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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132674
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】立体部品
(51)【国際特許分類】
   B41M 1/40 20060101AFI20230914BHJP
   B29C 48/12 20190101ALI20230914BHJP
   E06B 1/32 20060101ALN20230914BHJP
   E06B 1/34 20060101ALN20230914BHJP
   E06B 3/26 20060101ALN20230914BHJP
【FI】
B41M1/40 C
B29C48/12
E06B1/32
E06B1/34
E06B3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038138
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】田中 康子
(72)【発明者】
【氏名】河村 慎助
(72)【発明者】
【氏名】内田 清一
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
2H113
4F207
【Fターム(参考)】
2E011CA07
2E011CB01
2E011CC02
2E011CD00
2E014BA08
2E014BB06
2H113AA06
2H113BA41
2H113BB07
2H113BB23
2H113CA06
2H113CA46
2H113FA43
4F207AG21
4F207AH46
4F207KA01
4F207KA17
4F207KA20
4F207KW00
(57)【要約】
【課題】仕上がりの外観の良好な立体部品を提供すること。
【解決手段】立体部品2a、2b、3a、3bは、平面部と、平面部から離れる方向に起立する起立面を有する立体形状の基材4と、4基材の上に下地塗装が行われた下地塗装面42と、下地塗装面42の上に印刷された印刷面300と、を備え、下地塗装面42と、印刷面300との色差ΔEは、30以下である。色差ΔEは、20以下であることが好ましい。基材は、押出成形の型材であることが好ましい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部と、前記平面部から離れる方向に起立する起立面を有する立体形状の基材と、
前記基材の上に下地塗装が行われた下地塗装面と、
前記下地塗装面の上に印刷された印刷面と、を備え、
前記下地塗装面と、前記印刷面との色差ΔEは、30以下である、立体部品。
【請求項2】
前記色差ΔEは、20以下である、請求項1に記載の立体部品。
【請求項3】
前記基材は、押出成形の型材である、請求項1又は2に記載の立体部品。
【請求項4】
建物の開口部に設けられる建具に用いられる請求項1~3のいずれか1項に記載の立体部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、立体部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば金属の板に、木目調の印刷をして模様や色等を施した部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3233856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷をする対象が板状でなく立体形状である場合、平面部から起立する起立面と平面部との間の入隅部に印刷が届かない場合がある。このため、仕上がりの部品に塗装がされない箇所が生じ、美観が損なわれるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、平面部と、前記平面部から離れる方向に起立する起立面を有する立体形状の基材と、前記基材の上に下地塗装が行われた下地塗装面と、前記下地塗装面の上に印刷された印刷面と、を備え、前記下地塗装面と、前記印刷面との色差ΔEは、30以下である、立体部品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の引き違い窓を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の引き違い窓の外障子を外した状態を示す斜視図である。
