▶ 株式会社松浦機械製作所の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013305
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/268 20170101AFI20230119BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20230119BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230119BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20230119BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230119BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20230119BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20230119BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20230119BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20230119BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20230119BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20230119BHJP
B22F 12/49 20210101ALI20230119BHJP
【FI】
B29C64/268
B29C64/153
B33Y30/00
B29C64/393
B33Y50/02
B23K26/21 Z
B23K26/34
B23K26/082
B22F3/105
B22F3/16
B22F10/28
B22F12/49
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117380
(22)【出願日】2021-07-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000146087
【氏名又は名称】株式会社松浦機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】天谷 浩一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光慶
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔太
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA81
4E168CB04
4E168EA15
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL45
4F213WL76
4F213WL80
4F213WL82
4F213WL85
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
【課題】複数個のガルバノスキャナーをテーブル面の中心位置を基準として可能な限りコンパクトな状態にて配置を実現すると共に、均一な照射を実現し得るような三次元造形装置の構成の提供。
【解決手段】
複数個のガルバノスキャナー3を、隣接し合う長手方向を逆方向として平行に設定し、テーブル4の面の中心位置Pから前記平行方向と直交する方向に延設された直線Lに対し、第2ミラー32の回動面が所定の距離の範囲内となるように配列するか、又は複数個のガルバノスキャナー3を、隣接し合う長手方向が同一方向となるように設定し、前記中心位置Pと、当該位置Pからガルバノスキャナー3の長手方向の距離の1/2の距離の範囲内にある位置から前記平行方向と直交する直線Lに対し、第2ミラー32の回動面が所定の距離の範囲内であるように配列することによって前記課題を達成する三次元造形装置。
【選択図】
図3(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向に即して平行であると共に、隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を逆方向に設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル面の中心位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、前記先端側から前記長手方向と直交状態にて突設されている第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおける回動面及び当該回動面の回動中心軸と直交する方向の端部につき、前記平行方向に即して、前記直線と重複する状態にて配列するか、又は前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列するか、又は前記先端側領域と共に、前記直線に対し、前記後端側領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置。
【請求項2】
2個、又は4個、又は6個のガルバノスキャナーを前記中心位置を基準として点対称に配置するか、若しくは3個又は5個のガルバノスキャナーのうちの1個を前記中心位置上に配置し、残2個又は残4個のガルバノスキャナーを前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線を基準としてそれぞれ線対称に配置していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形装置。
【請求項3】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向に即して平行であると共に、隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を同一方向に設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、前記先端側から前記長手方向と直交状態にて突設されている第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおける回動面及び当該回動面の回動中心軸と直交する方向の端部につき、前記平行方向に即して、前記直線と重複する状態にて配列するか、又は前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列するか、又は前記先端側領域と共に、前記直線に対し、前記後端側領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置。
【請求項4】
ガルバノスキャナーを2個、又は3個、又は4個、又は5個、又は6個配置していることを特徴とする請求項3記載の三次元造形装置。
【請求項5】
前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線上に1個のガルバノスキャナーを配置していることを特徴としている請求項1、2の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項6】
同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動面を、最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線に近接する状態にて配列していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項7】
隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーを、平行方向に即して同一位置に配列し、かつ相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項8】
回動中心軸と直交する方向の幅が50mmである各第2ミラーに対し、回動中心軸を中心位置として水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビームを反射する第2ミラーの最小の傾斜角度を34°とした場合に、各第2ミラーの回動中心軸間の距離が45mmであることを特徴とする請求項7記載の三次元造形装置。
【請求項9】
隣り合う各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動方向を、相互に反対方向に設定した上で、相互に向き合わず、かつ前記平行方向に即して異なる位置に配列していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項10】
異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動面を、最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線に対し、回動中心軸と回動側端部とが反対方向に位置していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項11】
隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーを、平行方向に即して同一位置に配列し、相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする請求項10記載の三次元造形装置。
【請求項12】
回動中心軸と直交する方向の幅が50mmである各第2ミラーに対し、回動中心軸を中心位置として水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビームを反射する第2ミラーの最小の傾斜角度を34°とした場合に、双方の第2ミラーにおける回動中心軸の距離が水平方向に即して34mmであることを特徴とする請求項11記載の三次元造形装置。
【請求項13】
異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーを、平行方向に即して異なる位置にて配列していることを特徴とする請求項10記載の三次元造形装置。
【請求項14】
各ガルバノスキャナーの長手方向を、前記平行方向と直交する直線に近づくにしたがって上向きとする傾斜状態に配置し、第1ミラーの回動中心軸を当該傾斜角度に即して傾斜し、かつ第1ミラーがレーザビーム又は電子ビームを水平方向に反射していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項15】
各ガルバノスキャナーを、水平方向に対し、前記平行方向と直交する直線に沿って配置し、第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜状態に配置すると共に、第1ミラーの回動中心軸を当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設置することによって、第1ミラーがレーザビーム又は電子ビームを前記傾斜方向に反射しており、かつ隣り合うガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動方向を反対方向に設定していることを特徴とする請求項1、2、3、4の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項16】
請求項14記載の傾斜状態の配置、及び請求項15記載の傾斜状態の配置の双方を採用し、かつ第1ミラーの回動中心軸を鉛直方向に設定していることを特徴とする三次元造形装置。
【請求項17】
各第2ミラーの反射の中心位置が、回動中心軸及びその近傍であり、かつ各第2ミラーの反射の領域が、回動段階における上端近傍及び下端近傍の範囲であることを特徴とする請求項1、2、3、4の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックフォーカスレンズを透過して順次集束するレーザビーム又は電子ビームを、二次元方向に走査するガルバノスキャナーを複数個採用している三次元造形装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
テーブル面上に積層した粉末層5に対するレーザビーム又は電子ビームの照射によって焼結面を形成する三次元造形においては、焦点距離を調整し得るダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームをガルバノスキャナーによって焼結面又はその近傍に集束するような走査(スキャニング)が行われている。
【0003】
前記走査を実現するガルバノスキャナーを、2個又は4個採用することによって効率的な走査を実現する三次元造形方法は、特許文献1記載の発明(以下「先願発明1」と称する。)として開示されている。
【0004】
しかも、先願発明1においては、水平方向にて向かい合う位置にある第2ミラーにおける反射位置の距離を150mm以下又は100mm以下とすることを要件としており、2個又は4個のガルバノスキャナーをコンパクトな配置とする説明が行われている。
【0005】
しかしながら、第2ミラーにおいて、回動中心軸と直交する方向の幅は必ずしも一定ではなく、如何なる設計幅の場合に150mm以下又は100mm以下とすることが可能であるかは全く明らかにされていない。
【0006】
尤も、上記150mm以下又は100mm以下の趣旨は、技術常識の範囲内にある設計幅の場合に成立するという趣旨かもしれないが、どうして150mm以下又は100mm以下という最大値が採用可能であるかの根拠は、全く不明である。
【0007】
したがって、先願発明1においては、第2ミラーの回動中心軸と直交する方向の設計幅如何に拘らず、ガルバノスキャナーをコンパクトな配置とするような構成を客観的に提示している訳ではない。
【0008】
一般に、複数個の各第2ミラーがテーブル面の中心位置、又は当該中心位置から延設された基準ラインに近いほど均一な照射を実現することができる。
【0009】
然るに、特許文献1の
図5、6、13を参照するも、第2ミラー(X軸ガルバノミラー32a、42a、52a、62a)は造形テーブル5の中心位置(筐体14、114の中心位置)から離れており、前記中心位置を基準とするコンパクトな配置と均一な照射との両立を可能とするような工夫は行われていない。
【0010】
このように、先願発明1を含む公知技術においては、第2ミラーの回動中心軸と直交する方向の設計幅及びレーザビーム又は電子ビームの反射位置如何に拘らず、テーブル面の中心位置を基準とするコンパクトな配置及び均一な照射との両立を実現するような構成は提唱している訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、複数個のガルバノスキャナーをテーブル面の中心位置を基準として可能な限りコンパクトな状態にて配置を実現すると共に、かつ均一な照射を実現し得るような三次元造形装置の構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するため、本発明の基本構成は、
(1)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向に即して平行であると共に、隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を逆方向に設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル面の中心位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、前記先端側から前記長手方向と直交状態にて突設されている第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおける回動面及び当該回動面の回動中心軸と直交する方向の端部につき、前記平行方向に即して、前記直線と重複する状態にて配列するか、又は前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列するか、又は前記先端側領域と共に、前記直線に対し、前記後端側領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置、
(2)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向に即して平行であると共に、隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を同一方向に設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、前記先端側から前記長手方向と直交状態にて突設されている第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおける回動面及び当該回動面の回動中心軸と直交する方向の端部につき、前記平行方向に即して、前記直線と重複する状態にて配列するか、又は前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列するか、又は前記先端側領域と共に、前記直線に対し、前記後端側領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置、
(3)前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線上に1個のガルバノスキャナーを配置していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
(4)同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動面を、最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線に近接する状態にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
(5)異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動面を、最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線に対し、回動中心軸と回動側端部とが反対方向に位置していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
からなる。
【発明の効果】
【0014】
基本構成(1)においては、隣り合う各ガルバノスキャナーにつき、相互に平行であると共に、長手方向を逆方向に設定した上で、テーブル面の中心位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を基準として第2ミラーの回動面及び前記端部につき、以下の3種類の配列状態を選択可能としている。
【0015】
a.前記直線と重複する状態にて配列
b.前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列
