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特開2023-132510レンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132510
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】レンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230914BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230914BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230914BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20230914BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230914BHJP
   B60R 1/24 20220101ALI20230914BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20230914BHJP
   B60R 1/29 20220101ALI20230914BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G02B7/02 H
G02B7/02 Z
G02B7/02 B
H04N5/225 100
H04N5/225 700
H04N5/232 930
H04N7/18 J
B60R1/24
B60R1/26
B60R1/29
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037874
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽介
【テーマコード(参考)】
2H044
3D020
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AB02
2H044AG01
2H044AJ03
2H044AJ04
2H044AJ06
3D020BA05
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC03
3D020BC10
3D020BC17
3D020BD03
5C054CC05
5C054CD00
5C054HA30
5C122DA14
5C122EA55
5C122FK12
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE21
(57)【要約】
【課題】光軸方向に隣り合うレンズどうし、光軸方向に隣り合うレンズと中間環、光軸方向に隣り合う中間環どうしを確実に接着できるレンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体提供する。
【解決手段】光軸方向に隣り合うレンズ14と中間環24との間に絞り部材20が設けられ、絞り部材20に、厚さ方向に貫通する貫通部30が設けられ、貫通部30を介して、光軸方向に隣り合うレンズ14と中間環24が接着されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズが光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒とを有するレンズユニットにおいて、
光軸方向に隣り合うレンズどうし間および/または光軸方向に隣り合うレンズと中間環との間および/または光軸方向に隣り合う中間環どうし間に、絞り部材が設けられ、
前記絞り部材に、厚さ方向に貫通する貫通部が設けられ、
前記貫通部を介して、光軸方向に隣り合う前記レンズどうしおよび/または光軸方向に隣り合う前記レンズと前記中間環および/または光軸方向に隣り合う前記中間環どうしが接着されていることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記貫通部は、前記絞り部材の外周部に周方向に所定間隔で設けられた複数の切欠部によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記貫通部と前記絞り部材の絞り孔との間に、接着剤の前記絞り孔への流動を防止する流動防止部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記絞り部材は、レンズ面間距離に対する結像の感度である面間感度が最も高くなるレンズ間に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のレンズユニットと、前記レンズユニットの前記レンズ群を通じて集光される光を電気信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラモジュールと、前記カメラモジュールを制御するとともに前記カメラモジュールの撮像素子から出力される電気信号を処理する制御部とを有する撮像装置と、
前記撮像装置により取得される画像信号を処理する処理装置と、
前記処理装置により処理されて出力される画像を表示する表示装置と、
