(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132917
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置
(51)【国際特許分類】
B65G 15/08 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B65G15/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038511
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】村井 康夫
【テーマコード(参考)】
3F023
【Fターム(参考)】
3F023AA02
3F023BA03
3F023BB01
3F023BC01
(57)【要約】
【課題】ベルト支承トラフ内で浮上するベルトの安定した走行が可能な浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置を提供する。
【解決手段】本発明の浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置50は、ヘッドプーリ49及びテールプーリ45に掛け渡したループ状のベルト12と、前記ベルト12の搬送方向に配設した筒状のベルト支承トラフ20,30を備え、前記ベルト支承トラフ20,30の下部内周面上で前記ベルト12を浮上させて走行させる浮上式ベルトコンベヤ10に配置され、前記下部内周面と対向する前記ベルト面に滑り粉51を塗布する浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置50であって、
前記ベルト支承トラフ20,30の入口側の前記下部内周面と対向するベルト面に接触して従動する回転体を介して前記滑り粉51を塗布する塗布手段52A,52Bを備えたことを特徴としている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドプーリ及びテールプーリに掛け渡したループ状のベルトと、前記ベルトの搬送方向に配設した筒状のベルト支承トラフを備え、前記ベルト支承トラフの下部内周面上で前記ベルトを浮上させて走行させる浮上式ベルトコンベヤに配置され、前記下部内周面と対向する前記ベルト面に滑り粉を塗布する浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置であって、
前記ベルト支承トラフの入口側の前記下部内周面と対向するベルト面に接触して従動する回転体を介して前記滑り粉を塗布する塗布手段を備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載された浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置であって、
前記ベルトの下面側から塗布する前記塗布手段は、前記ベルトの下面に接触して従動回転して前記滑り粉を塗布するブラシと、前記ブラシの外周に沿って囲むと共に前記滑り粉を内部に蓄えて前記滑り粉を回転する前記ブラシに接触させるケーシングを備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置であって、
前記ベルトの上面側から塗布する前記塗布手段は、前記ベルトの上面に接触して従動し前記ベルト上面に前記滑り粉を擦り付けて塗布するブラシと、前記ブラシの回転運動を伝達する回転運動伝達部を介して回転して所定量の前記滑り粉を前記ベルトの上面に散布する回転ドラムと、前記回転ドラムへ前記滑り粉を供給するホッパを備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置であって、
前記ベルトの上面側から塗布する塗布手段は、前記ベルトの上面に接触して従動する従動ローラと、前記従動ローラの回転運動を伝達する回転運動伝達部を介して所定量の前記滑り粉を前記ベルトの上面に散布する散布ローラと、前記散布ローラへ前記滑り粉を供給するホッパと、前記ベルト上面に前記滑り粉を擦り付けて塗布する塗布部を備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれか1に記載された浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置であって、
