(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132868
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】液体吐出用アクチュエータ及び吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/14 20060101AFI20230914BHJP
B65D 83/20 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B65D83/14 200
B65D83/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038434
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 真司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 進
(72)【発明者】
【氏名】田中 瑛士
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC02
3E014PC03
3E014PC07
3E014PD01
3E014PE16
(57)【要約】
【課題】アフタードローをほぼ確実に防止することが可能な液体吐出用アクチュエータ及び吐出容器に関する。
【解決手段】液体を流動させる内部流路及び液体を吐出させる吐出口を有するノズル部、並びに、該ノズル部の基端から容器側に向けて延びるステム連結部を有する可動ノズル部材と、内部流路内の液体を吸引可能なバックサクション機構と、可動ノズル部材のステム連結部を挿通可能な挿通孔が形成された基台と、基台に対して回動可能に接続され、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部を有する回動部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器に装着され、該容器に収容された液体を吐出させる液体吐出用アクチュエータであって、
液体を流動させる内部流路及び液体を吐出させる吐出口を有するノズル部、並びに、該ノズル部の基端から前記容器側に向けて延びるステム連結部を有する可動ノズル部材と、
前記内部流路内の液体を吸引可能なバックサクション機構と、
前記可動ノズル部材の前記ステム連結部を挿通可能な挿通孔が形成された基台と、
前記基台に対して回動可能に接続され、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部を有する回動部と
を備え、
前記ノズル部は、前記容器に対して接近する方向に移動し、前記容器から放出された液体を前記内部流路を介して前記吐出口から吐出させるよう構成されており、
前記バックサクション機構は、前記ノズル部の前記内部流路に連通する液吸引室を備え、
前記液吸引室の少なくとも一部が、前記ノズル部の前記移動により変形し、かつ、前記ノズル部の前記移動の前の状態への復帰に伴って復元可能な弾性部により形成され、
前記弾性部は、前記ノズル部における前記容器側の面に設けられると共に、内部に前記液吸引室を形成可能な弾性カップ部材からなり、
前記回動部は、前記押圧部が前記容器側に向けて押圧された際に前記基台との接続部を中心として回動し、前記可動ノズル部材を前記容器に向けて移動させるよう構成され、
前記容器は、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器である、
液体吐出用アクチュエータ。
【請求項2】
前記回動部は、前記吐出口側の端部に前記接続部を有すると共に、該接続部の径方向反対側の端部に前記押圧部を有しており、前記接続部と前記押圧部との間において前記可動ノズル部材を前記容器に向けて移動させるよう構成されている
請求項1に記載の液体吐出用アクチュエータ。
【請求項3】
前記内部流路は、前記ステム連結部に形成された容器側流路部と、前記ノズル部に形成された吐出側流路部とを備え、
前記吐出側流路部は、前記吐出口側における流路断面積が、前記容器側流路部の流路断面積よりも小さい
請求項1又は2に記載の液体吐出用アクチュエータ。
【請求項4】
前記ノズル部の前記吐出口とは径方向反対側に配置される取手部を更に備え、
前記押圧部は、前記取手部の上方に配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の液体吐出用アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の液体吐出用アクチュエータと、
内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器と
を備えるエアゾール型吐出容器。
【請求項6】
前記エアゾール容器は、液体を収容する容器本体と、前記容器本体に対して押し込まれた際に液体を放出するステム部と、前記ステム部を前記容器本体から離間する方向に付勢するステム付勢部とを備え、
前記ステム付勢部は、使用者の押圧操作に伴い前記ステム部が前記容器本体に押し込まれる際に圧縮し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能に構成されている
請求項5に記載のエアゾール型吐出容器。
【請求項7】
前記エアゾール容器は、外郭部と、前記外郭部内に設けられた内袋とを備え、
前記内袋内に液体が収容され、前記外郭部と前記内袋との間にガス圧を付与可能な噴射剤が充填されている
請求項5又は6に記載のエアゾール型吐出容器。
【請求項8】
前記内袋は、圧縮ガス内の窒素分子が透過可能な材質により形成されている
請求項7に記載のエアゾール型吐出容器。
【請求項9】
前記エアゾール容器は、液体と、該液体にガス圧を付与可能な噴射剤とが収容されている
請求項5~8のいずれか1項に記載のエアゾール型吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出用アクチュエータ及び吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器が知られている。このようなエアゾール容器は、吐出対象となる液体を収容した内袋を、アルミニウム板やスチール板等からなる金属製の容器本体の内側に装着すると共に、内袋と容器本体との間に圧縮ガスや液化石油ガス等の噴射剤を充填し、この噴射剤の圧力により内袋を収縮させて液体を吐出させるタイプ(以下、「内袋圧縮タイプ」という)のエアゾール容器と、容器本体の内部に吐出対象となる液体の原液とブタン、プロパン等の液化石油ガスやジメチルエーテルに代表される噴射剤とを充填し、噴射剤の作用によって原液を泡状にして吐出させるタイプ(以下、「液化ガスタイプ」という)のエアゾール容器とに大別される(特許文献1)。
【0003】
また、近年、このようなエアゾール容器に対し、先端の吐出口から液体を吐出するノズル部と、該ノズル部の吐出口とは反対側に配置される取手部と、取手部の上方に配置される押圧部とを備えるアクチュエータが装着され、該押圧部が押圧されることにより、容器本体内の液体がノズル部を通じて吐出されるよう構成されたエアゾール型吐出容器が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-110764号公報
【特許文献2】特開2019-51958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、エアゾール容器を用いる場合には、圧縮ガス等の噴射剤を用いないポンプ容器と比較して、使用後にノズル部の吐出口から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローが生じやすい傾向があることを見出した。すなわち、内袋圧縮タイプのエアゾール容器においては、噴射剤が内袋を透過して液体に溶け込み、この溶け込んだ噴射剤が吐出後にノズル部内に残った液体内で膨張することで、ノズル部の吐出口から液だれ(アフタードロー)が発生しやすいと考えられる。また、液化ガスタイプのエアゾール容器においては、液体に混合された液化ガスがノズル部内で膨張することで、アフタードローが発生しやすいと考えられる。
