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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132636
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
H02M3/28 W
H02M3/28 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038081
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】指田 和之
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 健一
(72)【発明者】
【氏名】今井 直哉
(72)【発明者】
【氏名】保木 渉馬
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB62
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE07
5H730FF09
(57)【要約】
【課題】ハードウェア量を抑制でき、出力コンデンサを小型化できる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、出力端子が並列接続された複数のコンバータユニットを含む。複数のコンバータユニットの各々は、コンバータと、コンバータの出力電流を整流する整流回路と、同期基準信号に基づいて、予め定められた位相で電流を出力するようにコンバータを制御する制御回路と、を含む。制御回路は、予め定められた位相の基準となるタイマ値をカウントするタイマを含む。タイマは、同期基準信号によって、タイマ値をリセットする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子が並列接続された複数のコンバータユニット
を含み、
前記複数のコンバータユニットの各々は、
コンバータと、
前記コンバータの出力電流を整流する整流回路と、
同期基準信号に基づいて、予め定められた位相で電流を出力するように前記コンバータを制御する制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、前記予め定められた位相の基準となるタイマ値をカウントするタイマを含み、
前記タイマは、前記同期基準信号によって、前記タイマ値をリセットする、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記複数のコンバータユニットの各々は、
複数のコンバータと、
前記複数のコンバータの出力電流を整流する複数の整流アームを含む、整流回路と、
前記同期基準信号に基づいて、前記予め定められた位相で電流を出力するように前記複数のコンバータを制御する制御回路と、
を含み、
前記複数のコンバータの各々の一方の出力端子は、各々の隣のコンバータの他方の出力端子に電気的に接続されるとともに、前記複数の整流アームの内の1つの整流アームに電気的に接続され、
前記制御回路は、
前記複数のコンバータの各々を、正極性出力動作、負極性出力動作及び休止の内のいずれか1つに制御する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記コンバータは、電流共振コンバータである、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記同期基準信号を出力する同期基準信号出力部は、前記複数のコンバータユニットの内のいずれかの前記制御回路に含まれている、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
第1から第3のコンバータユニットを含み、
前記第1のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して0°の位相遅れで電流を出力し、
前記第2のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して120°の位相遅れで電流を出力し、
前記第3のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して240°の位相遅れで電流を出力する、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
第1から第3のコンバータユニットを含み、
前記第1のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して0°の位相遅れで電流を出力し、
前記第2のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して120°の位相遅れで電流を出力し、
前記第3のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して-60°の位相遅れで電流を出力する、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のコンバータの出力端子を並列接続することにより、電流リップルを抑制することが考えられる。これにより、出力コンデンサを小型化できる。
【0003】
特許文献1には、複数のコンバータの出力端子を並列接続した電源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-1980号公報
