(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132735
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20230914BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20230914BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
G06F1/16 312J
F16C11/04 F
H05K5/02 V
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038241
(22)【出願日】2022-03-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】堀内 茂浩
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大輔
【テーマコード(参考)】
3J105
4E360
【Fターム(参考)】
3J105AA02
3J105AA05
3J105AB02
3J105AB24
3J105AB50
3J105AC07
4E360AA02
4E360AB17
4E360BB02
4E360BB12
4E360EA14
4E360EC11
4E360ED06
4E360GB26
4E360GC04
(57)【要約】
【課題】折り曲げ可能な領域を有するディスプレイでのしわの発生を抑制する。
【解決手段】電子機器は、第1筐体部材と、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、可撓性を有するシート状に形成されたディスプレイと、前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの折曲領域に張力を付与する押圧部材と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1筐体部材と、
前記第1筐体部材と隣接し、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、
前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、
前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、
可撓性を有するシート状に形成され、前記第1プレートの表面に固定される第1領域と、前記第2プレートの表面に固定される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間で前記隙間を跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域と、を有するディスプレイと、
前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、
前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、
前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する押圧部材と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記押圧部材は、前記離間方向に沿う前記第1プレートの幅方向での中央よりも前記第2プレート側に寄った位置で、前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して押圧する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記第1プレートは、前記離間方向と直交する方向に延在し、前記隙間に面する縁部を有し、
前記押圧部材は、前記縁部に沿って複数設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部材は、第1受け部を有し、
前記第1プレートは、前記第1受け部と対向する第2受け部を有し、
前記押圧部材は、前記第1受け部と前記第2受け部との間で突っ張る弾性部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記押圧部材は、
前記第2受け部に固定されるベース部と、
前記ベース部から突出して前記第1受け部に押し付けられるばね部と、
を有する板ばねである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部材は、第1受け部を有し、
前記第1プレートは、前記第1受け部と対向する第2受け部を有し、
前記押圧部材は、前記第1受け部と前記第2受け部との間に前記離間方向の押圧力を付与するねじ又はカムである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記第1締結部は、前記離間方向での前記第1プレート及び前記第1筐体部材の相対位置を、所定の調整幅を持って固定可能であり、
前記第2締結部は、前記離間方向での前記第2プレート及び前記第2筐体部材の相対位置を、実質的に調整幅なしで固定するものである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器であって、
前記第1締結部は、
前記第1筐体部材に設けられ、前記離間方向に沿って延びた長孔と、
前記第1プレートに設けられたねじ穴と、
前記長孔を通して前記ねじ穴に螺合されるねじと、
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置をさらに備え、
前記第2姿勢において、前記ヒンジ装置は、前記第1プレートと前記第2プレートとの間の前記隙間を埋めるように配置され、前記ディスプレイの前記折曲領域を支持する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
互いに相対的に回動可能に連結される第1筐体部材及び第2筐体部材を備える電子機器の製造方法であって、
可撓性を有するシート状に形成されたディスプレイの第1領域を第1プレートの表面に固定し、第2領域を前記第1プレートとの間に隙間を設けて並べた第2プレートの表面に固定し、前記第1領域と前記第2領域との間で折り曲げ可能な折曲領域が前記隙間を跨いだ状態とする第1工程と、
前記第1工程の後、前記第2プレートを第2筐体部材に対して固定する第2工程と、
前記第2工程の後、前記第1プレートに押圧部材を取り付けることで、前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧し、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する第3工程と、
