(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013307
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
B65B 13/34 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
B65B13/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117383
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】浅井 政敏
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA06
3E052AA42
3E052AA43
3E052AA47
3E052AA50
3E052BA20
3E052CA18
3E052CB04
3E052HA14
3E052LA17
3E052LA19
(57)【要約】
【課題】外れにくい結束を可能とする結束機及び結束方法を提供すること。
【解決手段】本出願は、第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部を含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成されるステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束機を開示する。この結束機は、前記第1対象物と係合可能に前記第1脚部を変位させる第1変位部と、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と係合可能に前記第2脚部を変位させる第2変位部とを備える。前記第2変位部は、上面視において、前記第1脚部と交差する位置まで前記第2脚部を変位可能に構成されてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部を含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成されるステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束機であって、
前記第1対象物と係合可能に前記第1脚部を変位させる第1変位部と、
前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と係合可能に前記第2脚部を変位させる第2変位部と
を備える結束機。
【請求項2】
前記第2変位部は、上面視において、前記第1脚部と交差する位置まで前記第2脚部を変位可能に構成される
請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記第1対象物が挿入される第1挿入部と、
前記第2対象物が挿入される第2挿入部と
を備え、
前記第1変位部は、前記第1挿入部に挿入された前記第1対象物と係合するように前記第1脚部の先端部を変位させ、
前記第2変位部は、前記第2挿入部に挿入された前記第2対象物を囲むように前記第2脚部を変位させる
請求項1又は2に記載の結束機。
【請求項4】
前記ステープルを前記ステープルの開口方向に移動させる移動部を備え、
前記第2変位部は、前記移動部が前記開口方向に移動するにつれて、前記第2脚部を前記ステープルの内方に変位させる
請求項1乃至3の何れか一項に記載の結束機。
【請求項5】
前記第2変位部は、前記移動部が前記開口方向に移動するにつれて、前記第2脚部を前記ステープルの内方に屈曲させる
請求項4に記載の結束機。
【請求項6】
前記第2変位部は、前記第2脚部の外側に設けられ、前記開口方向に移動する前記移動部が当接して前記第2脚部を屈曲させるアームを含む
請求項4又は5に記載の結束機。
【請求項7】
前記アームは、前方へ移動する前記移動部の前端部に押されて第1回転方向に回転するように構成され、
前記アームは、前記アームの前端が前記第1回転方向に回転するほど上方に移動するように傾斜する回転軸を有する
請求項6に記載の結束機。
【請求項8】
前記アームは、回転前の状態において、前記アームの回転軸より後方に延在する後端部を含み、
前記アームの後端部は、
前方へ移動する前記移動部の前記前端部の第1表面が当接する第1後端面と、
更に前方へ移動する前記移動部の前記前端部の第2表面が当接し、前記第1表面よりも前方に形成される第2後端面と
を含む請求項7に記載の結束機。
【請求項9】
前記第1変位部は、前記第1対象物を挟むように前記第1脚部の先端部を折り返す
請求項1乃至8の何れか一項に記載の結束機。
【請求項10】
前記第1変位部は、前記移動部によって前記ステープルが前方に移動しているときに前記第1脚部の先端部が当接しながら通過する第1外壁部を含む、
請求項4乃至8の何れか一項に記載の結束機。
【請求項11】
前記ステープルの前記第2脚部の内側に設けられ、前記アームの回転により前記ステープルの内方に変位する前記第2脚部の先端部が当接しながら通過する壁部を更に含む
請求項8に記載の結束機。
【請求項12】
前記第1変位部は、前記第1脚部の先端部を、前記第1脚部の上方又は下方のいずれか一方を通過するように曲げる当接部材を含む
請求項1乃至10の何れか一項に記載の結束機。
【請求項13】
第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部とを含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成されるステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束方法であって、
前記第1脚部を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させ、
前記第2脚部を変位させて、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と前記第2脚部を係合させる
結束方法。
【請求項14】
前記第1脚部を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させることは、前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部を貫通する平面から離間する上方又は下方のいずれか一方に前記第1脚部の先端を進行させることを含み、
前記第2脚部を変位させて、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と前記第2脚部を係合させることは、前記平面から離間する上方又は下方のいずれか他方に前記第2脚部の前記先端を進行させることを含む
請求項13に記載の結束方法。
【請求項15】
前記第1脚部を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させることは、前記第1脚部の先端から、第1距離以下の部分を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させることを含み、
前記第2脚部を変位させて前記第1対象物と前記第2脚部を係合させることは、前記第2脚部の前記先端から、前記第1距離より大きい第2距離以下の部分を変位させて前記第1対象物と前記第2脚部を係合させることを含む
請求項13又は14に記載の結束方法。
【請求項16】
前記第2脚部を変位させて、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と前記第2脚部を係合させることは、
上面視において、前記第1脚部と交差する位置まで前記第2脚部を第1回転方向に変位させて、前記第2脚部の先端部に前記第1対象物と前記第2対象物との間隙を通過させることと、
前記第2脚部を前記第1回転方向と反対の第2回転方向に変位させて、前記第1対象物と前記第2対象物との間隙を通過した前記第2脚部の先端部を前記第1対象物に係合させることを含む
請求項13乃至15の何れか一項に記載の結束方法。
【請求項17】
上面視において、前記第1脚部と交差する位置まで前記第2脚部を前記第1回転方向に変位させて、前記第2脚部の先端部に前記第1対象物と前記第2対象物との間隙を通過させることは、前記第2脚部を第1回転方向に曲げながら、前記第2脚部の先端部を前記第1回転方向と反対の第2回転方向に曲げることを含む
請求項16記載の結束方法。
【請求項18】
前記第1脚部を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させることは、前記第1脚部の先端部を前記第1回転方向に曲げて前記第1対象物と前記第1脚部の先端部を係合させることを含む請求項16又は17に記載の結束方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束機及び結束方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステープル等の結束具を用いて、ワイヤ等に植物等を結束することが知られている。
【0003】
特許文献1には、このようなステープルの一例が記載されている。このステープルは、左右一対のアームと、アーム間に設けられた凸状突起とを備えている。
【0004】
特許文献2には、マウントシェルに着脱可能に接続される充電式電源を備える電気的なバインディング用のマシンが記載されている。特許文献2記載のバインディング用のマシンは、特許文献1記載のステープルを用いて結束することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1839482号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第CN111903423号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるステープル等は、第1対象物と第2対象物という2つの対象物の相対的移動を拘束するものであるから、第1対象物と第2対象物を結束する結束具(ステープル)に相当する。
【0007】
特許文献2は、特許文献1に記載のステープルを用いる結束機を開示するが、対象物から外れにくい結束方法を開示していない。植物等の成長する対象物を結束するためには、成長前の状態においても、成長後の状態においても外れにくいように2つの対象物を結束しなければならない。成長前の状態において2つの対象物をきつく結束すると対象物の成長が阻害される。一方で2つの対象物をゆるく結束すると対象物である茎等が太く成長したり、果実等の重量が増加したときに、結束具の両端が開いて結束具が外れやすい。
【0008】
そこで本発明は、外れにくい結束を可能とする結束機及び結束方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願は、第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部を含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成されるステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束機を開示する。この結束機は、前記第1対象物と係合可能に前記第1脚部を変位させる第1変位部と、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と係合可能に前記第2脚部を変位させる第2変位部とを備える。
【0010】
前記第2変位部は、上面視において、前記第1脚部と交差する位置まで前記第2脚部を変位可能に構成されてもよい。
【0011】
前記結束機は、第1対象物が挿入される第1挿入部と、前記第2対象物が挿入される第2挿入部とを備えてもよい。更に前記第1変位部は、前記第1挿入部に挿入された前記第1対象物と係合するように前記第1脚部の先端部を変位させ、前記第2変位部は、前記第2挿入部に挿入された前記第2対象物を囲むように前記第2脚部を変位させてもよい。
【0012】
前記結束機は、前記ステープルを前記ステープルの開口方向に移動させる移動部を備えてもよい。更に前記第2変位部は、前記移動部が前記開口方向に移動するにつれて、前記第2脚部を前記ステープルの内方に変位させてもよい。
【0013】
移動部は、前記開口方向に移動可能なドライブを含んでもよい。
移動部は、前記開口方向に移動可能なスライダを含んでもよい。
移動部は、前記開口方向に移動可能なドライブ及びスライダを含んでもよい。
【0014】
前記第2変位部は、前記移動部が前記開口方向に移動するにつれて、前記第2脚部を前記ステープルの内方に湾曲させるように構成されてもよい。
【0015】
前記第2変位部は、前記移動部のスライダが前記開口方向に移動するにつれて、前記第2脚部を前記ステープルの内方に屈曲させるように構成されてもよい。
【0016】
前記第2変位部は、前記第2脚部の外側に設けられ、前記開口方向に移動する前記移動部が当接して前記第2脚部を屈曲させるアームを含んでもよい。
【0017】
前記第1変位部は、前記移動部が前記開口方向に移動するにつれて前記第1脚部の先端部を円弧状に湾曲させることにより前記第1対象物と係合するように構成されてもよい。
【0018】
前記第1変位部は、前記第1対象物及び前記第1脚部が挿入される第1挿入部を含んでもよい。
【0019】
前記第1挿入部は、挿入された前記第1脚部の先端部を円弧状に湾曲させることにより挿入された前記第1対象物と係合する内壁を含んでもよい。
【0020】
前記第1変位部は、前記第1対象物を挟むように前記第1脚部の先端部を折り返すように構成されてもよい。
【0021】
本出願は、結束方法を開示する。この結束方法は、第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部とを含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成されるステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束方法である。前記第1脚部を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させ、前記第2脚部を変位させて、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と前記第2脚部を係合させる。
【0022】
前記第1脚部を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させることは、前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部を貫通する平面から離間する下方に前記第1脚部の前記先端を進行させることを含んでもよい。
【0023】
前記第2脚部を変位させて、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と前記第2脚部を係合させることは、前記平面から離間する上方に前記第2脚部の前記先端を進行させることを含んでもよい。
【0024】
前記第1脚部を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させることは、前記第1脚部の前記先端から、第1距離以下の部分を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させることを含んでもよい。
【0025】
前記第2脚部を変位させて前記第1対象物と前記第2脚部を係合させることは、前記第2脚部の前記先端から、前記第1距離より大きい第2距離以下の部分を変位させて前記第1対象物と前記第2脚部を係合させることを含んでもよい。