【特許文献2】特開2021-182798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の電源装置では、複数のコンバータの共振経路に複数のトランスの1次巻線を夫々挿入し、複数のトランスの2次巻線を並列接続することにより、複数のコンバータの共振経路の電流のバランスを取っている。しかし、特許文献1記載の電源装置では、複数のトランスが必要であり、複数のトランスの2次巻線の結線が必要である。従って、ハードウェア量が増加し、高コストとなる。また、絶縁に関する懸念もある。
【0006】
また、複数のコンバータのトランスをY(スター)結線することも考えられる。しかし、特許文献2記載の電源装置は、単相で構成することを前提としており、コンバータが逆相で動作する動作パターンがあるので、トランスをY(スター)結線することができない。
【0007】
本発明は、ハードウェア量を抑制でき、出力コンデンサを小型化できる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の電源装置は、
出力端子が並列接続された複数のコンバータユニット
を含み、
前記複数のコンバータユニットの各々は、
コンバータと、
前記コンバータの出力電流を整流する整流回路と、
同期基準信号に基づいて、予め定められた位相で電流を出力するように前記コンバータを制御する制御回路と、
を含み、
前記制御回路は、前記予め定められた位相の基準となるタイマ値をカウントするタイマを含み、
前記タイマは、前記同期基準信号によって、前記タイマ値をリセットする、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
前記複数のコンバータユニットの各々は、
複数のコンバータと、
前記複数のコンバータの出力電流を整流する複数の整流アームを含む、整流回路と、
前記同期基準信号に基づいて、前記予め定められた位相で電流を出力するように前記複数のコンバータを制御する制御回路と、
を含み、
前記複数のコンバータの各々の一方の出力端子は、各々の隣のコンバータの他方の出力端子に電気的に接続されるとともに、前記複数の整流アームの内の1つの整流アームに電気的に接続され、
前記制御回路は、
前記複数のコンバータの各々を、正極性出力動作、負極性出力動作及び休止の内のいずれか1つに制御する、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記コンバータは、電流共振コンバータである、
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記同期基準信号を出力する同期基準信号出力部は、前記複数のコンバータユニットの内のいずれかの前記制御回路に含まれている、
ことを特徴とする。
【0012】
前記電源装置において、
第1から第3のコンバータユニットを含み、
前記第1のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して0°の位相遅れで電流を出力し、
前記第2のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して120°の位相遅れで電流を出力し、
前記第3のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して240°の位相遅れで電流を出力する、
ことを特徴とする。
【0013】
前記電源装置において、
第1から第3のコンバータユニットを含み、
前記第1のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して0°の位相遅れで電流を出力し、
前記第2のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して120°の位相遅れで電流を出力し、
前記第3のコンバータユニットは、前記同期基準信号に対して-60°の位相遅れで電流を出力する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様の電源装置は、ハードウェア量を抑制でき、出力コンデンサを小型化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態の電源装置のブリッジ回路の構成を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態の電源装置の整流回路の構成を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態の電源装置の制御回路の構成を示す図である。
図5図5は、第1の実施の形態の電源装置の各部の波形の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態の電源装置の各部の波形の一例を示す図である。
図7図7は、第1の実施の形態の電源装置の電流波形の一例を示す図である。
図8図8は、第2の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
図9図9は、第2の実施の形態の電源装置の整流回路の構成を示す図である。
図10図10は、第2の実施の形態の電源装置の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。
