(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133042
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】薬剤塗布式孫の手
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20230914BHJP
A61M 35/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61H7/00 300K
A61M35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022054546
(22)【出願日】2022-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】513186866
【氏名又は名称】高田 嘉苗
(72)【発明者】
【氏名】高田 嘉苗
【テーマコード(参考)】
4C100
4C267
【Fターム(参考)】
4C100AA07
4C100AF03
4C100CA01
4C100DA20
4C100EA07
4C267AA61
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB12
4C267BB37
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC01
4C267GG16
(57)【要約】
【課題】 通常の孫の手として背中を掻くことができ、さらには、薬剤を塗布する際も衣服を汚すことなく衛生的で効率よく塗布することができる薬剤塗布式孫の手を提供すること。
【解決手段】 本発明の薬剤塗布式孫の手は、本体部と、本体部の一端に装着された把持部と、前記本体部の他端に形成された掻部とで構成される孫の手本体と、前記本体部に摺動自在に装着されたカバー部と、かかるカバー部を摺動させる操作部と、前記カバー部内に収容された、カバー部を把持部側に移動させることで、ローラを突出させる薬剤塗布部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、本体部の一端に装着された把持部と、前記本体部の他端に形成された掻部とで構成される孫の手本体と、前記本体部に摺動自在に装着されたカバー部と、かかるカバー部を摺動させる操作部と、前記カバー部内に収容された、カバー部を把持部側に移動させることで、ローラを突出させる薬剤塗布部とを備えたことを特徴とする薬剤塗布式孫の手。
【請求項2】
前記薬剤塗布部は、基端を本体部に固定した屈曲部を備える板バネ部と、板バネ部の先端に装着されたローラ部とで構成されている請求項1記載の薬剤塗布式孫の手。
【請求項3】
前記ローラ部のローラを着脱自在に装着した請求項1又は2記載の薬剤塗布式孫の手。
【請求項4】
前記本体部に、摺動させたカバー部を抑止するストッパを設置した請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の薬剤塗布式孫の手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背中を掻くことができ、さらには、衣服を汚すことなく薬剤を塗布することができる薬剤塗布式孫の手に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な孫の手は、長い棒状の柄の先端に直角に折れ曲がる掻部が形成されている。使用の際は、背中などの自分の手が届かないところにその掻部を当てて擦り、痒みを和らげていた。
【0003】
また上述の孫の手に関連する従来技術として、簡単な構造で塗布機能部分を清潔に保ちやすく、孫の手の機能も十分に発揮することができる薬剤塗布機能付き孫の手がある(例えば特許文献1参照)。
上掲特許文献1の薬剤塗布機能付き孫の手は、薬を塗布する機能を備えた孫の手であって、柄と、前記柄に取り付けられた掻手部と、前記薬を塗布するための回転部と、を備え、前記掻手部および前記回転部の両方が前記柄の一端側に設けられ、前記回転部が前記掻手部に着脱自在に取り付けられたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3214618号公報(実用新案登録請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上掲特許文献1の薬剤塗布機能付き孫の手は、薬を塗布するための回転部が剥き出し状に配置されているため、使用の際、薬が衣服に付着して不衛生であるとともに、薬の塗布効率も低下した。
【0005】
そこで本発明は上記の点に鑑み、通常の孫の手として背中を掻くことができ、さらには、薬剤を塗布する際も衣服を汚すことなく衛生的で効率よく塗布することができる薬剤塗布式孫の手を提供することにある。
【解決を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の薬剤塗布式孫の手は、本体部と、本体部の一端に装着された把持部と、他端に形成された掻部とで構成される孫の手本体と、前記本体部に摺動自在に装着されたカバー部と、かかるカバー部を摺動させる操作部と、前記カバー部内に収容された、カバー部を把持部側に移動させることで、ローラを突出させる薬剤塗布部を備えたことを特徴とする。
【0007】
また前記薬剤塗布部は、基端を本体部に固定した屈曲部を備える板バネ部と、板バネ部の先端に装着されたローラ部とで構成されている。
【0008】
また、前記ローラ部のローラを着脱自在に装着した。
【0009】
さらに前記本体部に、摺動させたカバー部を抑止するストッパを設置した。
【発明の効果】
【0010】
カバー部を把持部側に移動させることで、ローラを突出させる薬剤塗布部を備えたことにより、通常の孫の手として背中を掻くことができ、さらには、薬剤を塗布する際も衣服を汚すことなく衛生的で効率よく塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の薬剤塗布式孫の手の全体斜視図である。
【
図2】カバー部をスライドさせた状態の全体斜視図である。
【
図4】カバー部をスライドさせた状態の断面図である。
