(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132889
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20230914BHJP
G07D 11/20 20190101ALI20230914BHJP
【FI】
G07D11/10
G07D11/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038462
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】今泉 浩
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA04
3E141DA06
3E141FG11
3E141HA09
3E141JA20
3E141LA23
3E141LA59
(57)【要約】
【課題】正常な貨幣と異常とする貨幣との切り分けを間違えにくくして、取り扱いを容易とした貨幣処理装置を提供する。
【解決手段】入金口21の貨幣を送り出す送出部31と、送出部31からの貨幣を受け入れて搬送する搬送路32と、搬送路32に設けられて貨幣を識別する識別部33と、送出部31と搬送路32とを駆動制御する制御部11とを備え、制御部11は、貨幣の入金計数時、搬送路32上には、搬送される貨幣が一枚となるように、送出部31と搬送路32とを駆動制御するとともに、貨幣の補充計数時、搬送路32上には、搬送される貨幣が一枚以上となるように、送出部31と搬送路32とを駆動制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金口の貨幣を送り出す送出部と、
前記送出部からの貨幣を受け入れて搬送する搬送路と、
前記搬送路に設けられて貨幣を識別する識別部と、
前記送出部と前記搬送路とを駆動制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
貨幣の入金計数時、前記搬送路上には、搬送される貨幣が一枚となるように、前記送出部と前記搬送路とを駆動制御するとともに、
貨幣の補充計数時、前記搬送路上には、搬送される貨幣が一枚以上となるように、前記送出部と前記搬送路とを駆動制御することを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
さらに、表示部を備え、
制御部11は、貨幣の入金計数時、異常発生による搬送停止時に、前記搬送路上にある貨幣が、装置管理の貨幣であるか否かを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
さらに、入力部を備え、
貨幣の補充計数時、補充計数する貨幣の総額を前記入力部により入力可能とすることを特徴とする請求項1または2記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
貨幣の補充計数時、前記識別部によって識別された金種別の枚数に基づいて、補充計数する貨幣の総額を加算可能とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
精査処理動作が可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、貨幣処理装置において、硬貨入金口の硬貨を、第一の入金搬送路によって一枚ずつ第二の入金搬送路に送り出すとともに、第二の入金搬送路に設けられた識別部により硬貨の真偽と金種とを識別し、真の硬貨を第二の入金搬送路の下流に送り込む装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第二の入金搬送路においては、識別部により、硬貨の真偽と金種とを識別するが、中には、何らかの異常によって、正常であるとの識別結果を出力できず、異常であることを示す識別異常の結果を出力することがある。また、識別に関わらずに、搬送中に搬送異常を判断することがある。
【0005】
この場合、特に、第二の入金搬送路に複数の硬貨が連続的に導かれて搬送され識別されているとき、言い換えれば、第二の入金搬送路に複数の硬貨が存在しているときにあっては、いずれの硬貨までが正常であると識別されたものであるか、または、いずれの硬貨が異常であると識別されたものであるかを正確に把握できない状態になることがある。
【0006】
このような状態のまま、一方の硬貨を正常に識別されたものとして、第二の入金搬送の下流に向けて搬送させて収納部に収納させ、他方の硬貨を正常に識別できなかったものとして、第二の入金搬送路の上流側、平たく言えば、硬貨入金口に戻すことになるが、正常な硬貨と異常とする硬貨の切り分けを間違えてしまうと、入金硬貨の金額に誤りが生じてしまうという課題が存在する。
【0007】
このような課題は、紙幣を処理する紙幣処理機においても生じ得る課題である。
【0008】
したがって、本発明は、正常な貨幣と異常とする貨幣との切り分けを間違えにくくして、取り扱いを容易とした貨幣処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、入金口の貨幣を送り出す送出部と、前記送出部からの貨幣を受け入れて搬送する搬送路と、前記搬送路に設けられて貨幣を識別する識別部と、前記送出部と前記搬送路とを駆動制御する制御部とを備え、前記制御部は、貨幣の入金計数時、前記搬送路上には、搬送される貨幣が一枚となるように、前記送出部と前記搬送路とを駆動制御するとともに、貨幣の補充計数時、前記搬送路上には、搬送される貨幣が一枚以上となるように、前記送出部と前記搬送路とを駆動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様によれば、正常な貨幣と異常とする貨幣との切り分けを間違えにくくして、取り扱いを容易とした貨幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理装置の内部構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理装置の内部構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る貨幣処理装置の内部構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態の貨幣処理装置を
図1及び
図2を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において、「前」は前後方向の前側つまり操作者から見て手前側であり、「後」は前後方向の後側つまり操作者から見て奥側であり、「左」は操作者から見て左側であり、「右」は操作者から見て右側である。
【0013】
図1及び
図2に示す第1実施形態の貨幣処理装置10は、貨幣である硬貨の入出金処理を含む各種処理を行う硬貨処理装置である。貨幣処理装置10は、
図1に示す概略構成となっている。貨幣処理装置10は、その全体を制御する制御部11と、操作者による操作入力が入力されると共に操作者に対して表示を行う操作表示部12(表示部,入力部)とを有している。
【0014】
貨幣処理装置10には、その前部に、入金処理時に装置外からバラ硬貨(以下、硬貨と称す)が投入される上方開口の硬貨入金口21(入金口)が設けられている。硬貨入金口21は、複数金種が混在する金種混合状態で硬貨が装置外から一括投入可能となっている。硬貨入金口21は、このように投入された硬貨を貯留しつつ一枚ずつ分離して装置内に繰り出す。
【0015】
また、貨幣処理装置10には、その前端部に、硬貨入金口21に投入されたものの受け入れ不可と識別された受入不可硬貨を装置外に取り出し可能に貯留する硬貨リジェクト口22と、硬貨の出金処理時に装置内から放出される出金硬貨を受け取って装置外に取り出し可能に貯留する硬貨出金口23とが設けられている。硬貨リジェクト口22と硬貨出金口23とは、前方に突出しており、上方開口の受け皿状をなしている。
【0016】
貨幣処理装置10には、硬貨入金口21に入れられた硬貨を一枚ずつ分離して左方に搬送しつつ送り出す入金送出部31(送出部)と、入金送出部31で送り出された硬貨を受け入れて後方に向けて搬送する振分搬送路32(搬送路)と、振分搬送路32に設けられ、振分搬送路32で後方に向けて搬送される硬貨を識別する硬貨識別部33(識別部)とが設けられている。言い換えれば、入金送出部31は、硬貨入金口21の硬貨を一枚ずつ振分搬送路32に送り出す。振分搬送路32は、入金送出部31から送り出された硬貨を受け入れて更に搬送する。硬貨識別部33は、振分搬送路32に設けられて硬貨を識別する。
【0017】
ここで、硬貨識別部33で受け入れ不可と識別された受入不可硬貨は、振分搬送路32のスイッチバックによる逆転搬送で前方に搬送される。貨幣処理装置10には、硬貨識別部33よりも前側に振分搬送路32から硬貨を落下させる開閉可能なリジェクト振分ゲート36が設けられている。リジェクト振分ゲート36は、閉状態では振分搬送路32から硬貨を落下させることはなく、開作動すると、振分搬送路32の逆転搬送で前方に向けて搬送される受入不可硬貨を振分搬送路32から落下させる。貨幣処理装置10には、リジェクト振分ゲート36で振分搬送路32から落下させられた硬貨を硬貨リジェクト口22に案内するリジェクトシュータ37が設けられている。
【0018】
貨幣処理装置10には、硬貨識別部33よりも後方に、それぞれが所定の単一金種の硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す複数の金種別のスタッカ41a,41b,41c,41d,41e,41fが設けられている。金種別のスタッカ41a~41fは、それぞれが左右方向に長い形状をなしており、左右方向の位置を合わせて前後方向に並んで配置されている。例えば、最も前側のスタッカ41aには1円硬貨が、前側から二番目のスタッカ41bには5円硬貨が、前側から三番目のスタッカ41cには10円硬貨が、前側から四番目のスタッカ41dには50円硬貨が、前側から五番目のスタッカ41eには100円硬貨が、最も後側のスタッカ41fには500円硬貨が、それぞれ収納される。これは一例であり、スタッカ41a~41fは、それぞれに単一金種の硬貨を収納するようにすれば、いずれの金種を収納するように設定することも勿論可能である。
【0019】
振分搬送路32は、すべてのスタッカ41a~41fを前後方向に結ぶように延在しており、貨幣処理装置10には、硬貨識別部33よりも後方側に、振分搬送路32から硬貨を落下させる開閉可能な複数の金種振分ゲート42a,42b,42c,42d,42e,42fが設けられている。金種振分ゲート42a~42fは、いずれも、閉状態では振分搬送路32から硬貨を落下させることはなく、開作動時に振分搬送路32から硬貨を落下させる。金種振分ゲート42a~42fは、硬貨識別部33の識別結果に基づいて対応する金種の硬貨をスタッカ41a~41fの対応する金種のものに落下させる。なお、金種振分ゲート42fについては必ずしも必要ではなく、常に硬貨が落下しうるように開口していても良い。
【0020】
つまり、金種振分ゲート42a~42fのうち最も前側の金種振分ゲート42aは、開作動時に、スタッカ41a~41fのうち最も前側のスタッカ41aに振分搬送路32から硬貨を落下させることになる。同様に、前から二番目の金種振分ゲート42bが前から二番目のスタッカ41bに、前から三番目の金種振分ゲート42cが前から三番目のスタッカ41cに、前から四番目の金種振分ゲート42dが前から四番目のスタッカ41dに、前から五番目の金種振分ゲート42eが前から五番目のスタッカ41eに、最も後側の金種振分ゲート42fが最も後側のスタッカ41fに、それぞれ開作動時に振分搬送路32から硬貨を落下させる。
【0021】
スタッカ41a~41fは、それぞれが収納している硬貨を一枚ずつに分離して右方に繰り出すことになり、貨幣処理装置10には、スタッカ41a~41fの右方に、スタッカ41a~41fから繰り出された硬貨を前方に搬送する中間搬送路46が設けられている。この中間搬送路46は、前後方向に長く硬貨入金口21に向けて硬貨を搬送可能となっており、スタッカ41a~41fのそれぞれに対して直交する方向に延在している。貨幣処理装置10には、中間搬送路46から硬貨を落下させる開閉可能な出金口振分ゲート47が、硬貨入金口21とスタッカ41aとの間に設けられている。出金口振分ゲート47は、閉状態では中間搬送路46から硬貨を落下させることはなく、開作動時に中間搬送路46から硬貨を落下させる。貨幣処理装置10には、出金口振分ゲート47の下方に、出金口振分ゲート47で中間搬送路46から落下させられた硬貨を硬貨出金口23に搬送する出金搬送路48が設けられている。
【0022】
貨幣処理装置10には、スタッカ41aよりも前方に、硬貨を収納すると共に、収納している硬貨を繰り出す予備収納庫51が設けられている。予備収納庫51は、前後方向に長い形状をなしており、中間搬送路46の左側に、これと平行に並んで設けられている。予備収納庫51は、スタッカ41a~41fのそれぞれに対して直交する方向に延在している。
【0023】
貨幣処理装置10には、硬貨入金口21と出金口振分ゲート47との間に、中間搬送路46から硬貨を落下させる開閉可能な予備振分ゲート52が設けられている。予備振分ゲート52は、閉状態では中間搬送路46から硬貨を落下させることはなく、開作動時に中間搬送路46から硬貨を落下させる。中間搬送路46は、予備振分ゲート52から落下しなかった硬貨を末端から硬貨入金口21に落下させる。貨幣処理装置10には、予備振分ゲート52の下方に、予備振分ゲート52で中間搬送路46から落下させられた硬貨を予備収納庫51に案内する予備収納庫シュータ53が設けられている。
【0024】
予備収納庫51は、収納している硬貨を一枚ずつに分離して後方に繰り出すことになり、貨幣処理装置10には、予備収納庫51とスタッカ41aとの間に、予備収納庫51から繰り出された硬貨を左右に振り分けて搬送する振分搬送部56が設けられている。この振分搬送部56は、左右方向に長く、予備収納庫51と直交し、スタッカ41a~41fのそれぞれに対して平行する方向に延在している。振分搬送部56は、予備収納庫51から繰り出された硬貨を右方に搬送して中間搬送路46のスタッカ41aと出金口振分ゲート47との間位置に繰り出す。この振分搬送部56の左方には、下方に開口する繰出口57が設けられており、振分搬送部56は、予備収納庫51から繰り出された硬貨を左方に搬送して繰出口57に落下させる。このように振分搬送部56が繰出口57に落下させられた硬貨は、下部収納庫58に収納される。
【0025】
図2に示すように、入金送出部31は、硬貨入金口21の鉛直下方から左方に延出する無端のベルトコンベア61と、硬貨入金口21よりも左側においてベルトコンベア61の上側に配置され、ベルトコンベア61の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させる分離ローラ62とを有している。入金送出部31は、硬貨入金口21に投入された硬貨を、回転するベルトコンベア61によって左方に送り、途中位置に設けられた分離ローラ62で一枚ずつに分離して更に左方に搬送する。
【0026】
入金送出部31は、分離ローラ62で一枚ずつに分離されてベルトコンベア61で左方に搬送されてきた硬貨を更に搬送する通路63及び搬送ベルト64を有している。通路63及び搬送ベルト64は、左右方向に延在しており、ベルトコンベア61から通路63上に送り出された硬貨を搬送ベルト64が上側から通路63に押し付けて更に左方に搬送する。
【0027】
入金送出部31は、そのベルトコンベア61及び搬送ベルト64を正逆駆動する第1駆動部65を有している。第1駆動部65は、制御部11により駆動が制御される。また、入金送出部31は、その通路63の末端位置に、振分搬送路32へ送り出す硬貨を検知する硬貨センサ66を有している。制御部11は、硬貨センサ66の出力に基づいて第1駆動部65を制御することにより、入金送出部31から振分搬送路32に硬貨を一枚ずつ間隔をあけて送り出す。
【0028】
振分搬送路32は、入金送出部31の通路63及び搬送ベルト64で搬送されてきた硬貨を更に搬送する通路71及び搬送ベルト72を有している。通路71及び搬送ベルト72は、前後方向に延在しており、入金送出部31から通路71上に送り出された硬貨を搬送ベルト72が上側から通路71に押し付けて後方に搬送する。
【0029】
振分搬送路32は、その搬送ベルト72を正逆駆動する第2駆動部73を有している。第2駆動部73は、制御部11により駆動が制御される。第2駆動部73は、第1駆動部65とは独立して制御部11によって制御される。すなわち、入金送出部31と振分搬送路32とは制御部11によって駆動が個別に制御される。
【0030】
硬貨識別部33は、通路71の一部を構成するように設けられており、搬送ベルト72で搬送されて通過する硬貨をその画像や材質から識別する。硬貨識別部33は、硬貨が受け入れ可能な受入可能硬貨であるか、受け入れ不可な受入不可硬貨であるかを識別し、受入可能硬貨については金種を識別して計数する。
【0031】