c.前記先端側領域と共に、前記直線に対し、前記後端側領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列
【0016】
前記aの配列の場合には、第2ミラーの回動面が、前記中心位置から設定された前記直線に対し回動中心軸領域の範囲内にあることから、平行方向に即して略均一な照射を実現する一方、各ガルバノスキャナーの長手方向の領域もまた、前記直線に対し所定の距離の範囲内にあり、前記平行方向に即してコンパクトな配列を実現することができる。
【0017】
前記bの配列の場合には、第2ミラーの回動面が前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線から離れていることから、前記aの場合に比し、均一な照射及びコンパクトな構成においてやや劣るが、前記端部が前記直線に近接していることから、前記aの場合に準ずる程度の均一な照射及びコンパクトな配列を実現することができる。
【0018】
前記cの配列の場合においても、第2ミラーにおける回動面が前記先端側領域と共に前記直線に対し、前記後端側領域と反対側の位置にて離れていることから、均一な照射において、前記aの場合に比し劣るが、前記端部が前記直線に近接するように設定していることから、前記aの場合に準ずるような均一な照射を実現することができる一方、各ガルバノスキャナーの長手方向の領域が前記直線と交差していることから、前記aの場合よりも更にコンパクトな配列を実現することができる。
【0019】
このように、前記a、b、cの何れの配列においても、第2ミラーによる均一な照射及び第2ミラーのコンパクトな配列を実現する一方、隣接し合うガルバノスキャナーを逆方向に平行状態に設定することによって、テーブル面のスペースを有効に活用することができる。
【0020】
基本構成(2)においては、隣り合う各ガルバノスキャナーにつき、相互に平行であると共に、長手方向を同一方向に設定した上で、テーブル面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を基準として、各第2ミラーにおける回動面及び回動中心軸と直交する方向の端部につき、以下の3種類の配列状態を選択可能としている。
【0021】
a.前記直線と重複する状態にて配列
b.前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列
c.前記先端側領域と共に、前記直線に対し、前記後端側領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に近接した状態にて配列
【0022】
基本構成(2)における前記直線を延設する位置は、テーブル面の中心位置に限定される訳ではなく、当該中心位置からガルバノスキャナーの前記長手方向の距離の1/2の距離だけ前記平行方向に偏差している。
【0023】
このような延設位置をこのような偏差の領域としたのは、基本構成(2)の場合には、各ガルバノスキャナーが同一方向に平行であることから、テーブル面のスペースを有効に活用する点において、基本構成(1)よりも劣ることから、第2ミラーによる均一な照射と、テーブル面のスペースの有効な活用とを両立させることにある。
【0024】
このような両立に立脚している基本構成(2)は、テーブル面のスペースの有効な活用及び第2ミラーによる均一な照射において、基本構成(1)に比し稍劣るが、偏差の距離がガルバノスキャナーにおける前記長手方向の距離の1/2の距離に限定されるために、均一な照射において大幅に相違する訳ではない。
【0025】
しかも、平行方向におけるコンパクトな配置の点については、基本構成(2)は、基本構成(1)よりも優れている。
【0026】
基本構成(2)における前記a、b、cの各配列による均一な照射の程度及びコンパクトな配列の対比は、基本構成(1)の前記a、b、cの場合と変わりはない。
【0027】
このように、前記a、b、cの何れかの配列に立脚している基本構成(2)においても、第2ミラー32の均一な照射及び第2ミラー32同士のコンパクトな配列を実現する一方、テーブル4の面のスペースを有効に活用し、しかも基本構成(1)よりもガルバノスキャナー3全体の配置についてはコンパクトな配置状態を実現することができる。
【0028】
テーブル面の中心位置及びその近傍は、殆ど大抵の場合、三次元造形が順次継続している領域に該当している。
【0029】
したがって、基本構成(1)及び(2)において、基本構成(3)のように、前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線上に1個のガルバノスキャナーを配置した場合には、当該ガルバノスキャナーは殆ど大抵の場合、順次継続する三次元造形に寄与しており、効率的な造形に寄与することができる。
【0030】
基本構成(1)及び(2)において、基本構成(4)のように、同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動面を、最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線に近接する状態にて配列している場合には、各第2ミラーの回動面間につき、前記直線の方向に即した距離は僅少であって、前記直線の方向に即してコンパクトな構成を実現することができる。
【0031】
特に、上記僅少状態によって、各第2ミラー同士が相互に向き合う実施形態においても、上記近接状態によって、各第2ミラーの回動面は相互に接触せずに、安定した回動を実現することができる。
【0032】
基本構成(1)及び(2)において、基本構成(5)のように、異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーを、平行方向に即して同一位置に配列している場合には、各第2ミラーの回動面の端部は、最小の傾斜角度の場合には、隣り合っているガルバノスキャナーが存在する領域まで回動面の端部に及んでいることから、前記直線方向において基本構成(4)の場合よりも、更にコンパクトな構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】基本構成(1)に立脚している実施例1の平面図であって、(a)は2個の場合を示し、(b)は3個の場合を示し、(c)は4個の場合を示し、(d)は5個の場合を示し、(e)は6個の場合を示す。 尚、(b)、(d)は、基本構成(3)の特徴点を示す。 更には、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図2】基本構成(2)に立脚している実施例2の平面図であって、(a)は2個の場合を示し、(b)は3個の場合を示し、(c)は4個の場合を示し、(d)は5個の場合を示し、(e)は6個の場合を示す。 尚、(b)、(d)は、基本構成(3)の特徴点を示す。 更には、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、中心位置と当該直線との平行方向に沿った距離を示す。
【
図3(a)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記aの配列を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(b)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記bの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(c)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(d)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、一方側のガルバノスキャナーにつき、前記bの配置を採用し、他方側のガルバノスキャナーにつき、前記cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図4(a)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、前記aの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、中心位置と当該直線との平行方向に沿った距離を示す。
【
図4(b)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、bの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、中心位置と当該直線との平行方向に沿った距離を示す。
【
図4(c)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、中心位置と当該直線との平行方向に沿った距離を示す。
【
図4(d)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、一方側のガルバノスキャナーにつき、前記bの配置を採用し、他方側のガルバノスキャナーにつき、前記cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、中心位置と当該直線との平行方向に沿った距離を示す。
【
図5】基本構成(4)の特徴点を示す平面図であり、(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、
図3(a)、
図3(b)、
図4(c)、
図4(d)に対応している。 尚、点線Eは、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)及び
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)の直線Dに対し平行方向に延設された直線を示す。
【
図6】基本構成(5)の特徴点を示す平面図であり、(a)、(b)、(c)は、それぞれ
図3(a)、
図3(d)、
図4(c)に対応している。 尚、点線Eは、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)及び
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)の直線Dに対し平行方向に延設された直線を示す。
【
図7】異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーを、平行方向に即して異なる位置にて配列している実施形態を示す平面図及び側面図であり、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。 尚、(a)、(b)の各平面図の直線L上における両側方向の矢印は、下側の側面図が直線Lにおける側面視であることを示す。
【
図8】各第2ミラーの反射位置が回動中心軸及びその近傍であることを特徴とする実施形態に関する側面図である。
【
図9】各ガルバノスキャナーが水平方向に対し傾斜している実施形態を示しており、(a)は、長手方向が前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する直線に近づくに従って、上向きとする傾斜状態に配置している場合を示す長手方向の側面図であり、(b)は、各ガルバノスキャナーを、水平方向に対し、前記平行方向と直交する直線に沿って、第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜角度に配置し、かつ隣り合うガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動方向を反対方向に設定している場合を示す長手方向と直交する方向の側面図であり、(c)は、(a)のようにガルバノスキャナーの長手方向を上向きに傾斜状態に配置すると共に、(b)の場合と同様に第2ミラーの突設方向を上向きとする傾斜状態に配置している実施形態における長手方向及び当該長手方向に直交する方向の側面図を示す。 尚、
図9(a)における両側方向の矢印は、第1ミラーが上向きの傾斜方向に進行するレーザビーム又は電子ビームを水平方向に反射している状態を示す。
【
図10】
図6に示す基本構成(5)に立脚した上で、2個の第2ミラー同士の回動中心軸の中央位置の距離を算定するための模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
基本構成(1)は、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)に示すように、粉末を走行を介してテーブル4上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査するガルバノスキャナー3を複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とする長手方向に即して平行であると共に、隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を逆方向に設定しており、各ガルバノスキャナー3においてテーブル4の面の中心位置Pから前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線Lに関し、前記先端側から前記長手方向と直交状態にて突設されている第2ミラー32を、各第2ミラー32の回動中心軸30を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラー32における回動面及び当該回動面の回動中心軸30と直交する方向の端部につき、前記平行方向に即して、前記直線Lと重複する状態にて配列するか、又は前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線Lから離れ、かつ前記端部が前記直線Lに近接した状態にて配列するか、又は前記先端側領域と共に、前記直線Lに対し、前記後端側領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線Lに近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置である。
【0035】
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)に示すように、基本構成(1)においては、各ガルバノスキャナー3につき、前記a、b、cによる3個の配置を選択することができるが、何れの配置の場合においても、第2ミラー32による均一な照射を実現すると共に、第2ミラー32同士の間隔をコンパクトの配置する一方、前記平行方向に即してテーブル4の面のスペースを有効に活用していることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0036】
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)は、隣り合う各ガルバノスキャナー3を2個の単位とする構成に立脚しているが、このような単位の場合には、各第2ミラー32の回動方向を逆方向に設定した上で、第2ミラー32の照射領域を適切に配分し得ることを根拠としている。
【0037】
但し、このように、隣り合う2個の単位から外れたガルバノスキャナー3を採用することによって、必要かつ十分な照射領域を確保する構成もまた当然採用可能であり、この点については、基本構成(3)に即して後述する通りである。
【0038】
基本構成(2)は、
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、粉末を走行を介してテーブル4上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査するガルバノスキャナー3を複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とする長手方向に即して平行であると共に、隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を同一方向に設定しており、各ガルバノスキャナー3においてテーブル4の面の中心位置P及び当該中心位置Pに対しレーザビーム又は電子ビーム7の発振源1の後端から第1ミラー31の回動領域に至るまでの距離の1/2の距離だけ前記平行方向に即して偏差している位置との間の領域から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線Lに関し、前記先端側から前記長手方向と直交状態にて突設されている第2ミラー32を、各第2ミラー32の回動中心軸30を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラー32における回動面及び当該回動面の回動中心軸30と直交する方向の端部につき、前記平行方向に即して、前記直線Lと重複する状態にて配列するか、又は前記先端側領域及び後端側領域と共に前記直線Lから離れ、かつ前記端部が前記直線Lに近接した状態にて配列するか、又は前記先端側領域と共に、前記直線Lに対し、前記後端側領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線Lに近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置である。
【0039】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、基本構成(4)においても、各ガルバノスキャナー3につき、前記a、b、cによる3個の配置を選択することができるが、何れの配置の場合においても、第2ミラー32による均一な照射及び第2ミラー32同士のコンパクトな配置を実現する一方、テーブル4の面のスペースを有効に活用し得ること、更にはガルバノスキャナー3全体につき、基本構成(1)の場合よりも更にコンパクトな配置状態を実現できることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0040】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、基本構成(2)においても、隣り合う各ガルバノスキャナー3を2個の単位とする構成を示すが、このような2個の単位の構成を採用する根拠については、基本構成(1)の場合と同様である。
但し、このように、隣り合う2個の単位から外れたガルバノスキャナー3を採用することによって、必要かつ十分な照射領域を確保する構成もまた当然採用可能であり、この点については、基本構成(3)に即して後述する通りである。
【0041】
基本構成(3)は、後述する実施例1の
図1(b)、(d)、及び実施例2の
図2(b)、(d)に示すように、前記中心位置Pから前記平行方向にて延設された直線L上に1個のガルバノスキャナー3を配置していることを特徴としている。
【0042】
このような特徴点による効率的な三次元造形の実現については、既に効果の項において指摘した通りである。
【0043】
図1(b)、(d)及び
図2(b)、(d)において、テーブル4の面の中心位置Pを通過する点線による直線D上のガルバノスキャナー3は、隣り合う各ガルバノスキャナー3の2個毎の単位から外れているが、単独のガルバノスキャナー3でありながら、基本構成(3)の特徴点を実現するガルバノスキャナー3は効率的な三次元造形に重要な機能を発揮している。
