(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013308
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】対面承認取引システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/18 20120101AFI20230119BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20230119BHJP
G06Q 20/30 20120101ALI20230119BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20230119BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20230119BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20230119BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20230119BHJP
A47F 9/04 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
G06Q20/18
G06Q30/06
G06Q20/30
G06Q20/32 330
G06Q20/20
G07G1/00 301Z
G07G1/00 331Z
G07G1/01 301D
G07G1/01 301E
A47F9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117387
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】596171384
【氏名又は名称】株式会社 徳武製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】徳武 利洋
【テーマコード(参考)】
3E142
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
3E142BA08
3E142DA07
3E142DA08
3E142GA11
3E142GA32
5L049BB67
5L055AA38
5L055AA42
5L055AA62
5L055AA64
(57)【要約】
【課題】対面者同士が物理的接触なく対面承認取引を行うことが可能な対面承認取引システムを提供する。
【解決手段】対面承認取引システム1は、プロジェクタ10と、プロジェクタ10による投影可能なスクリーンフィルム12が貼り付けられた透明パーテーション20と、電子データを処理する電子処理装置30と、を備え、電子処理装置30は、起案データ41をプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる起案投影ステップST1と、起案データの内容に対する誘導コード42をプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる誘導コード投影ステップST2と、誘導コード42で誘導可能な承認用サイトにおいて承認者Rから入力された承認情報を受信する承認受付ステップST3と、登録データを登録する登録ステップST4と、を含む処理の実行プログラムを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーテーションで隔離されて対面する起案者と承認者端末を有する承認者との間の承認取引を補助する対面承認取引システムであって、
プロジェクタと、
前記プロジェクタによる投影可能なスクリーンフィルムが貼り付けられた前記パーテーションとしての透明パーテーションと、
ネットワーク回線に接続可能で電子データを処理する電子処理装置と、を備え、
前記電子処理装置は、
起案データを前記プロジェクタにより前記透明パーテーションに投影させる起案投影ステップと、
前記起案データの内容に対する承認用サイトに誘導するための誘導コードを前記プロジェクタにより前記透明パーテーションに投影させる誘導コード投影ステップと、
前記承認者端末で読み取られた前記誘導コードで誘導可能な前記承認用サイトにおいて前記承認者端末を用いて前記承認者から入力された承認情報を受信する承認受付ステップと、
前記承認情報を反映させた登録データを生成し、当該登録データを登録する登録ステップと、を含む処理の実行プログラムを有する、ことを特徴とする対面承認取引システム。
【請求項2】
前記実行プログラムは、前記起案者からのプロモーション情報を前記プロジェクタにより前記透明パーテーションに投影させるプロモーション投影ステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の対面承認取引システム。
【請求項3】
前記承認取引は、同意書面に対する同意確認又は署名取引であり、
前記起案データは、同意書面データであり、
