(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132595
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A47G9/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038009
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】503054030
【氏名又は名称】株式会社東日本イノアック
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村松 正文
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通気性を向上させる新規の枕を提供する。
【解決手段】本開示に係る内装部材は、繊維製の第1袋体と、第1袋体の中に充填される複数のチップ部材と、を備える。チップ部材は、少なくとも互いの距離が略同一な二つの面を有する発泡体で形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製の第1袋体と、
前記第1袋体の中に充填される複数のチップ部材と、
を備え、
前記チップ部材は少なくとも互いの距離が略同一な二つの面を有する発泡体で形成される、
枕。
【請求項2】
前記第1袋体は、表部材と、裏部材と、前記表部材と前記裏部材とを連結するスリットと、を有する、
請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記第1袋体は、長手方向と短手方向を有し、
前記スリットは、前記長手方向に延びる複数のスリットが、前記短手方向に間隔を空けて配置される、
請求項2に記載の枕。
【請求項4】
前記複数のスリットの少なくともいずれか一方と重なる位置に配置され、繊維製の第2袋体をさらに備え、
前記第2袋体に前記チップ部材が充填される、
請求項3に記載の枕。
【請求項5】
前記繊維が、綿および/又はポリエステルを含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の枕。
【請求項6】
前記チップ部材が縦2mmから8mm、横2mmから8mm、長さ3mmから12mmの直方体形状である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ウレタン製のチップを充填した枕が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の枕は、ウレタン製のチップを充填して、通気性を向上させる。このような枕では、通気性のよい形状のチップが充填されることが好ましい。特許文献1は、このような点については開示していない。本開示の課題は、新規の枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る枕は、繊維製の第1袋体と、第1袋体の中に充填される複数のチップ部材と、を備える。チップ部材は、少なくとも互いの距離が略同一な二つの面を有する発泡体で形成される。
【0006】
この枕によれば、第1袋は、発泡体で形成されたチップ部材が充填される。チップ部材は、少なくとも互いの距離が略同一な二つの面を有する。これにより、第1袋体は、概ね均一な形状のチップ部材が充填される。このため、第1袋体は、水洗いすることが可能であるとともに、通気性に偏りが生じることを防止することができる。この結果、枕は、通気性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、新規の枕を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態における枕の使用状態を示す平面図。
【
図5】本開示の実施形態におけるチップ部材の概略を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1および
図2における縦方向Hは、紙面上方を上側、下方を下側とする。また、幅方向Wは、紙面右を右側、左を左側とする。
【0010】
また、
図3および
図4における厚み方向Tは、紙面上方を上側、下方を下側とする。枕1の使用状態においては、厚み方向Tは概ね重力方向と一致する。また、縦方向Hは、紙面右を下側、左を上側とする。
【0011】
図1および
図2に示すように、本開示の実施形態における枕1は、縦方向Hおよび幅方向Wの中心付近に使用者Mの頭部が置かれる。枕1は、第1袋体2と、第2袋体4と、ウレタンチップ(チップ部材の一例)6と、カバー8と、を備える。
【0012】
