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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132655
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/40 20060101AFI20230914BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20230914BHJP
   B41F 15/12 20060101ALI20230914BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B41F15/40 B
B41F15/08 303E
B41F15/12
H05K3/34 505D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038111
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿介
【テーマコード(参考)】
2C035
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA22
2C035FC07
2C035FD01
2C035FD33
2C035FD42
2C035FE01
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB05
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD35
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】半田ロールのロール幅の検出精度を向上させる。
【解決手段】スクリーン印刷装置1は、マスク12と、スキージ25と、マスク上においてスキージ25を印刷開始位置S0から印刷終了位置P0まで前後方向に移動させる移動装置21と、マスク上の半田ペースト70を検出するセンサ26と、制御部50と、を備え、制御部50は、移動装置21を用いてスキージ25をマスク上で前後方向に移動させることにより、マスク上面の半田ペースト70をスキージ25で掻いてマスク下面に重装された基板PXに印刷し、制御部50は印刷終了後、スキージ移動方向において、印刷終了位置P0の前側に位置する半田ロール71を、センサ26により走査して、半田ロール71の両端を検出し、センサ26による半田ロール71の検出位置P1と、印刷終了位置P0と、に基づいて、半田ロール71の前後方向のロール幅Wを算出する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷装置であって、
マスクと、
スキージと、
マスク上において前記スキージを印刷開始位置から印刷終了位置まで前後方向に移動させる移動装置と、
マスク上の半田ペーストを検出するセンサと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記移動装置を用いて前記スキージをマスク上で前後方向に移動させることにより、マスク上面の半田ペーストを前記スキージで掻いてマスク下面に重装された基板に印刷し、
前記制御部は印刷終了後、スキージ移動方向において、前記印刷終了位置の前側に位置する半田ロールを、前記センサにより走査して、前記半田ロールの両端を検出し、
前記センサによる前記半田ロールの検出位置と、前記印刷終了位置と、に基づいて、前記半田ロールの前後方向のロール幅を算出する、スクリーン印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置であって、
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置が前記スキージの前記印刷終了位置より前方にある場合、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を、前記半田ロールの開始点とする第1検出方式で、前記ロール幅を算出し、
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置が前記スキージの前記印刷終了位置より後方にある場合、前記スキージの前記印刷終了位置を、前記半田ロールの開始点とする第2検出方式で、前記ロール幅を算出する、スクリーン印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置であって、
選択入力部を備え、
前記選択入力部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を前記半田ロールの開始点にする第1検出方式と、前記スキージの印刷終了位置を前記半田ロールの開始点にする第2検出方式の、いずれの方式で開始点を検出するか、選択を可能とし、
前記制御部は、オペレータの選択に従って検出方式を決定する、スクリーン印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置であって、
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を前記半田ロールの開始点にする第1検出方式と、前記スキージの印刷終了位置を前記半田ロールの開始点にする第2検出方式の、両方の検出方式で、前記ロール幅を算出し、
前記制御部は、前記基板の生産枚数が所定の生産枚数に達するまでに、2つの検出方式で算出した前記ロール幅に基づき、前記半田ロールの開始点の検出方式を決定する、スクリーン印刷装置。