前記第3工程の後、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与した状態のままで、前記第1プレートを第1筐体部材に対して固定する第4工程と、
を有することを特徴とする電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の筐体部材を相対的に回動可能に連結した電子機器及び該電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイを用いることで、筐体だけでなくディスプレイまでも折り曲げ可能に構成した電子機器を提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブルディスプレイは、左右の筐体部材を跨ぐ位置に折曲領域を有する。この折曲領域は、他の部材に固定せずにフリーな状態にしておく必要がある。このため、ディスプレイの折曲領域は、平板状に開いた際に凸状のしわや波を生じ、視認性や外観品質を低下させる。
【0005】
そこで、上記特許文献1では、互いの隣接する縁部同士が突き合う2枚のプレートを略V字状に配置してディスプレイを固定することで、プレート間を平板状に戻した際に折曲領域に張力を付与可能な方法を提案している。但し、この方法は、折曲領域の張力を2枚のプレート同士の突き合いによって実現するものである。このため、この方法は、2枚のプレートの隣接する縁部同士を突き合わせず、例えば相互間に隙間を設け、ここにヒンジ装置等の他の部品を配置する構成に対して適用することができない。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、折り曲げ可能な領域を有するディスプレイでのしわの発生を抑制できる電子機器及び該電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、第1筐体部材と、前記第1筐体部材と隣接し、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、可撓性を有するシート状に形成され、前記第1プレートの表面に固定される第1領域と、前記第2プレートの表面に固定される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間で前記隙間を跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域と、を有するディスプレイと、前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する押圧部材と、を備える。
【0008】
本発明の第2態様に係る電子機器の製造方法は、互いに相対的に回動可能に連結される第1筐体部材及び第2筐体部材を備える電子機器の製造方法であって、可撓性を有するシート状に形成されたディスプレイの第1領域を第1プレートの表面に固定し、第2領域を前記第1プレートとの間に隙間を設けて並べた第2プレートの表面に固定し、前記第1領域と前記第2領域との間で折り曲げ可能な折曲領域が前記隙間を跨いだ状態とする第1工程と、前記第1工程の後、前記第2プレートを第2筐体部材に対して固定する第2工程と、前記第2工程の後、前記第1プレートに押圧部材を取り付けることで、前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧し、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する第3工程と、前記第3工程の後、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与した状態のままで、前記第1プレートを第1筐体部材に対して固定する第4工程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、折り曲げ可能な領域を有するディスプレイでのしわの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す電子機器の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す電子機器の内部構造を模式的に示す底面図である。
【
図5】
図5は、
図4中のV-V線に沿う模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す電子機器を0度姿勢とした状態を示す模式的な斜視断面図である。
【
図7】
図7は、
図4に示す第1筐体部材及び第1プレートの一部を拡大した斜視図である。
【
図8】
図8は、第1変形例に係る押圧部材を備える電子機器の要部を拡大した模式的な側面断面図である。
【
図9】
図9は、第2変形例に係る押圧部材を備える電子機器0の要部を拡大した模式的な側面断面図である。
【
図10A】
図10Aは、第3変形例に係る押圧部材を備える電子機器の要部を拡大した模式的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0013】
図1~
図3に示すように、電子機器10は、第1筐体12A及び第2筐体12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の電子機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCを例示する。電子機器10は、スマートフォン又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0014】
各筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。第1筐体12Aは、第1筐体部材17Aと、第1カバー部材18Aとを備える。第1筐体部材17Aは、第2筐体12Bと隣接する第1縁部17Aa以外の3辺に立壁を形成した矩形の枠状部材である。第1カバー部材18Aは、第1筐体部材17Aの裏面開口を閉じるプレート状部材である(
図5も参照)。同様に、第2筐体12Bは、第1筐体12Aと隣接する第2縁部17Ba以外の3辺に立壁を形成した第2筐体部材17Bと、第2筐体部材17Bの裏面開口を閉じる第2カバー部材18Bとを備える。筐体部材17A,17Bの表面開口は、ディスプレイ16で閉じられる。
【0015】
各部材17A,17B,18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属部材、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。
