(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023132978
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】半導体封止用樹脂組成物および半導体装置
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20230914BHJP
C08L 61/06 20060101ALI20230914BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230914BHJP
C08K 5/524 20060101ALI20230914BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230914BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230914BHJP
C08G 59/62 20060101ALI20230914BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08L61/06
C08K3/013
C08K5/524
C08K3/22
C08K3/04
C08G59/62
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038612
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中居 厚志
(72)【発明者】
【氏名】安藤 元丈
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
4M109
【Fターム(参考)】
4J002CC04X
4J002CC05X
4J002CD00W
4J002CD02W
4J002CD04W
4J002CD05W
4J002CD06W
4J002CD07W
4J002CD14W
4J002DA039
4J002DE147
4J002DE237
4J002DF017
4J002DJ007
4J002DJ017
4J002DK007
4J002EU136
4J002EW068
4J002FD017
4J002FD099
4J002FD14X
4J002FD156
4J002FD208
4J002GJ02
4J002GQ05
4J036AA01
4J036AD07
4J036AD08
4J036AD21
4J036AF06
4J036DA02
4J036DC46
4J036FA02
4J036FA03
4J036FA05
4J036FA12
4J036FB07
4J036JA07
4M109AA01
4M109BA03
4M109CA21
4M109CA22
4M109EA03
4M109EB03
4M109EB04
4M109EB08
4M109EB12
4M109EB13
4M109EB18
(57)【要約】
【課題】樹脂の流動性に優れ、成形品の外観、強度及び難燃性を維持しつつワイヤ変形の低減及びパッケージの反りを低減できる半導体封止用樹脂組成物、並びに当該半導体封止用樹脂組成物を用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、及び(E)収縮率調整剤を含有し、
前記(E)収縮率調整剤は、最大粒径が105μm以下である一般式(1)で示される化合物であり、
樹脂組成物全量に対し、前記(D)無機充填材の含有量が60~95質量%、前記(E)収縮率調整剤の含有量が0.3~3.5質量%である半導体封止用樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、及び(E)収縮率調整剤を含有し、
前記(E)収縮率調整剤は、最大粒径が105μm以下である下記一般式(1)で示される化合物であり、
樹脂組成物全量に対し、前記(D)無機充填材の含有量が60~95質量%、前記(E)収縮率調整剤の含有量が0.3~3.5質量%である半導体封止用樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。)
【請求項2】
175℃におけるフロー粘度が15Pa・s以下であり、成形収縮率が0.30%以下である請求項1に記載の半導体封止用樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)エポキシ樹脂は、150℃における粘度が0.005Pa・s以上である請求項1又は2に記載の半導体封止用樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)フェノール樹脂は、150℃における粘度が0.005Pa・s以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
【請求項5】
前記(D)無機充填材は、平均粒子径が1~50μmである請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
【請求項6】
前記(D)無機充填材がアルミナである請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
【請求項7】
さらに(F)着色剤を含み、当該(F)着色剤がカーボンブラックである請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
