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  • 特開-装着用具 図1
  • 特開-装着用具 図2
  • 特開-装着用具 図3
  • 特開-装着用具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013279
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】装着用具
(51)【国際特許分類】
   A44C 7/00 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
A44C7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117337
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】521314507
【氏名又は名称】株式会社あっ晴
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】南 真紀
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA12
3B114EA00
(57)【要約】
【課題】マスクをしながらも耳の近くに装飾品等を装着することが可能となる用具であって、耳のサイズや形状等を問わずに使用でき、外観的にも目立ち難くすることが可能となる装着用具を提供する。
【解決手段】耳に掛ける紐を有したマスクへ装飾品等の対象物を装着可能とする装着用具であって、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有した筒状に形成され、当該切れ込みを介して前記紐の一部が内側へ嵌め込まれて、当該紐にスライド可能に取付けられる取付部と、前記取付部に設けられ、前記対象物を保持可能に形成された保持部材と、を備え、前記マスクが使用者に装着された状態で、前記取付部をスライドさせて耳たぶの裏側に固定可能とした装着用具とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳に掛ける紐を有したマスクへ装飾品等の対象物を装着可能とする装着用具であって、
軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有した筒状に形成され、当該切れ込みを介して前記紐の一部が内側へ嵌め込まれて、当該紐にスライド可能に取付けられる取付部と、
前記取付部に設けられ、前記対象物を保持可能に形成された保持部材と、
を備え、
前記マスクが使用者に装着された状態で、前記取付部をスライドさせて耳たぶの裏側に固定可能としたことを特徴とする装着用具。
【請求項2】
前記取付部は、
軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有し、軸方向へ延びる筒状に形成された本体部材と、
前記本体部材の内側に配置され、当該本体部材よりも前記紐との滑りが抑えられる素材で形成された滑り止め部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の装着用具。
【請求項3】
前記滑り止め部材は、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有した略筒状に形成されて、前記本体部材と軸方向が一致するように配置されており、
前記紐の一部は、前記本体部材の切れ込みと前記滑り止め部材の切れ込みを介して、当該滑り止め部材の内側へ嵌め込まれることを特徴とする請求項2に記載の装着用具。
【請求項4】
前記取付部の軸方向長さは、1cm以上かつ3cm以下に設定されており、
前記滑り止め部材と前記本体部材の間に径方向の隙間が設けられ、
前記滑り止め部材の軸方向両端それぞれは、前記本体部材の同じ側の軸方向端部よりも内側に位置することを特徴とする請求項3に記載の装着用具。
【請求項5】
前記保持部材は、前記本体部材と前記滑り止め部材の両方の軸方向端部近傍を貫通するリング状の部材であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の装着用具。
【請求項6】
前記保持部材を、前記取付部の軸方向両端近傍それぞれに設けたことを特徴とする請求項5に記載の装着用具。
【請求項7】
前記滑り止め部材は、シリコンゴムで形成されており、
前記本体部材は、前記滑り止め部材よりも硬い樹脂材質で形成されていることを特徴とする請求項2から請求項6の何れかに記載の装着用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクへ装飾品等を装着可能とする装着用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耳に装着されるピアスやイヤリングなど(以下、「イヤリング等」と総称することがある。)が広く利用されている。しかしながら最近、新型コロナウイルスの感染防止等の観点からマスクを着用する機会が著しく増えている。