【0026】
前記第2脚部を変位させて、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と前記第2脚部を係合させることは、上面視において、前記第1脚部と交差する位置まで前記第2脚部を第1回転方向に変位させて、前記第2脚部の先端部に前記第1対象物と前記第2対象物との間隙を通過させることと、前記第2脚部を前記第1回転方向と反対の第2回転方向に変位させて、前記第1対象物と前記第2対象物との間隙を通過した前記第2脚部の先端部を前記第1対象物に係合させることを含んでもよい。
【0027】
上面視において、前記第1脚部と交差する位置まで前記第2脚部を第1回転方向に変位させて、前記第2脚部の先端部に前記第1対象物と前記第2対象物との間隙を通過させることは、前記第2脚部を第1回転方向に曲げながら、前記第2脚部の先端部を前記第1回転方向と反対の第2回転方向に曲げることを含んでもよい。
【0028】
前記第1脚部を変位させて前記第1対象物と前記第1脚部を係合させることは、前記第1脚部の先端部を前記第1回転方向に曲げて前記第1対象物と前記第1脚部の先端部を係合させることを含んでもよい。
【0029】
なお上面視とは、結束前の前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部を貫通する平面に垂直な方向から見る視点のことをいい、平面視と呼んでもよい。
【0030】
本発明において、「第1対象物と第2対象物とを結束する」とは第1対象物に対する第2対象物の移動を制限することをいう。ここで結束に用いるステープルは、必ずしも、第1対象物又は第2対象物と当接することを要しない。例えば、ステープルが第2対象物と当接しない場合であっても、ステープルが第2対象物を包囲した状態で第1対象物と係合することにより、第1対象物に対する第2対象物の移動を制限することが可能となるから、「第1対象物と第2対象物とを結束する」は、このような状態を含む。
【0031】
本発明において、「屈曲する」又は「折り曲げる」とは局所的に曲げられることをいう。そのため屈曲されたとき、局所的に曲げられた部分以外の部分は、元の形状を実質的に維持する。例えば、直線的に延伸する部材を屈曲するとき局所的に曲げられた部分以外の部分は、直線的に延伸した形状を実質的に維持する。
【0032】
本発明において、「湾曲する」とは所定範囲にわたり弓なりに曲げられることをいう。そのため湾曲されたとき、湾曲された部材は、所定範囲にわたり滑らかに変形する。
【0033】
本発明において、「曲げる」とは屈曲及び湾曲を含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】
図1Aは、上面視における結束前のステープルの一例を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、上面視における結束後のステープルの一例を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、正面視における結束後のステープルの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態にかかる結束機を用いた結束方法の模式図である。
【
図3】
図3は、一実施形態にかかる結束機の右側面視における断面図である。
【
図4A】
図4Aは、一実施形態にかかる結束機の上面視における断面図である。
【
図4B】
図4Bは、一実施形態にかかる結束機の正面視における断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態にかかる結束機の前端側を示す部分拡大図(斜視図)である。
【
図6A】
図6Aは、一実施形態にかかるドライバの斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、一実施形態にかかるドライバの上面視における平面図である。
【
図7A】
図7Aは、一実施形態におけるスライダの斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、一実施形態にかかるスライダの上面視における平面図である。
【
図8A】
図8Aは、一実施形態にかかる結束機の側面視における断面の部分拡大図である。
【
図8B】
図8Bは、一実施形態にかかる結束機の背面視における断面の部分拡大図である。
【
図9】
図9は、一実施形態にかかる結束機のナット部品等を示す部分拡大図(斜視断面図)である。
【
図10】
図10は、一実施形態にかかる結束機の離脱部等を示す断面図である。
【
図11A】
図11Aは、一実施形態にかかる結束機の正面視における初期状態を示す部分拡大図である。
【
図11B】
図11Bは、一実施形態にかかる結束機の上面視における初期状態を示す部分拡大図である。
【
図12A】
図12Aは、一実施形態にかかる結束機の上面視における塑性変形開始時を示す部分拡大図である。
【
図12B】
図12Bは、一実施形態にかかる結束機の側面視における塑性変形開始時を示す部分拡大図である。
【
図12C】
図12Cは、一実施形態にかかる結束機の前端部の部分拡大斜視図である。
【
図13】
図13は、一実施形態にかかる当接部材24(爪部材)の斜視図である。
【
図14】
図14は、一実施形態にかかる当接部材24(爪部材)による塑性変形時の正面視における断面図である。
【
図15】
図15は、一実施形態にかかる第2アームの斜視図である。
【
図17A】
図17Aは、一実施形態に係る結束機のドライバ移動開始時を示す正面視における部分拡大図である。
【
図17B】
図17Bは、一実施形態に係る結束機のドライバ移動開始時を示す上面視における部分拡大図である。
【
図18】
図18は、一実施形態に係る結束機により分離したステープルが前進している様子を示す上面視における部分拡大図である。
【
図19】
図19は、一実施形態に係る結束機によりステープルが第1外壁部を通過した後を示す上面視における部分拡大図である。
【
図20】
図20は、一実施形態に係る結束機によりステープルが変位開始位置に到達したときの様子を示す上面視における部分拡大図である。
【
図21A】
図21Aは、使用者が第1対象物を第1挿入部に挿入し、第2対象物を第2挿入部に挿入したときの正面視における結束機の前端部分を示す部分拡大図である。
【
図21B】
図21Bは、使用者が第1対象物を第1挿入部に挿入し、第2対象物を第2挿入部に挿入したときの上面視における結束機の前端部分を示す部分拡大図である。
【
図22A】
図22Aは、第1対象物及び第2対象物が挿入された後にスライダが前進を再開したときの正面視における結束機の前端部分を示す部分拡大図である。
【
図22B】
図22Bは、第1対象物及び第2対象物が挿入された後にスライダが前進を再開したときの上面視における結束機の前端部分を示す部分拡大図である。
【
図23A】
図23Aは、スライダが前進して第2脚部が変形されているときの正面視における結束機の前端部分を示す部分拡大図である。
【
図23B】
図23Bは、スライダが前進して第2脚部が変形されているときの上面視における結束機の前端部分を示す部分拡大図である。
【
図24A】
図24Aは、スライダが最も前進する直前の正面視における結束機の前端部分を示す部分拡大図である。
【
図24B】
図24Bは、スライダが最も前進する直前の上面視における結束機の前端部分を示す部分拡大図である。
【
図25A】
図25Aは、スライダの後退開始後における結束機の前端部分の正面視における部分拡大図並びに拡大斜視図である。
【
図25B】
図25Bは、スライダの後退開始後における結束機の前端部分の上面視における部分拡大図並びに拡大斜視図である。
【
図25C】
図25Cは、スライダの後退開始後における結束機の前端部分の部分拡大斜視図である。
【
図26A】
図26Aは、スライダが更に後退したときの結束機の前端部分の正面視における部分拡大図並びに拡大斜視図である。
【
図26B】
図26Bは、スライダが更に後退したときの結束機の前端部分の上面視における部分拡大図並びに拡大斜視図である。
【
図26C】
図26Cは、スライダが更に後退したときの結束機の前端部分の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態のみに限定する趣旨ではない。
【0036】
[ステープルSの構成]
まず本実施形態に係るステープルSの構成について説明する。ステープルSは、塑性変形可能な可塑性を有する線材から構成される。ステープルSは、ワイヤ又はクリップと呼ばれる場合がある。ステープルSは、例えば、金属製の線材又は針金(表面がめっき処理又は樹脂等でコーティングされたものを含む。)を含む。
【0037】
図1Aは本実施形態に係る結束前のステープルSを示し、
図1B及び
図1Cは、それぞれ、結束後の結束状態におけるステープルSの上面視及び正面視を示す(但し説明の便宜上、
図1Cにおいて第1対象物G及び第2対象物P等説明に不要な部品は省略されている)。
【0038】
ステープルSは、第1脚部S1と、第2脚部S2と、第1脚部S1と第2脚部S2とを接続する本体部S3を含む。
【0039】
結束前の状態において、ステープルSの第1脚部S1と第2脚部S2は離間して設けられるため、第1脚部S1と第2脚部S2との間には開口が設けられる。本体部S3における閉塞している部分から開口に向かう方向(
図1Aにおける紙面左方向)を開口方向D1と呼ぶ。結束機10にセットされるときステープルSの開口方向D1は、後述する前方X1と一致する。
【0040】
第1脚部S1は、ステープルSの一方の端部を含む部分であり、開口方向D1に延伸する第1部S1Bと、第1部S1Bから曲げられて外側に延びる先端部S1Aとを含む。第1部S1Bと先端部S1Aとがなす角度を屈曲角α1と呼び、先端部S1Aのうち、第1部S1Bと接続するために屈曲している部分を屈曲部と呼ぶ。本実施形態においては、屈曲角α1は90度以下である。
【0041】
第2脚部S2は、ステープルSの他方の端部を含む部分であり、開口方向D1に延伸する第2部を含む。結束状態を示す上面視(
図1B)において、第2脚部S2は、第1脚部S1と交差するように曲げられて開口を閉塞する。従って本実施形態に係る第2脚部S2は、開口の幅、即ち、第1脚部S1と第2脚部S2との間隔よりも長く形成される。また、第2脚部S2は、第1脚部S1よりも長く形成される。
【0042】
本体部S3は、第1脚部S1と第2脚部S2とを接続する部分である。本実施形態に係る本体部S3は、直線的に延伸する辺部を含む。しかしながら本体部S3の形状はこれに限られるものではなく、例えば、外方に湾曲する湾曲部を含んでもよいし、一又は複数の辺部と一又は複数の湾曲部とから構成されてもよい。
【0043】
図1Bに示される結束状態において、ステープルSの第1脚部S1の先端部S1Aは、同図において概ね時計回り(以下、上面視において概ね時計回りの方向を「第1回転方向R1」と呼ぶ場合があり、概ね反時計回りの方向を「第2回転方向R2」と呼ぶ場合がある。)に曲げられて、上面視において第1脚部S1と交差する。従って、第1対象物Gを第1脚部S1で挟み込むことが可能となる。
図1Cに示されるように第1脚部S1の先端部S1Aは、結束前の第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3を貫通する平面PLから離間する下方Z2に先端が進行するように曲げられる。
【0044】
一方でステープルSの第2脚部S2の一部は、第1回転方向R1に折り曲げられることにより開口を閉塞する。開口が閉塞されるので、ステープルSに囲まれる第2対象物PからステープルSが外れることを抑制することが可能となる。更に
図1Cに示されるように、第2脚部S2の先端部S2Aは、結束前の第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3を貫通する平面PLから離間する上方Z1に先端が進行するように曲げられる。このように第1脚部S1の先端が下方Z2に進行するように曲げられて第1対象物Gに係合し、第2脚部S2の先端が上方Z1に進行するように曲げられて第2対象物Pに係合することにより、第1対象物Gの第1脚部S1との係合位置から、第2脚部S2との係合位置までの領域に張力を発生させやすくすることが可能となる。従って、第1対象物Gが撓んでステープルSが脱落等することを抑制することが可能になる。
【0045】
加えて第2脚部S2は、上面視において開口を閉塞するように、第1脚部S1と交差する位置までステープルSの内方に向かう第1回転方向R1に折り曲げられる。このとき、第2脚部S2の先端部S2Aは、第1対象物Gと第2対象物Pとの間隙を通過する。その後、第2脚部S2は、上面視において第1回転方向R1と反対の第2回転方向R2に変位して、第1対象物Gと第2対象物Pとの間隙を通過した第2脚部S2の先端部S2Aを第1対象物Gに係合させる。その結果、第1脚部S1の先端部S1Aと第2脚部S2の先端部S2Aとで第1対象物Gを挟み込むように係合することが可能となる。仮に第2対象物Pが成長しても、第1脚部S1と第2脚部S2は、それぞれ第1対象物Gを挟み込む力を強める方向に曲げられる。よって第2対象物Pが成長しても、第1対象物GからステープルSが外れにくくすることが可能となる。
【0046】
なお、第2脚部S2を、第1回転方向R1に変位させるとき、第2脚部S2を第1回転方向R1に曲げながら第2脚部S2の先端部S2Aを第1回転方向R1と反対の第2回転方向R2に曲げることが好ましい。このような構成とすることにより、第1対象物Gと第2対象物Pとの間隙を通過した第2脚部S2の先端部S2Aを第2回転方向R2に変位させることにより、第2脚部S2の先端部S2Aを第1対象物Gに容易に係合させることが可能となる。
【0047】
結束前のステープルSの状態を示す
図1Aと、結束後のステープルSの状態を示す
図1B及び
図1Cとの比較から明らかなように、第1脚部S1のうち変位する部分の第1脚部S1の先端からの距離を第1距離DS1とし、第2脚部S2のうち変位する部分の第2脚部S2の先端からの距離を第2距離DS2とするとき、第2距離DS2は、第1距離DS1より大きく、例えば、第2距離DS2は、第1距離DS1の2倍より大きい。このようにステープルSを非対称に曲げることによって、第2脚部S2を、第1脚部S1に近接して保持される第1対象物Gに、好適に係合させることが可能となる。
【0048】
更に
図1Aに示されるように、第1脚部S1の先端から第1距離DS1の位置に相当する第1脚部S1の変位する部分と変位しない部分との境界位置は、第2脚部S2の先端から第2距離DS2の位置に相当する第2脚部S2の変位する部分と変位しない部分との境界位置よりも開口方向D1に進行した位置に相当する。
【0049】
このような構成とすることにより、スライダ44を開口方向D1に進行させたときに、先に第2脚部S2の変位を開始し、第2脚部S2が変位を開始した後に、第1脚部S1の変位を開始させることが可能となる。このため、同時に大きな負荷が結束機10にかかることを抑制することが可能になる。
【0050】
なおステープルSの形状は、
図1Aに示されるものに限られない。例えば、第1脚部S1と第2脚部S2とが必ずしも平行でなくてもよく、例えば、先端に進行するほど開口幅が狭くなっても、あるいは、先端に進行するほど開口幅が広くなっても、上述した技術的効果の少なくとも一部は発揮されるようにステープルSを曲げることが可能であることは当業者に理解される。また、第1脚部S1と第2脚部S2が同じ長さであっても、第1脚部S1の先端が余剰するものの、上述した技術的効果の少なくとも一部は発揮されるようにステープルSを曲げることが可能であることは当業者に理解される。
【0051】
また、ステープルSの曲げ方は、
図1B及び