【請求項8】
基板と、当該基板上に搭載された半導体素子と、当該半導体素子を封止してなる請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体封止用樹脂組成物の硬化物と、を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体封止用樹脂組成物および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC、LSI等の半導体チップの封止材として熱硬化性樹脂組成物が一般に用いられている。中でもエポキシ樹脂組成物は経済性と性能のバランスの点で優れた封止材である。エポキシ樹脂組成物は、例えば近年の電子機器の小型化、薄型化に伴い主流となっている表面実装の片面封止タイプのBGA(Ball Grid Array)パッケージ及びLGA(Land Grid Array)パッケージ、各種センサー封止用途、LEDのリフレクターに使用されるようになってきている。
ところが、片面封止タイプのパッケージ、センサーは近年のワイヤの細線化により成形時の封止樹脂の流動でワイヤ変形が起こりやすくなっているという問題がある。このワイヤ変形の低減には封止樹脂の高流動化が不可欠である。一般的に封止樹脂の流動性を高めるためには無機充填材の配合量を低減することが行われている。しかし、封止樹脂の高流動化のために無機充填材の配合量を低減させると成形後の樹脂収縮率が大きくなり片面封止タイプのパッケージでは反りが発生してしまい表面実装時に基板に搭載出来ないという問題が発生する。
この問題を解決する目的で、エポキシ樹脂組成物にエポキシ変性シリコーンレジン、又は液状エポキシ化ポリブタジエンを添加することが知られている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-152185号公報
【特許文献2】特開2012-7091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エポキシ変性シリコーンレジン又は液状エポキシ化ポリブタジエンの添加は、成形収縮率を低減するために、その添加量を増やした場合、成形品の外観汚れ、強度、及び難燃性の低下を招くおそれがあり、また、ワイヤ変形の低減とパッケージ反りの低減との両立が十分ではなかった。
【0005】
本開示は、このような実情に鑑みてなされたものであり、樹脂の流動性に優れ、成形品の外観、強度及び難燃性を維持しつつワイヤ変形の低減及びパッケージの反りを低減できる半導体封止用樹脂組成物、並びに当該半導体封止用樹脂組成物を用いた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、最大粒径が105μm以下である特定の構造を有する収縮率調整剤を所定量含有する半導体封止用樹脂組成物が、樹脂の流動性に優れ、成形品の外観、強度及び難燃性を維持しつつワイヤ変形の低減及びパッケージの反りを低減できることを見出した。
【0007】
すなわち、本開示は、以下に関する。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、及び(E)収縮率調整剤を含有し、前記(E)収縮率調整剤は、最大粒径が105μm以下である下記一般式(1)で示される化合物であり、樹脂組成物全量に対し、前記(D)無機充填材の含有量が60~95質量%、前記(E)収縮率調整剤の含有量が0.3~3.5質量%である半導体封止用樹脂組成物。
【0008】
【化1】
(式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。)
[2]基板と、当該基板上に搭載された半導体素子と、当該半導体素子を封止してなる上記[1]に記載の半導体封止用樹脂組成物の硬化物と、を有する半導体装置。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、樹脂の流動性に優れ、成形品の外観、強度及び難燃性を維持しつつワイヤ変形の低減及びパッケージの反りを低減できる半導体封止用樹脂組成物、並びに当該半導体封止用樹脂組成物を用いた半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示について、一実施形態を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[半導体封止用樹脂組成物]
本開示の半導体封止用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう)は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、及び(E)収縮率調整剤を含有し、前記(E)収縮率調整剤は、最大粒径が105μm以下である下記一般式(1)で示される化合物であり、樹脂組成物全量に対し、前記(D)無機充填材の含有量が60~95質量%、前記(E)収縮率調整剤の含有量が0.3~3.5質量%である。
【0012】
【0013】
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。
【0014】
〔(A)エポキシ樹脂〕
