(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133004
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】自己出力型放射線検出器、放射線検出システム、および原子炉出力監視装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/16 20060101AFI20230914BHJP
G01T 3/00 20060101ALI20230914BHJP
G21C 17/00 20060101ALI20230914BHJP
G21C 17/108 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G01T1/16 B
G01T3/00 D
G01T3/00 F
G21C17/00 500
G21C17/108 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038647
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】伏見 篤
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義人
(72)【発明者】
【氏名】木村 博幸
【テーマコード(参考)】
2G075
2G188
【Fターム(参考)】
2G075DA01
2G075DA08
2G075FA05
2G188AA19
2G188BB04
2G188BB09
2G188CC06
2G188CC39
2G188DD10
2G188DD11
2G188DD12
2G188DD35
2G188FF18
(57)【要約】
【課題】検出器内部の狭隘な領域に追加可能で、かつ、新たに検知用の信号線を追加することなく遠隔位置からエミッタが容器外に漏洩したことを検知することが可能な自己出力型放射線検出器、放射線検出システム、および原子炉出力監視装置を提供する。
【解決手段】自己出力型放射線検出器1は、放射線の照射により電子を放出する金属製の金属製エミッタ2と、金属製エミッタ2を密封する耐熱容器3と、金属製エミッタ2および耐熱容器3を内部に包含する金属製の金属製コレクタ7と、金属製エミッタ2を芯線13に接続し、金属製コレクタ7を金属製シース14に接続する同軸ケーブル30と、金属製コレクタ7と電気的に導通された金属溜め12と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の照射により電子を放出する金属製のエミッタと、
前記エミッタを密封する耐熱容器と、
前記エミッタおよび前記耐熱容器を内部に包含する金属製のコレクタと、
前記エミッタを正極に接続し、前記コレクタを負極に接続する信号ケーブルと、
前記コレクタと電気的に導通された金属溜めと、を備える
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記金属溜めは、前記耐熱容器の下方において円盤状に形成されている
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項3】
請求項1に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記金属溜めは、前記耐熱容器の周囲に配設される
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項4】
請求項2に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記耐熱容器が絶縁材で形成されており、
前記金属溜めは、前記耐熱容器の側面を覆うように同軸状に形成されている
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項5】
請求項1に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記耐熱容器が絶縁材で形成されており、
前記コレクタは、前記耐熱容器との間に隙間を設けて取り囲むように配置され、
前記金属溜めは、前記耐熱容器の下方において円盤状に形成されている
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項6】
