(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132464
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】集水装置
(51)【国際特許分類】
E04G 15/06 20060101AFI20230914BHJP
E04G 21/28 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
E04G15/06 E
E04G21/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037808
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】394027386
【氏名又は名称】株式会社アクス
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】大野 拓司
(72)【発明者】
【氏名】星 幸太
(72)【発明者】
【氏名】竹下 昭裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真央
(72)【発明者】
【氏名】堀口 武男
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】堀江 健史
(72)【発明者】
【氏名】小林 大気
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 大地
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 真央
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150HF10
2E150HF12
2E150HF14
(57)【要約】
【課題】スラブに形成されるダメ穴に雨水を処理する受部材をスムーズ且つ容易に設置することができるとともに、該受部材がスペース効率良く設置することにより、建設作業等の邪魔にならない集水装置を提供することを課題とする。
【解決手段】鉄筋コンクリート製のスラブに開口部を形成する型枠ユニットと、前記型枠ユニット側に設置されることにより前記開口部から漏れる水を回収可能に構成された受部材と、備え、前記型枠ユニットは、上下方向が開口形成された筒状の本体枠と、前記本体枠からスラブ鉄筋側に突出させて、前記本体枠をスラブ鉄筋側に支持する支持鉄筋とを有し、前記受部材は、その上下方向が側面視で前記開口部が形成されるスラブ厚内に収まるように形成された。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート製のスラブに開口部を形成する型枠ユニットと、
前記型枠ユニット側に設置されることにより前記開口部から漏れる水を回収可能に構成された受部材と、備え、
前記型枠ユニットは、上下方向が開口形成された筒状の本体枠と、前記本体枠からスラブ鉄筋側に突出させて、前記本体枠をスラブ鉄筋側に支持する支持鉄筋とを有し、
前記受部材は、その上下方向が側面視で前記開口部が形成されるスラブ厚内に収まるように構成された
集水装置。
【請求項2】
前記支持鉄筋は、前記本体枠の内側に沿って配置される複数の内側支持鉄筋によって、前記開口部の内側に平面視で矩形状の開口枠を形成し、
前記受部材は、前記開口枠の内側から下方に向かう漏斗型に形成された回収部と、前記回収部の周縁側から前記開口枠の外側に向けて延設された支持部とを有する
請求項1に記載の集水装置。
【請求項3】
前記支持部は、周縁側に沿って上下方向に立上形成された突設片が設けられた
請求項2に記載の集水装置。
【請求項4】
前記支持部の周縁側と、前記開口部との間を、シール部材を用いて封止した
請求項2又は3に記載の集水装置。
【請求項5】
前記回収部は、下端側に排出孔が形成され、該排出孔に排出管が着脱可能に構成された
請求項2乃至4の何れかに記載の集水装置。
【請求項6】
前記受部材は、前記開口部上に足場を形成する開口蓋が設置可能に構成された
請求項2乃至5の何れかに記載の集水装置。
【請求項7】
前記開口蓋は、水を通す通水部が形成された
