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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132522
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】フード
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/0186 20210101AFI20230914BHJP
   A41D 3/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A42B1/0186
A41D3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037891
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】堀田 修司
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 達治
【テーマコード(参考)】
3B031
【Fターム(参考)】
3B031AA14
3B031AB06
(57)【要約】
【課題】衣服用ファンが設置される衣服に設置され、上記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフードであって、着用者の頭部を効率良く冷却することができるフードを提供する。
【解決手段】衣服用ファン3が設置される衣服5に設置され、着用者13の顔面15が露出するようにして着用13者の頭部14を覆い、衣服用ファン3が稼働することで衣服5内を流れてきた空気を内部に流すフード本体7と、所定の幅で薄く細長い帯状に形成されており、フード本体7内で、幅方向の一方の端である上端がフード本体7に接合され、フード本体7に沿って横方向に長く延び、フード本体7の下側に位置して、フード本体7に設置されているフラップ9とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服用ファンが設置される衣服に設置され、着用者の顔面が露出するようにして前記着用者の頭部を覆い、前記衣服用ファンが稼働することで前記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフード本体と、
前記衣服内を流れてきた空気が、前記フード本体内の上部に流れることを防止するために、前記フード本体内に設置されたフラップと、
を有するフード。
【請求項2】
衣服用ファンが設置される衣服に設置され、着用者の顔面が露出するようにして前記着用者の頭部を覆い、前記衣服用ファンが稼働することで前記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフード本体と、
所定の幅で薄く細長い帯状に形成されており、前記フード本体内で、幅方向の一方の端である上端が前記フード本体に接合され、前記フード本体に沿って横方向に長く延び、前記フード本体の下側に位置して、前記フード本体に設置されているフラップと、
を有するフード。
【請求項3】
前記フード本体は、バイク等の搭乗者である着用者が保護帽を被っている状態で、前記着用者の顔面が露出するようにして前記着用者の頭部と保護帽とを覆うようになっており、
前記フラップは、前記バイク等の搭乗者が保護帽を被っている状態で、前記保護帽よりも下側に位置し、前記フード本体内を下側部位と前記保護帽が入っている上側部位とに仕切るようになっている請求項1または請求項2に記載のフード。
【請求項4】
前記フード本体に設けられ、前記フラップよりも下側の空気を前記フード本体の後方部位から外部に排出する排気部を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフード。
【請求項5】
前記フード本体を構成している生地の厚さ方向で見て、前記フラップと前記排気部とが互いに重なっている請求項4に記載のフード。
【請求項6】
前記フード本体の、開口部に沿って延びている縁部のうちの横方向の両側の部位には、前記縁部のうちの横方向の両側の部位の形状を維持するための形状維持材が設けられている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフード。
【請求項7】
前記フード本体には、この開口部の縁部に沿って細長い筒状部位が設けられており、
