(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132857
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】模型玩具、及び可動構造
(51)【国際特許分類】
A63H 3/04 20060101AFI20230914BHJP
A63H 3/36 20060101ALI20230914BHJP
A63H 3/46 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A63H3/04 Z
A63H3/36 C
A63H3/36 D
A63H3/36 G
A63H3/36 L
A63H3/36 Q
A63H3/46 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038420
(22)【出願日】2022-03-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山上 篤史
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BC02
2C150CA01
2C150EH06
2C150EH07
2C150EH08
2C150EH09
(57)【要約】
【課題】本発明は、例えば模型玩具において、より少ないパーツで複数の可動機構を実現する仕組みを提供する。また、本発明は、自然な印象で動作を行う可動機構を実現する仕組みを提供する。
【解決手段】本人形型玩具(100)は、受け入れ部を有する第1連結部(312)と、一端に形成された第2連結部(313)とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツ(201)と、第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部(321a、321b)を有する第2パーツ(202)と、第2連結部に回転可能に接続される第2接続部(331a、331b)を一端に有する第3パーツ(203a、203b)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型玩具であって、
受け入れ部を有する第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成されることを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記第3パーツは、それぞれが前記第2接続部を有する2つの第3パーツであり、
前記第2可動機構は、一方の前記第3パーツの第2接続部が前記第2連結部に回転可能に接続され、さらに、他方の前記第3パーツの第2接続部が該第2連結部に回転可能に接続されることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記第3パーツは、それぞれが前記第2接続部を有する2つの第3パーツであり、
前記第2連結部は第1部分と第2部分とを有し、
前記第2可動機構は、一方の前記第3パーツの第2接続部が前記第2連結部の前記第1部分に回転可能に接続され、他方の前記第3パーツの第2接続部が該第2連結部の前記第2部分に回転可能に接続されることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項4】
前記第1パーツは他端に形成された球形状の第3連結部をさらに有し、
前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の模型玩具。
【請求項5】
前記第1可動機構は、前記模型玩具の服飾の一部を形成する前記第2パーツの可動軸として機能し、
前記第2可動機構は、前記模型玩具の股関節の可動軸として機能し、
前記第3可動機構は、前記模型玩具の腰関節の可動軸として機能することを特徴とする請求項4に記載の模型玩具。
【請求項6】
2つの前記第3パーツの他端には、前記模型玩具の脚部がそれぞれ接続されることを特徴とする請求項5に記載の模型玩具。
【請求項7】
2つの前記第3パーツの他端はそれぞれ円筒部を有し、
各円筒部が前記脚部の内部に設けられた球形状の接続部へ挿入され、各脚部が前記第3パーツに対して回動可能に接続されることを特徴とする請求項6に記載の模型玩具。
【請求項8】
前記第2可動機構による前記脚部の回動に追従して、前記第1可動機構によって前記第2パーツが回動可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の模型玩具。
【請求項9】
可動構造であって、
受け入れ部を有する第1連結部と、一端に第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む第2可動機構が形成されることを特徴とする可動構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型玩具、及び可動構造に関する。
【背景技術】
【0002】
