(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132656
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】データ管理装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230914BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038112
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今田 光
【テーマコード(参考)】
3C100
5E353
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA68
3C100BB05
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB27
3C100EE07
5E353AA01
5E353CC01
5E353CC04
5E353CC05
5E353CC13
5E353CC22
5E353EE24
5E353EE25
5E353EE52
5E353EE53
5E353EE54
5E353EE62
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ25
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK25
5E353NN18
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】部品データの管理の手間を削減する。
【解決手段】データ管理装置20は、機種が異なる複数の実装装置12を管理し、実装装置12は、部品データに従って、部品Wの吸着、認識、基板Pに対する装着を行い、部品データは、複数のパラメータの集合体であり、データ管理装置20は、所定の判定基準を満たす生産実績が得られた機種の部品データに含まれる個々のパラメータについて、異なる機種間で共通化が可能か判断する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機種が異なる複数の実装装置を管理するデータ管理装置であって、
前記実装装置は、部品データに従って、部品の吸着、認識、基板に対する装着を行い、
前記部品データは、複数のパラメータの集合体であり、
前記データ管理装置は、所定の判定基準を満たす生産実績が得られた機種の部品データに含まれる個々のパラメータについて、異なる機種間で共通化が可能か判断する、データ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ管理装置であって、
異なる機種間に適用する、共通化部品データの初期値を決定し、
機種ごとの生産実績が所定の判定基準を満たした場合、生産実績が得られた機種の部品データに含まれるパラメータのうち、前記共通化部品データの初期値に含まれるパラメータと共通化できないパラメータを、生産実績が得られた機種に固有の固有パラメータに決定し、
前記固有パラメータを機種ごとに管理する、データ管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ管理装置であって、
生産開始後、機種ごとの生産実績が初めて所定の判定基準を満たした場合、生産実績が得られた機種の部品データに含まれるパラメータを、前記共通化部品データに含まれる共通パラメータに決定する、データ管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載のデータ管理装置であって、
生産開始後、機種ごとの生産実績が初めて所定の判定基準を満たしたときは、生産実績が得られた機種の部品データと、前記共通化部品データと、を比較して、共通化できないパラメータを、生産実績が得られた機種の固有パラメータに決定する、データ管理装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のデータ管理装置であって、
生産開始後、機種ごとの生産実績が複数回所定の判定基準を満たしたときは、
共通化部品データと、生産実績が得られた2機種目以降の機種の部品データと、を比較し、
共通化が可能なパラメータを共通パラメータに決定し、共通化できないパラメータを、生産実績が得られた機種の固有パラメータに決定する、データ管理装置。
【請求項6】
機種が異なる複数の実装装置を管理するデータ管理装置であって、
前記実装装置は、部品データに従って、部品の吸着、認識、基板に対する装着を行い、
前記部品データは、複数のパラメータの集合体であり、
