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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132725
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】衛生用品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A61F13/511 300
A61F13/511 200
A61F13/511 400
A61F13/511 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038219
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葭葉 恵
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA02
3B200BB20
3B200BB24
3B200CA11
3B200DC01
3B200DC02
3B200DC04
3B200DC07
(57)【要約】
【課題】着用者の肌に接触する接触面に肌ケア用の薬液を定着させ、薬液の肌ケア効果を向上させることができる衛生用品を提供すること。
【解決手段】着用者が装着する衛生用品1であって、着用者の肌Sに接触する接触面10aを有する第1シート11を備え、第1シート11は、親水性樹脂を含有する第1繊維と、繊維表面に表面積増大構造を有する第2繊維と、の少なくとも一方を含み、接触面10aに肌ケア用の薬液40が塗布されている構成とした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者が装着する衛生用品であって、
前記着用者の肌に接触する接触面を有するシート材を備え、
前記シート材は、親水性樹脂を含有する第1繊維と、繊維表面に表面積増大構造を有する第2繊維と、の少なくとも一方を含み、前記接触面に肌ケア用の薬液が塗布されている
ことを特徴とする衛生用品。
【請求項2】
請求項1に記載された衛生用品において、
前記第1繊維及び前記第2繊維は、単糸繊度が2dtex以下に設定されている
ことを特徴とする衛生用品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された衛生用品において、
前記シート材は、前記接触面の反対側に位置する非接触面に第2のシート材が積層され、
前記第2のシート材は、前記第1繊維と、前記第2繊維と、の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする衛生用品。
【請求項4】
請求項3に記載された衛生用品において、
前記シート材は、熱エンボス加工により前記第2のシート材に圧着され、
前記熱エンボス加工の圧着パターンは、平面視で直径の長さが1mm以上5mm以下の円形形状、又は、平面視で各辺の長さが1mm以上5mm以下の矩形形状を呈し、
隣接する前記圧着パターン同士の間隔は、5mm以下に設定されている
ことを特徴とする衛生用品。
【請求項5】
請求項3に記載された衛生用品において、
前記シート材は、前記シート材と前記第2のシート材との間に均一に塗布された接着剤を介して前記第2のシート材に接着されている
ことを特徴とする衛生用品。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された衛生用品において、
前記シート材を有すると共に前記着用者に対向する表面材と、前記表面材の非肌側に配置されて前記着用者の体液を吸収する吸収部材と、を備え、
前記表面材は、前記表面材と前記吸収部材との間に均一に塗布された接着剤を介して前記吸収部材に接着されている
ことを特徴とする衛生用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、着用者の肌に接触する接触面に肌ケア用の薬液が塗布された衛生用品が知られている(例えば、特許文献1から特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-255164号公報
【特許文献2】特開2015-171649号公報
【特許文献3】特開2021-84906号公報