但し、2個の単位から外れたガルバノスキャナー3は、基本構成(3)のように、直線D上に配置される場合だけではなく、直線Dから離れ、かつ他のガルバノスキャナー3が配置された端部又は当該端部と直線Dとの間の中途部位と配置することができる。
【0044】
基本構成(4)は、
図5(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、基本構成(1)及び(3)において、同一の高さ位置にて隣り合う各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32の回動面が、最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線Lに近接する状態にて配列されていることを特徴としている。
【0045】
前記特徴点によって、基本構成(4)においては、前記直線Lの方向に即して隣り合う各ガルバノスキャナー3につきコンパクトな配置状態を実現することができ、この点については、既に効果の項において説明した通りである。
【0046】
基本構成(5)は、
図6(a)、(b)、(c)に示すように、基本構成(1)及び(2)において、異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32の回動面を、最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線Dに対し、回動中心軸30と回動側端部とが反対方向に位置していることを特徴としている。
【0047】
このような特徴点によって、基本構成(5)においては、各第2ミラー32の回動面が最小の傾斜角度の場合に隣り合うガルバノスキャナー3が存在する領域まで及ぶことによって、前記直線Dの方向において基本構成(4)よりも更にコンパクトな構成を実現することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0048】
基本構成(4)、(5)においては、
図3(a)、
図3(d)、
図4(a)、(d)、
図5(d)、
図6(a)、(b)、(c)に示すように、隣り合っている各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を、平行方向に即して同一位置に配列し、かつ相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする実施形態を選択し、かつ採用することが可能であると共に、
図3(b)、
図3(c)、
図4(b)、(c)、
図5(b)、(c)、
図7(a)、(b)に示すように、隣り合う各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を、相互に反対方向の回動方向を設定した上で、相互に向き合わず、かつ前記平行方向に即して異なる位置に配列していることを特徴とする実施形態を選択し、かつ採用することができる。
【0049】
前記各実施形態におけるレーザビーム又は電子ビーム7の粉末層5に対する照射によって、焼結面6の形成に際し、各第2ミラー32の機能を同等に分担している点において共通する一方、各ガルバノスキャナー3のコンパクトな配置状態においても同等であり、相互に相違する訳ではない。
【0050】
通常、第2ミラー32における回動中心角度は、水平方向に対する45°であって、回動の振幅は、±11°である。
【0051】
したがって、最小の傾斜角度は、45°-11°=34°である。
【0052】
前記最小の傾斜角度に即するならば、隣り合うガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を相互に向かい合う状態に配列している実施形態の場合に、第2ミラー32の回動中心軸30と直交する方向の幅が50mmの場合には、当該傾斜角度の回動方向の幅は、
50mm×cos34°≒50mm×0.829≒41.5mm
であることから、3.5mmの余裕幅を考慮し、回動中心軸30の距離については、45mmに設定することができる。
【0053】
これに対し、
図6に示す基本構成(5)の場合には、上記実施形態よりも更に前記直線Dの方向において、更にコンパクトな構成を実現することができる。
【0054】
具体的に説明するに、回動段階において上端から下端に至るまでの幅を50mmとする第2ミラー32を有する2個のガルバノスキャナー3を採用し、かつ各回動中心軸30の中央位置をQとして水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビーム7を反射した場合に、双方の第2ミラー32間における回動中心軸30の中央位置Qの距離の最小値の距離において採用し得る最小値につき、
図10に即して、以下の通り明らかにする。
【0055】
図10に示すように、上側の第2ミラー32に対し、水平方向のレーザビーム又は電子ビーム7が入射し、かつ当該第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をαとし、下側の第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をβとし、かつ上側の第2ミラー32の下端が当該ミラーを反射したレーザビーム又は電子ビーム7に当接する場合の上側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qと下側の第2ミラー32の前記下端の位置との水平方向の距離をxとし、垂直方向の距離をyとし、各第2ミラー32の上側端と下側端との距離を2Lとし、かつ反射したレーザビーム又は電子ビーム7が下側の第2ミラー32の下端と当接するに至るまでの透過距離をaとした場合には、
【数1】
【数2】
が成立する。
【0056】
ここで、上側の第2ミラー32が最大の傾斜角度γ
1に至った場合においても、上側の第2ミラー32の下端と下側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qの高さ位置が同一であり、しかも
図10に示すような当接状態の場合には、上側の第2ミラー32の下端が下側の第2ミラー32の回動面に衝突することはあり得ない。
【0057】
上側の第2ミラー32が前記要件である最小の傾斜角度γ
2であり、かつ下側の第2ミラー32の傾斜角度がβを維持している場合に、前記高さ位置が同一である場合には、
図10によって、
【数3】
であることから、
【数4】
が成立する。
【0058】
レーザビーム又は電子ビーム7が上側の第2ミラー32から反射して、下側の第2ミラー32の下端に当接するに至る距離aが最大値を呈する場合には、下側の第2ミラー32が上側の第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7を最も遮断し難い状態に至る寸前の事態に該当する。
【0059】
前記aが最大値であるためには、
β=最大の傾斜角度γ
1
の成立を必要とし、結局、
【数5】
を得ることができる。
【0060】
基本構成(2)のように、上側の第1ミラー31の傾斜角度が最小値γ
2であり、かつ前記のように、
β=γ
1
である場合には、
【数6】
が成立する。
【0061】
一般に、通常γ
1=56°、γ
2=34°であることから、
【数7】
という近似式が成立する。
【0062】
回動段階における上端と下端の幅が2L=50mmの場合、
x≒31.7mm
を得ることができる。
【0063】
したがって、2.3mmの余裕幅を考慮した場合、上側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qと下側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qとの最小距離として、34mmを設定することができる。
【0064】
図10の左側の第2ミラー32に即して説明したように、最小の傾斜角度34°の場合の第2ミラー32の水平方向の片側幅は、
25mm×cos34°=25mm×0.8290≒20.7mm である。
【0065】
したがって、双方の第2ミラー32が最小の傾斜角度を呈した場合の数値が41.4mmであることを考慮するならば、上記34mmの最小距離は、双方の第2ミラー32の一部領域が水平方向角度に至らずに、最小の傾斜角度を呈した場合であっても、水平方向に即して重複し合っていることを明瞭に裏付けている。
尚、上記のx≒1.266Lの近似式が成立する場合には、
【数8】
であることが判明する。
【0066】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)においては、
図8に示すように、各第2ミラー32の反射の中心位置が、回動中心軸30及びその近傍であり、かつ各第2ミラー32の反射の領域が、回動段階における上端近傍及び下端近傍の範囲であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0067】
このような実施形態の場合には、回動中心軸30の幅を更に小さく設定することができ、たとえばレーザビーム又は電子ビーム7のスポット径が20mmであって、2個のガルバノスキャナー3を採用した場合には、前記幅を35mmとし、かつ第2ミラー32の回動中心軸30の距離については、既に説明したように、実際の水平方向に対する傾斜角度の最小値が約34°であることを考慮し、
35mm×cos34°
≒35mm×0.829
=29.0mm
であることから、3mmの余裕幅を考慮し、32mmに設定することも可能となる。
【0068】
即ち、基本構成(4)及び(5)に比し、別の技術的趣旨によるコンパクトな構成を実現することができる。
【0069】
通常、各ガルバノスキャナー3は、高さ方向において水平状態にて配置されている。
但し、基本構成(1)及び(2)は、このような水平状態に限定される訳ではない。
【0070】
即ち、
図9(a)、(b)、(c)に示すように、各ガルバノスキャナー3を、水平方向に対し、傾斜するような実施形態を採用することも可能である。
【0071】
具体的に説明するに、
図9(a)に示すように、各ガルバノスキャナー3の長手方向を、前記平行方向と直交する直線Lに近づくに従って上向きとなるような傾斜状態に配置し、第1ミラー31の回動中心軸30を当該傾斜角度に即して傾斜し、かつ第1ミラー31がレーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に反射していることを特徴とする実施形態、及び
図9(b)に示すように、各ガルバノスキャナー3を、水平方向に対し、前記平行方向と直交する直線Lに沿って配置し、第2ミラー32の突設方向を上向きとするような傾斜状態に配置すると共に、第1ミラー31の回動中心軸30を当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設置することによって、第1ミラー31がレーザビーム又は電子ビーム7を前記傾斜方向に反射しており、かつ隣り合うガルバノスキャナー3における各第2ミラー32の回動方向を反対方向に設定していることを特徴とする実施形態も採用可能である。
【0072】
尚、
図9(a)に示す実施形態の場合には、上向きに傾斜したレーザビーム又は電子ビーム7と第1ミラー31とが水平方向に反射することを必要とすることから、当該
図9(a)に示すように、第1ミラー31の回動中心軸30については、上側に傾斜する方向に進行しているレーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に反射するために、鉛直方向ではなく、
図9(a)に示すように当該方向に対し、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0073】
図9(b)に示す実施形態においては、水平方向に直進し、かつレーザビーム又は電子ビーム7を第2ミラー32が突設された方向に即して上側に傾斜する方向に反射するためには、第1ミラー31の回動中心軸30については、鉛直方向ではなく、当該方向に対し
図9(b)に示すように、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0074】
これに対し、
図9(a)及び
図9(b)の各特徴点の双方を発揮し得るような実施形態を採用した場合には、上側に傾斜する方向にて進行するレーザビーム又は電子ビーム7は
鉛直方向に設定された回転中心軸30を有する第1ミラー31によって、第2ミラー32が突設されている方向の上向き方向に反射することが可能であることから、
図9(c)に示すように、
図9(a)、(b)に示すような傾斜方向に設定する必要はない。
【0075】
図9(c)に示す実施形態は、第1ミラー31の回動中心軸30の設定方法において最もシンプルである。
【0076】
前記各実施形態の場合には、前記平行方向に即して、各ガルバノスキャナー3を更にコンパクトな配置を実現することができる。
【0077】
前記各実施形態の場合には、第2ミラー32のテーブル4の面に対する位置が高くなるが、その結果、粉末層に対する照射角度の変化状態が少ないことに帰する。
【0078】
一般に、三次元造形においては、第2ミラー32による照射の程度を均一状態とするために、第1ミラー31及び第2ミラー32の回動速度のコントロールが行われており、前記照射角度が小さいほど第1ミラー31及び第2ミラー32の回動速度を小さく設定している。
但し、上記設定によるコントロールによって必ずしも均一な照射が保証される訳ではない。
【0079】
このような場合、前記各実施形態の場合には、傾斜角度の変化状態が少ないことから、前記コントロールの精度を改良することができる。
尚、
図9(a)に示す実施形態は、
図9(b)に示す実施形態に比し、コンパクトな構成による効果及び前記コントロールの精度の改善の程度において優れているという評価を行うことができる。
【0080】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)においては、焼結された三次元造形物の表面を切削する切削工具を必要不可欠としていないが、精緻な形状による三次元造形物を実現するために、切削工具を採用する場合が多い。
【0081】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例0082】
実施例1は、
図1(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、基本構成(1)に立脚した上で、2個、又は4個、又は6個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pを基準として点対称に配置するか、若しくは3個又は5個のガルバノスキャナー3のうちの1個を前記中心位置P上に配置し、残2個又は残4個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pから前記平行方向にて延設された直線Lを基準としてそれぞれ線対称に配置していることを特徴としている。
【0083】
このような特徴点によって、実施例1は、基本構成(1)の効果を現実に発揮することができる。
【実施例0084】
実施例2は、
図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、基本構成(2)に立脚した上で、ガルバノスキャナー3を2個、又は3個、又は4個、又は5個、又は6個配置していることを特徴としている。
【0085】
このような特徴点によって、実施例2は、基本構成(2)の効果を現実に発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本願発明は、複数個のガルバノスキャナーをテーブル面の中心位置を基準として、極めてコンパクトな構成を実現し、効率的な焼結面の形成に寄与することを可能とする点において画期的であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0087】
1 レーザビーム又は電子ビームの発振源
2 ダイナミックフォーカスレンズ
3 ガルバノスキャナー
30 回動中心軸
31 第1ミラー
32 第2ミラー
4 テーブル
7 レーザビーム又は電子ビーム
P テーブル面の中心位置
D テーブル面の中心位置からガルバノスキャナーの長手方向に即して平行方向に延設された点線による直線
L 前記平行方向に直交する方向にてテーブル面の中心位置から延設された直線
Q 回動中心軸30の中央位置
【手続補正書】
【提出日】2021-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査する複数個のガルバノスキャナーを備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を逆方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル表面の中心位置から前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、前記先端側から回動中心軸が前記長手方向と直交する方向にて突設されている第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置。
【請求項2】
2個、又は4個、又は6個のガルバノスキャナーを前記中心位置を基準として点対称に配置するか、若しくは3個又は5個のガルバノスキャナーのうちの1個を前記中心位置上に配置し、残2個又は残4個のガルバノスキャナーを前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線を基準としてそれぞれ線対称に配置していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形装置。
【請求項3】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査する複数個のガルバノスキャナーを備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を同一方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対して、レーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/4の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、前記先端側から回動中心軸が前記長手方向と直交する方向にて突設されている第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置。
【請求項4】
ガルバノスキャナーを2個、又は3個、又は4個、又は5個、又は6個配置していることを特徴とする請求項3記載の三次元造形装置。
【請求項5】
前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線上に1個のガルバノスキャナーを配置していることを特徴としている請求項1、2の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項6】
同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記の平行である方向に設定された直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項7】
隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーを、平行方向に即して同一位置に配列し、かつ相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項8】