【請求項5】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置であって、
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を前記半田ロールの開始点にする第1検出方式と、前記スキージの印刷終了位置を前記半田ロールの開始点にする第2検出方式のうち、いずれの検出方式を用いて、前記半田ロールの開始点を検出するかを、過去の生産実績に基づいて決定する、スクリーン印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスクリーン印刷装置であって、
前記制御部は、生産対象の基板と生産条件の類似する基板の生産実績がある場合、生産条件の類似する基板の生産で使用した検出方式を用いて、前記生産対象の基板について前記半田ロールの開始点を検出する、スクリーン印刷装置。
【請求項7】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置であって、
前記制御部は、
前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を前記半田ロールの開始点にする第1検出方式で算出した第1ロール幅の算出結果と、
前記スキージの印刷終了位置を前記半田ロールの開始点にする第2検出方式で算出した第2ロール幅の算出結果と、
前記2つの検出方式の選択メニューと、を表示部に表示する、スクリーン印刷装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のスクリーン印刷装置であって、
前記制御部は、記憶部に対して、基板に固有の基板IDと、前記基板の生産で使用した前記半田ロールの開始点の検出方式と、前記半田ロールの前後方向のロール幅の算出結果と、を紐付けて記憶する、スクリーン印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷装置は、マスク、スキージ、スキージを前後方向に移動させる移動装置などを備える。マスクの上面に半田ペーストを供給後、スキージを前後方向に移動させることで、マスク上面の半田ペーストをスキージにより掻いて、マスク下面に重装された基板に印刷することができる。また、印刷動作中、マスク上の半田ペーストは、スキージにより押されることによりローリングし、ロール状に成形される(半田ロール)。
【0003】
下記特許文献1には、印刷中のローリングによりロール状に成形された半田ロールを、半田センサを用いて検出する点が開示されている。半田センサは、光学センサであり、印刷終了後、スクリーン(マスク)上の半田ロールを走査し、半田ロールの両端位置を検出することにより、半田ロールのロール幅を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5938102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半田ロールのロール幅を検出する際に、半田センサが掻き残し部を通過した場合、半田ロールの両端位置を誤検出し、異常値となることがある。また、掻き残し部を通過する場合に限らず、印刷終了後、スキージを上昇させる際に、半田ロールの形状が崩れた場合や、半田ロール近傍に半田ペーストの一部が落下した場合にも、同様の問題がある。
【0006】
本発明は、半田ロールのロール幅の検出精度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
スクリーン印刷装置は、マスクと、スキージと、前記マスク上において前記スキージを印刷開始位置から印刷終了位置まで前後方向に移動させる移動装置と、マスク上の半田ペーストを検出するセンサと、制御部と、を備える。
【0008】
前記制御部は、前記移動装置を用いて前記スキージをマスク上で前後方向に移動させることにより、マスク上面の半田ペーストを前記スキージで掻いてマスク下面に重装された基板に印刷する。
【0009】
前記制御部は印刷終了後、スキージ移動方向において、前記印刷終了位置の前側に位置する半田ロールを、前記センサにより走査して、前記半田ロールの両端を検出し、前記センサによる前記半田ロールの検出位置と、前記印刷終了位置と、に基づいて、前記半田ロールの前後方向のロール幅を算出する。
【0010】
尚、半田ロールは、印刷動作中、マスク上の半田ペーストがスキージにより押されることによりローリングし、ロール状に成形されたものである。
【0011】
この構成では、センサの検出結果に加えて印刷終了位置を加味して半田ロールのロール幅を算出するから、センサの検出結果だけに頼って半田ロールのロール幅を算出する場合に比べて、半田ロールのロール幅を正確かつロバストに算出できる。
【0012】
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置が前記スキージの前記印刷終了位置より前方にある場合、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を、前記半田ロールの開始点とする第1検出方式で、前記ロール幅を算出してもよい。
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置が前記スキージの前記印刷終了位置より後方にある場合、前記スキージの前記印刷終了位置を、前記半田ロールの開始点とする第2検出方式で、前記ロール幅を算出してもよい。
【0013】
この構成では、落下した半田や掻き残し部の影響により、半田ロールのロール幅が実際よりも大きな値として算出されることを抑制できる。これにより、ロール幅の異常値が検出されることを抑制できるため、生産ラインのエラー停止を抑制し、タクトを向上させることができる。
