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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132722
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230914BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230914BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230914BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 653A
H01L29/78 658F
H01L29/78 658G
H01L29/44 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038212
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】一関 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭子
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104DD43
4M104EE02
4M104EE09
4M104EE12
4M104FF07
4M104FF10
4M104GG09
4M104GG18
(57)【要約】
【課題】トレンチゲート構造の信頼性を向上させた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体部と、第1~第3電極と、制御電極と、第1~第3絶縁膜と、を備える。前記第1電極は、前記半導体部の裏面上、前記第2電極は、表面上に設けられる。前記半導体部は、前記表面に開口を有するトレンチを有し、前記第3電極は、前記トレンチの内部に設けられる。前記制御電極は、前記トレンチの内部において、前記開口側に設けられ、前記裏面に平行な方向に並ぶ第1および第2制御部を有する。前記第1絶縁膜は、前記半導体部と前記第3電極との間、前記第2絶縁膜は、前記半導体部と前記制御電極との間に設けられる。前記第3電極は、前記第1および第2制御部の間に延伸する端部を有し、前記第1絶縁膜は、前記第3電極の端部と前記制御電極との間に延びる延伸部を有する。前記第3絶縁膜は、前記延伸部と前記第3電極の前記端部との間に延在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体部と、
前記半導体部の裏面上の第1電極と、
前記半導体部の前記裏面とは反対側の表面の上に設けられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる第3電極であって、前記半導体部は、前記表面に開口を有するトレンチを有し、前記トレンチの内部において、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に延在する第3電極と、
前記トレンチの内部において、前記開口側に設けられ、前記半導体部の前記裏面に平行な第2方向に並ぶ第1制御部と第2制御部とを有する制御電極であって、前記第3電極の端部が前記第1制御部と前記第2制御部との間に延伸する、制御電極と、
前記半導体部と前記第3電極との間に設けられ、前記第3電極を前記半導体部から電気的に絶縁する第1絶縁膜と、
前記半導体部と前記制御電極との間に設けられ、前記制御電極を前記半導体部から電気的に絶縁する第2絶縁膜と、
前記第3電極の前記端部を覆い、前記第3電極を前記制御電極から電気的に絶縁する第3絶縁膜と、
を備え、
前記制御電極は、前記第1絶縁膜と前記第2電極との間に位置し、
前記第1絶縁膜は、前記第3電極の端部と前記制御電極との間に延びる延伸部を有し、
前記第3絶縁膜は、前記第1絶縁膜の前記延伸部と前記第3電極の前記端部との間に延在する、半導体装置。
【請求項2】
前記制御電極の前記第2電極側の第1端は、前記第3絶縁膜に接し、
前記制御電極の前記第1絶縁膜側の第2端は、前記第1絶縁膜に接する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁膜の前記延伸部は、前記第1方向の先端において、前記第2方向の第1膜厚を有し、前記制御電極の前記第2端と前記第3電極との間において、前記第2方向の第2膜厚を有し、前記第1膜厚は、前記第2膜厚よりも薄い請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3絶縁膜は、前記制御電極の第1端に接する部分における第3膜厚と、前記第1絶縁膜の前記延伸部を介して前記制御電極の前記第2端に向き合う部分における第4膜厚と、を有し、