回動中心軸と直交する方向の幅が50mmである各第2ミラーに対し、回動中心軸を中心位置として水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビームを反射する第2ミラーの前記最小の傾斜角度が34°であり、かつ双方の第2ミラーの回動中心軸間の距離が45mmであることを特徴とする請求項7記載の三次元造形装置。
【請求項9】
隣り合う各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーを、前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に設定された前記直線を基準として、相互に反対方向に配列し、かつ相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形装置。
【請求項10】
異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおける前記回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記平行方向に設定された直線に対し、回動中心軸と前記回動する面における前記突設された方向側の端部とが反対側に位置していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項11】
隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーを、平行方向に即して同一位置に配列し、相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする請求項10記載の三次元造形装置。
【請求項12】
回動中心軸と直交する方向の幅が50mmである各第2ミラーに対し、回動中心軸を中心位置として水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビームを反射する第2ミラーの前記最小の傾斜角度が34°であり、かつ双方の第2ミラーにおける回動中心軸の距離が水平方向に即して34mmであることを特徴とする請求項11記載の三次元造形装置。
【請求項13】
異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーを、平行方向に即して異なる位置にて配列していることを特徴とする請求項10記載の三次元造形装置。
【請求項14】
各ガルバノスキャナーの長手方向を、第1ミラーにおける回動中心軸の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置し、第1ミラーの回動中心軸を当該傾斜角度に即して傾斜し、かつ第1ミラーがレーザビーム又は電子ビームを水平方向に反射していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項15】
各ガルバノスキャナーの長手方向を、水平方向に沿って配置し、第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜状態に配置すると共に、第1ミラーの回動中心軸を当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設置することによって、第1ミラーがレーザビーム又は電子ビームを前記傾斜方向に反射しており、かつ隣り合うガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動方向を反対方向に設定していることを特徴とする請求項1、2、3、4の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項16】
ガルバノスキャナーの長手方向を、第1ミラーにおける回動中心軸の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置し、第1ミラーの回動中心軸を鉛直方向に設定し、かつ第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜角度に配置していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックフォーカスレンズを透過して順次集束するレーザビーム又は電子ビームを、二次元方向に走査するガルバノスキャナーを複数個採用している三次元造形装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
テーブル表面上に積層した粉末層5に対するレーザビーム又は電子ビームの照射によって焼結面を形成する三次元造形においては、焦点距離を調整し得るダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームをガルバノスキャナーによって焼結面又はその近傍に集束するような走査(スキャニング)が行われている。
【0003】
前記走査を実現するガルバノスキャナーを、2個又は4個採用することによって効率的な走査を実現する三次元造形方法は、特許文献1記載の発明(以下「先願発明1」と称する。)として開示されている。
【0004】
しかも、先願発明1においては、水平方向にて向かい合う位置にある第2ミラーにおける反射位置の距離を150mm以下又は100mm以下とすることを要件としており、2個又は4個のガルバノスキャナーをコンパクトな配置とする説明が行われている。
【0005】
しかしながら、第2ミラーにおいて、回動中心軸と直交する方向の幅は必ずしも一定ではなく、如何なる設計幅の場合に150mm以下又は100mm以下とすることが可能であるかは全く明らかにされていない。
【0006】
尤も、上記150mm以下又は100mm以下の趣旨は、技術常識の範囲内にある設計幅の場合に成立するという趣旨かもしれないが、どうして150mm以下又は100mm以下という最大値が採用可能であるかの根拠は、全く不明である。
【0007】
したがって、先願発明1においては、第2ミラーの回動中心軸と直交する方向の設計幅如何に拘らず、ガルバノスキャナーをコンパクトな配置とするような構成を客観的に提示している訳ではない。
【0008】
一般に、複数個の各第2ミラーがテーブル表面の中心位置、又は当該中心位置から延設された基準ラインに近いほど均一な照射を実現することができる。
【0009】
然るに、特許文献1の
図5、6、13を参照するも、第2ミラー(X軸ガルバノミラー32a、42a、52a、62a)は造形テーブル5の中心位置(筐体14、114の中心位置)から離れており、前記中心位置を基準とするコンパクトな配置と均一な照射との両立を可能とするような工夫は行われていない。
【0010】
このように、先願発明1を含む公知技術においては、第2ミラーの回動中心軸と直交する方向の設計幅及びレーザビーム又は電子ビームの反射位置如何に拘らず、テーブル表面の中心位置を基準とするコンパクトな配置及び均一な照射との両立を実現するような構成は提唱している訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、複数個のガルバノスキャナーをテーブル表面の中心位置を基準として可能な限りコンパクトな状態にて配置を実現すると共に、かつ均一な照射を実現し得るような三次元造形装置の構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するため、本発明の基本構成は、
(1)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査する複数個のガルバノスキャナーを備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を逆方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル表面の中心位置から前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、前記先端側から回動中心軸が前記長手方向と直交する方向にて突設されている第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置、
(2)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査する複数個のガルバノスキャナーを備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を同一方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対して、レーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/4の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、前記先端側から回動中心軸が前記長手方向と直交する方向にて突設されている第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置、
(3)前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線上に1個のガルバノスキャナーを配置していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
(4)同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記の平行である方向に設定された直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
(5)異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおける前記回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記平行方向に設定された直線に対し、回動中心軸と前記回動する面における前記突設された方向側の端部とが反対側に位置していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
からなる。
【発明の効果】
【0014】
基本構成(1)においては、隣り合う各ガルバノスキャナーにつき、相互に平行であると共に、長手方向を逆方向のみに設定した上で、テーブル表面の中心位置から前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を基準として第2ミラーの回動面及び前記端部につき、以下の3種類の配列状態を選択可能としている。
【0015】
a.前記直線を両側から挟む状態にて配列
b.前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列
c.前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列
【0016】
前記aの配列の場合には、第2ミラーの回動面が、前記中心位置から設定された前記直線に対し回動中心軸領域の範囲内にあることから、平行方向に即して略均一な照射を実現する一方、各ガルバノスキャナーの長手方向の領域もまた、前記直線に対し所定の距離の範囲内にあり、前記平行方向に即してコンパクトな配列を実現することができる。
【0017】
前記bの配列の場合には、第2ミラーの回動面が前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れていることから、前記aの場合に比し、均一な照射及びコンパクトな構成においてやや劣るが、前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸長さの1/4よりも小さい距離にて近接していることから、前記aの場合に準ずる程度の均一な照射及びコンパクトな配列を実現することができる。
【0018】
前記cの配列の場合においても、第2ミラーにおける回動面が前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側の位置にて離れていることから、均一な照射において、前記aの場合に比し劣るが、前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸長さの1/4よりも小さい距離にて近接するように設定していることから、前記aの場合に準ずるような均一な照射を実現することができる一方、各ガルバノスキャナーの長手方向の領域が前記直線と交差していることから、前記aの場合よりも更にコンパクトな配列を実現することができる。
【0019】
このように、前記a、b、cの何れの配列においても、第2ミラーによる均一な照射及び第2ミラーのコンパクトな配列を実現する一方、隣接し合うガルバノスキャナーを逆方向に平行状態に設定することによって、テーブル表面のスペースを有効に活用することができる。
【0020】
基本構成(2)においては、隣り合う各ガルバノスキャナーにつき、相互に平行であると共に、長手方向を同一方向に設定した上で、テーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/4の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を基準として、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、以下の3種類の配列状態を選択可能としている。
【0021】
a.前記直線を両側から挟む状態にて配列
b.前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列
c.前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列
【0022】
基本構成(2)における前記直線を延設する位置は、テーブル表面の中心位置に限定される訳ではなく、当該中心位置からガルバノスキャナーの前記長手方向の距離の1/4の距離だけ前記の平行である方向に偏差している。
【0023】
このような延設位置をこのような偏差の領域としたのは、基本構成(2)の場合には、各ガルバノスキャナーが同一方向に平行であることから、テーブル表面のスペースを有効に活用する点において、基本構成(1)よりも劣ることから、第2ミラーによる均一な照射と、テーブル表面のスペースの有効な活用とを両立させることにある。
【0024】
このような両立に立脚している基本構成(2)は、テーブル表面のスペースの有効な活用及び第2ミラーによる均一な照射において、基本構成(1)に比し稍劣るが、偏差の距離がガルバノスキャナーにおける前記長手方向の距離の1/4の距離に限定されるために、均一な照射において大幅に相違する訳ではない。
【0025】
しかも、平行方向におけるコンパクトな配置の点については、基本構成(2)は、基本構成(1)よりも優れている。
【0026】
基本構成(2)における前記a、b、cの各配列による均一な照射の程度及びコンパクトな配列の対比は、基本構成(1)の前記a、b、cの場合と変わりはない。
【0027】
このように、前記a、b、cの何れかの配列に立脚している基本構成(2)においても、第2ミラー32の均一な照射及び第2ミラー32同士のコンパクトな配列を実現する一方、テーブル4の表面のスペースを有効に活用し、しかも基本構成(1)よりもガルバノスキャナー3全体の配置についてはコンパクトな配置状態を実現することができる。
【0028】
テーブル表面の中心位置及びその近傍は、殆ど大抵の場合、三次元造形が順次継続している領域に該当している。
【0029】
したがって、基本構成(1)及び(2)において、基本構成(3)のように、前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線上に1個のガルバノスキャナーを配置した場合には、当該ガルバノスキャナーは殆ど大抵の場合、順次継続する三次元造形に寄与しており、効率的な造形に寄与することができる。
【0030】
基本構成(1)及び(2)において、基本構成(4)のように、同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記の平行である方向に設定された直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列している場合には、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面間につき、前記直線の方向に即した距離は僅少であって、前記直線の方向に即してコンパクトな構成を実現することができる。
【0031】
特に、上記僅少状態によって、各第2ミラー同士が相互に向き合う実施形態においても、上記近接状態によって、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面は相互に接触せずに、安定した回動を実現することができる。
【0032】
基本構成(1)及び(2)において、基本構成(5)のように、異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーを、平行方向に即して同一位置に配列している場合には、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面の端部は、水平方向を基準として、最小の傾斜角度を形成する場合には、隣り合っているガルバノスキャナーが存在する領域まで回動面の端部に及んでいることから、前記直線方向において基本構成(4)の場合よりも、更にコンパクトな構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】基本構成(1)に立脚している実施例1の平面図であって、(a)は2個の場合を示し、(b)は3個の場合を示し、(c)は4個の場合を示し、(d)は5個の場合を示し、(e)は6個の場合を示す。 尚、(b)、(d)は、基本構成(3)の特徴点を示す。 更には、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図2】基本構成(2)に立脚している実施例2の平面図であって、(a)は2個の場合を示し、(b)は3個の場合を示し、(c)は4個の場合を示し、(d)は5個の場合を示し、(e)は6個の場合を示す。 尚、(b)、(d)は、基本構成(3)の特徴点を示す。 更には、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/4の距離だけ前記
の平行
である方向に即して偏差している位置との間の領域
にて選択された特定の位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、中心位置と当該直線との平行方向に沿った距離を示す。
【