【0014】
スクリーン印刷装置は、選択入力部を備えてもよい。前記選択入力部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を前記半田ロールの開始点にする第1検出方式と、前記スキージの印刷終了位置を前記半田ロールの開始点にする第2検出方式の、いずれの方式で開始点を検出するか、選択を可能とし、前記制御部は、オペレータの選択に従って検出方式を決定してもよい。
【0015】
オペレータの選択により、生産中、半田ロールの開始点の検出方式を固定できるので、検出方式の違いによるロール幅の変動を抑制できる。
【0016】
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を前記半田ロールの開始点にする第1検出方式と、前記スキージの印刷終了位置を前記半田ロールの開始点にする第2検出方式の、両方の検出方式で、前記ロール幅を算出し、前記制御部は、前記基板の生産枚数が所定の生産枚数に達するまでに、2つの検出方式で算出した前記ロール幅に基づき、前記半田ロールの開始点の検出方式を決定してもよい。
【0017】
基板や、マスク、半田の特性に適した検出方式を、基板の生産枚数が所定の生産枚数に達するまでに、自動で決定できる。そのため、エラーの発生による印刷装置の停止や生産の遅延を抑制できる。
【0018】
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を前記半田ロールの開始点にする第1検出方式と、前記スキージの印刷終了位置を前記半田ロールの開始点にする第2検出方式のうち、いずれの検出方式を用いて、前記半田ロールの開始点を検出するかを、過去の生産実績に基づいて決定してもよい。
【0019】
この構成では、過去の実績に基づいて開始点の検出方式を採用することで、算出結果の信頼性を高めることができる。例えば、過去に生産実績のある品種と同一品種の基板を生産する場合、過去と同じ検出方式を用いて開始点を検出することで、検出方式の違いによるロール幅の変動を抑制できる。
【0020】
前記制御部は、生産対象の基板と生産条件の類似する基板の生産実績がある場合、生産条件の類似する基板の生産で使用した検出方式を用いて、前記生産対象の基板について前記半田ロールの開始点を検出してもよい。
【0021】
この構成では、生産条件の類似する基板の検出方式を選択することで、生産に使用する検出方式を自動で決定できる。
【0022】
前記制御部は、前記センサによる前記半田ロールの後側の検出位置を前記半田ロールの開始点にする第1検出方式で算出した第1ロール幅の算出結果と、前記スキージの印刷終了位置を前記半田ロールの開始点にする第2検出方式で算出した第2ロール幅の算出結果と、前記2つの検出方式の選択メニューと、を表示部に表示してもよい。
【0023】
オペレータが、開始点の検出方式を自ら決定することで、どの検出方式を採用しているか意識することができる。また、オペレータの判断により、より信頼性の高い検出方式を、随時選択できる。
【0024】
前記制御部は、記憶部に対して、基板の固有IDと、前記基板の生産で使用した前記半田ロールの開始点の検出方式と、前記半田ロールの前後方向のロール幅の算出結果と、を紐付けて記憶してもよい。
【0025】
基板の固有IDに紐づけて記憶したデータから、ロール幅が適切と判断するに至った経緯を確認することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、半田ロールのロール幅の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態1に係るスクリーン印刷装置の斜視図
図2】スクリーン印刷装置の平面図(筐体を外した状態を示す)
図3A図2のA-A線断面図
図3B図2のA-A線断面図
図4A図2のB-B線断面図
図4B図4Aの部分拡大図
図5】スクリーン印刷装置の電気的構成を示す図
図6】ロール幅計測動作の説明図
図7】ロール幅計測動作の説明図
図8】半田ロールと検出結果(1)
図9】半田ロールと検出結果(2)
図10】半田ロールと検出結果(3)
図11】半田ロールと検出結果(4)
図12】半田ロール算出処理のフローチャート
図13】マシン設定の表示画面
図14】実施形態2における半田ロール算出処理のフローチャート
図15】実施形態3における半田ロール算出処理のフローチャート
図16】実施形態4における半田ロール算出処理のフローチャート
図17】実施形態5における半田ロール算出処理のフローチャート
図18】実施形態6における半田ロール算出処理のフローチャート
図19】ロール幅の算出結果(グラフ)の表示画面
図20】記憶部に記憶する情報を示す図
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態1>
スクリーン印刷装置(以下、「印刷装置」ともいう)1を、図1から図12を参照して説明する。印刷時におけるスキージ25の移動方向を前後方向、スキージ25の長手方向を左右方向、鉛直方向を上下方向とする。
【0029】
1.全体構成
スクリーン印刷装置1は、板状の基板PXの表面に半田ペースト70を印刷する装置である。図1に示すように印刷装置1は箱状の筐体10を備えている。筐体10の右壁には基板PXが搬入される開口が形成され、左壁には基板PXが搬出される開口が形成されている。基板PXは右壁の開口から筐体10の内部に搬入され、半田ペースト70が印刷された後に左側へ搬出される。
【0030】
図2はスクリーン印刷装置1の平面図、図3Aはスクリーン印刷装置1の断面図である。印刷装置1は、基板PXを搬送する前後一対のコンベア11、マスク12、左右一対のマスクホルダ13、基板支持装置16、移動装置21、前後移動装置22及びスキージヘッド23等を備えている。
