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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133071
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A47J27/00 109G
A47J27/00 103R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123207
(22)【出願日】2022-08-02
(62)【分割の表示】P 2022084955の分割
【原出願日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2022036158
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022044916
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】折戸 麻結香
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 裕一
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA34
4B055BA61
4B055CA65
4B055GB17
4B055GB25
4B055GB50
4B055GD03
(57)【要約】
【課題】銘柄米の特徴を強調または抑制されるような炊飯制御が銘柄米ごとに可能な炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器は、被炊飯物としての米と水を加熱可能な加熱コイル11と、米の銘柄ごとの炊飯コースの加熱パターンを記憶する記憶手段48と、加熱パターンに基づいて加熱コイル11を制御して被炊飯物の炊飯の制御を行なう炊飯制御手段51と、を備え、加熱パターンは、銘柄米の特徴が所定の基準としてのかたさ食感およびねばり食感で指標化された図10のMAPに基づいて米の銘柄ごとに設定され、銘柄米の特徴が強調されるように炊飯の制御が行なわれる第1の加熱パターンと、銘柄米の特徴が抑制されるように炊飯の制御が行なわれる第2の加熱パターンと、を有する構成としている。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被炊飯物としての米と水を加熱可能な加熱手段と、
前記米の銘柄ごとの炊飯情報を記憶する記憶手段と、
前記炊飯情報に基づいて前記加熱手段を制御して前記被炊飯物の炊飯の制御を行なう制御手段と、を備え、
前記炊飯情報は、銘柄米の特徴が所定の基準で指標化された銘柄食感情報に基づいて、前記米の銘柄ごとに設定され、
前記炊飯情報は、前記特徴が強調されるように前記炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第1の炊飯情報と、前記特徴が抑制されるように前記炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第2の炊飯情報と、を有することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記基準は、第1の基準および第2の基準を有し、
前記銘柄食感情報は、前記第1の基準の値および前記第2の基準の値をお互いに異なる座標軸上にとった座標系であり、
前記炊飯情報は、前記銘柄食感情報における前記座標系を所定の範囲ごとに区分した領域に基づいて、前記第1の炊飯情報と、前記第2の炊飯情報と、前記特徴に応じて前記炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第3の炊飯情報と、が設定されることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記第1の基準は、炊上がり時のご飯のかたさ食感であり、
前記第2の基準は、炊上がり時のご飯のねばり食感であることを特徴とする請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記座標系は、
前記座標軸が交わる原点を有して前記第3の炊飯情報が設定される前記領域の周囲に、前記第1の炊飯情報が設定される前記領域が配置され、
当該第1の炊飯情報が設定される前記領域の周囲に、前記第2の炊飯情報が設定される前記領域がさらに配置されることを特徴とする請求項2または3に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記被炊飯物を収容する鍋の内部の圧力を変更可能な圧力制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、設定された前記炊飯情報および当該炊飯情報における前記第2の基準の値に基づいて前記圧力を変更するように前記圧力制御手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記制御手段は、設定された前記炊飯情報および当該炊飯情報における前記第1の基準の値に基づいて、前記米の吸水を促進させる工程における前記被炊飯物の温度と、前記工程を実施する時間の長さとを変更するように前記加熱手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を含む被炊飯物を炊飯可能な炊飯器に関する。また本発明は、米の特徴に応じて炊飯方法を変更可能な炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の炊飯器は数多く存在し、例えば特許文献1には、炊飯の各工程を順次実行可能な炊飯手段と、炊飯手段を制御する制御手段と、炊飯する米の銘柄を選択する銘柄選択手段と、を備えたものが開示されている。そして制御手段は、銘柄選択手段で選択された米の銘柄に応じて、炊飯の特定の工程において付与する熱量を設定する熱量設定手段で設定された熱量に基づいて炊飯手段を制御し、米の銘柄に応じた炊き分けを行なっている。
【0003】
また、こうした米の特性に応じて最適な炊飯方法に変更する技術として、本願出願人は、例えば特許文献2のように、粘りを与えることが可能な加圧炊飯と常圧炊飯とを選択的に行ない、粘りの少ない米でも粘りを出して食味性の向上を図ることができる技術や、特許文献3のように、炊飯過程の沸騰後で鍋内の重量が安定したときの計量値に基づき米の吸水特性により米質を3種類のいずれかに判定し、米質に応じた水量または加熱量の調整を行なう技術や、特許文献4のように炊飯後のご飯を食べた後に炊上がり状態をユーザが判定して炊飯器に入力し、白米の種類などの微妙な条件に対応して炊飯を行なう技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-77352号公報
【特許文献2】特開平03-146014号公報
【特許文献3】特開平03-236812号公報
【特許文献4】特開平05-115359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の炊飯器では、同一の銘柄米などの米質で、米の銘柄に応じた同一の炊き分けを行なっても、炊飯時に使用する水の、例えば硬度などの水質によりご飯の炊き上がりが異なる場合があった。例えば地域によって水道水の硬度が異なるために、高い硬度の水を使用して炊飯した場合、水に含まれるカルシウムなどがバリヤーの役割を果たしてしまって米の吸水を阻害してしまい、同一の米質および量の米ならびに同一の量の水で同一の炊き分けを行なっても、硬くてパサパサする炊き上がりのご飯になってしまう場合があった。
【0006】
また日本国内には米の品種銘柄が数多く存在し、それぞれの品種銘柄で米の特徴が異なっている。しかしながら従来の炊飯器では、銘柄米の特徴が強調されるような炊飯制御や銘柄米の特徴が抑制されるような炊飯制御が行なわれていなかった。
【0007】
そこで本発明は、水質に応じた炊き分けを行なうことができる炊飯器を提供することを第1の目的とする。
【0008】
また本発明は、銘柄米の特徴を強調または抑制されるような炊飯制御が銘柄米ごとに可能な炊飯器を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の炊飯器は、被炊飯物としての米と水を加熱可能な加熱手段と、前記米の銘柄ごとの炊飯情報を記憶する記憶手段と、前記炊飯情報に基づいて前記加熱手段を制御して前記被炊飯物の炊飯の制御を行なう制御手段と、を備え、前記炊飯情報は、銘柄米の特徴が所定の基準で指標化された銘柄食感情報に基づいて、前記米の銘柄ごとに設定され、前記炊飯情報は、前記特徴が強調されるように前記炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第1の炊飯情報と、前記特徴が抑制されるように前記炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第2の炊飯情報と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の炊飯器によれば、銘柄米の特徴を強調または抑制されるような炊飯の制御を銘柄米ごとに行ない、品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを設けることができ、それぞれの銘柄米に応じた炊飯をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態における炊飯器の斜視図である。
図2】同上、炊飯器の縦断面図である。
図3】同上、電気的構成を示すブロック図である。
図4】同上、トップ画面を表示しているLCDの上面図である。
図5】同上、水硬度選択画面を表示しているLCDの上面図である。
図6】同上、水硬度ガイドポップアップ画面を表示しているLCDの上面図である。
図7】同上、水硬度数値入力画面を表示しているLCDの上面図である。
図8】同上、図7におけるピッカー表示部の表示の移り変わりを示している図である。
図9】同上、地方区分選択画面を表示しているLCDの上面図である。
図10】同上、都道府県選択画面を表示しているLCDの上面図である。
図11】同上、都道府県水硬度ポップアップ画面を表示しているLCDの上面図である。
図12】同上、ひたし炊き工程における真空ポンプの通電時間、真空ポンプのデューティー比およびひたし炊き工程の補正時間と、水の硬度との関係を示した表である。
図13】同上、水の硬度とご飯の炊き上がりとの関係を示す説明図である。
図14】同上、ひたし炊き工程における真空引き時間と鍋4内の真空値との関係を示したグラフ、および従来の炊飯器で炊飯したご飯と本実施形態で炊飯したご飯とを比較した比較図である。
図15】本発明の第2の実施形態における炊飯器の米選択画面を表示しているLCDの上面図である。
図16】同上、水硬度ガイドポップアップ画面を表示しているLCDの上面図である。
図17】同上、炊飯工程のそれぞれの工程における、それぞれの銘柄米を炊飯する温度と時間と圧力の制御を示している表である。
図18】同上、銘柄米の炊上がり食感情報から各銘柄米の食感に応じて、かたさ食感およびねばり食感で該当する座標に配置したMAPである。
図19】同上、それぞれの制御ごとに区分された領域と、図17の表においてそれぞれの制御を選択した場合に、どのように炊上がり時のかたさ食感およびねばり食感に反映されるかの食感イメージと、の関係を示したMAPである。
図20】同上、図18のMAPに図19の領域を対応させたMAPである。
図21】同上、炊飯工程および保温工程における、鍋温度と、蓋温度と、蓋ヒータの加熱量と、加熱コイルおよび胴ヒータの加熱量と、の経時的な変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明における炊飯器の各実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【実施例0013】
図1図14は、本発明における炊飯器の第1の実施形態を示している。先ず炊飯器全体の構成を図1および図2に基づいて説明すると、1は本体であり、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が開口されている。2は本体1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体であり、本体1と同様に、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が略平坦に構成されている。本体1は上面を開口した鍋収容部3を有し、蓋体2を開けたときに、被炊飯物である水や米を収容する容器としての有底状の鍋4が、その鍋収容部3に着脱自在に収容される構成となっている。鍋収容部3は、椀状で樹脂製の内枠5などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。
【0014】
鍋4は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材7とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体8が、主材7の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。また、鍋4の側面下部から底面に対向する内枠5の外面には、鍋4の発熱体8を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル11を備えている。そして加熱コイル11に高周波電流を供給すると、加熱コイル11から発生する交番磁界によって鍋4の発熱体8が発熱し、炊飯時と保温時に鍋4内の被炊飯物を加熱する構成となっている。また内枠5の底部中央部には、鍋温度検出手段としての鍋センサ12が、鍋4の外面底部と弾発的に接触するように配設される。
【0015】
蓋体2の後部には本体1との連結部となるヒンジ13が設けられる。また蓋体2の前方上面には、蓋体操作体14が露出状態で配設されており、この蓋体操作体14を押すと、本体1と蓋体2との係合が解除され、本体1の上部後方に設けたヒンジバネ(図示せず)により、ヒンジ13のヒンジ軸を回転中心として蓋体2が開く構成となっている。
【0016】
蓋体2の後方上面には、鍋4内の被炊飯物から発生する蒸気を炊飯器の外部に排出する蒸気口15が配設される。また蓋体2の上面には、この蒸気口15や蓋体操作体14の他に、炊飯に関わる様々な情報を表示するための、画面表示部としてのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)16や状態表示部としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)表示部17などで構成される表示手段18と、タッチセンサで構成されてLCD16の上方に配設され、炊飯を開始させたり、時間や炊飯コ-スなどを選択させたりするための操作手段19と、がそれぞれ配設される。また、表示手段18や操作手段19の下面には、操作や表示に関わる制御を行なうための表示・操作制御手段46(図3参照)を備えた制御PC(Printed Circuit:印刷回路)板21が配置される。
【0017】
LED表示部17は、実際の炊飯器の状態を表示するもので、本実施形態では、予約設定がされていているときに「予約」のLED表示部が点灯し、保温状態になると「保温」の工程LED表示部が点灯し、後述する減圧手段38により鍋4の内部が大気圧より低い減圧状態になると、「真空」の工程LED表示部が点灯し、炊飯中に鍋4の内部に圧力がかかり始めてから、被炊飯物が炊き上がるまでの鍋4の内部が加圧されているときに、「圧力」の工程LED表示部が点灯するように構成される。そのため、LCD16のバックライトを減光させた減光状態のときでも、ユーザがLED表示部17を確認することで炊飯器の現在の状態を一目で理解することができる。ここでLED表示部17のそれぞれのLED表示部が点灯したときの光の色をそれぞれ異ならせてもよく、炊飯器が現在どのような状態であるかを一目で理解できる。なお本実施形態ではLED表示部17の位置について、LCD16のすぐ前に配置されているが、LCD16から離れた位置に配置されてもよい。またLED表示部17を除く構成にして、このLED表示部17の表示内容をLCD16で表示するように構成してもよい。LCD16については、後程詳しく説明する。
【0018】
タッチセンサで構成された操作手段19は、例えば、導電性ポリマーによる透明電極部と制御PC板21に接続する接点部との間をパターン配線で繋いだ構成要素が、タッチキーとして複数配設されるものであり、LCD16に表示される複数のボタン表示部の何れかにタッチ操作を行なうことで、そのボタン表示部の上に配設され、当該ボタン表示部に対応したタッチキーがタッチ操作されて、このボタン表示部が選択される構成となっている。
【0019】