図3】第1実施形態の左縦框の断面図である。
図4】第1実施形態の左縦框の斜視図である。
図5A】第1実施形態の基材を印刷する手順を示す図である。
図5B】第1実施形態の基材を印刷する手順を示す図である。
図5C】第1実施形態の基材を印刷する手順を示す図である。
図6】第1実施形態の実施例に用いた基材の斜視図である。
図7】第2実施形態の浴室窓を示す斜視図である。
図8】第2実施形態の浴室窓の枠体及び額縁を示す斜視図である。
図9】第2実施形態の引戸を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、引き違い窓1は、建物の開口部100に設けられる。引き違い窓1は、枠体2と、障子3と、錠8と、を有する。
【0008】
枠体2は、第1実施形態では、窓枠であり、開口部100の周縁に配置される。枠体2は、四周に枠組みされた型材により構成され、上枠21と、下枠22と、一対の縦枠23と、を有する。上枠21は、引き違い窓1の上部で正面視左右方向に延び、下枠22は、下部で正面視左右方向に延びる。下枠22には、図2に示すように、障子3を移動可能にする不図示の戸車を案内するガイドレール221が設けられている。ガイドレール221の縦枠23側の端部には、後述する内障子320が縦枠23に衝突することを防止するストッパ222が設けられている。一対の縦枠23は、上枠21及び下枠22の左右方向の端部を接続し、上下方向に延びる。
【0009】
枠体2は、樹脂アルミ複合サッシである。枠体2の外周側及び室外側は、アルミ製のアルミ型材2aが配置され、枠体2の内周側は、樹脂製の樹脂型材2bが配置され、それぞれが組み合わされて形成されている。アルミ型材2a及び樹脂型材2bは、押出成形により形成される型材の基材により構成されている。
【0010】
アルミ型材2a及び樹脂型材2bは、それぞれが、平面視で平坦な平面部と平面部から離れる方向に起立面を有する立体部品である。平面部から離れる方向とは、平面から略直交する方向を含むが、略直交する方向に限定されず、所定の角度をもって斜めに起立する場合も含まれる。アルミ型材2a及び樹脂型材2bは、それぞれ凹部を形成する係合溝及び係合溝に係合する突起状の係合爪をそれぞれ有し、係合溝に係合爪を係合させることで組み合わされる。係合溝及び係合爪によりアルミ型材2aと樹脂型材2bが係合する構成は公知であり、図示を省略するが、後述する左縦框33の例と同様である。
【0011】
枠体2は、アルミ型材2a及び樹脂型材2bのそれぞれの表面に、所定の模様又は色が設けられた印刷面20を有する。印刷は、後述する框30の印刷と同様の方法で行われてよい。障子3がガイドレール221に沿ってスライド移動するので、下枠22のガイドレール221の最上面には、戸車の摩擦で印刷が剥がれないように印刷をせず、予め印刷面20を有さないように構成する。
【0012】
障子3は、枠体2の内周側に配置され、左右に移動可能に配置される。障子3は、室外側に配置される外障子310と、室内側に配置される内障子320と、ガラス330と、を有する。外障子310及び内障子320は、それぞれ框30を枠組みして形成される。図2に示すように、外障子310は、上框31、下框32、左縦框33、及び外召合せ框34を有する。内障子320は、上框31、下框32、右縦框35、及び内召合せ框36と、を有する。
【0013】
上框31は上部で正面視左右方向に延び、下框32は下部で正面視左右方向に延びる。左縦框33及び右縦框35は、枠体2を室内側から見た正面視で、上框31及び下框32のそれぞれ左右方向の端部を接続するように上下に延びる。外召合せ框34は、枠体2の左右方向の略中央で、外障子310の上框31及び下框32の右側の端部を接続するように上下に延びる。内召合せ框36は、枠体2の左右方向の略中央で、内障子320の上框31及び下框32の右側の端部を接続するように上下に延びる。内召合せ框36は、上框、下框32及び右縦框よりも室内側に突出しており、上下の端部に樹脂部品としての樹脂製の端部キャップ39が取り付けられている。ガラス330は、略四角形の透明な面材である。ガラス330は、上框31、下框32、左縦框33、外召合せ框34により構成される枠の内周側、及び上框31、下框32、右縦框35、内召合せ框36により構成される枠の内周側に配置される。