リジェクト振分ゲート36は、振分搬送路32における入金送出部31と硬貨識別部33との間位置に配置されており、非駆動の閉状態では通路71の一部を構成する。リジェクト振分ゲート36は、駆動された開状態ではその硬貨識別部33側が通路71よりも上側に位置するように回動し、この状態で搬送ベルト72によって硬貨識別部33側から通路71上を移動させられてくる硬貨を落下させる。リジェクト振分ゲート36で振分搬送路32から落下させられた硬貨は、リジェクトシュータ37を介して硬貨リジェクト口22に放出される。
【0032】
振分搬送路32の通路71におけるリジェクト振分ゲート36よりも入金送出部31側には、硬貨の有無を検知することにより硬貨の通過を検知する硬貨センサ74が設けられている。
【0033】
金種振分ゲート42a~42fは、振分搬送路32における硬貨識別部33に対して入金送出部31とは反対側に直列状に配置されており、いずれも非駆動の閉状態では通路71の一部を構成する。金種振分ゲート42a~42fは、いずれも駆動された開状態ではそれぞれの硬貨識別部33側が通路71よりも上側に位置するように回動し、この状態で搬送ベルト72により硬貨識別部33側から通路71上を移動させられてくる硬貨を落下させる。金種振分ゲート42a~42fで振分搬送路32から落下させられた硬貨は、スタッカ41a~41fの対応するものに収納される。ここで、制御部11は、硬貨識別部33の識別結果等に基づいて、各スタッカ41a~41fの硬貨の入金量を把握する。
【0034】
振分搬送路32における金種振分ゲート42a~42fのそれぞれよりも入金送出部31側には、それぞれの位置で硬貨の有無を検知することにより硬貨の通過を検知する硬貨センサ75a,75b,75c,75d,75e,75fが設けられている。すなわち、振分搬送路32には、金種振分ゲート42aと硬貨識別部33との間における金種振分ゲート42aの近傍位置に硬貨センサ75aが、金種振分ゲート42a,42b間における金種振分ゲート42bの近傍位置に硬貨センサ75bが、金種振分ゲート42b,42c間における金種振分ゲート42cの近傍位置に硬貨センサ75cが、金種振分ゲート42c,42d間における金種振分ゲート42dの近傍位置に硬貨センサ75dが、金種振分ゲート42d,42e間における金種振分ゲート42eの近傍位置に硬貨センサ75eが、金種振分ゲート42e,42f間における金種振分ゲート42fの近傍位置に硬貨センサ75fが、それぞれ設けられている。
【0035】
スタッカ41a~41fは、それぞれ、壁部81と、壁部81の下側に配置されて左右に延在する無端のベルトコンベア82と、ベルトコンベア82の上側に配置された分離ローラ83とを有している。スタッカ41a~41fは、それぞれ、壁部81内の分離ローラ83よりも左方のベルトコンベア82上に金種振分ゲート42a~42fの対応するものから落下する硬貨を収納することになり、ベルトコンベア82は、収納している硬貨を右方に搬送する。分離ローラ83は、ベルトコンベア82の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させることにより、ベルトコンベア82上の硬貨を一枚ずつに分離する。ベルトコンベア82は、分離ローラ83で一枚ずつに分離された硬貨を更に右方に搬送する。スタッカ41a~41fは、それぞれ、ベルトコンベア82の右端位置に、ベルトコンベア82及び分離ローラ83で一枚ずつに分離されて搬送される硬貨を識別及び計数しつつ一枚ずつ中間搬送路46に繰り出す繰出機構84を有している。ここで、制御部11は、上記のように各スタッカ41a~41fへの硬貨の入金量を把握しており、これと繰出機構84の計数値とから、各スタッカ41a~41fに収納されている硬貨の収納量を把握する。
【0036】
スタッカ41a~41fの右側には、前後方向に延在する無端のベルトコンベア91が設けられている。このベルトコンベア91は、スタッカ41a~41fに近い部分が中間搬送路46を構成する中間搬送路構成部92となっており、スタッカ41a~41fから遠い部分が出金搬送路48を構成している。ベルトコンベア91は、前部の上面が後部の上面よりも下側に位置するように段差状をなしている。ベルトコンベア91は、後部が中間搬送路構成部92を構成しており、中間搬送路構成部92の前端部から、中間搬送路構成部92よりも下側に配置されて前方に延出する部分が出金搬送路48となっている。
【0037】
ベルトコンベア91の中間搬送路構成部92の上側には、スタッカ41a~41fよりも前側に分離ローラ93が配置されている。分離ローラ93は、中間搬送路構成部92の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させることにより、中間搬送路構成部92上の硬貨を一枚ずつに分離して前方に繰り出させる。
【0038】
ベルトコンベア91の中間搬送路構成部92よりも前方には、分離ローラ93で一枚ずつに分離されて中間搬送路構成部92で前方に搬送されてきた硬貨を更に前方に搬送する通路95及び搬送ベルト96が設けられている。通路95及び搬送ベルト96は、中間搬送路46を構成している。通路95及び搬送ベルト96は、中間搬送路構成部92から通路95上に送り出された硬貨を搬送ベルト96が上側から通路95に押し付けて更に前方に搬送する。
【0039】
通路95に出金口振分ゲート47が設けられている。出金口振分ゲート47は、非駆動の閉状態では通路95の一部を構成している。出金口振分ゲート47は、開状態ではその中間搬送路構成部92側が通路95よりも上側に位置するように回動し、この状態で中間搬送路構成部92により通路95側に搬送される硬貨を落下させる。出金口振分ゲート47で中間搬送路46から落下させられた硬貨は、ベルトコンベア91の出金搬送路48上に落下する。
【0040】
予備振分ゲート52は、通路95の出金口振分ゲート47よりも中間搬送路構成部92とは反対側に設けられており、非駆動の閉状態では通路95の一部を構成している。予備振分ゲート52は、開状態ではその中間搬送路構成部92側が通路95よりも上側に位置するように回動し、この状態で搬送ベルト96により通路95上を移動させられてくる硬貨を落下させる。予備振分ゲート52で通路95から落下させられた硬貨は、予備収納庫シュータ53を介して予備収納庫51に落下する。
【0041】
通路95及び搬送ベルト96は、出金口振分ゲート47及び予備振分ゲート52のいずれでも落下させなかった硬貨を末端位置から硬貨入金口21を介して入金送出部31のベルトコンベア61上に落下させる。
【0042】
ベルトコンベア91の出金搬送路48は、硬貨を前方に搬送し、末端位置から硬貨出金口23に放出する。すなわち、出金搬送路48は、出金口振分ゲート47で中間搬送路46から落下させられた硬貨を硬貨出金口23に搬送する。
【0043】
予備収納庫51は、壁部101と、壁部101の下部に配置されて前後方向に延在する無端のベルトコンベア102とを有している。ベルトコンベア102は、その後側の部分が鉛直に近い角度で後ろ上がりに立ち上がっており、図示略の係止片で硬貨を一枚ずつ持ち上げて振分搬送部56に繰り出す。これにより、予備収納庫51は、硬貨を一枚ずつに分離して振分搬送部56に繰り出す。
【0044】
振分搬送部56は、左右方向に延在するベルトコンベア105と、その上側の分離ローラ106と、ベルトコンベア105と繰出口57とを結ぶように延在する通路107と、通路107上で左右方向に延在する無端の搬送ベルト108とを有している。ベルトコンベア105は、通路107とベルトコンベア91の中間搬送路構成部92とを結ぶように設けられており、予備収納庫51よりも通路107側に分離ローラ106が設けられている。分離ローラ106は、ベルトコンベア105の通路107側への搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させることにより、ベルトコンベア105上の硬貨を一枚ずつに分離することになり、ベルトコンベア105は、分離ローラ106で一枚ずつに分離された硬貨を通路107側に搬送する。ベルトコンベア105の他端側は、ベルトコンベア91の中間搬送路構成部92のスタッカ41aと分離ローラ93との間位置に硬貨を繰り出すようになっている。通路107には、搬送ベルト108で繰出口57側に搬送される硬貨の金種を識別しつつ計数する繰出識別部109が設けられている。ここで、制御部11は、繰出識別部109の計数結果から、繰出口57に落下する硬貨の在高を把握する。
【0045】
次に、第1実施形態の貨幣処理装置10の各種処理について説明する。
なお、リジェクト振分ゲート36、金種振分ゲート42a~42f、出金口振分ゲート47及び予備振分ゲート52は、いずれも閉状態が待機状態となっている。
【0046】
「入金処理」
操作表示部12に入金処理の選択操作が入力されて、硬貨入金口21に硬貨が投入されると、制御部11は、入金処理を開始する。すなわち、制御部11は、第1駆動部65を正転駆動すると共に、第2駆動部73を正転駆動する。これにより、硬貨入金口21の硬貨を入金送出部31のベルトコンベア61及び分離ローラ62で一枚ずつに分離し、入金送出部31の搬送ベルト64で通路63から振分搬送路32に送り出させる。一枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させて、入金送出部31から振分搬送路32への硬貨の送り出しを停止させる。
【0047】
このように、入金送出部31から振分搬送路32に送り出された一枚目の硬貨を、振分搬送路32が、通路71及び正転する搬送ベルト72で入金送出部31から離れる後方に搬送する。このように振分搬送路32で搬送される一枚目の硬貨は、まず、硬貨センサ74で通過が検知された後、閉状態のリジェクト振分ゲート36を越えて硬貨識別部33まで移動し、硬貨識別部33で識別される。硬貨識別部33では、この一枚目の硬貨の受け入れの可不可を識別し、受入可能硬貨については金種も識別して計数する。
【0048】
制御部11は、この識別結果から、この一枚目の硬貨が金種異常等の受入不可硬貨であった場合、第2駆動部73を逆転駆動して搬送ベルト72を逆転させると共に、リジェクト振分ゲート36を開作動させる。すると、この一枚目の硬貨は、リジェクト振分ゲート36から落下する。制御部11は、この一枚目の硬貨が、リジェクト振分ゲート36から落下するのに必要な所定時間が経過すると、リジェクト振分ゲート36を閉作動させると共に、第2駆動部73を正転駆動する。それと共に、制御部11は、第1駆動部65を正転駆動して、次の二枚目の硬貨を、入金送出部31から振分搬送路32に送り出させる。その際にも、二枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させて、入金送出部31から振分搬送路32への硬貨の送り出しを停止させる。
【0049】
ここで、上記のようにリジェクト振分ゲート36から落下した硬貨は、リジェクトシュータ37を介して硬貨リジェクト口22に放出される。これにより、受入不可硬貨が硬貨リジェクト口22に収容され、操作者は、この受入不可硬貨を硬貨リジェクト口22から取り出して、硬貨入金口21に再投入したり、顧客に返却したりする。
【0050】
他方、制御部11は、硬貨識別部33の識別結果から、一枚目の硬貨が受入可能硬貨であった場合、そのまま振分搬送路32で入金送出部31とは反対側に移動させる。硬貨識別部33の識別結果から、この一枚目の硬貨が、例えば、スタッカ41aに収納すべき金種の硬貨、すなわち1円硬貨であった場合、制御部11は、この一枚目の硬貨が、金種振分ゲート42aの直前の硬貨センサ75aで検知が開始されたタイミングで、金種振分ゲート42aを開作動させる。すると、振分搬送路32の搬送によって、この一枚目の硬貨が金種振分ゲート42aから落下し、スタッカ41aに収納される。制御部11は、この一枚目の硬貨が、硬貨センサ75aによる検知終了後、すなわち硬貨センサ75aを通過後、所定時間経過しても、硬貨センサ75bで検知されなければ、金種振分ゲート42aから落下して正常にスタッカ41aに収納されたと判定し、金種振分ゲート42aを閉状態とすると共に、この一枚目の硬貨を装置管理の硬貨として、今回の入金処理において装置管理となった1円硬貨の計数値を一枚分加算する。
【0051】
その後、制御部11は、第1駆動部65を駆動して、次の二枚目の硬貨を、入金送出部31から、引き続き正転中の振分搬送路32に送り出させる。その際にも、二枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させて、入金送出部31から振分搬送路32への硬貨の送り出しを停止させる。
【0052】
また、硬貨識別部33の識別結果から、一枚目の硬貨が、スタッカ41bに収納すべき金種の硬貨、すなわち5円硬貨であった場合、制御部11は、この一枚目の硬貨が、金種振分ゲート42bの直前の硬貨センサ75bで検知が開始されたタイミングで、金種振分ゲート42bを開作動させる。すると、振分搬送路32の搬送によって、この一枚目の硬貨が金種振分ゲート42bから落下し、スタッカ41bに収納される。制御部11は、硬貨センサ75bがこの一枚目の硬貨の通過を検知した後、所定時間経過しても、硬貨センサ75cで硬貨が検知されなければ、金種振分ゲート42bを閉状態とすると共に、この一枚目の硬貨を装置管理の硬貨として、今回の入金処理において装置管理となった5円硬貨の計数値を一枚分加算する。
【0053】
その後、制御部11は、第1駆動部65を駆動して、次の二枚目の硬貨を、入金送出部31から、引き続き正転中の振分搬送路32に送り出させる。その際にも、二枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させる。
【0054】
また、硬貨識別部33の識別結果から、一枚目の硬貨が、スタッカ41cに収納すべき金種の硬貨、すなわち10円硬貨であった場合、制御部11は、この一枚目の硬貨が、金種振分ゲート42cの直前の硬貨センサ75cで検知が開始されたタイミングで、金種振分ゲート42cを開作動させる。すると、振分搬送路32の搬送によって、この一枚目の硬貨が金種振分ゲート42cから落下し、スタッカ41cに収納される。制御部11は、硬貨センサ75cがこの一枚目の硬貨の通過を検知した後、所定時間経過しても、硬貨センサ75dで硬貨が検知されなければ、金種振分ゲート42cを閉状態とすると共に、この一枚目の硬貨を装置管理の硬貨として、今回の入金処理において装置管理となった10円硬貨の計数値を一枚分加算する。
【0055】
その後、制御部11は、第1駆動部65を駆動して、次の二枚目の硬貨を、入金送出部31から、引き続き正転中の振分搬送路32に送り出させる。その際にも、二枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させる。
【0056】
また、硬貨識別部33の識別結果から、一枚目の硬貨が、スタッカ41dに収納すべき金種の硬貨、すなわち50円硬貨であった場合、制御部11は、この一枚目の硬貨が、金種振分ゲート42dの直前の硬貨センサ75dで検知が開始されたタイミングで、金種振分ゲート42dを開作動させる。すると、振分搬送路32の搬送によって、この一枚目の硬貨が金種振分ゲート42dから落下し、スタッカ41dに収納される。制御部11は、硬貨センサ75dがこの一枚目の硬貨の通過を検知した後、所定時間経過しても、硬貨センサ75eで硬貨が検知されなければ、金種振分ゲート42dを閉状態とすると共に、この一枚目の硬貨を装置管理の硬貨として、今回の入金処理において装置管理となった50円硬貨の計数値を一枚分加算する。
【0057】
その後、制御部11は、第1駆動部65を駆動して、次の二枚目の硬貨を、入金送出部31から、引き続き正転中の振分搬送路32に送り出させる。その際にも、二枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させる。
【0058】
また、硬貨識別部33の識別結果から、一枚目の硬貨が、スタッカ41eに収納すべき金種の硬貨、すなわち100円硬貨であった場合、制御部11は、この一枚目の硬貨が、金種振分ゲート42eの直前の硬貨センサ75eで検知が開始されたタイミングで、金種振分ゲート42eを開作動させる。すると、振分搬送路32の搬送によって、この一枚目の硬貨が金種振分ゲート42eから落下し、スタッカ41eに収納される。制御部11は、硬貨センサ75eがこの一枚目の硬貨の通過を検知した後、所定時間経過しても、硬貨センサ75fで硬貨が検知されなければ、金種振分ゲート42eを閉状態とすると共に、この一枚目の硬貨を装置管理の硬貨として、今回の入金処理において装置管理となった100円硬貨の計数値を一枚分加算する。
【0059】
その後、制御部11は、第1駆動部65を駆動して、次の二枚目の硬貨を、入金送出部31から、引き続き正転中の振分搬送路32に送り出させる。その際にも、二枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させる。
【0060】
また、硬貨識別部33の識別結果から、一枚目の硬貨が、スタッカ41fに収納すべき金種の硬貨、すなわち500円硬貨であった場合、制御部11は、この一枚目の硬貨が、金種振分ゲート42fの直前の硬貨センサ75fで検知が開始されたタイミングで、金種振分ゲート42fを開作動させる。すると、振分搬送路32の搬送によって、この一枚目の硬貨が金種振分ゲート42fから落下し、スタッカ41fに収納される。制御部11は、硬貨センサ75fがこの一枚目の硬貨の通過を検知してから所定時間経過すると、金種振分ゲート42fを閉状態とすると共に、この一枚目の硬貨を装置管理の硬貨として、今回の入金処理において装置管理となった500円硬貨の計数値を一枚分加算する。