【特許文献4】特開2021-186662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の衛生用品では、接触面に薬液を塗布した際、繊維の隙間を薬液が通過してしまい、接触面に薬液を定着させることが難しかった。そのため、薬液による肌ケア効果が低減するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、着用者の肌に接触する接触面に肌ケア用の薬液を定着させ、薬液の肌ケア効果を向上させることができる衛生用品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、着用者が装着する衛生用品であって、前記着用者の肌に接触する接触面を有するシート材を備え、前記シート材は、親水性樹脂を含有する第1繊維と、繊維表面に表面積増大構造を有する第2繊維と、の少なくとも一方を含み、前記接触面に肌ケア用の薬液が塗布されている構成とした。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明の衛生用品は、着用者の肌に接触する接触面に肌ケア用の薬液を定着させ、薬液の肌ケア効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の衛生用品を示す斜視図である。
図2】実施例1の衛生用品の断面を模式的に示した説明図である。
図3】(a)は異形断面繊維の第1例を示す説明図であり、(b)は異形断面繊維の第2例を示す説明図である。
図4】捲縮繊維の一例を示す説明図である。
図5】熱収縮性繊維の一例を示す説明図である。
図6】各種繊維の繊維表面を示す説明図である。
図7】実施例1の衛生用品における熱エンボスの圧着パターンを示す模式図である。
図8】実施例1の衛生用品における接着剤の塗布パターンの第1例を示す模式図である。
図9】実施例1の衛生用品における接着剤の塗布パターンの第2例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の衛生用品を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。なお、本発明の衛生用品は、例えば生理用ナプキンやおりものシート、失禁パッド、医療用パッド、使い捨ておむつ等の着用者の体液を吸収可能な吸収性物品に適用される。また、本発明の衛生用品は、着用者の鼻及び口を覆い、飛沫を遮るためのマスクに適用されてもよい。実施例1では、下着に装着されて体液(経血やおりもの)の吸収に使用される生理用ナプキンに適用された衛生用品1について説明する。
【0010】
実施例1の衛生用品1は、図1に示すように、表面シート10(表面材)と、吸収部材20と、裏面シート30と、を備えている。
【0011】
表面シート10は、体液を速やかに透過させる液体透過性を有する薄膜部材である。表面シート10は、衛生用品1の使用時に着用者の肌Sに接触する接触面10aを有している。
【0012】
吸収部材20は、表面シート10と裏面シート30の間に配置され、表面シート10を透過した体液を吸収する。吸収部材20は、綿状パルプ、吸収紙、高吸水性ポリマー等を積層して形成されている。なお、高吸水性ポリマーは、自重の50~100倍の液体を速やかに吸収し、吸収した液体をゲル化して保持する機能を有する。
【0013】
裏面シート30は、体液の漏れを規制する液体不透過性を有する薄膜部材である。裏面シート30は、吸収部材20が積層されて、吸収部材20の裏側を覆い、衛生用品1の使用時に下着Pに接触する。また、裏面シート30は、ホットメルト等の接着剤や、ヒートシール等の接着手段によって周縁部が表面シート10の周縁部に接合されている。さらに、下着Pに接触する裏面シート30の外側面30aには、衛生用品1を下着Pに固定するためのズレ止め粘着剤(不図示)が設けられている。
【0014】
そして、実施例1の表面シート10は、図2に示すように、第1シート11(シート材)と、第1シート11に重なった第2シート12(第2のシート材)と、から構成されており、いわゆる二層構造になっている。
【0015】
第1シート11は、表面シート10のおもて側(肌S側)に配置され、肌Sに接触する接触面10aを有している。接触面10aには、肌ケア用の薬液40(図2参照)が塗布され、接触面10aは表面に薬液層が形成されている。ここで、薬液40は、接触面10aのほぼ全面に、均等に塗布されている。
【0016】