人形型玩具(模型玩具)においては、自然な動作や多彩なポージングを実現することが求められている。したがって、人間や動物に近い動作やポージングを実現すべく、人形型玩具には種々の関節や可動部が含まれるものである。特許文献1には、現実の動物と同様なリアルな動きを可能とした関節構造を有している四足動物人形が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、多彩な動作を実現するために種々の関節が含まれ、各関節は複数のパーツから構成されている。しかし、小型の人形型玩具においては、その空間的な制限からできる限り少ない数のパーツで多彩な動作を行うことが求められる。
【0005】
本発明は、模型玩具において、より少ないパーツで複数の可動機構を実現する仕組みを提供する。本発明は、自然な印象で動作を行う可動機構を実現する仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、模型玩具であって、受け入れ部を有する第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、例えば、可動構造であって、受け入れ部を有する第1連結部と、一端に第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む第2可動機構が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、模型玩具において、より少ないパーツで複数の可動機構を実現することができる。また、本発明は、自然な印象で動作を行う可動機構を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】一実施形態に係る人形型玩具の外観正面の一例を示す図。
【
図1B】一実施形態に係る人形型玩具の外観側面の一例を示す図。
【
図2】一実施形態に係る人形型玩具の(a)胴体部の分解斜視図、及び(b)腰部の分解斜視図。
【
図3】一実施形態に係る人形型玩具の第1可動機構の(a)分解図、及び(b)側面図。
【
図4】一実施形態に係る人形型玩具の第2可動機構の(a)分解図、及び(b)側面図。
【
図5】一実施形態に係る人形型玩具の脚部の分解斜視図。
【
図6】一実施形態に係る人形型玩具の胴体の断面図。
【
図7】一実施形態に係る人形型玩具の下体部の動作を示す断面図。
【
図8】一実施形態に係る人形型玩具の第2可動機構の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<人形型玩具の外観>
まず、
図1A及び
図1Bを参照して、本実施形態に係る人形型玩具100の外観構成の一例について説明する。
図1Aは人形型玩具100の外観正面を示す。
図1Bは人形型玩具100の外観側面を示す。なお、上下、左右、前後の矢印については図における人形型玩具の向きを示し、他の図面についても同様である。
【0012】
人形型玩具(人形体)100は、頭部101、胸部102、腕部103a、103b、腹部104、腰部105、及び脚部107a、107bを備える。人形型玩具100は、可動フィギアなどの可動式の人形型玩具であり、各パーツは他の部材との関係で生じる制限領域の範囲内で可動させることができる。頭部101は胸部102に球形状の連結部材によって連結される(以下では、ボールジョイントとも称する。)。胸部102には、さらに右腕103a及び左腕103bを含む腕部103が球形状の連結部材で連結され、下部において腹部104が連結される。胸部の詳細な構成については後述する。腹部104には腰部105が連結される。腰部105には右脚部107a及び左脚部107bを含む脚部107が連結され、スカート等の服飾部で覆われる。
【0013】
なお、以下では、頭部101、胸部102、及び腕部103を含む上半身を上体部と称する。また、腰部105、脚部107a、107を含む下半身を下体部と称する。上体部及び下体部は腹部104を介して連結される。また、胸部102、腹部104、及び腰部105をまとめて胴体部とも称する。以下では、本実施形態に係る可動構造として、胸部102の胸関節構造と、胸部102に球形状の連結部材(ボールジョイント)によって腕部103bを連結する肩関節構造とについて説明する。しかしながら、本発明を限定する意図はなく、以下で説明する可動構造は、胸関節や肩関節に限らず、他の関節部、例えば脚部を連結する股関節部や肘関節、膝関節などの関節部に適用することも可能である。
【0014】
<腰部の構成>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る人形型玩具100の腰部105の詳細構成ついて説明する。
図2(a)は胸部102及び腹部104と、腰部105とを分解した斜視図である。
図2(b)は腰関節及び股関節を含む腰部105と、脚部107a、107bの一部との分解図である。
【0015】
図2(a)に示すように、腰部105は腹部(第4パーツ)104に対して球形状の連結部(ボールジョイント)で連結される。即ち、本実施形態に係る腰関節はボールジョイントで可動可能に腰部105を腹部104に対して連結するものである。しかし、本発明を限定する意図はなく、球形状の連結部に代えて他の形状の連結部を採用してもよい。
【0016】
図2(b)に示すように、腰部105は、少なくとも複数のパーツ201~204を含んで構成される。パーツ201は、複数の可動機構の基部となるパーツ(第1パーツ)である。パーツ202(第2パーツ)はパーツ201に対して回転可能に接続される。パーツ202は、人形型玩具100の腰部の一部や服飾の一部を構成する。したがって、本実施形態に係る人形型玩具100では、腰部の一部や服飾の一部が他の可動機構や他のパーツから独立した軸可動で動作するものである。パーツ202には、さらに、人形型玩具100の臀部や服飾の一部であるスカートを表現するパーツ204が接続される。したがって、パーツ202の回転に合わせてパーツ204も同様に動作することとなる。
