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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013290
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/06 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
F25D21/06 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117356
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】大木 達也
(72)【発明者】
【氏名】和田 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】舘野 恭也
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046BA01
3L046CA03
3L046CA12
3L046KA02
3L046LA08
3L046LA17
3L046MA01
3L046MA02
3L046MA04
3L046MA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ホットガス状の冷媒を用いて、短時間に効率的に蒸発器の除霜処理を行うことができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵室7と、冷媒が圧縮機21、凝縮器、蒸発器24の順に流れて再び圧縮機21に戻る冷却サイクルが実施される冷却回路と、圧縮機21の出側と蒸発器24の入側を直接繋ぐホットガスバイパス管と、庫内の気体を流動させるファン12と、を備え、ファン12により、下から上の向きに蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7に流入し、冷蔵室7内を流れた気体が再び蒸発器24の下側に戻るように気体が循環し、冷媒が流れる蒸発器24の熱交換パイプの入口及び出口が蒸発器24の上側に配置され、圧縮機21から吐出された冷媒をホットガスバイパス管を介して熱交換パイプの入口へ供給するホットガス除霜処理とともに、冷蔵室7内を流れた気体を蒸発器24の下側へ供給する気体除霜処理を行う第1の除霜プロセスを実施する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室と、
冷媒が圧縮機、凝縮器、蒸発器の順に流れて再び前記圧縮機に戻る冷却サイクルが実施される冷却回路と、
前記圧縮機の出側と前記蒸発器の入側を直接繋ぐホットガスバイパス管と、
庫内の気体を流動させるファンと、を備え、
前記ファンにより、下から上の向きに前記蒸発器を通過した気体が前記冷蔵室に流入し、前記冷蔵室内を流れた気体が再び前記蒸発器の下側に戻るように気体が循環し、
冷媒が流れる前記蒸発器の熱交換パイプの入口及び出口が前記蒸発器の上側に配置され、
前記圧縮機から吐出された冷媒を前記ホットガスバイパス管を介して前記熱交換パイプの入口へ供給するホットガス除霜処理とともに、前記冷蔵室内を流れた気体を前記蒸発器の下側へ供給する気体除霜処理を行う第1の除霜プロセスを実施することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記第1の除霜プロセスを開始した後、所定の時間が経過したときまたは前記冷蔵室を流れる気体の温度が所定の温度に達したとき、前記気体除霜処理を停止して、前記ホットガス除霜処理のみを行う第2の除霜プロセスを実施することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記圧縮機から吐出された冷媒が前記ホットガスバイパス管側に流れて前記ホットガス除霜処理が実施される開の状態と、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記凝縮器側に流れて通常動作が実施される閉の状態とに切り替える切替弁と、
前記蒸発器が配置された冷却流路から前記冷蔵室に気体が流れる開の状態と、前記冷却流路から前記冷蔵室に気体が流れない閉の状態とに切り替える冷蔵室ダンパと、
前記圧縮機、前記ファン、前記切替弁及び前記冷蔵室ダンパを制御する制御部と、
を更に備え、
前記制御部が、
前記圧縮機がオンの状態で前記切替弁を開にするとともに、前記ファンがオンの状態で前記冷蔵室ダンパを開にして前記第1の除霜プロセスを開始し、所定の時間が経過したときまたは前記冷蔵室を流れる気体の温度が所定の温度に達したとき、少なくとも前記冷蔵室ダンパを閉にすることにより、前記第1の除霜プロセスから前記第2の除霜プロセスに切り替えることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部が、
タイマによる計時データまたは前記冷蔵室内に配置された温度センサの測定データに基づいて、前記第1の除霜プロセスから前記第2の除霜プロセスへの切り替えを行うことを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
冷凍室と、
