(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133005
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】賞品払出装置、及び賞品払出装置における残留物の検知方法
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A63F7/02 354
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038658
(22)【出願日】2022-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 俊秀
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC51
2C088BC80
(57)【要約】
【課題】払出口からの払い出しに関する残留物の有無を高精度に検知できる賞品払出装置及び残留物の検知方法を提供する。
【解決手段】
賞品払出装置は、装置本体の払出口を開閉するシャッター52と、装置本体内に配置されて、賞品Pを収納する収納部から賞品Pを受け取って載せて払出口まで上昇する移動部55と、移動部55上における賞品Pの有無を検知する検知部73とを含む。移動部55が払出口まで上昇してシャッター52が払出口を開いた状態での移動部55上における賞品Pの有無が、検知部73によって確認される。その後、移動部55が上昇して、払出口を閉じたシャッター52に検知部73を接近させることによって、シャッター52と移動部55との間における賞品Pの有無が確認される。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
賞品の払出口が設けられた装置本体と、
前記払出口を開閉するシャッターと、
前記装置本体内に配置されて、賞品を収納する収納部と、
前記収納部から賞品を受け取って載せて前記払出口まで上昇する移動部と、
前記移動部に設けられ、前記移動部上における残留物の有無を検知する検知部と、
前記シャッターと前記移動部との間における残留物の有無を前記検知部によって確認する確認処理を実行する制御部とを含む、賞品払出装置。
【請求項2】
前記確認処理は、前記移動部が前記払出口まで上昇して前記シャッターが前記払出口を開いた状態での前記移動部上における残留物の有無を前記検知部によって確認する第1確認処理と、前記移動部を上昇させて、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部を接近させることによって前記シャッターと前記移動部との間における残留物の有無を確認する第2確認処理とを含む、請求項1に記載の賞品払出装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記移動部上の物との接触に応じて作動することによって、当該物の存在を検知し、
前記第2確認処理において、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部が接触して作動するまでの前記移動部の上昇量が所定の基準値よりも小さい場合には、前記制御部は、前記シャッターと前記移動部との間に残留物が存在すると判断する、請求項2に記載の賞品払出装置。
【請求項4】
前記移動部は、複数存在して横並びに配置され、
前記検知部は、複数の前記移動部のそれぞれに設けられ、
前記基準値は、複数の前記移動部のそれぞれに設定され、
前記第2確認処理において、
前記制御部は、複数の前記移動部のそれぞれについて、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部が接触して作動するまでの前記移動部の上昇量と、対応する前記基準値とを比較し、
前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部が接触して作動するまでの前記移動部の上昇量が、当該移動部に設定された前記基準値よりも小さい場合には、前記制御部は、前記シャッターと当該移動部との間に残留物が存在すると判断する、請求項3に記載の賞品払出装置。
【請求項5】
複数の前記移動部のそれぞれに設定された前記基準値は、複数の前記移動部のそれぞれについて、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部が接触して作動するまでの前記移動部の上昇量についての事前の測定値である、請求項4に記載の賞品払出装置。
【請求項6】
前記移動部は、複数存在して、横並びに配置された状態にてまとまって移動し、
前記検知部は、複数の前記移動部のそれぞれに設けられ、
前記基準値は、前記払出口を閉じた前記シャッターに複数の前記検知部におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの前記移動部の上昇量についての事前の測定値であって、
前記第2確認処理において、前記制御部は、前記払出口を閉じた前記シャッターに複数の前記検知部におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの前記移動部の上昇量が前記基準値よりも小さい場合には、前記シャッターと前記移動部との間に残留物が存在すると判断する、請求項3に記載の賞品払出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記確認処理において前記シャッターと前記移動部との間における残留物の存在を確認した場合に、残留物の存在を報知する、請求項1~6のいずれか一項に記載の賞品払出装置。
【請求項8】
賞品の払出口が設けられた装置本体と、前記払出口を開閉するシャッターと、前記装置本体内に配置されて、賞品を収納する収納部と、前記収納部から賞品を受け取って載せて前記払出口まで上昇する移動部と、前記移動部に設けられ、前記移動部上における残留物の有無を検知する検知部とを含む、賞品払出装置における残留物の検知方法であって、
前記シャッターと前記移動部との間における残留物の有無を前記検知部によって確認する確認ステップを含む、賞品払出装置における残留物の検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賞品払出装置、及び賞品払出装置における残留物の検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
賞品払出装置の一例として、下記特許文献1は、パチンコ店等の遊技店に設置される賞品払出機を開示している。賞品払出機は、左右方向に並ぶ複数の収納部と、これらの収納部を収容するボックス状の本体とを含む。各収納部は、パチンコ玉等の遊技媒体と交換される賞品を収納する。本体の天板には、収納部と同数の払出領域(開口)が左右方向に並んで配置されている。各収納部は、収納本体部と、収納本体部から賞品を繰り出す繰出部とを2つずつ含む。各収納部は、さらに、2つの収納本体部の間に配置された複数の払出部を含む。複数の払出部は、対応する払出領域の真下に配置されている。賞品払出機において行われる繰出払出処理では、繰出部によって繰り出された賞品が払出部に積層される。払出部に賞品が積層された後、この払出部を含む、全ての収納部の払出部が一体となって上昇し、払出部上の賞品が、この収納部に対応する払出領域から露出される。これにより、遊技店の店員や遊技客等の利用者は、払出領域から賞品を取り出すことができる。
【0003】
払出領域は、シャッターによって開閉される。複数の払出部のそれぞれには、払出部上の賞品の残留を検出するための残留検出部が設けられている。残留検出部は、払出部上の賞品と接触して、賞品の存在を検出する。取引処理に際して、払出部上の賞品が払出領域から露出し、この賞品が利用者によって受け取られる。残留検出部によって払出部上に賞品の残留がないことが検知された後、払出部は、払出領域から下方に向けて下降し、シャッターが閉じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、払出領域に払い出された賞品を利用者が取り損ねてしまい、その結果、賞品が払出口(払出領域)から本体内に落下することがある。シャッターによって閉じられる直前に払出口に賞品が進入する場合、払出部上で跳ね返った賞品が、払出口を閉じた状態のシャッターの下側に挟まるおそれもある。シャッターの下側に挟まっている賞品は、払出部上に載っていないので、残留検出部によって検出できない。
【0006】
また、残留検出部によって賞品だけでなく異物も検出可能であるが、特許文献1に記載の残留検出部の構造上、払出部上に異物が載っていてもその重量が軽い場合には、この異物を良好に検出できないおそれがある。
【0007】
いずれにしても、特許文献1に記載の賞品払出機では、払出口からの払い出しに関する残留物(賞品及び異物)の有無を精度良く検知できないおそれがある。そのため、残留物の有無を高精度に検知することが求められている。
【0008】
本発明は、払出口からの払い出しに関する残留物の有無を高精度に検知できる賞品払出装置及び残留物の検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、賞品の払出口が設けられた装置本体と、前記払出口を開閉するシャッターと、前記装置本体内に配置されて、賞品を収納する収納部と、前記収納部から賞品を受け取って載せて前記払出口まで上昇する移動部と、前記移動部に設けられ、前記移動部上における残留物の有無を検知する検知部と、前記シャッターと前記移動部との間における残留物の有無を前記検知部によって確認する確認処理を実行する制御部とを含む、賞品払出装置である。
【0010】
この明細書において、「残留物」とは、賞品の他、異物を含む趣旨である。
【0011】
また、本発明は、前記確認処理が、前記移動部が前記払出口まで上昇して前記シャッターが前記払出口を開いた状態での前記移動部上における残留物の有無を前記検知部によって確認する第1確認処理と、前記移動部を上昇させて、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部を接近させることによって前記シャッターと前記移動部との間における残留物の有無を確認する第2確認処理とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記検知部が、前記移動部上の物との接触に応じて作動することによって、当該物の存在を検知し、前記第2確認処理において、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部が接触して作動するまでの前記移動部の上昇量が所定の基準値よりも小さい場合には、前記制御部は、前記シャッターと前記移動部との間に残留物が存在すると判断することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記移動部は、複数存在して横並びに配置され、前記検知部は、複数の前記移動部のそれぞれに設けられ、前記基準値は、複数の前記移動部のそれぞれに設定され、前記第2確認処理において、前記制御部は、複数の前記移動部のそれぞれについて、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部が接触して作動するまでの前記移動部の上昇量と、対応する前記基準値とを比較し、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部が接触して作動するまでの前記移動部の上昇量が、当該移動部に設定された前記基準値よりも小さい場合には、前記制御部は、前記シャッターと当該移動部との間に残留物が存在すると判断することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、複数の前記移動部のそれぞれに設定された前記基準値は、複数の前記移動部のそれぞれについて、前記払出口を閉じた前記シャッターに前記検知部が接触して作動するまでの前記移動部の上昇量についての事前の測定値であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記移動部は、複数存在して、横並びに配置された状態にてまとまって移動し、前記検知部は、複数の前記移動部のそれぞれに設けられ、前記基準値は、前記払出口を閉じた前記シャッターに複数の前記検知部におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの前記移動部の上昇量についての事前の測定値であって、前記第2確認処理において、前記制御部は、前記払出口を閉じた前記シャッターに複数の前記検知部におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの前記移動部の上昇量が前記基準値よりも小さい場合には、前記シャッターと前記移動部との間に残留物が存在すると判断することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記制御部は、前記確認処理において前記シャッターと前記移動部との間における残留物の存在を確認した場合に、残留物の存在を報知することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、賞品の払出口が設けられた装置本体と、前記払出口を開閉するシャッターと、前記装置本体内に配置されて、賞品を収納する収納部と、前記収納部から賞品を受け取って載せて前記払出口まで上昇する移動部と、前記移動部に設けられ、前記移動部上における残留物の有無を検知する検知部とを含む、賞品払出装置における残留物の検知方法であって、前記シャッターと前記移動部との間における残留物の有無を前記検知部によって確認する確認ステップを含む、賞品払出装置における残留物の検知方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、移動部上における残留物の有無が検知部によって検知される。そして、この検知部によって、シャッターと移動部との間における残留物の有無が確認される。移動部上における残留物の有無と、シャッターと移動部との間における残留物の有無との両方を確認することにより、払出口からの払い出しに関する残留物の有無を高精度に検知できる。
【0019】
本発明によれば、第1確認処理において、シャッターが払出口を開いた状態で移動部が払出口まで上昇する。そして、移動部上における残留物の有無が検知部によって確認される。また、第2確認処理において、払出口を閉じたシャッターに、移動部を上昇させて検知部を接近させることによって、シャッターと移動部との間における残留物の有無が確認される。シャッターと移動部との間に残留物が存在する場合、シャッターに検知部を接近させることにより当該残留物を検知部によって検知できる。したがって、シャッターと移動部との間における残留物の有無を良好に検知できる。
【0020】
本発明によれば、シャッターと移動部との間に残留物が存在する場合、移動部が上昇すると、シャッターに検知部が接触する前に、検知部が残留物に接触する。第2確認処理において、検知部が作動するまでの移動部の上昇量が所定の基準値よりも小さい場合に、シャッターと移動部との間に残留物が存在すると判断される。そのため、シャッターと移動部との間に残留物が存在することを確実に検知できる。
【0021】
本発明によれば、複数の移動部のそれぞれに基準値が設定されている。第2確認処理において、検知部が作動するまでの移動部の上昇量が所定の基準値よりも小さい場合に、シャッターと複数の移動部のそれぞれとの間に残留物が存在すると判断する。そのため、シャッターと複数の移動部のそれぞれとの間に残留物が存在することを確実に検知できる。
【0022】
本発明によれば、複数の移動部のそれぞれに設定された基準値が事前の測定値であるので、シャッターと複数の移動部のそれぞれとの間に残留物が存在することをより一層高精度に検知できる。
【0023】
本発明によれば、基準値が、払出口を閉じたシャッターに複数の検知部におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの移動部の上昇量についての事前の測定値である。第2確認処理において、払出口を閉じたシャッターに複数の検知部におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの移動部の上昇量が基準値よりも小さい場合に、シャッターと移動部との間に残留物が存在すると判断する。そのため、シャッターと移動部との間に残留物が存在することを良好に検知できる。
【0024】
本発明によれば、確認処理においてシャッターと移動部との間における残留物の存在が確認された場合に、残留物の存在が報知される。これにより、シャッターと移動部との間に残留物が存在していることを利用者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る賞品払出装置の模式的な斜視図である。
【
図2】扉を開いた状態における前記賞品払出装置の模式的な斜視図である。
【
図3】収納部を引き出した状態における前記賞品払出装置の模式的な斜視図である。
【
図4】前記賞品払出装置に用いられる通い箱の斜視図である。
【
図5】前記賞品払出装置の装置本体の内部の模式的な右側面図である。
【
図6】エレベータを説明するための図である。
図6(a)はエレベータを上側から見た図であり、
図6(b)はエレベータを前側から見た図である。
【
図8】前記賞品払出装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図9】補充処理のために前記収納部を引き出した状態における前記装置本体の内部の模式的な右側面図である。
【
図10】計数識別処理の際における前記装置本体の内部の模式的な右側面図である。
【
図12】繰出払出処理の際における前記装置本体の内部の模式的な右側面図である。
【
図13】前記繰出払出処理に含まれる払出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】前記払出処理の際における前記装置本体の内部の模式的な右側面図である。
【
図15】表示操作部に表示される賞品残留表示の一例を示す模式図である。
【
図16】前記払出処理に含まれる第2確認処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】基準値記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【
図18】上昇量記憶部の記憶内容の一例を示す図である。
【
図19】前記第2確認処理においてシャッター及びエレベータを前側から見た図である。
【
図20】基準値事前測定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図21】前記第2確認処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図22】基準値記憶部の記憶内容の他の例を示す図である。
【
図23】上昇量記憶部の記憶内容の他の例を示す図である。
【
図24】基準値事前測定処理の他の例を示すフローチャートである。
【
図25】取引処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る賞品払出装置1の模式的な斜視図である。
図2は、扉13を開いた状態における賞品払出装置1の模式的な斜視図である。
図3は、収納部12を引き出した状態における賞品払出装置1の模式的な斜視図である。
【0027】
賞品払出装置1は、特殊賞品と呼ばれる賞品Pを払い出す装置である。なお、遊技店では、特殊賞品だけでなく、菓子等の一般賞品も取り扱われる。賞品払出装置1は、その上部をなすPOSユニット2と、POSユニット2の下側に配置された装置本体3とを含む。
【0028】
POSユニット2は、いわゆるPOS端末であり、その前面、つまり正面領域には、例えば液晶のタッチパネルによって構成された表示操作部4が設けられている。表示操作部4は、表示部と操作部とに分かれていてもよい。POSユニット2の前面には、遊技店から遊技客に発行されたカードが出し入れされるカード出入口2Aと、レシートが発行されるレシート発行口2Bとが形成されている。カードには、遊技客が遊技によって獲得したパチンコ玉等の遊技媒体の数が関連付けられる。遊技店に会員登録した遊技客(いわゆる会員客)のカードは、会員カードと呼ばれ、他の遊技客(いわゆる一般客)のカードは、一般カードと呼ばれることがある。カードには、遊技を開始又は継続するために遊技媒体と交換されるプリペイド価値も関連付けられてもよい。
【0029】
賞品Pの一例は、例えば数ミリ程度(1.5mmや3mm等があり、この実施形態では1.5mm)の厚さを有するカードである。この実施形態では、大賞品、中賞品及び小賞品といった、金銭価値に応じた3種類の賞品Pが登場するが、大賞品よりも金銭価値の高い特大賞品が存在してもよい。賞品Pの表面の色は、賞品Pの種類毎に異なっている。一例として、大賞品の表面は赤色であり、中賞品の表面は青色であり、小賞品の表面は緑色である。賞品Pは、通い箱5に収容された状態にて市場に流通する。
【0030】
この実施形態において、賞品払出装置1は、遊技店における無人の賞品交換コーナーに配置されて、賞品Pの交換のための手続きが遊技客自身によって行われるセルフタイプである。この場合、遊技客は、POSユニット2のカード出入口2Aにカードを挿入してから表示操作部4を操作することによって、賞品Pの払出要求を賞品払出装置1に入力する。これにより、装置本体3は、払出要求に応じた種類及び個数の賞品Pを払い出し、POSユニット2は、賞品Pの在庫データを更新する。遊技客は、カード出入口2Aから返却されたカードと、装置本体3から払い出された賞品Pとを受け取る。なお、以下の説明では、賞品払出装置1がセルフタイプであることを前提としているが、賞品払出装置1の周辺に遊技店の店員がいて、この店員が、賞品払出装置1から賞品Pを一旦受け取った後に遊技客に手渡ししてもよい。
【0031】
装置本体3は、賞品Pを払い出す賞品払出機であるとともに、賞品Pを保管する機能を有する賞品保管機でもある。この実施形態では、POSユニット2と装置本体3とが一体化されているが、装置本体3が単独の賞品払出装置1として存在して、POSユニット2が単独のPOS端末として装置本体3から分離して構成されてもよい。装置本体3は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体11と、筐体11内に設けられた単数又は複数の収納部12と、筐体11によって支持された扉13とを含む。
【0032】
なお、
図1の紙面の左右方向は、装置本体3の左右方向Xと一致している。
図1の紙面に略直交する方向は、装置本体3の前後方向Yと一致している。
図1の紙面の上下方向は、装置本体3の上下方向Zと一致している。左右方向X及び前後方向Yは、横方向に含まれる。左右方向Xは、左側X1と右側X2とを含む。前後方向Yは、
図1の紙面の手前側に一致した前側Y1と、
図1の紙面の奥側に一致した後側Y2とを含む。上下方向Zは、上側Z1と下側Z2とを含む。
【0033】
筐体11は、縦長のボックス状である。筐体11は、天壁14と、底壁15と、左右一対の側壁16と、後壁17とを有する。天壁14及び底壁15は、矩形の板状である。一対の側壁16は、いずれも、上下方向Zに長い長方形の板状である。左側X1の側壁16は、天壁14及び底壁15の左端間に架設されていて、右側X2の側壁16は、天壁14及び底壁15の右端間に架設されている。後壁17は、上下方向Zに長い長方形の板状であり、天壁14及び底壁15の後端間に架設されていて、一対の側壁16の後端間にも架設されている。筐体11の前面には、天壁14、底壁15及び一対の側壁16の前端によって縁取られた開口11Aが形成されている。開口11Aは、筐体11の内部空間11Bに連通している。
【0034】
収納部12は、賞品Pを通い箱5ごと収納するものである。この実施形態では、3つの収納部12が、筐体11の内部空間11Bにおいて上下方向Zに並んでいる。各収納部12は、筐体11における各側壁16によって前後方向Yへスライド可能に支持されている。
