IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 南京航空航天大学の特許一覧

特開2023-133088複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム及び測定方法
<>
  • 特開-複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム及び測定方法 図1
  • 特開-複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム及び測定方法 図2
  • 特開-複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム及び測定方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133088
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20230914BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230914BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G01B21/00 E
G05D1/02 K
B25J5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152134
(22)【出願日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】202210241905.2
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519291342
【氏名又は名称】南京航空航天大学
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【弁理士】
【氏名又は名称】生富 成一
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【弁理士】
【氏名又は名称】芳野 理之
(72)【発明者】
【氏名】汪俊
(72)【発明者】
【氏名】楊建平
(72)【発明者】
【氏名】張凱鈞
(72)【発明者】
【氏名】劉元朋
【テーマコード(参考)】
2F069
3C707
5H301
【Fターム(参考)】
2F069AA04
2F069DD16
2F069DD17
2F069GG07
2F069GG09
2F069GG52
2F069GG59
2F069HH09
2F069JJ04
2F069JJ10
3C707BS10
3C707CS08
3C707KS36
3C707LS20
3C707MS08
3C707WA16
5H301AA03
5H301BB02
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301LL14
(57)【要約】
【課題】複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム及び測定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、高負荷AGVトロリー、第1の多段昇降機構、第2の多段昇降機構、ロボットアーム、測定エンドエフェクタ、2軸ジンバルおよび視覚追跡装置を含む。高負荷AGVトロリーは、第1の多段昇降機構と第2の昇降機構が搭載され、指定された測定領域に移動するために使用され、ロボットアームは第1の昇降機構の上部に取り付けられ、ロボットアームフランジの末端には測定エンドエフェクタが固定され、ロボットアーム制御キャビネットを介してロボットアームの動きを制御し、第1の昇降機構と連携して、測定エンドエフェクタを指定された位置に到達させ、2軸ジンバルは第2の昇降機構の上部に固定され、測定エンドエフェクタが常に視覚追跡装置の視野範囲内にあることを保証するために、2軸ジンバルを介して視覚追跡装置の水平回転角度とピッチ角度を調整する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システムであって、高負荷AGVトロリー、第1の多段昇降機構、第2の多段昇降機構、ロボットアーム、測定エンドエフェクタ、2軸ジンバル及び視覚追跡装置を含み、
前記高負荷AGVトロリーは、第1の多段昇降機構と第2の昇降機構を搭載し、指定された測定領域に移動するために使用され、前記第1の多段昇降機構と第2の多段昇降機構は、高負荷AGVトロリーに固定して設置され、それぞれ第1の油圧ポンプ、第2の油圧ポンプ、エネルギー貯蔵弁を制御することにより、第1の多段昇降機構と第2の多段昇降機構の昇降を実現し、
前記ロボットアームは第1の昇降機構の上部に搭載され、ロボットアームフランジの末端には測定エンドエフェクタが固定され、ロボットアーム制御キャビネットを介してロボットアームの動きを制御し、第1の昇降機構と連携して、測定エンドエフェクタを指定された位置に到達させ、
