(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132828
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】臭気予測システム、臭気予測方法及び学習モデルの学習方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20230914BHJP
【FI】
C02F1/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038371
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】的野 真理愛
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏幸
(57)【要約】
【課題】被処理水からの臭気の発生状況を精度良く予測する臭気予測システム、臭気予測方法及び学習モデルの学習方法を提供する。
【解決手段】水処理システムにおいて処理が行われる被処理水の第1臭気情報と、被処理水の状態についての第1状態条件と被処理水を処理する際の水処理システムの第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって生成された学習モデルに対して、新たな被処理水の第2状態条件と新たな被処理水を処理する際の水処理システムの第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報を入力し、第2条件情報の入力に伴って学習モデルから出力された臭気情報を新たな被処理水の第2臭気情報として出力する制御装置を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理システムにおいて処理が行われる被処理水の第1臭気情報と、前記被処理水の状態についての第1状態条件と前記被処理水を処理する際の前記水処理システムの第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって生成された学習モデルに対して、新たな被処理水の第2状態条件と前記新たな被処理水を処理する際の前記水処理システムの第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報を入力し、前記第2条件情報の入力に伴って前記学習モデルから出力された臭気情報を前記新たな被処理水の第2臭気情報として出力する制御装置を備えた、臭気予測システム。
【請求項2】
さらに、前記水処理システムにおいて前記被処理水の脱臭を行う脱臭装置を有し、
前記制御装置は、出力した前記第2臭気情報に基づいて、前記脱臭装置を制御する、請求項1に記載の臭気予測システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記被処理水の臭気情報と、前記被処理水の1種類以上の臭気のそれぞれに対応する物質の第1濃度との関係を示す情報に基づき、前記第2臭気情報に対応する前記第1濃度を算出し、
算出した前記第1濃度を出力する、請求項1に記載の臭気予測システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記被処理水の臭気情報と、前記被処理水の特定種類の臭気に対応する1以上の物質のそれぞれの第2濃度との関係を示す情報に基づき、前記第2臭気情報に対応する前記第2濃度を算出し、
算出した前記第2濃度を出力する、請求項1に記載の臭気予測システム。
【請求項5】
水処理システムにおいて処理が行われる被処理水の第1臭気情報と、前記被処理水の状態についての第1状態条件と前記被処理水を処理する際の前記水処理システムの第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって、新たな被処理水の第2状態条件と前記新たな被処理水を処理する際の前記水処理システムの第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報の入力に伴って前記新たな被処理水の第2臭気情報を出力する学習モデルを生成する情報処理装置を備えた、臭気予測システム。
【請求項6】
水処理システムにおいて処理が行われる被処理水の第1臭気情報と、前記被処理水の状態についての第1状態条件と前記被処理水を処理する際の前記水処理システムの第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって生成された学習モデルに対して、新たな被処理水の第2状態条件と前記新たな被処理水を処理する際の前記水処理システムの第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報を入力し、前記第2条件情報の入力に伴って前記学習モデルから出力された臭気情報を前記新たな被処理水の第2臭気情報として出力する、臭気予測方法。
【請求項7】
水処理システムにおいて処理が行われる被処理水の第1臭気情報と、前記被処理水の状態についての第1状態条件と前記被処理水を処理する際の前記水処理システムの第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを取得し、
取得した前記複数の教師データを用いた機械学習によって、新たな被処理水の第2状態条件と前記新たな被処理水を処理する際の前記水処理システムの第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報の入力に伴って前記新たな被処理水の第2臭気情報を出力する学習モデルを生成する、処理をコンピュータが実行する学習モデルの学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭気予測システム、臭気予測方法及び学習モデルの学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、上水プラントに設置された浄水処理システムでは、河川水等の原水(以下、単に原水とも呼ぶ)に含まれる浮遊物(SS:Suspended Solids)の除去が行われる。また、例えば、下水プラントに設置された下水処理システムでは、汚泥等を含む下水(以下、単に下水とも呼ぶ)に含まれる有機物や浮遊物質等の除去が行われる(特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-073903号公報
【特許文献2】特開2021-079335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような浄水処理システムや下水処理システム(以下、これらを総称して単に水処理システムとも呼ぶ)では、例えば、水処理システム内の各設備において原水や下水(以下、これらを総称して単に被処理水とも呼ぶ)から発生する臭気を抑制する必要がある。そのため、上記のような水処理システムでは、例えば、被処理水からの臭気の発生状況を精度良く予測することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような臭気の発生状況を精度良く予測するため、本発明における臭気予測システムは、水処理システムにおいて処理が行われる被処理水の第1臭気情報と、前記被処理水の状態についての第1状態条件と前記被処理水を処理する際の前記水処理システムの第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第1条件情報と、をそれぞれ含む複数の教師データを用いた機械学習によって生成された学習モデルに対して、新たな被処理水の第2状態条件と前記新たな被処理水を処理する際の前記水処理システムの第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す第2条件情報を入力し、前記第2条件情報の入力に伴って前記学習モデルから出力された臭気情報を前記新たな被処理水の第2臭気情報として出力する制御装置を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明における臭気予測システム、臭気予測方法及び学習モデルの学習方法によれば、被処理水からの臭気の発生状況を精度良く予測することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、比較例における臭気測定システム800の構成例を説明する図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態における臭気予測システム100の構成例を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態における情報処理装置40の構成例を説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態における制御装置30の構成例を説明する図である。