前記データ管理装置は、複数の機種について所定の判定基準を満たす生産実績が得られた場合、生産実績が得られた機種の部品データに含まれる個々のパラメータについて、異なる機種間で共通化が可能か判断する、データ管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のデータ管理装置であって、
異なる機種間に適用する、共通化部品データを決定し、
所定の判定基準を満たす生産実績が得られた機種の部品データに含まれるパラメータが、機種に固有の固有パラメータである場合、
生産実績が得られた機種のパラメータを、生産実績が得られた機種の固有パラメータに決定する、データ管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ管理装置であって、
所定の判定基準を満たす生産実績が得られた機種の部品データに含まれるパラメータの値が、異なる機種間で同一の場合、当該パラメータを共通パラメータに決定する、データ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置の部品データを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
実装装置は、部品を吸着する実装ヘッドを有しており、部品種ごとに設定された部品データに従って、部品の吸着、認識、装着を行う。実装装置に関連する文献として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品データは、実装装置を用いて基板に部品を実装する際に使用されるパラメータの集合体である。実装工程において不良率が低くなるパラメータは、機種ごとに異なる場合がある。実装装置の機種ごとにパラメータを個別管理する場合、データの管理に手間がかかる。例えば、パラメータを変更する場合、個々の機種ごとに変更作業が必要になる。
【0005】
本発明の課題は、異なる機種間でパラメータを共通化できるか自動で判断し、パラメータを共通化することで、部品データの管理の手間を削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
機種が異なる複数の実装装置を管理するデータ管理装置は、所定の判定基準を満たす生産実績が得られた機種の部品データに含まれる個々のパラメータについて、異なる機種間で共通化が可能か判断する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パラメータを共通化することで、部品データの管理の手間を削減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】実施形態1に係る部品データの共通化を示す図(1)
【
図7】実施形態1に係る部品データの共通化を示す図(2)
【
図9】実施形態2に係る部品データの共通化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
1.生産システムの全体構成
図1は、生産システムSのシステム構成図である。生産システムSは、生産ライン10と、データ管理装置20とを含む。
【0010】
生産ライン10は、印刷機11、実装装置12、検査装置13を含む。印刷機11、実装装置12、検査装置13はコンベアで接続されており、上流側(
図1の左側)の装置から下流側(
図1の右側)の装置に作業を終えた基板Pを順々に搬送する。
【0011】
印刷機11は、基板Pのパターン上に半田ペーストをスクリーン印刷する装置である。実装装置12は、印刷処理後の基板Pに部品Wを装着する装置である。
【0012】
検査装置13は、基板Pに対する部品Wの装着状態を検査する装置である。検査の結果、部品Wの装着状態に異常がない場合、基板Pはリフロー工程に進み、異常がある場合、その基板Pは不良基板として正常な基板とは別に処理される。
【0013】
データ管理装置20は、管理コンピュータ21とデータベース30を含む。管理コンピュータ21は、マウスやキーボード等の入力部22と、液晶パネルやタッチパネル等の表示部23と、CPUやメモリを備える。データベース30は、各実装装置12の部品データを格納する。
【0014】
生産ライン10と、データ管理装置20は、有線又は無線の通信ネットワーク14を介して通信可能に接続されており、2者間で相互にデータを送受信できる。
【0015】
この実施形態では、1つのデータ管理装置20に対して、通信ネットワーク14を介して、3つの生産ライン10が接続されている。3つの生産ライン10は、一の管理者が管理する生産ラインであってもよいし、別々の管理者が管理する生産ラインであってもよい。1つのデータ管理装置20に対して接続される生産ライン10の数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0016】