このようにユーザの操作性および安全性を考慮して、蓋体操作体14は炊飯器におけるユーザに近い側である上面前方に配置され、蒸気口15は炊飯器におけるユーザから離れた側である上面後方に配置されることで蓋体2の上面において蓋体操作体14と蒸気口15との間に表示手段18を設けるスペースを大きく確保することができ、表示手段18や、その上方に配設される操作手段19を大きく設けることができるため、表示手段18の視認性および操作手段19の操作性を向上させることができる。また蓋体2の上面には、LCD16上方の操作手段19以外には、従来の炊飯器に設けられていた、例えば炊飯キーや切キーのような物理キー・ボタンなどの操作手段が存在せず、操作手段19のみで炊飯器の操作を行なうために操作時にボタンを探す手間が省け、操作性を向上させることができる。また非常にスマートな外観にすることができ、精密部品である表示手段18や操作手段19の配置されたスペースをコンパクトにすることができる。また物理キー・ボタンなどを除くことで蓋体2の上面を略平面状に構成することができ、拭き掃除などもしやすく清掃性を向上させている。
【0020】
蓋体2の下側には、蓋体2の下部部材としての内蓋組立体23が配設される。内蓋組立体23は、鍋4の上方開口部と略同径の円盤状を有する金属材料からなり、鍋4の上方開口部を覆う内蓋24と、この内蓋24と鍋4との間をシールするために、内蓋24の外側全周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン25と、鍋4の内圧力を調整する調圧部26とを備えている。環状に形成された蓋パッキン25は、図2に示されるように蓋体2を閉じた蓋閉時に、鍋4の開口部である上面に当接して、この鍋4と内蓋24との間の隙間を塞ぎ、鍋4から発生する蒸気を密閉するものである。
【0021】
蓋体2の内部には、蓋体2の開閉を検知するために、ヒンジ13近傍に蓋開閉検知手段27が設けられる。ここで蓋開閉検知手段27は、光学式、機械式、磁石式など、どのような検知方式のものでもよく、蓋体2の開閉に応じた検知信号を出力できればよい。また蓋体2の内部には、内蓋24を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ31と、この蓋ヒータ31による内蓋24の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ32がそれぞれ設けられる。そして蓋体2の内部には、鍋4内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口15と調圧部26とを連通する蒸気排出経路33が形成される。
【0022】
調圧部26には、鍋4の内部と蒸気口15との間の蒸気排出経路33を開閉する調圧弁34が設けられる。調圧弁34はボール状で、蓋体2の内部に設けたソレノイド35と連動し、鍋4内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気排出経路33を開放し、鍋4内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気排出経路33を閉塞するように、ソレノイド35が調圧弁34を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル11への高周波通電により鍋4内の被炊飯物が加熱され、被炊飯物が沸騰して蒸気が発生し、この蒸気が鍋4内に充満することにより鍋4の内圧が所定値に達すると、調圧弁34の自重に抗して蒸気排出経路33を開放することで、鍋4内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。また蓋体2の内部には、圧力センサ36(図3参照)が調圧部26に臨んで設けられ、鍋4内部の圧力を検知している。
【0023】
38は、蓋体2を本体1に閉じた状態で、鍋4の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段である。減圧手段38は、鍋4を鍋収容体3に収容し、蓋体2を閉じた後にソレノイド35を通電させて調圧弁34が蒸気排出経路33を塞いだ状態で、密閉した鍋4の内部圧力を低下させる。また、鍋4内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段38の動作源となる減圧ポンプ39の動作を停止し、鍋4内部を減圧状態に保っている。さらに、鍋4内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ39の動作を停止し、減圧ポンプ39と鍋4の内部との間を連通する図示しない経路を開放する。つまり減圧手段38は、鍋4内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
【0024】
その他、本体1の内部には、加熱制御手段41を含むユニット化された加熱基板組立42が配設される。加熱制御手段41は、表示・操作制御手段46と組み合わせて炊飯器の各部を電気的に制御するために、制御用IC43や記憶手段48(図3参照)などを備えたマイクロコンピュータ(マイコン)などを含んで構成され、ここでは鍋センサ12や蓋温度センサ32からの各温度検知信号と、操作手段19からの操作信号を受けた表示・操作制御手段46からの信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋4を加熱する加熱コイル11と、内蓋24を加熱する蓋ヒータ31とを各々制御すると共に、ソレノイド35と、減圧ポンプ39の動作を各々制御する。特に加熱制御手段41は、鍋センサ12の検知温度に基づいて主に加熱コイル11を制御して鍋4の底部を温度管理し、蓋温度センサ32の検知温度に基づいて主に蓋ヒータ31を制御して、被炊飯物に対向する内蓋24を温度管理するように構成される。
【0025】
次に、上記炊飯器における主な制御系統について、図3を参照しながら説明する。同図において、本体2に装備される加熱制御手段41は、マイクロコンピュータを構成する制御用IC43や、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリなどの記憶手段48や、図示しない計時手段などを備え、鍋センサ12や蓋温度センサ32からの各温度検知信号と、圧力センサ36からの圧力検知信号と、蓋開閉検知手段27からの検知信号と、後述する表示・操作制御手段46からの制御信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋4を加熱する加熱コイル11と、内蓋24を加熱する蓋ヒータ31を各々制御すると共に、前述した調圧弁34を動かすソレノイド35や、減圧手段38の減圧ポンプ39の動作を各々制御するものである。
【0026】
加熱制御手段41は、記憶手段48から読み出したプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯制御手段51および保温制御手段52を制御用IC43に備えている。炊飯制御手段51は、操作手段19からの炊飯開始の指示を受けて、鍋4に投入した米の吸水を促進させるひたし炊き工程と、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる沸騰加熱工程と、被炊飯物の沸騰状態を継続させる沸騰継続工程と、ご飯を焦がさない程度の高温に維持するむらし工程の各工程を順に実行して、鍋4内部の被炊飯物に対して所望の圧力で炊飯加熱する炊飯制御を行なうものである。また保温制御手段52は、鍋4内部のご飯を所定の保温温度に保つように制御するものである。
【0027】
一方、表示・操作制御手段46は、マイクロコンピュータを構成する制御用IC47や記憶手段48、図示しない計時手段などを備え、操作手段19からの操作信号や加熱制御手段41からの制御信号を受けて表示手段18の表示動作を制御し、また加熱制御手段41に制御信号を送信するものである。この表示・操作制御手段46は、記憶手段57に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、表示制御手段49および条件設定手段50を制御用IC47に備えている。表示制御手段49は、操作手段19からの操作信号に基づき各種の制御信号を生成し、また表示手段18の表示動作を制御するものである。また条件設定手段50は、表示制御手段49と連携して、操作手段19で選択できる条件の選択および設定、例えば複数のお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定がある炊飯コースの中から所望の炊飯コースの選択および設定、を可能にするものである。
【0028】
本実施形態の炊飯器では、それぞれのお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定に応じた炊飯コースが記憶手段48に記憶されており、その記憶された炊飯コースのお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および、特に水硬度の設定が表示手段18に選択可能に表示され、これらの設定を行なうことで、当該炊飯コースの選択および設定を行なっている。そして表示・操作制御手段46から加熱制御手段41にこの炊飯コースの設定が送信されると、加熱制御手段41の炊飯制御手段51は、この炊飯コースの設定ごと、特に水硬度の設定ごとに加熱コイル11および蓋ヒータ31の加熱制御やソレノイド35および減圧ポンプ39の制御、すなわち炊飯制御を行なっている。そのため、特に水の硬度に合った適切な炊飯を行なうことができ、炊飯されたご飯の美味しさをより際立たせることができる。
【0029】
図4図11はLCD16の上面図を示しており、それぞれの図面の上側を「前」、下側を「後」、左側を「左」、右側を「右」として説明する。また、それぞれの図面の手前側を「上」、奥側を「下」として説明する。図4はトップ画面G1を示している。ユーザが予め本体1に設けた電源プラグを家庭用のコンセントに差し込むと、炊飯器の各部に必要な電力が投入される。このとき表示制御手段49は、所定時間経過後または所定の起動時表示画面の表示に、LCD16に表示される普段使いの初期画面として、図4に示すようなトップ画面G1の配置をLCD16に表示させる。
【0030】
図4を参照してトップ画面G1の説明をすると、その前部には、4つのボタン表示部B1~B7を左右に並べて表示したメニューキー表示領域A1が形成されている。ここで「お米」のボタン表示部B1は、「お米」なるテキスト表示体D1、および「▼」というテキスト表示体D2を含む。また「炊き方」のボタン表示部B3は、「炊き方」なるテキスト表示体D3、および「▼」というテキスト表示体D4を含む。そして「かたさ調節」のボタン表示部B5は、「かたさ調節」なるテキスト表示体D5、および「▼」というテキスト表示体D6を含む。また「水硬度」のボタン表示部B7は、「水硬度」なるテキスト表示体D7、および「▼」というテキスト表示体D8を含む。
【0031】
また、メニューキー表示領域A1の後ろには、4つの設定表示体D11~D14を左右に並べて表示した炊飯情報表示領域A2が形成される。ここで「お米」の設定表示体D11は設定されたお米の情報が表示されており、「お米」のボタン表示部B1の後ろに配置され、図4では「白米 銘柄おまかせ」が表示されている。また「炊き方」の設定表示体D12は設定された炊き方の情報が表示されており、「炊き方」のボタン表示部B3の後ろに配置され、図4では「かまど名人」が表示されている。そして「かたさ調節」の設定表示体D13は設定されたかたさ調整の情報が表示されており、「かたさ調節」のボタン表示部B5の後ろに配置され、図4では「おすすめ」が表示されている。また「水硬度」の設定表示体D14は設定された水の硬度の情報が表示されており、「水硬度」のボタン表示部B7の後ろに配置され、図4では「40~60」が表示されている。
【0032】
そして、炊飯情報表示領域A2の後ろには、時計用表示体D16に表示される数字が炊飯時間であることを連想させる「炊飯時間」なるテキスト表示体D15と、炊飯所要時間や、実際の炊飯完了までの時間である残時間や、予想される炊飯完了の時刻である炊上り時刻などを表示し、図4では炊飯情報表示領域A2の設定から算出された炊飯所要時間である「約38分」が表示された時計用表示体D16と、「炊飯スタート」なるテキスト表示体D17を含むボタン表示部B17と、が左右に並べて表示される。
【0033】
またトップ画面G1の後部には、歯車の図を連想させるテキスト表示体D18を含む設定用ボタン表示部B18と、「保温」なるテキスト表示体D19を含むボタン表示部B19と、「予約」なるテキスト表示体D20を含むボタン表示部B20と、現在時刻を表示する時刻用表示体D21と、「切」なるテキスト表示体D22を含むボタン表示部B22と、が左右に並べて表示される。
【0034】
「切」のボタン表示部B22は、炊飯や保温をやめる際に操作されるもので、「切」のボタン表示部B22をタッチ操作すると、「切」のボタン表示部B22の上に配設された操作手段19からの操作信号を表示制御手段49が受け付けて加熱制御手段41に送信し、炊飯制御手段51が鍋4内の被炊飯物に対する加熱や予約炊飯を中止して切状態にする制御を行ない、表示制御手段49が、炊飯情報表示領域A2の表示を、最も直前に炊飯されたときの設定、すなわち記憶手段48に記憶されていた設定にしてトップ画面G1を表示するように表示手段18を制御する。なお、トップ画面G1で「切」のボタン表示部B22をタッチ操作すると、表示制御手段49が、炊飯前に設定され、現在、炊飯情報表示領域A2に表示されたお米の設定、炊き方の設定、かたさ調節の設定、および水の硬度の設定を破棄して、炊飯情報表示領域A2の表示を最も直前に炊飯されたときの設定、すなわち記憶手段48に記憶されていた設定にして表示するように表示手段18を制御する。
【0035】
「炊飯スタート」のボタン表示部B17は炊飯を開始する際に操作されるもので、「炊飯スタート」のボタン表示部B17をタッチ操作すると、条件設定手段50が、現在、炊飯情報表示領域A2に表示されたお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段48に記憶し、炊飯制御手段51が、記憶手段48に記憶した今回の炊飯コースの設定で、本体1内の被炊飯物に対する炊飯開始の制御をする構成となっている。
【0036】
「保温」のボタン表示部B19は、保温を行なう際に操作されるもので、「保温」のボタン表示部B19をタッチ操作すると、保温制御手段52が、本体1内の被炊飯物に対する保温再加熱を開始するように、加熱コイル11や蓋ヒータ31に適切な制御信号を送信する構成となっている。
【0037】
「お米」のボタン表示部B1は、被炊飯物としてのお米の種類や銘柄を選択するのに操作されるもので、「お米」のボタン表示部B1をタッチ操作すると、表示制御手段49が、お米選択画面(ここでは図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、このお米選択画面でお米の種類や銘柄が選択されると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、選択されたお米の種類や銘柄をテキスト表示体D11に表示するように表示手段18を制御する。
【0038】
「炊き方」のボタン表示部B3は、被炊飯物の炊き方の種類を選択するのに操作されるもので、「炊き方」のボタン表示部B3をタッチ操作すると、表示制御手段49が炊き方選択画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、この炊き方選択画面で被炊飯物の炊き方が選択されると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、選択された被炊飯物の炊き方をテキスト表示体D12に表示するように表示手段18を制御する。
【0039】
「かたさ調節」のボタン表示部B5は、被炊飯物としてのご飯の食感の種類を選択するのに操作されるもので、「かたさ調節」のボタン表示部B5をタッチ操作すると、表示制御手段49が、かたさ選択画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、この炊き方選択画面でご飯の食感が選択されると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、選択されたご飯の食感をテキスト表示体D13に表示するように表示手段18を制御する。
【0040】
「水硬度」のボタン表示部B7は、被炊飯物としての水の硬度を選択するのに操作されるもので、「水硬度」のボタン表示部B7をタッチ操作すると、表示制御手段49が、図5に示されるような水硬度選択画面G2を表示するように表示手段18を制御する。
【0041】
設定用ボタン表示部B18は、炊飯器を設定するのに操作されるもので、設定用ボタン表示部B18をタッチ操作すると、表示制御手段49が、設定画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御する。
【0042】