前記測定エンドエフェクタには、3次元レーザースキャナーといくつかの超音波センサーが含まれ、3次元レーザースキャナーは、測定対象の部材の表面をスキャンし、3次元測定点群データを取得するために使用され、超音波センサーは、障害物との間のリアルタイムの距離を測定し、距離測定のしきい値を設定することでスキャン中の衝突警告を実現するために使用され、
前記2軸ジンバルは第2の昇降機構の上部に固定され、2軸ジンバルに視覚追跡装置が搭載され、測定エンドエフェクタが常に視覚追跡装置の視野範囲内にあることを保証するために、2軸ジンバルを介して視覚追跡装置の水平回転角度とピッチ角度を調整し、前記視覚追跡装置は、3次元レーザースキャナーを追跡し、3次元レーザースキャナーへの測位機能を実現するために使用されることを特徴とする複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム。
【請求項2】
前記高負荷AGVトロリーには、車体、全方向性ホイール、電気昇降支持脚が含まれ、車体の前端と後端には、長距離モバイルナビゲーション用のレーザーナビゲーションセンサーが設置され、車体の下部には、高負荷AGVトロリーの正確な視覚的測位を実現するために使用される画像取得装置が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム。
【請求項3】
前記高負荷AGVトロリーは、車体周辺の障害物を検出するために、車体の前部と後部の対角にそれぞれレーザー障害物回避センサーが設置されることを特徴とする請求項1に記載の複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム。
【請求項4】
前記第1の多段昇降機構と第2の多段昇降機構の本体高さは1100mmで、どちらも3段ヒンジドライブ構造を採用しており、ストロークは1900mmに達し、前記第1の油圧ポンプと第2の油圧ポンプの圧力パラメータは16.5Mpa以上であり、多段昇降機構が完全に展開されたときに提供される負荷容量が200kg以上であることを保証することを特徴とする請求項1に記載の複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム。
【請求項5】
前記視覚追跡装置の有効追跡距離は1300mmを超え、第1の多段昇降機構と第2の多段昇降機構は、測定エンドエフェクタが作業するときに視覚追跡装置に近すぎるため視覚追跡装置の視野範囲を超えることを回避するために、1820mmの距離で高負荷AGVトロリー車体の軸線に固定されることを特徴とする請求項1に記載の複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム。
【請求項6】
2軸ジンバルを介して、視覚追跡装置のピッチ角のストローク範囲は-60度~60度であり、水平回転角のストローク範囲は0度~360度であることを特徴とする請求項1に記載の複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム。
【請求項7】
上記のいずれか請求項に記載の測定システムに基づく大型部材の測定方法であって、
ロボットアームモデルと測定対象の部材の数学モデルをオフライン計画ソフトウェアにインポートするステップS1と、
AGVトロリーを測定領域まで駆動し、多段昇降機構を調整してロボットアームと視覚追跡装置を適切な高さに到達させ、2軸ジンバルの姿勢を調整して、測定エンドエフェクタが測定プロセス中に常に視覚追跡装置の視野範囲内にあるように保証するステップS2と、
ロボットアームの測位位置及び姿勢を取得し、オフライン計画ソフトウェアでロボットアームの位置及び姿勢を同期するステップS3と、
オフライン計画ソフトウェアでロボットアームスキャンパスのオフライン計画を行うステップS4と、
ロボットアームスキャンシミュレーションを実行し、シミュレーションが失敗した場合はスキャンパスを再計画するステップS5と、
ロボットアームスキャン制御プログラムをエクスポートして、ロボットアーム制御キャビネットに送信するステップS6と、
ロボットアームを駆動して部材測定のためにスキャナーの電源を入れるステップS7と、
測定中、超音波センサーの信号を読み取り、衝突監視を行い、衝突が発生した場合は、手動で操作して測定を継続するかどうかを決定するステップS8と、
測定対象の部材が完全にスキャンされたかどうかを判断し、完全にスキャンされたら、スキャナーの電源を切り、測定データをエクスポートし、それ以外の場合は、S2にジャンプして、次の領域の測定を続行するステップS9と、を含むことを特徴とする大型部材の測定方法。
【請求項8】
