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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133022
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】マグネシウム空気電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/06 20060101AFI20230914BHJP
   H01M 50/466 20210101ALI20230914BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20230914BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20230914BHJP
   H01M 4/06 20060101ALI20230914BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20230914BHJP
【FI】
H01M12/06 J
H01M12/06 D
H01M12/06 F
H01M50/466
H01M4/74 C
H01M12/06 A
H01M10/44 A
H01M4/06 Q
H01M50/296
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038682
(22)【出願日】2022-03-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】515203860
【氏名又は名称】株式会社ドリームエンジン
(74)【代理人】
【識別番号】100147326
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 純一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 茂幸
【テーマコード(参考)】
5H017
5H021
5H030
5H032
5H040
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA08
5H017CC01
5H017CC05
5H021AA06
5H021CC18
5H030AS14
5H030BB08
5H032AA02
5H032AS02
5H032AS12
5H032CC01
5H032CC06
5H032CC09
5H032CC12
5H032CC21
5H032EE04
5H040AA32
5H040AA36
5H040AS25
5H040AT08
5H040AY06
5H040GG13
5H050AA00
5H050BA20
5H050CA12
5H050CB11
5H050DA04
(57)【要約】
【課題】
マグネシウム空気電池は発電すると内部に電池反応生成物が堆積して発電効率が落ちる。これを解消して発電効率が良く小型で軽量なパーソナル非常用充電器のマグネシウム空気電池を提供する。
【解決手段】
板状の負極板を中央に配置し負極板両面の上部には水に漬けない反応エリア部を設け、負極板の両面下部には水に漬ける給水エリア部を設け、該給水エリア部には発電による反応物落下開口穴を設けると共に電池セル両側から締結する正極支持枠の形状を鍬の形状に構成して樹脂リベットで電池セルを締結するマグネシウム空気電池セルを蓋体、セル固定用筐体、給水槽筐体からなるボックスに内蔵する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体は上部に位置する蓋体、中央部にセル固定用筐体、下部に配置される給水槽筐体からなり、
前記蓋体には複数枚のマグネシウム空気電池セルから集積された電流をモバイルバッテリー等充電対応機器と接続するためのコネクタを有し、
前記セル固定用筐体には複数枚のマグネシウム空気電池セルを固定し内蔵すると共に給水エリア部を給水槽筐体側に挿出させた構造を有し、
前記挿出させたマグネシウム空気電池セルの給水エリア部は給水槽筐体において任意に水に浸すことが可能な構成を特徴とするマグネシウム空気電池。
【請求項2】
前記セル固定用筐体に固定し内蔵する複数枚のマグネシウム空気電池セルは夫々板状の負極板を中央に配置し、
該負極板の上部には負極板に接続された負極端子を有しており、
該負極板の両面の上部は水に直接漬けない反応エリア部を設け負極板の両面の下部には水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の給水エリア部には負極板の板厚を貫通する反応物落下開口穴が穿たれており、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該セパレータの両外側面の反応エリア部にカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートまたは導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの両側端部及び上端部を複数本の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段にて締結一体化していることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム空気電池。
【請求項3】
前記正極シートの両外側面から正極シートに当接される正極支持枠の形状は四本鍬のような形状を有して反応エリア部の上端縁部支持片と両側端部支持片を有し、
該上端縁部支持片の中央部には前記上端縁部支持片から下部に向かって延伸する少なくとも一本以上のサポート支持片を有し、
前記上端縁部支持片は負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して二本の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段で締結され、
前記両端部支持片は両端部支持片の下部において負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して二本の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段で締結され、
前記サポート支持片は両面の上端縁部支持片から下部に向かって延伸する片持ち支持形状で負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して
おり、
前記マグネシウム空気電池セルは前記セル用固定筐体に複数枚固定し内蔵されていること特徴とする請求項1及び請求項2に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項4】
前記負極板の上部両面には水に直接つけない反応エリア部を設け、
該負極板の両面下部には給水槽筐体に浸して直接水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該負極板反応エリア部全面にセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートまたは導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの両側端部を複数の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段にて締結一体化しており、
該マグネシウム空気電池セルは前記セル固定用筐体に複数枚固定し内蔵されていること特徴とする請求項1乃至請求項3に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項5】
前記負極板の上部両面には水に直接つけない反応エリア部を設け、
該負極板の両面下部には給水槽筐体に浸して直接水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該負極板反応エリア部全面にセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートまたは導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの発電容量を増やす際にはマグネシウム空気電池セルの横幅のみを大きくすることし、
前記幅の大きくなったマグネシウム空気電池セルを前記筐体の長さのみの変更で許容し、
前記マグネシウム空気電池セルはセル用固定筐体に複数枚固定し内蔵されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項6】
前記負極端子と正極端子を上部に突出して設けたマグネシウム空気電池セルはセル固定用筐体に配置する際にコネクト基板上に配置したピンコネクタに挿着して上部を把持し、
該マグネシウム空気電池セルの下端に位置する負極板とセパレータからなる給水エリア部ではセル用固定筐体の底辺部にスリット形状の差し込み穴を設けて挿着して前記マグネシウム空気電池セルを支承しており、
該マグネシウム空気電池セルは前記セル固定用筐体に複数枚固定し内蔵されていること特徴とする請求項1乃至請求項5に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項7】
前記マグネシウム空気電池セルを載置するためにセル固定用筐体の底辺部にリーフ形状の差し込み穴を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項8】
前記セル固定用筐体の差し込み穴の上面にマグネシウム空気電池セルの給水エリア部を挿嵌するためのスリット孔を有するラバーシートが敷設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項9】
前記セル固定用筐体の下端は給水槽筐体に挿入される給水槽分離室を有しており、
該給水槽分離室はセル固定用筐体の底辺部を貫通する給水エリア部を給水槽筐体内で一枚毎に分離配置される構造を有し
該給水槽筐体にセル固定用筐体が組み込まれると前記給水槽分離室の底部が給水槽筐体の底辺部に設置されたラバーシートに圧接される構造を有し、
該水槽分離室は個々に分離した給水エリア部を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項10】
前記セル固定用筐体の給水槽分離室が給水槽筐体に嵌合組付けされる際に給水槽筐体の側壁には給水量が多過ぎた際に水が給水槽筐体の外部へ流出可能なオーバーフロー孔とそのオーバーフロー孔の周囲に孔付きラバーシールを有し、
前記セル固定用筐体が給水後の給水槽筐体に嵌合組付けされる際に給水槽分離室の外の面がラバーシールに密着することで給水槽分離室や各電池セルの浸水により水位が上昇しオーバーフロー孔を超えても水がオーバーフロー孔から流出することを防ぐ機能を有したことを特徴とする請求項1乃至請求項9に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項11】
前記筐体の上部に位置する蓋体に蓋体の有するコネクタに接続可能なコネクタを有するモバイルバッテリー等充電対応機器が搭載されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項12】
前記筐体は上部に位置する蓋体、中央にセル固定用筐体、下部に配置される給水槽筐体からなり、
前記セル用固定用筐体にマグネシウム空気電池セルを複数枚並列、内蔵し、
前記蓋体、セル固定用筐体、複数枚のマグネシウム空気電池セル、給水槽筐体を組み立て、
該筐体をアルミ箔防湿梱包材、または樹脂製防湿梱包材にて梱包し、或いは真空梱包を併用して防湿梱包をしていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載されたマグネシウム空気電池。


































