請求項1に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記金属溜めは、前記耐熱容器の下方において円盤状に形成された金属メッシュにて構成される
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項7】
請求項1に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記金属溜めは、前記エミッタの鉛直方向下方側に配置される
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の自己出力型放射線検出器と、
制御装置と、
スイッチと、
ピコアンメータと、
前記自己出力型放射線検出器内の短絡検出器と、を備え、
前記制御装置により前記スイッチを切り替えることにより、前記ピコアンメータと前記短絡検出器とのいずれか一方が前記自己出力型放射線検出器と接続するように切り替えられる
ことを特徴とする放射線検出システム。
【請求項9】
請求項8に記載の放射線検出システムにおいて、
前記短絡検出器は、抵抗計またはTDR測定器である
ことを特徴とする放射線検出システム。
【請求項10】
請求項8に記載の放射線検出システムと、
前記放射線検出システム内の前記自己出力型放射線検出器に接続されており、炉出力を監視する出力監視装置と、を備え、
前記自己出力型放射線検出器は、原子炉の圧力容器内の炉内計装菅の内部に設置されている
ことを特徴とする原子炉出力監視装置。
【請求項11】
請求項10に記載の原子炉出力監視装置において、
前記炉内計装菅の内部に設置された中性子検出器と、
前記中性子検出器に接続された中性子束モニタと、を更に備え、
前記出力監視装置は、前記中性子束モニタに接続されることで炉出力を監視するとともに、前記ピコアンメータの測定値に基づいて前記中性子検出器の感度を算出する
ことを特徴とする原子炉出力監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器の一種である自己出力型放射線検出器と、それを備えた放射線検出システム、および原子炉出力監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高温においてエミッタが溶融しても動作することができる自己出力型検出器の一例として、特許文献1には、内部にエミッタ、外側にコレクタを備え、エミッタとコレクタの間が絶縁されている自己出力型検出器において、エミッタを封入するエミッタ容器を備え、エミッタ容器が気密であり、エミッタが高温によって溶融した際に自己出力型検出器の向きに依らず、エミッタ容器内の局所的なエミッタ密度が一定となるようにエミッタ質量とエミッタ容器の容積が調整されている自己出力型検出器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自己出力型放射線検出器は、電圧の印加を必要とせず、放射線によりエミッタから電子が放出されることで発生する電流を測定する、という単純な構造のため、比較的過酷な環境に設置することが可能な放射線検出器である。
【0005】
自己出力型検出器の一種である自己出力型ガンマ線検出器のエミッタ材は、ガンマ線の照射により電子を放出しやすく、中性子との核反応断面積が小さいものが適している。このような元素としてPbとBiが存在するが、これらの元素の融点は低く、原子炉内などの高温環境においては変形や溶融の生じる可能性がある。同様に、自己出力型中性子検出器においてもエミッタの特性を優先して融点の低い元素を用いた場合、エミッタが変形または溶融する可能性がある。
【0006】
特許文献1では、内部にエミッタ、外側にコレクタを備え、エミッタとコレクタの間が絶縁されている自己出力型放射線検出器において、エミッタを封入する耐熱容器を備え、耐熱容器を気密(液密)とする自己出力型放射線検出器が開示されている。
【0007】
特許文献1に記載される自己出力型放射線検出器によれば、高温環境中において融点の低いエミッタが溶融した場合にも、エミッタが容器内に保持されるため放射線の計測を継続することができる。
【0008】
しかし、高温環境や機械的要因などにより想定を超える応力が耐熱容器に印加され、耐熱容器が破損するような不測の事態も想定される。万一、耐熱容器が破損すると、破損の程度によっては内部で溶融したエミッタ材が容器の外部に漏洩することになる。
【0009】