「予約」のボタン表示部B20は、予約炊飯を行なう際に操作されるもので、「予約」のボタン表示部B20をタッチ操作すると、表示制御手段49が予約設定画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、この予約設定画面で予約の設定がされ、予約炊飯を開始させると、当該設定した予約時刻に本体1内の被炊飯物が炊き上がるように炊飯制御手段51により炊飯を開始し、また保温制御手段52による保温を開始するように制御する構成となっている。
【0043】
次に、上記構成の炊飯器について、特に水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3および都道府県選択画面G6に関連する動作の特徴を詳細に説明する。本実施形態では、表示手段18が、水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3および都道府県選択画面G6で水の硬度をカテゴリー別に表示し、水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3および都道府県選択画面G6から操作手段19で水の硬度を選択可能に操作する構成としている。そのため表示手段18は、操作手段19で水の硬度をそれぞれ異なる方法で選択可能な複数の画面である水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3および都道府県選択画面G6を有する構成としている。なお、ここからは説明の都合上、水の硬度の選択および設定に関する説明について言及する。
【0044】
図5(A)~(E)は、トップ画面G1で「水硬度」のボタン表示部B7をタッチ操作したときに移行する、第2のカテゴリーとしての水硬度選択画面G2を示している。同図を参照して水硬度選択画面G2を説明すると、その前部には、「水硬度 選択」なるテキスト表示体D31を含むタブ表示部B31と、「数値入力」なるテキスト表示体D32を含むタブ表示部B32と、を左右に並べて表示した水硬度画面表示領域A3が形成され、現在選択されているタブ表示部、例えば図5(A)~(E)の場合は「水硬度 選択」のタブ表示部B31の外周に選択表示部S1が表示されている。また水硬度画面表示領域A3の後ろには、「水の硬度を選択してください」なるテキスト表示体D33が配置される。
【0045】
そしてテキスト表示体D33の後ろには、カーソル表示体C1~C5を一直線に並べて表示し、これらのカーソル表示体C1~C5の前に、テキスト表示体D35~D40を左右に並べて表示し、カーソル表示体C1~C5の後ろに、テキスト表示体D35~D40の数値が水硬度の数値であることを連想させる「mg/L」なるテキスト表示体D41を表示した水硬度選択表示領域A4が形成される。また現在選択されているカーソル表示体、例えば図5(C)の場合は「40~60」のカーソル表示体C3が点灯表示され、他のカーソル表示体C1,C2,C4,C5が消灯表示されている。ここで「0~20」のカーソル表示体C11の左端前方および右端前方に「0」なるテキスト表示体D35および「20」なるテキスト表示体D36が配置され、同様に「20~40」のカーソル表示体C12の左端前方および右端前方に「20」なるテキスト表示体D36および「40」なるテキスト表示体D37が配置され、「40~60」のカーソル表示体C13の左端前方および右端前方に「40」なるテキスト表示体D37および「60」なるテキスト表示体D38が配置され、「60~80」のカーソル表示体C14の左端前方および右端前方に「60」なるテキスト表示体D38および「80」なるテキスト表示体D39が配置され、「80~100」のカーソル表示体C15の左端前方および右端前方に「80」なるテキスト表示体D39および「100」なるテキスト表示体D40が配置されている。
【0046】
なお記憶手段48は、例えば「40~60」などの水の硬度の範囲の設定と、例えば「20」などの、後述する水の硬度の数値の設定と、をそれぞれ個別に記憶しており、トップ画面G1から水硬度選択画面G2に移行したとき、表示制御手段49は、記憶手段48に記憶されている水の硬度の範囲のカーソル表示体C1~C5が点灯表示されるように表示手段18を制御する。例えば記憶手段48が、水の硬度の範囲の設定「40~60」と、水の硬度の数値の設定「20mg/L」と、を記憶しており、「水硬度」の設定表示体D14に「20mg/L」が表示されていたときにトップ画面G1から水硬度選択画面G2に移行すると、表示制御手段49は「40~60」のカーソル表示体C3が点灯表示されるように表示手段18を制御する。
【0047】
また、水硬度選択表示領域A4の後ろには、左向きの三角形を連想させるテキスト表示体D43を含む左キー表示部B43と、右向きの三角形を連想させるテキスト表示体D44を含む右キー表示部B44と、が左右に並べて配置される。そして、水硬度選択画面G2の後部には、「戻る」なるテキスト表示体D45を含むボタン表示部B45と、「各都道府県 平均」なるテキスト表示体D47を含むボタン表示部B47と、「決定」なるテキスト表示体D48を含むボタン表示部B48と、が左右に並べて配置される。
【0048】
「水硬度 選択」のタブ表示部B31および「数値入力」のタブ表示部B32は、水硬度選択画面G2または水硬度数値入力画面G3のどちらが現在LCD16に表示されているかを表示するものであり、「水硬度 選択」のタブ表示部B31が選択され、水硬度選択画面G2がLCD16に表示されているときは、表示制御手段49は、「水硬度 選択」のタブ表示部B31の背景が背景色と略同色で、「水硬度 選択」のテキスト表示部D31が白抜きで表示され、「水硬度 選択」のタブ表示部B31の外周に選択表示部S1が表示されて、「数値入力」のタブ表示部B32の色を薄くして表示する、いわゆるグレーアウト表示で表示されるように表示手段18を制御する。その一方で図7に示されるように、「数値入力」のタブ表示部B32が選択されて水硬度数値入力画面G3がLCD16に表示されているときは、表示制御手段49は、「水硬度 選択」のタブ表示部B31がグレーアウト表示で表示され、「数値入力」のタブ表示部B32の背景が背景色と略同色で、「数値入力」のテキスト表示部D31が白抜きで表示され、「数値入力」のタブ表示部B32の外周に選択表示部S1が表示されるように表示手段18を制御する。
【0049】
カーソル表示体C1~C5は、被炊飯物としての水の硬度の設定を表示するものであり、右のカーソル表示体に行くにつれて水の硬度が高くなるように表示され、このカーソル表示体に表示された水の硬度で炊飯コースが設定される。本実施形態の水硬度選択画面G2では、このカーソル表示体C1~C5の点灯表示を左右に移動させることにより水の硬度の選択をしており、左キー表示部B43や右キー表示部B44でカーソル表示体C1~C5の点灯表示を移動させる。例えば図5(C)に示された状態のときに左キー表示部B43を1回タッチ操作すると、図5(B)に示されるように表示制御手段49が、「40~60」のカーソル表示体C3を消灯表示にして「20~40」のカーソル表示体C2を点灯表示するように表示手段18を制御する。また図5(C)に示された状態のときに右キー表示部B44を1回タッチ操作すると、図5(D)に示されるように表示制御手段49が、「40~60」のカーソル表示体C13を消灯表示にして「40~60」のカーソル表示体C4を点灯表示するように表示手段18を制御する。なお本実施形態では、図5(A)に示されるように、表示制御手段49は、「0~20」のカーソル表示体C11が点灯表示しているときに左キー表示部B43のテキスト表示体D43をグレーアウト表示するように表示手段18を制御し、左キー表示部B43をタッチ操作しても操作が無効になるように構成している。また図5(E)に示されるように、表示制御手段49は、「80~100」のカーソル表示体C5が点灯表示しているときに右キー表示部B44のテキスト表示体D44をグレーアウト表示するように表示手段18を制御し、同様に、右キー表示部B44をタッチ操作しても操作が無効になるように構成している。
【0050】
そして「決定」のボタン表示部B48は、水の硬度の選択を決定するのに操作されるものであり、例えば上述した「20~40」のカーソル表示体C12を点灯表示させた状態で「決定」のボタン表示部B48をタッチ操作すると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、「水の硬度」の設定表示体D14の表示を、「決定」のボタン表示部B48の操作時の水硬度選択画面G2の設定、例えば「20~40」の表示にするように表示手段18を制御する。
【0051】
「各都道府県 平均」のボタン表示部B47は、水の硬度の選択で都道府県の平均の数値を選択するのに操作されるものであり、「各都道府県 平均」のボタン表示部B47をタッチ操作すると、表示制御手段49が図9に示される地方区分選択画面G5を表示するように表示手段18を制御する。
【0052】
「戻る」のボタン表示部B45は、現在の画面、例えば水硬度選択画面G2における設定を破棄して、一つ前の画面、例えばトップ画面G1に戻る際に操作されるもので、「戻る」のボタン表示部B45をタッチ操作すると、表示制御手段49が、現在LCD16に表示された設定を破棄して、一つ前の画面、例えばトップ画面G1に戻って、当該一つ前の画面で表示されていた設定を表示するように表示手段18を制御する。
【0053】
図6は、トップ画面G1から水硬度選択画面G2に移行したときに、最初に表示される水硬度ガイドポップアップ画面G4を示している。同図を参照して水硬度ガイドポップアップ画面G4を説明すると、LCD16の略全体に亘って水硬度ガイドポップアップ表示部P1が形成される。水硬度ガイドポップアップ表示部P1の前部には、炊飯に使用する水の硬度についての説明が表示されたガイド表示体D51が配置され、ガイド表示体D51の後ろには、白抜きの四角で表示されたチェックボックス表示部B52と、「次回より表示しない」なるテキスト表示体D53と、「OK」なるテキスト表示体D54を含むボタン表示部B54と、を左右に並べて表示している。
【0054】
チェックボックス表示部B52は、水硬度ガイドポップアップ表示部P1の表示の有無を選択するときに操作されるものであり、このチェックボックス表示部B52をタッチ操作すると、表示制御手段49が、チェックボックス表示部B52内に、例えば「レ」印などのチェックした印を表示するように表示手段18を制御する。
【0055】
そして「OK」のボタン表示部B54は、水硬度ガイドポップアップ表示部P1の表示の有無を決定するのに操作されるものであり、例えば上述したチェックした印がチェックボックス表示部B52内に表示された状態で「OK」のボタン表示部B54をタッチ操作すると、表示制御手段49は、水硬度選択画面G2を表示するように表示手段18を制御する。そして表示制御手段49は、次回から、トップ画面G1から水硬度選択画面G2に移行したときに、水硬度ガイドポップアップ表示部P1をポップアップ表示させずに水硬度選択画面G2を表示させるように表示手段18を制御する。その一方で、例えば上述したチェックした印がチェックボックス表示部B52内に表示されておらず、白い四角の状態で「OK」のボタン表示部B54をタッチ操作すると、表示制御手段49は水硬度選択画面G2を表示させるように表示手段18を制御し、そして表示制御手段49は、次回も、トップ画面G1から水硬度選択画面G2に移行したときに、水硬度ガイドポップアップ表示部P1をポップアップ表示させるように表示手段18を制御する。
【0056】
図7は、水硬度選択画面G2で「数値入力」のタブ表示部B32をタッチ操作したときに移行する、第1のカテゴリーとしての水硬度数値入力画面G3を示している。同図を参照して水硬度数値入力画面G3を説明すると、その前部には水硬度画面表示領域A3が形成され、この水硬度画面表示領域A3の後ろには、「0~120まで 設定できます」なるテキスト表示体D58と、設定された水の硬度を回転可能に表示させる表示部として、設定された10桁の数字を示すテキスト表示体D59を含むピッカー表示部B59と、設定された1桁の数字を示すテキスト表示体D60を含むピッカー表示部B60と、テキスト表示体D59、D60に表示される数字が、水の硬度であることを連想させる「mg/L」なるテキスト表示体D61と、が左右に並べて表示されている。またピッカー表示部B59の前に、テキスト表示体D59に表示される10分桁の数字の増加を連想させるアイコン表示体D62を含む上キー表示部B62が配置され、ピッカー表示部B60の前に、テキスト表示体D60に表示される1分桁の数字の増加を連想させるアイコン表示体D63を含む上キー表示部B63が配置されると共に、ピッカー表示部B59の後ろに、テキスト表示体D59に表示される10分桁の数字の減少を連想させるアイコン表示体D64を含む下キー表示部B64が配置され、ピッカー表示部B60の後ろに、テキスト表示体D60に表示される1分桁の数字の減少を連想させるアイコン表示体D65を含む下キー表示部B65が配置される。これらの表示体D58~D65および表示部B59~B65が上述の様に配置されて表示され、水硬度数値入力表示領域A4が形成される。
【0057】
なお上述したように、記憶手段48は水の硬度の範囲の設定と、水の硬度の数値の設定と、をそれぞれ個別に記憶しており、水硬度選択画面G2から水硬度数値入力画面G3に移行したとき、記憶手段48は、移行する直前に水硬度選択画面G2に表示されていた水の硬度の数値の範囲を記憶し、また表示制御手段49は、記憶手段48に記憶されている水の硬度の数値がピッカー表示部B59,B60に表示されるように表示手段18を制御している。その一方で、水硬度数値入力画面G3から水硬度選択画面G2に移行したとき、記憶手段48は、移行する直前に水硬度数値入力画面G3に表示されていた水の硬度の数値を記憶し、また表示制御手段49は、記憶手段48に記憶されている水の硬度の数値の範囲のカーソル表示体C1~C5が点灯表示されるように表示手段18を制御する。そのため、水硬度選択画面G2や水硬度数値入力画面G3で水の硬度の設定を行なっているときに、水硬度数値入力画面G3や水硬度選択画面G2に移行しても、次に水硬度選択画面G2や水硬度数値入力画面G3に移行したときに直前の水の硬度の設定の情報を表示することができる。
【0058】
ピッカー表示部B59,B60は、被炊飯物としての水の硬度の設定を表示するものであり、上キー表示部B62,B63や下キー表示部B64,B65をタッチ操作することでピッカー表示部B59,B60の表示を変更することにより、このピッカー表示部B59,B60に表示された水の硬度で炊飯コースが設定される。例えば図7の状態のときに下キー表示部B64を1回タッチ操作すると、下キー表示部B64の上に配設された操作手段19からの操作信号を制御手段12が受け付けて、表示制御手段49が、ピッカー表示部B59に表示されたテキスト表示体D59の数字「5」を1減少させてテキスト表示体D59の数字が「4」を表示するように表示手段18を制御する。そして、例えば上述したピッカー表示部B59,B90が「40」を表示した状態で「決定」のボタン表示部B48をタッチ操作すると、「決定」のボタン表示部B48の上に配設された操作手段19からの操作信号を制御手段12が受け付けて、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、「水の硬度」の設定表示体D14の表示を、「決定」のボタン表示部B48の操作時の水硬度数値入力画面G3の設定、例えば「40mg/L」の表示にするように表示手段18を制御する。なお表示制御手段49は、これらのピッカー表示部B59,B60上で、タッチパネル8を指でタッチし、そこから指を滑らせて操作するスライド操作した場合に、そのピッカー表示部の数字がスライド操作した方向にスクロールして表示されるように表示手段18を制御してもよい。
【0059】
図8は、水硬度数値入力画面G3で上キー表示部B62,B63や下キー表示部B64,B65を操作したときのピッカー表示部B59,B60の表示の移り変わりを示している図である。図8(A)は、ピッカー表示部B59,B60が最低値である「 0」を表示しているときを示しており、このとき表示制御手段49は、上キー表示部B62,B63および下キー表示部B65のそれぞれのアイコン表示体D62,D63およびD65に色を付けて表示する色付き表示にし、下キー表示部B64のアイコン表示体D64をグレー表示するように表示手段18を制御する。そのため、ピッカー表示部B60の数値を増加、減少方向のいずれにも操作可能であり、ピッカー表示部B59の数値を増加方向に操作可能である一方で、ピッカー表示部B59の数値を減少方向に操作できないことをユーザに連想させ、ユーザが感覚的に水硬度数値入力の操作をできるようにしている。
【0060】
ここで本実施形態では、ピッカー表示部B60の数値である、設定された1桁の数字を示すテキスト表示体D60は「0」~「9」で変更可能であり、ピッカー表示部B59である、設定された10桁の数字を示すテキスト表示体D59は、表示させない空白である「 」~「12」まで変更可能であるように構成されており、テキスト表示体D59の最低値を0ではなく空白にすることにより、ユーザが水硬度数値入力画面G3を見ただけで、現在表示された水硬度の数値を素早くかつ確実に知ることができるようにしている。