2.実装装置12の構成
実装装置12は、
図2及び
図3に示すように、基台40、4つの部品供給装置41、コンベア42、ヘッドユニット43、Xビーム51、Yビーム52、ヘッド移動部44、基板カメラ45、2つの部品カメラ46、サイドカメラ47等を備えている。
【0017】
基板Pは、コンベア42により上流側(
図2の左側)から搬送され、作業位置48において部品Wの装着が完了すると、下流側(
図2の右側)に搬送される。
【0018】
部品供給装置41には、複数のフィーダ49が取り付けられている。各フィーダ49は、基板Pに装着する部品Wを供給する。
【0019】
ヘッドユニット43は、複数の実装ヘッド50を昇降可能、かつ軸周りに回転可能に支持する。
【0020】
Xビーム51は、ヘッドユニット43をX軸方向に往復移動可能に支持する。Yビーム52は、Xビーム51をY軸方向に往復移動可能に支持する。
【0021】
ヘッド移動部44は、ヘッドユニット43をXビーム51に対してX軸方向に移動させるX軸モータ44X、Xビーム51をYビーム52に対してY方向に移動させるY軸モータ44Yを含む。
【0022】
ヘッドユニット43は、X軸モータ44X、Y軸モータ44Yの駆動により、基台40上の任意の位置に移動することができる。ヘッドユニット43は、実装ヘッド50をヘッドユニット43に対してZ方向に移動させるZ軸モータ44Z(
図4参照)を有している。
【0023】
実装ヘッド50は、
図3に示すように、軸状のヘッドシャフト55と吸着ノズル56とを含む。ヘッドシャフト55は中空形状であり、軸心部にエアの供給経路が設けられている。吸着ノズル56は、ヘッドシャフト55の先端(下端)に着脱可能に取り付けられている。
【0024】
吸着ノズル56には、ヘッドシャフト55を介して、図示しない空気供給装置から負圧又は正圧が供給される。実装ヘッド50は、負圧の供給により、吸着ノズル56を用いて部品Wを吸着し、正圧の供給により、吸着した部品Wを解放する。
【0025】
基板カメラ45は、ヘッドユニット43の側面に取り付けられており、イメージセンサ等の撮像素子、LED等の照明、撮像対象物で反射した光を撮像素子の受光面に結像する光学系等を有している。部品カメラ46、サイドカメラ47も同様の構成である。
【0026】
基板カメラ45は、撮像面を下に向けており、基板Pを上方から撮影する。基板カメラ45により、基板Pの位置や部品Wを装着するランドの位置を確認できる。
【0027】
部品カメラ46は、実装ヘッド50が吸着している部品Wを下方から撮影する。サイドカメラ47は、実装ヘッド50が吸着している部品Wを側方から撮影する。部品カメラ46及びサイドカメラ47により、実装ヘッド50が吸着した部品Wのサイズ及び吸着状態(吸着位置や吸着角度、吸着の成否)を確認できる。
【0028】
図4は、実装装置12の電気的構成を示すブロック図である。コントローラ60は、実装装置12の制御装置である。コントローラ60は、CPU61とメモリ63とを有している。
【0029】
コントローラ60には、コンベア42、モータ制御部65、基板カメラ45、部品カメラ46、サイドカメラ47、操作パネル64等の各装置が接続されている。
【0030】
メモリ63は、基板Pに対する部品Wの装着作業を実行する装着プログラムや、基板Pの搬送プログラムを記憶している。
【0031】
コントローラ60は、基板Pの生産開始後、搬送プログラムや装着プログラムに従って、コンベア42やヘッドユニット43を制御する。コンベア42は基板Pを基台中央の作業位置48に送り、ヘッドユニット43は基板Pに対する部品Wの装着作業を行う。なお、生産とは、部品未搭載の基板Pに対して部品Wを装着することにより、部品搭載済みの基板Pを製造することを意味する。
【0032】
3.部品データとその共通化
基板Pには、チップ抵抗、コンデンサ、IC等、多数の部品Wが装着される。データベース30には、部品種ごとに、部品データの初期値が、記憶されている。
【0033】
部品データは、実装装置12において、部品Wの「吸着動作」、「認識動作」、「装着動作」を行うためのデータであり、パラメータの集合体である。パラメータの具体例を以下に示す。
【0034】
(1)サイズX
(2)サイズY
(3)XYスピード
(4)吸着スピード
(5)装着スピード
(6)使用ノズル
(7)廃棄方法
(8)照明レベル
【0035】
上記(1)サイズX、(2)サイズYとは、部品WのX方向の寸法及びY方向の寸法である。(3)XYスピードとは、フィーダ49から部品Wを供給されたヘッドユニット43が、基板P上の装着位置の上方まで移動する際のスピードである。XYスピードは、実装装置12の能力に対する割合(%)として表され、10%刻みの値が選択される。
【0036】