【
図5】
図5は、モデル生成処理を説明するフローチャート図である。
【
図6】
図6は、教師データDT3の第1の具体例について説明する図である。
【
図7】
図7は、教師データDT3の第2の具体例について説明する図である。
【
図8】
図8は、脱臭制御処理を説明するフローチャート図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態における臭気予測システム100の変形例について説明する図である。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態における臭気予測システム100の変形例について説明する図である。
【
図11】
図11は、第1の実施の形態における臭気予測システム100の変形例について説明する図である。
【
図12】
図12は、第2の比較例における臭気測定システム900の構成例を説明する図である。
【
図13】
図13は、第2の実施の形態における臭気予測システム200の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[第1の比較例における臭気測定システム800]
初めに、第1の比較例における臭気測定システム800について説明を行う。
図1は、第1の比較例における臭気測定システム800の構成例を説明する図である。
【0010】
臭気測定システム800は、例えば、水処理システム10を有する。
【0011】
また、水処理システム10は、上水プラントに配置される浄水処理システムであり、例えば、沈砂池11と、着水井12と、混和池13と、フロック形成池14と、沈殿池15と、濾過池16と、浄水池17と、配水池18とを有する。
【0012】
沈砂池11は、例えば、被処理水(原水)が最初に流入する槽であり、被処理水に含まれる土砂等を沈殿除去する槽である。
【0013】
着水井12は、例えば、沈砂池11から供給された被処理水の供給量を調整して混和池13に供給する槽である。
【0014】
混和池13は、例えば、着水井12から供給された被処理水に対して凝集剤を注入して撹拌する槽である。
【0015】
フロック形成池14は、例えば、混和池13から供給された被処理水に含まれる浮遊物を注入された凝集剤により凝集させることによってフロックを形成する槽である。
【0016】
沈殿池15は、例えば、フロック形成池14から供給された被処理水に含まれるフロックを沈殿させて被処理水から分離する槽である。
【0017】
濾過池16は、例えば、砂や砂利等からなる濾過体(図示せず)を用いることによって、沈殿池15から供給された被処理水の濾過を行う槽である。
【0018】
浄水池17は、例えば、濾過池16から供給された被処理水(例えば、濾過池16の後段において塩素消毒が行われた後の被処理水)を一時的に貯留して配水池18に供給する槽である。
【0019】
配水池18は、例えば、浄水池17から供給された被処理水(処理水)を一時的に貯留して家庭等(図示せず)に供給する。
【0020】
なお、水処理システム10は、例えば、沈砂池11、着水井12、混和池13、フロック形成池14、沈殿池15、濾過池16、浄水池17及び配水池18以外の他の設備を有するものであってもよい。具体的に、水処理システム10は、例えば、沈殿池15において分離されたフロックを濃縮する濃縮槽(図示せず)を有するものであってもよい。
【0021】
また、臭気測定システム800は、例えば、脱臭装置20と、制御装置830とを有する。
【0022】
脱臭装置20は、例えば、水処理システム10において被処理水の脱臭を行う装置である。具体的に、脱臭装置20は、例えば、活性炭や脱臭フィルタを用いることによって、被処理水(例えば、着水井12に貯留された被処理水)の脱臭を行う。
【0023】
制御装置830は、例えば、水処理システム10における臭気の発生状況を示す情報(以下、臭気情報とも呼ぶ)に基づいて脱臭装置20を制御する。制御装置830は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有するコンピュータ装置である。また、臭気情報は、例えば、水処理システム10における被処理水の臭気指数、臭気強度、臭気の種類、臭気の有無、臭気の構成物質及び臭気の各構成物質の濃度等のうちの少なくともいずれかを示す情報である。以下、臭気情報が臭気指数である場合について説明を行う。
【0024】
具体的に、作業者OPは、
図1に示すように、例えば、着水井12、沈殿池15及び配水池18のうちの少なくともいずれかにおいて被処理水を取得する。そして、作業者OPは、例えば、取得した被処理水の臭気指数を作業者OPの嗅覚によって測定する。さらに、作業者OPは、例えば、測定した臭気指数を制御装置830に入力する。その後、制御装置30は、例えば、作業者OPによって入力された臭気指数に基づいて、脱臭装置20の制御(例えば、活性炭の供給量制御や脱臭フィルタの設定制御等)を行う。
【0025】
しかしながら、上記のように作業者OPが臭気指数の測定を行う場合、作業者OPの作業時間が長くなるだけでなく、臭いが付着する可能性があるもの(石鹸や煙草等)の使用が制限されるため、作業者OPの作業負担が大きくなる。また、複数の作業者OPが臭気指数の測定を分担して行う場合、複数の作業者OP間において測定結果の個人差の発生する可能性があり、臭気指数の測定が精度良く安定的に行われない場合がある。さらに、被処理水の取得場所と臭気指数の測定場所とが異なる場合、臭気指数の測定を連続的に行うことができず、臭気指数の測定を効率的に行うことができない。
【0026】
これに対し、臭気測定システム800では、例えば、被処理水の分析装置(図示せず)が用いられる場合がある。これにより、臭気測定システム800では、例えば、臭気指数の測定に要する作業者OPの作業負担を軽減することが可能になるとともに、被処理水における臭気の構成物質の特定や各構成物質の濃度の測定についても行うことが可能になる。
【0027】
しかしながら、上記のような分析装置は、被処理水の臭気指数の測定を作業者OPの嗅覚によって行う場合と同等の精度で行うことができない場合がある。また、分析装置を用いた測定を行う場合、例えば、分析装置の購入費用やメンテナンス費用が必要になる。
【0028】
そこで、発明者は、被処理水の臭気情報についての効率的な取得を可能にするため、鋭意検討を行った。その結果、発明者は、実際に測定した被処理水の臭気情報と、被処理水の処理が行われる際の条件との間に相関関係があることを見出した。
【0029】
例えば、被処理水の臭気指数と、濁度計やpH計等による被処理水についての各種測定値との間における相関関係がこれに該当する。具体的に、被処理水の臭気指数は、例えば、濁度が高いと、汚泥粒子が多いことや汚泥粒子に栄養塩等が多く付着することから被処理水を十分に処理しきれず、水質が悪化するため、被処理水の濁度の上昇に伴って上昇し、被処理水の濁度の低下に伴って低下する傾向にある。また、濁度が高いと、濁度粒子によって細菌が保護され、塩素による消毒効果が低下するため、塩素要求量や被処理水の塩素濃度も多くなる。したがって、被処理水の塩素要求量が高いと、臭気指数が高くなる。さらに、被処理水の臭気指数は、例えば、被処理水のpHに応じて変動する。被処理水のpHは6.5~8.5程度(中性付近)にあることが多く、生物処理が良好の場合は、pHは7以上(アルカリ性)になる。ここで、被処理水のpHが上昇(例えば、pH=9)すると、アンモニア窒素が多くなるためアンモニアが多く発生し、また、アンモニアの揮発性が急上昇するため、臭気指数が高くなる。また、この場合、硫化水素やメチルメルカプタンの発生は抑制され、揮発性も低下する。一方、被処理水のpHが低下(例えば、pH=4)すると、硫化水素やメチルメルカプタンが多く発生するため、臭気指数は高くなる。