請求項6に記載の集水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブに形成されたダメ穴に用いられる集水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
床スラブを上下に貫通させることにより形成されたダメ穴から流下する雨水を受け止める雨水受け部と、前記雨水受け部で受けた雨水を排出するための排水部と、前記雨水受け部を前記ダメ穴の直下に吊支持する吊り装置とを備えた特許文献1に記載の集水装置が従来公知である。
【0003】
上記文献によれば、構造物の建築中に雨が降ったり、水を撒いたりした場合に、前記雨水受け部と排出部によって、床スラブに形成されるダメ穴から階下に漏れる水を回収することができるため、下の階が必要以上に濡れたり汚れたりすることを防止することができるものである。
【0004】
その一方で、前記雨水受け部は、前記吊り装置によってスラブの下面、言い換えると、下の階の天井面側に吊下げ固定されるため、設置に手間が掛かるとともに、前記雨水受け部が前記ダメ穴よりも一回り以上大きく形成されるため、天井から下方に大きく張り出して建設作業の邪魔になる場合があり得るという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、スラブに形成されるダメ穴に雨水を処理する受部材をスムーズ且つ容易に設置することができるとともに、該受部材がスペース効率良く設置されることによって、建設作業等の邪魔にならない集水装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願発明は第1に、鉄筋コンクリート製のスラブに開口部を形成する型枠ユニットと、前記型枠ユニット側に設置されることにより前記開口部から漏れる水を回収可能に構成された受部材と、備え、前記型枠ユニットは、上下方向が開口形成された筒状の本体枠と、前記本体枠からスラブ鉄筋側に突出させて、前記本体枠をスラブ鉄筋側に支持する支持鉄筋とを有し、前記受部材は、その上下方向が側面視で前記開口部が形成されるスラブ厚内に収まるように構成されたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記支持鉄筋は、前記本体枠の内側に沿って配置される複数の内側支持鉄筋によって、前記開口部の内側に平面視で矩形状の開口枠を形成し、前記受部材は、前記開口枠の内側から下方に向かう漏斗型に形成された回収部と、前記回収部の周縁側から前記開口枠の外側に向けて延設された支持部とを有することを特徴としている。
【0009】
第3に、前記支持部は、周縁側に沿って上下方向に立上形成された突設片が設けられたことを特徴としている。
【0010】
第4に、前記支持部の周縁側と、前記開口部との間を、シール部材を用いて封止したことを特徴としている。
【0011】
第5に、前記回収部は、下端側に排出孔が形成され、該排出孔に排出管が着脱可能に構成されたことを特徴としている。
【0012】
第6に、前記受部材は、前記開口部上に足場を形成する開口蓋が設置可能に構成されたことを特徴としている。
【0013】
第7に、前記開口蓋は、水を通す通水部が形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
前記受部材は、スラブに開口部を形成するための前記型枠ユニット側に設置可能に構成されることにより、受部材の設置作業をスムーズに行うことができるとともに、設置された状態の前記受部材が、側面視で前記開口部が形成されるスラブの厚さ内に収まるように構成されるため、前記受部材が天井から下方に突出せず、建設作業中の現場で邪魔にならない。
【0015】
また、前記支持鉄筋は、前記本体枠の内側に沿って配置される複数の内側支持鉄筋によって前記開口部の内側に平面視で矩形状の開口枠を形成し、前記受部材は、前記開口枠の内側から下方に向かう漏斗型に形成された回収部と、前記回収部の周縁側から前記開口枠の外側に向けて延設された支持部とを有するものによれば、前記受部材は、漏斗型の下端側を前記開口枠の上方から被せる(差し込む)ように設置することによって、前記支持部が前記内側支持鉄筋側に引っかかるようにして係止されるため、前記受部材の設置作業をスムーズ且つ容易に行うことができる。