【0061】
その後、制御部11は、第1駆動部65を駆動して、次の二枚目の硬貨を、入金送出部31から、引き続き正転中の振分搬送路32に送り出させる。その際にも、二枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させる。
【0062】
二枚目の硬貨についても、制御部11は、一枚目の硬貨と同様に、硬貨識別部33の識別結果に基づいて、受入不可硬貨であれば、リジェクト振分ゲート36で硬貨リジェクト口22に排出させ、受入可能硬貨であれば、金種振分ゲート42a~42fの対応するものでスタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納させる。制御部11は、二枚目の硬貨についても、リジェクト振分ゲート36から排除され、或いはスタッカ41a~41fの対応する金種のものに正常に収納されたと判定すると、次の三枚目の硬貨を、入金送出部31から振分搬送路32に送り出させる。その際にも、三枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知すると、制御部11は、一旦、第1駆動部65を停止させる。
【0063】
三枚目以降の硬貨についても、それぞれについて、二枚目の硬貨と同様に処理を行い、硬貨入金口21の硬貨が、すべて、硬貨リジェクト口22及びスタッカ41a~41fのいずれかに搬送されると、制御部11は、今回の入金処理において受け入れて装置管理とした硬貨の計数結果と、入金取消をするか、入金確定をするかの選択操作を促す表示とを操作表示部12に表示させる。
【0064】
上記した入金取消をするか、入金確定をするかの問いに対して、操作者が、承認操作入力である入金確定の選択操作を操作表示部12に入力すると、制御部11は、今回の入金処理で受け入れて装置管理とした硬貨の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の入金処理の前の硬貨の金種別の在り高にそれぞれ加算して硬貨の金種別の在り高を更新記憶すると共に、今回の入金処理で装置管理とした硬貨の総額を今回の入金処理の前の装置全体の硬貨の在り高に加算して装置全体の硬貨の在り高を更新記憶して、入金処理を終了する。
【0065】
以上のように、硬貨の入金処理での計数時(入金計数時)において、制御部11は、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚のみとなるように複数枚となることを制限して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。言い換えれば、硬貨の入金処理での計数時において、制御部11は、振分搬送路32上には、硬貨が一枚のみ存在するように、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。
【0066】
ここで、制御部11は、上述したように金種別の各スタッカ41a~41fに収納されている硬貨の収納量を把握しており、入金処理で新たに入金された硬貨によってスタッカ41a~41fのいずれかの収納量が、所定の適正上限量を超える場合、スタッカ41a~41fの適正上限量を超えるものから、繰出機構84によって適正上限量を超える分の硬貨を計数しつつ中間搬送路46に繰り出させて、入金処理後の収納量が適正上限量を超えないようにして、全てのスタッカ41a~41fの収納量を適正上限量以下に保つ。これにより、全てのスタッカ41a~41fの収納量を、多くても、収納量が適正上限量となるニアフル状態に保つようにする。
【0067】
このようにスタッカ41a~41fから中間搬送路46に硬貨を繰り出させる場合、制御部11は、出金口振分ゲート47を閉状態のまま、予備振分ゲート52を開状態として、中間搬送路46の中間搬送路構成部92及び搬送ベルト96で硬貨を予備振分ゲート52に向けて搬送する。すると、硬貨は、中間搬送路46の分離ローラ93で一枚ずつに分離された後、出金口振分ゲート47を越えて予備振分ゲート52の位置で中間搬送路46から落下して予備収納庫シュータ53を介して予備収納庫51に収納される。このとき、制御部11は、繰出機構84の計数値から予備収納庫51に収納された硬貨の金種別の入金量を把握している。
【0068】
ここで、上述したように、制御部11は、振分搬送部56で予備収納庫51から繰出口57に繰り出された硬貨の金種別の繰出量を繰出識別部109の識別結果から把握しており、この金種別の繰出量と、上記の予備収納庫51への硬貨の金種別の入金量とから予備収納庫51に収納されている硬貨の金種別の収納量を把握している。入金処理で予備収納庫51に入金された硬貨によって予備収納庫51の収納量が所定の適正上限量を超える場合、予備収納庫51からベルトコンベア102によって、硬貨を振分搬送部56に繰り出させて、振分搬送部56のベルトコンベア105及び搬送ベルト108によって、繰出口57に向けて搬送する。そして、繰出識別部109の計数結果に基づいて適正上限量を超える分の硬貨を繰出口57に落下させる。このようにして入金処理後の予備収納庫51の収納量が適正上限量を超えないようにして適正上限量以下に保つ。振分搬送部56から繰り出された硬貨は、繰出口57を介して下部収納庫58に収納される。その際に、制御部11は、振分搬送部56の繰出識別部109の識別結果から、下部収納庫58へ収納した硬貨の金種別の収納量を把握している。
【0069】
以上の入金処理において、制御部11は、硬貨識別部33及び硬貨センサ66,74,75a~75fを含む各種センサ類の検出結果から、異常の発生を監視している。
例えば、硬貨識別部33で金種異常となった金種異常硬貨を含む受入不可硬貨については、制御部11は、上記したように、振分搬送路32の逆転及びリジェクト振分ゲート36の開作動によって硬貨リジェクト口22に放出させる。
【0070】
また、例えば、下部収納庫58が満杯であって、予備収納庫51も満杯であり、この状態で、スタッカ41a~41fのうちの収納先が満杯である金種の硬貨を硬貨識別部33が検出した場合、制御部11は、この硬貨を、受入不可硬貨と同様に、振分搬送路32の逆転及びリジェクト振分ゲート36の開作動によって硬貨リジェクト口22に放出させる。
【0071】
これらの場合のように、異常硬貨を、振分搬送路32の逆転及びリジェクト振分ゲート36の開作動によって硬貨リジェクト口22に放出することができる場合、制御部11は、この異常硬貨を、硬貨リジェクト口22に放出させると共に、硬貨リジェクト口22に放出された硬貨が、装置管理の硬貨ではなく、顧客占有の硬貨であるとして、操作表示部12に表示させる。
【0072】
また、例えば、振分搬送路32で硬貨を搬送中であるにもかかわらず、硬貨識別部33及び硬貨センサ74,75a~75fのうちのいずれかのセンサ類が、同一硬貨を所定時間経過しても検知し続けているときは、制御部11は、振分搬送路32の、このセンサ類の位置で硬貨の搬送異常が発生していると判定する。この異常硬貨も、装置管理の硬貨とはなっておらず、顧客占有の硬貨である。
【0073】
また、例えば、振分搬送路32で硬貨を搬送中であるにもかかわらず、硬貨識別部33及び硬貨センサ66,74,75a~75fのうちのいずれか上流側のものが硬貨の通過を検知してから、所定時間経過しても、検出すべき下流側に隣り合うものが硬貨を検知しない場合、制御部11は、振分搬送路32における、これらの間で硬貨の搬送異常が発生していると判定する。この異常硬貨も、装置管理の硬貨とはなっておらず、顧客占有の硬貨である。
【0074】
他方、例えば、硬貨識別部33によりスタッカ41aへの収納硬貨と識別された硬貨の通過を硬貨センサ75aが検出した後、所定時間経過しても、硬貨センサ75bが硬貨を検出しなければ、制御部11は、この硬貨を装置管理の硬貨とすることになるが、この硬貨が金種振分ゲート42aに引っ掛かって詰まりスタッカ41aへ落下しない等の異常が発生することがある。この硬貨は、硬貨センサ75aを通過しているため、装置管理の硬貨となっている。
【0075】
この場合、金種振分ゲート42aに詰まった、この硬貨の次に入金送出部31から振分搬送路32に送り出された硬貨が、装置管理となる前に、この詰まった硬貨に当たって硬貨センサ75aの位置に停止して硬貨センサ75aに検知し続けられたり、或いは、詰まった硬貨で搬送ベルト72が持ち上げられる等して、入金送出部31から振分搬送路32へ送り出された後、所定時間経っても硬貨センサ74、硬貨識別部33及び硬貨センサ75aのうちの少なくとも下流側の硬貨センサ75aに検出されない搬送異常となる。これらの場合、制御部11は、振分搬送路32における硬貨センサ75aから上流側、すなわち入金送出部31側にある硬貨は、装置管理ではないと判定する。その場合、この硬貨を停止させた原因が、金種振分ゲート42aに詰まる等した硬貨センサ75aよりもスタッカ41a側にある装置管理の硬貨である可能性がある。他の金種振分ゲート42b~42fについても同様である。
【0076】
これらの場合のような硬貨の搬送異常が発生していると判定した場合、振分搬送路32の逆転及びリジェクト振分ゲート36の開作動によって硬貨を硬貨リジェクト口22に放出させて異常を解消することは難しい。このため、制御部11は、直ちに第2駆動部73を停止させる。すなわち、停止状態にあった入金送出部31に加えて、駆動状態にあった振分搬送路32を停止させる。
【0077】
それと共に、制御部11は、操作表示部12に、搬送異常が発生した旨と、搬送異常が発生している箇所と、振分搬送路32上で停止している残留硬貨が、装置管理の硬貨であるか否か、すなわち、搬送異常が検出された硬貨は、装置管理の硬貨ではなく顧客占有の硬貨であることと、この硬貨より下流側にあって金種振分ゲート42a~42fのいずれかに詰まる等している硬貨があればその硬貨は装置管理の硬貨である旨と、を表示させる。すると、操作者は、貨幣処理装置10を適宜開いて、振分搬送路32を露出させて、残留硬貨を取り除く。そして、操作表示部12の表示から、残留硬貨のいずれかが装置管理の硬貨である場合、操作者は、この硬貨をスタッカ41a~41fのうちの対応金種のものに投入して、貨幣処理装置10を閉じる。他方、操作表示部12の表示から、残留硬貨のいずれかが顧客占有の硬貨である場合には、貨幣処理装置10を閉じて、この硬貨を、硬貨入金口21に再投入して入金処理を再開させる等する。
【0078】
例えば、上記のように、硬貨識別部33の識別結果からスタッカ41aに収納すべきと識別された硬貨の停止を硬貨センサ75aが検出することによる搬送異常の場合、制御部11は、硬貨センサ75aの位置にある硬貨が装置管理ではないと判定する。その場合、この硬貨を停止させた原因が、金種振分ゲート42aに詰まる等した硬貨センサ75aよりもスタッカ41a側にある装置管理の硬貨である可能性がある。このため、制御部11は、スタッカ41aに収納すべき硬貨の停止を硬貨センサ75aが検出した場合、硬貨センサ75aの位置で硬貨停止の搬送異常が発生している旨と、硬貨センサ75aの位置で停止している硬貨が顧客占有の硬貨である旨と、金種振分ゲート42aに詰まる等して硬貨センサ75aの位置よりもスタッカ41a側に硬貨があれば、その硬貨はスタッカ41aに収納すべき装置管理の硬貨である旨とを、を表示させる。
【0079】
すると、操作者は、貨幣処理装置10を適宜開いて、振分搬送路32を露出させて、残留硬貨を取り除く。そして、操作表示部12の表示から、残留硬貨のうち装置管理の硬貨(硬貨センサ75aの位置よりもスタッカ41a側にあった硬貨)については、スタッカ41aに投入して、貨幣処理装置10を閉じる。他方、操作表示部12の表示から、残留硬貨のうち顧客占有の硬貨(硬貨センサ75aの位置から入金搬送路241側にあった硬貨)については、貨幣処理装置10を閉じて、硬貨入金口21に再投入して入金処理を再開させる等する。
【0080】
ここで、操作者が貨幣処理装置10を開いた際に、金種振分ゲート42aに詰まる等していた硬貨センサ75aを通過後の硬貨が金種振分ゲート42aからスタッカ41aに落下してしまう可能性がある。しかしながら、この硬貨は、装置管理の硬貨であるため、スタッカ41aに落下しても構わない。この場合、硬貨センサ75aの位置の硬貨のみが振分搬送路32に残るため、操作者は、この硬貨を取り除き、貨幣処理装置10を閉じて、硬貨入金口21に再投入して入金処理を再開させる等する。
【0081】
また、例えば、硬貨識別部33の識別結果からスタッカ41aに収納すべきと識別された硬貨の停止を硬貨センサ75aが検出した場合、この硬貨は、顧客占有の硬貨であるが、金種振分ゲート42aに詰まった状態で硬貨センサ75aに検出され続けている可能性もある。この場合も、制御部11は、上記と同様に、硬貨センサ75aの位置で硬貨停止の搬送異常が発生している旨と、硬貨センサ75aの位置で停止している硬貨が顧客占有の硬貨である旨と、金種振分ゲート42aに詰まる等して硬貨センサ75aの位置よりもスタッカ41a側に硬貨があれば、その硬貨はスタッカ41aに収納すべき装置管理の硬貨である旨と、を表示させる。このため、操作者は、貨幣処理装置10を適宜開いて、振分搬送路32を露出させて、硬貨センサ75aの位置にある硬貨を取り出し、貨幣処理装置10を閉じて、硬貨入金口21に再投入して入金処理を再開させる等する。
【0082】
ここでも、操作者が貨幣処理装置10を開いた際に、硬貨センサ75aの位置で停止していた硬貨が、金種振分ゲート42aからスタッカ41aに落下してしまう可能性がある。すると、硬貨センサ75aの位置で停止する硬貨が見当たらない状態となる。この場合、操作者は、操作表示部12の表示から、硬貨センサ75aの位置で停止しているはずの顧客占有の硬貨がスタッカ41aに落下してしまっていると判断して、スタッカ41aから一枚の硬貨を取り出し、貨幣処理装置10を閉じて、硬貨入金口21に再投入して入金処理を再開させる等する。
他のスタッカ41b~41fに収納すべき硬貨の搬送異常の場合も同様である。
【0083】
以上のように、硬貨の入金処理での計数時において、制御部11は、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚のみとなるように複数枚となることを制限して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。これにより、振分搬送路32上にある硬貨が、装置管理の硬貨であるか、顧客占有の硬貨であるかの切り分けが明確になって、切り分けを間違いにくくすることができる。
【0084】
また、制御部11は、異常発生による搬送停止時に、振分搬送路32上にある硬貨が、装置管理の硬貨であるか否かを操作表示部12に表示させる。このように、制御部11が、振分搬送路32上にある硬貨が、装置管理の硬貨であるか、顧客占有の硬貨であるかの切り分けを行って操作表示部12に表示させるため、切り分けが、より明確となって、切り分けの間違いを一層防止することができる。
【0085】
「入金返却処理」
入金処理における上記した入金取消をするか、入金確定をするかの問いに対して、操作者が、取り消し操作入力である入金取消の選択操作を操作表示部12に入力すると、制御部11は、出金口振分ゲート47を開状態にし、ベルトコンベア91及び搬送ベルト96を駆動状態にすると共に、スタッカ41a~41fのベルトコンベア82を駆動し、入金処理で入金された金額と同じ金額分の返却硬貨を、スタッカ41a~41fの対応するものから一枚ずつ繰出機構84で識別及び計数しつつ、ベルトコンベア91の中間搬送路構成部92上に繰り出させる。すると、中間搬送路構成部92及び搬送ベルト96が硬貨を出金口振分ゲート47に向けて搬送する。その途中、硬貨は、分離ローラ93で一枚ずつに分離された後、出金口振分ゲート47から、ベルトコンベア91の出金搬送路48上に落下する。すると、硬貨は、出金搬送路48上で図示略の分離ローラによって再び一枚ずつに分離された後、硬貨出金口23に放出される。
【0086】
スタッカ41a~41fのそれぞれから繰出機構84によって、入金された金額分の返却硬貨が識別及び計数されて繰り出されると、制御部11は、スタッカ41a~41fのそれぞれの繰出機構84による繰り出しを停止させる。そして、入金された金額分の全ての返却硬貨が、硬貨出金口23に放出されると、制御部11は、入金返却処理を終了することになり、操作者は、返却硬貨を硬貨出金口23から取り出すことになる。制御部11は、入金返却処理において、繰出機構84によって識別計数された入金金額分の硬貨を装置管理の硬貨から除外する。
【0087】
ここで、入金返却処理において、スタッカ41a~41fから繰り出す硬貨が、繰出機構84によって異金種硬貨であると判別される場合がある。例えば、1円硬貨用のスタッカ41aから繰り出す硬貨が、繰出機構84の識別によって1円硬貨以外の硬貨、例えば5円硬貨の場合がある。この異金種硬貨については、制御部11は、中間搬送路46での搬送中、出金口振分ゲート47に至る直前のタイミングで出金口振分ゲート47を閉状態とする。すると、硬貨は、出金口振分ゲート47及び予備振分ゲート52を越えて、中間搬送路46の末端位置である通路95の末端位置から落下して硬貨入金口21内に落下する。
【0088】