第1袋体2は、綿および/又はポリエステルを含む繊維製である。本実施形態では、第1袋体2は、綿が35%、ポリエステルが65%の混合繊維で形成される。また、第1袋体2は、綿のみで形成されてもよいし、ポリエステルのみで形成されてもよい。これに限らず、第1袋体2は、種々様々な繊維を適用して形成されてもよい。
【0013】
第1袋体2は、長手方向21と、短手方向22と、を有する。長手方向21は、概ね幅方向Wに沿って延びる。短手方向22は、概ね縦方向Hに沿って延びる。長手方向21および短手方向22は、使用者Mの頭部が中心付近に安定して配置される大きさであればよい。本実施形態では、長手方向21は、概ね50cmから60cmの大きさで形成される。さらに、長手方向21の大きさは、45cmから70cmの大きさであってもよい。また、短手方向22は、概ね30cmから40cmの大きさで形成される。さらに、短手方向22の大きさは、25cmから50cmの大きさであってもよい。
【0014】
図2、
図3および
図4に示すように、第1袋体2は、さらに、表部材23と、裏部材24と、スリット25と、を有する。表部材23は、枕1の使用状態において、使用者Mの頭部と接する表側の面である。裏部材24は、表部材23と反対側の面である。表部材23と裏部材24は、概ね同一の形状であり、互いの端縁を全周に渡って縫い合わされて一体とされる。これにより、第1袋体2は、表部材23と裏部材24との間に空間Dを有する袋形状とされる。これに限らず、表部材23と裏部材24は、予め連続する繊維材料の一部を折り返して縫製して、第1袋体2を形成してもよい。表部材23と裏部材24の接着方法は、その他接着材など種々様々な方法を用いてもよい。
【0015】
スリット25は、表部材23と裏部材24とを連結する。本実施形態のスリット25は、表部材23と裏部材24を、縦方向Hおよび幅方向Wと交差する厚み方向Tにおいて同時に縫い合わせて形成される。具体的には、表部材23と裏部材24を厚み方向Tに重ねて配置した状態で、これらを同時に縫い合わせる。これにより、スリット25は、表部材23と裏部材24とが厚み方向Tに隙間なく密着した状態となる。この結果、後述するウレタンチップ6が第1袋体2に充填された状態で、スリット25の厚み方向Tの大きさは、他の部分に比べて小さくなる。
【0016】
これに限らず、スリット25は、例えば表部材23と裏部材24の間に接着材などを塗布して密着させてもよい。さらに、表部材23と裏部材24を、第1袋体2の内部で糸を介して連結してもよい。このとき、表部材23から裏部材24への厚み方向Tへの連結する糸の長さは、ウレタンチップ6が充填された状態の第1袋体2の厚み方向Tの大きさより短く形成される。これにより、ウレタンチップ6が第1袋体2に充填された状態で、スリット25の厚み方向Tの大きさを、他の部分より小さくすることができる。
【0017】
複数のスリット25は、長手方向21に沿って延びる。複数のスリット25は、第1スリット26と第2スリット27である。
【0018】
第1スリット26は、長手方向21に沿って、すなわち幅方向Wに沿って配置される直線形状である。第1スリット26は、幅方向Wにおいて、使用者Mの頭部より大きく形成される。本実施形態では、第1スリット26は、幅方向Wに概ね30cmから40cmの大きさで形成される。さらに、第1スリット26の幅方向Wの大きさは、20cmから50cmであってもよい。これにより、使用者Mの頭部が枕1に置かれた際に、後頭部の中心付近が第1スリット26に安定して配置される。このため、使用者Mは、特に枕1と頭部の位置を調整することなく、安定した状態で枕1を使用することができる。
【0019】
第2スリット27は、長手方向21に沿って、すなわち幅方向Wに沿って配置される直線形状である。すなわち、第1スリット26と第2スリット27は、幅方向Wに略平行に配置される。第2スリット27は、幅方向Wにおいて、第1スリット26より短く形成される。さらに、第2スリット27は、幅方向Wにおいて、使用者Mの首の付け根、すなわち、うなじ付近より大きく形成される。本実施形態では、第2スリット27は、幅方向Wに概ね15cmから20cmの大きさで形成される。さらに、第2スリット27の幅方向Wの大きさは、10cmから30cmであってもよい。これにより、使用者Mの頭部が枕1に置かれた際に、使用者Mの首の中心付近が第2スリット27に安定して配置される。このため、使用者Mは、特に枕1と頭部の位置を調整することなく、安定した状態で枕1を使用することができる。
【0020】
さらに、第1スリット26と第2スリット27は、縦方向Hに間隔Lを空けて配置される。すなわち、複数のスリット25が、短手方向22に沿って間隔Lを空けて配置される。間隔Lは、縦方向Hにおいて、使用者Mの後頭部からうなじ付近の長さと略同等に形成される。従って、第1袋体2には、使用者Mの頭部の形状に併せて、第1スリット26と第2スリット27とが間隔Lを空けて配置される。これにより、枕1は、使用者Mの後頭部の曲線に併せて、厚み方向Tの大きさが他の部分よりも小さい凹み部分が形成される。この結果、使用者Mは、特に枕1と頭部の位置を調整することなく、安定した状態で枕1を使用することができる。