【0006】
特許文献2のエアゾール型吐出容器は、取手部を有することにより、容器本体を持たずに押圧部を押圧することが可能となるため、アフタードローによって容器本体に液体が付着して滑りやすくなっていたとしても、押圧部を安定して押圧することができるものである。しかしながら、特許文献2のエアゾール型吐出容器は、アフタードローの発生自体を抑制するものではないため、アフタードローによって周囲を汚してしまう可能性がある。このため、特許文献2のエアゾール型吐出容器には、アフタードローの発生を抑制するという観点において、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、アフタードローをほぼ確実に防止することが可能な液体吐出用アクチュエータ及び吐出容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体が収容された容器に装着され、該容器に収容された液体を吐出させる液体吐出用アクチュエータであって、液体を流動させる内部流路及び液体を吐出させる吐出口を有するノズル部、並びに、該ノズル部の基端から前記容器側に向けて延びるステム連結部を有する可動ノズル部材と、前記内部流路内の液体を吸引可能なバックサクション機構と、前記可動ノズル部材の前記ステム連結部を挿通可能な挿通孔が形成された基台と、前記基台に対して回動可能に接続され、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部を有する回動部とを備え、前記ノズル部は、前記容器に対して接近する方向に移動し、前記容器から放出された液体を前記内部流路を介して前記吐出口から吐出させるよう構成されており、前記バックサクション機構は、前記ノズル部の前記内部流路に連通する液吸引室を備え、前記液吸引室の少なくとも一部が、前記ノズル部の前記移動により変形し、かつ、前記ノズル部の前記移動の前の状態への復帰に伴って復元可能な弾性部により形成され、前記弾性部は、前記ノズル部における前記容器側の面に設けられると共に、内部に前記液吸引室を形成可能な弾性カップ部材からなり、前記回動部は、前記押圧部が前記容器側に向けて押圧された際に前記基台との接続部を中心として回動し、前記可動ノズル部材を前記容器に向けて移動させるよう構成され、前記容器は、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器である、液体吐出用アクチュエータに関する。
【0009】
また、本発明は、前記液体吐出用アクチュエータと、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器とを備えるエアゾール型吐出容器に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る液体吐出用アクチュエータ及び吐出容器は、アフタードローをほぼ確実に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るエアゾール型吐出容器を示す図である。
【
図4】エアゾール型吐出容器の一部を拡大して示す断面図である。
【
図5】液体吐出用アクチュエータの一部を拡大して示す断面図である。
【
図6】使用者の押圧操作を受け付ける直前の状態を示す断面図である。
【
図7】使用者の押圧操作により可動ノズル部材が押下され、液体が吐出された状態を示す断面図である。
【
図8】使用者の押圧操作の解除により可動ノズル部材が上昇し、液体の吐出が停止されると共にバックサクション機能が発揮された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
[本実施形態に係る吐出容器の全体構成]
まず、本実施形態に係る吐出容器について、
図1~
図5を用いて説明する。本実施形態に係る吐出容器は、
図1及び
図2に示すように、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器10と、使用者の押圧操作によりエアゾール容器10から液体を放出させることが可能に構成された液体吐出用アクチュエータ(以下、「アクチュエータ20」という)と、エアゾール容器10とアクチュエータ20とを連結させる連結部材30とを備えたエアゾール型吐出容器1である。
【0014】
なお、本明細書では、アクチュエータ20からの液体の吐出方向を「前方」とし、その反対方向を「後方」として説明する。また、エアゾール容器10からアクチュエータ20に向かう方向を「上方」とし、その反対方向を「下方」として説明する。ただし、ここでいう上下方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、実際の使用状況における上下方向とは限らない。
【0015】
[エアゾール容器]
エアゾール容器10は、
図3に示すように、液体を収容する容器本体100と、容器本体100の開口部に配されたエアゾールバルブ110とを備えている。
【0016】
[エアゾール容器:容器本体]
容器本体100は、有底筒状の外郭部102と、外郭部102内に設けられた有底筒状の内袋104と、外郭部102及び内袋104の開口を塞ぐマウンテンカップ106とを備えている。なお、本明細書において、「有底筒状」とは、一端に底部を有し、他端に開口を有する筒状をいう。また、本明細書において、「筒状」には、その横断面が円形の形状(円筒状)に限られず、横断面が角形の形状(角筒状)も含まれる。
【0017】
内袋104には、吐出対象となる液体が収容されている。また、外郭部102と内袋104との間には、内袋104に対してガス圧を付与可能な噴射剤が充填されている。このような噴射剤としては、圧縮ガスが例示されるが、これに限定されるものではない。
【0018】
外郭部102は、例えば、アルミニウム板等の金属材から形成された缶部材であり、噴射剤のガス圧によって変形しない剛性を有している。内袋104は、液体が透過不能な液不透過性を有し、かつ、噴射剤のガス圧によって変形可能な可撓性を有している。内袋104の材質としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等が例示されるが、これに限定されるものではない。また、内袋104は、単層で構成されていても良く、複数の層で構成されていても良い。内袋104が複数の層で構成される場合には、酸素の透過を防止可能なバリア層を中間層として備えていても良く、該バリア層は、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等で形成されても良い。
【0019】
なお、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等は、噴射剤(圧縮ガス)が透過可能な材質であるため、内袋104内の液体に噴射剤が溶け込み、この溶け込んだ噴射剤が吐出後にノズル部222内に残った液体内で膨張し、ノズル部222の吐出口223から液だれ(アフタードロー)が発生しやすくなるが、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は後述するバックサクション機構240を備えるため、このようなアフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。
【0020】
マウンテンカップ106は、外郭部102及び内袋104の開口を塞ぐことにより、内袋104内に液体を収容するための閉空間を形成すると共に、外郭部102と内袋104との間に噴射剤を充填するための閉空間を形成するよう構成されている。また、マウンテンカップ106は、内袋104の内部に連通する開口部を有しており、該開口部を塞ぐように、エアゾールバルブ110が配置されている。
【0021】
