(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132836
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】パーティション
(51)【国際特許分類】
A47B 96/04 20060101AFI20230914BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20230914BHJP
A47B 13/00 20060101ALN20230914BHJP
A47B 17/00 20060101ALN20230914BHJP
【FI】
A47B96/04 Z
A47G5/00 Z
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038385
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】520343191
【氏名又は名称】株式会社桐原容器工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 正康
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053NQ10
3B053SE10
(57)【要約】
【課題】軽量で剛性があり、運搬時や設置時の作業が容易に行えるパーティションを提供する。
【解決手段】パーティション1は、仕切り部材2と、仕切り部材2を立てる脚部材3とを備えている。仕切り部材2は、上下方向に延びる平板部21と、平板部21の周縁部から厚み方向一方に突出して平板部21を囲むように延びる周壁部22とが一体成形された樹脂材で構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り部材と、当該仕切り部材を立てる脚部材とを備えたパーティションであって、
前記仕切り部材は、上下方向に延びる平板部と、当該平板部の周縁部から厚み方向一方に突出して当該平板部を囲むように延びる周壁部とが一体成形された樹脂材で構成されていることを特徴とするパーティション。
【請求項2】
請求項1に記載のパーティションにおいて、
前記仕切り部材は、前記周壁部の突出方向先端部から上下方向及び水平方向に延出する延出板部を有し、当該延出板部は前記周壁部に一体成形されていることを特徴とするパーティション。
【請求項3】
請求項2に記載のパーティションにおいて、
前記平板部は、正面視で水平方向の寸法が上下方向の寸法よりも長く設定され、
前記延出板部は、前記周壁部から水平方向一方及び他方にそれぞれ延出した部分を有し、
前記延出板部における水平方向一方に延出した部分と、水平方向他方に延出した部分とにそれぞれ前記脚部材が取り付けられる側方取付部が設けられていることを特徴とするパーティション。
【請求項4】
請求項3に記載のパーティションにおいて、
前記延出板部は、前記周壁部から下方向に延出して水平方向に延びる部分を有し、
前記延出板部における下方向に延出した部分に前記脚部材が取り付けられる下方取付部が設けられていることを特徴とするパーティション。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載のパーティションにおいて、
前記周壁部は前記平板部の周方向に連続しており、
前記延出板部は前記周壁部の周方向に連続していることを特徴とするパーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば机上や卓上等に設置されるパーティションに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばウイルス感染症の飛沫感染を防止する観点から、机上や卓上にパーティションが設置される場合がある。この種のパーティションとしては、例えば特許文献1に開示されているように、平板状のガラス基板と、ガラス基板を立てて設置するための架台とを備えた組み立て式の飛沫防止パーティションが知られている。
【0003】
また、特許文献2には、アクリル樹脂またはガラスからなる透明プレート部と、透明プレート部を立てて設置するための脚部とを備えた卓上パーティションが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3231218号公報