【0061】
また本実施形態では、図8(A)のときに上キー表示部B63をタッチ操作すると、表示制御手段49はテキスト表示体D60に示された数字を、例えば「1」、「2」と増加させるように表示手段18を制御する一方で、下キー表示部B65をタッチ操作すると、図8(B)に示されるように、表示制御手段49はテキスト表示体D60に示された数字を、例えば「9」と変更させるように表示手段18を制御している。このとき表示制御手段49は、ピッカー表示部B59のテキスト表示体D59は、図8(A)と同様に、空白である「 」を表示させるように表示手段18を制御しており、ピッカー表示部B59,B60の間で繰り上がり、繰り下がりが発生せずに、ピッカー表示部B59,B60のそれぞれを独立して設定できるように構成して、ユーザが設定しやすいようにしている。なお本発明はこれに限定されず、ピッカー表示部B59,B60の間で繰り上がり、繰り下がりが発生するように構成してもよい。
【0062】
その一方で本実施形態では、図8(A)のときに下キー表示部B64をタッチ操作しても、操作手段19からの操作信号を制御手段12が受け付けずに操作が無効になるように構成しており、表示制御手段49はテキスト表示体D59に示された数字を、例えば空白である「 」から「12」と変更させないように表示手段18を制御しており、ユーザが水硬度の数値入力に設定で誤操作する虞を抑制している。なお本発明はこれに限定されず、空白である「 」から「12」と変更するように構成してもよい。
【0063】
図8(C)は、ピッカー表示部B59,B60が最高値である「120」を表示しているときを示しており、このとき表示制御手段49は、下キー表示部B64のアイコン表示体D64を色付き表示にし、上キー表示部B62,B63および下キー表示部B65のそれぞれのアイコン表示体D62,D63およびD65をグレー表示するように表示手段18を制御する。そのため、ピッカー表示部B59の数値を減少方向に操作可能である一方で、ピッカー表示部B59の数値を増加方向に操作できず、またピッカー表示部B60の数値を増加、減少方向のいずれにも操作できないことをユーザに連想させ、ユーザが感覚的に水硬度数値入力の操作をできるようにしている。本実施形態では、上述したようにピッカー表示部B59,B60の間で繰り上がり、繰り下がりが発生しないため、ピッカー表示部B60の数値を増加、減少方向のいずれにも操作できないが、ピッカー表示部B59,B60の間で繰り上がり、繰り下がりが発生する構成の場合は、ピッカー表示部B60の数値を減少方向に操作可能であるようにしてもよい。
【0064】
図9は、水硬度選択画面G2で「各都道府県 平均」のボタン表示部B47をタッチ操作したときに移行する地方区分選択画面G5を示している。同図を参照して地方区分選択画面G5の説明をすると、その前部には、「設定」なるテキスト表示体D71を含むタブ表示部B71と、「ガイド」なるテキスト表示体D72を含むタブ表示部B72と、を左右に並べて表示した設定・ガイド画面表示領域A5が形成されている。また設定・ガイド画面表示領域A5の後ろには、6つのボタン表示部B73~B78を前後左右に並べて表示した地方区分選択表示領域A6が形成されている。また、地方区分選択画面G5の後部には「戻る」のボタン表示部B45が配置される。
【0065】
ここで「北海道 東北」のボタン表示部B73には、「北海道 東北」なるテキスト表示体D73を含んでおり、「関東 甲信」のボタン表示部B74には、「関東 甲信」なるテキスト表示体D74を含んでおり、「北陸 東海」のボタン表示部B75には、「北陸 東海」なるテキスト表示体D75を含んでおり、「近畿」のボタン表示部B76には、「近畿」なるテキスト表示体D76を含んでおり、「中国 四国」のボタン表示部B77には、「中国 四国」なるテキスト表示体D77を含んでおり、「九州 沖縄」のボタン表示部B78には、「九州 沖縄」なるテキスト表示体D78を含んでいる。
【0066】
「設定」のタブ表示部B71および「ガイド」のタブ表示部B72は、設定画面またはガイド選択画面のどちらが現在LCD16に表示されているかを表示するものであり、地方区分選択画面G5はガイド選択画面からも選択可能であるため、表示制御手段49は、ガイド選択画面G9がLCD16に表示されているとして、「設定」のタブ表示部B71がグレーアウト表示で表示され、「ガイド」のタブ表示部B72が背景色と略同色に表示されるように表示手段18を制御する。
【0067】
地方区分選択表示領域A6内のボタン表示部B73~B78は、水の硬度の選択で都道府県から選択しようとする際に、当該都道府県がある地方区分を選択するのに操作されるものであり、ボタン表示部B73~B78のいずれかをタッチ操作すると、表示制御手段49が、選択されたボタン表示部に対応した都道府県選択画面G6に移行するように表示手段18を制御する。なおボタン表示部B73~B78のテキスト表示体D73~D78に、記載された地方区分、例えば「北陸 東海」の地方区分、に対応する水の硬度、例えば北陸地方および東海地方の水道水の平均硬度が合わせて表示されるように構成してもよく、この場合、ボタン表示部B73~B78のいずれかをタッチ操作すると、記憶手段48に、選択された地方区分の水道水の平均硬度がある範囲を記憶し、そして表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、「水の硬度」の設定表示体D14の表示を、選択された地方区分の水道水の平均硬度がある範囲のカーソル表示体C1~C5の表示にするように表示手段18を制御するように構成してもよい。
【0068】
図10は、地方区分選択画面G5で、例えば「北陸 東海」のボタン表示部B75をタッチ操作したときに移行する、第3のカテゴリーとしての都道府県選択画面G6を示している。同図を参照して都道府県選択画面G6を説明すると、その前部には、「各都道府県の水道水の平均硬度(mg/L)」なるテキスト表示体D81が配置される。またテキスト表示体D81の後ろには、8つのボタン表示部B82~B89を前後左右に並べて表示した都道府県選択表示領域A7が形成されている。また都道府県選択画面G6の後部には「戻る」のボタン表示部B45が配置される。
【0069】
都道府県選択画面G6内のボタン表示部B82~B89は、都道府県の水道水の平均硬度から水の硬度を選択するのに操作されるものであり、本実施形態では、ボタン表示部B82~B89の数やボタン表示部B82~B89に含まれるテキスト表示体D82~D89の表示は、地方区分選択表示領域A6で選択された地方区分に対応したものが表示される。そのため都道府県選択画面G6は、ボタン表示部B73~B78に対応する6つの画面があり、例えば図10に示されるように、「北陸 東海」のボタン表示部B75をタッチ操作したときに移行する都道府県選択画面G6では、表示制御手段49は、ボタン表示部B82~B89の数が8つ表示され、テキスト表示体D82~D89には、それぞれ「新潟 33.0」、「富山 29.5」、「石川 46.5」、「福井38.4」、「静岡 53.6」、「岐阜 38.6」、「愛知 24.1」、「三重 44.5」が表示されるように表示手段18を制御する。
【0070】
ここで、ボタン表示部B82~B89のいずれか、例えば「新潟 33.0」のボタン表示部B82をタッチ操作すると、記憶手段48に、選択された都道府県の水道水の平均硬度がある範囲、例えば新潟県は33.0mg/Lなので「20~40」を記憶し、そして表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、「水の硬度」の設定表示体D14の表示を、選択された都道府県の水道水の平均硬度がある範囲のカーソル表示体C1~C5の表示、例えば新潟県は「20~40」の表示にするように表示手段18を制御する。そのためユーザは、炊飯に使用する水道水の硬度の情報を知らなくても、使用する水道水の地域区分や都道府県を選択することで水の硬度を選択することができ、水道水の硬度の検査や調査をする必要がないため、利便性が向上する。なお本実施形態では、各都道府県内でも水道水の硬度にばらつきがあるために、選択された都道府県の水道水の平均硬度がある範囲の情報を記憶手段48が記憶し、設定表示体D14に表示するように構成しているが、各都道府県の水道水の平均硬度の数値、例えば新潟県は「33」を記憶手段48が記憶し、設定表示体D14に表示するように構成してもよい。またボタン表示部B82~B89のいずれか、例えば「新潟 33.0」のボタン表示部B82をタッチ操作すると、表示制御手段49が、選択された都道府県内における所定のエリア、例えば「新潟県」なら上越地方、中越地方、下越地方、佐渡など、の記載のボタン表示部に、当該記載のエリアに対応する水の硬度、例えば上越地方、中越地方、下越地方、佐渡の水道水の平均硬度がそれぞれ合わせて表示される画面に移行するように表示手段18を制御するように構成してもよく、この場合、これらのボタン表示部のいずれかをタッチ操作すると、記憶手段48に、選択されたエリアの水道水の平均硬度がある範囲を記憶し、そして表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、「水の硬度」の設定表示体D14の表示を、選択されたエリアの水道水の平均硬度がある範囲のカーソル表示体C1~C5の表示にするように表示手段18を制御するように構成してもよい。
【0071】
図11は、水硬度選択画面G2から地方区分選択画面G5に移行したときに、最初に表示される都道府県水硬度ポップアップ画面G7を示している。同図を参照して都道府県水硬度ポップアップ画面G7を説明すると、LCD16の略全体に亘って都道府県水硬度ポップアップ表示部P2が形成される。都道府県水硬度ポップアップ表示部P2の前部には、各都道府県の水道水の平均硬度についての説明が表示されたガイド表示体D91が配置され、ガイド表示体D91の後ろには、白抜きの四角で表示されたチェックボックス表示部B92と、「次回より表示しない」なるテキスト表示体D93と、「OK」なるテキスト表示体D94を含むボタン表示部B94と、を左右に並べて表示している。
【0072】
チェックボックス表示部B92は、都道府県水硬度ポップアップ表示部P2の表示の有無を選択するときに操作されるものであり、このチェックボックス表示部B92をタッチ操作すると、表示制御手段49が、チェックボックス表示部B92内に、例えば「レ」印などのチェックした印を表示するように表示手段18を制御する。
【0073】
そして「OK」のボタン表示部B94は、都道府県水硬度ポップアップ表示部P2の表示の有無を決定するのに操作されるものであり、例えば上述したチェックした印がチェックボックス表示部B92内に表示された状態で「OK」のボタン表示部B94をタッチ操作すると、表示制御手段49は、地方区分選択画面G5を表示するように表示手段18を制御する。そして表示制御手段49は、次回から、水硬度選択画面G2から地方区分選択画面G5に移行したときに、水硬度ガイドポップアップ表示部P1をポップアップ表示させずに地方区分選択画面G5を表示させるように表示手段18を制御する。その一方で、例えば上述したチェックした印がチェックボックス表示部B92内に表示されておらず、白い四角の状態で「OK」のボタン表示部B94をタッチ操作すると、表示制御手段49は地方区分選択画面G5を表示させるように表示手段18を制御し、そして表示制御手段49は、次回も、水硬度選択画面G2から地方区分選択画面G5に移行したときに、水硬度ガイドポップアップ表示部P1をポップアップ表示させるように表示手段18を制御する。
【0074】
次に図12図14を参照しつつ、上記構成の炊飯器について炊飯工程における作用を説明する。本実施形態では、被炊飯物の水の硬度に対する炊き方の選択を適正かつ簡便にするために、水の硬度を選択、設定し、ひたし炊き工程における減圧手段38の真空ポンプ39の通電時間を変更することにより鍋4の内部圧力を調整し、水の硬度ごとに適切な炊き方のパターンを設ける構成としている。そのため炊飯制御手段51は、炊飯を実施する工程である炊飯工程、特にひたし炊き工程において、選択手段としての水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3、都道府県選択画面G6および操作手段19で選択された水質情報としての水の硬度の情報に応じて炊飯を制御している。
【0075】
具体的には、炊飯コースの設定後にトップ画面G1で「炊飯スタート」のボタン表示部B17をタッチ操作すると、条件設定手段50が、現在、炊飯情報表示領域A2に表示されたお米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段48に記憶し、表示・操作制御手段46から加熱制御手段41にこの炊飯コースの設定が送信される。そして加熱制御手段41の炊飯制御手段51が、記憶手段48に記憶した今回の炊飯コースの設定の加熱パターンに沿って、鍋4内の被炊飯物に対するひたし炊き工程、沸騰加熱工程、沸騰継続工程、むらし工程の各炊飯動作を行なうが、本実施形態では、炊飯工程中のひたし炊き工程で主に減圧が行われている。
【0076】
ひたし炊き工程中では鍋4内の圧力が大気圧よりも低い減圧状態となるように、炊飯制御手段51が調圧部26や減圧手段38の動作を各々制御する。具体的には、ひたし炊き工程が開始されると、炊飯制御手段51は、蒸気排出経路33を調圧弁34で閉塞するようにソレノイド35を制御する。そしてこの状態で、炊飯制御手段51は、圧力センサ36による圧力検知に基づき、減圧手段38の経路を開放すると共に、真空ポンプ39を連続動作させ、密閉した鍋4の内部の空気を真空ポンプ39で抜き取る真空引きを行なう。その後、炊飯制御手段51は、図12(A)(B)に示される表の設定に基づき、鍋4内部の圧力が大気圧よりも低い減圧状態で一定値以下に維持されるように減圧手段38を制御する。こうして、ひたし炊き工程の全期間に亘って、鍋4内部を減圧状態に保っている。
【0077】
図12は、ひたし炊き工程における真空ポンプ39の通電時間Ts、真空ポンプ39のPMW制御のON時間としてのデューティー比、およびひたし炊き工程の補正時間tsと、水の硬度との関係を示した表であり、図13は、水の硬度とご飯の炊き上がりとの関係を示す説明図であり、図14は、ひたし炊き工程における真空引き時間、すなわち減圧ポンプ39の通電時間と、鍋4内の圧力としての真空値との関係を示したグラフ、および従来の炊飯器で炊飯したご飯と、本実施形態で炊飯したご飯とを比較した比較図である。
【0078】
本実施形態では、ひたし炊き工程で鍋4内の圧力を減圧状態にして米の吸水を促進させ、ひたし炊き工程の時間を短くしている。しかしながら図13に示されるように、被炊飯物の水の硬度が高くなり、この水に含まれる不純物が多くなるほど、浸透圧の差異の関係により被炊飯物の米の吸水率が悪化し、また水に含まれるカルシウムなどが被炊飯物の米の微細な穴を塞ぐバリヤーの役割を果たしてしまって米の吸水を阻害してしまうため、この米の内部まで水が浸透することを阻害してしまい、同一の米質および量の米、同一の量の水、ならびに同一の炊飯コースの設定で炊飯しても、硬くてパサパサする炊き上がりの芯まで糊化されないご飯になってしまう虞がある。また地域によって水道水の硬度は異なり、例えば新潟県では水道水の硬度の平均が33mg/Lであるのに対して、沖縄県では水道水の硬度の平均が90mg/Lである。そのため本実施形態の炊飯器では、水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3または都道府県選択画面G6で操作手段19により選択された水の硬度に応じて、真空ポンプ39の通電時間やデューティー比を変更することにより鍋4の内部圧力を調整し、またはひたし炊き工程の時間を変更することにより鍋4内を減圧している時間を調整し、被炊飯物の水の硬度が高くなるほど鍋4内を減圧し、またはひたし炊き工程の時間を長くするように減圧手段38を動作させている。したがって図13のグラフに示されるように、被炊飯物の水の硬度に応じた鍋4内の圧力に減圧することにより被炊飯物の米の吸水を実現し、水の硬度が高くても炊飯されたご飯が芯まで糊化されるようにして、図13の比較図に示されるように水に合わせてご飯をより美味しく炊飯している。
【0079】
具体的に説明すると、水硬度を特定の区分ごととしての水の硬度の範囲ごとに選択可能である水硬度選択画面G2や都道府県選択画面G6で水硬度の設定を行ない、トップ画面G1の「水硬度」の設定表示体D14に、例えば図4に示される「40~60」のように、水硬度の特定の区分としての水の硬度の範囲が表示されていたときに炊飯開始した場合、炊飯制御手段51は、図12(A)に示される表の設定に基づき、受け取った情報の水硬度の設定に対応した通電時間やデューティー比で真空ポンプ39を動作させるように減圧手段38を制御し、またひたし炊き工程の時間を、予め定められたひたし炊き工程の時間tに当該水硬度の設定に対応した補正時間tsを加えた時間にするように制御する。
