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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132835
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】エアバッグ及びエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2338 20110101AFI20230914BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20230914BHJP
【FI】
B60R21/2338
B60R21/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038382
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】京谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】岡田 典久
(72)【発明者】
【氏名】竹内 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小杉 英記
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太一
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA14
3D054BB16
3D054CC11
3D054CC34
3D054CC47
3D054EE19
3D054EE22
(57)【要約】
【課題】頭部の回転を抑制する効果を高めること。
【解決手段】助手席用のエアバッグであって、前記エアバッグの膨張展開状態において、車両後側に対向する正面部と、前記膨張展開状態において、車幅方向の一方の側に対向する第1側壁部と、前記膨張展開状態において、車幅方向の他方の側に対向する第2側壁部と、前記エアバッグの内部に設けられた第1サイドテザーと、を備え、前記第1サイドテザーは、前記正面部に連結された第1後端部と、前記第1側壁部に連結された第1前端部と、を有し、前記正面部のうちの前記第1側壁部側の正面部分である第1側部は、前記膨張展開状態で前記第1サイドテザーにより車両後側に膨出し、車両後側に膨出した前記第1側部は、前記正面部に進入する乗員に倒れ込む、エアバッグ。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
助手席用のエアバッグであって、
前記エアバッグの膨張展開状態において、車両後側に対向する正面部と、
前記膨張展開状態において、車幅方向の一方の側に対向する第1側壁部と、
前記膨張展開状態において、車幅方向の他方の側に対向する第2側壁部と、
前記エアバッグの内部に設けられた第1サイドテザーと、を備え、
前記第1サイドテザーは、前記正面部に連結された第1後端部と、前記第1側壁部に連結された第1前端部と、を有し、
前記正面部のうちの前記第1側壁部側の正面部分である第1側部は、前記膨張展開状態で前記第1サイドテザーにより車両後側に膨出し、車両後側に膨出した前記第1側部は、前記正面部に進入する乗員に倒れ込む、エアバッグ。
【請求項2】
前記膨張展開状態において、前記第1後端部は、前記エアバッグの上面視で前記第1前端部よりも前記エアバッグの中央寄りに位置する、請求項1に記載のエアバッグ。
【請求項3】
前記膨張展開状態において、前記第1前端部は、前記エアバッグの上面視で前記エアバッグの中央よりも車両前側に位置する、請求項2に記載のエアバッグ。
【請求項4】
前記第1サイドテザーは、前記正面部への前記乗員の進入に伴って車両前側に移動する、請求項1から3のいずれか一項に記載のエアバッグ。
【請求項5】
前記膨張展開状態において、前記第1側壁部は、前記第1前端部において凹みを有し、
前記凹みは、前記正面部への前記乗員の進入に伴って浅くなる、請求項4に記載のエアバッグ。
【請求項6】
前記膨張展開状態において、前記第1前端部と前記第1後端部の少なくとも一方は、水平面又は前記乗員の進入方向に対して、前記エアバッグの側面視で略垂直な方向に延伸する、請求項1から5のいずれか一項に記載のエアバッグ。
【請求項7】
前記膨張展開状態において、前記第1前端部と前記第1後端部は、前記エアバッグの側面視で略平行に延伸する、請求項6に記載のエアバッグ。
【請求項8】
前記膨張展開状態において、前記第1前端部の上端部と前記第1後端部の上端部は、同じ高さに位置する、請求項6又は7に記載のエアバッグ。
【請求項9】
前記膨張展開状態において、前記第1前端部は、前記第1側壁部のうち前記エアバッグの最大横幅を形成する側壁部位の近傍に位置する、請求項1から8のいずれか一項に記載のエアバッグ。
【請求項10】
前記第1サイドテザーは、前記第1前端部と前記第1後端部との距離が段階的に伸長するように破断する、請求項1から9のいずれか一項に記載のエアバッグ。
【請求項11】
前記エアバッグの内部に設けられた第2サイドテザーを備え、
