(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132606
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】差動ギヤの組付装置
(51)【国際特許分類】
B23P 21/00 20060101AFI20230914BHJP
F16H 48/38 20120101ALI20230914BHJP
F16H 48/08 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B23P21/00 303B
F16H48/38
F16H48/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038025
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591282467
【氏名又は名称】株式会社中部技研
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】石野 朋美
(72)【発明者】
【氏名】田淵 直樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 匡
(72)【発明者】
【氏名】宮下 秀一
【テーマコード(参考)】
3C030
3J027
【Fターム(参考)】
3C030CC07
3J027FA18
3J027HB07
3J027HC02
3J027HC07
(57)【要約】
【課題】ピニオンギヤ、及びピニオンワッシャをハンド装置からダミーシャフトへスムーズに移動させることができる差動ギヤの組付装置の提供。
【解決手段】第1のハンド装置100と、第2のハンド装置200とを備えた差動ギヤの組付装置300である。第1のハンド装置100は、第1の保持部10と、第2の保持部20とを備える。第1の保持部10は、第1のサイドギヤW11、第1のサイドワッシャW12、第1のコニカルスプリングの位相を決めて保持する。第2の保持部20は、第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15の位相を決めて保持する。第2のハンド装置200は、第3の保持部30と、第4の保持部40と、ダミーシャフト43とを備える。第3の保持部30は、第2のサイドギヤW21、第2のサイドワッシャW22、第2のコニカルスプリングの位相を決めて保持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハンド装置と、第2のハンド装置と、を備えた差動ギヤの組付装置であって、
前記第1のハンド装置は、第1の保持部と、第2の保持部と、を備え、
前記第1の保持部は、第1のサイドギヤ、第1のサイドワッシャ、第1のコニカルスプリングの位相を決めて保持し、
前記第2の保持部は、第1のピニオンギヤ、及び第1のピニオンワッシャの位相を決めて保持し、
前記第2のハンド装置は、第3の保持部と、第4の保持部と、ダミーシャフトとを備え、
前記第3の保持部は、第2のサイドギヤ、第2のサイドワッシャ、第2のコニカルスプリングの位相を決めて保持し、
前記第4の保持部は、第2のピニオンギヤ、及び第2のピニオンワッシャの位相を決めて保持し、
前記ダミーシャフトは、軸方向にスライドする摺動部を備え、
前記摺動部は、前記第2の保持部に接近し、又は当接し、
前記第2の保持部は、爪部を備え、
前記爪部は、前記摺動部が前記第2の保持部に接近し、又は当接した場合、前記摺動部側に突出しつつ、前記摺動部から離隔している、
差動ギヤの組付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は差動ギヤの組付装置に関し、特にハンド装置を備えた差動ギヤの組付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の差動ギヤの組付装置は、まず、サイドギヤをデファレンシャルケースの開口からその内側へ1式組付ける。また、当該組付装置は、ダミーシャフトを用いてピニオンワッシャ及びピニオンギヤを本組付位置から90°位相がずれた位置でセットする。その後、当該組付装置は、ダミーシャフトを収縮させ、サイドギヤを駆動することによって、ピニオンワッシャとピニオンギヤを本組付位置まで回転させる。最後に、当該組付装置は、第1及び第2のダミーシャフトを製品シャフトと入れ替えることによって、組付けを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者等は、以下の課題を発見した。
このような差動ギヤの組付装置は、組付動作において、ピニオンギヤ、及びピニオンワッシャをハンド装置を用いて、デフケース内に配置する。一方、本願発明者は、さらなる組立動作の自動化を図るべく、新たな差動ギヤの組付装置を想起検討した。この組付装置は、ピニオンギヤ、及びピニオンワッシャをハンド装置からダミーシャフトへ移動させて、デフケース内に配置されたサイドギヤに組み付ける。しかし、この組付装置は、ピニオンギヤ、及びピニオンワッシャをハンド装置からダミーシャフトへスムーズに移動させることができないことがあった。
【0005】
本発明は、上述した課題を鑑み、ピニオンギヤ、及びピニオンワッシャをハンド装置からダミーシャフトへスムーズに移動させることができる差動ギヤの組付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の一態様に係る差動ギヤの組付装置は、