前記冷却流路から前記冷凍室に気体が流れる開の状態と、前記冷却流路から前記冷凍室に気体が流れない閉の状態とに切り替え可能な冷凍室ダンパと、
を更に備え、
前記制御部が、
前記第1の除霜プロセス及び前記第2の除霜プロセスを実施する間、前記冷凍室ダンパを閉の状態で維持することを特徴とする請求項3または4に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特にホットガス状の冷媒により蒸発器に付着した霜を除去する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷却回路の一部を構成する蒸発器は、周囲の水蒸気が冷やされることで霜が付着し、冷却性能が低下する虞がある。これに対処するため、冷却回路の一部を構成する圧縮機の下流に蒸発器の上流側へとつながるホットガスバイパス管を設け、ホットガスバイパス管を介して一時的に蒸発器に高温のガスを流すことで蒸発器を熱して除霜を行うホットガス除霜処理が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、圧縮機から吐出されたホットガス状の冷媒を、直接、蒸発器の熱交換パイプの入口に供給することにより、蒸発器を加熱して除霜処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-54287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたようなホットガス除霜処理では、供給するホットガス状の冷媒と熱交換パイプとの間の温度差が大きいので、熱交換パイプ内で冷媒の凝縮が生じる。蒸発器の熱交換パイプは、通常、蒸発器の上側の入口から、左右に蛇行しながら下側に延び、再び上側に戻って出口に達する。よって、凝縮した冷媒が蒸発器の下側に溜まるため、熱交換パイプの出側の温度上昇が鈍化するので、除霜処理の時間が長くなる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、ホットガス状の冷媒を用いて、短時間に効率的に蒸発器の除霜処理を行うことができる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る冷蔵庫は、
冷蔵室と、
冷媒が圧縮機、凝縮器、蒸発器の順に流れて再び前記圧縮機に戻る冷却サイクルが実施される冷却回路と、
前記圧縮機の出側と前記蒸発器の入側を直接繋ぐホットガスバイパス管と、
庫内の気体を流動させるファンと、
を備え、
前記ファンにより、下から上の向きに前記蒸発器を通過した気体が前記冷蔵室に流入し、前記冷蔵室内を流れた気体が再び前記蒸発器の下側に戻るように気体が循環し、
冷媒が流れる前記蒸発器の熱交換パイプの入口及び出口が前記蒸発器の上側に配置され、
前記圧縮機から吐出された冷媒を前記ホットガスバイパス管を介して前記熱交換パイプの入口へ供給するホットガス除霜処理とともに、前記冷蔵室内を流れた気体を前記蒸発器の下側へ供給する気体除霜処理を行う第1の除霜プロセスを実施することを特徴とする。
【0007】
ホットガス状の冷媒を用いてホットガス除霜処理を行うとき、蒸発器の熱交換パイプが低温なので、冷媒が凝縮して冷媒が蒸発器の下側に溜まる虞がある。しかし、本発明によれば、冷蔵室内を流れて温度が上昇した気体を蒸発器の下側へ供給することにより、蒸発器の下側の領域を温めて、冷媒の凝縮を抑制し、冷媒が蒸発器の下側に溜まるのを抑制することができる。よって、ホットガス状の冷媒を用いて、短時間に効率的に蒸発器の除霜処理を行うことができる冷蔵庫を提供することができる。
【0008】
また、本発明に係る冷蔵庫は、
前記第1の除霜プロセスを開始した後、所定の時間が経過したときまたは前記冷蔵室を流れる気体の温度が所定の温度に達したとき、前記気体除霜処理を停止して、前記ホットガス除霜処理のみを行う第2の除霜プロセスを実施することを特徴とする。
【0009】
冷蔵室を流れる気体を用いた気体除霜処理を継続すると、循環する気体の温度が上昇し、冷蔵室内の温度が上昇する虞がある。本発明によれば、所定の時間が経過したときまたは冷蔵室を流れる気体の温度が所定の温度に達したとき、気体除霜処理を停止して、ホットガス除霜処理のみを行う。これにより、冷蔵室の温度上昇を抑制しながら、蒸発器の除霜処理を効率的に行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る冷蔵庫は、
前記圧縮機から吐出された冷媒が前記ホットガスバイパス管側に流れて前記ホットガス除霜処理が実施される開の状態と、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記凝縮器側に流れて通常動作が実施される閉の状態とに切り替える切替弁と、
前記蒸発器が配置された冷却流路から前記冷蔵室に気体が流れる開の状態と、前記冷却流路から前記冷蔵室に気体が流れない閉の状態とに切り替える冷蔵室ダンパと、
前記圧縮機、前記ファン、前記切替弁及び前記冷蔵室ダンパを制御する制御部と、
を更に備え、
前記制御部が、
