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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132866
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20230914BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61G12/00 E
H04M9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038432
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】506218664
【氏名又は名称】公立大学法人名古屋市立大学
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】山下 咲衣子
(72)【発明者】
【氏名】横山 清子
(72)【発明者】
【氏名】三善 将也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山川 誠也
(72)【発明者】
【氏名】坂口 勝彦
【テーマコード(参考)】
4C341
5K038
【Fターム(参考)】
4C341LL10
5K038AA06
5K038BB01
5K038DD12
5K038DD16
5K038DD18
5K038FF01
(57)【要約】
【課題】 指を使わず且つ無線呼び出しできる呼出装置を備えても、呼出装置の所在が不明になることがなく、容易に呼び出しできるナースコールシステムを提供する。
【解決手段】 ナースコール子機2は、患者が腕に装着して呼出操作信号を無線発信するウェアラブル子機2cを有する一方、ウェアラブル子機2cが発信した呼出操作信号を受信し、呼出操作信号を受けて廊下灯3に呼出信号を送信する受信機6を少なくとも病室に有している。ウェアラブル子機2cは、腕の動きを検知する動き検知部73を有して、ウェアラブル子機CPU76は動き検知部73が検知した動きが特定の動きであると判断したら、呼出操作信号を受信機6に無線発信する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、前記ナースコール子機から送出された呼出信号を中継する廊下灯と、呼び出しに対して応答するためのナースコール親機と、機器間の通信を制御する制御機とを備えたナースコールシステムであって、
前記ナースコール子機は、患者が腕に装着して呼出操作信号を無線発信するウェアラブル子機を有する一方、
前記呼出操作信号を受信し、前記呼出操作信号を受けて前記廊下灯に前記呼出信号を生成して送信する受信機を少なくとも病室に有し、
前記ウェアラブル子機は、腕の動きを検知する動き検知部、及び検知した動きが特定の動きであるか判断する動き判定部を有し、
前記動き判定部は、前記検知した動きが特定の動きであると判断したら、前記呼出操作信号を前記受信機に無線発信することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記受信機は、前記呼出操作信号を受信しても、前記廊下灯への前記呼出信号の送信を所定時間保留し、その間に前記ウェアラブル子機からキャンセル信号が送信されたら、前記廊下灯への送信を実施せず、
所定時間経過しても前記キャンセル信号を受信しなければ、保留していた前記呼出信号を前記制御機に送信することを特徴とする請求項1記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記受信機は、前記呼出操作信号を受信したら確認信号を返信し、
前記確認信号を受信したウェアラブル子機は、前記所定時間が経過するまでの間、前記呼出操作信号のキャンセルが可能であることを患者に通知するキャンセル可能動作を行うことを特徴とする請求項2記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記動き判定部は複数種類の動きを判別でき、
前記ウェアラブル子機は、前記特定の動きと異なる予め設定された特徴を有する動きを受けると緊急呼出操作信号を前記受信機に無線発信し、
前記受信機は、前記緊急呼出操作信号を受信したら前記呼出信号の保留動作を実施せず、前記呼出信号を前記廊下灯に送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記ウェアラブル子機は、装着している患者のバイタル情報を入手するバイタル取得部を有すると共に、取得するバイタル情報の閾値或いは正常値の範囲を記憶する閾値記憶部、及びバイタル異常を判定する異常判定部を有し、
前記異常判定部は、取得したバイタル情報が閾値を超えたら、或いは正常な範囲を逸脱したら、異常検知信号を前記受信機に無線発信し、