【0080】
例えば図4に示されるように「水硬度」の設定表示体D14に「40~60」が表示されていた場合は、炊飯制御手段51は、通電時間Tsの長さが「T」、真空ポンプのデューティー比が「大」で真空ポンプ39を動作させるように減圧手段38を制御する。また炊飯制御手段51は、予め定められたひたし炊き工程の時間tに補正時間tを加えた時間t+tでひたし炊き工程を実施するように制御する。この場合、炊飯制御手段51は、ひたし炊き工程において通電時間Tsである通電時間Tが経過すると真空ポンプ39の動作を停止させるように制御するため、鍋4の内部圧力は真空ポンプ39の動作停止時よりも低くならない。その一方で、炊飯制御手段51は蒸気排出経路33を閉塞させたままにするようにソレノイド35を制御し、また減圧ポンプ39と鍋4の内部との間の経路を閉塞させたままにするように減圧手段38を制御して、補正時間tの時間だけ長くなったひたし炊き工程の全期間に亘って鍋4の内部圧力が減圧状態で維持されるようにしている。
【0081】
また、水硬度を数値で選択可能である水硬度数値入力画面G3で水の硬度の設定を行ない、トップ画面G1の「水硬度」の設定表示体D14に、例えば「10mg/L」のように水の硬度の数値が表示されていたときに炊飯開始した場合、炊飯制御手段51は、図12(B)に示される表の設定に基づき、受け取った情報の水硬度の設定に対応した通電時間で真空ポンプ39を動作させるように減圧手段38を制御し、またひたし炊き工程の時間を、予め定められたひたし炊き工程の時間tに当該水硬度の設定に対応した補正時間tsを加えた時間にするように制御する。
【0082】
例えば「水硬度」の設定表示体D14に「10mg/L」が表示されていた場合は、炊飯制御手段51は、通電時間Tsの長さが「T11」、真空ポンプのデューティー比が「大」で真空ポンプ39を動作させるように減圧手段38を制御する。また炊飯制御手段51は、予め定められたひたし炊き工程の基礎時間tに補正時間t11を加えた時間t+t10でひたし炊き工程を実施するように制御する。この場合も前述と同様に、炊飯制御手段51は、ひたし炊き工程において通電時間T11が経過すると真空ポンプ39の動作を停止させるように制御する一方で、蒸気排出経路33を閉塞させたままにするようにソレノイド35を制御し、また減圧ポンプ39と鍋4の内部との間の経路を閉塞させたままにするように減圧手段38を制御して、補正時間t11の時間だけ長くなったひたし炊き工程の全期間に亘って鍋4の内部圧力が減圧状態で維持されるようにしている。
【0083】
本実施形態では、図12(B)の表において、水硬度の値ごとに真空ポンプの通電時間Tsと、ひたし炊き工程補正時間tsとが異なるように設定されており、基本的に、水硬度の数値の増加に伴い、通電時間Tsが比例的に長くなるように設定され、また補正時間tsが比例的に長くなるように設定されている。そのため炊飯工程のひたし炊き工程において、炊飯制御手段51は、選択された水硬度に応じて炊飯を制御し、水の硬度が高くても炊飯されたご飯が芯まで糊化されるように構成されている。その一方で、通電時間Tsの値であるT1~T120の中には同じ値を含んでいてもよく、例えば水硬度が所定の値以上の範囲であるときや所定の値以下の範囲であるときなど、水硬度が所定の範囲内であるときに、通電時間Tsの値が同一であってもよく、この場合は水硬度が所定の範囲内であるときに通電時間Tsを所定の値にするように構成される。このことは補正時間tsでも同様であり、補正時間tsの値であるt1~t120の中には同じ値を含んでいてもよく、水硬度が所定の範囲内であるときに、補正時間tsの値が同一であってもよい。なお本発明はこれに限定されず、数値は一例である。また図12(A)(B)では、選択された水の硬度の設定によらずに真空ポンプPWMはデューティー比「大」で一定である例が示されているが、通電時間Tsや補正時間tsと同様に、選択された水の硬度の設定に応じてこのデューティー比の値を変化させてもよいのはもちろんであり、その際、水硬度が所定の範囲内であるときに、デューティー比の値が同一であってもよい。また図12(A)(B)では、水硬度の数値の増加に伴い、通電時間Tsが比例的に長くなるように設定され、また補正時間tsが比例的に長くなるように設定されているが、これに限られるものではなく、少なくとも一部の水硬度の数値について、上記関係を満たしていればよい。
【0084】
その後、基礎時間tに選択された水硬度の設定に対応した補正時間tsを加えた時間t+tsのひたし炊き工程が終了すると、次の沸騰加熱工程に移行し、炊飯制御手段51は、ソレノイド35および減圧手段38を制御して、鍋4内を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す。
【0085】
以上のように、本実施形態の炊飯器では、水を含む被炊飯物の炊飯制御を行なう制御手段としての炊飯制御手段51と、被炊飯物の水の水質情報としての水の硬度の情報を選択可能に操作する選択手段としてのトップ画面G1、水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3、都道府県選択画面G6および操作手段19と、を備え、炊飯制御手段51は、水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3、都道府県選択画面G6および操作手段19で選択された水の硬度の情報に応じて炊飯制御を行なう構成としている。
【0086】
このような構成により、炊飯制御手段51が、被炊飯物の水の硬度に応じて炊飯制御を行なうことができるため、被炊飯物の水の硬度に応じた炊き分けを行なうことができる。そのため、炊飯制御手段51が被炊飯物として使用する水に合わせた炊飯制御を行なうことができ、この水に合わせてご飯をより美味しく炊飯することができる。
【0087】
また本実施形態の炊飯器では、被炊飯物を収容した鍋4の内部を大気圧よりも低い減圧状態にする減圧手段38をさらに備え、炊飯制御手段51は、水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3、都道府県選択画面G6および操作手段19で選択された水の硬度の情報に応じて、減圧ポンプ39の通電時間Ts、減圧ポンプ39の出力としての減圧ポンプ39のPMW制御のデューティー比、および減圧状態にする時間としてのひたし炊き工程の時間である基礎時間t+補正時間tsの内、少なくとも1つを変更可能である構成としている。
【0088】
このような構成により、真空ポンプ39の通電時間Tsやデューティー比を変更することにより鍋4の内部圧力を調整し、またはひたし炊き工程の時間t+tsを変更することにより鍋4内を減圧状態にする時間を調整することができ、被炊飯物の水の硬度が高くなるほど鍋4内を減圧し、またはひたし炊き工程の時間t+tsを長くするように減圧手段38を動作させることができる。したがって被炊飯物の水の硬度に応じた被炊飯物の米の吸水を実現することができる。
【0089】
また本実施形態の炊飯制御手段51は、水硬度選択画面G2、水硬度数値入力画面G3、都道府県選択画面G6および操作手段19で選択された水の硬度の情報が特定の範囲内のとき、通電時間Tsを所定の値にする構成としてもよく、通電時間Tsが当該所定の値を超えた値にならず、あるいは通電時間Tsが当該所定の値を下回る値にならない。
【0090】
また本実施形態の炊飯器では、炊飯制御手段51の炊飯制御がひたし炊き工程の制御を有し、炊飯制御手段51は、水の硬度の情報に応じて補正時間tsを変更することにより、ひたし炊き工程の工程時間t+tsの長さを制御する構成としている。そのため、炊飯制御手段51は、水硬度の数値の増加に伴い補正時間tsを比例的に長くして、水の硬度が高い場合は、米の吸水の時間であるひたし炊き工程の工程時間t+tsを延ばすことができ、水の硬度が高くても炊飯したご飯を芯まで糊化することができる。
【0091】
また本実施形態の炊飯器では、水硬度選択画面G2または都道府県選択画面G6と、操作手段19とにより、水の硬度の情報を特定の区分ごととしての水の硬度の範囲ごとに選択可能である構成としており、ユーザが水の硬度を直感的に選択することができ、利便性が向上する。
【0092】
また本実施形態の炊飯器では、水硬度数値入力画面G3と、操作手段19とにより、水の硬度の情報を数値で選択可能である構成としており、ユーザが、例えばミネラルヲーターなどを使用して炊飯するときなどに、水の硬度を細かく指定して選択することができ、利便性が向上する。
【0093】
また本実施形態の炊飯器では、都道府県選択画面G6や地方区分選択画面G5や都道府県内における所定のエリアが表示された画面と、操作手段19とで、水の硬度の情報を、使用する水道水の地域区分である地方区分や、都道府県や、所定のエリアに基づいて選択可能である構成としてもよく、この場合ユーザは、炊飯に使用する水道水の硬度の情報を知らなくても、使用する水道水の地域区分や都道府県や所定のエリアを選択することで水の硬度を選択することができ、水道水の硬度の検査や調査をする必要がないため、利便性が向上する。
【0094】
また本実施形態の炊飯器では、トップ画面G1と、操作手段19とにより、被炊飯物としてのお米の銘柄を選択可能であって、炊飯制御手段51は、トップ画面G1および操作手段19で選択された水の硬度の情報およびお米の銘柄に応じて炊飯制御を行なう構成としてもよく、炊飯制御手段51が、被炊飯物の水の硬度やお米の銘柄に応じて炊飯制御を行なうことができるため、被炊飯物の水の硬度に応じた炊き分けに加えて、お米の銘柄に応じた炊き分けを行なうことができる。
【0095】
また本実施形態の炊飯器では、トップ画面G1と、操作手段19とにより、被炊飯物の炊き方およびかたさの少なくとも一方を選択可能であって、炊飯制御手段51は、トップ画面G1および操作手段19で選択された水の硬度の情報と、被炊飯物の炊き方およびかたさの少なくとも一方と、に応じて炊飯制御を行なう構成としてもよく、炊飯制御手段51が、被炊飯物の水の硬度と、被炊飯物の炊き方およびかたさの少なくとも一方とに応じて炊飯制御を行なうことができるため、被炊飯物の水の硬度に応じた炊き分けに加えて、被炊飯物の炊き方およびかたさの少なくとも一方に応じた炊き分けを行なうことができる。
【実施例0096】
図15図21は、本発明における炊飯器の第2の実施形態を示している。本実施形態の炊飯器では以下のように纏められる。
【0097】
(1)本実施形態の炊飯器では、被炊飯物としての米と水を加熱可能な加熱手段と、前記米の銘柄ごとの炊飯情報を記憶する記憶手段と、前記炊飯情報に基づいて前記加熱手段を制御して前記被炊飯物の炊飯の制御を行なう制御手段と、を備え、前記炊飯情報は、銘柄米の特徴が所定の基準で指標化された銘柄食感情報に基づいて、前記米の銘柄ごとに設定され、前記炊飯情報は、前記特徴が強調されるように前記炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第1の炊飯情報と、前記特徴が抑制されるように前記炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第2の炊飯情報と、を有することを特徴としている。そのため、銘柄米の特徴を強調または抑制されるような炊飯の制御を銘柄米ごとに行ない、品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを設けることができ、それぞれの銘柄米に応じた炊飯をすることができる。
【0098】
(2)本実施形態の炊飯器では、前記基準は、第1の基準および第2の基準を有し、前記銘柄食感情報は、前記第1の基準の値および前記第2の基準の値をお互いに異なる座標軸上にとった座標系であり、前記炊飯情報は、前記銘柄食感情報における前記座標系を所定の範囲ごとに区分した領域に基づいて、前記第1の炊飯情報と、前記第2の炊飯情報と、前記特徴に応じて前記炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第3の炊飯情報と、が設定されることを特徴としている。そのため銘柄米を炊飯する炊飯情報を、第1の基準および第2の基準を基準として第1の炊飯情報、第2の炊飯情報、または第3炊飯情報に設定することができ、品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを設けることができる。また第1の基準および第2の基準のバランスがちょうど中間である特徴の銘柄米を、その特徴に応じて炊飯することができる。
【0099】
(3)本実施形態の炊飯器では、前記第1の基準は、炊上がり時のご飯のかたさ食感であり、前記第2の基準は、炊上がり時のご飯のねばり食感であることを特徴としている。そのため、銘柄米を炊飯する炊飯情報を、かたさ食感およびねばり食感を基準として第1の炊飯情報、第2の炊飯情報、または第3の炊飯情報に設定することができ、品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを設けることができる。
【0100】
(4)本実施形態の炊飯器では、前記座標系は、前記座標軸が交わる原点を有して前記第3の炊飯情報が設定される前記領域の周囲に、前記第1の炊飯情報が設定される前記領域が配置され、当該第1の炊飯情報が設定される前記領域の周囲に、前記第2の炊飯情報が設定される前記領域がさらに配置されることを特徴としている。そのため、かたさのバランスがかためおよび/またはやわらかめに少し寄っており、および/または粘りのバランスがもちもちおよび/またはしゃっきりに少し寄っている特徴の銘柄米を第1の加熱パターンに設定することができ、その一方で、かたさのバランスがかためおよび/またはやわらかめに大幅に寄っており、および/または粘りのバランスがもちもちおよび/またはしゃっきりに大幅に寄っている特徴の銘柄米を第2の加熱パターンに設定することができる。また、かたさのバランスおよび粘りのバランスがちょうど中間である特徴の銘柄米を第3の加熱パターンに設定することができる。
【0101】
(5)本実施形態の炊飯器では、前記被炊飯物を収容する鍋の内部の圧力を変更可能な圧力制御手段をさらに備え、前記制御手段は、設定された前記炊飯情報および当該炊飯情報における前記第2の基準の値に基づいて前記圧力を変更するように前記圧力制御手段を制御することを特徴としている。そのため、それぞれの銘柄米の炊上がり時のご飯のねばり食感の特性を損なうことのない炊き方のパターンを設けることができ、それぞれの銘柄米に応じた炊飯をすることができる。
【0102】
(6)本実施形態の炊飯器では、前記制御手段は、設定された前記炊飯情報および当該炊飯情報における前記第1の基準の値に基づいて、前記米の吸水を促進させる工程における前記被炊飯物の温度と、前記工程を実施する時間の長さとを変更するように前記加熱手段を制御することを特徴としている。そのため、それぞれの銘柄米の炊上がり時のご飯のかたさ食感の特性を損なうことのない炊き方のパターンを設けることができ、それぞれの銘柄米に応じた炊飯をすることができる。
【0103】
図15および図16はLCD16の上面図を示しており、それぞれの図面の上側を「前」、下側を「後」、左側を「左」、右側を「右」として説明する。また、それぞれの図面の手前側を「上」、奥側を「下」として説明する。本実施形態では、トップ画面G1で「お米」のボタン表示部B1をタッチ操作すると、表示制御手段49が、図16に示されるような米選択画面G12を表示するように表示手段18を制御している。
【0104】
図15は、トップ画面G1で「お米」のボタン表示部B1をタッチ操作したときに移行する米選択画面G12を示している。同図を参照して米選択画面G12の説明をすると、その前部には、「米を選択してください」なるテキスト表示体D130が配置され、テキスト表示体D130の後ろには、6つのボタン表示部B131~B141を前後左右に並べて表示した米選択表示領域A13が形成され、現在選択されているボタン表示部、例えば図15の場合は「白米 銘柄おまかせ」のボタン表示部B131の外周に選択表示部S11が表示されている。ここで「白米 銘柄おまかせ」のボタン表示部B131には、「白米 銘柄おまかせ」なるテキスト表示体D131や、お茶碗に盛られた白米の写真の画像表示体D132を含む。また「白米 銘柄選択」のボタン表示部B133には、「白米 銘柄選択」なるテキスト表示体D133や、実った稲穂の写真の画像表示体D134を含む。そして「無洗米 銘柄おまかせ」のボタン表示部B135には、「無洗米 銘柄おまかせ」なるテキスト表示体D135や、お茶碗に盛られた白米のご飯の写真の画像表示体D136を含む。また「玄米」のボタン表示部B137には、「玄米」なるテキスト表示体D137や、お茶碗に盛られた玄米のご飯の写真の画像表示体D138を含む。そして「雑穀米」のボタン表示部B139には、「雑穀米」というテキスト表示体D139や、お茶碗に盛られた雑穀米のご飯の写真の画像表示体D140を含む。また「麦ご飯」のボタン表示部B141には、「麦ご飯」なるテキスト表示体D141や、お茶碗に盛られた麦ご飯の写真の画像表示体D142を含む。
【0105】