なお、薬液40は、例えばグリセリンやヒアルロン酸、シアバター等の成分を含んでいる。また、薬液40が有する肌ケア効果は、例えば肌Sの保湿や、衛生用品1と肌Sとの間に生じる摩擦の低減、肌Sの持つバリア機能の向上等である。そして、薬液40は、例えばスプレー塗布による非接触塗布法や、印刷(転写)による接触塗布法によって、第1シート11の接触面10aに塗布される。
【0017】
第2シート12は、接触面10aの反対側に位置する第1シート11の非接触面10bに積層されている。つまり、第2シート12は、表面シート10の裏側(吸収部材20側)に配置されている。
【0018】
そして、第1シート11及び第2シート12は、それぞれ親水性樹脂を含有する第1繊維と、繊維表面に表面積増大構造を有する第2繊維と、の少なくとも一方を含む不織布によって形成されている。
【0019】
ここで、第1繊維は、疎水性合成繊維の内部に親水性樹脂を練り込むことで形成される。第1繊維は、親水性樹脂を含有していることで空気中の水分を吸収し、疎水性合成繊維の表面に水の膜を形成する。また、第1繊維は、親水性樹脂によって形成された水の膜で電気を拡散させ、静電気の発生を低減することが可能である。なお、親水性樹脂は、疎水性合成繊維の表面に吹き付けや塗布等によって付着されることで第1繊維に含有されてもよい。
【0020】
また、第2繊維が有する「表面積増大構造」は、繊維表面が平滑で断面輪郭形状が円形の繊維と比べて表面積を増大させる(大きくする)構造であり、例えば、繊維表面に形成された凹凸やうねり、縮れ、鱗状のスケール等である。第2繊維は、表面積増大構造を有することで、断面輪郭形状が凹凸に形成される。また、第2繊維には、具体的に、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮性繊維、天然繊維等を用いることができる。異形断面繊維は、図3(a)及び(b)に示されるように、断面が円形ではない特殊な形状(三角形、星形、Y字形、中空、花形等)に形成された合成繊維である。捲縮繊維は、図4に示されるように、繊維が直線状ではなく、縮れて変形している繊維である。捲縮繊維は、ウール(毛)のような捲縮が発現している天然繊維であってもよいし、仮撚加工(ウーリー加工)によって捲縮性が付加された合成繊維であってもよい。熱収縮性繊維は、図5に示されるように、繊維が直線状ではなく、加熱加工によって収縮した合成繊維である。天然繊維は、主原料が天然素材の繊維であり、「植物繊維」と「動物繊維」に大別される。「植物繊維」は、例えば亜麻(図6に示された試料1)、木綿(試料2)等である。「動物繊維」は、例えば絹(図6に示された試料3)、羊毛(リンカーン種:試料4、メリノ種:試料5)である。試料1~試料5のような繊維は、図6に示された試料6(ポリエステル)のような一般的な合成繊維と比べて、繊維表面に凹凸やうねり、縮れ、鱗状のスケールを有しており、表面積増大構造を有する第2繊維となる。なお、第2繊維は、例えば異型捲縮繊維のような異形断面繊維の特徴と捲縮繊維の特徴を両方とも有する繊維であってもよい。
【0021】
さらに、第1シート11及び第2シート12に含まれる第1繊維及び第2繊維は、いずれも単糸繊度が2dtex(デシテックス)以下に設定されている。単糸繊度が2dtex以下であることから、第1繊維及び第2繊維は、単糸繊度が3.33dtex(3デニール)程度の一般的な衣料用繊維と比べると細繊維になっている。
【0022】
そして、第1シート11及び第2シート12は、サーマルボンド、スパンボンド、メルトブロー等によって形成されることが好ましい。また、第1シート11及び第2シート12の単位面積あたりの重さは、10~40gsm程度であることが好ましい。さらに、第1シート11と第2シート12は、同じ材質によって形成されてもよいし、異なる材質によって形成されてもよい。
【0023】
また、実施例1の第1シート11は、熱エンボス加工により第2シート12に圧着され、第1シート11と第2シート12とは接合されている。実施例1では、第1シート11の全面に均等に熱エンボス加工が施されており、熱エンボス加工による圧着パターン41は、第1シート11の全面に形成されている。なお、「圧着パターン」とは、熱エンボス加工による熱と圧力で繊維が圧縮されてへこんだ領域である。
【0024】
そして、圧着パターン41は、図7に示されたように、平面視で直径rの長さが1mm以上5mm以下の円形形状を呈している。また、隣接する圧着パターン41同士の間隔Wは5mm以下に設定されている。
【0025】