図3(a)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記aの配列を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(b)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記bの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(c)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(d)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、一方側のガルバノスキャナーにつき、前記bの配置を採用し、他方側のガルバノスキャナーにつき、前記cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図4(a)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、前記aの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置及び当該中心位置に対し
てレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/4の距離だけ前記
の平行
である方向に即して偏差している位置
との間の領域にて選択された特定の位置から、前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、
前記中心位置と前記選択された位置との距離を示す。
【
図4(b)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、bの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置及び当該中心位置に対し
てレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/4の距離だけ前記
の平行
である方向に即して偏差している位置
との間の領域にて選択された特定の位置から、前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、
前記中心位置と前記選択された位置との距離を示す。
【
図4(c)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置及び当該中心位置に対し
てレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/4の距離だけ前記
の平行
である方向に即して偏差している位置
との間の領域にて選択された特定の位置から、前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、
前記中心位置と前記選択された位置との距離を示す。
【
図4(d)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、一方側のガルバノスキャナーにつき、前記bの配置を採用し、他方側のガルバノスキャナーにつき、前記cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル
表面の中心位置及び当該中心位置に対し
てレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/4の距離だけ前記
の平行
である方向に即して偏差している位置
との間の領域にて選択された特定の位置から、前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル
表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、
前記中心位置と前記選択された位置との距離を示す。
【
図5】基本構成(4)の特徴点を示す平面図であり、(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、
図3(a)、
図3(b)、
図4(c)、
図4(d)に対応している。 尚、点線Eは、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)及び
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)の直線Dに対し平行方向に延設された直線を示す。
【
図6】基本構成(5)の特徴点を示す平面図であり、(a)、(b)、(c)は、それぞれ
図3(a)、
図3(d)、
図4(c)に対応している。 尚、点線Eは、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)及び
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)の直線Dに対し平行方向に延設された直線を示す。
【
図7】異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーを、平行方向に即して異なる位置にて配列している実施形態を示す平面図及び側面図であり、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。 尚、(a)、(b)の各平面図の直線L上における両側方向の矢印は、下側の側面図が直線Lにおける側面視であることを示す。
【
図8】各ガルバノスキャナー
の構成の一部が水平方向に対し傾斜している実施形態を示しており、(a)は、長手方向
を、第1ミラーにおける回動中心軸の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置している場合を示す長手方向の側面図であり、(b)は、各ガルバノスキャナー
の長手方向を、水平方向に沿って配置し、第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜角度に配置し、かつ隣り合うガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動方向を反対方向に設定している場合を示す長手方向と直交する方向の側面図であり、(c)は、
ガルバノスキャナーの長手方向を、第1ミラーにおける回動中心軸の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置し、第1ミラーの回動中心軸を鉛直方向に設定し、かつ第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜角度に配置した場合の側面図を示す。 尚、
図8(a)における両側方向の矢印は、第1ミラーが上向きの傾斜方向に進行するレーザビーム又は電子ビームを水平方向に反射している状態を示す。
【
図9】
図6に示す基本構成(5)に立脚した上で、2個の第2ミラー同士の回動中心軸の中央位置の距離を算定するための模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
基本構成(1)は、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)に示すように、粉末を走行を介してテーブル4上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査する
複数個のガルバノスキャナー3を備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側と
し、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、
前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を逆方向
のみに設定しており、各ガルバノスキャナー3においてテーブル4の
表面の中心位置Pから前記
の平行
である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線Lに関し、前記先端側から
回動中心軸30が前記長手方向と直交
する方向にて突設されている第2ミラー32を、各第2ミラー32の回動中心軸30を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラー32に各第2ミラー32に
おいて前記反射のために回動
する面及び当該回動
する面において回動中心軸30と直交する方向の
位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線L
を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記
のように第1ミラー31を収容している先端側
の領域及び
前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源1を収容している後端側
の領域と共に前記直線Lから離れ、かつ前記端部が前記直線L
に対し、第2ミラー32の回動中心軸30の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記
のように第1ミラー31を収容している先端側
の全領域と共に、前記直線Lに対し、前記
のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源1を収容している後端側
の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線Lに
対し、第2ミラー32の回動中心軸30の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置である。
【0035】
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)に示すように、基本構成(1)においては、各ガルバノスキャナー3につき、前記a、b、cによる3個の配置を選択することができるが、何れの配置の場合においても、第2ミラー32による均一な照射を実現すると共に、第2ミラー32同士の間隔をコンパクトの配置する一方、前記平行方向に即してテーブル4の
表面のスペースを有効に活用していることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0036】
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)は、隣り合う各ガルバノスキャナー3を2個の単位とする構成に立脚して
おり、かつ隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を逆方向
のみに設定した上で、第2ミラー32の照射領域を適切に配分し得ることを根拠としている。
【0037】
但し、このように、隣り合う2個の単位から外れたガルバノスキャナー3を採用することによって、必要かつ十分な照射領域を確保する構成もまた当然採用可能であり、この点については、基本構成(3)に即して後述する通りである。
【0038】
基本構成(2)は、
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、粉末を走行を介してテーブル4上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査する
複数個のガルバノスキャナー3を備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側と
し、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、
前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を同一方向
のみに設定しており、各ガルバノスキャナー3においてテーブル4の
表面の中心位置P及び当該中心位置Pに対し
てレーザビーム又は電子ビーム7の発振源1の後端から第1ミラー31の回動領域に至るまでの距離の
1/4の距離だけ前記
の平行
である方向に即して偏差している位置との間の領域
にて選択された特定の位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線Lに関し、前記先端側から
回動中心軸30が前記長手方向と直交
する方向にて突設されている第2ミラー32を、各第2ミラー32の回動中心軸30を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラー32に
おいて前記反射のために回動
する面及び当該回動
する面において回動中心軸30と直交する方向の
位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線L
を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記
のように第1ミラー31を収容している先端側
の領域及び
前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源1を収容している後端側
の領域と共に前記直線Lから離れ、かつ前記端部が前記直線Lに
対し、第2ミラー32の回動中心軸30の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記
のように第1ミラー31を収容している先端側
の全領域と共に、前記直線Lに対し、前記
のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源1を収容している後端側
の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線Lに
対し、第2ミラー32の回動中心軸30の長さの1/4よりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置である。
【0039】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、基本構成(4)においても、各ガルバノスキャナー3につき、前記a、b、cによる3個の配置を選択することができるが、何れの配置の場合においても、第2ミラー32による均一な照射及び第2ミラー32同士のコンパクトな配置を実現する一方、テーブル4の
表面のスペースを有効に活用し得ること、更にはガルバノスキャナー3全体につき、基本構成(1)の場合よりも更にコンパクトな配置状態を実現できることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0040】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、基本構成(2)においても、隣り合う各ガルバノスキャナー3を2個の単位とする構成
に立脚しており、かつ隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を同一方向のみに設定しているが、このような2個の単位の構成
の採用
及び前記設定の根拠については、基本構成(1)の場合と同様である。
但し、このように、隣り合う2個の単位から外れたガルバノスキャナー3を採用することによって、必要かつ十分な照射領域を確保する構成もまた当然採用可能であり、この点については、基本構成(3)に即して後述する通りである。
【0041】
基本構成(3)は、後述する実施例1の
図1(b)、(d)、及び実施例2の
図2(b)、(d)に示すように、前記中心位置Pから前記平行方向にて延設された直線L上に1個のガルバノスキャナー3を配置していることを特徴としている。
【0042】
このような特徴点による効率的な三次元造形の実現については、既に効果の項において指摘した通りである。
【0043】
図1(b)、(d)及び
図2(b)、(d)において、テーブル4の
表面の中心位置Pを通過する点線による直線D上のガルバノスキャナー3は、隣り合う各ガルバノスキャナー3の2個毎の単位から外れているが、単独のガルバノスキャナー3でありながら、基本構成(3)の特徴点を実現するガルバノスキャナー3は効率的な三次元造形に重要な機能を発揮している。
但し、2個の単位から外れたガルバノスキャナー3は、基本構成(3)のように、直線D上に配置される場合だけではなく、直線Dから離れ、かつ他のガルバノスキャナー3が配置された端部又は当該端部と直線Dとの間の中途部位と配置することができる。
【0044】
基本構成(4)は、
図5(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、基本構成(1)及び
(2)において、同一の高さ位置にて隣り合
っている各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32
において前記反射のために回動
する面
を、水平方向を基準として最小の傾斜角度
を形成する場合に前記
の平行
である方向に設定された直線
Eに
対し、第2ミラー32の回動中心軸30の長さの1/4よりも小さい距離にて近接
した状態にて配列
していることを特徴としている。
【0045】
前記特徴点によって、基本構成(4)においては、前記直線Lの方向に即して隣り合う各ガルバノスキャナー3につきコンパクトな配置状態を実現することができ、この点については、既に効果の項において説明した通りである。
【0046】
基本構成(5)は、
図6(a)、(b)、(c)に示すように、基本構成(1)及び(2)において、異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32
における前記回動
する面を、
水平方向を基準として最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線Dに対し、回動中心軸30と
前記回動する面における前記突設された方向側の端部とが反対側に位置していることを特徴としている。
【0047】
このような特徴点によって、基本構成(5)においては、各第2ミラー32の回動面が最小の傾斜角度の場合に隣り合うガルバノスキャナー3が存在する領域まで及ぶことによって、前記直線Dの方向において基本構成(4)よりも更にコンパクトな構成を実現することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0048】
基本構成(4)、(5)においては、
図3(a)、
図3(d)、
図4(a)、
(b)、(c)、
図5(a)、(c)、
図6(a)、(b)、(c)に示すように、隣り合っている各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を、平行方向に即して同一位置に配列し、かつ相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする実施形態を選択し、かつ採用することが可能であると共に、
図3(b)、
図3(c)、
図4(d)、
図5(b)、
図5(d)、
図7(a)、(b)に示すように、隣り合う各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を、
前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に設定された前記直線Lを基準として、相互に反対方向
に配列し、かつ相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする実施形態を選択し、かつ採用することができる。
【0049】
前記各実施形態におけるレーザビーム又は電子ビーム7の粉末層5に対する照射によって、焼結面6の形成に際し、各第2ミラー32の機能を同等に分担している点において共通する一方、各ガルバノスキャナー3のコンパクトな配置状態においても同等であり、相互に相違する訳ではない。
【0050】
通常、第2ミラー32における回動中心角度は、水平方向に対する45°であって、回動の振幅は、±11°である。
【0051】
したがって、最小の傾斜角度は、45°-11°=34°である。
