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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132899
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】分散剤、分散体及び物品
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/52 20220101AFI20230914BHJP
【FI】
C09K23/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038475
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179578
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】岩木 徹
(72)【発明者】
【氏名】田中 真奈
(72)【発明者】
【氏名】門 柚里
(57)【要約】
【課題】油にフッ素樹脂を分散させる技術を提供する。
【解決手段】分散剤は、油にフッ素樹脂を分散させる分散剤であって、R-Cb-R-O-Xで表される(メタ)アクリレート化合物(a1)と、R-O-Xで表される(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含む。式中、Rはパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、Cbはエステル結合、アミド結合、およびウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの連結基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、Rは直鎖または分岐の炭化水素基であって炭素数が4以上22以下の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油にフッ素樹脂を分散させる分散剤であって、
下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)と、
下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含む、分散剤。
-Cb-R-O-X (1)
(式中、Rはパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、Cbはエステル結合、アミド結合、およびウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの連結基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
-O-X (2)
(式中、Rは直鎖または分岐の炭化水素基であって炭素数が4以上22以下の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の分散剤であって、
前記構成モノマー(a)中の前記(メタ)アクリレート化合物(a1)及び前記(メタ)アクリレート化合物(a2)の合計の含有割合((a1+a2)/a)は、80質量%以上である、分散剤。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の分散剤であって、
は炭素数が18の直鎖の炭化水素基である、分散剤。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の分散剤であって、
前記構成モノマー(a)中の前記(メタ)アクリレート化合物(a1)の含有割合((a1)/a)は、30質量%以上70質量%以下である、分散剤。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の分散剤であって、
前記Rは、CFCFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)であり、nは0以上の数である、分散剤。
【請求項6】
請求項5に記載の分散剤であって、
前記nが0または1である、分散剤。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の分散剤であって、
鉱物油に用いる、分散剤。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の分散剤と、
フッ素樹脂と、を含む分散体。
【請求項9】
請求項8に記載の分散体が塗布された物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤、分散体及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂は、撥水性や撥油性に優れる一方で溶剤への分散性が小さいことが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、溶剤へのフッ素樹脂の分散性を向上させるためのフッ素樹脂用分散剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-110697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のフッ素樹脂用分散剤は、油に対する分散性において改善の余地があった。このため、油にフッ素樹脂を分散させることができる技術の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することができる。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、油にフッ素樹脂を分散させる分散剤が提供される。この分散剤は、
下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)と、
下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含む。
-Cb-R-O-X (1)
(式中、Rはパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、Cbはエステル結合、アミド結合、およびウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの連結基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