第1のハンド装置と、第2のハンド装置と、を備えた差動ギヤの組付装置であって、
前記第1のハンド装置は、第1の保持部と、第2の保持部と、を備え、
前記第1の保持部は、第1のサイドギヤ、第1のサイドワッシャ、第1のコニカルスプリングの位相を決めて保持し、
前記第2の保持部は、第1のピニオンギヤ、及び第1のピニオンワッシャの位相を決めて保持し、
前記第2のハンド装置は、第3の保持部と、第4の保持部と、ダミーシャフトとを備え、
前記第3の保持部は、第2のサイドギヤ、第2のサイドワッシャ、第2のコニカルスプリングの位相を決めて保持し、
前記第4の保持部は、第2のピニオンギヤ、及び第2のピニオンワッシャの位相を決めて保持し、
前記ダミーシャフトは、軸方向にスライドする摺動部を備え、
前記摺動部は、前記第2の保持部に接近し、又は当接し、
前記第2の保持部は、爪部を備え、
前記爪部は、前記摺動部が前記第2の保持部に接近し、又は当接した場合、前記摺動部側に突出しつつ、前記摺動部から離隔している。
【0007】
このような構成によれば、第1のピニオンギヤ、及び第1のピニオンワッシャを第1のハンド装置の第2の保持部から摺動部へ乗り継ぎさせる際、爪部が第1のピニオンギヤ、及び第1のピニオンワッシャをダミーシャフトの摺動部へスムーズに導くことができる。よって、第1のピニオンギヤ、及び第1のピニオンワッシャが、第2の保持部とダミーシャフトとの間に引っ掛かることを抑制する。そのため、第1のピニオンギヤ、及び第1のピニオンワッシャを第1のハンド装置からダミーシャフトへスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ピニオンギヤ、及びピニオンワッシャをハンド装置からダミーシャフトへスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置の第1のハンド装置の底面図である。
【
図3】実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置の第1のハンド装置の上面図である。
【
図4】実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置の第1のハンド装置の拡大斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置の第2のハンド装置の上面図である。
【
図6】実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置の第2のハンド装置の底面図である。
【
図7】実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置の第2のハンド装置の拡大斜視図である。
【
図8】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図10】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図12】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図13】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図14】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図15】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図16】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【
図17】実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0011】
(実施の形態1)
図1~
図7を参照して実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置について説明する。
図1は、実施の形態1に係る差動ギヤの組付装置の制御構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示す差動ギヤの組付装置の第1のハンド装置の底面図である。
図3は、
図2に示す第1のハンド装置の上面図である。
図4は、
図3に示す第1のハンド装置の拡大斜視図である。
図5は、
図1に示す差動ギヤの組付装置の第2のハンド装置の上面図である。
図6は、
図5に示す第2のハンド装置の底面図である。
図7は、
図5に示す第2のハンド装置の拡大斜視図である。
【0012】
なお、当然のことながら、
図2及びその他の図面に示した右手系xyz座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正方向が鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。但し、
図14~
図17に示す第1のハンド装置100は、その他の図面に示す第1のハンド装置100と比較して上下逆転していることに留意すべきである。
【0013】