を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像システムを搭載し、前記表示装置により乗員への情報を出力することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車等の車両に搭載される車載カメラを構成するレンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび撮像システムを搭載した移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車に車載カメラを搭載し、駐車をサポートしたり、画像認識により衝突防止を図ったりすることが行なわれており、さらにそれを自動運転に応用する試みもなされている。また、このような車載カメラ等のカメラモジュールは、一般に、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒(バレル)と、レンズ群の少なくとも一個所のレンズ間に配置される絞り部材とを有するレンズユニットを備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-231993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば図12に示すように、物体側(図12において上側)から3つ目のL3レンズ15を保持する中間環24とL2レンズ14の間に絞り部材19が入っており、L2レンズ14とL3レンズ15の面間距離感度が非常に高い場合、レンズ14,15間の面間距離に数ミクロンのズレが生じるだけで、ピントズレや解像度が極端に落ちてしまう。この対策のため、L2レンズ14とL3レンズ15を保持している中間環24を接着する必要がある。しかし、L2レンズ14と中間環24との間には、絞り部材19が介在しているために、L2レンズ14と中間環24とを接着できる範囲がなく、L2レンズ14と中間環24とを接着できないという問題がある。
このような問題は、光軸方向に隣り合うレンズどうし間に絞り部材が介在している場合、軸方向に隣り合う中間環どうし間に絞り部材が介在している場合も生じ得る。
なお、図12において符号12は複数のレンズが光軸Оに沿って並べられて成るレンズ群を少なくとも含む光学要素を収容保持する鏡筒であり、符号13は最も物体側の位置するL1レンズである。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、光軸方向に隣り合うレンズどうし、光軸方向に隣り合うレンズと中間環、光軸方向に隣り合う中間環どうしを確実に接着できるレンズユニット、カメラモジュール、撮像システムおよび移動体提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明レンズユニットは、複数のレンズが光軸に沿って並べられたレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒とを有するレンズユニットにおいて、
光軸方向に隣り合うレンズどうし間および/または光軸方向に隣り合うレンズと中間環との間および/または光軸方向に隣り合う中間環どうし間に、絞り部材が設けられ、
前記絞り部材に、厚さ方向に貫通する貫通部が設けられ、
前記貫通部を介して、光軸方向に隣り合う前記レンズどうしおよび/または光軸方向に隣り合う前記レンズと前記中間環および/または光軸方向に隣り合う前記中間環どうしが接着されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、中間環は、レンズ間に配置されることで、レンズ間の光軸方向の距離を保持するものであり、光軸方向に隣り合うレンズ間に配置されるものや、レンズを保持するとともに、保持するレンズ以外のレンズ間に配置されるものを含む。
【0008】
本発明においては、絞り部材に、厚さ方向に貫通する貫通部が設けられているので、この貫通部によって接着できる範囲を確保できる。このため、光軸方向に隣り合うレンズどうしおよび/または光軸方向に隣り合うレンズと中間環および/または光軸方向に隣り合う中間環どうしを確実に接着できる。
【0009】
また、本発明の前記構成において、前記貫通部は、前記絞り部材の外周部に周方向に所定間隔で設けられた複数の切欠部によって構成されていてもよい。
複数の切欠部は、絞り部材の周方向に所定間隔で配置するのが好ましい。周方向に隣り合う切欠部どうしの間が鏡筒の内周面に当接することで、絞り部材は鏡筒径方向において位置決めされる。
【0010】
このような構成によれば、絞り部材の外周部に貫通部としての切欠部が設けられているので、光軸方向に隣り合うレンズどうし、光軸方向に隣り合うレンズと中間環、光軸方向に隣り合う中間環どうしを、それらの径方向外周部で接着できるので、径方向中央部で接着する場合に比して、安定的に接着できる。
【0011】
また、本発明の前記構成において、前記貫通部と前記絞り部材の絞り孔との間に、接着剤の前記絞り孔への流動を防止する流動防止部が設けられていてもよい。
前記流動防止部は、絞り部材の板面に設けられた凹部であってもよいし凸部であってもよい。流動防止部が凹部である場合、貫通部で溢れた接着剤が凹部に入り込むことによって、接着剤の絞り孔への流動を防止し、凸部である場合、貫通部で溢れた接着剤を堰き止めることによって、接着剤の絞り孔への流動を防止する。
【0012】
このような構成によれば、貫通部で溢れた接着剤が流動防止部によって絞り孔への流動を防止されるので、接着剤が絞り孔からレンズのレンズ面に侵入するのを防止できる。
【0013】
また、本発明の前記構成において、前記絞り部材は、レンズ面間距離に対する結像の感度である面間感度が最も高くなるレンズ間に配置されていてもよい。
【0014】
ここで、「面間感度」は、レンズ群の結像にどの程度影響するかの感度(レンズ面間距離に対する結像の感度)である。「レンズ群の結像に影響」とは、レンズ面間の距離が変動することによるピンボケ(ピントズレ)の度合いである。例えば、熱膨張等により光軸方向に沿った長さに変化が生じた際に、レンズユニット内のレンズ群において、レンズどうしの間に隙間が生じ、その隙間によりレンズが動くことで光軸方向に沿って並べたレンズがずれることで、撮像された映像の位置がずれ、ピンボケが生じたり、解像度が低下する。