【特許文献2】登録実用新案第3233788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1ではガラス基板を架台によって立てることで既存の机に改造を施すことなく設置でき、また特許文献2のものも透明プレート部を脚部によって立てることで特許文献1のものと同様に設置できるという利点がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1では比重の大きなガラス基板を用いて仕切り部を形成しているので、仕切り部の重量が嵩む。また、重いガラス基板を立てるための架台は高い強度が要求されるとともに、ガラス基板を安定させるために大型化する必要があり、架台の重量も嵩む。
【0007】
また、特許文献2では透明プレート部がアクリル樹脂またはガラスからなるものであり、どちらであっても仕切りとなる部分の重量が嵩む。仮にアクリル樹脂とした場合、立てた状態で使用する際に容易に変形しないようにするための剛性が必要であることから、そのような剛性を確保するための厚みが必要になり、ひいては重量が嵩む。よって、特許文献2の場合も、脚部が大型になり、脚部の重量も嵩む。
【0008】
特許文献1、2のように仕切り部の重量が嵩むと、それを支持するための架台や脚部も重量が嵩み、ひいては、パーティションの運搬作業や、机上や卓上への設置作業の負担が大きくなるという問題があった。
【0009】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、軽量で剛性があり、運搬時や設置時の作業が容易に行えるパーティションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、仕切り部材と、当該仕切り部材を立てる脚部材とを備えたパーティションを前提とすることができる。前記仕切り部材は、上下方向に延びる平板部と、当該平板部の周縁部から厚み方向一方に突出して当該平板部を囲むように延びる周壁部とが一体成形された樹脂材で構成されている。
【0011】
すなわち、平板部は上下方向に延びているだけなので、特に厚みを薄くして軽量化を図った平板部のみでは剛性が不十分な場合が想定される。本態様では、平板部を囲むように延びる周壁部が平板部の周縁部から厚み方向一方に突出しているので、周壁部が平板部のリブのように作用する。よって、平板部のみでは剛性が十分に確保できない程度まで樹脂材を薄肉化して軽量化したとしても、パーティションとして使用する際の仕切り部材の剛性は周壁部によって補われる。仕切り部材が軽量になると、仕切り部材を立てる脚部材も軽量にすることが可能になるので、仕切り部材及び脚部材の運搬が容易になるとともに、仕切り部材及び脚部材を机上や卓上に設置する際の設置作業も容易になる。
【0012】
他の態様に係る仕切り部材は、前記周壁部の突出方向先端部から上下方向及び水平方向に延出する延出板部を有し、当該延出板部は前記周壁部に一体成形されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、延出板部を有していることで仕切り部材の剛性をより一層高めることができ、仕切り部材を更に軽量なものにすることができる。
【0014】
他の態様に係る平板部は、正面視で水平方向の寸法が上下方向の寸法よりも長く設定されていてもよい。前記延出板部は、前記周壁部から水平方向一方及び他方にそれぞれ延出した部分を有しており、前記延出板部における水平方向一方に延出した部分と、水平方向他方に延出した部分とにそれぞれ前記脚部材が取り付けられる側方取付部を設けることができる。
【0015】
この構成によれば、水平方向に長い形状の平板部を有する仕切り部材の両側が脚部材によって支持されることになるので、仕切り部材が安定する。
【0016】
他の態様に係る延出板部は、前記周壁部から下方向に延出して水平方向に延びる部分を有していてもよい。この場合、前記延出板部における下方向に延出した部分に前記脚部材が取り付けられる下方取付部を設けることができる。よって、側方取付部と下方取付部とが仕切り部材に設けられることになるので、仕切り部材の上下方向に離れた複数箇所を脚部材に固定して仕切り部材を安定させることができる。
【0017】
