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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013255
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】スクリュープレス型脱水装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/125 20190101AFI20230119BHJP
【FI】
C02F11/125 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117290
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】592059622
【氏名又は名称】株式会社エイブル
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】100125760
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 敏機
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸雄
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BE04
4D059BE15
4D059CB06
4D059CB07
(57)【要約】
【課題】含水率のムラを少なくすることにより、低含水率の脱水ケーキを得ることが可能となるスクリュープレス型脱水装置を提供する。
【解決手段】駆動手段により回転するスクリューシャフトと、該スクリューシャフトの外周にスパイラル状に付設したスクリュー羽根と、該スクリュー羽根を囲むろ過孔を有する外筒とからなり、外筒の一端に設けた入口部から投入した含水汚泥を圧搾してろ過孔からろ過液を排出するとともに、外筒の他端に設けた出口部から脱水ケーキを得るスクリュープレス型脱水装置において、スクリューシャフトとスクリュー羽根と外筒によって囲まれた空間部の容積が入口部から出口部に向けて減少しており、スクリュー羽根が貫通穴を有することを特徴とするスクリュープレス型脱水装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段により回転するスクリューシャフトと、該スクリューシャフトの外周にスパイラル状に付設したスクリュー羽根と、該スクリュー羽根を囲むろ過孔を有する外筒とからなり、
前記外筒の一端に設けた入口部から投入した含水汚泥を圧搾して前記ろ過孔からろ過液を排出するとともに、前記外筒の他端に設けた出口部から脱水ケーキを得るスクリュープレス型脱水装置において、
前記スクリューシャフトと前記スクリュー羽根と前記外筒によって囲まれた空間部の容積が前記入口部から前記出口部に向けて減少しており、
前記スクリュー羽根が貫通穴を有することを特徴とするスクリュープレス型脱水装置。
【請求項2】
前記貫通穴が、前記出口部から前記外筒の全長の1/10~1/5の位置に相当する出口部近傍に設けられている、請求項1に記載されたスクリュープレス型脱水装置。
【請求項3】
前記貫通穴の大きさが、前記スクリューシャフトの周りを旋回する一周分の前記スクリュー羽根の投影面積の3%以上かつ15%未満である、請求項1または請求項2に記載されたスクリュープレス型脱水装置。
【請求項4】
前記貫通穴が、前記スクリューシャフトに接して設けられている、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載されたスクリュープレス型脱水装置。
【請求項5】