【0003】
ピアスを装着したままでマスクを使用すると、マスクを外す際にマスクの紐がピアスに引っ掛ってしまい、耳が引っ張られて危ない思いする虞がある。またピアスだけでなく、イヤリングを装着したままでマスクを使用する場合にも、イヤリングがマスク紐に引っ掛かって落としてしまう恐れがある。
【0004】
このような事情から、最近ではイヤリング等をしなくなる傾向が強くなってきている。しかし多くの女性にとってイヤリング等は大事なアイテムであり、特に新型コロナウイルスの蔓延により自粛生活が続く中、女性が元気で毎日楽しく笑顔で過ごすためには、イヤリング等は欠かすことのできないものとなっている。
【0005】
ここで特許文献1には、マスクと共に使用可能であるマスク保持部材付き耳飾りが開示されている。このマスク保持部材付き耳飾りは、マスクの耳掛け紐に取付けた保持部材2と、この保持部材2に設けた取付穴3と、この取付穴3に吊下げた耳飾り本体4とを備えており、保持部材2は耳の形状とサイズに合わせた略C字形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3227778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のマスク保持部材付き耳飾りによれば、マスクをしながらも、あたかもピアスやイヤリングを装着しているように見せることが可能とされている。しかし当該マスク保持部材付き耳飾りにおいては、保持部材は耳のサイズと形状に合わせた略C字形状に形成されているところ、耳のサイズや形状には個人差があり、使用者によっては保持部材が耳にフィットしない虞がある。また、このような形態の保持部材はサイズが大きく、外観的に目立ってしまう虞もある。
【0008】
本発明は上述した課題に鑑み、マスクをしながらも耳の近くに装飾品等を装着することが可能となる用具であって、耳のサイズや形状等を問わずに使用でき、外観的にも目立ち難くすることが可能となる装着用具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る装着用具は、耳に掛ける紐を有したマスクへ装飾品等の対象物を装着可能とする装着用具であって、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有した筒状に形成され、当該切れ込みを介して前記紐の一部が内側へ嵌め込まれて、当該紐にスライド可能に取付けられる取付部と、前記取付部に設けられ、前記対象物を保持可能に形成された保持部材と、を備え、前記マスクが使用者に装着された状態で、前記取付部をスライドさせて耳たぶの裏側に固定可能とした構成とする。
【0010】
本構成によれば、マスクをしながらも耳の近くに装飾品等を装着することが可能となる用具であって、耳のサイズや形状等を問わずに使用でき、外観的にも目立ち難くすることが可能となる。
【0011】
上記構成としてより具体的には、前記取付部は、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有し、軸方向へ延びる筒状に形成された本体部材と、前記本体部材の内側に配置され、当該本体部材よりも前記紐との滑りが抑えられる素材で形成された滑り止め部材と、を有する構成としても良い。
【0012】
上記構成としてより具体的には、前記滑り止め部材は、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有した略筒状に形成されて、前記本体部材と軸方向が一致するように配置されており、前記紐の一部は、前記本体部材の切れ込みと前記滑り止め部材の切れ込みを介して、当該滑り止め部材の内側へ嵌め込まれる構成としても良い。
【0013】
上記構成としてより具体的には、前記取付部の軸方向長さは、1cm以上かつ3cm以下に設定されており、前記滑り止め部材と前記本体部材の間に径方向の隙間が設けられ、前記滑り止め部材の軸方向両端それぞれは、前記本体部材の同じ側の軸方向端部よりも内側に位置する構成としても良い。
【0014】
上記構成としてより具体的には、前記保持部材は、前記本体部材と前記滑り止め部材の両方の軸方向端部近傍を貫通するリング状の部材である構成としても良い。また上記構成としてより具体的には、前記保持部材を、前記取付部の軸方向両端近傍それぞれに設けた構成としても良い。更に上記構成としてより具体的には、前記滑り止め部材は、シリコンゴムで形成されており、前記本体部材は、前記滑り止め部材よりも硬い樹脂材質で形成されている構成としても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る装着用具によれば、マスクをしながらも耳の近くに装飾品等を装着することが可能となる用具であって、耳のサイズや形状等を問わずに使用でき、外観的にも目立ち難くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る装着用具の概略的な構成図である。