なお、本実施形態では、容器本体100が外郭部102及び内袋104からなり、これらの間に充填された噴射剤(圧縮ガス)により内袋104を圧縮させ、該内袋104内の液体を放出させる構成を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、エアゾール容器は、吐出対象となる液体(原液)と、該液体にガス圧を付与可能な噴射剤とが一緒に収容される構成としても良く、この場合において、噴射剤としては、ブタン、ポロパン等の液化ガス等を用いても良い。また、液体(原液)及び液化ガスを内袋104内に収容しても良いし、内袋104を設けずに外郭部102内に収容しても良い。内袋104に収容する場合には、内袋104にアルミ層(AL層)等の中間層を設けても良い。このように、噴射剤として液化ガスを用いる場合においても、ノズル部222内に残った液体内で噴射剤が膨張し、ノズル部222の吐出口223から液だれ(アフタードロー)が発生しやすくなるが、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は後述するバックサクション機構240を備えるため、このようなアフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。
【0022】
[エアゾール容器:エアゾールバルブ]
エアゾールバルブ110は、
図4に示すように、ハウジング111と、ハウジング111内に挿入されたステム部112と、ハウジング111の底部とステム部112の底部との間に設けられ、ステム部112を容器本体100から離間する方向(外部方向)に付勢するステム付勢部113とを備えている。
【0023】
ステム部112は、液体を流動させることが可能な流路を有する筒状に形成されており、その外壁部に、ステム部112内の流路とハウジング111の内部とを連通させるステム孔112aが形成されている。ハウジング111は、有底筒状に形成されており、該ハウジング11の内部と内袋104の内部とを連通させる連通孔111aが底部に形成されている。また、ハウジング111には、ステム部112がステム付勢部113によって付勢された状態(非使用状態)において、ステム孔112aを気密に封止するガスケット114が設けられている。
【0024】
ステム付勢部113は、アクチュエータ20に対する使用者の押圧操作に伴いステム部112が容器本体100に押し込まれる際に圧縮し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能に構成されている。ステム付勢部113としては、例えばコイルスプリング等が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0025】
ステム付勢部113は、アクチュエータ20の後述する弾性部241よりも早く復元するよう構成されることが好ましい。具体的には、ステム付勢部113は、アクチュエータ20の弾性部241よりも100倍以上1000倍以下程度大きい弾性率を有することが好ましく、弾性部241の弾性率の500倍程度の弾性率を有することがより好ましい。このように、ステム付勢部113の弾性率がアクチュエータ20の弾性部241の弾性率よりも大きいことにより、アクチュエータ20の弾性部241よりも早くステム付勢部113を復元させることが可能となるため、ステム付勢部113の復元によってエアゾール容器10から内部流路230内への液体の放出が停止された後に、弾性部241の復元によって吐出口223近傍の液体を内部流路230内に引き込むことが可能となり、その結果、使用後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。
【0026】
ステム部112は、容器本体100に対して押し込まれた際に、内袋104内の液体を放出するよう構成されている。具体的には、ステム部112は、アクチュエータ20によってステム付勢部113の付勢力に抗して容器本体100に対して押し込まれた使用状態において、ステム孔112aがハウジング111の内部に開放され、ステム部112内の流路がハウジング111の内部を介して内袋104の内部と連通するよう構成されている。
【0027】
本実施形態に係るエアゾール容器10は、このようにステム部112内の流路が内袋104の内部と連通することにより、内袋104の内部圧力が外郭部102と内袋104との間に充填された噴射剤(圧縮ガス)の圧力よりも小さくなり、該圧力差によって内袋104が圧縮されることで、内袋104内の液体がハウジング111の内部及びステム部112の流路を介してアクチュエータ20内に放出されるよう構成されている。
【0028】
[連結部材]
連結部材30は、エアゾール容器10とアクチュエータ20を連結する部材であり、
図2及び
図4に示すように、筒状に形成されている。具体的には、連結部材30は、
図4に示すように、マウンテンカップ106の環状突出部106aに嵌合可能な環状溝310を下端部に有しており、該環状溝310をマウンテンカップ106の環状突出部106aに嵌合させることにより、エアゾール容器10に装着可能に構成されている。また、連結部材30は、アクチュエータ20の後述する螺合部213に螺合可能な螺合部320を外周面に有しており、該螺合部320をアクチュエータ20の螺合部213に螺合させることにより、アクチュエータ20を着脱可能に構成されている。
【0029】
連結部材30は、
図4に示すように、その内壁に、径方向内側に向けて突出する位置決め部311を有している。位置決め部311は、エアゾール容器10とアクチュエータ20とを連結させた状態において、アクチュエータ20の後述するステム連結部226が挿通可能な貫通孔330を有している。貫通孔330は、該貫通孔330内に挿入されたステム連結部226を、ステム部112と整合する位置(具体的には、ステム部112の中心軸上)に位置決めするよう構成されている。
【0030】
また、連結部材30は、エアゾール容器10とアクチュエータ20とを連結させた状態において、環状溝310とマウンテンカップ106の環状突出部106aとの連結部分を覆うスカート部340を有している。なお、環状溝310、螺合部320、位置決め部311及びスカート部340は、周方向の全域に亘って形成されても良いし、周方向に沿って断続的に形成されても良いし、周方向の一部のみに形成されても良い。また、連結部材30は、金属製であっても良いし、合成樹脂製であっても良い。
【0031】
[アクチュエータ]
アクチュエータ20は、連結部材30を介してエアゾール容器10の上部に装着され、エアゾール容器10に対して接近する方向(下方)に押圧操作されるサーバタイプのディスペンサである。具体的には、アクチュエータ20は、連結部材30に対して装着される基台210と、使用者が把持可能な取手部250と、使用者の押圧操作を受け付ける回動部260と、使用者の押圧操作によりエアゾール容器10に対して接近し、エアゾール容器10から液体を放出させることが可能に構成された可動ノズル部材220と、液体の吐出後に後述するノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローを防止するためのバックサクション機構240とを備えている。なお、アクチュエータ20は、待機状態において使用者の意図に反して内容液が吐出されることを防止するためのロックピン(図示せず)を更に備えても良い。
【0032】
[アクチュエータ:基台]
基台210は、
図2及び
図4に示すように、上面211aと周面211bとを有する上面付き筒状に形成されており、周面211bは、連結部材30の螺合部320に螺合可能な螺合部213を有する内壁部212と、該内壁部212の径方向外側に配された外壁部214とを含む二重壁構造を有している。外壁部214は、連結部材30と内壁部212との連結部分を覆うよう構成されている。
【0033】
基台210の上面211aには、
図2及び
図4に示すように、可動ノズル部材220の後述するステム連結部226を挿通可能な挿通孔215が形成されている。挿通孔215は、エアゾール容器10中心軸上に位置しており、連結部材30の位置決め部311と相俟って、可動ノズル部材220のステム連結部226を、ステム部112と整合する位置(具体的には、ステム部112の中心軸上)に位置決めするよう構成されている。
【0034】
また、上面211aには、