【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属空気電池として実用的に利用が可能な発電装置を提供するもので、その発電装置は小型で軽量化することができると共に、実用的に耐え得る利用目的で長時間にわたって電流の取り出しが可能なマグネシウム空気電池を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム空気電池を実用的に利用し、活用する流れは、例えば、特許第6587306号、特許公報(以下、特許文献1と称する)に開示されている。特許文献1において開示されたマグネシウム空気電池の実用的な利用、活用に関する展開例としは、災害時の大容量非常用電源としてのマグネシウム空気電池の開発があり、家庭ではテレビや冷蔵庫、そして電磁調理器や炊飯器などの例をあげ、これらの家電用に100Wから1kWの電源が必要であり、また電気自動車への実用化として、100kWhの二次電池を搭載した自動車の場合を想定して、30分で充電を完了するには200kWの電源が必要となるとしてマグネシウム空気電池の開発を行っている。然しながら、大容量の電池出力等を求める引用文献1の発明では、複数枚の空気電池セルを内蔵したマグネシウム空気電池ボックスを更に幾つも連結した構造や、マグネシウム空気電池ボックスを数段にも重ね合わせた構造にする必要があり、体積が大きくて、大重量のマグネシウム空気電池となってしまう欠点が生じてしまい、数十年に一度の確率での発生を想定した自然災害に対応するための災害時用の発電装置として、保管や輸送、そして設置場所等を考えた場合に、実用化に供する発電量を確保して、大きさ及び重量を最適化するマグネシウム空気電池とは成り得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6587306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時、小型デバイス(スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ等)を持ち歩き、仕事や生活に利用している人たちは加速度的に増えてきている。小型デバイスの充電用にモバイルバッテリーを携帯しており、例えば、電池切れのスマートフォンに外出先で充電している方も多く見かける。而して、モバイルバッテリーは、多種多様な小型デバイスの充電に汎用的で使用しやすい充電器と言えるものであり、本発明は、この汎用性の高い充電器であるモバイルバッテリーを非常時用の充電器として使用することを想定し、このモバイルバッテリーへの非常時用電力の供給を目的としたマグネシウム空気電池に関するものである。即ち、本発明は、災害時や大規模停電時において、小型デバイスの電池切れ使用不可を防ぐための対策として、モバイルバッテリーを非常時用充電器として利用するためのマグネシウム空気電池を提供するもので、マグネシウム空気電池をより実用的にその利用範囲を拡大できる装置として提供するものである。
【0005】
本発明のマグネシウム空気電池は、モバイルバッテリー用の充電器を対象に想定した製品化を進めており、非常用電源として小型で軽量化を実現する事で、備蓄用として避難所等に一括保管してあっても、使用時には大勢の人たちでの共同、共有の使用設備とはならず、パーソナルな非常用電源として各自に提供出来るものとなる。また、本発明は、日常の生活時において個人が気軽に持ち歩きも可能な小型で軽量な非常時用発電装置であり、防災用の非常用持ち出しバックにも気軽に保管できる必要な一品となる。本発明のマグネシウム空気電池が構成する発電装置は、少量の水があればどこでも発電することが可能であるが、電池セルに給水をして発電を始めなければ15年から20年の長期間にわたる保存可能な耐久性を有しており、備蓄に最適なマグネシウム空気電池であることから、非常時用の充電装置として活用すれば、より実用的でニーズの大きいマグネシウム空気電池とすることができる。
【0006】
而して、従来のマグネシウム空気電池として非常時に重要となるスマートフォンの充電に適した代表的な商品例を日本マグネシウム協会のホームページより一部抜粋させていただいた。この資料において商品化されているマグネシウム発電機の特徴は、
商品A
出力電圧 5V
出力電流 5.0A(合計)
最大電気量 280Wh
発電時間 最大約2日
出力端子 USB5ポート
サイズ(mm)W212×D147×H213
本体質量 2.0kg
用途、特徴 スマホなどUSBタイプの充電向け、持ち運び可で救援物質にも使えるコンパクトタイプ
商品B
出力電圧 5V
出力電流 1.2A(合計)
最大電気量 300Wh
発電時間 最大約5日
出力端子 USB2ポート
サイズ(mm)W233×D226×H226
本体質量 1.6kg
用途、特徴 スマホなどUSBタイプの充電向け、持ち運び可で救援物質にも使えるコンパクトタイプ
というものである。
【0007】
してみると、従来の商品化されたマグネシウム空気電池は、実用的で活用可能な商品となってきているものの、開示された商品A、商品Bの本体重量は2.0kg、1.6kgと非常電源としては、大変重いものである。本発明は、この重量を350g程の本体重量として設計、製作可能にすることで、パーソナルな非常用のモバイルバッテリー充電装置とする。また、上記従来の商品Aのサイズは、幅212mm×奥行147mm×高さ213mm、また、商品Bのサイズでは、幅233mm×奥行226mm×高さ226mmと非常に大きなものであったので、本発明では、これを、約半分の大きさ、即ち、幅100mm×奥行70mm×高さ85mm程度までに縮小することを可能とした。そして、小型で軽量化されたマグネシウム空気電池は、個人が携帯用として持ち歩きも可能なパーソナル非常用充電装置とすることも可能であり、防災用の非常用持ち出しバックの中に備えておくこともサイズや重量的にみて負担にならない。
【0008】
本発明の改良されたマグネシウム空気電池は、電池筐体内に小型で薄型の電池セルが6枚内蔵され、この電池セルを直列に接続することにより、モバイルバッテリー等充電対応機器の充電に十分な5V以上(5~9V)の電圧を得ることができる。また、この電池は、発電をしない場合には、15年から20年の長期間にわたり劣化することなく保管が可能であり、自然災害、大規模停電等の非常時で電力の必要時には給水のみで発電ができるもので、簡単操作でモバイルバッテリー等充電対応機器用の充電電力が得られる。
【0009】
尚、本発明においては、一例として、スマートフォンに直接充電できるマグネシウム空気電池を提供する方向性も考えられるが、スマートフォンに要求される電力仕様は、機種やメーカーにより、夫々、異なる複雑な電力仕様の要求があり、防災用で備蓄する本発明のマグネシウム空気電池が使われるのが数年または、数十年後であった場合等において、その頃のスマートフォンが変化を遂げていて電力仕様に合わなくなる事態をも想定している。従って、本発明においては、充電の対象を電力仕様に対して柔軟性が高く、様々なデバイスの充電に適用できるモバイルバッテリーを想定しており、このことで、マグネシウム空気電池は、災害時等に確実に充電装置として使用できるので、より実用的で利用価値の大きい形態が促進されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のマグネシウム空気電池の筐体は、
上部に位置する蓋体、中央部にセル固定用筐体、下部に配置される給水槽筐体からなり、
前記蓋体には複数枚のマグネシウム空気電池セルから集積された電流をモバイルバッテリー等充電対応機器と接続するためのコネクタを有し、
前記セル固定用筐体には複数枚のマグネシウム空気電池セルを固定し内蔵すると共に給水エリア部を給水槽筐体側に挿出させた構造を有し、
前記挿出させたマグネシウム空気電池セルの給水エリア部は給水槽筐体において任意に水に浸すことが可能な構成を特徴とするものである。
【0011】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記セル固定用筐体に固定し内蔵する複数枚のマグネシウム空気電池セルは、夫々板状の負極板を中央に配置し、
該負極板の上部には負極板に接続された負極端子を有しており、
該負極板の両面の上部は水に直接漬けない反応エリア部を設け負極板の両面の下部には水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の給水エリア部には負極板の板厚を貫通する反応物落下開口穴が穿たれており、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該セパレータの両外側面の反応エリア部にカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートまたは導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの両側端部及び上端部を複数本の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段にて締結一体化していることを特徴とするものである。
【0012】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記正極シートの両外側面から正極シートに当接される正極支持枠の形状は、四本鍬のような形状を有して反応エリア部の上端縁部支持片と両側端部支持片を有し、
該上端縁部支持片の中央部には前記上端縁部支持片から下部に向かって延伸する少なくとも一本以上のサポート支持片を有し、
前記上端縁部支持片は負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して二本の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段で締結され、
前記両端部支持片は両端部支持片の下部において負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して二本の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段で締結され、
前記サポート支持片は両面の上端縁部支持片から下部に向かって延伸する片持ち支持形状で負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して
おり、
前記マグネシウム空気電池セルは前記セル用筐体に複数枚固定し内蔵されていること特徴とするものである。
【0013】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記負極板の上部両面には、水に直接つけない反応エリア部を設け、
該負極板の両面下部には給水槽筐体に浸して直接水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該負極板反応エリア部全面にセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートまたは導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの両側端部を複数の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段にて締結一体化しており、
該マグネシウム空気電池セルは前記セル固定用筐体に複数枚固定し内蔵されていること特徴とするものである。
【0014】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記負極板の上部両面には、水に直接つけない反応エリア部を設け、
該負極板の両面下部には受水槽に浸して直接水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該負極板反応エリア部全面にセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの発電容量を増やす際にはマグネシウム空気電池セルの横幅のみを大きくすることし、
前記幅の大きくなったマグネシウム空気電池セルを前記筐体の長さのみの変更で許容したことを特徴とするものである。
【0015】
而して、本発明のマグネシウム空気電池において、