前記貫通穴が、前記スクリュー羽根の中央より内側に中心点が位置するように設けられている、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載されたスクリュープレス脱水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好気性微生物処理装置や嫌気性微生物処理装置から発生する汚泥やその他の種々の排水装置から発生する汚泥を脱水して脱水ケーキを得るためのスクリュープレス型脱水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリュープレス型脱水装置は、駆動手段により回転するスクリューシャフトと、スクリューシャフトの外周にスパイラル状に付設したスクリュー羽根と、スクリュー羽根を囲むろ過孔を有する外筒とからなり、外筒の両端部に入口部と出口部を設け、スクリューシャフトとスクリュー羽根と外筒によって囲んだ空間部を入口部から出口部に向けて減少させ、スクリューシャフトを回転させながら入口部から投入した含水汚泥を圧搾してろ過孔からろ過液を排出するとともに、出口部から脱水ケーキを得るものであり、各種の汚泥の脱水処理に用いられている。
【0003】
スクリュープレス型脱水装置は、スクリュー羽根とスクリュー羽根の間に含水汚泥を閉じ込めて水分を絞り出す構造を有するため、スクリュー羽根間の汚泥は、ベルトプレス処理した汚泥のような薄い厚みとすることができず、その構造上の特性から脱水処理の最終過程に近い部分の汚泥の厚みは10cm前後となることが通常である。
【0004】
したがって、押圧力をかけているスクリュー羽根に接しているか、その近くに存在している汚泥には強い押圧力が加わるが、当該スクリュー羽根から離れれば離れるほど汚泥に加わる押圧力は減衰する。
【0005】
その結果、スクリュー羽根に挟まれている汚泥の含水率に差が生じ、押圧力をかけているスクリュー羽根に近接している汚泥の含水率は小さいが、押圧力を受けているスクリュー羽根に近接している汚泥の含水率は大きくなる。換言すれば、回転しながら前進するスクリュー羽根の押圧力が、2枚のスクリュー羽根に挟まれている汚泥全体に均等には及ばないのである。
【0006】
その結果、含水率が比較的大きい汚泥が、含水率の小さい汚泥に混合されて出口部から排出されることとなり、脱水ケーキ全体の含水率を上昇させる原因となり得る。
【0007】
特許文献1~2には、スクリュー羽根に切欠部を設け、この切欠部によって脱水過程の汚泥を混合し、この混合汚泥に押圧力を及ぼすことにより、脱水効果を上昇させようとすることが記載されている。
【0008】
しかしながら、両文献に記載されている切欠部は、スクリュー羽根の先端からスクリューシャフトに至るものであり、その切欠部の面積がかなり大きいものであるから、その切欠部によって汚泥の混合は果たされるかもしれないが、大量の脱水過程の汚泥が逆流するため切欠部を有するスクリュー羽根には押圧力が発生せず、よってこの部分では汚泥を脱水することが難しい。換言すれば、両公報に記載されているスクリュープレス型脱水装置では、効果的に汚泥を押圧して高い脱水効果を得ることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭61-9118号公報
【特許文献2】特開2004-148342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来のスクリュープレス型脱水装置が有していた問題点、すなわち脱水過程の汚泥に生じていた含水率のムラを少なくすることにより、従来のスクリュープレス型脱水装置では得られないような低含水率の脱水ケーキを得ることが可能となるスクリュープレス型脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るスクリュープレス型脱水装置は、
駆動手段により回転するスクリューシャフトと、該スクリューシャフトの外周にスパイラル状に付設したスクリュー羽根と、該スクリュー羽根を囲むろ過孔を有する外筒とからなり、
前記外筒の一端に設けた入口部から投入した含水汚泥を圧搾して前記ろ過孔からろ過液を排出するとともに、前記外筒の他端に設けた出口部から脱水ケーキを得るスクリュープレス型脱水装置において、
前記スクリューシャフトと前記スクリュー羽根と前記外筒によって囲まれた空間部の容積が前記入口部から前記出口部に向けて減少しており、
前記スクリュー羽根が貫通穴を有することを特徴とするものからなる。
【0012】
このような本発明のスクリュープレス型脱水装置によれば、脱水過程の汚泥を貫通穴を通してスクリュー羽根の裏側に戻すことができるので、脱水過程の汚泥を反転させて含水率のムラを少なくすることにより、低含水率の脱水ケーキを得ることが可能となる。
【0013】