【0030】
また、例えば、被処理水の臭気情報と、被処理水の処理が行われる際の水処理システム10の日時、降水量、気温及び湿度のうちの少なくともいずれかとの間における相関関係がこれに該当する。具体的に、例えば、梅雨の時期において下水処理施設に流れ込む下水の量は、他の時期よりも増加する。下水の量が増加すると、滞留時間を一定に設定している池等では、十分な滞留時間が得られなくなり、粒子の沈降や薬品との化学反応や生物による処理が十分に行われず、処理水質が悪化する。また、例えば、梅雨の時期においては、降雨量が多いため湿度が高く、気温も比較的高い。湿度が高いと、水溶性の高いアンモニアや硫化水素が水蒸気中に多く含まるようになり、カビ等の生物が増殖して代謝物である臭気物質が多く生成される。また、気温が高いと、生物が活性化して、被処理水からのガスの生成量が増加するようになり、被処理水の水分子や生成ガス分子の運動が活発になり、臭気を発生させる化学反応や臭気分子の揮発や拡散が促進される。そのため、例えば、梅雨の時期における被処理水の臭気指数は、他の時期よりも高くなる。また、例えば、日中の時間帯において下水処理施設に流れ込む下水の量は、早朝や深夜の時間帯よりも増加し、日中の時間帯における気温は、早朝や深夜の時間帯よりも高くなる。そのため、例えば、日中の時間帯における被処理水の臭気指数は、早朝や深夜の時間帯よりも高くなる。さらに、例えば、日本では夏の時期において湿度及び気温が高くなり、冬の時期において湿度及び気温が低くなる。そのため、例えば、夏の時期における被処理水の臭気指数は、冬の時期よりも高くなる。
【0031】
そして、発明者は、上記の相関関係を学習した機械学習モデル(以下、単に学習モデルとも呼ぶ)を用いることによって、被処理水の臭気情報の予測(出力)を行うことを想達した。以下、上記の学習モデルを用いた臭気予測システム100について説明を行う。
【0032】
[第1の実施の形態における臭気予測システム100]
図2は、第1の実施の形態における臭気予測システム100の構成例を説明する図である。また、
図3は、第1の実施の形態における情報処理装置40の構成例を説明する図である。さらに、
図4は、第1の実施の形態における制御装置30の構成例を説明する図である。以下、第1の比較例における臭気測定システム800と異なる点について説明を行う。
【0033】
本実施の形態における臭気予測システム100は、例えば、水処理システム10における被処理水の臭気情報を予測する学習モデルを生成する。具体的に、臭気予測システム100は、例えば、水処理システム10における被処理水の臭気指数または臭気強度を予測する学習モデルを生成する。そして、臭気予測システム100は、例えば、学習モデルによって予測した臭気情報に基づいて脱臭装置20を制御する。以下、学習モデルが臭気指数の予測を行う場合について説明を行う。
【0034】
具体的に、臭気予測システム100は、
図2に示すように、例えば、制御装置30と、情報処理装置40とを有する。
【0035】
また、水処理システム10には、
図2に示すように、例えば、被処理水を沈砂池11に供給する流入管L1、沈砂池11、着水井12、混和池13、フロック形成池14、沈殿池15、濾過池16、浄水池17及び配水池18のそれぞれにおいて、測定装置M1、測定装置M2、測定装置M3、測定装置M4、測定装置M5、測定装置M6、測定装置M7、測定装置M8及び測定装置M9(以下、測定装置M1等とも呼ぶ)のそれぞれが設置されている。
【0036】
なお、測定装置M1、測定装置M2及び測定装置M3のそれぞれは、例えば、濁度計、pH計、電気伝導率計、アルカリ度計、水温計、カビ臭計、アンモニア態窒素計、残留塩素計、塩素要求量計、溶存酸素濃度計、油分計及び油圧計のうちの少なくともいずれかであってよい。また、測定装置M4、測定装置M5、測定装置M6及び測定装置M7のそれぞれは、例えば、濁度計、全有機炭素計、有機性汚濁物質測定装置、残留塩素計及び塩素要求量計のうちの少なくともいずれかであってよい。さらに、測定装置M8及び測定装置M9のそれぞれは、例えば、残留塩素計、カビ臭計、電気伝導率計、トリハロメタン計、濁度計、色度計、水温計、pH計、有機性汚濁物質測定装置及び全有機炭素計のうちの少なくともいずれかであってよい。
【0037】
制御装置30は、例えば、水処理システム10において測定された測定値に基づいて脱臭装置20を制御する。制御装置30は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。
【0038】
具体的に、制御装置30は、
図2に示すように、例えば、測定装置M1等のうちの少なくともいずれかが測定した測定値を取得する。そして、制御装置30は、例えば、取得した測定値に基づいて脱臭装置20を制御する。
【0039】
なお、水処理システム10には、例えば、沈砂池11、着水井12、混和池13、フロック形成池14、沈殿池15、濾過池16、浄水池17及び配水池18以外の他の設備において、測定装置M1以外の他の測定装置(図示せず)が設置されるものであってもよい。具体的に、水処理システム10には、例えば、濃縮槽(図示せず)において、他の測定装置が設定されるものであってもよい。そして、制御装置30は、例えば、他の測定装置が測定した測定値を取得し、取得した測定値に基づいて脱臭装置20を制御するものであってもよい。
【0040】
情報処理装置40は、例えば、水処理システム10における被処理水の臭気情報を予測する学習モデルを生成する処理(以下、モデル生成処理とも呼ぶ)を行う。情報処理装置40は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。なお、制御装置30及び情報処理装置40は、例えば、単一のコンピュータ装置であってもよい。
【0041】
具体的に、情報処理装置40は、例えば、水処理システム10において処理が行われる被処理水の状態についての状態条件と、被処理水を処理する際の水処理システム10の環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す情報(以下、条件情報とも呼ぶ)の入力に伴って、水処理システム10において処理が行われる被処理水の臭気情報を出力する学習モデルの生成を行う。被処理水の状態条件は、例えば、測定装置M1等のうちの少なくともいずれかによって測定された測定値が示す水処理システム10の状態についての条件である。また、被処理水の環境条件は、例えば、被処理水の処理が行われる際の水処理システム10の日時、降水量、気温及び湿度のうちの少なくともいずれかである。
【0042】
さらに具体的に、作業者OPは、
図3に示すように、例えば、複数のタイミングにおいて被処理水の臭気情報DT1(以下、第1臭気情報とも呼ぶ)を予め測定する。臭気情報DT1は、例えば、被処理水の臭気指数または臭気強度である。また、制御装置30は、例えば、被処理水の臭気情報DT1の測定を行った複数のタイミングのそれぞれについて、各タイミングにおける被処理水の状態条件(以下、第1状態条件とも呼ぶ)と被処理水の環境条件(以下、第1環境条件とも呼ぶ)とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT2(以下、第1条件情報とも呼ぶ)を予め取得する。
【0043】
そして、情報処理装置40は、例えば、複数のタイミングのそれぞれについて、各タイミングに対応する臭気情報DT1と各タイミングに対応する条件情報DT2との組合せを含む教師データDT3をそれぞれ生成し、生成した教師データDT3を記憶装置41に記憶する。記憶装置41は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する記憶装置である。
【0044】
その後、情報処理装置40は、例えば、記憶装置41に記憶した複数の教師データDT3を用いた機械学習を行うことによって学習モデルMDを生成し、生成した学習モデルMDを記憶装置42に記憶する。記憶装置42は、例えば、制御装置30がアクセス可能な記憶装置であって、HDDやSSD等の記憶媒体を有する記憶装置である。
【0045】
なお、記憶装置41及び記憶装置42のそれぞれは、例えば、制御装置30及び情報処理装置40と異なる装置であってもよいし、制御装置30または情報処理装置40に内蔵された装置であってもよい。また、記憶装置41及び記憶装置42は、例えば、単一の記憶装置であってもよい。