前記第3膜厚は、前記第4膜厚よりも厚い請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2電極と前記制御電極との間、および、前記第2電極と前記第3電極との間に設けられ、前記第3電極から前記制御電極を電気的に絶縁する第4絶縁膜をさらに備える請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体部は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在する第1導電形の第1層と、前記第1層と前記第2電極との間に設けられる第2導電形の第2層と、前記第2層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2絶縁膜に接する前記第1導電形の第3層と、を含み、
前記第2層は、前記第2絶縁膜を介して、前記制御電極に向き合う請求項1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体部は、前記第2層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2層の第2導電形不純物よりも高濃度の第2導電形不純物を含む前記第2導電形の第4層をさらに含み、
前記第2電極は、前記第3層および前記第4層に接し、且つ、電気的に接続される第1コンタクト部を有する請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2電極は、前記第3絶縁膜中に延在し、前記第3電極に接続される第2コンタクト部を有し、前記第2コンタクト部を介して、前記第3電極に電気的に接続される請求項1乃至7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、信頼性の向上が求められる。例えば、トレンチゲート型MOSFETにおいて、ゲートトレンチの内部にフィールドプレートを配置した構造を有するものがある。このような半導体装置では、フィールドプレートからゲート電極を電気的に絶縁する絶縁膜の絶縁耐圧を高くすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-150185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、トレンチゲート構造の信頼性を向上させた半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、半導体部と、第1乃至第3電極と、制御電極と、第1乃至第3絶縁膜と、を備える。前記第1電極は、前記半導体部の裏面上、前記第2電極は、前記半導体部の前記裏面とは反対側の表面の上に設けられる。前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる。前記半導体部は、前記表面に開口を有するトレンチを有し、前記第3電極は、前記トレンチの内部において、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に延在する。前記制御電極は、前記トレンチの内部において、前記トレンチの前記開口側に設けられ、前記半導体部の前記裏面に平行な第2方向に並ぶ第1制御部と第2制御部とを有する。前記第3電極は、前記制御電極の前記第1制御部と前記第2制御部との間に延伸する端部を有する。前記第1絶縁膜は、前記半導体部と前記第3電極との間に設けられ、前記第3電極を前記半導体部から電気的に絶縁する。前記第2絶縁膜は、前記半導体部と前記制御電極との間に設けられ、前記制御電極を前記半導体部から電気的に絶縁する。前記第3絶縁膜は、前記第3電極の前記端部を覆い、前記第3電極を前記制御電極から電気的に絶縁する。前記制御電極は、前記第1絶縁膜と前記第2電極との間に位置し、前記第1絶縁膜は、前記第3電極の端部と前記制御電極との間に延びる延伸部を有する。前記第3絶縁膜は、前記第1絶縁膜の前記延伸部と前記第3電極の前記端部との間に延在する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図3図2に続く製造過程を示す模式断面図である。
図4図3に続く製造過程を示す模式断面図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
図6】実施形態に係る半導体装置を示す別の模式断面図である。
図7】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、例えば、パワーMOSFETである。半導体装置1は、例えば、半導体部10と、ドレイン電極20と、ソース電極30と、フィールドプレート電極(以下、FP電極40)と、ゲート電極50と、を備える。
【0010】
半導体部10は、例えば、シリコンである。半導体部10は、裏面10Bと、裏面10Bとは反対側の表面10Fを有する。ドレイン電極20(第1電極)は、半導体部10の裏面10B上に設けられる。ソース電極30(第2電極)は、半導体部10の表面10F上に設けられる。FP電極40は、ドレイン電極20とソース電極30との間において、半導体部10の内部に設けられる。
【0011】
