(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132501
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】レンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20230914BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230914BHJP
G03B 17/08 20210101ALI20230914BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20230914BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20230914BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20230914BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230914BHJP
B60R 1/24 20220101ALI20230914BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20230914BHJP
B60R 1/29 20220101ALI20230914BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G02B7/02 Z
G02B7/02 E
G03B17/02
G03B17/08
H04N5/225 700
H04N5/225 430
H04N5/232 930
H04N7/18 J
B60R1/24
B60R1/26
B60R1/29
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037863
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】柴田 将俊
【テーマコード(参考)】
2H044
2H100
2H101
3D020
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AD02
2H044AE06
2H044AJ03
2H044AJ04
2H044AJ06
2H100EE05
2H101CC91
3D020BA05
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC03
3D020BC10
3D020BC17
3D020BD03
5C054CC05
5C054CD01
5C054HA30
5C122DA14
5C122EA02
5C122FK12
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE21
(57)【要約】
【課題】ヒータによって第1レンズを効率的に加熱することができるレンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体を提供する。
【解決手段】複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群Lと、このレンズ群Lを収容保持する鏡筒12と、最も物体側に位置する第1レンズ13と、この第1レンズ13を加熱するヒータ30と、第1レンズ以外の部位に前記ヒータによる熱が伝導するのを抑制する熱伝導抑制部材35を備え、第1レンズ13と鏡筒12との間に設けられたシール部材26の内部にヒータ30が設けられ、シール部材26と鏡筒12との間に熱伝導抑制部材35が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒と、最も物体側に位置する第1レンズと、この第1レンズを加熱するヒータとを備えたレンズユニットにおいて、
前記第1レンズ以外の部位に前記ヒータによる熱が伝導するのを抑制する熱伝導抑制部材を備えたことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記第1レンズと前記鏡筒との間に設けられたシール部材の内部に前記ヒータが設けられ、
前記シール部材と前記鏡筒との間に前記熱伝導抑制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記第1レンズのフランジの像側を向く面に前記ヒータが設けられ、
前記ヒータの像側を向く面に前記熱伝導抑制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のレンズユニットと、前記レンズユニットの前記レンズ群を通じて集光される光を電気信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラモジュールと、前記カメラモジュールを制御するとともに前記カメラモジュールの撮像素子から出力される電気信号を処理する制御部とを有する撮像装置と、
前記撮像装置により取得される画像信号を処理する処理装置と、
前記処理装置により処理されて出力される画像を表示する表示装置と、