-O-X (2)
(式中、Rは直鎖または分岐の炭化水素基であって炭素数が4以上22以下の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
【0008】
(2)上記形態の分散剤において、前記構成モノマー(a)中の前記(メタ)アクリレート化合物(a1)及び前記(メタ)アクリレート化合物(a2)の合計の含有割合((a1+a2)/a)は、80質量%以上であってもよい。
【0009】
(3)上記形態の分散剤において、Rは炭素数が18の直鎖の炭化水素基であってもよい。
【0010】
(4)上記形態の分散剤において、前記構成モノマー(a)中の前記(メタ)アクリレート化合物(a1)の含有割合((a1)/a)は、30質量%以上70質量%以下であってもよい。
【0011】
(5)上記形態の分散剤において、前記Rは、CFCFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)であり、nは0以上の数であってもよい。
【0012】
(6)上記形態の分散剤において、前記nが0または1であってもよい。
【0013】
(7)上記形態の分散剤において、鉱物油に用いてもよい。
【0014】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、分散剤とフッ素樹脂とを含む分散体や、分散体が塗布された物品、分散剤の製造方法等の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本実施形態の分散剤によれば、油にフッ素樹脂を分散させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.分散剤
本発明の一実施形態である分散剤は、油にフッ素樹脂を分散させる分散剤であり、(i)下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)と、(ii)下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含む。
-Cb-R-O-X (1)
(式中、Rはパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、Cbはエステル結合、アミド結合、およびウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの連結基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
-O-X (2)
(式中、Rは直鎖または分岐の炭化水素基であって炭素数が4以上22以下の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
【0017】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、本明細書において、「一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)」は、単に、「(メタ)アクリレート化合物(a1)」とも呼ぶ。「一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物(a2)」は、単に、「(メタ)アクリレート化合物(a2)」とも呼ぶ。
【0018】
本実施形態の分散剤は、油にフッ素樹脂を分散させることができる。このような効果を奏するメカニズムは定かではない。しかし、推定メカニズムとしては、(メタ)アクリレート化合物(a1)のパーフルオロ(ポリ)エーテル基がフッ素樹脂との親和性を高めていると考えられるとともに、(メタ)アクリレート化合物(a2)の直鎖または分岐の炭化水素基が油との親和性を高めていることが考えられる。
【0019】
本明細書において、「フッ素樹脂」とは、フッ素を含有する樹脂を意味する。フッ素樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、クロロトリフルオロエチレン-エチレン共重合体(FCTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げられる。分散剤が分散性を効果的に付与する観点から、フッ素樹脂としてはPTFEとPFAとが好ましく、PTFEがより好ましい。
【0020】
油としては、例えば、鉱物油、動物油、植物油、水素添加油脂、エステル交換油脂等が挙げられる。鉱物油は、石油、天然ガス、石炭など地下資源由来の炭化水素化合物を含む油である。動物油は、動物の体組織から採取される油である。動物油としては、特に限定されないが、例えば、ヘット、ラード、馬脂、骨脂、魚油、乳酪脂等が挙げられる。植物油は、植物の種子や果実から採取した油である。植物油としては、特に限定されないが、例えば、なたね油、コーン油、オリーブ油、米油、パーム油、パーム核油、ヤシ油等が挙げられる。本実施形態の分散剤は、鉱物油に好適に用いることができる。
【0021】
<(メタ)アクリレート化合物(a1)>
本実施形態における(メタ)アクリレート化合物(a1)は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物である。
-Cb-R-O-X (1)
(式中、Rはパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、Cbはエステル結合、アミド結合、およびウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの連結基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
【0022】
本明細書において、パーフルオロ(ポリ)エーテル基は、パーフルオロポリエーテル基またはパーフルオロエーテル基を意味する。また、本明細書において、パーフルオロエーテル基は、パーフルオロアルキル基とエーテル結合とを備え、パーフルオロポリエーテル基は、パーフルオロアルキル基とパーフルオロアルキレン基とエーテル結合とを備える。なお、エステル結合とは、「-C(=O)-O-」を示し、アミド結合とは、「-C(=O)-NH-」を示し、ウレタン結合とは、「-NH-C(=O)-O-」を示す。
【0023】