図1に示すように、差動ギヤの組付装置300は、制御装置1と、第1のハンド装置100と、第2のハンド装置200とを備える。第1のハンド装置100、及び第2のハンド装置200は、それぞれ、2台のロボット(図示略)に取り付けられている。第1のハンド装置100、及び第2のハンド装置200は、それぞれ、当該2台のロボットによって、所定の空間内を並進移動し、又は回転移動し、さらに、その姿勢を維持又は変更することができる。
【0014】
制御装置1は、インタフェース(図示略)とともに、プロセッサ(図示略)及びメモリ(図示略)を備える。制御装置1のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを読み込んで実行することによって、第1のハンド装置100と、第2のハンド装置200とへ制御信号を送り、第1のハンド装置100と、第2のハンド装置200との動作を制御する。これによって、差動ギヤの組付装置300の動作が実現される。つまり、このプログラムは、プロセッサを差動ギヤの組付装置300、又はその一部として機能させるためのプログラムである。
【0015】
図2及び
図3に示すように、第1のハンド装置100は、第1の保持部10と、第2の保持部20と、ロボット取り付け部51とを備える。
【0016】
第1の保持部10は、本体11と、位相決めピン12とを備える。本体11は、例えば、所定の方向(ここでは、y軸負方向)に延びる板状部材である。位相決めピン12は、本体11に設けられており、本体11から立ち上がっている。
【0017】
図4に示す位相決めピン12の一例は、z軸正方向に延びる。位相決めピン12が、第1のサイドギヤW11(
図8参照)、第1のサイドワッシャW12(
図12参照)、及び第1のコニカルスプリング(図示略)を係合することによって、これらを保持する。なお、当該第1のコニカルスプリングが、第1のサイドギヤW11と第1のサイドワッシャW12との間に挟み込まれる。当該第1のコニカルスプリングは、必要に応じて、第1のサイドギヤW11と第1のサイドワッシャW12とに対して反発力を与える。第1のサイドギヤW11、第1のサイドワッシャW12、及び当該第1のコニカルスプリングの位相は、位相決めピン12によって決定される。つまり、第1の保持部10は、第1のサイドギヤW11、第1のサイドワッシャW12、及び当該第1のコニカルスプリングの位相を決めて保持することができる。
【0018】
図2及び
図3に示すように、第2の保持部20は、ピニオンギヤチャック21と、ピニオンギヤ位相決め部材22と、ピニオンワッシャ二面幅保持部23と、爪部24とを備える。
【0019】
ピニオンギヤチャック21は、固定部21aと、可動部21bとを備える。固定部21aは、第2の保持部20の所定の位置に固定されている。固定部21aは、
図8に示す第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15を保持可能なように、第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15の表面の一部に倣った形状を有するとよい。可動部21bは、xy平面上において、略L状に延びる。可動部21bは、モータ等の動力源によって、固定部21aに対して接近し、又は離隔可能なように往復方向(ここではx軸方向)に設けられている。可動部21bは、ピニオンギヤチャック21によるチャックを解除するため、例えば、固定部21a周りに回動する等してもよい。ピニオンギヤチャック21は、第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15を可動部21bと固定部21aとの間に挟み込むことによって、第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15をチャックする。
【0020】
ピニオンギヤ位相決め部材22は、固定部21aの外縁近傍から立ち上がるように設けられている。ピニオンギヤ位相決め部材22は、モータ等の動力源によって、固定部21aに対して接近し、又は離隔可能なように往復方向(ここではx軸方向)に設けられていてもよい。ピニオンギヤ位相決め部材22は、第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15と係合して、第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15をピニオンワッシャ二面幅保持部23周りの回転を抑制する。つまり、ピニオンギヤ位相決め部材22は、第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15の位相を決める。第2の保持部20は、第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15の位相を決めて保持する。
【0021】
ピニオンワッシャ二面幅保持部23は、固定部21aの中央近傍から立ち上がるように設けられている。ピニオンワッシャ二面幅保持部23は、2面幅部分を保持し、当該2面幅部分が第1のピニオンワッシャW15を挿通する。
【0022】
爪部24は、ピニオンワッシャ二面幅保持部23から突起する。爪部24は、摺動部45が第2の保持部20に接近し、又は当接した場合、摺動部45側に突出しつつ、摺動部45から離隔している。
【0023】
ロボット取り付け部51は、ロボット(図示略)のアーム先端側に取り付け可能である
【0024】