半導体部10は、例えば、n形ドリフト層11と、p形ベース層13と、n形ソース層15と、p形コンタクト層17と、n形バッファ層19と、を含む。以下、第1導電形をn形、第2導電形をp形として説明する。
【0012】
n形ドリフト層11(第1層)は、ドレイン電極20とソース電極30との間に延在する。p形ベース層13(第2層)は、n形ドリフト層11とソース電極30との間に設けられる。p形ソース層15(第3層)は、p形ベース層13とソース電極30との間に設けられる。
【0013】
半導体部10は、ゲートトレンチGTを有する。ゲートトレンチGTは、半導体部10の表面10Fに開口を有する(図2(a)参照)。ゲートトレンチGTは、半導体部10の表面10Fからn形ドリフト層11中に至る深さを有する。FP電極40およびゲート電極50は、ゲートトレンチGTの内部に設けられる。
【0014】
FP電極40(第3電極)は、ゲートトレンチGTの内部において、ドレイン電極20からソース電極30に向かう第1方向、例えば、Z方向に延在する。FP電極40は、フィールドプレート絶縁膜43(第1絶縁膜)により半導体部10から電気的に絶縁される。フィールドプレート絶縁膜43(以下、FP絶縁膜43)は、半導体部10とFP電極40との間に設けられる。FP電極40は、FP絶縁膜43を介して、n形ドリフト層11に向き合うように設けられる。
【0015】
ゲート電極50(制御電極)は、ゲートトレンチGTの開口側に設けられる。ゲート電極50は、ゲート絶縁膜53(第2絶縁膜)により半導体部10から電気的に絶縁される。ゲート絶縁膜53は、半導体部10とゲート電極50との間に設けられる。ゲート電極50は、ゲート絶縁膜53を介して、p形ベース層13に向き合う。また、n形ソース層15は、p形ベース層13とソース電極30との間において、ゲート絶縁膜53に接するように設けられる。
【0016】
さらに、ゲート電極50は、第1制御部50aと、第2制御部50bと、を含む。第1制御部50aおよび第2制御部50bは、半導体部10の裏面10Bに平行な第2方向、例えば、X方向に並ぶ。第1制御部50aおよび第2制御部50bは、例えば、図示しない部分で接続され、同電位になるようにバイアスされる。
【0017】
図1に示すように、FP電極40は、ゲート電極50の第1制御部50aと第2制御部50bとの間に延在する端部40eを有する。FP電極40の端部40eは、電極間絶縁膜45(第3絶縁膜)によりゲート電極50から電気的に絶縁される。電極間絶縁膜45は、FP電極40の端部40eを覆う。
【0018】
ゲート電極50は、FP絶縁膜43とソース電極30との間に位置する。FP絶縁膜43は、FP電極40の端部40eとゲート電極50との間に延びる延伸部43eを含む。電極間絶縁膜45は、FP電極40の端部40eとFP絶縁膜43の延伸部43eとの間に延在するように設けられる。
【0019】
すなわち、FP電極40の端部40eと、ゲート電極50の第1制御部50aおよび第2制御部50bのそれぞれとの間に、FP絶縁膜43の延伸部43eおよび電極間絶縁膜45が介在する。FP電極40は、端部40eからゲート電極50に向かう方向に並ぶ2層の絶縁膜によりゲート電極50から電気的に絶縁される。これにより、FP電極40とゲート電極50との間の絶縁耐圧を高くすることができる。
【0020】
FP電極50およびゲート電極50の上方には、層間絶縁膜55(第4絶縁膜)が設けられる。層間絶縁膜55は、半導体部10とソース電極30との間、FP電極40とソース電極30との間、および、ゲート電極50とソース電極30との間に設けられる。層間絶縁膜55は、ソース電極30からゲート電極50を電気的に絶縁する。
【0021】
ソース電極30は、層間絶縁膜55を貫いて半導体部10に接続されるコンタクト部30cを有する。コンタクト部30cは、層間絶縁膜55に設けられるコンタクトホール中に延びる。
【0022】
ソース電極30のコンタクト部30cは、n形ソース層15およびp形コンタクト層17に接し、且つ、電気的に接続される。p形コンタクト層17は、p形ベース層13とコンタクト部30cとの間に設けられる。p形コンタクト層17は、p形ベース層13中のp形不純物の濃度よりも高濃度のp形不純物を含む。p形ベース層13は、p形コンタクト層17を介して、ソース電極30に電気的に接続される。
【0023】
n形バッファ層19は、n形ドリフト層11とドレイン電極20との間に設けられる。n形バッファ層19は、n形ドリフト層11中のn形不純物の濃度よりも高濃度のn形不純物を含む。ドレイン電極20は、n形バッファ層19を介して、n形ドリフト層に電気的に接続される。
【0024】
次に、図2(a)~図5(c)参照して、半導体装置1の製造方法を説明する。図2(a)~図5(c)は、実施形態に係る半導体装置1の製造過程を示す模式断面図である。
【0025】
半導体装置1には、例えば、シリコンウェーハ100を用いる。シリコンウェーハ100は、n形シリコン基板101と、n形シリコン層103と、を含む。n形シリコン層103は、例えば、n形シリコン基板101上にエピタキシャル成長される。n形シリコン層103は、n形シリコン基板101中のn形不純物の濃度よりも低濃度のn形不純物を含む。