したがって、「絞り部材を面間感度が最も高くなるレンズ間に配置する。」とは、ピンボケや解像度低下に最も影響するレンズどうしの間に、絞り部材を配置するという意味である。
貫通部を有する絞り部材を面間感度が最も高くなるレンズ間に配置することによって、ピンボケを効果的に防止できる。
【0015】
また、本発明は、前記レンズユニットを有するカメラモジュール、当該カメラモジュールを有する撮像システム、および、撮像システムを搭載して成る移動体も提供する。このようなカメラモジュール、撮像システムおよび移動体によっても上述したレンズユニットと同様の作用効果を得ることができる。なお、「移動体」とは、移動できる物体の全てを指し、例えば車両等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光軸方向に隣り合うレンズどうし、光軸方向に隣り合うレンズと中間環、光軸方向に隣り合う中間環どうしを確実に接着できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係るレンズユニットを示すもので、概略断面図である。
図2】同、要部の拡大断面図である。
図3】同、要部の平面図である。
図4】同、要部の斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るレンズユニットを示すもので、概略断面図である。
図6】同、要部の拡大断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係るレンズユニットを示すもので、概略断面図である。
図8】同、要部の拡大断面図である。
図9】本発明の実施形態に係るカメラモジュールを示す概略断面図である。
図10】本発明の実施形態に係るカメラモジュールを備える撮像システム(車載システム)が搭載される移動体としての車両の概略図である。
図11図10に示す撮像システムを構成する撮像装置の構成を示すブロック図である。
図12】従来のレンズユニットの一例を示す要部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明するが、本実施形態は、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の、「9.1 すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靭(レジリエント)なインフラを開発する。」に貢献する。
なお、以下で説明する本実施形態のレンズユニットは、特に車載カメラ等のカメラモジュール用のものであり、例えば、自動車の外表面側に固定して設置され、配線は自動車内に引き込まれてディスプレイやその他の装置に接続される。また、図1図2図5図6図7図8および図9において複数のレンズおよび中間環についてはハッチングを省略している。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のレンズユニット11Aを示している。このレンズユニット11Aは、例えば、車載カメラ用のものであり、自動車の外側に少なくともレンズユニット11Aの物体側の端部(図1では上端部)を露出して設置される。
【0020】
レンズユニット11Aは、円筒状の鏡筒12と、鏡筒12内に配置される複数(例えば、6つ)のレンズ13,14,15,16,17,18と、2つの絞り部材20,21と、1つの中間環24を備えている。このレンズユニット11Aを備える車載カメラは、レンズユニット11Aと、図示しないイメージセンサを有する基板と、当該基板を自動車等の車両に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
また、最も物体側に位置する第1レンズ13はガラスレンズであり、レンズ14~18は樹脂レンズであるが、これに限定されない(例えば、レンズ13が樹脂レンズであっても構わない)。
また、レンズ13~18の表面には、必要に応じて、反射防止膜、親水膜、撥水膜等が設けられる。
【0021】
鏡筒12に固定されて支持されている複数のレンズ13~18は、それぞれの光軸を一致させた状態に配置されており、1つの光軸Оに沿って各レンズ13~18が並べられた状態となって、撮像に用いられる1群のレンズ群Lを構成している。
また、レンズ16とレンズ17とは接着剤によって貼合わされた貼合わせレンズとなっている。
【0022】
2つの絞り部材20,21のうちの物体側(図1において鏡筒12の上側)から1番目の絞り部材20は、物体側から2番目の第2レンズ14と中間環24との間に配置されている。物体側から2番目の絞り部材21は、中間環24と物体側から4番目のレンズ16との間に配置されている。
絞り部材20,21は透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。
【0023】
また、本実施の形態において、最も物体側に位置する第1レンズ13と鏡筒12との間にはシール部材としてのOリング26が介挿され、鏡筒12の内側のレンズ群L内に水や塵埃が侵入しないようにしている。この場合、レンズ13の外周面13aに、当該レンズ13の像側部分で径が小さくなった段差状の縮径部13bが設けられ、この縮径部13bにOリング26が装着されて、レンズ13の外周面13aと鏡筒12の内周面との間でOリング26が径方向で圧縮されることにより、鏡筒12の物体側端部が封止された状態となっている。
なお、レンズ13と鏡筒12との間に介挿されるシール部材は、Oリング26に限定されず、レンズ13と鏡筒12との間をシールできる環状体であればどのような形態であっても構わない。
【0024】