そして、制御部11は、硬貨入金口21内に落下した硬貨については、上記した入金処理とほぼ同様にして、スタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納させることになるが、その際に、制御部11は、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚以上となるように、言い換えれば、搬送される硬貨が複数枚になることを許容して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する(後述する既定数投入補充処理参照)。
【0089】
「出金処理」
操作表示部12に出金処理の選択入力がされて出金金額が入力されると、制御部11は、入金返却処理と同様の処理を行って、出金金額分の硬貨を、硬貨出金口23に放出させる。出金金額分の硬貨が硬貨出金口23に放出されると、制御部11は、出金処理を終了することになり、操作者は、出金硬貨を硬貨出金口23から取り出すことになる。出金処理において、スタッカ41a~41fから繰り出す硬貨が、繰出機構84によって異金種硬貨であると判定された場合も、制御部11は、入金返却処理と同様の処理を行って、スタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納させる。制御部11は、出金処理において、繰出機構84によって識別計数された出金金額分の硬貨を装置管理の硬貨から除外する。
【0090】
「既定数投入補充処理」
例えば、上記した出金処理後に、制御部11は、金種別のスタッカ41a~41fのいずれかの硬貨の収納量が、所定の適正下限量を下回る場合、つまり収納量が適正下限量であるニアエンド状態よりも少ない場合に、操作表示部12に、既定数投入補充処理、不定数投入補充処理及び内部補充処理のいずれかの実行を促す表示を表示させる。
【0091】
ここで、この既定数投入補充処理では、硬貨入金口21に、基本的に収納量がニアエンド状態よりも少ない金種の硬貨が既定量投入されることになるが、硬貨入金口21に一遍に、複数金種あるいは全金種が既定量ずつ投入される場合もある。
【0092】
操作表示部12に、既定数投入補充処理、不定数投入補充処理及び内部補充処理のいずれかの実行を促す表示を表示させた状態で、操作表示部12に既定数投入補充処理の選択操作が入力されて、既定数の硬貨が硬貨入金口21に投入されると、制御部11は、既定数投入補充処理を開始する。ここで、制御部11は、金種別のスタッカ41a~41fの収納量にかかわらず操作表示部12に既定数投入補充処理の実行操作が入力された場合も、既定数投入補充処理を行う。
【0093】
既定数投入補充処理では、制御部11は、硬貨入金口21に投入された硬貨を上記した入金処理とほぼ同様にしてスタッカ41a~41fに補充する。但し、その際に、制御部11は、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚以上となるように、言い換えれば、搬送される硬貨が複数枚になることを許容して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。この既定数投入補充処理(後述する不定数投入補充処理及び内部補充処理も同様)では、投入される補充用の硬貨は、店舗側の硬貨、すなわち自動的に装置管理の硬貨とすることができることから、装置管理の硬貨か否かを切り分ける必要がない。このため、既定数投入補充処理では、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚以上となるようにして、処理速度を上げる。
【0094】
既定数投入補充処理を開始すると、制御部11は、第1駆動部65を正転駆動すると共に、第2駆動部73を正転駆動する。これにより、硬貨入金口21の硬貨を入金送出部31のベルトコンベア61及び分離ローラ62で一枚分離し、入金送出部31の搬送ベルト64で振分搬送路32に送り出させる。この一枚目の硬貨が入金送出部31から振分搬送路32に送り出されたことを硬貨センサ66が検知しても、制御部11は、一枚目の硬貨に対して所定の間隔をあけて、二枚目の硬貨を、入金送出部31から振分搬送路32へ送り出させる。このようにして、入金送出部31から、一枚目、二枚目、三枚目、…、というように、硬貨が所定の間隔をあけて振分搬送路32に順次送り出されることになる。その結果、振分搬送路32上には、硬貨が一枚のみ存在する状態と、硬貨が一列状に複数枚存在する状態とが生じる。
【0095】
このように、入金送出部31から振分搬送路32に送り出された硬貨は、振分搬送路32が通路71及び搬送ベルト72で入金送出部31から離れる方向に搬送する。このように振分搬送路32で搬送される硬貨は、順次、硬貨センサ74で通過が検知された後、閉状態のリジェクト振分ゲート36を越えて硬貨識別部33まで移動し、硬貨識別部33で識別される。硬貨識別部33では、順次搬送されてくる硬貨の金種等をそれぞれ識別する。
【0096】
制御部11は、硬貨識別部33の識別結果から、金種異常の硬貨であった場合でも、入金処理と同様にして、この硬貨を、そのまま振分搬送路32で入金送出部31とは反対側に移動させる。制御部11は、このような金種異常の硬貨を、金種振分ゲート42a~42fのうちの予め設定された所定の一つで、スタッカ41a~41fのうちの、金種異常の硬貨を収納するように予め設定された所定の一つに収納させる(後述する不定数投入補充処理及び内部補充処理も同様)。
【0097】
すなわち、既定数投入補充処理では、店舗側で準備した硬貨が硬貨入金口21に投入されるため、基本的に、受け入れ不可な硬貨は硬貨入金口21に投入されない。このため、金種異常の硬貨があっても、硬貨識別部33の識別ミスであり、受け入れ不可な硬貨ではないと判断できるため、スタッカ41a~41fのうち、補充時に金種異常となった補充時金種異常の硬貨を収納する、予め設定された所定の一つに収納してしまうのである。なお、スタッカ41a~41fのうちの予め設定された所定の一つに、補充時金種異常の硬貨を収納するのではなく、補充時金種異常の硬貨を、スタッカ41a~41fのうち、補充時金種異常の硬貨の発生時点で収納量が最も少ないものに収納するようにしても良い(後述する不定数投入補充処理及び内部補充処理も同様)。この場合は、スタッカ41a~41fのうち複数のものに補充時金種異常の硬貨が収納される場合もある。
【0098】
他方、制御部11は、硬貨識別部33の識別結果から、正常に金種が識別された硬貨であった場合、この硬貨を、そのまま振分搬送路32で入金送出部31とは反対側に移動させて、硬貨識別部33の識別結果に基づいて、金種振分ゲート42a~42fの対応するもので選別してスタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納させる。その際も、制御部11は、それぞれ収納した硬貨を入金処理と同様に装置管理の硬貨と判定して金種別にカウントする。
【0099】
硬貨入金口21の硬貨が、すべて、スタッカ41a~41fのいずれかに搬送されると、制御部11は、今回の既定数投入補充処理において、補充時金種異常の硬貨がなければ、収納した硬貨の計数結果と、確認操作を促す表示とを操作表示部12に表示させる。操作者が、確認操作を操作表示部12に入力すると、制御部11は、今回の既定数投入補充処理で収納し装置管理とした硬貨の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の既定数投入補充処理の前の硬貨の金種別の在り高にそれぞれ加算して硬貨の金種別の在り高を更新記憶し、更に、今回の既定数投入補充処理で収納し装置管理とした硬貨の総額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の硬貨の在り高に加算して更新記憶して、既定数投入補充処理を終了する。
【0100】
他方、制御部11は、今回の既定数投入補充処理において、補充時金種異常の硬貨があれば、操作表示部12に、金種が確定し収納した硬貨の計数結果と、補充時金種異常の硬貨があった旨と、を表示させ、今回の既定数投入補充処理において収納した硬貨の総額の入力を促す表示を表示させる。これを見て、操作者が、操作表示部12に、今回の既定数投入補充処理において収納した硬貨の既定の総額を入力する。すると、制御部11は、今回の既定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった硬貨の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の既定数投入補充処理の前の硬貨の金種別の在り高にそれぞれ加算して金種別の硬貨の在り高を更新記憶する。それと共に、制御部11は、操作表示部12に入力された今回の既定数投入補充処理で収納し装置管理とした硬貨の既定の総額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の硬貨の在り高に加算して更新記憶すると共に、今回の既定数投入補充処理で収納した硬貨に補充時金種異常の硬貨があった旨を記憶して、既定数投入補充処理を終了する。
【0101】
この既定数投入補充処理(後述する不定数投入補充処理及び内部補充処理も同様)においても、制御部11は、補充される硬貨によってスタッカ41a~41fのいずれかの収納量が、所定の適正上限量を超える場合、適正上限量を超える分の硬貨を中間搬送路46によって予備収納庫51に収納して、全てのスタッカ41a~41fの収納量を適正上限量以下に保つ。また、予備収納庫51の収納量が、適正上限量を超える場合、予備収納庫51の硬貨を振分搬送部56によって下部収納庫に収納させて、予備収納庫51の収納量を適正上限量に保つ。これにより、スタッカ41a~41fの収納量から硬貨の補充量を厳密に検討しなくても済む。
【0102】
以上のように、硬貨の補充処理での計数時(補充計数時)において、制御部11は、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚以上となるように複数枚となることを許容して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。言い換えれば、硬貨の補充処理での計数時において、制御部11は、振分搬送路32上には、硬貨が複数枚同時に存在することを許容して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。貨幣処理装置10は、硬貨の補充処理での計数時(補充計数時)において、補充計数する硬貨の総額を操作表示部12により入力可能となっている。
【0103】
ここで、既定数投入補充処理によって補充計数する硬貨の既定の総額は、既定数投入補充処理の開始にあたって操作表示部12に入力させることも可能である。この場合も、制御部11は、補充時金種異常の硬貨があった場合に、この既定の総額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の硬貨の在り高に加算する。このようにすれば、既定数投入補充処理の開始にあたって操作表示部12に補充計数する硬貨の既定の総額が入力されなければ、既定数投入補充処理が実行されないことになるため、既定数投入補充処理で収納する硬貨の総額を把握していない状態での既定数投入補充処理の実行を防止することができる。
【0104】
また、既定数投入補充処理において補充計数する硬貨の総額は、定額とし、操作表示部12への入力は不要としても良い。この場合も、制御部11は、補充時金種異常の硬貨があれば、この定額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の硬貨の在り高に加算して更新記憶する。
【0105】
なお、定額と、既定値とのうちの一方を操作表示部12で選択可能としても良い。この場合、定額が選択されると制御部11は予め記憶されている定額を既定数投入補充処理での総額として用いることになり、既定値が選択されて操作表示部12に既定値が入力されると制御部11は、この既定値を既定数投入補充処理での総額として用いることになる。
【0106】
以上の既定数投入補充処理においても、制御部11は、硬貨識別部33及び硬貨センサ66,74,75a~75fを含む各種センサ類の検出結果から、硬貨の搬送異常の発生を監視している。そして、振分搬送路32で硬貨の搬送異常が発生していると判定した場合、制御部11は、直ちに第1駆動部65及び第2駆動部73の両方を停止させる。すなわち、入金送出部31及び振分搬送路32の両方を停止させる。
【0107】
それと共に、制御部11は、操作表示部12に、搬送異常が発生した旨と、搬送異常が発生している箇所と、振分搬送路32上にある全ての硬貨を硬貨入金口21に再投入するように促す表示と、を表示させる。すると、操作者は、貨幣処理装置10を適宜開いて、入金送出部31及び振分搬送路32を露出させて、搬送異常の硬貨を取り除く。その際に、振分搬送路32上にある全ての硬貨を取り除く。そして、操作者は、貨幣処理装置10を閉じて、搬送異常の硬貨を、硬貨入金口21に再投入して、既定数投入補充処理を再開させる。
【0108】
この場合でも、既定数投入補充処理後の装置全体の硬貨の在り高は上記のように決定できるものの、スタッカ41a~41fのそれぞれについては、それぞれの在り高が不正確になる可能性がある。このため、制御部11は、既定数投入補充処理後、スタッカ41a~41fのそれぞれの在り高が不正確な可能性がある状態である旨を記憶する。この状態は、適宜のタイミングで後述の精査処理が行われることによって解消されることになる。
【0109】
「不定数投入補充処理」
硬貨の補充処理での計数時(補充計数時)において、総額を把握していない状態の硬貨を硬貨入金口21に投入させる、不定数投入補充処理を行うことも可能である。操作表示部12に、既定数投入補充処理、不定数投入補充処理及び内部補充処理のいずれかの実行を促す表示を表示させた状態で、操作表示部12に不定数投入補充処理が選択入力されると、制御部11は、既定数投入補充処理とほぼ同様の不定数投入補充処理を行うことになる。ここで、制御部11は、金種別のスタッカ41a~41fの収納量にかかわらず、操作表示部12に不定数投入補充処理の実行操作が入力された場合も、不定数投入補充処理を行う。
【0110】
不定数投入補充処理の場合、補充時金種異常の硬貨がなければ、既定数投入補充処理と同様に、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった硬貨の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の不定数投入補充処理の前の硬貨の金種別の在り高にそれぞれ加算して硬貨の金種別の在り高を更新記憶する。それと共に、制御部11は、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった硬貨の総額を、今回の不定数投入補充処理の前の装置全体の硬貨の在り高に加算して更新記憶する。
【0111】
他方、不定数投入補充処理において、補充時金種異常の硬貨があれば、投入補充処理後の装置全体の硬貨の在り高は正確ではなくなる。このため、制御部11は、不定数投入補充処理において、補充時金種異常の硬貨があれば、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった硬貨の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の不定数投入補充処理の前の硬貨の金種別の在り高にそれぞれ加算して硬貨の金種別の在り高を更新記憶する。それと共に、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった硬貨の総額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の硬貨の在り高に加算して更新記憶する。加えて、制御部11は、スタッカ41a~41fのそれぞれの在り高が不正確な可能性がある状態にある旨と、装置全体の硬貨の在り高が不正確な可能性がある状態にある旨とを記憶する。これらの状態は、適宜のタイミングで後述の精査処理が行われることによって解消されることになる。
【0112】
以上の不定数投入補充処理において、貨幣処理装置10は、硬貨の不定数投入補充処理による計数時(補充計数時)、硬貨識別部33によって識別された金種別の枚数に基づいて、補充計数する硬貨の総額を、補充計数前の装置全体の硬貨の在り高に加算可能であり、加算することで、不定数投入補充処理後の仮の装置全体の硬貨の在り高とする。
【0113】
「内部補充処理」
制御部11が、操作表示部12に、既定数投入補充処理、不定数投入補充処理及び内部補充処理のいずれかの実行を促す表示を表示させた状態で、操作表示部12に、内部補充処理が選択入力されると、制御部11は、内部補充処理を行う。ここで、制御部11は、出金処理後にスタッカ41a~41fのいずれかの収納量が適正下限量を下回る場合に、予備収納庫51に硬貨が収納されていれば、自動的に内部補充処理を行うようにしても良い。すなわち、制御部11は、既定数投入補充処理及び不定数投入補充処理に対し、優先して内部補充処理を行うようにしても良い。また、制御部11は、金種別のスタッカ41a~41fの収納量にかかわらず、操作表示部12に内部補充処理の実行操作が入力された場合も、内部補充処理を実行する。
【0114】