【0031】
マスク12は、枠状のマスクフレーム12Aと、マスクフレーム12Aの内側に張られるシート状のステンシル12Bと、を備えている。ステンシル12Bは鉄、アルミニウム、ステンレス等であり、基板PXに印刷する半田ペースト70のパターンに対応した印刷開口(図示せず)が形成されている。
【0032】
コンベア11は、左右方向に循環移動するコンベアベルトを備えている。コンベア11は、コンベア駆動モータ(図示せず)により駆動され、印刷対象となる基板PXの印刷装置1への搬入、および搬出を行う。
【0033】
図3Aに示すように、基板支持装置16は、マスク12の下方において上昇及び下降可能なバックアッププレート16Aを有している。印刷装置1に搬入された基板PXは、バックアッププレート16Aの上面に載置される。その後、基板支持装置16は、所定の印刷位置に移動した後、バックアッププレート16Aを上昇させて、基板PXをマスク12の下面に密着させる。
【0034】
図3Aに示すように、マスクホルダ13は左右方向から見てL字形状である。マスクホルダ13は、前後方向からマスクフレーム12Aを挟み込み、印刷装置1に対してマスク12を固定する。
【0035】
図2図4Aに示すように、移動装置21は左右方向に長い直方体形状であり、スキージヘッド23を昇降可能に支持している。前後移動装置22は、ボールねじ27と、第1モータ28と、を有している。ボールねじ27は、移動装置21及びスキージヘッド23を、前後方向に移動させるボールねじ機構である。
【0036】
第1モータ28の駆動により、ボールねじ27から前後方向の推進力を得て、移動装置21及びスキージヘッド23は、前後方向に往復移動する。
【0037】
移動装置21は第2モータ30を内蔵している。第2モータ30の駆動により、スキージヘッド23を、移動装置21に対して上下方向に移動させることができる。
【0038】
図4Aに示すように、スキージヘッド23は、アーム部29を介して、スキージ25を回転可能に支持している。スキージヘッド23は第3モータ31を内蔵しており、モータの回転により、スキージ25を、回転軸29Aを中心に回転させることができる。スキージ25は、図3Aに示すように、左右方向に長い形状である。スキージヘッド23を、図3Aの位置まで下降させると、スキージ25の先端がステンシル12Bの表面に接触し、印刷動作を行うことができる。
【0039】
この他、スキージヘッド23は、ステンシル12Bの上面に半田ペースト70を供給する供給部等も備えている。
【0040】
2.印刷装置1の電気的構成
図5に示すように、印刷装置1は、表示部14、制御部50及び入力部51を備えている。制御部50は、CPU52、RAM53、記憶部54を有している。制御部50には、表示部14、入力部51、移動装置21、センサ26等が接続されている。
【0041】
記憶部54にはCPU52によって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。表示部14は液晶ディスプレイ等の表示装置である。入力部51はタッチパネル、マウス、キーボード等の入力装置である。
【0042】
制御部50は、第1モータ28、第2モータ30を制御し、スキージ25を前後方向、上下方向に移動させる。また、第3モータ31を制御し、回動軸29Aを中心にスキージ25を回転させる。
【0043】
また、記憶部54は、スキージヘッド23、スキージ25、アーム部29の各部寸法の情報を有している。これらの情報と各モータの軸値の情報に基づき、制御部50は、マスク12上におけるスキージ25の位置、角度を算出する。
【0044】
3.印刷処理と半田ロール71の成形
図4Aを参照して、印刷処理及び半田ロール71の成形について、説明する。
印刷開始前、ステンシル12Bの下面に基板PXが重装され、ステンシル12Bの上面に、スキージヘッド23に搭載された供給部により半田ペースト70が供給される。
【0045】
図4Aに示すように、スキージ25を、印刷開始位置S0から前方(図4では左側)に移動すると、半田ペースト70はスキージ25によって前方に押し出される。
【0046】
半田ペースト70は、スキージ25に押されローリングしながらステンシル12B上を移動する。半田ペースト70は、ステンシル12Bに設けられた印刷開口に充填され、基板PXに印刷される。
【0047】
印刷中のローリングにより、スキージ25の前方には、ロール状の半田ロール71が成形される。スキージ25の先端25Aが印刷終了位置P0に到達(図4B参照)すると、印刷処理は終了する。
【0048】
図4Bは、印刷終了時点の半田ロール71とスキージ25の位置関係を示している。スキージ移動方向において、半田ロール71は、スキージ25の印刷終了位置P0の位置、又はそれよりも前方に位置する。
【0049】
4.センサ26による半田ロール71の検出
センサ26は、図6に示すように、スキージヘッド23に取り付けられている。この実施形態では、スキージヘッド23の中央から離れた位置、具体的には、右壁の前方寄りの位置に、センサ26は取り付けられている。
【0050】
第1モータ28、第3モータ31を駆動させることにより、センサ26は、スキージヘッド23と一体的に、前後方向及び上下方向に移動可能である。
【0051】
センサ26は、光学式のセンサであり、レーザ光を発光する発光素子と、レーザ光を受光する受光素子と、を有している。
【0052】
センサ26は、ステンシル12Bの上方に位置しており、ステンシル12Bに向かって上方からレーザ光を照射し、その反射光を受光する。この実施形態の場合、受光量が閾値未満の場合(半田有りの場合)、センサ26はON信号を出力し、受光量が閾値以上の場合(半田無しの場合)、センサ26はOFF信号を出力する。