本開示で用いられる(A)エポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれも用いることができる。(A)エポキシ樹脂は、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。(A)エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)エポキシ樹脂は、低粘度であり、(D)無機充填材の含有量を増やせるという観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂であってもよい。
【0015】
(A)エポキシ樹脂は、常温(23℃)で固体として取り扱うことができ、150℃における粘度が0.005Pa・s以上であってもよく、0.01Pa・s以上であってもよい。また、(A)エポキシ樹脂は、150℃における粘度の上限が1.0Pa・s以下であってもよく、0.5Pa・s以下であってもよい。(A)エポキシ樹脂の150℃における粘度が上記範囲であれば製造が容易となり、樹脂組成物の成形体、例えば、タブレット又は圧縮成形用の粉砕粉を容易に作製でき、加温成形時の流動性が良好となる。
(A)エポキシ樹脂の150℃における粘度はICI粘度計(ASTM D4287、米国試験材料協会規格に準拠)により測定できる。
【0016】
(A)エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全量に対し、2~20質量%であってもよく、3~15質量%であってもよく、4~12質量%であってもよい。(A)エポキシ樹脂の含有量が2質量%以上であると硬化物の成形が可能になり、20質量%以下であると成形が容易となる。
【0017】
〔(B)フェノール樹脂〕
本開示で用いられる(B)フェノール樹脂は、主として成形性を高める作用を有する。(B)フェノール樹脂は、上記(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基と反応し得るフェノール性水酸基を一分子中に2個以上有するものであれば、特に制限なく使用できる。
(B)フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリスフェノールメタン型フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂、ホルムアルデヒドで変性したトリヒドロキシフェニルメタン型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂、フェニルアラルキル型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物などが挙げられる。(B)フェノール樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂、及びアラルキル型フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を用いてもよい。
【0018】
(B)フェノール樹脂は、低粘度であり難燃性が高いという観点から、多官能型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂であってもよく、トリフェノールメタン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、又はビフェニルアラルキル型フェノール樹脂であってもよい。
【0019】
(B)フェノール樹脂は、常温(23℃)で固体として取り扱うことができ、150℃における粘度が0.005Pa・s以上であってもよく、0.1Pa・s以上であってもよい。また、(B)フェノール樹脂は、150℃における粘度の上限が2.5Pa・s以下であってもよく、1.0Pa・s以下であってもよい。(B)フェノール樹脂の150℃における粘度が上記範囲であれば製造が容易となり、樹脂組成物の成形体、例えば、タブレット又は圧縮成形用の粉砕粉を容易に作製でき、加温成形時の流動性が良好となる。
(B)フェノール樹脂の150℃における粘度はICI粘度計(ASTM D4287、米国試験材料協会規格に準拠)により測定できる。
【0020】
(B)フェノール樹脂の含有量は、(A)エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量あたり、(B)フェノール樹脂中の水酸基が0.5~1.5当量であってもよく、0.5~1.2当量であってもよい。上記のような当量比で(B)フェノール樹脂を含有することにより、バランスのとれた性能を有する成形物が得られる。
【0021】
〔(C)硬化促進剤〕
本開示で用いられる(C)硬化促進剤は、エポキシ樹脂の硬化促進剤として一般に使用されているものであれば特に制限なく使用される。(C)硬化促進剤としては、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン化合物;これらのシクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物;ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合を持つ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物及びこれらの誘導体;2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン等のイミダゾール環を有するジアミノ-s-トリアジン化合物等のイミダゾール化合物及びこれらの誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;これらの有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合を持つ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムエチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムテトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート;2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及びこれらの誘導体等が挙げられる。