を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像システムを搭載し、前記表示装置により乗員への情報を出力することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される車載カメラを構成するレンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび撮像システムを搭載した移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたカメラ(車載カメラ)が車外の風景等を撮像し、その撮像画像が車内に搭載されたモニタ等に表示される技術が知られている。車載カメラのレンズユニットは、撮像対象に向けられる側(物体側)が車外に露出した状態となるので、強度、防水性、耐薬品性、高温耐久性等が要求される。また、温度変化によるレンズの曇りを防止する必要などがある。
【0003】
特許文献1には、レンズの曇りを防止するために、鏡筒内部の気密状態を確保したレンズユニットが開示されている。このレンズユニットでは、4つのレンズが鏡筒内に光軸方向に沿って並べて配置されている。物体側では、最も物体側のレンズと鏡筒の内周面との間に0リングを配置することで、シール性が実現されている。また、像側(撮像素子側)では、接着剤を介して光学フィルタを鏡筒に取り付けることで、シール性が実現されている。このように、物体側のシールと結像側のシールとにより鏡筒内部の気密性が確保され、レンズの曇りが防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように鏡筒内部の機密状態を確保しても、外気温とレンズユニット内の温度との間の差が大きくなると、レンズユニット内の水蒸気が凝縮してレンズ表面に結露が生じる。特に、外部との温度差の影響が最も大きい第1レンズ(最も物体側の位置するレンズ)とこれに隣り合う第2レンズとの間のレンズ間空間内で、とりわけ第1レンズの裏面に結露が生じ易い。
【0006】
そこで、第1レンズの裏面の結露を除去するために、当該第1レンズをFPCヒータ等の面状ヒータによって加熱することが考えられる。面状ヒータは、ドーナツ板形状に形成されて、第1レンズのフランジ裏面(像側を向く面)に貼り付けられる。
また、第1レンズの外周部に設けられたОリングにリング状のヒータを内蔵し、当該ヒータによってОリングを加熱し、この熱によって第1レンズを外周部から加熱することも考えられる。
第1レンズをヒータによって加熱する場合、ヒータの熱を効率的に第1レンズへ伝える必要がある。しかし、ヒータ周りや第1レンズ周りの周囲部材が第1レンズより熱伝導性が高い場合、ヒータからの熱が周囲部材に逃げてしまい、第1レンズを効率的に加熱することができなくなる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ヒータによって第1レンズを効率的に加熱することができるレンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係るレンズユニットは、複数のレンズが当該レンズの光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒と、最も物体側に位置する第1レンズと、この第1レンズを加熱するヒータとを備えたレンズユニットにおいて、
前記第1レンズ以外の部位に前記ヒータによる熱が伝導するのを抑制する熱伝導抑制部材を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記熱伝導抑制部材は、シート状の薄板を鏡筒内面や第1レンズのフランジの像側を向く面に設置してもよいし、膜形成技術によって、薄膜を形成してもよい。
また、熱伝導抑制部材は、熱伝導率が第1レンズおよび鏡筒より低いものを使用し、熱伝導率は1[W/(m・K)]以下が好ましい。
【0010】
本発明においては、ヒータで発熱した熱は、熱伝導抑制部材によって第1レンズ以外の部位に伝導するのが抑制されるので、ヒータによって第1レンズを効率的に加熱することができる。
【0011】
また、本発明の前記構成において、前記第1レンズと前記鏡筒との間に設けられたシール部材の内部に前記ヒータが設けられ、
前記シール部材と前記鏡筒との間に前記熱伝導抑制部材が設けられていてもよい。
【0012】
シール部材と鏡筒との間に熱伝導抑制部材を設ける場合、シール部材と鏡筒の軸方向(光軸方向)とほぼ平行な内周面との間に設けるのが好ましく、これに加えてシール部材と、鏡筒の軸方向と交差する交差面する交差面との間に設けてもよい。
【0013】
このような構成によれば、ヒータによってシール部材が加熱された場合に、当該シール部材の熱が熱伝導部材によって鏡筒に伝導するのを効果的に抑制することができる。
【0014】
また、本発明の前記構成において、前記第1レンズのフランジの像側を向く面に前記ヒータが設けられ、前記ヒータの像側を向く面に前記熱伝導抑制部材が設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、ヒータで発熱した熱が第1レンズのフランジの像側を向く面から第2レンズに伝導し、当該第2レンズから鏡筒に伝導するのを熱伝導抑制部材によって確実に抑制することができる。
【0016】