図1に示すように筐体11内に完全に収容された状態における各収納部12は、前後方向Yにおける収容位置にある。各収納部12は、筐体11の開口11Aを通って、収容位置よりも前側Y1の引出位置(
図3において示す位置)へ引き出し可能である。収納部12について詳しく説明するのに先立って、通い箱5について説明する。
【0035】
図4は、通い箱5の斜視図である。通い箱5は、所定方向に長手のボックス状に形成されていて、例えば樹脂製である。通い箱5は、対向配置された一対の側壁21と、一対の側壁21間に架設された複数の区画壁22と、底壁23とを一体的に含む。
【0036】
一対の側壁21は、通い箱5の長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されていて、それらの板厚方向に沿って対向するように平行に配置されている。一対の側壁21の対向方向は、通い箱5において長手方向Lに直交する短手方向Sである。また、通い箱5の深さ方向Dは、長手方向L及び短手方向Sの両方に直交している。
【0037】
区画壁22は、この実施形態では6つ設けられ、各区画壁22は、長手方向Lに一致した板厚方向を有する略矩形の板状に形成されている。2つの区画壁22が、一対の側壁21において長手方向Lにおける一端縁間と他端縁間とに1つずつ架設され、残り4つの区画壁22が、長手方向Lに等間隔で並んだ状態で一対の側壁21の途中部間に架設されている。そのため、通い箱5には、大きさの等しい略直方体状の5つの収容空間24が、長手方向Lに等間隔で並んで形成されている。
【0038】
底壁23は、深さ方向Dに一致した板厚方向を有し、長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されている。底壁23は、深さ方向Dにおける一方側(
図4では下側)から各側壁21及び各区画壁22に対して接続されていて、各収容空間24を当該一方側から塞いでいる。各収容空間24において深さ方向Dにおける他方側(
図4では上側)の端部は、略矩形状の出入口25として、当該他方側へ開放されている。
【0039】
通い箱5は、出入口25とは別に設けられた開口部26を含む。開口部26は、長手方向Lにおいて各収容空間24と同じ位置に一対ずつ、この実施形態では5対設けられている。つまり、開口部26は、短手方向Sにおける通い箱5の両側において、5つずつ長手方向Lに等間隔で並んで設けられている。各対における2つの開口部26は、長手方向Lにおいて同じ位置にあって、短手方向Sにおける通い箱5の中心を基準として対称になるように構成されている。各開口部26は、収容空間24を外部に露出させるスリット状である。各開口部26は、短手方向Sにおける底壁23の端部を切り欠きつつ、短手方向Sにおいて当該端部と同じ側にある側壁21を深さ方向Dに沿って切り欠いて、出入口25の手前まで直線状に延びている。
【0040】
賞品Pを収容して流通しているときの通い箱5の姿勢は、
図4に示すように各出入口25が上を向いた基本姿勢である。賞品Pは、出入口25を介して各収容空間24に収容される。各収容空間24の大きさが等しいので、賞品Pは、所定個数ずつ各収容空間24に収容される。各収容空間24に収容される賞品Pの数が20つである場合、通い箱5全体では、最大で100つの賞品Pを収容できる。複数の賞品Pは、それらの板厚方向が短手方向Sと一致して底壁23から起立した姿勢で、各収容空間24に積層状態にて収容され、その状態の各賞品Pでは、出入口25側の部分が出入口25からはみ出ている。また、前述した所定個数の賞品Pが収容された収容空間24(
図4における右端の収容空間24を参照)では、短手方向Sの両端に位置する賞品Pの一部が、短手方向Sにおける同じ側の開口部26から露出されている。1つの通い箱5に収容される複数個の賞品Pの種類は、この実施形態では大賞品、中賞品及び小賞品のいずれか一種類であるが、収容空間24毎に賞品Pの種類が異なってもよい。次に、収納部12について詳しく説明する。
【0041】
図5は、装置本体3の内部の模式的な右側面図である。以下では、上下方向Zに並ぶ3つの収納部12のうち、最下位の収納部12を「下収納部12A」といい、真ん中の収納部12を「中収納部12B」といい、最上位の収納部12を「上収納部12C」という。以下では、主に、
図3及び
図5の下収納部12Aを参照しながら、各収納部12の構成を説明する。
【0042】
各収納部12は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体31を含む。
図3に示すように、筐体31の上面には、略矩形状の装填口31Aと、装填口31Aを開閉する略矩形板状の扉31Bとが設けられている。扉31Bは、その前端部に設けられたヒンジ31Cを介して筐体31に連結されていて、ヒンジ31Cまわりに回動することによって開閉される。筐体31の前面のほぼ全域には、開口31Dが形成されている。筐体31の前面において開口31Dよりも上側Z1の領域には、取っ手31Eが設けられている。
【0043】
図5に示すように、各収納部12の筐体31の内部空間31Fには、左右一対の搬送体32と、複数(ここでは4つ)の収納体33とが設けられている。各搬送体32は、無端状のチェーン又はベルトによって構成されている。各搬送体32は、左右方向Xから見て例えば略矩形の環状をなしている。搬送体32は、モータ(図示せず)等の駆動部の駆動力を受けることによって、左右方向Xから見て時計回り及び反時計回りの方向へ向けて周回移動する。この駆動部及び搬送体32は、移動機構34に含まれる。
【0044】
各収納体33は、左右方向Xに長手のトレイ状である。各収納体33の内部空間は、左右方向Xに長手となった通い箱5をちょうど収容できる大きさを有する。上向き姿勢の収納体33(例えば、
図5の下収納部12Aにおける上側Z1の収納体33を参照)には、その上面を全域に亘って開放した出入口33Aと、前後の両側壁を切り欠いたスリット状の開口部(図示せず)とが形成されている。この開口部は、収納体33の前壁及び後壁において、通い箱5の開口部26(
図4参照)に合致する位置に同数形成され、左右方向Xに並んで配置されている。
【0045】
図5に示すように、各収納体33には、通い箱5が1つずつ装填される。これにより、通い箱5内の賞品Pは、収納体33内に収納されるとともに、収納部12内にも収納される。通い箱5が装填された収納体33では、前述した開口部と通い箱5の開口部26とが1つずつ整合している。また、この実施形態では、同じ種類の賞品Pが1つの通い箱5内に収納されるので、1つの収納体33には、同じ種類の賞品Pが装填され、1つの収納部12には、同じ種類の賞品Pが収納される。一例として、下収納部12Aには大賞品だけが収納され、中収納部12Bには中賞品だけが収納され、上収納部12Cには小賞品だけが収納される。もちろん、各収納部12において、収納体33毎に賞品Pの種類が異なってもよい。
【0046】
これらの収納体33は、左右一対の搬送体32の周回方向Rに沿って環状に並んで配置された状態で、これらの搬送体32の間に架設されている。そのため、移動機構34が作動することによって左右の搬送体32が周回移動すると、これらの収納体33は、搬送体32とともに周回移動する。搬送体32及び収納体33の周回移動を「ロータリー動作」ということがある。また、各収納体33は、搬送体32との連結部分において、左右方向Xに延びる回動軸線(図示せず)まわりに回動自在である。
【0047】
図5に示すように、各収納部12には、第1姿勢変更機構35と、第2姿勢変更機構36とが設けられている。第1姿勢変更機構35は、搬送体32の周回領域における前下側の隅付近に位置する収納体33を一時的に前向き姿勢まで傾倒させる。第2姿勢変更機構36は、搬送体32の周回領域における後下側の隅付近に位置する収納体33を一時的に後向き姿勢まで傾倒させる。第1姿勢変更機構35及び第2姿勢変更機構36は、いずれも、ガイドレール等によって構成される。各収納体33は、途中で後向き姿勢になったり前向き姿勢になったりするものの、原則として、上向き姿勢を維持するように回動しながら、ゴンドラのように周回移動する。
【0048】
各収納部12の筐体31の内部空間31Fの後端部には、検出ユニット37が配置されている。検出ユニット37は、検出部38と、検出部38を支持するホルダ39とを含む。検出部38は、いわゆるカラーセンサであり、ホルダ39の前面に設けられている。検出ユニット37は、筐体31の後壁31Gによって支持されており、ステッピングモータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けて昇降する。その際、検出部38は、最寄りの収納体33に収納された通い箱5内の賞品Pの種類及び個数を検出する。詳しくは、後述する。
【0049】
各収納部12の筐体31の内部空間31Fにおいて搬送体32及び収納体33よりも下側Z2の領域には、繰出機構41が設けられている。繰出機構41は、収納体33から賞品Pを繰り出す繰出部42を含む。収納部12が複数(この実施形態では3つ)存在するので、繰出部42も、賞品払出装置1の全体では複数存在する。これらの収納部12が上下方向Zに並んでいるので、複数の繰出部42も上下方向Zに並んでいる。このような構成であれば、水平方向、とくに前後方向Yにおける賞品払出装置1の小型化を図ることができる。各収納部12において、繰出機構41に設けられる繰出部42は、この実施形態では1つだけであるが、複数の繰出部42が左右方向Xに並んで設けられてもよい。
【0050】
図5に示すように、繰出部42は、繰出ベルト43と、3つのローラ44と、繰出ローラ45と、対向ローラ46とを含む。これらのローラは、左右方向Xに延びる中心軸線を有するローラである。繰出ベルト43は、左右方向Xから見て略三角形の環状をなす無端状である。3つのローラ44は、繰出ベルト43の内側において略三角形の各頂点部分に1つずつ配置されている。繰出ローラ45は、例えばウレタンで構成された外周面を有している。対向ローラ46は、繰出ローラ45に対向している。繰出ベルト43の外周面には、爪状の押出片43Aが突出して設けられている。押出片43Aは、この実施形態では1つだけ設けられているが、複数の押出片43Aが等間隔に並んで設けられてもよい。繰出ベルト43は、少なくともいずれかのローラ44がモータ等の駆動部により駆動回転されることによって、周回移動する。繰出ローラ45は、当該駆動部により駆動回転される。
【0051】
繰出機構41の全体は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、繰出位置と退避位置との間で、繰出ローラ45の直上に位置する回動軸(図示せず)まわりに回動可能である。繰出機構41が繰出位置にあるときには繰出部42も繰出位置にあり、繰出機構41が退避位置にあるときには繰出部42も退避位置にある。つまり、繰出部42は、繰出機構41の回動に応じて繰出位置と退避位置との間で移動可能である。
【0052】
繰出位置にある繰出部42では、
図5に示すように、繰出ベルト43が繰出ローラ45及び対向ローラ46よりも後側Y2に位置し、2つのローラ44が前後方向Yに並んで、残り1つのローラ44が当該2つのローラ44よりも下側Z2に位置して、繰出ベルト43において当該2つのローラ44間の平坦部43Bが前後方向Yに沿って水平になっている。また、対向ローラ46が繰出ローラ45に上側Z1から対向していて、平坦部43Bが、繰出ローラ45と対向ローラ46との間と同じ高さ位置にある。繰出位置にある繰出部42は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって左右方向Xにスライド可能である。
【0053】
待機状態における繰出機構41は、繰出位置にある。繰出機構41は、右側面視において繰出位置から時計回りに約30度以上回動すると、通い箱5が装填された各収納体33の周回軌跡を回避した退避位置(例えば、