前記細長い筒状部位には細長い紐状部材が通っており、前記紐状部材の長手方向の両端部は、前記細長い筒状部位の長手方向の両端から延出しており、前記紐状部材をこの長手方向の両端で引っ張り前記紐状部材の前記細長い筒状部位の両端からの延出長さを長くすることで、前記フード本体の開口部の面積が小さくなるように構成されており、
前記紐状部材の引っ張り力が所定の値以下であれば、前記形状維持材の形状が維持されるように構成されている請求項6に記載のフード。
【請求項8】
衣服用ファンが設置される衣服に設置され、着用者の顔面が露出するようにして前記着用者の頭部を覆い、前記衣服用ファンが稼働することで前記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフード本体と、
前記フード本体の開口部の縁部のうちの横方向の両側の部位に設けられており、所定の長さにわたって前記フード本体の開口部の縁部のうちの横方向の両側の部位の形状を維持する形状維持材と、
を有するフード。
【請求項9】
前記フード本体には、この開口部の縁部に沿って細長い筒状部位が設けられており、
前記細長い筒状部位には細長い紐状部材が通っており、前記紐状部材の長手方向の両端部は、前記細長い筒状部位の長手方向の両端から延出しており、前記紐状部材をこの長手方向の両端で引っ張り前記紐状部材の前記細長い筒状部位の両端からの延出長さを長くすることで、前記フード本体の開口部の面積が小さくなるように構成されており、
前記紐状部材の引っ張り力が所定の値以下であれば、前記形状維持材の形状が維持されるように構成されている請求項8に記載のフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードに係り、特に、衣服用ファンが設置される衣服に設置されて使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雨天や降雪時の作業において使用されるフード付き作業服が知られている。このフード付き作業服を着用することで、作業時に着用者の体と頭部が濡れてしまうことが防止される。
【0003】
従来のフード付き作業服において、ファン付き衣服にフードを設けて着用者の体だけでなく頭部も冷やせるようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6382314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のファンおよびフードが付いている作業服においてファンを稼働させると、着用者の体と、頭部のほぼ全体(フードに覆われている部位の全体)とが、冷却されることになる。
【0006】
ところで、従来のファンおよびフードが付いている作業服では、着用者の頭頂部、前頭部、側頭部、後頭部にも、冷却用の空気が流れるので、頭部の冷却効率が劣る。限られた風量で、太い血管が通っていない頭部の部位を冷却するよりも、太い血管が通っている部位を冷却するほうが、頭部を効率良く冷却することができるからである。
【0007】
本発明は、衣服用ファンが設置される衣服に設置され、上記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフードであって、着用者の頭部を効率良く冷却することができるフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係るフードは、衣服用ファンが設置される衣服に設置され、着用者の顔面を露出するようにして前記着用者の頭部を覆い、前記衣服用ファンが稼働することで前記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフード本体と、前記衣服内を流れてきた空気が、前記フード本体内の上部に流れることを防止するために、前記フード本体内に設置されたフラップとを有する。
【0009】
また、本発明の態様に係るフードは、衣服用ファンが設置される衣服に設置され、着用者の顔面が露出するようにして前記着用者の頭部を覆い、前記衣服用ファンが稼働することで前記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフード本体と、所定の幅で薄く細長い帯状に形成されており、前記フード本体内で、幅方向の一方の端である上端が前記フード本体に接合され、前記フード本体に沿って横方向に長く延び、前記フード本体の下側に位置して、前記フード本体に設置されているフラップとを有する。
【0010】