前記受信機は、前記異常検知信号を受信したら前記呼出信号の保留動作を実施せず、前記呼出信号を前記廊下灯に送信することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のナースコールシステム。
【請求項6】
前記ウェアラブル子機は、装着している患者のバイタル情報を入手するバイタル取得部を有すると共に、取得するバイタル情報の閾値或いは正常値の範囲を記憶する閾値記憶部、及びバイタル異常を判定する異常判定部を有し、
前記異常判定部は、取得したバイタル情報が閾値を超えたら、或いは正常な範囲を逸脱したら、異常検知信号を前記受信機に無線発信し、
前記受信機は、前記異常検知信号を受信したら、前記呼出信号とは異なるバイタル異常発生信号を前記廊下灯に送信し、
前記廊下灯及び前記制御機を介して前記バイタル異常発生信号を受信したナースコール親機は、呼出信号の受信とは異なる通知動作を実施することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が看護師を呼び出す為の装置は、ボタンを指で押下して呼出操作する呼出握りボタンが普及しているが、呼出握りボタンの操作を苦手とする患者もいる。
そのような患者のための呼出装置として、ベッド上に載置して使用され、掌や肘で押圧すれば呼び出しを実施できる呼出装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-229595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記指による押下操作を必要としない呼出装置は、無線で呼出信号を送出するため、従来の呼出握りボタンのように信号線が無い。そのため、信号線に手足を引っかけたりすることが無くベッドに載置しても扱い易かった。
しかしながら、位置が固定されていないため、いざ呼出操作しようとするとどこにあるか分からなくなったり、寝返り動作等で押下してしまうといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、指を使わずに無線呼び出しできる呼出装置を備えても、呼出装置の所在が不明になることがなく、容易に呼び出しできるナースコールシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機と、ナースコール子機から送出された呼出信号を中継する廊下灯と、呼び出しに対して応答するためのナースコール親機と、機器間の通信を制御する制御機とを備えたナースコールシステムであって、ナースコール子機は、患者が腕に装着して呼出操作信号を無線発信するウェアラブル子機を有する一方、ウェアラブル子機が発信した呼出操作信号を受信し、呼出操作信号を受けて廊下灯に呼出信号を送信する受信機を少なくとも病室に有し、ウェアラブル子機は、腕の動きを検知する動き検知部、及び検知した動きが特定の動きであるか判断する動き判定部を有し、動き判定部は、検知した動きが特定の動きであると判断したら、呼出操作信号を受信機に無線発信することを特徴とする。
この構成によれば、無線により呼び出しする呼出装置を備えても、呼出装置は腕に装着するウェアラブル子機であるため、所在が不明になることが無い。そして、腕を振る等の動作で呼び出しできるため、ボタン操作がし辛い患者であっても無理なく呼出操作できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、受信機は、呼出操作信号を受信しても、廊下灯への呼出信号の送信を所定時間保留し、その間にウェアラブル子機からキャンセル信号が送信されたら、廊下灯への送信を実施せず、所定時間経過してもキャンセル信号を受信しなければ、保留していた呼出信号を制御機に送信することを特徴とする。
この構成によれば、患者の意図しない呼出操作信号が発信されても、その後キャンセル操作することができるため、誤動作を防止できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、受信機は、呼出操作信号を受信したら確認信号を返信し、確認信号を受信したウェアラブル子機は、所定時間が経過するまでの間、呼出操作信号のキャンセルが可能であることを患者に通知するキャンセル可能動作を行うことを特徴とする。
この構成によれば、呼出操作信号を発信したウェアラブル子機は、キャンセル可能動作するため、患者は発信された呼出操作信号をキャンセルできることを認識でき、利便性が良い。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、動き判定部は複数種類の動きを判別でき、ウェアラブル子機は、特定の動きと異なる予め設定された特徴を有する動きを受けると緊急呼出操作信号を受信機に無線発信し、受信機は、緊急呼出操作信号を受信したら呼出信号の保留動作を実施せず、呼出信号を廊下灯に送信することを特徴とする。