本発明のスクリュープレス型脱水装置において、前記貫通穴が、前記出口部から前記外筒の全長の1/10~1/5の位置に相当する出口部近傍に設けられていることが好ましい。貫通穴を出口部近傍に設けることにより、出口部近傍における含水率のムラを効果的に低減することが可能となる。
【0014】
本発明のスクリュープレス型脱水装置において、前記貫通穴の大きさが、前記スクリューシャフトの周りを旋回する一周分の前記スクリュー羽根の投影面積の3%以上かつ15%未満であることが好ましい。このような大きさの貫通穴をスクリュー羽根に設けることにより、貫通穴を通してスクリュー羽根の裏側に逆流する汚泥量を適正な範囲に制御することができる。
【0015】
本発明のスクリュープレス型脱水装置において、前記貫通穴が、前記スクリューシャフトに接して設けられていることが好ましい。このように設けられた貫通穴によれば、汚泥の逆流効果を高めることができる。また、前記貫通穴が、前記スクリュー羽根の中央より内側に中心点が位置するように設けられていてもよい。貫通穴の重心がスクリュー羽根の先端からスクリューシャフトまでの幅の半分よりも内側に配置されることにより、汚泥の逆流を十分に達成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスクリュープレス型脱水装置は、スクリュー羽根に適切な貫通穴を設けたので、スクリュー羽根に囲まれた脱水過程の汚泥を、当該貫通穴を介して逆流させることにより、脱水処理中に次々と脱水過程の汚泥を反転させることができる。
【0017】
その結果、従来装置ではスクリュー羽根の押圧力が強く働かない脱水過程の汚泥を上記反転によりスクリュー羽根の押圧力が強く働く位置に移動させることができ、汚泥に含まれる水分をさらに絞り出すことができる。
【0018】
このような貫通穴を介して生じる脱水過程の汚泥の反転により、スクリュー羽根に囲まれた脱水過程の汚泥の含水率のムラを極力少なくすることができ、得られる脱水ケーキの含水率を従来装置より小さくすることができる。
【0019】
また得られる脱水汚泥の含水率を同一とした場合は、本発明装置は従来装置より多量の汚泥を処理することが可能となる。
【0020】
このように本発明装置が産業に与える利益は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施態様に係るスクリュープレス型脱水装置を示す概略正面図である。
図2図1のA-A線から入口部の方向に向かって見た概略断面図である。
図3】スクリュー羽根に囲まれた各点の汚泥の含水率を示す模式説明図である。
図4】貫通穴から汚泥が逆流する状態を示す模式説明図である。
図5】本発明の他の実施態様に係る貫通穴を示す概略断面図である。
図6】実施例におけるスクリューシャフトとスクリュー羽根と貫通穴の寸法を示す概略断面図である。
図7】実施例における汚泥処理量と含水率の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施態様に係るスクリュープレス型脱水装置1の説明図であり、駆動手段11により回転可能となっているスクリューシャフト2の外周に、スパイラル状にスクリュー羽根3を付設し、スクリューシャフト2はパンチングメタル等のろ過孔4を有する外筒5内に設置されている。外筒5の一方には含水汚泥を投入するホッパー型の入口部6を有し、他方には脱水ケーキを排出するための出口部7を有している。
【0023】
スクリューシャフト2は入口部6から出口部7に向かって徐々にその外径が太くなっていて、スクリューシャフト2とスクリュー羽根3と外筒5で囲まれた空間部は次第に減少するように構成されている。
【0024】
なおスクリューシャフトの外径を変えずにスパイラル状に付設するスクリュー羽根のピッチを入口部6から出口部7に向かって徐々に狭くすることによっても、スクリューシャフトとスクリュー羽根3と外筒5で囲まれた空間部を次第に減少するように構成することができる。
【0025】
図1において、8は回転するスクリューシャフト2に背圧をかける押圧装置であり、9はろ過液の受け槽である。
【0026】
スクリュープレス型脱水装置1における最大の特徴は、出口部7近傍のスクリュー羽根3に貫通穴10を設けた点にある。
【0027】
図2は、図1のA-A線から入口部6の方向に向かって見た概略断面図である。図2左のハッチングを付した部分は切断面を示す。図2において、貫通穴10はスクリューシャフト2に接する部分のスクリュー羽根3に設けられている。貫通穴10の大きさは、スクリューシャフト2の周りを旋回する一周分のスクリュー羽根3の投影面積S(図2右の網掛け部分の面積)の3%以上かつ15%未満とするとよい。