【0052】
前記最小の傾斜角度に即するならば、隣り合うガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を相互に向かい合う状態に配列している実施形態の場合に、第2ミラー32の回動中心軸30と直交する方向の幅が50mmの場合には、当該傾斜角度の回動方向の幅は、
50mm×cos34°≒50mm×0.829≒41.5mm
であることから、3.5mmの余裕幅を考慮し、回動中心軸30の距離については、45mmに設定することができる。
【0053】
これに対し、
図6に示す基本構成(5)の場合には、上記実施形態よりも更に前記直線Dの方向において、更にコンパクトな構成を実現することができる。
【0054】
具体的に説明するに、回動段階において上端から下端に至るまでの幅を50mmとする第2ミラー32を有する2個のガルバノスキャナー3を採用し、かつ各回動中心軸30の中央位置をQとして水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビーム7を反射した場合に、双方の第2ミラー32間における回動中心軸30の中央位置Qの距離の最小値の距離において採用し得る最小値につき、
図9に即して、以下の通り明らかにする。
【0055】
図9に示すように、上側の第2ミラー32に対し、水平方向のレーザビーム又は電子ビーム7が入射し、かつ当該第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をαとし、下側の第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をβとし、かつ上側の第2ミラー32の下端が当該ミラーを反射したレーザビーム又は電子ビーム7に当接する場合の上側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qと下側の第2ミラー32の前記下端の位置との水平方向の距離をxとし、垂直方向の距離をyとし、各第2ミラー32の上側端と下側端との距離を2Lとし、かつ反射したレーザビーム又は電子ビーム7が下側の第2ミラー32の下端と当接するに至るまでの透過距離をaとした場合には、
【数1】
【数2】
が成立する。
【0056】
ここで、上側の第2ミラー32が最大の傾斜角度γ
1に至った場合においても、上側の第2ミラー32の下端と下側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qの高さ位置が同一であり、しかも
図9に示すような当接状態の場合には、上側の第2ミラー32の下端が下側の第2ミラー32の回動面に衝突することはあり得ない。
【0057】
上側の第2ミラー32が前記要件である最小の傾斜角度γ
2であり、かつ下側の第2ミラー32の傾斜角度がβを維持している場合に、前記高さ位置が同一である場合には、
図9によって、
【数3】
であることから、
【数4】
が成立する。
【0058】
レーザビーム又は電子ビーム7が上側の第2ミラー32から反射して、下側の第2ミラー32の下端に当接するに至る距離aが最大値を呈する場合には、下側の第2ミラー32が上側の第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7を最も遮断し難い状態に至る寸前の事態に該当する。
【0059】
前記aが最大値であるためには、
β=最大の傾斜角度γ
1
の成立を必要とし、結局、
【数5】
を得ることができる。
【0060】
基本構成(2)のように、上側の第1ミラー31の傾斜角度が最小値γ
2であり、かつ前記のように、
β=γ
1
である場合には、
【数6】
が成立する。
【0061】
一般に、通常γ
1=56°、γ
2=34°であることから、
【数7】
という近似式が成立する。
【0062】
回動段階における上端と下端の幅が2L=50mmの場合、
x≒31.7mm
を得ることができる。
【0063】
したがって、2.3mmの余裕幅を考慮した場合、上側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qと下側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qとの最小距離として、34mmを設定することができる。
【0064】
図9の左側の第2ミラー32に即して説明したように、最小の傾斜角度34°の場合の第2ミラー32の水平方向の片側幅は、
25mm×cos34°=25mm×0.8290≒20.7mm である。
【0065】
したがって、双方の第2ミラー32が最小の傾斜角度を呈した場合の数値が41.4mmであることを考慮するならば、上記34mmの最小距離は、双方の第2ミラー32の一部領域が水平方向角度に至らずに、最小の傾斜角度を呈した場合であっても、水平方向に即して重複し合っていることを明瞭に裏付けている。
尚、上記のx≒1.266Lの近似式が成立する場合には、
【数8】
であることが判明する。
【0066】
通常、各ガルバノスキャナー3は、高さ方向において水平状態にて配置されている。
但し、基本構成(1)及び(2)は、このような水平状態に限定される訳ではない。
【0067】
即ち、
図8(a)、(b)、(c)に示すように、各ガルバノスキャナー3を、水平方向に対し、傾斜するような実施形態を採用することも可能である。
【0068】
具体的に説明するに、
図8(a)に示すように、各ガルバノスキャナー3の長手方向を、
第1ミラー31における回動中心軸30の位置に至るまで上向きと
する傾斜状態に配置し、第1ミラー31の回動中心軸30を当該傾斜角度に即して傾斜し、かつ第1ミラー31がレーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に反射していることを特徴とする実施形態、及び
図8(b)に示すように、各ガルバノスキャナー3
の長手方向を、水平方向に沿って配置し、第2ミラー32の突設方向を上向きとするような傾斜状態に配置すると共に、第1ミラー31の回動中心軸30を当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設置することによって、第1ミラー31がレーザビーム又は電子ビーム7を前記傾斜方向に反射しており、かつ隣り合うガルバノスキャナー3における各第2ミラー32の回動方向を反対方向に設定していることを特徴とする実施形態も採用可能である。
【0069】
尚、
図8(a)に示す実施形態の場合には、上向きに傾斜したレーザビーム又は電子ビーム7と第1ミラー31とが水平方向に反射することを必要とすることから、当該
図8(a)に示すように、第1ミラー31の回動中心軸30については、上側に傾斜する方向に進行しているレーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に反射するために、鉛直方向ではなく、
図8(a)に示すように当該方向に対し、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0070】
図8(b)に示す実施形態においては、水平方向に直進し、かつレーザビーム又は電子ビーム7を第2ミラー32が突設された方向に即して上側に傾斜する方向に反射するためには、第1ミラー31の回動中心軸30については、鉛直方向ではなく、当該方向に対し
図8(b)に示すように、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0071】
これに対し、
図8(c)に示すように、ガルバノスキャナー3の長手方向を、第1ミラー31における回動中心軸30の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置し、第1ミラー31の回動中心軸30を鉛直方向に設定し、かつ第2ミラー32の突設方向を上向きとするような傾斜角度に配置していることを特徴とする実施形態を採用した場合には、上側に傾斜する方向にて進行するレーザビーム又は電子ビーム7は鉛直方向に設定された回転中心軸30を有する第1ミラー31によって、第2ミラー32が突設されている方向の上向き方向に反射することが可能であることから、
図8(a)、(b)に示すよう
に、第1ミラー31の回動中心軸30を傾斜方向に設定する必要はない。
【0072】
図8(c)に示す実施形態は、第1ミラー31の回動中心軸30の設定方法において最もシンプルである。
【0073】
図8(a)、(b)、(c)に示す各実施形態の場合には、前記平行方向に即して、各ガルバノスキャナー3を更にコンパクトな配置を実現することができる。
【0074】
前記各実施形態の場合には、第2ミラー32のテーブル4の表面に対する位置が高くなるが、その結果、粉末層に対する照射角度の変化状態が少ないことに帰する。
【0075】
一般に、三次元造形においては、第2ミラー32による照射の程度を均一状態とするために、第1ミラー31及び第2ミラー32の回動速度のコントロールが行われており、前記照射角度が小さいほど第1ミラー31及び第2ミラー32の回動速度を小さく設定している。
但し、上記設定によるコントロールによって必ずしも均一な照射が保証される訳ではない。
【0076】
このような場合、前記各実施形態の場合には、傾斜角度の変化状態が少ないことから、前記コントロールの精度を改良することができる。
尚、
図8(a)に示す実施形態は、
図8(b)に示す実施形態に比し、コンパクトな構成による効果及び前記コントロールの精度の改善の程度において優れているという評価を行うことができる。
【0077】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)においては、焼結された三次元造形物の表面を切削する切削工具を必要不可欠としていないが、精緻な形状による三次元造形物を実現するために、切削工具を採用する場合が多い。
【0078】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例0079】
実施例1は、
図1(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、基本構成(1)に立脚した上で、2個、又は4個、又は6個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pを基準として点対称に配置するか、若しくは3個又は5個のガルバノスキャナー3のうちの1個を前記中心位置P上に配置し、残2個又は残4個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pから前記平行方向にて延設された直線Lを基準としてそれぞれ線対称に配置していることを特徴としている。
【0080】
このような特徴点によって、実施例1は、基本構成(1)の効果を現実に発揮することができる。
【実施例0081】
実施例2は、
図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、基本構成(2)に立脚した上で、ガルバノスキャナー3を2個、又は3個、又は4個、又は5個、又は6個配置していることを特徴としている。
【0082】
このような特徴点によって、実施例2は、基本構成(2)の効果を現実に発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本願発明は、複数個のガルバノスキャナーをテーブル表面の中心位置を基準として、極めてコンパクトな構成を実現し、効率的な焼結面の形成に寄与することを可能とする点において画期的であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0084】
1 レーザビーム又は電子ビームの発振源
2 ダイナミックフォーカスレンズ
3 ガルバノスキャナー
30 回動中心軸
31 第1ミラー
32 第2ミラー
4 テーブル
7 レーザビーム又は電子ビーム
P テーブル表面の中心位置
D テーブル表面の中心位置からガルバノスキャナーの長手方向に即して平行方向に延設された点線による直線
L 前記平行方向に直交する方向にてテーブル表面の中心位置から延設された直線
Q 回動中心軸30の中央位置
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査する複数個のガルバノスキャナーを備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を逆方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル表面の中心位置から前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査する複数個のガルバノスキャナーを備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を同一方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対して、レーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記の平行である方向に設定された直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックフォーカスレンズを透過して順次集束するレーザビーム又は電子ビームを、二次元方向に走査するガルバノスキャナーを複数個採用している三次元造形装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
テーブル表面上に積層した粉末層5に対するレーザビーム又は電子ビームの照射によって焼結面を形成する三次元造形においては、焦点距離を調整し得るダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームをガルバノスキャナーによって焼結面又はその近傍に集束するような走査(スキャニング)が行われている。
【0003】
前記走査を実現するガルバノスキャナーを、2個又は4個採用することによって効率的な走査を実現する三次元造形方法は、特許文献1記載の発明(以下「先願発明1」と称する。)として開示されている。
【0004】
しかも、先願発明1においては、水平方向にて向かい合う位置にある第2ミラーにおける反射位置の距離を150mm以下又は100mm以下とすることを要件としており、2個又は4個のガルバノスキャナーをコンパクトな配置とする説明が行われている。
【0005】
しかしながら、第2ミラーにおいて、回動中心軸と直交する方向の幅は必ずしも一定ではなく、如何なる設計幅の場合に150mm以下又は100mm以下とすることが可能であるかは全く明らかにされていない。
【0006】
尤も、上記150mm以下又は100mm以下の趣旨は、技術常識の範囲内にある設計幅の場合に成立するという趣旨かもしれないが、どうして150mm以下又は100mm以下という最大値が採用可能であるかの根拠は、全く不明である。
【0007】
したがって、先願発明1においては、第2ミラーの回動中心軸と直交する方向の設計幅如何に拘らず、ガルバノスキャナーをコンパクトな配置とするような構成を客観的に提示している訳ではない。
【0008】
一般に、複数個の各第2ミラーがテーブル表面の中心位置、又は当該中心位置から延設された基準ラインに近いほど均一な照射を実現することができる。
【0009】
然るに、特許文献1の
図5、6、13を参照するも、第2ミラー(X軸ガルバノミラー32a、42a、52a、62a)は造形テーブル5の中心位置(筐体14、114の中心位置)から離れており、前記中心位置を基準とするコンパクトな配置と均一な照射との両立を可能とするような工夫は行われていない。
【0010】
このように、先願発明1を含む公知技術においては、第2ミラーの回動中心軸と直交する方向の設計幅及びレーザビーム又は電子ビームの反射位置如何に拘らず、テーブル表面の中心位置を基準とするコンパクトな配置及び均一な照射との両立を実現するような構成は提唱している訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、複数個のガルバノスキャナーをテーブル表面の中心位置を基準として可能な限りコンパクトな状態にて配置を実現すると共に、かつ均一な照射を実現し得るような三次元造形装置の構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するため、本発明の基本構成は、
(1)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査する複数個のガルバノスキャナーを備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を逆方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル表面の中心位置から前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置、
(2)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査する複数個のガルバノスキャナーを備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナーにおける前記長手方向を同一方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナーにおいてテーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対して、レーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線に関し、第2ミラーを、各第2ミラーの回動中心軸を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線を両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置、
(3)前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線上に1個のガルバノスキャナーを配置していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
(4)同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記の平行である方向に設定された直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
(5)異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおける前記回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記平行方向に設定された直線に対し、回動中心軸と前記回動する面における前記突設された方向側の端部とが反対側に位置していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
からなる。
【発明の効果】
【0014】
基本構成(1)においては、隣り合う各ガルバノスキャナーにつき、相互に平行であると共に、長手方向を逆方向のみに設定した上で、テーブル表面の中心位置から前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を基準として第2ミラーの回動面及び前記端部につき、以下の3種類の配列状態を選択可能としている。
