成され、互いに当接することで第二部材3による開口部の最大開位置を設定する当接面30,31と、を備える。当接面30,31は、第二部材3の移動方向と直交する方向に対して傾斜している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する第一部材と、
この第一部材に移動可能に配置され、この第一部材に対する移動により前記開口部を開閉する第二部材と、
前記第二部材の移動方向に対し交差する方向に突出して前記第一部材と前記第二部材とにそれぞれ形成され、互いに当接することで前記第二部材による前記開口部の最大開位置を設定する当接面と、を備え、
前記当接面は、前記第二部材の移動方向と直交する方向に対して傾斜している
ことを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
第二部材の当接面は、前記第二部材の移動方向と直交する方向に対して、開口部を開く前記第二部材の移動方向側に傾斜し、
第一部材の当接面は、前記第二部材の当接面と平行に傾斜している
ことを特徴とする請求項1記載の開閉体装置。
【請求項3】
車両用のグローブボックスである
ことを特徴とする請求項2記載の開閉体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する第一部材に対し、第二部材の移動により開口部を開閉する開閉体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車などの車両のインストルメントパネルには、助手席の前方に面して、小物などを収納する収納装置であるグローブボックスが配置される。グローブボックスは、インストルメントパネルの開口部を収納体により開閉可能に設けられている。
【0003】
収納体は、開口部を閉じた状態で、インストルメントパネル側と一部が嵌合されることで位置が規制されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3081917号公報 (第4-6頁、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、収納体は、開口部を開いた状態で、インストルメントパネルの開口部の一側部と収納体の一側部とにそれぞれ形成されたストッパの当接のみで開状態を維持することとなり、位置が規制されない。グローブボックスにおいては、収納体の開状態で側方からの衝撃によってストッパが外れないことが求められる。この点、単にストッパのラップ量を増加させるだけでは、配置スペースが大きくなるという問題がある。また、収納体をインストルメントパネルから取り外し可能な構成とする場合、ストッパのラップ量を増加させることは、取り外し荷重が増加する。
【0006】
さらに、取り外し荷重を小さくするために、インストルメントパネルにストッパのラップを逃がすスリットなどを設ける場合には、側方からの衝撃に対してストッパが外れやすくなることが懸念される。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、当接面による配置スペースを抑制できる開閉体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の開閉体装置は、開口部を有する第一部材と、この第一部材に移動可能に配置され、この第一部材に対する移動により前記開口部を開閉する第二部材と、前記第二部材の移動方向に対し交差する方向に突出して前記第一部材と前記第二部材とにそれぞれ形成され、互いに当接することで前記第二部材による前記開口部の最大開位置を設定する当接面と、を備え、前記当接面は、前記第二部材の移動方向と直交する方向に対して傾斜しているものである。
【0009】
請求項2記載の開閉体装置は、請求項1記載の開閉体装置において、第二部材の当接面は、前記第二部材の移動方向と直交する方向に対して、開口部を開く前記第二部材の移動方向側に傾斜し、第一部材の当接面は、前記第二部材の当接面と平行に傾斜しているものである。
【0010】
請求項3記載の開閉体装置は、請求項2記載の開閉体装置において、車両用のグローブボックスであるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の開閉体装置によれば、当接面のラップ量を大きくすることなく、当接面による配置スペースを抑制できる。
【0012】