【0046】
その後、制御装置30は、
図4に示すように、例えば、定期的なタイミングにおいて、各タイミングにおける被処理水の状態条件(以下、第2状態条件とも呼ぶ)と被処理水の環境条件(以下、第2環境条件とも呼ぶ)とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT11(以下、第2条件情報とも呼ぶ)を取得し、取得した条件情報DT11を記憶装置42に記憶された学習モデルMDに対して入力する。そして、制御装置30は、例えば、条件情報DT11の入力に伴って学習モデルMDから出力された値を、各タイミングにおける被処理水の臭気情報DT12(以下、第2臭気情報とも呼ぶ)として取得する。
【0047】
このように、本実施の形態における臭気予測システム100は、水処理システム10において処理が行われる被処理水の臭気情報DT1と、被処理水の状態についての第1状態条件と被処理水を処理する際の水処理システム10の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT2と、をそれぞれ含む複数の教師データDT3を用いた機械学習によって生成された学習モデルMDに対して、新たな被処理水の第2状態条件と新たな被処理水を処理する際の水処理システム10の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT11を入力し、条件情報DT11の入力に伴って学習モデルMDから出力された臭気情報を新たな被処理水の臭気情報DT12として出力する制御装置30を備える。
【0048】
すなわち、水処理システム10において同じタイミングに取得(測定)された臭気情報DT1と条件情報DT2との間には、一定の相関関係がある。そこで、本実施の形態における情報処理装置40は、例えば、過去のタイミングにおいて取得(測定)された臭気情報DT1と条件情報DT2とを含む教師データDT3を用いた機械学習を行うことによって学習モデルMDを生成する。そして、制御装置30は、例えば、情報処理装置40が生成した学習モデルMDを用いることによって、水処理システム10における被処理水の臭気情報DT12(現在の臭気情報)の予測を行う。
【0049】
これにより、本実施の形態における制御装置30は、例えば、水処理システム10の運用中における被処理水の臭気情報DT12を、水処理システム10における過去の実績に基づいて生成された学習モデルMDを用いて予測することが可能になる。そのため、制御装置30は、例えば、水処理システム10における被処理水の臭気情報DT12の予測を精度良く行うことが可能になる。
【0050】
なお、上記の例では、教師データDT3が記憶装置41に記憶される場合について説明を行ったが、これに限られない。情報処理装置40は、例えば、生成した教師データDT3を、臭気予測システム100の外部に設けられた他の記憶装置(例えば、外部のクラウド環境に設けられた他の記憶装置)に記憶するものであってよい。そして、情報処理装置40は、学習モデルMDを生成する場合、例えば、他の記憶装置にアクセスすることによって、教師データDT3を取得するものであってもよい。
【0051】
また、上記の例では、学習モデルMDが記憶装置42に記憶される場合について説明を行ったが、これに限られない。情報処理装置40は、例えば、生成した学習モデルMDを、臭気予測システム100の外部に設けられた他の記憶装置(例えば、外部のクラウド環境に設けられた他の記憶装置)に記憶するものであってよい。そして、制御装置30は、例えば、他の記憶装置に記憶された学習モデルMDに対して、条件情報DT11を入力するものであってもよい。
【0052】
[モデル生成処理]
次に、情報処理装置40におけるモデル生成処理について説明を行う。
図5は、モデル生成処理を説明するフローチャート図である。また、
図6及び
図7は、モデル生成処理を説明する図である。なお、モデル生成処理は、例えば、情報処理装置40内において、記憶媒体からメモリにロードされたプログラムとCPUとが協働することによって実行される処理である。
【0053】
情報処理装置40は、例えば、複数のタイミングにおいて被処理水の臭気情報DT1を取得する(
図5におけるステップS1)。具体的に、情報処理装置40は、例えば、複数のタイミングのそれぞれにおいて作業者OPが嗅覚によって測定した複数の臭気情報DT1を取得する。
【0054】
また、情報処理装置40は、例えば、複数のタイミング(臭気情報DT1の取得が行われた複数のタイミング)における条件情報DT2を取得する(
図5におけるステップS1)。具体的に、情報処理装置40は、例えば、複数のタイミングのそれぞれにおいて制御装置30が取得した複数の条件情報DT2を取得する。
【0055】
そして、情報処理装置40は、例えば、複数のタイミングのそれぞれについて、各タイミングに対応する臭気情報DT1と条件情報DT2との組合せを含む教師データDT3を生成する(
図5におけるステップS2)。以下、複数の教師データDT3の具体例について説明を行う。
【0056】
[教師データDT3の第1の具体例]
初めに、教師データDT3の第1の具体例について説明を行う。
図6は、教師データDT3の第1の具体例について説明する図である。
図6に示す教師データDT3(以下、教師データDT3aとも呼ぶ)は、臭気情報DT1として、着水井12において測定された臭気指数を含み、条件情報DT2として、着水井12において測定された濁度とpHと塩素要求量とを含む教師データDT3である。すなわち、
図6に示す教師データDT3aは、条件情報DT2として、着水井12に貯留されている被処理水の状態条件を含む教師データDT3である。
【0057】
具体的に、
図6に示す教師データDT3aにおいて、1行目のデータには、「臭気指数」として「20」が設定され、「濁度」として「1(NTU)」が設定され、「pH」として「6.5」が設定され、「塩素要求量」として「0.1(L/min)」が設定されている。
【0058】
また、
図6に示す教師データDT3aにおいて、2行目のデータには、「臭気指数」として「30」が設定され、「濁度」として「2(NTU)」が設定され、「pH」として「7.0」が設定され、「塩素要求量」として「0.3(L/min)」が設定されている。
図6に含まれる他のデータのついての説明は省略する。
【0059】
[教師データDT3の第2の具体例]
次に、教師データDT3の第2の具体例について説明を行う。
図7は、教師データDT3の第2の具体例について説明する図である。
図7に示す教師データDT3(以下、教師データDT3bとも呼ぶ)は、臭気情報DT1として、着水井12において測定された臭気指数を含み、条件情報DT2として、着水井12において被処理水の処理が行われたタイミングにおける日付、時間、降水量、気温及び湿度を含む教師データDT3である。すなわち、
図7に示す教師データDT3bは、条件情報DT2として、水処理システム10の環境条件を含む教師データDT3である。
【0060】
具体的に、
図7に示す教師データDT3bにおいて、1行目のデータには、「臭気指数」として「20」が設定され、「日付」として「4/1」が設定され、「時間」として「8:00」が設定され、「降水量」として「0(mm)」が設定され、「気温」として「5(℃)」が設定され、「湿度」として「10(%)」が設定されている。
【0061】
また、
図7に示す教師データDT3bにおいて、2行目のデータには、「臭気指数」として「30」が設定され、「日付」として「4/1」が設定され、「時間」として「10:00」が設定され、「降水量」として「0(mm)」が設定され、「気温」として「12(℃)」が設定され、「湿度」として「10(%)」が設定されている。
図7に含まれる他のデータのついての説明は省略する。
【0062】
図5に戻り、情報処理装置40は、例えば、複数のタイミングのそれぞれについて生成した複数の教師データDT3を用いた機械学習を行うことによって学習モデルMDを生成する(
図5におけるステップS3)。
【0063】