前記負極端子と正極端子を上部に突出して設けたマグネシウム空気電池セルは、セル固定用筐体の電池ケースに配置する際にコネクト基板上に配置したピンコネクタに挿着して上部を把持し、
該マグネシウム空気電池セルの下端に位置する負極板とセパレータからなる給水エリア部ではセル固定用筐体の底辺部にスリット形状の差し込み穴を設けて挿着して前記マグネシウム空気電池セルを支承しており、
該マグネシウム空気電池セルは前記セル固定用筐体に複数枚固定し内蔵されていること特徴とするものである。
【0016】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記マグネシウム空気電池セルを載置するためにセル固定用筐体は、底辺部にリーフ形状の差し込み穴を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記セル固定用筐体の差し込み穴の上面には、マグネシウム空気電池セルの給水エリア部を挿嵌するためのスリット孔を有するラバーシートが敷設されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記セル固定用筐体の下端は、給水槽筐体に挿入される給水槽分離室を有しており、
該給水槽分離室はセル固定用筐体の底辺部を貫通する給水エリア部を給水槽筐体内で一枚毎に分離配置される構造を有し
該給水槽筐体にセル固定用筐体が組み込まれると前記給水槽分離室の底部が給水槽筐体の底辺部に設置されたラバーシートに圧接される構造を有し、
該給水槽筐体に給水された後では前記水槽分離室は個々に分離した給水エリア部を構成することを特徴とするものである。
【0019】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記セル固定用筐体の給水槽分離室が給水槽筐体に嵌合組付けされる際に給水槽筐体の側壁には、給水量が多過ぎた際に水が給水槽筐体の外部へ流出可能なオーバーフロー孔とそのオーバーフロー孔の周囲に孔付きラバーシールを有し、
前記セル固定用筐体が給水後の給水槽筐体に嵌合組付けされる際に給水槽分離室の外の面がラバーシールに密着することで給水槽分離室や各電池セルの浸水により水位が上昇しオーバーフロー孔を超えても水がオーバーフロー孔から流出することを防ぐ機能を有したことを特徴とするものである。
【0020】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記筐体の上部に位置する蓋体に、蓋体の有するコネクタに接続可能なコネクタを有するモバイルバッテリー等の充電対応機器が搭載された状態で提供、備蓄されることを特徴とするものである。前記モバイルバッテリー等の充電対応機器は、マグネシウム空気電池から入力される電圧、電流がバッテリーの適正範囲から外れている場合に、前記電圧、電流を適正範囲内に変換するなどの保護機能を有している。
【0021】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記筐体は、上部に位置する蓋体、中央にセル固定用筐体、下部に配置される給水槽筐体からなり、
前記セル用固定用筐体にマグネシウム空気電池セルを複数枚並列、内蔵し、
前記蓋体、セル固定用筐体、複数枚のマグネシウム空気電池セル、給水槽筐体を組み立て、
該筐体をアルミ箔防湿梱包材、または樹脂製防湿梱包材にて梱包し、或いは真空梱包を併用して防湿梱包していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
斯くして、本発明は、負極板、セパレータ、正極シート、正極支持枠を接着剤で貼り合わせして一体化した構造ではなく、要所に設けられた複数の樹脂リベット等、或いは樹脂ネジ等の係止手段で締結することで、電池セルの各パーツを全域で密着しあうように挟持することが出来、薄くて発電効率の良いマグネシウム空気電池のセル構造を提供している。また、本発明では負極板に大きな反応物落下開口穴をくり抜いて穿ち、この負極板を使ったマグネシウム空気電池セル6枚を、工夫された電池筐体内に設置することで、小型で軽量化された非常用充電装置を提供することができた。
【0023】
また、本発明の負極板の構造は、負極板の両面上下に反応エリア部と給水エリア部に区分けした構成を有し負極板の反応エリア部は、水に直接浸からないので、吸気口からの正極活性酸素をよく通して電気化学反応が活発に行われるので発電効率が良いマグネシウム空気電池のセル構造となり、本発明はこのマグネシウム空気電池セル6枚を直列に接続して取り出すことにより小型で軽量を維持してモバイルバッテリーの充電用に十分な5V以上(約5~9V)の電圧を得ることができた。
【0024】
本発明のマグネシウム空気電池のセル構造は、負極板の下部に設けられた給水エリア部を給水槽の水に浸し、給水エリア部を覆っているセパレータが給水槽の水を毛細管現象で反応エリア部まで運びあげて電極の反応エリア部を湿らし、その反応エリア部に正極活性物質である酸素を取り入れて反応エリア部で電気化学反応を起こし発電される仕組みであるが、発電が始まると負極反応エリア面とセパレータ内部側に大量の電池反応生成物が発生する。従って、電池反応生成物を放置すると発電効率を減少するだけでなく発電不可の状態に陥ることもあるため、本発明では、発電によりマグネシウム空気電池セル内部で発生する電池反応生成物を取り除くために前記負極板下部の給水エリア部に反応物落下開口穴を設けており、この反応物落下開口穴に電池反応生成物を落とすことにより、上記反応エリア部内での電池反応生成物の滞留、堆積を防ぎ発電効率を減少させることもなく、長い時間安定した電流を供給可能となる。
【0025】
また、正極シートを構成する金属箔メッシュシートは、開口部の比率が大きくなると金属箔の連通部分が細くなるため、電流が大きくなると電気抵抗が大きくなる。また、正極端子が一箇所だけの場合、その付近の金属箔連通部分に正極シート全体の電流が集中するため、集中抵抗も発生する。しかしながら、本発明の正極支持枠は、広い範囲で正極シートの金属メッシュシートと接触しているため、金属メッシュシートを流れる電流は、直近の正極支持体の一部を経由して直接、正極端子に流れることができるので、金属メッシュシートの導電抵抗や集中抵抗の影響を回避することができ、電池の発電効率を高めることができる。
【0026】
而して、本発明のもう一つの構造的な特徴は、正極シートの両外側面から正極シートに当接される正極支持枠の形状であり、それは、四本鍬のような形状を有して反応エリア部の上端縁部支持片と両側端部支持片を有し、該上端縁部支持片の中央部には前記上端縁部支持片から下部に向かって延伸する少なくても一本のサポート支持片を有しているものである。この構成により負極板の反応エリア面とセパレータ内部側に生成される電池反応生成物は、生成の方向が規制されると共に重力により負極板の下部に設けられた反応物落下開口穴に落下し、収集されるので、負極の反応エリア部には電池反応生成物を大量に堆積させず、反応エリア部の膨満化を防ぎ発電出力の低下を招くことなくて長い時間安定した電流を供給可能となる。
【0027】
本発明の構成は、負極板の上部両面には水に直接つけない反応エリア部を設け、該負極板の両面下部には給水槽に浸して直接水に漬ける給水エリア部を設け、該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、該負極板反応エリア部全面にセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートからなる正極シートを夫々当接し、該正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成しており、マグネシウム空気電池セルの発電容量を増やす際には、高さを従来通りに規制し、マグネシウム空気電池セルの横幅全体を大きくすることでセパレータの給水高さを向上させることなく発電効率を上げることができ、この構成はマグネシウム空気電池セルを収納する筐体の高さ、奥行寸法を変えることなく、筐体の長さのみの延長で可能であり、この筐体電池の長さのみの延長は電池セルの軽量化に重要な問題を提起しない。
【0028】
また、本発明における前記セパレータは不織布等の剛性の低い材料からなるため、単独では変形しやすいが、本発明では、負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆う構造であるため、負極板に支えられており、曲がりや折れのような変形をすることなく、給水槽の底部に向けて延在する姿勢を保つことができ、電池を薄型にするため、給水槽が深くなっても、給水槽の底部まで水を安定して運びあげることができるので長い時間安定した電流を供給可能となる。
【0029】
そして、本発明のマグネシウム空気電池セルの電池筐体への設置構造は、上部に突出して設けている夫々の電極を電池筐体に配置する際にプリント基板上に配置したコネクタピンに挿着して上部を弾力的に支承しており、該マグネシウム空気電池セルの下端に位置する負極板とセパレータからなる給水エリア部ではセル固定用筐体の底辺部にスリット形状の差し込み穴を設けて挿着して前記マグネシウム空気電池セルを支承している。従って、上記負極板とセパレータからなる反応エリア部においては、発電に伴い負極板反応エリア部面とセパレータ内部側が発電に伴う電池反応生成物にて膨満し正極端子の支承位置が動くので、これをプリント基板上に配置したコネクタピン部で許容して支承し、電池ケースの差し込み穴でも下部にてマグネシウム空気電池セルを支持する構造で電極の動きによる接触不良を防止している。
【0030】
本発明における筐体の形状は上部に位置する蓋体、中央部にセル固定用筐体、そして下部に配置される給水槽筐体からなり、前記蓋体は、モバイルバッテリーと接続するためのコネクタを介して各正極端子および負極端子に繋がるコネクト基板からの電力供給がされる構成を有しており、セル固定用筐体は外壁部の四方全面に正極の活性物質である外気からの酸素を取り入れて反応エリア部で電気化学反応を起こし、発電するための酸素取り入れ孔が多数穿たれていること、及び内部にはマグネシウム空気電池セルを装着した際に上部に突出する負極端子と正極端子を支承するコネクト基板とその載置台を設けており、セル固定用筐体の底辺部には電池セルを差し込み載置するリーフ形状の差し込み穴を設けている。リーフ形状の差し込み穴は、その両端が電池セルの反応部の幅と同等、或は僅かに大きい幅であり、ここで電池セルを保持する。リーフ形状の差し込み穴は、中央に近づくほど幅が広くなっているが、これは電池の反応が進んだ際に発生する反応物が重量で落下する際に、セパレータが膨満するが、差し込み穴がこの膨満と反応物落下を妨げない効果を有している。
【0031】
また、前記差し込み穴の上面には差し込み穴の形状、大きさを制限する形でスリット孔を有するラバーシートを敷設されており、前述の電池セルのセパレータに覆われた負極板の給水エリア部は、敷設されたラバーシートのスリット孔に給水エリアを押し込む形で挿嵌してセル固定用筐体の底部を貫通している。このセル固定用筐体への装着は、ラバーシートのスリット孔で給水エリア部を挿嵌、固定すると共に、前記電池セルの上部に突出する形状の負極端子、正極端子をコネクト基板に植設された弾力性のあるピンコネクタに負極端子、正極端子を挿嵌して弾性を保ち接続しており、この構造は、長い間の保存や発電に伴い負極板反応エリア部面とセパレータ内部側が発電に伴う電池反応生成物にて膨満し正極端子の支承位置が動くことにも対応してしっかりと電池セルを把持している。
【0032】
そして、セル固定用筐体のスリット孔に給水エリア部が挿嵌していることでこの部分がシール構造となるため、給水済の給水槽筐体に組み込んだ後でマグネシウム空気電池筐体が振動等を受けても、給水槽筐体の水は前記ラバーシートを超えて上部に到達できなくなるため、電池反応部が水に濡れること、或は、セル固定用筐体の酸素取り入れ孔から水が漏れることを防止する機能を持たせることが可能になった。
【0033】
また、前記セル固定用筐体の下端は給水槽筐体に挿入される給水槽分離室を有しており、該給水槽分離室はセル固定用筐体の底辺部を貫通する給水エリア部を給水槽筐体内で一枚毎に分離配置される構造で、この給水槽筐体にセル固定用筐体が組み込まれると、その給水槽分離室の底部が給水槽筐体の底辺部に設置されたラバーシートに圧接される構成で、前記水槽分離室は個々に分離した給水エリア部を構成するので給水槽筐体内では水を複数電池セルで共有することにより電気的リークが防止されている。