Cbは、分散性を向上させる観点から、エステル結合を含むことが好ましい。また、Rは、分散性および溶解性を向上させる観点から、CFCFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)であってnは0以上の数であることが好ましく、CFCFCFOCF(CF)またはCFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)、すなわちnが0または1であることがより好ましく、nが0であることがさらに好ましい。また、Rは、分散性を向上させる観点から、炭素数1~6のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキレン基であることがより好ましく、Cであることがさらに好ましい。また、Xは、分散性および溶解性を向上させる観点から、メタクリロイル基であることが好ましい。なお、(メタ)アクリレート化合物(a1)は、一種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
(メタ)アクリレート化合物(a1)としては、例えば、側鎖型パーフルオロポリエーテル(PFPE)(メタ)アクリレート化合物と、直鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物(a1)としては、分散性を向上させる観点から、側鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。
【0025】
側鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、下記一般式(4)~(7)で表される化合物が挙げられる。以下の式中の平均繰り返し単位数nは、0以上の数であり、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、特に、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、特に、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましく、0であることがより一層好ましい。以下の式中の平均繰り返し単位数mは、0以上の数であり、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、特に、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。なお、下記一般式(4)~(7)では、いずれもメタクリロイル基を有する化合物を列挙しているが、メタクリロイル基の代わりにアクリロイル基を有する化合物についても側鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物に含まれる。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
直鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、下記一般式(8)~(11)で表される化合物が挙げられる。以下の式中の平均繰り返し単位数nは、0以上の数であり、30以下が好ましく、25以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、特に、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましく、特に、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましく、0であることがより一層好ましい。以下の式中の平均繰り返し単位数mは、0以上の数であり、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、特に、8以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、1以下がより一層好ましい。なお、下記一般式(8)~(11)では、いずれもメタクリロイル基を有する化合物を列挙しているが、メタクリロイル基の代わりにアクリロイル基を有する化合物についても直鎖型PFPE(メタ)アクリレート化合物に含まれる。
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
<(メタ)アクリレート化合物(a2)>
本実施形態における(メタ)アクリレート化合物(a2)は、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物である。
-O-X (2)
(式中、Rは直鎖または分岐の炭化水素基であって炭素数が4以上22以下の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
【0036】
(メタ)アクリレート化合物(a2)において、上記Rは、油への分散性に優れるため、直鎖の炭化水素基であることが好ましい。また、上記Rは、油への分散性に優れるため、炭素数が8以上22以下の炭化水素基であることが好ましく、炭素数が10以上22以下の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数が15以上20以下の炭化水素基であることがさらに好ましく、炭素数が18の直鎖の炭化水素基であることが最も好ましい。
【0037】
具体的には、(メタ)アクリレート化合物(a2)としては、例えば、n-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n-テトラデシルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート等のアクリレート化合物;n-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-ペンチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n-テトラデシルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート等のメタクリレート化合物等が挙げられる。
【0038】
<その他>
本実施形態の共重合体を構成する構成モノマー(a)は、発明の目的に反しない範囲で、上記化合物(a1)、(a2)以外のモノマーを含んでいてもよい。このようなモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(3)で表される(メタ)アクリレート化合物(a3)が挙げられる。
-O-X (3)
(式中、Rは環状の炭化水素基を含む炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
【0039】
(メタ)アクリレート化合物(a3)は、上記一般式(3)で表される構造である限り特に限定されず、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
構成モノマー(a)中の(メタ)アクリレート化合物(a1)の含有割合(a1/a)は、特に限定されないが、分散性に優れるため、15質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、構成モノマー(a)中の(メタ)アクリレート化合物(a1)の含有割合(a1/a)は、分散性および溶解性に優れるため、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
【0041】
構成モノマー(a)中の(メタ)アクリレート化合物(a2)の含有割合(a2/a)は、特に限定されないが、分散性および溶解性に優れるため、15質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることがより一層好ましい。また、構成モノマー(a)中の(メタ)アクリレート化合物(a2)の含有割合(a2/a)は、分散性に優れるため、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
【0042】
構成モノマー(a)中の(メタ)アクリレート化合物(a1)及び(メタ)アクリレート化合物(a2)の合計の含有割合((a1+a2)/a)は、特に限定されないが、分散性に優れるため、80質量%以上100質量%以下であることが好ましく、85質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0043】
構成モノマー(a)における、(メタ)アクリレート化合物(a1)に対する(メタ)アクリレート化合物(a2)の含有割合(a2/a1)は、特に限定されないが、分散性に優れるため、25質量%以上400質量%以下であることが好ましく、40質量%以上300質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上250質量%以下であることがさらに好ましい。
【0044】
本実施の形態で用いる共重合体は、特に限定されないが、重量平均分子量が2,000以上であることが好ましく、2,500以上であることがより好ましく、3,000以上であることがさらに好ましく、5,000以上であることが特に好ましい。共重合体の重量平均分子量は、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることがさらに好ましく、20,000以下であることが特に好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、分散性に優れた分散剤が得られやすい。本明細書において、重量平均分子量は、GPCカラムクロマトグラフィ法を用いて、下記の条件で測定することができ、標準サンプルとして分子量300、2,000、8,000、及び20,000のポリエチレングリコールで校正したものを用いた。
【0045】
・装置:LC-20AD((株)島津製作所製)
・検出器:RID-20A((株)島津製作所製)
・カラム:Shodex GPC KF-G、KF-803、KF802.5、KF-802、KF-801を連結したもの(いずれも昭和電工(株)製)
・溶離液:テトラヒドロフラン
・サンプル注入:0.5重量%溶液、100μL
・流速:0.8mL/min
・温度:25℃
【0046】
次に、本実施形態の分散剤の製造方法を説明する。分散剤の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート化合物(a1)と、(メタ)アクリレート化合物(a2)と、溶剤と、を混合後加熱する方法が挙げられる。
【0047】
分散剤の製造に用いる溶剤は、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン、イソホロンなどの脂環族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールジアセテートなどのエステル系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジメチルプロピレンジグリコールなどのグリコールエーテル系溶剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられ、この中でも、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、ジメチルプロピレンジグリコールであることが好ましい。上述の溶剤は、2種以上を併用してもよい。
【0048】
重合方法は、特に限定されないが、溶液重合であることが好ましい。重合温度は、特に限定されないが、40~120℃の範囲が好ましい。重合時間は、特に限定されないが、4~15時間程度であることが好ましい。
【0049】
重合を行う際に重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤の使用量は特に限定されないが、一般に、構成モノマー100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましい。
【0050】
本実施形態の分散剤は、発明の目的に反しない範囲で、例えば、他の親水剤、その他の撥油剤、撥水剤、防虫剤、難燃剤、防シワ剤、帯電防止剤、柔軟仕上げ剤、防腐剤、芳香剤、酸化防止剤、乳化剤、樹脂添加剤等をさらに含有していてもよい。
【0051】