【0016】
ヒンジ装置14は、筐体12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、
図1に示す0度姿勢で形成される縁部17Aa,17Ba間の隙間を隠す背表紙としても機能する。ディスプレイ16は、筐体12A,12B間に亘って延在している。
【0017】
以下、電子機器10について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する縁部17Aa,17Baに沿う方向をY方向、筐体12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。X方向については、第2筐体12Bから第1筐体12Aに向かう方向をX1方向、その逆をX2方向と呼ぶこともある。また、筐体12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(
図1参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(
図2参照)と呼んで説明する。0度と180度の間の姿勢は適宜角度を刻んで呼ぶことができ、例えば筐体12A,12Bの互いの面方向が直交した状態が90度姿勢となる。これらの角度は説明の便宜上のものであり、実際の製品では角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じ得る。
【0018】
図4は、
図3に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す底面図である。
図4は、カバー部材18A,18Bを取り外した筐体12A,12Bを底面側から見た図である。
図5は、
図4中のV-V線に沿う模式的な断面図である。
図6は、
図5に示す電子機器10を0度姿勢とした状態を示す模式的な斜視断面図である。
【0019】
図1及び
図6に示す0度姿勢において、筐体12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれた状態となる。ディスプレイ16は、例えば有機ELで形成されたペーパー状のフレキシブルディスプレイである。0度姿勢時、ディスプレイ16は、
図2に示す第1筐体12A側の第1領域R1と第2筐体12B側の第2領域R2とが対向するように配置され、領域R1,R2間の境界領域である折曲領域R3が円弧状に折り曲げられた状態となる。
図2及び
図5に示す180度姿勢において、筐体12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ16は、領域R1,R2及び折曲領域R3がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す。
【0020】
ディスプレイ16は、第1領域R1が第1筐体12Aに対して相対的に固定され、第2領域R2が第2筐体12Bに対して相対的に固定される。具体的には、第1領域R1の裏面16aが第1プレート20Aを介して第1筐体12Aと固定され、第2領域R2の裏面16aが第2プレート20Bを介して第2筐体12Bと固定される。ディスプレイ16の折曲領域R3は、ヒンジ装置14を構成する第1サポートプレート22A、ヒンジ本体23、及び第2サポートプレート22Bで支持される。
【0021】
図3~
図6に示すように、プレート20A,20Bは、相互間にヒンジ装置14を挟んで左右に配置され、それぞれの表面20Aa,20Baでディスプレイ16の裏面16aを支持する。ディスプレイ16の裏面16aは、第1領域R1が第1プレート20Aの表面20Aaに固定され、第2領域R2が第2プレート20Bの表面20Baに固定される。領域R1,R2は、例えば両面テープ等の粘着材19を用いてプレート20A,20Bに固定される(
図5参照)。
【0022】
プレート20A,20Bは、ベースプレート24と、金属フレーム25とで構成されている。ベースプレート24は、例えば炭素繊維にエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂板である。金属フレーム25は、例えばマグネシウム合金等で形成され、ベースプレート24の裏面24aの外周縁部に固定されている。プレート20A,20Bは、炭素繊維強化樹脂板であるため、高い平面度の確保と、薄型化及び軽量化とが可能である。但し、炭素繊維強化樹脂板は、炭素繊維が外周端面(エッジ)から粉吹き状に脱落する懸念があり、また、形状加工やねじ加工等も難しい。そこで、プレート20A,20Bは、ベースプレート24の外周端面及び裏面24aの外縁部を囲むように金属フレーム25を接着剤等で固定している。
【0023】
第1プレート20Aは、第1筐体部材17Aに支持される。第2プレート20Bは、第2筐体部材17Bに支持される。
図5に示す180度姿勢時、プレート20A,20Bは、互いに対向する縁部20Ab,20Bb間に隙間Gを設けてX方向に並ぶ。ディスプレイ16の折曲領域R3は、この隙間Gを跨ぐように配置され、その裏面16aが隙間Gを埋めるように配置されるヒンジ装置14で支持される。
【0024】
第1プレート20Aの金属フレーム25には、複数のボス26が形成されている。各ボス26は、例えば円錐台形状を有し、内周面に雌ねじを形成したねじ穴26aが設けられている。各ボス26は、ベースプレート24の裏面24aから突出するように設けられ、第1プレート20Aの外周縁部に沿って並んでいる。
図5では、第2プレート20B側のボス26及びねじ穴26aの具体的な構造のみを例示しているが、第1プレート20A側のボス26及びねじ穴26aの構造は同一又は同様でよい。
【0025】
第1筐体部材17Aは、各ねじ穴26aとオーバーラップする位置にそれぞれX方向に延びた略楕円形状の長孔17Abを有する(
図4及び
図7参照)。各長孔17Abは、それぞれねじ27が挿通され、各ねじ穴26aに螺合される(
図7参照)。これにより第1プレート20Aが第1筐体部材17Aにねじ27を用いて締結固定される。つまりねじ穴26a、長孔17Ab、及びねじ27は、第1プレート20Aを第1筐体部材17Aに締結する第1締結部28Aを構成する。
【0026】
同様に、第2プレート20Bの金属フレーム25にもねじ穴26aを形成した複数のボス26が設けられている(
図5参照)。但し、第2筐体部材17Bは、第2プレート20Bの各ねじ穴26aとオーバーラップする位置にそれぞれ真円形状の孔部17Bbを有する(
図4参照)。第2プレート20は、各孔部17Bbを通してねじ穴26aに螺合されるねじ27によって第2筐体部材17Bに締結固定される。つまりねじ穴26a、孔部17Bb、及びねじ27は、第2プレート20Bを第2筐体部材17Bに締結する第2締結部28Bを構成する。