【0028】
なお、スクリューシャフト2の外径は入口部6から出口部7に向かって太くなっているので、投影面積Sを求めるにあたっては投影面を一義的に定める必要がある。具体的には、貫通穴10の出口部7側の端部を通りスクリューシャフト2の軸と垂直な平面(投影面)に対しスクリュー羽根3を入口部6側から投影したドーナツ形状の投影面積Sを求める。当該ドーナツ形状の外径は、投影面から入口部6側に見える一周分のスクリュー羽根3の最外径に等しく、当該ドーナツ形状の内径は投影面におけるスクリューシャフト2の外径に等しい。
【0029】
なお、スクリューシャフトの外径を変えずにスパイラル状に付設するスクリュー羽根のピッチを入口部6から出口部7に向かって徐々に狭くした別の構成を採用する場合にも、同様にして投影面積Sを求めることができる。すなわち、投影面から入口部6側に見える一周分のスクリュー羽根3の最外径に等しい外径と、スクリューシャフトの外径に等しい内径を有するドーナツ形状の面積が投影面積Sである。
【0030】
次に本発明のスクリュープレス型脱水装置の操作を説明する。
押圧装置8によってスクリューシャフト2に背圧をかけ、駆動装置1によってスクリューシャフト2をゆっくり回転させながら、図に示されていない常用の凝集槽で高分子凝集剤等の凝集剤によって凝集された含水率が99%程度の含水汚泥を入口部6から連続的に投入する。
【0031】
投入された含水汚泥は回転するスクリュー羽根3によって、スクリュー羽根3とスクリューシャフト2と外筒5との間を僅かに滑らせながら出口部7に向かって移動する。入口部6の直下部あるいはその近傍では、含水汚泥中の水分は主に重力によるろ過作用によってろ過孔4から排出される。
【0032】
その後スクリューシャフト2とスクリュー羽根3と外筒5によって囲まれた空間部は次第にその体積が減少していくため、その空間部に存在する含水汚泥は徐々に圧搾され、圧搾により絞り出されたろ過液はろ過孔4から排出される。なおろ過液は受け槽9によって受けられ、当該脱水装置外に排出される。
【0033】
発明者等は、外筒部の直径0.4m、長さ1.6mの実験装置を用いて、脱水過程の汚泥の含水率を測定した。その結果、出口部から約0.2mの部分のスクリュー羽根に囲まれた脱水過程の汚泥(以下、単に汚泥という)の含水率を測定したところ下記のような結果を得た。
【0034】
すなわちスクリュー羽根に囲まれた各点の汚泥の含水率を示す図3に見られるように、押圧力をかけているスクリュー羽根3に接している汚泥の含水率は、スクリューシャフト2側から、それぞれ84%、86%、87%であるが、その前方に行けば行くほどその含水率は大きくなり、押圧力を受け止めているスクリューシャフト3の近傍に存在する汚泥は、スクリューシャフト2側からそれぞれ89%、88%、91%であった。なお図中の矢印は汚泥の進行方向を示している。
【0035】
スクリュープレス型脱水装置1では、出口部7近傍のスクリュー羽根3に貫通穴10を設けたので、当該貫通穴10によって図4に示すような汚泥の逆流が生じる。すなわち含水率の大きい汚泥群Aは流動性が大きいので早く逆流して、押圧しているスクリュー羽根3近傍に達してAA層を形成し、続いて含水率の中程度の汚泥群Bも逆流して、AA層の隣に達してBB層を形成し、最後に含水率が小さい汚泥群Cが逆流してBB層の隣に達してCC層を形成する。
【0036】
要するに、貫通穴10を設けたことによって当該貫通穴10を介して汚泥が次々と逆流し、その含水率分布が逆転するのである。
【0037】
したがって、含水率が大きい汚泥群Aが逆流することにより押圧力を及ぼしているスクリュー羽根3の近傍にその位置を変えて汚泥群AAを形成するので、スクリュー羽根3の押圧力を受けて脱水されその含水率を低下させることができる。
【0038】
上述した現象が貫通穴10を介して次々に生じるので、出口部7から得られる脱水ケーキの含水率を従来装置より小さくすることができる。
【0039】
次に本発明における貫通穴10について詳しく説明する。
前述したごとく、貫通穴10の大きさはスクリューシャフト2を旋回する一周分のスクリュー羽根3の投影面積Sの3%以上でかつ15%未満とするとよく、好ましくは4%以上でかつ10%未満とするとよい。