【0034】
而して、本発明の給水槽筐体は前述のようにセル固定用筐体と嵌合、組み合わされるものであるが、給水槽筐体は、非常時の発電を促す水の受け皿であり、給水槽筐体の側壁には水の入れ過ぎを調整するオーバーフロー孔が穿たれており、底辺部には前述した給水槽分離室の下端が押圧されるラバーシートが敷設されている。また、給水槽筐体の側壁内面上側にはオーバーフロー孔の周囲をシールするための孔付きラバーシールが設けられており、セル固定用筐体と嵌合、組付けを行う際に、前記セル固定用筐体の給水槽分離壁の外壁の四面が前記孔付きラバーシールと密着するため、給水槽分離壁や電池セル反応部が水槽筐体内の水に浸かることで水位がオーバーフロー孔の高さを超えたとしても、オーバーフロー孔から水が流出することはない。
【0035】
本発明においては、発電効率の良い小型で軽量の電池セルを6枚、本発明のマグネシウム空気電池セル用の筐体に内蔵し、この電池セルを直列に接続することにより、モバイルバッテリーの充電用に十分な5V以上(5~9V)の電圧を得ることができる。また、この電池セル及び筐体は、発電をしない場合には、15年から20年の長期間にわたり劣化することなく保管が可能であり、自然災害、大規模停電等の非常時で電力の必要時には給水のみで発電ができるもので、簡単操作で様々なデバイスの充電に利用できるモバイルバッテリーの充電用電力が得られるものである。
【0036】
また、本発明のマグネシウム空気電池セル用の筐体の蓋部に、モバイルバッテリーを搭載した状態で、提供、備蓄されることで、利用者がモバイルバッテリーを有していなくとも、充電を開始することができる。このようにして、充電されたモバイルバッテリーは多様な小型デバイス(スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ)の充電に利用することができるため、非常時に貴重な電力源となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明のマグネシウム空気電池筐体を説明する斜視図である。
図2】(a)本発明のセル固定用筐体を示す平面図である。 (b)本発明のセル固定用筐体を示す正面断面図である。
図3】(a)図1のセル固定用筐体を示す平面図で底辺部の形状を示している。 (b)図1のセル固定用筐体を示す右側面断面図である。
図4】(a)本発明の給水槽筐体を示す平面図である。 (b)本発明の給水槽筐体を示す正面断面図である。 (c)本発明の給水槽筐体を示す左側断面図である。
図5】本発明のマグネシウム空気電池セルを説明する側面図である。
図6図6の拡大説明図である。
図7】本発明のマグネシウム空気電池セルを説明する正面図である。
図8】本発明のマグネシウム空気電池を説明するブロック説明図である。
図9】本発明の他の実施例を説明する電池セル正面図である。
図10】(a)本発明の電池セルを内蔵した状態を示す蓋体、セル固定用筐体を示す断面図である。 (b)図5(a)に対応する受水槽筐体説明図である。
図11】(a)本発明の電極端子固定構造を示す説明図である。 (b)図6(a)の端子接続構造説明図である。
図12】本発明のマグネシウム空気電池の発電システム説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
斯くして、本発明は、電池の筐体内に設置する複数枚(例えば6枚)の電池セル構造を次のように構成している。即ち、マグネシウム又はマグネシウム合金を含む板状の負極板を中央に配置し、この負極板の上部には負極板に接続された負極端子を有しており、また、前記負極板の両面の上部は水に直接漬けない反応エリア部と、負極板の両面下部には水に漬ける給水エリア部を設けている。そして、前記負極板の両面下部に設けた給水エリア部には負極板の板厚を貫通する形状の反応物落下開口穴が穿たれている。
【0039】
また、前記負極板の反応エリア部、給水エリア部には、当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置しており、そのセパレータの働きにより負極板の両面の上部は、電池筐体下部の給水槽に給水して発電を始める時において水に直接漬からない反応エリア部となり、負極板の両面下部は給水槽の水に直接漬ける給水エリア部を形成している。そして、前記負極板の全面を覆うセパレータは、高分子ポリマータイプの不織布でNaCl(塩)を水溶液で溶解して含侵させた後に乾燥させたもので、乾燥状態では、セパレータが負極板両面に当接又は圧接されていても電気化学反応をおこさないが、給水槽に給水して発電を始めると水はセパレータを介して前記反応エリア部まで浸透される。
【0040】
前記セパレータで覆われた負極板上部の構成は、セパレータの両外側面の反応エリア部全面にセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシート等の導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接すると共に、前記正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを組み立て、そのマグネシウム空気電池セルの両側端部と上端部を複数の樹脂リベットにて締結し一体化することにより接合に接着材等を使用せず要所に設けられた複数の樹脂リベット或いは樹脂ネジ等の係止手段で締結することで、電池セルの各パーツを全域で密着しあうように挟持することができ、電気抵抗が低減できて効率の良い発電が可能となる他、圧縮して各部品を挟持することが可能となり薄型で小型のマグネシウム空気電池セルを提供している。
【0041】
本発明のマグネシウム空気電池セルの構造は、負極板の下部に設けられた給水エリア部を給水槽の水に浸し、給水エリア部を覆っているセパレータが給水槽の水を毛細管現象で反応エリア部まで運びあげて電極の反応エリア部を湿らす構成であり、前記セパレータは不織布等の剛性の低い材料からなるため、単独では変形しやすいが、本発明では、負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆う構造であるため、負極板に支えられており、曲がりや折れのような変形をすることなく、給水槽の底部に向けて延在する姿勢を保つことができ、電池を薄型にするため、給水槽が深くなっても、給水槽の底部まで水を安定して運びあげることができるので長い時間安定した電流を供給可能となる。そして、前記セパレータに含侵されたNaClは、給水された水にて溶解して負極板上部に設けられた反応エリア部に浸透し、その反応エリア部において、正極の活性物質である外気からの酸素を取り入れて反応エリア部で電気化学反応を起こし発電を起こす仕組みであるが、発電が始まると負極反応エリア面とセパレータ内部間には電池反応生成物が発生する。
【0042】
而して、電池反応生成物は放置すると堆積し続け、その大きさも不均一であるため、負極板の反応エリア面とセパレータの間に隙間が生じる部分が発生し、その部分の反応は中断されるため、発電効率を減少させる。また、反応物の堆積は、酸素の供給も阻害するため、発電効率を減少させるだけでなく発電不可の状態に陥ることもあるため、本発明では、発電によりマグネシウム空気電池内部で発生する電池反応生成物を取り除くために前記負極下部の給水エリア部に設けた反応物落下開口穴に電池反応生成物を落下させて反応エリア部を活性化しながら電気化学反応を促進し、発電を継続している。
【0043】
また、本発明の構造的特徴は、正極シートの両外側面から正極シートに当接され正極シートを押圧支持する正極支持枠の形状であり、それは、四本鍬のような形状を有して反応エリア部の上端縁部支持片と両側端部支持片を有し、該上端縁部支持片の中央部には前記上端縁部支持片から下部に向かって延伸する一本以上のサポート支持片を有していることである。そして、前記正極支持枠の形状において、上端縁部支持片は、内部側より負極板、負極板の両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して、前記二本の樹脂リベットで締結されており、この上端縁部支持片と一体的に構成された両端部支持片は、両端部支持片の下端部において負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して前記二本の樹脂リベットで締結されている。また正極シート中央部に位置する前記サポート支持片は、両面の上端縁部支持片から下部に向かって延伸する片持ち支持形状で負極板とその負極板の両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して前記負極板両面に設けられた反応エリア部を上端及び両端の三方向で挟持している構造を有している。
【0044】
従って、発電に伴う電気化学反応により負極反応エリア面とセパレータ内部側に生成される電池反応生成物は、前記上端縁部支持片、両端部支持片、サポート支持片の挟持、締結により生成の方向が規制されると共に、重力により負極板下部に設けられた反応物落下開口穴に落下するので、負極板の反応エリア部では電池反応生成物の堆積を防ぎ、反応エリア部の膨満化を防いで発電の出力の低下を招くことなく長い時間安定した電流を供給可能としている。
【0045】
また、正極シートを構成する金属箔メッシュシートは、開口部の比率が大きくなると金属箔の連通部分が細くなるため、電流が大きくなると電気抵抗が大きくなる。また、正極端子が一箇所だけの場合、その付近の金属箔連通部分に正極シート全体の電流が集中するため、集中抵抗も発生する。しかしながら、本発明の正極支持枠は、広い範囲で正極シートの金属メッシュシートと接触しているため、金属メッシュシートを流れる電流は、直近の正極支持枠の一部を経由して直接、正極端子に流れることができるので、金属メッシュシートの導電抵抗や集中抵抗の影響を回避することができ、電池の発電効率を高めることができる。
【0046】
更に、本発明は、負極板の上部両面には水に直接つけない反応エリア部を設け、該負極板の両面下部には給水槽に浸して直接水に漬ける給水エリア部を設け、該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、該負極板反応エリア部全面にセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートからなる正極シートを夫々当接し、該正極シートの両外側面に夫々正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成しており、マグネシウム空気電池セルの発電容量を増やす際には、高さを従来通りに規制し、マグネシウム空気電池セルの横幅全体を大きくすることでセパレータの給水高さを増大させることなく発電効率を上げることができ、この構成はマグネシウム空気電池セルを収納する筐体の高さ、奥行寸法を変えることなく、筐体の長さのみを延長すれば出力の向上に繋がるので電池の軽量化に対して重要な問題を提起しない。
【0047】
本発明は電池筐体内に内蔵するマグネシウム空気電池セルに種々の工夫を凝らして電池セル自体を薄く、そして高さ、幅を小さなものにしている。本発明のマグネシウム空気電池は、電池筐体内に小型で薄型の電池セルを6枚内蔵しこの電池セルを直列に接続することにより、モバイルバッテリーの充電用に十分な5V以上の電圧を得ることを目的としている他、数十年に一度と言われるスパンの自然災害や大規模停電に遭遇するまでの長い期間に対して、その発電の能力を維持して、耐久性、耐候性を維持するために電池セルを内蔵する筐体の形状、筐体内部での電池セルの固定構造、簡単操作の給水構造が必要である。
【0048】
従って、筐体の形状は上部に位置する蓋体、中央部にセル固定用筐体、そして下部に配置される給水槽筐体からなり、前記蓋体上部には外部に設置されるモバイルバッテリーと接続するためのコネクタを有しており、これを介して各正極端子および負極端子に繋がるコネクト基板からの電力供給がされる構成で、非常時の充電作業が行われる。
【0049】