【0027】
ベースプレート24は、炭素繊維強化樹脂板ではなく、金属材料や樹脂材料で形成されてもよい。この場合、金属フレーム25は省略してもよく、ねじ穴26aはベースプレート24に設けてもよい。
【0028】
図5及び
図6に示すように、ディスプレイ16の折曲領域R3は、筐体12A,12Bに対して相対移動可能である。180度姿勢時、折曲領域R3の裏面16aは、ヒンジ本体23及びサポートプレート22A,22Bで支持される。0度姿勢時、折曲領域R3は、円弧状に折り曲げられ、裏面16aの一部がサポートプレート22A,22Bで支持され、大部分はヒンジ装置14から離間する。
【0029】
図3、
図5及び
図6に示すように、本実施形態のヒンジ装置14は、ヒンジ本体23と、第1サポートプレート22Aと、第2サポートプレート22Bとを有する。
【0030】
ヒンジ本体23は、筐体12A,12Bの縁部17Aa,17Baを跨ぐ位置に設けられ、縁部17Aa,17Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。ヒンジ本体23は、アルミニウム等の金属材料で形成されたブロック状部品である。ヒンジ本体23には、180度姿勢でX方向に並ぶ2本のヒンジ軸14A,14Bが支持されている。
【0031】
第1ヒンジ軸14Aには、第1リンクアーム30Aの第1端部が軸周りに回転可能に支持されている。第2ヒンジ軸14Bには、第2リンクアーム30Bの第1端部が軸周りに回転可能に支持されている。リンクアーム30A,30Bは、ヒンジ軸14A,14Bから離間する方向に向かって次第に筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bbに近接するブーメラン状の湾曲形状を有する。
【0032】
第1リンクアーム30Aの第2端部は、第1ブラケット31Aに対して回転軸34を用いて相対回転可能に連結されている。第1ブラケット31Aは、第1筐体部材17Aに対して第1プレート20Aと共にねじ27で共締めされる。第2リンクアーム30Bの第2端部は、第2ブラケット31Bに対して回転軸35を用いて相対回転可能に連結されている。第2ブラケット31Bは、第2筐体部材17Bに対して第2プレート20Bと共にねじ27で共締めされる。
図5では、第2ブラケット31Bを第2筐体部材17Bに固定する構造のみを例示しているが、第1ブラケット31Aを第1筐体部材17Aに固定する構造はこれと左右対称である以外は同一又は同様でよい。
【0033】
リンクアーム30A,30B及びブラケット31A,31Bは、ヒンジ本体23の長手方向(Y方向)に沿って複数並ぶように設けられている(
図3参照)。これによりヒンジ本体23は、筐体12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。ヒンジ本体23内には、筐体12A,12B間の回動動作を同期させるギヤ機構や、筐体12A,12B間の回動動作に所定の回動トルクを付与するトルク機構等も設けられている。ヒンジ本体23の外面には、化粧カバーとなる背表紙部品36が取り付けられている。
【0034】
図5に示す180度姿勢時、ヒンジ本体23は、その表面23aでディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。この際、ヒンジ本体23及び背表紙部品36は、筐体12A,12B内に収納され、互いに近接又は当接した縁部17Aa,17BaをX方向に跨いだ配置となる。
図6に示す0度姿勢時、ヒンジ本体23及び背表紙部品36は、大きく離間した縁部17Aa,17Baの内面間の隙間を塞ぐように配置され、本のように折り畳まれた電子機器10の背表紙となる。この際、電子機器10は、背表紙部品36が最外面に露出することで、外観意匠の低下を防止している(
図1も参照)。
【0035】
サポートプレート22A,22Bは、アルミニウム等の金属材料で形成されたプレートであり、左右対称形状である。サポートプレート22A,22Bは、筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bb側に設けられ、縁部17Aa,17Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。
【0036】
第1サポートプレート22Aは、第1プレート20Aとヒンジ本体23との間に配置される。第1サポートプレート22Aは、第1プレート20A側の縁部が第1ブラケット31Aに対して回転軸38を介して相対回転可能に連結されている。第1サポートプレート22Aは、ヒンジ本体23側の縁部がヒンジ本体23に対して相対移動可能である。第2サポートプレート22Bは、第2プレート20Bとヒンジ本体23との間に配置される。第2サポートプレート22Bは、第2プレート20B側の縁部が第2ブラケット31Bに対して回転軸39を介して相対回転可能に連結されている。第2サポートプレート22Bは、ヒンジ本体23側の縁部がヒンジ本体23に対して相対移動可能である。
【0037】
サポートプレート22A,22Bは、筐体12A,12Bの回動動作に応じて、回転軸38,39を回転中心として揺動する。180度姿勢時、サポートプレート22A,22Bは、その表面22Aa,22Baによってディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。180度以外の角度姿勢では、サポートプレート22A,22Bは、ディスプレイ16との間に隙間を設けた状態、又はディスプレイ16を変形させない程度の僅かな力でディスプレイ16に接触する(
図6参照)。
【0038】
図4に示すように、第1筐体12Aには、例えばCPUを実装したマザーボード40及びサブバッテリ装置41が搭載され、さらに各種の電子部品が搭載される。第2筐体12Bには、例えばメインバッテリ装置42、ディスプレイボード43及びサブカード44が搭載され、さらに各種の電子部品が搭載される。ディスプレイボード43は、ディスプレイ16の制御基板である。サブカード44は、例えば電源ボタンやUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠した外部コネクタ等を実装した基板である。
図7中の参照符号45は、銅プレート等で形成され、マザーボード40を覆うように配置されるヒートスプレッダである。
【0039】
このように構成された電子機器10において、ディスプレイ16の折曲領域R3は、他の部材に固定されていない。このため、折曲領域R3は、