前記承認情報は、前記承認用サイトとしての署名サイトを介して入力された電子署名であり、
前記登録データは、署名済み電子書面である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対面承認取引システム。
【請求項4】
前記承認取引は、店舗における決済取引であり、
前記起案データは、代金請求データであり、
前記承認情報は、前記承認用サイトとしての決済サイトを介して代金決済された決済完了データであり、
前記登録データは、決済完了情報を含む取引内容データである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の対面承認取引システム。
【請求項5】
前記電子処理装置は、代金入力可能なレジスタースターである、ことを特徴とする請求項4に記載の対面承認取引システム。
【請求項6】
前記実行プログラムは、前記承認者端末で読み取り保存可能な割引券又はクーポン券をコード化した割引コードを前記プロジェクタにより前記透明パーテーションに投影させる割引券投影ステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の対面承認取引システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対面承認取引システムに関する。さらに詳しくは、パーテーションで隔離されて対面する起案者と承認者との間の承認取引を補助する対面承認取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症対策としての飛沫防止用パーテーション越しに対面者同士で取引を行う場面が増えている。このような取引において、対面者同士の取引をスムーズにできるよう、工夫されているパーテーションも提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1で開示されている対面カバーは、下窓が形成された正面板を含むカバー本体と、カバー本体から分離した窓蓋と、を備え、窓蓋によって下窓を覆うことが可能なように構成されている。これにより、この対面カバーは、窓蓋を外すことで簡単に下窓を開口することができ、対面承認取引において、対面者同士で開口部を通して書類等交換することにより、対面承認を行うことができる。
【0004】
また、特許文献2で開示されている卓上パーテーションには、仕切り体の下端部に開口部を形成するための切り取り線が設けられている。これにより、仕切り体の下端部を切り取り折り曲げることで開口部を簡単に形成することができ、対面承認取引において、対面者同士で開口部を通して書類等交換することにより、対面承認を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3226667号公報
【特許文献2】実用新案登録第3229360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、承認取引や決済取引等の対面承認取引を行う際に、特許文献1で開示されている対面カバーを利用するとしても特許文献2で開示されている卓上パーテーションを利用するとしても、正面下端部の開口を通しての書類等のやり取りが行われることで、対面者同士の間接的な物理的接触を有する。
【0007】
そこで、本発明は、対面者同士が物理的接触なく対面承認取引を行うことが可能な対面承認取引システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の対面承認取引システムは、パーテーションで隔離されて対面する起案者と承認者端末を有する承認者との間の承認取引を補助する対面承認取引システムであって、プロジェクタと、プロジェクタによる投影可能なスクリーンフィルムが貼り付けられた透明パーテーションと、ネットワーク回線に接続可能で電子データを処理する電子処理装置と、を備え、電子処理装置は、起案データをプロジェクタにより透明パーテーションに投影させる起案投影ステップと、起案データの内容に対する承認用サイトに誘導するための誘導コードをプロジェクタにより透明パーテーションに投影させる誘導コード投影ステップと、承認者端末で読み取られた誘導コードで誘導可能な承認用サイトにおいて承認者端末を用いて承認者から入力された承認情報を受信する承認受付ステップと、承認情報を反映させた登録データを生成し、登録データを登録する登録ステップと、を含む処理の実行プログラムを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の対面承認取引システムは、プロジェクタと、プロジェクタによる投影可能なスクリーンフィルムが貼り付けられた透明パーテーションと、電子データを処理する電子処理装置と、を備えている。そのうえで、この対面承認取引システムにおいては、電子処理装置が起案データをプロジェクタにより透明パーテーションに投影させる起案投影ステップの処理の実行プログラムを有する。すなわち、承認対象に関する情報を、パーテーション上に表示させることができ、その際対面者同士の物理的接触をしなくてよい。
【0010】