前記第2サイドテザーは、前記正面部に連結された第2後端部と、前記第2側壁部に連結された第2前端部と、を有し、
前記正面部のうちの前記第2側壁部側の正面部分である第2側部は、前記膨張展開状態で前記第2サイドテザーにより車両後側に膨出する、請求項1から10のいずれか一項に記載のエアバッグ。
【請求項12】
前記エアバッグの内部に設けられ、前記第1サイドテザーと前記第2サイドテザーとを連結する横テザーを備える、請求項11に記載のエアバッグ。
【請求項13】
前記横テザーは、前記膨張展開状態において、前記エアバッグの上面視で前記乗員の進入方向に対して略平行な部分を前記第1サイドテザーに生じさせる、請求項12に記載のエアバッグ。
【請求項14】
前記横テザーは、前記膨張展開状態において、前記エアバッグの上面視で前記第1側壁部に対して略直角な部分を前記第1サイドテザーに生じさせる、請求項12又は13に記載のエアバッグ。
【請求項15】
前記膨張展開状態において、車両下側に対向する底面部と、
前記底面部と前記横テザーとを連結する中間テザーと、を備える、請求項12から14のいずれか一項に記載のエアバッグ。
【請求項16】
前記底面部は、前記エアバッグの内部にガスを供給するインフレータの取り付け口を有し、
前記中間テザーは、前記取り付け口の近傍と前記横テザーとを連結する、請求項15に記載のエアバッグ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のエアバッグと、前記エアバッグを膨張させるガスを供給するインフレータと、を備える、エアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアバッグ及びエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、特許文献1に開示された助手席用エアバッグ装置の展開状態を示す断面図である。図1において、(A)は、展開初期の段階を示し、(B)は、(A)の状態の後に、乗員Pがエアバッグ114に対して斜め方向から進入した場合のエアバッグ114の展開(変形)挙動を示す。
【0003】
エアバッグ114は、展開時に乗員Pの正面に位置する正面保護部116と、正面保護部116の車幅方向側部に位置し、正面保護部116よりも乗員P側に突出した一対の側方突出部118L,118Rとを備えている。
【0004】
エアバッグ114の内部には、前端部がエアバッグの前方付近に連結され、後端部が正面保護部116に連結された中央テザー120と、中央テザー120の分岐部121から枝分かれするように設けられた左右一対の分岐テザー122R,122Lとが設けられている。
【0005】
車両の衝突によりエアバッグ114が展開すると、初期の段階では、図1(A)に示すように、膨張ガスによって分岐テザー122L,122Rに前後方向(展開方向)のテンションが加わり、これら分岐テザー122L,122Rとの連結部分において正面保護部116が車両前方に引きつけられる。
【0006】
図1(A)に示すように、エアバッグ114がフル展開した状態では、中央テザー120の分岐部121よりも後方側、すなわち、乗員P側が弛んだ状態となる。このため、中央テザー120によって正面保護部116が前方に引っ張られていない。
【0007】
その後、図1(B)に示すように、例えば、フル展開したエアバッグ114に対して乗員Pが左斜め前方に向かって進入した場合には、乗員Pの頭部によって圧力を受ける側の分岐テザー122Lの張力が低下して弛むことになる。この時、正面保護部116の移動に伴って中央テザー120にテンションが加わり、中央テザー120が正面保護部116を前方に引っ張るような格好となる。その結果、乗員P側から見たときに、正面保護部116上における中央テザー120との連結部分が凹んだ状態となり、正面保護部116に曲率半径が小さな領域100が形成される。これによって、乗員Pの頭部を柔軟に受けとめ、頭部の回転を抑制することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-152266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のエアバッグでは、斜めに進入する乗員によりエアバッグ全体がその進入方向に倒れ込むため、側方突出部(図1の例では、側方突出部118L)も、同様に、その進入方向に倒れ込む。側方突出部が進入方向に倒れ込むと、エアバッグが乗員の頭部を支持する力が低下するため、頭部の回転を抑制する効果を高める余地がある。
【0010】
本開示は、頭部の回転を抑制する効果を高めたエアバッグ及びエアバッグ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様では、
助手席用のエアバッグであって、
前記エアバッグの膨張展開状態において、車両後側に対向する正面部と、
前記膨張展開状態において、車幅方向の一方の側に対向する第1側壁部と、
前記膨張展開状態において、車幅方向の他方の側に対向する第2側壁部と、
前記エアバッグの内部に設けられた第1サイドテザーと、を備え、