前記圧縮機がオンの状態で前記切替弁を開にするとともに、前記ファンがオンの状態で前記冷蔵室ダンパを開にして前記第1の除霜プロセスを開始し、所定の時間が経過したときまたは前記冷蔵室を流れる気体の温度が所定の温度に達したとき、少なくとも前記冷蔵室ダンパを閉にすることにより、前記第1の除霜プロセスから前記第2の除霜プロセスに切り替えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、制御部が、圧縮機、ファン、切替弁及び冷蔵室ダンパを制御することにより、確実に第1の除霜プロセス及び第2の除霜プロセスを行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る冷蔵庫では、
前記制御部が、
タイマによる計時データまたは前記冷蔵室内に配置された温度センサの測定データに基づいて、前記第1の除霜プロセスから前記第2の除霜プロセスへの切り替えを行うことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、タイマまたは温度センサのデータに基づいて、的確なタイミングで第1の除霜プロセスから第2の除霜プロセスへ切り替えを行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る冷蔵庫は、
冷凍室と、
前記冷却流路から前記冷凍室に気体が流れる開の状態と、前記冷却流路から前記冷凍室に気体が流れない閉の状態とに切り替える冷凍室ダンパと、
を更に備え、
前記制御部が、
前記第1の除霜プロセス及び前記第2の除霜プロセスを実施する間、前記冷凍室ダンパを閉の状態で維持することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、冷凍室ダンパを閉の状態で維持する制御により、冷凍室の温度が上昇するのを確実に抑制しながら、第1の除霜プロセスや第2の除霜プロセスを実施することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ホットガス状の冷媒を用いて、短時間に効率的に蒸発器の除霜処理を行うことができる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図である。
図2】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の冷却回路の構成を示す線図である。
図3】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫における蒸発器回りの配管を示す図である。
図4】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の除霜に関連する制御システムを示す線図である。
図5A】ホットガス除霜処理及び気体除霜処理を行う場合の制御を示すタイムチャートである。
図5B】ホットガス除霜処理のみを行う場合の制御を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。以下に説明する冷蔵庫は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。下記の記載及び線図を除く図面における上下方向は、三次元空間における鉛直方向を示す。
【0019】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1を模式的示す側面断面図である。はじめに図1を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の概要を説明する。
【0020】
冷蔵庫1は筐体2を有し、水平な床面に載置された状態において、筐体2の前方部分に回転可能に取り付けられた上扉3及び下扉4を備える。筐体2の内部(以下、「庫内」と称する)には、冷凍室6及び冷蔵室7が配置されている。筐体2の内面と冷凍室6、冷蔵室7の外面との間には、断熱材が配置されている。
【0021】
<冷却流路>
図1に示すように、冷凍室6及び冷蔵室7の後方には、それぞれ仕切板11A,11Bで仕切られた下側冷却流路10A及び上側冷却流路10Bで構成された冷却流路10が設けられている。冷却流路10(詳細に述べれば下側冷却流路10A)には、蒸発器(エバポレータ)24が配置されている。蒸発器24は後述するように、冷蔵庫1の冷却回路20の一部を構成する。冷却流路10内の蒸発器24の上方には、ファン12が配置されている。ファン12により、庫内の気体を流動させることができ、蒸発器24を通過して冷却された気体を、冷却流路10から冷凍室6や冷蔵室7に供給することができる。
【0022】
下側仕切り板11Aの上側の開口には、冷凍室ダンパ13が配置されている。冷凍室ダンパ13が開の状態では、蒸発器24を通過した気体が、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流れる。一方、冷凍室ダンパ13が閉の状態では、蒸発器24を通過した気体が、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流れないようになる。図1では、冷凍室ダンパ13が閉の状態を示す。
【0023】
ファン12が稼働し、冷凍室ダンパ13が開の場合には、冷却流路10(下側冷却流路10A)から冷凍室6に流入した気体は、冷凍室6内を循環して、下側仕切板11Aの下側の開口から、冷却流路10(下側冷却流路10A)に戻る。これにより、気体は再び蒸発器24を通過して冷却され、同様な流動サイクルを繰り返す。これにより、冷凍室6の貯蔵物を冷却することができる。