図11図11は、第2の実施の形態の電源装置の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の電源装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1は、電源2から出力されコンデンサ3で平滑化後の電圧VINの供給を受けて、出力電圧VOUT及び出力電流IOUTをLCフィルタ4を介して負荷5へ出力する。
【0018】
電源装置1は、コンバータユニット11からコンバータユニット13までと、同期基準信号出力回路14と、コンデンサ15と、を含む。
【0019】
コンバータユニット11からコンバータユニット13までは、並列接続されている。コンバータユニット11からコンバータユニット13までの出力電流の間の位相差は、等間隔とする。即ち、コンバータユニット11の出力電流IOUT1とコンバータユニット12の出力電流IOUT2との位相差は、120°とする。コンバータユニット12の出力電流IOUT2とコンバータユニット13の出力電流IOUT3との位相差は、120°とする。つまり、コンバータユニット11の出力電流IOUT1とコンバータユニット13の出力電流IOUT3との位相差は、240°とする。又は、-60°、-120°等としても良い。
【0020】
実施の形態では、コンバータユニットの数を3個としたが、本開示はこれに限定されない。コンバータユニットの数は、2個であっても良いし、4個以上であっても良い。
【0021】
同期基準信号出力回路14は、予め定められたタイミングで、同期基準信号SSYNCをコンバータユニット11からコンバータユニット13までに出力する。予め定められたタイミングは、一定間隔であることが例示される。
【0022】
同期基準信号出力回路14は、コンバータユニット11からコンバータユニット13までのいずれかに含まれていても良い。
【0023】
コンバータユニット11は、コンバータ20と、整流回路26と、制御回路27と、を含む。コンバータ20は、LLC共振を利用した電流共振コンバータ(LLCコンバータ)であるが、本開示はこれに限定されない。
【0024】
コンバータ20は、ブリッジ回路21-1と、コンデンサ22-1と、トランス25-1と、を含む。
【0025】
図2は、第1の実施の形態の電源装置のブリッジ回路の構成を示す図である。
【0026】
ブリッジ回路21-1は、アーム51と、アーム52と、を含む。アーム51は、ハイサイドのトランジスタTr1と、ローサイドのトランジスタTr2と、を含む。アーム52は、ハイサイドのトランジスタTr3と、ローサイドのトランジスタTr4と、を含む。
【0027】
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0028】
各トランジスタは、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。
【0029】
トランジスタTr1のソースは、トランジスタTr2のドレインに電気的に接続されている。トランジスタTr3のソースは、トランジスタTr4のドレインに電気的に接続されている。
【0030】
トランジスタTr1のドレイン及びトランジスタTr3のドレインは、ブリッジ回路21-1の一方の入力端子21-1aに電気的に接続されている。入力端子21-1aは、コンデンサ3(図1参照)の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。
【0031】
トランジスタTr2のソース及びトランジスタTr4のソースは、ブリッジ回路21-1の他方の入力端子21-1bに電気的に接続されている。入力端子21-1bは、コンデンサ3(図1参照)の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0032】
ブリッジ回路21-1の入力端子21-1a及び21-1bには、電圧VIN図1参照)が入力される。
【0033】
トランジスタTr1のソース及びトランジスタTr2のドレインは、ブリッジ回路21-1の一方の出力端子21-1cに電気的に接続されている。
【0034】
トランジスタTr3のソース及びトランジスタTr4のドレインは、ブリッジ回路21-1の他方の出力端子21-1dに電気的に接続されている。
【0035】
トランジスタTr1からトランジスタTr4までのゲートには、スイッチング信号SSW11が、制御回路27(図1参照)から入力される。
【0036】
ブリッジ回路21-1は、電圧VIN、電圧-VIN、又は、ゼロ電圧を、出力端子21-1cと出力端子21-1dとの間に出力する。
【0037】
例えば、ブリッジ回路21-1は、トランジスタTr1及びトランジスタTr4がオン状態、且つ、トランジスタTr2及びトランジスタTr3がオフ状態の場合、電圧VINを、出力端子21-1cと出力端子21-1dとの間に出力する。
【0038】
また例えば、ブリッジ回路21-1は、トランジスタTr1及びトランジスタTr4がオフ状態、且つ、トランジスタTr2及びトランジスタTr3がオン状態の場合、電圧-VINを、出力端子21-1cと出力端子21-1dとの間に出力する。
【0039】
また例えば、ブリッジ回路21-1は、トランジスタTr1からトランジスタTr4までがオフ状態の場合、ゼロ電圧を、出力端子21-1cと出力端子21-1dとの間に出力する。
【0040】
再び図1を参照すると、トランス25-1は、1次巻線25-1aと、2次巻線25-1bと、コア25-1cと、を含む。1次巻線25-1a及び2次巻線25-1bは、コア25-1cに巻回されている。