また、本発明の態様に係るフードでは、前記フード本体が、バイク等の搭乗者である着用者が保護帽を被っている状態で、前記着用者の顔面が露出するようにして前記着用者の頭部と保護帽とを覆うようになっており、前記フラップが、前記バイク等の搭乗者が保護帽を被っている状態で、前記保護帽よりも下側に位置し、前記フード本体内を下側部位と前記保護帽が入っている上側部位とに仕切るようになっている。
【0011】
また、本発明の態様に係るフードは、前記フード本体に設けられ、前記フラップよりも下側の空気を前記フード本体の後方部位から外部に排出する排気部を有する。
【0012】
また、本発明の態様に係るフードでは、前記フード本体を構成している生地の厚さ方向で見て、前記フラップと前記排気部とが互いに重なっている。
【0013】
また、本発明の態様に係るフードでは、前記フード本体の、開口部に沿って延びている縁部のうちの横方向の両側の部位に、前記縁部のうちの横方向の両側の部位の形状を維持するための形状維持材が設けられている。
【0014】
また、本発明の態様に係るフードでは、前記フード本体に、この開口部の縁部に沿って細長い筒状部位が設けられており、前記細長い筒状部位に細長い紐状部材が通っており、前記紐状部材の長手方向の両端部が、前記細長い筒状部位の長手方向の両端から延出しており、前記紐状部材をこの長手方向の両端で引っ張り前記紐状部材の前記細長い筒状部位の両端からの延出長さを長くすることで、前記フード本体の開口部の面積が小さくなるように構成されており、前記紐状部材の引っ張り力が所定の値以下であれば、前記形状維持材の形状が維持されるように構成されている。
【0015】
また、本発明の態様に係るフードは、衣服用ファンが設置される衣服に設置され、着用者の顔面が露出するようにして前記着用者の頭部を覆い、前記衣服用ファンが稼働することで前記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフード本体と、前記フード本体の開口部の縁部のうちの横方向の両側の部位に設けられており、所定の長さにわたって前記フード本体の開口部の縁部のうちの横方向の両側の部位の形状を維持する形状維持材とを有する。
【0016】
また、本発明の態様に係るフードでは、前記フード本体に、この開口部の縁部に沿って細長い筒状部位が設けられており、前記細長い筒状部位に細長い紐状部材が通っており、前記紐状部材の長手方向の両端部は、前記細長い筒状部位の長手方向の両端から延出しており、前記紐状部材をこの長手方向の両端で引っ張り前記紐状部材の前記細長い筒状部位の両端からの延出長さを長くすることで、前記フード本体の開口部の面積が小さくなるように構成されており、前記紐状部材の引っ張り力が所定の値以下であれば、前記形状維持材の形状が維持されるように構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、衣服用ファンが設置される衣服に設置され、上記衣服内を流れてきた空気を内部に流すフードであって、着用者の頭部を効率良く冷却することができるフードを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るフードと、このフードが設置されている衣服とを、保護帽を被っている着用者が着用した状態を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係るフードと、このフードが設置されている衣服とを、保護帽を被っている着用者が着用した状態を示す背面図である。
図3】本発明の実施形態に係るフードと、このフードが設置されている衣服とを、保護帽を被っている着用者が着用した状態を示す側面図であり、空気の流れを示す図である。
図4図3におけるV部の拡大図である。
図5】本発明の実施形態に係るフードが外された衣服を、着用者が着用した状態を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るフードの正面図である。
図7】本発明の実施形態に係るフードの側面図である。
図8】(a)は図6におけるVIIIA-VIIIA断面を示す図であり、(b)は図6におけるVIIIB-VIIIB断面を示す図であり、(c)は図6におけるVIIIC-VIIIC断面を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係るフードに使用される形状維持材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係るフード(たとえばヘルメット対応型フード)1は、図1から図3で示すように、衣服5に設置されて使用されるものであり、フード本体7と、フラップ(襞)9とを備えて構成されている。