また、鏡筒12は、その内側収容空間内にレンズ群Lが組み込まれて収容保持された状態で、その物体側の端部(図1において上端部)のカシメ部23が径方向内側に熱的にカシメられることにより、レンズ群Lの最も物体側に位置するレンズ13をこのカシメ部23により鏡筒12の物体側端部に光軸方向で固定する。なお、第1レンズ13を鏡筒12の物体側端部に光軸方向で固定する手段は、このようなカシメ部23に限らない。例えば、鏡筒12が特に金属で形成される場合には、鏡筒12の物体側端部に螺合されるキャップによって第1レンズ13が鏡筒12の物体側端部に光軸方向で固定されてもよい。
【0025】
また、鏡筒12の像側の端部(図1において下端部)には、レンズ群Lの最も像側に位置するレンズ18よりも径の小さい開口部を有する内側フランジ部25が設けられている。この内側フランジ部25とカシメ部23とにより、鏡筒12内にレンズ群Lを構成する複数のレンズ13~18、絞り部材20,21および中間環24が光軸方向で保持固定されている。
【0026】
また、本実施形態では、上述したように、光軸方向に隣り合う第2レンズ14と中間環24との間に絞り部材20が設けられている。中間環24は第3レンズ15を保持しているので、第2レンズ14と第3レンズ15とは光軸方向において対向している。本実施形態のレンズユニット11Aでは、第2レンズ14と第3レンズ15との面間感度が他のレンズ間の面間感度に比べて非常に高くなっている。つまり、第2レンズ14と第3レンズ3との間において、光の束が密集しているので、第2レンズ14および第3レンズ15に位置ズレ(特に光軸方向の位置ズレ)が生じると、この位置ズレによってピントズレや解像度が極端に低下してしまう。
このため、本実施形態では、第2レンズ14と第3レンズ15を保持している中間環24とを以下のようにして接着し、第2レンズ14と第3レンズ15との位置ズレを防止している。
【0027】
すなわち、図2図4に示すように、絞り部材20には、厚さ方向に貫通する複数(例えば4つ)の貫通部30が設けられている。
貫通部30は、絞り部材20の外周部に周方向に所定間隔(具体的には等間隔)で配置されている。また、貫通部30は、絞り部材20の外周部を切り欠いてなる切欠部30によって構成されている。
切欠部(貫通部)30は、絞り部材20の外周部を、外周縁から中心部側に向けて円弧状に切り欠くことによって形成されている。また、絞り部材20は平面視円板状に形成された円板の外周部を上述したように切り欠くことによって形成されているので、外周縁は絞り部材20の中心と同心でかつ切欠部30の存在によって周方向に連続ではなく、不連続となっている。そして、絞り部材20の外周縁が鏡筒12の当接することによって、絞り部材20の径方向(鏡筒12の径方向)の位置決めがなされている。
【0028】
また、本実施形態では、貫通部(切欠部)30を介して、光軸方向に隣り合う第2レンズ14と中間環24とが接着剤Gによって接着されている。すなわち、絞り部材30は、外周部に複数(4つ)の貫通部(切欠部)30を備えており、この貫通部30は第2レンズ14のフランジ14fの下面(像側を向く面)と、中間環24のフランジ24fの上面(物体側を向く面)とに開口している。このため、この貫通部30によって、フランジ14f,24fを接着できる範囲を確保できる。
したがって、第2レンズ14と中間環24とを接着する場合、鏡筒12に第3レンズ15を保持する中間環24を物体側(上側)から挿入したうえで、絞り部材20を挿入して中間環24に当接し、次いで、貫通部30に接着剤Gを充填したうえで、第2レンズ14を挿入して中間環24に当接する。接着剤Gは貫通部30を十分に満たすように充填する。これによって、第2レンズ14を中間環24に当接すると、接着剤Gが貫通部30に面するフランジ14f,24fに密着し、これによって、第2レンズ14と中間環24とが接着される。
【0029】
なお、第2レンズ14と中間環24とを、鏡筒12に組み込む前に接着してもよい。この場合、円筒状の専用治具を用意し、この専用治具に、第3レンズ15を保持する中間環24を一端側から挿入したうえで、絞り部材20を挿入して中間環24に当接し、次いで、貫通部30に接着剤Gを充填する。次に第2レンズ14を専用治具に挿入して中間環24に当接すると、接着剤Gが貫通部30に面するフランジ14f,24fに密着し、これによって、第2レンズ14と中間環24とが接着される。その後、接着された第2レンズ14と中間環24を専用治具から取り出し、鏡筒12に挿入する。
【0030】
接着剤Gを貫通部30に十分に満たしたうえで、第2レンズ14を中間環24に当接すると、貫通部30から接着剤Gの一部が溢れて、絞り部材20の表面を、中央の絞り孔20a側に向けて流動する。したがって、絞り部材20には、この接着剤Gの流動を防止する流動防止部35が設けられている。
【0031】
本実施形態では、流動防止部35は、貫通部30と絞り孔20aとの間に設けられている。貫通部30が4つあるので、それに対応して流動防止部35も4つあり、周方向に所定間隔(一定間隔)で配置されている。
流動防止部35は平面視において径方向外側に凸の円弧状の貫通した細溝で構成されており、絞り孔20aと同心円上に周方向に所定間隔でかつ貫通部30に径方向において対向して配置されている。
また、流動防止部35は、絞り孔30aと貫通部30との間において、貫通部30側に寄せて配置されている。したがって、貫通部30から溢れ出た接着剤Gは、絞り孔20a側に向けて流動しようとするが、細溝状に形成された流動防止部35に入り込むので、それ以上の接着剤Gの絞り孔20a側への流動が防止される。
なお、流動防止部35は貫通した細溝に限ることなく、貫通していない溝(細溝)で形成してもよく、絞り部材の表面から突出する凸部や凸条によって形成してもよい。この場合、絞り部材と、当該絞り部材を挟持するレンズや中間環との間に凸部や凸状を設けることができるだけの隙間が必要となる。
【0032】