他の態様に係る周壁部は前記平板部の周方向に連続していてもよい。この場合、前記延出板部は前記周壁部の周方向に連続していてもよい。この構成によれば、仕切り部材の剛性をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、上下方向に延びる平板部の周縁部から厚み方向一方に突出して当該平板部を囲むように延びる周壁部が一体成形されているので、軽量で十分な剛性のある仕切り部とすることができ、運搬や設置時の作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るパーティションを上方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るパーティションの正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るパーティションの側面図である。
【
図7】横板部を折り曲げる前の脚部材を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るパーティションの左側の脚部材近傍の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
図1~
図3は、本発明の実施形態に係るパーティション1を示している。パーティション1は、例えば机上や卓上、台上、テーブル上等に設置して使用することができ、具体的には、図示しないが、会議机、事務机、食卓、ミーティング机、受付台等の上面(設置面)に設置することが可能になっている。例えば対面した者の間にパーティション1を設置して机上を仕切ることで、一方の者の会話時の飛沫が他方の者に付着し難くなるので、ウイルス感染症の飛沫感染を抑制できる。
【0022】
パーティション1は、仕切り部材2と、仕切り部材2を設置面に立てるための左右の脚部材3とを備えている。
図1~
図3では、1つのパーティション1のみ示しているが、これに限らず、例えば2つ以上のパーティション1を水平方向に並べて使用することもできる。また、この実施形態の説明では、各図に示すように正面側及び背面側を定義する。正面は表面であってもよく、この場合、背面は裏面となる。また、正面は前面であってもよく、この場合、背面は後面となる。パーティション1の厚み方向は表裏方向または前後方向と定義することもできる。
【0023】
パーティション1を使用する際、人は正面側のみに存在していてもよいし、背面側のみに存在していてもよいし、正面側及び背面側の両側に存在していてもよい。また、パーティション1は、人の側方に位置するように設置して使用することもできる。
【0024】
パーティション1を正面側からときに左に位置する側を左側とし、右側に位置する側を右側と定義する。パーティション1の左右方向は幅方向である。上記方向の定義は、実施形態の説明の便宜を図るためであり、実際の使用時の方向や、運搬時の方向、製造時の方向等を限定するものではない。例えば正面と背面とを反対にして設置してもよい。
【0025】
仕切り部材2は、板状ないしシート状の樹脂材からなるものであり、樹脂材の例としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等を挙げることができる。樹脂材は、無色透明であってもよいし、着色されていてもよい。着色されている場合、例えば乳白色やスモーク色等の透光性を有する色に着色することもできる。樹脂材は、光不透過性を有していてもよい。仕切り部材2には、樹脂製のフィルムが貼り付けられていてもよい。フィルムは、無色透明であってもよいし、上述した色に着色されていてもよい。また、仕切り部材2は、抗菌作用を有するものであってもよく、例えば抗菌剤等によるコーティングを施すことで仕切り部材2に抗菌性を付与できる。
【0026】
また、樹脂材は柔軟性を有している。すなわち、仕切り部材2に故意に曲げ力を加えた際に、破断することなく曲がるようになっており、その曲げ量が所定未満であれば、形状が復元する形状復元性(弾性)を持っている。
【0027】
仕切り部材2は、平板部21と、周壁部22と、延出板部23とを有している。平板部21は、上下方向に延びており、仕切り部材2の本体となる部分である。平板部21の厚み方向一方を正面側として厚み方向他方を背面側とする。平板部21は、正面視で水平方向(左右方向)の寸法が上下方向の寸法よりも長く設定されており、横長の矩形状となっている。平板部21の寸法や大きさは特に限定されるものではないが、例えば上下方向の寸法を30cm以上100cm以下の範囲で設定することができ、また、左右方向の寸法は30cm以上150cm以下の範囲で設定することができる。尚、平板部21は、縦長の形状であってもよい。