図1Cに示されるものに限られない。例えば、第2脚部S2の先端部S2Aは曲げられなくてもよい。第2脚部S2の先端部S2Aが曲げられなくても、第2脚部S2を第1対象物Gに係合させることが可能であるから、上述した技術的効果の少なくとも一部は発揮されることは当業者に理解される。
【0052】
以下では、
図1Aに示されるステープルSを
図1B及び
図1Cに示されるように曲げるための結束機10の構成の一例を説明する。
【0053】
図2(A)乃至(E)は、本発明の一実施形態に係る結束機10の構成及び結束機10によって曲げられるステープルSの様子を概念的に説明する模式図である。同図においてステープルSの本体部S3は静止している。
【0054】
なお相対的な方向の関係を説明するために、便宜的に、
図2における紙面左方向を前方X1と呼び、紙面右方向を後方X2と呼び、紙面垂直の手前方向を上方Z1と呼び、紙面垂直の奥行方向を下方Z2と呼び、紙面下方を右方Y1と呼び、紙面上方を左方Y2と呼ぶ場合がある。上面視は結束機10等を上方Z1の位置から下方Z2を向いて見たときの視点をいい、正面視は結束機10等を前方X1の位置から後方X2を向いて見たときの視点をいい、側面視は結束機10等を右方Y1又は左方Y2を向いて見たときの視点をいう。
【0055】
また後述するステープルSを結束機10にセットしたときに、ステープルSを基準として、ステープルSで囲まれる領域(後述する第2対象物Pが挿入される領域)からステープルSの外側に向かう方向を外方と呼び、ステープルSの外側からステープルSで囲まれる領域に向かう方向を内方と呼ぶ場合がある。
【0056】
図2(A)等に示されるように、結束機10は、前方X1に移動する移動部品の一例としてスライダ44を備える。更に結束機10は、ステープルSの第1脚部S1を変位させるための第1変位部20を備える。第1変位部20は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、異なる部品を異なる方向に移動させることにより、第1対象物Gと係合可能にステープルSの第1脚部S1を変位させる。
【0057】
なおスライダ44は、一体的に形成されてもよいし、連動して移動する複数の部品から構成されてもよい。
【0058】
本実施形態における第1変位部20は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、ステープルSの内方(右方Y1)かつ後方X2に傾斜する方向に移動する当接部材24を含む。当接部材24は、ステープルSの先端部S1Aの領域に当接して先端部S1Aを塑性変形するように曲げることから掴み部と呼ばれる場合がある。
【0059】
なお第1変位部20は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、ステープルSの内方(右方Y1)である前方X1と略垂直方向に移動することによりステープルSの先端部S1Aに当接して先端部S1Aを曲げる部品を含んでもよい。
【0060】
これに替えて第1変位部20は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、ステープルSの外方(左方Y2)に移動することによりステープルSの先端部S1Aに当接して先端部S1Aを曲げる部品を含んでもよい。
【0061】
これに替えて第1変位部20は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、ステープルSを第1回転方向R1に移動することによりステープルSの先端部S1Aに当接して先端部S1Aを曲げる部品を含んでもよい。
【0062】
これに替えて第1変位部20は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、ステープルSを第2回転方向R2に移動することによりステープルSの先端部S1Aに当接して先端部S1Aを曲げる部品を含んでもよい。
【0063】
スライダ44等の移動部品による前方X1への移動に基づいて、当接部材24等の部品を異なる方向へ移動させるための機構については、本実施形態に開示される機構又は他の機構を利用することが可能である。
【0064】
スライダ44等の移動部品による前方X1への移動に基づいて、当接部材24等の部品を第1回転方向R1又は第2回転方向R2に回転させるための機構については、本実施形態に開示される機構又は他の機構を利用することが可能である。
【0065】
更に結束機10は、ステープルSの第2脚部S2を変位させるための第2変位部30を備える。第2変位部30は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、異なる部品を異なる方向に移動させることにより、第1対象物Gと係合可能にステープルSの第2脚部S2を変位させる。
【0066】
本実施形態における第2変位部30は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、第1回転方向R1に回転することにより第2脚部S2を塑性変形するように曲げるアーム(第2アームと呼ばれる場合もある。)を含む。本実施形態においてアームは、ステープルSの第2脚部S2に当接して第2脚部S2を第1脚部S1に近づく方向に曲げながら、上方Z1に傾斜する方向にも曲げることから傾斜曲げ部と呼ばれる場合がある。
【0067】
図2(A)では、第2変位部30は、スライダ44と接続されており、スライダ44の前端部を支点として回転可能に構成されている。しかしながら後述する実施形態において説明されるように、第2変位部30は、スライダ44と接続されていなくてもよい。例えば第2変位部30は、スライダ44と接続されておらず、スライダ44の第2前端部44A2によって第1回転方向R1に回転することにより第2脚部S2を塑性変形するように曲げる第2アーム32を備えてもよい。
【0068】
なお第2変位部30は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、ステープルSの内方(左方X1)である前方X1と略垂直方向に移動することによりステープルSの第2脚部S2に当接して第2脚部S2を曲げる部品を含んでもよい。
【0069】
これに替えて第2変位部30は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、ステープルSの外方(右方Y1)に移動することによりステープルSの第2脚部S2に当接して第2脚部S2を曲げる部品を含んでもよい。
【0070】
これに替えて第2変位部30は、スライダ44による前方X1への移動に基づいて、ステープルSを第2回転方向R2に移動することによりステープルSの第2脚部S2に当接して第2脚部S2を曲げる部品を含んでもよい。
【0071】
本実施形態における第2変位部30は更に付加的に、第2脚部S2の先端部S2Aを当接させながら通過させることにより、第2脚部S2の先端部S2Aを反対方向(外方)に曲げる支持壁部68Aを含む。支持壁部68Aは、第2脚部S2の先端部S2Aを曲げることから先端曲げ部と呼ばれる場合がある。
【0072】
ただし予め外方に曲がっている先端部が形成されているステープルを利用する場合、結束機は、支持壁部68Aを含まなくてもよい。
【0073】
本実施形態における結束機10は更に付加的に、第2脚部S2の曲げの支点として機能する支点66Aを含む。本実施形態においては、第2内壁部66の前端が支点66Aとして機能する。また、第2脚部S2の支点66Aに当接する部分から先端までの距離が、第2距離DS2に相当する。
【0074】
図2(A)は、ステープルSの曲げ開始直後の様子を示す上面視における模式図である。同図に示されるように、前方に移動するスライダ44によって第2変位部30が第1回転方向R1に回転を開始する。このため第2変位部30に当接するステープルSの第2脚部S2は、支点66Aを支点として曲がり始める。同時に第2脚部S2の先端部S2Aは、支持壁部68Aに当接しながら支持壁部68Aを通過する。従って、第2脚部SをステープルSの内方に相当する第1回転方向R1に曲げながら、第2脚部S2の先端部S2AをステープルSの外方に相当する第2回転方向R2に曲げることが可能となる。
【0075】
図2(B)及び(C)は、ステープルSの曲げ開始後の様子を示す上面視における模式図である。同図に示されるように、更に前方に移動するスライダ44によって第2変位部30が更に第1回転方向R1に回転する。このため第2変位部30は、支点66Aを支点として第2脚部S2を更に第1回転方向R1に曲げる。
【0076】
図2(D)は、ステープルSの第2脚部S2が曲げられて、上面視において、第1脚部S1と交差したときの様子を示す模式図である。なお本実施形態において第2脚部S2は、第1脚部S1に近づく方向に曲げられながら、上方Z1に傾斜する方向にも曲げられるため、第1脚部S1と干渉しない。同図に示されるように、更に前方に移動するスライダ44によって第2変位部30が更に第1回転方向R1に回転し、90度以上回転するため、第2変位部30は、上面視において、第1脚部S1と交差する位置まで第2脚部S2を曲げることが可能に構成されている。
【0077】
図2(E)は、ステープルSの第1脚部S1が曲げられている様子を示す上面視における模式図である。同図に示されるように、前方に移動するスライダ44によって第1変位部20の当接部材24は、内方(右方Y1)及び後方X2に傾斜する方向に移動して、第1脚部S1の先端部S1Aを曲げる。先端部S1Aは図に示されるように、第1脚部S1に対して上方Z1に折り曲げられてもよいし、下方Z2に折り曲げられてもよい。このように第1脚部S1の先端部S1を曲げることによって、第1脚部S1で第1対象物Gを挟み込むことが可能となる。
【0078】
また本実施形態においては、第1変位部20と第2変位部30とスライダ44とが当接するタイミングが異なるように両者を配置することによって、ステープルSの第1脚部S1の曲げが開始するタイミングと、ステープルSの第2脚部S2の曲げが開始するタイミングとをずらすように構成されている。このような構成とすることにより、結束機10に、同時に大きな負荷が生じることを抑制することが可能となる。また、曲げ量が大きい第2脚部S2の曲げを先に開始することによって、第1脚部S1の曲げが終了するタイミングと第2脚部S2の曲げが終了するタイミングを大きくずれることを抑制することが可能となる。
【0079】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る結束機10の詳細構成について説明する。
【0080】
図3は、右側面視における結束機10の断面図である。
図4Aは、上面視における結束機10の断面図である(但し便宜上、図を90度回転させている。以下便宜上の理由により同様に図を回転させている場合がある。更に説明をわかりやすくするために説明されない構成(例えば結束機10の筐体)については省略されている(以下同様の理由により図において一部構成を省略する場合がある)。
【0081】
図4Bは、
図4AにおけるA-A断面で結束機10を切断した正面視における結束機10の断面図である。
図5は結束機10の前端部分の拡大斜視図である。
【0082】
[結束機10の構成概要]
この結束機10は、開口が形成されているステープルSを用いて第1対象物Gと第2対象物Pとを結束する。なお、一実施形態に係るステープルS(
図1A、
図1B)の構成については上述した。
【0083】
第1対象物Gは、例えば、ワイヤ、梁、紐、棒、パイプ、樹木の枝等である。第1対象物Gは、ガイド要素と呼ばれる場合がある。第2対象物Pは、例えば、草木や樹木等の茎、蔓、枝、果物等である。結束機10は、ステープルSの第1脚部S1を第1対象物Gと係合するように変位させるとともに、第2対象物PをステープルSが囲むように第2脚部S2を第1対象物Gと係合するように変位させることにより、第1対象物Gに対する第2対象物Pの移動を制限し、第1対象物Gと第2対象物Pとを結束する。
【0084】
結束機10は、第1対象物Gと係合可能にステープルSの第1脚部S1を変位させる第1変位部20と、第1対象物Gと係合可能にステープルSの第2脚部S2を変位させる第2変位部30とを備える。第2変位部30は、第2対象物PをステープルSの第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3で囲んだ状態で第2脚部S2の先端部S2Aを第1対象物Gと係合することにより、第1対象物Gと第2対象物Pとを結束可能に構成される。
【0085】
より具体的には、結束機10は、使用者によって把持されるように上下方向に延在し、結束機10を駆動するためのスイッチが設けられたグリップ12と、上下方向に積層された複数のステープルSを収容可能に構成されるマガジン14(
図3)と、マガジン14に収容される複数のステープルSを上方Z1に付勢するプッシャ16と、上端に位置するステープルSを前方X1に押すことにより上端に位置するステープルSを他のステープルSと分離させて、前方X1に移動させるドライバ42と、ドライバ42及びスライダ44を移動させるための移動機構と、スライダ44によってステープルSの第1脚部S1を変位させるための第1変位部20と、スライダ44によってステープルSの第2脚部S2を変位させるための第2変位部30と、ステープルSの他のステープルSからの離脱時の移動路を提供する離脱部56とを備える。
【0086】
ここで第1変位部20は、ドライバ42によってステープルSが前方X1に移動しているときに第1脚部S1の先端部S1Aが当接しながら通過することによって先端部S1Aを変位させるための第1外壁部62及び第1内壁部64を含む。
【0087】
また第1変位部20は、前方X1に移動するスライダ44の第1前端部44A1によって押されることにより回転する第1アーム22と、第1アーム22の回転に伴ってステープルSの内方に向かって第1脚部S1の先端部S1Aに当接しながら移動することにより、第1脚部S1の先端部S1Aを曲げる当接部材24とを含む。当接部材24は、爪部材と呼ばれる場合がある。
【0088】
第2変位部30は、前方X1に移動するスライダ44の第2前端部44A2によって押されることにより回転する第2アーム32を含む。第2アーム32は、ステープルSの第2脚部S2に当接しながら回転することにより、第2脚部S2を屈曲可能に構成される。このとき、上述したように第2対象物PをステープルSの第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3で囲んで第2脚部S2を第1対象物Gに係合させることにより、第1対象物Gと第2対象物Pを結束することが可能となる。
【0089】
本実施形態に係る結束機10は、スライダ44等の部品を前方X1へ並進運動させ、並進運動した部品で第1アーム22及び第2アーム32を押して回転運動に変換することにより、ステープルSの第1脚部S1及び第2脚部S2をそれぞれ変位させている。しかしながら、第1脚部S1又は第2脚部S2を変位させる手段はこれに限られるものではない。例えば、第1脚部S1を変位させるための手段として、ドライバ42又はスライダ44によって第1脚部S1の先端部S1Aが前進すると、先端部S1Aが円弧状に変位する手段を搭載してもよい。また、並進運動を回転運動に変換するための構成として、並進運動を回転運動に変換するための他の手段を採用してもよい。更に本実施形態においては第1アーム22及び第2アーム32は上面視において共に同一方向に回転させて第1脚部S1及び第2脚部S2を変位させるが、これに限られるものではなく、例えば、第2アーム32を反対方向に回転させて第2脚部S2を変位させてもよい。
【0090】
以下本実施形態に係る結束機10の詳細な構成について説明する。
【0091】
[ドライバ及びスライダの移動機構(送り機構)]