【
図5】カバー部をさらにスライドさせた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の薬剤塗布式孫の手は、通常の孫の手として背中を掻くことができ、さらには、薬剤を塗布する際も衣服を汚すことなく衛生的で効率よく塗布することができることを特徴とする。
以下、本発明の薬剤塗布式孫の手における実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図示する薬剤塗布式孫の手1は、長尺平板上の本体部11と、本体部11の一端に装着された把持部12と、本体部11の他端に形成された掻部13とで構成される孫の手本体10と、前記本体部11に摺動自在に配置されるカバー部20と、かかるカバー部20を摺動させる操作部21と、前記カバー部20内に収容された、カバー部20を把持部12側に移動させることで、ローラ31を突出させる薬剤塗布部30を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記孫の手本体10を構成する長尺平板状の本体部11と、本体部11の他端(先端)に一連に形成された掻部13とは、製造コストと軽量化、また適宜強度を考慮し、プラスチック等の合成樹脂で形成することが望ましい。また本体部11の一端に装着された把持部12は、安全性や操作性を考慮して発砲ゴムにて形成されている。
【0015】
また、前記孫の手本体10の本体部11には、摺動自在に配置されるカバー部20が装着されている。カバー部20は、側面視略三角形状を呈しており、先方の嵩高部22には掻部13が配置されており、基部23にはカバー部20を摺動させる操作部21が固定されている。この操作部21を操作することにより、カバー部20を水平方向にスライドさせることができる。なお、前記カバー部20と操作部21は、前述の孫の手本体10と同様に、プラスチック等の合成樹脂で形成されている。
【0016】
また特に、前記カバー部20の内部には薬剤塗布部30が配設されている。薬剤塗布部30は、基端32を本体部11に固定した屈曲部33を備える板バネ部31と、板バネ部31の先端34に装着されたローラ部35とで構成されている。
【0017】
前記ローラ部35は、コ字状の受け台36と、受け台36の間に挿通される枢軸37と、枢軸37の周囲に回転自在に装着されているローラ38とで構成されている。前記受け台36と枢軸37はプラスチック等の合成樹脂で形成することが望ましく、ローラ38は、塗布する薬剤が付着しやすいゴム部材で形成することがさらに望ましい。
【0018】
また前記カバー部20内には、カバー部20を把持部12側に移動させることで、ローラ38を突出させる薬剤塗布部30が収容されている。前記薬剤塗布部30は、基端32を本体部11に固定した、屈曲部33を備える板バネ部31と、板バネ部31の先端部34に装着されたローラ部35とで構成されている。また、カバー部20の内面であって、板バネ部31の屈曲部33近傍には、常時、板バネ部31の上昇方向への付勢を抑止する突状部24が装着されている。
【0019】
前記薬剤塗布部30を上記構造とすることで、
図1乃至
図5に示すように、カバー部20の嵩高部22を掻部13側に配置させた状態から、操作部21を操作してカバー部20を把持部12側にスライドさせることにより、板バネ部31の上昇方向への付勢が解除され、
図2及び
図5に示すように、ローラ38を掻部13より上部に突出させることができる。そのため、薬剤を塗布したローラ38部分を衣服に付着させることなく、任意の箇所に薬剤を塗布することができる。
【0020】
また他の好適例として、前記ローラ部35のローラ38を着脱自在に装着した。
図6及び
図7に示すように、受け台36から枢軸37を抜き出し、枢軸37からローラ38を取り外すことができる。
【0021】
前記ローラ38を着脱自在に装着とすることで、ローラ38やローラ部35の掃除が可能となり、衛生的に使用することができる。
【0022】
またその他の好適例として、前記本体部11に、摺動させたカバー部20を抑止するストッパ14を設置した。ストッパ14を設置したことにより、カバー部20のスライド操作の利便性を高めることができる。
【0023】
次に、本発明の薬剤塗布式孫の手の作用動作を
図3乃至
図5面に基づいて説明する。
図3は、カバー部20の嵩高部22を掻部13側に配置させた状態である。この状態で、バネ部31は上昇方向への付勢力が突状部24にて抑止されている。
【0024】
上記状態から
図4に示すように、操作部21を操作してカバー部20を把持部12側にスライドさせる。すると突状部24にて抑止されバネ部31の上昇方向への抑止力は徐々に解除され、ローラ部35は少しずつ上昇される。
【0025】
さらに
図5に示すように、操作部21を操作してカバー部20を把持部12側にスライドさせると、板バネ部31の上昇方向への抑止が解除され、ローラ38を掻部13より上部に突出させることができる。そのことにより、ローラ38を衣服に付着させることなく、任意の箇所に薬剤を塗布することが可能となる。
【0026】
次に、本発明の薬剤塗布式孫の手の使用方法を
図8及び
図9面に基づいて説明する。
先ず
図8に示すように、カバー部20の嵩高部22を掻部13側に配置させた状態で、市販の孫の手を使用するように掻部13にて背中2を掻く。
【0027】
次に
図9に示すように、カバー部20スライドさせローラ部35を突出させる。この状態で把持部12を操作し上下動させる。そのことにより、薬剤が付着されたローラ38にて背中2に薬剤を塗布することができる。
【0028】
上述の如く、本発明の薬剤塗布式孫の手によれば、通常の孫の手として背中を掻くことができ、さらには、皮膚に薬剤を塗布する際も衣服を汚すことなく衛生的で効率よく塗布することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 薬剤塗布式孫の手
2 背中
10 孫の手本体
11 本体部
12 把持部
13 掻部
14 ストッパ
20 カバー部
21 操作部
22 嵩高部
23 基部
24 突状部
30 薬剤塗布部
31 板バネ部
32 基端
33 屈曲部
34 先端部
35 ローラ部
36 受け台
37 枢軸
38 ローラ