エミッタが漏洩すると、検出器内でのエミッタ形状が大きく変化することにより放射線に対する電流値の割合、すなわち感度が変化して測定した電流値を正しく放射線の強度に換算することができなくなる。また、漏洩したエミッタが更にコレクタ外部に漏洩すると、検出器外の環境にエミッタ材が異物となって拡散してしまう。
【0010】
このような状態を回避するため、エミッタ材の漏洩検知手段を追加することが有効である。例えば、放射線計測値に変化が生じたとき、エミッタ材が容器外に漏洩したことを検知できれば、当該検出器による計測値が異常であり、実放射線の強度変化ではないことが判断できる。これにより計測値の信頼性を向上することが期待される。
【0011】
ただし、エミッタ材の容器外への漏洩検知として、大きな検知センサ等を追加すると、検出器自体が大きくなってしまい、例えば原子炉内等の狭隘部にセンサを設置することができなくなるため、異なる対策が必要となる。
【0012】
また、検知センサの信号を現場から離れた遠隔位置から受信するために、追加で信号線を配設すると、敷設のためのコストやケーブル貫通部を追加するためのコストが生じるため、改善の余地が残ることになる。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、検出器内部の狭隘な領域に追加可能で、かつ、新たに検知用の信号線を追加することなく遠隔位置からエミッタが容器外に漏洩したことを検知することが可能な自己出力型放射線検出器、放射線検出システム、および原子炉出力監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、放射線の照射により電子を放出する金属製のエミッタと、前記エミッタを密封する耐熱容器と、前記エミッタおよび前記耐熱容器を内部に包含する金属製のコレクタと、前記エミッタを正極に接続し、前記コレクタを負極に接続する信号ケーブルと、前記コレクタと電気的に導通された金属溜めと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出器内部の狭隘な領域に追加可能で、かつ、新たに検知用の信号線を追加することなく遠隔位置からエミッタが容器外に漏洩したことを検知することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1の自己出力型放射線検出器の構成図。
【
図2】実施例1の自己出力型放射線検出器の変形例であり、金属溜めの形状の第二の例を示す図。
【
図3】実施例1の自己出力型放射線検出器の変形例であり、金属溜めの形状の第三の例を示す図。
【
図4】実施例1の自己出力型放射線検出器の変形例であり、金属溜めの形状の第四の例を示す図。
【
図5】実施例1の自己出力型放射線検出器の変形例であり、金属溜めの形状の第五の例を示す図。
【
図8】正常な検出器に対してTDR測定を実施した時の反射係数ρと、検出器内で短絡した時の反射係数ρの典型的な例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の自己出力型放射線検出器、放射線検出システム、および原子炉出力監視装置の実施例を、図面を用いて説明する。本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一、または類似の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0018】
以下の説明では、主に自己出力型ガンマ線検出器について説明するが、自己出力型中性子検出器に対しても同様である。中性子に対する断面積が大きく、ガンマ線との相互作用確率が低く、融点の低い物質をエミッタに採用できれば、後述する実施例4のように、炉内のような高温環境に設置する自己出力型中性子検出器として有望である。
【0019】
<実施例1>
本発明の自己出力型放射線検出器の実施例1について
図1乃至
図5を用いて説明する。
【0020】
最初に、自己出力型放射線検出器の全体構成について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施例で示す耐熱型の自己出力型放射線検出器の構成図である。
【0021】
図1に示すように、自己出力型放射線検出器1は、その中心部において、放射線の照射により電子を放出する金属製エミッタ2が略円筒状の耐熱容器3の内側に密封されている。
【0022】