本実施形態の分散剤に用いる分散媒は、特に限定されない。分散媒としては、例えば、鉱物油が挙げられる。鉱物油としては、具体的には、例えば、コスモニュートラルシリーズ(コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、ダフニーシリーズ(出光興産(株)製)、スーパーオイルシリーズ(ENEOS(株)製)、モービルサームシリーズ((株)尾賀亀製、EMGルブリカンツ合同会社製)、ダイアナフレシアシリーズ(出光興産(株)製)等が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブチルアルコール、tert-ブタノール、ターピネオール等のアルコール類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘプタノン、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン等のケトン類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、シクロヘキシルアセテート等のエステル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピル、2-オキシプロピオン酸ブチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等のモノカルボン酸エステル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等の極性溶剤が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリコール類及びそのエステル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール類及びそのエステル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート等の溶剤が挙げられる。また、分散媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,1,1-トリクロルエタン等のハロゲン系溶剤や、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等の芳香族類が挙げられる。また、分散媒としては、例えば、水が挙げられる。上述の分散媒は、2種以上を併用してもよい。上述の分散媒の中でも、コスモニュートラルシリーズ(コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、ダフニーシリーズ(出光興産(株)製)、スーパーオイルシリーズ(ENEOS(株)製)、モービルサームシリーズ((株)尾賀亀製、EMGルブリカンツ合同会社製)、ダイアナフレシアシリーズ(出光興産(株)製)、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、エタノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸エチルが分散性の観点から好ましい。
【0052】
本実施形態の分散剤は、フッ素樹脂に対して油への優れた分散性を付与することができる。このため、本実施形態の分散剤は、例えば、ガラス、プラスチック、金属、電子基板、繊維製品、皮革、石材、木材、紙等を含む種々の物品のコーティング剤であって、フッ素樹脂を含むコーティング剤に用いることができる。このコーティング剤は、例えば、フライパンなどの調理器具や、自動車のボディに塗布してもよい。
【0053】
B.他の実施形態
他の実施形態として、例えば、上述の分散剤とフッ素樹脂とを含む分散体や、上述の分散体が塗布された物品が挙げられる。本実施形態の分散体は、例えば、様々な物品に塗布することにより用いることができる。また、本実施形態の分散体を塗布することにより、塗布したものに滑り性を付与することができる。本実施形態の分散体を塗布する対象物としては、特に限定されないが、例えば、OA機器、自動車部品、電子部品、カメラ部品、軸受、歯車、カム等が挙げられる。
【実施例0054】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
(使用原料)
(メタ)アクリレート化合物(a1)
(a1-1)
下記一般式(12)で表される化合物(SINOCHEM LANTIAN製、商品名:AC-500)
【0056】
【化9】
【0057】
(a1-2)
下記一般式(13)で表される化合物(SINOCHEM LANTIAN製、商品名:AC-600、平均繰り返し単位数n:1)
【0058】
【化10】
【0059】
(a1-3)
上記一般式(13)で表される化合物(SINOCHEM LANTIAN製、商品名:AC-1000、平均繰り返し単位数n:4)
【0060】
直鎖または分岐の炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(a2)
(a2-1)ステアリルメタクリレート(共栄社化学(株)製「ライトエステルS」)
(a2-2)ラウリルメタクリレート(共栄社化学(株)製「ライトエステルL」)
(a2-3)2-エチルヘキシルメタクリレート(共栄社化学(株)製「ライトエステルEH」)
【0061】
環状の炭素水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(a3)
(a3-1)イソボルニルアクリレート(共栄社化学(株)製「ライトアクリレートIB-XA」)
(a3-2)ベンジルメタクリレート(共栄社化学(株)製「ライトエステルBZ」)
【0062】
その他の(メタ)アクリレート化合物(a4)
(a4-1)メトキシポリエチレングリコール-メタクリレート(オキシエチレン基の平均繰り返し単位数:23)(日油(株)製「ブレンマー(登録商標)PME-1000」)
【0063】
溶剤
(c-1)酢酸エチル
(c-2)メチルエチルケトン(MEK)
(c-3)エチレングリコールジメチルエーテル(DMG)
(c-4)3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート((株)クラレ製「ソルフィットAC」)
【0064】
(実施例、比較例)
撹拌機、温度計、窒素導入管及び還流管を備えた反応容器に、後述する表1および表2に記載の配合割合で、(a1)~(a4)の化合物、及び、溶剤を加え、窒素置換を行った。続いて、t-ブチルパーオキシピバレート(日油(株)製、商品名:パーブチル(登録商標)PV)を、上記(a1)~(a4)の化合物の合計量100質量部に対して3質量部となるように加え、65℃で8時間反応させることにより分散剤を得た。
【0065】
作製した分散剤を用いて、以下の評価を行った。
【0066】
(分散剤外観)
作製した分散剤を、外径3.5cmのスクリュー管瓶((株)マルエム製No.8)2本に、一方は高さが10cmとなるよう、他方は高さが1cmとなるように注いだ。所定のアルファベット(MSゴシック、12ポイント)が印刷された用紙の上に各スクリュー管瓶を置き、上方からのアルファベットの視認により以下の3段階で外観を評価した。なお、分散剤がゲル状になった場合は、評価結果をDとした。
A:透明(高さ10cm、1cmいずれのスクリュー管瓶においても、下に記載されたアルファベットを読むことができる)