【0014】
障子3は、樹脂アルミ複合框であり、室外側にアルミ製のアルミ型材3a、室内側に樹脂製の樹脂型材3bが配置され、それぞれが組み合わされて形成されている。アルミ型材3a及び樹脂型材3bは、押出成形により形成される型材の基材4により構成されている。樹脂型材3bは、後述する方法でそれぞれ表面に所定の模様又は色が設けられた印刷面300を有する。印刷面300は、例えば、木目調のような印刷が施された面である。
【0015】
図3及び図4は、框30のうち、一例として左縦框33を示す。図2に示すように、アルミ型材3a及び樹脂型材3bは、互いの端部が係合可能に窪んだ凹部を有する係合溝38と、係合溝38に係止可能な突起状の係合爪37とを有し、係合溝38内に係合爪37を係止させることで接続されている。他の框30、すなわち上框31、下框32、右縦框35、内召合せ框36、外召合せ框34においても、同様に係合溝38と係合爪37を有することでアルミ型材3a及び樹脂型材3bが係合しているが、図示を省略する。また、枠体2においても同様に、アルミ型材2a及び樹脂型材2bが、係合溝及び係合爪を有することで係合している。
【0016】
左縦框33の樹脂型材3bは、見込面331と、平面部としての室内側見付面332と、起立面部としての室内側突出片333と、を有する。見込面331は、樹脂型材3bの見込方向に延びる面であり、室内側見付面332は、見込面331の室内側の端部から、見付方向に延びる面である。室内側突出片333は、室内側見付面332における見込面331と反対側の端部から室内側に向かって屈曲し、起立している。
【0017】
框30のアルミ型材3a及び樹脂型材3bは、枠体2と同様、それぞれが平坦な平面部から離れる方向に起立面を有する立体部品である。平面部から離れる方向とは、本実施形態では、室内側突出片333は室内側見付面332から略直交する方向に起立している。しかし、起立面が平面部から起立する方向は、略直交する方向に限定されず、所定の角度をもって斜めに起立する場合も含まれる。
【0018】
平面部と起立面とにより凹凸の形成された立体形状の枠体2や框30に印刷する方法を説明する。例えば、樹脂型材3bに印刷を行う場合、樹脂型材3bを構成する樹脂製の基材4に印刷を行う。印刷の前に、基材4の上に下地塗装を行い、下地塗装面42を形成する。下地塗装は、基材4の色を隠蔽する目的で行われる。下地塗装に用いる塗料は、溶剤塗料、水系塗料、粉体塗料であってよく、塗装方法は、静電塗装、ディッピング等、公知の方法が適用される。下地塗装の塗料の色は、次に印刷する色と調和しやすい色が選択される。例えば、木目調で印刷する場合、仕上がりの色調が茶系の塗料が選択されてよい。
【0019】
次に、下地塗装面42の上に印刷を行い、印刷面300を形成する。図5A図5Cに、樹脂型材3bに印刷を行う手順を示す。図5Aに示すように、下地塗装を行った基材4を基材支持部91に固定する。基材4の上方に、柔軟な素材で構成された転写用のパッド92を配置し、パッド92に印刷用のインク93を付着させる。図5Bに示すように、インク93を付着させたパッド92を、基材4に当接させて、インク93を基材4に転写する。その後、図5Cに示すように、パッド92を基材4から離す。インク93は、例えば、紫外線硬化塗料等のように、時間の経過により硬化する素材であってよい。このような転写方法によれば、原則的に、基材4が図3及び図4に示すような立体的な形状を有していても、基材4の大部分に所望の模様を立体形状の基材に印刷することができる。印刷を行った後は、透明な塗料で上塗りを行う。
【0020】
しかしながら、上記の方法をもってしても、室内側見付面332と室内側突出片333のように、略直角の関係で交差する面の入隅部41に印刷のインク93をムラなく塗布することは難しい場合がある。このため、図4に示すように、入隅部41において、インク93が載らなかった下地塗装面42が露出し、下地塗装面42と印刷面300との色差が生じる場合がある。