(4)吸着スピード、(5)装着スピードとは、部品Wの吸着時または装着時において、吸着ノズル56が上昇または下降する際のスピードである。(6)使用ノズルとは、部品Wの実装時に使用される吸着ノズル56の品種、ロット番号等の情報である。(7)廃棄方法とは、実装に失敗した部品Wを廃棄する方法である。(8)照明レベルとは、各カメラ45~47が備える照明装置が発する光の強度を表す数値(%)である。
【0037】
図5は、実装装置12に対する部品データの展開手順を示す図である。この実施形態では、3機種の実装装置12A、12B、12Cに部品データを展開する場合を説明する。また、説明を簡単にするため、部品データに含まれるパラメータが上記(1)~(3)の3つであると仮定した場合を説明する。
【0038】
データベース30は、部品データの初期値を格納している。部品データの初期値は、全機種に対して共通して適用される。
【0039】
管理コンピュータ21は、生産開始前に、データベース30にアクセスして部品データの初期値を読み出し、各実装装置に送信する。つまり、機種Aの実装装置、機種Bの実装装置、機種Cの実装装置に送信する。以下、各機種の実装装置12A~12Cを、各機種A~Cと省略して呼ぶ。
【0040】
オペレータは、各機種A~Cに部品データが送信されると、その部品データを用いて部品Wの試し打ちを行い、その機種A~Cに適した部品データにチューニングする。
図5において、「PartsA0」は部品データの初期値、「PartsA1」~「PartsA3」は、チューニング後の部品データを示している。チューニング後の部品データは、各実装装置12のメモリ62に保存される。
【0041】
この実施形態では、チューニング後の部品データを用いて基板Pの生産を行い、所定の判定基準を満たす生産実績が得られた機種があった場合、その機種の部品データを対象として、部品データの共通化を判断する。
【0042】
判定基準は、例えば以下の2要素に基づいて、定めることが出来る。
(A)搭載点数N
(B)不良率Q
【0043】
この実施形態では、N=1,000,000、Q=5ppmである。つまり、同一の部品Wを100万点搭載し、搭載不良と判定された部品が5点以下の場合、生産実績が判定基準を満たすと判断する。
【0044】
そして、
図5に示すように、ある機種について判定基準を満たす生産実績が得られた場合、その機種について、部品データの共通化を判断する。
【0045】
以下、
図6を参照して、部品データの共通化例を説明する。データベース30には、部品Wの品種に固有の部品データ(PartsA0)が、共通化部品データの初期値として登録されている。共通化部品データとは、異なる機種間に共通して適用される部品データである。共通化部品データは、異なる機種間に共通して適用される共通パラメータの集合体である。
【0046】
生産開始後、生産実績が判定基準を満たす機種が現れると、管理コンピュータ21はその機種に適用されている部品データを読み出す。
図6の例では、機種Aが最初に判定基準を満たし、管理コンピュータ21により、機種Aの部品データ(PartsA1)が読み出される。
【0047】
そして、管理コンピュータ21は、データベース30に登録されている共通化部品データ(PartsA0)を、読み出した部品データ(PartsA1)に書き換える。
【0048】
図6の例では、共通化部品データについて、サイズXは「1.10」から「1.00」に書き換えられ、サイズYは「0.60」から「0.50」に書き換えられ、XYスピードは「100」から変化しない。
【0049】
また、機種Aの部品データは、共通化部品データと共通なことから、機種Aの部品データについて、サイズXは「共通」、サイズYは「共通」、XYスピードは「共通」と登録される。
【0050】
その後、別機種の生産実績が判定基準を満たすと、管理コンピュータ21はその機種の部品データを読み出して、部品データの共通化について判断する。
【0051】
図6の例では、機種Aに続き、機種Bが判定基準を満たし、管理コンピュータ21により、機種Bの部品データ(PartsA2)が読み出される。
【0052】
そして、管理コンピュータ21は、機種Bの部品データ(PartsA2)を、データベース30に登録されている共通化部品データ(PartsA1)と比較し、各パラメータの共通化を判断する。具体的には、各パラメータについて、同一であれば共通パラメータとして登録し、異なっていれば、機種Bの固有パラメータとして登録する。
【0053】
ここで、「同一」とは、比較する2つのパラメータが完全に一致している場合と、2つのパラメータがあらかじめ指定した誤差の範囲内にある場合の、両方を含む。例えば、複数の選択肢から1つを選択するタイプのパラメータの場合は、同じ選択肢を選んでいれば、同一のパラメータと判断できる。例えば、XYスピードは10%刻みの値から選択するため、選択するタイプのパラメータである。