図5に示す180度姿勢時にはプレート20A,20B間の隙間Gでヒンジ装置14の表面22Aa,22Ba,23aに置かれただけの状態となる。このため、折曲領域R3は、凸状のしわや波を生じ、視認性や外観品質を低下させる懸念がある。この点、本実施形態の電子機器10は、折曲領域R3に幅方向(X方向)に引っ張られる張力Tを作用させ、しわや波の発生を抑制している。
【0040】
そこで、次に、ディスプレイ16の折曲領域R3に張力Tを作用させる構造を説明する。
図7は、
図4に示す第1筐体部材17A及び第1プレート20Aの一部を拡大した斜視図である。
【0041】
図4~
図7に示すように、電子機器10は、第1筐体部材17Aに設けられた第1受け部48と、第1プレート20Aに設けられた第2受け部49と、受け部48,49間に介在する押圧部材50と、を備える。
【0042】
第1受け部48は、第1筐体部材17Aの内面を上方に向かって突出させた立壁である。第1受け部48は、第1プレート20Aの縁部20Abの下方、つまりヒンジ装置14に近接した位置に設けられている。つまり第1受け部48は、第1筐体部材17AのX方向幅において、ヒンジ装置14を避けた位置で最も第1縁部17Aa側に寄った位置にある。
【0043】
第2受け部49は、第1プレート20Aの金属フレーム25に形成されている。第2受け部49は、ベースプレート24の裏面24aから突出しており、例えば円錐台形状を有する。第2受け部49は、第1受け部48のX1側で所定の隙間を設けて配置され、第1受け部48のX1側側面と対向している。第2受け部49には、内周面に雌ねじを形成したねじ穴49aが設けられている。
【0044】
押圧部材50は、ステンレス板等で形成された金属板ばねである。押圧部材50は、ベース部50aと、ばね部50bとを有する。
【0045】
ベース部50aは、ねじ52が挿通される貫通孔50cを略中央に有する。ねじ52は、貫通孔50cを挿通して第2受け部49のねじ穴49aに螺合される。これによりベース部50aが第2受け部49の先端面に締結される。
【0046】
ばね部50bは、ベース部50aからX2方向に突出しつつ、側面視で略V字状に屈曲されている。これによりばね部50bは、所定の弾性を有する。ばね部50bは、ベース部50aからの突出方向で先端が第1受け部48に当接する。ばね部50bは、V字状の屈曲形状以外、例えば波形状や円弧状の湾曲形状でもよい。
【0047】
これにより押圧部材50は、第1プレート20Aを第1筐体部材17Aに対して相対的にX1方向に移動させる方向の押圧力Fを発生する。つまり押圧部材50は、第1プレート20Aを第2プレート20Bから離間する離間方向(X1方向)に向かって押圧する。その結果、第1プレート20Aは、押圧部材50によって第2プレート20Bから離間する方向に押圧力Fを付与された状態で第1筐体部材17Aに対して第1締結部28Aで固定される。なお、第2プレート20Bは、第2筐体部材17Bに対して第2締結部28Bで固定される。
【0048】
従って、
図3~
図5に示す180度姿勢時、ディスプレイ16は、第1プレート20Aに固定された第1領域R1が、第2プレート20Bに固定された第2領域R2から離間するX1方向に引っ張られた状態にある。これによりディスプレイ16の折曲領域R3は、幅方向であるX方向に張力Tが付与されて引き伸ばされ、しわや波を生じることが抑制された状態となる。このように、押圧部材50は、第1プレート20Aを介してディスプレイ16の折曲領域R3に張力Tを付与することができる。
【0049】
次に、電子機器10の製造方法について、特に筐体部材17A,17Bに対するディスプレイ16の組付方法を例示して説明する。
【0050】
先ず、プレート20A,20Bにディスプレイ16の領域R1,R2を粘着材19で固定したディスプレイアセンブリを形成する。この際、プレート20A,20Bの縁部20Ab,20Bb間には隙間Gを形成しておく。
【0051】
次に、このようなディスプレイアセンブリを筐体部材17A,17Bに固定する。筐体部材17A,17Bは、予めヒンジ装置14を組み付け、互いに相対的に回動可能な状態に連結しておく。
【0052】
先ず、第2締結部28Bを締結し、第2プレート20Bを第2筐体部材17Bに固定する。第2筐体部材17Bの孔部17Bbは、真円形状である。このため、第2締結部28Bは、第2プレート20Bと第2筐体部材17Bとを精度よく位置決め固定することができる。
【0053】
次に、押圧部材50を用いて第1プレート20Aを第1筐体部材17Aに対して仮固定する。すなわち第1プレート20Aの第2受け部49にねじ52を用いて押圧部材50を固定し、互いに対向する受け部48,49間でばね部50bを突っ張らせる。ここで、ディスプレイ16は、第1領域R1が第1プレート20Aに固定され、第2領域R2が第2プレート20Bに固定され、折曲領域R3がフリーな状態である。このため、第1プレート20Aは、折曲領域R3を引っ張った状態で押圧部材50が第1受け部48に係止される。つまり第1プレート20Aは、第2プレート20Bから離間するX1方向の押圧力Fを受けた状態で第1筐体部材17Aに仮固定される。この際、ディスプレイ16の折曲領域R3は、X方向に引張される方向の張力Tを受けている。
【0054】
最後に、第1締結部28Aを締結し、第1プレート20Aを第1筐体部材17Aに固定する。ここで、第1筐体部材17Aの長孔17Abは、X方向に延在している。つまり第1締結部28Aは、第1プレート20Aと第1筐体部材17AとをX方向での所定の調整幅を持って固定可能である。このため、第1プレート20Aは、押圧部材50による押圧力Fを受け、第1筐体部材17Aに対してX1方向に付勢された状態にありながらも、所望のX方向位置で確実に第1筐体部材17Aに固定できる。
【0055】
これにより、ディスプレイ16の筐体部材17A,17Bに対する組付工程が完了する。なお、その後は、この組付工程と前後して筐体部材17A,17Bにマザーボード40やバッテリ装置41,42等を取り付け、さらに適宜配線を接続する。そして、カバー部材18A,18Bを筐体部材17A,17Bに固定することで、電子機器10の製造が完了する。
【0056】
以上のように、本実施形態の電子機器10は、可撓性を有するシート状に形成され、第1プレート20Aの表面20Aaに固定される第1領域R1と、第2プレート20Bの表面20Baに固定される第2領域R2と、領域R1,R2間でプレート20A,20B間の隙間Gを跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域R3とを有するディスプレイ16を備える。さらに、電子機器10は、第1プレート20Aを第1筐体部材17に対して固定する第1締結部28Aと、第2プレート20Bを第2筐体部材17Bに対して固定する第2締結部28Bと、第1筐体部材17Aに対して第1プレート20Aを第2プレート20Bから離間する離間方向に向かって押圧することで、ディスプレイ16の折曲領域R3に張力Tを付与する押圧部材50と、を備える。