【0028】
周壁部22は、平板部21の周縁部から背面側に突出して当該平板部21を囲むように周方向に連続して延びている。周壁部22が背面側に突出していることで、仕切り部材2は周壁部22の突出寸法に対応した厚み寸法を有することになるが、周壁部22の内方は空間であるため、仕切り部材2は軽量なものになる。
【0029】
平板部21が横長の矩形状をなしているので、周壁部22は、平板部21の上縁部に沿って左右方向に延びる上側壁部22aと、平板部21の下縁部に沿って左右方向に延びる下側壁部22bと、平板部21の左縁部に沿って上下方向に延びる左側壁部22cと、平板部21の右縁部に沿って上下方向に延びる右側壁部22dとで構成されることになる。そして、上側壁部22aの左端部に左側壁部22cの上端部が連続し、上側壁部22aの右端部に右側壁部22dの上端部が連続している。また、下側壁部22bの左端部に左側壁部22cの下端部が連続し、下側壁部22bの右端部に右側壁部22dの下端部が連続している。
【0030】
延出板部23は、周壁部22の突出方向先端部(背面側の端部)から上下方向及び水平方向に延出している。すなわち、延出板部23は、上側壁部22aの突出方向先端部から上方へ延出して左右方向に延びる上側板部23aと、下側壁部22bの突出方向先端部から下方へ延出して左右方向に延びる下側板部(下方延出部)23bと、左側壁部22cの突出方向先端部から左側方(水平方向一方)へ延出して上下方向に延びる左側板部23cと、右側壁部22dの突出方向先端部から右側方(水平方向他方)へ延出して上下方向に延びる右側板部23dとを有している。下側板部23bは仕切り部材2の下部に位置することになる。
【0031】
図4に示すように、上側板部23aの左端部に左側板部23cの上端部が連続し、上側板部23aの右端部に右側板部23dの上端部が連続している。また、下側板部23bの左端部に左側板部23cの下端部が連続し、下側板部23bの右端部に右側板部23dの下端部が連続している。つまり、延出板部23は周壁部22の周方向に連続している。上側板部23aの上下方向の寸法は、左側板部23c及び右側板部23dの左右方向の寸法よりも短く設定されている。下側板部23bの上下方向の寸法と、上側板部23aの上下方向の寸法とは等しく設定されている。また、左側板部23cの左右方向の寸法と、右側板部23dの左右方向の寸法とは等しく設定されている。
【0032】
また、
図5及び
図6に示すように、延出板部23と平板部21とは周壁部22の突出寸法だけ表裏方向に離れることになり、互いに略平行である。延出板部23は、鍔状部分またはフランジ状部分と呼ぶこともできる。延出板部23は、周方向の一部が切り欠かれていてもよい。
【0033】
図4に示すように、仕切り部材2の左側部には左側方延出部23eが形成され、また、仕切り部材2の右側部には右側方延出部23fが形成されている。左側方延出部23eは、左側板部23cの上下方向中間部から左側方へ延出して上下方向に延びる板状をなしている。左側方延出部23eの上部は、左側板部23cの上下方向中央部近傍に位置している。左側方延出部23eの下部は、左側板部23cの下部近傍に位置している。右側方延出部23fは、左側方延出部23eと左右対称であり、上下方向の寸法及び厚みは同じである。左側方延出部23eは、左側の脚部材3の縦板部31(後述する)が取り付けられる側方取付部であり、また、右側方延出部23fは、右側の脚部材3の縦板部31(後述する)が取り付けられる側方取付部である。
【0034】
脚部材3は、仕切り部材2の左側と右側とにそれぞれ取り付けられる。左側の脚部材3と右側の脚部材3とは同じものであり、例えば左側のものを左右反対にして右側の脚部材3として使用することができる。脚部材3は、例えば段ボール製の板材で構成されているが、これに限らず、例えばボール紙、樹脂板、木製の板、金属製の板等で構成されていてもよい。
【0035】
図7及び
図8に示すように、脚部材3は、縦板部31と横板部32とを備えている。