図5に示すように、第2のハンド装置200は、第3の保持部30と、第4の保持部40と、ロボット取り付け部52とを備える。
【0025】
図5~
図7に示すように、第3の保持部30は、本体31と、凸部32と、位相決めピン33とを備える。本体31は、例えば、所定の方向(ここでは、y軸負方向)に延びる板状部材である。凸部32、及び位相決めピン33は、本体31に設けられており、本体31から立ち上がっている。
【0026】
図7に示す凸部32、及び位相決めピン33は、所定の方向(ここでは、z軸負方向)に延びる。位相決めピン33が、第2のサイドギヤW21(
図9参照)、第2のサイドワッシャW22(
図10参照)、及び第2のコニカルスプリング(図示略)を係合することによって、これらを保持する。なお、当該第2のコニカルスプリングが、第2のサイドギヤW21と第2のサイドワッシャW22との間に挟み込まれる。当該第2のコニカルスプリングは、必要に応じて、第2のサイドギヤW21と第2のサイドワッシャW22とに対して反発力を与える。第2のサイドギヤW21、第2のサイドワッシャW22、及び当該第2のコニカルスプリングの位相は、位相決めピン33によって決定される。つまり、第3の保持部30は、第2のサイドギヤW21、第2のサイドワッシャW22、及び当該第2のコニカルスプリングの位相を決めて保持することができる。
【0027】
第4の保持部40は、ピニオンギヤチャック41と、ピニオンギヤ位相決め部材42と、ダミーシャフト43と、ダミーシャフトチャック44とを備える。
【0028】
ピニオンギヤチャック41は、固定部41aと、可動部41bとを備える。固定部41aは、第4の保持部40の所定の位置に固定されている。固定部41aは、
図9に示す第2のピニオンギヤW24及び第2のピニオンワッシャW25を保持可能なように、第2のピニオンギヤW24及び第2のピニオンワッシャW25の表面の一部に倣った形状を有するとよい。可動部41bは、xy平面上において、略L状に延びる。可動部41bは、モータ等の動力源によって、固定部41aに対して接近し、又は離隔可能なように往復方向(ここではx軸方向)に設けられている。可動部41bは、ピニオンギヤチャック41によるチャックを解除するため、例えば、固定部41a周りに回動する等してもよい。ピニオンギヤチャック41は、第2のピニオンギヤW24及び第2のピニオンワッシャW25を可動部41bと固定部41aとの間に挟み込むことによって、第2のピニオンギヤW24及び第2のピニオンワッシャW25をチャックする。第4の保持部40は、第2のピニオンギヤW24、及び第2のピニオンワッシャW25の位相を決めて保持する。
【0029】
ダミーシャフトチャック44が、ダミーシャフト43をチャックする。ダミーシャフト43は、固定部41aから立ち上がるように延びる。ダミーシャフト43は、軸方向(ここではx軸負方向)にスライドする摺動部45を備える。摺動部45は、第2の保持部20に接近し、又は当接した場合、爪部24と離隔するような形状を有する。具体的には、摺動部45は、第1の延伸部45aと、第2の延伸部45bとを備える。第1の延伸部45aと、第2の延伸部45bとは、当該軸方向に延びる。第1の延伸部45aと、第2の延伸部45bとは、所定の間隔を空けている。第1の延伸部45aと、第2の延伸部45bとは、略平行に延びてもよい。第1の延伸部45aと、第2の延伸部45bとの軸方向における長さは、爪部24の軸方向における長さよりも長いとよい。第1の延伸部45aと第2の延伸部45bとの間隔は、爪部24の幅方向(ここでは、y軸方向)における長さよりも長いとよい。
【0030】
ロボット取り付け部52は、ロボット(図示略)のアーム先端側に取り付け可能である。
【0031】
(差動ギヤの組付方法)
次に、
図8~
図17を参照して、実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法について説明する。
図8~
図17は、実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法を示す図である。実施の形態1に係る差動ギヤの組付方法は、例えば、
図1に示す差動ギヤの組付装置300を用いて、実施することができる。
【0032】
図8に示すように、第1のサイドギヤW11、第1のサイドワッシャW12(
図12参照)、第1のコニカルスプリング(図示略)、第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15を第1のハンド装置100にチャックさせる(ステップST1)。
【0033】
具体的には、第1のサイドギヤW11、第1のサイドワッシャW12、及び当該第1のコニカルスプリングを第1の保持部10にその位相を決めて保持させる。また、第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15を第2の保持部20にその位相を決めて保持させる。
【0034】