【0057】
従って、電子機器10は、180度姿勢において、ディスプレイ16の折曲領域R3がX方向の張力Tが付与されて引き伸ばされ、しわや波を生じることが抑制される。特に当該電子機器10は、プレート20A,20B間に隙間Gを設けた構成であるが、押圧部材50の押圧力Fにより、確実にプレート20A,20B間に離間方向の押圧力Fを作用させ、隙間Gに跨るディスプレイ16の折曲領域R3に張力Tを付与することができる。
【0058】
図3及び
図4に示すように、押圧部材50は、第1プレート20Aの縁部20Abに沿って複数設けられる。本実施形態では、押圧部材50は、縁部20AbのY方向両端付近にそれぞれ設けられ、合計2個設けられている。なお、受け部48,49も、各押圧部材50に対応する各位置にそれぞれ設けられる。これにより第1プレート20Aは、Y方向に並んだ複数の押圧部材50によって同時に押圧力Fを受ける。このため電子機器10は、折曲領域R3に対する張力TをY方向でより均等に付与することができ、第1プレート20AがXY平面上で回転することも防止できる。
【0059】
図3及び
図4に示すように、押圧部材50は、第1プレート20AのX方向での幅方向の中央よりも第2プレート20B側に寄った位置、好ましくは可能な限り縁部20Abの端面に近い位置に配置されるとよい。すなわち当該電子機器10は、第1プレート20Aで折曲領域R3を引っ張る構成である。このため、第1プレート20Aに押圧力Fを付与する押圧部材50は、仮に折曲領域R3から遠い位置に設置された構成を考える。この構成では、第1プレート20AのX方向幅の製造公差や受け部48,49間の交差や僅かな位置ずれ等が拡大された状態で折曲領域R3に伝達され、折曲領域R3の張力Tが過度に増減する可能性も想定される。そこで、押圧部材50は、折曲領域R3に可能な限り近い位置に設置されることで、折曲領域R3に付与する張力Tの調整が容易となり、しわや波の発生をより高精度に抑制できる。
【0060】
押圧部材50は、ばね部50bを有する弾性部材である。このため、押圧部材50は、第1締結部28Aの締結後も常に第1プレート20Aに押圧力Fを付与し続ける。このため、電子機器10は、仮に第1締結部28Aの締結状態が緩んだ場合であっても、押圧部材50が折曲領域R3に張力Tを付与し続けるため、長期間にわたってしわや波の発生を抑制できる。
【0061】
当該電子機器10では、第1締結部28Aは、第1プレート20Aと第1筐体部材17Aとの間を長孔17Abの長さ分のX方向での調整幅を持って固定する。一方、第2締結部は、第2プレート20Bと第2筐体部材17Bとの間を実質的にX方向での調整幅なしで固定する。このため、押圧部材50を取り付けない第2プレート20Bは、より高精度に第2筐体部材17Bに位置決め固定することができる。また、押圧部材50による位置調整が必要な第1プレート20Aは、長孔17Abによる調整幅の範囲内で第1筐体部材17Aに固定できる。このため、第1プレート20Aは、押圧部材50による折曲領域R3の張力Tをより確実に保持したままの状態で第1筐体部材17Aに固定できる。
【0062】
図8は、第1変形例に係る押圧部材54を備える電子機器10の要部を拡大した模式的な側面断面図である。
【0063】
図8に示す押圧部材54は、
図5に示す押圧部材50と比べて、板ばねではなく、コイルばねからなる弾性部材である点が異なる。この際、第2受け部49は、ねじ穴49aを持たない突起で構成するとよい。押圧部材54は、コイルばねの各端部がそれぞれ受け部48,49に係止され、受け部48,49間で圧縮された状態にある。従って、このような押圧部材54も第1プレート20Aに押圧力Fを付与し、折曲領域R3に張力Tを付与することができる。
【0064】
図9は、第2変形例に係る押圧部材56を備える電子機器10の要部を拡大した模式的な側面断面図である。
【0065】
図9に示す押圧部材56は、
図5に示す押圧部材50のような弾性部材ではなく、剛体であるねじで構成されている。この際、第2受け部49は、X方向に沿って横向きに貫通するねじ穴49bを有する。押圧部材56は、第2受け部49のねじ穴49bに螺合された状態でこれを挿通し、先端が第1受け部48に突き当たる。従って、このような押圧部材56は、ねじ穴49bに対する締付量を調整することで、第1プレート20Aに押圧力Fを付与し、折曲領域R3に張力Tを付与することができる。
【0066】
図10Aは、第3変形例に係る押圧部材58を備える電子機器10の要部を拡大した模式的な側面断面図である。
図10Bは、押圧部材58の模式的な平面図である。
【0067】
図10A及び
図10Bに示す押圧部材58は、
図5に示す押圧部材50なような弾性部材ではなく、剛体であるカム58aと、ねじ部58bを有する。カム58aは、略楕円形状或いは略三角形状等のカム部材である。ねじ部58bは、カム58aの一面から突出し、偏心した位置にある。押圧部材58は、ねじ部58bが第2受け部49のねじ穴49aに螺合され、第2受け部49に固定される。この際、カム58aの外周面が第1受け部48に押し付けられる。従って、このような押圧部材58は、カム58aの外周面の第1受け部48に対する当接位置を調整することで、第1プレート20Aに押圧力Fを付与し、折曲領域R3に張力Tを付与することができる。
【0068】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0069】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な電子機器10を例示したが、本発明は、同形の筐体同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体の左右縁部にそれぞれ小形の筐体を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体の左右一方の縁部に小形の筐体を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成に適用可能であり、筐体の連結数は4以上としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 電子機器
12A 第1筐体
12B 第2筐体
14 ヒンジ装置
16 ディスプレイ
17A 第1筐体部材
17B 第2筐体部材
20A 第1プレート
20B 第2プレート
28A 第1締結部
28B 第2締結部
48 第1受け部
49 第2受け部
50,54,56,58 押圧部材
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1筐体部材と、