【0040】
なお貫通孔10を投影面積Sの15%以上の大きさにすると貫通穴10を逆流する汚泥量が多くなり過ぎ、スクリュー羽根3の押圧力が低下し汚泥を効果的に押圧することができなくなり、脱水効果が減少する恐れがある。また3%未満とすると逆流する汚泥量が少な過ぎて本発明の効果を十分に発揮できなくなる恐れがある。
【0041】
さらに貫通穴10は図2に示したようにスクリューシャフト2に接して設けることが好ましい。このように貫通穴10をスクリューシャフト2に接して設けることにより、汚泥の逆流を最も効果的に達成できる。
【0042】
なお図5に示したように貫通穴10の中心点がスクリュー羽根3の中央部より内側にあればスクリューシャフト2に接していなくても、汚泥の逆流が効果的に達成される。ただし、貫通穴10をスクリュー羽根3の外周部に接するように設けたり、あるいは貫通穴10の一部がスクリュー羽根3の外周部からはみ出すように設けると、汚泥の逆流効果が低下する恐れがある。
【0043】
また貫通穴10は、外筒5の全長の10分の1~5分の1の位置に相当する出口部7近傍に設けることが好ましい。また、出口部7から入口部6に向かって2周目または3周目に設けることが好ましい。
【0044】
なお、貫通穴はスクリュー羽根に1か所設ければ十分であるが、上述した出口部7近傍の位置であるならば、隣接するスクリュー羽根にそれぞれ1か所、合計2か所設けてもよい。
【実施例0045】
以下に、実験装置による本発明の実施例を説明する。
1.使用したスクリュープレス型脱水装置
外筒の直径 : 400mm
外筒の長さ :1600mm
スクリューシャフトの径: 16mm
(入口部と出口部までを同一の太さとしたもの)
スクリュー羽根の幅 : 12mm
貫通穴の大きさ :縦6mm×横7mm
(スクリューシャフトを旋回する一周分のスクリュー羽根の投影面積の約4%)
貫通穴の位置 :出口部から200mmのスクリュー羽根にスクリューシャフトに接して、1か所
スクリューシャフトの回転数:0.05~0.2rpm
【0046】
なお、汚泥の処理量に応じて回転数を変更し、処理量が少ないときは回転数を遅くし、処理量が多いときは回転数を速くした。
【0047】
また、スクリュー羽根をスクリューシャフトにスパイラル状に付設するが、スパイラルの間隔を出口部に向かって徐々に狭くし、出口部の当該間隔は入口部の当該間隔の2分の1になるように付設した。
【0048】
スクリューシャフトとスクリュー羽根と貫通穴の寸法を図6に示した。図6にはその図示が省略されているが、スクリュー羽根の外周面には外筒が密着して設置されている。
【0049】
2.処理対象
汚泥の種類 :菓子製造排水処理装置から排出された汚泥
濃度 :1.0%(水分含有率99%)
MLVSS(強熱残量):81%
【0050】
3.処理結果
本発明の実験装置の処理結果を、従来装置(貫通穴を設けないもの)の処理結果と合わせて図7に示した。なお図7において、縦軸は脱水ケーキの含水率(%)であり、横軸は汚泥処理量(kg・DS(ドライソリッド)/hr)を示す。
【0051】
図7に見られるごとく、同一含水率(79.8%)当たりで比較すると、従来装置では10kg・DS/hrの汚泥処理量に対して、本発明装置は12.5kg・DS/hrと汚泥処理量が増加した。同一処理量当たりで比較すると、その含水率は、従来装置より本発明装置の方が0.5~0.7%の分だけ小さくなった。特に、通常の利用範囲である脱水ケーキの含水率78.5%の点で比較すると、従来装置は汚泥処理量が2.5kg・DS/hrに対して、本発明装置の汚泥処理量は7.0kg・DS/hrと大幅に増加した。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のスクリュープレス型脱水装置は、各種装置から発生する汚泥を脱水するために広く利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 脱水装置
2 スクリューシャフト
3 スクリュー羽根
4 ろ過孔
5 外筒
6 入口部
7 出口部
8 押圧装置
9 受け槽
10 貫通穴
11 駆動手段
A、AA、B、BB、C、CC 汚泥群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7