【0015】
a.前記直線を両側から挟む状態にて配列
b.前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列
c.前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列
【0016】
前記aの配列の場合には、第2ミラーの回動面が、前記中心位置から設定された前記直線に対し回動中心軸領域の範囲内にあることから、平行方向に即して略均一な照射を実現する一方、各ガルバノスキャナーの長手方向の領域もまた、前記直線に対し所定の距離の範囲内にあり、前記平行方向に即してコンパクトな配列を実現することができる。
【0017】
前記bの配列の場合には、第2ミラーの回動面が前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れていることから、前記aの場合に比し、均一な照射及びコンパクトな構成においてやや劣るが、前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接していることから、前記aの場合に準ずる程度の均一な照射及びコンパクトな配列を実現することができる。
【0018】
前記cの配列の場合においても、第2ミラーにおける回動面が前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側の位置にて離れていることから、均一な照射において、前記aの場合に比し劣るが、前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接するように設定していることから、前記aの場合に準ずるような均一な照射を実現することができる一方、各ガルバノスキャナーの長手方向の領域が前記直線と交差していることから、前記aの場合よりも更にコンパクトな配列を実現することができる。
【0019】
このように、前記a、b、cの何れの配列においても、第2ミラーによる均一な照射及び第2ミラーのコンパクトな配列を実現する一方、隣接し合うガルバノスキャナーを逆方向に平行状態に設定することによって、テーブル表面のスペースを有効に活用することができる。
【0020】
基本構成(2)においては、隣り合う各ガルバノスキャナーにつき、相互に平行であると共に、長手方向を同一方向に設定した上で、テーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源の後端から第1ミラーの回動領域に至るまでの距離の1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を基準として、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸と直交する方向の位置にある端部につき、以下の3種類の配列状態を選択可能としている。
【0021】
a.前記直線を両側から挟む状態にて配列
b.前記のように第1ミラーを収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と共に前記直線から離れ、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列
c.前記のように第1ミラーを収容している先端側の全領域と共に、前記直線に対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列
【0022】
基本構成(2)における前記直線を延設する位置は、テーブル表面の中心位置に限定される訳ではなく、当該中心位置からガルバノスキャナーの前記長手方向の距離の1/2の距離だけ前記の平行である方向に偏差している。
【0023】
このような延設位置をこのような偏差の領域としたのは、基本構成(2)の場合には、各ガルバノスキャナーが同一方向に平行であることから、テーブル表面のスペースを有効に活用する点において、基本構成(1)よりも劣ることから、第2ミラーによる均一な照射と、テーブル表面のスペースの有効な活用とを両立させることにある。
【0024】
このような両立に立脚している基本構成(2)は、テーブル表面のスペースの有効な活用及び第2ミラーによる均一な照射において、基本構成(1)に比し稍劣るが、偏差の距離がガルバノスキャナーにおける前記長手方向の距離の1/2の距離に限定されるために、均一な照射において大幅に相違する訳ではない。
【0025】
しかも、平行方向におけるコンパクトな配置の点については、基本構成(2)は、基本構成(1)よりも優れている。
【0026】
基本構成(2)における前記a、b、cの各配列による均一な照射の程度及びコンパクトな配列の対比は、基本構成(1)の前記a、b、cの場合と変わりはない。
【0027】
このように、前記a、b、cの何れかの配列に立脚している基本構成(2)においても、第2ミラー32の均一な照射及び第2ミラー32同士のコンパクトな配列を実現する一方、テーブル4の表面のスペースを有効に活用し、しかも基本構成(1)よりもガルバノスキャナー3全体の配置についてはコンパクトな配置状態を実現することができる。
【0028】
テーブル表面の中心位置及びその近傍は、殆ど大抵の場合、三次元造形が順次継続している領域に該当している。
【0029】
したがって、基本構成(1)及び(2)において、基本構成(3)のように、前記中心位置から前記平行方向にて延設された直線上に1個のガルバノスキャナーを配置した場合には、当該ガルバノスキャナーは殆ど大抵の場合、順次継続する三次元造形に寄与しており、効率的な造形に寄与することができる。
【0030】
基本構成(1)及び(2)において、基本構成(4)のように、同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記の平行である方向に設定された直線に対し、第2ミラーの回動中心軸の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列している場合には、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面間につき、前記直線の方向に即した距離は僅少であって、前記直線の方向に即してコンパクトな構成を実現することができる。
【0031】
特に、上記僅少状態によって、各第2ミラー同士が相互に向き合う実施形態においても、上記近接状態によって、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面は相互に接触せずに、安定した回動を実現することができる。
【0032】
基本構成(1)及び(2)において、基本構成(5)のように、異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーを、平行方向に即して同一位置に配列している場合には、各第2ミラーにおいて前記反射のために回動する面の端部は、水平方向を基準として、最小の傾斜角度を形成する場合には、隣り合っているガルバノスキャナーが存在する領域まで回動面の端部に及んでいることから、前記直線方向において基本構成(4)の場合よりも、更にコンパクトな構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】基本構成(1)に立脚している実施例1の平面図であって、(a)は2個の場合を示し、(b)は3個の場合を示し、(c)は4個の場合を示し、(d)は5個の場合を示し、(e)は6個の場合を示す。 尚、(b)、(d)は、基本構成(3)の特徴点を示す。 更には、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図2】基本構成(2)に立脚している実施例2の平面図であって、(a)は2個の場合を示し、(b)は3個の場合を示し、(c)は4個の場合を示し、(d)は5個の場合を示し、(e)は6個の場合を示す。尚、(b)、(d)は、基本構成(3)の特徴点を示す。更には、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対しレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、中心位置と当該直線との平行方向に沿った距離を示す。
【
図3(a)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記aの配列を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(b)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記bの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(c)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、前記cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図3(d)】2個毎の単位によって隣り合う各ガルバノスキャナーを設定している基本構成(1)の平面図であって、一方側のガルバノスキャナーにつき、前記bの配置を採用し、他方側のガルバノスキャナーにつき、前記cの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置から平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示す。
【
図4(a)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、前記aの配置を採用している場合を示す。 尚、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対してレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から、前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、前記中心位置と前記選択された位置との距離を示す。
【
図4(b)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、bの配置を採用している場合を示す。尚、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対してレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から、前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、前記中心位置と前記選択された位置との距離を示す。
【
図4(c)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、cの配置を採用している場合を示す。尚、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対してレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から、前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、前記中心位置と前記選択された位置との距離を示す。
【
図4(d)】隣り合う各ガルバノスキャナーを2個毎の単位に設定している基本構成(2)の平面図であって、一方側のガルバノスキャナーにつき、前記bの配置を採用し、他方側のガルバノスキャナーにつき、前記cの配置を採用している場合を示す。尚、上下方向の実線Lは、テーブル表面の中心位置及び当該中心位置に対してレーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至るまでの距離の
1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から、前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線を示し、直線Dは、テーブル表面の中心位置から平行方向に延設された直線を示し、dは、前記中心位置と前記選択された位置との距離を示す。
【
図5】基本構成(4)の特徴点を示す平面図であり、(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、
図3(a)、
図3(b)、
図4(c)、
図4(d)に対応している。 尚、点線Eは、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)及び
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)の直線Dに対し平行方向に延設された直線を示す。
【
図6】基本構成(5)の特徴点を示す平面図であり、(a)、(b)、(c)は、それぞれ
図3(a)、
図3(d)、
図4(c)に対応している。 尚、点線Eは、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)及び
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)の直線Dに対し平行方向に延設された直線を示す。
【
図7】異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーを、平行方向に即して異なる位置にて配列している実施形態を示す平面図及び側面図であり、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。 尚、(a)、(b)の各平面図の直線L上における両側方向の矢印は、下側の側面図が直線Lにおける側面視であることを示す。
【
図8】各ガルバノスキャナーの構成の一部が水平方向に対し傾斜している実施形態を示しており、(a)は、長手方向を、第1ミラーにおける回動中心軸の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置している場合を示す長手方向の側面図であり、(b)は、各ガルバノスキャナーの長手方向を、水平方向に沿って配置し、第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜角度に配置し、かつ隣り合うガルバノスキャナーにおける各第2ミラーの回動方向を反対方向に設定している場合を示す長手方向と直交する方向の側面図であり、(c)は、ガルバノスキャナーの長手方向を、第1ミラーにおける回動中心軸の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置し、第1ミラーの回動中心軸を鉛直方向に設定し、かつ第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜角度に配置した場合の側面図を示す。 尚、
図8(a)における両側方向の矢印は、第1ミラーが上向きの傾斜方向に進行するレーザビーム又は電子ビームを水平方向に反射している状態を示す。
【
図9】
図6に示す基本構成(5)に立脚した上で、2個の第2ミラー同士の回動中心軸の中央位置の距離を算定するための模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
基本構成(1)は、
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)に示すように、粉末を走行を介してテーブル4上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査する複数個のガルバノスキャナー3を備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を逆方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナー3においてテーブル4の表面の中心位置Pから前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線Lに関し、
第2ミラー32を、各第2ミラー32の回動中心軸30を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラー32に各第2ミラー32において前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸30と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線Lを両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラー31を収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源1を収容している後端側の領域と共に前記直線Lから離れ、かつ前記端部が前記直線Lに対し、第2ミラー32の
回動中心軸30の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラー31を収容している先端側の全領域と共に、前記直線Lに対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源1を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線Lに対し、第2ミラー32の
回動中心軸30の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置である。
【0035】
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)に示すように、基本構成(1)においては、各ガルバノスキャナー3につき、前記a、b、cによる3個の配置を選択することができるが、何れの配置の場合においても、第2ミラー32による均一な照射を実現すると共に、第2ミラー32同士の間隔をコンパクトの配置する一方、前記平行方向に即してテーブル4の表面のスペースを有効に活用していることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0036】
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)、
図3(d)は、隣り合う各ガルバノスキャナー3を2個の単位とする構成に立脚しており、かつ隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を逆方向のみに設定した上で、第2ミラー32の照射領域を適切に配分し得ることを根拠としている。
【0037】
但し、このように、隣り合う2個の単位から外れたガルバノスキャナー3を採用することによって、必要かつ十分な照射領域を確保する構成もまた当然採用可能であり、この点については、基本構成(3)に即して後述する通りである。
【0038】
基本構成(2)は、
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、粉末を走行を介してテーブル4上に積層するスキージ、当該粉末層5に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査する複数個のガルバノスキャナー3を備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とし、かつ前記透過方向と同一方向である長手方向に即して平行であると共に、前記平行な方向の両側にて2個を単位として隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を同一方向のみに設定しており、各ガルバノスキャナー3においてテーブル4の表面の中心位置P及び当該中心位置Pに対してレーザビーム又は電子ビーム7の発振源1の後端から第1ミラー31の回動領域に至るまでの距離の