(C)硬化促進剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
(C)硬化促進剤としては、流動性の観点から、イミダゾール化合物であってもよい。
【0023】
(C)硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物全量に対し、0.05~3.00質量%であってもよく、0.10~2.00質量%であってもよく、0.15~1.00質量%であってもよい。(C)硬化促進剤の含有量が0.05質量%以上であると硬化性の促進効果が得られ、3.00質量%以下であると充填性を良好にすることができる。
【0024】
〔(D)無機充填材〕
本開示で用いられる(D)無機充填材は、封止用樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限なく使用される。(D)無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維、ガラス繊維等を用いてもよい。(D)無機充填材は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
(D)無機充填材としては、熱膨張係数を低減する観点からは溶融シリカであってもよく、また熱伝導性を高める観点からは、アルミナであってもよい。半導体パッケージにおいては、チップから発生する熱を外部に放熱させるために熱伝導率を高くすることが望ましい。また、(D)無機充填材の形状は、成形時の流動性を向上させ、金型の摩耗を抑える観点からは、球形であってもよい。
【0026】
(D)無機充填材は、平均粒子径が1~50μmであってもよく、2~30μmであってもよい。(D)無機充填材の平均粒子径が上記範囲であると、樹脂組成物の流動性を高めることができる。また、片面封止タイプのパッケージにおいて、ワイヤ変形の低減、樹脂組成物の狭部充填性を向上させることができる。
本開示において平均粒子径とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて得られる体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)を意味する。また、平均粒子径は、(D)成分として複数種類の無機充填材が配合される場合には、配合される無機充填材の全体の平均粒子径を意味する。
【0027】
(D)無機充填材の含有量は、樹脂組成物全量に対し、60~95質量%である。(D)無機充填材の含有量が60質量%未満であると、樹脂組成物の成形収縮率が大きくなり、得られるパッケージに反りが発生するおそれがあり、95質量%を超えると、樹脂組成物の流動性、及び成形性が低下するおそれがある。このような観点から、(D)無機充填材の含有量は、封止用樹脂組成物全量に対し、70~90質量%であってもよい。
また、(D)無機充填材が、シリカの場合、その含有量は76~85質量%であってもよく、アルミナの場合、その含有量は85~91質量%であってもよい。
【0028】
〔(E)収縮率調整剤〕
本開示で用いられる(E)収縮率調整剤は、最大粒径が105μm以下である下記一般式(1)で示される化合物である。本開示の半導体封止樹脂組成物は、(E)収縮率調整剤を含有することにより、樹脂組成物の成形収縮率を低減し、得られるパッケージの反りを低減できる。この効果は、(E)収縮率調整剤が結晶核材となることによって得られ、さらに樹脂の流動性に悪影響を与えることがない。
【0029】
【0030】
一般式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基である。
R1及びR2の炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。R1及びR2は、tert-ブチル基、ヘキシル基であってもよい。
【0031】
一般式(1)で示される化合物としては、下記式(i)で示されるトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトであってもよい。(E)収縮率調整剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトを用いることにより、成形収縮率を低減する効果に加えて、難燃化の効果が発揮される。
【0032】
【0033】
(E)収縮率調整剤は、最大粒径が105μm以下である。(E)収縮率調整剤の最大粒径が105μmを超えると、成形物の表面にボイド、又はフローマークが生じ、得られるパッケージの外観を損ねるおそれがある。このような観点から、(E)収縮率調整剤の最大粒径は75μm以下であってもよく、53μm以下であってもよい。