耐熱容器3の下部には金属端子部4とセラミックベースからなる気密端子6が取り付けられている。
【0023】
金属製コレクタ7は、これら金属製エミッタ2、耐熱容器3及び気密端子6をその内部に同軸上に包含している。このうち、耐熱容器3と金属製コレクタ7との間には絶縁材10,11が挟み込まれることで耐熱容器3と金属製コレクタ7の間を絶縁するとともに、両者の間隔を一定に保持している。また、金属製コレクタ7の上部は先端部端栓8、下部は終端部端栓9が溶接されており、金属製コレクタ7の内部が密封されている。
【0024】
更に、終端部端栓9には芯線13、金属製シース14、及び芯線13と金属製シース14との間を絶縁する絶縁材15からなる同軸ケーブル30が取り付けてある。また、芯線13は気密端子6の金属端子部4に、金属製シース14は金属製コレクタ7に電気的に接続されており、金属製エミッタ2を芯線13に接続し、金属製コレクタ7を金属製シース14に接続している。
【0025】
金属溜め12は金属製であり、金属製コレクタ7に電気的に導通するように、金属製エミッタ2の鉛直方向下方側に配置・固定されている。金属溜め12の形状は、耐熱容器3の下部及び気密端子6の外側を同軸状に覆うように形成されている。
【0026】
このように構成した自己出力型放射線検出器1の動作を以下に示す。
【0027】
図1の自己出力型放射線検出器1が放射線環境下に設置されると、放射線の照射により金属製エミッタ2から電子が放出される。放出された電子のうち一部は再び金属製エミッタ2に吸収されるが、残りの電子は金属製エミッタ2の外部に放出される。
【0028】
電子が放出されると、電荷のバランスをとるために、金属製エミッタ2には放出された電子と同量の電子が同軸ケーブルの芯線13及び気密端子6の金属端子部4を介して流れ込む。
【0029】
ここで、金属製エミッタ2から放出される時間当たりの電子数は、照射する放射線量に概ね比例するため、この流れ込む電流を測定することにより照射された放射線の強度を計測することができる。
【0030】
自己出力型放射線検出器1は、高温環境に設置されると金属製エミッタ2が溶融する可能性がある。ただし、溶融した金属製エミッタ2は耐熱容器3で密封されているため、その形状を大きく変えることがなく、放射線により放出される単位当たりの電子数は大きく変化しないため、特段の対処をとる必要はない。
【0031】
次に、このような自己出力型放射線検出器1の内部において、万一、耐熱容器3が高温環境や機械的要因により破損した場合の動作を説明する。
【0032】
内部に密封されていた金属製エミッタ2が溶融していた場合に、何かしらの事情により耐熱容器3が破損すると、溶融した金属製エミッタ2が耐熱容器3の外部に漏洩する。
【0033】
しかし、本実施例の自己出力型放射線検出器1では、漏洩した金属製エミッタ2は、金属溜め12と耐熱容器3との隙間に溜まることになる。金属溜め12は金属製コレクタ7と電気的に接続しているため、このとき、金属製エミッタ2と金属製コレクタ7とが電気的に短絡することになる。
【0034】
すると、放射線の照射によって電子を放出した金属製エミッタ2は、電荷のバランスをとるために同軸ケーブル30の芯線13からではなく、短絡した金属製コレクタ7から電子の供給を受ける。そのため、芯線13には電流が生じなくなり測定される電流がほぼゼロとなることで漏洩が検知される。
【0035】
一方、金属溜め12が無い従来型の耐熱型の自己出力型放射線検出器の場合は、金属製エミッタ2の漏洩が生じると、漏洩量に応じて放射線の測定値が変化するが、この場合は環境の放射線量が変化した場合と判別がつかなくなる可能性がある。
【0036】
このように、本実施例では、金属製エミッタ2が一定量漏洩すると金属製コレクタ7と短絡し、放射線の計測値がゼロとなることで環境の放射線量の変化とは区別して漏洩を検知することができる。
【0037】
次いで、本実施例の自己出力型放射線検出器の変形例について
図2乃至
図5を用いて説明する。
図2は乃至
図5は自己出力型放射線検出器の変形例の該当を示す図である。
【0038】
図2に示す耐熱型の自己出力型放射線検出器1Aは、
図1の自己出力型放射線検出器1と比べて、絶縁材10Aの形状が異なり、絶縁材10Aが検出器下部の終端部端栓9付近まで延伸している。
【0039】
また、気密端子6の下部に耐熱容器3の位置を固定するための絶縁材スペーサ16を備えている。
【0040】