【0020】
ここで、説明の便宜のために、フード1等における所定の位置方向を横方向とし、横方向に対して直交する所定の一方向を前後方向とし、横方向と前後方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0021】
フード本体7は、この下端部が衣服5の襟部11に接続されるようにして、衣服用ファン3が設置される衣服(たとえば上衣)5に設置されるようになっている。フード本体7は、着用者13の顔面15と頚部(首)17の前面とが露出するようにして、着用者13の頭部14と頚部17とを覆うようになっている。
【0022】
フード本体7が衣服5とともに着用者13に着用されている状態で衣服用ファン3が稼働すると、衣服5内(衣服5とこの衣服5の着用者13の皮膚との間)を空気が流れるようになっている。また、フード本体7が衣服5とともに着用者13に着用されている状態で衣服用ファン3が稼働すると、衣服5内を流れてきて衣服5から出てきた空気が、フード本体7の内部に流れるようになっている。
【0023】
フラップ9は、空気の流れを遮断する生地で構成されている。フラップ9は、衣服5内を流れてきた空気が、フード本体7内の上部に流れることを防止するために、フード本体7内に設置されている。
【0024】
さらに説明すると、フラップ9は、空気を通さない生地で所定の幅で薄く細長い帯状に形成されている。フラップ9は、図4で示すように、この幅方向が概ね上下方向もしくは上下方向に対して斜めの方向になるようにして、フード本体7内でフード本体7に接合されている。フラップ9は、この幅方向の一方の端である上端が、フード本体7に接合されている。
【0025】
フラップ9は、フード本体7の内面に沿って横方向に長く延びている。また、フラップ9は、フード本体7の下側(下端の近く;フード1の着用者13の耳よりも下側)に位置して、フード本体7に設置されている。
【0026】
フード本体7内の上部(上側部位)19は、フード1(フード本体7)を着用者13が被ったときに、着用者13の耳を含む着用者13の耳の下端よりも上側になる部位である。すなわち、フード1(フード本体7)を着用者13が被ったとき、着用者13の耳は、上側部位19内に位置するようになっている。フード本体7内の下部(下側部位)21とは、フード1(フード本体7)を着用者13が被ったときに、着用者13の耳よりも下側になる部位である。フラップ9で仕切られることで、フード本体7内の上側部位19とフード本体7内の下側部位21とが形成されている。
【0027】
さらに説明すると、フード1(フード本体7)を着用者13が被った状態を前後方向で見ると、フラップ9は、ほぼ水平方向に展開している。すなわち、幅方向が上下方向になるようにして、横方向に延びている。そして、フラップ9が、頚部17の上端部で頚部17に巻き付くようにして、フード本体7内を、上側部位19と下側部位21とに仕切っている。
【0028】
フード1(フード本体7)を着用者13が被った状態を上下方向で見ると、フラップ9は所定の幅で「U」字状、もしくは、「C」字状になっている。すなわち、「U」字や「C」字の線が幅を持った形状になっている。フラップ9の幅方向の一方の端(上端)は、フード本体7に接合されており、フラップ9の幅方向の他方の端(下端)は、着用者13の頚部17に接している。
【0029】
フード1を着用者13が被った状態を上下方向で見ると、フラップ9の長手方向の一方の端(右端)は、フード本体7の開口部29の横方向の一方の端(右端)の近傍もしくはフード本体7の開口部29の横方向の一方の端のところに位置している。
【0030】
また、フード1を着用者13が被った状態を上下方向で見ると、フラップ9の長手方向の他方の端(左端)は、フード本体7の開口部29の横方向の他方の端(左端)の近傍もしくはフード本体7の開口部29の横方向の他方の端のところに位置している。
【0031】
保護帽(ハーフキャップ型のヘルメット)23を被った着用者13が保護帽23の上からさらにフード1(フード本体7)を被ったときには、すでに理解されるように、フード本体7内の上側部位19内に保護帽23が存在している。したがって、衣服5内を流れてきた空気は、フラップ9によって遮断され、保護帽23内(保護帽23と保護帽23を被っている着用者13の頭部14との間の空間)には流れ込まないようになっている。なお、保護帽23は、より具体的には、保護帽の帽体をさしている。
【0032】
フード1と衣服5と保護帽23とは、たとえば、中心面に対して対称な形状になっている。中心面とは、フード1(衣服5、保護帽23)の中心を含み横方向に対して直交する平面である。
