(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132565
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】肺活量計マウスピース
(51)【国際特許分類】
A61B 5/097 20060101AFI20230914BHJP
A61B 5/091 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61B5/097
A61B5/091
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037960
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】507294395
【氏名又は名称】株式会社ホクシンエレクトロニクス
(71)【出願人】
【識別番号】597129229
【氏名又は名称】チェスト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591108178
【氏名又は名称】秋田県
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】田中 義克
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 洋
(72)【発明者】
【氏名】大友 勇人
(72)【発明者】
【氏名】須田 茂明
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 雄二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 素
(72)【発明者】
【氏名】宇野 宏志
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS05
4C038ST07
4C038SU01
4C038SX01
4C038SX02
(57)【要約】
【課題】被験者の呼気がマウスピース外部へと流出するのを抑制することができる肺活量計のマウスピースを提供する。
【解決手段】 肺活量計マウスピース1は、筒部2と、筒部2の一端2aに位置するとともに被験者が呼気を送り込む流入部3と、筒部2の他端2bに位置する流出部4と、筒部2の外周に位置する一対の超音波伝達部である第1伝達部5と第2伝達部6とを備える。第1伝達部5及び第2伝達部6には、筒部2の厚さ寸法よりも小さい厚さ寸法を有する第1肉薄部51及び第2肉薄部61を有する。第1肉薄部51及び第2肉薄部62は第1伝達部5及び第2伝達部6の輪郭に沿って環状を呈し、第1肉薄部51及び第2肉薄部61の内側にはこれよりも厚さ寸法の大きい第1肉厚部52及び第2肉厚部62が設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺活流量を測定する肺活量計マウスピースであって、
筒部と、前記筒部の一端に位置するとともに被験者が呼気を送り込む流入部と、前記筒部の他端に位置する流出部と、前記筒部の外側に位置する一対の超音波伝達部と、を備え、
前記超音波伝達部は、前記筒部の厚さ寸法よりも小さい厚さ寸法を有する肉薄部を有することを特徴とする肺活量計マウスピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、肺活量を計測するマウスピースに関するものであり、特に超音波を用いた肺活量計マウスピースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の肺活量計として、超音波センサを搭載した流量検出部と、流量検出部で出力した流量信号に基づいて流量を計算する流量算出部とを備えるものがあった。
特に特許文献1によれば、流量検出部において使い捨てのマウスピースが着脱可能であり、肺活量を測る被験者ごとに新しいものに取り換えて使用することができ、衛生的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の肺活量計のマウスピースは、筒部の周側において互いに対向する二つの開口部が形成され、一方の開口部から他方の開口部へと超音波を送信及び受信することによって筒部を流れる気体流量を測定していた。このようなマウスピースにおいては、開口部から被験者の呼気が流出してしまうという問題があった。
【0005】
この発明は、被験者の呼気がマウスピース外部へと流出するのを抑制することができる肺活量計のマウスピースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、肺活流量を測定する肺活量計のマウスピースであって、筒部と、前記筒部の一端に位置するとともに被験者が呼気を送り込む流入部と、前記筒部の他端に位置する流出部と、前記筒部の外側に位置する一対の超音波伝達部と、を備え、前記超音波伝達部は、前記筒部の厚さ寸法よりも小さい厚さ寸法を有する肉薄部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る肺活量計のマウスピースによれば、超音波は筒部の外側から一方の超音波伝達部及び他方の超音波伝達部へと各々の肉薄部を介して送信及び受信される。したがって、筒部に超音波伝達のための開口を形成する必要がなく、この開口から被験者の呼気が漏れてしまうのを予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~4を参照すると、肺活量計のマウスピース1は、筒部2と、筒部2の一端2aに位置するとともに被験者が呼気を送り込む流入部3と、筒部2の他端2bに位置する流出部4と、筒部2の外周に位置する一対の超音波伝達部である第1伝達部5と第2伝達部6とを備える。
【0010】
第1伝達部5は筒部2の一端2a側に位置し、第2伝達部6は第1伝達部5よりも他端2b側に位置する。第1伝達部5及び第2伝達部6は、いずれも筒部2の縦中心線となるV-V線に重なり、第2伝達部6は第1伝達部5の180°反対側に位置する。第1伝達部5及び第2伝達部6は、環状を有しており、この実施形態では略楕円形としている。
【0011】
特に
図5及び
図6を参照すれば、第1伝達部5及び第2伝達部6には、筒部2の厚さ寸法よりも小さい厚さ寸法を有する第1肉薄部51及び第2肉薄部61を有する。第1肉薄部51及び第2肉薄部61は第1伝達部5及び第2伝達部6の輪郭に沿って環状を呈し、第1肉薄部51及び第2肉薄部61の内側にはこれよりも厚さ寸法の大きい第1肉厚部52及び第2肉厚部62が設けられる。この実施形態において筒部2の厚さ寸法は約1.0mm、第1肉薄部51及び第2肉薄部61の厚さ寸法は約0.2mm、第1肉厚部52及び第2肉厚部62の厚さ寸法は約0.5mmである。
【0012】
マウスピース1は、これを測定装置本体に取り付けるための爪部7をさらに設ける。爪部7は第1伝達部5よりも流入部3側に位置する。特に
図4及び
図5を参照すれば、流出部4には流入された呼気を整流するための整流板8を設ける。
【0013】
上記のようなマウスピース1において、気体流量を測定するための超音波センサは第1伝達部5及び第2伝達部6の外側に配置される。第1伝達部5側の超音波センサから超音波が送信された場合には、第1肉薄部51が振動され、筒部2を介して第2伝達部6に到達し、第2肉薄部61を振動させる。第2伝達部6側に設けられた超音センサは、第2肉薄部61の振動によって伝達される超音波を受信する。そして、第1伝達部5側の超音波センサ及び第2伝達部6側の超音波センサに接続されるコンピュータが超音波の伝達速度を算出し、所定のアルゴリズムを用いて、被験者の呼吸流速や流量を算出する。第2伝達部6側の超音波センサから送信された場合も同様に、第2肉薄部61、筒部2内部、第1肉薄部51を介して超音波が伝達され、被験者の呼吸流速や流量として算出される。
【0014】
このように第1伝達部5及び第2伝達部6に超音波通過用の開口を設ける必要がないので、これら開口から被験者の呼気が漏れることがなく、衛生的な肺活流量の測定が可能となる。第1肉薄部51及び第2肉薄部61を設けることによって、第1伝達部5及び第2伝達部6を振動しやすくすることができ、測定の制度を向上させることができる。
【0015】
第1肉厚部52及び第2肉厚部62は、主に第1伝達部5及び第2伝達部6の製造上の利便性や補強を目的とするものである。この実施形態において第1肉厚部52及び第2肉厚部62として第1伝達部5及び第2伝達部6のほぼ中央に位置する略楕円形としているがこれに限定されるものではない。例えば、第1伝達部5及び第2伝達部6それぞれの全体に格子状に配置されるものであっても良い。また、第1肉厚部52及び第2肉厚部62は必須の構成ではなく、これを有さないものであっても良い。その場合、例えば、筒部2に貫通孔を形成し、これにフィルムを貼り付けて第1肉薄部51及び第2肉薄部61とすることによって、肉厚部を有しない第1伝達部5及び第2伝達部6とすることもできる。
【符号の説明】
【0016】
1 マウスピース
2 筒部
3 流入部
4 流出部
5 第1伝達部(超音波伝達部)
6 第2伝達部(超音波伝達部)
51 第1肉薄部
52 第1肉厚部
61 第2肉薄部
62 第2肉厚部