より具体的には、第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11をこの順に積層する。この積層した第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11を本体11に支持させつつ、位相決めピン12に係合させる。これによって、第1の保持部10は、第1のサイドギヤW11、第1のサイドワッシャW12、及び当該第1のコニカルスプリングの位相を決めて保持することができる。また、第1のピニオンワッシャW15、及び第1のピニオンギヤW14をこの順に積層する。この積層した第1のピニオンワッシャW15、及び第1のピニオンギヤW14をピニオンギヤチャック21の固定部21aと可動部21bとの間に挟み込ませつつ、ピニオンギヤ位相決め部材22に第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15に係合させる。これによって、第2の保持部20は、第1のピニオンギヤW14及び第1のピニオンワッシャW15の位相を決めて保持することができる。
【0035】
続いて、
図9に示すように、第2のサイドギヤW21、第2のサイドワッシャW22(
図10参照)、第2のコニカルスプリング(図示略)、第2のピニオンギヤW24、及び第2のピニオンワッシャW25を第2のハンド装置200にチャックさせる(ステップST2)。
【0036】
具体的には、第2のサイドギヤW21、第2のサイドワッシャW22、及び当該第2のコニカルスプリングを第3の保持部30にその位相を決めて保持させる。また、第2のピニオンギヤW24、及び第2のピニオンワッシャW25を第4の保持部40にその位相を決めて保持させる。
【0037】
より具体的には、第2のサイドワッシャW22、当該第2のコニカルスプリング、第2のサイドギヤW21をこの順に積層する。この積層した第2のサイドワッシャW22、当該第2のコニカルスプリング、第2のサイドギヤW21を本体31に支持させつつ、
図7に示す位相決めピン33に係合させる。これによって、第3の保持部30は、第2のサイドギヤW21、第2のサイドワッシャW22、及び当該第2のコニカルスプリングの位相を決めて保持することができる。また、第2のピニオンワッシャW25、及び第2のピニオンギヤW24をこの順に積層する。この積層した第2のピニオンワッシャW25、及び第2のピニオンギヤW24をピニオンギヤチャック41の固定部41aと可動部41bとの間に挟み込ませつつ、ピニオンギヤ位相決め部材42に第2のピニオンギヤW24及び第2のピニオンワッシャW25に係合させる。これによって、第4の保持部40は、第2のピニオンギヤW24及び第2のピニオンワッシャW25の位相を決めて保持することができる。
【0038】
続いて、
図10及び
図11に示すように、上記積層した第2のサイドワッシャW22、当該第2のコニカルスプリング、第2のサイドギヤW21をデフケースW30内の底部に組み付ける(ステップST3)。デフケースW30は、所定の方向に開口する開口W30aと開口W30bとを有する。開口W30aは、開口W30bが開口した方向に対して反対方向(ここでは、x軸正方向)に開口する。具体的には、ロボット取り付け部52に取り付けられたロボット(図示略)によって、上記積層した第2のサイドワッシャW22、当該第2のコニカルスプリング、及び第2のサイドギヤW21をデフケースW30内の底部へ持っていく。さらに、当該ロボットによって、第2のハンド装置200による上記積層した第2のサイドワッシャW22、当該第2のコニカルスプリング、及び第2のサイドギヤW21のチャックを解除して、上記積層した第2のサイドワッシャW22、当該第2のコニカルスプリング、及び第2のサイドギヤW21をデフケースW30内の底部に載置する。なお、上記積層した第2のサイドワッシャW22、当該第2のコニカルスプリング、第2のサイドギヤW21の位相は、デフケースW30内の底部においても維持されている。
【0039】
続いて、
図12及び
図13に示すように、上記積層した第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11をデフケースW30内の天井部分に組み付ける(ステップST4)。具体的には、ロボット取り付け部51に取り付けられたロボット(図示略)によって、上記積層した第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11をデフケースW30内の天井部分へ持っていく。さらに、当該ロボットによって、第1のハンド装置100による第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11のチャックを解除して、上記積層した第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11をデフケースW30内の天井部分に載置する。なお、上記積層した第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11をデフケースW30内の天井部分に載置が可能なように、上記積層した第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11を保持する治具を用いてもよい。また、上記積層した第1のサイドワッシャW12、当該第1のコニカルスプリング、第1のサイドギヤW11の位相は、デフケースW30内の天井部分において、決まっている。
【0040】
続いて、
図14~
図17に示すように、第1のピニオンギヤW14、第1のピニオンワッシャW15、第2のピニオンギヤW24、及び第2のピニオンワッシャW25をデフケースW30内の第2のサイドギヤW21、及び第1のサイドギヤW11に組み付ける(ステップST5)。
【0041】
具体的には、