また、本実施形態では、図4に示すように、絞り部材20の外周縁が当接する鏡筒12の内周面には、径方向内側に突出形成された複数の保持部12dが周方向に所定間隔(一定間隔)で設けられている。これら保持部12dのうち、絞り部材20の貫通部30が形成されていない外周縁に対向する位置に配置された保持部12dに、前記外周縁が当接されている。保持部12dの径方向内側の面は、鏡筒12の径方向と直交する平面となっており、当該平面に絞り部材20の外周縁が当接している。
なお、本実施形態では、絞り部材20の周方向に隣り合う貫通部30,30間に位置する外周縁の周方向中央部が保持部12dに当接しているが、これに代えて、周方向に隣り合う貫通部30,30間に位置する外周縁の周方向両端部が保持部12dに当接していてもよい。
また、周方向に隣り合う保持部12d,12d間は、鏡筒12の軸を中心とする円弧面状に形成された円弧面となっており、この円弧面はその周方向両端を除いて保持部12dの平面より径方向外側に位置している。したがって、円弧面と絞り部材20の外周縁との間には所定の隙間が設けられている。
【0033】
絞り部材20の外周縁が当接される鏡筒12の内周面が円筒面であると、この円筒面と、絞り部材20の外周縁との間に、径方向において微小な隙間が形成され、当該隙間に起因して絞り部材20の軸ずれが生じるおそれがあるが、本実施形態では、上述したように、絞り部材20の外周縁が鏡筒12の内周面に設けられた保持部12dに当接することによって、絞り部材20の軸と鏡筒12の軸とを高精度に一致させることができる。換言すると、絞り部材20の軸ずれが確実に抑制される。これにより、絞り部材20の軸ずれによる光学性能の低下を防止できる。
【0034】
また、本実施形態では、前記絞り部材20は、SUS等の金属によって薄板円板状に形成されており、厚さは0.03mm(30μm)程度に設定されているが、絞り部材20の厚さは15μm以上、100μm以下が好ましい。15μm未満では、絞り部材20としての遮光性を確保できず、また、取り扱い難くなるからであり、100μmを超えると絞り部材20を挟んでいる第2レンズ14と中間環24との間の隙間が大きくなりすぎて、接着力(第2レンズ14と中間環24とを接着する力)が低下するからである。
【0035】
以上のように、本実施形態によれば、絞り部材20に、厚さ方向に貫通する貫通部30が設けられているので、この貫通部30によって第2レンズ14と中間環24とを接着できる範囲を確保できる。このため、光軸方向に隣り合う第2レンズ14と中間環24とを確実に接着できる。
また、絞り部材20の外周部に貫通部30としての切欠部30が設けられているので、光軸方向に隣り合う第2レンズ14と中間環24とを、それらの径方向外周部で接着できる。したがって、径方向中央部で接着する場合に比して、安定的に接着できる。
さらに、貫通部30と絞り部材20の絞り孔20aとの間に流動防止部35が設けられているので、貫通部30で溢れた接着剤Gが流動防止部35によって絞り孔20aへの流動するのを防止できる。したがって、接着剤Gが絞り孔20aから第2レンズ14および第3レンズ15の径方向中央部側のレンズ面に侵入するのを防止できる。
【0036】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態のレンズユニット11Bを示している。レンズユニット11Bは、鏡筒42と、6つのレンズ43,44,45,46,47,48とを備えている。鏡筒42に固定されて支持されている複数のレンズ43~48は、それぞれの光軸を一致させた状態に配置されており、1つの光軸Оに沿って各レンズ43~48が並べられた状態となって、撮像に用いられる1群のレンズ群Lを構成している。
鏡筒42には、物体側(図5において上側)からレンズ43、レンズ44、レンズ45、レンズ46、レンズ47、レンズ48が収容保持されるとともに、2つの絞り部材50,51が収容保持されている。絞り部材50は、第2レンズ44と第3レンズ45との間に配置され、絞り部材51は、第4レンズ46と第5レンズ47との間に配置されている。また、第1レンズ43と鏡筒42との間には、第1の実施形態と同様にして、シール部材としてのОリング26が設けられている。
【0037】
本実施形態のレンズユニット11Bでは、第2レンズ44と第3レンズ45との面間感度が他のレンズ間の面間感度に比べて非常に高くなっている。このため、本実施形態では、第2レンズ14と第3レンズ15とを第1の実施形態と同様にして接着し、第2レンズ14と第3レンズ15の位置ズレ(特に光軸方向の位置ズレ)を防止している。
すなわち、図6に示すように、絞り部材50には、厚さ方向に貫通する複数(例えば4つ)の貫通部31が設けられている。
貫通部31は、第1の実施形態と同様に、絞り部材50の外周部に周方向に所定間隔(具体的には等間隔)で配置されている。また、貫通部31は、絞り部材50の外周部を切り欠いてなる切欠部31によって構成されている。
切欠部(貫通部)31は、絞り部材50の外周部を、外周縁から中心部側に向けて円弧状に切り欠くことによって形成されている。また、絞り部材50は平面視円板状に形成された円板の外周部を上述したように切り欠くことによって形成されているので、外周縁は絞り部材50の中心と同心円でかつ切欠部31の存在によって周方向に連続ではなく、不連続となっている。そして、絞り部材50の外周縁が鏡筒42の内周面に当接することによって、絞り部材50の径方向(鏡筒12の径方向)の位置決めがなされている。
【0038】
また、本実施形態では、貫通部(切欠部)31を介して、光軸方向に隣り合う第2レンズ44と第3レンズ45とが接着剤Gによって接着されている。すなわち、絞り部材50は、外周部に複数(4つ)の貫通部(切欠部)31を備えており、この貫通部31は第2レンズ44のフランジ44fの下面(像側を向く面)と、第3レンズ45のフランジ45fの上面(物体側を向く面)とに開口している。このため、この貫通部31によって、フランジ34f,45fを接着できる範囲を確保できる。