この構成によれば、特定の腕の動きで遅延のない呼び出しを実施できるため、患者が呼び出しに時間が掛かることに不満を抱くようなことが無いし、緊急時は速やかな呼び出しができる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、ウェアラブル子機は、装着している患者のバイタル情報を入手するバイタル取得部を有すると共に、取得するバイタル情報の閾値或いは正常値の範囲を記憶する閾値記憶部、及びバイタル異常を判定する異常判定部を有し、異常判定部は、取得したバイタル情報が閾値を超えたら、或いは正常な範囲を逸脱したら、異常検知信号を受信機に無線発信し、受信機は、異常検知信号を受信したら呼出信号の保留動作を実施せず、呼出信号を廊下灯に送信することを特徴とする。
この構成によれば、例えば脈拍等のバイタル情報が正常な範囲を逸脱したら呼出信号が送信されて看護師の呼び出しがなされるため、患者からの呼び出しが無くても看護師は患者の異常を認識でき、適切な処置を行うことができる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、ウェアラブル子機は、装着している患者のバイタル情報を入手するバイタル取得部を有すると共に、取得するバイタル情報の閾値或いは正常値の範囲を記憶する閾値記憶部、及びバイタル異常を判定する異常判定部を有し、異常判定部は、取得したバイタル情報が閾値を超えたら、或いは正常な範囲を逸脱したら、異常検知信号を受信機に無線発信し、受信機は、異常検知信号を受信したら、呼出信号とは異なるバイタル異常発生信号を廊下灯に送信し、廊下灯及び制御機を介してバイタル異常発生信号を受信したナースコール親機は、呼出信号の受信とは異なる通知動作を実施することを特徴とする。
この構成によれば、例えば脈拍等のバイタル情報が正常な範囲を逸脱したらその通知信号がナースコール親機に送信されるため、看護師は患者からの呼び出しが無くても患者に異常が発生したことを認識でき、適切な処置を行うことができる。そして、この通知を受けたナースコール親機は、呼出信号とは異なる動作で通知するため、看護師は患者の異常発生を通知動作で認識でき、対応し易い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線により呼び出しする呼出装置を備えても、呼出装置は腕に装着するウェアラブル子機であるため、所在が不明になることが無い。そして、腕を振る等の動作で呼び出しできるため、ボタン操作がし辛い患者であっても無理なく呼出操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。
図2】プレート子機のブロック図である。
図3】ウェアラブル子機のブロック図である。
図4】受信機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。ナースコールシステム1は、看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機(以下、単に「子機」)2、病室毎に設置されて呼出信号を中継すると共に呼出発生を報知する廊下灯3、ナースステーションに設置されて呼出発生を通知すると共に、呼び出しに応答するためのナースコール親機(以下、単に「親機」)4、機器間の通信を制御する制御機5等を備えている。そして、10はLAN幹線を示し、廊下灯3、親機4、制御機5は、HUB7を介してLAN接続されている。
【0015】
子機2は、呼出装置として呼出握りボタン2a、ウェアラブル子機2cを備え、通話機能を備えたプレート子機2bを有し、このプレート子機2bに受信機6が接続されている。呼出握りボタン2aは、プレート子機2bに信号線で接続されており、ボタン操作で呼出信号が出力される。
尚、全ての子機2がウェアラブル子機2cを備えている訳では無く、ウェアラブル子機2cを必要とする患者に対してのみ、呼出握りボタン2aに加えてウェアラブル子機2cと受信機6が設置される。
【0016】
図2はプレート子機2bのブロック図を示している。プレート子機2bは壁面に設置され、図2に示すように通話するためのマイク21a及びスピーカ21bを備えた通話回路21、看護師が応援を要請するためのスタッフコールボタン22、呼出動作を終了させる復旧ボタン23、プレート子機2bを制御するプレート子機CPU24、呼出握りボタン2aを接続する第1接続部25、受信機6を接続する第2接続部26、廊下灯3と通信するプレート子機通信IF27等を備えている。
【0017】
図3はウェアラブル子機2cのブロック図を示している。ウェアラブル子機2cは、図3に示すように、情報を表示するLCDから成る表示部71、表示部71に一体形成されて設定操作等を行う操作部72、装着した腕或いは手首の動きを検知する動き検知部73、脈拍情報を入手するバイタル取得部としての脈拍センサ74、異常と判断する閾値(脈拍の上限値/下限値等)を記憶する記憶部75、検知した動きが設定された呼出動作であるか判断すると共にウェアラブル子機2cを制御するウェアラブル子機CPU76、受信機6と無線通信する通信部77、蓄電池から成る電源78等を備えている。