【0054】
一方、部品サイズ(サイズX及びサイズY)は、部品カメラ46で撮影した画像から得られる測定値であり、完全に一致することは稀である。そこで、誤差の範囲を例えば10%に設定しておき、一方の測定値が他方の±10%の範囲内であれば同一と判断する。同一と判断した場合にどちらの測定値を共通パラメータとして採用するかは、オペレータが任意に決定できる。
【0055】
すでに共通化について判断された共通化部品データのパラメータと、共通化について判断されていない部品データのパラメータとを比較する場合は、共通化部品データのパラメータを、共通パラメータとして採用してもよい。
【0056】
図6の例では、機種Bの部品データ(PartsA2)のうち、サイズX、サイズYは、共通化部品データ(PartsA1)と共通しているから、「共通」と登録される。XYスピードは異なっているため、共通化できない固有パラメータとして、「90」と登録される。固有パラメータを含む部品データは、共通化部品データから分岐して、固有部品データとして登録される。
【0057】
その後、更に、別機種が判定基準を達成すると、管理コンピュータ21はその機種の部品データを読み出して、共通化部品データと比較し、部品データの共通化を判断する。
【0058】
図7は、
図6とは異なる、部品データの共通化例である。
図6の例では、データベース30に登録されている共通化部品データ(PartsA0)を、生産実績が最初に判定基準を満たした機種Aの部品データ(PartsA1)に書き換えた。
【0059】
図7の例では、データベース30に登録されている共通化部品データ(PartsA0)の書き換えは実行しない。最初に判定基準を満たした機種Aの部品データ(PartsA1)については、共通化部品データと比較して、部品データの共通化を判断する。つまり、
図6において2番目に判定基準を満たした機種Bの部品データと同様に、共通化を判断する。
【0060】
図7の例では、機種Aが最初に判定基準を満たしたとき、機種Aの部品データ(PartsA1)と、共通化部品データ(PartsA0)を比較する。機種Aの部品データ(PartsA1)のうち、サイズX、サイズYは、共通化部品データ(PartsA0)の値と異なっているから、これらは、固有パラメータとして登録される。XYスピードは共通化部品データと同一の値であるから、「共通」と登録される。固有パラメータを含む機種Aの部品データは、固有部品データとして登録される。
【0061】
その後、機種Bが判定基準を満たすと、機種Bの部品データ(PartsA2)と、共通化部品データ(PartsA0)を比較する。機種Bの部品データに含まれる各パラメータは、共通化部品データの各パラメータと同一でないため、PartsA2の各パラメータは全て固有パラメータとして登録される。固有パラメータを含む機種Bの部品データは、固有部品データとして登録される。
【0062】
図8は、部品データ共通化処理のフローチャートである。部品データ共通化処理は、S10~S70の7つのステップから構成されている。
【0063】
管理コンピュータ21は、データベース30から、実装する部品Wの共通化部品データを読み込む(S10)。この共通化部品データが初期値となる。次に、機種ごとに行われたパラメータ調整の結果を部品データに反映させる(S20)。具体的には、上述したチューニングの結果に基づいて、各機種A~Cの部品データを書き換える。
【0064】
次に、オペレータは、所定の判定基準を管理コンピュータ21に入力して設定する(S30)。次に、実装装置12は基板Pの生産を行う(S40)。各実装装置は、機種ごとにチューニングされた部品データに基づいて部品Wを実装する。実装の結果を集計した生産実績は、管理コンピュータ21に送信される。
【0065】
管理コンピュータ21は、機種ごとに、生産実績が判定基準を達成したか否かを判定する(S50)。判定基準を満たしていない場合(S50:NO)S40に戻る。判定基準を満たしている場合は(S50:YES)、S60に移行する。
【0066】
管理コンピュータ21は、判定基準を満たした機種において適用されている部品データと、共通化部品データとを比較し、各パラメータについて共通化の可否を判定する(S60)。
【0067】
次に、管理コンピュータ21は、共通化が可能なパラメータを、共通パラメータとしてデータベース30に登録し(S70)、部品データの共通化を終了する。
【0068】
<効果>
機種が異なる実装装置は、性能も異なる場合がある。例えば、機種Aと機種Bとでは、ヘッドユニット43の移動速度の最大値が異なる場合がある。この場合、部品データに含まれるパラメータ「XYスピード」が50%に設定されていても、機種Aの最大値に対する50%と、機種Bの最大値に対する50%では、絶対値としてのスピードは異なる。また、機種Aと機種Bとで、カメラや照明装置の性能や位置関係が異なる場合、同じ部品のサイズを測定しても、同一の測定結果が得られないことがある。