さらに、実施例1の表面シート10は、図2に示されたように、表面シート10と吸収部材20との間に均一に塗布された接着剤42を介して、吸収部材20に接着されている。ここで、接着剤42は、単一の微小な吐出口から線状(繊維状)に吐出され、又は、図8に模式的に示されたように、一定方向に並んだ複数の微小な吐出口から同時にそれぞれ線状(全体として所定幅のカーテン状)に吐出されるカーテンスプレー法によって塗布される。カーテンスプレー法による接着剤42の塗布パターンTは、図8において拡大して示されたように、平面視でランダムに配向した繊維状を呈する。
【0026】
なお、接着剤42は、例えば図9に模式的に示されたように、一定方向に細長く形成された吐出口から吐出されて、接着剤42を所定幅の帯状に塗布するスロットコート法によって塗布されてもよい。スロットコート法では、ロールR上で接着剤42を塗布する方法(図9参照)と、ロール間のテンションで接着剤42を塗布する方法(不図示)がある。いずれの方法であっても、図9において拡大して示されたように、接着剤42を連続的或いは間欠的に塗布することが可能である。
【0027】
次に、実施例1の衛生用品1の作用効果を説明する。
【0028】
実施例1の衛生用品1は、着用時に着用者に対向する表面シート10が、着用者の肌Sに接触する接触面10aを有する第1シート11を備えている。そして、第1シート11の接触面10aには、肌ケア用の薬液40が塗布されている。さらに、第1シート11は、親水性樹脂を含有する第1繊維と、繊維表面に表面積増大構造を有する第2繊維と、の少なくとも一方を含む不織布によって形成されている。
【0029】
ここで、第1繊維は、含有している親水性樹脂によって繊維表面に水の膜を形成することができる。このため、第1シート11が第1繊維を含む場合、当該第1シート11は、第1繊維によって、薬液40に含まれる水分の膜を接触面10aに形成し、接触面10aに薬液40を定着させることができる。これにより、実施例1の衛生用品1は、薬液40の肌ケア効果を向上させることができ、衛生用品1を装着した際の肌ストレスを軽減することができる。
【0030】
また、第2繊維は、繊維表面に表面積増大構造を有している。このため、第1シート11が第2繊維を含む場合、当該第1シート11は、例えば一般的な合成繊維のような繊維表面が平滑な繊維によって形成されたシート材よりも、薬液40が塗布される面積を増大させることができる。これにより、第1シート11は、塗布される薬液量を増加させ、接触面10aに定着する薬液40の量を増やすことができる。また、薬液40は、表面積増大構造に絡みやすく、第2繊維は、繊維表面が平滑な繊維よりも薬液40の保持性能が高い。この結果、第2繊維を含む第1シート11は、接触面10aに薬液40を定着させることができる。よって、実施例1の衛生用品1は、第1シート11が第2繊維を含む場合であっても、薬液40の肌ケア効果を向上させることができる。
【0031】
また、実施例1の衛生用品1では、第1シート11に含まれる第1繊維及び第2繊維の単糸繊度が、2dtex以下に設定されている。このため、実施例1の衛生用品1は、第1シート11の繊維構成の密度を高めることができる。これにより、薬液40は第1シート11を通過しにくくなり、衛生用品1は、接触面10aに薬液40を留めておくことができる。
【0032】
そして、実施例1の衛生用品1では、第1シート11の非接触面10bに第2シート12が積層され、表面シート10が二層構造となっている。そして、第2シート12は、親水性樹脂を含有する第1繊維と、繊維表面に表面積増大構造を有する第2繊維と、の少なくとも一方を含む不織布によって形成されている。これにより、衛生用品1は、第1シート11と第2シート12の両方で薬液40の通過を抑制することができ、接触面10aの薬液40の定着性能を向上させることができる。
【0033】
なお、実施例1の衛生用品1では、第2シート12に含まれる第1繊維及び第2繊維の単糸繊度も2dtex以下に設定されている。これにより、実施例1の衛生用品1は、第2シート12の繊維構成の密度も高めることができ、薬液40が第2シート12を通過しにくくできる。このため、実施例1の衛生用品1は、接触面10aの薬液40の定着性能をさらに向上させることができる。
【0034】
また、実施例1の衛生用品1では、第1シート11が、熱エンボス加工によって第2シート12に圧着されている。ここで、熱エンボス加工によって形成される圧着パターン41では、表面シート10が溶融すると共に接触面10aにへこみが生じる。そのため、接触面10aに塗布された薬液40は、圧着パターン41の内部(接触面10aのへこみ)に溜まりやすい。