請求項2記載の開閉体装置によれば、請求項1記載の開閉体装置の効果に加えて、第二部材が開口部を開いた状態で、第二部材に対する、第二部材の移動方向と直交する方向からの衝撃に対して当接面が互いに抵抗となって、当接面同士のラップ量が少なくてもこの衝撃に対して当接面が外れにくくなる。
【0013】
請求項3記載の開閉体装置によれば、請求項2記載の開閉体装置の効果に加えて、当接面による配置スペースを抑制できるとともに、第二部材が開口部を開いた状態で第二部材の移動方向と直交する方向からの衝撃に対して第二部材が第一部材から脱落しにくく、かつ、メンテナンスなどの際には第二部材を第一部材から容易に取り外すことができる、使い勝手が良好なグローブボックスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施の形態の開閉体装置を示す図3(a)のI-I相当位置の断面図である。
図2】同上開閉体装置の第一部材から第二部材を取り外すときの当接面の動きを模式的に示す断面図である。
図3】(a)は同上開閉体装置の第二部材により第一部材の開口部を開いた状態を示す斜視図、(b)は(a)の一部を拡大して示す斜視図である。
図4】本発明の第2の実施の形態の開閉体装置を示す図5のII-II相当位置の断面図である。
図5】同上開閉体装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図3(a)及び図3(b)において、1は開閉体装置を示す。本実施の形態の開閉体装置1は、例えば自動車の被設置部であるインストルメントパネルまたはダッシュボードに設置される収納装置である車両用のグローブボックスを例に挙げて説明する。以下、前後方向、左右方向及び上下方向については、それぞれ被設置部への設置状態を基準とする。図中では、矢印FR方向を前方向、矢印RR方向を後方向、矢印L方向を左方向、矢印Rを右方向、矢印U方向を上方向、矢印D方向を下方向とする。なお、本実施の形態において、開閉体装置1は、インストルメントパネルまたはダッシュボードの助手席側に設置されるものを例に挙げているが、これに限らず、車室内の任意の被設置部に設置されてよい。
【0017】
開閉体装置1は、第一部材2と、第二部材3と、を備える。
【0018】
第一部材2は、カバーなどとも呼ばれる筐体であり、本実施の形態の場合、インストルメントパネルまたはダッシュボードに一体的に配置される。第一部材2は、被設置部に固定される固定部または筐体である。
【0019】
第一部材2は、収容部5を有する。収容部5は、第二部材3の前側が収容される凹部である。収容部5は、周壁部6により周囲が囲まれている。周壁部6は、本実施の形態において、収容部5の上部を形成する上壁部7と、左右に互いに離れて収容部5の両側部を形成する側壁部8,8と、収容部5の前部を形成する前壁部9と、を少なくとも有する。
【0020】
上壁部7は、左右方向に長手状に形成され、上下方向に主面を有する板状となっている。側壁部8,8は、上壁部7の両側部から下方に延びて形成されている。前壁部9は、上壁部7及び側壁部8,8の前部に連なって略前後方向に主面を有する板状となっている。そして、上壁部7と側壁部8,8とにより囲まれる収容部5の後端部が、第二部材3により開閉される開口部10となっている。
【0021】
図示される例では、各側壁部8は、左右方向に主面を有する板状に形成された側壁部本体部12と、側壁部本体部12に対して両側外側に位置する拡大部13と、側壁部本体部12と拡大部13とを段差状に連結する連結部14と、を一体的に有する。拡大部13には、開閉体装置1をインストルメントパネルまたはダッシュボードなどの被設置部に設置する際にボルトなどの取付部材が螺着される穴部またはボス部などが形成されていてもよい。連結部14は、左右方向に延びる面状に形成されている。また、各側壁部8には、第二部材3を移動可能に支持するための第一支持部が形成されている。第一支持部は、各側壁部8の下部に位置する。例えば、第一支持部は、各拡大部13の下部に位置する。本実施の形態では、第一支持部は、左右方向に軸線を有する回動軸と軸受けとのいずれか一方である。
【0022】
第二部材3は、ボックスなどとも呼ばれる開閉体であり、第一部材2に対して移動可能に配置されて、第一部材2に対する移動により開口部10を開閉する。本実施の形態において、第二部材3は、第一部材2に対し回動可能に配置されている。第二部材3は、被設置部に対して移動可能な可動部である。
【0023】