図10の下収納部12Aの繰出機構41を参照)に配置される。繰出機構41が退避位置にあるとき、繰出部42も退避位置にある。退避位置は、繰出位置から前側Y1や下側Z2へ退避した位置である。退避位置の繰出部42では、繰出ベルト43が繰出ローラ45及び対向ローラ46よりも下側Z2に位置し、繰出ベルト43の平坦部43Bが上下方向Z(具体的には斜め下側)に沿っていて、対向ローラ46が繰出ローラ45に後側Y2から対向している。
【0054】
扉13は、筐体11の開口11Aを塞ぎ得る大きさを有する縦長のボックス状である。扉13は、開口11Aを閉じた閉位置(
図1も併せて参照)において前後方向Yに扁平である。
図3に示すように、扉13の左端は、ヒンジ50を介して筐体11に連結されていて、ヒンジ50まわりに回動可能である。閉位置にある扉13が、平面視にて時計回りに回動すると、開位置に配置されて開口11Aの全域を前側Y1へ露出させる。以下では、とくに断りがない場合には、扉13が閉位置にあることを前提として説明する。
【0055】
扉13の上面13Aは、筐体11の上面、つまり天壁14の上面とほぼ同じ高さ位置にある。上面13Aには、左右方向Xに長手の払出口13Bが1つだけ設けられている。払出口13Bが1つだけ設けられているので、払出口13Bが複数設けられる場合と比べて、賞品払出装置1の小型化を図ることができる。払出口13Bは、扉13の内部空間13Cに連通している。扉13は、払出口13Bを開閉する1枚のシャッター52をさらに含む。
【0056】
シャッター52は、左右方向Xに長手の板状に形成されている。シャッター52は、払出口13Bを閉じた閉位置(
図1も併せて参照)と、天壁14の真下の空間まで後退して払出口13Bを開いた開位置(
図14参照)との間で前後方向Yにスライド可能である。天壁14の真下の空間は、筐体11の内部空間11Bの上端部である。シャッター52は、筐体11又は扉13に設けられたモータ等のシャッター駆動部71の駆動力によって開閉される。
【0057】
扉13の後面のほぼ全域は、開放されている。そのため、扉13の内部空間13Cは、収容位置にある各収納部12の筐体31の前面の開口31Dを介して筐体31の内部空間31Fに連通している。内部空間13Cには、各収納部12内の賞品Pを払出口13Bに払い出す払出機構53が設けられている。つまり、筐体11の開口11Aを開閉する扉13には、払出機構53が一体化されている。これにより、賞品払出装置1の一層の小型化を図ることができる。払出機構53はエレベータ54を含む。
【0058】
エレベータ54は、エレベータ駆動部68の駆動力を受けることによって、扉13の内部空間13Cの下端付近に設定された下待機位置P1と、内部空間13Cの上端よりも上方に設定された払出位置P4との間で昇降する。エレベータ54は、複数の収納部12に対して共通のエレベータであり、各収納部12から賞品Pを受け取って払出口13Bまで移動する。この実施形態において、エレベータ54の位置として、下待機位置P1及び払出位置P4の他に、上待機位置P2及び払出基準位置P3が設定されている。払出位置P4は、賞品Pの払い出し時に配置される位置であり、エレベータ54が配置される位置のうち最も高い位置である。払出基準位置P3は、賞品Pの払い出し時におけるエレベータ54の基準高さ位置であり、下待機位置P1と払出位置P4との間に設定されている。上待機位置P2は、シャッター52を開閉させるとき、すなわち、シャッター52を開位置(
図14参照)と閉位置(
図5参照)との間でスライドさせる際のエレベータ54の待機位置であり、払出基準位置P3と払出位置P4との間に設定されている。払出位置P4は、払出基準位置P3よりも所定量(例えば、次に述べるステッピングモータ72の68パルス分に相当する移動部55の移動量(約10mm))だけ上方に設定されている。上待機位置P2は、払出基準位置P3よりも所定量(例えば、ステッピングモータ72の31パルス分に相当する移動部55の移動量(約5mm))だけ下方に設定されている。
【0059】
図6(a)及び
図6(b)は、エレベータ54を説明するための図である。
図6(a)はエレベータ54を上側Z1から見た図であり、
図6(b)はエレベータ54を前側Y1から見た図である。エレベータ54は、上下方向Zに一致した板厚方向を有して左右方向Xに長い長方形の板状である。エレベータ54は、左右方向Xに並ぶ複数の移動部55に区画される。エレベータ54は、この実施形態では一体物であり、複数の移動部55は、左右方向Xの長さが互いに同じである。移動部55は、通い箱5の収容空間24と同数(ここでは5つ)設けられている。すなわち、移動部55は、複数存在して横並びに配置される。また、複数の移動部55は、横並びに配置された状態にてまとまって昇降する。
【0060】
エレベータ54には、ステッピングモータ72を含む構成のエレベータ駆動部68が結合されている。エレベータ駆動部68は、ステッピングモータ72と、ステッピングモータ72を駆動するためのドライバ回路(図示せず)と、ステッピングモータ72を制御するためのモータ制御部(図示せず)とを備えている。モータ制御部が、エレベータ54の昇降量に応じたパルス信号をドライバ回路に送信すると、ドライバ回路は、モータ制御部から送信されたパルス数に応じた励磁信号をステッピングモータ72に付与する。これにより、ステッピングモータ72が励磁信号に対応するパルス数だけ駆動される。この実施形態において、ステッピングモータ72への1パルス駆動に相当するエレベータ54の移動量は、約0.15mmである。ステッピングモータ72のモータ制御部は、原点位置からの駆動パルス数を正負の両方の形で記憶する。エレベータ54の上側Z1への移動のために1パルス駆動される毎に「1」加算を記憶する。逆に、エレベータ54の下側Z2への移動のために1パルス駆動される毎に「1」減算する。そして、エレベータ54が検出部75(
図5参照)によって検出されると、ステッピングモータ72のモータ制御部によって保持されている駆動パルス数は零リセットされる。すなわち、原点リセットされる。
【0061】
エレベータ54が払出位置P4まで上昇したとき、払出口13Bでは、エレベータ54における複数(この実施形態では5つ)の移動部55が左右方向Xに並んでいる。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、5つの移動部55のそれぞれを、左端から順に、移動部55A、移動部55B、移動部55C、移動部55D及び移動部55Eとする。これら複数の移動部55A~55Eにより、この払出口13Bは、左右方向Xに並ぶ複数(この実施形態では5つ)の払出区画13D(
図1参照)に区分けされている。これらの払出区画13Dは、それぞれ、移動部55A、移動部55B、移動部55C、移動部55D及び移動部55Eと対応している。互いに対応する払出区画13D及び移動部55のペアは、各収納部12の収納体33にセットされる通い箱5における5つの収容空間24(
図4参照)のうち、左右方向Xで同じ位置にあるいずれか1つの収容空間24と対応している。
【0062】
払出機構53は、エレベータ54から立ち上がった複数の板状の仕切壁56(
図2及び
図3も併せて参照)をさらに含む。複数の仕切壁56は、エレベータ54上の空間を左右方向Xに複数(例えば5つ)に仕切り、複数の移動部55を区画する。複数の仕切壁56は、扉13の内部空間13Cにおいてエレベータ54の昇降に同伴して昇降する。
【0063】
しかし、複数の仕切壁56は、内部空間13C内に設定された所定の上限位置よりも上側Z1へ移動できない。この上限位置は、上待機位置P2の下側Z2で、かつ各収納部12の前側Y1に対向する位置より上側Z1に配置されている。エレベータ54が、上限位置と下待機位置P1との間に配置されている場合には、複数の仕切壁56とエレベータ54とは一体に移動する。しかし、エレベータ54が、所定の上限位置を超えて上側Z1へ移動すると、エレベータ54のみ上昇する。
【0064】
図7は、移動部55を前側Y1から見た図である。複数の移動部55A~55Eのそれぞれの上面には、板厚方向が上下方向Zに一致した水平の姿勢の賞品Pを載せることができる。複数の移動部55A~55Eのそれぞれには、当該移動部55上の賞品Pの残留を検知するための検知部73が設けられている。検知部73は、移動部55上の物との接触に応じて作動して、当該物の存在を検知する接触式の検知部である。検知部73は、移動部55の上面55Uから露出されて上下に移動可能なプッシャ74と、プッシャ74の上下の動きを検知するフォトインタラプタ(図示せず)とを含むセンサである。
【0065】
移動部55上に賞品Pが載せられた状態では、
図7に示すように、賞品Pの重さによって、プッシャ74が下がる。検知部73は、フォトインタラプタによりプッシャ74の下降を検知することによってONになり、移動部55上の賞品Pの残留を検知する。賞品Pが移動部55上に載せられていない状態では、図示しないバネ等の付勢力によってプッシャ74が元の高さ位置(一点鎖線で示す位置)まで上昇する。このとき、検知部73は、OFFになって、移動部55上に賞品Pの残留がないことを検知する。検知部73がONになるために必要なプッシャ74の下降量は、この実施形態では例えば約1.5mmに設定されている。また、プッシャ74が元の高さ位置にある状態で、プッシャ74の上端は、移動部55の上面55Uから約4.6mmの高さにある。
【0066】
検知部73は、移動部55上の賞品Pとの接触に応じて作動することによって、賞品Pの存在を検知するのであるが、賞品P以外の異物も、検知部73によって検知できる。但し、検知部73の構造上、賞品P以外の異物を検知できるのは、移動部55上に載せられる異物の重量が所定量以上である場合に限られる。すなわち、移動部55上に載せられる異物の重量が所定量未満である場合、その異物を検知部73によって検知できない。
【0067】
図5に示すように、扉13の内部空間13Cの直下の位置は、エレベータ54が払出基準位置P3に存在しているか否かを検出する検出部75が配置されている。検出部75は、光学センサによって構成されており、ホルダ(図示しない)に保持されている。エレベータ54は、払出基準位置P3を通過したり払出基準位置P3に配置されたりしたときに、検出部75によって検出される。
【0068】
図8は、賞品払出装置1の電気的構成を示すブロック図である。賞品払出装置1は、制御部61を含む。制御部61は、CPUやROMやRAM等によって構成され、タイマ等を内蔵している。後述する他の制御部についても同様である。制御部61は、POSユニット2に内蔵されたPOS制御部61Aと、装置本体3に内蔵された払出制御部(制御部)61Bとに分かれている。POS制御部61Aと払出制御部61Bとは、互いに通信可能に接続されている。
【0069】
POSユニット2は、POS制御部61Aと、カードを処理するカード処理部62と、レシート発行部63とを含む。POS制御部61Aには、表示操作部4、カード処理部62及びレシート発行部63が電気的に接続されている。カードには、パチンコ台等の遊技台にて遊技によって獲得された遊技媒体の数等の情報が記憶されている。カード処理部62は、カード出入口2A(
図1参照)に挿入されたカードを取り込んで、このカードから必要な情報を読み取ったり、読取後のカードをカード出入口2Aから排出したりする。レシート発行部63は、プリンタによって構成され、レシートを印刷してレシート発行口2B(
図1参照)から発行する。
【0070】
POSユニット2は、記憶部67をさらに含む。記憶部67は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスによって構成されている。記憶部67は、POS制御部61Aに電気的に接続されている。記憶部67は、過去の異常履歴や賞品Pの交換履歴等の様々な情報を記憶している。
【0071】