また、この対面承認取引システムにおいては、電子処理装置が起案データの内容に対する承認用サイトに誘導するための誘導コードをプロジェクタにより透明パーテーションに投影させる誘導コード投影ステップの処理の実行プログラムを有する。これにより、承認者は透明パーテーションに表示された誘導コードを自己の端末又は自己側に配置された端末(承認者端末)で読み込むことで、取引相手と物理的接触なしで承認用サイトにアクセスすることが可能になる。
【0011】
また、この対面承認取引システムにおいては、電子処理装置が、承認者端末で読み取られた誘導コードで誘導可能な承認用サイトにおいて承認者から入力された承認情報を受信する承認受付ステップの処理と、承認情報を反映させた登録データを生成し、登録データを登録する登録ステップの処理と、の実行プログラムを有する。すなわち、この対面システムにおいては、外部承認用サイトを介して承認者が起案データの内容を承認するとともに、その承認結果が登録データとして登録されるよう構成されている。すなわち、この対面承認取引システムでは、外部承認用サイトを利用して電子承認が実行され、その結果が反映された登録データの登録まで実行されるため、取引相手と物理的接触なしで承認取引が完了することになる。
【0012】
その結果、本発明の対面承認取引システムは、対面者同士が物理的接触なく対面承認取引を行うことが可能な対面承認取引システムとなる。
【0013】
[2]本発明の対面承認取引システムにおいては、電子処理装置の実行プログラムは、起案者からのプロモーション情報をプロジェクタにより透明パーテーションに投影させるプロモーション投影ステップをさらに含むよう構成してもよい。
【0014】
このように構成することで、起案者は、承認者に対し、有益な情報をより効率的に提供することができる。
【0015】
[3]本発明の対面承認取引システムにおいては、承認取引は、同意書面に対する同意確認又は署名取引であり、起案データは、同意書面データであり、承認情報は、承認用サイトとしての署名サイトを介して入力された電子署名であり、登録データは、署名済み電子書面であるよう構成してもよい。
【0016】
このように構成することで、対面者同士が物理的接触なく署名取引を行うことが可能な対面承認取引システムとしての対面署名システムを構成することができる。
【0017】
[4]本発明の対面承認取引システムにおいては、承認取引は、店舗における決済取引であり、起案データは、代金請求データであり、承認情報は、承認用サイトとしての決済サイトを介して代金決済された決済完了データであり、登録データは、決済完了情報を含む取引内容データであるよう構成してもよい。
【0018】
このように構成することで対面者同士が物理的接触なく決済取引を行うことが可能な対面承認取引システムとしての対面決済システムを構成することができる。
【0019】
[5]本発明の対面承認取引システムにおいては、電子処理装置は、代金入力可能なレジスターであってもよい。
【0020】
このように構成することで、店舗会計等で用いられるいわゆるレジスターシステムとして構成でき、店舗等で使用しやすくなる。
【0021】
[6]本発明の対面承認取引システムにおいては、電子処理装置の実行プログラムは、承認者端末で読み取り保存可能な割引券又はクーポン券をコード化した割引コードをプロジェクタにより透明パーテーションに投影させる割引券投影ステップをさらに含むよう構成してもよい。
【0022】
このように構成することで、サービスの提供を行う店舗は、顧客に対してリピートに繋がるようなお得な情報をより効率的に提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、対面者同士が接触なく対面承認取引を行うことが可能な対面承認取引システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態1における対面署名システム1のシステム構成を示す図である。
【
図2】実施形態1における対面署名システム1での処理を示すフローチャートである。
【
図3】実施形態1における対面署名システム1のパーテーション投影の説明図である。
【
図4】実施形態2における対面レジスターシステム101のシステム構成を示す図である。
【
図5】実施形態2における対面レジスターシステム101での処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態である対面承認取引システムについて説明するが、本発明は、これらの実施形態に限定されるわけではない。なお、各図面は必ずしも実際の寸法や実際の処理を厳密に反映したものではない。
【0026】
[実施形態1]
(1-1.対面署名システム1の構成)
図1は、実施形態1における対面署名システム1のシステム構成を示す図である。
【0027】