前記第1サイドテザーは、前記正面部に連結された第1後端部と、前記第1側壁部に連結された第1前端部と、を有し、
前記正面部のうちの前記第1側壁部側の正面部分である第1側部は、前記膨張展開状態で前記第1サイドテザーにより車両後側に膨出し、車両後側に膨出した前記第1側部は、前記正面部に進入する乗員に倒れ込む、エアバッグが提供される。
【0012】
本開示の他の一態様では、
当該エアバッグと、当該エアバッグを膨張させるガスを供給するインフレータと、を備える、エアバッグ装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、頭部の回転を抑制する効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】特許文献1に開示された助手席用エアバッグ装置の展開状態を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係るエアバッグの膨張展開状態を示す正面図である。
図3】第1実施形態に係るエアバッグの膨張展開状態を示す側面図である。
図4】第1実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。
図5】第1実施形態に係るエアバッグの断面図である。
図6】膨張展開した初期状態のエアバッグの断面図である。
図7】乗員が正面部に進入した直後のエアバッグの断面図である。
図8】車両後側に膨出した第1側部が乗員に倒れ込む状態のエアバッグの断面図である。
図9】第2実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。
図10】第3実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。
図11】第4実施形態に係るエアバッグの断面図である。
図12】横テザーの効果を説明するための断面図である。
図13】第5実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。
図14】第5実施形態に係るエアバッグの断面図である。
図15】第5実施形態に係るエアバッグの変形例を示す断面図である。
図16】第6実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。
図17】第6実施形態に係るエアバッグの膨張展開過程を示す図である。
図18】エアバッグを形成する複数のパネル及び複数のテザーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、理解の容易のため、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右、前後などの方向には、実施形態の作用及び効果を損なわない程度のずれが許容される。
【0016】
図2は、第1実施形態に係るエアバッグの膨張展開状態を示す正面図である。図3は、第1実施形態に係るエアバッグの膨張展開状態を示す側面図である。図2及び図3に示すエアバッグ101は、助手席用のエアバッグの一例である。エアバッグ101は、膨張展開状態において、正面部10、左側壁部20、右側壁部30、底面部40及び上面部50を有する。
【0017】
正面部10は、エアバッグ101の膨張展開状態において、車両後側に対向するように形成及び設置された部位である。正面部10は、エアバッグ101の膨張展開状態において、乗員の頭部に対向し、車両の衝突によって車両前側に向けて移動する乗員の頭部を受け止める。
【0018】
正面部10は、図2に示すように、左正面部12、右正面部13及び中央正面部11を有する。左正面部12は、正面部10のうちの左側壁部20側の正面部分である。左正面部12は、第1側部の一例である。右正面部13は、正面部10のうちの右側壁部30側の正面部分である。右正面部13は、第2側部の一例である。中央正面部11は、正面部10のうち、左正面部12と右正面部13との間の正面部分である。
【0019】
左正面部12と中央正面部11との間には、エアバッグ101の膨張展開状態において、車両上下方向に延伸する部分を有する左側谷部14が形成されている。例えば、左側谷部14は、エアバッグ101の正面視において、上面部50から底面部40に向けて延伸し、正面部10の中央付近まで延伸する。この例では、左側谷部14は、エアバッグ101の正面視において、正面部10の中央付近まで延伸してから、正面部10の左側壁部20の方に湾曲する。
【0020】
右正面部13と中央正面部11との間には、エアバッグ101の膨張展開状態において、車両上下方向に延伸する部分を有する右側谷部15が形成されている。例えば、右側谷部15は、エアバッグ101の正面視において、上面部50から底面部40に向けて延伸し、正面部10の中央付近まで延伸する。この例では、右側谷部15は、エアバッグ101の正面視において、正面部10の中央付近まで延伸してから、正面部10の右側壁部30の方に湾曲する。
【0021】
左側壁部20は、エアバッグ101の膨張展開状態において、車幅方向の一方の側(この例では、左側)に対向するように形成及び設置された部位である。左側壁部20は、第1側壁部の一例である。