【0021】
下地塗装面42と、印刷面300との色差ΔEは、30以下であることが好ましく、ΔE20以下であることがより好ましい。表1に、下地塗装と本塗装の色差の違いを計測した結果及び評価を示す。計測は、コニカミノルタジャパン株式会社製の色彩色差計CR-400を用いて行った。基材は、アルミ合金(A6063)製で、図6に示す通り、平面部及び起立面部を有する形状の板材を用いた。平面部の長さLは100mm、幅Wは30mm、起立面部の高さHは12mm、基材の厚さTは2mmとした。下地塗料として、KCC Corporation社製の粉体塗料KARUMEL PX8576(ポリエステル)を用いた。色は、赤、青、黄、灰色の各色粉体塗料を適宜混合して作成した。塗装方法は、静電塗装で、硬化条件を180度×10分とし、膜厚を100±20μmとした。
【0022】
本塗装として、下地塗装の上に印刷を行った。印刷に使用したインクは、十条ケミカル社製レイキュアーGA4100を用いた。印刷設備は、秀峰社製曲面印刷機を用いた。硬化条件は、岩崎電機社製コンベア付きUV硬化装置により、120W/cm、コンベアスピード10m/分とした。
【0023】
評価方法は、目視により評価した。表1中、二重丸(◎)は本塗装と下地塗装との差が全く目立たない、一重丸(〇)はあまり目立たない、三角(△)は、やや目立つ、バツ(×)は非常に目立つ、を意味する。
【0024】
【表1】
【0025】
表1の実施例1~8に示す通り、色差ΔEが30以下である場合、下地塗装面と印刷面の違いはあまり目立たなかったか、まったく目立たなかった。実施例1~5に示す通り、色差ΔEが20以下である場合、下地塗装面と印刷面の違いはまったく目立たなかった。比較例1~3に示す通り、色差ΔEが30を超えると、やや目立ったり、非常に目立つようになった。
【0026】
錠8は、クレセント錠81と、サブロック82と、を有する。クレセント錠81は、外召合せ框34及び内召合せ框36の上下方向の略中央部に配置される。クレセント錠81は、本体部811と、ハンドル812と、掛け部813と、受け部814と、を有する。本体部811は、内召合せ框36の外障子310側の側面に配置され、ハンドル812を回転可能に保持する。ハンドル812は、本体部811に接続され、内障子320から外障子310に向かって回転可能に接続される。掛け部813は、ハンドル812と本体部811とを接続する回転軸の外障子310側に弧状に形成されている。受け部814は、掛け部813が回転した際に係止可能な位置で外召合せ框34側に配置される。本体部811の表面やハンドル812は、樹脂製の樹脂部品である。
【0027】
サブロック82は、外障子310の下框32における室内側で、内召合せ框36の下端に当接するように配置される。サブロック82は、保持凹部821と、ロック本体822とを有する。保持凹部821は、外障子310の下框32に形成され、室内側が開口した略直方体状の窪みである。ロック本体822は、保持凹部821に嵌まるように配置される縦長の部材である。ロック本体822は、長手方向の略中央部で保持凹部821に接続され、てこの原理で長手方向の端部が室内側に突出したり、保持凹部821内に収容されるように移動する。ロック本体822は、長手方向の端部を突出させているときに、内障子320の内召合せ框36における外障子310側の端部に当接する。これにより、内障子320の開閉を補助的に防止することができる。サブロック82は、樹脂製の樹脂部品である。
【0028】
クレセント錠81の本体部811及びハンドル812や、サブロック82、また、框30の端部キャップ39、ストッパ222等の樹脂部品は、いずれも平坦な平面部及び平面部から起立する起立面部を有する。樹脂部品は、枠体2の樹脂型材2bの印刷面20及び框30の樹脂型材3bの印刷面300と同様の印刷方法で、同一の模様又は色が設けられた樹脂部品印刷面40を有している。したがって、引き違い窓1の室内側では、枠体2及び框30と、框30に設けられた樹脂部品とに同一の模様又は色が設けられている。