結束機10のドライバ42は、前方X1に移動することにより、ステープルSを前方X1に移動させる機能を有する。ドライバ42は、他のステープルSと連結された上端のステープルSを前方X1に移動させることにより、他のステープルSと分離するように構成され、更にステープルSを前方X1に移動させて第1脚部S1の先端部S1Aを第1変位部20が含む第1外壁部62に当接させて通過させることにより、第1脚部S1の先端部S1Aを変位させるように構成されている。
【0092】
図6Aは、本実施形態に係るドライバ42の斜視図であり、
図6Bは、上面視におけるドライバ42の平面図である。これら図面に示されるように、ドライバ42は、板状に形成されており、ステープルSの本体部S3に当接する前端面42Sを有する前端部と、前端部より後方X2に設けられ、下方Z2に突出するドライバ凸部42Cが形成された後端部とを含む。
【0093】
ドライバ42の前端部は、ステープルSの本体部S3の形状にあわせて、前後方向に対して傾斜して設けられる前端面42Sを含む。
【0094】
更にドライバ42の前端部の左端は、ステープルSの左端に相当する第1脚部S1の第1部S1B乃至本体部S3の第1脚部S1に接続する部分に外方である左方Y2から当接して第1脚部S1を支持するために、前方X1に延在する壁面を有するように前方X1に延伸する突端部42Bを有する。
【0095】
図4B及び
図8Bに示されるようにドライバ42は、ベース46に設けられた凹部に嵌められることにより前後方向に移動するようにガイドされる。ドライバ42の上面は、ベース46に設けられた凹部に嵌められるスライダ44の底面に当接されるためドライバ42の上方Z1への移動が制限される。また、ドライバ42の左右の側面は、前後方向に延在して設けられるベース46の左右の壁面にそれぞれ当接されるためドライバ42の左右への移動が制限される。更にドライバ42の後端部に形成され、下方Z2に突出するドライバ凸部42Cは、ベース46の凹部に挿入される。ドライバ凸部42Cの左右の壁面及び底面は、それぞれベース46の壁面及び上面に対向する。以上のような構成によりドライバ42は、前後方向に移動するようにガイドされる。
【0096】
下方Z2に突出するドライバ凸部42Cの底部には、3本の溝が形成される。具体的には、後述する切替ブロック48(「ブロック」の一例)の第1爪部48C1によって前方X1に押されることにより前方X1に移動するための第1溝42G1と、第2爪部48C2によって後方X2に押されることにより後方X2に移動するための第2溝42G2と、第3爪部48C3によって前方X1に押されることにより前方X1に移動するための第3溝42G3とが形成されている。同図に示されるように、第1溝42G1、第2溝42G2及び第3溝42G3は、互いに平行に、それぞれ前後方向に延在して設けられる。また、第1溝42G1及び第3溝42G3の前端(第1溝42G1及び第3溝42G3の後方X2を向いた溝の側面)は、前後方向において同じ位置に設けられる。また、第2溝42G2の後端(第2溝42G2の前方X1を向いた溝の側面)は、第1溝42G1及び第3溝42G3の前端(第1溝42G1及び第3溝42G3の後方X2を向いた溝の側面)よりも後方X2に設けられる。一方で、第1溝42G1及び第3溝42G3は、第2溝42G2の後端よりも後方X2に延在して設けられる。
【0097】
後述するように前進時に第1溝42G1及び第3溝42G3という2つの溝を用いてドライバ42を前進させ、後退時に第2溝42G2という1つの溝を用いてドライバ42を後退させることにより、相対的に高負荷となる前進時に好適にドライバ42が前方X1に移動可能な構成を採用した。また、上面視において第2溝42G2をボールねじ50の中心軸と重複するように設け、第1溝42G1と第3溝42G3が第2溝42G2を挟むように設けることによりドライバ42がバランス良く前進及び後退可能に構成した。
【0098】
ドライバ42は、結束機10のベース46上に載置され、ベース46上を前後方向に移動可能に構成される。このため、第1溝42G1、第2溝42G2及び第3溝42G3を形成することによって、ベース46の上面の一部は上方Z1に露出する。
【0099】
結束機10のスライダ44は、前方X1に移動して第1変位部20及び第2変位部30を前方X1に押すことにより、ステープルSの第1脚部S1及び第2脚部S2を変位させる機能を有する。本実施形態にかかるスライダ44は、第1変位部20の第1アーム22を前方X1に押して第1アーム22を回転させる第1前端部44A1と、第2変位部30に第2アーム32を前方X1に押して第2アーム32を回転させる第2前端部44A2とを含む。
【0100】
図7Aは本実施形態に係るスライダ44の斜視図であり、
図7Bは上面視におけるスライダ44の平面図である。これら図面に示されるように、スライダ44は、板状に形成されており、ステープルSの第1脚部S1が配置される左側において前方X1に延伸する第1前端部44A1と、ステープルSの第2脚部S2が配置される側において第1前端部44A1と離間して前方X1に延伸する第2前端部44A2とを有する。
【0101】
更にスライダ44は、後述するナット部品52にボルト固定されるための固定部44Bを備える。
【0102】
図4Bに示されるようにスライダ44は、ベース46に設けられた凹部に嵌められることにより前後方向に移動するようにガイドされる。スライダ44の上面は、ベース46又は筐体に固定されたガイドに当接することによって上方Z1への移動を制限される。また、スライダ44の左右の側面は、前後方向に延在して設けられるベース46の左右の壁面に当接することによって左右への移動を制限される。更にスライダ44の底面は、ベース46の上面及びドライバ42の上面に支持される。このような構成によりスライダ44(及びスライダ44が積層されるドライバ42)は、前後方向に移動するようにガイドされる。
【0103】
スライダ44の第1前端部44A1及び第2前端部44A2の構成については後述する。
【0104】
結束機10のナット部品52(
図4A、
図8A及び
図8B等)は、ドライバ42及びスライダ44を前方X1及び後方X2に移動させる機能を有する。本実施形態に係るナット部品52には、ボールねじ50の雄ねじと不図示のボール部材を介して螺合する雌ねじが形成されている。このためボールねじ50が順方向に回転することによりナット部品52は前方X1に移動し、ボールねじ50が逆方向に回転することによりナット部品52は後方X2に移動する。ナット部品52は、スライダ44と固定されている。また、
図8Aに示されるようにナット部品52の前端面は、スライダ44の後端面に当接する。このため、ナット部品52とスライダ44は回転モーメントが抑制された態様で一体的に前方X1及び後方X2に移動可能に構成されている。
【0105】
更にナット部品52は、第1爪部48C1、第2爪部48C2及び第3爪部48C3が設けられる切替ブロック48(
図8B)を保持するために下方Z2に突出する円環状の保持部52Aを含む。ナット部品52とナット部品52に保持される切替ブロック48は一体的に前方X1及び後方X2に移動可能に構成されている。保持部52Aは、第1爪部48C1が第1溝42G1に、第2爪部48C2が第2溝42G2に、第3爪部48C3が第3溝42G3に挿入可能なように切替ブロック48を保持する。
【0106】
ナット部品52、スライダ44及びドライバ42は、前方X1及び後方X2に移動可能に構成されているため、移動部と呼ばれる場合がある。
【0107】
図8Aは、結束機10を側面から見た側面視において結束機10をボールねじ50の中心軸50AXを含む垂直断面で切断した部分拡大図である。
図8Bは、結束機10を後方X2から見た背面視において結束機10をボールねじ50の中心軸50AXに垂直な垂直断面で切断した部分拡大図である。
図9は、結束機10の斜視断面図におけるナット部品52等を示す部分拡大図である。
【0108】
図8Bに示されるように、ナット部品52と切替ブロック48との間には、切替ブロック48の底面をベース46の表面に押し付ける弾性力を発生させるための弾性部材49が挿入される。従って切替ブロック48は、上下方向に移動可能に構成されており、ナット部品52と切替ブロック48との上下方向の間隔は、切替ブロック48が通過するベース46の表面形状に応じて変動する。
【0109】
本実施形態において、ナット部品52は、モータ54及びボールねじ50によって前方X1及び後方X2に移動可能に構成される。
【0110】
モータ54(
図4A)はボールねじ50を回転させる。モータ54は、結束機10の後端部に設けられる。なお結束機10は着脱自在に設けられるバッテリを備え、モータ54はバッテリの電源によって回転駆動可能に構成されてもよい。本実施形態にかかる結束機10は更に減速機55を備えており、モータ54は減速機55によりトルクを増加させてボールねじ50を回転させる。更に結束機10の後端部には、モータ54を制御するための制御装置に相当するCPUが搭載されているプリント配線基板が搭載されている。
【0111】
ボールねじ50(
図4A、
図8A及び
図8B)は、結束機10の略中心を前後方向に延伸して設けられる。上述したようにボールねじ50には、ナット部品52の雌ねじと不図示のボール部材を介して螺合する雄ねじが形成されている。
【0112】
ベース46(
図4B、
図8A及び
図8B)は、ドライバ42及びスライダ44を支持する。
図4Bに示されるように、ベース46は、ドライバ42の底面に当接乃至対向することによりドライバ42を下方Z2から支持する支持面と、ドライバ42の左端の側面に当接乃至対向することによりドライバ42を左方Y2から支持するために、前後方向に延在する壁部を有する。更にベース46は、ドライバ42の右端に当接乃至対向することによりドライバ42を右方Y1から支持するために、前後方向に延在する壁部を有する。このような構成により、ベース46は、前後方向に移動するようにドライバ42をガイドする。
【0113】
更にベース46は、ドライバ42上に載置されるスライダ44の底面に当接乃至対向することによりスライダ44を下方Z2から支持する支持面と、スライダ44の左端に当接乃至対向することによりスライダ44を左方Y2から支持するために、前後方向に延在する壁部を有する。更にベース46は、スライダ44の右端に当接乃至対向することによりスライダ44を右方Y1から支持するために、前後方向に延在する壁部を有する。このような構成により、ベース46は、前後方向に移動するようにスライダ44をガイドする。
【0114】
図9に示されるように、ベース46には、後方X2に進行するほど上方Z1に突出するようにテーパが設けられた第1突起46A1と、前方X1に進行するほど上方Z1に突出するようにテーパが設けられた第2突起46A2と、後方X2に進行するほど上方Z1に突出するようにテーパが設けられた第3突起46A3とが形成される。
【0115】
第1突起46A1は、ドライバ42が後方X2に移動したときに第1爪部48C1の経路上(第1溝42G1の内部)に設けられる。
【0116】
第2突起46A2は、ドライバ42が前方X1に移動したときに第2爪部48C2の経路上(第2溝42G2の内部)に設けられる。
【0117】
第3突起46A3は、ドライバ42が後方X2に移動したときに第3爪部48C3の経路上(第3溝42G3の内部)に設けられる。
【0118】
第1突起46A1乃至第3突起46A3は、それぞれ、ドライバ42の高さ(ドライバ42の板厚)と同一又はドライバ42よりも高く形成するのが好ましい。
【0119】
第1突起46A1及び第3突起46A3は、前後方向において同じ位置に設けられる。第2突起46A2は、第1突起46A1及び第3突起46A3よりも前方X1に設けられる。
【0120】
以上のような構成によれば、モータ54がボールねじ50を順方向に回転させると、ナット部品52、ナット部品52に固定されるスライダ44及びナット部品52に保持される切替ブロック48は、共に前方X1に移動する。また、切替ブロック48の第1爪部48C1、第2爪部48C2及び第3爪部48C3がそれぞれ第1溝42G1、第2溝42G2及び第3溝42G3内に挿入されているため、第1爪部48C1の前面及び第3爪部48C3の前面は、第1溝42G1の後方X2を向いた側面と第3溝42G3の後方X2を向いた側面にそれぞれ当接する。このため弾性部材49によってベース46の表面に押し付けられる切替ブロック48は、ベース46の表面を下方Z2に押し付けながら、第1爪部48C1の前面及び第3爪部48C3の前面によってドライバ42を前方X1に移動させる。その結果、ドライバ42とスライダ44は共に前方X1に移動する。ドライバ42とスライダ44が共に前方X1に移動する移動動作を第1移動動作と呼ぶ。
【0121】
その後、切替ブロック48が第2突起46A2が設けられた位置まで前進すると、第2爪部48C2は第2突起46A2の傾斜面に従って上方Z1に移動する。このため切替ブロック48が前方X1に移動しながら上方Z1に移動する。その結果、第1爪部48C1の前面及び第3爪部48C3の前面は、当接していた第1溝42G1の側面及び第3溝42G3の側面よりも上方Z1に移動する。従って、切替ブロック48はドライバ42の上に乗り上げ、ドライバ42は前方X1への移動を停止する。このとき第1移動動作は終了する。
【0122】
第1移動動作の終了後、モータ54がボールねじ50を順方向に更に回転させると、切替ブロック48は、ドライバ42上を前方X1に移動する。このときスライダ44とドライバ42のうち、スライダ44のみが前方X1に移動する。ドライバ42とスライダ44のうちスライダ44のみが前方X1に移動する移動動作を第2移動動作と呼ぶ。ドライバ42に対してスライダ44が所定量前進すると、モータ54はボールねじ50の順方向の回転を停止する。このとき第2移動動作は終了する。
【0123】
なお、第2移動動作中、切替ブロック48とドライバ42との摩擦によりドライバ42が前進する可能性がある。このため結束機10は、第2移動動作中のドライバ42の前進を停止させるためのストッパを備えてもよい。例えばベース46に開口穴を形成しこの開口穴から上方Z1に付勢されるボール等のストッパを露出させ、一方でドライバ42の底面には、ボールが挿入される凹みを設け、第1移動動作が終了しドライバ42の前方X1への移動を停止すべき位置において、ストッパと凹部とが係合するように構成することで、第2移動動作中のドライバ42の前進及び後退を抑制することが可能である。
【0124】
後述するように第1移動動作において、前方X1に移動するドライバ42を用いて上端のステープルSを前方X1に押すことにより、上端のステープルSを前方X1に移動させて他のステープルSと分離させることが可能となる。更に第1移動動作において、前方X1に移動するドライバ42を用いて上端のステープルSを前方X1に移動させながら、第1脚部S1の先端部S1Aを第1外壁部62に当接させることにより、第1脚部S1の先端部S1Aが第1脚部S1の第1部S1Bとなす屈曲角α1を更に小さくするように第1脚部S1を変位(塑性変形)させることが可能となる。
【0125】
また第2移動動作においてドライバ42は前方X1への移動を停止するからドライバ42に押されていたステープルSも前方X1への移動を停止する。従って、第2移動動作においてスライダ44を前進させることにより、ステープルSを停止させた状態で、スライダ44の第2前端部44A2により第2変位部30の第2アーム32を前方X1に押して回転させて、第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3で囲んで第1対象物Gと係合するようにステープルSの第2脚部S2を変位させることが可能となる。更にステープルSを停止させた状態で、スライダ44の第1前端部44A1により第1変位部20の第1アーム22を回転させることにより第1対象物Gと係合するようにステープルSの第1脚部S1を変位させることが可能となる。