装置本体3の払出制御部61Bには、各収納部12における移動機構34、検出部38、及び繰出機構41のそれぞれに関連した電気部品(前述した駆動部やセンサ等)が電気的に接続されている。払出制御部61Bには、検知部73及び検出部75が電気的に接続されている。払出制御部61Bには、引出ロック機構18及び扉ロック機構51のそれぞれに関連した電気部品も電気的に接続されている。引出ロック機構18は、各収納部12を収容位置においてロックしたり、そのロックを解除したりする。引出ロック機構18として、電磁ロック等を用いることができる。扉ロック機構51は、扉13を閉位置においてロックしたり、そのロックを解除したりする。扉ロック機構51として、電磁ロック等を用いることができる。
【0072】
払出制御部61Bには、シャッター駆動部71及びエレベータ駆動部68が電気的に接続されている。払出制御部61Bは、前述の電気部品、シャッター駆動部71及びエレベータ駆動部68の動作を制御することによって、賞品Pを補充する補充処理と、装置本体3の各収納部12内の賞品Pを計数及び識別する計数識別処理と、各収納部12内の賞品Pを繰り出して機外(つまり筐体11の外)に払い出す繰出払出処理とを実行する。これらの処理に関連して、POS制御部61Aは、表示操作部4に必要な情報を表示したり、店員や遊技客による表示操作部4の操作に応じた指示を受け付けたり、遊技客のカードをカード処理部62によって処理したり、レシートをレシート発行部63によって発行したりする。
【0073】
以下では、補充処理、計数識別処理及び繰出払出処理について、この順番に説明する。
図9は、補充処理のために収納部12を引き出した状態における装置本体3の内部の模式的な右側面図である。
図1~
図5、
図8及び
図9を参照して、補充処理について説明する。
【0074】
補充処理の際には、店員は、表示操作部4を操作することによって、補充処理の対象となる収納部12を1つ選択する。すると、制御部61の払出制御部61Bは、POS制御部61Aからの指示により、選択された収納部12についての引出ロック機構18によるロックを解除することによって、この収納部12の引出位置までの引き出しを許可するとともに、扉ロック機構51による扉13のロックも解除する。
【0075】
次に、店員が、
図2に示すように扉13を開位置まで開き、ロックが解除された収納部12の取っ手31Eを掴んで前側Y1に引くと、この収納部12は、
図3に示す引出位置まで引き出される(
図3の下収納部12Aを参照)。一度に引き出させる収納部12は、1つだけである。引出位置まで引き出された収納部12では、筐体31の上面の扉31Bが、装置本体3の筐体11よりも前側Y1、つまり筐体11の外に配置されている。この状態において、店員が、この収納部12の扉31Bを開いて装填口31Aを上側Z1に開放する。扉31Bが開くのに先立って払出制御部61Bが搬送体32を周回移動させ、これにより、
図9に示すように、空の状態にある1つの収納体33が、装填口31Aの真下に配置される。装填口31Aの真下に配置された収納体33は、出入口33Aが上側Z1を向いた装填位置にある。なお、搬送体32が周回移動している収納部12では、繰出機構41が、周回移動中の搬送体32や収納体33に接触しないように、退避位置に配置される(
図9の下収納部12Aを参照)。
【0076】
店員は、賞品Pを収容した基本姿勢の状態の通い箱5を、
図9の太線矢印で示すように下降させて装填口31Aを通過させ、装填位置にある収納体33の出入口33Aに上側Z1から挿入する。これにより、通い箱5が、装填位置の収納体33に装填され、通い箱5内の賞品Pは、収納部12内に装填される。
【0077】
店員が、収納体33に通い箱5を装填された後に扉31Bを閉じて、引出位置の収納部12の取っ手31Eを掴んで収容位置まで戻すと、払出制御部61Bは、この収納部12を、引出ロック機構18によって収容位置にてロックする。これにより、この収納部12についての補充処理が終了する。
【0078】
図10は、計数識別処理の際における装置本体3の内部の模式的な右側面図である。
図11は、
図10のA-A矢視断面図である。
図1~
図5、
図8、
図10及び
図11を参照して、計数識別処理について説明する。計数識別処理の際には、
図10の下収納部12Aに示すように、払出制御部61Bは、搬送体32を周回移動させる。すると、収納部12において、計数識別処理の対象となる収納体33が、検出ユニット37に接近すると、第1姿勢変更機構35により、出入口33Aが後側Y2を向いた後向き姿勢に傾倒する(
図10の下収納部12A参照)。また、この収納体33に装填された通い箱5も、出入口25が後側Y2を向いた後向き姿勢にある。この状態において、通い箱5内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から後側Y2へはみ出しており、当該賞品Pの後端面が検出ユニット37側(厳密には斜め上側)を向いている。
【0079】
収納体33が上向き姿勢から横向き姿勢に変わって検出ユニット37に接近すると、払出制御部61Bは、搬送体32の周回移動を停止する。このとき、収納部12では、検出ユニット37における検出部38が、後向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5の各収容空間24に対して1つずつ左右方向Xにおいて同じ位置にある(
図11参照)。この状態において、払出制御部61Bは、検出ユニット37を、例えば下端の待機位置から上昇させる。その際、各検出部38が、当該通い箱5において左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に後側Y2から対向しながら上昇する。検出部38は、左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に収容されて上下方向Zに積層された状態にある賞品Pを下側Z2から順に1つずつ非接触にて計数及び識別する。
【0080】
検出部38は、賞品Pに対して光を照射して、その反射光を受けてRGB値に変換して分析し、この分析結果に基づいて、賞品Pを計数したり、賞品Pの真偽や種類を識別したりする。なお、識別情報を記憶したICチップが賞品Pに内蔵されていて、検出部38は、非接触でICチップから識別情報を読み取ることによって、賞品Pの真偽や種類を識別してもよい。そして、後向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5の各収容空間24における全ての賞品Pについての計数及び識別が完了して、検出部38が待機位置まで下降すると、計数識別処理が終了する。
【0081】
各収納部12内の各収納体33における賞品Pの在庫データ(賞品Pの種類及び在庫数)は、収納体33毎に割り当てられた識別情報に関連付けてテーブル(図示せず)にまとめられ、記憶部65に記憶される。とくに、収納体33にセットされた通い箱5において左右方向Xに並ぶ各収容空間24における賞品Pの在庫データが、各収納体33における賞品Pの在庫データの内訳として記憶部65に記憶されている。
【0082】
また、記憶部65には、後述する第2確認処理(
図13のステップS6)において参照される基準値記憶部80A(
図17も併せて参照)及び上昇量記憶部80B(
図18も併せて参照)が記憶されている。基準値記憶部80Aには、後述する基準値事前測定処理(
図20参照)によって取得された基準値が記憶されている。上昇量記憶部80Bには、第2確認処理(
図13のステップS6)によって取得される移動部55の上昇量が格納される。この実施形態では、基準値及び上昇量として、ステッピングモータ72に保持されている駆動パルス数が記憶される。
【0083】
図12は、繰出払出処理の際における装置本体3の内部の模式的な右側面図である。
図1~
図5、
図8及び
図12を参照して、繰出払出処理について説明する。繰出払出処理は、通い箱5からエレベータ54の移動部55上に賞品Pを1枚ずつ繰り出す繰出処理と、繰出処理によって繰り出されたエレベータ54上の賞品Pを払出口13Bから機外へ払い出す払出処理とを含む。
【0084】
遊技客は、カード出入口2Aにカードを挿入する。すると、POS制御部61Aは、カードに関連付けられた遊技媒体の数等をカード処理部62によって読み取る。その後、遊技客は、表示操作部4を操作することによって、カードに関連付けられた遊技媒体の数の範囲内において交換可能な賞品Pの種類及び種類毎の個数を選択できる。POS制御部61Aは、交換対象の賞品Pの種類及び種類毎の個数についての遊技客の選択結果に基づいて、払出対象の賞品Pについての払出情報を生成する。払出情報は、払出対象の賞品Pの種類を特定する特定情報と、払出対象の賞品Pの個数についての個数情報とを含む。
【0085】
POS制御部61Aが、払出情報を含む払出要求を払出制御部61Bに送信すると、払出制御部61Bは、まず、繰出処理を行う。具体的には、下収納部12Aを参照して、払出制御部61Bは、搬送体32を周回移動させる。これにより、繰出処理の対象となる収納体33が、払出機構53のエレベータ54に接近すると、第2姿勢変更機構36により、出入口33Aが前側Y1を向いた前向き姿勢に傾倒する。なお、前向き姿勢の収納体33では、セットされた通い箱5の出入口25からの賞品Pの脱落を防止するために、出入口33Aが真横でなく、僅かに斜め上側を向いている。
【0086】
図12の下収納部12Aでは、前側下端にある収納体33が前向き姿勢にあって、この収納体33の出入口33Aが前側Y1を向いている。また、この収納体33に装填された通い箱5も、出入口25が前側Y1を向いた前向き姿勢にあって、通い箱5内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から前側Y1へはみ出しており、当該賞品Pの前端面が扉13側(厳密には斜め上側)を向いている。
【0087】
図12に示すように、前向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5内における最下位の賞品Pが、繰出位置にある繰出機構41における繰出部42の繰出ベルト43の平坦部43Bとほぼ同じ高さ位置になると、払出制御部61Bは、搬送体32の周回移動を停止する。このとき、繰出位置にある繰出部42が、この通い箱5の真下に配置される。
【0088】
次いで、払出制御部61Bは、待機位置からエレベータ54を上昇させてエレベータ54の上面を繰出ベルト43の平坦部43Bとほぼ同じ高さ位置に配置した後に、繰出部42における繰出ベルト43を周回移動させて繰出ローラ45を回転させる。このとき、繰出機構41では、右側面視において繰出ベルト43が反時計回りに周回移動して繰出ローラ45が反時計回りに回転する。周回移動する繰出ベルト43に設けられた押出片43Aが、繰出ベルト43の平坦部43Bにおいて前側Y1へ水平移動する。その際、押出片43Aが、前向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5の開口部26(
図4参照)に進入して、当該通い箱5の収容空間24内の最下位の賞品Pを引っ掛けて前側Y1へ押し出す。このように、繰出位置にある繰出部42は、前向き姿勢にある1つの収納体33から賞品Pを繰り出す。
【0089】
前側Y1へ繰り出された賞品Pは、駆動回転される繰出ローラ45に接触することによって繰出ローラ45と対向ローラ46との間を通ってエレベータ54側へ押し出され、エレベータ54において左右方向Xで同じ位置にある1つの移動部55上に載る。そして、繰出ベルト43の周回移動と繰出ローラ45の回転が繰り返されることによって、前向き姿勢の収納体33に装填された通い箱5において各繰出部42の真上に位置する収容空間24内の賞品Pが、下側Z2の賞品Pから順に1つずつ繰り出されて、移動部55上に集積される。
【0090】
なお、繰り出された賞品Pが移動部55において上側Z1に集積されるように、賞品Pの繰り出しの度に、払出制御部61Bは、エレベータ54を待機位置から徐々に下降させる。また、払出制御部61Bは、搬送体32を僅かに周回移動させることによって、前向き姿勢の収納体33を一時上昇させ、その間に繰出部42を左右方向Xに移動させる。その後、払出制御部61Bは、搬送体32を逆向きに周回移動させることによって収納体33を元の位置まで下降させれば、先ほど賞品Pを繰り出した元の収容空間24とは別の収容空間24の賞品Pを繰出部42によって繰り出すことができる。この場合、当該別の収容空間24から繰り出された賞品Pは、エレベータ54において先ほどの移動部55とは別の移動部55に集積される。