【0029】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。枠体2や障子3のアルミ型材2a、3、樹脂型材2b、3bのような立体部品を、平面部と、前記平面部から離れる方向に起立する起立面を有する立体形状の基材4と、基材4の上に下地塗装が行われた下地塗装面42と、下地塗装面42の上に印刷された印刷面300と、を含んで構成し、下地塗装面42と、印刷面300との色差ΔEは、30以下とした。下地塗装面42と、印刷面300との色差ΔEを、30以下とすることにより、枠体2や框30等の立体形状を有する立体部品に下地塗装と印刷を行っても、印刷のインク93が付着しなかった部分が目立つことを防止することができる。また、立体部品における平面部と起立面とが接続される入隅部41等の塗装の仕上がりを良好にすることができる。よって、立体部品を使用する引き違い窓1等の製品の仕上がりの外観を良好にすることができる。
【0030】
第1実施形態によれば、色差ΔEを、20以下とした。これにより、色差が小さくなるため、立体部品の塗装の仕上がりをより良好にすることができる。よって、上記と同様の効果を奏する。
【0031】
第1実施形態によれば、基材4を、押出成形の型材により構成した。これにより、入隅部41を有する枠体2や框30の立体部品の仕上がりを好適にすることができる。
【0032】
第1実施形態によれば、立体部品を、建物の開口部100に設けられる引き違い窓1に用いた。これにより、引き違い窓1の塗装の仕上がりを良好にすることができる。よって、上記と同様の効果を奏する。
【0033】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。樹脂部品の例としては、樹脂で成形された立体形状の部品であれば、どのような部品であってもよい。他の例として、例えば、障子のはずれ止め、内召合せ框36の下端部に配置される漏気防止のための気密部材を含んでよい。また、上記実施形態では、引き違い窓を例に説明したが、建具の種類は限定されない。例えば縦すべり出し窓や横すべり出し窓において、カムラッチハンドルやグレモンハンドル、オペレーターハンドル等の窓の開閉を行うハンドルや、窓のロック用の部品等を含んでよい。
【0034】
また、印刷方法は、上記の説明では、基材4を基材支持部91に固定して、パッド92にインク93を転写して印刷する方法を説明したが、これに限られない。例えば、水面にインク93を転写し、水圧を利用して基材4に印刷を行う水圧転写によって印刷を行ってもよい。
【0035】
樹脂アルミ複合サッシの場合、アルミ型材2a側は、印刷面20を有していなくてもよい。樹脂部品の樹脂部品印刷面40は、枠体2の印刷面20及び框30の印刷面300の両方と同じ模様又は色を有していてもよく、枠体2の印刷面20及び框30の印刷面300のいずれかと同じ模様又は色を有していてもよい。
【0036】
上記実施形態では、建具として障子3を有する引き違い窓1を例に説明した。しかし、建具は、障子ではなく戸体が枠体内に開閉可能に設けられた扉であってもよい。枠体及び戸体の印刷面と、樹脂部品の印刷面を同一の模様又は色を有するように構成することで、統一的な外観を有する建具を提供することができ、上記と同様の効果を奏する。
【0037】
図7図9に示す第2実施形態は、浴室5に関する。図7及び図9に示すように、浴室5は、浴室窓6と、内壁パネル51と、天井パネル52と、床パネル53と、浴槽54と、引戸7と、を有する。
【0038】
天井パネル52は、浴室5の空間の上部における平面に配置される板材である。床パネル53は、天井パネル52の下方に延びる平面に配置される板材である。床パネル53は、不図示の排水口が設けられた防水パンである。浴槽54は、床パネル53に隣接して配置される。浴槽54は、湯水を貯水可能な水槽である。内壁パネル51は、天井パネル52及び床パネル53の間に上下方向に延びる平面である。内壁パネル51は、浴室窓6に隣接して配置される。内壁パネル51は、浴室のデザインに応じて所定の模様又は色を有する内壁パネル印刷面510を有する。
【0039】
浴室窓6は、建物の躯体の開口部100Aへ連通する浴室5の浴室開口部500に設けられる。浴室窓6は、枠体61と、額縁62と、を有する。浴室窓6は、浴室5内から、建物の開口部100Aに配置された開閉可能な外窓1Aへ連通する。浴室窓6は、外窓1Aと枠体61との間が額縁62によって水密的に接続されることによって構成される。