また、本発明は、前記レンズユニットを有するカメラモジュール、当該カメラモジュールを有する撮像システム、および、撮像システムを搭載して成る移動体も提供する。このようなカメラモジュール、撮像システムおよび移動体によっても上述したレンズユニットと同様の作用効果を得ることができる。なお、「移動体」とは、移動できる物体の全てを指し、例えば車両等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヒータによって第1レンズを効率的に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示すレンズユニットの概略断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態を示すレンズユニットの概略断面図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態を示すレンズユニットの概略断面図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態を示すレンズユニットの概略断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態のレンズユニットを備えたカメラモジュールの概略断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るカメラモジュールを備える撮像システム(車載システム)が搭載される移動体としての車両の概略図である。
【
図7】
図6に示す撮像システムを構成する撮像装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明するが、本実施形態は、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の、「9.1 すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靭(レジリエント)なインフラを開発する。」に貢献する。
なお、以下で説明される本実施形態のレンズユニットは、特に車載カメラ等のカメラモジュール用のものであり、例えば、自動車の外表面側に固定して設置され、配線は自動車内に引き込まれてディスプレイやその他の装置に接続される。また、全ての図においてレンズおよびスペーサについてはハッチングを省略している。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレンズユニット11Aを示している。図示のように、本実施形態のレンズユニット11Aは、例えば樹脂製の円筒状の鏡筒(バレル)12と、鏡筒12内に配置される複数の平面視円形状のレンズ、例えば、物体側(
図1において上側)から、第1レンズ13、第2レンズ14、第3レンズ15および第4レンズ16から成る4つのレンズと、2つの絞り部材22a,22bとを備えている。
【0021】
2つの絞り部材22a,22bのうちの物体側から1番目の絞り部材22aは、第2レンズ14と第3レンズ15との間に配置されている。物体側から2番目の絞り部材22bは、第3レンズ15と第4レンズ16との間に配置されている。
絞り部材22a,22bは透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。このようなレンズユニット11Aを備える車載カメラは、レンズユニット11Aと、図示しないイメージセンサを有する基板と、当該基板を自動車等の車両に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
【0022】
鏡筒12内に収容される複数のレンズ13,14,15,16は、それぞれの光軸を一致させた状態で積み重ねられて配置されており、1つの光軸Oに沿って各レンズ13,14,15,16が並べられた状態となって、撮像に用いられる一群のレンズ群Lを構成している。この場合、レンズ群Lを構成する最も物体側に位置する第1レンズ13は、物体側に平坦面を有するとともに像側に凹面を有する球面ガラスレンズであり、その他のレンズ14,15,16は樹脂レンズであるが、これに限定されない(例えば、第1レンズ13が樹脂レンズであっても構わない)。
また、光軸方向に隣り合うレンズ間にスペーサが適宜設けられていてもよい。レンズの数、スペーサの数やレンズ、スペーサおよび鏡筒の素材等については用途等に応じて任意に設定できる。
なお、これらのレンズ13,14,15,16の表面には、必要に応じて、反射防止膜、親水膜、撥水膜等が設けられる。
【0023】
また、本実施形態において、最も物体側に位置する第1レンズ13と鏡筒12との間にはシール部材としてのOリング26が介挿され、鏡筒12の内側のレンズ群L内に水や塵埃が侵入しないようにしている。この場合、第1レンズ13の外周面13dに、該レンズ13の像側部分で径が小さくなった段差状の縮径部13eが設けられ、この縮径部13eにOリング26が装着されている。そして、第1レンズ13の縮径部13eの外周面と鏡筒12の内周面との間でOリング26が径方向で圧縮されることにより、鏡筒12の物体側端部が封止された状態となっている。
なお、第1レンズ13と鏡筒12との間に介挿されるシール部材は、Oリング26に限定されず、第1レンズ13と鏡筒12との間をシールできる環状体であればどのような形態であっても構わない。
【0024】
また、鏡筒12は、レンズ群Lが組み込まれて収容保持された状態で、その物体側の端部(
図1において上端部)のカシメ部23が径方向内側に熱的にカシメられることにより、レンズ群Lの最も物体側に位置する第1レンズ13をこのカシメ部23により鏡筒12の物体側端部に光軸方向で固定している。この場合、安定したカシメを行なえるように、カシメ部23が圧接されるガラスレンズ13の部位は平面状に斜めにカットされた平坦部13bとして形成される。
【0025】
また、鏡筒12は、像側の端部(
図1において下端部)において、第4レンズ16よりも径の小さい開口部を有する内側フランジ部24を有している。この内側フランジ部24とカシメ部23とにより、鏡筒12内にレンズ群Lを構成する複数のレンズ13,14,15,16と絞り部材22a,22bとが光軸方向で保持固定されている。