【0091】
今まで横向き姿勢にあった収納体33(
図12の下収納部12Aを参照)にセットされた通い箱5における全ての収容空間24が空になると、払出制御部61Bは、別の収納部12、例えば中収納部12Bの繰出機構41の繰出部42までエレベータ54を上昇させてもよい。中収納部12Bでは、繰出機構41が繰出位置にあり、1つの収納体33が繰出部42上において前向き姿勢にあって、この収納体33にセットされた通い箱5からの賞品Pの繰り出しが可能である。そのため、払出制御部61Bは、この収納体33にセットされた通い箱5からエレベータ54上に賞品Pを繰り出す。
【0092】
払出制御部61Bは、このように下収納部12Aからエレベータ54を移動させて中収納部12Bから賞品Pを繰り出す際において、下収納部12Aでの繰出準備として、下収納部12Aの繰出機構41を一旦退避位置まで回動させてから搬送体32を周回移動させ、別の通い箱5が装填された収納体33を前向き姿勢にする。その後、払出制御部61Bは、下収納部12Aの繰出機構41を繰出位置に戻すとともに、中収納部12Bからの賞品Pが繰り出されたエレベータ54を下降させる。そして、払出制御部61Bは、下収納部12Aにおいて前向き姿勢にある収納体33にセットされた通い箱5からエレベータ54上に賞品Pを繰り出す。このように1つの収納部12(今回の説明では下収納部12A)において搬送体32の周回移動を挟んで複数の収納体33から賞品Pを繰り出すことを、「ロータリー跨ぎ」という。
【0093】
必要数の賞品Pがエレベータ54上に繰り出されると、繰出処理が完了する。すると、払出制御部61Bは、払出処理を開始する。必要数の賞品Pがエレベータ54上に繰り出されると、繰出処理が完了する。すると、払出制御部61Bは、払出処理を開始する。
【0094】
図13は、繰出払出処理に含まれる払出処理の一例を示すフローチャートである。
図14は、払出処理の際における装置本体3の内部の模式的な右側面図である。
図15は、表示操作部4に表示される賞品残留表示76の一例を示す模式図である。
【0095】
払出処理において、まず、払出制御部61Bは、払い出し動作(
図13のステップS1)を実行する。具体的には、払出制御部61Bは、必要数の賞品Pを受け取ったエレベータ54を上昇させ、上待機位置P2に配置する。エレベータ54が上待機位置P2に配置された状態で、払出制御部61Bは、シャッター駆動部71を制御して、シャッター52を開位置(
図14参照)までスライドさせる。これにより、扉13の上面13Aの払出口13Bが上側Z1へ開放される。
【0096】
次いで、払出制御部61Bは、エレベータ駆動部68のステッピングモータ72を制御して、エレベータ54を払出位置P4まで上昇させる。エレベータ54は、払出位置P4まで上昇することによって払出口13Bまで移動する。エレベータ54の移動部55上に繰り出された賞品Pが、払出口13Bの対応する払出区画13Dに積層状態で払い出される。エレベータ54が払出位置P4まで上昇することにより、積層された賞品Pが、払出口13Bから機外に露出される。遊技客等の利用者は、払出口13Bに払い出された賞品Pを直接受け取る。
【0097】
払出処理の終了時には、払い出しに関する残留物(賞品P及び異物)の有無を確認する確認処理(確認ステップ)が実行される。この実施形態では、払出制御部61Bは、確認処理として、第1確認処理(
図13のステップS2)及び第2確認処理(
図13のステップS6)の2つの処理を実行する。移動部55に繰り出された賞品Pが、払出口13Bに払い出された状態で、まず、第1確認処理(ステップS2)が実行される。
【0098】
第1確認処理(ステップS2)は、複数の移動部55A~55Eのそれぞれにおける残留物の有無を、検知部73によって確認する処理である。第1確認処理において、払出制御部61Bは、対応する検知部73の検知出力を参照して、複数の移動部55A~55Eのそれぞれにおける残留物の有無を判断する。
【0099】
そして、全ての移動部55上に残留物がないことが検知されると、払出制御部61Bは、払い出しの終了動作を実行する。具体的には、払出制御部61Bは、エレベータ駆動部68のステッピングモータ72を制御して、エレベータ54を払出基準位置P3まで一旦下降させる(
図13のステップS4)。そして、払出基準位置P3にエレベータ54が配置されてから所定時間が経過すると、払出制御部61Bは、ステッピングモータ72を制御して、エレベータ54を上待機位置P2まで下降させる(
図13のステップS5)。
【0100】
また、払出基準位置P3に配置されてから所定時間が経過すると、払出制御部61Bは、シャッター駆動部71を制御して、シャッター52を閉位置(
図5参照)までスライドさせる。これにより、扉13の上面13Aの払出口13Bが閉塞される(ステップS5)。なお、全ての検知部73ではなく、賞品Pが載置されている移動部55に対応する検知部73のみが残留物がないことが検知されたことに応じて、払い出しの終了動作が開始されてもよい。次いで、第2確認処理(
図13のステップS6)が実行される。
【0101】
第2確認処理(ステップS6)は、移動部55を上昇させて、払出口13Bを閉じた状態のシャッターに検知部73を接近させることによって、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52と移動部55との間における残留物の有無を確認する処理である。利用者が移動部55上で賞品Pを掴み損なうことにより、払出口13Bに向けて賞品Pが落下することがある。このとき、シャッター52によって閉じられる直前の払出口13Bに賞品Pが進入すると、移動部55上で跳ね返った賞品Pが、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52の下側Z2に挟まるおそれもある。第2確認処理(ステップS6)では、シャッター52と移動部55との間において移動部55上から上側Z1に離隔して存在する残留物(賞品P)の有無を確認できる。すなわち、シャッター52の下側Z2に賞品Pが挟まっている場合、この賞品Pを、第2確認処理(ステップS6)によって確認できる。
【0102】
第2確認処理(ステップS6)では、払出制御部61Bは、エレベータ54(複数の移動部55)を上昇させて、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52に検知部73を接触させ、検知部73が作動するまでの移動部55の上昇量を求める。そして、払出制御部61Bは、この上昇量と、この上昇量についての基準値とを比較して、シャッター52と移動部55との間における残留物(賞品P)の有無を確認する。第2確認処理(ステップS6)の詳細については、後述する。
【0103】
第2確認処理(ステップS6)によって、シャッター52と移動部55との間において残留物(賞品P)が存在すると判断した場合(
図13のステップS7でYES)、払出制御部61Bは、POSユニット2に、残留物(賞品P)が存在する旨の信号を送信する。これにより、POSユニット2の表示操作部4に、
図15に示す賞品残留表示76が表示される(
図13のステップS8)。ゆえに、残留している賞品Pが存在していることを利用者に知らせることができる。賞品残留表示76による報知に代えて/併せて警告音や警告ランプによる報知が行われてもよい。
【0104】
次いで、払出制御部61Bは、リトライ処理を実行する(
図13のステップS9)。リトライ処理は、シャッター52が開位置(
図3参照)にスライドして払出口13Bが開かれて、エレベータ54が払出口13Bまで上昇される処理である。例えば、シャッター52の下側Z2に賞品Pが挟まっている場合には、シャッター52が開位置(
図3参照)にスライドすることにより、賞品Pが落下してエレベータ54の移動部55上に載る。リトライ処理により、この賞品Pは、移動部55に載った状態で払出口13Bに払い出される。
【0105】
図16は、第2確認処理(
図13のステップS6)の一例を示すフローチャートである。
図17は、記憶部65の基準値記憶部80Aの記憶内容の一例を示す図である。
図18は、記憶部65の上昇量記憶部80Bの記憶内容の一例を示す図である。
図19は、第2確認処理(
図13のステップS6)においてシャッター52及びエレベータ54を前側Y1から見た図である。
【0106】
図16~
図19を参照して、第2確認処理(
図13のステップS6)について説明する。第2確認処理(
図13のステップS6)では、払出制御部61Bは、エレベータ54(複数の移動部55)を上昇させて、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52に検知部73を接触させる。そして、払出制御部61Bは、シャッター52との接触により検知部73が作動するまでの移動部55の上昇量を求め、この上昇量と基準値とを比較することにより、シャッター52と移動部55との間における残留物の有無を判断する。
【0107】
図17に示すように、基準値記憶部80Aには、シャッター52に検知部73が接触して作動するまでの複数の移動部55A~55Eの上昇量についての基準値が、移動部55毎に記憶されている。基準値記憶部80Aにおいて記憶されている基準値は、後述する基準値事前測定処理(
図20参照)において求められた事前の測定値である。
図18に示すように、上昇量記憶部80Bは、シャッター52に検知部73が接触して作動するまでの複数の移動部55A~移動部55Eの上昇量を、移動部55毎に記憶する。
【0108】
この実施形態では、移動部55の上昇量は、払出基準位置P3からの上昇量である。また、この実施形態では、移動部55の上昇量は、ステッピングモータ72に保持されている駆動パルス数の形で記憶される。
図17及び
図18の例で「25パルス」とあるのは、移動部55の上昇量が、ステッピングモータ72の25パルス分に相当する移動部55の移動量(約3.8mm)であるということを示す。基準値記憶部80Aの例において、右側X2の移動部55に向かうに従って上昇量についての基準値が大きくなっているのは、エレベータ54の上面が、厳密に言えば、水平状態から傾斜していることに起因するものである。
【0109】
図16の処理例では、シャッター52と複数の移動部55A~55Eのそれぞれとの間に残留物が存在するか否かが判断される。
図16の処理例において、第2確認処理(
図13のステップS6)の実行は、エレベータ54が上待機位置P2に配置されかつシャッター52によって払出口13Bが閉じられた状態で開始される。払出制御部61Bは、ステッピングモータ72を制御して、
図19(a)に白抜き矢印で示すように、エレベータ54を上待機位置P2から上昇させる(
図16のステップS11)。払出制御部61Bは、全ての移動部55に対応する検知部73の検知出力を監視している。
【0110】
そして、払出制御部61Bは、いずれかの検知部73が作動したとき(ONになったとき、
図16のステップS12でYES)、検知部73が作動した時点におけるステッピングモータ72に保持されている駆動パルス数を、その検知部73に対応する移動部55の上昇量として、上昇量記憶部80Bに格納する(
図16のステップS13)。全ての移動部55に対応する検知部73が作動するまで、エレベータ54の上昇は続行される(
図16のステップS14,S15)。そして、各検知部73が作動すると、その時点におけるステッピングモータ72に保持されている駆動パルス数が、その検知部73に対応する移動部55の上昇量として、上昇量記憶部80Bに格納される。
【0111】
シャッター52と移動部55(
図19(a)の例では移動部55E)との間において、移動部55上から上側Z1に離隔して賞品P(
図19(a)に破線で図示)が存在していることがある。
図19(a)の例では、シャッター52の下側Z2に賞品Pが挟まっている。この場合、エレベータ54が上昇すると、