【0053】
図7に示すように、印刷処理終了後、スキージヘッド23を上昇させた後、後退させ、センサ26を検出開始位置M1の上方に移動させる。
【0054】
その後、ステンシル12Bの上面に向けてレーザ光を照射させつつ、スキージヘッド23を前方に移動し、センサ26を検出開始位置M1から検出終了位置M2まで移動させる。
【0055】
これにより、レーザ光で半田ロール71を走査し、半田ロール71を検出できる。尚、センサ26の検出範囲M0にはスキージ25の印刷終了位置P0が含まれている。
【0056】
図8は、半田ロール71を走査した時のセンサ26の出力信号を表している。検出位置P1は、センサ出力がOFFからONに切り替わる位置、検出位置P2はセンサ出力がONからOFFに切り替わる位置である。尚、検出開始位置M1のセンサ出力がONである場合、検出開始位置M1を検出位置P1とする。
【0057】
検出位置P1は半田ロール71の後側の検出位置であり、ロール幅Wの算出においては開始点である。検出位置P2は半田ロール71の前側の検出位置であり、ロール幅Wの算出においては終了点である。そして、P1、P2の2点間距離H1を求めることで、半田ロール71の、前後方向におけるロール幅Wを算出できる。
【0058】
W=H1 (1)
【0059】
ロール幅Wの算出結果から、半田ペースト70の残量を推測することができる。印刷処理終了後、ロール幅Wを算出し、残量が少なくなった場合、マスク12上に半田ペースト70を補給することで、半田不足による印刷不良の発生を防止できる。上記のように、検出位置P1を、半田ロール71の開始点にするロール幅Wの検出方式を、第1検出方式とする。
【0060】
<センサ26の誤検出>
半田ペースト70の掻き残し部72がある場合、図9に示すように、センサ26により算出される2点間距離H1は、実際のロール幅Wよりも大きい。これは、半田ロール71だけでなく、掻き残し部72でも、センサ出力がONになるためである。
【0061】
センサ26の誤検出は、落下半田74がある場合や、半田ロール71に角部75ができた場合にも、起きる可能性がある(図10図11参照)。
【0062】
図4Bに示すように、スキージ移動方向において、半田ロール71はスキージ25の前方に成形されるから、掻き残し部72や落下半田74がない場合、センサ26による半田ロール71の検出位置P1は、スキージ25の印刷終了位置P0よりも前方に位置する。
【0063】
一方、センサ26による半田ロール71の検出位置P1がスキージ25の印刷終了位置P0よりも後方にある場合、掻き残し部72や落下半田74が原因である可能性が高い。
【0064】
そこで、検出位置P1が印刷終了位置P0より後方の場合、図9図11に示すように半田ロール71の開始点を検出位置P1ではなく、印刷終了位置P0とする。そして、P0、P2の2点間距離H2を、半田ロール71のロール幅Wとする。
【0065】
W=H2 (2)
【0066】
検出位置P1が印刷終了位置P0より後方の場合、半田ロール71の開始点を印刷終了位置P0とすることにより、掻き残し部72等の影響を除外して、ロール幅Wを正確に算出することができる。このように、印刷終了位置P0を、半田ロール71の開始点にするロール幅Wの検出方式を、第2検出方式とする。
【0067】
図12は半田ロール算出処理のフローチャートである。制御部50は印刷処理終了後、センサ26で半田ロール71を走査し、センサ26の検出結果のデータを取得する(S10)。また、このとき、スキージ25の印刷終了位置P0のデータを併せて取得する。
【0068】
その後、制御部50は、検出範囲M0に、半田が存在するか判断する(S20)。半田の有無は、センサ26の出力信号より判断できる。
【0069】
半田が存在しない場合(S20:NO)、測定エラーで算出処理は終了する(S25)。半田が存在する場合(S20:YES)、制御部50は、センサ26の検出終了位置M2での出力信号が、OFFであるか否かを判断する(S30)。
【0070】
センサ26の出力信号がONの場合(S30:NO)、半田ロール71の前端が検出終了位置M2よりも前方にあると判断し、測定エラーで算出処理は終了する(S35)。
【0071】
センサ26の出力信号がOFFの場合(S30:YES)、制御部50は、半田ロール71の終了点を、センサ26の前側の検出位置P2に決定する(S40)。
【0072】
次に制御部50は、センサ26の検出位置P1が、印刷終了位置P0よりも前方であるか否かを判断する(S50)。
【0073】
センサ26の検出位置P1が印刷終了位置P0より前方の場合(S50:YES)、制御部50は、半田ロール71の開始点を、センサ26の検出位置P1に決定する(S60)。
【0074】
その後、制御部50は、S40で決定した終了点(検出位置P2)とS60で決定した開始点(検出位置P1)の2点間距離H1を算出し、算出した2点間距離H1をロール幅Wとする(S70)。
【0075】
一方、センサ26の検出位置P1が印刷終了位置P0より後方の場合(S50:NO)、制御部50は、半田ロール71の開始点を印刷終了位置P0に決定する。(S55)。
【0076】
その後、制御部50は、S40で決定した終了点(検出位置P2)とS55で決定した開始点(印刷終了位置P0)の2点間距離H2を算出し、算出した2点間距離H2をロール幅Wとする(S70)。
【0077】
ロール幅Wを算出すると、制御部50は、ロール幅Wの値が適正であるか否か判断する(S80)。具体的には、ロール幅Wが、適正範囲内か判断する。
【0078】
