(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132847
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/30 20060101AFI20230914BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20230914BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20230914BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20230914BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20230914BHJP
F21V 9/08 20180101ALI20230914BHJP
B60Q 1/34 20060101ALI20230914BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20230914BHJP
H05B 45/20 20200101ALI20230914BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20230914BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20230914BHJP
H05B 47/17 20200101ALI20230914BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20230914BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20230914BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20230914BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20230914BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230914BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20230914BHJP
【FI】
B60Q1/30 Z
F21S43/20
F21S43/14
F21S43/15
F21V3/00 510
F21V9/08 100
B60Q1/34 A
H05B45/10
H05B45/20
H05B47/105
H05B47/155
H05B47/17
F21W103:35
F21W103:10
F21W103:45
F21W103:20
F21Y115:10
F21Y113:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038406
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】山岸 翔一
(72)【発明者】
【氏名】太田 忠洋
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA07
3K273BA28
3K273BA36
3K273CA01
3K273CA02
3K273CA08
3K273CA25
3K273DA03
3K273FA03
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3K339AA16
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3K339BA03
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3K339DA01
3K339EA05
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3K339GB01
3K339GB21
3K339HA01
3K339KA06
3K339KA07
(57)【要約】
【課題】 発光素子の消光時、一般の赤色カバー部(例えば、赤色に着色された一般のアウターレンズ)と同様の赤色が呈されると共に、発光素子の発光時、赤色カバー部から白色光が出射する車両用灯具の提供を目的とする。
【解決手段】 車両用灯具は、470nm~520nmに発光ピーク波長を有する第1半導体発光素子と、580nm~600nmに発光ピーク波長を有する第2半導体発光素子と、前記第1半導体発光素子及び前記第2半導体発光素子に対向する赤色カバー部とを備え、前記赤色カバー部は、第1半導体発光素子からの光と、第2半導体発光素子からの光と、赤色光とをそれぞれ所定の透過率で透過させ、前記第1半導体発光素子及び前記第2半導体発光素子が発光し、前記赤色カバー部から白色光が出射することを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
470nm~520nmに発光ピーク波長を有する第1半導体発光素子と、
580nm~600nmに発光ピーク波長を有する第2半導体発光素子と、
前記第1半導体発光素子及び前記第2半導体発光素子に対向する赤色カバー部と、
を備え、
前記赤色カバー部は、第1半導体発光素子からの光と、第2半導体発光素子からの光と、赤色光とをそれぞれ所定の透過率で透過させ、
前記第1半導体発光素子及び前記第2半導体発光素子が発光し、前記赤色カバー部から白色光が出射する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第2半導体発光素子のみが発光し、前記赤色カバー部からアンバー色光が出射する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記赤色カバー部の色度範囲が、JIS Z8701の色度座標において、下記条件1,2の双方を満たす