図2】当該装着用具のサンプルを示す説明図である。
図3】当該サンプルがマスクの紐に取付けられた状態を示す説明図である。
図4】当該装着用具を用いて装飾品等を装着した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る装着用具1ついて、各図面を参照しながら以下に説明する。装着用具1は、マスクへ取付可能に形成されており、マスクをしながらも耳の近くに装飾品等を装着することが可能となる用具である。なお本願における「装飾品等」は、お洒落等を目的とした装飾品が主に想定されるが、これに限定されるものではない。
【0018】
図1は、装着用具1の概略的な構成図である。装着用具1は概ね筒状に形成された取付部10を有しており、図1の左側には装着用具1を当該筒状の軸方向に見た形態が示され、その右側にはA-A平面で切断した場合の断面図が示されている。また図2は、装着用具1のサンプルを示している。
【0019】
これらの図に示すように、装着用具1は、取付部10および保持部材13を備えている。取付部10は、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有した筒状に形成され、当該切れ込みを介してマスクの紐(耳掛け紐)の一部が内側へ嵌め込まれて、当該紐にスライド可能に取付けられる部分である。
【0020】
より具体的に説明すると、取付部10は図1に示すように、本体部材11と、本体部材11の内側に配置され、本体部材11よりもマスクの紐との滑りが抑えられる素材で形成された滑り止め部材12を有する。
【0021】
本体部材11は、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込み11aを有した円筒状(図1に示す軸方向へ延びる円筒状)に形成されている。本体部材11は、軸方向長さが2cm程度であり、外径寸法が8mm程度であり、内径寸法が6mm程度である。また本体部材11は、ビニール(ビニル)樹脂により形成されている。本実施形態の例では本体部材11として、市販のビニールチューブを切断して得たものが採用されている。但し本体部材11の具体的形態は、これに限定されるものではない。
【0022】
滑り止め部材12は、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込み12aを有した円筒状に形成されており、本体部材11と軸方向が一致するように配置されている。滑り止め部材12は、軸方向長さが1.8~1.9cm程度であり、外径寸法が5mm程度であり、内径寸法が3mm程度である。このように、滑り止め部材12の外径寸法は本体部材11の内径寸法よりも小さくなっており、滑り止め部材12を本体部材11の内側に収容して配置することが可能である。
【0023】
また、滑り止め部材12の軸方向長さは本体部材11の軸方向長さよりも短くなっており、滑り止め部材12の軸方向両端それぞれは、本体部材11の同じ側の軸方向端部よりも僅かに(それぞれ0.1mm程度)内側に位置している。
【0024】
滑り止め部材12は、シリコン(シリコーン)ゴムにより形成されている。シリコンゴムは、ビニール樹脂に比べて十分に軟らかく、マスクの紐との滑りが抑えられる素材である。本実施形態の例では滑り止め部材12として、市販のシリコンゴムチューブを切断して得たものが採用されている。但し滑り止め部材12の具体的形態は、これに限定されるものではない。
【0025】
保持部材13は、本体部材11と滑り止め部材12の両方の軸方向端部近傍を貫通するリング状の金属製部材であり、取付部10の軸方向両端近傍それぞれに設けられている。なお各保持部材13は、図1にαで示す箇所で本体部材11を貫通し、図1にβで示す箇所で滑り止め部材12を貫通している。
【0026】
これにより保持部材13は、滑り止め部材12を本体部材11内側の所定位置に位置決めする役割を果たすとともに、装飾品等を引掛けて保持させることが可能である(図3を参照)。本実施形態の例では保持部材13として、アクセサリーのパーツとして利用される外径が4mm程度の市販の丸カンが採用されている。但し保持部材13の具体的形態は、これに限定されるものではない。
【0027】