第二部材3は、リッド部15を有する。リッド部15は、開口部10を閉塞可能な蓋部である。リッド部15は、車室内に面して開閉体装置1の意匠部をなすものであり、開口部10を閉じた状態でインストルメントパネルまたはダッシュボードに沿って位置する。リッド部15には、第二部材3を第一部材2に対して移動可能に支持するための第二支持部が形成されている。第二支持部は、第一支持部を支持する、または第一支持部に支持される。本実施の形態において、第二支持部は、左右方向に軸線を有する回動軸と軸受けとのいずれか他方である。第二支持部と第一支持部とのいずれかを中心として第二部材3が回動する。
【0024】
また、リッド部15には、第二部材3を移動、本実施の形態では回動させる際に乗員により引っ張られるノブが後部に形成されている。また、リッド部15には、開口部10を閉じた状態で第二部材3を第一部材2に対して係脱可能に保持するロック機構が配置されている。ロック機構は、例えばノブの操作により保持が解除されるように動作される。
【0025】
リッド部15の前部には、ボックス部18が形成されている。ボックス部18は、第一部材2の収容部5に位置して、物品を収納する空間部を区画する。ボックス部18は、開放容器形であって、リッド部15から前方に突出する壁部である側壁20,20と、これら側壁20,20間に連なる奥壁21と、を一体的に有して、上部が開放されている。奥壁21は、側壁20,20間に、下部から前部に亘り連なって位置する。
【0026】
側壁20,20は、ボックス部18の左右に互いに離れて位置する。各側壁20は、左右方向に主面を有する板状に形成されている。本実施の形態において、側壁20,20は、第一部材2の側壁部8,8(側壁部本体部12,12)の内側に重ねられて位置する。
【0027】
各側壁20には、ストッパ部22が形成されている。ストッパ部22は、側壁20から外方に突出して形成されている。本実施の形態において、ストッパ部22は、左右方向に延びるピン状に形成されている。ストッパ部22は、角柱状、円柱状、円筒状、半円筒状など、任意の形状としてよい。本実施の形態において、ストッパ部22は、第一部材2の側壁部8(側壁部本体部12)に形成された挿通開口25に挿通されて、第一部材2の外部に露出している。
【0028】
挿通開口25は、第一部材2に対する第二部材3の移動に伴うストッパ部22との干渉を避ける部分である。挿通開口25は、第一部材2に対する第二部材3の移動範囲に亘り連なって形成されている。本実施の形態では、挿通開口25は、第一支持部または第二支持部の軸線を中心とする円弧状に形成されている。図示される例では、挿通開口25は、第一部材2の各側壁部8に後側から前側に向かい徐々に上方に湾曲するように形成されている。
【0029】
そして、挿通開口25に挿通されたストッパ部22は、第二部材3により開口部10を最大に開いた位置で、第一部材2に形成されたストッパ受け部27に当接可能となっている。ストッパ受け部27は、第一部材2の連結部14の前部に突設されている。図1に示すように、ストッパ部22とストッパ受け部27との当接部が、当接面30,31となっている。すなわち、これら当接面30,31の当接により、第一部材2に対する第二部材3の移動が規制され、第二部材3による開口部10(図3(a))の最大開位置が設定される。
【0030】
当接面30は、ストッパ部22の後部に形成されている。当接面31は、ストッパ受け部27の前部に形成されている。当接面30,31は、互いに平行(略平行も含む)な平面状となっている。本実施の形態において、当接面30,31は、第二部材3の移動方向と直交する方向、つまり左右方向に対して傾斜している。図示される例では、第二部材3の移動方向は、第一支持部の軸線または第二支持部の軸線を中心とする円弧に沿っているため、第二部材3の移動方向と直交する方向とは、第二部材3の回動軸線方向(第一支持部の軸線または第二支持部の軸線の方向)であり、当接面30,31は、その方向に対して傾斜している。これら当接面30,31の傾斜により、互いのラップ量LP、すなわち本実施の形態では左右方向の重なり量が抑制されている。
【0031】
また、当接面30は、第二部材3の移動方向と直交する方向である左右方向に対して、開口部10(図3(a))を開く第二部材3の移動方向に傾斜している。本実施の形態では、第二部材3のストッパ部22が第一部材2のストッパ受け部27よりも内側に位置するため、当接面30が当接面31に対して第二部材3が開口部10(図3(a))を開く方向へと内側に向かって当接するように傾斜している。すなわち、図示される例では、当接面30,31は、それぞれ外側(図中の右側)に向かい徐々に後側に傾斜している。そのため、当接面30,31は、互いに外れる方向、図1においては当接面30が左方向に移動し、当接面30が右方向に移動しようとするのに対し互いにアンダーとなるように、すなわち抵抗を生じさせるように傾斜している。