【0069】
したがって、ユーザが有する実装装置が、複数の機種を含んでいる場合、ある機種で生産実績が良かった部品データを他の機種にそのまま展開しても、その部品データが他の機種にも適しているとは限らない。
【0070】
機種ごとに部品データを作成して個別管理すれば、機種ごとに最適な部品データを使用して生産できる。しかし、機種や、部品データに含まれるパラメータの種類が多いと、部品データの管理に手間がかかる。
【0071】
本発明の構成では、データ管理装置20は、異なる機種間で、部品データに含まれる個々のパラメータの共通化について自動で判断する。パラメータを共通化すると、パラメータの値を変更する際に、変更後のパラメータを異なる機種の実装装置にも展開することができる。これにより、部品データを個別管理する場合と比べて、部品データの管理の手間を削減することができる。
【0072】
<実施形態2>
実施形態1では、いずれか1つの機種の生産実績が判定基準を満たすと、その都度部品データの共通化を行った。実施形態2では、複数の機種の生産実績が判定基準を満たしたときに、部品データの共通化を行うという点で、実施形態1とは異なる。
【0073】
実施形態2のデータ管理装置における部品データの共通化例を、
図9を参照して説明する。
【0074】
図9の例では、初期状態では、機種A~Cそれぞれについて、機種ごとに、個別に部品データを適用している。適用する部品データは、データベース30に登録されているPartsA0である。その後機種A~Cについてチューニングを行い、チューニング後の部品データを使用して生産を行う。
【0075】
各機種にて生産を開始し、最初に機種Aの生産実績が判定基準を満たしたとする。このとき、管理コンピュータ21は、機種Aの部品データに、固有パラメータが含まれているか判定する。
図9の例では機種Aのパラメータは全て固有パラメータである。このとき、管理コンピュータ21は、データベース30内の機種Aの部品データを、機種Aで使用している部品データ(PartsA1)に書き換える。このようにすると、機種Aで判定基準を満たす生産実績が得られたときの部品データを、以降も機種Aで適用することができるため、機種ごとに実績のある部品データ保持することができる。
【0076】
次に判定基準を満たす機種が現れると、その機種から部品データを読み出す。
図9の例では、2機種目として機種Bが判定基準を満たしている。管理コンピュータ21は、機種Bに適用されている部品データ(PartsA2)を読み取り、データベース30内の機種Bの部品データを、部品データに書き換える。
【0077】
複数機種(機種A、機種B)で判定基準を満たしたため、管理コンピュータ21は、共通化部品データを作成し、各機種のパラメータについて共通化可能かどうかの判定を実施する。
図9の例では、判定基準を満たした2つの部品データ(PartsA1、PartsA2)に含まれるパラメータのうち、サイズXは「1.00」で同一である。サイズYも「0.50」で同一である。
【0078】
管理コンピュータ21は、サイズX「1.00」及びサイズY「0.50」が、共通化可能なパラメータと判定し、共通化部品データの共通パラメータとして登録する。
【0079】
パラメータのうち、XYスピードは、機種Aで「100」、機種Bで「90」である。管理コンピュータ21は、XYスピードは同一ではなく、共通化できないパラメータであると判定し、共通パラメータとして登録しない。
【0080】
機種Aのパラメータのうち、サイズXとサイズYの値は共通化部品データと同じであるため、部品データにおいてそれぞれ「共通」と登録される。機種BのサイズX及びサイズYについても同様である。一方、XYスピードは、共通化部品データのパラメータがないため、各機種の固有パラメータとして登録される。
【0081】
実施形態2の構成では、複数の機種で判定基準を満たす生産実績が得られたときに、パラメータを共通化できるか否か、データ管理装置20が自動で判断することができる。
【0082】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、判定基準として、搭載点数N及び不良率Qを用いた。判定基準はこれらに限られず、他の基準を用いてもよい。
【0083】
(2)上記実施形態では、データ管理装置20が管理する実装装置12の機種は3種類、台数は3台の場合を例示したが、機種の数及び台数はこの値に限られない。
【符号の説明】
【0084】
10: 生産ライン
11: 印刷機
12: 実装装置
12A、12B、12C: 実装装置
20: データ管理装置
21: 管理コンピュータ
30: データベース