ここで、「最大粒径」とは、乾式ふるい分け法により測定される粒径であって、試料の少なくとも95質量%が通過する篩のうち、最も目の細かい篩の目開きの寸法により規定される粒径をいう。
【0034】
(E)収縮率調整剤の最大粒径の調整方法は、粒径を105μm以下に粉砕可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カッティングミル、ボールミル、サイクロンミル、ハンマーミル、振動ミル、カッターミル、グラインダーミル、スピードミル等の粉砕機を用いた方法が挙げられる。
(E)収縮率調整剤の最大粒径は乾式ふるい分け法により測定できる。具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0035】
(E)収縮率調整剤の含有量は、樹脂組成物全量に対し、0.3~3.5質量%である。(E)収縮率調整剤の含有量が0.3質量%未満であると、樹脂組成物の成形収縮率を低減する効果が小さく、得られるパッケージの反りが大きくなるおそれがあり、3.5質量%を超えると、硬化物の強度が低下するおそれがある。このような観点から、(E)収縮率調整剤の含有量は、樹脂組成物全量に対し、0.3~3.0質量%であってもよく、0.5~2.5質量%であってもよい。
【0036】
〔(F)着色剤〕
本開示の半導体封止用樹脂組成物は、遮光性の観点から、さらに(F)着色剤を含んでもよい。
(F)着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブルー、クロムイエロー、フタロシアニンブルー、ベンガラ等が挙げられる。(F)着色剤は、カーボンブラックであってもよい。
【0037】
本開示の半導体封止用樹脂組成物が(F)着色剤を含有量する場合、その含有量は、封止用樹脂組成物全量に対し、0.05~3.00質量%であってもよく、0.10~2.00質量%であってもよく、0.15~1.00質量%であってもよい。
【0038】
〔その他の成分〕
本開示の半導体封止用樹脂組成物は、以上の各成分の他に、この種の組成物に一般に配合される離型剤、難燃剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、イオントラップ剤、カルナバワックス等のワックス等の添加剤を必要に応じて配合することができる。
本開示の半導体封止用樹脂組成物が上記添加剤を含有する場合、その含有量は、各々樹脂組成物全量に対し、0.05~3.00質量%であってもよく、0.10~2.00質量%であってもよく、0.15~1.00質量%であってもよい。
【0039】
本開示の半導体封止用樹脂組成物中、上記(A)~(E)成分の合計含有量は、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。
【0040】
〔半導体封止用樹脂組成物の物性〕
本開示の半導体封止用樹脂組成物は、175℃におけるフロー粘度が15Pa・s以下であってもよく、10Pa・s以下であってもよく、8Pa・s以下であってもよい。
本開示の半導体封止用樹脂組成物は、成形収縮率が0.30%以下であってもよく、0.28%以下であってもよく、0.25%以下であってもよい。
上記フロー粘度及び成形収縮率は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0041】
〔半導体封止用樹脂組成物の調製〕
本開示の半導体封止用樹脂組成物を調製するにあたっては、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、(E)収縮率調整剤、必要に応じて配合される(F)着色剤、及び各種添加剤をミキサー等によって十分に混合(ドライブレンド)した後、熱ロール、ニーダ等の混練装置により溶融混練し、冷却後、適当な大きさに粉砕すればよい。
上記粉砕方法は特に制限されず、一般的な粉砕機を用いることができる。粉砕機としては、カッティングミル、ボールミル、サイクロンミル、ハンマーミル、振動ミル、カッターミル、グラインダーミルを用いることができる。
【0042】
本開示の半導体封止用樹脂組成物は、各種電気部品、又は半導体素子等の各種電子部品の、被覆、絶縁、封止等に用いることができる。
【0043】
[半導体装置]
本開示の半導体装置は、基板と、当該基板上に搭載された半導体素子と、当該半導体素子を封止してなる上記半導体封止用樹脂組成物の硬化物と、を有する。
基板としては、インターポーザなどの配線基板、リードフレーム、フレキシブルプリント基板等が例示される。
半導体素子としては、トランジスタ、集積回路、ダイオード、サイリスタ等が例示される。
【0044】
本開示の樹脂組成物によって、基板上に搭載された半導体素子等の電子部品を封止する方法としては、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法が用いられる。この成形は、例えば、温度120~200℃、圧力2~20MPaで行うことができる。このような条件で半導体素子等の電子部品を成形封止することにより、パッケージの反りが小さく、実装時の作業性に優れた樹脂封止型の電子部品装置、半導体装置を得ることができる。特に、バンプにより接続するボールグリッドアレイ(BGA)、ランドグリットアレイ(LGA)などの片面封止パッケージに好適である。
【実施例0045】
次に実施例により、本開示を具体的に説明するが、本開示は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0046】