本発明に係る対面承認取引システムは、パーテーションで隔離されて対面する起案者Dと承認者端末RTを有する承認者Rとの間の承認取引を補助するシステムである。本発明に係る対面承認取引システムが補助しようとしている承認取引は、起案データに基づく内容について承認を受ける必要がある起案者Dと、その起案データに基づく内容について承認・非承認を判断する承認者Rとが対峙して行う取引である。このような取引の多くにおいては、起案者Dが書面で取引内容を提示し、それに対し承認者Rが承認する意思を書面等に記録を残すことで成立する。本発明に係る対面承認取引システムについては、さまざまな対面承認取引で用いるシステムに応用できるが、まず実施形態1として、対面承認取引システムの一例である対面署名システム1を説明する。承認者端末RTは、スマートフォン、タブレット装置、パーソナルコンピュータといった、表示画面、カメラやコードリーダ等の読み取り装置、及びタッチパネルやマウスのような入力装置と連動する電子機器である。なお、本明細書で承認者端末RTといった場合には、承認者Rが所有する携帯端末だけでなく、承認者Rにより操作可能であってパーテーションで仕切られた承認者側に設置された端末も含む。
【0028】
対面署名システム1は、起案データとしての同意書面データに基づく内容について、承認を受ける必要がある起案者Dと、その起案データに基づく内容について署名にて承認の意思を表示する承認者Rとが対峙して行う取引に用いられる。
【0029】
対面署名システム1は、
図1に示すようにプロジェクタ10と透明パーテーション20と電子処理装置30とを備えている。
【0030】
プロジェクタ10は、後述の電子処理装置30から提供されるデータを後述の透明パーテーション20に向けて光投射するプロジェクタである。なお、プロジェクタ10は、後述の透明パーテーション20に投影可能であれば、天井に配置されてもよいし、卓上や地上に配置されてもよいし、起案者D側に配置されてもよいし、承認者R側に配置されるものであってもよい。
【0031】
透明パーテーション20は、対面承認取引を行う起案者Dと承認者Rとを物理的接触不可能に十分に隔離可能なサイズの隔離板であり、自立可能に支持された透明板21を有している。透明パーテーション20の透明板21は、アクリル材、ガラス材等の透明体で形成されている。また、透明パーテーション20の透明板21には、プロジェクタ10による画像投影可能なスクリーンフィルム22が貼り付けられている。なお、透明パーテーション20には、対面承認取引者同士の接触をなるべく抑えるべく、特に開口部等を設けてはいない。
【0032】
電子処理装置30は、いわゆるパーソナルコンピュータであり、インターネット回線といったネットワーク回線に接続可能で電子データを処理する。電子処理装置30は、プロジェクタ10と電気的に接続されている。電子処理装置30は、さまざまな実行プログラムが実装されており、プロジェクタ10の制御、電子データの加工、登録、インターネット回線を介しての外部サービスサイトへの接続、等の制御をすることが可能である。電子処理装置30は、インターネット回線を介して、外部承認用サイトに接続可能であり、且つ、その外部承認用サイトの承認サービスが受けられるよう、実行プログラムが実装されている。電子処理装置30に実装されている実行プログラムによって実行される詳細処理については後述する。
【0033】
ここで、実施形態1の電子処理装置30が接続する外部承認用サイトの少なくとも一つは、署名サイトである。この署名サイトにおいては、タッチ画面及び表示画面を有する(一体/別体、承認者Rの所有端末/承認者側に元から設置されている端末を問わない)承認者端末RTに対し署名入力欄を提示し、承認者Rからその署名入力欄にタッチ画面入力やマウス入力から署名入力を受け付ける。また、この署名サイトは、署名入力欄に入力された承認情報としての電子署名を受領し、この電子署名を起案者Dが処理できるように起案者Dに提供する又はこの署名サイトで処理した後の必要事項を起案者Dに報告する。
【0034】
(1-2.対面署名システム1による処理)
図2は、実施形態1における対面署名システム1での処理を示すフローチャートである。
図3は、実施形態1における対面署名システム1のパーテーション投影の説明図である。
【0035】
実施形態1に係る対面署名システム1において、電子処理装置30は、
図2に示すような流れで処理を実行する。すなわち、電子処理装置30は、少なくとも、起案投影ステップST1と、誘導コード投影ステップST2と、承認受付ステップとしての署名受付ステップST3と、登録ステップとしての署名済データ登録ステップST4と、プロモーション投影ステップST5とを含む処理を実行する。
【0036】
起案投影ステップST1では、電子処理装置30は、起案者Dにより操作され、起案データ41としての同意書面データ41をプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる(
図3参照)。このとき、プロジェクタ10は、承認者Rから見てミラー反転文字を投射しないよう、必要に応じて反転制御される。これにより、承認者Rは、起案者Dが署名を求める同意書面データ41の内容について、起案者Dによるパーテーション20越しの説明と併せ透明パーテーション20を見て確認することで、より理解した上で承認するか否かの判断をしやすくなる。
【0037】