図2に示すように、縦板部31は、仕切り部材2の側部に沿うように上下方向に延びている。すなわち、左側の縦板部31は仕切り部材2の左側部(左側板部23c)に沿うように配置され、右側の縦板部31は仕切り部材2の右側部(右側板部23d)に沿うように配置される。横板部32は、縦板部31の上下方向中間部から仕切り部材2の下部に沿うように突出しており、縦板部31に対して略直交する姿勢となっている。縦板部31と横板部32とは1枚の部材で構成されていてもよいし、異なる部材で構成されていてもよい。
【0036】
図3に示すように、縦板部31は、下へ行くほど表裏方向(仕切り部材2の表裏方向)の寸法が長くなるように形成されている。縦板部31の下側部分には、仕切り部材2の正面側と背面側とにそれぞれ位置するとともに上記設置面に置かれる一対の設置部31a、31aが設けられている。一対の設置部31a、31aは、仕切り部材2の表裏方向に互いに間隔をあけて配置され、両設置部31a、31aの下端部は水平方向に延びている。設置部31a、31aが仕切り部材2の表裏方向に互いに間隔をあけて配置されることで、仕切り部材2が倒れにくくなり、安定する。
【0037】
図8に示すように、左側の横板部32は、左側の縦板部31における設置部31a、31aの上端部の間の部分から仕切り部材2の下部に沿うように右へ向けて延びており、縦板部31における設置部31a、31aの間の部分が折り曲げられて構成されている。また、右側の横板部32は、右側の縦板部31における設置部31a、31aの上端部の間の部分から仕切り部材2の下部に沿うように左へ向けて延びており、縦板部31における設置部31a、31aの間の部分が折り曲げられて構成されている。
【0038】
図1に示すように、左側の縦板部31には、左側方延出部23eが差し込まれる縦板スリット31bが形成されている。また、
図3に示すように、右側の縦板部31には、右側方延出部23fが差し込まれる縦板スリット31bが形成されている。左側の縦板スリット31bは、上下方向に直線状に延びており、左側方延出部23eの基端部の形状に対応している。縦板スリット31bの上下方向の寸法は、左側方延出部23eの基端部の上下方向の寸法と略同じか、左側方延出部23eの基端部の上下方向の寸法よりも若干長めに設定されている。右側の縦板スリット31bも同様に構成されている。
【0039】
図1や
図2に示すように、左側方延出部23eは、縦板スリット31bに差し込まれた状態で、縦板スリット31bよりも左側方へ延出するように形成されている。左側方延出部23eにおける縦板スリット31bよりも左側方へ延出した部分には、縦板スリット31bの上端部よりも上方へ突出する左側突出部23gが形成されている。左側突出部23gの上端部は縦板スリット31bの上端部よりも上に位置しており、これにより、縦板スリット31bに一旦差し込まれた左側方延出部23eが縦板スリット31bから抜け難くなる。右側方延出部23fも同様な形状の右側突出部23hを有している。
【0040】
図2に示すように、下側板部23bの左右方向中央部よりも左寄りの部分には、左側の横板部32が差し込まれる左側差し込み孔24が形成されている。この左側差し込み孔24は、左右方向、即ち仕切り部材2の幅方向に長いスリット形状とされており、右へ行くほど下に位置するように傾斜している。尚、左側差し込み孔24は、左右方向に水平に延びていてもよい。
【0041】
左側差し込み孔24は下方向に開放可能に構成されている。具体的には、
図4に示すように、下側板部23bには、当該下側板部23bの下端部から左側差し込み孔24まで連続して上下方向に延びる左側切れ込み部24aが形成されている。左側切れ込み部24aの上端部は左側差し込み孔24の左端部と連続している。仕切り部材2を構成している樹脂材が柔軟性及び弾性を有しているので、下側板部23bにおける左側差し込み孔24の下側部分、かつ、左側切れ込み部24aよりも右側の部分(以下、変形部という)24bを正面側または背面側に曲げて変形させることが可能になっている。変形部24bに対して正面側または背面側に外力を加えて変形部24bを変形させることにより、左側差し込み孔24が下方向に開放された状態になる。一方、変形部24bに対する外力を除くと、変形部24bの形状が復元して左側切れ込み部24aが閉じた状態になる。
【0042】