したがって、第2レンズ44と第3レンズ45とが、第1の実施形態と同様にして、接着剤Gによって接着されている。
【0039】
接着剤Gを貫通部31に十分に満たしたうえで、第2レンズ44を第3レンズ45に当接すると、貫通部31から接着剤Gの一部が溢れて、絞り部材50の表面を、中央の絞り孔50a側に向けて流動する。したがって、絞り部材50には、この接着剤Gの流動を防止する流動防止部36が、第1の実施形態の流動防止部35と同様にして設けられている。
流動防止部36は平面視において径方向外側に凸の円弧状の貫通した細溝で構成されており、絞り孔50aと同心円上に周方向に所定間隔でかつ貫通部31と径方向において対向して配置されている。また、流動防止部36は、絞り孔50aと貫通部31との間に配置されている。したがって、貫通部31から溢れ出た接着剤Gは、絞り孔50a側に向けて流動しようとするが、細溝状に形成された流動防止部36に入り込むので、それ以上の接着剤Gの絞り孔50a側への流動が防止される。
なお、流動防止部36は貫通した細溝に限ることなく、貫通していない溝(細溝)で形成してもよい。
また、本実施形態では、前記絞り部材50は、第1の実施形態の絞り部材20と同様に、SUS等の金属によって薄板円板状に形成されており、厚さは0.03mm(30μm)程度に設定されているが、絞り部材50の厚さは15μm以上、100μm以下が好ましい。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、絞り部材50に、厚さ方向に貫通する貫通部31が設けられているので、この貫通部31によって第2レンズ44と第3レンズ45とを接着できる範囲を確保できる。このため、光軸方向に隣り合う第2レンズ44と第3レンズ45とを確実に接着できる。
また、絞り部材50の外周部に貫通部31としての切欠部31が設けられているので、光軸方向に隣り合う第2レンズ44と第3レンズ45とを、それらの径方向外周部で接着できる。したがって、径方向中央部で接着する場合に比して、安定的に接着できる。
さらに、貫通部31と絞り部材50の絞り孔50aとの間に流動防止部36が設けられているので、貫通部31で溢れた接着剤Gが流動防止部36によって絞り孔50aへの流動するのを防止できる。したがって、接着剤Gが絞り孔50aから第2レンズ44および第3レンズ45の径方向中央部側のレンズ面に侵入するのを防止できる。
【0041】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態のレンズユニット11Cを示している。レンズユニット11Cは、鏡筒62と、5つのレンズ63,64,65,66,67と、1つの絞り部材70と、4つの中間環80,81,82,84とを備えている。鏡筒62に固定されて支持されている複数のレンズ63~67は、それぞれの光軸を一致させた状態に配置されており、1つの光軸Оに沿って各レンズ63~47が並べられた状態となって、撮像に用いられる1群のレンズ群Lを構成している。
また、第1レンズ63と鏡筒62との間には、第1および第2の実施形態と同様にして、シール部材としてのОリング26が設けられている。
鏡筒62には、物体側(図7において上側)からレンズ63、レンズ64、レンズ65、レンズ66、レンズ67が収容保持されるとともに、中間環80、中間環81、中間環82、中間環83が収容保持されている。
中間環80,81は第2レンズ64と第3レンズ65と間に配置され、中間環82は第3レンズ65と第4レンズ66との間に配置され、中間環83は第4レンズ66と第5レンズ67との間に配置されている。
【0042】
本実施形態のレンズユニット11Cでは、第2レンズ64と第3レンズ65との面間感度が他のレンズ間の面間感度に比べて非常に高くなっている。このため、本実施形態では、第2レンズ64と第3レンズ65との面間距離を保持する中間環80,81を第2レンズ64と第3レンズ65とに接着するとともに、中間環80,81どうし間に絞り部材70が介在しているので、中間環80,81どうしを以下のようにして接着することで、中間環80,81の位置ズレ、ひいては第2レンズ64と第3レンズ65の位置ズレを防止している。なお、中間環80はその上面が第2レンズ64のフランジ下面に接着剤G1によって接着され、中間環81はその下面が第3レンズ65のフランジ上面に接着剤G2によって接着されている。
【0043】
すなわち、図8に示すように、絞り部材70には、厚さ方向に貫通する複数(例えば4つ)の貫通部32が設けられている。
貫通部32は、第1および第2の実施形態と同様に、絞り部材70の外周部に周方向に所定間隔(具体的には等間隔)で配置されている。また、貫通部32は、絞り部材50の外周部を切り欠いてなる切欠部32によって構成されている。
切欠部(貫通部)32は、絞り部材57の外周部を、外周縁から中心部側に向けて円弧状に切り欠くことによって形成されている。また、絞り部材70は平面視円板状に形成された円板の外周部を上述したように切り欠くことによって形成されているので、外周縁は絞り部材70の中心と同心円でかつ切欠部32の存在によって周方向に連続ではなく、不連続となっている。そして、絞り部材70の外周縁が鏡筒62の内周面に当接することによって、絞り部材70の径方向(鏡筒62の径方向)の位置決めがなされている。
【0044】
また、本実施形態では、貫通部(切欠部)32を介して、光軸方向に隣り合う中間環80,81どうしが接着剤Gによって接着されている。すなわち、絞り部材70は、外周部に複数(4つ)の貫通部(切欠部)32を備えており、この貫通部32は中間環80の下面(像側を向く面)と、中間環81の上面(物体側を向く面)とに開口している。このため、この貫通部32によって、中間環80,81どうしを接着できる範囲を確保できる。