このように、本実施の形態における情報処理装置40は、例えば、水処理システム10において処理が行われる被処理水の第1臭気情報と、被処理水の状態についての第1状態条件と被処理水を処理する際の水処理システム10の第1環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT2と、をそれぞれ含む複数の教師データDT3を取得する。具体的に、複数の教師データDT3は、例えば、
図6及び
図7で説明した教師データDT3aと教師データDT3bとのうちの少なくとも1つのデータ(セット)を含む教師データである。そして、情報処理装置40は、例えば、取得した複数の教師データDT3を用いた機械学習によって、新たな被処理水の第2状態条件と新たな被処理水を処理する際の水処理システム10の第2環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT11の入力に伴って新たな被処理水の臭気情報DT12を出力する学習モデルMDを生成する。
【0064】
これにより、本実施の形態における情報処理装置40は、例えば、水処理システム10における被処理水の臭気情報DT12の予測を精度良く行うことが可能な学習モデルMDを生成することが可能になる。
【0065】
なお、情報処理装置40は、例えば、ステップS3において、線形回帰、GBDT(Gradient Boosting Decision Tree)、決定木、回帰木及びk近傍法を含む複数の手法のうちのいずれかを用いることによって、複数の教師データDT3の機械学習を行うものであってよい。
【0066】
[脱臭制御処理]
次に、制御装置30における脱臭制御処理について説明を行う。
図8は、脱臭制御処理を説明するフローチャート図である。なお、脱臭制御処理は、例えば、制御装置30内において、記憶媒体からメモリにロードされたプログラムとCPUとが協働することによって実行される処理である。
【0067】
制御装置30は、例えば、定期的なタイミングにおいて条件情報DT11を取得する(
図8におけるステップS11)。
【0068】
具体的に、制御装置30は、例えば、
図5におけるステップS2で生成した教師データDT3に含まれる条件情報DT2と同じ種類の臭気情報を水処理システム10から取得する。すなわち、例えば、教師データDTに含まれる条件情報DT2が着水井12における被処理水の濁度(測定装置M3が測定した濁度)である場合、制御装置30は、条件情報DT11として、着水井12における被処理水の現在の濁度を取得する。
【0069】
そして、制御装置30は、例えば、ステップS11において取得した条件情報DT11を学習モデルMDに入力する。その後、制御装置30は、例えば、学習モデルMDから出力された値を、水処理システム10における被処理水の現在の臭気情報DT12として予測する(
図8におけるステップS12)。
【0070】
続いて、制御装置30は、例えば、ステップS12において予測した臭気情報DT12に従って脱臭装置20を制御する(
図8におけるステップS13)。
【0071】
具体的に、例えば、ステップS12において予測した臭気情報DT12(例えば、臭気指数または臭気強度)が予め定められた閾値(以下、第1閾値とも呼ぶ)を上回った場合、制御装置30は、脱臭装置20を起動することによって、水処理システム10において処理中の被処理水(例えば、着水井12に貯留されている被処理水)の脱臭を開始する。一方、例えば、ステップS12において予測した臭気情報DT12が第1閾値を下回った場合、制御装置30は、脱臭装置20を停止することによって、水処理システム10において処理中の被処理水の脱臭を終了する。
【0072】
また、例えば、ステップS12において予測した臭気情報DT12が予め定められた閾値(以下、第2閾値とも呼ぶ)を上回った場合、制御装置30は、脱臭装置20を制御することによって、水処理システム10に対する活性炭の供給量または洗浄頻度や洗浄時間(例えば、着水井12に対する活性炭の供給量または洗浄頻度や洗浄時間)や、空気(または酸素)の供給量(例えば、臭気の吸引や送風を行うファンの回転数)や、水の供給量(例えば、洗浄塔への水の供給量)や、薬液や消臭剤やオゾンの供給量(例えば、消臭剤やオゾン水を噴霧するポンプの圧力)を増加させる。第2閾値は、例えば、第1閾値よりも高い閾値である。一方、例えば、ステップS12において予測した臭気情報DT12が第2閾値を下回った場合、制御装置30は、脱臭装置20を制御することによって、水処理システム10に対する活性炭や空気や水やオゾン等の供給量を減少させる。
【0073】
なお、制御装置30は、ステップS13において、例えば、ステップS12において予測した臭気情報DT12を制御装置30の出力装置(図示せず)に表示するものであってもよい。そして、作業者OPは、例えば、出力装置に表示された臭気情報DT12を閲覧し、手動によって脱臭装置20を制御するものであってもよい。
【0074】
このように、本実施の形態における臭気予測システム100は、例えば、水処理システム10において被処理水の脱臭を行う脱臭装置20を有する。そして、本実施の形態における制御装置30は、例えば、学習モデルMDを用いることによって予測した臭気情報DT12に基づいて脱臭装置20を制御する。
【0075】
すなわち、本実施の形態における制御装置30は、例えば、水処理システム10における脱臭装置20の制御を、学習モデルMDから出力された予測精度の高い臭気情報DT12を用いることによって行う。
【0076】
これにより、本実施の形態における臭気予測システム100は、例えば、水処理システム10における被処理水の脱臭を効率的に行うことが可能になる。具体的に、臭気予測システム100は、例えば、作業者OPの嗅覚による臭気情報の測定や分析装置による分析を行うことなく、脱臭装置20の制御を行うことが可能になる。そのため、臭気予測システム100は、例えば、被処理水の臭気情報の測定に伴う作業者OPの作業負担を抑制するとともに、分析装置を使用する場合に発生する費用を抑制することが可能になる。また、臭気予測システム100は、例えば、複数の作業者OP間における測定結果の個人差の発生や、被処理水の取得場所と被処理水の臭気情報の測定場所とが異なることによる測定効率の低下の発生を抑制することが可能になる。
【0077】
また、臭気予測システム100は、例えば、学習モデルMDから出力された予測精度の高い臭気情報DT12を用いることで、被処理水の脱臭が必要なタイミングにおいて脱臭装置20による被処理水の脱臭を行うことが可能になる。そのため、臭気予測システム100は、例えば、被処理水の脱臭効果を向上させることが可能になる。
【0078】
なお、情報処理装置40は、ステップS3において、例えば、互いに異なる条件情報DT2を有する複数種類の教師データDT3を用いることによって、複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0079】
具体的に、情報処理装置40は、例えば、
図6で説明した複数の教師データDT3aを用いた学習モデルMDと、
図7で説明した複数の教師データDT3bを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成するものであってもよい。
【0080】
そして、制御装置30は、例えば、テスト段階(脱臭制御処理の実行開始前)において、生成した複数の学習モデルMDのそれぞれを用いることによって臭気情報DT12の予測を行い、最も精度が高いと判断可能な学習モデルMDを、脱臭制御処理において用いる学習モデルMDとして選定するものであってもよい。
【0081】
これにより、制御装置30は、例えば、各水処理システム10における被処理水の臭気情報DT12の予測に適した教師データDT3を特定することが可能になり、被処理水の臭気情報DT12の予測精度をより向上させることが可能になる。
【0082】
また、情報処理装置40は、ステップS3において、例えば、複数の手法(例えば、線形回帰、GBDT、決定木、回帰木及びk近傍法等)のうちの異なる手法を用いた複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0083】
これにより、制御装置30は、例えば、各水処理システム10における被処理水の臭気情報DT12の予測に適した機械学習の手法を特定することが可能になり、被処理水の臭気情報DT12の予測精度をより向上させることが可能になる。
【0084】