【0035】
これに対し、実施例1の圧着パターン41は、平面視で直径rが1mm以上5mm以下の円形形状を呈している。さらに、隣接する圧着パターン41同士の間隔Wは、5mm以下に設定されている。そのため、衛生用品1は、比較的細かい圧着パターン41を接触面10aに多く形成することができ、圧着パターン41内に大量の薬液40を溜めることで、接触面10aの薬液40の定着性能を向上させることができる。
【0036】
さらに、実施例1の衛生用品1は、第1シート11を有すると共に着用者に対向する表面シート10と、表面シート10の非肌側に配置されて着用者の体液を吸収する吸収部材20と、を備えている。そして、表面シート10は、表面シート10と吸収部材20との間に均一に塗布された接着剤42を介して、吸収部材20に接着されている。
【0037】
これにより、衛生用品1では、接着剤42によって薬液40が表面シート10を通過することを抑制し、接触面10aに薬液40を定着させることができる。このため、衛生用品1は、表面シート10の薬液40の定着性能を向上させることができる。
【0038】
以上、本発明の衛生用品1を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0039】
実施例1の衛生用品1では、第1シート11を第2シート12に圧着する圧着パターン41が、平面視で円形形状を呈する例が示された。しかしながら、圧着パターン41の形状は、円形形状に限らない。圧着パターン41は、例えば、平面視で矩形形状とし、各辺の長さが1mm以上5mm以下に設定してもよい。すなわち、圧着パターン41は、平面視で各辺の長さが1mm以上5mm以下の矩形形状を呈していてもよい。この場合であっても、衛生用品1は、圧着パターン41内に大量の薬液40を溜めることで、接触面10aの薬液40の定着性能を向上させることができる。
【0040】
さらに、衛生用品1では、平面視で円形形状の圧着パターン41と矩形形状の圧着パターン41とが混在してもよい。この場合においても、直径rや各辺の長さを1mm以上5mm以下に設定し、隣接する圧着パターン41同士の間隔Wが5mm以下に設定することで、圧着パターン41に大量の薬液40を溜めて、薬液40の定着性能を高めることができる。
【0041】
実施例1の衛生用品1では、表面シート10を構成する第1シート11が、熱エンボス加工によって第2シート12に圧着された例が示された。しかしながら、第1シート11は、第1シート11と第2シート12の間に均一に塗布された接着剤を介して、第2シート12に接着されてもよい。この場合では、第1シート11と第2シート12の間に塗布された接着剤で、接触面10aに塗布された薬液40の通過を抑制することができ、表面シート10の薬液40の定着性能を向上させることができる。
【0042】
また、実施例1の衛生用品1では、表面シート10が第1シート11と第2シート12から構成された二層構造である例が示された。しかしながら、表面シート10の構成はこれに限らない。表面シート10は、少なくとも着用者の肌Sに接触する接触面10aを有する第1シート11を備えていればよく、一層構造であってもよい。また、表面シート10は、第2シート12にさらにシート材を積層した三層以上の構造であってもよい。つまり、第2シート12は、設けられなくてもよいし、複数のシート材であってもよい。
【0043】
また、実施例1の衛生用品1は、着用者の体液を吸収可能な吸収部材20を表面シート10で覆った生理用ナプキン(吸収性物品)に適用された例が示された。しかしながら、衛生用品1は、マスクのような吸収部材20を有さないものであってもよい。
【0044】
また、実施例1の衛生用品1では、着用者の肌Sに接触する接触面10aのほぼ全面に、均等に薬液40が塗布された例が示された。しかしながら、薬液40は、接触面10aの任意の一部分に塗布されてもよいし、部分的に塗布量が異なっていてもよい。また、接触面10aには種類が異なる複数の薬液40が塗布されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 衛生用品
10 表面シート(表面材)
10a 接触面
10b 非接触面
11 第1シート(シート材)
12 第2シート(第2のシート材)
20 吸収部材
30 裏面シート
40 薬液
41 圧着パターン
42 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9