なお 図1における左側の図に示すように、軸方向に見て、当該位置決めされた滑り止め部材12の切れ込み12aの周方向位置は、本体部材11の切れ込み11aの周方向位置にほぼ一致する。そのため使用者は、切れ込み11aを介してマスク2の紐21の一部を装着用具1の内側へ嵌め込んだ後、そのまま連続して、当該紐21の一部を切れ込み12aを介して滑り止め部材12の内側へ容易に嵌め込むことが可能である。
【0028】
次に、装着用具1の望ましい使用方法について説明する。但し、装着用具1の使用方法はこれに限定されるものではなく、使用者の好み等に応じて他の使用方法が採用されても構わない。
【0029】
使用者はまず、装飾品等を装着用具1の保持部材13に取付けておく。次に使用者は、その装着用具1をマスク2の紐21に取付ける。より具体的に説明すると、使用者は、切れ込み11aと切れ込み12aを順に介して、当該紐21の一部を滑り止め部材12の内側へ嵌め込む。
【0030】
この際、装着用具1を紐21の下寄りの部分(マスク2を装着した状態で口元に近くなる部分)に取付けておくと良い。なお紐21への取付後は、装着用具1を手で自在にスライドさせることができるため、位置を気にせずに装着用具1を紐21に取付けておき、その後に装着用具1をスライドさせて紐21の下寄りの位置にセットしても良い。
【0031】
また通常は、装飾品等の対象物が取り付けられた方の保持部材13が下側となるように、装着用具1を紐21に取付けると良い。ここまでの手順の実施後における、装着用具1およびその周辺の状態を図3に例示する。図3に示す紐21は、装着用具1を介して装飾品等3が取り付けられた格好となっている。
【0032】
次に使用者は、マスクを普段どおりに装着するように紐21を耳に掛け、装着用具1を取付済みであるマスク2を装着する。さらに使用者はマスク2を装着したまま、手で装着用具1を上方(図3に破線矢印で示す方向)へスライドさせ、耳たぶの裏側まで移動させることにより使用者の作業は完了する。ここまでの手順を実施することにより、図4に例示するように耳の近くに装飾品等3を装着することが可能である。
【0033】
図4に示すように装着用具1を使用すれば、装着用具1は概ね耳たぶの裏側に隠れるとともに、耳たぶの近傍に装飾品等3が設けられ、マスク2をしていても極力自然な感じでイヤリングやピアスをしているように見せることが可能である。更に、装飾品等3は実際には紐21に取付けられているため、マスク2を外す際にも、その紐21が装飾品等3に引っ掛かって耳が引っ張られたり、装飾品等3を落としてしまったりする虞もない。また装着用具1は、使用者の耳のサイズや形状等を問わずに使用でき、年齢や性別等に関係なく誰にでも使うことができる。
【0034】
なお本実施形態の装着用具1は、本願発明者(以下、単に「発明者」と称する。)が改良を重ねて実現したものであり、その過程の概略を以下に説明する。
【0035】
発明者はまず、取付部10に相当するものとしてシリコンチューブのみを用いて、装着用具を作成した。この際、シリコンチューブは柔らかいため、耐久性を持たせるために、軸方向長さをやや長めの5cmとした。その結果、良好な滑り止め効果が得られてマスクの紐に固定可能となり、やや長めではあるものの、柔らかいために耳への負担はさほど感じられなかった。
【0036】
しかしながら、人によってはシリコン素材でラテックスアレルギーを起こすことが分かり、シリコンチューブを露出させる形態については断念することにした。次に発明者は、内径が4mmで外径が6mmのビニールチューブの内側に、滑り止めとしてシリコンチューブを細長く切ったものをボンド等で接着し、取付部10に相当するものを作成した。ビニールチューブはシリコンチューブに比べて硬く耐久性に優れるため、長さは5cmよりも短い2cmとした。
【0037】
ビニールチューブは比較的硬いものの、長さを短くしたことで、耳たぶの裏側の頭蓋骨までの凹んだ部分に収まるようになり、耳への負担は殆ど生じなかった。また更に、滑り止めのためにシリコンチューブを使用するものの、ビニールチューブで保護されるためシリコンチューブは直接肌に触れず、ラテックスアレルギーの心配が軽減された。
【0038】
但し、細いビニールチューブの中に細長く切ったシリコンチューブを固定させることは容易ではなく、取付部10に相当するものを速く綺麗に作成することは困難であった。例えばボンドや接着剤で固定すると、美観が損なわれ易い上に、固定出来ている箇所と出来ていない箇所が生じて、製品のクオリティーの安定が期待できないことが判明した。
【0039】
以上を踏まえて発明者は、ビニールチューブ(本体部材11)の内側にシリコンチューブ(滑り止め部材12)を入れて、略筒状体の二重構造としたものを取付部10とすることを考え付いた。また、上述のとおりボンドや接着剤での固定は問題があったため、丸カン(保持部材13)を使ってビニールチューブとシリコンチューブを両サイドで固定するとともに、丸カンに装飾品を保持させる役割を持たせることも考え付いた。このように工夫と改良を重ねて、発明者は本実施形態の装着用具1を得るに至った。