【0126】
なお結束機10は、ドライバ42及びスライダ44の移動量を制御するために、モータ54の回転量を取得するためのホールセンサその他のセンサを更に備えてもよい。更に結束機10は、ナット部品52の前後方向の位置を検出し、制御するためにナット部品52に取り付けられる磁石と、ナット部品52に取り付けられた磁石の位置を取得するためのホールセンサその他のセンサを更に備えてもよい。
【0127】
結束動作の完了後、モータ54がボールねじ50を逆方向に回転させることによりナット部品52、ナット部品52と固定されるスライダ44及びナット部品52に保持される切替ブロック48は、共に後方X2に移動する。このとき切替ブロック48は、停止しているドライバ42上を後方X2に移動する。
【0128】
更にモータ54がボールねじ50を逆方向に回転させると、ベース46に設けられた第2突起46A2の傾斜面に従って切替ブロック48の第2爪部48C2が後方X2に移動しながら下方Z2に移動するため、切替ブロック48の第1爪部48C1、第2爪部48C2及び第3爪部48C3がそれぞれ第1溝42G1、第2溝42G2及び第3溝42G3内の領域に挿入される。更にモータ54がボールねじ50を逆方向に回転させると切替ブロック48が後方X2に移動して、切替ブロック48の第2爪部48C2の後面が第2溝42G2の前方X1を向いた側面に当接する。このため切替ブロック48は、弾性部材49によってベース46の表面を下方Z2に押し付けながら、第2爪部48C2の後面によってドライバ42を後方X2に移動させる。このとき、ナット部品52、スライダ44、切替ブロック48及びドライバ42は、共に後方X2に移動する。
【0129】
更にモータ54がボールねじ50を逆方向に回転させて切替ブロック48が第1突起46A1及び第3突起46A3が設けられた位置まで後退すると、切替ブロック48の第1爪部48C1及び第3爪部48C3は、それぞれ、第1突起46A1及び第3突起46A3の傾斜面に従って上方Z1に移動する。このため切替ブロック48は後方X2に移動しながら上方Z1に移動する。その結果、第2爪部48C2の後面は、当接していた第2溝42G2の側面よりも上方Z1に移動する。従って、切替ブロック48はドライバ42の上に乗り上げ、ドライバ42は後方X2への移動を停止する。結束機10は、ドライバ42の後方X2への移動を規制するために、上述した構成又はその他の構成からなるストッパを備えてもよい。
【0130】
その後更にモータ54がボールねじ50を逆方向に回転させると、切替ブロック48は、ドライバ42上を後方X2に移動する。このときドライバ42とスライダ44のうちスライダ44のみが後方X2に移動する。ドライバ42に対してスライダ44が所定量後退すると、モータ54はボールねじ50の逆方向の回転を停止する。
【0131】
その後、モータ54がボールねじ50を順方向に回転させると、ナット部品52、ナット部品52に固定されるスライダ44及びナット部品52に保持される切替ブロック48は、共に前方X1に移動する。切替ブロック48の第1爪部48C1及び第3爪部48C3が、それぞれ、第1溝42G1前端の側面及び第3溝42G3前端の側面に当接乃至近接する位置まで、ナット部品52、スライダ44及び切替ブロック48を、共に前方X1に移動させることにより、その後に、第1移動動作に移行することが可能となる。
【0132】
以上のような構成により結束機10は、ドライバ42とスライダ44とが共に前進する第1移動動作と、ドライバ42とスライダ44のうちスライダ44のみが更に前方X1に移動する第2移動動作を実行可能に構成されている。
【0133】
なお初期状態におけるナット部品52の位置は限定されるものではない。例えば、初期状態から起動直後は、スライダ44のみが前方に移動し、その後にドライバ42及びスライダ44が開始する第1移動動作が実行するように結束機10を構成してもよい。
【0134】
[離脱部の送り曲げ機構]
離脱部は、ドライバ42によって分離し前方X1に移動するステープルSの移動路及び第1変位部20及び第2変位部30による変位中にステープルSを支持する支持壁を含む。
【0135】
図10に示されるように離脱部56は、スライダ44の移動に伴って上下動が可能に設けられている。離脱部56は、スライダ44の移動に伴ってスライダ44の一部が入り込む間隙56Aが形成されている。スライダ44の一部が離脱部56の間隙56Aに入り込むことで離脱部56の上下位置を安定させることができ、ステープルSの変形を確実に行える。
【0136】
図11A及び
図11Bは、初期状態(待機状態)における正面視及び上面視における結束機10の前端部分を示す部分拡大図である。
【0137】
第1外壁部62は、ドライバ42によってステープルSが前方X1に移動しているときに、第1脚部S1の先端部S1Aが当接しながら通過することにより、第1脚部S1の先端部S1Aが第1脚部S1の第1部S1B(第1脚部S1の先端部S1Aに接続する部分)となす屈曲角α1を更に小さくするように塑性変形させる。
【0138】
従って第1外壁部62は、ステープルSの第1脚部S1の先端部S1Aの一部のみが接触する位置に設けられている。
【0139】
第1内壁部64は、ドライバ42によってステープルSの第1脚部S1が前方X1に移動しているとき及び第1脚部S1の変位時に、第1脚部S1の内側に設けられることによって第1脚部S1を内側から支持する。第1内壁部64は、第1脚部S1の移動経路に沿って設けられた底面と、第1脚部S1の移動方向である前後方向に略平行に設けられ第1脚部S1を内側から支持する壁面とを有する。
【0140】
一方で第1外壁部62は、第1内壁部64の壁面との間隙が前方X1に進行するほど小さくなるように傾斜する壁面を含むように設けられている。このような構成により、第1脚部S1の先端部S1Aが前方X1に進行するほど、屈曲角α1が小さくなるように先端部を変位させることが可能となる。
【0141】
更に本実施形態における第1外壁部62は、少なくとも、第1内壁部64の壁面との間隙が相対的に大きく減少する壁面が形成された第1領域62A(
図9)と、第1領域62Aより前方X1に設けられ第1内壁部64の壁面との間隙が小さく減少する壁面が形成された第2領域62B(同図)とを含む。
【0142】
第1領域62Aにおける第1外壁部62の壁面と第1内壁部64の壁面との間隙(前方X1と垂直な左右方向における距離)の平均減少率を第1減少率とし、第2領域62Bにおける第1外壁部62の壁面と第1内壁部64の壁面との間隙(前方X1と垂直な左右方向における距離)の平均減少率を第2減少率とするとき、第1減少率の絶対値は、第2減少率の絶対値より大きい。換言すると、上面視における前後方向と第1外壁部62の第1領域62Aの壁面とがなす角は、上面視における前後方向と第1外壁部62の第2領域62Bの壁面とがなす角より大きい。
【0143】
屈曲部の屈曲角α1が小さいほど変位に対して反発する弾性力は小さくなるから、上記構成によりスムーズに第1脚部S1の先端部S1Aを曲げることが可能となる。
【0144】
なお第1脚部S1が接触しない壁面は、上記構成に限られるものではない。例えば、第1内壁部64の上部を外方に突出するように設けて第1部S1Bの上面に対向する壁面を設けることにより、第1部S1Bが上方Z1に変位することを規制するように第1内壁部64を設けてもよい。
【0145】
更に第1内壁部64には、先端部S1A及び当接部材24が第1部S1Bの下方Z2を通過することを許容するための貫通孔が形成されている(
図5)。
【0146】
[離脱部の支持壁]
離脱部は、更に第2脚部S2の変位時に第2脚部S2の内側に設けられることによって第2脚部S2を内側から支持する壁面を有する第2内壁部66を含む。第2内壁部66は、第2脚部S2の移動経路に沿って前後方向に略平行に設けられ設けられた底面を更に有する。
【0147】
第2内壁部66の前端は、第2脚部S2を屈曲させるときの支点として機能する。このため第2内壁部66は、第2脚部S2の屈曲部位である第2脚部S2の先端から第2距離DS2の位置に前端が設けられる。第2脚部S2は開口を閉塞する距離を有する必要があるため、第2内壁部66の前端は、第2脚部S2の先端からステープルSの開口幅以上の距離離間した位置に設けられる必要がある。第2脚部S2の先端部S2Aは、先端支持部68によって支持される。また、ステープルSの開口幅は、第1内壁部64の壁面と第2内壁部66の壁面との幅に相当する。このため、先端支持部68(のうち第2脚部S2の先端が対向する面)と第2内壁部66の前端との距離は、ステープルSの開口幅に相当する第1内壁部64の壁面と第2内壁部66の壁面との幅よりも大きくなるように第2内壁部66は設けられている。
【0148】
第2変位部30は更に第2脚部S2の先端部S2Aを支持する先端支持部68を含む。先端支持部68は、第2脚部S2の内側に設けられ、先端部S2Aを内側から支持する壁面を有する支持壁部68Aを含む。
【0149】
[第1変位部]
第1変位部20は、第1対象物Gと係合可能に第1脚部S1を変位させる機能を有する。
【0150】
本実施形態に係る第1変位部20は、スライダ44の第1前端部44A1によって押されることにより回転する第1アーム22と、第1アーム22の回転に伴ってステープルSの内方に向かって第1脚部S1の先端部S1Aに当接しながら移動することにより、第1脚部S1の先端部S1Aが塑性変形するように曲げる当接部材24(爪部材)とを備える。
【0151】
まずスライダ44の第1前端部44A1の構成を説明する。
【0152】
図7A及び
図7Bに示されるようにスライダ44の第1前端部44A1は、スライダ44の左方Y2端部に、前方X1に延伸して設けられる。第1前端部44A1は、前方X1移動時に第1アーム22と当接することにより第1アーム22を第1回転方向R1に回転させるために上方Z1に突出する第1凸部44A11と、後方X2移動時に第1アーム22と当接することにより第1アーム22を第1回転方向R1と反対の第2回転方向R2に回転させる第2凸部44A12を含んでいる。
【0153】
第1凸部44A11は、第2凸部44A12よりも後方X2に設けられる。また、第1凸部44A11は、第2凸部44A12よりも外側(左方Y2)に設けられる。このような構成により第1アーム22の回転軸と第1凸部44A11との距離を第2凸部44A12との距離よりも大きくすることが可能となるため、高負荷となる前進時に大きな回転トルクを発生させることが可能となる。
【0154】
スライダ44の第1前端部44A1は更に前方X1に延伸する突端部44A13を含む。突端部44A13は、第1脚部S1の先端部S1Aの塑性変形時に第1脚部S1の先端部S1Aに接続する第1部S1Bを上方Z1から押さえつけることにより、第1部S1Bが曲がってしまうことを抑制する。
【0155】
続いて第1変位部20の第1アーム22について説明する。第1アーム22は、スライダ44の第1前端部44A1によって前方X1に押されることにより第1方向に回転して、当接部材24を内方に並進移動させる部材である。
【0156】
図12Aは、上面視における第1変位部20による塑性変形開始時における結束機10の前端部分を示す部分拡大図であり、
図12Bは左側面視における第1変位部20の断面の部分拡大図であり、
図12Cは結束機10の前端部の拡大斜視図である。但し便宜上、各図において説明に不要な部品は省略されている。
【0157】
図12A等に示されるように、第1アーム22の回転軸22AXは、ステープルSの第1脚部S1の外方(右方Y1)かつ前方X1に設けられている。また、第1アーム22の回転軸22AXは、上下方向を向くように前後方向に垂直に設けられている。更に第1アーム22は、待機時において回転軸22AXから後方X2に延在して設けられる部分を有し、この部分の後端には、下方Z2に突出し、後方X2かつ内方に傾斜して延在する壁部を有する。この壁部の後方X2を向いた面は初期状態において後方X2かつ外方を向き、この壁部の前方X1を向いた面は前方X1かつ内方を向く。この壁部の後方X2を向いた面は、前進する第1凸部44A11に当接する面を含む。この壁部は、第1凸部44A11に当接することによって第1回転方向R1に回転しながら第1凸部44A11と第2凸部44A12との間の領域を貫通するように移動する。また、この壁部の前方X1を向いた面は、後退する第2凸部44A12に当接する面を含む。従って壁部は、第2凸部44A12に当接することによって第1回転方向R1と反対の第2回転方向R2に回転しながら元の位置に戻るように構成されている。
【0158】
図12Cに示されるように第1アーム22の後端部には更に、下方Z2に突出する凸部22Cが設けられる。この凸部22Cは、当接部材24の端部に設けられる凹部24Aと係合する。この凸部22Cが第1アーム22の回転軸22AXを中心に第1回転方向R1に回転することにより、当接部材24は、ステープルSの内方に向かって進行するように構成されている。
【0159】
図13は、当接部材24(爪部材)の斜視図を示している。当接部材24は、第1アーム22によって押され、ステープルSの内方かつ下方Z2に傾斜する方向に進行することにより、ステープルSの第1脚部S1の先端部S1Aを塑性変形させる機能を有する。当接部材24によって、第1脚部S1の先端部S1Aは、上面視において第1脚部S1の先端部S1Aに接続する第1部S1Bと交差し、かつ、結束前の第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3を貫通する平面PLから離間する下方Z2に先端が進行するように曲げられる。第1対象物Gを挟み込んだ状態で第1脚部S1の先端部S1Aを内方かつ下方Z2に塑性変形させることにより、第1脚部S1の先端部S1Aは、第1部S1Bと干渉することなく第1対象物Gを挟みこむことが可能となる。
【0160】
同図に示されるように当接部材24の末端には、第1アーム22の下方Z2に突出する凸部22Cと係合する凹部24Aが設けられる。第1アーム22の凸部22Cが第1回転方向R1に回転するとき、凹部24Aの側面が当接して当接部材24は、内方かつ下方Z2に傾斜する方向に進行し、この凸部22Cが第2回転方向R2に回転するとき、凹部24Aの他の側面が当接して当接部材24は、上方Z1かつ外方に傾斜する方向に戻る。
【0161】
当接部材24の先端は、先端部を掴むように当接する当接面24Bと、当接面24Bと側面との接続部に設けられ、先端部を塑性変形させる応力を作用させるための角部24Cを含む。ここで当接面24BはステープルSの断面形状にあわせて窪むように形成されている。また当接面24Bは、角部24Cよりも先に先端部S1Aに当接するように傾斜して形成されている。このような構成により当接面24Bで先端部S1Aを掴むように取り込んだ後に、角部24Cで先端部S1Aを塑性変形させることが可能となるから、角部24Cによって塑性変形される先端部S1Aの位置を安定させることが可能となる。
【0162】
図14は、正面視における当接部材24による先端部S1Aの塑性変形後の断面図及びこの断面における領域Aの拡大図を示す。同図に示されるように、当接部材24は、内方に向かって下降するように傾斜するベース46の傾斜面上に載置されることにより、ステープルSの内方(第2アーム32に接近する方向)かつ下方Z2に傾斜する方向に進行するようにガイドされている。第1脚部S1の第1部S1Bは、スライダ44の底面によって上方Z1から、第1内壁部64によって内側及び下方Z2(但し先端部S1Aが第1部S1Bの下方Z2を通過する部分を除く)から支持される。加えて当接部材24の当接面24Bは塑性変形時に第1部S1Bの外面に対向する。このため、第1脚部S1の先端部S1Aの塑性変形時に、第1部S1Bが曲がってしまうことを抑制することが可能となる。
【0163】
[第2変位部]
第2変位部30は、第1対象物Gと係合可能に第2脚部S2を変位させる機能を有する。
【0164】