図2に示すように、下側板部23bの左右方向中央部よりも右寄りの部分には、右側の横板部32が差し込まれる右側差し込み孔25が形成されている。右側差し込み孔25は、左側差し込み孔24と同様なものであり、左右対称形状とされている。すなわち、下側板部23bの下端部から右側差し込み孔25の右端部まで連続して上下方向に延びる右側切れ込み部25aが下側板部23bに形成されており、下側板部23bにおける右側差し込み孔25の下側部分、かつ、右側切れ込み部25aよりも左側の部分が変形部25bとなっている。
【0043】
図8に示すように、左側の脚部材3の横板部32には、下側板部23bにおける左側差し込み孔24よりも左側の部分が差し込まれる横板スリット32aが形成されている。また、右側の脚部材3の横板部32には、下側板部23bにおける右側差し込み孔25よりも右側の部分が差し込まれる横板スリット32aが形成されている。横板スリット32aは、下側板部23bに沿った形状、即ち、仕切り部材2の幅方向に直線状に延びている。
【0044】
左側差し込み孔24には、左側の横板部32における横板スリット32aが形成された部分よりも突出方向先端側(右側)が差し込まれる。また、右側差し込み孔25には、右側の横板部32における横板スリット32aが形成された部分よりも突出方向先端側(左側)が差し込まれる。つまり、左側差し込み孔24は、左側の脚部材3の横板部32が取り付けられる下方取付部であり、また、右側差し込み孔25は、右側の脚部材3の横板部32が取り付けられる下方取付部である。
【0045】
(仕切り部材の製造要領)
仕切り部材2を構成している平板部21、周壁部22及び延出板部23は、上記樹脂材で一体成形された一体成形品である。平板部21、周壁部22及び延出板部23を一体成形する方法としては、例えばブリスター加工法等を用いることができる。ブリスター加工法では、図示しないが、板状ないしシート状の樹脂材を所望温度まで加温するヒータと、金型と、真空引き装置とを用いる。金型の成形面の形状は、上記平板部21、周壁部22及び延出板部23を得ることが可能な形状とされている。金型の成形面には、多数の小さな孔が開口している。成形面に開口する各孔は真空引き装置に接続されており、真空引き装置で発生した真空力が孔を介して成形面に作用するようになっている。
【0046】
ブリスター加工法では、始めに1枚の大きな板状ないしシート状の樹脂材をヒータで加温して成形に適した温度まで昇温させて軟化させる。このときの温度は、樹脂の種類、厚み、製品形状等に応じて任意に設定することができる。
【0047】
その後、昇温した樹脂材を金型の成形面に置くとともに、成形面に真空力を作用させる。これにより、樹脂材が成形面に吸い付いた状態になって平板部21、周壁部22及び延出板部23が成形される。樹脂材の冷却後に金型から外すことで、平板部21、周壁部22及び延出板部23の一体成形品が得られる。以上がブリスター加工工程である。
【0048】
ブリスター加工工程の後、所定形状となるように各部を切除するための型抜き工程を行う。すなわち、ブリスター加工直後の成形品(中間品)の外形状は、延出板部23の外形状よりも大きく成形されており、延出板部23の周囲には不要部分が存在している。また、中間品には、左側差し込み孔24及び右側差し込み孔25と、左側切れ込み部24a及び右側切れ込み部25aとが形成されていない。型抜き工程では、図示しないが、延出板部23の外縁部の形状に対応した切断用の刃、左側差し込み孔24及び右側差し込み孔25を形成するための刃、左側切れ込み部24a及び右側切れ込み部25aを形成するための刃を有する型を使用する。この型を用いることにより、型抜き工程では、延出板部23の周囲の不要部分の切除、左側差し込み孔24及び右側差し込み孔25の形成、及び、左側切れ込み部24a及び右側切れ込み部25aの形成を同工程で行うことができる。上記型抜き工程を行うことで
図4に示すような仕切り部材2が得られる。得られた仕切り部材2は、複数枚を厚み方向に重ねて保管したり、厚み方向に重ねた状態で運搬することが可能である。
【0049】
(脚部材の製造要領)
脚部材3を製造する際には、段ボール製の板材を素材として用意する。その板材を
図7に示すような形状に型抜きする。
図7に示すものは、横板部32を折り曲げる前のものであることから、横板部32と縦板部31とが同一平面上に位置した平板状をなしている。よって、脚部材3も厚み方向に重ねて保管したり、厚み方向に重ねた状態で運搬することが可能である。
【0050】
(パーティションの設置要領)