前記塗布手段の回転体を前記ベルト面に接触又は非接触させる昇降手段を備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト支承トラフ内でベルトを浮上させて走行させる浮上式ベルトコンベヤに配置されてベルト支承トラフの下部内周面と対向するベルト面に滑り粉を供給する浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送物を搬送するベルトコンベヤには、ベルト下面にガスを供給することによりベルトを浮上させた状態で搬送させる浮上式ベルトコンベヤが用いられている。この浮上式ベルトコンベヤはローラ式のベルトコンベヤに比べてローラとベルトの摺動による摩耗が少なくベルトの長寿命化が図れる。
しかし、ベルトを浮上させるベルト支承トラフ(以下、単にトラフということあり)の下部内周面とベルトの隙間はわずか数mm程度であり、搬送中に何らかの原因でベルトと下部内周面が局所的に接触することがある。そうするとベルトが摩耗して走行抵抗、摩擦抵抗が増大することがあった。
そこで、トラフ内部でベルトを駆動させる際に生じる摩擦抵抗を低減するために、トラフの下部内周面と対向するベルト面に滑り粉を塗布することが行われている。
滑り粉の具体的な供給方法は、ベルト下面に供給するガスの中に微粉、低摩擦体などを混入して、混合したガスによりベルトと下部内周面との摺動抵抗、摩擦抵抗を低減している。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
しかしながらガスに微粉などを混入して供給する方法では、ベルト面に付着する微粉にムラが生じることがあり摩擦抵抗の低減に寄与しないことがあった。
また微粉の塗布量に対するベルト面への付着効率が悪いなどのおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、ベルト支承トラフ内で浮上するベルトの摩擦抵抗を低減して安定した走行が可能な浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置を提供することにある。
また、滑り粉を効率良く塗布することができる浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、ヘッドプーリ及びテールプーリに掛け渡したループ状のベルトと、前記ベルトの搬送方向に配設した筒状のベルト支承トラフを備え、前記ベルト支承トラフの下部内周面上で前記ベルトを浮上させて走行させる浮上式ベルトコンベヤに配置され、前記下部内周面と対向する前記ベルト面に滑り粉を塗布する浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置であって、
前記ベルト支承トラフの入口側の前記下部内周面と対向するベルト面に接触して従動する回転体を介して前記滑り粉を塗布する塗布手段を備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、ベルト支承トラフの下部内周面と対向するベルト面に直に(物理的に)接触して滑り粉を効率良く塗布することができる。従ってベルト支承トラフ内で浮上するベルトの摩擦抵抗を低減した安定走行が実現できる。
また新たに駆動源を用いることなく安価かつ簡易な構成でベルト面に滑り粉を塗布することができる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記ベルトの下面側から塗布する前記塗布手段は、前記ベルトの下面に接触して従動回転して前記滑り粉を塗布するブラシと、前記ブラシの外周に沿って囲むと共に前記滑り粉を内部に蓄えて前記滑り粉を回転する前記ブラシに接触させるケーシングを備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、走行するベルト下面に接触して従動するブラシの簡易な構成によりベルト面に直に(物理的に)接触して滑り粉を塗布することができる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記ベルトの上面側から塗布する前記塗布手段は、前記ベルトの上面に接触して従動し前記ベルト上面に前記滑り粉を擦り付けて塗布するブラシと、前記ブラシの回転運動を伝達する回転運動伝達部を介して回転して所定量の前記滑り粉を前記ベルトの上面に散布する回転ドラムと、前記回転ドラムへ前記滑り粉を供給するホッパを備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置を提供することにある。
上記第3の手段によれば、走行するベルト上面に接触して従動するブラシの簡易な構成によりベルト面に直に(物理的に)接触して滑り粉を塗布することができる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1又は第2の手段において、前記ベルトの上面側から塗布する塗布手段は、前記ベルトの上面に接触して従動する従動ローラと、前記従動ローラの回転運動を伝達する回転運動伝達部を介して所定量の前記滑り粉を前記ベルトの上面に散布する散布ローラと、前記散布ローラへ前記滑り粉を供給するホッパと、前記ベルト上面に前記滑り粉を擦り付けて塗布する塗布部を備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置を提供することにある。