【0017】
パーツ203a、203bのそれぞれは、パーツ201の一端に形成された円筒部に順次接続される。これにより、人形型玩具100の股関節が形成される。パーツ203a、203のそれぞれには、さらに、脚部107a、107bの一部のパーツ205a、205bが接続される。
【0018】
このように、複数の可動機構の基部となるパーツ201が他のパーツと連結されることによって、パーツ202の可動機構(第1可動機構)、股関節の可動機構(第2可動機構)、及び腰関節の可動機構(第3可動機構)が実現される。これにより、少ないパーツで種々の動作を実現することができる。例えば、パーツ201がパーツ202に対して回転可能に接続され、かつ、パーツ201の一端に形成された円筒形状の連結部を軸として股関節が機能する。パーツ202には服飾部等を表現するパーツ204が接続され、当該股関節にはそれぞれ脚部107a、107bの一部のパーツ205a、205bが接続される。つまり、パーツ201がパーツ202に対して回転すると、パーツ201の一端を介して接続された脚部107a、107bも連動して動作することが可能である。これにより、より自然な動作や多彩なポージングを実現することができる。動作の詳細については後述する。
【0019】
<複数の可動機構の詳細な構成>
次に、
図3及び
図4を参照して、本実施形態に係る人形型玩具100の複数の可動機構の詳細構成について説明する。
図3(a)は本実施形態に係るパーツ201の斜視図を示す。
図3(b)は本実施形態に係る第1可動機構の組立構成を示し、
図3(c)は本実施形態に係る第1可動機構による動作の一例を示す。
【0020】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、パーツ201の中央付近にはパーツ202を受け入れるための受け入れ部を有する連結部(第1連結部)312と、パーツ203a、203bと連結される連結部313と、腹部104と連結される連結部311とを有する。一方、パーツ202は、連結部312へ接続される接続部(第1接続部)321と、人形型玩具100の服飾の一部を形成する服飾部322とを有する。接続部321には、2つの円筒部321a、321bが設けられる。一方、
図3(a)に示すように、連結部312は、円筒部321a、321bの形状に合わせて形成される。したがって、2つの円筒部321a、321bは連結部312の受け入れ部を挟持するように挿入され、パーツ202がパーツ201に対して回転可能に組み付けられる。
【0021】
図3(c)に示すように、パーツ202は、パーツ201に対して円筒部321a、321bを回転軸として、矢印方向に回転可能である。当該回転動作は他のパーツの空間的な制限の範囲内で可能である。この回転動作により、服飾部322とともに、パーツ202に接続される人形型玩具100の臀部やスカートを表現するパーツ204も連動して回転することができる。
【0022】
図4(a)及び
図4(b)は本実施形態に係る第2の可動機構の組立構成を示し、
図4(c)は本実施形態に係る第2の可動機構による動作の一例を示す。
【0023】
図4(a)に示すように、パーツ203a、203bは、一端にリング形状の接続部331a、331bと、他端に円筒形状の接続部332a、332bとを有する。まずパーツ201にはパーツ203bが接続される。具体的には、リング形状の接続部331bに対して円筒形状(又は棒形状)の連結部313が挿入されて連結される。パーツ203bの円筒形状(又は棒形状)の接続部332bにはさらに脚部107bのパーツ205bが接続される。
【0024】
図4(b)に示すように、パーツ203bはパーツ201に対して連結部313を回転軸として矢印方向に回転可能である。したがって、パーツ203bに接続される脚部107bも連動して矢印方向に回動する。パーツ203bが接続されたパーツ201には、さらにパーツ203aが接続される。具体的には、リング形状の接続部331aに対して円筒形状の連結部313が挿入されて連結される。パーツ203aの円筒形状(又は棒形状)の接続部332aにはさらに脚部107aのパーツ205aが接続される。
【0025】
図4(c)に示すように、パーツ203aはパーツ201に対して連結部313を回転軸として矢印方向に回転可能である。パーツ203aに接続される脚部107aも連動して矢印方向に回動する。このように、本実施形態に係る人形型玩具100の股関節はパーツ201とパーツ203a、203bとによって形成され、パーツ203a、203bに連結される脚部107a、107bがパーツ201の連結部313を回転軸として回動することができる。なお、脚部107a、107bはさらに追加の可動機構を備える。詳細については
図5を用いて後述する。
【0026】
また、
図3(c)を参照すると明らかなように、連結部313は人形型玩具100の下方向にある程度の傾きを有して形成される。これは、人間の股関節に類似した動作を実現するためのものである。人間の股関節からは、左脚、右脚がそれぞれ斜め下方向に延伸しており、真横に延伸しているわけではない。したがって、連結部313を人間と同様の傾きで形成することにより、より自然な印象での動作を実現することができる。例えば、本実施形態に係る股関節は斜め下方向に動作することができる。即ち、連結部313に接続されるパーツ203a、203b及び当該パーツに接続される脚部107a、107bについても斜め下方向、或いは戻る方向として斜め上方向への回動が可能となる。