【0033】
また、着用者13が保護帽23を被ることなく、フード1(フード本体7)を直接被ってもよい。また、衣服5内を流れてきた空気が、フラップ9によって遮断されることで保護帽23内には流れ込まないようになっているのであれば、フラップ9の上下方向における位置が、保護帽23の下端よりも僅かに下側に位置していてもよい。たとえば、フラップ9の一部が保護帽23の下端部に接していてもよい。
【0034】
また、フード本体7は、バイク(オートバイ、自転車)等の搭乗者(着用者)13が保護帽23を被っている状態で着用者13の頭部14と頚部17と保護帽23とを覆うようになっている。このとき、着用者13の顔面15と頚部17の前面とが露出している。ここで、バイク等とは、搭乗者が少なくとも頭部を大気に露出させて乗るようになっている乗り物である。
【0035】
フラップ9は、上述したように、バイク等の搭乗者13が保護帽23を被っている状態で、保護帽23よりも下側に位置し、フード本体7内を下側部位21と保護帽23が入っている上側部位19とに仕切るようになっている。
【0036】
また、フード1には、排気部25と形状維持材27とが設けられている。排気部25は、フード1の後側下方に設けられており、フラップ9よりも下側の空気(下側部位21内の空気)をフード本体7の後方部位から外部に排出するようになっている。フード本体7を構成している生地の厚さ方向で見ると、図6で示すように、フラップ9の一部と排気部25の総てとが互いに重なっている。
【0037】
形状維持材27は、開口部29に沿って延びている縁部(フード本体7の縁部)のうちの一部の部位のところで、フード本体7に設けられている。前記一部の部位は、開口部29の横方向の両側のところに位置している。形状維持材27は、上下方向で所定の長さにわたって横方向の両側の部位(フード本体7の縁部のうちの一部の部位)の形状を維持するために設けられている。
【0038】
さらに説明すると、フード本体7の開口部29の外周は、上下が逆転した「U」字状に形成されている。開口部29に沿って延びている縁部(フード本体7の縁部)も、当然に上下が逆転した「U」字状に形成されている。形状維持材27は、細長く形成されており、「U」字の左右の縦線のそれぞれのところで上下方向に長く延びて、フード本体7に設置されている。
【0039】
形状維持材27は、図9(a)で示すように、たとえば、細長い矩形な板状に形成されており、所定の大きさの力を加えることで塑性変形するようになっている。上記塑性変形後に上記所定の大きさの力を取り除いても、上記塑性変形したときの形状を概ね保つようになっている。なお、図9(a)は、形状維持材27が変形していない状態を示している。
【0040】
ここで、形状維持材27についてさらに説明する。形状維持材27の長手方向をX軸方向とし、形状維持材27の幅方向をY軸方向とし、形状維持材27の厚さ方向をZ軸方向とする。また、X軸まわりの回転軸(回動軸)をA軸とし、Y軸まわりの回転軸(回動軸)をB軸とし、Z軸まわりの回転軸(回動軸)をC軸とする。
【0041】
図9(b)は、図9(a)におけるIXB矢視図であって、形状維持材27が変形していない状態を示す図である。図9(c)は、図9(b)に示す状態から、形状維持材27が塑性変形をした状態を示す図である。図9(c)で示す状態では、形状維持材27がB軸まわりの塑性変形をしている。図9(d)は、図9(a)に示す状態から、形状維持材27が塑性変形をした状態を示す図である。図9(d)に示す状態では、形状維持材27がA軸まわりの塑性変形をしている。形状維持材27は、図9(c)、図9(d)に示すような態様での塑性変形をするようになっている。
【0042】
形状維持材27に使用される材料として、たとえば、不織布マスクのノーズフィット部分に芯材として使用されている合成樹脂製の材料を掲げることができる。この材料は、塑性変形による形状の変化を繰り返しても、加工硬化の現象が起きにくい材料である。
【0043】
また、フード本体7には、図6図7で示すように、この開口部29の縁部に沿って細長い筒状部位31が設けられており、細長い筒状部位31を細長い紐状部材33が通り抜けている。紐状部材33の長手方向の両端部は、細長い筒状部位31の長手方向の両端から延出している。そして、紐状部材33をこの長手方向の両端で引っ張り紐状部材33の細長い筒状部位31の両端からの延出長さを長くすることで、フード本体7の開口部29の面積が小さくなるように構成されている。すなわち、紐状部材33をこの両端で引っ張ることで、フード本体7の開口部29を絞ることができるようになっている。