図2に示すように、可動ノズル部材220の上下移動をガイドするための幅方向ガイド部216及び後方ガイド部217が設けられている。幅方向ガイド部216は、挿通孔215の幅方向の両側に、上下方向に沿って延出しており、可動ノズル部材220の後述する側方板部227が摺動する上下方向に沿った縦穴(開口)を有している。また、後方ガイド部217は、挿通孔215の後方側に、上下方向に沿って延出しており、可動ノズル部材220の後述する後方板部228が摺動する上下方向に沿った縦穴(開口)を有している。これら幅方向ガイド部216及び後方ガイド部217は、互いに協働して、可動ノズル部材220がエアゾール容器10中心軸上(具体的には、ステム部112の中心軸上)に沿う往復移動をガイドするよう構成されている。
【0035】
[アクチュエータ:取手部]
取手部250は、
図1及び
図2に示すように、ノズル部222の吐出口223とは径方向反対側に配置されている。具体的には、取手部250は、
図4に示すように、基台210の後側の外周壁から後側に延出する後方延出領域252と、後方延出領域252の端部から押圧領域(押圧部261)と離れる方向(すなわち、下側)に延出する下方延出領域254とを有しており、これら後方延出領域252と下方延出領域254とにより、指掛け領域256が形成されている。指掛け領域256は、使用者の手指(例えば、人差し指及び中指等)が掛けられることが予定される領域である。使用者は、指掛け領域256に手指を掛けて取手部250を握ることにより、エアゾール容器10を支持することが可能となっている。
【0036】
後方延出領域252は、
図4に示すように、指掛け領域256に使用者の手指(例えば、人差し指及び中指等)が掛けられた際に、該使用者の手指の上方に回動部260の後述する押圧部261が位置する長さを有している。また、後方延出領域252は、基台210から離れるほど全体的にせり上がるよう構成されている。後方延出領域252と下方延出領域254との接続部(屈曲部)は、
図1及び
図2に示すように、下方に向けて凹となる曲線形状を有しており、使用者の手指(例えば親指)が適切に誘導されるよう構成されている。下方延出領域254は、使用者の1本~3本の手指(例えば、人差し指、中指、薬指)を引っ掛けることが可能な長さを有している。
【0037】
[アクチュエータ:回動部]
回動部260は、
図1及び
図2に示すように、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部261を有しており、基台210に対して回動可能に接続されている。具体的には、回動部260は、吐出口223側の端部に、基台210との接続部263を有すると共に、該接続部263の径方向反対側の端部に、押圧部261を有している。また、回動部260は、
図2に示すように、基台210の挿通孔215に係止することで回動部260の回動範囲を規制する一対の回動規制フック264と、可動ノズル部材220の側方板部227に当接する当接部266とを備えている。
【0038】
回動部260と基台210との接続部263は、可撓性を有する一対の肉薄部により形成されており、該肉薄部を中心として、基台210に対して接近する方向又は離間する方向に回動部260を回動させることが可能に構成されている。具体的には、接続部263は、可動ノズル部材220上に回動部260を位置させた状態から、接続部263を中心として回動部260を基台210に接近する方向(エアゾール容器10側)に回動させることにより、
図7に示すように、接続部263と押圧部261との間において可動ノズル部材220をエアゾール容器10に向けて移動させる(押し下げる)ことが可能に構成されている。また、接続部263は、回動部260を基台210に接近させた状態から、エアゾール容器10のステム付勢部113の付勢力(復元力)により可動ノズル部材220が押し上げられることにより、
図8に示すように、回動部260を基台210から離間する方向に回動させるよう構成されている。
【0039】
また、接続部263は、可動ノズル部材220上に回動部260を位置させた状態から、回動規制フック264の後述する係止爪と基台210の挿通孔215の縁部との係合を解除させ、接続部263を中心として回動部260を基台210から離間する方向(吐出口223側)に回動させることにより、
図2に示すように可動ノズル部材220を露出させることも可能に構成されている。なお、接続部263は、薄肉部の構成に限定されず、基台210に対して回動部260を回動可能に接続する構成であれば良く、例えばヒンジ機構等であっても良い。
【0040】
押圧部261は、取手部250の上方に配置され、使用者が可動ノズル部材220をエアゾール容器10に向けて押し込むために手指(例えば、親指)で力を加える領域である。押圧部261は、接続部263よりも上方に位置しており、回動部260の回動のために必要な押圧力を軽減させるよう構成されている。
【0041】
押圧部261には、使用者による押圧領域への押圧を誘導する誘導部262が形成されている。誘導部262は、図示の例では凹部内に三本の同心円状の円弧が凸設された構成であるが、これに限定されず、凹部、凸部、表示部(例えば、文字、記号または模様を表示する部分)、パターン形成部、エンボス部及び粗面部から選ばれる1つ、または2以上の組合わせであっても良い。また、誘導部262は、回動部260の表面に他の部材を取り付けることで構成されても良い。誘導部262は、使用者が押圧部261を押圧する際の手指の滑りを抑制する滑り止めとしても機能可能であることが好ましい。
【0042】
押圧部261が設けられる回動部260の天面は、可動ノズル部材220のノズル部222の天面と概ね面一である。すなわち、エアゾール型吐出容器1を後側上方の視点から見た際に、使用者の視点とノズル部222の先端の間を遮る構造物が存在しない。このため、使用者は、エアゾール型吐出容器1を使用する際にノズル部222の先端を視認することにより、液体の吐出方向を容易に把握することが可能である。
【0043】
回動規制フック264は、
図2に示すように、当接部266よりも接続部263側の位置から、基台210側に延出している。一対の回動規制フック264は、幅方向に沿って離間して配置されており、各回動規制フック264の先端には、各々対向するように係止爪が形成されている。回動規制フック264の係止爪は、基台210の挿通孔215の縁部に係止可能に構成されており、回動規制フック264の係止爪と基台210の挿通孔215の縁部との係合により、回動部260が基台210から離れる方向への回動が規制されるよう構成されている。
【0044】
当接部266は、回動部260によって可動ノズル部材220をエアゾール容器10に向けて移動させる(押し下げる)際に、可動ノズル部材220の側方板部227に当接する部分である。これにより、当接部266と可動ノズル部材220の側方板部227との接点が、押圧部261に加えられた力の作用点となる。当接部266は、
図2に示すように、可動ノズル部材220の側方板部227から離れる方向に凹んだ円弧状に形成されている。
【0045】
[アクチュエータ:可動ノズル部材]
可動ノズル部材220は、
図2及び
図4に示すように、液体を吐出させる吐出口223を有するノズル部222と、ノズル部222の基端からエアゾール容器10側に向けて延びるステム連結部226と備えている。具体的には、可動ノズル部材220は、全体として逆L字状に形成されており、可動ノズル部材220のうち、エアゾール容器10側に向けて延びる鉛直部分がステム連結部226を構成し、該鉛直部分の上端から前方側に向けて延びる水平部分がノズル部222を構成している。
【0046】
可動ノズル部材220は、
図5に示すように、ステム連結部226の下端部からノズル部222の先端に亘って、エアゾール容器10から放出された液体を流動させる内部流路230が形成されており、ノズル部222の先端には、内部流路230を流動する液体を外部に吐出させる吐出口223が形成されている。内部流路230は、ステム連結部226に形成された容器側流路部231と、ノズル部222に形成された吐出側流路部233とを備えている。なお、内部流路230の詳細については、後述する。