誘導コード投影ステップST2では、電子処理装置30は、起案者Dにより操作され、起案データ41としての同意書面データ41の内容を承認可能な承認用サイトとしての署名サイトに誘導するための誘導コード42を、プロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる(
図3参照)。この誘導コード42は、例えば、承認用サイトのURLが記録されたバーコードやQRコード(登録商標)である。これにより、承認者Rは、承認者端末RTの読み取り装置を用いて、透明パーテーション20に投影された誘導コード42を読み取ることで、承認用サイトである署名サイトにアクセスできる。
【0038】
承認受付ステップとしての署名受付ステップST3では、電子処理装置30は、承認者端末RTで読み取られた誘導コード42で誘導されて承認者端末RTに表示された署名サイトにおいて承認者端末RTの入力装置を用いて承認者Rから入力された承認情報としての電子署名を、署名サイトから受信する。
【0039】
登録ステップとしての署名済データ登録ステップST4では、電子処理装置30は、起案データ41に承認情報としての電子署名を反映させた登録データとしての署名済み電子書面を生成し、その署名済み電子書面を記憶デバイスに登録する。また、電子処理装置30は、必要に応じて作成された集計データや処理状況進捗データといった管理データを更新する。
【0040】
プロモーション投影ステップST5では、起案者Dからのプロモーション情報や案内情報をプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる。なお、プロモーション投影ステップST5については、特に実行されるタイミングは限定されるものではないが、例えば、対面承認取引が一通り完了したところで、起案者Dから承認者Rに向けてプラスアルファの内容として実行される。
【0041】
(1-3.実施形態1における作用・効果)
対面承認取引システムとしての対面署名システム1は、プロジェクタ10と、プロジェクタ10による投影可能なスクリーンフィルム22が貼り付けられた透明パーテーション20と、電子データを処理する電子処理装置30と、を備えている。そのうえで、対面署名システム1においては、電子処理装置30が起案データ41をプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる起案投影ステップST1の処理の実行プログラムを有する。すなわち、承認対象に関する情報を、透明パーテーション20上に表示させることができ、その際対面者同士の物理的接触をしなくてよい。
【0042】
また、対面署名システム1においては、電子処理装置30が起案データ41の内容に対する承認用サイトに誘導するための誘導コード42をプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる誘導コード投影ステップST2の処理の実行プログラムを有する。これにより、承認者Rは透明パーテーション20に表示された誘導コード42を自己の端末又は自己側に配置された端末(承認者端末RT)で読み込むことで、取引相手(起案者D)と物理的接触なしで承認用サイトにアクセスすることが可能になる。
【0043】
また、対面署名システム1においては、電子処理装置30が、承認者端末RTで読み取られた誘導コード42で誘導可能な承認用サイトにおいて承認者Rから入力された承認情報を受信する承認受付ステップST3の処理と、承認情報を反映させた登録データを生成し、登録データを登録する登録ステップST4の処理と、の実行プログラムを有する。すなわち、対面署名システム1においては、外部承認用サイトを介して承認者Rが起案データ41の内容を承認するとともに、その承認結果が登録データとして登録されるよう構成されている。これにより、この対面署名システム1では、外部承認用サイトを利用して電子承認が実行され、その結果が反映された登録データの登録まで実行されるため、取引相手と物理的接触なしで承認取引が完了することになる。
【0044】
その結果、対面署名システム1は、対面者同士が物理的接触なく対面承認取引を行うことが可能な対面承認取引システムとなる。
【0045】
対面署名システム1においては、電子処理装置30の実行プログラムは、起案者Dからのプロモーション情報をプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させるプロモーション投影ステップST5をさらに含む。これにより、起案者Dは、承認者Rに対し、有益な情報をより効率的に提供することができる。
【0046】
対面署名システム1においては、承認取引は、同意書面データ41に対する同意確認又は署名取引であり、起案データ41は、同意書面データ41であり、承認情報は、承認用サイトとしての署名サイトを介して入力された電子署名であり、登録データは、署名済み電子書面である。これにより、対面者同士が物理的接触なく署名取引を行うことが可能な対面承認取引システムとしての対面署名システムを構成することができる。
【0047】
[実施形態2]
(2-1.対面レジスターシステム101の構成)
図4は、実施形態2における対面レジスターシステム101のシステム構成を示す図である。