前記第1筐体部材と隣接し、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、
前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、
前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、
可撓性を有するシート状に形成され、前記第1プレートの表面に固定される第1領域と、前記第2プレートの表面に固定される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間で前記隙間を跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域と、を有するディスプレイと、
前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、
前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、
前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する押圧部材と、
を備え、
前記第1筐体部材は、第1受け部を有し、
前記第1プレートは、前記第1受け部と対向する第2受け部を有し、
前記押圧部材は、前記第1受け部と前記第2受け部との間で突っ張る弾性部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記押圧部材は、
前記第2受け部に固定されるベース部と、
前記ベース部から突出して前記第1受け部に押し付けられるばね部と、
を有する板ばねである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
電子機器であって、
第1筐体部材と、
前記第1筐体部材と隣接し、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、
前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、
前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、
可撓性を有するシート状に形成され、前記第1プレートの表面に固定される第1領域と、前記第2プレートの表面に固定される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間で前記隙間を跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域と、を有するディスプレイと、
前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、
前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、
前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する押圧部材と、
を備え、
前記第1筐体部材は、第1受け部を有し、
前記第1プレートは、前記第1受け部と対向する第2受け部を有し、
前記押圧部材は、前記第1受け部と前記第2受け部との間に前記離間方向の押圧力を付与するねじ又はカムである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
電子機器であって、
第1筐体部材と、
前記第1筐体部材と隣接し、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、
前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、
前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、
可撓性を有するシート状に形成され、前記第1プレートの表面に固定される第1領域と、前記第2プレートの表面に固定される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間で前記隙間を跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域と、を有するディスプレイと、
前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、
前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、
前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する押圧部材と、
を備え、
前記第1締結部は、前記離間方向での前記第1プレート及び前記第1筐体部材の相対位置を、所定の調整幅を持って固定可能であり、
前記第2締結部は、前記離間方向での前記第2プレート及び前記第2筐体部材の相対位置を、実質的に調整幅なしで固定するものである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記第1締結部は、
前記第1筐体部材に設けられ、前記離間方向に沿って延びた長孔と、
前記第1プレートに設けられたねじ穴と、
前記長孔を通して前記ねじ穴に螺合されるねじと、
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記押圧部材は、前記離間方向に沿う前記第1プレートの幅方向での中央よりも前記f側に寄った位置で、前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して押圧する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器であって、
前記第1プレートは、前記離間方向と直交する方向に延在し、前記隙間に面する縁部を有し、
前記押圧部材は、前記縁部に沿って複数設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置をさらに備え、
前記第2姿勢において、前記ヒンジ装置は、前記第1プレートと前記第2プレートとの間の前記隙間を埋めるように配置され、前記ディスプレイの前記折曲領域を支持する
ことを特徴とする電子機器。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、複数の筐体部材を相対的に回動可能に連結した電子機器に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、折り曲げ可能な領域を有するディスプレイでのしわの発生を抑制できる電子機器を提供することを目的とする。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1筐体部材と、