また米選択画面G12の後部には、「戻る」のボタン表示部B45と、「取消」なるテキスト表示体D143を含むボタン表示部B143と、が左右に並べて配置される。
【0106】
米選択表示領域A13内のボタン表示部B131~B141は被炊飯物としての米の種類を選択するのに操作されるものであり、ボタン表示部B131、B135、B137、B139またはB141、例えば「無洗米 銘柄おまかせ」のボタン表示部B135をタッチ操作すると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、「お米」の設定表示体D11の表示を、タッチ操作されたボタン表示部の表示、例えば「無洗米 銘柄おまかせ」の表示にするように表示手段18を制御する。
【0107】
また「白米 銘柄選択」のボタン表示部B133をタッチ操作すると、表示制御手段49が、図16に示されるような銘柄選択画面G13を表示するように表示手段18を制御する。
【0108】
「取消」のボタン表示部B143は、現在の画面、例えば米選択画面G12における設定を破棄してトップ画面G1に戻る際に操作されるもので、「取消」のボタン表示部B143をタッチ操作すると、表示制御手段23が、現在LCD16に表示された設定を破棄して、トップ画面G1に戻って、最も直前のトップ画面G1で表示されていた設定を表示するように表示手段18を制御する。
【0109】
図16は、米選択画面G12で「白米 銘柄選択」のボタン表示部B133をタッチ操作したときに移行する銘柄選択画面G13を示している。同図を参照して銘柄選択画面G13の説明をすると、その前部には、8つのボタン表示部B145~B152を左右に並べて表示し、これらのボタン表示部B145~B152の後ろに位置表示バーP1,P2を表示した五十音順行選択表示領域A14が形成され、現在、銘柄選択画面G13に表示されている、後述する銘柄選択表示領域A15がカテゴライズされたボタン表示部のテキスト表示体、例えば図16の場合は「あ」行のボタン表示部B145のテキスト表示体D145の白抜き文字に色が付けられて表示されている。
【0110】
ここで「あ」行のボタン表示部B145には「あ」なるテキスト表示体D145を含み、同様に、「か」行のボタン表示部B146には「か」なるテキスト表示体D146を含み、「さ」行のボタン表示部B147には「さ」なるテキスト表示体D147を含み、「た」行のボタン表示部B148には「た」なるテキスト表示体D148を含み、「な」行のボタン表示部B149には「な」なるテキスト表示体D149を含み、「は」行のボタン表示部B150には「は」なるテキスト表示体D150を含み、「ま」行のボタン表示部B151には「ま」なるテキスト表示体D151を含み、「や」行のボタン表示部B152には「や」なるテキスト表示体D152を含んでいる。
【0111】
なお本実施形態では「ら」行および「わ」行の文字から始まる米の銘柄が記憶手段48に記憶されていないため、五十音順行選択表示領域A14には「ら」行および「わ」行のボタン表示部が表示されていないが、「ら」行および「わ」行の文字から始まる米の銘柄が記憶手段48に記憶されている場合は、その米の銘柄がカテゴライズされたボタン表示部が五十音順行選択表示領域A14に表示されるように構成される。
【0112】
また五十音順行選択表示領域A14の後ろには、6つのボタン表示部B155~B160を前後左右に並べて表示した銘柄選択表示領域A15が形成される。ここで本実施形態の表示制御手段23は、記憶手段48に記憶された、例えば66種類の米の銘柄を五十音順に並べ、所定の数ごと、本実施形態では6つのボタン表示部B155~B160ごとに表示するように表示手段18を制御している。なお記憶手段48は、米の銘柄の種類すべてを画面ごとに記憶するように構成してもよく、また米の銘柄の種類すべてのリストを記憶するように構成してもよく、記憶手段48がどのように米の銘柄の種類すべてを記憶しているかは限定されない。
【0113】
図16に示された銘柄選択画面G13では、第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160には、順に、「あいちのかおり」なるテキスト表示体D155、「あきさかり」なるテキスト表示体D156、「あきたこまち」なるテキスト表示体D157、「秋の詩」なるテキスト表示体D158、「秋のきらめき」なるテキスト表示体D159、「あきほなみ」なるテキスト表示体D160をそれぞれ含む。
【0114】
また銘柄選択画面G13の後部には、「戻る」のボタン表示部B45と、「<」なるテキスト表示体D161を含むボタン表示部B161と、「>」なるテキスト表示体D162を含むボタン表示部B162と、「履歴」なるテキスト表示体D163を含むボタン表示部B163と、「取消」のボタン表示部B143と、が左右に並べて配置される。
【0115】
「<」のボタン表示部B161および「>」のボタン表示部B162は、銘柄選択画面G13の銘柄選択表示領域A15に表示される米の銘柄を変更させるのに操作されるものであり、例えば図16の銘柄選択画面G13-1で「<」のボタン表示部B161または「>」のボタン表示部B162をタッチ操作すると、表示制御手段23が、記憶手段48に記憶された米の銘柄において、五十音順で前の6つの米の銘柄または次の6つの銘柄を表示している銘柄選択表示領域A15の銘柄選択画面G13を表示するように表示手段18を制御する。そのためユーザは、「<」のボタン表示部B161および「>」のボタン表示部B162をタッチ操作することにより、選択可能な米の銘柄を表示手段18のLCD16に逐次的に表示させて、選択可能な所望の米の銘柄の確認を容易に行なうことができる。
【0116】
五十音順行選択表示領域A14内のボタン表示部B145~B152は銘柄選択画面G13の銘柄選択表示領域A15に表示される米の銘柄を変更させるのに操作されるものであり、ボタン表示部B145~B152のいずれか、例えば「な」行のボタン表示部B149をタッチ操作すると、表示制御手段23が、その選択された行で最初に表示される米の銘柄の画面、例えば「な」行で最初に表示される「なすひかり」のテキスト表示体を表示している銘柄選択表示領域A15の銘柄選択画面G13を表示するように表示手段18を制御する。またボタン表示部B145~B152は、表示手段18に現在表示された画面が、五十音順のどの行の米の銘柄であるかを示しており、例えば図16に示されるように、銘柄選択画面G13では「あ」行のボタン表示部B145のテキスト表示体D145に色が付けられて表示され、銘柄選択画面G13の銘柄選択表示領域A15が五十音順の「あ」行の米の銘柄を表示していることをユーザに連想させている。そのためユーザは、五十音順行選択表示領域A14内のボタン表示部B145~B152をタッチ操作することにより、米の銘柄の選択を直接的に行なうことができる。
【0117】
したがって本実施形態の五十音順行選択表示領域A14では、選択可能な米の銘柄を所定の分類である五十音図の行にカテゴライズし、カテゴライズされたこれらの行を表示手段18のLCD16にボタン表示部B145~B152として表示させる構成としており、五十音順行選択表示領域A14は、ボタン表示部B145~B152から選択することにより対応する行が選択され、これらの行の選択から対応する銘柄選択表示領域A15に表示される米の銘柄を変更させて、第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160で選択可能にすることにより、選択された行にカテゴライズされた所望の米の銘柄を選択可能とする構成としている。
【0118】
また本実施形態の五十音順行選択表示領域A14では、例えば図16の銘柄選択表示領域A15の第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160に表示された米の銘柄に対応する五十音図の行である「あ」行のボタン表示部B145のテキスト表示体D145に色が付けられて表示され、色付けされた「あ」行のボタン表示部B145と、この「あ」行に含まれる米の銘柄を銘柄選択画面G13で同時に表示手段18に表示させており、選択された行の米の銘柄を知ることができ、検索の目安にすることができるため、五十音順の行ごとで米の銘柄を検索しやすくしている。
【0119】
銘柄選択表示領域A15内の第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160は、被炊飯物としての米の銘柄の種類を選択するのに操作されるものであり、銘柄選択画面G13で第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160のいずれか、例えば第3のボタン表示部B157をタッチ操作すると、表示制御手段23が、トップ画面G1に戻って、「お米」の設定表示体D11の表示を、タッチ操作されたボタン表示部の表示、例えば第3のボタン表示部B157の表示である「あきたこまち」にするように表示手段18を制御する。
【0120】
「履歴」のボタン表示部B163は、今まで炊飯してきた被炊飯物としての米の銘柄から今回炊飯する米の銘柄の種類を選択するのに操作されるもので、「履歴」のボタン表示部B163をタッチ操作すると、表示制御手段23が銘柄履歴画面(図示せず)を表示するように表示手段18を制御し、この銘柄履歴画面で米の銘柄が選択されると、表示制御手段49が、トップ画面G1に戻って、選択された米の銘柄をテキスト表示体D11に表示するように表示手段18を制御する。
【0121】
五十音順行選択表示領域A14内の位置表示バーP1,P2は、表示手段18に現在表示された画面、また現在表示された画面に隣接する画面が、五十音図のどの行の米の銘柄であるかを示しており、例えば図16に示されるように、銘柄選択画面G13では、位置表示バーP1に色が付けられて、「あ」行のボタン表示部B145の下に位置するように表示され、現在の銘柄選択画面G13が五十音順の「あ」行の米の銘柄を表示していることをユーザに連想させている。また位置表示バーP2がグレー表示で、やはり「あ」行のボタン表示部B145の下に位置するように表示され、現在表示された銘柄選択画面G13の銘柄選択表示領域A15に隣接する、すなわち「>」のボタン表示部B162をタッチ操作することにより銘柄選択表示領域A15に表示される第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160もまた五十音順の「あ」行の米の銘柄を表示していることをユーザに連想させている。このように、例えば表示手段18に現在表示された銘柄選択画面G13の銘柄選択表示領域A15の第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160に表示されている米の銘柄が五十音図のいずれの行にあるかを、位置表示バーP1が「あ」行のボタン表示部B145の下に位置するように表示されることにより示している。また例えば図16に示されるように、同一分類である同一の「あ」行で、銘柄選択画面G13の第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160に表示されていない米の銘柄がある場合は、位置表示バーP2が「あ」行のボタン表示部B145の下に位置するように表示されることにより、その旨を示している。そのため、表示手段18に現在表示された銘柄選択画面G13の第1のボタン表示部B155~第6のボタン表示部160に表示されている米の銘柄が、どの行のものを表示しているかを瞬時に知ることができ、またその行にカテゴライズされ、表示されていない米の銘柄があることも瞬時に知ることができ、米の銘柄を検索するときの参考にすることができる。
【0122】
本実施形態の炊飯器では、各銘柄米の炊上り食感に応じた炊飯コースが記憶手段48に記憶されており、その記憶された炊飯コースの銘柄米が銘柄選択画面G13に選択可能に表示されることで、当該炊飯コースを選択可能にしている。図17は、記憶手段48に記憶された炊飯コースの銘柄米の一例であり、炊飯工程のそれぞれの工程における、A~Gの銘柄米を炊飯する温度と時間と圧力の制御を表にしている。
【0123】
先ず、A~Gの銘柄米の炊上がり食感について図18を参照して説明する。図18は、銘柄米の炊上がり食感情報から各銘柄米の食感に応じて該当する座標に配置したMAPのイメージの一例である。この銘柄米の炊上がり食感情報は、例えば雑誌、Web、米屋販売店などで公開されている情報や日本穀物検定協会の「米の情報提供システム」で公開される、タンパク質やアミローズ含有物などの理化学的な食味傾向、食味試験結果からの各銘柄米の食感データなどを基に作成されている。このMAPは各銘柄米の食感を、第1の基準としての炊上がり時のかたさ食感の値および第2の基準としての炊上がり時のねばり食感の値をお互いに異なる座標軸上にとった座標系のものであり、かたさ食感の座標軸およびねばり食感の座標軸が交わる原点が、かたさのバランスおよび粘りのバランスがちょうど中間である食感となる。そのため、例えばAの銘柄米はかたさと粘りのバランスが良い食感であり、Cの銘柄米はしっかりとしたかたさと粘り(咀嚼性)のバランスの食感であり、Fの銘柄米はやわらかくもっちりとした粘りのあるバランスの食感となっている。したがって図8のMAPは、銘柄米の特徴が所定の基準であるかたさ食感およびねばり食感で指標化された銘柄食感情報としての機能を有している。
【0124】
図19は、それぞれの制御ごとに区分された領域と、図17の表において、それぞれの制御を選択した場合に、どのように炊上がり時のかたさ食感およびねばり食感に反映されるかの食感イメージと、の関係を示したMAPである。同図のMAPは、どの領域で、どのような制御が行なわれる加熱パターンが設定されるかを示しており、例えば「8」の領域は、(ii)ひたし#2のテーブルでは設定No.が「(2)」、(iii)むらしのテーブルでは設定No.が「(2)」、(iv)圧力のテーブルでは設定No.が「(3)」の加熱パターンが設定される。この加熱パターンは、銘柄米の特徴を強調も抑制もせず、その特徴に応じて炊飯する加熱パターンである。また「6」の領域は、(ii)ひたし#2のテーブルでは設定No.が「(3)」、(iii)むらしのテーブルでは設定No.が「(3)」、(iv)圧力のテーブルでは設定No.が「(4)」の加熱パターンが設定される。この加熱パターンは、よりやわらかく、かつ、よりもちもちとなるように炊飯する加熱パターンである。そして「13」の領域は、(ii)ひたし#2のテーブルでは設定No.が「(1)」、(iii)むらしのテーブルでは設定No.が「(1)」、(iv)圧力のテーブルでは設定No.が「(1)」の加熱パターンが設定される。この加熱パターンは、よりかたく、かつ、最もあっさりとなるように炊飯する加熱パターンである。
【0125】
図20は、図18のMAPに図19の領域を対応させた座標系のものであるMAPのイメージの一例である。日本国内には米の品種銘柄が数多く存在し、それぞれの品種銘柄で米の特性が異なっている。そのため、これらの銘柄米を、当該銘柄米の特徴を強調するように炊飯した場合、銘柄によっては強い特徴を有するために逆に食味を損なってしまうものがあり、例えばEやFの銘柄米を、よりやわらかくもっちりとした粘りになるように炊飯した場合、非常にやわらかく、もちもちとした炊上がりのご飯になってしまい、ユーザの満足感を得られない場合がある。そこで本実施形態の炊飯器では、銘柄米の特徴に応じて、その特徴を強調するように炊飯する米の銘柄の炊飯コースの第1の加熱パターンと、強い特徴を有するため、その特徴を抑制するように炊飯する米の銘柄の炊飯コースの第2の加熱パターンと、その特徴を強調も抑制もせず、その特徴に応じて炊飯する米の銘柄の炊飯コースの第3の加熱パターンと、が図20のMAPに基づいて設定されている。
【0126】
図20のMAPは、かたさ食感の座標軸を、(ii)ひたし#2および(iii)むらしの加熱パターンに対応させるために7分割にし、またねばり食感の座標軸を、(vi)圧力の加熱パターンに対応させるため5分割にして、7×5の35領域で図9の領域を対応させている。これは、(ii)ひたし#2および(iii)むらしの加熱パターンを変更することにより、主にかたさ食感が変化し、(vi)圧力の加熱パターンを変更することにより、主にねばり食感が変化するため、(ii)ひたし#2および(iii)むらしの加熱パターンの数や(vi)圧力の加熱パターンの数に対応させたものである。なお、かたさ食感の座標軸やねばり食感の座標軸の分割数は一例であり、(ii)ひたし#2および(iii)むらしの加熱パターンの数や、(vi)圧力の加熱パターンの数に合わせて増減させてもよい。
【0127】