セル固定用筐体は、外壁部の四方全面に正極の活性物質である外気からの酸素を取り入れて反応エリア部で電気化学反応を起こし、発電するための酸素取り入れ孔が多数穿たれていることが特徴であり、内部にはマグネシウム空気電池セルを装着した際に上部に突出する負極端子と正極端子を支承するコネクト基板とその載置台を設けており、セル固定用筐体の底辺部には電池セルを差し込み載置するリーフ形状の差し込み穴を設けている。リーフ形状の差し込み穴は、その両端が電池セルの反応部の幅と同等、或は僅かに大きい幅であり、ここで電池セルを保持する。リーフ形状の差し込み穴は、中央に近づくほど幅が広くなっているが、これは電池の反応が進んだ際に発生する反応物が重量で落下する際に、セパレータが膨満するが、差し込み穴がこの膨満と反応物落下を妨げない効果を有している。
【0050】
更に、前記差し込み穴の上面には差し込み穴の形状、大きさを制限する形でスリット孔を有するラバーシートを敷設されており、前述の電池セルのセパレータに覆われた負極板の給水エリア部は、敷設されたラバーシートのスリット孔に給水エリアを押し込む形で挿嵌して固定用筐体の底部を貫通している。また、電池セルの固定用筐体への装着は、ラバーシートのスリット孔で給水エリア部を挿嵌、固定すると共に、前記電池セルの上部に突出する形状の負極端子、正極端子をコネクト基板に植設された弾力性のあるピンコネクタに負極端子、正極端子を挿嵌して弾性を保ち接続されている。そして、セル固定用筐体のスリット孔に給水エリア部が挿嵌していることでこの部分がシール構造となるため、給水済の給水槽筐体に組み込んだ後でマグネシウム空気電池筐体が振動等を受けても、給水槽の水は前記ラバーシートを超えて上部に到達できなくなるため、電池反応部が水に濡れること、或は、酸素取り入れ孔から水が漏れることを防止する機能を持たせることが可能になった。
【0051】
そして、前記セル固定用筐体の下端は給水槽筐体に挿入される給水槽分離室を有しており、該給水槽分離室はセル固定用筐体の底辺部を貫通する給水エリア部を給水槽筐体内で一枚毎に分離配置される構造で、この給水槽筐体にセル固定用筐体が組み込まれると、その給水槽分離室の底部が給水槽筐体の底辺部に設置されたラバーシートに圧接される構成で、前記水槽分離室は個々に分離した給水エリア部を構成するので給水槽筐体内では水を複数の電池セルで共有することによる電気的リークが防止されている。
【0052】
本発明の給水槽筐体は前述のようにセル固定用筐体と嵌合、組み合わされるものであるが、給水槽筐体は、非常時の発電を促す水の受け皿であり、給水槽筐体の側壁には水の入れ過ぎを調整するオーバーフロー孔が穿たれており、底辺部には前述した給水槽分離室の下端が押圧されるラバーシートが敷設されている。また、給水槽筐体の側壁内面上側にはオーバーフロー孔の周囲をシールするための孔付きラバーシールが設けられており、セル固定用筐体と嵌合、組付けを行う際に、前記セル固定用筐体の給水槽分離室の外の面が前記孔付きラバーシールと密着するため、給水槽分離壁や電池セル反応部が水槽筐体内の水に浸かることで水位がオーバーフロー孔の高さを超えたとしても、オーバーフロー孔から水が流出することはない。
【0053】
而して、本発明においては、発電効率の良い小型で軽量の電池セルを6枚、本発明のマグネシウム空気電池セル用の筐体に内蔵し、この電池セルを直列に接続することにより、モバイルバッテリーの充電用に十分な5V以上の電圧を得ることができる。また、この電池セル及び筐体は、発電をしない場合には、15年から20年の長期間にわたり劣化することなく保管が可能であり、自然災害、大規模停電等の非常時で電力の必要時には給水のみで発電ができるもので、簡単操作で様々なデバイスの充電に利用可能なモバイルバッテリー用の充電電力が得られる。
【実施例0054】
図1乃至図4は本発明のマグネシウム空気電池セルを内蔵する筐体を説明するものであり、図1乃至図4において、1は筐体、2は上部に位置する蓋体、3は中央部のセル固定用筐体、4は下部に位置する給水槽筐体である。図1に示す蓋体2は各正極端子および負極端子に繋がるコネクト基板からの電力供給がされる構成で、電圧が各種コネクタ6を介して蓋体外部に配置されるモバイルバッテリー7と接続されて非常時の充電作業が行われる。
【0055】
図2乃至図4はセル固定用筐体3と給水槽筐体4の構造を説明するもので、セル固定用筐体3の筐体外壁部8a、8b、8c、8d面には酸素取り入れ孔9a、9b、9c・・・が穿たれている。この酸素取り入れ孔9a、9b、9c・・・は、正極の活性物質である酸素を外気から取り入れて負極板部分で電気化学反応を起こすための酸素取り入れ孔であり外壁部全面に数多く穿たれている。また、セル固定用筐体3の底辺部10にはリーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・が設けられており、この差し込み穴11a、11b、11c・・・の上面には、差し込み穴の形状、大きさを制限する形でスリット孔12a、12b、12c・・・(図3に示す)を有するラバーシート13が敷設されている。また、リーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・は、夫々その両端がマグネシウム空気電池セル20(図5にて表示)の反応部の幅と同等、或は僅かに大きい幅であり、ここでマグネシウム空気電池セル20を保持する。リーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・は、夫々中央に近づくほど幅が広くなっているが、これは電池の反応が進んだ際に発生する反応物が重量で落下する際に、セパレータが膨満するが、差し込み穴11a、11b、11c・・・がこの膨満と反応物落下を妨げない効果を有している。
【0056】
而して、前記差し込み穴11a、11b、11c・・・、スリット孔12a、12b、12c・・・が繋がるセル固定用筐体3の下端は、給水槽筐体4に挿入される給水槽分離室14a、14b、14c・・・を有しており、該給水槽分離室14a、14b、14c・・・はセル固定用筐体3の底辺部を貫通する給水エリア部24を給水槽筐体4内で一枚毎に分離配置される構造で、この給水槽筐体4にセル固定用筐体3が組み込まれると、その給水槽分離室14a、14b、14c・・・の底部が給水槽筐体4の底辺部に設置された底辺シート15に圧接される構成で、給水槽筐体4に水16が給水された後では前記水槽分離室14a、14b、14c・・・は個々に分離した給水エリア部を構成するので給水槽筐体4内では電気的リークが防止された構成となっている。
尚、図2図3に示す17a、17b、17c、17dはセル固定用筐体3のコーナーに夫々設けられたコネクタ基板の固定ピンである。
【0057】
次に図4にて給水槽筐体4を説明する。給水槽筐体4は非常時等において、前記、セル固定用筐体3から切り離し、分離して水16の給水受け皿になるもので給水槽筐体4の側壁には等間隔でオーバーフロー孔18a、18b、18c・・・が穿たれており、また、給水槽筐体4の側壁内面上側にはオーバーフロー孔の周囲をシールするための孔付きラバーシール5が設けられており、セル固定用筐体3と嵌合、組付けを行う際に、前記セル固定用筐体3の給水槽分離壁14の外の面が前記孔付きラバーシール5と密着するため、給水槽分離室14や反応エリア部23が給水槽筐体4内の水に浸かることで水位がオーバーフロー孔の高さを超えたとしても、オーバーフロー孔18a、18b、18c・・・から水が流出することはなく、発電時の水位を調整して良好な発電環境を作り出すもので、このような構成の筐体1に本発明のマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・が堅牢に内蔵され衝撃にも強く長期間の耐候性、耐久性を有している。
【実施例0058】
図5乃至図7において、本発明のマグネシウム空気電池セル一枚の構造を説明図する。20はマグネシウム空気電池セル、21はマグネシウム又はマグネシウム合金からなる負極板であり、負極板21の上部には負極板21に接続された負極端子22が設けられている。この負極板21の垂直方向上部両面には反応エリア部23が、下部両面には給水エリア部24が設けられており、この給水エリア部24には負極板21の板厚を貫通する形で反応物落下開口穴25が穿たれている。また、反応エリア部23と給水エリア部24を有する負極板21には、反応エリア部23、給水エリア部24に当接して負極板21の両面を包み込み負極板21の下端においてU字型に折り返して負極板21の全面を覆うセパレータ26を設置している。
尚、前記反応物落下開口穴25を大きく穿つことにより電池セルの負極板21の重量は40パーセント程落とすことができ、この電池セルの軽量化はマグネシウム空気電池全体の軽量化に大きく貢献している。
【0059】
而して、本発明のマグネシウム空気電池セル20の構造は、負極板21の下部に設けられた給水エリア部24を給水槽筐体4の水に浸し、給水エリア部24を覆っているセパレータ26が給水槽筐体4の水を毛細管現象で反応エリア部23まで運びあげて負極板21の反応エリア部23を湿らす構成であり、前記セパレータ26は不織布等の剛性の低い材料からなるため、単独では変形しやすいが、本発明では、負極板21の両面を包み込み負極板21の下端においてU字型に折り返して負極板21の全面を覆う構造であるため、負極板21に支えられており、曲がりや折れのような変形をすることなく、給水槽筐体4の底辺シート15に向けて延在する姿勢を保つことができ、マグネシウム空気電池セル20を薄型にするため、給水槽筐体4が深くなっても、給水槽筐体4の底部までの水を安定して反応エリア部23まで運びあげることができるのでマグネシウム空気電池セル20は長い時間安定した電流を供給可能となる。
【0060】
そして、セパレータ26の働きにより負極板21の両面の上部は、発電時においても水16に直接漬からない反応エリア部23となり、負極板21の両面下部は給水槽筐体4内の水に直接漬ける給水エリア部24を形成している。そして、前記負極板21の全面を覆うセパレータ26は、高分子ポリマータイプの不織布でNaCl(塩)を水溶液で溶解して含侵させた後に乾燥させたもので、乾燥状態では、セパレータ26が負極板21の両面に当接又は圧接されていても電気化学反応をおこさないので、長期間にわたりマグネシウム空気電池セル20を保存できる。
【0061】
また、セパレータ26で覆われた負極板21上部の構成は、セパレータ26の両外側面の反応エリア部23にセパレータ26を介してカーボンゴムシート28と金属箔メッシュシート(または導電性メッシュ)29からなる正極シート27を夫々当接すると共に、前記正極シート27の両外側面に夫々正極及び正極端子30を有した正極支持枠31と短絡防止シート32を夫々当接してマグネシウム空気電池セル20を組み立て、そのマグネシウム空気電池セル20の両側端部と上端部を複数の樹脂リベット33a、33b、33c、33dにて締結し一体化することにより従来例の如く接着材等を使用せず樹脂リベット33a、33b、33c、33dによる締結を採用することで電気抵抗の影響なく、効率の良い発電が可能となる他、圧縮して挟持することが可能となり薄型のマグネシウム空気電池セルを提供できる。
【0062】
而して、正極シート27を構成する金属箔メッシュシート(カーボンゴムシートと金属箔メッシュシートのこと)は、開口部の比率が大きくなると金属箔の連通部分が細くなるため、電流が大きくなると電気抵抗が大きくなる。また、正極端子30が一箇所だけの場合、その付近の金属箔連通部分に正極シート27全体の電流が集中するため、集中抵抗も発生する。しかしながら、本発明の正極支持枠31は、広い範囲で正極シート10の金属メッシュシートと接触しているため、金属メッシュシートを流れる電流は、直近の正極支持枠31の一部を経由して直接、正極端子30に流れることができるので、金属メッシュシートの導電抵抗や集中抵抗の影響を回避することができ、電池の発電効率を高めることができ効率の良い発電が可能である。
【実施例0063】