また、鏡筒12の外周面には、鏡筒12を車載カメラに設置する際に用いられる外側フランジ部25が鏡筒12の外周面に鍔状に設けられている。
【0026】
また、シール部材としてのOリング26の内部には、ヒータ30が内蔵されている。ヒータ30は、例えばニクロム線によってリング状に形成され、Oリング26とほぼ同心状に配置されている。また、鏡筒12の物体側端部(
図1において上端部)には、光軸Оとほぼ平行に延在する挿通孔12kが設けられ、当該挿通孔12kの上端はOリング26が設けられた側に開口し、下端は鏡筒12の外部に開口している。挿通孔12kは1つであってもよいし、鏡筒12の周方向に所定間隔で複数設けられていてもよい。
ヒータ30には、導線31の一端部が接続され、当該導線31の他端部は挿通孔12kに挿通されて、鏡筒12の外部に引き出され、図示しない電源に接続されている。ヒータ30は、電源から導線31を通して給電され、発熱するようになっている。ヒータ30が発熱すると、Оリング26が加熱され、この熱によって第1レンズ13が縮径部13eから加熱される。
【0027】
また、本実施形態では、第1レンズ13以外の部位にヒータ30による熱が伝導するのを抑制する熱伝導抑制部材35を備えている。
熱伝導抑制部材35は、Оリング26と鏡筒12の軸方向(光軸方向)とほぼ平行な内周面12aとの間に設けられた第1熱伝導抑制部材35aと、Оリング26と鏡筒12の軸方向と交差する交差面12dとの間に設けられた第2熱伝導抑制部材35bと、鏡筒12の軸方向(光軸方向)とほぼ平行でかつ前記内周面12aより内径側に位置する内周面12bと、第2レンズ14の外周面との間に設けられた第3熱伝導抑制部材35cとを備えている。
【0028】
第1熱伝導抑制部材35a、第2熱伝導抑制部材35bおよび第3熱伝導抑制部材35cは一体的に、かつ、鏡筒12の周方向に連続する薄肉円筒状に形成されている。このような薄肉円筒状の熱伝導抑制部材35は、断熱シートによって形成し、当該断熱シートを鏡筒12の内周面12a,12bおよび交差面12dに接着してもよい。断熱シートを形成する材料としては、例えば、繊維系断熱材(グラスウール、ロックウール、セルローズファイバー、炭化コルク、羊毛断熱材)、発砲系断熱材(ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレン、発砲ゴム、押し出し法ポリスチレン)、その他(エアロゲル、ヒュームドシリカ、真空断熱材)を挙げることができる。
また、熱伝導抑制部材35は、鏡筒12の内周面12a,12bおよび交差面12dに熱伝導を抑制する機能を有する薄膜を形成(コーテイング)することによって構成してもよい。薄膜は蒸着、溶射、塗装等の薄膜形成技術によって形成すればよい。
また、熱伝導抑制部材35は、熱伝導率が第1レンズ13および鏡筒12より低いものを使用し、熱伝導率は1[W/(m・K)]以下が好ましい。
【0029】
本実施形態によれば、ヒータ30で発熱した熱は、熱伝導抑制部材35によって第1レンズ13以外の部位に伝導するのが抑制されるので、ヒータ30によって第1レンズ13を効率的に加熱することができる。
また、熱伝導抑制部材35が、鏡筒12の内周面12a,12bおよび交差面12dに接に形成されているので、ヒータ30で発熱した熱を、鏡筒12に伝導するのを効果的に抑制することができる。
【0030】
(第2の実施形態)
図2は、レンズユニットの第2の実施形態を示すものである。
図2に示すレンズユニット11Bが第1の実施形態のレンズユニット11Aと異なる点は、第1レンズ13をカシメ部23のカシメ代えて、キャップ23kによって固定した点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
鏡筒12の物体側の端部(
図2において上端部)にはキャップ23kが螺着されており、このキャップ23kによってレンズ群Lの最も物体側に位置される第1レンズ13が鏡筒12の物体側の端部に固定されている。
キャップ23kは、円筒状に形成され、上端部には径方向内側に突出するフランジ23fが形成され、このフランジ23fの内周部に第1レンズ13の斜めにカットされた平坦部13bに当接して押える押え面23gが形成されている。
また、キャップ23kの内周面には雌ねじ部23mが形成され、この雌ねじ部213mを鏡筒12の上端部外周部に形成された雄ねじ部12mに螺合して締め付けることによって、押え面23gが第1レンズ13の平坦部13bに当接して当該平坦部13bを押え付け、これによって、第1レンズ13が固定されている。
このようなキャップ23kによる第1レンズ13の固定は、鏡筒12が金属製の場合に行われるが、鏡筒12が第1の実施形態と同様に樹脂製の場合に行ってもよい。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(第3の実施形態)
図3は、レンズユニットの第3の実施形態を示すものである。
図3に示すレンズユニット11Cが第1の実施形態のレンズユニット11Aと異なる点は、ヒータと熱伝導抑制部材の構成であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0033】
本実施形態では、第1レンズ13のフランジ13fの像側(
図3において下側)を向く面13mにヒータ32が設けられている。ヒータ32は、ドーナツ板形状に形成された面状ヒータであり、第1レンズ13のフランジ13fの裏面(像側を向く面)に貼り付けられている。ヒータ32は、例えばFPCヒータやPTCヒータで構成されている。