上記第4の手段によれば、走行するベルト上面に接触して従動するローラの構成によりベルト上面に滑り粉を散布して、塗布部となるモップで直に(物理的に)接触して塗布することができる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第5の手段として、第2ないし第4のいずれか1の手段において、前記塗布手段の回転体を前記ベルト面に接触又は非接触させる昇降手段を備えたことを特徴とする浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置を提供することにある。
上記第5の手段によれば、滑り粉の塗布と塗布停止を切り換えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベルト支承トラフの下部内周面と対向するベルト面に直に(物理的に)接触して滑り粉を効率良く塗布することができる。従ってベルト支承トラフ内で浮上するベルトの摩擦抵抗を低減した安定走行が実現できる。
また新たに駆動源を用いることなく安価かつ簡易な構成でベルト面に滑り粉を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】浮上式ベルトコンベヤを示す概略的な側面図である。
【
図4】ベルト下面側から滑り粉を塗布する塗布手段の説明図である。
【
図5】ベルト上面側から滑り粉を塗布する塗布手段の説明図である。
【
図6】ベルト上面側から滑り粉を塗布する塗布手段の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の浮上式ベルトコンベヤの滑り粉塗布装置の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0014】
[浮上式ベルトコンベヤ10]
図1は、浮上式ベルトコンベヤを示す概略的な側面図である。また、
図2は
図1のA-A’断面図である。なお、
図1に示す本実施形態における浮上式ベルトコンベヤは、いわゆるベルト反転装置を具備したものを例に挙げているが、これを具備しない場合でも本発明を適用することが可能である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る滑り粉塗布装置が設けられた浮上式ベルトコンベヤ(以下、単にベルトコンベヤということあり)10は、主に上下一対をなす円筒状のキャリア側ベルト支承トラフ(以下、キャリアトラフということあり)20及びU字筒状のリターン側ベルト支承トラフ(以下、リターントラフということあり)30と、これらキャリアトラフ及びリターントラフ20,30内を通るように配置されたループ状(無端状)のベルト12とを備えている。
【0015】
浮上式ベルトコンベヤ10は、キャリアトラフ及びリターントラフ20,30の下部に、例えばベルト12の走行方向に沿って所定間隔毎に複数形成されたガス注入孔21,31(
図2参照)から圧縮空気等のガスを噴き出すことによって、キャリアトラフ及びリターントラフ20,30の曲面状の下部内周面21a,31aとベルト12の下面とを離間させ、ベルト12を浮上させた状態で走行させる構造を備えている。
ガス注入孔21,31の下方には、ベルト12の走行方向に延びるガスダクト24,34が配置されており、各ガスダクト24,34には、給気管25,35が接続されている。この給気管25,35に図示しないガス供給装置から圧縮空気等のガスが供給される。なお、ガス注入孔21,31から各トラフ20,30の内部空間に供給されたガスは、各トラフ20,30に設けられた排気管26,36を介して外部に排出される。
また、浮上式ベルトコンベヤ10は、キャリアトラフ及びリターントラフ20,30のそれぞれの終端におけるベルト12の導入口及び排出口側に、それぞれフラット状のベルト12をU字(円弧)断面形状に湾曲させるためのベルト屈曲ガイド装置40を備えている。
【0016】
ベルト屈曲ガイド装置40は、キャリアトラフ及びリターントラフ20,30内においてベルト12がフラット状になることによって、例えばベルト12の幅方向両端部が各下部内周面21a,31aに強く擦られて、ベルト12や下部内周面21a,31aが偏摩耗してしまうことを防止するために設置されている。
更に、浮上式ベルトコンベヤには、リターントラフ30の始端及び終端においてベルト12の表面(搬送物の載置面)と裏面を反転させるベルト反転装置(以下、単に反転装置ということあり)42が備えられている。