S3でロボットアームの測位位置及び姿勢を取得することは、まず、測定対象の部材の表面に複数の写真測量ターゲットを配置し、写真測量システムを使用して写真を撮り、ターゲットを測定してポイント情報を取得し、測定フィールドの座標系を構築し、次に、視覚追跡装置は、視野内のターゲットと3次元レーザースキャナーを測位し、最後に、測定フィールドの座標系とロボットアームの座標系に基づいて、ハンドアイキャリブレーションアルゴリズムによってロボットアームの測位を実現するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の大型部材の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型部材測定の分野に関し、具体的には複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の高度な製造技術の急速な発展に伴い、ハイエンドの機器製造技術も飛躍的な進歩を遂げ、ハイエンドの機器が軍用であろうと民間用であろうと、その安全性能は人々が最も懸念している問題の1つである。複雑な大型部材の組み立ては、ハイエンド機器の製造において非常に重要な部分であり、ハイエンド機器の安全性能に直接影響し、したがって、複雑な大型部材の測定は、ハイエンド機器の製造プロセスにおける重要なタスクであり、そしてそれは航空機、船舶、宇宙船等大型部材の安全性能を改善するための重要な手段でもある。
【0003】
複雑な大型部材組み立て現場の測定では、従来の方法は主に手動測定であるが、手動測定には次のような欠点がある。一方では、人間の主観が強すぎて、熟練労働者が長期的な経験を積む必要がある。他方では、手動測定は非効率的であり、高度な製造の開発ニーズを満たしていない。
【0004】
高度な製造業の発展に伴い、デジタル測定技術は航空機の組み立て現場に徐々に適用され、たとえば、レーザースキャナーを手動で操作して航空機部品をスキャンし、点群データを取得してから、コンピューター支援分析ツールを使用して測定結果を分析する。しかし、現在の3次元レーザースキャナーの使用は主に手動運搬であり、非効率的であり、手動で触れることができない一部の部品(例えば、高すぎる)のデータを取得することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、先行技術の欠陥に対して、複雑な大型部材の3次元検出のための自動データ取得の問題を解決するために、複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システム及び測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0007】
複雑な大型部材用の可動式のフレキシブル測定システムであって、高負荷AGVトロリー、第1の多段昇降機構、第2の多段昇降機構、ロボットアーム、測定エンドエフェクタ、2軸ジンバル及び視覚追跡装置を含み、
前記高負荷AGVトロリーは、第1の多段昇降機構と第2の昇降機構を搭載し、指定された測定領域に移動するために使用され、前記第1の多段昇降機構と第2の多段昇降機構は、高負荷AGVトロリーに固定して設置され、それぞれ第1の油圧ポンプ、第2の油圧ポンプ、エネルギー貯蔵弁を制御することにより、第1の多段昇降機構と第2の多段昇降機構の昇降を実現し、
前記ロボットアームは第1の昇降機構の上部に搭載され、ロボットアームフランジの末端には測定エンドエフェクタが固定され、ロボットアーム制御キャビネットを介してロボットアームの動きを制御し、第1の昇降機構と連携して、測定エンドエフェクタを指定された位置に到達させ、
前記測定エンドエフェクタには、3次元レーザースキャナーといくつかの超音波センサーが含まれ、3次元レーザースキャナーは、測定対象の部材の表面をスキャンし、3次元測定点群データを取得するために使用され、超音波センサーは、障害物との間のリアルタイムの距離を測定し、距離測定のしきい値を設定することでスキャン中の衝突警告を実現するために使用され、
前記2軸ジンバルは第2の昇降機構の上部に固定され、2軸ジンバルに視覚追跡装置が搭載され、測定エンドエフェクタが常に視覚追跡装置の視野範囲内にあることを保証するために、2軸ジンバルを介して視覚追跡装置の水平回転角度とピッチ角度を調整し、前記視覚追跡装置は、3次元レーザースキャナーを追跡し、3次元レーザースキャナーへの測位機能を実現するために使用される。
【0008】
さらに、前記高負荷AGVトロリーには、車体、全方向性ホイール、電気昇降支持脚が含まれ、車体の前端と後端には、長距離モバイルナビゲーション用のレーザーナビゲーションセンサーが設置され、車体の下部には、高負荷AGVトロリーの正確な視覚的測位を実現するために使用される画像取得装置が設置されている。
【0009】
さらに、前記高負荷AGVトロリーは、車体周辺の障害物を検出するために、車体の前部と後部の対角にそれぞれレーザー障害物回避センサーが設置される。
【0010】
さらに、前記第1の多段昇降機構と第2の多段昇降機構の本体高さは1100mmで、どちらも3段ヒンジドライブ構造を採用しており、ストロークは1900mmに達し、前記第1の油圧ポンプと第2の油圧ポンプの圧力パラメータは16.5Mpa以上であり、多段昇降機構が完全に展開されたときに提供される負荷容量が200kg以上であることを保証する。
【0011】