第2変位部30は、スライダ44の第2前端部44A2によって第1回転方向R1に回転することにより第2脚部S2を塑性変形するように曲げる第2アーム32を備える。
【0165】
まずスライダ44の第2前端部44A2の構成を説明する。
【0166】
図7A及び
図7Bに示されるようにスライダ44の第2前端部44A2は、スライダ44の右方Y1端部に、前方X1に延伸して設けられる。第2前端部44A2は、前方X1移動時に第2アーム32と当接することにより第2アーム32を第1回転方向R1に回転させるために前方X1を向いて形成された第1表面44A21及び第2表面44A22と、この第1前面44A21及び第2表面44A22よりも前方X1に設けられ後方X2を向いて形成された第3表面44A23とを含む。この第1表面44A21及び第2表面44A22と、第3表面44A23との間に第2アーム32の後端部32Bを配設することによりスライダ44の前進時に第2アーム32は第1回転方向R1に回転し、スライダ44の後退時に第2アーム32は第2回転方向R2に回転して元の位置に戻る。
【0167】
スライダ44の第1表面44A21は、前進するスライダ44の第1前端部44A1が第2アーム32の後端部32Bに最初に当接する面に相当する。第1表面44A21に当接する第2アーム32の後端部32Bの面を第1後端面32B1と呼ぶ。
【0168】
スライダ44の第2表面44A22は、第1表面44A21が第1後端面32B1に当接し第2アーム32が第1回転方向R1の回転を開始した後に、更に前進するスライダ44の第2前端部44A2が第2アーム32の後端部32Bに当接する面に相当する。第2表面44A22に当接する第2アーム32の後端部32Bの面を第2後端面32B2と呼ぶ。
【0169】
図7B等に示されるように、上下方向に関し、第1表面44A21は第2表面44A22の上方Z1に設けられ、前後方向に関し第1表面44A21は第2表面44A22の後方X2に設けられ、左右方向に関し第1表面44A21は第2表面44A22の右方Y1、即ち、ステープルSを基準として、第1表面44A21は第2表面44A22よりも外方(右方Y1)に設けられる。
【0170】
この構成により、スライダ44は、第1表面44A21で第2アーム32を押した後に、第2表面44A22で第2アーム32を更に押すことが可能となるから、スライダ44のストロークに対する第2アーム32の回転角度を大きくすることが可能となる。
【0171】
更に、スライダ44の第1表面44A21に当接する接触点(「第1接触点」の一例)における第1後端面32B1の法線と、第1接触点と回転軸32AXとを結ぶ直線とがなす角度(「第1角度」の一例)は、第1接触点がない場合における、スライダ44の第2表面44A22に当接する接触点(「第2接触点」の一例)における第2後端面32B2の法線と、第2接触点と回転軸32AXとを結ぶ直線とがなす角度(「第2角度」の一例)よりも90度に近いようにスライダ44及び第2アーム32は形成されている。
【0172】
第2アーム32の回転により接触点が切り替わった時点で、スライダ44の第1表面44A21に当接する接触点(「第1接触点」の一例)における第1後端面32B1の法線と、第1接触点と回転軸32AXとを結ぶ直線とがなす角度(「第1角度」の一例)は、スライダ44の第2表面44A22に当接する接触点(「第2接触点」の一例)における第2後端面32B2の法線と、第2接触点と回転軸32AXとを結ぶ直線とがなす角度(「第2角度」の一例)と同等になるように、スライダ44及び第2アーム32は形成されている。
若しくは、スライダ44の第2表面44A22に当接する接触点(「第2接触点」の一例)における第2後端面32B2の法線と、第2接触点と回転軸32AXとを結ぶ直線とがなす角度(「第2角度」の一例)の方が90度に近いようにスライダ44及び第2アーム32は形成されている。
【0173】
この構成により、第1表面44A21が第1後端面32B1に当接するときの回転モーメントを、第2表面44A22が第2後端面32B2に当接するときの回転モーメントよりも、相対的に大きくすることが可能となる。
【0174】
後述するように、第2脚部S2は第2アーム32の回転開始時に2つの箇所を同時に曲げる必要があることから、第2アーム32には、回転開始時に大きな負荷がかかる。このため、負荷がかかる回転開始時にスライダ44の第1表面44A21で第2アーム32を前方X1に押すことにより、第2アーム32に相対的に大きな回転モーメントを発生させることが可能となる。なお、回転モーメントを高めるために第2アーム32の回転軸32AXと第1後端面32B1との距離は、第2アーム32の回転軸32AXと第2後端面32B2との距離よりも大きくてもよい。換言すると、第2アーム32の回転軸32AXと第2後端面32B2との距離は、第2アーム32の回転軸32AXと第1後端面32B1との距離よりも小さくてもよい。
【0175】
続いて第2アーム32について説明する。
図15は、第2アーム32を下方から見た斜視図である。
図16A及び
図16Bは、それぞれ、第2アーム32の平面図及び背面図である。
【0176】
これら図面に示されるように、第2アーム32は、初期状態において回転軸32AXから後方X2に延在する後端部32Bと、回転軸32AXよりも前方X1に延在する先端部32Cとを含む。
【0177】
後端部32Bの第1後端面32B1は、第2後端面32B2よりも後方X2に設けられるから、スライダ44の第1表面44A21を第1後端面32B1に当接させ、その後に第2表面44A22を第2後端面32B2に当接させることが可能となる。
【0178】
回転軸32AXは、第1後端面32B1及び第2後端面32B2よりも中心側である左方Y2(内方)に設けられる。このため後端部32Bが前方X1に押されることにより第2アーム32の先端部32Cは、ステープルSの内方乃至第1アーム22に接近する方向に向かう第1回転方向R1に回転する。
【0179】
更に回転軸32AXは、下方Z2に進行するほど内方(左方Y2)に進行するように傾斜して設けられる。このため第1回転方向R1に回転する第2アーム32の先端部32Cは、第1回転方向R1に回転するほど上方Z1に進行するように設けられている。その結果、第2アーム32によって塑性変形されるステープルSの第2脚部S2も、回転するほど上方Z1に進行し、結束前の第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3を貫通する平面PLよりも上方Z1の位置において、第1対象物Gと係合可能に構成されている。
【0180】
第2アーム32の先端部32Cは、第2脚部S2に当接する本体部32C1と、曲げ戻し用の突起32C2とを含む。本体部32C1は、回転軸32AXと離間した位置において第1回転方向R1に突出する2つの凸部が上下に離間して設けられる。この凸部で上下から第2脚部S2を挟み込むことにより第2脚部S2をしっかりと保持して塑性変形させることが可能となる。
【0181】
第2アーム32は、本体部32C1よりも第1回転方向R1に進行した位置に設けられ、下方Z2に突出する曲げ戻し用の突起32C2を含む。第2アーム32を第1回転方向R1に回転させて第2脚部S2を曲げた後に、第2アーム32を第2回転方向R2に回転させてこの突起32C2により第2脚部S2を第2回転方向R2に戻すことによって、第2脚部S2の先端部S2Aを第1対象物Gに係合させることが可能となる。
【0182】
曲げ戻し用の突起32C2は、第1回転方向R1に進行するほど下方Z2に突出するように傾斜して形成される。このような構成により第2回転方向R2に回転させたとき、曲げ戻し用の突起32C2は、第2脚部S2を第2回転方向R2に戻しながら、スムーズに第1対象物Gに係合している第2脚部S2を乗り越えることが可能となる。なお、塑性変形されるステープルSには、下方Z2のステープルSを介してプッシャ16により上方Z1に向かう付勢力が作用している。第2脚部S2の変位時の仰角(結束前の第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3を貫通する平面PLに対して、例えば、10度から45度)及び曲げ戻し突起32C2の傾斜角度は、この付勢力に抗して突起が第2脚部S2を乗り越えられるように設計されている。
【0183】
[結束機を用いた結束方法]
以下、結束機10を用いた結束方法について説明する。
【0184】
上述したように
図11A及び
図11Bは、初期状態(待機状態)における正面視及び上面視における結束機10の前端部分を示す部分拡大図である。
【0185】
このとき、上端のステープルSは、下方Z2のマガジン14内に収容される一又は複数のステープルSと連結されている。また、ドライバ42は、上端のステープルSの本体部S3の後方X2に位置している。ドライバ42の前端と上端のステープルSの本体部S3との間には、わずかな隙間がある。スライダ44は、左端に設けられる突端部44A13がわずかにステープルSと重なっている。
【0186】
図17A及び
図17Bは、使用者がスイッチを操作して、ドライバ42が移動を開始した直後における正面視及び上面視における結束機10の前端部分を示す部分拡大図である。使用者がスイッチを操作するとモータ54が回転を開始し、これに伴ってボールねじ50が順方向に回転するためナット部品52及びナット部品52に固定されるスライダ44が前方X1への移動を開始する。ナット部品52に保持される切替ブロック48の第1爪部48C1及び第3爪部48C3は第1溝42G1内及び第3溝42G3内に挿入されているため第1爪部48C1の前面及び第3爪部48C3の前面は第1溝42G1の後方X2を向いた側面及び第3溝42G3の後方X2を向いた側面に当接し、ドライバ42の前方X1への移動を開始させる。従ってドライバ42とスライダ44が共に前進する第1移動動作が開始する。
【0187】
図8Aに示されるように、ベース46はドライバ42の高さが上端のステープルSと
ほぼ一致するように設けられている。このためベース46上を前方X1に移動するドライバ42の前端面42Sは上端のステープルSの本体部S3に当接し、ステープルSの本体部S3を前方X1に押し出す。下方Z2のステープルSの内側には、下方Z2のステープルSの前方X1への移動を禁止する分離ブロック18(
図5)が設けられている。このため上端のステープルSのみが下方Z2のステープルSから分離して分離ブロック18上を前方X1に移動する。
【0188】
図18は、ドライバ42が前進してステープルSの第1脚部S1の先端部S1Aが離脱部の誘導路上を前進しているときにおける上面視における結束機10の前端部分を示す部分拡大図である。なお、正面視は
図17Aと同一であるから図を省略する。
【0189】
ボールねじ50が順方向の回転を継続するためスライダ44は前方X1に移動する。このためスライダ44の第1前端部44A1は、突端部44A13が第1脚部S1上に位置するように前進し、第2前端部44A2は結束機10の右端に沿って前進する。スライダ44と共にドライバ42も前進する。第1脚部S1の先端部S1Aは、第1外壁部62の進入部に相当する第1領域62Aの壁面に接触する。また、第1脚部S1の第1部S1Bの内側は、第1内壁部64の壁面に接触する。第1外壁部62の壁面と第1内壁部64の壁面との間隔は、前方X1に進行するほど減少するから、第1脚部S1は、前進するほど屈曲角α1が小さくなるように塑性変形する。このとき、ドライバ42の突端部42Bは第1部S1B及び本体部S3の左端を外側から支持し、スライダ44の突端部44A13は第1脚部S1の上面に当接し第1脚部S1を上方Z1から押さえつけることにより第1部S1Bが曲がってしまうことを抑制する。第1領域62Aにおける第1外壁部62の壁面と第1内壁部64の壁面との間隔は相対的に大きく減少するから、第1脚部S1の先端部S1Aと第1部S1Bの角度は相対的に大きく減少する。続く第2領域62Bにおける第1外壁部62の壁面と第1内壁部64の壁面との間隔は相対的に小さく減少するから、屈曲角は相対的に小さく減少する。
【0190】
図19は、ドライバ42が前進してステープルSの第1脚部S1の先端部S1Aが第1外壁部62を通過したときにおける、結束機10の前端部の上面視における部分拡大図である。なお、正面視は
図17Aと同一であるから図を省略する。同図に示されるように、第1外壁部62を通過することにより、先端部は塑性変形し、屈曲角α1は大きく減少する。
【0191】
図20は、ドライバ42が最も前進してステープルSが変位開始位置に到達したときの様子を示す上面視における部分拡大図である。このときステープルSの第1脚部S1の屈曲部が、第1内壁部64の前端(第1内壁部64の後方X2を向いた内壁面)に到達し、第2脚部S2の先端部S2Aが先端支持部68の前端(先端支持部68の後方X2を向いた内壁面)に到達する。なお、正面視は
図17Aと同一であるから図を省略する。
【0192】
このとき第1脚部S1の屈曲部及び第1部S1Bの内側面及び下面は、第1内壁部64によって下方Z2及び右方Y1(内方)から支持される。また、第1脚部S1の屈曲部は第1内壁部64によって前方X1からも支持される。更に第1部S1Bの上面はスライダ44の第1前端部44A1の突端部44A13によって上方Z1から支持される。
【0193】
一方で第2脚部S2の先端部S2Aの内側面及び下面は、先端部によって下方Z2及び左方Y2(内方)から支持される。
【0194】
更に本体部S3の内側面及び第2脚部S2の本体部S3との接続部の内側面は、第2内壁部66によって内方から支持される。
【0195】
このときドライバ42を前方X1に押していた切替ブロック48の第2爪部48C2は、第2突起46A2によって上方Z1に移動する。その結果切替ブロック48がドライバ42の上に乗り上げるため、ドライバ42は前方X1への移動を停止し、第1移動動作が終了する。同時に、ベース46に形成された穴から上方Z1に付勢されたボールがドライバ42の底面に設けられた凹部に嵌りストッパとして機能するため、切替ブロック48との摩擦力によりドライバ42が前方X1又は後方X2へ移動することが抑制される。
【0196】
スライダ44の第1前端部44A1の第1凸部44A11及び第2凸部44A12は、第1アーム22の後端に接近する。また、スライダ44の第2前端部44A2の第1表面は、第2アーム32の第1後端面32B1に近接又は当接する。
【0197】
第1移動動作の終了後、制御装置によってモータ54は回転を停止する。このとき使用者は、第1対象物G及び第2対象物Pを結束機10の所定位置にセットする。本実施形態において第1対象物Gはガイド要素として機能する紐である。従って使用者は、第1対象物Gである紐を第1脚部S1の屈曲部に挿入する。本実施形態において第2対象物Pは茎である。従って使用者は、第2対象物Pである茎をステープルSで囲まれる領域に挿入する。結束機10の第1対象物G及び第2対象物Pが挿入される部分を第1挿入部及び第2挿入部と呼ばれる場合がある。本実施形態において第1対象物Gは第1内壁部64で支持される第1脚部S1の屈曲部に挿入されるので、第1内壁部64は第1挿入部に相当する。また第2対象物Pは第1内壁部64、第2内壁部66で挟まれるように後方X2に窪んで設けられる結束機10の凹部に挿入されるので、この凹部は第2挿入部に相当する。
【0198】
図21A及び
図21Bは、使用者が第1対象物Gを第1挿入部に挿入し、第2対象物Pを第2挿入部に挿入したときの正面視及び上面視における結束機10の前端部分を示す部分拡大図である。
【0199】
その後使用者がスイッチを操作すると、又は、第1挿入部及び第2挿入部にそれぞれ設けられたコンタクトセンサ等のセンサにより第1対象物G及び第2対象物Pが挿入されたことが検出されると、再びモータ54は回転を開始する。モータ54が回転を再開し、これに伴ってボールねじ50が順方向に回転するためナット部品52及びナット部品52に固定されるスライダ44が前方X1への移動を開始する。切替ブロック48はドライバ42上を前進するためドライバ42は前進しない。このためドライバ42とスライダ44のうちスライダ44のみが前進する第2移動動作が開始する。