【0016】
また、前記支持部は、周縁側に沿って上下方向に立上形成された突設片が設けられたものによれば、前記突設片が前記受部材を前記開口部内に設置する際のガイドとして機能するため、前記受部材の設置作業をよりスムーズ且つ正確に行うことができる。
【0017】
また、前記支持部の周縁側と、前記開口部との間を、シール部材を用いて封止したものによれば、前記受部材の周縁側と前記開口部との間に形成される隙間から水が漏れることを確実に防止することができる。
【0018】
また、前記回収部は、下端側に形成された排出孔を介して水を排出する排出管が着脱可能に構成されたものによれば、前記受部材を使用しないときは前記排出管を取外すことができるため、前記受部材や排出管等をよりコンパクトに収容することができる。
【0019】
また、前記受部材は、前記開口部上に足場を形成する開口蓋が設置可能に構成されたものによれば、前記開口部上を作業者の足場として利用することができる。
【0020】
なお、前記開口蓋は、水を通す通水部が形成されたものによれば、前記開口部を閉じて足場として利用できる状態を維持しつつ、前記開口部から落ちる水を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】(A)及び(B)は、集水装置の設置状態を示した要部側面図と、A-A端面図である。
【
図3】開口部を形成した型枠ユニットを示す平面図である。
【
図4】(A)は、型枠ユニットを示した側面図であり、(B)は、被り用型枠を示した平面図である。
【
図5】(A)及び(B)は、集水ユニットを示した平面図及び側面図である。
【
図6】(A)及び(B)は、シール部材の設置前後を示した平面図である。
【
図7】(A)は、開口蓋を設置した状態を示した平面図であり、(B)及び(C)は、開口蓋を示した平面図及び中央横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の集水装置の実施形態を
図1及び
図2に基づいて説明する。
図1は、集水装置の設置状態を示した平面図であり、
図2(A)及び(B)は、集水装置を設置した状態を示した要部側面図と、A-A断面図である。図示した集水装置は、鉄筋コンクリート構造の床板(スラブ)に工事の際に使用する通称「だめ穴」(以下、開口部)を形成する型枠ユニット(スラブ開口用型枠)2と、前記型枠ユニット2に着脱可能に設けられる集水ユニット3とから構成されている。
【0023】
前記集水装置は、まず、コンクリートを打設することによりスラブ(床板)が形成される型枠内に、前記型枠ユニット2を設置することによって、鉄筋コンクリート製のスラブに前記開口部(だめ穴)4を形成し、その後、前記開口部4を形成する前記型枠ユニット2に前記集水ユニット3を設置(載置)することによって、前記開口部4から下の階に流下する雨水等を回収・処理することができるように構成されている(
図1及び
図2等参照)。集水装置を構成する前記型枠ユニット2と、前記集水ユニット3の具体的構成について以下説明する。
【0024】
次に、
図1乃至4に基づき、型枠ユニットの具体的な構成について説明する。
図3は、開口部を形成した型枠ユニットを示す平面図であり、
図4(A)は、型枠ユニットを示した側面図であり、
図4(B)は、被り用型枠を示した平面図である。
【0025】
前記型枠ユニット2は、スラブを上下方向に貫通する方形枠上の前記開口部4に沿うように鉄筋を編成した型枠鉄筋(本体枠)6と、前記型枠鉄筋6の上部側及び下部側に配置されて開口部4周辺のスラブ鉄筋10側へ向けて延設されるアンカー鉄筋(支持鉄筋)7と、開口部4上にスライド移動可能に設けた補強鉄筋8と、前記型枠鉄筋6の上端側に着脱可能に載置されて開口部における被り厚を形成する被り用型枠(本体枠)9とを備え、スラブ内の上下位置にそれぞれ格子状に設けられたスラブ鉄筋10の間に配置されている。
【0026】
前記型枠鉄筋6は、開口部4の長手方向に沿って平行に配置される第1鉄筋11と、該第1鉄筋11の端部と直交するように配置される第2鉄筋12とを矩形状に編組することにより、長方形状の枠体に形成されている。なお、該構成の型枠鉄筋6の周面側には、打設されるコンクリートを堰き止めるメッシュ部材(図示しない)等を設けても良い。なお、前記第1鉄筋と前記第2鉄筋の長さを同じにしても良い。