【0026】
図2(a)に示すように、ゲートトレンチGTをn形シリコン層103中に形成する。ゲートトレンチGTは、n形シリコン層103の表面103Fに開口を有する。ゲートトレンチGTは、例えば、異方性RIE(Reactive Ion Etching)を用いて形成される。
【0027】
図2(b)に示すように、n形シリコン層103上に、FP絶縁膜43を形成する。FP絶縁膜43は、ゲートトレンチGTの内面を覆うように形成される。FP絶縁膜43は、ゲートトレンチGTの内部にスペースSP1を残すように形成される。
【0028】
FP絶縁膜43は、例えば、n形シリコン層103を熱酸化した後、CVD(Chemical Vapor Deposition)を用いて形成される。FP絶縁膜43は、例えば、シリコン酸化膜である。FP絶縁膜43は、例えば、シリコンの熱酸化膜と、CVDによる堆積膜と、を含む。
【0029】
図2(c)に示すように、FP絶縁膜43上に、導電膜105を形成する。導電膜105は、ゲートトレンチGT内のスペースSP1を埋め込むように形成される。導電膜105は、例えば、導電性のポリシリコン膜である。導電膜105は、例えば、CVDを用いて形成される。
【0030】
図3(a)に示すように、導電膜105を部分的に除去することにより、ゲートトレンチGT内にFP電極40を形成する。導電膜105は、例えば、等方性のドライエッチングにより、ゲートトレンチGT内に埋め込まれた部分を残して除去される。
【0031】
図3(b)に示すように、FP絶縁膜43を部分的に除去し、n形シリコン層103の表面103F側を平坦化する。FP絶縁膜43は、例えば、等方性のドライエッチングを用いて除去される。
【0032】
図3(c)に示すように、FP絶縁膜43を部分的に除去することにより、ゲートスペースGSを形成する。FP絶縁膜43は、例えば、図示しないエッチングマスクを用いたドライエッチングにより除去される。ゲートスペースGSは、ゲートトレンチGTの内壁の上部が露出するように形成される。ゲートスペースGSは、FP電極40の端部40eの両側に形成される。ゲートスペースGSとFP電極40の端部40eとの間には、FP絶縁膜43の延伸部43eが残される。
【0033】
図4(a)に示すように、電極間絶縁膜45およびゲート絶縁膜53を形成する。電極間絶縁膜45およびゲート絶縁膜53は、例えば、熱酸化により形成される。ゲート絶縁膜53は、n形シリコン層103の露出された表面を酸化することにより形成される。電極間絶縁膜45は、FP電極40の端部40eを熱酸化することにより形成される。この際、FP電極40の露出された上端に加えて、端部40eの側面も酸化される。FP電極40の端部40eは、FP絶縁膜43の延伸部43eを通り抜けた酸素により酸化される。言い換えれば、FP絶縁膜43の延伸部43eは、FP電極40の端部40eを酸化できる厚さに設けられる。これにより、電極間絶縁膜45は、FP電極40の端部40eを覆い、端部40eとFP絶縁膜43の延伸部43eとの間に延在するように設けられる。
【0034】
電極間絶縁膜45およびゲート絶縁膜53は、例えば、シリコン酸化膜である。電極間絶縁膜45は、例えば、FP絶縁膜43の延伸部43eとは異なる膜密度を有する。言い換えれば、電極間絶縁膜45中における酸素と結合していないシリコン原子の未結合手は、FP絶縁膜43中のシリコン原子の未結合手よりも少ない。このため、断面TEM像もしくはSEM像において、電極間絶縁膜45の輝度は、FP絶縁膜43の延伸部43eの輝度とは異なる。
【0035】
図4(b)に示すように、n形シリコン層103の表面103F側に、導電膜107を形成する。導電膜107は、ゲートスペースGSを埋め込むように設けられる。導電膜105は、例えば、導電性を有するポリシリコンである。導電膜107は、例えば、CVDを用いて形成される。
【0036】
図4(c)に示すように、ゲートスペースGSを埋め込んだ部分を残して、導電膜107を除去する。これにより、ゲート電極50の第1制御部50aおよび第2制御部50bが形成される。FP電極40の端部40eは、第1制御部50aおよび第2制御部50bの間に位置する。
【0037】
図5(a)に示すように、n形シリコン層103上に、p形ベース層13およびn形ソース層15を形成する。n形ソース層15は、p形ベース層13上に形成される。p形ベース層13は、n形シリコン層103にp形不純物、例えば、ボロン(B)をイオン注入し、熱処理することにより形成される。イオン注入されたp形不純物は、熱処理により活性化され、n形シリコン層103中に拡散する。n形ソース層15は、p形ベース層13にn形不純物、例えば、砒素(As)をイオン注入し、熱処理により活性化させることにより形成される。n形不純物は、p形ベース層13中に拡散しないように熱処理される。
【0038】
図5(b)に示すように、層間絶縁膜55をn形シリコン層103の表面103F側に形成する。層間絶縁膜55は、FP電極40およびゲート電極50を覆うように形成される。層間絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜である。層間絶縁膜55は、例えば、CVDを用いて形成される。