【0032】
当接面30,31の傾斜角度θは、0°より大きく90°未満の任意の角度としてよい。傾斜角度θが大きいほど、互いのラップ量LPが小さくなり、かつ、外れ方向への抵抗が大きくなるものの、当接面30,31同士の当接による位置規制の効果が小さくなるので、当該傾斜角度θは、0°より大きく45°以下とすることが好ましい。
【0033】
また、好ましくは、第二部材3は、第一部材2に対し、メンテナンスなどのために取り外し可能となっている。本実施の形態では、第二部材3の少なくとも一部を第一部材2に対して移動可能とすることで第二部材3を取り外しやすくするためのスリット部35を第二部材3に有する。スリット部35は、ストッパ部22が位置する第二部材3の側壁20に形成されている。図3(b)に示すように、スリット部35は、ストッパ部22を避けて、側壁20を板厚方向に貫通して形成されている。本実施の形態では、スリット部35は、側壁20において、ストッパ部22の下部から前部、図示される例では奥壁21と連なる位置に亘り、ストッパ部22の上端部まで連なって湾曲して形成されている。そのため、側壁20においてストッパ部22の周辺部20aを切片状に区画し、図2の二点鎖線に示すように、周辺部20aを移動または変形させることで当接面30を当接面31から当接方向と反対方向に退避させることが可能となっている。
【0034】
次に、第1の実施の形態の動作を説明する。
【0035】
開閉体装置1は、第二部材3により第一部材2の開口部10を閉じた状態では、ロック機構により第二部材3が開口部10を閉じた位置に保持される。
【0036】
開閉体装置1の開口部10を開く際には、例えば第一部材2のノブを把持して操作することでロック機構を動作させてロック機構による第二部材3の保持を解除し、そのままノブを把持して第二部材3を手前に引くことで、第二部材3が第一部材2に対して回動し、開口部10を開く。
【0037】
第二部材3を引き出し、第二部材3のストッパ部22の当接面30が、第一部材2のストッパ受け部27の当接面31と当接すると、第二部材3の位置(開き角度)が規制され、それ以上第二部材3が第一部材2に対して移動しないように、すなわち開口部10をそれ以上開かないように規制される。
【0038】
このとき、第1の実施の形態によれば、当接面30,31が第二部材3の移動方向と直交する方向に対して傾斜しているため、これら当接面30,31が第二部材3の移動方向と直交する方向に配置されている場合と比較して、当接面30,31のラップ量LPを大きくすることなく、当接面30,31による第二部材3のストッパ機能を確保しつつ、当接面30,31による配置スペースを抑制できる。
【0039】
また、第二部材3の当接面30が、第二部材3の移動方向と直交する方向に対して、開口部10を開く第二部材3の移動方向側に傾斜し、この当接面30に第一部材2の当接面31が平行であるため、第二部材3が開口部10を開いた状態で、第二部材3に対する左右方向の衝撃に対して当接面30,31が互いに抵抗となって、当接面30,31同士のラップ量LPが少なくてもこの衝撃に対して当接面30,31が外れにくくなる。したがって、第二部材3が第一部材2から容易に脱落することを抑制できる。
【0040】
さらに、メンテナンスなどの際には、第二部材3により開口部10を開いた状態で、第二部材3を第一部材2から取り外す。このとき、本実施の形態では、図2に示すように、スリット部35を利用して、第二部材3の側壁20の少なくとも一部である周辺部20aを第二部材3の内側に傾けるように移動(回動)または変形させる。これにより、当接面30が当接面31に対して回動しつつ離れることで、当接面30,31同士で抵抗を生じさせることがなく、第二部材3の取り外しを妨げない。したがって、第二部材3の取り外し荷重が大きくなることがない。
【0041】
そして、開閉体装置1を車両用のグローブボックスとして用いることで、当接面30,31による配置スペースを抑制できるとともに、第二部材3が開口部10を開いた状態で側方からの衝撃に対して第二部材3が第一部材2から脱落しにくく、かつ、メンテナンスなどの際には第二部材3を第一部材2から容易に取り外すことができる、使い勝手が良好なグローブボックスを実現できる。つまり、簡素な構造で、当接面30,31の外れ防止と取り外し荷重の軽減との両立が可能で、製品品質を向上させることができる。