【0044】
なお、フード1では、紐状部材33の引っ張り力(引張力)が所定の値以下であれば、形状維持材27の形状が維持されるように構成されている。
【0045】
ここで、フード1と衣服5についてさらに詳しく説明する。
【0046】
フード1のフード本体7と衣服5とは、防水性の生地で構成されており、雨除けの機能(防水機能)を備えている。また、フード本体7や衣服5には、ポリウレタンのコーティングがされており、紫外線が透過しないようになっている(UVカット機能を備えている)。また、フード本体7と衣服5とは、風をほとんど通さないようになっている。
【0047】
衣服5はたとえば上衣であり、衣服5には、衣服用ファン3が設置されている。衣服用ファン3が稼働することで、衣服5の外部から衣服5内に空気が入り、この衣服5内に入った空気が、主として襟部11のところ(襟部11と着用者13の首17との間の隙間35)から、衣服5の外に出てくるようになっている。
【0048】
なお、衣服5としてツナギタイプのものを採用してもよいし、長袖タイプのもの、半袖タイプのもの、袖無しのベストタイプのものを採用してもよい。いずれの場合も、衣服用ファン3の稼働によって衣服5内に供給された空気が、襟部11と着用者13の首17の間の隙間から衣服5の外部に出てくるようになっている。衣服用ファン3の稼働によって衣服5内に供給された空気が、その他の箇所からは、衣服5の外部にほとんど出てこないようになっている。
【0049】
衣服5の襟部11には、図5で示すように、ファスナー(たとえば複数のスナップボタン)37が設けられている。
【0050】
図6で示すように、フード本体7は、この下端と前面が開口している。フード本体7の下端部にも、ファスナー(たとえば複数のスナップボタン)39が設けられている。そして、衣服5のスナップボタン37にフード本体7のスナップボタン39を嵌めることで、フード本体7が衣服5に設置され、衣服5の上側にフード本体7が衣服5から突出するようになっている。
【0051】
なお、衣服5の複数のスナップボタン37とフード本体7の複数のスナップボタン39との組み合わせを適宜変えて、スナップボタン37にスナップボタン39を嵌める。これにより、衣服5に対するフード本体7の設置態様(衣服5に対するフード本体7の設置位置)を僅かに変えることができるようになっている。この設置態様を変えることで、たとえば、フード本体7の衣服5から突出量が僅かに変化し、上記突出量を保護帽23のサイズ等に応じた適切なものとすることができるようになっている。
【0052】
排気部25は、たとえば、矩形な目の細かい網状の生地(メッシュ生地)で構成されている。フード1をこの後側から前側に向かって見ると、図2で示すように、排気部25は、横方向では、中央に配置されており、上下方向では、下側に配置されている(着用者13の後頭部と後頚部の境界のあたりに配置されている)。排気部25の横方向の寸法の値は、排気部25の上下方向の寸法の値よりも大きくなっている。
【0053】
また、フード1をこの後側から前側に向かって見ると、上述したように、フラップ9の一部が排気部25の全体に重なっている(図6参照)。すなわち、排気部25がフラップ9の内側に位置している。
【0054】
なお、排気部25をメッシュ生地で構成する代わりに、水や光を通さない複数枚の生地を重ねて構成してもよい。この場合、複数枚の生地は、空気を通す態様で重ねられている。また、排気部25を、水や光を通さない生地で覆ってもよい。この場合も、排気部25を覆っている生地は、空気を通す態様で、フード本体7に設置されている。たとえば、生地の下端等の一部が、フード本体7に接合されていないことで、この接合がされていない部位を空気が流れるようになっている。
【0055】
また、フード本体7には、着用者13が被る保護帽23の大きさに合うように、フード本体7のサイズを調整するサイズ調整部41(図2参照)が設けられている。サイズ調整部41でフード本体7のサイズを調整することで、着用者13が被っている保護帽23をフード本体7で覆ったときに、フード本体7が保護帽23にほどよくフィットするようになっている。
【0056】
サイズ調整部41は、図2で示すように、フード本体7から突出している突出部45と、フード本体7の外面に設けられている面ファスナー47とを備えて構成されている。突出部45は、矩形な板状の生地で構成されており、突出部45には、面ファスナー43が設けられている。面ファスナー47に対する面ファスナー43の位置を適宜変えて、面ファスナー47に面ファスナー43を固定することで、フード本体7のサイズの調整ができるようになっている。