【0024】
ただし、冷凍室6への気体を流入させるか否かの切り替えは、冷凍室ダンパ13を用いる場合に限られるものではない。例えば、ファン12の外側を覆う可動式のファンカバーを用いることもできる。ファンカバーが開の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入し、ファンカバーが閉の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入しないようにすることができる。
【0025】
更に、下側冷却流路10A及び上側冷却流路10Bの間には、冷蔵室ダンパ14が配置されている。冷蔵室ダンパ14が開の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから上側冷却流路10Bに流れる。更に、上側冷却流路10Bに流入した気体は、複数の高さ位置に設けられた各開口を介して、冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入する。一方、冷蔵室ダンパ14が閉の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから上側冷却流路10Bに流れないようになる。図1では、冷蔵室ダンパ14が開の状態を示し、そのときの気体の流れを点線の矢印で模式的に示す。
【0026】
ファン12が稼働し、冷蔵室ダンパ14が開の場合には、冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入した気体は、冷蔵室7内を循環して、冷蔵室7の下側に開口した戻り流路15の入口15Aへ流入する。蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7内を循環する間に、冷凍室6の貯蔵物を冷却することができる。
【0027】
(戻り流路)
戻り流路15は、冷蔵室7を循環した気体が、冷凍室6内を流れることなく、冷却流路10(下側冷却流路10A)の下側に流入するようにする流路である。戻り流路15は、冷却流路10から仕切られて配置されている。冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入し、冷蔵室7内を循環した気体は、入口15Aから戻り流路15に流入する。そして、流入した気体は、戻り流路15内を流れて、下側の出口15Bから、冷却流路10(下側冷却流路10A)の下側に流入する。つまり、気体は、冷却流路10(下側冷却流路10A)内に配置された蒸発器24の下側に流入する。これにより、気体は再び蒸発器24を通過して冷却され、同様な流動サイクルを繰り返す。これにより、冷蔵室7の貯蔵物を冷却することができる
【0028】
筐体2の後方かつ下部には、機械室40が配置され、圧縮機21、凝縮器22、蒸発皿(図示せず)等が配置されている。
【0029】
<冷却回路>
図2は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の冷却回路20の構成を示す線図である。次に、図2を参照しながら、冷却回路20の概要を説明する。
【0030】
冷却回路20は、圧縮機(コンプレッサ)21と、凝縮器(コンデンサ)22と、キャピラリチューブ23と、蒸発器24とを備える。冷却回路20の各構成要素間は、後述するように配管によって上記の順で流体的に接続されており、冷却回路20内で冷媒が循環する第1冷媒流路を形成している。図2に記載されている矢印は、冷媒の流れの向きを示している。
【0031】
圧縮機21は、気体状態の冷媒を圧縮し、高温高圧の状態にする。圧縮された冷媒は、配管25を通じて凝縮器22へと送られる。配管25は、後述するように切替弁(三方弁)31が設けられており、配管25aと配管25bとに分割されている。圧縮機21は、インバータを備えており、回転速度を変更することで圧縮機が単位時間あたりに吐出する冷媒の量を調整し、冷却回路20の冷却能力を制御することができる。凝縮器22は、圧縮機21で圧縮された冷媒の熱を放出させ、冷媒を凝縮する。凝縮した冷媒は、配管26を通じてキャピラリチューブ23へと送られる。
【0032】
キャピラリチューブ23は、凝縮器22で凝縮された冷媒の圧力を低下させて膨張させ、それに伴い温度を低下させる。膨張した冷媒は、配管27を通じて蒸発器24の熱交換パイプ24Aへと送られる。フィンで熱交換が促進される熱交換パイプ24Aでは、キャピラリチューブ23で減圧された冷媒を蒸発させ、吸熱する。蒸発して気体状態となった冷媒は、サクションパイプ28を通じて圧縮機21へと送られ、再度圧縮される。このようにして冷却回路20は動作する。本実施形態において、キャピラリチューブ23は、配管26と配管27を介して凝縮器22と蒸発器24に接続されているが、キャピラリチューブ23に配管26,27を含めてもよい。
【0033】
蒸発器24から圧縮機21へと冷媒を流すサクションパイプ28は、キャピラリチューブ23との間で熱交換できるように、少なくとも部分的にキャピラリチューブ23と近接して配置されている。図2において点線で囲われた領域29が当該熱交換部の概略を表している。
【0034】