制御部50は、ロール幅Wが適正範囲内の場合(S80:YES)、算出処理を終了する。ロール幅Wが適正範囲外の場合(S80:NO)、ロール幅エラーとし、算出処理を終了する(S85)。
【0079】
6.効果説明
本構成は、センサ26による半田ロール71の検出位置P1、P2のみに頼らず、スキージ25の印刷終了位置P0を加味して半田ロール71の端を求め、ロール幅Wを算出する。そのため、半田ロール71のロール幅Wを、正確かつロバストに算出することができる。
【0080】
図3Bに示すように印刷対象となる基板PXの左右方向の長さが小さい場合、基板PXと重なっていない部分のステンシル12Cが撓むため、掻き残し部72が発生しやすい。本実施形態の構成では、掻き残し部72があっても、ロール幅Wを正確に算出できる。
【0081】
この構成では、掻き残し部72と位置が重なり易い、スキージヘッド23の両端部にもセンサ26の配置が可能(図6参照)となるから、センサ26の取り付け位置の制約が緩和される。また、半田ロール71の近傍に落下半田74がある場合(図10参照)や半田ロール71に角部75ができた場合(図11参照)も、それらの影響を受けず、半田ロール71のロール幅Wを精度よく算出できる。
【0082】
<実施形態2>
図13図14を参照して実施形態2について説明する。実施形態2において、制御部50は、印刷装置1の表示部14に、印刷装置1のマシン設定画面14Aを表示する。マシン設定画面14Aは、印刷装置1の設定項目(図13の左列)、設定内容の表示項目(図13の右列)を含む。
【0083】
設定項目には、「ロール幅計測開始点 検出方式」が含まれている。オペレータが入力部51を操作してこの項目を選択すると、右列の表示項目内に、選択メニュー15が表示される。選択メニュー15は、センサ検出位置P1と印刷終了位置P0を選択するメニューであり、本発明の「選択入力部」に相当する。
【0084】
オペレータが、選択メニュー15からセンサ検出位置P1と印刷終了位置P0のうち、いずれかを選択すると、その後の算出処理において、制御部50は、オペレータが選択した開始点を半田ロール71の開始点として、ロール幅Wを算出する。
【0085】
この構成では、オペレータは半田ロール71の開始点の検出方式を任意に選択できるため、生産中に検出方式が変わることに起因するロール幅Wの変動を抑制できる。
【0086】
図14は半田ロール算出処理のフローチャートである。実施形態2の半田ロール算出処理は、実施形態1の半田ロール算出処理に対して、S50~S70に代えて、S45のステップを有する点で異なる。
【0087】
<実施形態3>
実施形態3は、生産開始から所定の判断枚数に達するまでに、以下の2つの算出方法のうち、いずれの算出方法で、半田ロール71のロール幅Wを算出するのか、自動で決定する。
【0088】
(1)2点間距離H1を使用した算出方法
(2)2点間距離H2を使用した算出方法
【0089】
以下の説明において、(1)の方法で算出した半田ロール71の幅を、第1ロール幅W1とし、(2)の方法で算出した半田ロール71の幅を、第2ロール幅W2とする。また、内部変数Qは、半田ロール71の開始点を決める変数であり、初期設定は、検出位置P1に設定されている。
【0090】
以下、ロール幅Wの算出処理を、図15のフローチャートを用いて説明する。S10~S40までは、実施形態1と同様のため説明を省略する。
【0091】
制御部50は、S40にて、半田ロール71の終了点を決定すると、その後、S250に移行する。
【0092】
<算出方法を決定するまでの処理>
S250に移行すると、制御部50は生産枚数Xと内部変数Qの判定を行う。具体的には、現在の生産枚数Xが判断枚数以下であり、かつ、内部変数Qが検出位置P1であるか、判定する。
【0093】
内部変数Qの初期設定は検出位置P1のため、生産開始後の初回生産時は、S250:YESとなり、S265に移行する。
【0094】
S265に移行すると、制御部50は、2種類のロール幅W1、W2を算出する。その後、制御部50は、ロール幅W1、W2の差分Dが閾値TH以下であるか否かを判定する(S270)。
【0095】
差分Dが閾値以下の場合(S270:YES)、制御部50は、第1ロール幅W1が適正であるか否かを判定する(S275)。第1ロール幅W1が適正であれば(S275:YES)、算出処理を終了する。
【0096】
第1ロール幅W1が適正である場合、内部変数Qは検出位置P1に維持される。そのため、2枚目以降の生産でも、上記の流れで算出処理が進む。
【0097】
そして、基板PXの印刷枚数Xが判断枚数に達するまで、S270、S275で、いずれもYES判定された場合、制御部50は、ロール幅Wの算出方法を、(1)の算出方法に決定する。この場合、内部変数Qは、検出位置P1に維持される。
【0098】
一方、差分Dが閾値THよりも大きい場合(S270:NO)、制御部50は、第2ロール幅W2が適正であるか否かを判断する(S271)。
【0099】
第2ロール幅W2が適正である場合(S271:YES)、制御部50は、第2ロール幅Wの算出方法を、(2)の算出方法に決定する。これに伴い、制御部50は、内部変数Qを検出位置P1から印刷終了位置P0に変更する(S272)。
【0100】
尚、ロール幅W1、W2が適正でない場合は(S271、S275:NO)、ロール幅エラーとする(S276)。
【0101】
<算出方法を決定してからの処理>
(1)の算出方法に決定した場合、生産枚数Xが判断枚数以上になると、S250では、NO判定される。また、(2)の算出方法に決定した場合、内部変数Qが印刷終了位置P0になることから、S250では、NO判定される。そのため、どちらの場合も、S280に移行し、制御部50は、内部変数Qに従って、ロール幅Wを算出する。
【0102】