【0022】
右側壁部30は、エアバッグ101の膨張展開状態において、車幅方向の他方の側(この例では、右側)に対向するように形成及び設置された部位である。右側壁部30は、第2側壁部の一例である。
【0023】
底面部40は、エアバッグ101の膨張展開状態において、車両下側に対向するように形成及び設置された部位である。上面部50は、エアバッグ101の膨張展開状態において、車両上側に対向するように形成及び設置された部位である。
【0024】
図4は、第1実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。図4に示すエアバッグ装置201は、助手席に座る乗員を保護する乗員保護装置の一つである。エアバッグ装置201は、エアバッグ101がインストルメントパネル1とフロントウィンドシールド4との間の空間に向けて膨張する前の段階では、インストルメントパネル1内に収容されている。
【0025】
エアバッグ装置201は、助手席用のエアバッグ装置の一例である。エアバッグ装置201は、インフレータ2と、エアバッグ101と、を備える。
【0026】
インフレータ2は、不図示の制御回路からの制御信号に基づいて、エアバッグ101を膨張展開させるガスをエアバッグ101の内部に供給するガス発生器である。インフレータ2は、底面部40の車両前側に形成された取り付け口41に貫通した状態で取り付けられている。取り付け口41の周辺を覆うパッチクロス43が設けられてもよい。
【0027】
エアバッグ101は、膨張する前の段階では、折り畳まれた状態で、インストルメントパネル1内に収容されている。エアバッグ101は、インフレータ2から供給されるガスにより膨張し、その膨張によって、インストルメントパネル1に設けられた扉を押し開き、助手席に座る乗員に向けて膨張展開する乗員保護部材である。
【0028】
エアバッグ101は、エアバッグ101の内部に設けられた少なくとも一つのサイドテザーを有する。図4には、左サイドテザー60が例示されている。
【0029】
図5は、第1実施形態に係るエアバッグの断面図であり、図4における断面AAを示している。図5に示すエアバッグ101は、左サイドテザー60と、右サイドテザー70と、を有する。左サイドテザー60及び右サイドテザー70は、平面状部材でも、紐状部材でもよい。
【0030】
左サイドテザー60は、エアバッグの内部に設けられた第1サイドテザーの一例である。左サイドテザー60は、正面部10に連結された後端部61と、左側壁部20に連結された前端部62とを有する。
【0031】
後端部61は、第1後端部の一例である。後端部61は、エアバッグ101の上面視で正面部10の中心から左側壁部20寄りの連結位置において、正面部10の内面に縫合又は接着等により接合される。正面部10の中心とは、例えば、膨張展開状態でのエアバッグ101の上面視において、エアバッグ101の車幅方向での最大外形幅の中心を通り且つ車両前後方向に平行な直線が正面部10と交わる点とする。左側谷部14は、エアバッグ101の膨張展開によって、左サイドテザー60が正面部10の内側を後端部61で引っ張ることによって、正面部10に形成される。左側谷部14は、車両上下方向を長手方向とする凹部である。
【0032】
前端部62は、第1前端部の一例である。前端部62は、エアバッグ101の上面視で左側壁部20の中心から車両前側の連結位置において、左側壁部20の内面に縫合又は接着等により接合される。左側壁部20の中心とは、例えば、膨張展開状態でのエアバッグ101の上面視において、エアバッグ101の車両前後方向での最大外形幅の中心を通り且つ車幅方向に平行な直線が左側壁部20と交わる点とする。凹み21は、エアバッグ101の膨張展開によって、左サイドテザー60が左側壁部20の内側を前端部62で引っ張ることによって、左側壁部20に形成される。凹み21は、車両上下方向を長手方向とする凹部である。
【0033】
右サイドテザー70は、エアバッグの内部に設けられた第2サイドテザーの一例である。右サイドテザー70は、正面部10に連結された後端部71と、右側壁部30に連結された前端部72とを有する。
【0034】
後端部71は、第2後端部の一例である。後端部61は、エアバッグ101の上面視で正面部10の中心から右側壁部30寄りの連結位置において、正面部10の内面に縫合又は接着等により接合される。右側谷部15は、エアバッグ101の膨張展開によって、右サイドテザー70が正面部10の内側を後端部71で引っ張ることによって、正面部10に形成される。右側谷部15は、車両上下方向を長手方向とする凹部である。
【0035】
前端部72は、第2前端部の一例である。前端部72は、エアバッグ101の上面視で右側壁部30の中心から車両前側の連結位置において、右側壁部30の内面に縫合又は接着等により接合される。右側壁部30の中心とは、例えば、膨張展開状態でのエアバッグ101の上面視において、エアバッグ101の車両前後方向での最大外形幅の中心を通り且つ車幅方向に平行な直線が右側壁部30と交わる点とする。凹み31は、エアバッグ101の膨張展開によって、右サイドテザー70が右側壁部30の内側を前端部72で引っ張ることによって、右側壁部30に形成される。凹み31は、車両上下方向を長手方向とする凹部である。