【0021】
第2袋体4は、綿および/又はポリエステルを含む繊維製である。本実施形態では、第2袋体4は、第1袋体2と同様に、綿が35%、ポリエステルが65%の混合繊維で形成される。また、第2袋体4は、第1袋体2と同種類の繊維で形成されてもよいし、他の種類の繊維で形成されてもよい。これに限らず、第2袋体4は、種々様々な繊維を適用して形成されてもよい。
【0022】
第2袋体4は、長手方向41と、短手方向42と、を有する。長手方向41は、概ね幅方向Wに沿って延びる。短手方向42は、概ね縦方向Hに沿って延びる。すなわち、第2袋体4は、平面視において、略四角形の形状である。長手方向41と短手方向42は、第1袋体2の長手方向21と短手方向22に比べて、概ね1/2から1/3程度の大きさに形成される。本実施形態では、長手方向41は、概ね15cmから25cmの大きさで形成される。さらに、長手方向41の大きさは、10cmから30cmの大きさであってもよい。また、短手方向42は、概ね15cmから25cmの大きさで形成される。さらに、短手方向42の大きさは、10cmから30cmの大きさであってもよい。
【0023】
第2袋体4は、さらに、表部材43と、裏部材44と、を有する。表部材43は、枕1の使用状態において、使用者Mの頭部と接する表側の面である。裏部材44は、表部材43と反対側の面である。本実施形態では、表部材43と裏部材44は、連続する繊維材料を折り返して、互いの端縁を縫い合わせて、表部材43と裏部材44との間に空間を有する袋形状とされる、これに限らず、第2袋体4は、種々様々な方法で形成されてもよい。
【0024】
図5は、ウレタンチップ6の概略を示す斜視図である。
図5に示すように、ウレタンチップ6は、発泡体で形成され、好ましくは軟質ポリウレタンフォームで形成されている。本実施形態のウレタンチップ6は、JIS K6401に示す試験方法で硬さが80N以上の発泡体で形成され、好ましくは100N以上の発泡体で形成される。また、ウレタンチップ6は、発泡体の密度が、20kg/m
3以上であり、好ましくは30kg/m
3以上である。これに限らずウレタンチップ6は、種々様々は硬さおよび密度の発泡材料で形成可能である。ウレタンチップ6は、樹脂骨格の内部が空洞のセル構造を含む多孔質体である。これにより、ウレタンチップ6は、水に濡れた場合も、セル構造を介して通気性を有する。このため、ウレタンチップ6は、通気性がよく、清潔を保つことができる。
【0025】
さらに、ウレタンチップ6は、少なくとも互いの距離が略同一な二つの面を有する。ウレタンチップ6は、少なくとも向かい合う一対の面は、互いの距離が場所によらず略一定となるように形成される。すなわち、ウレタンチップ6は、互いに平行な一対の面を含む6面を含んで形成される六面体であり、好ましくは平行六面体であり、より好ましくは略直方体であり、さらに略立方体であってもよい。
【0026】
さらに、ウレタンチップ6は、例示すれば、1辺が2mmから12mmの略直方体形状であり、さらに、例示すれば、縦2mmから8mm、横2mmから8mm、長さ3mmから12mmの略直方体形状である。さらに、ウレタンチップ6は、縦1mmから10mm、横1mmから10mm、長さ2mmから20mmの略直方体形状であってもよい。
【0027】
図5に示すように、本実施形態のウレタンチップ6は、第1辺aと第2辺bの長さがほぼ等しく、第3辺cの長さが第1辺aおよび第2辺bよりも長い。ウレタンチップ6は、第1辺aと第2辺bが概ね4mm、第3辺cが概ね6mmの大きさで形成される。すなわち、本実施形態のウレタンチップ6は、第1辺aと第2辺bとで形成される底面が概ね正方形の角柱である。これにより、ウレタンチップ6は、使用者Mの頭部が枕1に置かれた際に、潰れることなく適切な反発力で使用者Mの頭部を安定に支えることができる。
【0028】
次にウレタンチップ6の製造方法について説明する。第1方向は、
図5に示すウレタンチップ6の第1辺aに沿う方向である。第2方向は、ウレタンチップ6の第2辺bに沿う方向である。第3方向は、ウレタンチップ6の第3辺cに沿う方向である。すなわち、第1方向と第2方向と第3方向は互いに交差する方向である。
【0029】
まず、ブロック状のウレタンフォームから、第1方向および第2方向に延在する所定厚みのウレタンシートを水平に切断して用意する。ウレタンシートは、第3方向に沿う大きさである厚みが、第3辺cと同じ大きさである。次に、ウレタンシートを、第2辺bの長さと同じ間隔を第2方向に開けて、繰り返し切断する。これにより、ウレタンシートは、断面積が四角形の第1方向に沿って延びる棒状の形状が多数形成される。すなわち、その棒状物には、第2辺bと第3辺cとが形成される。