請求項1又は2に記載の車両用灯具。
(条件1) y≦0.38
(条件2) y≧0.94-x
【請求項4】
前記第2半導体発光素子から照射され、前記赤色カバー部を透過した透過光成分の強度が、前記第1半導体発光素子から照射され、前記赤色カバー部を透過した透過光成分の強度に対して、4倍以下である
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記赤色カバー部において、
前記第1半導体発光素子からの光の透過率が、5%~40%であり、
前記第2半導体発光素子からの光の透過率が、10%~60%であり、
前記赤色光の透過率が、80%以上である
請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具として、例えば、リアコンビネーションランプが挙げられる。ここで、リアコンビネーションランプは、ストップランプやブレーキランプ等の制動灯、ターンシグナルランプやウィンカー等の方向指示器、テールランプ、バックランプを含む。また、リアコンビネーションランプは、ハウジングと、ハウジングの正面側(車両後方側)を覆うカバー部(例えば、アウターレンズ)を備える。更に、リアコンビネーションランプのカバー部に、制動灯やテールランプ用の赤色光出射領域、方向指示器用の橙色(アンバー色)光出射領域、バックランプ用の白色光出射領域が設けられる。
【0003】
前述のような異なる色の光出射領域を備えるカバー部は、例えば、各領域に対応する複数の板材パーツを貼り合わせる、あるいは、赤色光出射領域に対応するカバー基部と、その他の透明樹脂部とを多色成形(例えば、二色成形)するなどして製造される。
【0004】
しかしながら、カバー部をこのような方法で製造する場合、各領域に対応する板状パーツの数が多くなり組立工数が増えることや、カバー部を成形するための金型の形状が複雑になるなどの課題が生じる。また、カバー部において、カバー基部と透明樹脂部との色が異なるため、意匠的にも好ましくない。このような課題を解決するための発明が、下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の発明は、400nm~510nmの発光ピーク波長を有する第1発光素子と、前記第1発光素子が発光した光が入射する位置に設けられ、485nm~700nmに発光ピーク波長を有する第1蛍光体と、600nm~730nmの光の透過率が80%以上、410nm~480nmの光の透過率が3%~50%であり、第1蛍光体から出射した第1光が入射する位置に設けられて前記第1光の一部を透過する赤色のカラーフィルタとを備え、前記カラーフィルタを透過した白色光を出射する照明装置に関する。
【0007】
しかしながら、特許文献1の
図5を参照すると、赤色カラーフィルタ(赤色カバー部)における410nm~480nmの光の透過率が比較的高い一方、500nm~600nmの光の透過率が低い。そのため、第1発光素子の消光時、赤色カバー部の白色光出射領域に対応する区画が、ピンク色みの赤色を呈すると考えられる。
【0008】
また、特許文献1に開示の発明は、第1蛍光体からの照射光を利用する。しかしながら、第1蛍光体からの照射光は、青色から橙色に掛かるブロードな波長範囲を含む。そのため、第1蛍光体からの照射光の波長範囲は、赤色カバー部の透過率の低い領域と重なる結果、赤色カバー部外に出射される第1蛍光体由来の光が低減される。その場合、想定する白色光とは異なる色みの光が、赤色カバー部から出射されるおそれがある。
【0009】
前記課題に鑑み、発光素子の消光時、一般の赤色カバー部(例えば、赤色に着色された一般のアウターレンズ)と同様の赤色が呈されると共に、発光素子の発光時、赤色カバー部から白色光が出射する車両用灯具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決するため、本発明に係る車両用灯具は、
470nm~520nmに発光ピーク波長を有する第1半導体発光素子と、
580nm~600nmに発光ピーク波長を有する第2半導体発光素子と、
前記第1半導体発光素子及び前記第2半導体発光素子に対向する赤色カバー部と、
を備え、
前記赤色カバー部は、第1半導体発光素子からの光と、第2半導体発光素子からの光と、赤色光とをそれぞれ所定の透過率で透過させ、
前記第1半導体発光素子及び前記第2半導体発光素子が発光し、前記赤色カバー部から白色光が出射する
ことを特徴とする。
【0011】
本発明のこの態様によれば、蛍光体より波長範囲(半値幅)の狭い第2半導体発光素子に由来する透過光成分が利用されると共に、第1半導体発光素子からの光と、第2半導体発光素子からの光と、赤色光とをそれぞれ所定の透過率で透過させる赤色カバー部が利用される。これにより、第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子の発光時、赤色カバー部から白色光が出射させることができる。また、第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子の消光時、一般の赤色カバー部と同様の赤色が、本発明の赤色カバー部から呈される。
【0012】
また、本発明に係る車両用灯具において、
前記第2半導体発光素子のみが発光し、前記赤色カバー部からアンバー色光が出射することが好ましい。
【0013】
本発明のこの態様によれば、第1半導体発光素子と第2半導体発光素子の双方を発光させた場合と、第2半導体発光素子のみを発光させた場合とで、異なる色の出射光を得ることができる。すなわち、発光させる半導体素子の組み合わせを変えることで、異なるランプ機能を提供できる。
【0014】
更に、本発明に係る車両用灯具において、
前記赤色カバー部の色度範囲が、JIS Z8701の色度座標において、下記条件1,2の双方を満たすことが好ましい。