【0041】
1次巻線25-1aは、漏れインダクタンス23-1と、励磁インダクタンス24-1と、を含む。1次巻線25-1aの一端は、コンデンサ22-1を介して、ブリッジ回路21-1の出力端子21-1c(図2参照)に電気的に接続されている。1次巻線25-1aの他端は、ブリッジ回路21-1の出力端子21-1d(図2参照)に電気的に接続されている。
【0042】
コンデンサ22-1、漏れインダクタンス23-1及び励磁インダクタンス24-1は、LLC共振回路を構成する。
【0043】
実施の形態では、LLC共振回路が1次巻線25-1aの側にあることとしたが、本開示はこれに限定されない。LLC共振回路は、2次巻線25-1bの側にあっても良い。また、LLC共振回路は、1次巻線25-1aの側と、2次巻線25-1bの側と、の両側にあっても良い。
【0044】
図3は、第1の実施の形態の電源装置の整流回路の構成を示す図である。
【0045】
整流回路26は、ブリッジダイオードである。整流回路26は、整流アーム61と、整流アーム62と、を含む。
【0046】
整流アーム61は、ハイサイドのダイオードD1と、ローサイドのダイオードD2と、を含む。ダイオードD1のアノードは、ダイオードD2のカソードに電気的に接続されている。
【0047】
ダイオードD1のアノード及びダイオードD2のカソードは、整流回路26の入力端子26aに電気的に接続されている。入力端子26aは、トランス25-1の2次巻線25-1b(図1参照)の一端に電気的に接続されている。
【0048】
整流アーム62は、ハイサイドのダイオードD3と、ローサイドのダイオードD4と、を含む。ダイオードD3のアノードは、ダイオードD4のカソードに電気的に接続されている。
【0049】
ダイオードD3のアノード及びダイオードD4のカソードは、整流回路26の入力端子26bに電気的に接続されている。入力端子26bは、トランス25-1の2次巻線25-1b(図1参照)の他端に電気的に接続されている。
【0050】
ダイオードD1及びD3のカソードは、整流回路26の高電位側の出力端子26eに電気的に接続されている。ダイオードD2及びD4のアノードは、整流回路26の低電位側の出力端子26fに電気的に接続されている。
【0051】
整流回路26の出力端子26eは、コンデンサ15(図1参照)の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。整流回路26の出力端子26fは、コンデンサ15の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0052】
整流回路26は、トランス25-1の2次巻線25-1b(図1参照)に励磁される電圧及び電流を全波整流して、コンデンサ15(図1参照)に出力する。コンデンサ15は、整流回路26で全波整流された電圧及び電流を平滑化する。
【0053】
図4は、第1の実施の形態の電源装置の制御回路の構成を示す図である。
【0054】
制御回路27は、タイマ71と、スイッチング信号出力回路72と、を含む。タイマ71は、発振器71aと、カウンタ71bと、を含む。タイマ71及びスイッチング信号出力回路72は、CPUで構成可能である。
【0055】
発振器71aは、予め定められた周波数で発振し、パルスをカウンタ71bに出力する。カウンタ71bは、サイクリックカウンタである。カウンタ71bは、発振器71aから出力されるパルスをカウントする。カウンタ71bは、同期基準信号SSYNCが同期基準信号出力回路14(図1参照)から入力されたら、カウント値をリセット(ゼロクリア)する。
【0056】
スイッチング信号出力回路72は、カウンタ71bのカウント値に基づいて、予め定められた位相で、スイッチング信号SSW11をブリッジ回路21-1に出力する。例えば、スイッチング信号出力回路72は、カウンタ71bのカウント値に対して0°の位相遅れのスイッチング信号SSW11を、ブリッジ回路21-1に出力する。
【0057】
再び図1を参照すると、コンバータユニット12は、コンバータ30と、整流回路36と、制御回路37と、を含む。コンバータ30は、ブリッジ回路31-1と、コンデンサ32-1と、トランス35-1と、を含む。
【0058】
ブリッジ回路31-1の構成は、ブリッジ回路21-1の構成(図2参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0059】
整流回路36の構成は、整流回路26の構成(図3参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0060】
制御回路37の構成は、制御回路27の構成(図4参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。但し、制御回路37は、カウンタ71bのカウント値に対して120°の位相遅れのスイッチング信号SSW21を、ブリッジ回路31-1に出力する。
【0061】
ブリッジ回路31-1、コンデンサ32-1、漏れインダクタンス33-1、励磁インダクタンス34-1、トランス35-1及び整流回路36の接続関係は、ブリッジ回路21-1、コンデンサ22-1、漏れインダクタンス23-1、励磁インダクタンス24-1、トランス25-1及び整流回路26の接続関係と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