【0018】
動き検知部73は、ジャイロセンサが組み込まれており、揺れ(振動)の方向や大きさが検知される。ウェアラブル子機CPU76は、動き検知部73の検知情報から腕或いは手首を縦の振った場合と横に振った場合を識別できるし、腕や手首を回転動作させた場合を左右等に振った場合と区別して判別でき、動き判定部としての機能を有している。
操作部72からの設定操作で、呼出動作が行われたと判断する動作が設定される。ウェアラブル子機CPU76は、動き検知部73が検知した情報から、設定された動きが検知されたら呼出操作信号を生成して通信部77から発信させる。
【0019】
図4は受信機6の構成を示している。受信機6は、タイマ部61、受信機6を制御する受信機CPU62、ウェアラブル子機2cと無線通信する通信部63、呼出信号を外部に出力する受信機通信IF64等を備えている。
【0020】
廊下灯3は、関係する病室の患者から呼び出しが発生したら、呼出発生を表示する呼出表示灯3a、患者情報を表示する表示部3bを備えており、プレート子機2bから呼出信号等の信号を受信したら、病室番号等を付加して制御機5に送信する。
【0021】
親機4は、呼び出しに応答するためのハンドセット41、患者情報の一覧等を表示する患者情報表示部42、呼出信号を受けた際に呼出元情報等を表示する呼出元情報表示部43等を備えている。
【0022】
上記の如く構成されたナースコールシステムの動作は以下のようである。但し、呼出握りボタン2aによる呼出動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここではウェアラブル子機2cの操作或いは動作による呼び出しを説明する。
ウェアラブル子機2cを使用するに際して、最初に呼出動作されたと判断する動きが設定される。ウェアラブル子機2cからは通常の呼び出し、緊急呼び出し、異常発生の通知の3種類の信号の出力が可能となっている。ここでは、通常の呼出操作として縦(上下)に2回以上振る動作が設定され、緊急呼出操作して腕を2回以上回転させる動作が設定されたとする。尚、この設定は、操作部72の所定の設定操作で成される。
【0023】
その後、ウェアラブル子機2cを装着した患者が呼出動作として設定された動作、即ち腕を縦に2回以上振る動作を行うと、ウェアラブル子機CPU76は呼出動作であると認識して呼出操作信号を無線発信する。この呼出操作信号は、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により発信され、近くにある受信機6で受信される。
【0024】
呼出操作信号を受信した受信機6では、受信機CPU62の制御により、呼出信号の廊下灯3への送信が保留され、タイマ部61が起動して10秒等の所定時間のカウントを開始すると共に、キャンセルが可能であることを通知する確認信号をウェアラブル子機2cに返信する。
【0025】
確認信号を受信したウェアラブル子機2cは、呼び出しのキャンセルが可能であることを表示部71の表示、ブザー音の報音、更にはバイブ機能等で通知するキャンセル可能動作を実施する。このキャンセル可能動作はキャンセル操作されるまで、或いはキャンセルが可能な間実施される。
このキャンセル可能動作により、患者は呼出操作信号が送信されたこと、且つその信号をキャンセルできることを認識でき、送信された呼出操作信号の送信が間違いであったら、キャンセル操作することでキャンセル信号が送信される。具体的に、患者が所定のキャンセル動作を実施すると、ウェアラブル子機2cがキャンセルされたと判断し、キャンセル信号を生成して受信機6に送信する。受信機6は、このキャンセル信号を受信すると呼出信号の送信を停止する。
【0026】
尚、キャンセル動作は、例えば呼出信号を生成させる動作と同一の動作であり、患者は、看護師を呼び出す動作を把握する際に、同じ動作がキャンセル動作でもあることを把握している。
【0027】
一方、キャンセル信号を受信することが無くタイマ部61がカウントアップしたら、その時点で呼出信号が受信機通信IF64から出力され、プレート子機2bに送信される。この呼出信号は、呼出握りボタン2aの操作による呼出信号と同一であり、プレート子機2bから廊下灯3に送信され、廊下灯3において子機2の情報、病室番号情報等が付加されて制御機5を介して親機4に送信される。尚、このとき制御機5において、子機2に関連付けられている患者情報が呼出信号に付加される。
【0028】
呼出信号を受信した親機4では、呼出音の報音等呼び出し動作が実施され、呼出元の患者情報が呼出元情報表示部43に表示される。この呼出動作は呼出握りボタン2aによる呼び出しと同様の動作であり、親機4が応答操作されると呼出信号送信元の子機2との間で通話路が形成され、看護師と患者の間で通話が可能となる。