図20のMAPは、どの銘柄米が、図19のMAPのどの領域の加熱パターンで炊飯されるかを示しており、かたさ食感「4.0」およびねばり食感「4.0」の座標が、図18のMAPの原点に相当する。そのため、例えば図18のMAPでかたさと粘りのバランスが良い食感であるAの銘柄米は「8」の領域に対応しており、図19のMAPと照合すると、(ii)ひたし#2のテーブルでは設定No.が「(2)」、(iii)むらしのテーブルでは設定No.が「(2)」、(iv)圧力のテーブルでは設定No.が「(3)」の加熱パターンが設定されることが理解されよう。また同様に、Cの銘柄米は「10」の領域に対応しており、図19のMAPと照合すると、(ii)ひたし#2のテーブルでは設定No.が「(1)」、(iii)むらしのテーブルでは設定No.が「(1)」、(iv)圧力のテーブルでは設定No.が「(2)」の加熱パターンが設定される。またFの銘柄米は「13」の領域に対応しており、図19のMAPと照合すると、(ii)ひたし#2のテーブルでは設定No.が「(1)」、(iii)むらしのテーブルでは設定No.が「(1)」、(iv)圧力のテーブルでは設定No.が「(1)」の加熱パターンが設定される。したがって図20のMAPは、図18のMAPと同様に、銘柄米の特徴が所定の基準で指標化された銘柄食感情報としての機能を有しており、この図20のMAPに基づいて、米の銘柄ごとに炊飯コースの加熱パターンが設定される。
【0128】
具体的には、原点に相当するかたさ食感「4.0」およびねばり食感「4.0」の座標を有する領域である領域A(背景に模様が無い領域)の銘柄米は、かたさのバランスおよび粘りのバランスがちょうど中間である食感であるため、銘柄米の特徴を強調も抑制もせず、その特徴に応じて炊飯するような第3の加熱パターンが設定される。また領域Aの周囲に位置する領域B(背景が斜線模様で示された領域)の銘柄米は、かたさのバランスがかためおよび/またはやわらかめに少し寄っている食感であり、および/または粘りのバランスがもちもちおよび/またはしゃっきりに少し寄っている食感であるため、銘柄米の特徴を強調するように炊飯するような第1の加熱パターンが設定される。そして図20のMAPの外周に位置する領域C(背景がドット模様で示された領域)の銘柄米は、かたさのバランスがかためおよび/またはやわらかめに大幅に寄っている食感であり、および/または粘りのバランスがもちもちおよび/またはしゃっきりに大幅に寄っている食感であるため、銘柄米の特徴を抑制するように炊飯するような第2の加熱パターンが設定される。したがって図20のMAPは、原点を有して、第3の加熱パターンが設定される領域Aの周囲に、第1の加熱パターンが設定される領域Bが配置され、当該領域Bの周囲に、第2の加熱パターンが設定される領域Cがさらに配置される構成となっている。
【0129】
例えばAの銘柄米は領域Aにあるため、その特徴を強調も抑制もせず、その特徴に応じて炊飯するような第3の加熱パターンが設定され、Cの銘柄米は領域Bにあるため、その特徴を強調するように炊飯するような第1の加熱パターンが設定され、Fの銘柄米は領域Cにあるため、その抑制するように炊飯するような第2の加熱パターンが設定される。なおGの銘柄米は、粘りのバランスがちょうど中間である一方で、かたさのバランスがやわらかめに寄っている食感であるが、その特徴を強調または抑制するように炊飯すると逆に食味を損なってしまうため、銘柄米の特徴を強調も抑制もせず、その特徴に応じて炊飯するような第3の加熱パターンが設定される。
【0130】
前述のように、本実施形態の炊飯器では、それぞれの米の設定、炊き方の設定、かたさの設定、および水硬度の設定に応じた炊飯コースが記憶手段48に記憶されており、米の設定でも、図15の米選択画面G12に示されるように、複数の種類から選択可能であり、さらに米選択画面G12で「白米 銘柄選択」のボタン表示部B133を選択操作した場合は、米選択表示領域A13で、例えば66種類の米の銘柄など、数多くの米の銘柄が選択可能になる。そのため、組み合わせが不可なものも存在する一方で、炊飯コースの加熱パターンは、これらの米の設定や米の銘柄の設定の数と、炊き方の設定の数と、かたさの設定の数と、水硬度の設定の数と、の掛け合わせの数だけ必要となるため、すべて展開した状態でそれぞれの炊飯コースの加熱パターンを設定すると、設定される炊飯コースの数が膨大であるため記憶手段48の記憶容量が相当量必要になってしまう。この点について本実施形態では、食感イメージのねらいに合わせて、(ii)ひたし#2および(iii)むらしの加熱パターンの数と、(vi)圧力の加熱パターンの数との掛け合わせの数、例えば図19のMAPでは3×5の15種類の炊飯コースとしており、銘柄米の食感イメージのねらいに合わせてこの15種類の加熱パターンのいずれかを設定している。そのため、いくつかの銘柄米が同一の(ii)ひたし#2、(iii)むらし、および(vi)圧力の加熱パターンで炊飯されることとなり、少なくとも一部の加熱パターンをグルーピングした状態で記憶手段48に記憶させることができるので、炊飯コースを記憶させる容量を抑えることができる。なお(ii)ひたし#2、(iii)むらし、および(vi)圧力のそれぞれの加熱パターンの数は一例であり、他の数でもよい。なお本実施形態では、図20のMAPは記憶手段48に記憶されておらず、図20のMAPに基づいた、米の銘柄ごとの炊飯コースの加熱パターンの設定が記憶手段48に記憶されているが、図20のMAPを記憶手段48に記憶させるようにしてもよい。
【0131】
次に図17および図21を参照しつつ、上記構成の炊飯器について炊飯工程における作用を説明する。本実施形態では、ひたし炊き工程における、米に吸水させる水温および時間、むらし工程におけるむらしの時間、加熱量および炊飯工程の圧力など、炊飯工程において温度と時間と圧力の組み合わせを変更することにより炊飯加熱量や炊飯時の圧力を調整し、品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを設ける構成としている。
【0132】
図21は、本実施形態の炊飯器1の炊飯工程および保温工程における、鍋センサ12の検知温度である鍋温度tと、蓋温度センサ32の検知温度である蓋温度tと、蓋ヒータ31の加熱量Pと、加熱コイル11の加熱量Pと、の経時的な変化をそれぞれグラフで示している。図中、aは鍋温度tの温度上昇率の変化による沸騰検知を示し、bは蓋温度tの温度上昇率の変化による沸騰検知を示し、cは、鍋温度tの温度上昇率の変化によるドライアップ状態を検出する炊上検知を示している。
【0133】
本実施形態の炊飯時における動作を説明すると、鍋4内に被炊飯物として米および水を入れ、これを本体1の鍋収容部3にセットした後に、蓋体2を閉じる。それと前後して、炊飯器の電源プラグをコンセントに差し込んで通電すると、炊飯器は炊飯や保温が行われていない初期の切(待機)状態となり、表示制御手段49は、記憶手段48に記憶された現在の炊き方および米の種類の設定を、トップ画面G1に表示させるように表示手段18を制御し、例えば図4に示されるように、表示制御手段49は、「お米」の設定表示体D11に「白米 銘柄おまかせ」、「炊き方」の設定表示体D12に「かまど名人」、「かたさ調節」の設定表示体D13に「おすすめ」、「炊き方」の設定表示体D12に「かまど名人」、「水硬度」の設定表示体D14に「40~60」を表示させるように表示手段18を制御する。
【0134】
ここで炊き方選択画面や、かたさ選択画面や、水硬度選択画面や、米選択画面G12や、特に銘柄選択画面G13と、操作手段19とにより、「お米」の設定や「炊き方」の設定やや「かたさ調節」の設定や「水硬度」の設定を行なう毎に、条件設定手段50により炊飯コースの設定が変更される。変更された設定は表示制御手段49により表示手段18にその都度表示され、ユーザはこれを目視で確認できる。
【0135】
そして「お米」「炊き方」「かたさ調節」「水硬度」の設定後に、トップ画面G1において「炊飯スタート」のボタン表示部B17を操作手段19でタッチ操作すると、条件設定手段50は、トップ画面G1の炊飯情報表示領域A2に表示されている設定表示体D11~D14が、選択された「お米」「炊き方」「かたさ調節」「水硬度」の設定であり、今回の炊飯コースの設定として記憶手段48に記憶し、その設定した炊飯コースに対応する加熱パターンの情報を加熱制御手段41に送出する。これを受けて、設定した炊飯コースの加熱パターンに沿って、加熱制御手段41が、制御用IC42に組み込まれた炊飯制御手段51により、鍋4内の被炊飯物に対するひたし炊き工程、沸騰加熱工程、沸騰継続工程、むらし工程の各炊飯動作を行なう。したがって炊飯制御手段51は、炊飯コースの設定である、選択された「お米」「炊き方」「かたさ調節」「水硬度」の設定や、判定された被炊飯物の炊飯量に応じて炊飯の制御を行なうが、以下では、特に銘柄選択画面G13でA~Gの銘柄米のいずれかを選択した炊飯コースで炊飯工程を行なう場合について説明する。
【0136】
加熱制御手段41が表示・操作制御手段46から送出された情報を受けると、ひたし炊き工程に移行し、ひたし炊き工程中では鍋4内の圧力が大気圧よりも低い減圧状態となるように、炊飯制御手段51が、ソレノイド35や減圧手段38の動作を各々制御する。具体的には、ひたし炊き工程が開始されると、炊飯制御手段51はソレノイド35を非通電状態から通電状態に切替えて、調圧弁34で蒸気排出経路33を閉塞する。そしてこの状態で、炊飯制御手段51は、圧力センサ36による圧力検知に基づき、減圧手段38の経路を開放すると共に、減圧ポンプ39を連続動作させ、密閉した鍋4の内部の空気を減圧ポンプ39で抜き取る真空引きを行なう。その後、炊飯制御手段51は、圧力センサ36による圧力検知に基づき、鍋4内部の圧力が一定値以下になる減圧状態で維持されるように減圧ポンプ39を制御する。こうして、ひたし炊き工程の全期間に亘って、鍋4内部を減圧状態に保っている。
【0137】
また炊飯制御手段51は、鍋センサ12による鍋4の底部の温度検知に基づき加熱コイル11を通断電制御して鍋4を加熱する制御(図17の(i)の表の「ひたし#1」)を行ない、米の吸水を促進させると同時に、所定の出力で所定時間加熱したときの鍋温度tの温度やその後の所定時間加熱停止したときの鍋温度tの温度から鍋4内の被炊飯物の炊飯量を判定する第1のひたし工程を行なう。この工程は、A~Gの銘柄米など、全ての銘柄米の炊飯コースが共通の制御で行われる。その後、鍋4内の被炊飯物の炊飯量の判定が完了すると、第2のひたし工程に移行する。
【0138】
ひたし炊き工程の第2のひたし工程では、炊飯制御手段51は、鍋センサ12による温度検知に基づきA~Gの銘柄米の炊飯コースの加熱パターンで設定された制御温度tになるまで鍋4を加熱し、設定された時間Tだけその制御温度tを維持する制御(図7の(i)の表の「ひたし#2」)を行ない、米の吸水を促進させる。なお制御温度tは40~60℃であることが好ましい。
【0139】
ここで炊飯制御手段51は、受け取った情報に基づき、(ii)ひたし#2のテーブルにより制御温度tおよび工程時間Tを変更して加熱コイル11を通断電制御している。例えば炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいを「かため」へとする加熱パターンの情報、すなわち図19のMAPで食感イメージのねらいが“かためへ”の領域である「1」「4」「7」「10」「13」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ると、制御温度tは低い温度の(a)、また設定時間Tは短い時間のT11である設定No.「(1)」で加熱コイル11を通断電制御する。その一方で、炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいを「やわらかめ」へとする加熱パターンの情報、すなわち図19のMAPで食感イメージのねらいが“やわらかめへ”の領域である「3」「6」「9」「12」「15」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ると、制御温度tは高い温度の(c)、また設定時間Tは長い時間のT13である設定No.「(3)」で加熱コイル11を通断電制御する。そして炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいを「かため」「やわらかめ」のいずれにもしない加熱パターンの情報、すなわち図19のMAPで食感イメージのねらいが“かためへ”“やわらかめへ”のいずれでもない領域である「2」「5」「8」「11」「14」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ると、制御温度tは中程度の温度の(b)、また設定時間Tは中程度の時間のT12である設定No.「(2)」で加熱コイル11を通断電制御する。
【0140】
その後、炊飯制御手段51は、計時手段の計時により、設定された時間Tが経過したと判定すると第2のひたし工程が終了し、次の沸騰加熱工程に移行する。
【0141】
沸騰加熱工程に移行すると、被調理物の沸騰検知を行なうまでの加熱で、炊飯制御手段51は、加熱コイル11を連続通電する制御(図17の(i)の表の「加熱制御」)を行なうことにより、ひたし炊き工程よりも鍋4内の被調理物を強く加熱し、被調理物を短時間で沸騰の温度まで上昇させる昇温工程を行なう。ここで炊飯制御手段51は、ひたし炊き工程から引き続いて鍋4の内部を大気圧よりも低い減圧状態に維持するために、減圧手段38の経路を閉塞するように制御している。そのため、ひたし炊き工程から沸騰加熱工程に移行した後も、鍋4への加熱やスローリークにより鍋4の内部は次第に圧力が上昇するものの、暫くの間は減圧ポンプ39を動作させることなく減圧状態を維持することができる。こうして、ひたし炊き工程の後の昇温工程でも鍋4内部の被調理物が減圧状態に保持されることで、昇温工程中は100℃以下の温度で水が沸騰する。そのため、米の糊化温度とされる60℃~100℃で被調理物を減圧状態で沸騰させることで、沸騰時の泡で米を舞わせて加熱ムラがなくなり、併せて被調理物を減圧状態にすることで米の芯まで短時間に吸水させることができる。
【0142】
その後、炊飯制御手段51は、鍋温度tが所定温度以上、例えば90℃以上に達した温度検知信号を鍋センサ12から受け取り、それに加えて蓋温度tが所定温度以上、例えば90℃以上に達した温度検知信号を蓋温度センサ32から受け取ると、被炊飯物の加圧状態での沸騰を検知する沸騰検知の制御(図17の(i)の表の「安定制御#1」)を開始する。炊飯制御手段51が、引き続き、加熱コイル11や胴ヒータ11を連続通電する制御を行なって鍋7内部で被炊飯物を強く加熱する一方で、鍋センサ12の検知温度や蓋温度センサ32の検知温度が所定の時間にどの程度上昇するのかという検知温度の傾きを算出する。
【0143】
具体的には、炊飯制御手段51が、鍋センサ12の検知温度から鍋7の底部の温度である鍋温度tの上昇が、例えば120秒で3℃以下など所定の温度上昇率以下になったと算出したら、図21のaに示されるように鍋温度tの温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定する。また炊飯制御手段51が、蓋温度センサ32の検知温度から内蓋8の温度である蓋温度tの上昇が、例えば60秒で1℃以下など所定の温度上昇率以下になったと算出したら、図21のbに示されるように蓋温度tの温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定する。なお、これらの沸騰a,bを検知するための鍋温度tや蓋温度tの所定の温度上昇率は、第1のひたし工程で測定された被炊飯物の炊飯量に応じてそれぞれ調節され、設定されてもよい。
【0144】
また炊飯制御手段51は鍋センサ12からの温度検知信号を取り込んで、鍋4の底部の検知温度が所定温度となる100℃に達したら、鍋4内部の被調理物が減圧状態で沸騰したと判定して、減圧手段38の経路を閉塞させて減圧ポンプ39を動作させないまま、ソレノイド35を一時的に非通電状態にして調圧弁34を退避させる。これにより蒸気排出経路33は、鍋4の内外を密閉せずに連通させた開放状態となり、鍋4内部は直ちに外気と同じ常圧に戻る。その後、炊飯制御手段51がソレノイド35を短時間で通電状態に切替え、鍋4の内部を再び密閉した状態にすると、引き続き、鍋4内部で被調理物を強く加熱しているため鍋4内部で加圧される。
【0145】
ここで炊飯制御手段51は、受け取った情報に基づき、(iv)圧力のテーブルにより鍋4内の圧力Pを変更して鍋4内部を加圧するようにソレノイド35を制御している。例えば炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいを最も「もちもち」へとする加熱パターンの情報、すなわち図19のMAPで食感イメージのねらいが「(5)」の領域である「1」「2」「3」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ると、最も高い圧力である設定No.「(5)」のPに達するまで鍋4内部を加圧するように圧力センサ36の検知圧力に基づきソレノイド35を制御する。また炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいを最も「あっさり」へとする加熱パターンの情報、すなわち図19のMAPで食感イメージのねらいが「(1)」の領域である「13」「14」「15」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ると、最も低い圧力である設定No.「(1)」の0に達するまで、すなわち鍋4内部を加圧しないようにソレノイド35を制御する。同様に、炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいが「(2)」、「(3)」、または「(4)」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ったときも、設定No.「(2)」のP、「(3)」のPM1、または「(4)」のPM2に達するまで鍋4内部を加圧するように圧力センサ36の検知圧力に基づきソレノイド35を制御する。なお、この圧力Pは1.2気圧以内であることが好ましい。