【0027】
また、該型枠鉄筋6は、その内周面側と外周面側とに、上下方向に積み重ねられた各鉄筋11,12と直交する上下方向に設けられた縦鉄筋13が取付固定されている。これにより、枠状の該型枠鉄筋6がより強固になる。
【0028】
前記アンカー鉄筋7は、前記型枠鉄筋6の第1鉄筋11と第2鉄筋12とに沿うように設けられて、平面視で前記型枠鉄筋6上に配置されたサブアンカー鉄筋7Aと、平面視で前記型枠鉄筋6の内側に配置されたメインアンカー鉄筋(内側支持鉄筋)7Bとを備えている。
【0029】
上記サブアンカー鉄筋7Aは、前記第1鉄筋11と平面視で重なるように配置される第1サブアンカー鉄筋7Aaと、前記第2鉄筋12と平面視で重なるように配置される第2サブアンカー鉄筋7Abとを備え、各サブアンカー鉄筋7Aにより、前記型枠鉄筋6の上面側及び下面側のそれぞれに、前記開口部4の形状に沿った枠状となるように設けられている。
【0030】
上記メインアンカー鉄筋7Bは、前記第1サブアンカー鉄筋7Aaと並行であって且つ前記開口部4内面側に沿って延設される一対の第1メインアンカー鉄筋7Ba,7Baと、前記第2サブアンカー鉄筋7Abと並行であって且つ前記開口部4内面側に沿って延設される一対の第2メインアンカー鉄筋7Bb,7Bbとを備えている。
【0031】
該構成によれば、前記メインアンカー鉄筋7Bによって、前記開口部(平面視で矩形状に組まれたサブアンカー鉄筋7A)の内側に、該開口部4よりも一回り小さい矩形状の開口枠5が形成される。
【0032】
前記補助鉄筋8は、両端側がJ字状に屈曲形成された1又は複数(図示する例では4本)の鉄筋であり、その両端側が一対の前記第1メインアンカー鉄筋7Baと係合することにより、前記第1メインアンカー鉄筋7Ba上でスライド可能に支持されている。前記補強鉄筋8は、前記開口部4(開口枠5)の端に寄せることによって、前記開口部4(開口枠5)を大きく開放することができる一方で、各補強鉄筋8を前記開口部4上に並べることによって前記開口部4を塞ぐこともできる。
【0033】
前記被り用型枠9は、前記型枠鉄筋6に沿って方形枠状に形成されており、前記型枠鉄筋6の上面側に着脱可能に設置されることによって、前記型枠ユニット2の一部となるように構成されている。また、該被り用型枠9は、その上下方向の幅がコンクリートスラブの被り厚よりも高くなるように形成されており、コンクリートが打設されることによってスラブ(及び開口部4)が形成された後に前記型枠鉄筋6の上端側から取外すことができるように構成されている。
【0034】
上述のように構成される型枠ユニット2は、スラブ鉄筋10側の型枠内に設置することによって、前記型枠鉄筋6及び被り用型枠9がスラブに前記開口部4を形成するための型枠となる。具体的には、前記型枠ユニット2の設置後にスラブ鉄筋10側の型枠にコンクリートを打設することにより、前記開口部4の外側に突出した前記アンカー鉄筋7がコンクリートと結合して前記型枠鉄筋2の全体がスラブを形成するコンクリートと強力に一体化するため、前記型枠鉄筋6と前記被り用型枠9の内側に前記開口部(だめ穴)4を形成することができる。
【0035】
該型枠ユニット2により形成された前記開口部4は、工事等で使用される場合には、補強鉄筋8を端までスライド移動させて工事穴として利用することができる。また、前記開口部4が使用されない場合には、後述する開口蓋によって、前記開口部4を閉じることができる他、雨が降った場合には、前記開口部4に後述する前記集水ユニット3を設置することにより、前記開口部4から下の階に流れ出る雨水等を一か所に集めて処理することができる。前記集水ユニット4の具体的な構成については後述する。
【0036】
ちなみに、工事が終了して前記開口部4が不要となった場合には、前記補強鉄筋8を前記開口部4上にスライド移動させることによって、前記開口部4内に前記補強鉄筋8を複数並べて配置した状態で前記開口部4をコンクリートで埋め立てることができる。
【0037】
次に、
図1乃至5に基づき、型枠ユニットの具体的な構成について説明する。
図5(A)及び(B)は、集水ユニットを示した平面図及び側面図である。
【0038】