【0027】
<脚部の可動機構>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る股関節に接続される脚部の可動機構ついて説明する。
図5(a)は脚部107aの一部のパーツ205aの分解図を示す。
図5(b)はパーツ203aとパーツ205aを接続した状態の断面図を示す。なお、
図5を用いて、右脚の可動機構の構成について説明するが、左脚の構成については同様であるため説明を省略する。
【0028】
図5(a)に示すように、脚部107aのパーツ205aは、さらにパーツ341~344を含んで構成される。パーツ341はパーツ205aの基部となるパーツであり、上部の受け入れ部において、球形状のパーツ342とパーツ203aの接続部332aが接続される。つまり、パーツ342とパーツ203aの接続部332aが組み付けられることにより、球形状の連結部(ボールジョイント)として機能する。なお、パーツ342とパーツ203aとの2つのパーツでボールジョイントを形成することにより、1つのパーツで実現する場合と比較して、人形型玩具100を組み立てる際に必要な空間を確保することができる。
【0029】
図5(b)に示すように、パーツ203aとパーツ342とが組み付けられてボールジョイントを形成し、脚部107aの内部に設けられる。したがって、パーツ205aに接続される脚部107aは、股関節に対して他のパーツの制限の範囲内で矢印501に示すように全方向に回動可能となる。また、パーツ341の下部の円筒部がパーツ344の凹部に回転可能に挿入される。したがって、脚部107aでは、パーツ344以下の部分がパーツ341に対して矢印502の方向に回転可能である。
【0030】
<下体部の動作>
以下では、
図6及び
図7を参照して、本実施形態に係る下体部の動作について説明する。
図6は
図1AのA-A’の切断面で切断した場合の胴体部の断面図を示す。
【0031】
パーツ201は腹部104及び腰部105を連結する連結部材であり、接続されるパーツとともに矢印601~604の少なくとも4つの可動機構を有して組み付けられる。矢印601方向の動作は、球形状で形成された連結部311に接続される腹部104からパーツ201が人形型玩具100の上下方向への動作可能であることを示す。これにより、パーツ201及びパーツ201に接続された腰部105は、腹部104から下方向へずらすことができ、腹部104と腰部105と間に空間をつくることができる。この空間は、例えば矢印602~603方向へ動作する際の空間を確保するためのものであり、より可動域を広げる効果がある。
【0032】
矢印602は、
図3を用いて説明したように、パーツ201に対してパーツ202が人形型玩具100の上下方向に回転可能であることを示す。当該動作については既に説明しているため詳細については省略する。矢印603は、
図4を用いて説明したように、パーツ201に対してパーツ203a、203bが人形型玩具100の上下方向に回転可能であることを示す。当該動作については既に説明しているため詳細については省略する。
【0033】
矢印604は、腹部104に対して他のパーツによる空間的制限の範囲で全方向へ回動可能であることを示す。これは、パーツ201の連結部311が球形状で形成されているためである。このように、本実施形態に係る股関節は上述した少なくとも4つの動作が可能である。これらの4つの動作を組み合わせることにより、本実施形態に係る人形型玩具100は少ないパーツでより広い可動域で種々の動作を実現することができる。
【0034】
以下では、本実施形態に係る人形型玩具100の動作の一例を示す。
図7は脚部107(脚部107aのパーツ205a)を前方向に回動させた状態での座位の姿勢を示す。
【0035】
まず矢印701に示すように、パーツ201を下方向に引き出す。これにより、パーツ201に接続された腰部105の各種パーツや脚部107も同時に下方向へ引き出される。続いて、矢印702に示すように、パーツ201の連結部313に対してパーツ203a、203bをそれぞれ斜め下方向に(例えば、18度)回動させることができる。この際、脚部107a、107bも同様に人形型玩具100の上体部から離れる方向に動作する。したがって、人形型玩具100の臀部あたりにおいて、脚部107と上体部との間に隙間が発生し、人形型玩具100の体形のラインが途切れてしまい不自然な印象となる。
【0036】
そこで、本実施形態によればさらに、矢印703に示すように、パーツ201に対してパーツ202を下方向に(例えば、20度)回転させることができる。これにより、パーツ202が腰部の一部や服飾部の一部を形成しているため、脚部107の動きに追従した動作を行うことができ、体のラインを滑らかに見せることができる。
【0037】
さらに、矢印704に示すように、パーツ205とパーツ203とによって形成されたボールジョイント(342)によって、脚部107を上方向に(例えば95度)回動させることができる。このように動作させることにより、脚部107を前方向に回動させた状態での座位の姿勢を実現することができる。なお、上述した動作の順序については本発明を限定する意図はなく、任意の順序で動作することが可能である。