【0047】
これらノズル部222及びステム連結部226は、使用者の押圧操作により、一体として下方(エアゾール容器10に対して接近する方向)へ移動し、エアゾール容器10から放出された液体を内部流路230を介して吐出口223から吐出させるよう構成されている。また、ノズル部222及びステム連結部226は、該押圧操作の解除に伴うステム付勢部113の復元により、一体として上方(エアゾール容器10から離間する方向)へ移動するよう構成されている。
【0048】
ノズル部222は、ステム連結部226の上端から水平方向(ステム連結部226の延在方向と直交する方向)に延出しており、液体を流動させる吐出側流路部233と、液体を吐出させる吐出口223とを有している。ノズル部222は、アクチュエータ20がエアゾール容器10に装着された状態において、吐出口223がエアゾール容器10の外周面よりも径方向外側に位置する長さを有することが好ましい。このような構成によれば、吐出口223により吐出された液体を手のひらで受ける際にエアゾール容器10が干渉しにくく、また、万が一アフタードローが生じた場合であっても、エアゾール容器10に対する液体の付着を抑制することができるという利点がある。
【0049】
ステム連結部226は、ノズル部222の基端側から下方(エアゾール容器10側)に向けて直線的に延びる筒状に形成されており、基台210の挿通孔215及び連結部材30の貫通孔330内を貫通可能な径を有している。ステム連結部226の下端部は、ステム部112の上端部に嵌合可能に構成されている。ステム連結部226は、アクチュエータ20がエアゾール容器10に装着された状態において、可動ノズル部材220がエアゾール容器10に向けて押し込まれた際に、エアゾール容器10のステム部112をハウジング111内に押し込み、ステム部112を開放させること、すなわち、エアゾール容器10内の液体をステム部112から放出させることが可能に構成されている。
【0050】
ステム連結部226は、
図2に示すように、ノズル部222の延出方向(前方)と交差する方向(側方)に延出する一対の側方板部227と、ノズル部222の延出方向とは反対方向(後方)に延出する後方板部228とを有している。
【0051】
側方板部227は、ステム連結部226の幅方向の両側から幅方向に沿って張り出しており、基台210の幅方向ガイド部216に沿って摺動可能に構成されている。また、側方板部227は、その上端部が回動部260の当接部266に当接しており、回動部260の押下に伴って可動ノズル部材220全体を下降させると共に、ステム付勢部113の復元に伴って回動部260を押し上げるよう構成されている。
【0052】
後方板部228は、基台210の後方ガイド部217に沿って摺動可能に構成されており、その下端部に、後方に向けてて突出する係止爪229が形成されている。係止爪229は、後方ガイド部217の縁部に係止することにより、基台210に対する可動ノズル部材220の相対移動を許容しつつ、基台210からの可動ノズル部材220の抜け出しを規制するよう構成されている。
【0053】
[アクチュエータ:内部流路]
内部流路230は、
図5に示すように、ステム連結部226に形成された容器側流路部231と、ノズル部222に形成された吐出側流路部233とを備えている。容器側流路部231は、可動ノズル部材220の移動方向(上下方向)に沿って鉛直に延びる中空部であり、その上端部(ステム部112に接続される側の端部とは反対の端部)が、吐出側流路部233に連通している。吐出側流路部233は、容器側流路部231の上端部から径方向外側に向けて水平に延びる中空部であり、その先端に吐出口223が形成されている。すなわち、内部流路230は、一端にステム部112との接続口が形成され、他端に吐出口223が形成された略逆L字状に形成されている。
【0054】
容器側流路部231の容積は、ポンプ機構内蔵型のディスペンサにおけるポンプ室及び容器側流路部の容積よりも小さくなるよう設定されることが好ましい。このような観点から、容器側流路部231の容積は、例えば、100mm3以上であることが好ましく、150mm3以上であることがより好ましく、200mm3以上であることが更に好ましく、また、500mm3以下であることが好ましく、300mm3以下であることがより好ましく、250mm3以下であることが更に好ましい。容器側流路部231の容積を上記数値範囲内に設定することにより、バックサクション機構240により液体が吸引される際に、容器側流路部231内の液体よりも優先して吐出側流路部233内の液体を吸引することが可能となり、バックサクション機能を向上させ、アフタードローをより確実に防止することができるという利点を有する。
【0055】
このような容積を実現するために、容器側流路部231は、その延在方向の長さが、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましく、20mm以上であることが更に好ましく、また、50mm以下であることが好ましく、40mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることが更に好ましい。また、容器側流路部231は、その平均断面積が、5mm2以上であることが好ましく、8mm2以上であることがより好ましく、また、20mm2以下であることが好ましく、15mm2以下であることがより好ましく、10mm2以下であることが更に好ましい。ここで、容器側流路部231の「平均断面積」とは、ステム連結部226の下端から上端(吐出側流路部233との連通部)に至るまでの領域における断面積の平均値をいう。
【0056】
吐出側流路部233は、
図5に示すように、容器側流路部231との連通部における流路断面積A
2が、該連通部における容器側流路部231の流路断面積A
1よりも小さくなるよう構成されることが好ましい。具体的には、連通部における吐出側流路部233の流路断面積A
2は、連通部における容器側流路部231の流路断面積A
1の50%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましい。吐出側流路部233は、このような構造を有することにより、バックサクション機構240により液体が吸引される際に、容器側流路部231を流動する液体の流速よりも吐出側流路部233を流動する液体の流速を速くすることが可能となる。そしてその結果、容器側流路部231内の液体よりも優先して吐出側流路部233内の液体をノズル部222内に吸引することができるため、バックサクション機能を向上させ、アフタードローをより確実に防止することが可能となる。
【0057】
ここで、「連通部」とは、容器側流路部231と吐出側流路部233とが連通する部分をいい、本実施形態では、容器側流路部231から吐出側流路部233に至る内部流路230の屈曲部分をいう。また、「連通部における吐出側流路部の流路断面積」とは、該連通部における吐出側流路部の鉛直断面の断面積、すなわち、吐出側流路部233の容器側流路部231側の端部における開口面積をいい、「連通部における容器側流路部の流路断面積」とは、該連通部における容器側流路部231の水平断面の断面積をいう。
【0058】
また、吐出側流路部233は、
図5に示すように、吐出口223側における流路断面積A
3も同様に、連通部における容器側流路部231の流路断面積A
1以下であることが好ましく、より好適には、連通部における容器側流路部231の流路断面積A
1よりも小さいことが好ましい。より具体的には、吐出口223における流路断面積A
3は、連通部における容器側流路部231の流路断面積A
1の100%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、50%以下であることが更に好ましい。
【0059】
このような構成とすることにより、吐出口223近傍における液体の貯留量を相対的に少なくすることが可能となるため、バックサクション機能が発現した際の液体の液戻り距離(内部流路230内に吸引される距離)を大きくすることが可能となり、アフタードローをより確実に防止することが可能となる。ここで、「吐出口における流路断面積A