【0048】
本発明に係る対面承認取引システムの別の一例である対面レジスターシステム101を説明する。対面レジスターシステム101は、基本的には実施形態1の対面署名システム1と同様の構成を有するが、電子処理装置の形態及び使用目的とする承認取引内容(実行プログラムによる処理内容)が実施形態1の対面署名システム1の場合と異なる。すなわち、
図4に示すように、実施形態1の電子処理装置30がパーソナルコンピュータの形態であったのに対し、電子処理装置130が会計用レジスターの形態である。また、実施形態1の電子処理装置30には起案者Dと承認者Rとの間の署名取引を補助するための実行プログラムが実装されていたのに対し、電子処理装置130には起案者Dとしての購買者と承認者Rとしての販売者との間の決済取引を補助するための実行プログラムが実装されている。以下では、実施形態1と異なる電子処理装置の形態、及び電子処理装置における処理内容を説明し、同様の部分については図面上に実施形態1と同様の符号を付して、説明を省略する。
【0049】
対面レジスターシステム101は、起案データとしての代金請求データに基づく内容について、承認を受ける必要がある起案者としての販売者Dと、その起案データとしての代金請求データに基づく内容について承認の意思を表示する承認者としての購買者Rとが店舗において対峙して行う決済取引に用いられる。
【0050】
対面レジスターシステム101は、
図4に示すようにプロジェクタ10と透明パーテーション20と電子処理装置130とを備えている。プロジェクタ10及び透明パーテーション20については、実施形態と同様の構成であり、説明を省略する。なお、
図4においては、透明パーテーション20には反射投影可能なスクリーンフィルム23が貼り付けられており、プロジェクタ10が購買者R(承認者)側に配置されているが、実施形態1と同様に構成されているものであってもよい。
【0051】
電子処理装置130は、いわゆる会計用レジスターであり、インターネット回線といったネットワーク回線に接続可能で電子データを処理する。電子処理装置130は、プロジェクタ10と電気的に接続されている。電子処理装置130は、さまざまな実行プログラムが実装されており、代金入力・計算、レシートの発行、プロジェクタ10への表示データ出力、会計データ登録・集計、インターネット回線を介しての外部サービスサイトへの接続、等の機能が備わっている。電子処理装置130は、インターネット回線を介して、外部承認用サイトとしての決済サイトに接続可能であり、且つ、その外部決済サイトの決済サービスが受けられるよう、実行プログラムが実装されている。電子処理装置130に実装されている実行プログラムによって実行される詳細処理については後述する。
【0052】
ここで、実施形態2の電子処理装置130が接続する外部承認用サイトの少なくとも一つは、決済サイトである。この決済サイトにおいては、購買者Rの所有の購買者端末RT(承認者端末RT)に対し決済額を提示し、購買者Rからその決済額に対し入力部から確認入力を受け付ける。また、この決済サイトは、承認情報としての確認ボタン入力信号等を受領し、この承認情報を販売者Dが処理できるように販売者Dに提供する又はこの決済サイトで処理した代金決済された旨の決済完了情報を販売者Dに報告する。
【0053】
(1-2.対面レジスターシステム101による処理)
図5は、実施形態2における対面レジスターシステム101での処理を示すフローチャートである。
【0054】
実施形態2に係る対面レジスターシステム101において、電子処理装置130は、
図5に示すような流れで処理を実行する。すなわち、電子処理装置130は、少なくとも、起案投影ステップとしての代金情報投影ステップST11と、誘導コード投影ステップST12と、承認受付ステップとしての決済受付ステップST13と、登録ステップとしての取引内容登録ステップST14と、プロモーション投影ステップとしての割引券投影ステップST15と、を含む処理を実行する。
【0055】
起案投影ステップとしての代金情報投影ステップST11では、電子処理装置130は、レジ入力により支払代金が計算された代金請求データをプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる。このとき、プロジェクタ10は、購買者Rから見てミラー反転文字を投射しないよう、必要に応じて反転制御される。これにより、購買者Rは、透明パーテーション20を見て支払代金を確認できる。
【0056】
誘導コード投影ステップST12では、電子処理装置130は、請求代金を決済可能な承認用サイトとしての決済サイトに誘導するための誘導コードを、プロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる。この誘導コードは、例えば、決済サイトのURLが記録されたバーコードやQRコード(登録商標)である。これにより、購買者Rは、購買者端末RTの読み取り装置を用いて、透明パーテーション20に投影された誘導コードを読み取ることで、決済サイトにアクセスできる。
【0057】