【0036】
ここで、第1実施形態に係るエアバッグ101は、正面部10の中央正面部11への乗員の進入に伴い、車両後側に膨出する左正面部12が乗員側に倒れ込む構造を備える。エアバッグ101の膨張展開状態において、左サイドテザー60の引っ張りによって、左正面部12は、図5のように車両後側に膨出する。車両後側に膨出する左正面部12を、"左サブバッグ"とも称する。図示のように車両後側に膨出する中央正面部11を、"メインバッグ"とも称する。
【0037】
次に、左サブバッグが、正面部10の中央正面部11に進入する乗員に倒れ込むメカニズムについて、図6~8を参照して説明する。
【0038】
図6は、膨張展開した初期状態のエアバッグの断面図である。初期状態では、左サイドテザー60の引っ張りによって前端部62に生ずる張力F1と、左サイドテザー60の引っ張りによって後端部61に生ずる張力F2は、釣り合っている(F1=F2)。張力F2は、左サブバッグの基布張力(左正面部12の張力F3)と、メインバッグの基布張力(中央正面部11の張力F4)との合力に略等しい。
【0039】
図7は、乗員が正面部に進入した直後のエアバッグの断面図である。乗員Pの頭部と中央正面部11との接触に伴うメインバッグ(中央正面部11)の潰れにより、メインバッグの基布張力(中央正面部11の張力f4)は、小さくなる(F4>f4)。張力f4の低下により、左サイドテザー60の引っ張りによって後端部61に生ずる張力f2(=F3+f4)も低下するので(F2>f2)、左サイドテザー60の引っ張りによって前端部62に生ずる張力f1も低下する(F1>f1=f2)。張力f1への低下によって、凹み21は浅くなるので(図8参照)、左サイドテザー60は全体的に車両前側に移動する。左サイドテザー60が全体的に車両前側に移動するので、左サブバックは、中央正面部11に進入する乗員Pの頭部に倒れ込み、乗員Pの頭部を側方から支える。
【0040】
上述したように、第1実施形態に係るエアバッグ101は、膨張展開状態の上面視において、前端部62がエアバッグ101の車両前後方向の中心線に対して左側にある左側壁部20に連結された構造を備える。図6に示す初期状態では、前端部62は、中央正面部11に対して左側の連結箇所で左側壁部20に連結されている。より詳しくは、前端部62は、左側壁部20のうちエアバッグ101の最大横幅(上面視での車幅方向の最大幅)を形成する側壁部位22の近傍に位置する。側壁部位22の近傍とは、例えば、膨張展開状態でのエアバッグ101の上面視において、エアバッグ101の最大横幅の70%以上の横幅を形成する領域をいう。
【0041】
前端部62が左側壁部20に連結されていることで、車両左前方に向かって移動する乗員Pの頭部が正面部10の中央正面部11へ進入するのに伴い、車両後側に膨出する左正面部12(左サブバッグ)は、乗員側に倒れ込む。したがって、車両のオブリーク衝突等によって車両左前方の斜め方向に進入する乗員Pの頭部と共に、左サブバッグがその進入方向に倒れ込んでも、乗員Pの頭部は、側方から左サブバッグにより支えられ且つ正面からメインバッグにより支えられる。その結果、メインバッグによる正面からの支持力だけでなく、左サブバッグによる側方からの支持力が発生するので、乗員Pの頭部の回転抑制効果が向上する。
【0042】
第1実施形態に係るエアバッグ101は、正面部10の中央正面部11への乗員の進入に伴い、車両後側に膨出する右正面部13が乗員側に倒れ込む構造も備える。エアバッグ101の膨張展開状態において、右サイドテザー70の引っ張りによって、右正面部13は、図5のように車両後側に膨出する。車両後側に膨出する右正面部13を、"右サブバッグ"とも称する。
【0043】
右サブバッグが、正面部10の中央正面部11に進入する乗員に倒れ込むメカニズムについての詳細な説明については、左サブバッグについての上述の説明を援用することで、省略する。
【0044】
上述したように、第1実施形態に係るエアバッグ101は、膨張展開状態の上面視において、前端部72がエアバッグ101の車両前後方向の中心線に対して右側にある右側壁部30に連結された構造を備える。図6に示す初期状態では、前端部72は、中央正面部11に対して右側の連結箇所で右側壁部30に連結され、より詳しくは、右側壁部30のうちエアバッグ101の最大横幅を形成する側壁部位32の近傍に位置する。側壁部位32の近傍とは、例えば、膨張展開状態でのエアバッグ101の上面視において、エアバッグ101の最大横幅の70%以上の横幅を形成する領域をいう。
【0045】
前端部72が右側壁部30に連結されていることで、車両右前方に向かって移動する乗員Pの頭部が正面部10の中央正面部11へ進入するのに伴い、車両後側に膨出する右正面部13(右サブバッグ)は、乗員側に倒れ込む。したがって、車両のオブリーク衝突等によって車両右前方の斜め方向に進入する乗員Pの頭部と共に、右サブバッグがその進入方向に倒れ込んでも、乗員Pの頭部は、側方から右サブバッグにより支えられ且つ正面からメインバッグにより支えられる。その結果、メインバッグによる正面からの支持力だけでなく、右サブバッグによる側方からの支持力が発生するので、乗員Pの頭部の回転抑制効果が向上する。