(実施例1~3、及び比較例1~7)
表1に記載の種類及び配合量の各成分を、二軸押し出し混練機で、混練温度100℃、混練時間5分間の条件で混練し、樹脂組成物を調製した。
実施例1~3で用いたトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトは、1Lの容量のボールミルにトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト100gと10mmのアルミナボール500gを投入し、30分間処理することで最大粒径50μmに粉砕した。また、比較例2で用いたトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトは、ボールミル処理を行わず、最大粒径700μmのものを使用した。
なお、上記実施例1~3で用いたトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト及び比較例2で用いたトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトの最大粒径は、所定の目開きの篩を用いて乾式ふるい分け法により、試料の少なくとも95質量%が通過する篩のうち、最も目の細かい篩の目開きの寸法とした。
【0047】
樹脂組成物の調製に使用した表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
【0048】
〔(A)エポキシ樹脂〕
・YX-4000:ビフェニル型エポキシ樹脂(商品名、三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:185、150℃における粘度:0.012Pa・s)
【0049】
〔(B)フェノール樹脂〕
・HE910-10:トリフェノールメタン型フェノール樹脂(商品名、エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル(株)製、水酸基当量:101、150℃における粘度:0.12Pa・s)
【0050】
〔(C)硬化促進剤〕
・2P4MHZ:2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名、四国化成工業(株)製)
【0051】
〔(D)無機充填材〕
・AL20-75R:球状アルミナ(商品名、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製、平均粒子径:15μm)
【0052】
〔(E)収縮率調整剤〕
・(E-1):IRGAFOS 168(商品名、BASF社製;トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト)を最大粒径:53μmに調整
【0053】
〔その他のホスファイト化合物〕
・(e-1):アデカスタブ 1500(商品名、(株)ADEKA製;テトラ-C12-15-アルキル(プロパン-2,2-ジイルビス(4,1-フェニレン))ビス(ホスファイト))
・(e-2):アデカスタブ PEP-36(商品名、(株)ADEKA製;3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン)
・(e-3):アデカスタブ PEP-8(商品名、(株)ADEKA製;3,9-ビス(オクタデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン
・(e-4):IRGAFOS 168(商品名、BASF社製;トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト)、最大粒径:700μm)
【0054】
〔フェノール系化合物〕
・(e-5):IRGANOX 1010(商品名、BASF社製;テトラキス[3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリトリトール)
【0055】
〔(F)着色剤〕
・MA-600:カーボンブラック(商品名、三菱ケミカル(株)製)
【0056】
〔その他の成分〕
・シランカップリング剤:KBM-403(商品名、信越化学工業(株)製)
・離型剤:カルナバワックス 1号(商品名、東洋ペトロライト(株)製)
・液状ポリブタジエンゴム:Ricon657(商品名、巴工業(株)製)
【0057】
〔評価項目〕
(樹脂組成物の評価)
(1)スパイラルフロー
ATSM3123に準じたスパイラルフロー測定金型を用いて、樹脂組成物を下記条件にて成形し、流動先端までの距離を測定した。
[成形条件]
金型温度:175℃
注入圧力:70kgf/cm2
成形時間:120秒
[判定基準]
上記の測定結果より次の基準で評価した。
A:220cm以上
B:190cm以上 220cm未満
C:150cm以上 190cm未満
D:150cm未満
【0058】
(2)ゲルタイム
175℃に保たれた熱板上で、樹脂組成物を直径4~5cmの円状に広げ、一定速度で練り合わせ、当該樹脂組成物が増粘し最終的に粘りがなくなるまでの時間を測定した。
[判定基準]
上記の測定結果より次の基準で評価した。
A:45秒以上
B:40秒以上 45秒未満
C:30秒以上 40秒未満
D:30秒未満
【0059】
(3)フロー粘度
高化式フロー測定装置((株)島津製作所製、製品名:CFT-500C)を用いて樹脂組成物を175℃、剪断応力 1.23×105Paの環境下に配置し、最低溶融粘度(η1)を測定した。