3」とは、吐出口223が鉛直方向と一致する開口である場合には、該吐出口223の開口面積をいい、
図5に示すように吐出口223が鉛直方向に対して傾いた開口である場合には、吐出口223に最も近い部分における鉛直断面の断面積をいう。
【0060】
さらに、吐出側流路部233は、
図5に示すように、吐出口223が容器側流路部231との連通部よりも上方に位置する上向き形状を有することが好ましい。このような形状を有することにより、吐出側流路部233内の液体を自重により連通部側に流動させることが可能となるため、より一層アフタードローを防止することができる。
【0061】
[バックサクション機構]
バックサクション機構240は、可動ノズル部材220に設けられ、使用者の押圧操作が解除された際に、内部流路230内の液体を吸引して貯留するよう構成されている。具体的には、バックサクション機構240は、
図4及び
図5に示すように、使用者の押圧操作に伴う可動ノズル部材220(ノズル部222)の移動により変形し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能な弾性部241と、内部流路230内の液体を吸引して貯留することが可能な液吸引室243と、内部流路230と液吸引室243とを連通させる吸引口244とを備え、使用者の押圧操作に連動させて液吸引室243の容積を変動させることで、バックサクション効果を発揮させるよう構成されている。
【0062】
弾性部241は、弾性変形可能な有底筒状の弾性カップ部材(吸引カップ部材)からなり、
図4及び
図5に示すように、その内部に液吸引室243を形成可能に構成されている。弾性部241は、ノズル部222の下面と基台210の上面211aとの間に位置するよう、ノズル部222の下面における吸引口244と整合する位置に設けられている。弾性部241は、前後方向に沿う鉛直断面視において、下方に向けて凸となる曲面状(ドーム形状)を有している。弾性部241は、ステム連結部226に近い位置に設けられることが好ましく、弾性部241の図心位置がノズル部222の前後方向に沿う全体長さの中間位置よりもステム連結部226側に位置することがより好ましい。弾性部241がステム連結部226に近い位置に設けられることにより、使用者の押圧操作により加えられた外力によって弾性部241を効率良く弾性変形させることが可能となるため、小さな押圧力で効率良くバックサクション効果を発揮させることが可能となる。
【0063】
弾性部241は、可動ノズル部材220の下降に伴う弾性変形及びその可動ノズル部材220の上昇に伴う復元(弾性復帰)により、液吸引室243の容積を変動させるよう構成されている。
【0064】
具体的には、弾性部241は、使用者の押圧操作によって可動ノズル部材220が基台210に接近する方向(下方)に向けて移動した際に、基台210の上面211aに圧接され、該上面211aからの反力(圧力)によって弾性変形することにより、液吸引室243の内部容積を減少させ、液吸引室243内の液体(初期使用時には気体)を吸引口244を介して内部流路230内に排出させるよう構成されている。なお、
図4及び
図5では、使用者の押圧操作が行われる前の状態(非吐出状態)において、弾性部241が基台210の上面211aに接していない(両者の間に隙間が形成される)ものとして図示しているが、これに限定されるものではなく、非吐出状態において弾性部241と基台210の上面211aとが接していても良い。
【0065】
また、弾性部241は、該押圧操作の解除によって可動ノズル部材220が基台210から離間する方向(上方)に向けて移動した際に、基台210の上面211aからの反力(圧力)から解放されて元の形状に復元することにより、液吸引室243の内部容積を拡張させて該液吸引室243内に負圧を発生させ、内部流路230内の液体を吸引口244を介して液吸引室243内に吸引させるよう構成されている。
【0066】
この際、弾性部241は、ステム付勢部113の復元完了とほぼ同時又はこれよりも後に、復元が完了するよう構成されることが好ましい。具体的には、弾性部241は、ステム付勢部113よりも弾性率が小さいことが好ましい。より具体的には、弾性部241は、ステム付勢部113の弾性率の0.001倍(0.1%)以上0.01倍(1%)以下の弾性率を有することが好ましく、ステム付勢部113の弾性率の0.05倍(5%)程度の弾性率の有することがより好ましい。このような構成を有することにより、ステム付勢部113の復元が完了した後に弾性部241を復元させることが可能となるため、ステム付勢部113の復元によってエアゾール容器10から内部流路230内への液体の放出が停止された後に、弾性部241の復元によって吐出口223近傍の液体を内部流路230内に引き込むことが可能となり、その結果、使用後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。
【0067】
弾性部241は、例えば、ゴム、エラストマー、ポリオレフィン又はシリコン樹脂等の弾性変形可能な合成樹脂等から形成されている。ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE、LLDPE)、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等を好適に用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。また、弾性部241は、ノズル部222と別体として形成される構成であっても良いし、2色成形等の成形方法によりノズル部222と一体として形成される構成であっても良い。
【0068】
液吸引室243は、
図4及び
図5に示すように、弾性部241の内部に形成された閉空間であり、吸引口244を介して内部流路230と連通している。使用者の押圧操作及びその解除により変動する液吸引室243の容積変動量は、ノズル部222の吐出口223からアフタードローが生じない程度に、吐出口223近傍の液体を液吸引室243の内部に吸引させることが可能な量である。具体的には、液吸引室243の容積変動量は、弾性部241が十分に変形してバックサクションの効果を発現するために、100mm
3以上であることが好ましく、150mm
3以上であることがより好ましく、200mm
3以上であることが更に好ましい。また、弾性部241が十分な速度でサックバックする観点から、500mm
3以下であることが好ましく、400mm
3以下であることがより好ましく、300mm
3以下であることが更に好ましい。ここで、「液吸引室243の容積変動量」とは、弾性部241を変形させる前の通常時における液吸引室243の容積(最大容積)と、使用者の押圧操作に伴って可動ノズル部材220を限界まで押し下げ、弾性部241を変形させた状態における液吸引室243の容積(圧縮時最小容積)との差、すなわち、使用者の押圧操作に伴う弾性部241の弾性変形により減縮される容積減少量(=押圧操作の解除に伴う弾性部241の復元により拡張される容積拡張量)を意味し、該容積変動量が、バックサクション機能の設計体積となる。
【0069】
吸引口244は、液吸引室243に収容された液体が表面張力等により内部流路230に漏れ出ない程度の開口面積を有している。吸引口244の開口面積は、弾性部241の断面積よりも小さくなるよう構成されることが好ましい。具体的には、吸引口244の開口面積は、弾性部241の断面積の50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。より具体的には、吸引口244の開口面積は、内部流路230内の液体を十分に吸引する観点より、10mm2以上であることが好ましく、20mm2であることがより好ましく、30mm2であることが更に好ましい。このような構造を有することにより、バックサクション機構240により液体が吸引される際に、バックサクション機構240の吸引口244近傍における液体の流速を高めることが可能となるため、バックサクション時に液体にかかる吸引力を大きくし、液体を効果的に液吸引室243内に誘導することが可能となる。また、これにより、バックサクション機能を向上させ、アフタードローをより確実に防止することが可能となる。