また、情報処理装置40は、ステップS3において、例えば、同一種類の教師データDT3(例えば、条件情報DT2として同一種類の環境条件を含む教師データDT3)から複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0085】
具体的に、情報処理装置40は、例えば、
図7で説明した複数の教師データDT3bのそれぞれを、各データに含まれる日付の範囲ごと、または、各データに含まれる時間の範囲ごとに複数のグループに分類し、分類した複数のグループごとに、各グループに分類された教師データDT3bを用いた学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0086】
さらに具体的に、情報処理装置40は、例えば、日付が1月から3月までの間である教師データDT3bを用いた学習モデルMDと、日付が4月から6月までの間である教師データDT3bを用いた学習モデルMDと、日付が7月から9月までの間である教師データDT3bを用いた学習モデルMDと、日付が10月から12月までの間である教師データDT3bを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成するものであってもよい。なお、情報処理装置40は、この場合、例えば、梅雨の時期や大型連休等に対応する学習モデルMDをさらに生成するものであってもよい。
【0087】
そして、制御装置30は、例えば、ステップS12において、例えば、生成した複数の学習モデルMDのうち、脱臭制御処理を行う日付に対応する学習モデルMDを選択して臭気情報DT12の予測を行うものであってもよい。
【0088】
これにより、制御装置30は、例えば、臭気予測システム100の運転環境(例えば、季節)によって被処理水の臭気情報DT12の傾向が大きく異なる場合であっても、臭気情報DT12の予測を精度良く行うことが可能になる。
【0089】
さらに、情報処理装置40は、ステップS3において、例えば、同一種類の教師データDT3(例えば、条件情報DT2として同一種類の状態条件を含む教師データDT3)から複数の学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0090】
具体的に、情報処理装置40は、例えば、
図6で説明した複数の教師データDT3aのそれぞれを、各データに含まれる濁度の範囲ごとに複数のグループに分類し、分類した複数のグループごとに、各グループに分類された教師データDT3aを用いた学習モデルMDを生成するものであってもよい。
【0091】
さらに具体的に、情報処理装置40は、例えば、濁度が5(NTU)未満である教師データDT3aを用いた学習モデルMDと、濁度が5(NTU)以上である教師データDT3aを用いた学習モデルMDとをそれぞれ生成するものであってもよい。
【0092】
そして、制御装置30は、例えば、ステップS12において、例えば、生成した複数の学習モデルMDのうち、被処理水の現在の濁度に対応する学習モデルMDを選択して臭気情報DT12の予測を行うものであってもよい。
【0093】
これにより、制御装置30は、例えば、臭気予測システム100の運転状況(例えば、被処理水の濁度)によって被処理水の臭気情報DT12の傾向が大きく異なる場合であっても、臭気情報DT12の予測を精度良く行うことが可能になる。
【0094】
[第1の実施の形態における臭気予測システム100の変形例]
次に、第1の実施の形態における臭気予測システム100の変形例について説明を行う。
図9から
図11は、第1の実施の形態における臭気予測システム100の変形例について説明する図である。
【0095】
制御装置30は、例えば、ステップS13において、ステップS12において予測した臭気情報DT12を用いることによって、臭気情報DT12以外の他の臭気情報(以下、単に他の臭気情報とも呼ぶ)についてのさらなる予測を行うものであってもよい。そして、制御装置30は、例えば、臭気情報DT12と他の臭気情報とに基づいて、脱臭装置20の制御を行うものであってもよい。
【0096】
具体的に、制御装置30は、例えば、予め生成した検量線グラフを用いることにより、ステップS12において予測した臭気情報DT12から他の臭気情報についての予測を行うものであってよい。以下、検量線グラフを用いる場合におけるステップS13の処理について説明を行う。
【0097】
[ステップS13の変形例(1)]
次に、ステップS13の処理についての第1の変形例について説明を行う。
図9は、ステップS13の処理についての第1の変形例について説明する図である。なお、以下、ステップS12で予測した臭気情報が臭気指数であるものとして説明を行う。
【0098】
制御装置30は、例えば、テスト段階(脱臭制御処理の実行開始前)において、作業者OPの嗅覚によって測定した臭気指数と、臭気の各種類に対応する構成物質の濃度(例えば、分析装置によって測定された濃度)との組合せを複数のタイミングのそれぞれについて取得する。そして、制御装置30は、例えば、複数のタイミングのそれぞれについて取得した組合せから算出した近似直線または近似曲線を検量線グラフG11として生成する。
【0099】
具体的に、制御装置30は、
図9(A)に示すように、例えば、臭気指数と悪臭に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフと、臭気指数とカビ臭に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフと、臭気指数とカルキ臭に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフと、臭気指数と果実臭に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフとを含む検量線グラフG11を生成する。なお、検量線グラフG11は、例えば、臭気指数と腐敗臭に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフや、臭気指数と糞臭に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフや、臭気指数とオゾン臭に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフや、臭気指数と焦臭に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフや、臭気指数と花香に対応する構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフ等をさらに含むものであってもよい。
【0100】
その後、制御装置30は、
図9(A)に示すように、例えば、ステップS13において、検量線グラフG11を参照し、ステップS12で予測した臭気指数であるX1に対応する各種類の濃度を特定する。
【0101】
具体的に、制御装置30は、例えば、悪臭に対応する構成物質の濃度としてY11(ppm)を特定し、カビ臭に対応する構成物質の濃度としてY12(ppm)を特定し、カルキ臭に対応する構成物質の濃度としてY13(ppm)を特定し、果実臭に対応する構成物質の濃度としてY14(ppm)を特定する。
【0102】
そして、制御装置30は、例えば、ステップS12で予測した臭気指数であるX1と、悪臭に対応する構成物質の濃度であるY11(ppm)と、カビ臭に対応する構成物質の濃度であるY12(ppm)と、カルキ臭に対応する構成物質の濃度であるY13(ppm)と、果実臭に対応する構成物質の濃度であるY14(ppm)とのうち、各臭気情報について予め定められた閾値を上回っている値の数が予め定められた数を上回っていると判定した場合、脱臭装置20による被処理水の脱臭を開始する。
【0103】
このように、第1の変形例における制御装置30は、例えば、被処理水の臭気情報と、被処理水の1種類以上の臭気のそれぞれに対応する物質の濃度(以下、第1濃度とも呼ぶ)との関係を示す情報(例えば、検量線グラフG11)に基づき、学習モデルMDを用いることによって予測した臭気情報DT12に対応する第1濃度を算出し、算出した第1濃度を出力する。
【0104】