【0040】
枠体61は、外窓1Aから見込方向の室内側に離れた位置で、浴室5の浴室開口部500の周縁に配置され、内壁パネル51に隣接する。枠体61は、長尺の型材が四角く枠組みされて構成され、上枠611と、下枠612と、一対の縦枠613と、を有する。枠体61の周囲には、内壁パネル51が配置されている。枠体61は、基材に印刷が施され、所定の模様又は色が設けられた枠体印刷面610を有する。枠体印刷面610は、内壁パネル51の内壁パネル印刷面510と同一の模様又は色を有する。
【0041】
額縁62は、図8に示すように、枠体61から見込方向に延び、枠体61と外窓1Aとの間を接続する。額縁62は、内壁パネル51及び枠体61と同一の模様又は色が設けられた額縁印刷面620を有する。
【0042】
引戸7は、図7の手前側に配置されている浴室5の出入口550を開閉する出入口側建具である。図9は、浴室5の内側から視た引戸7を示し、手前側が浴室5内、奥側が脱衣所等の浴室5外となっている。引戸7は、図9に示すように、引戸枠体71と、引戸障子72と、樹脂部品としてのハンドル73及びサムターン錠74と、を有する。
【0043】
引戸枠体71は、出入口550の周縁に配置される。引戸枠体71は、上枠711、下枠712及び左右の縦枠713により矩形に枠組みされる。左右の縦枠713の間に方立714が配置される。方立714の左右方向の一方側が出入口550であり、他方側が引戸7を開けたときに納まる戸袋側となる。引戸枠体71は、基材に印刷が施され、所定の模様又は色が設けられた枠体印刷面710を有する。
【0044】
引戸障子72は、上框(図示省略)と、下框722と、左右それぞれに配置される縦框723と、により矩形に枠組みされた框725と、框725の内側に固定されるガラス726と、を備える。引戸障子72は、下框722の下端に取り付けられた不図示の戸車を有し、引戸枠体71内を左右に移動して、出入口550を開閉可能に配置されている。引戸障子72は、基材に印刷が施され、所定の模様又は色が設けられた障子印刷面720を有する。
【0045】
ハンドル73は、戸先側の縦框723における高さ方向の略中央部に配置される。ハンドル73は、樹脂製の板材により構成される樹脂部品である。ハンドル73は、表面に引戸枠体71の枠体印刷面710及び引戸障子72の障子印刷面720と同一の模様又は色が設けられた印刷面730を有する。
【0046】
サムターン錠74は、つまみ741を回すことで、戸先側の縦框723の内部に配置された錠が回転し、戸先側の縦枠713における錠に対応する位置に設けられた凹部に係合する。つまみ741は、樹脂により構成される樹脂部品である。つまみ741は、表面に引戸枠体71の枠体印刷面710及び引戸障子72の障子印刷面720と同一の模様又は色が設けられた印刷面740を有する。ハンドル73の印刷面730と、サムターン錠74のつまみ741の印刷面740は、引戸枠体71及び引戸障子72と同一の模様又は色が設けられている。
【0047】
第2実施形態においても、樹脂部品の印刷面と周囲の部材の印刷面とを同一にすることにより、樹脂部品が周囲の部材から浮いて見えることがなく、浴室5全体の塗装の外観や引戸7の塗装の外観を良好にすることが可能となる。
【0048】
なお、第2実施形態において、樹脂部品として、ハンドル73及びサムターン錠74のつまみ741が引戸障子72に設けられた例を説明したが、他の樹脂部品が引戸枠体71に設けられていてもよい。また、樹脂部品について、引戸枠体71の枠体印刷面710及び引戸障子72の障子印刷面720の両方と同一の模様又は色が設けられた印刷面730を有するものとして説明した。しかし、引戸枠体71の枠体印刷面710及び引戸障子72の障子印刷面720のいずれかのみと同一の模様又は色が設けられた印刷面730を有していてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 引き違い窓(建具)、 2a アルミ型材(立体部品)、 2b 樹脂型材(立体部品)、 3a アルミ型材(立体部品)、 3b 樹脂型材(立体部品)、42 下地塗装面、 100 開口部、 300 印刷面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9