内部補充処理では、制御部11が、予備収納庫51からベルトコンベア102によって、硬貨を振分搬送部56に繰り出させて、振分搬送部56のベルトコンベア105によって、ベルトコンベア91の中間搬送路構成部92に向けて搬送する。そして、出金口振分ゲート47及び予備振分ゲート52を閉状態のまま、中間搬送路構成部92及び搬送ベルト96で硬貨を硬貨入金口21に向けて搬送する。すると、硬貨は、出金口振分ゲート47及び予備振分ゲート52を越えて、中間搬送路46の末端位置である通路95の末端位置から落下して硬貨入金口21内に落下する。そして、制御部11は、硬貨入金口21内に落下した硬貨については、上記した入金処理とほぼ同様にして、スタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納させることになるが、その際に、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚以上となるように、言い換えれば、搬送される硬貨が複数枚になることを許容して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。
【0115】
そして、制御部11は、全てのスタッカ41a~41fの収納量が、適正下限量と適正上限量との間の所定の適正中間量以上になるか、適正下限量以上となってから所定時間が経過すると、予備収納庫51からの硬貨の繰り出しを停止させる。
【0116】
ここで、このように予備収納庫51からスタッカ41a~41fに硬貨を補充する内部補充処理時に、スタッカ41a~41fの補充が不要なものには、補充される硬貨によって収納量が、適正上限量を超える場合がある。このような場合、制御部11は、スタッカ41a~41fの適正上限量を超えるものから、繰出機構84によって適正上限量を超える分の硬貨を計数しつつ中間搬送路46に繰り出させて、入金処理後の収納量が適正上限量を超えないようにして全てのスタッカ41a~41fの収納量を適正上限量以下に保つ。スタッカ41a~41fの適正上限量を超えるものから繰り出された硬貨は、中間搬送路46で予備収納庫51から繰り出された硬貨と同様に搬送される。
【0117】
全てのスタッカ41a~41fの収納量が適正下限量と適正上限量との間の所定の適正中間量以上になるか、適正下限量以上となってから所定時間が経過するか、適正下限量以上とならずに所定時間が経過すると、制御部11は、予備収納庫51からの硬貨の繰り出しを停止させると共に、予備振分ゲート52を開き、振分搬送部56、中間搬送路46、入金送出部31、振分搬送路32上に硬貨がなくなると、内部補充処理を終了する。
【0118】
この内部補充処理においても、硬貨識別部33の識別結果から、補充時金種異常の硬貨があった場合、既定数投入補充処理及び不定数投入補充処理と同様に、スタッカ41a~41fのうちの、例えば、予め設定された所定の一つに収納させる。
【0119】
以上の内部補充処理においても、制御部11は、硬貨識別部33及び硬貨センサ66,74,75a~75fを含む各種センサ類の検出結果から、硬貨の搬送異常の発生を監視している。そして、入金送出部31及び振分搬送路32のいずれかで硬貨の搬送異常が発生していると判定した場合、制御部11は、直ちに第1駆動部65及び第2駆動部73の両方を停止させる。すなわち、入金送出部31及び振分搬送路32の両方を停止させる。
【0120】
それと共に、制御部11は、操作表示部12に、搬送異常が発生した旨と、搬送異常が発生している箇所と、振分搬送路32上にある全ての硬貨を硬貨入金口21に再投入するように促す表示と、を表示させる。すると、操作者は、貨幣処理装置10を適宜開いて、入金送出部31及び振分搬送路32を露出させて、搬送異常の硬貨を取り除く。そして、操作者は、貨幣処理装置10を閉じて、搬送異常の硬貨を、硬貨入金口21に再投入して、内部補充処理を再開させる。
【0121】
この場合、内部補充処理後の装置全体の硬貨の在り高に変化はないものの、スタッカ41a~41fのそれぞれについては、それぞれの在り高が不正確になる可能性がある。このため、制御部11は、内部補充処理後、スタッカ41a~41fのそれぞれの在り高が不正確な可能性がある状態である旨を記憶する。この状態は、適宜のタイミングで後述の精査処理が行われることによって解消されることになる。
【0122】
「精査処理」
制御部11は、操作表示部12への入力で、貨幣処理装置10の装置全体の硬貨の在り高が不確定な状態にあるか否か、スタッカ41a~41fのうち、補充時金種異常の硬貨を収納している所定のものについて、在り高が不確定な状態にあるか否か等を、操作表示部12に表示可能である。操作者は、適宜のタイミングで、これらの表示を確認して精査処理を行う。精査処理には、スタッカ41a~41fを全て精査対象とし、順次精査処理を行って、それぞれの硬貨の在り高を確定させると共に、装置全体の硬貨の在り高を確定させる全金種指定の精査処理と、スタッカ41a~41fのうち、補充時金種異常の硬貨を収納している所定のものを精査対象として精査処理を行って、精査対象の硬貨の在り高を確定させると共に、装置全体の硬貨の在り高を確定させる精査処理と、スタッカ41a~41fのうち、操作表示部12への入力で指定されたものを精査対象として精査処理を行って、精査対象の硬貨の在り高を確定させる処理と、があり、操作表示部12への選択入力に基づいて、精査対象について精査処理を行う。
【0123】
或いは、制御部11は、貨幣処理装置10の使用がない、或いは使用頻度が低い等の理由で設定された定刻に、精査処理を行う。この場合、スタッカ41a~41fの全てについて精査処理を行って、それぞれの硬貨の在り高を確定させると共に、貨幣処理装置10の装置全体の硬貨の在り高を確定させる。
【0124】
精査処理時には、上記したように、操作表示部12に精査処理の操作入力が入力され、その際に、例えば、補充時金種異常の硬貨を収納しているものが指定される。或いは、任意の金種、言い換えればスタッカ41a~41fのうちのいずれかが指定される。或いは、全金種、言い換えれば全スタッカ41a~41fが指定される。このような精査対象の指定を含む精査処理の操作入力が入力されると、制御部11は、その開始にあたって、まず、予備収納庫51が空の状態にあるか否かを判定する。
【0125】
予備収納庫51が空の状態にあると、スタッカ41a~41fのうち、今回精査対象の最初の一つについての単一精査処理を行う。つまり、先ず、スタッカ41a~41fのうち今回精査対象の最初の一つから、これが空になるまで、予備収納庫51に硬貨を移動させる。すなわち、予備振分ゲート52を開き、スタッカ41a~41fのベルトコンベア82を駆動し、スタッカ41a~41fのうちの今回精査対象の最初の一つから、繰出機構84によってベルトコンベア91の中間搬送路構成部92上に硬貨を繰り出させる。そして、中間搬送路構成部92で硬貨を予備振分ゲート52に向けて搬送し、硬貨を、予備振分ゲート52の位置で落下させ、予備収納庫シュータ53を介して予備収納庫51に収納させる。このようにして、今回精査対象の最初の一つのスタッカから全ての硬貨を予備収納庫51に移動させる。
【0126】
次に、制御部11は、予備振分ゲート52を閉じ、上記した内部補充処理と同様に、予備収納庫51からベルトコンベア102によって、硬貨を振分搬送部56に繰り出させ、振分搬送部56のベルトコンベア105によって、中間搬送路46に繰り出させる。そして、中間搬送路46に繰り出された硬貨を、ベルトコンベア91の中間搬送路構成部92及び搬送ベルト96で硬貨入金口21に搬送する。
【0127】
そして、制御部11は、硬貨入金口21内に落下した硬貨については、上記した入金処理とほぼ同様にして、スタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納させることになるが、その際に、制御部11は、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚以上となるように、言い換えれば、搬送される硬貨が複数枚になることを許容して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。振分搬送路32での搬送中に硬貨識別部33での金種の識別結果に基づき、硬貨を金種振分ゲート42a~42fの対応するもので選別してスタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納する。その際も、制御部11は、収納した硬貨を装置管理の硬貨として金種別にカウントする。硬貨は、基本的には、スタッカ41a~41fのうちの今回精査対象の最初の一つのスタッカに戻されることになる。なお、スタッカ41a~41fのうちの今回精査対象ではない他のスタッカに硬貨が搬送された場合、その分は、この他のスタッカの収納量に加算される。
【0128】
そして、制御部11は、予備収納庫51に収納されていた硬貨が全てスタッカ41a~41fに収納されると、スタッカ41a~41fのうち今回精査対象の最初の一金種の硬貨についての硬貨識別部33の計数結果を、スタッカ41a~41fのうち今回精査対象の最初の一金種のスタッカの収納量として、単一精査処理を終了する。
【0129】
指定された精査対象が複数ある場合(全指定を含む)、スタッカ41a~41fについて、上記と同様の単一精査処理を順次行って、精査処理を終了する。
【0130】
他方、精査処理開始にあたって、予備収納庫51が空の状態にない場合、制御部11は、予備収納庫51に収納されている硬貨の金種別の収納量と、各スタッカ41a~41fの収納量とから、予備収納庫51に収納されている全ての硬貨をスタッカ41a~41fに上限収納量を超えずに収納可能であるか否かを判定する。
【0131】
上限収納量を超えずに収納可能である場合、予備収納庫51に収納されている全ての硬貨をスタッカ41a~41fに収納して予備収納庫51を空にする全補充空化処理を行う。つまり、上記した内部補充処理と同様に、硬貨を、予備収納庫51からベルトコンベア102によって振分搬送部56に繰り出させ、振分搬送部56のベルトコンベア105によって中間搬送路46に繰り出させる。そして、中間搬送路46に繰り出された硬貨をベルトコンベア91の中間搬送路構成部92及び搬送ベルト96で硬貨入金口21に搬送し、更に、入金送出部31、振分搬送路32で搬送しつつ硬貨識別部33で金種を識別させると共に計数させる。この識別結果に基づき、硬貨を金種振分ゲート42a~42fの対応するもので選別してスタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納する。
【0132】
予備収納庫51から全ての硬貨が繰り出され、振分搬送部56、中間搬送路46、硬貨入金口21、入金送出部31及び振分搬送路32に硬貨がなくなると、全補充空化処理を終了し、上記と同様の単一精査処理を、スタッカ41a~41fのうち精査対象のスタッカについて一つずつ順次行って、精査処理を終了する。
【0133】
予備収納庫51を空にする際に、予備収納庫51に収納されている全ての硬貨をスタッカ41a~41fに上限収納量を超えずに収納可能でない場合、制御部11は、予備収納庫51に収納されている硬貨の一部をスタッカ41a~41fに収納する一部補充空化処理、及び、予備収納庫51に収納されている全ての硬貨を下部収納庫58に収納させる全回収予備収納庫空化処理のいずれか選択された一方の処理を行う。この選択は、操作表示部12への入力で行われるが、いずれか一方をデフォルトとして設定しておいても良い。
【0134】
一部補充空化処理では、制御部11が、上記した内部補充処理と同様に、硬貨を、予備収納庫51からベルトコンベア102によって振分搬送部56に繰り出させ、振分搬送部56のベルトコンベア105によってベルトコンベア91の中間搬送路構成部92に繰り出させる。そして、硬貨をベルトコンベア91の中間搬送路構成部92及び搬送ベルト96で硬貨入金口21に搬送し、更に、入金送出部31、振分搬送路32で搬送しつつ硬貨識別部33で金種を識別させる共に計数させる。この識別結果に基づき、硬貨を金種振分ゲート42a~42fの対応するもので選別してスタッカ41a~41fの対応する金種のものに収納する。そして、スタッカ41a~41fのいずれかにおいて、補充される硬貨によって収納量が適正上限量を超える場合、制御部11は、スタッカ41a~41fの適正上限量を超えるものから、繰出機構84によって適正上限量を超える分の硬貨を計数しつつ中間搬送路46に繰り出させて、入金処理後の収納量が適正上限量を超えないようにして全てのスタッカ41a~41fの収納量を適正上限量以下に保つ。スタッカ41a~41fの適正上限量を超えるものから繰り出された硬貨は、中間搬送路46で予備収納庫51から繰り出された硬貨と同様に搬送される。
【0135】
一部補充空化処理開始後、所定時間が経過すると、制御部11は、予備振分ゲート52を開くと共に、振分搬送部56の搬送方向を繰出口57に向けた方向とし、硬貨を、繰出識別部109で識別及び計数しつつ、振分搬送部56のベルトコンベア105及び搬送ベルト108で繰出口57に落下させて下部収納庫58に収納させる。そして、予備収納庫51、振分搬送部56、中間搬送路46、硬貨入金口21、入金送出部31、振分搬送路32上に硬貨がなくなると、制御部11は、一部補充空化処理を終了し、上記と同様の単一精査処理を、スタッカ41a~41fのうちの精査対象のスタッカについて一つずつ順次行って、精査処理を終了する。
【0136】
全回収空化処理では、制御部11が、硬貨を、予備収納庫51からベルトコンベア102によって振分搬送部56に繰り出させ、繰出識別部109で識別及び計数しつつ、振分搬送部56のベルトコンベア105及び搬送ベルト108で繰出口57に落下させて、下部収納庫58に収納させる。予備収納庫51及び振分搬送部56上に硬貨がなくなると、制御部11は、全回収空化処理を終了し、上記と同様の単一精査処理を、スタッカ41a~41fのうちの精査対象のスタッカについて一つずつ順次行って、精査処理を終了する。
【0137】
以上のように、貨幣処理装置10は、硬貨の在り高を精査する精査処理動作が可能となっている。
【0138】
以上の第1実施形態の貨幣処理装置10によれば、制御部11が、硬貨の入金計数時、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚のみとなるように、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。これにより、異常の発生時においても、振分搬送路32上にある硬貨は、その停止位置によって、装置管理の硬貨であるか、顧客占有の硬貨であるかを、正確に切り分けることができる。よって、入金の金額と現物との不一致が起きにくいため、取り扱いが容易となる。特に、この貨幣処理装置10が、顧客により入金が行われるセルフレジに接続されて使用される場合に、入金計数時に異常が生じた硬貨を、装置管理の硬貨であるか否か正確に切り分けることができることによる効果は高い。
【0139】
また、貨幣処理装置10は、制御部11が、硬貨の既定数投入補充処理による計数時、不定数投入補充処理による計数時、内部補充処理による計数時、の全ての補充処理において、振分搬送路32上には、搬送される硬貨が一枚以上となるように、複数枚となることを許容して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。すなわち、補充時金種異常の硬貨は、補充のための硬貨であるので、金種が正常と識別された硬貨であるか、金種が異常とされた硬貨であるのか、を問わず、一旦、これらの硬貨をすべて収納させても問題はない。このため、補充時金種異常の硬貨については、機外にリジェクトせずにスタッカ41a~41fのいずれかに収納させることで、取り扱いが容易な貨幣処理装置10となる。また、制御部11が、このように硬貨の補充処理による計数時には、振分搬送路32上に、搬送される硬貨が一枚以上となるように、複数枚となることを許容して、入金送出部31と振分搬送路32とを駆動制御する。これにより、補充処理の処理時間を短縮することができる。
【0140】
また、貨幣処理装置10は、制御部11が、硬貨の入金処理による計数時において、搬送異常発生による搬送停止時に、振分搬送路32上にある硬貨が、装置管理の硬貨であるか否かを操作表示部12に表示させる。このように、制御部11が、搬送停止時に振分搬送路32上にある硬貨が、装置管理の硬貨であるか、顧客占有の硬貨であるかの切り分けを行って操作表示部12に表示させるため、切り分けの間違いを一層防止することができる。
【0141】
また、貨幣処理装置10は、硬貨の既定数投入補充処理による計数時、補充計数する硬貨の総額を操作表示部12により入力可能であるため、既定数投入補充処理において補充時金種異常の硬貨があっても、補充後の装置全体の硬貨の在り高を記憶することができる。
【0142】
また、貨幣処理装置10は、硬貨の不定数投入補充処理による計数時、硬貨識別部33によって識別された金種別の枚数に基づいて、補充計数した硬貨の総額を、不定数投入補充処理の前の装置全体の硬貨の在り高に加算可能であるため、不定数投入補充処理において補充時金種異常の硬貨があっても、補充後の装置全体の硬貨の在り高を、正確な値に近い値で記憶することができる。
【0143】
また、貨幣処理装置10は、精査処理動作が可能であるため、補充時金種異常の硬貨があっても、精査処理動作を行うことで、各金種の在り高を確定でき、装置全体の硬貨の在り高も確定できる。
【0144】
なお、貨幣処理装置10は、硬貨の補充計数時に異常が発生した場合であって、異常対象の可能性のある硬貨を収納させるスタッカ41a~41fを予め定めていると、精査処理は、当該金種別スタッカ41a~41fのいずれか一つか二つの一部に限定すれば良く、短時間での対応も可能となる。