また、浮上式ベルトコンベヤ10には、搬送物の供給口43側に供給側シュートカバー44及びテールプーリ45が備えられ、搬送物の排出口46側にエンドカバー47、排出側シュートカバー48及びヘッドプーリ49が備えられている。
【0017】
[滑り粉塗布装置50]
滑り粉塗布装置50は、ベルト支承トラフの入口側で下部内周面と対向するベルト面に接触して従動する回転体を介して滑り粉を塗布する塗布手段52を備えている。
(滑り粉塗布装置50の取付位置)
図3は滑り粉塗布装置の取付位置の説明図である。キャリア側ベルト支承トラフ20と、リターン側ベルト支承トラフ30に取り付ける滑り粉塗布装置50は、いずれもトラフの下部内周面と対向するベルト面側に取り付けている。具体的な取付位置は以下の通りである。
同図(1)に示す浮上式ベルトコンベヤ10は反転装置42を備えた構成であり、滑り粉塗布装置50は、キャリア側ベルト支承トラフ20の入口側のベルト下面側と、リターン側ベルト支承トラフ30の入口側の反転装置42手前のベルト上面に取り付けている。
同図(2)に示す浮上式ベルトコンベヤ10は反転装置42を備えた構成であり、滑り粉塗布装置50は、リターン側ベルト支承トラフ30の入口側の反転装置42手前のベルト上面のみに取り付けている。
同図(3)に示す浮上式ベルトコンベヤ10Aは反転装置を備えていない構成であり、滑り粉塗布装置50は、キャリア側ベルト支承トラフ20の入口手前のベルト下面側と、リターン側ベルト支承トラフ30の入口手前のベルト下面側に取り付けている。
このほか、キャリア側ベルト支承トラフ20の入口手前のベルト下面側に取り付けた構成のみであっても良い。
【0018】
本発明の塗布手段は、ベルトの下面側から塗布する構成(52A)と、ベルトの上面側から塗布する構成(52B,52C)がある。
(ベルト下面側からの塗布手段52A)
図4はベルト下面側から滑り粉を塗布する塗布手段の説明図である。
ベルト12の下面側から塗布する塗布手段52Aは、ベルト12の下面に接触して従動して滑り粉51を塗布するブラシ54と、ブラシ54の外周に沿って囲むと共に滑り粉51を内部に蓄えて回転するブラシ54に滑り粉を接触させるケーシング55を備えている。
回転体となるブラシ54はベルト12の幅方向とほぼ同じ長さの回転ブラシであり、ベルト12の長手方向と直交する方向に跨って取り付けている。ブラシ54の毛先先端はベルト面と所定圧力で接触するように配置して、ベルト12の走行中、ベルト面に毛先が接触するブラシ54が従動回転する。
ケーシング55は、ブラシ54の外周に沿って断面視でU字形に囲み、上部の開口がベルト下面と対向するようにしてベルト12の幅方向に跨って配置している。ケーシング55の下部内周面は、ブラシ54の毛先が接触するように設定し、内部に滑り粉51を充填している。
このような構成の塗布手段52Aは、ベルト12の走行中、ベルト下面に毛先が接触するブラシ54が従動回転する。外周を囲むケーシング55内で回転するブラシ54はケーシング55の下部内周面で滑り粉51に毛先が接触して滑り粉51が付着する。滑り粉51が付着した毛先はそのまま上方のベルト下面に直に(物理的に)接触して滑り粉51を塗布することができる。
【0019】
(ベルト上面側からの塗布手段52B)
図5はベルト上面側から滑り粉を塗布する塗布手段の説明図である。
ベルト12の上面側から塗布する塗布手段52Bは、ベルト12の上面に接触して従動しベルト上面に滑り粉51を擦り付けて塗布するブラシ54と、ブラシ54の回転運動を伝達する回転運動伝達部56を介して回転して所定量の滑り粉をベルト12の上面に散布する散布ローラ57となる回転ドラムと、回転ドラムへ滑り粉を供給するホッパ58を備えている。
回転体となるブラシ54はベルト12の幅方向とほぼ同じ長さの回転ブラシであり、ベルト12の長手方向と直交する方向に跨って取り付けている。ブラシ54の毛先先端はベルト面と所定圧力で接触するように配置して、ベルト12の走行中、ベルト面に毛先が接触するブラシ54が従動回転する。
散布ローラ57となる回転ドラムは、ベルト12の搬送方向において、ブラシ54の前方に配置されて上部に配置した滑り粉51を貯蔵するホッパ58から落下する滑り粉51を回転しながら所定量ずつベルト12の上面に供給するドラムである。回転ドラムとブラシ54はブラシ54の回転運動を伝達する回転運動伝達部56を介して接続している。回転運動伝達部56は、ギヤとチェーン、歯車の組合せなどで構成されており、ブラシ54の回転運動を回転ドラムに伝達するものである。
このような構成の塗布手段52Bは、ベルト12の走行中、ベルト上面に毛先が接触するブラシ54が従動回転する。ブラシ54の回転運動を伝達する回転運動伝達部56を介して回転ドラムも回転して、所定量の滑り粉51をベルト上面へ散布する。ベルト12の搬送方向において回転ドラムの後方に配置されたブラシ54は、滑り粉51をベルト上面にこすり付けて塗布することができる。