【0038】
図7に示すように、腰部105及び脚部107bを前方向に回動させて座位の姿勢に動作した場合において、人形型玩具100の背中から臀部にかけてのライン(点線で示す)が滑らに自然な印象で当該回動動作を行うことができる。なお、股関節が斜め方向に動作することから、脚部107a、107bをクロスさせるなどの姿勢を容易に行うことも可能である。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る模型玩具(100)は、受け入れ部を有する第1連結部(312)と、一端に形成された第2連結部(313)とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツ(201)と、第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部(321a、321b)を有する第2パーツ(202)と、第2連結部に回転可能に接続される第2接続部(331a、331b)を一端に有する第3パーツ(203a、203b)とを備える。また、第1連結部と第1接続部によって模型玩具の第1可動機構が形成され、第2連結部と第2接続部によって、第1可動機構とは異なる可動軸を含む模型玩具の第2可動機構が形成される。これにより、本発明は、例えば模型玩具において、より少ないパーツで複数の可動機構を実現する仕組みを提供することができる。また、本発明は、自然な印象で動作を行う可動機構を実現する仕組みを提供することができる。
【0040】
<変形例>
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図8は、変形例となる複数の可動機構を実現するパーツ群を示す。本変形例は上記実施形態と比較して第2可動機構の構成が異なる。
【0041】
図8に示すように、本変形例に係る腰部105は、少なくとも複数のパーツ801~804を含んで構成される。パーツ801は、複数の可動機構の基部となるパーツ(第1パーツ)である。パーツ801は受け入れ部811、812を含んで構成される。受け入れ部811には、パーツ802(第2パーツ)が回転可能に接続される。受け入れ部812には、パーツ804が回転可能に接続される。なお、パーツ802は上記実施形態のパーツ202と同様の構成であるため詳細な説明は省略する。
【0042】
パーツ804は、2つの円筒部841a、841bと、接続部842とを含んで構成される。接続部842がパーツ801の受け入れ部812に回転可能に連結される。本変形例では、空間的な制限を考慮してパーツ801、804を2つのパーツに分ける例について説明するが、本発明を限定する意図はなく、上記実施形態のように1つのパーツとして形成してもよい。
【0043】
パーツ803a、803bのそれぞれは、パーツ804に形成された2つの円筒部(第1部分、第2部分)841a、841bにそれぞれ接続される。これにより、人形型玩具100の股関節が形成される。パーツ803a、803bのそれぞれには、さらに、脚部107a、107bの一部のパーツ205a、205bが接続される。これらの構成については上記実施形態と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0044】
本変形例によれば、上記実施形態と同様に、複数の可動機構の基部となるパーツ801が他のパーツと連結されることによって、パーツ802の可動機構(第1可動機構)、股関節の可動機構(第2可動機構)、腰関節の可動機構(第3可動機構)、及びパーツ804の可動機構(第4可動機構)が実現される。これにより、少ないパーツで種々の動作を実現することができる。例えば、パーツ801がパーツ802に対して回転可能に接続され、かつ、パーツ804に形成された円筒形状の連結部を軸として股関節が機能する。パーツ802には服飾部等を表現するパーツ204が接続され、当該股関節にはそれぞれ脚部107a、107bの一部のパーツ205a、205bが接続される。したがって、本変形例においても上記実施形態で説明した動作を実現することができる。
【0045】
また、模型玩具として人形型玩具の例を説明したが、人形型玩具(人形体)の形状は、特に限定されるものではなく、人、動物、ロボット、昆虫、恐竜、仮想生命体等、様々な形状を含むものである。また、可動部を含む形態であれば、模型玩具の形状は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
100:人形型玩具、101:頭部、102:胸部、103a、103b:腕部、104:腹部、105:腰部、107a、107b:脚部
【手続補正書】
【提出日】2022-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型玩具であって、
受け入れ部を有する第1連結部と、一端に形成された第2連結部と、他端に形成された球形状の第3連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成され、
前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成し、
前記第1可動機構は、前記模型玩具の服飾の一部を形成する前記第2パーツの可動軸として機能し、
前記第2可動機構は、前記模型玩具の股関節の可動軸として機能し、