そして、金属溜め12は延伸した絶縁材10及び絶縁材スペーサ16と干渉しないように、終端部端栓9の直上、すなわち耐熱容器3の下方において円盤状の形態で金属製コレクタ7に取り付けられている。
【0041】
自己出力型放射線検出器1Aでは、耐熱容器3から金属製エミッタ2が漏洩した場合は、絶縁材10Aと絶縁材スペーサ16の間隙、または絶縁材スペーサ16の内部を通じて金属溜め12Aに蓄積する。これにより、金属製エミッタ2と金属製コレクタ7とが短絡し、金属製エミッタ2の漏洩が検知できる。
【0042】
図1に示した自己出力型放射線検出器1の構成例では、正常状態で放射線を検知している際に金属溜め12に放射線が照射されると、金属溜め12から電子が放出され、その電子が近接する金属製エミッタ2に吸収されてしまい、放射線によって放出される正味の電子の数が減少し、発生する電流値が減少する虞がある。これは、感度が減少するということであるが、
図2の構成によれば、金属溜め12Aが金属製エミッタ2から離れて設置されているため、このような感度の低下が最小限に抑えられ、放射線をより高い精度で計測することができる。
【0043】
図3に示す更に別な耐熱型の自己出力型放射線検出器1Bの構成は、金属製の金属溜め12Bが絶縁材で形成されている絶縁材の絶縁材耐熱容器17の側面全体を覆うように同軸状に形成しており、絶縁材耐熱容器17の周囲に配設されている形になる。金属溜め12Bの端部は金属製コレクタ7の電気的に接続されている。
【0044】
絶縁材耐熱容器17は金属溜め12Bと接触しても金属製コレクタ7と電気的に短絡しないため、金属製エミッタ2は正常状態では電気的に短絡しない。
【0045】
図3の構成によると、耐熱容器3のどの部分で金属製エミッタ2の漏洩が発生した場合でも、少量で金属溜め12Bに接触して金属製コレクタ7と短絡する。従って、
図1の構成と比べて、より少ない漏洩を検知することが可能となる。
【0046】
図4に示す更に別な耐熱型の自己出力型放射線検出器1Cの構成は、金属製コレクタ7は、絶縁材で形成されている絶縁材耐熱容器17との間に隙間を設けて取り囲むように配置されている。金属溜め12Cは、絶縁材耐熱容器17の一端を構成する気密端子6の直下に、円盤状に形成して金属製コレクタ7に取り付けてある。
【0047】
金属製エミッタ2が絶縁材耐熱容器17の側面または上部から漏洩した場合には、近接する金属製コレクタ7と直接接触することにより金属製エミッタ2と金属製コレクタ7が電気的に短絡して漏洩が検知できる。また、気密端子6の下部から漏洩した場合は、金属溜め12Cを介して金属製エミッタ2と金属製コレクタ7とが短絡して漏洩が検知できる。
【0048】
図4の構成によると、絶縁材耐熱容器17と金属製コレクタ7の間に、金属溜め12C及び絶縁材10が不要となるため、漏洩検知の機能を実現しつつ、検出器の外径を細くすることが可能となる。従って、より狭隘な場所での放射線測定における測定の高信頼化が図れる。
【0049】
図5に示す更に別な耐熱型の自己出力型放射線検出器1Dの構成は、
図4に示した自己出力型放射線検出器1Cの構成において、円盤状に形成した金属溜め12に代えて、絶縁材スペーサ16とその上部表面に取り付けた金属メッシュ製の金属溜め18を用いたものである。
【0050】
図2の構成例で述べたように、金属製エミッタ2の近傍に放射線の照射により電子を放出する金属が存在すると、放出された電子を金属製エミッタ2が吸収することにより、計測される電流値が減少し、放射線測定の感度が低下する。
【0051】
図5の構成では、金属溜め18は、金属板に代えて金属メッシュを用いていることで、漏洩した金属製エミッタ2の検知性能を保ちながら、金属溜め18から放出される電子を低減し、放射線測定の感度を低下させないことが可能となる。
【0052】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0053】
上述した本発明の実施例1の自己出力型放射線検出器1,1A,1B,1C,1Dは、放射線の照射により電子を放出する金属製の金属製エミッタ2と、金属製エミッタ2を密封する耐熱容器3、絶縁材耐熱容器17と、金属製エミッタ2および耐熱容器3、絶縁材耐熱容器17を内部に包含する金属製の金属製コレクタ7と、金属製エミッタ2を芯線13に接続し、金属製コレクタ7を金属製シース14に接続する同軸ケーブル30と、金属製コレクタ7と電気的に導通された金属溜め12,12A,12B,12C,18と、を備える。
【0054】