【0020】
図6はベルト上面側から滑り粉を塗布する塗布手段の変形例の説明図である。
変形例のベルトの上面側から塗布する塗布手段52Cは、ベルト12の上面に接触して従動する従動ローラ59と、従動ローラ59の回転運動を伝達する回転運動伝達部56を介して所定量の滑り粉51をベルト12の上面に散布する散布ローラ57と、散布ローラ57へ滑り粉51を供給するホッパ58と、ベルト上面に滑り粉51を擦り付けて塗布する塗布部となるモップ60を備えている。
回転体となる従動ローラ59は、ベルト12の幅方向とほぼ同じ長さの円筒体であり、ベルト12の長手方向と直交する方向に跨って取り付けている。従動ローラ59の外周面はベルト面と所定圧力で接触するように配置して、ベルト12の走行中、ベルト面に外周面が接触する従動ローラ59が従動回転する。
図6に示す散布ローラ57はベルト12の搬送方向において従動ローラ59の後方に配置されて上部に配置した滑り粉51を貯蔵するホッパ58から落下する滑り粉51を回転しながら所定量ずつベルト12の上面に供給する凹凸部を備えたローラである。このローラは、表面に凹凸部を備え、ローラ上のホッパ58を通過する際に滑り粉51が凹凸部に充填され、ベルト12面と対向する下方に回転すると凹凸部から滑り粉が落下してベルト12上に所定量ずつ散布できる。散布ローラ57と従動ローラ59は従動ローラ59の回転運動を伝達する回転運動伝達部56を介して接続している。回転運動伝達部56は、ギヤとチェーン、歯車の組合せなどで構成されており、従動ローラ59の回転運動を散布ローラ57に伝達するものである。
塗布部となるモップ60はベルト12の搬送方向において散布ローラ57の後方に配置されてベルト12の上面に所定圧力で接触してベルト上面に滑り粉51を引き伸ばして塗布する部材である。モップ60は部材にコーディロイ布、表面が起毛したパフ、スポンジ、プラスチック樹脂など所定の弾性力を有するものであり、ベルト12の上面に接触しても傷つけることなく、滑り粉51を引き伸ばすことができる。
このような構成の塗布手段52Cは、ベルト12の走行中、ベルト上面に接触する従動ローラ59が従動回転する。従動ローラ59の回転運動を伝達する回転運動伝達部56を介して散布ローラ57も回転して、所定量の滑り粉51をベルト上面へ散布する。ベルト12の搬送方向において散布ローラ57の後方に配置されたモップ60は、滑り粉51をベルト上面に引き伸ばして塗布することができる。
なお、
図5に示す散布ローラ57は、回転ドラムの構成で説明したが、回転しながら所定量を散布できる構成であればこれに限らず、
図6に示すようなローラの外周面に凹凸部を形成し、ホッパ58から落下する滑り粉を凹部に充填し、回転時に凹部から滑り粉を落下させるローラであっても良い。
またベルト上面に滑り粉51を引き伸ばして塗布するモップ60の他にも、ベルト面に毛先が接触して従動するブラシにより滑り粉51を引き伸ばして塗布する構成であっても良い。
【0021】
(塗布手段の昇降手段)
図7は塗布手段の昇降手段の説明図である。図示のように昇降手段70は、塗布手段52A,52B,52Cの回転体をベルト面に接触又は非接触させる伸縮機構を備えている。具体的な昇降手段70は、例えば、先端に塗布手段52A,52B,52Cのいずれか1(同図は塗布手段52Aを取り付けた例を示し、塗布手段52B又は52Cの場合は点線で示している)を取り付けたロッド及びシリンダからなり、ロッドを水平方向に伸縮移動する第1伸縮部材72と、第1伸縮部材72を取り付けたロッド及びシリンダからなり、ロッドを垂直方向へ伸縮移動する第2伸縮部材74を備えた構成である。昇降手段70は塗布手段52A,52B,52Cを配置するコンベヤベルト12の側方に配置している。なお、昇降手段70は、電動式、油圧式、圧縮空気式の駆動源を用いるほか、テレスコピック及びジャッキを用いた手動式であっても良い。
このような構成の昇降手段70は、ベルト12の下面側から滑り粉51を塗布する塗布手段52Aの場合、塗布手段52Aを第1伸縮部材72のロッド先端の上面に配置する。滑り粉51を塗布するときは第1伸縮部材72を伸長してベルト12の下面に塗布手段52Aを配置して、さらに第2伸縮部材74を伸長して塗布手段52Aの回転体となるブラシ54がベルト下面に所定圧力で接触するように配置する。
一方、滑り粉51を塗布しないときは、第2伸長部材74を縮小して塗布手段52Aの回転体をベルト下面から離す。また滑り粉51の補充、点検修理のメンテナンスのときには第1及び第2伸縮部材72,74を縮小して塗布手段52Aをベルト12の側方に配置してから行う。