1/2の距離だけ前記の平行である方向に即して偏差している位置との間の領域にて選択された特定の位置から前記平行方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に延設された直線Lに関し、
第2ミラー32を、各第2ミラー32の回動中心軸30を前記平行方向に設定すると共に、各第2ミラー32において前記反射のために回動する面及び当該回動する面において回動中心軸30と直交する方向の位置にある端部につき、前記平行方向に即して、前記直線Lを両側から挟む状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラー31を収容している先端側の領域及び前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源1を収容している後端側の領域と共に前記直線Lから離れ、かつ前記端部が前記直線Lに対し、第2ミラー32の
回動中心軸30の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列するか、又は前記のように第1ミラー31を収容している先端側の全領域と共に、前記直線Lに対し、前記のようにレーザビーム又は電子ビーム発振源1を収容している後端側の領域と反対側であって、かつ前記端部が前記直線Lに対し、第2ミラー32の
回動中心軸30の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列しているかの何れかである三次元造形装置である。
【0039】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、基本構成(4)においても、各ガルバノスキャナー3につき、前記a、b、cによる3個の配置を選択することができるが、何れの配置の場合においても、第2ミラー32による均一な照射及び第2ミラー32同士のコンパクトな配置を実現する一方、テーブル4の表面のスペースを有効に活用し得ること、更にはガルバノスキャナー3全体につき、基本構成(1)の場合よりも更にコンパクトな配置状態を実現できることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0040】
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)に示すように、基本構成(2)においても、隣り合う各ガルバノスキャナー3を2個の単位とする構成に立脚しており、かつ隣り合うガルバノスキャナー3における前記長手方向を同一方向のみに設定しているが、このような2個の単位の構成の採用及び前記設定の根拠については、基本構成(1)の場合と同様である。
但し、このように、隣り合う2個の単位から外れたガルバノスキャナー3を採用することによって、必要かつ十分な照射領域を確保する構成もまた当然採用可能であり、この点については、基本構成(3)に即して後述する通りである。
【0041】
基本構成(3)は、後述する実施例1の
図1(b)、(d)、及び実施例2の
図2(b)、(d)に示すように、前記中心位置Pから前記平行方向にて延設された直線L上に1個のガルバノスキャナー3を配置していることを特徴としている。
【0042】
このような特徴点による効率的な三次元造形の実現については、既に効果の項において指摘した通りである。
【0043】
図1(b)、(d)及び
図2(b)、(d)において、テーブル4の表面の中心位置Pを通過する点線による直線D上のガルバノスキャナー3は、隣り合う各ガルバノスキャナー3の2個毎の単位から外れているが、単独のガルバノスキャナー3でありながら、基本構成(3)の特徴点を実現するガルバノスキャナー3は効率的な三次元造形に重要な機能を発揮している。
但し、2個の単位から外れたガルバノスキャナー3は、基本構成(3)のように、直線D上に配置される場合だけではなく、直線Dから離れ、かつ他のガルバノスキャナー3が配置された端部又は当該端部と直線Dとの間の中途部位と配置することができる。
【0044】
基本構成(4)は、
図5(a)、(b)、(c)、(d)に示すように、基本構成(1)及び(2)において、同一の高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32において前記反射のために回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度を形成する場合に前記の平行である方向に設定された直線Eに対し、第2ミラー32の
回動中心軸30の長さよりも小さい距離にて近接した状態にて配列していることを特徴としている。
【0045】
前記特徴点によって、基本構成(4)においては、前記直線Lの方向に即して隣り合う各ガルバノスキャナー3につきコンパクトな配置状態を実現することができ、この点については、既に効果の項において説明した通りである。
【0046】
基本構成(5)は、
図6(a)、(b)、(c)に示すように、基本構成(1)及び(2)において、異なる高さ位置にて隣り合っている各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32における前記回動する面を、水平方向を基準として最小の傾斜角度の場合に前記平行方向に設定された直線Dに対し、回動中心軸30と前記回動する面における前記突設された方向側の端部とが反対側に位置していることを特徴としている。
【0047】
このような特徴点によって、基本構成(5)においては、各第2ミラー32の回動面が最小の傾斜角度の場合に隣り合うガルバノスキャナー3が存在する領域まで及ぶことによって、前記直線Dの方向において基本構成(4)よりも更にコンパクトな構成を実現することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0048】
基本構成(4)、(5)においては、
図3(a)、
図3(d)、
図4(a)、(b)、(c)、
図5(a)、(c)、
図6(a)、(b)、(c)に示すように、隣り合っている各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を、平行方向に即して同一位置に配列し、かつ相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする実施形態を選択し、かつ採用することが可能であると共に、
図3(b)、
図3(c)、
図4(d)、
図5(b)、
図5(d)、
図7(a)、(b)に示すように、隣り合う各ガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を、前記の平行である方向に対し、水平方向に沿って直交する方向に設定された前記直線Lを基準として、相互に反対方向に配列し、かつ相互に反対方向の回動方向を設定していることを特徴とする実施形態を選択し、かつ採用することができる。
【0049】
前記各実施形態におけるレーザビーム又は電子ビーム7の粉末層5に対する照射によって、焼結面6の形成に際し、各第2ミラー32の機能を同等に分担している点において共通する一方、各ガルバノスキャナー3のコンパクトな配置状態においても同等であり、相互に相違する訳ではない。
【0050】
通常、第2ミラー32における回動中心角度は、水平方向に対する45°であって、回動の振幅は、±11°である。
【0051】
したがって、最小の傾斜角度は、45°-11°=34°である。
【0052】
前記最小の傾斜角度に即するならば、隣り合うガルバノスキャナー3における各第2ミラー32を相互に向かい合う状態に配列している実施形態の場合に、第2ミラー32の回動中心軸30と直交する方向の幅が50mmの場合には、当該傾斜角度の回動方向の幅は、
50mm×cos34°≒50mm×0.829≒41.5mm
であることから、3.5mmの余裕幅を考慮し、回動中心軸30の距離については、45mmに設定することができる。
【0053】
これに対し、
図6に示す基本構成(5)の場合には、上記実施形態よりも更に前記直線Dの方向において、更にコンパクトな構成を実現することができる。
【0054】
具体的に説明するに、回動段階において上端から下端に至るまでの幅を50mmとする第2ミラー32を有する2個のガルバノスキャナー3を採用し、かつ各回動中心軸30の中央位置をQとして水平方向に入射したレーザビーム又は電子ビーム7を反射した場合に、双方の第2ミラー32間における回動中心軸30の中央位置Qの距離の最小値の距離において採用し得る最小値につき、
図9に即して、以下の通り明らかにする。
【0055】
図9に示すように、上側の第2ミラー32に対し、水平方向のレーザビーム又は電子ビーム7が入射し、かつ当該第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をαとし、下側の第2ミラー32の水平方向に対する傾斜角度をβとし、かつ上側の第2ミラー32の下端が当該ミラーを反射したレーザビーム又は電子ビーム7に当接する場合の上側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qと下側の第2ミラー32の前記下端の位置との水平方向の距離をxとし、垂直方向の距離をyとし、各第2ミラー32の上側端と下側端との距離を2Lとし、かつ反射したレーザビーム又は電子ビーム7が下側の第2ミラー32の下端と当接するに至るまでの透過距離をaとした場合には、
【数1】
【数2】
が成立する。
【0056】
ここで、上側の第2ミラー32が最大の傾斜角度γ
1に至った場合においても、上側の第2ミラー32の下端と下側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qの高さ位置が同一であり、しかも
図9に示すような当接状態の場合には、上側の第2ミラー32の下端が下側の第2ミラー32の回動面に衝突することはあり得ない。
【0057】
上側の第2ミラー32が前記要件である最小の傾斜角度γ
2であり、かつ下側の第2ミラー32の傾斜角度がβを維持している場合に、前記高さ位置が同一である場合には、
図9によって、
【数3】
であることから、
【数4】
が成立する。
【0058】
レーザビーム又は電子ビーム7が上側の第2ミラー32から反射して、下側の第2ミラー32の下端に当接するに至る距離aが最大値を呈する場合には、下側の第2ミラー32が上側の第2ミラー32から反射したレーザビーム又は電子ビーム7を最も遮断し難い状態に至る寸前の事態に該当する。
【0059】
前記aが最大値であるためには、
β=最大の傾斜角度γ
1
の成立を必要とし、結局、
【数5】
を得ることができる。
【0060】
基本構成(2)のように、上側の第1ミラー31の傾斜角度が最小値γ
2であり、かつ前記のように、
β=γ
1
である場合には、
【数6】
が成立する。
【0061】
一般に、通常γ
1=56°、γ
2=34°であることから、
【数7】
という近似式が成立する。
【0062】
回動段階における上端と下端の幅が2L=50mmの場合、
x≒31.7mm
を得ることができる。
【0063】
したがって、2.3mmの余裕幅を考慮した場合、上側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qと下側の第2ミラー32の回動中心軸30における中央位置Qとの最小距離として、34mmを設定することができる。
【0064】
図9の左側の第2ミラー32に即して説明したように、最小の傾斜角度34°の場合の第2ミラー32の水平方向の片側幅は、
25mm×cos34°=25mm×0.8290≒20.7mm である。
【0065】
したがって、双方の第2ミラー32が最小の傾斜角度を呈した場合の数値が41.4mmであることを考慮するならば、上記34mmの最小距離は、双方の第2ミラー32の一部領域が水平方向角度に至らずに、最小の傾斜角度を呈した場合であっても、水平方向に即して重複し合っていることを明瞭に裏付けている。
尚、上記のx≒1.266Lの近似式が成立する場合には、
【数8】
であることが判明する。
【0066】
通常、各ガルバノスキャナー3は、高さ方向において水平状態にて配置されている。
但し、基本構成(1)及び(2)は、このような水平状態に限定される訳ではない。
【0067】
即ち、
図8(a)、(b)、(c)に示すように、各ガルバノスキャナー3を、水平方向に対し、傾斜するような実施形態を採用することも可能である。
【0068】
具体的に説明するに、
図8(a)に示すように、各ガルバノスキャナー3の長手方向を、第1ミラー31における回動中心軸30の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置し、第1ミラー31の回動中心軸30を当該傾斜角度に即して傾斜し、かつ第1ミラー31がレーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に反射していることを特徴とする実施形態、及び
図8(b)に示すように、各ガルバノスキャナー3の長手方向を、水平方向に沿って配置し、第2ミラー32の突設方向を上向きとするような傾斜状態に配置すると共に、第1ミラー31の回動中心軸30を当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設置することによって、第1ミラー31がレーザビーム又は電子ビーム7を前記傾斜方向に反射しており、かつ隣り合うガルバノスキャナー3における各第2ミラー32の回動方向を反対方向に設定していることを特徴とする実施形態も採用可能である。
【0069】
尚、
図8(a)に示す実施形態の場合には、上向きに傾斜したレーザビーム又は電子ビーム7と第1ミラー31とが水平方向に反射することを必要とすることから、当該
図8(a)に示すように、第1ミラー31の回動中心軸30については、上側に傾斜する方向に進行しているレーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に反射するために、鉛直方向ではなく、
図8(a)に示すように当該方向に対し、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0070】
図8(b)に示す実施形態においては、水平方向に直進し、かつレーザビーム又は電子ビーム7を第2ミラー32が突設された方向に即して上側に傾斜する方向に反射するためには、第1ミラー31の回動中心軸30については、鉛直方向ではなく、当該方向に対し
図8(b)に示すように、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0071】
これに対し、
図8(c)に示すように、ガルバノスキャナー3の長手方向を、第1ミラー31における回動中心軸30の位置に至るまで上向きとする傾斜状態に配置し、第1ミラー31の回動中心軸30を鉛直方向に設定し、かつ第2ミラー32の突設方向を上向きとするような傾斜角度に配置していることを特徴とする実施形態を採用した場合には、上側に傾斜する方向にて進行するレーザビーム又は電子ビーム7は鉛直方向に設定された
回動中心軸30を有する第1ミラー31によって、第2ミラー32が突設されている方向の上向き方向に反射することが可能であることから、
図8(a)、(b)に示すように、第1ミラー31の回動中心軸30を傾斜方向に設定する必要はない。
【0072】
図8(c)に示す実施形態は、第1ミラー31の回動中心軸30の設定方法において最もシンプルである。
【0073】
図8(a)、(b)、(c)に示す各実施形態の場合には、前記平行方向に即して、各ガルバノスキャナー3を更にコンパクトな配置を実現することができる。
【0074】
前記各実施形態の場合には、第2ミラー32のテーブル4の表面に対する位置が高くなるが、その結果、粉末層に対する照射角度の変化状態が少ないことに帰する。
【0075】
一般に、三次元造形においては、第2ミラー32による照射の程度を均一状態とするために、第1ミラー31及び第2ミラー32の回動速度のコントロールが行われており、前記照射角度が小さいほど第1ミラー31及び第2ミラー32の回動速度を小さく設定している。
但し、上記設定によるコントロールによって必ずしも均一な照射が保証される訳ではない。
【0076】
このような場合、前記各実施形態の場合には、傾斜角度の変化状態が少ないことから、前記コントロールの精度を改良することができる。
尚、
図8(a)に示す実施形態は、
図8(b)に示す実施形態に比し、コンパクトな構成による効果及び前記コントロールの精度の改善の程度において優れているという評価を行うことができる。
【0077】
基本構成(1)、(2)、(3)、(4)、(5)においては、焼結された三次元造形物の表面を切削する切削工具を必要不可欠としていないが、精緻な形状による三次元造形物を実現するために、切削工具を採用する場合が多い。
【0078】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例0079】
実施例1は、
図1(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、基本構成(1)に立脚した上で、2個、又は4個、又は6個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pを基準として点対称に配置するか、若しくは3個又は5個のガルバノスキャナー3のうちの1個を前記中心位置P上に配置し、残2個又は残4個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pから前記平行方向にて延設された直線Lを基準としてそれぞれ線対称に配置していることを特徴としている。
【0080】
このような特徴点によって、実施例1は、基本構成(1)の効果を現実に発揮することができる。
【実施例0081】
実施例2は、
図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、基本構成(2)に立脚した上で、ガルバノスキャナー3を2個、又は3個、又は4個、又は5個、又は6個配置していることを特徴としている。
【0082】
このような特徴点によって、実施例2は、基本構成(2)の効果を現実に発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本願発明は、複数個のガルバノスキャナーをテーブル表面の中心位置を基準として、極めてコンパクトな構成を実現し、効率的な焼結面の形成に寄与することを可能とする点において画期的であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0084】
1 レーザビーム又は電子ビームの発振源
2 ダイナミックフォーカスレンズ
3 ガルバノスキャナー
30 回動中心軸
31 第1ミラー
32 第2ミラー
4 テーブル
7 レーザビーム又は電子ビーム
P テーブル表面の中心位置
D テーブル表面の中心位置からガルバノスキャナーの長手方向に即して平行方向に延設された点線による直線
L 前記平行方向に直交する方向にてテーブル表面の中心位置から延設された直線
Q 回動中心軸30の中央位置
16