また、本発明の実施例3を図5乃至図7を参照して図8にて説明する。図8において本発明のマグネシウム空気電池セル20を内蔵する筐体1の構造は、負極板21の下部に設けられた給水エリア部24を給水槽筐体4の水16に浸し、給水エリア部24を覆っているセパレータ26が給水槽筐体4の水16を毛細管現象と吸水力で反応エリア部23まで運びあげて負極板21の反応エリア部23を湿らす際に、セパレータ26に含侵されたNaClは溶解し給水された水16を介して負極板21上部に設けられた反応エリア部23に浸透し、その反応エリア部23において、正極の活性物質である酸素を取り入れて反応エリア部23で電気化学反応を起こし発電される仕組みであるが、発電が始まると負極板21の反応エリア部23とセパレータ26内部側に大量の電池反応生成物34(図8に示す)が発生し、放置すると発電効率を減少させるだけでなく発電不可の状態に陥ることもあるので、本発明では、発電によりマグネシウム空気電池セル20内部で発生する電池反応生成物34を負極板21下部の給水エリア部24に設けた反応物落下開口穴25に落下させて集積する。
【0064】
尚、電池のセル固定用筐体3の外壁部には電池内に酸素を送り込むための酸素取り入れ孔9a、9b、9c・・・が複数開けられおり、セル固定用筐体3の上部には電流取り出し用のコネクト基板39が設置されており、負極端子22及び正極端子30が夫々のピンコネクタ35a、35b、35c・・・に挿着されて電気的に接続されている。本発明のマグネシウム空気電池セル20は、上部をピンコネクタ35a、35b、35c・・・により弾性を有して支承され、下部においてセル固定用筐体3の底辺部10に設けたスリット孔12に嵌着され下部の給水エリア部24が受水槽筐体4内の水16に浸かり発電を開始するものである。
【0065】
而して、本発明のもう一つの構造的な特徴は、正極シート27の両外側面から正極シート27に当接される正極支持枠31の形状であり、それは、四本鍬のような形状を有して反応エリア部23の上端縁部支持片36と両側端部支持片37a、37bを有し、該上端縁部支持片36の中央部には前記上端縁部支持片36から下部に向かって延伸する二本のサポート支持片38a、8bを有していることである。
【0066】
前記上端縁部支持片36は、内部側より負極板21、負極板2の両面に存在するセパレータ26及び正極シート27を挟持して前記二本の樹脂リベット33a、33cで締結されており、この上端縁部支持片36と一体的に構成された両端部支持片37a、37bは、両端部支持片37a、37bの下端部において負極板21、両面に存在するセパレータ26、及び正極シート27を挟持して二本の樹脂リベット33b、33dで締結されている。また正極シート27中央部に位置する前記二本のサポート支持片38a、38bは、両面の上端縁部支持片36から下部に向かって延伸する片持ち支持形状で負極板21とその負極板2の両面に存在するセパレータ26及び正極シート27を挟持している構造を有している。
【0067】
従って、発電に伴う電気化学反応により負極板21の反応エリア部23とセパレータ26内部側に生成される電池反応生成物34(図8に示す)は、前記上端縁部支持片36、両端部支持片37a、37b、二本のサポート支持片38a、38bの挟持、及び樹脂リベット33a、33b、33c、33d締結により生成の方向が規制されると共に、重力により負極板21の下部に設けられた反応物落下開口穴25に落下し、集積されるので、負極板21の反応エリア部23には電池反応生成物34が堆積させず、反応エリア部23の膨満化を防ぎ発電出力の低下を招くことなく長い時間安定した電流を供給可能である。
尚、実施例3では、四本鍬のような形状を有して反応エリア部23の上端縁部支持片36と両側端部支持片37a、37bを有し、該上端縁部支持片36の中央部には前記上端縁部支持片36から下部に向かって延伸する二本のサポート支持片38a、8bを有している形状例を基に説明したが、サポート支持片は中央部に一本のみ配置しても良く、また、マグネシウム空気電池セル20の幅を広く設計した場合にはサポート支持片は3本を中央部に配列することも可能である。
【実施例0068】
次に本発明の実施例4を図9において説明する。図9において、負極板21の上部両面には水に直接つけない反応エリア部23を設け、該負極板21の両面下部には給水槽筐体4に浸して直接水に漬ける給水エリア部24を設けている。また、前記負極板21の反応エリア部23、給水エリア部24に当接して負極板21の両面を包み込み負極板21の下端においてU字型に折り返して負極板21の全面を覆うセパレータ26を設置し、該負極板21の反応エリア部23全面に前記セパレータ26を介してカーボンゴムシート28(図示せず)と金属箔メッシュシート29からなる正極シート27を夫々当接し、該正極シート27の両外側面に夫々正極端子30を有した正極支持枠31と短絡防止シート32を夫々当接してマグネシウム空気電池セル20を構成している。
【0069】
而して、図9において、給水槽筐体4に給水する水を16とすると前記給水エリア部24は、ほぼ、水に浸かり、この水16はセパレータ26を形成する不織布の毛細管現象と不織布の吸水率により吸水高さ限界Hが決まってしまう。従って、マグネシウム空気電池セル20の発電容量を増やす際には、前記筐体1の高さを従来通りに設定し、マグネシウム空気電池セル20の横幅全体を大きくすること、即ち、図9に示したマグネシウム空気電池セル20の幅WをW1に拡大することで、セパレータ26の給水高さHを上げることなく反応エリア部23の面積を広げることにより発電量を上げることができるもので、この構成はマグネシウム空気電池セル20を収納する筐体1の高さ、奥行寸法を変えることなく、電池筐体1の長さのみを延長すれば電力アップにつながり電池の小型化に大きく寄与し、携帯機能を損なわず軽量化のできるマグネシウム空気電池の筐体を作ることができる。
【実施例0070】
本発明の実施例5は、図10及び図11に示す如く、本発明のマグネシウム空気電池セル20のセル固定用筐体3への装着構造を説明するものである。図10及び図11において図1乃至9との同一符号は同一構成要素を示しており、2は蓋体で、蓋体2は上部でコネクタを介して各正極端子および負極端子に繋がるコネクト基板39からの電力供給がされる構成で、その電圧はコネクタ6を介して蓋体外部に配置されるモバイルバッテリー(図示せず)と接続されて非常時の充電作業が行われる。3はセル固定用筐体で、セル固定用筐体3は筐体外壁部8a、8b、8c・・・を有し、その筐体外壁部8a、8b、8c・・・には酸素取り入れ孔9a、9b、9c・・・が穿たれており正極の活性物質である酸素を外気からセル固定用筐体3に取り入れることができる。
【0071】
而して、セル固定用筐体3上部には固定ピン17a、17b、17c、17dを介してコネクト基板39が配置され、コネクト基板39にコネクタピン35a、35b、35c・・・を嵌合し、このコネクタピン35a、35b、35c・・・を介して内蔵されるマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・の負極端子22、正極端子30を弾力的に支承されている。また、セル固定用筐体3の底辺部10にはリーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・が設けられており、この差し込み穴11a、11b、11c・・・の上面には、差し込み穴の形状、大きさを制限する形でスリット孔12a、12b、12c・・・を有するラバーシート13が敷設されており、前記スリット孔12a、12b、12c・・・は夫々の負極板21とセパレータ26を挿着する際にセパレータ26の弛みを伸ばしマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・を夫々堅牢に支持している。そして、更に前記底辺部10に設けたリーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・は発電時に生じる電池反応生成物34を反応物落下開口穴25に落とすための負極板21とセパレータ26間の膨満時に対応するためにリーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・になっている。
【0072】
即ち、本発明のマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・の構造は、負極板21の下部に設けられた給水エリア部24を給水槽筐体4の水16に浸し、給水エリア部24を覆っているセパレータ26が給水槽筐体3の水16を毛細管現象で反応エリア部まで運びあげて電極の反応エリア部23を湿らす構成であり、前記セパレータ26は不織布等の剛性の低い材料からなるため、単独では変形しやすいが、本発明では、負極板21の両面を包み込み負極板21の下端においてU字型に折り返して負極板21の全面を覆う構造であるため、負極板21に支えられており、曲がりや折れのような変形をすることなく、給水槽筐体3の底辺シート15に向けて延在する姿勢を保つことができ、マグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・を薄型にするため、給水槽筐体4が深くなっても、給水槽筐体4の底部までの水16を安定して運びあげることができ前記セパレータ26に含侵されたNaClは、給水された水16にて溶解して負極板21の上部に設けられた反応エリア部23に浸透し、その反応エリア部23において、正極の活性物質である外気からの酸素を取り入れて反応エリア部23で夫々電気化学反応を起こし発電を起こす仕組みで、発電が始まると負極板21の反応エリア部23とセパレータ26の内部間には電池反応生成物34が発生するので、この電池反応生成物34を反応物落下用開口穴25にて集積している。
【0073】
また、図10(b)の給水槽筐体4は非常時等において、前記、セル固定用筐体3から図のように切り離し、分離して水16の給水受け皿になるもので給水槽筐体4の側壁には等間隔でオーバーフロー孔18a、18b、18c・・・が穿たれており、また、給水槽筐体4の側壁内面上側にはオーバーフロー孔の周囲をシールするための孔付きラバーシール5が設けられており、セル固定用筐体3と嵌合、組付けを行う際に、前記セル固定用筐体3の給水槽分離室14の外の面が前記孔付きラバーシール5と密着するため、給水槽分離室14や反応エリア部23が給水槽筐体4内の水に浸かることで水位がオーバーフロー孔の高さを超えたとしても、オーバーフロー孔18a、18b、18c・・・から水が流出することはない。そして、マグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・の発電時には給水槽筐体4に水16を給水し、セル固定用筐体3の給水槽分離室14a、14b、14c・・・を給水槽筐体4に装着し、給水槽筐体4の底辺シート15に給水槽分離室14a、14b、14c・・・の下端部を押圧して給水槽分離室が構成されるので、給水槽筐体4に給水槽分離室14を差し込んだ後では、給水槽分離室14a、14b、14c・・・は個々に分離した給水エリア部24となり給水槽筐体4内では電気的リークが防止されるよう構成されている。
【0074】
次に図11において、ピンコネクタ35a、35b、35c・・・による各マグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・の上部における固定構造を説明する。図11(a)、(b)において、3はセル固定用筐体で内部にマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・が内蔵されている。4は給水槽筐体で内部に通じるオーバーフロー孔18a、18b、18c・・・が穿たれている。また39はコネクト基板でコネクト基板39内にはピンコネクタ35a、35b、35c・・・が植設されており、該ピンコネクタ35は上部のスプリング機能を有するツメ部40を有して負極端子22、正極端子30の先端を弾性力にて把持している。コネクト基板39の裏面は右図のようにプリント配線化されており、負極端子22、正極端子30からの出力を蓋体2のコネクタ6に送電する。而して、図11(b)はマグネシウム空気電池セル20の上部負極端子22、正極端子30をピンコネクタ35a、35b、35c・・・にて把持している状態を示している。
【0075】