コンバータユニット13は、コンバータ40と、整流回路46と、制御回路47と、を含む。コンバータ40は、ブリッジ回路41-1と、コンデンサ42-1と、トランス45-1と、を含む。
【0063】
ブリッジ回路41-1の構成は、ブリッジ回路21-1の構成(図2参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0064】
整流回路46の構成は、整流回路26の構成(図3参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0065】
制御回路47の構成は、制御回路27の構成(図4参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。但し、制御回路47は、カウンタ71bのカウント値に対して240°、-60°、又は、-120°の位相遅れのスイッチング信号SSW31を、ブリッジ回路41-1に出力する。
【0066】
ブリッジ回路41-1、コンデンサ42-1、漏れインダクタンス43-1、励磁インダクタンス44-1、トランス45-1及び整流回路46の接続関係は、ブリッジ回路21-1、コンデンサ22-1、漏れインダクタンス23-1、励磁インダクタンス24-1、トランス25-1及び整流回路26の接続関係と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
コンデンサ15は、コンバータユニット11の出力電圧VOUT1、コンバータユニット12の出力電圧VOUT2及びコンバータユニット13の出力電圧VOUT3を平滑した出力電圧VOUTを、LCフィルタ4を介して負荷5に出力する。
【0068】
コンデンサ15は、コンバータユニット11の出力電流IOUT1、コンバータユニット12の出力電流IOUT2及びコンバータユニット13の出力電流IOUT3を平滑した出力電流IOUTを、LCフィルタ4を介して負荷5に出力する。
【0069】
コンバータユニット11の出力電流IOUT1と、コンバータユニット12の出力電流IOUT2と、コンバータユニット13の出力電流IOUT3と、の3つの出力電流間の位相差は、出力電流IOUTのリップルを抑制する観点から、同じであることが好ましい。つまり、3つのコンバータユニットの出力電流間の位相差は、120°であることが好ましい。
【0070】
例えば、コンバータユニット11は、0°の位相遅れで出力電流IOUT1を出力する。コンバータユニット12は、120°の位相遅れで出力電流IOUT2を出力する。コンバータユニット13は、240°、-60°、又は、-120°の位相遅れで出力電流IOUT3を出力する。これにより、出力電流IOUTのリップルが抑制可能である。
【0071】
しかしながら、発振器71a(図4参照)には、僅かな個体差があり得る。つまり、制御回路27、37及び47の発振器71aの発振周波数は、僅かに異なり得る。従って、制御回路27、37及び47のカウンタ71b(図4参照)は、カウント速度が僅かに異なり得、カウント値が僅かに異なり得る。
【0072】
そのため、電源装置1は、動作開始直後の3つのコンバータユニットの出力電流の位相差が120°であっても、動作を続けて行くにつれて120°からずれて行ってしまい、出力電流IOUTのリップルは、大きくなって行ってしまう。そのため、コンデンサ15を大きくしたり、LCフィルタ4を大きくしたりしなければならない。コンデンサ15を大きくしたり、LCフィルタ4を大きくしたりすると、高価格化する。
【0073】
そこで、同期基準信号出力回路14(図1参照)は、予め定められたタイミングで、同期基準信号SSYNCを制御回路27、37及び47に出力する。制御回路27、37及び47の各々のカウンタ71b(図4参照)は、同期基準信号SSYNCが入力されたら、カウント値をリセット(ゼロクリア)する。
【0074】
これにより、電源装置1は、予め定められたタイミングで、3つのコンバータユニットの出力電流の位相差を120°にすることができる。従って、電源装置1は、出力電流IOUTのリップルを抑制できる。
【0075】
図5及び図6は、第1の実施の形態の電源装置の各部の波形の一例を示す図である。
【0076】
波形201は、同期基準信号SSYNCを表す。波形202は、発振器71aの発振周波数が低い場合のカウンタ71bのカウント値を表す。発振器71aの発振周波数が低い場合、カウンタ71bのカウント速度が遅くなり、カウント値の変化が遅れる。波形203は、発振器71aの発振周波数が高い場合のカウンタ71bのカウント値を表す。発振器71aの発振周波数が高い場合、カウンタ71bのカウント速度が速くなり、カウント値の変化が進む。
【0077】
図6は、図5の中の領域200の拡大図である。波形201に示すように、タイミングtで同期基準信号SSYNCがローレベルからハイレベルに変化すると、カウンタ71bのカウント値がリセット(ゼロクリア)される。これにより、波形202に示すように、発振器71aの発振周波数が低い場合、カウンタ71bのカウント値の遅れが解消される。また、波形203に示すように、発振器71aの発振周波数が高い場合、カウンタ71bのカウント値の進みが解消される。
【0078】
図7は、第1の実施の形態の電源装置の電流波形の一例を示す図である。
【0079】
波形211は、コンバータユニット11の出力電流IOUT1を表す。波形212は、コンバータユニット12の出力電流IOUT2を表す。波形211と波形212との間の位相差は、120°である。波形213は、コンバータユニット13の出力電流IOUT3を表す。波形212と波形213との間の位相差は、120°である。