【0030】
最後に、棒状となったウレタンシートを、第1辺aの長さと同じ間隔を第1方向に開けて、繰り返し切断する。これにより、棒状のウレタンシートから、第1辺aと同じ長さのウレタンチップ6が形成される。これにより、一辺が第1辺aおよび第2辺bの長さの断面積で、長さが第3辺cと同じ長さの、角柱形状のウレタンチップ6が形成される。
【0031】
本実施形態では、第1方向および第2方向に延在するウレタンシートを切断の後、第2方向及び第1方向に切断を行ったが、本開示はこれに限定されない。すなわち、ウレタンチップ6は、一つのウレタンフォームのブロックからウレタンシートを経て規則的に切断することで一定の大きさに形成されればよい。
【0032】
例えば、第3方向と第2方向に沿って延在するウレタンシートを第3方向と第2方向に沿って繰り返し切断することでウレタンチップ6を形成してもよい。また、第3方向と第1方向に沿って延在するウレタンシートを第3方向と第1方向に沿って繰り返し切断することでウレタンチップ6を形成してもよい。
【0033】
以上のように、ウレタンチップ6は、予め形成された概ね均質な多孔質形状を有するウレタンシートを切断することにより、形成される。これにより、ウレタンチップ6自体も、概ね均質な多孔質形状を有する。さらに、ウレタンチップ6は、互いの形状のばらつきを抑え、均等な形状に形成されたウレタンチップ6を大量かつ容易に得ることができる。このため、複数のウレタンチップ6の間で、通気性のばらつきを抑えることができる。この結果、ウレタンチップ6は、通気性がよく、清潔を保つことができる。
【0034】
本実施形態では、ウレタンチップ6は、ウレタンシートを第1方向および第2方向に沿って同時に切断することで形成される。これに限らず、ウレタンチップ6は、種々様々な方法で形成されてもよい。
【0035】
図3および
図4に示すように、複数のウレタンチップ6は、第1袋体2と第2袋体4の中に充填される。複数のウレタンチップ6は、第1袋体2と第2袋体4が所望の硬さになるように、充填量を調整されて、第1袋体2と第2袋体4に充填される。これにより、第1袋体2と第2袋体4には、概ね同じ形状のウレタンチップ6が充填される。このため、第1袋体2と第2袋体4の内部は、概ね同じ形状の複数のウレタンチップ6が偏在することなく満遍なく充填される。これにより、第1袋体2と第2袋体4は、通気性に偏りが生じることを防止しつつ、所望の硬さにすることができる。この結果、第1袋体2と第2袋体4は、通気性を向上させることができる。
【0036】
本実施形態では、複数のウレタンチップ6は、第1袋体2および第2袋体4に対して概ね300gから600gの重量となるように充填される。さらに、複数のウレタンチップ6は、第1袋体2と第2袋体4とが概ね同じ硬さになるように調整されて充填される。これに限らず、複数のウレタンチップ6は、第1袋体2と第2袋体4とで異なる硬さになるように調整されて充填されてもよい。
【0037】
カバー8は、綿および/又はポリエステルを含む繊維製である。本実施形態では、カバー8は、綿100%の繊維で形成される。また、カバー8は、綿とポリエステルの混合繊維で形成されてもよい。これに限らず、カバー8は、種々様々な繊維を適用して形成されてもよい。
【0038】
カバー8は、第1収納部81と、第2収納部82と、を有する。第1収納部81は、概ね第1袋体2と同形状に形成されて、第1袋体2を収納する。第1収納部81は、第1袋体2と同様に、表部材83と、裏部材84と、を含む。表部材83は、第1袋体2が第1収納部81に収納された状態で、第1袋体2の表部材23を覆う。裏部材84は、第1袋体2が第1収納部81に収納された状態で、第1袋体2の裏部材24を覆う。
【0039】
さらに、第1収納部81は、図示しない第1開閉部を含んでもよい。第1開閉部は、第1収納部81を、第1袋体2を出し入れ可能な開状態と、第1袋体2を収納した閉状態と、の間で変更可能である。本実施形態では、第1開閉部は、第1収納部81の幅方向Wの一端に設けられるファスナーである。また、第1開閉部は、表部材83と裏部材84の一方から延出して、他方に折り返して収納される折り返し部であってもよい。これに限らず、第1開閉部は、種々様々な開閉手段を適用して形成されてもよい。
【0040】
第2収納部82は、概ね第2袋体4と同形状に形成されて、第2袋体4を収納する。第2収納部82は、第1袋体2および第1収納部81と同様に、表部材86と、裏部材87と、を含む。表部材86は、第2袋体4が第2収納部82に収納された状態で、第2袋体4の表部材43を覆う。裏部材87は、第2袋体4が第2収納部82に収納された状態で第2袋体4の裏部材44を覆う。
【0041】