前記第1筐体部材と隣接し、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、
前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、
前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、
可撓性を有するシート状に形成され、前記第1プレートの表面に固定される第1領域と、前記第2プレートの表面に固定される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間で前記隙間を跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域と、を有するディスプレイと、
前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、
前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、
前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する押圧部材と、
を備え、
前記第1筐体部材は、第1受け部を有し、
前記第1プレートは、前記第1受け部と対向する第2受け部を有し、
前記押圧部材は、前記第1受け部と前記第2受け部との間で突っ張る弾性部材である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記押圧部材は、
前記第2受け部に固定されるベース部と、
前記ベース部から突出して前記第1受け部に押し付けられるばね部と、
を有する板ばねである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
電子機器であって、
第1筐体部材と、
前記第1筐体部材と隣接し、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、
前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、
前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、
可撓性を有するシート状に形成され、前記第1プレートの表面に固定される第1領域と、前記第2プレートの表面に固定される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間で前記隙間を跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域と、を有するディスプレイと、
前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、
前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、
前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する押圧部材と、
を備え、
前記第1筐体部材は、第1受け部を有し、
前記第1プレートは、前記第1受け部と対向する第2受け部を有し、
前記押圧部材は、前記第1受け部と前記第2受け部との間に前記離間方向の押圧力を付与するねじ又はカムである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
電子機器であって、
第1筐体部材と、
前記第1筐体部材と隣接し、前記第1筐体部材と相対的に回動可能に連結される第2筐体部材と、
前記第1筐体部材に支持される第1プレートと、
前記第2筐体部材に支持され、前記第1プレートとの間に隙間を設けて並ぶ第2プレートと、
可撓性を有するシート状に形成され、前記第1プレートの表面に固定される第1領域と、前記第2プレートの表面に固定される第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間で前記隙間を跨ぐように設けられる折り曲げ可能な折曲領域と、を有するディスプレイと、
前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して固定する第1締結部と、
前記第2プレートを前記第2筐体部材に対して固定する第2締結部と、
前記第1筐体部材に対して前記第1プレートを前記第2プレートから離間する離間方向に向かって押圧することで、前記ディスプレイの前記折曲領域に張力を付与する押圧部材と、
を備え、
前記第1締結部は、前記離間方向での前記第1プレート及び前記第1筐体部材の相対位置を、所定の調整幅を持って固定可能であり、
前記第2締結部は、前記離間方向での前記第2プレート及び前記第2筐体部材の相対位置を、実質的に調整幅なしで固定するものである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記第1締結部は、
前記第1筐体部材に設けられ、前記離間方向に沿って延びた長孔と、
前記第1プレートに設けられたねじ穴と、
前記長孔を通して前記ねじ穴に螺合されるねじと、
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記押圧部材は、前記離間方向に沿う前記第1プレートの幅方向での中央よりも前記第2プレート側に寄った位置で、前記第1プレートを前記第1筐体部材に対して押圧する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器であって、
前記第1プレートは、前記離間方向と直交する方向に延在し、前記隙間に面する縁部を有し、
前記押圧部材は、前記縁部に沿って複数設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記第1筐体部材と前記第2筐体部材とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置をさらに備え、
前記第2姿勢において、前記ヒンジ装置は、前記第1プレートと前記第2プレートとの間の前記隙間を埋めるように配置され、前記ディスプレイの前記折曲領域を支持する
ことを特徴とする電子機器。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、複数の筐体部材を相対的に回動可能に連結した電子機器に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、折り曲げ可能な領域を有するディスプレイでのしわの発生を抑制できる電子機器を提供することを目的とする。