【0057】
さらに説明すると、図2で示す状態から、面ファスナー47に対して突出部45を下側に移動し、突出部45を面ファスナー47に固定することができるようになっている。また、図2で示す状態から、面ファスナー47に対して突出部45を上側に移動し、突出部45を面ファスナー47に固定することができるようになっている。これにより、主として上下方向でのフード本体7のサイズの調整をすることができる。
【0058】
筒状部位31は、図6図7で示すように、フード本体7の「U」字状の開口部29のほぼ全長に沿って形成されている。筒状部位31は、横方向の一方の側で上下方向に長く延びている第1の部位49と、横方向の他方の側で上下方向に長く延びている第2の部位51と、開口部29の上端のところで横方向に延びている第3の部位53とで構成されている。また、筒状部位31(フード本体7)には貫通孔55、57、59、61が設けられている。
【0059】
紐状部材33は、第1の部位49と第2の部位51と第3の部位53と貫通孔55、57、59、61とを通り抜けてフード本体7に設置されている。なお、図7で示す貫通孔61から下側に僅かに延びてフード本体7の内部に入り込んでいる紐状部材33の端部(図示せず)は、フード本体7に固定されている。
【0060】
また、図6で示す貫通孔55、57の間、図7で示す貫通孔59、61の間で、紐状部材33が僅かの長さだけ露出している。紐状部材33の、貫通孔59と貫通孔61の間で露出している部位には、紐状部材33の、貫通孔59と貫通孔61の間で露出している部位の長さを調整するために、長さ調整体63が設置されている。
【0061】
そして、図6図7で示す状態から、紐状部材33の、貫通孔59と貫通孔61の間で露出している部位の長さを長くすることで、フード本体7(フード1)の開口部29の面積が縮小するようになっている。
【0062】
形状維持材27は、筒状部位31の第1の部位49内と第2の部位51内とに設置されている。形状維持材27の長手方向の寸法(上下方向の寸法)の値は、第1の部位49内や第2の部位51の長手方向の寸法(上下方向の寸法)の値よりも僅かに小さくなっている。
【0063】
形状維持材27は、たとえば、縫製されることで、フード本体7に設置されている。縫製部位は、形状維持材27のほぼ全長にわたって上下方向に延びている。形状維持材27の厚さ方向は、フード本体7の生地の厚さ方向と一致している。
【0064】
ここで、フード1等の動作について説明する。
【0065】
まず、保護帽23を被っている着用者13が、フード1が設置されている衣服5を着用し、フード1を保護帽23に被せる。
【0066】
続いて、形状維持材27の形状を必要に応じて適宜変えて、たとえば、図1で示すように、横方向で顔面の両側が大きく開口するようにする。
【0067】
続いて、紐状部材33を調整し、フード1の開口部29の上部を保護帽23に密着させる。
【0068】
この状態では、図3等で示すように、保護帽23の前端部がフード1から僅かに突出しており、また、フラップ9の先端部が、着用者13の首17の外周に沿って延びており、着用者13の首17に接している。
【0069】
この状態で、衣服用ファン3を稼働すると、衣服5の襟部11から空気が出てきて、この出てきた空気がフード本体7内に入る。フード本体7内に入った空気(図4の矢印A4aを参照)は、下側部位21内を流れ、一部が排気部25から排出され(図4の矢印A4bを参照)、残りが前側に向かって進み(図4の矢印A4cを参照)、開口部29から排出される。
【0070】
また、保護帽23を被り、衣服5とフード1とを着用している着用者13がバイク等に乗って走行すると、開口部29からフード本体7内に走行風(図3の矢印A3a、A3bを参照)が入り込む。走行風は、下側部位21に入り込む(図3の矢印A3a、図4の矢印A3a参照)とともに、上側部位19にも入り込む(図3の矢印A3bを参照)。下側部位21に入り込んだ走行風は、排気部25からフード1の後方に排出される。
【0071】
フード1は、フード本体7と、衣服5内を流れてきた空気がフード本体7内の上部(上側部位)19に流れることを防止するためにフード本体7内に設置されたフラップ9とを備えている。フード本体7は、衣服用ファン3が設置される衣服5に設置され衣服5内を流れてきた空気を内部に流すようになっている。
【0072】
このように構成されていることで、フード本体7内の下側部位21にのみ、衣服5内を流れてきた空気を流すことができ、着用者13の頭部14を効率良く冷却することができる。