前記集水ユニット3は、前記開口部4を形成した前記型枠ユニット2に着脱可能に取付けられる(載置される)受部材16と、前記受部材16の下端側に着脱自在に構成された排水ホース17とを備え、前記開口部4から階下に漏れる水を回収(処理)することができるように構成されている。
【0039】
前記受部材16は、下方に向かって延設される漏斗型に形成された回収部18と、前記回収部18の周縁側に沿って枠状に形成された支持部19と、前記回収部18の下端側に穿設された排水孔21とが形成された板状部材であって、全体の上下幅が側面視で前記開口部4が形成されたスラブの厚さ(より好ましくは型枠ユニットの上下範囲)内に収まるように構成されている。
【0040】
前記回収部18は、平面視で前記開口枠4に沿った(或いは、前記開口枠4よりも一回り小さい)矩形状に形成されており、各辺から中心に向かって下方傾斜する傾斜面18aと、該傾斜面18aの下端側に形成された水平方向の底面(下端面)18bとが形成され、該底面18bに前記排水孔21が穿設されている。これにより、前記回収部18は、前記底面18bに集めた雨水等の処理水を回収処理することができる(
図5等参照)。
【0041】
前記支持部19は、側面視で前記回収部18の周縁(上端)側から水平方向に突出されることによりリブ状に形成されており、該支持部19の周縁側には、上方に向けて立上げ形成された突設片22が設けられている。これにより、前記支持部19(及び突設片22)は、平面視で前記型枠ユニット2によって形成される前記開口部4と、前記開口枠5との間を埋める枠状に形成されている(
図1等参照)。
【0042】
該突設片22は、前記開口部4(被り用型枠9)の開通方向に沿った上下方向に立上げ形成されている。これにより、前記突設片22は、前記受部材16を前記開口部4(型枠ユニット2)に落とし込む際のガイド片として機能するため、前記受部材16(集水ユニット3)の設置作業をよりスムーズに行うことができるようになる。また、前記突設片22が形成されることにより、板状部材を屈曲形成することによって構成された前記受部材16(支持部19)の強度も向上する。
【0043】
また、該支持部19は、前記開口枠5(メインアンカー鉄筋7B)上にスライド移動可能に設けた前記補助鉄筋8の上に載置されている。このとき、複数(図示する例では、4本)設けられた前記補助鉄筋8は、左右に分けて両端側に寄せた位置までスライドさせた状態で、前記補助鉄筋8上に前記支持部19が載置されることにより、前記開口枠5上に設置(載置)された前記受部材16が水平となるように構成されている(
図2(A)及び(B)等参照)。
【0044】
なお、前記補助鉄筋8は、前記開口部4をコンクリートで埋設する際に後付可能に構成しても良い。この場合、前記支持部19は、前記開口枠5を形成する前記メインアンカー鉄筋7B上に載置される。なお、該支持部19は、前記型枠鉄筋6の上端側に載置されるように構成しても良い。
【0045】
前記排水ホース17は、前記排水孔21に着脱可能に取付けられることにより、前記受部材16の下端側から下方に向けて延設されており、前記受部材16によって回収された雨水等の処理水を一か所に集めて処理することができる。
【0046】
上述のように構成される集水ユニット3によれば、前記受部材16を、前記開口部4(開口枠5)を形成した前記型枠ユニット2上に落とし込む(載置される)ことによって、スムーズ且つ簡易に設置可能な桶として機能させることができる。
【0047】
また、前記集水ユニット3の上下方向は、前記型枠ユニット2が設置された(前記開口部4が形成された)スラブの厚さ内に収まるように構成されている。これにより、前記開口部4に設置された前記集水ユニット3(前記受部材16)が、天井面(スラブ)より下方に張り出さないため、前記集水ユニット3(受部材16)が設置された階(スラブ)の下の階での作業の邪魔になることがない(
図2等参照)。
【0048】
また、前記集水ユニット3は、前記排水ホース17を前記受部材16に対して着脱可能に構成したことにより、前記排水ホース17を取外した複数の前記受部材16同士を重ねることができるため、前記集水ユニット3をよりコンパクトに収容することができる。
【0049】
さらに、前記集水ユニット3は、前記型枠ユニット2により形成された前記開口部4がその役目を終えてコンクリートで埋め戻すことになった場合であっても、その他の前記開口部4に設ける集水ユニット3として使いまわすことができるため、経済的に再活用することができる。