つまり、内部変数Qが検出位置P1の場合、2点間距離H1に基づき第1ロール幅W1を算出する。一方、内部変数Qが印刷終了位置P0の場合、2点間距離H2に基づき第2ロール幅W2を算出する。
【0103】
そして、算出したロール幅W(W1又はW2)が適正であるか否かを判断する(S280)。ロール幅Wが適正であれば(S285:YES)、算出処理を終了する。ロール幅Wが適正でない場合(S285:NO)、ロール幅エラーとする(S286)。
【0104】
ロール幅Wは、開始点と終了点の両方にセンサ26の検出結果を用いる(1)の方法を用いて算出することが望ましい。しかし、印刷対象である基板PXの品種によっては掻き残し部72ができる場合があり、ロール幅エラーが多発すると、生産に支障を来す可能性がある。また、ロール幅エラーの発生は、マスクの特性、半田の特性(その日のコンディションも含む)により生じる場合もある。
【0105】
一方、開始点に印刷終了位置P0を用いる(2)の方法でロール幅Wを算出すると、掻き残し部72等の影響を除外することができる。
【0106】
この構成では、生産状態(基板の特性、マスクの特性、半田の特性)に応じて、ロール幅Wの算出方法が自動で決定される。これにより、ロール幅エラーの発生を抑制して、タクトを向上させることができる。
【0107】
<実施形態4>
実施形態4では、第1検出方式と、第2検出方式のうち、いずれの検出方式を用いて、半田ロール71の開始点を検出するか、過去の生産実績に基づいて決定する。
【0108】
印刷装置1は、記憶部54に生産実績情報を記憶する。生産実績情報は、過去に生産した基板の品種とその品種の生産で使用したロール幅Wの算出方法を紐づけた情報である。
【0109】
図16は、実施形態4の半田ロール算出処理のフローチャートである。実施形態4の半田ロール算出処理は、実施形態3の半田ロール算出処理に対して、S350以降のステップが異なる。
【0110】
制御部50は、半田ロール71の終了点を検出位置P2に決定した後(S40)、S350に移行する。S350において、制御部50は、記憶部54にアクセスし、今回生産する生産対象の基板と同一品種の基板の生産実績があるか、判断する。
【0111】
記憶部54が、同一品種の生産実績情報を有している場合(S355:YES)、制御部50は、同一品種の生産で使用した半田ロール71の開始点の検出方式を記憶部54から読み取り、生産対象の基板に適用する(S355)。その後、適用した開始点を用いてロール幅Wを算出する(S360)。
【0112】
同一品種の生産実績がない場合(S355:NO)、実施形態3のS250に移行し、開始点を自動的に決定してロール幅Wを算出する。なお、実施形態4における内部変数Qの初期設定は、実施形態3と同じく検出位置P1に設定されている。
【0113】
この構成では、過去の生産実績に基づいて、開始点の検出方式を決定するため、算出するロール幅Wの信頼性を高めることができる。また、同一品種間では検出方式を同一にすることで、ロール幅Wの変動を抑制できる。
【0114】
<実施形態5>
実施形態5は、生産対象の基板と生産条件の類似する基板の生産実績がある場合、生産条件の類似する基板の生産で使用した検出方式を用いて、生産対象の基板における半田ロール71の開始点を検出する。
【0115】
印刷装置1は、記憶部54に対し、生産実績情報に加え、生産条件の情報を記憶する。生産条件の情報には、例えば以下の情報が含まれる。生産条件の情報は、基板PXの品種に紐づけられている。
【0116】
(1)印刷制御方法(スキージの上げ角度、印刷速度)
(2)スキージの種類(品種、ロット番号)
(3)半田ペーストの種類(品種、ロット番号、製造年月日)
(4)基板サイズ
(5)マスクサイズ
(6)マスクの経過時間、製造メーカ名
【0117】
図17は、実施形態5の半田ロール算出処理のフローチャートである。実施形態5の半田ロール算出処理は、実施形態4の半田ロール算出処理に対して、S350以降のステップが異なる。
【0118】
今回生産する生産対象の基板と同一品種の基板の生産実績情報がない場合(S350:NO)、制御部50は、生産対象の基板の生産条件と過去に生産した異種基板の生産条件を比較する。
【0119】
生産対象の基板の生産条件と類似する生産条件の基板の生産実績がある場合(S451:YES)、制御部50は、類似する生産条件の基板で使用した検出方法を記憶部54から読み出し、生産対象の基板に適用する(S452)。その後、適用した検出方法を用いて、ロール幅Wを算出する(S360)。
【0120】
類似する生産条件の基板の生産実績がない場合(S451:NO)実施形態3のS250に移行し、開始点を自動的に決定してロール幅Wを算出する。なお、実施形態5における内部変数Qの初期設定は、実施形態3と同じく検出位置P1に設定されている。
【0121】
尚、「生産条件の類似」は、生産対象の基板と過去に生産した基板の生産条件に含まれる複数の項目を比較して、制御部50が判断する。類似か否かの判断の基準は、例えば、生産条件に含まれる複数の項目のうち、所定割合以上の項目が一致することや、数値の差分が所定の閾値よりも小さいことである。オペレータは、類似か否かの判断の基準を、任意に設定できる。
【0122】
この構成では、印刷対象の基板と同一品種の基板の生産実績がなくても、生産条件の類似する基板の検出方式を選択することで、生産に使用する検出方式を自動で決定できる。そのため、オペレータの手間を削減できる。また、決定した開始点を用いてロール幅Wを正確に算出できるため、半田量が過少になったり、エラーにより生産が停止したりする前に対処することができる。
【0123】
<実施形態6>