またベルト12の上面側から滑り粉51を塗布する塗布手段52B,52Cの場合、塗布手段52B,52Cを第1伸縮部材72のロッド先端の下面に配置する。滑り粉51を塗布するときは第1伸縮部材72を伸長してベルト12の上面に塗布手段52B,52Cを配置して、さらに第2伸縮部材74を縮小して塗布手段52B,52Cの回転体がベルト上面に所定圧力で接触するように配置する。
一方、滑り粉51を塗布しないときは、第2伸縮部材74を伸長して(さらに第1伸縮部材72を縮小して)塗布手段52B,52Cの回転体をベルト上面から離す。また滑り粉51の補充、点検修理のメンテナンスのときには第2伸縮部材74を伸長し、第1伸縮部材72を縮小して塗布手段52B,52Cをベルト12の側方に配置してから行う。
【0022】
本発明の滑り粉塗布装置は、ベルト洗浄装置を組み合わせた構成であっても良い。
[ベルトの搬送物載置面と反対面のベルト洗浄装置]
図8はベルト洗浄装置の説明図である。図示のようにベルト洗浄装置において、第2の洗浄手段80を取り付ける浮上式ベルトコンベヤ10は、反転装置42と、ベルト12の搬送物載置面のベルトを洗浄する第1の洗浄手段90を備えている。
第2の洗浄手段80は、リターン側ベルト支承トラフ30の入口側にある反転装置42の手前であって、ベルト12の搬送物載置面と反対面、換言するとベルト支承トラフの下部内周面と対向する面側に取り付けている。第2の洗浄手段80は、ベルト面に付着した付着物を掻き取るスクレーパー82と、ベルト面に洗浄水を吹き付ける洗浄ノズル84と、第1の洗浄手段90と第2の洗浄手段80の間に位置し、ベルト12を両面から挟むようにしてベルト面に張力を与えて引き伸ばすテンションローラ86を備えている。
このような構成の第2の洗浄手段80は、テンションローラ86によるベルト面に張力を与えた状態で、リターン側ベルト支承トラフ30の入口側にある反転装置42の手前でベルト12の搬送物載置面と反対面の付着物をスクレーパー82により掻き取って、洗浄ノズル84の洗浄水で洗い流すことができる。その後、テンションローラ86によるベルト面に張力を与えた状態で、ベルト12の搬送物載置面側に取り付けた第1の洗浄手段90のスクレーパー92により付着物を掻き取って、洗浄ノズル94の洗浄水で洗い流すことができる。掻き取り又は洗い流した付着物は洗浄水と共に集水シュート96から外部へ排出される。
これにより、リターン側ベルト支承トラフ30を走行するベルト面を手前で反転装置42を用いて反転させたり、ベルト12の搬送物載置面の付着物を第1の洗浄手段90で洗浄したりする組合せではベルト12の摩擦抵抗を低減できない従来の構成と比べて、ベルト支承トラフの下部内周面と対向する面の付着物を除去することで、ベルト12の摩擦抵抗を確実に低減することができる。
なお第2の洗浄手段80は、スクレーパー82と洗浄ノズル84を組み合わせた構成の他にも、スクレーパー82のみを備えた構成であってもベルト12の反対面を十分に洗浄することができる。
またテンションローラ86のうち少なくとも1つをスクレーパー82とスクレーパー92の間に配置してテンションを調整することで、スクレーパー82とスクレーパー92をベルト12に押し付ける押付力を調整して、それぞれ異なる押付力に制御できる。
滑り粉塗布装置と洗浄装置を併用する場合は、ベルト12の洗浄装置の後方に滑り粉塗布装置を設けて滑り粉を塗布することが望ましい。
【0023】
このような本発明によれば、ベルト支承トラフの下部内周面と対向するベルト面に直に(物理的に)接触して滑り粉を効率良く塗布することができる。従ってベルト支承トラフ内で浮上するベルトの摩擦抵抗を低減した安定走行が実現できる。
また新たに駆動源を用いることなく安価かつ簡易な構成でベルト面に滑り粉を塗布することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0024】
10 浮上式ベルトコンベヤ
12 ベルト
20 キャリア側ベルト支承トラフ
21 ガス注入孔
21a 下部内周面
24 ガスダクト
25 給気管
26 排気管
30 リターン側ベルト支承トラフ
31 ガス注入孔
31a 下部内周面
34 ガスダクト
35 給気管
36 排気管
40 ベルト屈曲ガイド装置
42 ベルト反転装置
43 供給口
44 供給側シュートカバー
45 テールプーリ
46 排出口
47 エンドカバー
48 排出側シュートカバー
49 ヘッドプーリ
50 滑り粉塗布装置
51 滑り粉
52A,52B,52C 塗布手段
54 ブラシ
55 ケーシング
56 回転運動伝達部
57 散布ローラ
58 ホッパ
59 従動ローラ
60 モップ
70 昇降手段
72 第1伸縮部材
74 第2伸縮部材
80 第2の洗浄手段
82 スクレーパー
84 洗浄ノズル
86 テンションローラ
90 第1の洗浄手段
92 スクレーパー
94 洗浄ノズル
96 集水シュート