したがって、中間環80,81どうしが、第1および第2の実施形態と同様にして、接着剤Gによって接着されている。
【0045】
接着剤Gを貫通部32に十分に満たしたうえで、中間環80を中間環81に当接すると、貫通部32から接着剤Gの一部が溢れて、絞り部材57の表面を、中央の絞り孔70a側に向けて流動する。したがって、絞り部材70には、この接着剤Gの流動を防止する流動防止部37が、第1および第2の実施形態の流動防止部35,36と同様にして設けられている。
流動防止部37は平面視において径方向外側に凸の円弧状の貫通した細溝で構成されており、絞り孔70aと同心円上に周方向に所定間隔でかつ貫通部32と径方向において対向して配置されている。また、流動防止部37は、絞り孔70aと貫通部32との間に配置されている。したがって、貫通部32から溢れ出た接着剤Gは、絞り孔70a側に向けて流動しようとするが、細溝状に形成された流動防止部37に入り込むので、それ以上の接着剤Gの絞り孔70a側への流動が防止される。
なお、流動防止部37は貫通した細溝に限ることなく、貫通していない溝(細溝)で形成してもよい。
また、本実施形態では、前記絞り部材70は、第1および第2の実施形態の絞り部材20,50と同様に、SUS等の金属によって薄板円板状に形成されており、厚さは0.03mm(30μm)程度に設定されているが、絞り部材70の厚さは15μm以上、100μm以下が好ましい。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、絞り部材70に、厚さ方向に貫通する貫通部32が設けられているので、この貫通部32によって中間環80,81どうしを接着できる範囲を確保できる。このため、光軸方向に隣り合う中間環80,81どうしを確実に接着できる。
また、絞り部材70の外周部に貫通部32としての切欠部32が設けられているので、光軸方向に隣り合う中間環80,81どうしを、それらの径方向外周部で接着できる。したがって、径方向中央部で接着する場合に比して、安定的に接着できる。
さらに、貫通部32と絞り部材70の絞り孔70aとの間に流動防止部37が設けられているので、貫通部32で溢れた接着剤Gが流動防止部37によって絞り孔70aへの流動するのを防止できる。したがって、接着剤Gが絞り孔70aから第2レンズ64および第3レンズ65の径方向中央部側のレンズ面に侵入するのを防止できる
【0047】
図9は、図1に示すレンズユニット11Aを有する本実施形態のカメラモジュール300の概略断面図である。図示のように、カメラモジュール300は、フィルタ99が装着されたレンズユニット11Aを含んで構成されている。
なお、カメラモジュール300は、レンズユニット11Aに代えて、レンズユニット11Bまたはレンズユニット11Cを含んで構成してもよい。
【0048】
カメラモジュール300は、外装部品である上ケース(カメラケース)301と、レンズユニット11Aを保持するマウント(台座)302とを備えている。また、カメラモジュール300は、シール部材303およびパッケージセンサ(撮像素子;イメージセンサ)304を備えている。
【0049】
上ケース301は、鏡筒12の外周面に鍔状に設けられるフランジ部27に係合されるとともに、レンズユニット11Aの物体側の端部を露出させて他の部分を覆う部材である。マウント302は、上ケース301の内部に配置されており、レンズユニット11Aの雄ねじ11aと螺合する雌ねじ302aを有する。シール部材303は、上ケース301の内面とレンズユニット11Aの鏡筒12の外周面との間に介挿された部材であり、上ケース301の内部の気密性を保持するための部材である。
【0050】
パッケージセンサ304は、赤外線カットフィルタ99と対向してマウント302の内部に配置されており、かつ、レンズユニット11Aにより形成される物体の像を受光する位置に配置されている。また、パッケージセンサ304は、CCDやCMOS等を備えており、レンズユニット11Aを通じて集光されて到達する光を電気信号に変換する。変換された電気信号は、カメラにより撮影された画像データの構成要素であるアナログデータやデジタルデータに変換される。
【0051】
図10には、図9に示すカメラモジュール300を含む撮像装置250を備える車載システム(撮像システム)が搭載される移動体としての車両240が概略的に示されている。図示のように、撮像装置250は車両240に搭載することができ、図10は、車両240における撮像装置250の搭載位置を例示する配置例である。車両240に搭載される撮像装置250は、車載カメラと呼ぶこともでき、車両240の種々の場所に設置することができる。例えば、第1の撮像装置250aは、車両240が走行する際の前方を監視するカメラとして、フロントバンパーまたはその近傍に配置されてもよい。また、前方を監視する第2の撮像装置250bは、車両240の車室内のルームミラー(Inner Rearview Mirror)の近傍に配置されてもよい。第3の撮像装置250cは、運転者の運転状況を監視するカメラとしてダッシュボード上またはインスツルメントパネル内等に配置されてもよい。第4の撮像装置250dは、車両240の後方モニター用に車両240の後部に設置されてもよい。撮像装置250a、250bはフロントカメラと呼ぶことができる。第3の撮像装置250cは、インカメラと呼ぶことができる。第4の撮像装置250dはリアカメラと呼ぶことができる。撮像装置250は、これらに限られず、左後ろ側方を撮像する左サイドカメラおよび右後ろ側方を撮像する右サイドカメラ等、種々の位置に設置される撮像装置を含む。
【0052】