【0070】
吸引口244は、吐出側流路部233側の液体を効率良く液吸引室243内に吸引させ、アフタードローを効果的に防止する観点から、吐出側流路部233に直接連通されるか、又は、容器側流路部231と吐出側流路部233との連通部近傍に形成されることが好ましい。図示の例では、吸引口244は、吐出側流路部233に直接連通されているが、これに限定されず、内部流路230内の液体を液吸引室243内に吸引させ、アフタードローを防止可能であれば、任意の場所に形成することが可能である。
【0071】
[液体(内容液)]
本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1に収容される液体(内容液)としては、例えば、シャンプー液、リンス液、コンディショナー液、化粧液、薬剤、ボディソープ液、衣類用や食器用の液体洗剤、衣類用の柔軟剤、漂白剤等の液体が例示されるが、これらに限定されるものではない。本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1に収容される液体は、例えば30℃において、粘度が500~5万mPa・s(B型粘度計で測定)であることが好ましい。
【0072】
[本実施形態に係るエアゾール型吐出容器の動作]
次に、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1の動作について、
図6~
図8を用いて説明する。本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1を用いて液体を吐出させる場合には、まず、使用者は、
図6に示すように、エアゾール型吐出容器1の取手部250を手指(例えば人差し指及び中指)により把持し、手指の一部(例えば親指)を回動部260の押圧部261上に配置する。この際、押圧部261には誘導部262が設けられているため、使用者の手指が押圧部261上に適切に誘導される。
【0073】
その後、押圧部261上に使用者の手指が配置された状態において、使用者が手指を押し下げる押圧操作により、回動部260が接続部263を中心として、基台210に近づく方向に回動し始める。そして、回動部260の回動に伴い、回動部260の当接部266が、側方板部227を介して可動ノズル部材220を押し下げ、これによりステム連結部226及びステム部112を介してステム付勢部113に付勢力を超える圧力が付与されることでステム付勢部113が圧縮し、
図7に示すように、ステム部112が可動ノズル部材220のステム連結部226により押し下げられる。
【0074】
そして、ステム部112押し下げられることにより、ステム部112のステム孔112aがハウジング111の内部に開放され、ステム部112内の流路がハウジング111の内部を介して内袋104の内部と連通する。これにより、内袋104の内部圧力が外郭部102と内袋104との間に充填された噴射剤(圧縮ガス)の圧力よりも小さくなり、該圧力差によって内袋104が圧縮されることで、内袋104内の液体がハウジング111の内部及びステム部112の流路を介して可動ノズル部材220の内部流路230の容器側流路部231内に放出され、該内部流路230の吐出側流路部233を介して吐出口223から連続的に吐出される。
【0075】
なお、この液体の吐出状態においては、バックサクション機構240の弾性部241が基台210の上面211aに圧接して変形することで、液吸引室243の容積が通常時よりも減少している。
【0076】
そして、使用者が所望する量の液体が吐出された後、使用者が押圧部261への押圧操作を解除することにより、可動ノズル部材220がエアゾール容器10から離間して液体の吐出が停止され、これとほぼ同時又はこれよりも後に、吐出口223近傍の液体が吸引口244を介して液吸引室243内に吸引されるバックサクション効果が発揮される。
【0077】
具体的には、使用者からの押圧力がステム付勢部113の付勢力を下回ることにより、
図8に示すように、ステム付勢部113の復元力及び内袋104内の液体の圧力によってステム付勢部113が即座に復元し、ステム部112のステム孔112aがガスケット114によって密封され、エアゾール容器10から内部流路230内への液体の放出が停止される。この際、ステム付勢部113の復元ストロークが極めて短いため、使用者が押圧力を弱めたタイミングと液体の放出が停止されるタイミングは、ほぼ同時である。
【0078】
そして、ステム付勢部113の復元により可動ノズル部材220が押し上げられることにより、バックサクション機構240の弾性部241が基台210の上面211aの圧力から解放されて元の形状に復元し、これにより、液吸引室243の容積が通常時の容積に拡張される。これにより、液吸引室243内に負圧が発生し、吐出口223近傍の液体が吸引口244を介して液吸引室243の内部に向けて吸引される。この際、容器側流路部231は、ステム部112側の端部が閉塞されているのに対し、吐出側流路部233は、吐出口223が開放されているため、容器側流路部231よりも優先して吐出側流路部233内の液体が引き込まれる。そしてその結果、吐出口223の近傍における液溜まりが無くなる又は減少するため、使用後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローが抑制される。
【0079】
また、ステム付勢部113の復元により可動ノズル部材220が押し上げられることにより、可動ノズル部材220の側方板部227が回動部260の当接部266を押し上げ、これに伴い回動部260が接続部263を中心として基台210から離れる方向(上方)に回動する。これにより、アクチュエータ20は、待機状態に戻る。
【0080】
[本実施形態に係る液体吐出用アクチュエータ及びエアゾール型吐出容器の利点]
以上説明したとおり、本実施形態に係る液体吐出用アクチュエータ(アクチュエータ20)は、液体を流動させる内部流路230及び液体を吐出させる吐出口223を有するノズル部222と、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部261と、内部流路230内の液体を吸引可能なバックサクション機構240とを備え、ノズル部222は、押圧部261が押圧されることによりエアゾール容器10に対して接近する方向に移動し、エアゾール容器10から放出された液体を内部流路230を介して吐出口223から吐出させるよう構成されており、バックサクション機構240は、ノズル部222の内部流路230に連通する液吸引室243を備え、液吸引室243の少なくとも一部が、使用者の押圧操作に伴うノズル部222の移動により変形し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能な弾性部241により形成されており、弾性部241は、内部に液吸引室243を形成可能な弾性カップ部材からなる。
【0081】
このような構成を備えるアクチュエータ20によれば、エアゾール容器10から内部流路230内への液体の放出が停止された後に、弾性部241の復元によって吐出口223近傍の液体を液吸引室243内に引き込むことが可能となるため、使用後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。また、本実施形態に係るアクチュエータ20によれば、吐出口223近傍の液体を液吸引室243内に引き込むことにより、吐出口223近傍における液体の固化を抑制し、吐出口223の詰まり等を防止することができる。さらに、本実施形態に係るアクチュエータ20によれば、内部流路230とは別に液吸引室243を設けることにより、液吸引室243を設けずに内部流路230に直接弾性部を設ける場合と比較して、内部流路230の流路面積を減少させることなく、すなわち、液体の吐出性能に影響を与えることなく、バックサクション機能を発揮させることが可能となる。また、本実施形態に係るアクチュエータ20は、弾性部241が、内部に液吸引室243を形成可能な弾性カップ部材からなることにより、簡易な構造によってバックサクション機構240を実現することができる。