さらに、前記視覚追跡装置の有効追跡距離は1300mmを超え、第1の多段昇降機構と第2の多段昇降機構は、測定エンドエフェクタが作業するときに視覚追跡装置に近すぎるため視覚追跡装置の視野範囲を超えることを回避するために、1820mmの距離で高負荷AGVトロリー車体の軸線に固定される。
【0012】
さらに、2軸ジンバルを介して、視覚追跡装置のピッチ角のストローク範囲は-60度~60度であり、水平回転角のストローク範囲は0度~360度である。
【0013】
上記の測定システムに基づく大型部材の測定方法は、
ロボットアームモデルと測定対象の部材の数学モデルをオフライン計画ソフトウェアにインポートするステップS1と、
AGVトロリーを測定領域まで駆動し、多段昇降機構を調整してロボットアームと視覚追跡装置を適切な高さに到達させ、2軸ジンバルの姿勢を調整して、測定エンドエフェクタが測定プロセス中に常に視覚追跡装置の視野範囲内にあるように保証するステップS2と、
ロボットアームの測位位置及び姿勢を取得し、オフライン計画ソフトウェアでロボットアームの位置及び姿勢を同期するステップS3と、
オフライン計画ソフトウェアでのロボットアームスキャンパスのオフライン計画を行うステップS4と、
ロボットアームスキャンシミュレーションを実行し、シミュレーションが失敗した場合はスキャンパスを再計画するステップS5と、
ロボットアームスキャン制御プログラムをエクスポートして、ロボットアーム制御キャビネットに送信するステップS6と、
ロボットアームを駆動して部材測定のためにスキャナーの電源を入れるステップS7と、
測定中、超音波センサーの信号を読み取り、衝突監視を行い、衝突が発生した場合は、手動で操作して測定を継続するかどうかを決定するステップS8と、
測定対象の部材が完全にスキャンされたかどうかを判断し、完全にスキャンされたら、スキャナーの電源を切り、測定データをエクスポートし、それ以外の場合は、S2にジャンプして、次の領域の測定を続行するステップS9と、を含む。
【0014】
さらに、S3でロボットアームの測位位置及び姿勢を取得することは、まず、測定対象の部材の表面に複数の写真測量ターゲットを配置し、写真測量システムを使用して写真を撮り、ターゲットを測定してポイント情報を取得し、測定フィールドの座標系を構築し、次に、視覚追跡装置は、視野内のターゲットと3次元レーザースキャナーを測位し、最後に、測定フィールドの座標系とロボットアームの座標系に基づいて、ハンドアイキャリブレーションアルゴリズムによってロボットアームの測位を実現する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0016】
本発明の測定システムは、高負荷AGVトロリーおよび多段昇降機構を介して測定エンドエフェクタおよび視覚追跡装置を指定された測定位置に到達させ、良好な空間的アクセス可能性、単純な制御方案および高度な自動化を備え、複雑な大型部材の自動測定を実現し、測定効率を効果的に向上させることができ、測定エンドエフェクタと視覚追跡装置の統合設計は、便利で柔軟性があり、保守性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のシステムの構造概略図である。
図2】測定エンドエフェクタの構造概略図である。
図3】本発明の測定方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
現在では図面を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の測定システムは、高負荷AGVトロリー1、多段昇降システム(第1の多段昇降機構2および第2の多段昇降機構3を含む)、ロボットアームシステム(ロボットアーム7とその制御キャビネット8を含む)、測定エンドエフェクタ9、2軸ジンバル10及び視覚追跡装置11を含む。
【0020】
高負荷AGVトロリー1には、車体、全方向性ホイール、電気昇降支持脚等及び測定装置の搭載や移動に使用される車内のさまざまな電気部品が含まれ、そのうち、車体の前後端部にそれぞれ長距離モバイルナビゲーション用のレーザーナビゲーションセンサーが1つ設置され、車体下部にカメラがあり、視覚的に正確な測位を実現し、車体前後の対角にそれぞれレーザー障害物回避センサーが1つ設置され、2台のレーザー障害物回避センサーが車体周囲360°範囲内の障害物を検知する。
【0021】
多段昇降システムは、ロボットアーム7、2軸ジンバル10及び視覚追跡装置11を搭載するために使用される高負荷AGVトロリー1に取り付けられ、さまざまな高さを測定する機能を実現する。多段昇降機構本体の高さは1100mmであり、3段ヒンジドライブ構造設計を採用し、ストロークは1900mmに達し、多段昇降機構は、油圧ポンプとエネルギー貯蔵弁6によって駆動され、油圧ポンプの圧力パラメータは16.5Mpa以上であり、多段昇降機構が完全に展開されたとき提供される負荷容量が200KG以上であることを保証する。視覚追跡装置11の有効追跡距離は1300mmを超えるため、2セットの多段昇降機構がAGVトロリー1の赤い軸線上に配置され、配置間隔は1820mmであり、測定エンドエフェクタが作業するときに視覚追跡装置からの距離が近すぎるため、追跡視野範囲を超えるという問題を効果的に緩和する。