これによって、検出器を大きくすることなく、また、検知用信号線を追加することなく、高温環境や機械的要因による耐熱容器の破損を遠隔位置から検知できすることができる。すなわち、高温かつ狭隘な場所での放射線を計測する際に、金属製エミッタ2の漏洩による計測不良を直接検知することができ、本来の計測値変化と故障との判別が可能となる。従って、耐熱容器3、絶縁材耐熱容器17から漏洩した金属製エミッタ2が更に金属製コレクタ7から漏洩し、検出器外に異物となって拡散する前にその可能性を検知することができる。
【0055】
<実施例2>
本発明の実施例2の放射線検出システムについて
図6を用いて説明する。
図6は本発明の実施例2の検出システムの構成図である。
【0056】
図6に示す放射線検出システム40は、
図1に示した自己出力型放射線検出器1を用い、その芯線13及び金属製シース14をスイッチ19に接続している。スイッチ19には、微小直流電流の測定用の測定器であるピコアンメータ20、および自己出力型放射線検出器1内の短絡を検出するための抵抗計21が接続されるとともに、制御装置22が取り付けられている。
【0057】
放射線検出システム40では、放射線測定時には、制御装置22からの制御信号に基づきスイッチ19を切り替えることにより、芯線13及び金属製シース14をピコアンメータ20に接続して放射線に応じた電流値を計測することで放射線を測定する。
【0058】
また、放射線測定値がゼロに近い値が観測された場合は、制御装置22からの制御信号でスイッチ19により芯線13及び金属製シース14を抵抗計21に接続する、すなわち抵抗計21と自己出力型放射線検出器1とを接続する。
【0059】
これにより、抵抗計21の抵抗値を確認することにより、自己出力型放射線検出器1の金属製エミッタ2と金属製コレクタ7の間が短絡しているか確認することができる。従って、環境の放射線が実際にゼロに近い値となっているのか、あるいは金属製エミッタ2と金属製コレクタ7の間が短絡してゼロに近い放射線測定値になっているのかが判別可能である。
【0060】
あるいは、環境の放射線量がゼロに近いところで測定をする場合は、一定時間間隔で制御装置22によりスイッチ19を抵抗計21側に切換えて、定期的に検出システムの正常状態を確認する構成としても良い。これにより、常に検出システムが正常であり、かつ、放射線量がゼロに近いことが確認できる。
【0061】
なお、
図6では、
図1に示した自己出力型放射線検出器1を用いる場合について説明しているが、本実施例2で用いる自己出力型放射線検出器は
図1に示した自己出力型放射線検出器1に限られず、
図2乃至
図5で示した自己出力型放射線検出器1A,1B,1C,1Dのいずれかを用いることができる。
【0062】
本発明の実施例2の放射線検出システム40は、前述した実施例1の自己出力型放射線検出器1,1A,1B,1C,1Dを備えているため、ほぼ同様な効果が得られる。
【0063】
<実施例3>
本発明の実施例3の放射線検出システムについて
図7および
図8を用いて説明する。
図7は本発明の実施例3の検出システムの構成図、
図8は正常な検出器に対してTDR測定を実施した時の反射係数ρと、検出器内で短絡した時の反射係数ρの典型的な例を示した図である。
【0064】
図7に示す放射線検出システム40Aは、
図1に示した自己出力型放射線検出器1を用い、その芯線13及び金属製シース14をスイッチ19に接続している。スイッチ19には、微小直流電流の測定用の測定器であるピコアンメータ20、および自己出力型放射線検出器1内の短絡を検出するためのTDR(time domain reflectometry:時間領域反射率測定法)測定器23が接続されるとともに、制御装置22が取り付けられている。
【0065】
実施例2と同様に、放射線検出システム40Aでは、放射線測定時には制御装置22からの制御信号に基づきスイッチ19を切り替えることにより、芯線13及び金属製シース14はピコアンメータ20に接続して放射線に応じた電流値を計測することで放射線を測定する。
【0066】
また、放射線測定値がゼロに近い値が観測された場合は、制御装置22からの制御信号でスイッチ19を切り替えて、芯線13及び金属製シース14をTDR測定器23に接続する。TDR測定器23では、抵抗計21での抵抗値測定に代えてTDR測定で得られる反射係数に基づき金属製エミッタ2と金属製コレクタ7が検出器内部で短絡していることを確認する。
【0067】
以下では、