次に、上記のように構成されたパーティション1の設置要領について説明する。脚部材3については、横板部32を折り曲げておく。その後、脚部材3を仕切り部材2に取り付ける。左右どちらの脚部材3を先に取り付けてもよい。左側の脚部材3を仕切り部材2に取り付ける際には、縦板スリット31bに左側方延出部23eを差し込む。このとき、左側方延出部23eの上部には左側突出部23gが形成されているので、左側突出部23gを縦板スリット31bに先に差し込み、その後、左側突出部23gよりも下側部分、即ち、左側方延出部23eを縦板スリット31bに差し込む。
【0051】
また、横板スリット32aに下側板部23bを差し込むとともに、変形部24bを正面側または背面側へ変形させて左側差し込み孔24を下方向に開放させ、その開放した部分から、横板部32における横板スリット32aが形成された部分よりも突出方向先端側を左側差し込み孔24に差し込む。その後、変形部24bの形状を復元することで左側差し込み孔24が閉じられるので、横板部32が左側差し込み孔24から抜けることはない。尚、脚部材3を仕切り部材2から取り外す場合のように、横板部32を左側差し込み孔24から抜く際には、変形部24bを正面側または背面側へ変形させて左側差し込み孔24を下方向に開放させ、その開放した部分から抜けばよい。右側の脚部材3についても左側のものと同様にして仕切り部材2に取り付けることができる。
【0052】
(実施形態の作用効果)
本実施形態に係る仕切り部材2の平板部21は上下方向に延びているだけなので、厚みを薄くして軽量化を図った平板部21のみでは剛性が不十分な場合が想定されるが、平板部21を囲むように延びる周壁部22が平板部21の周縁部から厚み方向一方に突出しているので、周壁部22が平板部21のリブのように作用する。よって、平板部21のみでは剛性が十分に確保できない程度まで樹脂材を薄肉化して軽量化したとしても、パーティション1として使用する際の仕切り部材2の剛性は周壁部22によって補われる。また、周壁部22の突出方向先端部から上下方向及び水平方向に延出する延出板部23を有していることで仕切り部材2の剛性をより一層高めることができ、仕切り部材2を更に軽量なものにすることができる。
【0053】
仕切り部材2が軽量になると、仕切り部材2を立てるための脚部材3も軽量にすることが可能になるので、仕切り部材2及び脚部材3の運搬が容易になるとともに、仕切り部材2及び脚部材3を机上や卓上に設置する際の設置作業も容易になる。
【0054】
また、左側の脚部材3を仕切り部材2に取り付ける際には、脚部材3の縦板部31の縦板スリット31bに仕切り部材2の左側方延出部23eを差し込み、また、脚部材3の横板部32を仕切り部材2の下側板部23bの差し込み孔24に下方から差し込むことで、従来例のネジ及びナットを使用することなく、脚部材3を仕切り部材2に取り付けることができる。右側の脚部材3も同様である。
【0055】
脚部材3が仕切り部材2に取り付けられた状態で、例えば仕切り部材2を持ち上げると、左側方延出部23eが仕切り部材2の側方へ延出するものなので、脚部材3の重さを左側方延出部23eによって支えることが可能になり、脚部材3が左側方延出部23eに保持されて脚部材3の落下が抑制される。また、脚部材3に対して側方へ向かう外力が作用した場合には、横板部32が差し込まれている差し込み孔24が下方向にのみ開放可能になっているので、横板部32が差し込み孔24から側方へ抜けることはなく、下側板部23bに保持された状態が維持される。よって、煩雑な作業を要することなく、脚部材3を仕切り部材2に取り付けることができ、しかも、脚部材3の取付後には容易には離脱しないようにすることができる。
【0056】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明に係るパーティションは、例えば机上や卓上等に設置して使用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 パーティション
2 仕切り部材
3 脚部材
21 平板部
22 周壁部
23 延出板部
23e 左側方延出部(側方取付部)
23f 右側方延出部(側方取付部)
23g 突出部
24 左側差し込み孔(下方取付部)
24a 切れ込み部
25 右側差し込み孔(下方取付部)
31 縦板部
31a 設置部
31b 縦板スリット
32 横板部
32a 横板スリット