【0046】
図5に示すように、エアバッグ101の膨張展開状態において、後端部61は、エアバッグ101の上面視で前端部62よりもエアバッグ101の中央寄りに位置すると、左サブバッグは右方に倒れやすくなる。これにより、左サブバッグによる側方からの支持力が増し、乗員Pの頭部の回転抑制効果がより向上する。同様に、エアバッグ101の膨張展開状態において、後端部71は、エアバッグ101の上面視で前端部72よりもエアバッグ101の中央寄りに位置すると、右サブバッグは左方に倒れやすくなる。これにより、右サブバッグによる側方からの支持力が増し、乗員Pの頭部の回転抑制効果がより向上する。
【0047】
図5に示すように、エアバッグ101の膨張展開状態において、前端部62は、エアバッグ101の上面視でエアバッグ101の中央よりも車両前側に位置すると、左サブバッグは右方に倒れやすくなる。これにより、左サブバッグによる側方からの支持力が増し、乗員Pの頭部の回転抑制効果がより向上する。同様に、エアバッグ101の膨張展開状態において、前端部72は、エアバッグ101の上面視でエアバッグ101の中央よりも車両前側に位置すると、右サブバッグは左方に倒れやすくなる。これにより、右サブバッグによる側方からの支持力が増し、乗員Pの頭部の回転抑制効果がより向上する。
【0048】
図4に示すように、エアバッグ101の膨張展開状態での左サイドテザー60において、前端部62と後端部61の少なくとも一方は、水平面に対して又は乗員の正面部10への進入方向に対して、エアバッグ101の側面視で略垂直な方向に延伸するのが好ましい。これにより、左サブバッグは、正面部10へ進入する乗員の頭部側に倒れやすくなり、頭部の回転抑制効果がより向上する。図4に示す例では、前端部62と後端部61の両方は、水平面に対して又は乗員の正面部10への進入方向に対して、エアバッグ101の側面視で略垂直な方向に延伸する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0049】
図4に示すように、エアバッグ101の膨張展開状態での左サイドテザー60において、前端部62と後端部61は、エアバッグ101の側面視で略平行に延伸するのが好ましい。これにより、左サブバッグは、正面部10へ進入する乗員の頭部側に倒れやすくなり、頭部の回転抑制効果がより向上する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0050】
図4に示す左サイドテザー60において、車両上下方向に延伸する前端部62は、上端部62aと下端部62bを有し、車両上下方向に延伸する後端部61は、上端部61aと下端部61bを有する。図4に示すように、上端部62aと上端部61aは、水平面に対して同じ高さに位置することで、水平面に略平行な方向で正面部10に進入する乗員の頭部側に、左サブバッグは倒れやすくなり、頭部の回転抑制効果がより向上する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0051】
図9は、第2実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。第2実施形態において、上述の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略または簡略する。図9に示す第2実施形態は、上端部62aと上端部61aが水平面に対して異なる高さに位置する点で、図4に示す第1実施形態と相違する。このような形態でも、左サブバッグは、正面部10へ進入する乗員の頭部側に倒れるので、頭部の回転抑制効果がより向上する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0052】
図9に示すエアバッグ装置202が備えるエアバッグ102では、上端部62aは、水平面からの高さが上端部61aよりも低く、下端部62bは、水平面からの高さが下端部61bよりも低い。エアバッグ102の膨張展開状態での左サイドテザー60において、前端部62と後端部61の少なくとも一方は、水平面に対して又は乗員の正面部10への進入方向に対して、エアバッグ101の側面視で略垂直な方向に延伸する。また、エアバッグ102の膨張展開状態での左サイドテザー60において、前端部62と後端部61は、エアバッグ101の側面視で略平行に延伸する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0053】