蒸発器24は、冷蔵庫1内を流れる気体と熱交換するとき、気体に含まれる水蒸気が着霜する可能性がある。そこで、蒸発器24の除霜を行うために、本実施形態に係る冷蔵庫1では、後述するように、ホットガス除霜処理及び気体除霜処理を行う。ホットガス除霜処理では、圧縮機21で圧縮されたホットガス状の冷媒を用いる。そのため、冷却回路20は、圧縮機21の下流と凝縮器22の上流とを接続する配管25に接続されたホットガスバイパス管30を備える。当該接続部には、切替弁(三方弁)31が設けられており、切替弁(三方弁)31は、圧縮機21から配管25aを介して送られる冷媒を、凝縮器22(つまり配管25b)またはホットガスバイパス管30のいずれか一方に流すように変更できる。それにより、冷媒を凝縮器22へと流し蒸発器24を冷却させるか、ホットガスバイパス管30へと流し蒸発器24に対して除霜を行うか制御できる。ホットガスバイパス管30は、キャピラリチューブ23の下流と蒸発器24の上流とを接続する配管に接続される。
【0035】
ホットガスバイパス管30は、上述の冷却流路における、圧縮機21-配管25-凝縮器22-配管26-キャピラリチューブ23-配管27-蒸発器24の経路を冷媒が流れる第1冷媒流路とは異なる、圧縮機21-配管25-ホットガスバイパス管30-配管27-蒸発器24の経路を冷媒が流れる第2冷媒流路を構成する。本実施形態において、ホットガスバイパス管30の上流側端部は、配管25に接続されているが、この構成に限定するものではない。例えば、ホットガスバイパス管30の上流側端部は、凝縮器22の下流とキャピラリチューブ23の上流とを接続する配管26に接続されてもよい。
【0036】
切替弁(三方弁)31は、制御部100(図4参照)により開閉を制御される。制御部100は、配管25aを介して圧縮機21から吐出される冷媒を、通常動作時は凝縮器22(つまり配管25b)へ、後述するホットガス除霜処理では、ホットガスバイパス管30へと、冷媒を流すように切替弁(三方弁)31を制御する。
【0037】
本明細書において、冷蔵庫1が通常に動作している状態(つまり、冷蔵庫内部を冷却するようにまたは庫内温度を維持するように動作している状態)を適宜「通常動作」という。また、冷蔵庫1が蒸発器24を除霜するように動作している状態(つまり、冷媒が切替弁(三方弁)31からホットガスバイパス管30へと流れるように切替弁(三方弁)31を開き、蒸発器24にホットガスが流れるように冷蔵庫が動作している状態)を適宜「ホットガス除霜処理」という。
【0038】
<蒸発器回りの配管>
図3は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1における蒸発器24回りの配管を示す図である。図3に示すように、配管27を介して、キャピラリチューブ23が蒸発器24の熱交換パイプ24Aの入口24A1に接続されている。蒸発器24の熱交換パイプ24Aの出口24A2はサクションパイプ28に接続さている。蒸発器24の熱交換パイプ24Aの入口24A1も出口24A2も、蒸発器24の上側に配置されている。
【0039】
また、配管27は、蒸発器24との接続部より上流側で、ホットガスバイパス管30と接続されている。図3には、配管27(またはキャピラリチューブ23)及びホットガスバイパス管30の上流には、貫通部32が図示されている。配管27(またはキャピラリチューブ23)及びホットガスバイパス管30は、貫通部32を介して、筐体2の下側の領域を貫通するように配置されている。
【0040】
ホットガスバイパス管30は、冷蔵庫1が通常動作しているときは使用されない。しかし、当該通常動作時、凝縮器22から蒸発器24までの冷却流路において、冷媒の少なくとも一部は液体状態になっており、キャピラリチューブ23から蒸発器24へと流れる液冷媒が、ホットガスバイパス管30へと冷媒が通常流れる方向とは逆向きに流入する可能性がある。
【0041】
冷却回路20内の冷媒は、所定の冷却性能を満足するように所定量を注入される。従って冷媒がホットガスバイパス管30へと逆流すると、冷却回路20が通常動作時に有効に用いることができる冷媒が減少し、所定の冷却性能を満足しなくなる可能性がある。また、冷却性能が低下することで、圧縮機21からの冷媒の吐出量を増加させるなど、蒸発器24を冷却するように冷却回路20を動作させる割合が増加し、消費電力量が増加する可能性がある。
【0042】
そこで、本実施形態に係る冷蔵庫1のホットガスバイパス管30は、図3に示すように、ホットガスバイパス管30が配管27(またはキャピラリチューブ23)(以下、適宜、第1配管という)に対して、垂直方向(上下方向)上側から接続されるように構成されている接続部30aを有する。点Aがホットガスバイパス管30と第1配管27との結合点を表す。キャピラリチューブ23の下流である第1配管27に流れる冷媒は、基本的に液体状態で流動するため、重力により垂直方向下方へと流れやすい。従って本実施形態に係るホットガスバイパス管30の接続部30aのように、垂直方向上方から配管を結合することで、冷媒がホットガスバイパス管30へと流れるのを抑制することができる。
【0043】
また、図3に示すように、ホットガスバイパス管30に冷媒逆流防止部30bを設けてもよい。当該冷媒逆流防止部30bは、ホットガスバイパス管30の一部において、下流側に対して上流側が略垂直に立ち上がることで、ホットガスバイパス管30の上流側が下流側に対して垂直方向で上側に位置し、当該部位のさらに上流側において、垂直方向下側へと下がるように形成されている。