【0022】
図2に示すように、測定エンドエフェクタ9は、ロボットアームフランジに取り付けられ、3次元レーザースキャナー901、4つの超音波センサー902、超音波固定工具903、グリップハンドル904、L型フランジ接続工具905で構成される。3次元レーザースキャナー901は、測定対象の部材の表面をスキャンし、3次元測定点群データを取得でき、超音波センサー902は、30mm~400mmの障害物の距離測定が可能であり、3次元スキャナーの有効測定距離は300mmであり、距離測定のしきい値を80mmに設定することで、スキャン中のロボットアームの衝突警告を実現し、測定の安全性を確保する。本実施例において、ロボットアームはKukaKR10R1420として選択されており、その本体の重量は160kgを超えず、測定半径は1420mmである。
【0023】
2軸ジンバル10は、第2の多段昇降機構3の上部に取り付けられ、視覚追跡装置11を搭載するために使用され、視覚追跡装置の水平およびピッチ角度の調整を実現し、ピッチ角のストロークは-60度~60度に達し、水平回転角のストロークは0度~360度に達し、測定エンドエフェクタ9が視覚追跡装置11の視野範囲内にあることを保証する。視覚追跡装置11は、レーザースキャナーを追跡し、レーザースキャナーへの測位機能を実現するために使用される。
【0024】
図3に示すように、本発明の測定システムを用いた大型部材の測定は、主に、
ロボットアームモデルと測定対象の部材の数学モデルをオフライン計画ソフトウェアにインポートするステップ(1)と、
AGVトロリーを測定領域まで駆動し、昇降機構を調整してロボットアームと視覚追跡装置を適切な高さに到達させ、ジンバルの姿勢を調整して、測定エンドエフェクタが測定プロセス中に常に視覚追跡装置の視野範囲内にあるように保証するステップ(2)と、
ロボットアームの測位位置及び姿勢を取得し、オフライン計画ソフトウェアでロボットアームの位置及び姿勢を同期するステップ(3)と、
ロボットアームスキャンパスのオフライン計画を行うステップ(4)と、
ロボットアームスキャンシミュレーションを実行し、シミュレーションが失敗した場合はスキャンパスを再計画するステップ(5)と、
ロボットアームスキャン制御プログラムをエクスポートして、ロボットアーム制御キャビネットに送信するステップ(6)と、
ロボットアームを駆動して部材測定のためにスキャナーの電源を入れるステップ(7)と、
測定中、超音波センサーの信号を読み取り、衝突監視を行い、衝突が発生した場合は、手動で操作して測定を継続するかどうかを決定するステップ(8)と、
測定対象部材が完全にスキャンされたかどうかを判断し、完全にスキャンされたら、スキャナーの電源を切り、測定データをエクスポートし、それ以外の場合は、ステップ(2)にジャンプして、次の領域を測定するステップ(9)と、を含む。
【0025】
ステップ(3)でロボットアームの測位姿勢を取得するための具体的なステップは次のとおりである。
【0026】
まず、測定対象の部材の表面に複数の写真測量ターゲットを配置し、写真測量システムを使用して写真を撮り、ターゲットを測定してポイント情報を取得し、測定フィールドの座標系を構築し、次に、視覚追跡装置は、視野内のターゲットとレーザースキャナーを測位することにより、レーザースキャナーが測定フィールドの座標系にあることを実現し、最後に、測定フィールドの座標系とロボットアームの座標系に基づいて、従来のロボットハンドアイキャリブレーションアルゴリズムによってロボットアームの測位を実現する。
【0027】
上記は本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明の保護範囲は上記の実施例に限定されず、本発明のアイデアでのすべての技術的解決手段は、本発明の保護範囲に属する。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することのないいくつかの改良および修正は、本発明の保護範囲と見なされるべきであることに留意されたい。
【0028】
本発明で引用される「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などの用語は、説明の明確さの便宜のためにのみ使用され、本発明の実施可能範囲を制限するために使用せず、技術的内容に実質的な変更を加えることなく、それらの相対的な関係を変更または調整することも、本発明の実施可能範囲と見なされるべきである。
【符号の説明】
【0029】
1-高負荷AGVトロリー
2-第1の多段昇降機構
3-第2の多段昇降機構
4-第1の油圧ポンプ
5-第2の油圧ポンプ
6-エネルギー貯蔵弁
7-ロボットアーム
8-ロボットアーム制御キャビネット
9-測定エンドエフェクタ
901-3次元レーザートラッカー
902-超音波センサー
903-超音波固定工具
904-グリップハンドル
905-L型フランジ接続工具
10-2軸ジンバル
11-視覚追跡装置
図1
図2
図3