図10は、第3実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。第3実施形態において、上述の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略または簡略する。図10に示す第3実施形態は、前端部62と後端部61の少なくとも一方が、正面部10の乗員拘束面に対して、エアバッグ103の側面視で略平行に延伸する点で、図9に示す第2実施形態と相違する。図10に示す第3実施形態は、前端部62と後端部61の少なくとも一方が、水平面に対して又は乗員の正面部10への進入方向に対して、エアバッグの側面視で略垂直でない方向に延伸する点で、図9に示す第2実施形態と相違してもよい。このような形態でも、左サブバッグは、正面部10へ進入する乗員の頭部側に倒れるので、頭部の回転抑制効果がより向上する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0054】
図10に示すエアバッグ装置203が備えるエアバッグ103では、上端部62aは、水平面からの高さが上端部61aよりも低く、下端部62bは、水平面からの高さが下端部61bよりも低い。また、エアバッグ103の膨張展開状態での左サイドテザー60において、前端部62と後端部61は、エアバッグ101の側面視で略平行に延伸する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0055】
図11は、第4実施形態に係るエアバッグの断面図である。第4実施形態において、上述の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略または簡略する。図11に示す第4実施形態は、横テザー80を更に備える点で、上述の実施形態と相違する。横テザー80は、平面状部材でも、紐状部材でもよい。
【0056】
横テザー80は、エアバッグ104の内部に設けられ、左サイドテザー60と右サイドテザー70とを連結する。横テザー80は、左サイドテザー60に連結された左端部81と、右サイドテザー70に連結された右端部82とを有する。
【0057】
左端部81は、車幅方向の一方の側(この例では、左側)のテザー端部の一例である。左端部81は、後端部61と前端部62との間の中間連結位置において、左サイドテザー60に縫合又は接着等により接合される。左端部81は、後端部61と前端部62との間において前端部62寄りの位置で左サイドテザー60に連結されると、左サイドバッグが右方に倒れやすくなるので、頭部の回転抑制効果がより向上する。
【0058】
右端部82は、車幅方向の他方の側(この例では、右側)のテザー端部の一例である。右端部82は、後端部71と前端部72との間の中間連結位置において、右サイドテザー70に縫合又は接着等により接合される。右端部82は、後端部71と前端部72との間において前端部72寄りの位置で右サイドテザー70に連結されると、右サイドバッグが左方に倒れやすくなるので、頭部の回転抑制効果がより向上する。
【0059】
横テザー80は、エアバッグ104の膨張展開状態において、エアバッグ104の上面視で乗員Pの進入方向に対して略平行な部分(図11では、後端部61と左端部81との間の部分)を左サイドテザー60に生じさせる。これにより、左サイドバッグが右方に倒れやすくなるので、頭部の回転抑制効果がより向上する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0060】
横テザー80は、エアバッグ104の膨張展開状態において、エアバッグ104の上面視で左側壁部20に対して略直角な部分(図11では、前端部62と左端部81との間の部分)を左サイドテザー60に生じさせる。これにより、左サイドバッグが右方に倒れやすくなるので、頭部の回転抑制効果がより向上する。この点、右サイドテザー70についても同様である。
【0061】
図12は、横テザーの効果を説明するための断面図である。左サイドテザー60及び右サイドテザー70は、メインバッグとサブバッグの間に左側谷部14及び右側谷部15を形成するとともに、メインバッグの頭部拘束面を規定の位置に形成する機能を有する。例えば、エアバッグの車幅方向の幅(横幅)が広くて車両前後方向のストロークが短い場合、横テザー80を設けることで、メインバッグ(中央正面部11)の横幅を調整することが可能となる。
【0062】
図13は、第5実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。図14は、第5実施形態に係るエアバッグの断面図であり、図13に示す断面BBを示している。第5実施形態において、上述の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略または簡略する。第5実施形態に係るエアバッグ装置205のエアバッグ105は、中間テザー90を更に備える点で、上述の実施形態と相違する。中間テザー90は、平面状部材でも、紐状部材でもよい。
【0063】
中間テザー90は、エアバッグ105の内部に設けられ、底面部40と横テザー80とを連結する。中間テザー90は、横テザー80に連結された後端部91と、インフレータ2の取り付け口41の近傍に連結された前端部92とを有する。
【0064】
後端部91は、車両前後方向の一方の側(この例では、車両後側)のテザー端部の一例である。後端部91は、左端部81と右端部82との間の中間連結位置において、横テザー80に縫合又は接着等により接合される。
【0065】