【0044】
このような垂直方向の位置が上昇して下降する下側が開いた略U字形状を設けることで、ホットガスバイパス管30へと液冷媒が流入したとしても、冷媒が冷媒逆流防止部30bの下流側である立ち上がっている部位を越えてさらにホットガスバイパス管30の上流側へと流入するのが困難になる。従って当該冷媒逆流防止部30bより上流側へと冷媒が流入するのを抑制することができ、冷媒がホットガスバイパス管30に流入する量を一定量以下に抑えることができる。なお、冷媒逆流防止部30bの代わりに、ホットガスバイパス管30の接続部30aと繋がる配管30cに逆止弁を設けることでも、上流側への冷媒流入を抑制することができる。
【0045】
これにより、冷却回路20の冷却性能の低下を抑え、消費電力量の増加を抑制することができる。また、冷却回路20に充填される冷媒の総量及び冷却の制御を、冷媒の減少量を考慮して(つまり、上述の点Aから冷媒逆流防止部30bまでの容積分は冷媒が減る可能性があることを考慮して)設計することもできる。
【0046】
当該冷媒逆流防止部30bは、筐体2の下側後方である、発泡断熱材等により外気と断熱されている部位に設けることができる。ただし、蒸発器24回りの配管は上記に限られるものではなく、少なくとも蒸発器24の熱交換パイプ24Aの入口24A1及び出口24A2が蒸発器24の上側に配置され、ホットガスバイパス管30が熱交換パイプ24Aの入口24A1に連通していれば、その他の任意の配管の配置も考えられる。
【0047】
(ホットガス除霜処理)
以上のように、圧縮機21を出たホットガス状の冷媒を、ホットガスバイパス管31を介して蒸発器24の熱交換パイプ24Aの入口24A1へ供給することにより、蒸発器24のホットガス除霜処理を行うことができる。ホットガス状の冷媒が熱交換パイプ24A内を流れることにより、熱交換パイプ24Aが加熱され、熱伝導でフィンも加熱される。これにより、蒸発器24に付いた霜を溶解し、溶解した液体が落下する。落下した液体は、蒸発器24の下側に配置された受け皿で受けられ、ドレン管を介して、機械室40内の蒸発皿へ流入する。蒸発皿へ流入した液体は、大気中に蒸発する。
【0048】
図3に示すように、蒸発器24の熱交換パイプ24Aは、蒸発器24の上側に位置する入口24A1から、左右に蛇行しながら下側に延び、最下点から再び左右に蛇行しながら上に戻って、蒸発器24の上側に位置する出口24A2に達する。図3では、熱交換パイプ24AAが蛇行しながら上側に戻るのを、省略して示してある。つまり、熱交換パイプ24Aの入口24A1及び出口24A2は、ともに蒸発器24の上側に位置している。
【0049】
ホットガス除霜処理のみを行う場合には、ホットガス状の冷媒と蒸発器24熱交換パイプ24Aとの間の温度差が大きいので、熱交換パイプ24A内で冷媒が凝縮して、凝縮した冷媒が蒸発器24の下側に溜まる。このため、熱交換パイプ24Aの出側の温度上昇が鈍化するため、除霜処理の時間が長くなる虞がある。そこで、本実施形態に係る冷蔵庫1では、ホットガス除霜処理に加えて、下記のような気体除霜処理を行うようになっている。
【0050】
(気体除霜処理)
上記のように、ファン12が稼働し、冷蔵室ダンパ14が開の場合には、冷却流路10(下側冷却流路10A)内に配置された蒸発器24を通過した気体は、冷却流路10(上側冷却流路10B)から冷蔵室7に流入し、冷蔵室7内を循環した後、戻り流路15を介して、冷却流路10(下側冷却流路10A)内に配置された蒸発器24の下側に戻る。このとき、冷蔵室7内を循環する気体は、冷蔵室内の貯蔵物等から熱を奪うので、戻り流路15に流入するときには、気体の温度が上昇している。この温度が上昇した気体が再び蒸発器24を通過するとき、蒸発器24を暖めることができる。
【0051】
特に、温度が上昇した気体が、熱交換パイプ24Aの下側の領域を通過するので、下側で気体が凝縮して溜まるのを効果的に抑制することができる。これにより、熱交換パイプ24Aの出口24A2側を含めた蒸発器24全体において、効果的な霜取りを行うことができる。
【0052】
(除霜処理のための制御システム)
図4は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の除霜に関連する制御システム100を示す線図である。次に、図4を参照しながら、上記のような除霜処理を行うための制御システム100の説明を行う。制御システム100は、冷蔵庫1の制御システムの一部を構成している。制御システム100は、冷蔵室50に配置された温度センサ50(図1参照)から測定データ(信号)を受けるようになっている。また、制御システム100は、タイマ51から計時データ(信号)を受けるようになっている。更に、制御システム100は、圧縮機21、ファン12、冷凍室ダンパ13、冷蔵室ダンパ14及び切替弁(三方弁)31に制御信号を送信するようになっている。
【0053】
(ホットガス除霜処理及び気体除霜処理を行う場合の制御)
図5Aは、ホットガス除霜処理及び気体除霜処理を行う場合の制御を示すタイムチャートである。本実施形態に係る冷蔵庫1では、制御システム100により、ホットガス除霜処理及び気体除霜処理を行う第1の除霜プロセスと、気体除霜処理を停止して、ホットガス除霜処理のみを継続する第2の除霜プロセスを行う。
【0054】