【0145】
また、貨幣処理装置10は、金種別スタッカ41a~41fのいずれか一つか二つの一部を、補充計数時を必要とする時点で、もっとも在高枚数の少ない金種の一部とすれば、精査処理に掛かる時間が短くなる期待が持てる。
【0146】
[第2実施形態]
本発明に係る第2実施形態の貨幣処理装置を
図3を参照して以下に説明する。
図3に示す概略構成の第2実施形態の貨幣処理装置210は、貨幣である紙幣の入出金処理を含む各種処理を行う紙幣処理装置である。貨幣処理装置210は、その全体を制御する制御部211と、操作者による操作入力が入力されると共に操作者に対して表示を行う操作表示部212(表示部,入力部)とを有している。
【0147】
貨幣処理装置210には、前面側に、入金処理時に装置外からバラ紙幣(以下、紙幣と称す)が投入される上方開口の紙幣入金口221が設けられている。また、貨幣処理装置210は、紙幣入金口221の後方に、出金処理時に装置内から出金紙幣が繰り出されると共に、入金処理時に受け入れ不可と識別された受入不可紙幣が装置内から繰り出される紙幣出金口222が設けられている。紙幣入金口221には、複数金種が混在する金種混合状態で紙幣が装置外から一括投入可能である。
【0148】
貨幣処理装置210は、紙幣出金口222の後方に、前側から順に、紙幣を収納可能な着脱式の紙幣カセット223、いずれも紙幣を収納するとともに収納した紙幣を紙幣出金口222に出金させる複数具体的には四つの着脱不可な紙幣収納庫225a,225b,225c,225dを有している。紙幣カセット223は、紙幣収納庫225a~225dからの紙幣を収納可能となっている。
【0149】
例えば、紙幣収納庫225a~225cは、それぞれが単一金種収納用となっており、紙幣収納庫225aには千円紙幣が収納され、紙幣収納庫225bには五千円紙幣が収納され、紙幣収納庫225cには万円紙幣が収納される。また、紙幣収納庫225dは、金種混合収納用となっており、紙幣収納庫225a~225cに収納しきれないオーバーフローの紙幣や流通量が少ない二千円紙幣が収納される。勿論、紙幣収納庫225a~225dへの収納パターンは、これらに限らず、種々の設定が可能である。
【0150】
紙幣入金口221、紙幣出金口222、紙幣カセット223及び紙幣収納庫225a~225dは、いずれも左右方向に長い横長の形状をなしており、すべてが、紙幣を、長辺が上端及び下端で左右方向に沿う姿勢(横長の姿勢)で受け入れるようになっている。
【0151】
上記した紙幣入金口221、紙幣出金口222、紙幣カセット223及び紙幣収納庫225a~225dは、貨幣処理装置210の内部の右側に寄せられて設けられている。貨幣処理装置210は、これにより内部の左側に設けられたスペースに、これら紙幣入金口221、紙幣出金口222、紙幣カセット223及び紙幣収納庫225a~225dを接続させて紙幣のやり取りを行う紙幣搬送部231を有している。なお、この紙幣搬送部231も紙幣を常に長辺が上端及び下端となる姿勢で搬送する。
【0152】
紙幣搬送部231は、紙幣入金口221から延出する入金搬送路241と、紙幣出金口222から延出して入金搬送路241の紙幣入金口221とは反対側の端部に合流する出金搬送路242と、入金搬送路241と出金搬送路242との合流点と最後部の紙幣収納庫225dとを結ぶ識別搬送路243と、識別搬送路243における紙幣カセット223の近傍から分岐して紙幣カセット223に接続される分岐搬送路244と、識別搬送路243における紙幣収納庫225aの近傍から分岐して紙幣収納庫225aに接続される分岐搬送路245aと、識別搬送路243における紙幣収納庫225bの近傍から分岐して紙幣収納庫225bに接続される分岐搬送路245bと、識別搬送路243における紙幣収納庫225cの近傍から分岐して紙幣収納庫225cに接続される分岐搬送路245cと、を有している。入金搬送路241と識別搬送路243と分岐搬送路245a,245b,245cとが、紙幣入金口221から送り出された紙幣を受け取って更に搬送して振り分ける振分搬送路246(搬送路)を構成している。
【0153】
入金搬送路241は、紙幣入金口221の紙幣を識別搬送路243に向けて搬送する。
紙幣搬送部231は、紙幣入金口221の紙幣を一枚ずつに分離して間隔をあけて入金搬送路241に送り出す繰出機構251(送出部)と、繰出機構251で紙幣入金口221から送り出され入金搬送路241で搬送される紙幣の有無を入金搬送路241上で検知する紙幣センサ252と、を有している。紙幣センサ252は、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。言い換えれば、繰出機構251は、紙幣入金口221に入れられた紙幣を一枚ずつに分離して間隔をあけて振分搬送路246に送り出す。振分搬送路246は、繰出機構251からの紙幣を受け入れて更に搬送する。
【0154】
出金搬送路242は、識別搬送路243からの紙幣を紙幣出金口222に搬送する。
紙幣搬送部231は、振分ゲート261を有している。振分ゲート261は、振分搬送路246を介して紙幣収納庫225a~225d側から搬送されてきた紙幣を、駆動された開状態で出金搬送路242に案内して紙幣出金口222に搬送させる一方、非駆動の閉状態ではそのまま振分搬送路246で搬送させる。紙幣搬送部231は、出金搬送路242で搬送される紙幣の有無を出金搬送路242上で検知する紙幣センサ263を有している。紙幣センサ263は、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0155】
分岐搬送路244は、識別搬送路243からの紙幣を紙幣カセット223に搬送する。
紙幣搬送部231は、振分ゲート271を有している。振分ゲート271は、振分搬送路246を介して紙幣収納庫225a~225d側から搬送されてきた紙幣を、駆動された開状態で分岐搬送路244に案内して紙幣カセット223に搬送させる一方、非駆動の閉状態ではそのまま振分搬送路246で搬送させる。紙幣搬送部231は、分岐搬送路244で搬送される紙幣の有無を分岐搬送路244上で検知する紙幣センサ273を有している。紙幣センサ273は、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0156】
分岐搬送路245aは、識別搬送路243からの紙幣を紙幣収納庫225aに搬送する一方、紙幣収納庫225aの紙幣を識別搬送路243に搬送する。
紙幣搬送部231は、振分ゲート281aを有している。振分ゲート281aは、識別搬送路243を介して紙幣入金口221側から搬送されてきた紙幣を、駆動された開状態で分岐搬送路245aに案内して紙幣収納庫225aに搬送させる一方、非駆動の閉状態ではそのまま識別搬送路243で搬送させる。紙幣搬送部231は、紙幣収納庫225aの紙幣を一枚ずつに分離して所定の間隔で分岐搬送路245aに繰り出す繰出機構282aを有している。紙幣搬送部231は、分岐搬送路245aで搬送される紙幣の有無を分岐搬送路245a上で検知する紙幣センサ283aを有している。紙幣センサ283aは、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0157】
分岐搬送路245bは、識別搬送路243からの紙幣を紙幣収納庫225bに搬送する一方、紙幣収納庫225bの紙幣を識別搬送路243に搬送する。
紙幣搬送部231は、振分ゲート281bを有している。振分ゲート281bは、識別搬送路243を介して紙幣入金口221側から搬送されてきた紙幣を、駆動された開状態で分岐搬送路245bに案内して紙幣収納庫225bに搬送させる一方、非駆動の閉状態ではそのまま識別搬送路243で搬送させる。紙幣搬送部231は、紙幣収納庫225bの紙幣を一枚ずつに分離して所定の間隔で分岐搬送路245bに繰り出す繰出機構282bを有している。紙幣搬送部231は、分岐搬送路245bで搬送される紙幣の有無を分岐搬送路245b上で検知する紙幣センサ283bを有している。紙幣センサ283bは、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0158】
分岐搬送路245cは、識別搬送路243からの紙幣を紙幣収納庫225cに搬送する一方、紙幣収納庫225cの紙幣を識別搬送路243に搬送する。
紙幣搬送部231は、振分ゲート281cを有している。振分ゲート281cは、識別搬送路243を介して紙幣入金口221側から搬送されてきた紙幣を、駆動された開状態で分岐搬送路245cに案内して紙幣収納庫225cに搬送させる一方、非駆動の閉状態ではそのまま識別搬送路243で搬送させる。紙幣搬送部231は、紙幣収納庫225cの紙幣を一枚ずつに分離して所定の間隔で分岐搬送路245cに繰り出す繰出機構282cを有している。紙幣搬送部231は、分岐搬送路245cで搬送される紙幣の有無を分岐搬送路245c上で検知する紙幣センサ283cを有している。紙幣センサ283cは、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0159】
識別搬送路243は、入金搬送路241側からの紙幣を紙幣収納庫225dに搬送する一方、紙幣収納庫225dの紙幣を入金搬送路241側に搬送する。
紙幣搬送部231は、紙幣収納庫225dの紙幣を一枚ずつに分離して所定の間隔で識別搬送路243に繰り出す繰出機構282dを有している。紙幣搬送部231は、識別搬送路243で搬送される紙幣の有無を、識別搬送路243における紙幣収納庫225dと分岐搬送路245cの接続位置との間の紙幣収納庫225dの近傍位置で検知する紙幣センサ283dを有している。紙幣センサ283dは、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0160】
紙幣搬送部231は、識別搬送路243で搬送される紙幣の有無を、識別搬送路243における分岐搬送路244の接続位置と分岐搬送路245aの接続位置との間の分岐搬送路245aの近傍位置で検知する紙幣センサ291を有している。紙幣センサ291は、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0161】
紙幣搬送部231は、識別搬送路243で搬送される紙幣の有無を、識別搬送路243における分岐搬送路245aの接続位置と分岐搬送路245bの接続位置との間位置で検知する紙幣センサ292を有している。紙幣センサ292は、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0162】
紙幣搬送部231は、識別搬送路243で搬送される紙幣の有無を、識別搬送路243における分岐搬送路245bの接続位置と分岐搬送路245cの接続位置との間位置で検知する紙幣センサ293を有している。紙幣センサ293は、紙幣の有無を検知することにより紙幣の通過を検知する。
【0163】
貨幣処理装置210は、識別搬送路243で搬送される紙幣を識別する紙幣識別部301(識別部)を有している。言い換えれば、紙幣識別部301は、振分搬送路246に設けられて紙幣を識別する。紙幣識別部301は、振分搬送路246の識別搬送路243における出金搬送路242の接続位置と分岐搬送路244の接続位置との間に設けられている。紙幣識別部301は、通過する紙幣を、画像、磁気的性質、厚さ等から識別する。紙幣識別部301は、紙幣が受け入れ可能な受入可能紙幣であるか、受け入れ不可な受入不可紙幣であるかを識別し、受入可能紙幣については金種を識別して計数する。制御部211は、紙幣識別部301の識別結果等に基づいて、紙幣カセット223及び各紙幣収納庫225a~225dの紙幣の収納量を把握する。
【0164】
貨幣処理装置210は、入金搬送路241、識別搬送路243及び分岐搬送路245a~245cを正逆駆動する駆動部311を有している。言い換えれば、駆動部311は、振分搬送路246を正逆駆動する。駆動部311は、振分搬送路246を逆転駆動する際に、出金搬送路242及び分岐搬送路244をも駆動する。駆動部311は、制御部211により駆動が制御される。駆動部311は、繰出機構251,282a~282dとは独立して制御部211によって制御される。すなわち、繰出機構251と、振分搬送路246とは、制御部211によって駆動が個別に制御される。制御部211は、紙幣センサ252の出力に基づいて繰出機構251を制御することにより、紙幣入金口221から振分搬送路246に紙幣を一枚ずつ間隔をあけて送り出す。
【0165】
次に、第2実施形態の貨幣処理装置210の各種処理について説明する。
【0166】
「入金処理」
操作表示部212に入金処理の選択操作が入力されて、紙幣入金口221に紙幣が投入されると、制御部211は、入金処理を開始する。すなわち、制御部211は、駆動部311を正転駆動、すなわち振分搬送路246を正転駆動する。この状態で、制御部211は、紙幣入金口221の紙幣を繰出機構251で一枚分離して振分搬送路246の入金搬送路241に送り出させる。この一枚目の紙幣が紙幣入金口221から入金搬送路241に繰り出し終わったことを、この一枚目の紙幣が通過することで紙幣センサ252が検知すると、制御部211は、一旦、繰出機構251を停止させて、紙幣入金口221から振分搬送路246への紙幣の送り出しを停止させる。
【0167】
このように、紙幣入金口221から振分搬送路246に送り出された一枚目の紙幣は、振分搬送路246の識別搬送路243での搬送中、紙幣識別部301によって識別される。紙幣識別部301では、この一枚目の紙幣の受け入れの可不可を識別し、受入可能紙幣については金種も識別して計数する。
【0168】
制御部211は、この識別結果から、この一枚目の紙幣が金種異常等の受入不可紙幣であった場合、駆動部311を逆転駆動、すなわち振分搬送路246を逆転駆動する。すると、出金搬送路242も回転する。それと共に、制御部211は、振分ゲート261を開作動させる。すると、この一枚目の紙幣は、振分搬送路246の識別搬送路243から、振分ゲート261で出金搬送路242に送り込まれ、出金搬送路242で搬送されて、紙幣出金口222に繰り出される。制御部211は、この一枚目の紙幣が、紙幣出金口222に繰り出されたことを、紙幣センサ263で紙幣の通過を検知後、所定時間が経過したことで検出すると、振分ゲート261を閉作動させると共に、駆動部311を正転駆動する。それと共に、制御部211は、次の二枚目の紙幣を、繰出機構251により紙幣入金口221から振分搬送路246の入金搬送路241に送り出させる。その際にも、この二枚目の紙幣が紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出し終わったことを紙幣センサ252が検知すると、制御部211は、一旦、繰出機構251を停止させて、紙幣入金口221から入金搬送路241への紙幣の送り出しを停止させる。
【0169】
操作者は、紙幣出金口222に繰り出された受入不可紙幣を紙幣出金口222から取り出して、紙幣入金口221に再投入したり、顧客に返却したりする。
【0170】
他方、制御部211は、紙幣識別部301の識別結果から、一枚目の紙幣が受入可能紙幣であった場合、そのまま振分搬送路246で紙幣入金口221とは反対側に移動させる。紙幣識別部301の識別結果から、この一枚目の紙幣が、例えば、紙幣収納庫225aに収納すべき金種の紙幣、すなわち千円券紙幣であった場合、制御部211は、この一枚目の紙幣が、振分ゲート281aの直前の紙幣センサ291で検知が開始されたタイミングで、振分ゲート281aを開作動させる。すると、識別搬送路243の搬送によって、この一枚目の紙幣が分岐搬送路245aに送り込まれ、分岐搬送路245aで搬送されて紙幣収納庫225aに収納される。制御部211は、この一枚目の紙幣が、紙幣センサ283aによる検知終了後、すなわち紙幣センサ283aを通過後、所定時間経過すると、正常に紙幣収納庫225aに収納されたと判定して、振分ゲート281aを閉状態とすると共に、この一枚目の紙幣を装置管理の紙幣として、今回の入金処理において装置管理となった千円券紙幣の計数値を一枚分加算する。
【0171】
その後、制御部211は、繰出機構251を駆動して、次の二枚目の紙幣を、紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出せる。その際にも、この二枚目の紙幣が紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出し終わったことを紙幣センサ252が検知すると、制御部211は、一旦、繰出機構251を停止させて、紙幣入金口221から入金搬送路241への紙幣の送り出しを停止させる。
【0172】
また、制御部211は、紙幣識別部301の識別結果から、一枚目の紙幣が、紙幣収納庫225bに収納すべき金種の紙幣、すなわち五千円券紙幣であった場合、この一枚目の紙幣が、振分ゲート281bの直前の紙幣センサ292で検知が開始されたタイミングで、振分ゲート281bを開作動させる。すると、識別搬送路243の搬送によって、この一枚目の紙幣が分岐搬送路245bに送り込まれ、分岐搬送路245bで搬送されて紙幣収納庫225bに収納される。制御部211は、この一枚目の紙幣が、紙幣センサ283bを通過後、所定時間経過すると、正常に紙幣収納庫225bに収納されたと判定し、振分ゲート281bを閉状態とすると共に、この一枚目の紙幣を装置管理の紙幣として、今回の入金処理において装置管理となった五千円券紙幣の計数値を一枚分加算する。