図19(b)に示すように、シャッター52に検知部73が接触する前に検知部73が賞品Pに接触する。そのため、複数の移動部55A~55Eのうちシャッター52との間に賞品Pが存在している移動部55では、移動部55の上昇量が小さい時点で、対応する検知部73が作動する。
図19(a)に示す状態の場合には、
図18に示すように、移動部55Eの上昇量として上昇量記憶部80Bに記憶される値(「9パルス」)は、他の移動部55A~55Dの上昇量として上昇量記憶部80Bに記憶される値(「25パルス」~「28パルス」)と比較して小さい。
【0112】
全ての移動部55に対応する検知部73が作動すると(
図16のステップS14でYES)、払出制御部61Bは、エレベータ54の上昇を停止する(
図16のステップS16)。また、一部の移動部55に対応する検知部73が作動しない場合であっても、上昇量記憶部80Bに記憶される基準値のうち最大の基準値よりも所定量(例えば11パルス分に相当する移動部55の移動量(約1.7mm))だけ上昇したときには(
図16のステップS15でYES)、払出制御部61Bは、エレベータ54の上昇を停止する(ステップS16)。
【0113】
払出制御部61Bは、複数の移動部55のそれぞれについて、上昇量記憶部80Bに格納された移動部55の上昇量と、基準値記憶部80Aに記憶されている基準値とを比較する(
図16のステップS17)。そして、複数の移動部55A~55Eのそれぞれの上昇量が、対応する基準値よりも小さい場合(
図16のステップS18でYES)、払出制御部61Bは、シャッター52と当該移動部55との間に残留物が存在すると判断する(
図16のステップS19)。一方、複数の移動部55A~55Eのそれぞれの上昇量が、対応する基準値よりも大きいか等しい場合(ステップS18でNO)、払出制御部61Bは、シャッター52と当該移動部55との間に残留物が存在しないと判断する(
図16のステップS20)。
図16の処理例においては、所定の検知幅を持たせており、移動部55の上昇量が、基準値から所定量(例えば10パルス)を減算した値よりも小さい場合に、残留物が存在すると判断される。
図17及び
図18にそれぞれ示す基準値及び上限量の場合を検討すると、シャッター52と移動部55Eとの間には残留物が存在すると判断される。一方、シャッター52と移動部55A~55Dとの間には残留物が存在しないと判断される。その後、第2確認処理は終了する。
【0114】
なお、エレベータ54(複数の移動部55)を基準値だけ上昇させても、検知部73が作動しないことがある。次に述べる基準値事前測定処理(
図20参照)をそれまでに行っているので、検知部73の異常(センサ異常)の可能性が低い。エレベータ54を基準値だけ上昇させても検知部73が作動しないときは、シャッター52が通常よりも浮き上がった姿勢にあることが考えられる。シャッター52の浮き上がった姿勢は、その周囲の下側Z2に小さな異物が挟まっていることが要因である。そのため、一部の移動部55に対応する検知部73が作動しないまま前記の所定量だけ上昇した場合に、払出制御部61Bがシャッター52の異常があると判断してもよい。
【0115】
以上のように、
図16の処理例では、複数の移動部55A~55Eのそれぞれに基準値が設定されている。
図16の処理例では、検知部73が作動するまでの移動部55の上昇量が基準値よりも小さい場合に、シャッター52と複数の移動部55A~55Eのそれぞれとの間に残留物が存在すると判断する。そのため、シャッター52と複数の移動部55A~55Eのそれぞれとの間に残留物が存在することを確実に検知できる。また、複数の移動部55A~55Eのそれぞれに設定された基準値が、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52にその検知部73が接触して作動するまでの移動部55の上昇量についての事前の測定値であるので、シャッター52と複数の移動部55A~55Eのそれぞれとの間に残留物が存在することを、より一層高精度に検知できる。
【0116】
基準値記憶部80Aにおいて記憶されている複数の基準値は、次に述べる基準値事前測定処理によって求められる。この基準値事前測定処理は、第2確認処理(
図13のステップS6)に先立って実行される。
図20は、基準値事前測定処理の一例を示すフローチャートである。この基準値事前測定処理は、電源電圧の復旧及び投入時並びにエラー解除処理時に起動するリセット処理時に実行開始される。
【0117】
基準値事前測定処理の開始時において、シャッター52は閉位置(
図5参照)に位置している。また、エレベータ54が上待機位置P2以外の位置に配置されている場合には、払出制御部61Bは、ステッピングモータ72によってエレベータ54を昇降させて上待機位置P2に配置する。そして、払出制御部61Bは、ステッピングモータ72を制御して、エレベータ54を上待機位置P2から上昇させる(
図20のステップS21)。払出制御部61Bは、全ての移動部55に対応する検知部73の検知出力を監視している。
【0118】
そして、払出制御部61Bは、シャッター52に検知部73が接触して作動するまでの複数の移動部55A~55Eのそれぞれの上昇量を求め、その上昇量を基準値記憶部80Aに記憶する。具体的には、いずれかの検知部73が作動したとき(ONになったとき、
図20のステップS22でYES)、払出制御部61Bは、検知部73が作動した時点におけるステッピングモータ72に保持されている駆動パルス数を、その検知部73に対応する移動部55の上昇量についての基準値として、基準値記憶部80Aに記憶する(
図20のステップS23)。全ての移動部55に対応する検知部73が作動するまで、エレベータ54の上昇は続行される(
図20のステップS24,S25)。
【0119】
そして、全ての移動部55に対応する検知部73が作動すると(
図20のステップS24でYES)、払出制御部61Bは、エレベータ54の上昇を停止する(
図20のステップS26)。また、一部の移動部55に対応する検知部73が作動しない場合であっても(
図20のステップS24でNO)、検知部73の最初の作動から所定量(例えば16パルス分に相当する移動部55の移動量(約2.8mm))だけさらに上昇したときは(
図20のステップS25でYES)、払出制御部61Bは、エレベータ54の上昇を停止する(ステップS26)。その後、基準値事前測定処理は終了する。なお、一部の移動部55に対応する検知部73が作動しないまま、エレベータ54が前記の所定量だけ上昇したときに(
図20のステップS25でYES)、払出制御部61Bが、その検知部73の異常であると判断してよい。この場合、検知部73の異常を、表示操作部4に異常画面によって表示することで報知してもよい。
【0120】
また、基準値事前測定処理の結果、基準値記憶部80Aにおける複数の移動部55A~55Eのそれぞれの基準値から、水平面に対するエレベータ54の上面の左右方向Xの傾きを検知可能である。払出制御部61Bは、複数の移動部55A~55Eのそれぞれの基準値に基づいて求められる、エレベータ54の傾き度合いが大きい場合には、エレベータ54の傾斜異常であると判断してよい。この場合、エレベータ54の傾斜異常を、表示操作部4に異常画面によって表示することで報知してもよい。第2確認処理(
図13のステップS6)は、
図16の処理例に限られず、他の処理例で実施することもできる。
【0121】
図21は、第2確認処理(
図13のステップS6)の他の例を示すフローチャートである。
図22は、記憶部65の基準値記憶部80Aの記憶内容の他の例を示す図である。
図23は、記憶部65の上昇量記憶部80Bの記憶内容の他の例を示す図である。
【0122】
図21の処理例で参照される基準値記憶部80Aには、
図22に示すように、上昇量についての基準値が1つだけ記憶されている。
図22の基準値記憶部80Aにおいて記憶されている基準値は、後述する基準値事前測定処理(
図24参照)において求められた事前の測定値である。すなわち、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52に複数の検知部73におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの移動部55の上昇量についての事前の測定値が、基準値記憶部80Aに記憶されている。
【0123】
図21の処理例では、シャッター52とエレベータ54(すなわち、複数の移動部55)との間に残留物が存在するか否かが判断される。
図21の処理例においても、第2確認処理(
図13のステップS6)の実行は、エレベータ54が上待機位置P2に配置されかつシャッター52によって払出口13Bが閉じられた状態で開始される。払出制御部61Bは、ステッピングモータ72を制御して、エレベータ54を上待機位置P2から上昇させる(
図21のステップS31)。払出制御部61Bは、全ての移動部55に対応する検知部73の検知出力を監視している。
【0124】
そして、払出制御部61Bは、いずれかの検知部73が作動したとき(ONになったとき、
図21のステップS32でYES)、払出制御部61Bは、検知部73が作動した時点におけるステッピングモータ72に保持されている駆動パルス数を、その検知部73に対応する移動部55の上昇量として、上昇量記憶部80Bに格納する(
図21のステップS33)。いずれかの検知部73が作動するまで、エレベータ54の上昇は続行される(
図21のステップS35)。
【0125】
検知部73が1つ作動すると、払出制御部61Bは、エレベータ54の上昇を停止する(
図21のステップS36)。また、検知部73が作動しない場合であっても、基準値記憶部80Aに記憶されている基準値(
図22の例では、25パルス)によって示される高さ位置よりも例えば約1mm低い高さ位置までエレベータ54が上昇したときには(ステップSS35でYES)、払出制御部61Bは、エレベータ54の上昇を停止する(ステップS36)。
【0126】
このとき、上昇量記憶部80Bには、移動部55の上昇量として1つの値しか記憶されない。具体的には、
図23に示すように、上昇量記憶部80Bに、移動部55Eの上昇量として「9パルス」が記憶されているだけである。この1つの値が、エレベータ54の上昇量とされる。つまり、
図21の処理例では、複数の検知部73におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの移動部55の上昇量が、上昇量記憶部80Bに記憶される。
【0127】
払出制御部61Bは、上昇量記憶部80Bに格納された移動部55の上昇量と、基準値記憶部80Aに記憶されている基準値とを比較する(
図21のステップS37)。そして、移動部55の上昇量が基準値よりも小さい場合(
図21のステップS38でYES)、払出制御部61Bは、シャッター52とエレベータ54(複数の移動部55)との間に残留物が存在すると判断する(
図21のステップS39)。一方、移動部55の上昇量が、対応する基準値よりも大きいか等しい場合(
図21のステップS38でNO)、払出制御部61Bは、シャッター52とエレベータ54(複数の移動部55)に残留物が存在しないと判断する(
図21のステップS40)。
図21の処理例においても、
図16の処理例と同様、所定の検知幅を持たせており、移動部55の上昇量が、基準値から所定量(例えば10パルス)を減算した値よりも小さい場合に、残留物が存在すると判断される。
【0128】
基準値記憶部80Aにおいて記憶されている基準値は、次に述べる基準値事前測定処理によって求められる。
【0129】
この基準値事前測定処理は、第2確認処理(
図13のステップS6)に先立って実行される。
図24は、基準値事前測定処理の他の例を示すフローチャートである。この基準値事前測定処理は、電源電圧の復旧及び投入時並びにエラー解除処理時に起動するリセット処理時に実行開始される。
【0130】
基準値事前測定処理の開始時において、シャッター52は閉位置(
図5参照)に位置している。また、エレベータ54が上待機位置P2以外の位置に配置されている場合には、払出制御部61Bは、ステッピングモータ72によってエレベータ54を昇降させて上待機位置P2に配置する。そして、払出制御部61Bは、ステッピングモータ72を制御して、エレベータ54を上待機位置P2から上昇させる(