通常動作においては、庫内の温度状況に応じて、圧縮機21及びファン12のオンオフ、冷凍室ダンパ13、冷蔵室ダンパ14の開閉制御が適宜行われる。冷凍室6を冷却する場合には、圧縮機21及びファン12がオンの状態で、冷凍室ダンパ13を開にすることにより、蒸発器24を通過した気体を冷凍室6内に供給して冷却することができる。冷蔵室7を冷却する場合には、圧縮機21及びファン12がオンの状態で、冷蔵室ダンパ14を開にすることにより、蒸発器24を通過した気体を冷蔵室7内に供給して冷却することができる。圧縮機21及びファン12がオンの状態で、冷凍室ダンパ13及び冷蔵室ダンパ14を開にすることにより、蒸発器24を通過した気体を冷凍室6及び冷蔵室7内に供給して両室を冷却することができる。何れの場合でも、通常動作では、切替弁(三方弁)31を閉の状態で保持する。
【0055】
霜取りを行う場合には、はじめにホットガス除霜処理及び気体除霜処理の両方を行う第1の除霜プロセスを行う。具体的には、圧縮機21がオンの状態で切替弁(三方弁)31を開にする、または切替弁(三方弁)31を開にしてから圧縮機21をオンにすることにより、ホットガスバイパス管31を介してホットガス状の冷媒を蒸発器24に供給するホットガス除霜処理を行う。
【0056】
これと同時に、ファン12がオンの状態で冷蔵室ダンパ14を開にして、冷却流路10から冷蔵室7に気体を供給し、冷蔵室7内を循環して温度が上昇した気体を、蒸発器24の下側に供給する気体除霜処理を行う。これにより、ホットガス除霜処理及び気体除霜処理の両方を行う第1の除霜プロセスが開始される。このとき、冷凍室ダンパ13は常に閉にして、温度が上昇した気体が冷凍室6に流入するのを防ぐようになっている。
【0057】
気体除霜処理を継続すると冷蔵室7内を循環する気体の温度が上昇していくので、冷蔵室7内の温度が上がりすぎる可能性がある。このため、第1の除霜プロセスを開始した後、ある期間が経過したところで気体除霜処理を停止して、ホットガス除霜処理のみを継続する第2の除霜プロセスを行う。この場合にも、冷凍室ダンパ13は常に閉にして、温度が上昇した気体が冷凍室6に流入するのを防ぐようになっている。
【0058】
仮に、ファン12の外側を覆う可動式のファンカバーを用いる場合には、第1の除霜プロセス及び第2の除霜プロセスにおいて、常に、ファンカバーを閉の状態にして、温度が上昇した気体が冷凍室6に流入するのを防ぐようになっている。
【0059】
第1の除霜プロセスから第2の除霜プロセスへ切り替えるタイミングは、例えば、タイマ51による計時データを用いて、所定の時間が経過したタイミングで、ファン12をオフにし、冷蔵室ダンパ14を閉にする気体除霜処理を停止する制御処理を行うことができる。また、冷蔵室7内に配置された温度センサ50により計測された温度が所定の温度に達したときに、ファン12をオフにし、冷蔵室ダンパ14を閉にする気体除霜処理を停止する制御処理を行うこともできる。
【0060】
更に、タイマ51及び温度センサ50の両方の情報を用いて、第1の除霜プロセスから第2の除霜プロセスへ切り替えるタイミングを定めることができる。仮に、第2の除霜プロセスにおいて、冷凍室6,冷蔵室7以外に気体を流入させてもよい貯蔵室を備える場合には、冷蔵室ダンパ14は閉にするが、ファン12は稼働を継続する場合もあり得る。
【0061】
ホットガス除霜処理のみを行う第2の除霜プロセスを開始後、タイマ51による計時情報に基づいて、所定の時間が経過した時点で、第2の除霜プロセスを終了することができる。具体的には、開の状態になっていた切替弁(三方弁)31を閉にして、ホットガス除霜処理を停止して、冷却回路20を通常動作のモードに戻す。以上の第1及び第2の除霜プロセスにより、冷蔵室7内の温度が過度に上昇するのを防ぎながら、蒸発器24を効果的に除霜することができる。
【0062】
冷却回路20が通常動作のモードに戻り、蒸発器24が再び冷却された時点で、ファン12をオンにして、冷凍室ダンパ13や冷蔵室ダンパ14を開にすることにより、冷凍室6や冷蔵室7の冷却を行うことができる。
【0063】
図1では、温度センサ50が冷蔵室7の上側に配置されているように示されているが、これに限られるものではなく、温度センサ50を冷蔵室7内の任意の位置に配置することができる。また、冷却流路10内に温度センサを配置して、その温度センサによる温度データに基づいて、第1の除霜プロセスから第2の除霜プロセスへ切り替えるタイミングを定めることもできる。
【0064】
図5Bは、ホットガス除霜処理のみを行う場合の制御を示すタイムチャートである。参考までに、従来行われていたホットガス除霜処理のみを行う場合の制御は、以下のようになる。圧縮機21がオンの状態で切替弁(三方弁)31を開にする、または切替弁(三方弁)31を開にしてから圧縮機21をオンにすることにより、ホットガス除霜処理を開始する。ある期間が経過したところで、切替弁(三方弁)31を閉にして、ホットガス除霜処理を終了する。
【0065】
上記の実施形態では、冷蔵室7が蒸発器24の上側にあり、冷蔵室7内を流れた気体を、戻り流路15を介して蒸発器24の下側に戻しているが、これに限られるものではない。例えば、冷蔵室7が図1の冷凍室6が配置された位置にある場合には、冷蔵室7内を流れた気体がそのまま蒸発器24の下側に流入することになる。
【0066】