図14に示すように、第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15を第1のハンド装置100を用いてデフケースW30の開口W30bへ移動させる。ロボット等を用いて、第1のハンド装置100の上下が逆転するように、第1のハンド装置100の向きを変更する。また、第2のピニオンギヤW24、及び第2のピニオンワッシャW25を第2のハンド装置200を用いてデフケースW30の開口W30bへ移動させる。
【0042】
図15に示すように、摺動部45を、第2の保持部20に接近し、又は当接させる。なお、
図15~
図17では、デフケースW30の図示を省略した。
【0043】
図16に示すように、摺動部45の第1の延伸部45aと第2の延伸部45bとを第2の保持部20のピニオンワッシャ二面幅保持部23に接近し、又は当接させる。第1の延伸部45aと、第2の延伸部45bとは、爪部24と離隔しており、接触しない。
図16に示す第1の延伸部45aと第2の延伸部45bとの例は、ピニオンワッシャ二面幅保持部23から離隔している。第1の延伸部45aと第2の延伸部45bとの例と、ピニオンワッシャ二面幅保持部23との間に、スペースSP1がある。爪部24がスペースSP1にまで延びるとよい。
【0044】
図17に示すように、固定部21a及び可動部21bによる第1のピニオンギヤW14の挟み込みを解除した後、第1のピニオンギヤW14を第2の保持部20からダミーシャフト43へ乗り継ぎさせる。この解除のため、例えば、可動部21bを固定部21a周りに回動する等、適宜、第1のピニオンギヤW14から離隔してもよい。さらに、第1のピニオンワッシャW15を第2の保持部20からダミーシャフト43へ乗り継ぎさせる。ここで、爪部24が第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15をダミーシャフト43の摺動部45へスムーズに導く。第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15が、第2の保持部20とダミーシャフト43との間のスペースSP1に引っ掛かることを抑制する。そのため、第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15を第1のハンド装置100からダミーシャフト43へスムーズに移動させることができる。
【0045】
さらに、第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15がダミーシャフト43へ移動し、デフケースW30内の第2のサイドギヤW21、及び第1のサイドギヤW11に組み付ける。また、第2のピニオンギヤW24、及び第2のピニオンワッシャW25をデフケースW30内の第2のサイドギヤW21、及び第1のサイドギヤW11に組み付ける。ここで、第1のサイドギヤW11、第1のサイドワッシャW12、及び第1のコニカルスプリングの位相、第2のサイドギヤW21、第2のサイドワッシャW22、及びの第2のコニカルスプリングの位相が決められている。また、第1のピニオンギヤW14、及び第1のピニオンワッシャW15の位相は、第2の保持部20によって、決められている。第2のピニオンギヤW24、及び第2のピニオンワッシャW25の位相は、第4の保持部40によって、決められている。よって、第1のピニオンギヤW14、第1のピニオンワッシャW15、第2のピニオンギヤW24、及び第2のピニオンワッシャW25を第2のサイドギヤW21、及び第1のサイドギヤW11に、差動ギヤとして必要な位相を維持しつつ、組み付けすることができる。
【0046】
最後に、第1のハンド装置100と第2のハンド装置200とをデフケースW30から抜き取る(ステップST6)。
【0047】
以上より、差動ギヤの組付けを完了する。なお、必要に応じて、ダミーシャフトを抜き取ってから製品シャフトを挿通させる等してもよい。
【0048】
なお、上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施の形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本発明は、上記実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0050】
300 差動ギヤの組付装置
1 制御装置
100 第1のハンド装置
10 第1の保持部
11 本体 12 ピン
20 第2の保持部
21 ピニオンギヤチャック
21a 固定部 21b 可動部
22 ピニオンギヤ位相決め部材 23 ピニオンワッシャ二面幅保持部
24 爪部
200 第2のハンド装置
30 第3の保持部
31 本体 32 凸部
33 位相決めピン
40 第4の保持部
41 ピニオンギヤチャック
41a 固定部 41b 可動部
42 ピニオンギヤ位相決め部材 43 ダミーシャフト
44 ダミーシャフトチャック
45 摺動部
45a 第1の延伸部 45b 第2の延伸部
51、52 ロボット取り付け部
SP1 スペース
W11 第1のサイドギヤ W12 第1のサイドワッシャ
W14 第1のピニオンギヤ W15 第1のピニオンワッシャ
W21 第2のサイドギヤ W22 第2のサイドワッシャ
W24 第2のピニオンギヤ W25 第2のピニオンワッシャ
W30 デフケース
W30a、W30b 開口