これにより、本実施の形態における制御装置30は、例えば、学習モデルMDを用いることによって予測した臭気情報DT12と、予め生成された検量線グラフG11とを用いることで、臭気情報DT12以外の他の臭気情報(例えば、第1濃度)についても精度良く予測することが可能になる。そのため、制御装置30は、例えば、他の臭気情報についても用いて脱臭装置20の制御を行うことで、脱臭装置20の制御精度をより向上させることが可能になり、被処理水の脱臭効果をより向上させることが可能になる。
【0105】
なお、制御装置30は、例えば、ステップS12で予測した臭気指数であるX1と、ステップS13で特定した濃度であるY11、Y12、Y13及びY14とのうちの少なくともいずれかの時系列変化(トレンド)を示すグラフを、制御装置30の出力装置(図示せず)に表示するものであってもよい。
【0106】
具体的に、制御装置30は、
図9(B)に示すように、例えば、悪臭に対応する構成物質の濃度(以下、悪臭濃度とも呼ぶ)の時系列変化を示す時系列グラフG12を出力装置に表示するものであってよい。
【0107】
そして、作業者OPは、例えば、出力装置に表示された時系列グラフG12を閲覧して、脱臭装置20の制御を手動によって行うものであってもよい。
【0108】
また、上記の例では、検量線グラフを用いることによって第1濃度が算出される場合について説明を行ったが、これに限られない。制御装置30は、例えば、被処理水の臭気情報と第1濃度との関係を示すグラフ以外の情報(例えば、テーブル等)を用いることによって第1濃度を算出するものであってもよい。
【0109】
[ステップS13の変形例(2)]
次に、ステップS13の処理についての第2の変形例について説明を行う。
図10は、ステップS13の処理についての第2の変形例について説明する図である。なお、以下、
図9(A)に示す臭気の各種類のうち、悪臭に対応する各構成物質の濃度の予測が行われる場合について説明を行うが、悪臭以外に対応する各構成物質の濃度(例えば、カビ臭に対応する各構成物質の濃度)の予測が行われるものであってもよい。また、以下、検量線グラフG21の場合と同様に、検量線グラフG31が予め生成されているものとして説明を行う。
【0110】
制御装置30は、
図10(A)に示すように、例えば、臭気指数と悪臭に対応する各構成物質の濃度との関係を示す検量線グラフG31を参照し、ステップS12で予測した臭気指数であるX1に対応する各構成物質の濃度を特定する。
【0111】
具体的に、制御装置30は、この場合、例えば、アンモニアの濃度としてY21(ppm)を特定し、硫化水素の濃度としてY22(ppm)を特定し、硫化メチルの濃度としてY23(ppm)を特定し、二硫化メチルの濃度としてY24(ppm)を特定し、メチルメルカプタンの濃度としてY25(ppm)を特定する。
【0112】
そして、制御装置30は、例えば、ステップS12で予測した臭気指数であるX1と、アンモニアの濃度であるY21(ppm)と、硫化水素の濃度であるY22(ppm)と、硫化メチルの濃度であるY23(ppm)と、二硫化メチルの濃度であるY24(ppm)と、メチルメルカプタンの濃度であるY25(ppm)とのうち、各臭気情報について予め定められた閾値を上回っている値の数が予め定められた数を上回っていると判定した場合、脱臭装置20による被処理水の脱臭を開始する。
【0113】
このように、第2の変形例における制御装置30は、例えば、被処理水の臭気情報と、被処理水の特定種類の臭気に対応する1以上の物質のそれぞれの濃度(以下、第2濃度とも呼ぶ)との関係を示す情報(例えば、検量線グラフG21)に基づき、臭気情報DT12に対応する第2濃度を算出し、算出した第2濃度を出力する。
【0114】
これにより、本実施の形態における制御装置30は、例えば、学習モデルMDを用いることによって予測した臭気情報DT12と、予め生成された検量線グラフG21とを用いることで、臭気情報DT12以外の他の臭気情報(例えば、第2濃度)についても精度良く予測することが可能になる。そのため、制御装置30は、例えば、他の臭気情報についても用いて脱臭装置20の制御を行うことで、脱臭装置20の制御精度をより向上させることが可能になり、被処理水の脱臭効果をより向上させることが可能になる。
【0115】
なお、制御装置30は、例えば、ステップS12で予測した臭気指数であるX1と、ステップS13で特定した濃度であるY21、Y22、Y23、Y24及びY25とのうちの少なくともいずれかの時系列変化を示すグラフを、制御装置30の出力装置(図示せず)に表示するものであってもよい。
【0116】
具体的に、制御装置30は、
図10(B)に示すように、例えば、硫化メチルに対応する構成物質の濃度(以下、硫化メチル濃度とも呼ぶ)の時系列変化を示す時系列グラフG22を出力装置に表示するものであってよい。
【0117】
そして、作業者OPは、例えば、出力装置に表示された時系列グラフG22を閲覧して、脱臭装置20の制御を手動によって行うものであってもよい。
【0118】
また、制御装置30は、例えば、臭気指数と悪臭に対応する各構成物質の寄与率(作業者OPが悪臭を検知した際の各構成物質の寄与率)との関係を示す検量線グラフ(図示せず)を参照し、ステップS12で予測した臭気指数であるX1に対応する各構成物質の寄与率を特定するものであってもよい。
【0119】
そして、制御装置30は、例えば、ステップS12で予測した臭気指数であるX1と、メチルメルカプタンの寄与率と、二硫化メチルの寄与率と、硫化メチルの寄与率と、硫化水素の寄与率と、アンモニアの寄与率とのうち、各臭気情報について予め定められた閾値を上回っている値の数が予め定められた数を上回っていると判定した場合、脱臭装置20による被処理水の脱臭を開始するものであってよい。
【0120】
また、上記の例では、検量線グラフを用いることによって第2濃度が算出される場合について説明を行ったが、これに限られない。制御装置30は、例えば、被処理水の臭気情報と第2濃度との関係を示すグラフ以外の情報(例えば、テーブル等)を用いることによって第2濃度を算出するものであってもよい。
【0121】
[ステップS13の変形例(3)]
次に、ステップS13の処理についての第3の変形例について説明を行う。
図11は、ステップS13の処理についての第3の変形例について説明する図である。なお、以下、検量線グラフG21の場合と同様に、検量線グラフG31が予め生成されているものとして説明を行う。
【0122】
制御装置30は、
図11(A)に示すように、例えば、臭気指数と臭気強度との関係を示す検量線グラフG31を参照し、ステップS12で予測した臭気指数であるX1に対応する臭気強度を特定する。
【0123】
具体的に、制御装置30は、この場合、例えば、臭気強度として臭気強度Y31(TON)を特定する。
【0124】
そして、制御装置30は、例えば、ステップS12で予測した臭気指数であるX1と、臭気強度であるY31(TON)とのうち、各臭気情報について予め定められた閾値を上回っている値の数が予め定められた数を上回っていると判定した場合、脱臭装置20による被処理水の脱臭を開始する。
【0125】
なお、制御装置30は、例えば、ステップS12で予測した臭気指数であるX1と、臭気強度であるY31(TON)と、
図9及び
図10で説明した各濃度とを含む各値のうち、各臭気情報について予め定められた閾値を上回っている値の数が予め定められた数を上回っていると判定した場合、脱臭装置20による被処理水の脱臭を開始するものであってもよい。
【0126】
また、制御装置30は、例えば、ステップS12で予測した臭気指数であるX1と、臭気強度であるY31(TON)とのうちの少なくともいずれかの時系列変化を示すグラフを制御装置30の出力装置(図示せず)に表示するものであってもよい。
【0127】
具体的に、制御装置30は、
図11(B)に示すように、例えば、臭気強度の時系列変化を示す時系列グラフG32を出力装置に表示するものであってよい。
【0128】
そして、作業者OPは、例えば、出力装置に表示された時系列グラフG32を閲覧して、脱臭装置20の制御を手動によって行うものであってもよい。
【0129】
[第2の比較例における臭気測定システム900]
次に、第2の比較例における臭気測定システム900について説明を行う。
図12は、第2の比較例における臭気測定システム900の構成例を説明する図である。
【0130】
臭気測定システム900は、例えば、水処理システム50を有する。
【0131】
水処理システム50は、下水プラントに配置される下水処理システムであり、例えば、最初沈殿池51と、反応槽52と、最終沈殿池53と、滅菌槽54と、濃縮槽55とを有する。