【0034】
ヒータ32の像側を向く面32aに熱伝導抑制部材36が設けられている。熱伝導抑制部材36は、平面視においてヒータ32の裏面とほぼ同形状に形成された薄肉ドーナツ板形状のものであり、ヒータ32の像側を向く面32aと、第2レンズ14のフランジ14fの表面とによって挟持されている。なお、熱伝導抑制部材36をヒータ32の裏面に接着してもよい。
【0035】
また、熱伝導抑制部材36は、断熱シートによって形成してもよい。断熱シートを形成する材料としては、第1の実施形態と同様に、例えば、繊維系断熱材(グラスウール、ロックウール、セルローズファイバー、炭化コルク、羊毛断熱材)、発砲系断熱材(ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレン、発砲ゴム、押し出し法ポリスチレン)、その他(エアロゲル、ヒュームドシリカ、真空断熱材)を挙げることができる。
また、熱伝導抑制部材36は、ヒータ32の裏面に熱伝導を抑制する機能を有する薄膜を形成(コーテイング)することによって構成してもよい。薄膜は蒸着、溶射、塗装等の薄膜形成技術によって形成すればよい。
また、熱伝導抑制部材36は、熱伝導率が第1レンズ13および鏡筒12より低いものを使用し、熱伝導率は1[W/(m・K)]以下が好ましい。
【0036】
本実施形態によれば、ヒータ32で発熱した熱が第1レンズ13のフランジ13fの像側を向く面から第2レンズ14に伝導し、当該第2レンズ14から鏡筒12に伝導するのを熱伝導抑制部材36によって確実に抑制することができる。
【0037】
(第4の実施形態)
図4は、レンズユニットの第4の実施形態を示すものである。
図4に示すレンズユニット11Dが第3の実施形態のレンズユニット11Cと異なる点は、第1レンズ13をカシメ部23のカシメ代えて、キャップ23kによって固定した点である。この点については、第2の実施形態で説明したので、第2の実施形態と同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
図5は、
図1に示すレンズユニット11Aを有する本実施形態のカメラモジュール300の概略断面図である。図示のように、カメラモジュール300は、フィルタ99が装着されたレンズユニット11Aを含んで構成されている。
なお、カメラモジュール300は、レンズユニット11Aに代えて、レンズユニット11B、レンズユニット11Cまたはレンズユニット11Dを含んで構成してもよい。
【0039】
カメラモジュール300は、外装部品である上ケース(カメラケース)301と、レンズユニット11Aを保持するマウント(台座)302とを備えている。また、カメラモジュール300は、シール部材303およびパッケージセンサ(撮像素子;イメージセンサ)304を備えている。
【0040】
上ケース301は、鏡筒12の外周面に鍔状に設けられる外側フランジ部25に係合されるとともに、レンズユニット11Aの物体側の端部を露出させて他の部分を覆う部材である。マウント302は、上ケース301の内部に配置されており、レンズユニット11Aの雄ねじ11aと螺合する雌ねじ302aを有する。シール部材303は、上ケース301の内面とレンズユニット11Aの鏡筒12の外周面との間に介挿された部材であり、上ケース301の内部の気密性を保持するための部材である。
【0041】
パッケージセンサ304は、赤外線カットフィルタ99と対向してマウント302の内部に配置されており、かつ、レンズユニット11Aにより形成される物体の像を受光する位置に配置されている。また、パッケージセンサ304は、CCDやCMOS等を備えており、レンズユニット11Aを通じて集光されて到達する光を電気信号に変換する。変換された電気信号は、カメラにより撮影された画像データの構成要素であるアナログデータやデジタルデータに変換される。
【0042】
図6には、
図5に示すカメラモジュール300を含む撮像装置250を備える車載システム(撮像システム)が搭載される移動体としての車両240が概略的に示されている。図示のように、撮像装置250は車両240に搭載することができ、
図5は、車両240における撮像装置250の搭載位置を例示する配置例である。車両240に搭載される撮像装置250は、車載カメラと呼ぶこともでき、車両240の種々の場所に設置することができる。例えば、第1の撮像装置250aは、車両240が走行する際の前方を監視するカメラとして、フロントバンパーまたはその近傍に配置されてもよい。また、前方を監視する第2の撮像装置250bは、車両240の車室内のルームミラー(Inner Rearview Mirror)の近傍に配置されてもよい。第3の撮像装置250cは、運転者の運転状況を監視するカメラとしてダッシュボード上またはインスツルメントパネル内等に配置されてもよい。第4の撮像装置250dは、車両240の後方モニター用に車両240の後部に設置されてもよい。撮像装置250a、250bはフロントカメラと呼ぶことができる。第3の撮像装置250cは、インカメラと呼ぶことができる。第4の撮像装置250dはリアカメラと呼ぶことができる。撮像装置250は、これらに限られず、左後ろ側方を撮像する左サイドカメラおよび右後ろ側方を撮像する右サイドカメラ等、種々の位置に設置される撮像装置を含む。
【0043】