【0050】
ちなみに、前記集水ユニット3(受部材16)は、前記開口部4よりも若干(一回り)小さい矩形状に形成されることにより、前記開口部4に落とし込むようにして設置することができるように構成されている。これにより、前記型枠ユニット2に設置された前記集水ユニット4(受部材16)と、前記開口部4との間には、雨水等が漏下する僅かな隙間が形成されるため、前記集水ユニット3の設置後に、前記隙間を封止するシール部材(テープ部材)24が設けられる。テープ部材24の具体的な構成について以下、説明する。
【0051】
なお、前記受部材16は、前記開口部4と嵌合する矩形状に形成し、該隙間が形成されないようにしても良い。
【0052】
次に、
図6に基づき、テープ部材について説明する。
図6(A)及び(B)は、テープ部材の設置前後を示した平面図である。
【0053】
前記テープ部材24は、前記スラブと前記受部材(の支持部)との間に形成される隙間を封止するシーリング剤であって、図示する例では、粘着性と防水性を有する防水テープ(より具体的には、ブチルテープ等)が用いられている。
【0054】
また、前記テープ部材24を前記スラブ(開口部4)と前記受部材16(支持部19)との間に貼付する作業を行う前に、スラブの前記開口部4回りを清掃して埃や砂利がない状態にすることによって、前記テープ部材24が剥がれにくくなるとともに、該テープ部材24の防水性能を十全に発揮することができるようになる。
【0055】
なお、前記テープ部材24を設置した後に、前記テープ部材24の上方を図示しないシート体(ブルーシート)で覆って、該シート体をテープ等で固定しても良い。該構成によれば、前記シート体によって前記テープ部材24回りを養生することによって、前記テープ部材24が破損することを防止したり、該テープ部材24が剥がれたりすることを防止することができる。
【0056】
次に、
図7に基づき、集水装置の別実施例について説明する。
図7(A)は、開口蓋を設置した状態を示した平面図であり、
図7(B)及び(C)は、開口蓋を示した平面図及び中央横断面図である。前記集水装置は、図示されるように、前記受部材の上に、前記開口部を閉じる開口蓋を設置可能に構成しても良い。
【0057】
前記開口蓋31は、前記回収部18の上面側をカバーするカバー部32と、前記カバー部32の周縁を前記受部材16の周縁側に係止するための係止部33とを有し、前記開口蓋31が前記集水ユニット3(受部材16)上に設置されることにより、前記カバー部32を、前記開口部4を作業者の足場として利用ることができるように構成されている。
【0058】
前記カバー部32は、前記受部材16上に設置された際に、水平方向を向く面であって、前記カバー部32が、前記開口部4が形成されるスラブと同一平面上に配置されるように構成されている。これにより、該カバー部32が、前記開口部を一時的に塞いで、前記開口部を作業時の足場として用いることができるようになる。
【0059】
また、前記カバー部32は、網状、グレーチング状(
図7参照)、又はパンチングされた板状等に形成されることにより、雨水を前記回収部へ通す通水部32aが形成されている。該構成によれば、前記カバー部32は、前記回収部18の上方を覆う足場として機能するとともに、雨水等の処理水を回収する機能も同時に発揮することができる。また、該通水部32aを用いて、前記開口蓋31を把持することができるため、前記開口蓋31の着脱操作も容易に行うことができる。
【0060】
前記係止部33は、前記カバー部の周縁に形成された枠状の突設片であって、前記受部材16の周辺側に形成された枠状の前記突設片22の内周面又は外周面に係止(嵌合)するように構成されている。該構成によれば、前記集水装置(前記型枠ユニット2及び前記集水ユニット4)が設置された前記開口部4(回収部18)を覆う所定位置に、前記開口蓋31を設置することができる。
【符号の説明】
【0061】
3 型枠ユニット
4 開口部(だめ穴)
6 型枠鉄筋(本体枠)
7 アンカー鉄筋(支持鉄筋)
7B メインアンカー鉄筋(内側支持鉄筋)
16 受部材
22 突設片
24 テープ部材(シール部材)
31 開口蓋
32a 通水部