第2収納部82は、第1収納部81の表部材83に一体に設けられる。本実施形態では、第2収納部82の裏部材87は、第1収納部81の表部材83の一部である。すなわち、第2収納部82は、第1収納部81の表部材83の一部と第2収納部82の表部材88との間に設けられる。
【0042】
第2収納部82は、さらに、図示しない第2開閉部と、を含んでもよい。第2開閉部は、第2収納部82を、第2袋体4を出し入れ可能な開状態と、第2袋体4を収納した閉状態と、の間で変更可能である。本実施形態では、第2開閉部は、表部材88の幅方向Wの一端を第2収納部82の内部に折り返す、折り返し部として設けられる。これに限らず、第2開閉部は、第1開閉部と同様にファスナーとして設けられてもよいし、種々様々な開閉手段を適用して形成されてもよい。
【0043】
第2収納部82は、平面視で、
図2における第1袋体2の複数のスリット25の少なくともいずれか一方と重なるように第1収納部81と一体に設けられる。すなわち、第1袋体2と第2袋体4がそれぞれ第1収納部81と第2収納部82に収納された状態で、第2袋体4は、複数のスリット25の少なくともいずれか一方と重なる位置に配置される。第2袋体4は、少なくとも第2スリット27に重なる位置に配置されればよい。これにより、使用者Mの頭部が枕1に置かれた際に、使用者Mのうなじ付近の曲線にあわせて第2袋体4を配置することができる。この結果、使用者Mは、特に枕1と頭部の位置を調整することなく、安定した状態で枕1を使用することができる。
【0044】
本実施形態では、第2収納部82の縦方向Hの長さは、第1スリット26と第2スリット27の間隔Lと同じ/またはより大きく形成される。これにより、第2袋体4は、第2収納部82に収納された状態で、第1スリット26と第2スリット27の間に跨って配置される。これにより、使用者Mの頭部が枕1に置かれた際に、使用者Mの後頭部からうなじにかけての曲線にあわせて第2袋体4を配置することができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、第2収納部82の長さは、第1スリット26の幅方向Wの長さより小さく形成される。さらに、第2収納部82の幅方向Wの長さは、第2スリット27の幅方向Wの長さと同じ/またはより大きく形成される。これにより、第1袋体2と第2袋体4が第1収納部81と第2収納部82にそれぞれ収納された状態で、幅方向Wにおいて、第2袋体4の位置が変位することを防ぐことができる。さらに、第2袋体4に充填された複数のウレタンチップ6が偏在することを防ぐことができる。
【0046】
図3に示すように、枕1の幅方向Wの中心付近であるA-A断面では、第1袋体2が、第1スリット26と第2スリット27を挟んで、第1空間28、第2空間29および第3空間30の3つの空間に区画される。第1空間28、第2空間29および第3空間30には、それぞれ複数のウレタンチップ6が充填され、所望の硬さに調整される。さらに、第2袋体4が、第1スリット26と第2スリット27に重複して、第1袋体2の上方に配置される。第2袋体4には、第1袋体2と同様に複数のウレタンチップ6が充填され、概ね第1袋体2と同じ硬さに調整される。カバー8は、第1収納部81が第1袋体2全体を覆い、第2収納部82が第2袋体4全体を覆う。
【0047】
図4に示すように、枕1の幅方向Wの端部分であるB-B断面では、第1袋体2の表部材23と裏部材24とで囲われた1の空間Dに、複数のウレタンチップ6が充填される。カバー8は、第1収納部81が第1袋体2全体を覆う。
【0048】
以上説明したように、枕1は、縦方向Hの中心付近では、第1袋体2に第2袋体4が重ねて配置されることで、他よりも厚み方向Tの大きさが大きくなる。これにより、枕1に使用者Mの頭部が置かれた際に、後頭部からうなじにかけての曲線にあわせて第2袋体4が配置される。このため、縦方向Hにおいて、使用者Mは、特に枕1と頭部の位置を調整することなく、安定した状態で枕1を使用することができる。
【0049】
また、枕1は、幅方向Wの中心付近では、第1袋体2の第1スリット26および第2スリット27により、他よりも厚み方向Tの大きさが小さくなる。これにより、枕1に使用者Mの頭部が置かれた際に、幅方向Wの中心付近に頭部を安定して配置することができる。このため、幅方向Wにおいて、使用者Mは、特に枕1と頭部の位置を調整することなく、安定した状態で枕1を使用することができる。
【0050】
以上説明した通り、本開示によれば、新規の枕を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
1:枕 2:第1袋体 21:長手方向 22:短手方向 23:表部材
24:裏部材 25:複数のスリット 26:第1スリット 27:第2スリット
L:間隔 4:第2袋体 6:ウレタンチップ(チップ部材)