撮像装置250により撮像された画像の画像信号は、車両240内の情報処理装置242および/または表示装置243等に出力され得る。これらの情報処理装置242および表示装置243は、撮像装置250と共に車載システムを構成する。車両240内の情報処理装置242は、撮像装置250により取得される画像信号を処理し、画像を認識して運転者の運転を支援する装置を含む。また、情報処理装置242は、例えば、ナビゲーション装置、衝突被害軽減ブレーキ装置、車間距離制御装置、および、車線逸脱警報装置等を含むが、これらに限定されない。表示装置243は、情報処理装置242により処理されて出力される画像を表示するが、撮像装置250から直接に画像信号を受信することもできる。また、表示装置243は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、および、無機ELディスプレイを採用し得るが、これらに限定されない。表示装置243は、リアカメラ等の運転者から視認しづらい位置の画像を撮像する撮像装置250から出力された画像信号を、運転者に対して表示することができる(乗員への情報を出力できる)。
【0053】
図11には、図10に示す車載システムを構成する撮像装置の構成が示される。図示のように、実施形態に係る撮像装置250は、制御部252と、記憶部254と、前述した図5に示すカメラモジュール300を備える。
【0054】
制御部252は、カメラモジュール300を制御するとともに、カメラモジュール300の撮像素子304から出力される電気信号を処理する。この制御部252は例えばプロセッサとして構成されてもよい。また、制御部252は1つ以上のプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および、特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでもよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(Integrated Circuit)を含んでもよい。特定用途向けICは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)とも称される。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。プログラマブルロジックデバイスは、PLD(Programmable Logic Device)とも称される。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでもよい。制御部252は、1つ以上のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、および、SiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。
【0055】
記憶部254は、撮像装置250の動作に係る各種情報またはパラメータを記憶する。記憶部254は、例えば半導体メモリ等で構成されてもよい。記憶部254は、制御部252のワークメモリとして機能してもよい。記憶部254は、撮像画像を記憶してもよい。記憶部254は、制御部252が撮像画像に基づく検出処理を行なうための各種パラメータ等を記憶してもよい。記憶部254は制御部252に含まれてもよい。
【0056】
前述したように、カメラモジュール300は、レンズユニット11Aを介して結像する被写体像を撮像素子304で撮像し、撮像した画像を出力する。カメラモジュール300で撮像された画像は、撮像画像とも称される。
【0057】
撮像素子304は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサまたはCCD(Charge Coupled Device)等で構成されてよい。撮像素子304は、複数の画素が並ぶ撮像面を有する。各画素は、入射した光量に応じて電流または電圧で特定される信号を出力する。各画素が出力する信号は、撮像データとも称される。
【0058】
撮像データは、全ての画素についてカメラモジュール300で読み出され、撮像画像として制御部252に取り込まれてもよい。全ての画素について読み出された撮像画像は、最大撮像画像とも称される。撮像データは、一部の画素についてカメラモジュール300で読み出され、撮像画像として取り込まれてもよい。言い換えれば、撮像データは、所定の取り込み範囲の画素から読み出されてもよい。所定の取り込み範囲の画素から読み出された撮像データは、撮像画像として取り込まれてもよい。所定の取り込み範囲は、制御部252によって設定されてもよい。カメラモジュール300は、制御部252から所定の取り込み範囲を取得してもよい。撮像素子304は、レンズユニット11Aを介して結像する被写体像のうち所定の取り込み範囲の画像を撮像してもよい。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、本発明において、レンズ、鏡筒などの形状等は、上述した実施形態に限定されない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した実施形態の一部または全部を組み合わせてもよく、あるいは、上述した実施形態のうちの1つから構成の一部が省かれてもよい。
【符号の説明】
【0060】
11A,11B,11C レンズユニット
12,42,62 鏡筒
13~18、43~48、63~67 レンズ
24,80,81 中間環
20,50,70 絞り部材
30,31,32 貫通部(切欠部)
35,36,37 流動防止部
240 車両(移動体)
242 処理装置
243 表示装置
250 撮像装置
252 制御部
300 カメラモジュール
304 撮像素子
L レンズ群
O 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12