【0029】
次に緊急呼出操作が行われた場合を説明する。予め設定された緊急呼び出しを行う動作、即ち腕を2回以上回転させる動作が行われたら、ウェアラブル子機2cがそれを検知して緊急呼出操作信号を発信する。
受信機6は、緊急呼出操作信号を受信すると、タイマ部61を起動させずに速やかにプレート子機2bに呼出信号を出力する。
呼出信号を受信したプレート子機2bは、上述した動作と同様に動作し、親機4において呼出発生を報音等で通知する。以下、動作説明を省略する。
【0030】
尚、ウェアラブル子機2cが緊急呼出操作信号を発信した場合、呼出信号とは異なる呼出動作を実施させても良い。例えば、緊急呼出操作信号を受信した受信機6が、呼出信号と異なる緊急呼出信号を廊下灯3に送信し、この緊急呼出信号を受信した親機4が、呼出信号とは異なる呼出音を報音して、緊急呼び出しが発生したことを看護師に通知しても良い。この通常の呼び出しとは異なる呼出動作により、看護師は緊急呼出が発生したことを呼出が発生した時点で認識でき、速やかな対応への準備をし易い。
【0031】
また、脈拍センサ74が計測している脈拍が設定された範囲から外れたら、以下のような動作を実施する。
脈拍が設定された範囲から外れたら、ウェアラブル子機CPU76がそれを認識して異常検知信号を発信する。この異常検知信号を受信した受信機6は、呼出信号或いは緊急呼出信号と異なるバイタル異常発生信号を廊下灯3へ送信する。バイタル異常発生信号は、バイタル異常であることを示すフラグが添付された呼出信号であり、廊下灯3から制御機5を介して親機4へ送信される。
【0032】
このバイタル異常発生信号を受信した親機4では、呼出信号及び緊急呼出信号と異なる通知音で報音通知し、バイタル異常による呼び出しであることが呼出元情報表示部43に表示される。
尚、異常検知信号を受信した場合も、受信機6から送信される信号は、患者が看護師を呼び出す呼出信号と同一の信号であっても良い。
【0033】
このように、無線により呼び出しする呼出装置を備えても、呼出装置は腕に装着するウェアラブル子機2cであるため、所在が不明になることが無い。そして、腕を振る等の動作で呼び出しできるため、ボタン操作がし辛い患者であっても無理なく呼出操作できる。
また受信機6は、呼出操作信号を受信しても一定時間保留し、その間キャンセル信号を受信したら呼出信号の送信を停止するため、患者の意図しない呼び出しが発生してもキャンセルでき、ウェアラブル子機2cの誤動作を防止できる。
加えて、キャンセル可能なことがウェアラブル子機2cに表示されるため、患者は発信された呼出信号をキャンセルできることを認識でき、利便性が良い。
更に、特定の腕の動きで遅延のない呼び出しを実施できるため、患者が呼び出しに時間が掛かることに不満を抱くようなことが無いし、緊急時は速やかな呼び出しができる。 また、脈拍が正常な範囲を逸脱したら、親機4にそれが通知されるため、患者からの呼び出しが無くても看護師は患者の異常を認識でき、適切な処置を行うことができる。然も、呼出信号とは異なる動作で通知するため、患者の異常発生を通知動作で認識でき、対応し易い。
そして、ウェアラブル子機2cを使用した呼び出しであっても、呼出握りボタン2aの操作と同様に看護師と患者の間で通話ができ、遅滞の無い看護業務を遂行できる。
【0034】
尚、上記実施形態では、受信機6をプレート子機2bに接続しているが、プレート子機2bに内蔵させても良いし、プレート子機2bでは無く廊下灯3に接続しても良い。
また、患者のバイタル情報として脈拍を計測して患者の異常を判断しているが、血圧を定期的に計測して良いし、体温を計測して異常を判断しても良い。
更に、ベッド上で患者が看護師を呼び出す場合を説明したが、ウェアラブル子機2cは看護師の呼び出しを無線で行うため、患者がベッド上或いはベッド近傍に居なくても呼出信号の発信は可能であり、例えば、病室前の廊下や談話室等の共用部に所定間隔で受信機6を配置すれば、患者が病室外に居てもウェアラブル子機2cによる看護師の呼び出しは可能となる。更にこのような場合、受信機6の位置情報を呼出信号に付加して受信機6から送信させれば、呼出元の受信機場所を把握でき、患者の居場所の把握に役立つ。
更に、ウェアラブル子機2cに位置情報発信機能を備えると共に、病院内にIMES等の位置認識システムを設置して連動させれば、呼出元の患者位置をより正確に把握することも可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1・・ナースコールシステム、2・・ナースコール子機、2a・・呼出握りボタン、2b・・プレート子機、2c・・ウェアラブル子機、3・・廊下灯、4・・ナースコール親機、5・・制御機、6・・受信機、61・・タイマ部、73・・動き検知部、74・・脈拍センサ(バイタル取得部)、75・・記憶部(閾値記憶部)、76・・ウェアラブル子機CPU(動き判定部、異常判定部)。
図1
図2
図3
図4