(条件1) y≦0.38
(条件2) y≧0.94-x
【0015】
本発明のこの態様によれば、白色光を得るよう、各種光の透過率が調整されているにも関わらず、第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子の消光時、赤色カバー部が、一般の赤色カバーと同様の赤色を呈する。
【0016】
更に、本発明に係る車両用灯具において、
前記第2半導体発光素子から照射され、前記赤色カバー部を透過した透過光成分の強度が、前記第1半導体発光素子から照射され、前記赤色カバー部を透過した透過光成分の強度に対して、4倍以下であることが好ましい。
【0017】
本発明のこの態様によれば、例えば、SAE J578Cのようなランプ色度法規を順守し得る白色光を得ることができる。
【0018】
更に、本発明に係る車両用灯具は、
前記赤色カバー部において、
前記第1半導体発光素子からの光の透過率が、5%~40%であり、
前記第2半導体発光素子からの光の透過率が、10%~60%であり、
前記赤色光の透過率が、80%以上であることが好ましい。
【0019】
本発明のこの態様によれば、赤色カバー部における各透過率が、前記条件を満たすよう調整されているため、第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子の発光によって、明瞭な白色光を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一般の赤色カバー部(例えば、赤色に着色された一般のアウターレンズ)と同様の赤色が呈されると共に、発光素子の発光時、赤色カバー部から白色光が出射する車両用灯具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一本実施形態に係る車両用灯具の模式図。
【
図3】本実施形態の赤色カバー部の透過スペクトルを示す図。
【
図4】本実施形態の車両用灯具からの出射光の色度をプロットした色度座標(JIS Z8701)の部分図。
【
図5】本実施形態の第1半導体発光素子及び第2半導体発光素子の発光時における光源ユニットの作用を説明するための図。
【
図6】本実施形態の第1半導体発光素子由来の出射光(透過光)と第2半導体発光素子由来の出射光(透過光)の光強度を比較した図。
【
図7】本実施形態の第2半導体発光素子のみの発光時における光源ユニット10の作用を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る車両用灯具を詳細に説明する。初めに、
図1から
図4を参照して、本実施形態に係る車両用灯具1及び光源ユニット10を説明する。
【0023】
ここで、
図1は、車両用灯具1の構成概略を示す模式図である。また、
図2は、車両用灯具1に備わる光源ユニット10の斜視図である。更に、
図3は、車両用灯具1に備わる赤色カバー部の透過スペクトルを示す図である。更に、
図4は、車両用灯具1からの出射光の色度をプロットした色度座標(JIS Z8701)の部分図である。
【0024】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、自動車の車体後方に取り付けられるリアコンビネーションランプである。また、
図1に示されるように、車両用灯具1は、ランプハウジング2、光源ユニット10、赤色カバー部20(アウターレンズ)等を含む。
【0025】
光源ユニット10は、ランプハウジング2内に収容される。また、赤色カバー部20は、ランプハウジング2の正面開口部(ランプハウジングの車両後方側に位置する開口部)を覆う。これにより、光源ユニット10等を収める灯室3が画成される。更に、赤色カバー部20は、光源ユニット10と対向する。
【0026】
次に、
図2に示されるように、本実施形態の光源ユニット10は、470nm~520nmに発光ピーク波長を有する第1半導体発光素子11、580nm~600nmに発光ピーク波長を有する第2半導体発光素子12、第1半導体発光素子11及び第2半導体発光素子12を実装する基板13等を備える。また、特に限定されるものではないが、光源ユニット10は、第1半導体発光素子11及び第2半導体発光素子12を覆う透明封止樹脂14を更に備えることが好ましい。
【0027】
本実施形態の第1半導体発光素子11は、約490nmに発光ピーク波長を有するLED(Light Emitting Diode)である。より詳しくは、本実施形態の第1半導体発光素子11は、InGaN系の半導体から構成され、青緑色光を発光する。ただし、470nm~520nmに発光ピーク波長を有する半導体であれば、これに限られない。
【0028】
また、本実施形態の第2半導体発光素子12は、約590nmに発光ピーク波長を有するLEDである。より詳しくは、本実施形態の第2半導体発光素子12は、AlGaInP系の半導体から構成され、アンバー色光を発光する。ただし、580nm~600nmに発光ピーク波長を有する半導体であれば、これに限られない。
【0029】
なお、本実施形態の第1半導体発光素子11及び第2半導体発光素子12は、LEDであるが、前述の発光ピーク波長をそれぞれ有する他の半導体発光素子(例えば、レーザーダイオード等)であってもよく、それ以外の半導体発光素子であってもよい。
【0030】
次に、赤色カバー部20は、赤色顔料で着色された透明樹脂プレートで構成される。ここで、赤色カバー部20の赤色顔料は、特に限定されない。赤色顔料の例として、アゾ化合物、シアニン化合物、ペリレン化合物、ジオキサジン化合物等が挙げられる。また、赤色顔料で着色される透明樹脂プレートの素材も、特に限定されない。透明樹脂プレートの例として、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0031】
また、赤色カバー部20の透過特性の例として、