斯くして、上記負極板21とセパレータ26からなる反応エリア部23においては、発電に伴い負極板22の反応エリア部23面とセパレータ26内部側が電池反応生成物34の発生で膨満し負極端子22と正極及び正極端子30の位置が動くので、これをコネクト基板39上に配置したピンコネクタ35a、35b、25c・・・で許容して各ツメ部40で把持すると共に、セル固定用筐体3の底辺部でもスリット孔12a、12b、12c・・・でマグネシウム空気電池セル20の中央部を支持し、負極端子22と正極及び正極端子30のセル膨満による動きを防止しており、前記電極の動きによる接触不良の発生を防止している。
【実施例0076】
斯くして、本発明の実施例6を、図12のブロック図において説明する。図12において、20a、20b、20c・・・はマグネシウム空気電池セル、4は給水槽筐体を示し、マグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・は図に示す如くセル固定用筐体3内に複数並べて設置し、該マグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・をセル固定用筐体3の下部に設置されている給水槽筐体14に挿着し発電を開始する。3はセル固定用筐体、39はコネクト基板、22は負極端子(正極を含む)、6はコネクタ、41はモバイルバッテリーのコネクタ、42はモバイルバッテリーの保護回路である。そして、前記正極及び負極の端子はそれぞれコネクタピンを介してコネクト基板39に接続されており、前記マグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・にて発電された電力は、コネクト基板39を経てコネクタ6に接続されており、モバイルバッテリーのコネクタ41、モバイルバッテリーの保護回路42を介してモバイルバッテリー7に接続されており、モバイルバッテリー7に電力が供給されるよう構成されており、蓋体2の有するコネクタ6に接続可能なモバイルバッテリーのコネクタ41を有するモバイルバッテリー等充電対応機器が搭載されている。
【0077】
本発明の重要な構成は、小型で軽量、持ち運び自在なマグネシウム空気電池セルの集合体であるため、マグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・は上部で夫々コネクタピンで弾力的に固定されているほか、セル固定筐体3の底辺部10に設けられたスリット孔12a、12b、12c・・・に夫々嵌着されており、二点支持の堅牢な構造で発電時の短絡を防止している。また、セル固定用筐体3と給水槽筐体4は分離することができる構成で、分離したのちに給水槽筐体4に水16を供給しセル固定用筐体3と給水槽筐体4を嵌合して発電を始める構造で、水16を持ち運ぶ必要はない。
【0078】
而して、本発明はマグネシウム空気電池セルを複数枚重ね合わせてセル電池筐体内に設置して発電装置を構成し、該発電装置は、個人が、日常携帯用として持ち運びの出来る小型で軽量の非常用発電機及び充電器として提供するものである。本発明は、発電を開始しなければその保存期間の耐用年数が15年から20年と長い期間を有するマグネシウム空気電池セルを使用するもので、この充電器は、停電時等のバッテリー切れの際に小型デバイス(スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ)用の充電器として有効であるが、小型デバイスの要求する電力仕様は夫々異なることもあり、また、将来的には変化していく可能性が高く、将来的に様々な小型デバイスの電力仕様に対して汎用性が求められるものと考えられることから、モバイルバッテリーを対象とした充電器として大きな役割を果たすものである。また、特に災害時を想定した備蓄用途等では、本発明のマグネシウム空気電池に予めモバイルバッテリーを搭載、付属させた状態で備蓄、或いは提供することにより、使用に際して、使用者がモバイルバッテリーを有していなくても、付属されているモバイルバッテリーの充電を行うことが出来、各種小型デバイスを充電することが可能になる。
【実施例0079】
而して、本発明に使用される前記負極板21の全面を覆うセパレータ26は、高分子ポリマータイプの不織布でNaCl(塩)を水溶液で溶解して含侵させた後に乾燥させたもので、乾燥状態では、セパレータ26が負極板21の両面に当接又は圧接されていても電気化学反応をおこさないので、長期間にわたりマグネシウム空気電池セル20を保存できるものであるが、本発明が想定する自然災害や大規模停電等は数十年に一度と言われる災害を想定しており、この期間、マグネシウム空気電池セルのセパレータ26を湿気から守る方策として、本発明では、前記蓋体2、セル固定用筐体3、複数枚のマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・、給水槽筐体4を組み立てて一体化した筐体とし、該筐体をアルミ箔防湿梱包材または樹脂製防湿梱包材での梱包や、或いは真空梱包を併用した防湿梱包とすることで、長期間の保管、耐用性を確保している。
尚、アルミ箔防湿梱包材または樹脂製防湿梱包材や真空梱包を利用した梱包は、湿気に対する防湿効果を最大限に活用するためのものであり、前記蓋体2、セル固定用筐体3、複数枚のマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・を防湿梱包し、給水槽筐体4は別のパーツとして取り扱い梱包として利便性を提供することも可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 筐体
2 蓋体
3 セル固定用筐体
4 給水槽筐体
5 孔付きラバーシール
6 コネクタ
7 モバイルバッテリー
8、8a、8b、8c、8d 筐体外壁部
9a、9b、9c・・・ 酸素取り入れ孔
10 底辺部
11a、11b、11c・・・ 差し込み穴
12,12a、12b、12c・・・ スリット孔
13 ラバーシート
14、14a、14b、14c・・・ 給水槽分離室
15 底辺シート
16 水
17a、17b、17c、17d 固定ピン
18、18a、18b、18c・・・ オーバーフロー孔
20、20a、20b、20c・・・ マグネシウム空気電池セル
21 負極板
22 負極端子
23 反応エリア部
24 給水エリア部
25 反応物落下開口穴
26 セパレータ
27 正極シート
28 カーボンゴムシート
29 金属箔メッシュシート(導電性メッシュ)
30 正極及び正極端子
31 正極支持枠
32 短絡防止シート
33a、33b、33c、34d 樹脂リベット
34 電池反応生成物
35、35a、35b、35c ピンコネクタ
36 上端縁部支持片
37a、37b 両側端部支持片
38a、38b サポート支持片
39 コネクト基板
40 ツメ部
41 モバイルバッテリーのコネクタ
42 モバイルバッテリーの保護回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム空気電池の筐体は、筐体上部に位置してモバイルバッテリーである充電対応機器と接続するためのコネクタを有する蓋体、中央部に位置して複数枚のマグネシウム空気電池セルを固定し内蔵するセル固定用筐体、下部に配置されマグネシウム空気電池セルの給水エリア部を水に浸すことが可能な給水槽筐体から構成され、
前記セル固定用筐体に固定し内蔵する複数枚のマグネシウム空気電池セルは夫々板状の負極板を中央に配置し、
該負極板の上部には負極板に接続された負極端子を有しており、
該負極板の両面の上部は水に直接漬けない反応エリア部を設け負極板の両面の下部には水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の給水エリア部には負極板の板厚を貫通する反応物落下開口穴が穿たれており、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該セパレータの両外側面の反応エリア部にカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートまたは導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極及び正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの両側端部及び上端部を複数本の樹脂リベット、又は樹脂ネジの係止手段にて締結一体化していることを特徴とするマグネシウム空気電池。
【請求項2】
前記正極シートの両外側面から正極シートに当接される正極支持枠は反応エリア部の上端縁部支持片と、
前記上端縁部支持片の両側端部から下部に向かって延伸する両側端部支持片と、
該上端縁部支持片の中央部には前記上端縁部支持片から下部に向かって延伸する少なくとも一本以上のサポート支持片とを有しており、
前記上端縁部支持片は上部で負極端子に接続された負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して二本の樹脂リベット、又は、樹脂ネジの係止手段で締結され、
前記両側端部支持片は両側端部支持片の下部において負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して二本の樹脂リベット、又は、樹脂ネジの係止手段で締結され、
前記サポート支持片は両面の上端縁部支持片から下部に向かって延伸する片持ち支持形状で負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持しており、
前記マグネシウム空気電池セルは前記セル固定用筐体に複数枚固定し内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項3】
前記負極端子に接続されている負極板の上部両面には水に直接つけない反応エリア部を設け、
該負極板の両面下部には給水槽筐体に浸して直接水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該負極板反応エリア部全面にのみにセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートまたは導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極及び正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの両側端部を複数の樹脂リベット、又は、樹脂ネジの係止手段にて締結一体化しており、
該マグネシウム空気電池セルは前記セル固定用筐体に複数枚固定し内蔵されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項4】
前記負極端子が接続されている負極板の上部両面には水に直接つけない反応エリア部を設け、
該負極板の両面下部には給水槽筐体に浸して直接水に漬ける給水エリア部を設け、
該負極板の反応エリア部、給水エリア部に当接して負極板の両面を包み込み負極板の下端においてU字型に折り返して負極板の全面を覆うセパレータを設置し、
該負極板反応エリア部全面にのみにセパレータを介してカーボンゴムシートと金属箔メッシュシートまたは導電性メッシュからなる正極シートを夫々当接し、
該正極シートの両外側面に夫々正極及び正極端子を有した正極支持枠と短絡防止シートを夫々当接してマグネシウム空気電池セルを構成し、
該マグネシウム空気電池セルの発電容量を増やす際にはマグネシウム空気電池セルの横幅のみを大きくし、
前記横幅の大きくなったマグネシウム空気電池セルを前記筐体の長さのみの変更で許容し、
前記マグネシウム空気電池セルはセル固定用筐体に複数枚固定し内蔵されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項5】
前記負極板に接続された負極端子と正極端子に接続された正極及び正極端子を上部に突出して設けた複数枚のマグネシウム空気電池セルはセル固定用筐体に配置する際にコネクト基板上に配置したピンコネクタに挿着して夫々上部を把持し、
該マグネシウム空気電池セルの下端に位置する負極板とセパレータからなる給水エリア部ではセル固定用筐体の底辺部に平面形状で中央が膨らんだリーフ形状の差し込み穴を設け、
該リーフ形状の差し込み穴の上面にリーフ形状の差し込み穴の形状、大きさを制限する形でスリット孔を有するラバーシートが敷設されており、
前記ピンコネクタにて上部を把持された複数枚のマグネシウム空気電池セルはセル固定用筐体の底辺部上面に設けたラバーシートのスリット孔にて夫々中央部を支承され、