実施形態6は、第1検出方式で算出した第1ロール幅W1の算出結果と、第2検出方式で算出した第2ロール幅W2の算出結果を表示部14に表示し、検出方式の選択をオペレータに促す。
【0124】
図18は、実施形態6の半田ロール算出処理のフローチャートである。実施形態6の半田ロール算出処理は、実施形態1の半田ロール算出処理に対して、S550以降のステップが異なる。
【0125】
制御部50は、半田ロール71の終了点を検出位置P2に決定した後(S40)、第1検出方法と第2検出方法の2種類の算出方法で、半田ロール71のロール幅Wを算出する。
【0126】
次に、制御部50は、第1検出方法で算出した第1ロール幅W1、第2検出方法で算出した第2ロール幅W2のグラフ17のデータを作成し、表示部14に表示する(図19、S555)。グラフ17の横軸は計測回数、縦軸はロール幅Wである。
【0127】
次に、制御部50は、第1ロール幅W1、第2ロールW2が適正であるか否かを判断する(S560)。ロール幅W1、W2が共に適正である場合は(S560:YES)、基板PXの生産枚数Xが、判断枚数に達したか否かを判断する(S570)。
【0128】
判断枚数は1以上の任意の数である。生産枚数Xは、生産開始時において0であり、印刷処理を実行する度にカウントアップする。
【0129】
生産枚数Xが判断枚数未満の場合は(S570:NO)、算出処理を終了し、印刷を終えた基板PXを印刷装置1から搬出し、次の基板PXを搬入して、印刷処理が行われる。
【0130】
生産枚数Xが判断枚数以上の場合は(S570:YES)、制御部50は、グラフ17に加えて、検出方式の選択メニュー18を表示部14に表示する(S580)。
【0131】
オペレータは、選択メニュー18から、以降の生産において、ロール幅Wの算出に適用する検出方式を選択することが出来る。
【0132】
検出方式が選択されると、その後の生産において、制御部50は、オペレータが選択した検出方式を用いて、ロール幅Wを算出する。
【0133】
一方、S560において、ロール幅W1、W2のうち少なくとも一方が適正でない場合は(S560:NO)、ロール幅エラーとなる(S565)。その後、表示部14にエラーメッセージが表示される(S566)。
【0134】
この構成では、オペレータはロール幅W1及びW2の推移を表すグラフ17を参照できるため、より信頼できる検出方式を随時選択することができる。
【0135】
また、表示部14は、上述した印刷装置1が備える表示装置の他、印刷装置1と有線又は無線で接続された表示装置であってもよい。例えば、オペレータが持ち歩くタブレット端末のディスプレイや、工場の集中管理室に備え付けられたディスプレイであってもよい。このような構成では、オペレータは印刷装置1から離れた場所にいても、検出方式を選択することができる。
【0136】
<実施形態7>
実施形態7は、基板PXに固有のIDと、基板PXの生産で使用した半田ロール71の開始点の検出方式と、ロール幅Wの算出結果と、を紐付けて記憶する。
【0137】
具体的に説明すると、基板PXの表面には、基板ごとに異なる識別子19が付されている(図2参照)。識別子19は、例えばバーコード、二次元コード、文字列等である。識別子19には、基板ごとに固有の基板IDが記録されている。オペレータの目視又は読取装置を使用することで、識別子19から基板IDを読み取ることができる。読み取られた基板IDは制御部50に入力される。
【0138】
制御部50は、生産した基板PXの基板IDと、算出したロール幅Wと、算出処理に使用した開始点の検出方式と、をそれぞれ紐付けて記憶部54に記憶する。
【0139】
記憶部54に記憶された情報の一例を図20に示す。生産した基板ごとに、基板ID、ロール幅W、開始点検出方式がそれぞれ紐づけられた状態で記憶される。この構成では、生産が終了した後でも、記憶部54にアクセスすることで、ロール幅Wが適切であると判断するに至った、検出方式を含めた経緯を確認することができる。
【0140】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、選択入力部の一例として、マシン設定画面に表示される選択メニュー15を例示したが、例えば、トグルスイッチや押しボタンスイッチを用いて、センサ26による検出位置P1と印刷終了位置P0のいずれかを、選択してもよい。
【0141】
(2)上記実施形態では、センサ26による検出位置P1が、印刷終了位置P0よりも後方にある場合に、検出位置P1に代えて、印刷終了位置P0を半田ロール71の開始点として、ロール幅Wを算出した。半田ロール71の開始点は、印刷終了位置P0に限らず、検出位置P1と印刷終了位置P0の間の任意の位置としてもよい。
【0142】
(3)上記実施形態では、スキージ25を後方から前方に移動させて印刷する場合を例示したが、スキージの移動方向はこれに限られない。スキージ25を前方から後方に移動させて印刷処理を行ってもよい。この場合、アーム部29は、スキージ25を回動軸29A周りに回転させて、ステンシル12Bとスキージ25の角度を調整する。
【0143】
(4)上記実施形態では、センサ26は、半田有りの場合にON信号を出力し、半田無しの場合にOFF信号を出力した。センサ出力のON/OFFは逆でもよい。つまり、半田が無い場合にOFF信号を出力し、半田有りの場合にON信号を出力してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 スクリーン印刷装置
12 マスク
21 移動装置
25 スキージ
26 センサ
50 制御部
70 半田ペースト
71 半田ロール
PX 基板
P0 印刷終了位置
P1、P2 検出位置
W ロール幅
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20