【0042】
次に、第2の実施の形態について、図4及び図5を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図5に示すように、本実施の形態の開閉体装置1は、第一部材2に対して第二部材3が上下方向に開くものである。
【0044】
第一部材2は、収容部5を区画する周壁部6が、前後方向に延びる側壁部40,40と、側壁部40,40の前部間に連なる前壁部41と、側壁部40,40の後部間に連なる後壁部42と、底壁部43と、を一体的に有する。側壁部40,40、前壁部41及び後壁部42により、周壁部6の上端部に四角形状の開口部10が区画される。
【0045】
第二部材3は、第一部材2に対する移動により開口部10を開閉する蓋体である。第二部材3は、例えば前端部が第一部材2の前壁部41に回動可能に保持されて、上下方向に回動可能となっている。また、第二部材3は、第一部材2に対し、ばねなどの付勢手段により上方に付勢され、ロック機構の保持を解除すると、付勢手段の付勢によって自動で開く構造となっている。
【0046】
そして、図4に示すように、第二部材3は、リッド部15の前側の両側部に、それぞれストッパ部22を有する。ストッパ部22は、リッド部15から外方に突出して形成されている。ストッパ部22は、第二部材3により開口部10を最大に開いた位置で、第一部材2に形成されたストッパ受け部27に当接可能となっている。ストッパ受け部27は、第一部材2の各側壁部40にそれぞれ形成されている。ストッパ部22とストッパ受け部27との当接部が、当接面30,31となっている。
【0047】
当接面30は、ストッパ部22の前部に形成されている。当接面31は、ストッパ受け部27の後部に形成されている。当接面30は、第二部材3の移動方向と直交する方向である左右方向に対して、開口部10(図5)を開く第二部材3の移動方向に傾斜している。本実施の形態では、第二部材3のストッパ部22が第一部材2のストッパ受け部27よりも内側に位置するため、当接面30が当接面31に対して第二部材3が開口部10を開く方向へと内側に向かって当接するように傾斜している。図示される例では、当接面30,31は、それぞれ外側(図中の左側)に向かい徐々に前側に傾斜している。そのため、当接面30,31は、互いに外れる方向、図4においては当接面30が右方向に移動し、当接面30が左方向に移動しようとするのに対し互いにアンダーとなるように、すなわち抵抗を生じさせるように傾斜している。
【0048】
このように、当接面30,31が第二部材3の移動方向と直交する方向に対して傾斜しているため、これら当接面30,31が第二部材3の移動方向と直交する方向に配置されている場合と比較して、当接面30,31のラップ量を大きくすることなく、当接面30,31による配置スペースを抑制できるなど、上記の第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0049】
なお、第2の実施の形態において、開閉体装置1の前後、左右、及び、上下については、一例として示しており、これらの方向は開閉体装置1の設置位置に応じて設定されるものとする。
【0050】
また、上記の各実施の形態において、第二部材3は、第一部材2に対して回動するものに限らず、直線状に移動するものでもよい。この場合であっても、上記の当接面30,31を採用することで、当接面30,31の配置スペースを抑制できるなど、上記の各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0051】
さらに、ストッパ部22を傾斜状に形成することで当接面30を傾斜させる構成としたが、これに限らず、当接面30のみを傾斜させる構成としてもよい。
【0052】
そして、開閉体装置1は、内部に物品を収納する収納装置に限らず、単に開口部10を第二部材3により開閉する装置でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば自動車などの車両用のグローブボックスとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 開閉体装置
2 第一部材
3 第二部材
10 開口部
30,31 当接面
図1
図2
図3
図4
図5