図8を用いてTDR測定により検出器内部で短絡が発生していることの検知方法を説明する。TDR測定器23は、計測時にステップ電圧を自己出力型放射線検出器1に向かって入射する。ステップ電圧は、スイッチ19を経由して同軸ケーブル30内を伝搬していく。
【0068】
ここで、同軸ケーブル30の各位置での特性インピーダンスをZL、同軸ケーブル入口での特性インピーダンスをZ0とすると、各位置からは入射したステップ電圧に反射係数ρを乗じ反射電圧が返ってくる。反射係数ρは次のような式(1)で定義される。
【0069】
【0070】
すなわち、以下の式(2)のように表せる。
【0071】
【0072】
各位置の反射係数ρは、TDR測定器23の内部で、ステップ電圧を入射した後の経過時間と同軸ケーブル30を伝搬する電圧の速度と光速との比である速度係数及び各時刻の電圧を計測することで評価される。上述の式(1)をみると分かるようにZLとZ0とが等しい位置では反射係数ρが0となる。
【0073】
図8は、速度係数を0.6とし、正常な検出器に対してTDR測定を実施した時の反射係数ρと検出器内で金属製エミッタ2と金属製コレクタ7が短絡した時の反射係数ρの典型的な例を示したものである。
【0074】
自己出力型放射線検出器1が短絡していない正常状態では、金属製エミッタ2と金属製コレクタ7が近接しているが、完全に絶縁した状態である。このとき、TDR測定ではTDR測定器23の位置で特性インピーダンスZLが無限大となるため、反射係数が1に漸近していく。
【0075】
一方、自己出力型放射線検出器1の内部で短絡しているときは、特性インピーダンスZLが0となるため反射係数は-1に漸近する。この反射係数の変化が自己出力型放射線検出器1の内部で発生していれば、自己出力型放射線検出器1の内部で短絡が発生していることを検知できる。
【0076】
仮に、実施例2の放射線検出システム40の構成を用いた場合は、例えばケーブル中間点で発生した芯線13と金属製シース14との短絡と、自己出力型放射線検出器1の内部で発生した短絡と、を区別することができない。
【0077】
しかし、TDR測定器23を用いた本実施例の放射線検出システム40Aの構成を用いれば、ケーブル中間点で発生した短絡と検出器内で発生した短絡を区別して検知することができ、検出器内部で発生したエミッタ漏洩により、金属製エミッタ2と金属製コレクタ7が短絡していることを高い信頼性で検知することが可能となる。
【0078】
なお、
図7でも、
図1に示した自己出力型放射線検出器1を用いる場合について説明しているが、本実施例3で用いる自己出力型放射線検出器は
図1に示した自己出力型放射線検出器1に限られず、
図2乃至
図5で示した自己出力型放射線検出器1A,1B,1C,1Dのいずれかを用いることができる。
【0079】
本発明の実施例3の放射線検出システム40Aにおいても、前述した実施例2の放射線検出システム40とほぼ同様な効果が得られる。
【0080】
また、短絡検出器は、TDR測定器23であることにより、自己出力型放射線検出器1の内部での短絡か異なる箇所での短絡化が特定でき、対処がより容易になる。
【0081】
<実施例4>
本発明の実施例4の原子炉出力監視装置について
図9を用いて説明する。
図9は本発明の実施例4の原子炉出力監視装置の構成図である。
【0082】
図9の原子炉出力監視装置は、実施例3で説明した放射線検出システム40Aと、炉内計装菅102の内部に設置された核分裂電離箱104a,104b,104c,104dと、核分裂電離箱104a,104b,104c,104dに接続された中性子束モニタ106と、放射線検出システム40A内の自己出力型放射線検出器1に接続されており、炉出力を監視する出力監視装置107と、を備えている。
【0083】
なお、実施例3で説明した放射線検出システム40Aではなく、実施例2で説明した放射線検出システム40を用いてもよい。
【0084】
図1の自己出力型放射線検出器1を原子炉の圧力容器101の内部に設置した炉内計装菅102の内部に高さを変えて4個(それぞれ、鉛直方向下方から自己出力型放射線検出器1a、自己出力型放射線検出器1b、自己出力型放射線検出器1c、自己出力型放射線検出器1d)設置している。
【0085】
なお、用いる自己出力型放射線検出器1a,1b,1c,1dは、
図1に示したものと想定しているが、
図1乃至
図5のいずれかの自己出力型放射線検出器1,1A,1B,1C,1Dのうちいずれか一つ以上を適宜組み合わせて使用可能である。