【0080】
波形214は、電源装置1の出力電流IOUTを表す。3つのコンバータユニットの出力電流の間の位相差が120°であるので、出力電流IOUTのリップルが抑制されている。
【0081】
以上説明したように、電源装置1は、発振器71aに個体差があったとしても、3つのコンバータユニットの出力電流の位相差を120°にすることができる。これにより、電源装置1は、コンデンサ15の小型化及び低価格化が可能である。また、電源装置1は、LCフィルタ4の小型化及び低価格化が可能である。
【0082】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態の構成要素のうち、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を付して、説明を省略する。
【0083】
図8は、第2の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。図8では、電源2、コンデンサ3、LCフィルタ4及び負荷5(図1参照)の図示を省略している。
【0084】
電源装置1Aは、電源装置1(図1参照)と比較して、コンバータユニット11からコンバータユニット13までに代えて、コンバータユニット11Aからコンバータユニット13Aまでを含む。
【0085】
コンバータユニット11Aは、コンバータユニット11と比較して、コンバータ20に代えて、コンバータ20Aを含む。コンバータユニット11Aは、コンバータユニット11と比較して、整流回路26に代えて、整流回路26Aを含む。
【0086】
コンバータ20Aは、コンバータ20と比較して、ブリッジ回路21-1に加えて、ブリッジ回路21-2を更に含む。また、コンバータ20Aは、コンバータ20と比較して、コンデンサ22-1に加えて、コンデンサ22-2を更に含む。また、コンバータ20Aは、コンバータ20と比較して、トランス25-1に加えて、トランス25-2を更に含む。
【0087】
ブリッジ回路21-2の構成は、ブリッジ回路21-1の構成(図2参照)と同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0088】
ブリッジ回路21-2、コンデンサ22-2、漏れインダクタンス23-2、励磁インダクタンス24-2及びトランス25-2の接続関係は、ブリッジ回路21-1、コンデンサ22-1、漏れインダクタンス23-1、励磁インダクタンス24-1及びトランス25-1の接続関係と同様であるので、説明を省略する。
【0089】
図9は、第2の実施の形態の電源装置の整流回路の構成を示す図である。
【0090】
整流回路26Aは、ブリッジダイオードである。整流回路26Aは、整流回路26(図3参照)と比較して、整流アーム63を更に含む。
【0091】
整流アーム63は、ハイサイドのダイオードD5と、ローサイドのダイオードD6と、を含む。ダイオードD5のアノードは、ダイオードD6のカソードに電気的に接続されている。
【0092】
ダイオードD1のアノード及びダイオードD2のカソードは、整流回路26Aの入力端子26aに電気的に接続されている。入力端子26aは、トランス25-1の2次巻線25-1b(図8参照)の一端に電気的に接続されている。
【0093】
ダイオードD3のアノード及びダイオードD4のカソードは、整流回路26Aの入力端子26b及び26cに電気的に接続されている。入力端子26bは、トランス25-1の2次巻線25-1b(図8参照)の他端に電気的に接続されている。入力端子26cは、トランス25-2の2次巻線25-2b(図8参照)の一端に電気的に接続されている。
【0094】
ダイオードD5のアノード及びダイオードD6のカソードは、整流回路26Aの入力端子26dに電気的に接続されている。入力端子26dは、トランス25-2の2次巻線25-2b(図8参照)の他端に電気的に接続されている。
【0095】
ダイオードD1、D3及びD5のカソードは、整流回路26Aの高電位側の出力端子26eに電気的に接続されている。ダイオードD2、D4及びD6のアノードは、整流回路26Aの低電位側の出力端子26fに電気的に接続されている。
【0096】
整流回路26Aの出力端子26eは、コンデンサ15(図8参照)の高電位側端に電気的に接続されている。整流回路26Aの出力端子26fは、コンデンサ15の低電位側端に電気的に接続されている。
【0097】
整流回路26Aは、トランス25-1の2次巻線25-1b及びトランス25-2の2次巻線25-2b(図8参照)に励磁される電圧及び電流を全波整流して、コンデンサ15(図8参照)に出力する。コンデンサ15は、整流回路26Aで全波整流された電圧及び電流を平滑化する。
【0098】
再び図8を参照すると、制御回路27は、スイッチング信号SSW11をブリッジ回路21-1に出力し、スイッチング信号SSW12をブリッジ回路21-2に出力する。これにより、制御回路27は、ブリッジ回路21-1及び21-2の各々を、正極性出力動作、逆(負)極性出力動作及び休止の内のいずれか1つに制御する。
【0099】
図10は、第2の実施の形態の電源装置の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。詳しくは、図10は、トランス25-1の1次巻線25-1aに正極性の電圧161が印加され、トランス25-2の1次巻線25-2aに正極性の電圧162が印加される場合の、トランス25-1及び25-2の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。