【0039】
続いて、n形ソース層15の上方に、コンタクトトレンチCTを形成する。コンタクトトレンチCTは、層間絶縁膜55の表面から半導体部10に至る深さを有する。コンタクトトレンチCTは、例えば、n形ソース層15を貫いて、p形ベース層13に至る深さに形成される。
【0040】
図5(c)に示すように、p形ベース層13上にp形コンタクト層17を形成した後、ソース電極30を層間絶縁膜55上に形成する。p形コンタクト層17は、コンタクトトレンチCTを介して、p形不純物、例えば、ボロン(B)を半導体部10に注入し、熱処理により活性化させることにより形成される。ソース電極30は、コンタクトトレンチCT内に延在し、n形ソース層15およびp形コンタクト層17に接するコンタクト部30cを有する。
【0041】
ソース電極30は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)などを含む。ソース電極30は、例えば、コンタクトトレンチCTを埋め込むように形成されるタングステン膜と、タングステン膜上に形成されるアルミニウム膜と、を含む。タングステン膜は、例えば、CVDを用いて形成される。アルミニウム膜は、例えば、スパッタ法を用いて形成される。
【0042】
続いて、n形シリコン基板101の裏面側を研削もしくはエッチングすることにより薄層化する。これにより、n形シリコン基板101を薄層化したn形バッファ層19が形成される。n形シリコン層103は、n形ドリフト層11となる。さらに、n形バッファ層19の裏面側にドレイン電極20を形成することにより、半導体装置1を完成させる。ドレイン電極20は、例えば、スパッタ法を用いて形成され、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)などを含む。
【0043】
上記の製造方法は例示であって、実施形態はこれに限定される訳ではない。例えば、FP絶縁膜43および電極間絶縁膜45は、シリコン酸化膜以外の絶縁膜であってもよい。また、FP絶縁膜43は、電極間絶縁膜45とは異なる組成を有する絶縁膜であっても良い。
【0044】
図6は、実施形態に係る半導体装置1を示す別の模式断面図である。
図6に示すように、ソース電極30は、例えば、コンタクト部30dをさらに有する。コンタクト部30dは、例えば、電極間絶縁膜45および層間絶縁膜55に設けられるコンタクトホール中に形成され、ソース電極30に接続される。FP電極40は、コンタクト部30dを介して、ソース電極30に電気的に接続される。これにより、FP電極40は、ソース電極30と同電位となる。
【0045】
図7は、実施形態の変形例に係る半導体装置2を示す模式断面図である。この例でも、FP電極40は、ゲート電極50の第1制御部50aと第2制御部50bとの間に延びる端部40eを有する。また、FP電極40は、図示しない部分において、ソース電極30に電気的に接続される。
【0046】
FP絶縁膜43は、FP電極40の端部40eとゲート電極50との間に延びる延伸部43eを含む。延伸部43eは、例えば、Z方向の先端におけるX方向の第1膜厚と、ゲート電極50のFP絶縁膜43に接する下端とFP電極40との間におけるX方向の第2膜厚と、を有し、第1膜厚が第2膜厚よりも薄くなるように設けられる。
【0047】
また、ゲート電極50における層間絶縁膜55に向き合う上端は、電極間絶縁膜45に接する。電極間絶縁膜45において、ゲート電極50に接する部分のX方向の膜厚(第3膜厚)は、FP絶縁膜43の延伸部43eを介してゲート電極50の下端に向き合う部分のX方向の膜厚(第4膜厚)よりも厚い。
【0048】
この例でも、FP電極40の端部40eとゲート電極50との間に、FP絶縁膜43の延伸部43eおよび電極間絶縁膜45を含む2層構造の絶縁膜を設けることにより、FP電極40とゲート電極50との間の絶縁耐圧を高くすることができる。これにより、トレンチゲート電極の信頼性を向上させることができる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1、2…半導体装置、 10…半導体部、 10B…裏面、 10F、103F…表面、 11…n形ドリフト層、 13…p形ベース層、 15…n形ソース層、 17…p形コンタクト層、 19…n形バッファ層、 20…ドレイン電極、 30…ソース電極、 30c、30d…コンタクト部、 40…フィールドプレート(FP)電極、 40e…端部、 43…フィールドプレート(FP)絶縁膜、 43e…延伸部、 45…電極間絶縁膜、 50…ゲート電極、 50a…第1制御部、 50b…第2制御部、 53…ゲート絶縁膜、 55…層間絶縁膜、 100…シリコンウェーハ、 101…n形シリコン基板、 103…n形シリコン層、 105、107…導電膜、 CT…コンタクトトレンチ、 GS…ゲートスペース、 GT…ゲートトレンチ、 SP1…スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7