[判定基準]
上記の測定結果より次の基準で評価した。
A:7Pa・s未満
B:7Pa・s以上 15Pa・s未満
C:15Pa・s以上 20Pa・s未満
D:20Pa・s以上
【0060】
(4)成形収縮率
常温(23℃)で直径80mmとなる金型を用いて樹脂組成物を下記条件にて成形し、常温において、成形された樹脂組成物と金型の直径の寸法差から計算を行った。
成形収縮率=(常温の金型直径-常温の成形された樹脂組成物直径)/常温の金型直径×100
[成形条件]
金型温度:175℃
注入圧力:70kgf/cm2
成形時間:120秒
後硬化 :175℃、8時間
【0061】
(5)曲げ強度
下記条件で作製した4mm×10mm×80mmの試験片について、JIS K 6911:2006に依拠して、温度25℃にて測定した。
[試験片作製条件]
金型温度:175℃
注入圧力:70kgf/cm2
成形時間:120秒
後硬化 :175℃、8時間
[判定基準]
上記の測定結果より次の基準で評価した。
A:175MPa以上
B:130MPa以上 175MPa未満
C:100MPa以上 130MPa未満
D:100MPa未満
【0062】
(6)難燃性
UL-94規格に基づき、下記条件で作製した125mm×13mm×4mmの試験片について、難燃性試験を行った。
[試験片作製条件]
金型温度:175℃
注入圧力:70kgf/cm2
成形時間:120秒
後硬化 :175℃、8時間
【0063】
得られた試験片の上端をクランプで止めて試験片を垂直に固定し、下端に高さ20±1mmの青い所定の炎を10秒間当てて離し、試験片の燃焼時間(1回目の接炎後の燃焼時間;t1)を測定した。消火したら直ちに再び試験片の下端に炎を当てて離し、試験片の燃焼時間(2回目の接炎後の燃焼時間;t2)及びグロー時間(t3)を測定した。試験片5個について同じ測定を繰り返し、1回目の燃焼時間のデータ5個と、2回目の燃焼時間のデータ5個の、計10個のデータを得た。
[判定基準]
上記の測定結果より次の基準で評価した。
A:試験片1本あたりのt1が10秒以下かつ、t2が10秒以下かつ、t2+t3が30秒以下かつ、試験片5本の合計のt1+t2が50秒以下かつ、クランプまでの燃焼、滴下物による綿着火が無い。
B:Aの基準を満たさず、試験片1本あたりのt1が30秒以下かつ、t2が30秒以下かつ、t2+t3が60秒以下かつ、試験片5本の合計のt1+t2が250秒以下かつ、クランプまでの燃焼、滴下物による綿着火が無い。
C:Aの基準を満たさず、試験片1本あたりのt1が30秒以下かつ、t2が30秒以下かつ、t2+t3が60秒以下かつ、試験片5本の合計のt1+t2が250秒以下かつ、クランプまでの燃焼が無く、滴下物による綿着火が有る。
D:試験片1本あたりのt1が30秒よりも長いもしくは、t2が30秒よりも長いもしくは、t2+t3が60秒よりも長いもしくは、試験片5本の合計のt1+t2が250秒よりも長いもしくは、クランプまでの燃焼が有る。
【0064】
(パッケージ成型後の評価)
得られた樹脂組成物を用いて、下記条件にてトランスファー成形を行い、以下評価用パッケージを作製した。
[パッケージ作製条件]
金型温度:175℃
注入圧力:70kgf/cm2
成形時間:120秒
後硬化 :175℃、8時間
【0065】
(7)パッケージ外観
35mm×35mm PBGAパッケージ(封止サイズ29mm×29mm×1.04mm)を8個作製し、成形物の表面を観察し、ボイド又はフローマークの発生の有無を確認した。なお、評価は、以下のようにして実施した。
ボイド:実体顕微鏡を用いてパッケージ表面のボイドの有無を確認。
フローマーク:目視にてパッケージ表面のフローマークの有無を確認。
[判定基準]
上記の測定結果より次の基準で評価した。
A:表面にボイド及びフローマークの発生無し
B:1~5個のパッケージで表面にボイドもしくはフローマークの発生有り
C:6~8個のパッケージで表面にボイドもしくはフローマークの発生有り
【0066】
(8)パッケージ反り
BT基板(厚み:0.54mm)、ソルダーレジストPSR-4000 AUS-308を使用した35mm×35mm PBGAパッケージ(封止サイズ29mm×29mm×1.04mm)を作製した。得られたパッケージの反り量を、常温(23℃)で、AKROMETRIX社製のシャドウモアレ(PS200)を用いて測定した。
[判定基準]
上記の測定結果より次の基準で評価した。
A:パッケージの反り量が-50μm以上 50μm未満
B:パッケージの反り量が-100μm以上 -50μm未満、又は50μm以上 100μm未満
C:パッケージの反り量が-150μm以上 -100μm未満、又は100μm以上 150μm未満
D:パッケージの反り量が-150μm未満、又は150μm以上
【0067】
(9)ワイヤ流れ
FBGAパッケージ(175mm×49mm×0.45mm)を成形した後、X線検査装置(ポニー工業(株)製)を用いてワイヤ(Φ20μm、長さ3mm)の変形を観察し、最大変形部のワイヤ流れ率を測定した。
[判定基準]
上記の測定結果より次の基準で評価した。
A:3%未満
B:3%以上 5%未満
C:5%以上 10%未満
D:10%以上
【0068】
【0069】
最大粒径が105μm以下である特定の構造を有する(E)収縮率調整剤を所定量含有する実施例1~3の樹脂組成物は、樹脂の流動性に優れ、強度及び難燃性が高い。また、当該樹脂組成物で封止されたパッケージは、外観に優れ、ワイヤ変形及びパッケージの反りが低減されることがわかる。