【0086】
炉内計装菅102の下部は、水封部103により炉内の冷却水110が流出しない構造になっている。炉内計装菅102内の各々の検出器は同軸ケーブル30により制御装置22を備えたスイッチ19を介してピコアンメータ20及びTDR測定器23に接続されている。
【0087】
炉内計装菅102には、それぞれ自己出力型放射線検出器1a,1b,1c,1dと同じ鉛直方向の高さ位置に核分裂電離箱104a,104b,104c,104dを設置し、これらは信号ケーブル105により中性子束モニタ106に接続されている。
【0088】
また、中性子束モニタ106、ピコアンメータ20、制御装置22及びTDR測定器23には、出力監視装置107が接続されている。
【0089】
出力監視装置107は、中性子束モニタ106に接続されることで炉出力を監視するとともに、ピコアンメータ20の測定値に基づいて中性子検出器104の感度を算出する。
【0090】
次にこのように構成された原子炉出力監視装置の動作を説明する。本実施例の原子炉出力監視装置では、炉内の中性子束が炉内計装菅102内に設置された核分裂電離箱104a,104b,104c,104dで電流を生じ、この電流が信号ケーブル105を経由して中性子束モニタ106で計測される。中性子束モニタ106は、検出器毎に設定された定数を計測した電流値に乗じて中性子束値に換算し、中性子束値を出力監視装置107に送出する。
【0091】
出力監視装置107は、入力された中性子束値に基づき炉出力を評価し、この炉出力に基づいて燃料の健全性を確認するとともに、事故時等の異常な炉出力の変化に対してスクラム等の作動に使用する信号を生成する。
【0092】
平行して、自己出力型放射線検出器1a,1b,1c,1dにより炉内の放射線に応じた電流が同軸ケーブル30を介してピコアンメータ20に流れて電流値が測定される。ピコアンメータ20では測定した電流値に検出器毎に設定した感度を乗じて放射線の強度に換算し、放射線強度を出力監視装置107に送出する。
【0093】
放射線の強度を受信した出力監視装置107は、中性子束モニタ106から送出された中性子束値とピコアンメータ20から送出された放射線強度とを比較し、中性子束値の照射による感度劣化量を算出して中性子束モニタ106に内蔵された検出器毎の定数を更新する。これにより、照射によって常時連続的に劣化する感度を補正し、核分裂電離箱104a,104b,104c,104dの電流値に従って常に正しい中性子束値を得ることができる。
【0094】
また、出力監視装置107はスイッチ19に接続された制御装置22に対して定期的にTDR測定器23側に切り替える指令を出力する。同時に、TDR測定器23に測定指令を送出し、
図7及び
図8に示した動作により炉内計装菅102内に設置された自己出力型放射線検出器1a,1b,1c,1dの正常状態を確認する。そして、万一、検出器内で短絡が確認された場合は、当該検出器からの放射線強度と中性子束モニタ106からの中性子束値との比較を中断するとともに、当該検出器の金属製エミッタ2が漏洩していることを表示する。
【0095】
このような動作により、本実施例に示した原子炉出力監視装置は、金属製エミッタ2が漏洩したときには、その測定値を用いずに原子炉出力を監視でき、監視の信頼性を向上することができる。
【0096】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0097】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0098】
1,1A,1B,1C,1D,1a,1b,1c,1d…自己出力型放射線検出器
2…金属製エミッタ
3…耐熱容器
4…金属端子部
6…気密端子
7…金属製コレクタ
8…先端部端栓
9…終端部端栓
10,10A…絶縁材
11…絶縁材
12,12A,12B,12C,18…金属溜め
13…芯線(正極)
14…金属製シース(負極)
15…絶縁材
16…絶縁材スペーサ
17…絶縁材耐熱容器
19…スイッチ
20…ピコアンメータ
21…抵抗計
22…制御装置
23…TDR測定器
30…同軸ケーブル(信号ケーブル)
40,40A…放射線検出システム
101…圧力容器
102…炉内計装菅
103…水封部
104a,104b,104c,104d…核分裂電離箱(中性子検出器)
105…信号ケーブル
106…中性子束モニタ
107…出力監視装置
110…冷却水