図3に示される透過スペクトルに対応するものが挙げられる。より詳しくは、赤色カバー部20の透過特性の例として、下記(3)~(5)の全ての条件を満たすものが挙げられる。
【0032】
(条件3):例えば、波長400nm~550nmの青色光から緑みの青色光(青緑色光)の透過率が、5%~40%。
(条件4):例えば、波長580nm~600nmのアンバー色光の透過率が、10%~60%。
(条件5):例えば、波長620nm~730nmの赤色光の透過率が、80%以上。
【0033】
すなわち、赤色カバー部20は、外光の赤色成分を条件5のような透過率で透過させると共に、第1半導体発光素子11からの照射光や第2半導体発光素子12からの照射光を条件3,4のような透過率で透過させる。
【0034】
これにより、第1半導体発光素子11及び第2半導体発光素子12の発光時、例えば、
図4の色度座標における枠40(米国ランプ色度法規 SAE J578Cによって規定される白色光)内又はその近傍の色度範囲に対応する白色光が、赤色カバー部20から出射される。
【0035】
ただし、第1半導体発光素子11及び第2半導体発光素子12の発光時において、例えば、JIS Z8701に基づく色度座標において、0.500≧x≧0.310、y≦0.150+0.640x、y≧0.050+0.750x、0.440≧y≧0.382を満たす色度範囲の白色光が、赤色カバー部20から出射されるものであれば、赤色カバー部20の透過特性は、前記に限られない。
【0036】
更に、本実施形態の赤色カバー部20は、JIS Z8701の色度座標において、下記条件1,2の双方を満たす色度範囲であることが好ましい。
(条件1) y≦0.38
(条件2) y≧0.94-x
【0037】
赤色カバー部20の色度範囲に関し、前記条件1,2を満たすもの(
図4の線分41に囲まれる領域)とすることで、第1半導体発光素子11及び第2半導体発光素子12の消光時、赤色カバー部全体が、一般の赤色カバーと同様の赤色を呈するものとなる。
【0038】
本実施形態によれば、蛍光体より波長範囲(半値幅)の狭い第2半導体発光素子12に由来する透過光成分が利用されると共に、第1半導体発光素子11からの光と、第2半導体発光素子12からの光と、赤色光とをそれぞれ所定の透過率で透過させる赤色カバー部20が利用される。これにより、双方の発光素子の発光時、赤色カバー部20から白色光が出射される。
【0039】
次に、
図5から
図7を参照して、本実施形態に係る車両用灯具1の作用を説明する。ここで、
図5は、第1半導体発光素子11及び第2半導体発光素子12の発光時における光源ユニット10の作用を説明するための図である。また、
図6は、第1半導体発光素子11由来の出射光(透過光)と第2半導体発光素子12由来の出射光(透過光)の光強度を比較した図である。更に、
図7は、第2半導体発光素子12のみの発光時における光源ユニット10の作用を説明するための図である。
【0040】
図5(a)に示されるように、第1半導体発光素子11及び第2半導体発光素子12を発光させると、双方からの照射光が、赤色カバー部20に向かう。前述のように、赤色カバー部20は、第1半導体発光素子11からの照射光を透過率5%~40%で透過すると共に、第2半導体発光素子12からの照射光を透過率10%~60%で透過する。また、例えば外光由来の赤色光が、赤色カバー部20を透過する。
【0041】
これにより、第1半導体発光素子11に由来する透過光成分と、第2半導体発光素子12に由来する透過光成分と、外光に由来する赤色透過光成分とが、赤色カバー部20の外側に出射する。その結果、これらの各透過光成分の混合光としての白色光が、赤色カバー部20の外側に出射する。本実施形態の場合、赤色カバー部20から出射した白色光をバックランプとして利用する(
図5(b))。なお、
図5(b)の符号21は、赤色カバー部20における白色光の出射領域に対応する。
【0042】
ここで、赤色カバー部20を透過した、第2半導体発光素子12に由来する透過光(出射光)成分の光強度IAは、第1半導体発光素子11に由来する透過光(出射光)成分の光強度IBに対して、4倍以下であることが好ましい。
【0043】
双方の光強度が前記条件を満たすことで、
図4に示されるように、例えば、SAE J578Cを満たす白色光を得ることができる(赤色カバー部20からの出射光の色度を
図4の色度座標における枠40内に収めることができる)。
【0044】
次に、
図7(a)に示されるように、第2半導体発光素子12のみが発光すると、赤色カバー部20の透過特性から、第2半導体発光素子12の照射光と同様のアンバー色光が、赤色カバー部20から出射する。本実施形態の場合、赤色カバー部20から出射したアンバー色光をターンシグナルランプとして利用する。なお、
図7(b)の符号22は、赤色カバー部20におけるアンバー色光の出射領域に対応する。
【0045】
このように、第1半導体発光素子11と第2半導体発光素子12の双方を発光させた場合と、第2半導体発光素子12のみを発光させた場合とで、異なる色の出射光を得ることができる。すなわち、発光させる半導体素子の組み合わせを変えることで、異なるランプ機能を提供できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【0047】
例えば、車両用灯具1は、第1半導体発光素子11・第2半導体発光素子12と、赤色カバー部20との間に介設されるインナーレンズを備えていてもよい。また、車両用灯具1は、第1半導体発光素子11・第2半導体発光素子12からの照射光を赤色カバー部20側に配光するリフレクタを備えていてもよい。
【0048】
更に、前述の車両用灯具1は、リアコンビネーションランプであるが、それ以外の種類の灯具であってもよい(例えば、車両用リッドランプ等)。
【符号の説明】
【0049】
1… 車両用灯具
10… 光源ユニット
11… 第1半導体発光素子
12… 第2半導体発光素子
20… 赤色カバー部
21… 白色光の出射領域
22… アンバー色光の出射領域