【0082】
また、本実施形態に係る液体吐出用アクチュエータ(アクチュエータ20)は、ノズル部222の吐出口223とは径方向反対側に配置される取手部250を更に備え、押圧部261が取手部250の上方に配置されている。このような構成を備えるアクチュエータ20によれば、使用者は、エアゾール容器10を持たずに、取手部250を把持した状態で押圧部261を押圧操作することができるため、エアゾール容器10が濡れて滑りやすくなっていたとしても、押圧部261を安定して押圧することができるという利点を有する。
【0083】
さらに、本実施形態に係るアクチュエータ20は、ノズル部222におけるエアゾール容器10側の面に弾性部241が設けられていることにより、エアゾール容器10に対してノズル部222が接近する力、すなわち、使用者の押圧操作による押圧力を効率良く弾性部241の変形圧力に転換することが可能となるため、軽い力で液体を吐出させつつバックサクション効果を発現させることが可能となる。
【0084】
さらに、本実施形態に係るアクチュエータ20は、ノズル部222及び該ノズル部222の基端からエアゾール容器10側に向けて延びるステム連結部226を有する可動ノズル部材220と、可動ノズル部材220のステム連結部226を挿通可能な挿通孔215が形成された基台210と、基台210に対して回動可能に接続され、押圧部261を有する回動部260とを備え、回動部260は、押圧部261がエアゾール容器10側に向けて押圧された際に基台210との接続部263を中心として回動し、可動ノズル部材220をエアゾール容器10に向けて移動させるよう構成されている。このような構成を備えるアクチュエータ20によれば、可動ノズル部材220、基台210及び回動部260を組み合せた簡単な構造により、高いバックサクション効果を発現可能なバックサクション機能付きアクチュエータを安価に実現することができる。
【0085】
また、本実施形態に係るアクチュエータ20は、回動部260が、吐出口223側の端部に接続部263を有すると共に、該接続部263の径方向反対側の端部に押圧部261を有しており、接続部263と押圧部261との間において可動ノズル部材220をエアゾール容器10に向けて移動させるよう構成されている。このような構成を備えるアクチュエータ20によれば、使用者の押圧操作により押圧部261に加えられた押圧力を、てこの原理により効率良く可動ノズル部材220に伝達することが可能となるため、より一層、軽い力で液体を吐出させつつバックサクション効果を発現させることが可能となる。
【0086】
さらに、本実施形態に係るアクチュエータ20は、内部流路230が、ステム連結部226に形成された容器側流路部231と、ノズル部222に形成された吐出側流路部233とを備え、吐出側流路部233は、吐出口223側における流路断面積A3が、容器側流路部231の流路断面積A1よりも小さいという構成を有している。このような構成を備えるアクチュエータ20によれば、吐出口223近傍における液体の貯留量を相対的に少なくすることが可能となるため、バックサクション機能が発現した際の液体の液戻り距離(内部流路230内に吸引される距離)を大きくすることが可能となり、アフタードローをより確実に防止することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、上述したアクチュエータ20と、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器10との双方を備えることにより、アフタードローが生じやすいエアゾール容器10であっても、効果的にアフタードローを防止することができる。すなわち、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1のように、圧縮ガス等の噴射剤を用いるエアゾール容器の場合には、内袋104を介して液体に溶け込んだ噴射剤がノズル部222内で膨張し、吐出口223から液だれ(アフタードロー)が発生しやすくなるという、従来のポンプ式容器には無い新たな課題が生じるおそれがあるが、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1によれば、このようなアフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。なお、このような利点は、噴射剤として液化ガスを用いる場合においても、同様である。
【0088】
また、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1によれば、使用者の所望の液量に達するまで連続的に液体を吐出させることができ、ポンプ式容器のように何度も押圧操作(指圧操作)を繰り返す必要が無いため、連続吐出時の操作性に優れるという利点がある。
【0089】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態を例示して説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0090】
例えば、上述した実施形態では、エアゾール容器10へのアクチュエータ20の装着を簡易に実現するために連結部材30が設けられるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、マウンテンカップ106の環状突出部106aに嵌合可能な環状溝をアクチュエータ20の基台210に形成することにより、連結部材30を介在させることなく、エアゾール容器10にアクチュエータ20が直接装着される構成としても良い。
【0091】
また、上述した実施形態では、液体を収容する容器がエアゾール容器であるものとして説明したが、これに限定されず、ポンプ機構によって液体が吸い上げられて圧送されるポンプ容器であっても良い。
【0092】
さらに、上述した実施形態では、液吸引室243の全体が弾性部241により形成されるものとして説明したが、これに限定されず、液吸引室243の一部のみが弾性部241により形成される構成であっても良い。
【0093】
また、上述した実施形態では、バックサクション機構240の弾性部241を基台210の上面211aに直接接触させるものとして説明したが、これに限定されず、基台210の上面211aに支柱状の押圧体等を設け、該押圧体に弾性部241を押し付けることにより弾性部241を弾性変形させる構成としても良い。
【0094】
さらに、上述した実施形態では、アクチュエータ20が取手部250を備えるものとして説明したが、これに限定されず、取手部250を備えない構成としても良い。
【0095】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0096】
1 :エアゾール型吐出容器
10 :エアゾール容器
11 :ハウジング
20 :アクチュエータ(液体吐出用アクチュエータ)
30 :連結部材
100 :容器本体
102 :外郭部
104 :内袋
106 :マウンテンカップ
106a :環状突出部
110 :エアゾールバルブ
111 :ハウジング
111a :連通孔
112 :ステム部
112a :ステム孔
113 :ステム付勢部
114 :ガスケット
210 :基台
211a :上面
211b :周面
212 :内壁部
213 :螺合部
214 :外壁部
215 :挿通孔
216 :幅方向ガイド部
217 :後方ガイド部
220 :可動ノズル部材
222 :ノズル部
223 :吐出口
226 :ステム連結部
227 :側方板部
228 :後方板部
229 :係止爪
230 :内部流路
231 :容器側流路部
233 :吐出側流路部
240 :バックサクション機構
241 :弾性部
242 :誘導部
243 :液吸引室
244 :吸引口
250 :取手部
252 :後方延出領域
254 :下方延出領域
256 :指掛け領域
260 :回動部
261 :押圧部
262 :誘導部
263 :接続部
264 :回動規制フック
266 :当接部
310 :環状溝
311 :位置決め部
320 :螺合部
330 :貫通孔
340 :スカート部