【0132】
具体的に、最初沈殿池51は、例えば、被処理水(下水)に含まれる有機物や浮遊物質を沈殿分離する槽である。そして、最初沈殿池51は、例えば、分離した有機物や浮遊物質を初沈汚泥として濃縮槽55に排出するとともに、有機物や浮遊物質を分離した被処理水を反応槽52に排出する。
【0133】
反応槽52は、例えば、標準活性汚泥法や循環式硝化脱窒法等の生物学的処理によって、最初沈殿池51から供給された被処理水を処理する槽である。
【0134】
最終沈殿池53は、例えば、反応槽52から排出された被処理水に含まれる汚泥を沈殿分離し、分離した汚泥を活性汚泥として排出する槽である。そして、最終沈殿池53は、例えば、活性汚泥の一部を余剰汚泥として濃縮槽55に供給するとともに、余剰汚泥以外の活性汚泥を返送汚泥として反応槽52に返送する。
【0135】
滅菌槽54は、例えば、最終沈殿池53から供給された被処理水を滅菌する槽である。そして、滅菌槽54は、例えば、減菌した被処理水(処理水)を河川等に放流する。
【0136】
濃縮槽55は、例えば、最初沈殿池51から排出された初沈汚泥と、最終沈殿池53から排出された余剰汚泥とを濃縮して消化槽(図示せず)に供給する。
【0137】
また、臭気測定システム800は、例えば、脱臭装置60と、制御装置970とを有する。
【0138】
脱臭装置60は、例えば、水処理システム50において処理中の被処理水の脱臭を行う装置である。具体的に、脱臭装置60は、例えば、活性炭や脱臭フィルタを用いることによって、被処理水の脱臭を行う。
【0139】
制御装置970は、例えば、水処理システム50における臭気情報に基づいて脱臭装置60を制御する。なお、制御装置830は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。以下、臭気情報が臭気指数である場合について説明を行う。
【0140】
具体的に、作業者OPは、
図12に示すように、例えば、被処理水を最初沈殿池51に供給する流入管L2と、最終沈殿池53と、濃縮槽55と、滅菌槽54から被処理水(処理水)が排出される流出管L3のうちの少なくともいずれかにおいて被処理水を取得する。そして、作業者OPは、例えば、取得した被処理水の臭気指数を作業者OPの嗅覚によって測定する。さらに、作業者OPは、例えば、測定した臭気指数を制御装置970に入力する。その後、制御装置970は、例えば、作業者OPによって入力された臭気指数に基づいて、脱臭装置60の制御(例えば、活性炭の供給量制御や脱臭フィルタの設定制御等)を行う。
【0141】
しかしながら、臭気測定システム900では、この場合、第1の比較例における臭気測定システム800の場合と同様に、作業者OPの作業負担が大きくなるとともに、複数の作業者OP間における測定結果の個人差から臭気指数の測定が安定的に行われない場合があり、さらに、被処理水の取得場所と臭気指数の測定場所との位置関係から臭気指数の測定が効率的に行われない場合がある。また、分析装置を用いて臭気指数の分析を行う場合、分析装置の使用に伴う費用が必要になる。
【0142】
そこで、本実施の形態における臭気予測システム200は、第1の実施の形態における臭気予測システム100の場合と同様に、例えば、水処理システム50における被処理水の臭気指数を予測する学習モデルを生成する。そして、臭気予測システム200は、例えば、学習モデルによって予測した臭気指数に基づいて脱臭装置60を制御する。以下、第2の実施の形態における臭気予測システム200について説明を行う。
【0143】
[第2の実施の形態における臭気予測システム200]
図13は、第2の実施の形態における臭気予測システム200の構成例を説明する図である。以下、第1の実施の形態における臭気予測システム200と異なる点について説明を行う。
【0144】
臭気予測システム200は、
図13に示すように、例えば、制御装置70と、情報処理装置80とを有する。
【0145】
また、水処理システム50には、
図13に示すように、例えば、流入管L2、最初沈殿池51、反応槽52、最終沈殿池53、滅菌槽54、流出管L3及び濃縮槽55のそれぞれにおいて、測定装置M11、測定装置M12、測定装置M13、測定装置M14、測定装置M15、測定装置M16及び測定装置M17(以下、測定装置M11等とも呼ぶ)のそれぞれが設置されている。
【0146】
なお、測定装置M11及び測定装置M12のそれぞれは、例えば、シアン計、水温計及びアンモニア態窒素計のうちの少なくともいずれかであってよい。また、測定装置M13は、例えば、溶存酸素濃度計、水温計、pH計、活性汚泥浮遊物質濃度計及びアンモニア態窒素計のうちの少なくともいずれかであってよい。また、測定装置M14は、例えば、濁度計、窒素計、リン計及び汚泥界面計のうちの少なくもいずれかであってよい。また、測定装置M15は、例えば、pH計であってよい。また、測定装置M16は、例えば、シアン計、水温計及びアンモニア態窒素計のうちの少なくもいずれかであってよい。また、測定装置M17は、例えば、有機物濃度計及び汚泥界面計のうちの少なくもいずれかであってよい。
【0147】
制御装置70は、例えば、水処理システム10において測定された測定値に基づいて脱臭装置60を制御する。制御装置70は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。なお、制御装置30及び制御装置70は、例えば、単一のコンピュータ装置であってもよい。
【0148】
具体的に、制御装置70は、
図13に示すように、例えば、測定装置M11等のうちの少なくともいずれかが測定した測定値を取得する。そして、制御装置70は、例えば、取得した測定値に基づいて脱臭装置20を制御する。
【0149】
情報処理装置80は、
図3等で説明した場合と同様に、例えば、水処理システム50における被処理水の臭気情報を予測する学習モデルを生成する処理(モデル生成処理)を行う。情報処理装置80は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置である。なお、制御装置70及び情報処理装置80は、例えば、単一のコンピュータ装置であってもよい。
【0150】
そして、制御装置70は、
図4等で説明した場合と同様に、被処理水の状態条件と被処理水の環境条件とのうちの少なくともいずれかを示す条件情報DT11の入力に伴って学習モデルMDから出力された臭気情報を新たな被処理水の臭気情報DT12として予測する。
【0151】
これにより、本実施の形態における制御装置70は、例えば、第1の実施の形態における制御装置30の場合と同様に、水処理システム50における被処理水の現在の臭気情報DT12の予測を精度良く行うことが可能になる。
【0152】
そのため、本実施の形態における臭気予測システム200は、例えば、第1の実施の形態における臭気予測システム100の場合と同様に、水処理システム50における被処理水の脱臭を効率的に行うとともに、被処理水の脱臭効果を向上させることが可能になる。
【符号の説明】
【0153】
10:水処理システム 11:沈砂池
12:着水井 13:混和池
14:フロック形成池 15:沈殿池
16:濾過池 17:浄水池
18:配水池 20:脱臭装置
30:制御装置 40:情報処理装置
41:記憶装置 42:記憶装置
50:水処理システム 51:最初沈殿池
52:反応槽 53:最終沈殿池
54:滅菌槽 55:濃縮槽
60:脱臭装置 70:制御装置
80:情報処理装置 100:臭気予測システム
200:臭気予測システム 800:臭気測定システム
830:制御装置 900:臭気測定システム
970:制御装置 DT1:臭気情報
DT2:条件情報 DT3:教師データ
DT3a:教師データ DT3b:教師データ
DT11:条件情報 DT12:臭気情報
G11:検量線グラフ G12:時系列グラフ
G21:検量線グラフ G22:時系列グラフ
G31:検量線グラフ G32:時系列グラフ
L1:流入管 L2:流入管
L3:流出管 M1:測定装置
M2:測定装置 M3:測定装置
M4:測定装置 M5:測定装置
M6:測定装置 M7:測定装置
M8:測定装置 M9:測定装置
M11:測定装置 M12:測定装置
M13:測定装置 M14:測定装置
M15:測定装置 M16:測定装置
M17:測定装置 MD:学習モデル
OP:作業者