承認受付ステップとしての決済受付ステップST13では、電子処理装置130は、購買者端末RTで読み取られた誘導コードで誘導されて購買者端末RTに表示された決済サイトにおいて購買者端末RTの入力装置を用いて購買者Rから確認入力を受けた承認情報として決済完了情報を、決済サイトから受信する。
【0058】
登録ステップとしての取引内容登録ステップST14では、電子処理装置130は、決済完了情報を反映させた登録データとしての取引内容データを生成し、その取引内容データを記憶デバイスに登録する。また、電子処理装置130は、必要に応じて作成された集計データや処理状況進捗データといった管理データを更新する。
【0059】
プロモーション投影ステップとしての割引券投影ステップST15では、販売者Dからの割引券又はクーポン券をコード化した割引コードをプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる。なお、割引券投影ステップST15については、特に実行されるタイミングは限定されるものではないが、例えば、対面決済取引が一通り完了したところで、販売者Dから購買者Rに向けてプラスアルファの内容として実行される。
【0060】
(1-3.実施形態2における作用・効果)
実施形態2の対面レジスターシステム101は、基本的には実施形態1の対面署名システム1と同様の構成を有するため、基本的には実施形態1と同様の作用・効果を奏する。その結果、実施形態2の対面レジスターシステム101は、対面者同士が物理的接触なく対面承認取引を行うことが可能な対面承認取引システムとなる。
【0061】
対面レジスターシステム101においては、承認取引は、店舗における決済取引であり、起案データは、代金請求データであり、承認情報は、承認用サイトとしての決済サイトを介して代金決済された決済完了データであり、登録データは、決済完了情報を含む取引内容データである。これにより、対面者同士が物理的接触なく決済取引を行うことが可能な対面承認取引システムとしての対面決済システムを構成することができる。
【0062】
対面レジスターシステム101においては、電子処理装置130は、代金入力可能な会計用レジスターである。これにより、店舗会計等で用いられるいわゆるレジスターシステムとして構成でき、店舗等で使用しやすくなる。
【0063】
対面レジスターシステム101においては、電子処理装置130は、購買者端末RTで読み取り保存可能な割引券又はクーポン券をコード化した割引コードをプロジェクタ10により透明パーテーション20に投影させる割引券投影ステップST15の処理を実行する。これにより、サービスの提供を行う店舗は、購買者に対してリピートに繋がるようなお得な情報をより効率的に提供することができる。
【0064】
[その他の形態]
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、具体的装置、配置位置、具体的処理内容は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0065】
(2)上記した実施形態において、対面承認取引システムとして、対面署名システム及び対面決済システムを例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、対面者の一方が質問内容を提示し、対面者の他方がそれに回答するような対面アンケート回答システムであってもよい。
【0066】
(3)上記した実施形態において、インターネット回線を介した外部承認用サイトにおいて承認者が承認するシステムと説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。外部承認用サイトの外部とは、対面承認取引システムの外を意味し、例えば、社内ネットワーク回線を介して接続される社内承認用システムであってもよい。
【0067】
(4)上記した実施形態において、承認者端末RTの入力装置と透明パーテーション20とは別物として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、透明パーテーション20に透明電極等を構成してタッチパネル機能を設けることで、例えば、透明パーテーション投影した同意書面の署名欄に署名できるよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1‥対面署名システム(対面承認取引システム)、10‥プロジェクタ、20‥透明パーテーション、21‥透明板、22,23‥スクリーンフィルム、30,130‥電子処理装置、41‥起案データ(同意書面データ)、42‥誘導コード、101‥対面レジスターシステム(対面承認取引システム)、D‥起案者,販売者、R‥承認者,購買者、RT‥承認者端末,購買者端末、ST1‥起案投影ステップ、ST2‥誘導コード投影ステップ、ST3‥承認受付ステップ,署名受付ステップ、ST4‥登録ステップ,署名済データ登録ステップ、ST5‥プロモーション投影ステップ、ST11‥代金情報投影ステップ、ST12‥誘導コード投影ステップ、ST13‥決済受付ステップ、ST14…取引内容登録ステップ、ST15‥割引券投影ステップ