前記第3可動機構は、前記模型玩具の腰関節の可動軸として機能することを特徴とする模型玩具。
【請求項2】
前記第3パーツは、それぞれが前記第2接続部を有する2つの第3パーツであり、
前記第2可動機構は、一方の前記第3パーツの第2接続部が前記第2連結部に回転可能に接続され、さらに、他方の前記第3パーツの第2接続部が該第2連結部に回転可能に接続されることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項3】
前記第3パーツは、それぞれが前記第2接続部を有する2つの第3パーツであり、
前記第2連結部は第1部分と第2部分とを有し、
前記第2可動機構は、一方の前記第3パーツの第2接続部が前記第2連結部の前記第1部分に回転可能に接続され、他方の前記第3パーツの第2接続部が該第2連結部の前記第2部分に回転可能に接続されることにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の模型玩具。
【請求項4】
2つの前記第3パーツの他端には、前記模型玩具の脚部がそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の模型玩具。
【請求項5】
2つの前記第3パーツの他端はそれぞれ円筒部を有し、
各円筒部が前記脚部の内部に設けられた球形状の接続部へ挿入され、各脚部が前記第3パーツに対して回動可能に接続されることを特徴とする請求項4に記載の模型玩具。
【請求項6】
前記第2可動機構による前記脚部の回動に追従して、前記第1可動機構によって前記第2パーツが回動可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の模型玩具。
【請求項7】
可動構造であって、
受け入れ部を有する第1連結部と、一端に第2連結部と、他端に形成された球形状の第3連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、
前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、
前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツと
を備え、
前記第1連結部と前記第1接続部によって第1可動機構が形成され、
前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む第2可動機構が形成され、
前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成し、
前記第1可動機構は、模型玩具の服飾の一部を形成する前記第2パーツの可動軸として機能し、
前記第2可動機構は、前記模型玩具の股関節の可動軸として機能し、
前記第3可動機構は、前記模型玩具の腰関節の可動軸として機能することを特徴とする可動構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、例えば、模型玩具であって、受け入れ部を有する第1連結部と、一端に形成された第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成されることを特徴とする。
また、本発明は、例えば、模型玩具であって、受け入れ部を有する第1連結部と、一端に形成された第2連結部と、他端に形成された球形状の第3連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって前記模型玩具の第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む前記模型玩具の第2可動機構が形成され、前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成し、前記第1可動機構は、前記模型玩具の服飾の一部を形成する前記第2パーツの可動軸として機能し、前記第2可動機構は、前記模型玩具の股関節の可動軸として機能し、前記第3可動機構は、前記模型玩具の腰関節の可動軸として機能することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明は、例えば、可動構造であって、受け入れ部を有する第1連結部と、一端に第2連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む第2可動機構が形成されることを特徴とする。
また、本発明は、例えば、可動構造であって、受け入れ部を有する第1連結部と、一端に第2連結部と、他端に形成された球形状の第3連結部とを有する複数の可動軸の基部となる第1パーツと、前記第1連結部の受け入れ部に対して回転可能に連結する第1接続部を有する第2パーツと、前記第2連結部に回転可能に接続される第2接続部を一端に有する第3パーツとを備え、前記第1連結部と前記第1接続部によって第1可動機構が形成され、前記第2連結部と前記第2接続部によって、前記第1可動機構とは異なる可動軸を含む第2可動機構が形成され、前記第3連結部は第4パーツと接続されて第3可動機構を形成し、前記第1可動機構は、模型玩具の服飾の一部を形成する前記第2パーツの可動軸として機能し、前記第2可動機構は、前記模型玩具の股関節の可動軸として機能し、前記第3可動機構は、前記模型玩具の腰関節の可動軸として機能することを特徴とする。