上記の実施形態では、切替弁31として三方弁を用いた場合を示しているが、これに限られるものではない。例えば、分岐箇所にT字管を取り付けて、分岐側(ホットガスバイパス管30側)に開閉弁を設けることでも、三方弁と同様な機能が得られる。この場合には、開閉弁が切替弁31として機能する。
【0067】
以上のように、本発明に係る冷蔵庫は、冷蔵室7と、冷媒が圧縮機21、凝縮器22、蒸発器24の順に流れて再び圧縮機21に戻る冷却サイクルが実施される冷却回路20と、圧縮機21の出側と蒸発器24の入側を直接繋ぐホットガスバイパス管30と、庫内の気体を流動させるファン12と、を備え、ファン12により、下から上の向きに蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7に流入し、冷蔵室7内を流れた気体が再び蒸発器24の下側に戻るように気体が循環し、冷媒が流れる蒸発器24の熱交換パイプ24Aの入口24A1及び出口24A2が蒸発器24の上側に配置され、圧縮機21から吐出された冷媒をホットガスバイパス管30を介して熱交換パイプ24Aの入口24A1へ供給するホットガス除霜処理とともに、冷蔵室7内を流れた気体を蒸発器24の下側へ供給する気体除霜処理を行う第1の除霜プロセスを実施する。
【0068】
ホットガス除霜処理のみを行う場合には、冷媒が凝縮して蒸発器の下側に溜まる虞があるが、気体除霜処理で、冷蔵室7内を流れて温度が上昇した気体を蒸発器24の下側へ供給することにより、蒸発器24の下側の領域を温めて、冷媒の凝縮を抑制し、冷媒が蒸発器24の下側に溜まるのを抑制することができる。よって、ホットガス状の冷媒を用いて、短時間に効率的に蒸発器の除霜処理を行うことができる冷蔵庫を提供することができる。
【0069】
更に、本実施形態に係る冷蔵庫1は、第1の除霜プロセスを開始した後、所定の時間が経過したときまたは冷蔵室7を流れる気体の温度が所定の温度に達したとき、気体除霜処理を停止して、ホットガス除霜処理のみを行う第2の除霜プロセスを実施する。
【0070】
冷蔵室7を流れる気体を用いた気体除霜処理を継続すると、循環する気体の温度が上昇し、冷蔵室7内の温度が上昇する虞がある。しかし、所定の時間が経過したときまたは冷蔵室7を流れる気体の温度が所定の温度に達したとき、気体除霜処理を停止して、ホットガス除霜処理のみを行うことにより、冷蔵室7の温度上昇を抑制しながら、蒸発器24の除霜処理を効率的に行うことができる。
【0071】
本実施形態に係る冷蔵庫1は、圧縮機21から吐出された冷媒がホットガスバイパス管30側に流れてホットガス除霜処理が実施される開の状態と、圧縮機21から吐出された冷媒が凝縮器22側に流れて通常動作が実施される閉の状態とに切り替える切替弁31と、蒸発器24が配置された冷却流路10から冷蔵室7に気体が流れる開の状態と、冷却流路10から冷蔵室7に気体が流れない閉の状態とに切り替える冷蔵室ダンパ14と、圧縮機21、ファン12、切替弁31及び冷蔵室ダンパ14を制御する制御部100と、を更に備え、制御部100が、圧縮機21がオンの状態で切替弁31を開にするとともに、ファン12がオンの状態で冷蔵室ダンパ14を開にして第1の除霜プロセスを開始し、所定の時間が経過したとき、または冷蔵室7を流れる気体の温度が所定の温度に達したとき、少なくとも冷蔵室ダンパ14を閉にすることにより、第1の除霜プロセスから第2の除霜プロセスに切り替える。
【0072】
このように、制御部100が、圧縮機21、ファン12、切替弁31及び冷蔵室ダンパ14を制御することにより、確実に第1の除霜プロセス及び第2の除霜プロセスを行うことができる。
【0073】
また、本実施形態に係る冷蔵庫1では、制御部100が、タイマ51による計時データまたは冷蔵室7内に配置された温度センサ50の測定データに基づいて、第1の除霜プロセスから第2の除霜プロセスへの切り替えを行うので、的確なタイミングで第1の除霜プロセスから第2の除霜プロセスへ切り替えを行うことができる。
【0074】
また、本実施形態に係る冷蔵庫1は、冷凍室6と、冷却流路10から冷凍室6に気体が流れる開の状態と、冷却流路10から冷凍室6に気体が流れない閉の状態とに切り替える冷凍室ダンパ13と、を更に備え、制御部100が、第1の除霜プロセス及び第2の除霜プロセスを実施する間、冷凍室ダンパ13を閉の状態で維持する。
【0075】
これにより、冷凍室6の温度が上昇するのを確実に抑制しながら、第1の除霜プロセス及び第2の除霜プロセスを実施することができる。
【0076】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0077】
1 冷蔵庫
2 筐体
3 上扉
4 下扉
6 冷凍室
7 冷蔵室
10 冷却流路
10A 下側冷却流路
10B 上側冷却流路
11A 下側仕切板
11B 上側仕切板
12 ファン
13 冷凍室ダンパ
14 冷蔵室ダンパ
15 戻り流路
15A 入口
15B 出口
20 冷却回路
21 圧縮機
22 凝縮器
23 キャピラリチューブ
24 蒸発器
24A 熱交換パイプ
24A1 入口
24A2 出口
25、26、27 配管
28 サクションパイプ
30 ホットガスバイパス管
31 切替弁(三方弁)
40 機械室
50 温度センサ
51 タイマ
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B