【0173】
その後、制御部211は、繰出機構251を駆動して、次の二枚目の紙幣を、紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出させる。その際にも、この二枚目の紙幣が紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出し終わったことを紙幣センサ252が検知すると、制御部211は、一旦、繰出機構251を停止させて、紙幣入金口221から入金搬送路241への紙幣の送り出しを停止させる。
【0174】
また、制御部211は、紙幣識別部301の識別結果から、一枚目の紙幣が、紙幣収納庫225cに収納すべき金種の紙幣、すなわち万円券紙幣であった場合、この一枚目の紙幣が、振分ゲート281cの直前の紙幣センサ293で検知が開始されたタイミングで、振分ゲート281cを開作動させる。すると、識別搬送路243の搬送によって、この一枚目の紙幣が分岐搬送路245cに送り込まれ、分岐搬送路245cで搬送されて紙幣収納庫225cに収納される。制御部211は、この一枚目の紙幣が、紙幣センサ283cを通過後、所定時間経過すると、正常に紙幣収納庫225cに収納されたと判定し、振分ゲート281cを閉状態とすると共に、この一枚目の紙幣を装置管理の紙幣として、今回の入金処理において装置管理となった万円券紙幣の計数値を一枚分加算する。
【0175】
その後、制御部211は、繰出機構251を駆動して、次の二枚目の紙幣を、紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出させる。その際にも、この二枚目の紙幣が紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出し終わったことを紙幣センサ252が検知すると、制御部211は、一旦、繰出機構251を停止させて、紙幣入金口221から入金搬送路241への紙幣の送り出しを停止させる。
【0176】
また、制御部211は、紙幣識別部301の識別結果から、一枚目の紙幣が、紙幣収納庫225dに収納すべき金種の紙幣、すなわち二千円券あるいは紙幣収納庫225a~225cに収納し切れないオーバーフロー紙幣であった場合、振分ゲート281a,281b,281cを閉状態のままとする。すると、一枚目の紙幣が、識別搬送路243で搬送されて紙幣収納庫225dに収納される。制御部211は、この一枚目の紙幣が、紙幣センサ283dを通過後、所定時間経過すると、正常に紙幣収納庫225dに収納されたと判定して、この一枚目の紙幣を装置管理の紙幣として、今回の入金処理において装置管理となった対応金種の紙幣の計数値を一枚分加算する。
【0177】
その後、制御部211は、繰出機構251を駆動して、次の二枚目の紙幣を、紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出させる。その際にも、この二枚目の紙幣が紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出し終わったことを紙幣センサ252が検知すると、制御部211は、一旦、繰出機構251を停止させて、紙幣入金口221から入金搬送路241への紙幣の送り出しを停止させる。
【0178】
二枚目の紙幣についても、制御部211は、一枚目の紙幣と同様に、紙幣識別部301の識別結果に基づいて、受入不可紙幣であれば、駆動部311を逆転させると共に振分ゲート261を開作動させて、紙幣出金口222に繰り出させる。また、受入可能紙幣であれば、振分ゲート281a~281cの対応するもので紙幣収納庫225a~225dの対応するものに収納させる。制御部211は、二枚目の紙幣についても、紙幣出金口222に正常に繰り出され、或いは紙幣収納庫225a~225dの対応するものに正常に収納されたと判定すると、次の三枚目の紙幣を、紙幣入金口221から繰出機構251で入金搬送路241に送り出させる。その際にも、三枚目の紙幣が紙幣入金口221から繰出機構251で入金搬送路241に送り出されたことを紙幣センサ252が検知すると、制御部211は、一旦、繰出機構251を停止させる。
【0179】
三枚目以降の紙幣についても、それぞれについて、一枚目の紙幣と同様に処理を行い、紙幣入金口221の紙幣が、すべて、紙幣出金口222及び紙幣収納庫225a~225dのいずれかに搬送されると、制御部211は、今回の入金処理において受け入れて装置管理とした紙幣の計数結果と、入金取消をするか、入金確定をするかの選択操作を促す表示とを操作表示部212に表示させる。
【0180】
上記した入金取消をするか、入金確定をするかの問いに対して、操作者が、承認操作入力である入金確定の選択操作を操作表示部212に入力すると、制御部211は、今回の入金処理で受け入れて装置管理とした紙幣の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の入金処理の前の金種別の紙幣の在り高にそれぞれ加算して金種別の紙幣の在り高を更新記憶すると共に、今回の入金処理で装置管理とした紙幣の総額を今回の入金処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算して装置全体の紙幣の在り高を更新記憶して、入金処理を終了する。
【0181】
以上のように、紙幣の入金処理での計数時(入金計数時)において、制御部211は、振分搬送路246上には、搬送される紙幣が一枚のみとなるように複数枚となることを制限して、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。言い換えれば、紙幣の入金処理での計数時において、制御部211は、振分搬送路246上には、紙幣が一枚のみ存在するように、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。
【0182】
以上の入金処理において、制御部211は、紙幣識別部301及び紙幣センサ252,263,283a~283d,291~293を含む各種センサ類の検出結果から、異常の発生を監視している。
例えば、紙幣識別部301で金種異常となった金種異常紙幣を含む受入不可紙幣については、制御部211は、上記したように、駆動部311の逆転すなわち振分搬送路246の逆転と、振分ゲート261の開作動とによって紙幣出金口222に放出させる。
【0183】
この場合のように、異常紙幣を、振分搬送路246の逆転及び振分ゲート261の開作動によって紙幣出金口222に放出させることができる場合、制御部211は、この異常紙幣を、紙幣出金口222に放出させると共に、紙幣出金口222に放出された紙幣が、装置管理の紙幣ではなく、顧客占有の紙幣であるとして、操作表示部212に表示させる。
【0184】
また、例えば、振分搬送路246で紙幣を搬送中であるにもかかわらず、紙幣識別部301及び紙幣センサ252,263,283a~283d,291~293のうちのいずれかのセンサ類が、同一紙幣を所定時間経過しても検知し続けているときは、振分搬送路246の、このセンサ類の位置で紙幣の搬送異常が発生していると判定する。この異常紙幣も、装置管理の紙幣とはなっておらず、顧客占有の紙幣である。
【0185】
また、例えば、振分搬送路246で紙幣を搬送中であるにもかかわらず、紙幣識別部301及び紙幣センサ252,263,283a~283d,291~293のうちのいずれか上流側のものが紙幣の通過を検知してから、所定時間経過しても、検知すべき下流側に隣り合うものが紙幣を検知しない場合、振分搬送路246における、これらの間で紙幣の搬送異常が発生していると判定する。この異常紙幣も、装置管理の紙幣とはなっておらず、顧客占有の紙幣である。
【0186】
他方、例えば、紙幣識別部301により紙幣収納庫225aへの収納紙幣と識別された紙幣の通過を紙幣センサ283aが検出すると、制御部211は、この紙幣を装置管理の紙幣とすることになるが、この紙幣が、分岐搬送路245aの紙幣センサ283aよりも紙幣収納庫225a側の末端部分で詰まり紙幣収納庫225aへ収納されない等の異常が発生することがある。この紙幣は、紙幣センサ283aを通過しているため、装置管理の紙幣となっている。この場合、分岐搬送路245aの末端部分に詰まった、この紙幣の次に紙幣収納庫225aに収納される紙幣が、装置管理となる前に、この詰まった紙幣の影響で紙幣センサ283aの位置に停止して紙幣センサ283aで検知し続けられる搬送異常となる。この場合、制御部211は、紙幣センサ283aから上流側、すなわち紙幣入金口221側にある紙幣は、装置管理ではないと判定する。その場合、この紙幣を停止させた原因が、分岐搬送路245aの末端部分に詰まる等した紙幣センサ283aよりも紙幣収納庫225a側にある装置管理の紙幣である可能性がある。他の紙幣収納庫225b~225dについても同様である。
【0187】
これらの場合のような紙幣の搬送異常が発生していると判定した場合、振分搬送路246の逆転及び振分ゲート261の開作動によって紙幣を紙幣出金口222に繰り出させることは難しい。このため、制御部211は、直ちに駆動部311、すなわち振分搬送路246を停止させる。
【0188】
それと共に、制御部211は、操作表示部212に、搬送異常が発生した旨と、搬送異常が発生している箇所と、振分搬送路246上で停止している残留紙幣が、装置管理の紙幣であるか否か、すなわち、搬送異常が検出された紙幣は、装置管理の紙幣ではなく顧客占有の紙幣であることと、この紙幣より下流側にあって識別搬送路243及び分岐搬送路245a~245cの末端部分に詰まる等している紙幣があればその紙幣は装置管理の紙幣である旨と、を表示させる。
【0189】
すると、操作者は、貨幣処理装置210を適宜開いて、振分搬送路246を露出させて、残留紙幣を取り除く。そして、操作表示部212の表示から、残留紙幣のいずれかが装置管理の紙幣である場合、操作者は、この紙幣を紙幣収納庫225a~225dのうちの対応金種のものに投入して、貨幣処理装置210を閉じる。他方、操作表示部212の表示から、残留紙幣のいずれかが顧客占有の紙幣である場合には、貨幣処理装置10を閉じて、この紙幣を、紙幣入金口221に再投入して入金処理を再開させる等する。
【0190】
例えば、上記のように、紙幣収納庫225aに収納すべき紙幣の停止を紙幣センサ283aが検出した搬送異常の場合、制御部211は、紙幣センサ283aの位置にある紙幣が装置管理ではないと判定する。その場合、この紙幣を停止させた原因が、分岐搬送路245aの末端部分に詰まる等した紙幣センサ283aよりも紙幣収納庫225a側に全体がある装置管理の紙幣である可能性がある。このため、制御部211は、紙幣収納庫225aに収納すべき紙幣の停止を紙幣センサ283aが検出した場合、紙幣センサ283aの位置で紙幣停止の搬送異常が発生している旨と、紙幣センサ283aの位置で停止している紙幣が顧客占有の紙幣である旨と、分岐搬送路245aの末端部分に詰まる等して紙幣センサ283aの位置よりも紙幣収納庫225a側に全体がある紙幣があれば、その紙幣は紙幣収納庫225aに収納すべき装置管理の紙幣である旨とを、表示させる。
【0191】
すると、操作者は、貨幣処理装置210を適宜開いて、振分搬送路246を露出させて、残留紙幣を取り除く。そして、操作表示部212の表示から、残留紙幣のうち装置管理の紙幣(紙幣センサ283aの位置よりも紙幣収納庫225a側にあった紙幣)については、紙幣収納庫225aに投入して、貨幣処理装置210を閉じる。他方、操作表示部212の表示から、残留紙幣のうち顧客占有の紙幣(紙幣センサ283aの位置から紙幣入金口221側にあった紙幣)については、貨幣処理装置210を閉じて、紙幣入金口221に再投入して入金処理を再開させる等する。
【0192】
以上のように、紙幣の入金処理での計数時において、制御部211は、振分搬送路246上には、搬送される紙幣が一枚のみとなるように複数枚となることを制限して、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。これにより、振分搬送路246にある紙幣が、装置管理の紙幣であるか、顧客占有の紙幣であるかの切り分けが明確になって、切り分けを間違いにくくすることができる。
【0193】
また、制御部211は、異常発生による搬送停止時に、振分搬送路246にある紙幣が、装置管理の紙幣であるか否かを操作表示部212に表示させる。このように、制御部211が、振分搬送路246にある紙幣が、装置管理の紙幣であるか、顧客占有の紙幣であるかの切り分けを行って操作表示部212に表示させるため、切り分けが、より明確となって、切り分けの間違いを一層防止することができる。
【0194】
「入金返却処理」
入金処理における上記した入金取消をするか、入金確定をするかの問いに対して、操作者が、取り消し操作入力である入金取消の選択操作を操作表示部212に入力すると、制御部211は、振分ゲート261を開状態にし、駆動部311すなわち振分搬送路246を逆回転させる。そして、制御部211は、入金処理で入金された金額と同じ金額分の返却紙幣を、紙幣収納庫225a~225cの対応するものから一枚ずつ、繰出機構282a~282cの対応するもので繰り出させる。そして、分岐搬送路245a~245cの対応するもの及び識別搬送路243で搬送させる。識別搬送路243での搬送中、制御部211は、紙幣を紙幣識別部301で識別及び計数させつつ、出金搬送路242で搬送させて紙幣出金口222に繰り出させる。紙幣識別部301で識別異常とされた紙幣は、紙幣入金口221に収納し、入金返却処理後、後述する投入補充処理と同様にして、紙幣収納庫225a~225dの対応するものに収納させる。
【0195】
紙幣収納庫225a~225cのそれぞれから、繰出機構282a~282cの対応するものと、分岐搬送路245a~245cの対応するものと、識別搬送路243と、出金搬送路242とで、入金された金額分の返却紙幣が紙幣出金口222に搬送されると、制御部211は、振分ゲート261を閉状態にすると共に、駆動部311を停止させる。そして、制御部211は、入金返却処理を終了することになり、操作者は、返却紙幣を紙幣出金口222から取り出すことになる。制御部211は、入金返却処理において、紙幣識別部301で識別され、紙幣センサ263で通過が確認された入金金額分の紙幣を装置管理の紙幣から除外する。
【0196】
「出金処理」
操作表示部212に出金処理の選択入力がされて出金金額が入力されると、制御部211は、入金返却処理と同様の処理を行って、出金金額分の紙幣を、紙幣収納庫225a~225cから繰り出させ、振分搬送路246で紙幣出金口222に搬送させる。出金金額分の紙幣が紙幣出金口222に搬送されると、制御部211は、出金処理を終了することになり、操作者は、出金紙幣を紙幣出金口222から取り出すことになる。制御部211は、出金処理において、紙幣識別部301で識別され、紙幣センサ263で通過が確認された出金金額分の紙幣を装置管理の紙幣から除外する。
【0197】
「既定数投入補充処理」
例えば、上記した出金処理後に、制御部211は、金種別の紙幣収納庫225a~225cのいずれかの紙幣の収納量が、所定の適正下限量を下回る場合、つまり収納量が適正下限量であるニアエンド状態よりも少ない場合に、操作表示部212に、既定数投入補充処理及び不定数投入補充処理のいずれかの実行を促す表示を表示させる。ここで、既定数投入補充処理では、紙幣入金口221に、収納量がニアエンド状態よりも少ない金種の紙幣が既定量投入されることになるが、一遍に、複数金種あるいは全金種が既定量ずつ投入される場合もある。
【0198】
操作表示部212に、既定数投入補充処理及び不定数投入補充処理のいずれかの実行を促す表示を表示させた状態で、操作表示部212に既定数投入補充処理の選択操作が入力されて、紙幣が紙幣入金口221に投入されると、制御部211は、既定数投入補充処理を開始する。ここで、制御部211は、金種別の紙幣収納庫225a~225cの収納量にかかわらず操作表示部212に既定数投入補充処理の実行操作が入力された場合も、既定数投入補充処理を開始する。
【0199】
既定数投入補充処理では、制御部211は、紙幣入金口221に投入された紙幣を上記した入金処理とほぼ同様にして紙幣収納庫225a~225cに補充する。但し、その際に、制御部211は、振分搬送路246上には、搬送される紙幣が一枚以上となるように、言い換えれば、搬送される紙幣が複数枚になることを許容して、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。この既定数投入補充処理(後述する不定数投入補充処理も同様)では、投入される補充用の紙幣は、店舗側の紙幣、すなわち自動的に装置管理の紙幣とすることができる紙幣であることから、装置管理の紙幣か否かを切り分ける必要がない。このため、既定数投入補充処理では、振分搬送路246上には、搬送される紙幣が一枚以上となるようにして、処理速度を上げる。
【0200】
既定数投入補充処理を開始すると、制御部211は、繰出機構251を駆動すると共に、駆動部311を正転駆動する。これにより、紙幣入金口221の紙幣を繰出機構251が一枚分離して振分搬送路246の入金搬送路241に送り出す。この一枚目の紙幣が紙幣入金口221から入金搬送路241に送り出されたことを紙幣センサ252が検知しても、制御部211は、一枚目の紙幣に対して所定の間隔をあけて、二枚目の紙幣を、繰出機構251で一枚分離して入金搬送路241に送り出させる。このようにして、紙幣入金口221から、一枚目、二枚目、三枚目、…、というように、紙幣が所定の間隔をあけて振分搬送路246に順次送り出されることになる。その結果、振分搬送路246上には、紙幣が一枚のみ存在する状態と、紙幣が複数枚存在する状態とが生じる。