【0200】
図22A及び
図22Bは、第2移動動作においてスライダ44が更に前進したときの正面視及び上面視における結束機10の前端部分を示す部分拡大図である。第2移動動作においてドライバ42は前進しない。このためステープルSの本体部S3の内側面は第1内壁部64及び第2内壁部66により支持され、外側面はドライバ42により支持されて静止している。
【0201】
スライダ44の第1前端部44A1の第1凸部44A11は、第1アーム22の後端部の下方Z2に突出して傾斜する方向に延在する壁部の後方X2を向いた面に当接して、第1アーム22を前方X1に押す。第1アーム22の回転軸22AXは、このとき第1凸部44A11に対して前方X1及び外方(左方Y2)の位置に設けられている。このため第1アーム22は第1回転方向R1への回転を開始する。第1アーム22の後端部の壁部は、第1凸部44A11と第2凸部44A12の間隙の領域を通過しながら第1回転方向R1に回転する。なおこの時点において第1脚部S1は第1変位部20によって塑性変形されていない。
【0202】
一方で第2前端部44A2の第1表面44A21は第2アーム32の第1後端面32B1に当接し第2アーム32を前方X1に押す。第2アーム32の回転軸32AXは、このとき第1後端面32B1に対して前方X1かつ内方(左方Y2)に位置するから第2アーム32も第1回転方向R1への回転を開始する。第2アーム32の本体部S3の2つの突起に上下から挟まれる第2脚部S2は、第2内壁部66の前端を支点として、内方に向かって屈曲されようとする。
【0203】
このとき第2脚部S2の先端部S2Aは、第2脚部S2の内側に設けられる先端支持部68の支持壁部68Aの壁面によって内方から支持されている。このため、第2脚部S2が第2内壁部66の前端を支点としてステープルSの内方に向かって屈曲されると同時に、第2脚部S2の先端部S2Aが先端支持部68の支持壁部68Aの壁面に当接しながら支持壁部68Aを通過することよって反対方向(外方)に曲げられる。
【0204】
上述したように第2アーム32の回転軸32AXは、下方Z2に進行するほど内方に進行するように傾斜しているから、第2脚部S2の先端部S2Aは、第1回転方向R1に回転するほど、第1脚部S1に接近しながら上方Z1に進行する。
【0205】
またステープルSの第2脚部S2の先端部S2Aと支持壁部68Aの壁面とが当接している期間と、スライダ44の第1表面44A21と第2アーム32の第1後端面32B1とが当接している期間が、少なくとも一部の期間において重複するように構成されるから、高負荷の時に相対的に大きな回転モーメントを発生させることが可能である。
【0206】
図23A及び
図23Bは、第2移動動作においてスライダ44が更に前進したときの正面視及び上面視における結束機10の前端部分を示す部分拡大図である。
【0207】
第1アーム22は、スライダ44の第1前端部44A1の第1凸部44A11に押されることにより更に第1回転方向R1に回転する。このときスライダ44の第1前端部44A1の突端部44A13は第1内壁部64の前端に到達するため、スライダ44は、第1脚部S1の第1部S1Bの上面を上方Z1から押さえつける。このため第1脚部S1の第1部S1Bは、スライダ44及び第1内壁部64によって、上方Z1、下方Z2及び内方から支持される。
【0208】
第2アーム32の第2後端面32B2は、スライダ44の第2前端部44A2の第2表面44A22によって押されることにより更に第1回転方向R1に回転する。
図23Bに示されるように、第2アーム32によって保持される第2脚部S2は第1脚部S1と交差する位置まで屈曲されるため、結束前のステープルSに設けられていた開口は上面視において閉塞され、ステープルSの第1脚部S1、第2脚部S2及び本体部S3は上面視において第2対象物Pを包囲する。なお
図23Aに示される正面視において、第2脚部S2の先端部S2Aは、上方Z1に移動し第1対象物Gに近接する。
【0209】
またステープルSの第2脚部S2の先端部S2Aと支持壁部68Aとが当接している期間が経過した後に、スライダ44の第2表面44A22と第2アーム32の第2後端面32B2とが当接しているから、相対的に低負荷の時に相対的に小さな回転モーメントを発生させることが可能である。
【0210】
図24A及び
図24Bは、第2移動動作においてスライダ44が最も前進する直前の正面視及び上面視における結束機10の前端部分を示す部分拡大図である。
【0211】
第1アーム22は、スライダ44の第1前端部44A1の第1凸部44A11に押されることにより更に第1回転方向R1に回転し、第1対象物Gに接触し、第1対象物Gを押して変位させる。また、第1アーム22の下方Z2に突出する凸部22Cは、当接部材24の末端に設けられる凹部24Aと当接する。このため、第1アーム22の凸部22Cの回転に伴って当接部材24は、ステープルSの内方かつ下方Z2に傾斜する方向に進行を開始する。まず当接部材24の当接面24Bが第1脚部S1の先端部S1Aに当接し、その後当接部材24の角部24Cが第1脚部S1の先端部S1Aに当接し、先端部を折り返すように塑性変形させる。当接部材24によって折り返される第1脚部S1の先端部S1Aは、第1部S1Bの下方Z2を通過し、上面視において第1部S1Bと交差するように屈曲する。第1部S1Bと先端部S1Aが交差する位置における断面図に相当する
図14に示されるように第1部S1B(上方)と先端部S1A(下方)が上下に隣接するように先端部S1Aを塑性変形させることが可能となる。このとき当接部材24の先端及び第2脚部S2の先端は、第1内壁部64に形成され、上面視においてステープルSで囲まれる領域に連通する貫通孔の内部に侵入する。同図に示されるように第1部S1Bは、スライダ44及び第1内壁部64によって、上方、下方(但し折り返された先端部S1A及び当接部材24が通過する部分を除く)及び内方から囲まれているため、曲がることが抑制される。
【0212】
以上のプロセスにより第1脚部S1は第1対象物Gを挟み込む。第1脚部S1は塑性変形されているから、第1脚部S1と第1対象物Gの係合は容易に外れにくい。
【0213】
一方で第2アーム32の第2後端面32B2は、スライダ44の第2前端部44A2の第2表面によって押されることにより更に第1回転方向R1に回転する。このため第2脚部S2は、上面視において、第1対象物Gを超えて第2対象物Pに近接する。
【0214】
以後、モータ54はボールねじ50を逆回転させるため、スライダ44は後退を開始する。
【0215】
図25A及び
図25B並びに
図25Cは、スライダ44の後退開始後における結束機10の前端部分の正面視及び上面視における部分拡大図並びに部分拡大斜視図である。
【0216】
スライダ44が後退を開始すると、スライダ44の第1前端部44A1の第2凸部44A12が、第1凸部44A11と第2凸部44A12との間の領域を貫通するように移動する第1アーム22の壁部の前方X1を向いた面に当接して後方X2に押すことにより、第1アーム22を第2回転方向R2に回転させる。
【0217】
またスライダ44の第2前端部44A2の第3表面は、第2アーム32の後端部に当接して後方X2に押すことにより、第2アーム32を第2回転方向R2に回転させる。第2アーム32が第2方向に回転すると、第2アーム32の本体部S3よりも第1回転方向R1に進行した位置に下方Z2に突出して設けられる曲げ戻し用の突起32C2が第2脚部S2に当接しこれを第2回転方向R2に押す。このため第2脚部S2は第2回転方向R2に変位し、その結果第2脚部S2の屈曲部は、第1対象物Gに係合する。
図25Aに示されるように、第2脚部S2が第1対象物Gに係合することにより、第1対象物Gは変位し、第1脚部S1と第1対象物Gとの係合位置と、第2脚部S2と第2対象物Pとの係合位置との間に張力が発生する。このため第1対象物Gが撓んでしまい、第1対象物Gと第2脚部S2との係合が外れてしまうことを抑制することが可能となる。
【0218】
図26A及び
図26B並びに
図26Cは、スライダ44が更に後退したときの結束機10の前端部分の正面視及び上面視における部分拡大図並びに部分拡大斜視図である。
【0219】
スライダ44の第1前端部44A1の第2凸部44A12は、第1凸部44A11と第2凸部44A12との間の領域を貫通するように移動する第1アーム22の壁部の前方X1を向いた面に当接しながらこれを後方X2に押すため、第1アーム22は更に第2回転方向R2に回転する。
【0220】
この状態から、第1アーム22が更に第2回転方向R2に回転して
図21Bに示される初期位置まで回転すると、第1アーム22の下面に設けられた凹部に弾性部材で付勢されたボール部材が嵌まり込む。これにより、第1アーム22は初期位置に保持される。
【0221】
スライダ44の第2前端部44A2の第3表面は、第2アーム32の後端部の前方X1を向いた面に当接しながらこれを後方X2に押すため、第2アーム32は更に第2回転方向R2に回転する。第2脚部S2は第1対象物Gに係合するため、第2アーム32の曲げ戻し用の突起32C2は、これ以上第2脚部S2を第2回転方向R2に変位させることができなくなる。このため第2アーム32の曲げ戻し用の突起32C2は、第2脚部S2を下方Z2に僅かに押し下げながら第2脚部S2を乗り越える。
図26Cに示されるようにステープルSには、下方Z2のステープルSを介してプッシャ16により上方Z1に向かう付勢力が作用しているため、この付勢力に抗して曲げ戻し用の突起32C2が第2脚部S2を乗り越えられるように、結束機10は構成されている。
【0222】
この状態から、第2アーム32が更に第2回転方向R2に回転して
図21Bに示される初期位置まで回転すると、第2アーム32の下面に設けられた凹部に弾性部材で付勢されたボール部材が嵌まり込む。これにより、第2アーム32は初期位置に保持される。
【0223】
結束動作の完了後、更にモータ54がボールねじ50を逆方向に回転させると、ベース46に設けられた第2突起46A2の傾斜面に従って切替ブロック48の第2爪部48C2が後方X2に移動しながら下方Z2に移動するため、切替ブロック48の第1爪部48C1、第2爪部48C2及び第3爪部48C3がそれぞれ第1溝42G1、第2溝42G2及び第3溝42G3内の領域に挿入される。このとき第1アーム22及び第2アーム32は概ね初期状態の位置に戻る。更にモータ54がボールねじ50を逆方向に回転させると切替ブロック48が後方X2に移動して、切替ブロック48の第2爪部48C2の後面が第2溝42G2の前方X1を向いた側面に当接する。このため切替ブロック48は、弾性部材49によってベース46の表面を下方Z2に押し付けながら、第2爪部48C2の後面によってドライバ42を後方X2に移動させる。このためドライバ42を初期状態の位置に戻すことが可能となる。
【0224】
以上のプロセスにより第2脚部S2は第1対象物Gに係合する。上述したように第2脚部S2は上面視において第1対象物Gと第2対象物Pとの間隙を通過(貫通)した状態で第1対象物Gに係合するから、第2対象物PはステープルSに囲まれる。このため第2対象物PとステープルSの係合が容易に外れることが抑制される。また、第2対象物Pが成長して第2脚部S2が曲がっても、第1対象物Gへの係合が強まるから、第1対象物GとステープルSの係合が容易に外れることも抑制される。
【0225】
但し本実施形態に係る結束機10は変形可能である。例えば、第1変位部20は、当接部材24を用いることなく、第1アーム22によって第1脚部S1の先端部S1Aを塑性変形するように構成してもよい。例えば、第1アーム22と当接部材24を一体化したような部品を設け、これを回転させることにより第1脚部S1の先端部S1Aを塑性変形させてもよい。このとき第1アーム22の回転軸22AXを傾斜させ、第1回転方向R1に回転するほど下降するように第1アーム22を設けることによって、先端部が第1部S1Bの下を通過するように第1アーム22を構成してもよい。反対に、第1回転方向R1に回転するほど上昇するように第1アーム22を設けることによって、先端部が第1部S1Bの上を通過するように第1アーム22を構成してもよい。例えば、当接部材24によって折り返される第1脚部S1の先端部S1Aは、第1部S1Bの上方Z1を通過し、上面視において第1部S1Bと交差するように屈曲させてもよい。一方で、第2脚部S2は、第2脚部S2及び本体部S3を貫通する平面PLから離間する下方Z2に進行するように曲げてもよい。
【0226】
また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。たとえば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態における一部の構成要素に、他の知られた構成を追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の知られた構成要素と置換することができる。当業者の通常の創作能力の発揮により本出願に開示された各構成要素を他の知られた構成要素と合理的に組み合わせること、又は、置換することが可能である。
【0227】
本出願に係る発明は、上記した実施の形態を含む発明の他、以下の付記として記載される結束機又は結束方法として実施することが可能である。
【0228】
即ち本出願は、以下に示される結束機を更に開示する。
【0229】
(付記1)
第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部とを含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成され、前記第1脚部の先端部が外方に曲げられたステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束機であって、
前方に移動することにより前記ステープルを前方に移動可能に構成されるドライバを含む移動部と、
前記ドライバによって前記ステープルが前方に移動しているときに前記第1脚部の先端部が当接しながら通過する第1外壁部を含み、前記第1対象物と係合可能に前記第1脚部を変位させる第1変位部と、
前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と係合可能に前記第2脚部を変位させる第2変位部と
を備える結束機。
【0230】
(付記1A)
前記第1変位部は、前記ドライバによって前記ステープルが前方に移動しているときに前記第1脚部の内側に設けられる第1内壁部を含み、
前記第1外壁部と前記第1内壁部との間隙は、前方に進行するほど小さくなる
付記1に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0231】
(付記1A1)
前記第1外壁部は、
前記第1内壁部との間隙が第1減少率で小さくなる第1領域と、
前記第1領域より前方に設けられ、前記第1内壁部との間隙が前記第1減少率より小さい第2減少率で小さくなる第2領域と
を含む付記1Aに記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0232】
(付記2)
第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部とを含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成されるステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束機であって、
前方に移動可能に構成されるスライダを含む移動部と、