【0100】
この場合、トランス25-1の1次巻線25-1aには、矢印163で示す方向に電圧が生じ、トランス25-2の1次巻線25-2aには、矢印164で示す方向に電圧が生じる。従って、トランス25-1及び25-2の2次巻線側には、矢印165で示すように、ダイオードD2→トランス25-1の2次巻線25-1bの一端25-1b-1→トランス25-1の2次巻線25-1bの他端25-1b-2→トランス25-2の2次巻線25-2bの一端25-2b-1→トランス25-2の2次巻線25-2bの他端25-2b-2→ダイオードD5の経路に、電圧が生じる。
【0101】
つまり、1つの電流共振コンバータと隣の電流共振コンバータとの出力極性が同じの場合は、2次巻線側は、直列接続(電圧加算)となる。
【0102】
制御回路27は、1つの電流共振コンバータと隣の電流共振コンバータとの出力極性を同じに制御することにより、電流を維持したまま、電圧を高くする(2倍にする)ことができる。
【0103】
図11は、第2の実施の形態の電源装置の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。詳しくは、図11は、トランス25-1の1次巻線25-1aに正極性の電圧171が印加され、トランス25-2の1次巻線25-2aに逆(負)極性の電圧172が印加される場合の、トランス25-1及び25-2の2次巻線側の電圧(電流)の方向を示す図である。
【0104】
この場合、トランス25-1の1次巻線25-1aには、矢印173で示す方向に電圧が生じ、トランス25-2の1次巻線25-2aには、矢印174で示す方向に電圧が生じる。従って、トランス25-1の2次巻線側には、矢印175で示すように、ダイオードD2→トランス25-1の2次巻線25-1bの一端25-1b-1→トランス25-1の2次巻線25-1bの他端25-1b-2→ダイオードD3の経路に、電圧が生じる。また、トランス25-2の2次巻線側には、矢印176で示すように、ダイオードD6→トランス25-2の2次巻線25-2bの他端25-2b-2→トランス25-2の2次巻線25-2bの一端25-2b-1→ダイオードD3の経路に、電圧が生じる。
【0105】
つまり、1つの電流共振コンバータと隣の電流共振コンバータとの出力極性が逆の場合は、2次巻線側は、並列接続(電流加算)となる。
【0106】
制御回路27は、1つの電流共振コンバータと隣の電流共振コンバータとの出力極性を逆に制御することにより、電圧を維持したまま、電流を大きくする(2倍にする)ことができる。
【0107】
再び図8を参照すると、コンバータユニット12Aの構成は、コンバータユニット11Aの構成と同様であるので、説明を省略する。コンバータユニット13Aの構成は、コンバータユニット11Aの構成と同様であるので、説明を省略する。
【0108】
コンバータユニット11A、12A及び13Aの各々は、単相で構成することを前提としており、コンバータが逆相で動作する動作パターンがある。従って、電源装置1Aは、トランスをY(スター)結線することができないので、図8に示す通り並列接続せざるを得ない。そうすると、上記した通り、発振器71a(図4参照)の個体差により、3個のコンバータユニットの出力電流の間の位相差が120°からずれて行ってしまう可能性があり、出力電流IOUTのリップルが大きくなってしまう可能性がある。
【0109】
そこで、同期基準信号出力回路14は、予め定められたタイミングで、同期基準信号SSYNCをコンバータユニット11A、12A及び13Aに出力する。コンバータユニット11A、12A及び13Aの各々のカウンタ71b(図4参照)は、同期基準信号SSYNCが入力されたら、カウント値をリセット(ゼロクリア)する。
【0110】
これにより、電源装置1Aは、予め定められたタイミングで、3つのコンバータユニットの出力電流の位相差を120°にすることができる。従って、電源装置1Aは、出力電流IOUTのリップルを抑制できる。
【0111】
以上説明したように、電源装置1Aは、発振器71aに個体差があったとしても、3つのコンバータユニットの出力電流の位相差を120°にすることができる。これにより、電源装置1Aは、コンデンサ15の小型化及び低価格化が可能である。また、電源装置1は、LCフィルタ4(図1参照)の小型化及び低価格化が可能である。
【0112】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
1、1A 電源装置
2 電源
3、15、22-1、22-2、32-1、42-1 コンデンサ
4 LCフィルタ
5 負荷
11、11A、12、12A、13、13A コンバータユニット
14 同期基準信号出力回路
20、20A、30、40 コンバータ
21-1、21-2、31-1、41-1 ブリッジ回路
23-1、23-2、33-1、43-1 漏れインダクタンス
24-1、24-2、34-1、44-1 励磁インダクタンス
25-1、25-2、35-1、45-1 トランス
26、26A、36、46 整流回路
27、37、47 制御回路
51、52 アーム
61、62、63 整流アーム
71 タイマ
71a 発振器
71b カウンタ
72 スイッチング信号出力回路
Tr1、Tr2、Tr3、Tr4 トランジスタ
D1、D2、D3、D4、D5、D6 ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11