【0201】
このように、紙幣入金口221から振分搬送路246に送り出された紙幣を、振分搬送路246は、紙幣入金口221から離れる方向に搬送する。このように振分搬送路246で搬送される紙幣は、紙幣識別部301で識別される。紙幣識別部301では、順次搬送されてくる紙幣の金種等をそれぞれ識別する。
【0202】
制御部211は、紙幣識別部301の識別結果から、紙幣が金種異常の紙幣であった場合でも、入金処理と同様にして、この紙幣を、そのまま振分搬送路246で紙幣入金口221から離れる方向に移動させる。制御部211は、このような金種異常の紙幣を、紙幣収納庫225dに収納させる(後述する不定数投入補充処理も同様)。
【0203】
すなわち、既定数投入補充処理では、店舗側で準備した紙幣が紙幣入金口221に投入されるため、基本的に、受け入れ不可な紙幣は紙幣入金口221に投入されない。このため、金種異常の紙幣があっても、紙幣識別部301の識別ミスであり、受け入れ不可な紙幣ではないと判断できるため、紙幣収納庫225a~225dのうち、補充時に金種異常となった補充時金種異常の紙幣を収納する、予め設定された所定の一つである紙幣収納庫225dに収納してしまうのである。
【0204】
他方、制御部211は、紙幣識別部301の識別結果から、紙幣が正常に金種が識別された紙幣であった場合、この紙幣を、そのまま振分搬送路246で紙幣入金口221とは反対側に移動させて、紙幣識別部301の識別結果に基づいて、振分ゲート281a~281cの対応するもので振り分けて紙幣収納庫225a~225cの対応する金種のものに収納させる。その際も、制御部211は、それぞれ収納した紙幣を入金処理と同様に装置管理の紙幣と判定して金種別にカウントする。
【0205】
紙幣入金口221の紙幣が、すべて、紙幣収納庫225a~225dのいずれかに搬送されると、制御部211は、今回の既定数投入補充処理において、補充時金種異常の紙幣がなければ、収納した紙幣の計数結果と、確認操作を促す表示とを操作表示部212に表示させる。操作者が、確認操作を操作表示部212に入力すると、制御部211は、今回の既定数投入補充処理で収納し装置管理とした紙幣の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の既定数投入補充処理の前の金種別の紙幣の在り高にそれぞれ加算して金種別の紙幣の在り高を更新記憶し、更に、今回の既定数投入補充処理で収納し装置管理とした紙幣の総額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算して更新記憶して、既定数投入補充処理を終了する。
【0206】
他方、制御部211は、今回の既定数投入補充処理において、補充時金種異常の紙幣があれば、操作表示部212に、金種が確定し収納した紙幣の計数結果と、補充時金種異常の紙幣があった旨と、を表示させ、今回の既定数投入補充処理において収納した紙幣の総額の入力を促す表示を表示させる。これを見て、操作者が、操作表示部212に、今回の既定数投入補充処理において収納した紙幣の既定の総額を入力する。すると、制御部211は、今回の既定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった紙幣の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の既定数投入補充処理の前の金種別の紙幣の在り高にそれぞれ加算して金種別の紙幣の在り高を更新記憶する。それと共に、制御部211は、操作表示部212に入力された今回の既定数投入補充処理で収納し装置管理とした紙幣の既定の総額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算して更新記憶すると共に、今回の既定数投入補充処理で収納した紙幣に補充時金種異常の紙幣があった旨を記憶して、既定数投入補充処理を終了する。
【0207】
以上のように、紙幣の補充処理での計数時(補充計数時)において、制御部211は、振分搬送路246上には、搬送される紙幣が一枚以上となるように複数枚となることを許容して、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。言い換えれば、紙幣の補充処理での計数時において、制御部211は、振分搬送路246上には、紙幣が複数枚同時に存在することを許容して、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。貨幣処理装置210は、紙幣の補充処理での計数時(補充計数時)において、補充計数する紙幣の総額を操作表示部212により入力可能となっている。
【0208】
ここで、既定数投入補充処理によって補充計数する紙幣の既定の総額は、既定数投入補充処理の開始にあたって操作表示部212に入力させることも可能である。この場合も、制御部211は、補充時金種異常の紙幣があった場合に、この既定の総額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算する。このようにすれば、既定数投入補充処理の開始にあたって操作表示部212に補充計数する紙幣の既定の総額が入力されなければ、既定数投入補充処理が実行されないことになるため、既定数投入補充処理で収納する紙幣の総額を把握していない状態での既定数投入補充処理の実行を防止することができる。
【0209】
また、既定数投入補充処理において補充計数する紙幣の総額は、定額とし、操作表示部212への入力は不要としても良い。この場合も、制御部211は、補充時金種異常の紙幣があれば、この定額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算して更新記憶する。なお、定額と、既定値とのうちの一方を操作表示部212で選択可能としても良い。この場合、定額が選択されると制御部211は予め記憶されている定額を今回の既定数投入補充処理の総額として用いることになり、既定値が選択されて操作表示部212に既定値が入力されると制御部211は、この既定値を今回の既定数投入補充処理の総額として用いることになる。
【0210】
以上の既定数投入補充処理においても、制御部211は、紙幣識別部301及び紙幣センサ252,263,283a~283d,291~293を含む各種センサ類の検出結果から、異常の発生を監視している。そして、紙幣搬送部231で紙幣の搬送異常が発生していると判定した場合、制御部211は、直ちに、駆動部311、すなわち振分搬送路246を停止させる。
【0211】
それと共に、制御部211は、操作表示部212に、搬送異常が発生した旨と、搬送異常が発生している箇所と、振分搬送路246上にある全ての紙幣を紙幣入金口221に再投入するように促す表示と、を表示させる。すると、操作者は、貨幣処理装置210を適宜開いて、振分搬送路246を露出させて、搬送異常の紙幣を取り除く。その際に、振分搬送路246上にある全ての紙幣を取り除く。そして、操作者は、貨幣処理装置210を閉じて、搬送異常の紙幣を、紙幣入金口221に再投入して、既定数投入補充処理を再開させる。
【0212】
この場合も、制御部211は、操作表示部212に入力された今回の既定数投入補充処理で収納し装置管理とした紙幣の既定の総額を、今回の既定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算して更新記憶すると共に、今回の既定数投入補充処理で収納した紙幣に補充時搬送異常の紙幣があった旨を記憶して、既定数投入補充処理を終了する。
【0213】
「不定数投入補充処理」
紙幣の補充処理での計数時(補充計数時)において、総額を把握していない状態の紙幣を紙幣入金口221に投入させる、不定数投入補充処理を行うことも可能である。操作表示部212に、既定数投入補充処理及び不定数投入補充処理のいずれかの実行を促す表示を表示させた状態で、操作表示部212に不定数投入補充処理が選択入力されると、制御部211は、既定数投入補充処理とほぼ同様の不定数投入補充処理を行うことになる。ここで、制御部211は、金種別の紙幣収納庫225a~225cの収納量にかかわらず操作表示部212に不定数投入補充処理の実行操作が入力された場合も、不定数投入補充処理を行う。
【0214】
不定数投入補充処理の場合、補充時金種異常の紙幣がなければ、既定数投入補充処理と同様に、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった紙幣の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の不定数投入補充処理の前の金種別の紙幣の在り高にそれぞれ加算して金種別の紙幣の在り高を更新記憶する。それと共に、制御部211は、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった紙幣の総額を、今回の不定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算して更新記憶する。
【0215】
他方、不定数投入補充処理においては、補充する総額が不明なため、補充時金種異常の紙幣があれば、投入補充処理後の装置全体の紙幣の在り高は正確ではなくなる。このため、制御部211は、不定数投入補充処理において、補充時金種異常の紙幣があれば、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった紙幣の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の不定数投入補充処理の前の金種別の紙幣の在り高にそれぞれ加算して金種別の紙幣の在り高を更新記憶する。それと共に、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった紙幣の総額を、今回の不定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算して更新記憶する。加えて、制御部211は、補充時金種異常の紙幣があり、装置全体の紙幣の在り高が不確定になった状態である旨を記憶する。
【0216】
以上の不定数投入補充処理において、貨幣処理装置210は、紙幣の不定数投入補充処理による計数時(補充計数時)、紙幣識別部301によって識別された金種別の枚数に基づいて、補充計数する紙幣の総額を、補充計数前の装置全体の紙幣の在り高に加算可能であり、加算することで、不定数投入補充処理後の仮の装置全体の紙幣の在り高とする。
【0217】
以上の不定数投入補充処理においても、制御部211は、紙幣識別部301及び紙幣センサ252,263,283a~283d,291~293を含む各種センサ類の検出結果から、異常の発生を監視している。そして、紙幣搬送部231で紙幣の搬送異常が発生していると判定した場合、制御部211は、直ちに、駆動部311、すなわち振分搬送路246を停止させる。
【0218】
それと共に、制御部211は、操作表示部212に、搬送異常が発生した旨と、搬送異常が発生している箇所と、振分搬送路246上にある全ての紙幣を紙幣入金口221に再投入するように促す表示と、を表示させる。すると、操作者は、貨幣処理装置210を適宜開いて、振分搬送路246を露出させて、搬送異常の紙幣を取り除く。その際に、振分搬送路246上にある全ての紙幣を取り除く。そして、操作者は、貨幣処理装置210を閉じて、搬送異常の紙幣を、紙幣入金口221に再投入して、既定数投入補充処理を再開させる。
【0219】
この場合も、補充する総額が不明なため、制御部211は、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった紙幣の金種別の計数値を確定して記憶すると共に、これらの計数値を今回の不定数投入補充処理の前の金種別の紙幣の在り高にそれぞれ加算して金種別の紙幣の在り高を更新記憶する。それと共に、今回の不定数投入補充処理で金種が確定し計数され収納されて装置管理となった紙幣の総額を、今回の不定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算して更新記憶する。加えて、制御部211は、補充時搬送異常の紙幣があり、紙幣収納庫225a~225dのそれぞれの紙幣の在り高が不確定になった旨と、装置全体の紙幣の在り高が不確定になった旨とを記憶する。
【0220】
「カセット回収処理」
操作表示部212にカセット回収処理の選択入力がされて、紙幣収納庫225a~225dのうちの回収対象のものが指定されると、制御部211は、振分ゲート271を開作動させ、駆動部311を逆回転させて、紙幣収納庫225a~225dのうちの回収対象のものの紙幣を、繰出機構282a~282dのうちの対応するもので繰り出させて、振分搬送路246により、紙幣カセット223に全て搬送させる。制御部211は、紙幣収納庫225a~225dのうちの回収対象のものの紙幣が紙幣カセット223に全て搬送されると、カセット回収処理を終了することになる。すると、操作者は、紙幣カセット223を取り出すことになる。紙幣カセット223に収納されている紙幣を計数することで、紙幣収納庫225a~225dのうちの回収対象のものに収納されていた紙幣の金種別の収納量及び総額がわかる。
【0221】
例えば、不定数投入補充処理において、補充時金種異常の紙幣があった場合、紙幣収納庫225dを回収対象として、紙幣収納庫225dの紙幣を全て紙幣カセット223に搬送させる。操作者は、紙幣カセット223を取り出して、紙幣カセット223の紙幣を計数することで、紙幣収納庫225dに収納されていた紙幣の金種別の収納量及び総額を把握する。
【0222】
以上の第2実施形態の貨幣処理装置210によれば、制御部211が、紙幣の入金計数時、振分搬送路246上には、搬送される紙幣が一枚のみとなるように、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。これにより、異常の発生時においても、振分搬送路246上にある紙幣は、その停止位置によって、装置管理の紙幣であるか、顧客占有の紙幣であるかを、正確に切り分けることができる。よって、入金の金額と現物との不一致が起きにくいため、取り扱いが容易となる。特に、この貨幣処理装置210が、顧客により入金が行われるセルフレジに接続されて使用される場合に、入金計数時に異常が生じた紙幣を、装置管理の紙幣であるか否か正確に切り分けることができることによる効果は高い。
【0223】
また、貨幣処理装置210は、制御部211が、紙幣の既定数投入補充処理による計数時及び不定数投入補充処理による計数時の両方の補充処理において、振分搬送路246上には、搬送される紙幣が一枚以上となるように、複数枚となることを許容して、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。すなわち、補充時金種異常の紙幣は、補充のための紙幣であるので、金種が正常と識別された紙幣であるか、金種が異常とされた紙幣であるのか、を問わず、一旦、これらの紙幣をすべて収納させても問題はない。このため、補充時金種異常の紙幣については、機外にリジェクトせずに紙幣収納庫225dに収納させることで、取り扱いが容易な貨幣処理装置210となる。また、制御部211が、このように紙幣の補充処理による計数時には、振分搬送路246上に、搬送される紙幣が一枚以上となるように、複数枚となることを許容して、繰出機構251と振分搬送路246とを駆動制御する。これにより、補充処理の処理時間を短縮することができる。
【0224】
また、貨幣処理装置210は、制御部211が、紙幣の入金処理による計数時において、搬送異常発生による搬送停止時に、振分搬送路246上にある紙幣が、装置管理の紙幣であるか否かを操作表示部212に表示させる。このように、制御部211が、搬送停止時に振分搬送路246上にある紙幣が、装置管理の紙幣であるか、顧客占有の紙幣であるかの切り分けを行って操作表示部212に表示させるため、切り分けの間違いを一層防止することができる。
【0225】
また、貨幣処理装置210は、紙幣の既定数投入補充処理による計数時、補充計数する紙幣の総額を操作表示部212により入力可能であるため、既定数投入補充処理において補充時金種異常の紙幣があっても、補充後の装置全体の紙幣の在り高を記憶することができる。
【0226】
また、貨幣処理装置210は、紙幣の不定数投入補充処理による計数時、紙幣識別部301によって識別された金種別の枚数に基づいて、補充計数する紙幣の総額を、不定数投入補充処理の前の装置全体の紙幣の在り高に加算可能であるため、不定数投入補充処理において補充時金種異常の紙幣があっても、補充後の装置全体の紙幣の在り高を、正確な値に近い値で記憶することができる。
【符号の説明】
【0227】
10,210…貨幣処理装置、11…制御部、12…操作表示部(表示部,入力部)、21…硬貨入金口(入金口)、31…入金送出部(送出部)、32…振分搬送路(搬送路)、33…硬貨識別部(識別部)、246…振分搬送路(搬送路)、211…制御部、212…操作表示部(表示部,入力部)、221…紙幣入金口(入金口)、246…振分搬送路(搬送路)、251…繰出機構(送出部)、301…紙幣識別部(識別部)。