前方へ移動する前記スライダの第1前端部に押されて回転する第1アームを含み、前記第1アームを用いて前記第1脚部を前記第1対象物に係合可能に構成される第1変位部と、
前方へ移動する前記スライダの第2前端部に押されて回転する第2アームと、前記ステープルの前記第2脚部の内側に設けられ、前記第2アームの回転により前記ステープルの内方に変位する前記第2脚部の先端部が当接しながら通過する壁部とを含む第2変位部と、
を備える結束機。
【0233】
(付記2A)
前記第2変位部は、前記第2アームの回転により前記第2脚部を内方に変位させながら、前記第2脚部の先端部を前記壁部に当接させながら前記壁部を通過することにより前記第2脚部の先端部を外方に曲げるように構成され、
その後に前記第1変位部は、前記第1アームの前記第1回転方向への回転により前記ステープルの内方に進行する当接部材によって前記第1脚部の先端部を前記ステープルの内方に曲げるように構成される
付記2に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0234】
(付記2B)
前記第2アームは、前方へ移動する前記スライダの第2前端部に押されて第1回転方向に回転するように構成され、
前記第2アームは、前記第2アームの前端が前記第1回転方向に回転するほど上方に移動するように傾斜する回転軸を有する
付記2又は付記2Aに記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0235】
(付記2C)
前記第1変位部の前記当接部材は、前記第1脚部の先端部を、前記第1脚部の下方を通過するように曲げる
付記2乃至付記2Bの何れか一項に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0236】
(付記3)
第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部とを含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成されるステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束機であって、
ドライバとスライダを含み、前記ドライバと前記スライダとが前方に移動する第1移動動作と、前記第1移動動作により前方に移動した前記ドライバと前記スライダのうち前記スライダが更に前方に移動する第2移動動作を実行可能に構成される移動部と、
前記第2移動動作により前方へ移動する前記スライダの第1前端部により、前記第1対象物と係合可能に前記第1脚部を変位させる第1変位部と、
前記第2移動動作により前方へ移動する前記スライダの第2前端部により、前記第2対象物を前記第1脚部、前記第2脚部及び前記本体部で囲んで前記第1対象物と係合可能に前記第2脚部を変位させる第2変位部と、
を備える結束機。
【0237】
(付記3A)
前記第1移動動作において前記ドライバは、他のステープルと連結されたステープルを前方に移動させることにより、他のステープルと分離するように構成された
付記3に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0238】
(付記3B)
前記第1移動動作において前記ドライバは、前記ステープルを前方に移動させて前記第1脚部の先端部を前記第1変位部が含む第1外壁部に当接させることにより、前記第1脚部の先端部を変位させるように構成された
付記3又は3Aに記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0239】
(付記4A)
一のステープルを他のステープルと分離させるための
ドライバと、
前方に移動するスライダと、
前方に移動する前記スライダにより第1回転方向に回転する第1アームを含む第1変位部と、
前方に移動する前記スライダにより前記第1回転方向に回転する第2アームを含む第2変位部と、
を備える結束機。
【0240】
(付記4B)
一のステープルを他のステープルと分離させるためのドライバと、
前方に移動するスライダと、
前方に移動する前記スライダにより第1回転方向に回転する第1アームを含む第1変位部と、
前方に移動する前記スライダにより前記第1回転方向とは異なる方向に回転する第2アームを含む第2変位部と、
を備える結束機。
【0241】
(付記4C)
前記結束機は、
前記ドライバ及び前記スライダが移動する第1移動動作と、
前記ドライバ及び前記スライダのち前記スライダのみが移動する第2移動動作と
を実行可能に構成される付記4A又は付記4Bに記載の結束機。
【0242】
(付記5)
第1脚部と、第2脚部と、前記第1脚部と前記第2脚部とを接続する本体部とを含み、前記第1脚部と前記第2脚部との間に開口が形成されるステープルを用いて第1対象物と第2対象物とを結束する結束機であって、
前方に移動することにより前記ステープルを前方に移動可能に構成されるドライバと、前方に移動可能に構成されるスライダとを含む移動部と、
前方へ移動する前記スライダの第1前端部に押されて回転する第1アームを含み、前記第1アームを用いて前記第1脚部を前記第1対象物に係合可能に構成される第1変位部と、
前方へ移動する前記スライダの第2前端部に押されて回転する第2アームを含み、前記第2アームを用いて前記第2脚部を前記第1対象物に係合可能に構成される第2変位部と
を備える結束機。
【0243】
(付記5A1)
モータと、
前記モータによって回転するボールねじとを更に備え、
前記移動部は、前記ボールねじと螺合する雌ねじが形成され、前記雄ねじの回転によって前記スライダと一体的に前方に移動可能に構成されるナット部品を含む
付記1に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0244】
(付記5A2)
前記ドライバが載置されるベースと、
前記ナット部品に保持されるブロックと、
前記ナット部品と前記ブロックとの間に配置され、前記ブロックを前記ベースの表面に押し付ける弾性部材とを備え、
前記ブロックの前面を前記ドライバの側面に当接させることにより、前記ドライバを前方に移動可能に構成される
付記5A1に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0245】
(付記5A2)
前記ドライバには、前後方向に延在し、前記ベースの表面を露出させる溝が形成され、
前記ブロックの前記前面を前記ドライバに形成された溝の側面に当接させることにより、前記ドライバを前方に移動可能に構成される
付記5A1に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0246】
(付記5A3)
前記ベースは、前方に進行する前記ブロックの前記前面を、前記前面が当接していた前記ドライバに形成された溝の前記側面よりも上方に移動させる突起を含む
付記1A2に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0247】
(付記5A4)
前記ドライバには、前後方向に延在し、前記ベースの表面を露出させる第2溝が形成され、
前記ブロックの後面を前記ドライバの第2溝の側面に当接させることにより、前記ドライバを後方に移動可能に構成される
付記5A1乃至5A3の何れか一項に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0248】
(付記5A5)
前記ベースは、後方に進行する前記ブロックの前記後面を、前記後面が当接していた前記ドライバの第2溝の前記側面よりも上方に移動させる第2の突起を含む、
付記5A4に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0249】
(付記5A6)
前記ブロックは、
前記溝の側面に当接する前記前面が設けられる第1爪部と、
前記第2溝の側面に当接する前記後面が設けられる第2爪部とを含む
付記5A4又は付記5A5に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0250】
(付記5B1)
前記第2アームは、前方へ移動する前記スライダの第2前端部に押されて第1回転方向に回転するように構成され、
前記第2アームは、前記第2アームの前端が前記第1回転方向に回転するほど上方に移動するように傾斜する回転軸を有する
付記5に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0251】
(付記5B2)
前記第2アームは、回転前の状態において、前記第2アームの回転軸より後方に延在する後端部を含み、
前記第2アームの後端部は、
前方へ移動する前記スライダの前記第2前端部の第1表面が当接し、前記アームの回転軸と第1距離離間した位置に形成される第1後端面と、
更に前方へ移動する前記スライダの前記第2前端部の第2表面が当接し、前記アームの回転軸と前記第1距離より小さい第2距離離間した位置に形成される第2後端面と
を含む付記5又は付記5B1に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0252】
(付記5B3) 前記第2アームの前記第2後端面に当接する前記スライダの前記第2表面は、前記アームの前記第1後端面に当接する前記スライダの前記第1表面よりも前方に形成される
付記5B2に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0253】
(付記5B4)
上面視において、前記スライダの前記第1表面に当接する第1接触点における前記第1後端面の法線と、前記第1接触点と前記回転軸とを結ぶ直線とがなす第1角度は、前記スライダの前記第2表面に当接する第2接触点における前記第2後端面の法線と、前記第2接触点と前記回転軸とを結ぶ直線とがなす第2角度よりも90度に近い
付記5B2又は付記5B3に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0254】
(付記5B5)
前記第2変位部は、前記ドライバにより前方に移動したステープルの前記第2脚部の内側に設けられ、前記第2アームの回転により前記ステープルの内方に変位する前記第2脚部の先端部が当接しながら通過する壁部を含む
付記5乃至付記5B4の何れか一項に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0255】
(付記5B6)
前記ステープルの第2脚部の前記先端部と前記壁部とが当接している期間と、前記スライダの前記第2前端部の前記第1表面と前記第2アームの前記第1後端面とが当接している期間が、少なくとも一部の期間において重複するように構成される
付記5B5に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0256】
(付記5B7)
前記ステープルの第2脚部の前記先端部と前記壁部とが当接している期間後に、前記スライダの前記第2前端部の前記第2表面と前記第2アームの前記第2後端面との当接が開始するように構成される
付記5B5又は付記5B6に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0257】
(付記5B8)
前記スライダの前記第2前端部は、前記第1表面及び前記第2表面よりも前方に設けられ後方を向いて形成された第3表面を含み、
前記第2アームは、後方へ移動する前記スライダの前記第3表面に押されることにより、前方へ移動する前記スライダによって回転する方向である第1回転方向と反対の第2回転方向に回転するように構成される
付記5B2又は付記5B2を引用する付記5B3乃至付記5B7の何れか一項に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0258】
(付記5B9)
前記第2アームは、
前方へ移動する前記スライダによって第1回転方向に回転するときに前記ステープルの前記第2脚部に当接して前記第2脚部を前記第1回転方向に変位させる本体部と、
前記本体部よりも前記第1回転方向に進行した位置に設けられ、後方へ移動する前記スライダによって前記第1回転方向と反対の第2回転方向に回転するときに前記ステープルの前記第2脚部に当接して前記第2脚部を前記第2回転方向に変位させるために下方に突出する突起と
を含む付記5、付記5B1乃至付記5B8の何れか一項に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0259】
(付記5C1)
前記スライダの前記第1前端部は、前方へ移動しながら前記第1アームと当接することにより前記第1アームを第1回転方向に回転させるために上方に突出する第1凸部を含む付記5に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0260】
(付記5C2)
前記スライダの前記第1前端部は、後方へ移動しながら前記第1アームと当接することにより前記第1アームを前記第1回転方向と反対の第2回転方向に回転させる第2凸部を含む付記5C1記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0261】
(付記5C3)
前記第1アームは、前方へ移動する前記第1凸部と当接することによって前記第1回転方向に回転しながら、前記第1凸部と前記第2凸部との間の領域を貫通するように移動する部分を含む付記5C2記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0262】
(付記5C4)
前記第1変位部は、前記第1アームの前記第1回転方向への回転により前記ステープルの内方に進行する当接部材を含む
付記5、付記5C1乃至付記5C3の何れか一項に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【0263】
(付記5C5)
前記当接部材は、前記第1アームの前記第1回転方向への回転により、下方へ進行しながら前記第2アームに近づく方向に進行する
付記5、付記5C1乃至付記5C4の何れか一項に記載の結束機を含む、本出願に記載され本構成が適用可能な何れかの結束機。
【符号の説明】
【0264】
10 結束機
12 グリップ
14 マガジン
16 プッシャ
18 分離ブロック
20 第1変位部
22 第1アーム
22AX 第1アームの回転軸
22C 凸部
24 当接部材(爪部材)
24A 凹部
24B 当接面
24C 角部
30 第2変位部
32 第2アーム
32AX 第2アームの回転軸
32B 後端部
32B1 第1後端面
32B2 第2後端面
32C 先端部
32C1 本体部
32C2 突起
42 ドライバ
42S 前端面
42B 突端部
42C ドライバ凸部
42G1 第1溝
42G2 第2溝
42G3 第3溝
44 スライダ
44A1 第1前端部
44A11 第1凸部
44A12 第2凸部
44A13 突端部
44A2 第2前端部
44A21 第1表面
44A22 第2表面
44A23 第3表面
44B 固定部
46 ベース
46A1 第1突起
46A2 第2突起
46A3 第3突起
48 切替ブロック
48C1 第1爪部
48C2 第2爪部
48C3 第3爪部
50 ボールねじ
50AX 中心軸
52 ナット部品
52A 保持部
54 モータ
62 第1外壁部
62A 第1領域
62B 第2領域
64 第1内壁部
66 第2内壁部
68 先端支持部
68A 支持壁部
230 ガイド保持機構
S ステープル
S1 第1脚部
S1A 先端部
S1B 第1部
α1 屈曲角
DS1 第1距離
S2 第2脚部
S2A 先端部
DS2 第2距離
S3 本体部
G 第1対象物
P 第2対象物
PL 平面
X1 前方
X2 後方
Y1 右方
Y2 左方
Z1 上方
Z2 下方
D1 開口方向
R1 第1回転方向
R2 第2回転方向