図24のステップS41)。払出制御部61Bは、全ての移動部55に対応する検知部73の検知出力を監視している。
【0131】
そして、払出制御部61Bは、シャッター52に検知部73が最初に接触して作動するまでのエレベータ54(複数の移動部55)の上昇量を求め、その上昇量を基準値記憶部80Aに記憶する。具体的には、いずれかの検知部73が作動したとき(ONになったとき、
図24のステップS42でYES)、払出制御部61Bは、払出制御部61Bは、検知部73が作動した時点におけるステッピングモータ72に保持されている駆動パルス数を、その検知部73に対応する移動部55の基準値として基準値記憶部80Aに格納する(
図24のステップS43)。いずれかの検知部73が作動するまで、エレベータ54の上昇は続行される(
図24のステップS45)。
【0132】
検知部73が1つ作動すると、払出制御部61Bは、エレベータ54の上昇を停止する(
図24のステップS46)。このとき、基準値記憶部80Aには、移動部55の上昇量についての基準値として1つの値しか記憶されていない。具体的には、
図22に示すように、基準値記憶部80Aに、移動部55Aの上昇量についての基準値として「25パルス」が記憶されているだけである。この1つの値が、エレベータ54(複数の移動部55)の上昇量についての基準値とされる。つまり、
図21の処理例では、複数の検知部73におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの移動部55の上昇量が、上昇量についての基準値として基準値記憶部80Aに記憶される。
【0133】
また、移動部55に対応する検知部73が作動しない場合であっても、エレベータ54が所定量上昇したときは(ステップS45でYES)、払出制御部61Bは、エレベータ54の上昇を停止する(ステップS46)。その後、基準値事前測定処理は終了する。なお、移動部55に対応する検知部73が作動しないまま、前記の所定量だけ上昇したときに(ステップS45でYES)、払出制御部61Bが、その検知部73の異常であると判断してもよい。
【0134】
以上のように、
図21の処理例(
図24の処理を含む)では、基準値は、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52に複数の検知部73におけるいずれか1つが最初に接触して作動するまでの移動部55の上昇量についての事前の測定値である。
図21の処理例では、複数の検知部73におけるいずれか1つが最初に作動するまでの移動部55の上昇量が、基準値よりも小さい場合に、シャッター52とエレベータ54(複数の移動部55)との間に残留物が存在すると判断する。そのため、シャッター52とエレベータ54(複数の移動部55)との間に残留物が存在することを良好に検知できる。
【0135】
また、
図21の処理例では、シャッター52とエレベータ54(複数の移動部55)との間に残留物が存在する場合には、エレベータ54がシャッター52に接触させないまま、第2確認処理(
図13のステップS6)を終了させることができる。そのため、
図16の処理例と比較して、エレベータ54がシャッター52に接触する頻度を低減でき、これにより、エレベータ54及びシャッター52の少なくとも一方の故障を防止できる。
【0136】
以上により、この実施形態によれば、第1確認処理(
図13のステップS2)において、シャッター52が払出口13Bを開いた状態でエレベータ54が払出口13Bまで上昇する。そして、エレベータ54の移動部55上における残留物の有無が検知部73によって確認される。その後、第2確認処理(
図13のステップS6)において、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52に、移動部55を上昇させて検知部73を接近させることによって、シャッター52と移動部55との間における残留物の有無が確認される。シャッター52と移動部55との間に残留物が存在する場合、シャッター52に検知部73を接近させることにより当該残留物を検知部73によって検知できる。したがって、シャッター52と移動部55との間における残留物の有無を良好に検知できる。移動部55上における残留物の有無と、シャッター52と移動部55との間における残留物の有無との両方が確認されるので、これにより、払出口13Bからの払い出しに関する残留物の有無を高精度に検知できる。
【0137】
また、シャッター52の下側Z2に残留物(賞品P)が挟まっている場合、移動部55の上昇に伴い、シャッター52に検知部73が接触する前に、残留物(賞品P)に検知部73が接触する。第2確認処理において、検知部73が作動するまでの移動部55の上昇量が基準値よりも小さい場合に、シャッター52と移動部55との間に残留物が存在すると判断される。そのため、シャッター52の下側Z2に挟まっている残留物(賞品P)を確実に検知できる。
【0138】
例えば、シャッター52の下側Z2に挟まっている残留物(賞品P)を検知するためのセンサを、検知部73と別に設けるとすると、コストアップの要因になる。移動部55上における残留物を検知する検知部73を上昇させることにより、コストアップすることなく、シャッター52の下側Z2に挟まっている残留物(賞品P)を良好に検知できる。
【0139】
また、第2確認処理(
図13のステップS6)によって検知される残留物が賞品Pである場合を例に挙げて説明したが、この残留物が、賞品Pではない異物であってもよい。シャッター52によって閉じられる直前の払出口13Bに異物が進入すると、移動部55B上で跳ね返った異物が、払出口13Bを閉じた状態のシャッター52の下側Z2に挟まるおそれもある。このような異物の存在を第2確認処理(
図13のステップS6)によって検知できる。
【0140】
また、検知部73と残留物との接触時には、残留物がシャッター52と検知部73との間に挟まれ、残留物は、シャッター52からの反力で検知部73を押し付ける。そのため、残留物の重量が小さい場合であっても、接触式の検知部73を作動させることができる。これにより、移動部55上において検知部73では検知できないような軽量の異物を、第2確認処理において検知部73を用いて良好に検知できる。
【0141】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。例えば、
図16の処理例及び
図21の処理例において、移動部55の上昇量と基準値との比較の差異に検知幅を考慮してシャッター52と移動部55との間の残留物の有無を判断したが、シャッター52と移動部55との間の残留物の有無の判断の差異にこの検知幅を考慮しないようにしてもよい。
【0142】
また、ステッピングモータ72に保持されている駆動パルス数を移動部55の上昇量として扱うとして説明したが、エレベータ駆動部68が、ステッピングモータ72でなく他のモータを含む場合には、モータの駆動回転量(駆動手段の駆動情報)を、エンコーダを用いて測定し、その測定量を移動部の上昇量として扱うことができる。
【0143】
また、基準値記憶部80Aに記憶される基準値が、基準値事前測定処理(
図20及び
図24参照)によって求められる測定値であるとしたが、事前に実験等によって求められた測定値を基準値として用いられてもよい。また、事前の測定値でなく演算によって求められた数値が基準値として用いられてもよい。
【0144】
また、検知部73として、移動部55上の賞品Pとの接触に応じて作動する機械式のセンサに代えて、移動部55上の賞品Pに接近することによって非接触で作動するセンサを用いてもよい。このようなセンサとして、磁気センサやフォトセンサを例示できる。
【0145】
また、賞品払出装置1の待機状態において、シャッター52が開位置(
図14参照)にあり、かつエレベータ54が払出位置P4に配置されてもよい。
図25は、取引処理の他の例を示すフローチャートである。
【0146】
装置本体3の払出制御部61Bは、払出要求を受信すると(ステップS51にてYES)、在庫データに応じて払出パターンを作成する。そして、払出制御部61Bは、エレベータ54を下降させて上待機位置P2に配置し(ステップS52)、かつシャッター駆動部71を制御してシャッター52を閉位置(
図5参照)までスライドさせる(ステップS52)。その後、前述の繰出払出処理が実行される。繰出払出処理の払出処理において、払い出し動作が実行される(ステップS53)。ステップS53の払い出し動作は、払い出し動作(
図13のステップS1)と同等の処理である。具体的には、払出制御部61Bは、必要数の賞品Pを受け取ったエレベータ54を上昇させ、上待機位置P2に配置する。エレベータ54が上待機位置P2に配置された状態で、払出制御部61Bは、シャッター駆動部71を制御して、シャッター52を開位置(
図14参照)までスライドさせる。これにより、扉13の上面13Aの払出口13Bが上側Z1へ開放される。
【0147】
その後、第1確認処理(ステップS54)が実行される。ステップS54の第1確認処理は、第1確認処理(
図13のステップS2)と同等の処理であり、複数の移動部55A~55Eのそれぞれにおける残留物の有無を検知部73によって確認する処理である。第1確認処理(ステップS54)において、払出制御部61Bは、複数の移動部55A~55Eのそれぞれの検知部73の検知出力を参照して、複数の移動部55A~55Eにおける残留物の有無を判断する。そして、全ての移動部55上に残留物がないことが検知されると、払出制御部61Bは、エレベータ54が払出位置P4に維持され、かつシャッター52も開位置(
図14参照)に維持されたままの状態で(ステップS55)、取引処理を終了する。その後、賞品払出装置1は待機状態になる。そして、エレベータ54が払出位置P4に維持され、かつシャッター52も開位置(
図14参照)に維持されたままの状態で、次の払出要求を受信するまで待機する。
【0148】
図25に示す変形例では、賞品払出装置1の待機状態において、シャッター52が開位置にありかつエレベータ54が払出位置P4に配置されている。エレベータ54によって払出口13Bの大部分が塞がれており、そのため、賞品Pが筐体11内に落下したり、遊技客等の利用者が賞品Pを取り忘れたりするような不具合を防止できる。さらに、取引処理の終了後もシャッター52が開位置に維持されるので、取引処理の終了時にシャッター52の下側Z2に賞品Pが挟まるような不具合も防止できる。これらによって、払出口13Bにおける賞品Pの払い出しに関して使い勝手の向上を図れる。
【0149】
また、エレベータ54によって払出口13Bの大部分が塞がれているので、待機状態において、払出口13Bから異物が筐体11内に落下するような不具合も防止できる。
【0150】
なお、
図25の取引処理のモードと、払出処理後に払出口13Bがシャッター52によって閉じられる通常処理のモードとを1つの賞品払出装置1で切り換え可能な構成であってよい。これにより、遊技店の運用に応じて、
図25の取引処理のモードと、通常処理のモードとを切り換えることができる。
【0151】
前述の実施形態では、複数の移動部55が、一体物であり、まとまって昇降するとして説明したが、複数の移動部55が、互いに独立して昇降する構成であってもよい。この場合、第2確認処理(
図13のステップS6)として、
図16の処理例が実行されることが好ましい。
【0152】
払出位置P4を払出基準位置P3と異なる位置として説明したが、払出位置P4と払出基準位置P3とが同一の位置であってもよい。
【0153】
本発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。また、以上に説明した様々な特徴は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0154】
1 :賞品払出装置
3 :装置本体
12 :収納部
13B :払出口
52 :シャッター
55 :移動部
61B :払出制御部(制御部)
73 :検知部
P :賞品