撮像装置250により撮像された画像の画像信号は、車両240内の情報処理装置242および/または表示装置243等に出力され得る。これらの情報処理装置242および表示装置243は、撮像装置250と共に車載システムを構成する。車両240内の情報処理装置242は、撮像装置250により取得される画像信号を処理し、画像を認識して運転者の運転を支援する装置を含む。また、情報処理装置242は、例えば、ナビゲーション装置、衝突被害軽減ブレーキ装置、車間距離制御装置、および、車線逸脱警報装置等を含むが、これらに限定されない。表示装置243は、情報処理装置242により処理されて出力される画像を表示するが、撮像装置250から直接に画像信号を受信することもできる。また、表示装置243は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、および、無機ELディスプレイを採用し得るが、これらに限定されない。表示装置243は、リアカメラ等の運転者から視認しづらい位置の画像を撮像する撮像装置250から出力された画像信号を、運転者に対して表示することができる(乗員への情報を出力できる)。
【0044】
図7には、
図6に示す車載システムを構成する撮像装置の構成が示される。図示のように、実施形態に係る撮像装置250は、制御部252と、記憶部254と、前述した
図5に示すカメラモジュール300を備える。
【0045】
制御部252は、カメラモジュール300を制御するとともに、カメラモジュール300の撮像素子304から出力される電気信号を処理する。この制御部252は例えばプロセッサとして構成されてもよい。また、制御部252は1つ以上のプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および、特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでもよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(Integrated Circuit)を含んでもよい。特定用途向けICは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とも称される。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。プログラマブルロジックデバイスは、PLD(Programmable Logic Device)とも称される。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでもよい。制御部252は、1つ以上のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、および、SiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。
【0046】
記憶部254は、撮像装置250の動作に係る各種情報またはパラメータを記憶する。記憶部254は、例えば半導体メモリ等で構成されてもよい。記憶部254は、制御部252のワークメモリとして機能してもよい。記憶部254は、撮像画像を記憶してもよい。記憶部254は、制御部252が撮像画像に基づく検出処理を行なうための各種パラメータ等を記憶してもよい。記憶部254は制御部252に含まれてもよい。
【0047】
前述したように、カメラモジュール300は、レンズユニット11Aを介して結像する被写体像を撮像素子304で撮像し、撮像した画像を出力する。カメラモジュール300で撮像された画像は、撮像画像とも称される。
【0048】
撮像素子304は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサまたはCCD(Charge Coupled Device)等で構成されてよい。撮像素子304は、複数の画素が並ぶ撮像面を有する。各画素は、入射した光量に応じて電流または電圧で特定される信号を出力する。各画素が出力する信号は、撮像データとも称される。
【0049】
撮像データは、全ての画素についてカメラモジュール300で読み出され、撮像画像として制御部252に取り込まれてもよい。全ての画素について読み出された撮像画像は、最大撮像画像とも称される。撮像データは、一部の画素についてカメラモジュール300で読み出され、撮像画像として取り込まれてもよい。言い換えれば、撮像データは、所定の取り込み範囲の画素から読み出されてもよい。所定の取り込み範囲の画素から読み出された撮像データは、撮像画像として取り込まれてもよい。所定の取り込み範囲は、制御部252によって設定されてもよい。カメラモジュール300は、制御部252から所定の取り込み範囲を取得してもよい。撮像素子304は、レンズユニット11Aを介して結像する被写体像のうち所定の取り込み範囲の画像を撮像してもよい。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、本発明において、レンズ、鏡筒などの形状等は、上述した実施形態に限定されない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施形態の一部または全部を組み合わせてもよく、あるいは、上述した実施形態のうちの1つから構成の一部が省かれてもよい。
【符号の説明】
【0051】
11A~11D レンズユニット
12 鏡筒
13 第1レンズ
13,14,15,16 レンズ
26 Оリング(シール部材)
30,32 ヒータ
35,36 熱伝導抑制部材
240 車両(移動体)
242 処理装置
243 表示装置
250 撮像装置
252 制御部
300 カメラモジュール
304 撮像素子
L レンズ群
O 光軸