B:微濁(高さ10cmのスクリュー管瓶の下に記載したアルファベットは読むことができないが、高さ1cmのスクリュー管瓶の下に記載されたアルファベットは読むことができる)
C:白濁(高さ10cm、1cmいずれのスクリュー管瓶においても、下に記載されたアルファベットを読むことができない)
【0067】
(溶解性(トルエン))
分散媒としてのトルエン13.2質量部に、作製した分散剤0.8質量部を混合させた液体を作製した。この液体を、外径3.5cmのスクリュー管瓶((株)マルエム製No.8)2本に、一方は高さが10cmとなるよう、他方は高さが1cmとなるように注いだ。所定のアルファベット(MSゴシック、12ポイント)が印刷された用紙の上に各スクリュー管瓶を置き、上方からのアルファベットの視認により以下の3段階で外観を評価した。なお、液体がゲル状になった場合は、評価結果をDとした。
A:透明(高さ10cm、1cmいずれのスクリュー管瓶においても、下に記載されたアルファベットを読むことができる)
B:微濁(高さ10cmのスクリュー管瓶の下に記載したアルファベットは読むことができないが、高さ1cmのスクリュー管瓶の下に記載されたアルファベットは読むことができる)
C:白濁(高さ10cm、1cmいずれのスクリュー管瓶においても、下に記載されたアルファベットを読むことができない)
【0068】
(溶解性(鉱物油))
分散媒としての鉱物油(コスモ石油ルブリカンツ(株)製「コスモニュートラル100」)13.2gに、作製した分散剤0.8gを混合させた液体を作製した。この液体を、外径3.5cmのスクリュー管瓶((株)マルエム製No.8)に、高さが1cmとなるように注いだ。所定のアルファベット(MSゴシック、12ポイント)が印刷された用紙の上に各スクリュー管瓶を置き、上方からのアルファベットの視認により以下の3段階で外観を評価した。
A:透明または微濁(下に記載されたアルファベットを読むことができる)
B:白濁(下に記載したアルファベットは読むことができない)
C:白濁(下に記載されたアルファベットを読むことができず、共重合体の一部がゲル状になった)
D:分離(共重合体がゲル状になっており、共重合体が鉱物油に分散していない)
【0069】
(分散性(鉱物油))
スクリュー管瓶((株)マルエム製No.7)に、表1および表2に記載の割合で、分散剤と分散媒としての鉱物油(コスモ石油ルブリカンツ(株)製「コスモニュートラル100」)とを混合した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(南京天詩社製PTFE-0105A(平均粒子径2.5~4.5μm))を添加した。その後、超音波によってPTFEを分散させた。そして、分散直後の分散体をステンレス鋼の平織金網(関西金網(株)製)(200メッシュ、線径0.05mm)でろ過した後、室温(25℃)にて1時間静置させることにより不要な液体部分を平織金網から取り除いた。その後、PTFE残渣の質量を算出した。
【0070】
分散性評価には、PTFE残渣の質量をPTFEの仕込み量で除した値(%)を用いた。この値が小さいほど、分散性に優れるため好ましい。具体的には、分散性を、以下の4段階で評価した。なお、この値が100%を超えているものがある理由としては、鉱物油が平織金網上に残っていることが挙げられる。
A:50%未満
B:50%以上120%未満
C:120%以上200%未満
D:200%以上
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
上述の表1,2の結果から以下のことが分かった。つまり、(メタ)アクリレート化合物(a1)と、(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含む分散剤は、それ以外の分散剤と比較して、鉱物油への分散性が優れることが分かった。また、比較例と実施例とを比較することにより、トルエンへの溶解性に優れるものであっても、油への分散性に優れるとは限らないことが分かった。
【0074】
また、実施例2,11~13の結果から、様々な溶剤を分散剤の製造時において用いても、優れた分散性を有する分散剤が製造できることが分かった。
【0075】
また、実施例2,5,6の結果から、(メタ)アクリレート化合物(a2)としては、ステアリルメタクリレートを用いることが油への分散性の観点からより好ましいことが分かった。
【0076】
また、実施例1~4の結果から、構成モノマー(a)中の(メタ)アクリレート化合物(a1)の含有割合((a1)/a)は、30質量%以上70質量%以下であることが油への分散性の観点から好ましいことが分かった。
【0077】
また、実施例2,8,10の結果から、構成モノマー(a)中の(メタ)アクリレート化合物(a1)として、パーフルオロ(ポリ)エーテル基がCFCFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)であって、nが0または1であるものを用いることが油への分散性の観点から好ましいことが分かった。
【0078】
〈不可能・非実際的事情〉
本実施形態の分散剤は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(a1)と、下記一般式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物(a2)と、を含む構成モノマー(a)を重合して得られた共重合体を含む。
-Cb-R-O-X (1)
(式中、Rはパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、Cbはエステル結合、アミド結合、およびウレタン結合からなる群より選ばれるいずれか1つの連結基であり、Rは炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
-O-X (2)
(式中、Rは直鎖または分岐の炭化水素基であって炭素数が4以上22以下の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、Xはアクリロイル基またはメタクリロイル基である。)
【0079】
この共重合体の構造は複雑であるため、一般式で表すことは困難である。さらに、構造が特定されなければ、それに応じて定まるその物質の特性も容易にはできない。すなわち、本実施形態の分散剤が含有する共重合体を、その構造又は特性により直接特定することは不可能である。
【0080】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。