該マグネシウム空気電池セルは上部をピンコネクタで把持され中央部をラバーシートのスリット孔で夫々固定されて内蔵されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項6】
前記マグネシウム空気電池セルを載置するためにセル固定用筐体の底辺部上面にラバーシートを敷設し、
該ラバーシートを敷設した前記セル固定用筐体の底辺部には平面形状で中央が膨らんだリーフ形状の差し込み穴を設けており、
該リーフ形状の差し込み穴にてセパレータ内部で発生する電池反応生成物によるセパレータの膨満を許容し、また電池反応生成物が負極板下部に設けた反応物落下開口穴に落下するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項7】
前記セル固定用筐体の底辺部におけるリーフ形状の差し込み穴の上面にマグネシウム空気電池セルの給水エリア部を挿嵌するためのスリット孔を有するラバーシートが敷設され、
該ラバーシートのスリット孔は負極板とセパレータを挿着する際にセパレータの弛みを伸ばしている構造にしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項8】
前記セル固定用筐体の下端は給水槽筐体に挿入される給水槽分離室を有しており、
該給水槽分離室はセル固定用筐体の底辺部を貫通する給水エリア部を給水槽筐体内で一枚毎に分離して配置する構造を有し
該給水槽筐体にセル固定用筐体が組み込まれると前記給水槽分離室の底部が給水槽筐体の底辺部に設置された底辺シートに圧接される構造を有し、
該給水槽分離室は個々に分離した給水エリア部を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項9】
前記セル固定用筐体の給水槽分離室が給水槽筐体に嵌合組付けされる際に給水槽筐体の側壁には給水量が多過ぎた際に水が給水槽筐体の外部へ流出可能なオーバーフロー孔とそのオーバーフロー孔の周囲に孔付きラバーシールを有し、
前記セル固定用筐体が給水後の給水槽筐体に嵌合組付けされる際に給水槽分離室の外の面がラバーシールに密着することで給水槽分離室や各電池セルの浸水により水位が上昇しオーバーフロー孔を超えても水がオーバーフロー孔から流出することを防ぐ機能を有したことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項10】
前記筐体の上部に位置する蓋体にコネクタを設け、
該コネクタを介して蓋体外部に配置されるモバイルバッテリーである充電対応機器に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載されたマグネシウム空気電池。
【請求項11】
筐体上部に位置してモバイルバッテリーである充電対応機器と接続するためのコネクタを有する蓋体、中央部に位置して複数枚のマグネシウム空気電池セルを固定し内蔵するセル固定用筐体、下部に配置されマグネシウム空気電池セルの給水エリア部を水に浸すことが可能な給水槽筐体からなるマグネシウム空気電池の筐体において、
前記セル固定用筐体内に複数枚並列し内蔵されるマグネシウム空気電池セルを長期保管中に湿気から守るためにマグネシウム空気電池の筐体、又は蓋体とセル固定用筐体をアルミ箔防湿梱包材、または樹脂製防湿梱包材にて梱包し、或いは真空梱包を併用して防湿梱包をしていることを特徴とする請求項1に記載されたマグネシウム空気電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明のマグネシウム空気電池において、
前記正極シートの両外側面から正極シートに当接される正極支持枠の形状は、例えば、鍬のような形状を有して反応エリア部の上端縁部支持片と両側端部支持片を有し、
該上端縁部支持片の中央部には前記上端縁部支持片から下部に向かって延伸する少なくとも一本以上のサポート支持片を有し、
前記上端縁部支持片は負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して二本の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段で締結され、
前記両端部支持片は両端部支持片の下部において負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して二本の樹脂リベットや樹脂ネジ等の係止手段で締結され、
前記サポート支持片は両面の上端縁部支持片から下部に向かって延伸する片持ち支持形状で負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して
おり、
前記マグネシウム空気電池セルは前記セル用筐体に複数枚固定し内蔵されていること特徴とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
而して、本発明のもう一つの構造的な特徴は、正極シートの両外側面から正極シートに当接される正極支持枠の形状であり、それは、鍬の形状を有して反応エリア部の上端縁部支持片と両側端部支持片を有し、該上端縁部支持片の中央部には前記上端縁部支持片から下部に向かって延伸する少なくても一本のサポート支持片を有しているものである。この構成により負極板の反応エリア面とセパレータ内部側に生成される電池反応生成物は、生成の方向が規制されると共に重力により負極板の下部に設けられた反応物落下開口穴に落下し、収集されるので、負極の反応エリア部には電池反応生成物を大量に堆積させず、反応エリア部の膨満化を防ぎ発電出力の低下を招くことなくて長い時間安定した電流を供給可能となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
また、本発明の構造的特徴は、正極シートの両外側面から正極シートに当接され正極シートを押圧支持する正極支持枠の形状であり、それは、例えば、鍬のような形状を有して反応エリア部の上端縁部支持片と両側端部支持片を有し、該上端縁部支持片の中央部には前記上端縁部支持片から下部に向かって延伸する一本以上のサポート支持片を有していることである。そして、前記正極支持枠の形状において、上端縁部支持片は、内部側より負極板、負極板の両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して、短絡防止シートを介して前記二本の樹脂リベットで締結されており、この上端縁部支持片と一体的に構成された両端部支持片は、両端部支持片の下端部において負極板、両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して前記二本の樹脂リベットで締結されている。また正極シート中央部に位置する前記サポート支持片は、両面の上端縁部支持片から下部に向かって延伸する片持ち支持形状で負極板とその負極板の両面に存在するセパレータ及び正極シートを挟持して前記負極板両面に設けられた反応エリア部を上端及び両端の三方向で挟持している構造を有している。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
而して、正極シート27を構成する金属箔メッシュシート(カーボンゴムシートと金属箔メッシュシートのこと)は、開口部の比率が大きくなると金属箔の連通部分が細くなるため、電流が大きくなると電気抵抗が大きくなる。また、正極及び正極端子30が一箇所だけの場合、その付近の金属箔連通部分に正極シート27全体の電流が集中するため、集中抵抗も発生する。しかしながら、本発明の正極支持枠31は広い範囲で正極シート10の金属メッシュシートと接触しているため、金属メッシュシートを流れる電流は、直近の正極支持枠31の一部を経由して直接正極及び正極端子30に流れることができるので、金属メッシュシートの導電抵抗や集中抵抗の影響を回避することができ、電池の発電効率を高めることができ効率の良い発電が可能である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
而して、本発明のもう一つの構造的な特徴は、正極シート27の両外側面から正極シート27に当接される正極支持枠31の形状であり、それは、例えば、鍬のような形状を有しており、反応エリア部23の上端縁部支持片36と両側端部支持片37a、37bを有し、該上端縁部支持片36の中央部には前記上端縁部支持片36から下部に向かって延伸する二本のサポート支持片38a、38bを有していることである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
従って、発電に伴う電気化学反応により負極板21の反応エリア部23とセパレータ26内部側に生成される電池反応生成物34(図8に示す)は、前記上端縁部支持片36,両端部支持片37a、37b、二本のサポート支持片38a、38bの挟持、及び樹脂リベット33a、33b、33c、33dの締結により生成の方向が規制されると共に、重力により負極板21の下部に設けられた反応物落下開口穴25に落下し、集積されるので、負極板21の反応エリア部23には電池反応生成物34が堆積されず、反応エリア部23の膨満化を防ぎ発電出力の低下を招くことなく長い時間安定した電流を供給可能である。
尚、実施例では、四本鍬のような形状を有して反応エリア部23の上端縁部支持片36と両側端部支持片37a、37bを有し、該上端縁部支持片36の中央部には前記上端縁部支持片36から下部に向かって延伸する二本のサポート支持片38a、38bを有している形状例を基に説明したが、サポート支持片は中央部に一本のみ配置しも良く、また、マグネシウム空気電池空気電池セル20の幅を広く設計した場合にはサポート支持片は3本を中央に配列することも可能である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
次に本発明の実施例4を図9において説明する。図9において、負極板21の上部両面には水に直接つけない反応エリア部23を設け、該負極板21の両面下部には給水槽筐体4に浸して直接水に漬ける給水エリア部24を設けている。また、前記負極板21の反応エリア部23、給水エリア部24に当接して負極板21の両面を包み込み負極板21の下端においてU字型に折り返して負極板21の全面を覆うセパレータ26を設置し、該負極板21の反応エリア部23の全面のみに前記セパレータ26を介してカーボンゴムシート28(図示せず)と金属箔メッシュシート29からなる正極シート27を夫々当接し、該正極シート27の両外側面に夫々正極及び正極端子30を有した正極支持枠31と短絡防止シート32を夫々当接してマグネシウム空気電池セル20を構成している。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
而して、セル固定用筐体3上部には固定ピン17a、17b、17c、17dを介してコネクト基板39が配置され、コネクト基板39にコネクタピン35a、35b、35c・・・を嵌合し、このコネクタピン35a、35b、35c・・・を介して内蔵されるマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・の負極端子22、正極及び正極端子30を弾力的に支承されている。また、セル固定用筐体3の底辺部10には、図2aに示す如く平面形状で中央部が膨らみ両端部が萎んだリーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・が設けられており、この差し込み穴11a、11b、11c・・・の上面には、差し込み穴の形状、大きさを制限する形でスリット孔12a、12b、12c・・・を有するラバーシート13が敷設されており、前記スリット孔12a、12b、12c・・・は夫々の負極板21とセパレータ26を挿着する際にセパレータ26の弛みを伸ばしマグネシウム空気電池セル20a、20b、20c・・・を夫々堅牢に支持している。そして、更に前記底辺部10に設けたリーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・は発電時に生じる電池反応生成物34を反応物落下開口穴25に落とすための負極板21とセパレータ26間の膨満時に対応するためにリーフ形状の差し込み穴11a、11b、11c・・・になっている。