【0040】
本実施形態の装着用具1によれば、先述したようにビニールチューブでシリコンチューブが覆われており、直接シリコンが肌に触れ続けないためラテックスアレルギーは生じ難い。また、金属部が肌に直接当たることが殆ど無いため、従来のピアスのような金属アレルギーも生じ難い。
【0041】
シリコンチューブはマスクの紐に対して良好な滑り止め効果を有し、更に2cm弱の長さがあるため、装着用具1は、人の手でマスクの紐をスライドさせることが可能でありながらも、耳たぶの裏側に移動させた位置でしっかり留まる程度の十分な固定力を有する。装飾品等を付けた装着用具1(重さ約4g)を紐に取付けてマスクを装着し、耳たぶの裏側にスライドさせた状態で、左右に100回首を振った実験と、100回跳びはねる実験を行ったところ、いずれの場合にも当該装着用具1は耳たぶの裏側に固定されたままであった。
【0042】
なお取付部10の軸方向長さは、短くし過ぎると十分な固定力を得ることが難しくなり、長くし過ぎると目立ち易くなってしまう。この点を考慮して、取付部10の軸方向長さは1cm以上かつ3cm以下に設定することが望ましく、特に本実施形態のように2cm程度に設定することが好ましい。
【0043】
また、シリコンチューブの内径寸法を3mm程度としたため、細めのマスクの紐であっても良好な滑り止め効果を得ることができた。更に取付部10においては、シリコンチューブの外径をビニールチューブの内径よりも小さくしており、その分、シリコンチューブとビニールチューブの間に少しゆとり(径方向の隙間)を持たせている。これにより、マスクの紐が多少太めであっても、シリコンチューブだけでは支えきれない分をビニールチューブが外側から補強する格好となり、装着用具1の落下は回避される。
【0044】
また装着用具1においては、シリコンチューブとビニールチューブは保持部材13のみで連結しており、接着剤等を用いた接着処理はなされていない。そのため、シリコンチューブの外面やビニールチューブの内面も適宜アルコールシート等で拭き易く、装着用具1を衛生的に使用することが容易である。
【0045】
装着用具1は外径が約8mmで長さが約2cmのサイズであるが、耳たぶの裏側における頭蓋骨までの凹んだ部分にほぼ収まるため、耳や頭蓋骨への負担が殆ど無く、違和感なく使用し得るとともに、耳たぶの裏側にほぼ隠れるため見た目にもスッキリとしていてお洒落に使用することができる。なお取付部10は、透明または半透明とすることで、より目立ち難くすることが可能である。本実施形態の例ではビニールチューブは透明であり、シリコンチューブは白みがかった半透明であるため、この点からも取付部10は目立ち難くなっている。
【0046】
装着用具1は小型で非常に軽く、各切れ込み11a,12aを介してシリコンチューブの内側に紐を入れ込むだけでマスクに簡単に取付けることができる。さらに装着用具1は、シリコンチューブの内側から各切れ込み11a,12aを介して紐を取り出してマスクから外すことも容易であり、マスクへの着脱を繰り返して何度も使用することが可能である。
【0047】
また装着用具1によれば、保持部材13に取付ける装飾品等は自在に交換可能であるため、そのときの気分等に応じて幅広いお洒落が可能となる。なお、装着用具1には保持部材13を2つ設けているため、これら両方に装飾品等を付けることも可能であり、この点でも幅広いお洒落が可能である。更に、装着用具1を使えば装飾品等をマスクの紐に設けることができるため、従来のイヤリングのように耳たぶを挟んで固定する際の痛さとも無縁である。
【0048】
上述したとおり装着用具1は、耳に掛ける紐21を有したマスク2へ装飾品等3の対象物を装着可能とする用具である。装着用具1は、軸方向一端から他端へ及ぶ切れ込みを有した筒状に形成され、当該切れ込みを介して紐21の一部が内側へ嵌め込まれて、紐21にスライド可能に取付けられる取付部10と、取付部10に設けられ、前記対象物を保持可能に形成された保持部材13と、を備え、マスク2が使用者に装着された状態で、取付部10をスライドさせて耳たぶの裏側に固定可能としている。
【0049】
そのため装着用具1によれば、マスクをしながらも耳の近くに装飾品等を装着することが可能となる用具であって、耳のサイズや形状等を問わずに使用でき、外観的にも目立ち難くすることが可能となっている。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、マスクへ装飾品等を装着可能とする装着用具に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 装着用具
10 取付部
11 本体部材
11a 本体部材の切れ込み
12 滑り止め部材
12a 滑り止め部材の切れ込み
13 保持部材
2 マスク
21 マスクの紐
3 装飾品等
図1
図2
図3
図4