【0146】
図17を参照すると、圧力Pは設定No(1)が最も小さく、設定Noの数が大きくなるに従い、より高い圧力になっている。そのため、設定No(1)が最も「しゃっきり」へとするねらいの設定であり、設定Noの数が大きくなるに従い、より粘りがある「もちもち」へとするねらいの設定になっていくことが理解されよう。そして設定No(1)は、ねばり食感が最も高い銘柄米の領域である「13」「14」「15」に設定され、設定No(5)は、ねばり食感が最も低い銘柄米の領域である「1」「2」「3」に設定されることにより、領域「1」「2」「3」の銘柄米や領域「13」「14」「15」の銘柄米は、銘柄米の特徴を抑制するように炊飯される。その一方で、設定No(2)は、ねばり食感が低い銘柄米の領域である「10」「11」「12」に設定され、設定No(4)は、ねばり食感が高い銘柄米の領域である「4」「5」「6」に設定されることにより、領域「4」「5」「6」の銘柄米や領域「10」「11」「12」の銘柄米は、銘柄米の特徴を強調するように炊飯される。そして設定No(3)は、ねばり食感が中程度の銘柄米の領域である「7」「8」「9」に設定されることにより、領域「7」「8」「9」の銘柄米は、銘柄米の特徴を強調も抑制もせず、その特徴に応じて炊飯される。
【0147】
こうして炊飯制御手段51は、沸騰加熱工程中に鍋4内部の被調理物が減圧状態で沸騰したと判定したら、鍋4内部を減圧状態から大気圧よりも高い加圧状態へ一気に切替えて、被調理物に圧力ショックを加えるために、ソレノイド35、ひいては調圧部26を構成する調圧弁34の動作を制御して、蒸気排出経路33を一時的に開放している。これにより、加圧状態における米の糊化最適温度である105℃(1.2気圧の場合)で被調理物を沸騰させることで、米の硬さと粘りのバランスを確保し、芯まで一気に米を糊化させることができる。
【0148】
このとき炊飯制御手段51は、沸騰加熱工程から引き続き、圧力センサ36による圧力検知に基づき、この被調理物がA~Gの銘柄米の炊飯コースで設定された圧力Pで鍋4内部を加圧するようにソレノイド35を制御しており、その加圧状態で被調理物の沸騰を継続させることができるようにしている。炊飯制御手段51が、鍋温度tの温度上昇率の変化による沸騰aを検知し、かつ、蓋温度tの温度上昇率の変化による沸騰bを検知した時点で、次の沸騰継続工程に移行する。
【0149】
沸騰継続工程に移行すると、炊飯制御手段51は、鍋センサ12の検知温度に基づき鍋温度tが、例えば98℃以上など所定の温度を維持するように加熱コイル11の通断電制御を行なうと共に、蓋温度センサ32の検知温度に基づき蓋温度tが、例えば98℃以上など所定の温度を維持するように蓋ヒータ31を連続通電する制御(図7の(i)の表の「安定制御#2」)を行ない、被炊飯物の沸騰状態を継続させる。また沸騰継続工程に移行したら、炊飯制御手段51は鍋4内を常圧と大気圧よりも高い圧力Pとの間に繰り返し変化させるために、ソレノイド35を周期的に通断電制御して、調圧弁34で蒸気排出経路33を周期的に開閉している。
【0150】
炊飯制御手段51は、沸騰継続工程で鍋4内部の水が無くなり、鍋温度センサ15の検知温度から鍋7の底部の温度の上昇が10秒で0.5℃以上など所定の温度上昇率以上になったと算出すると、図5のcに示されるように鍋温度tの温度上昇率の変化を検知したと判定する(図17の(i)の表の「炊上制御」)。ここでは、鍋センサ12の検知温度が所定のドライアップ温度に達すると、鍋4内部の被調理物の炊き上がりを検知して沸騰継続工程が終了し、次のむらし工程に移行する。
【0151】
むらし工程中は、炊飯制御手段51が蓋温度センサ32の検知温度により、蓋ヒータ22を通断電制御して温度管理を行ない、内蓋22への露付きを防止すると共に、鍋4内部のご飯が焦げない程度に高温が保持されるように、加熱コイル11を通断電制御(図17の(i)の表の「むらし」)を設定された工程時間Tだけ継続して行ない、鍋4の底部の温度を管理する。このとき炊飯制御手段51は、沸騰継続工程から引き続き、圧力センサ36による圧力検知に基づき、この被調理物がA~Gの銘柄米の炊飯コースで設定された圧力Pで鍋4内部を加圧するようにソレノイド35を制御するように構成される。また本実施形態では、むらし工程における調圧弁34を退避させる時間、すなわち蒸気排出経路33を開放する時間Tが設定されており、この蒸気排出経路33を開放する時間Tがむらし工程の時間、すなわち図17の(iii)の表の工程時間Tより短い場合(工程時間T>開放時間T)、炊飯制御手段51は、計時手段の計時に基づき、むらし工程に移行してからT-Tの時間が経過した後で蒸気排出経路33を開放するようにソレノイド35を制御する。その一方で、開放時間Tが工程時間T以上である場合(工程時間T≦開放時間T)、炊飯制御手段51は、むらし工程に移行したらこのむらし工程を通して蒸気排出経路33を開放するようにソレノイド35を制御する。
【0152】
ここで炊飯制御手段51は、受け取った情報に基づき、(iii)むらしテーブルにより加熱量および工程時間Tを変更して加熱コイル11を通断電制御している。例えば炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいを「かため」へとする加熱パターンの情報、すなわち図19のMAPで食感イメージのねらいが“かためへ”の領域である「1」「4」「7」「10」「13」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ると、加熱量は「強」、また工程時間Tは短い時間のT14である設定No.「(1)」で加熱コイル11を通断電制御する。その一方で、炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいを「やわらかめ」へとする加熱パターンの情報、すなわち図19のMAPで食感イメージのねらいが“やわらかめへ”の領域である「3」「6」「9」「12」「15」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ると、加熱量は「弱」、また工程時間Tは長い時間のT16である設定No.「(3)」で加熱コイル11を通断電制御する。そして炊飯制御手段51は、選択した銘柄米の食感イメージのねらいを「かため」「やわらかめ」のいずれにもしない加熱パターンの情報、すなわち図19のMAPで食感イメージのねらいが“かためへ”“やわらかめへ”のいずれでもない領域である「2」「5」「8」「11」「14」の領域の銘柄米の加熱パターンの情報を受け取ると、加熱量は「中」、また工程時間Tは中程度の時間のT15である設定No.「(2)」で加熱コイル11を通断電制御する。
【0153】
その後、炊飯制御手段51は、むらし工程が終了したら炊飯工程を終了させ、保温制御手段54による保温工程に移行する。
【0154】
以上のように、本実施形態の炊飯器では、被炊飯物としての米と水を加熱可能な加熱手段としての加熱コイル11と、米の銘柄ごとの炊飯情報としての炊飯コースの加熱パターンを記憶する記憶手段48と、加熱パターンに基づいて加熱コイル11を制御して被炊飯物の炊飯の制御を行なう制御手段としての炊飯制御手段51と、を備え、加熱パターンは、銘柄米の特徴が所定の基準としてのかたさ食感およびねばり食感で指標化された銘柄食感情報としての図20のMAPに基づいて米の銘柄ごとに設定され、銘柄米の特徴が強調されるように炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第1の炊飯情報としての第1の加熱パターンと、銘柄米の特徴が抑制されるように炊飯の制御が行なわれる米の銘柄の第2の炊飯情報としての第2の加熱パターンと、を有する構成としている。
【0155】
このような構成により、かたさのバランスがかためおよび/またはやわらかめに少し寄っており、および/または粘りのバランスがもちもちおよび/またはしゃっきりに少し寄っている特徴の銘柄米を、特徴を強調するように炊飯することができ、その一方で、かたさのバランスがかためおよび/またはやわらかめに大幅に寄っており、および/または粘りのバランスがもちもちおよび/またはしゃっきりに大幅に寄っている特徴の銘柄米を、特徴を抑制するように炊飯して、銘柄米の特徴を強調または抑制されるような炊飯の制御を銘柄米ごとに行なうことができる。したがって品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを設けることができ、それぞれの銘柄米に応じた炊飯をすることができる。
【0156】
また本実施形態の炊飯器では、図20のMAPの所定の基準として第1の基準としてのかたさ食感および第2の基準としてのねばり食感を有し、図20のMAPは、かたさ食感の値およびねばり食感の値をお互いに異なる座標軸上にとった座標系であり、加熱パターンは、図20のMAPにおける座標系を所定の範囲ごとに区分した領域に基づいて、第1の加熱パターンと、第2の加熱パターンと、銘柄米の特徴が強調も抑制もせず、その特徴に応じて炊飯の制御が行なわれる第3の加熱パターンと、が設定される構成としている。
【0157】
このような構成により、銘柄米を炊飯する加熱パターンを、かたさ食感およびねばり食感を基準として第1の加熱パターン、第2の加熱パターン、または第3の加熱パターンに設定することができ、品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを設けることができる。また、かたさのバランスおよび粘りのバランスがちょうど中間である特徴の銘柄米を、その特徴に応じて炊飯することができる。
【0158】
また本実施形態の図20のMAPでは、第1の基準が炊上がり時のご飯のかたさ食感であり、第2の基準が炊上がり時のご飯のねばり食感である構成としており、銘柄米を炊飯する加熱パターンを、かたさ食感およびねばり食感を基準として第1の加熱パターン、第2の加熱パターン、または第3の加熱パターンに設定することができ、品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを設けることができる。
【0159】
また本実施形態の図10のMAPの座標系では、かたさ食感の座標軸およびねばり食感の座標軸が交わる原点を有して第3の加熱パターンが設定される領域としての領域Aの周囲に、第1の加熱パターンが設定される領域としての領域Bが配置され、領域Bの周囲に、第2の加熱パターンが設定される領域としての領域Cがさらに配置される構成としている。
【0160】
このような構成により、かたさのバランスがかためおよび/またはやわらかめに少し寄っており、および/または粘りのバランスがもちもちおよび/またはしゃっきりに少し寄っている特徴の銘柄米を第1の加熱パターンに設定することができ、その一方で、かたさのバランスがかためおよび/またはやわらかめに大幅に寄っており、および/または粘りのバランスがもちもちおよび/またはしゃっきりに大幅に寄っている特徴の銘柄米を第2の加熱パターンに設定することができる。また、かたさのバランスおよび粘りのバランスがちょうど中間である特徴の銘柄米を第3の加熱パターンに設定することができる。
【0161】
また本実施形態の炊飯器では、被炊飯物を収容する鍋4の内部の圧力を変更可能な圧力制御手段としての調圧部26をさらに備え、炊飯制御手段51は、設定された加熱パターンおよび当該加熱パターンにおける炊上がり時のご飯のねばり食感の値に基づいて(iv)圧力のテーブルにより鍋4の内部の圧力Pを変更するように調圧部26のソレノイド35を制御する構成としており、そのためそれぞれの銘柄米の炊上がり時のご飯のねばり食感の特性を損なうことのない炊き方のパターンを設けることができ、それぞれの銘柄米に応じた炊飯をすることができる。
【0162】
また本実施形態の炊飯制御手段51は、加熱パターンおよび当該加熱パターンにおける炊上がり時のご飯のかたさ食感の値に基づいて、(ii)ひたし#2のテーブルにより、米の吸水を促進させる工程としての第2のひたし工程における被炊飯物の温度としての制御温度tと、第2のひたし工程を実施する時間の長さとしての工程時間Tとを変更するように加熱コイル11を制御する構成としており、そのためそれぞれの銘柄米の炊上がり時のご飯のかたさ食感の特性を損なうことのない炊き方のパターンを設けることができ、それぞれの銘柄米に応じた炊飯をすることができる。
【0163】
また本実施形態の炊飯器では、水を含む被炊飯物の炊飯制御を行なう制御手段としての炊飯制御手段51と、被炊飯物の水の水質情報としての水の硬度の情報を選択可能に操作する選択手段としてのトップ画面G1および操作手段19と、を備え、炊飯制御手段51は、トップ画面G1および操作手段19で選択された水の硬度の情報に応じて炊飯制御を行なう構成としている。
【0164】
このような構成でも、炊飯制御手段51が、被炊飯物の水の硬度に応じて炊飯制御を行なうことができるため、被炊飯物の水の硬度に応じた炊き分けを行なうことができる。そのため、炊飯制御手段51が被炊飯物として使用する水に合わせた炊飯制御を行なうことができ、この水に合わせてご飯をより美味しく炊飯することができる。
【0165】
また本実施形態の炊飯器では、銘柄選択画面G13または銘柄履歴画面と、操作手段19とにより、被炊飯物としてのお米の銘柄を選択可能であって、炊飯制御手段51は、銘柄選択画面G13または銘柄履歴画面と操作手段19とで選択された水の硬度の情報およびお米の銘柄に応じて炊飯制御を行なう構成としており、炊飯制御手段51が、被炊飯物の水の硬度やお米の銘柄に応じて炊飯制御を行なうことができるため、被炊飯物の水の硬度に応じた炊き分けに加えて、お米の銘柄に応じた炊き分けを行なうことができる。
【0166】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば第1および第2の実施形態の構成を組み合わせてもよい。また本実施形態では被炊飯物の水の水質情報として、水の硬度の設定を行なうことにより、炊飯コースの選択および設定を行なっているが、水質情報として、水の硬度の他に、水のカルシウムイオン濃度、水のマグネシウムイオン濃度、水のpH値などを採用して設定を行なうことにより、炊飯コースの選択および設定を行なってもよい。また都道府県選択画面G6を切替えたときに操作手段19で選択された都道府県を記憶し、次回、都道府県選択画面G6の表示が表示手段18にされたときに、切替えたときに記憶された都道府県を都道府県選択画面G6に反映して表示するように構成してもよい。そして、実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。
【0167】
また本実施形態では、水の硬度の選択や設定に応じて、制御手段としての炊飯制御手段51が、ひたし炊き工程における減圧手段38の真空ポンプの通電時間やデューティー比を変更する例について説明したが、水の硬度の選択や設定に応じて、制御を変更する工程は、ひたし炊き工程に限られるものではなく、沸騰加熱工程、沸騰継続工程およびむらし工程などの他の炊飯工程の少なくとも1つの工程において制御を変更するものであればよい。例えば、水の硬度の選択や設定に応じて、沸騰加熱工程や、沸騰継続工程における加熱コイル11の出力や加熱時間、むらし工程におけるむらし時間などを変更するものであってもよい。また、ひたし炊き工程、沸騰加熱工程、沸騰継続工程およびむらし工程などの2以上の工程において、水の硬度の選択や設定に応じた制御の変更を組み合わせ行うものであってもよい。
【0168】
さらに本実施形態では、制御手段としての炊飯制御手段51の制御対象を減圧手段38の真空ポンプの通電時間やデューティー比とした例を説明したが、制御対象はこれに限られるものではなく、加熱コイル11の加熱制御などの他の制御対象としてもよいし、複数の制御対象としてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0169】
11 加熱コイル(加熱手段)
26 調圧部(圧力制御手段)
48 記憶手段
51 炊飯制御手段(制御手段)
A 領域(第3の炊飯情報が設定される領域)
B 領域(第1の炊飯情報が設定される領域)
C 領域(第2の炊飯情報が設定される領域)
P 圧力
工程時間(工程を実施する時間の長さ)
制御温度(米の吸水を促進させる工程における被炊飯物の温度)
図1
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