左サイドテザー60又は右サイドテザー70は、各テザーの張力の変化に応じて車両前側に移動し、サブバッグを乗員側に倒す機能を有する。例えば、形状の形成などの都合で、横テザー80の張力が所望値よりも高くなりすぎる場合、左サイドテザー60又は右サイドテザー70の車両前側への移動を妨げる可能性が考えられる。中間テザー90の追加により、横テザー80による移動規制を低減し、左サイドテザー60又は右サイドテザー70の車両前側への移動をスムーズにできる。
【0066】
図15は、第5実施形態に係るエアバッグの変形例を示す断面図である。中間テザー90の数は、一つに限らず、複数でもよい。中間テザー90Aは、横テザー80に連結された後端部91と、インフレータ2の第1取り付け脚(不図示)に連結された前端部92とを有する。第1取り付け脚は、取り付け口41の周辺に形成された第1取り付け穴42に挿入される。中間テザー90Bは、横テザー80に連結された後端部91と、インフレータ2の第2取り付け脚(不図示)に連結された前端部92とを有する。第2取り付け脚は、取り付け口41の周辺に形成された第2取り付け穴42に挿入される。複数の取り付け穴42は、エアバッグ105の底面部40に形成された貫通孔である。
【0067】
図16は、第6実施形態に係るエアバッグが膨張展開した状態のエアバッグ装置の側面図である。第6実施形態において、上述の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで、省略または簡略する。第6実施形態に係るエアバッグ装置206のエアバッグ106は、左サイドテザー60が破断部63を有する点で、上述の実施形態と相違する。右サイドテザー70も、破断部63を有してもよい。なお、図16及び図17は、破断部63を明示するため、便宜上、エアバッグ106の内部に設けられた左サイドテザー60の外形を実線で示している。
【0068】
左サイドテザー60は、前端部62と後端部61との距離が段階的に伸長するように、前端部62と後端部61との間を破断する破断部63を有する。破断部63は、複数の切れ目が直線状に予め入れられたミシン目である。
【0069】
図17は、第6実施形態に係るエアバッグの膨張展開過程を示す図である。エアバッグ106の膨張展開時に発生する荷重により破断部63を段階的に破断させて、左サイドテザー60を段階的に伸張させ、正面部10のストロークを段階的に伸張させる。これにより、オブリーク衝突発生時の助手席に座る乗員のポジションが車両前後方向で異なる場合でも(P1,P2,P3のいずれの場合でも)、正面部10に向けて斜めに進入する乗員Pの頭部の回転を抑制する効果を高めることができる。
【0070】
図18は、エアバッグを形成する複数のパネル及び複数のテザーの平面図である。各実施形態に係るエアバッグは、例えば、センターパネル310、左パネル320、右パネル330、左サイドテザー60及び右サイドテザー70を用いて形成される。エアバッグは、横テザー80を更に用いて形成されてもよい。図18に示す点線は、相互に連結される箇所の対応関係を示す。
【0071】
センターパネル310は、左外縁311と右外縁312とを有する帯状の基布である。センターパネル310は、長手方向の中央部が長手方向の両端部よりも幅広に形成されている。中央正面部11(図2参照)は、センターパネル310の中央幅広部によって形成される。
【0072】
左パネル320は、外周縁321を有する略円状の基布であり、左側壁部20を形成する。外周縁321と左外縁311が縫合又は接着等により接合されることで、左正面部12(図2参照)が形成される。
【0073】
右パネル330は、外周縁331を有する略円状の基布であり、右側壁部30を形成する。外周縁331と右外縁312が縫合又は接着等により接合されることで、右正面部13(図2参照)が形成される。
【0074】
以上、実施形態を説明したが、本開示の技術は上記の実施形態に限定されない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【0075】
例えば、エアバッグ101は、左サイドテザー60と右サイドテザー70のうち、片方のサイドテザーのみを備える袋体でもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 インストルメントパネル
2 インフレータ
4 フロントウィンドシールド
10 正面部
11 中央正面部
12 左正面部
13 右正面部
14 左側谷部
15 右側谷部
20 左側壁部
21 凹み
22 側壁部位
30 右側壁部
31 凹み
32 側壁部位
40 底面部
41 取り付け口
42 取り付け穴
43 パッチクロス
50 上面部
60 左サイドテザー
61 後端部
62 前端部
63 破断部
70 右サイドテザー
71 後端部
72 前端部
80 横テザー
81 左端部
82 右端部
90 中間テザー
91 後端部
92 前端部
101 エアバッグ
201 エアバッグ装置
310 センターパネル
311 左外縁
312 右外縁
320 左パネル
321 外周縁
330 右パネル
331 外周縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18