【0073】
さらに説明すると、フード1が設置された衣服5を着用した状態では、フード本体7内の下側部位21に着用者13の頚部17が収まっている。着用者13の頚部17には、内頸動脈、外頸動脈、椎骨動脈および総頸動脈と、これら動脈に対応した静脈とが通っている。上記動脈や上記静脈を流れる血液を、フード本体7内の下側部位21を勢いよく流れる空気で、効率良く冷やすことができ、着用者13の頭部14を効率良く冷却することができる。
【0074】
また、フード1では、フラップ9が、所定の幅で薄く細長い帯状に形成されており、フード本体7内で、幅方向の一方の端である上端がフード本体7に接合されている。また、フラップ9が、フード本体7に沿って横方向に長く延びて、フード本体7の下側に位置して、フード本体7に設置されている。
【0075】
これにより、フラップ9によって、フード本体7内の下側部位21と上側部位19とがきっちりと分離されるようになっており、着用者13の首17まわりの冷却機能が向上し、着用者13の頭部14を効率良く冷却することができる。
【0076】
また、フード1では、バイク等の搭乗者13が保護帽23を被っている状態で、着用者13の顔面15が露出するようにして、フード本体7が着用者13の頭部14と保護帽23とを覆うようになっている。また、フード1では、バイク等の搭乗者13が保護帽23を被っている状態で、フラップ9が、保護帽23よりも下側に位置し、フード本体7内を下側部位21と保護帽23が入っている上側部位19とに仕切るようになっている。これにより、保護帽23を被っているバイク等の搭乗者13の頭部14を効率良く冷却することができる。なお、フード1は、保護帽23を着用しなくても使用可能になっている。
【0077】
また、フード1では、フラップ9よりも下側部位21の空気をフード本体7の外部に排出する排気部25がフード本体7の後方部位に設けられている。これにより、フード本体7の下側部位21の後部からの排気を促すことができ、首(頚部)17後側の冷却機能が向上する。
【0078】
また、排気部25が設けられていることで、衣服5の襟部11からフード本体7内に出てきた空気が、フード本体7の前側に向かいフード本体7の開口部29から外に出ていく空気と、フード本体7の後側に向かい排気部25から外に出ていく空気とに分かれる。これにより、前側に向かう空気で動脈が通る首(頚部17)の部位をも冷却することができる。
【0079】
また、フード1では、フード本体7を構成している生地の厚さ方向で見て、フラップ9と排気部25とが互いに重なっている。これにより、日光や雨水が排気部25からフード本体7内に入り着用者13まで到達することを極力防止することができる。
【0080】
また、フード1では、フード本体7に形状維持材27が設けられている。これにより、フード本体7の開口部29の縁部のうちの横方向の両側の部位も形状を維持することができるようになっている。そして、保護帽23の上からフード1を被った状態で、着用者13の耳の前側のフード本体7の部位の形状を、大きく開口した形状にすることができる。これにより、フード1を被ったことによって音が聞こえにくくなることが防止される。
【0081】
また、フード1を、バイク乗車用フード付き衣服(バイク等乗車用フード付き衣服)としたときに、着用者13の耳の前側のフード本体7の部位の形状を大きく開口させることで、前方の空気(走行風)をフード本体7内に取り込むことができる。そして、この取り込んだ空気を排気部25から後方に逃がすことができ、バイク等の走行中において、さらに、頭部14の冷却効率を高めることができる。
【0082】
また、フード1では、紐状部材33によってフード本体7の開口部29の面積が小さくなるように構成されているにもかかわらず、紐状部材33の引っ張り力が所定の値以下であれば、形状維持材27の形状が維持されるようになっている。
【0083】
これにより、フード本体7の開口部29の形状を保ったまま、フード本体7の開口部29の縁部を保護帽23に密着させることができる。
【0084】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 フード
3 衣服用ファン
5 衣服
7 フード本体
9 フラップ
13 着用者
14 頭部
15 顔面
19 上側部位
21 下側部位
23 保護帽
25 排気部
27 形状維持材
29 開口部
31 筒状部位
33 紐状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9