(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133120
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/435 20180101AFI20230914BHJP
F21S 45/20 20180101ALI20230914BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20230914BHJP
【FI】
F21S45/435
F21S45/20
F21W102:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200965
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2022036529
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚子
(72)【発明者】
【氏名】山本 壮晃
(72)【発明者】
【氏名】秋貞 研二
(57)【要約】
【課題】ファンにより送風される気流をアウターレンズの内面に沿って効率良く循環させることを可能とした車両用灯具を提供する。
【解決手段】前面が開口したハウジング2と、ハウジング2の開口を覆うアウターレンズ3とにより構成される灯体4と、灯体4の内側に配置されて、前方に向けて光を照射する光源ユニット5と、光源ユニット5の点灯時に発熱する少なくとも1つの発熱部7を冷却するための送風を行うファン8と、ファン8により送風される気流Fを流通させるダクト9とを備え、ダクト9を介してファン8により送風される気流Fを少なくともアウターレンズ3の内面に沿って循環させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口したハウジングと、前記ハウジングの開口を覆うアウターレンズとにより構成される灯体と、
前記灯体の内側に配置されて、前方に向けて光を照射する光源ユニットと、
少なくとも1つの発熱部を冷却するための送風を行うファンと、
前記ファンにより送風される気流を流通させるダクトとを備え、
前記ダクトを介して前記ファンにより送風される気流を少なくとも前記アウターレンズの内面側を通して循環させることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記発熱部の少なくとも一部は、前記ダクトの内側に臨んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ダクトは、前記発熱部に臨む位置の流路断面積が相対的に小さくなっていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記ファンは、前記ダクトの内側に配置されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記ダクトは、前記ファンを挟んだ上流側と下流側とにおいて、それぞれの流路断面積が変化していることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記ダクトは、前記ファンにより送風される気流を吸気する吸気口と、前記ファンにより送風される気流を排気する排気口とを含み、
前記吸気口と前記排気口とは、前記アウターレンズの内面側における長手方向の一端側と他端側とに臨んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ファンは、前記発熱部と対向する位置において前記ダクトの内側に臨んで配置されていることを特徴とする請求項1~3,6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記ダクトは、前記ファンにより送風される気流を排気する一方の排気口と他方の排気口とを含み、
前記一方の排気口と前記他方の排気口とは、前記アウターレンズの内面側における長手方向の一端側と他端側とに臨んで配置されていることを特徴とする請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記灯体の内部の、前記アウターレンズ側をアウターレンズ側領域、前記ハウジング側をハウジング側領域に区画する板状部材を有し、
前記ダクトは、前記ファンにより送風される気流を排気する排気口を有し、
前記排気口は、前記アウターレンズの内面側における長手方向の一方側に臨んで配置され、
前記ファンは、前記ハウジング側領域から吸気を行うこと特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記ダクトの内側に面して配置された、前記発熱部が発する熱の一部を前記ダクトの内部を通る気流へ放熱させるヒートシンクを備え、
前記ダクトは、前記ヒートシンクを通過した気流の一部を前記ダクトの外部へ流出させる流出口を含むことを特徴とする請求項9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記発熱部は、光源が実装された基板と、前記光源を駆動する駆動回路が設けられた基板と、前記光源及び前記駆動回路が設けたれた基板との何れかであり、
前記基板の背面側を前記ダクトの内側に臨んで配置されていることを特徴とする請求項1~3,6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記ヒートシンクは、前記発熱部が発する熱を外部へと放熱させる複数のフィンを備え、
前記ヒートシンクは、前記複数のフィンの間を通して前記ファンにより送風される気流が流通されるように前記ダクトの内側に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記光源ユニットの非点灯時に前記ファンによる送風を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項14】
前記複数のフィンの隙間に連通した前記流出口が形成されていることを特徴とする請求項12に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用前照灯(ヘッドランプ)などの車両用灯具では、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うアウターレンズとにより構成される灯体に呼吸孔を設けて、この呼吸孔を介して換気が行われることで、アウターレンズの内面に曇りが発生することを防止している。
【0003】
ところで、近年の車両用灯具では、発光ダイオード(LED)の高輝度化や低コスト化が進むに従って、光源にLEDを採用したものが徐々に増えてきている。LEDは、長寿命で消費電力が少ないといったメリットがある。
【0004】
一方、高温になると発光効率の低下や寿命の短縮化を招くことから、ヒートシンクや冷却ファンなどを用いて、LEDが発する熱を外部に効率良く放熱させる必要がある。
【0005】
しかしながら、光源にLEDを採用した車両用灯具では、従来のハロゲンランプやHIDランプなどの光源に比べてアウターレンズに吸収されて熱となる赤外線を持たないため、アウターレンズの内面が曇り易くなっている。
【0006】
一方、アウターレンズの内面に防曇コートを施すことも行われているが、防曇コートは高価であるため、コストが嵩むといった課題がある。
【0007】
そこで、光源の点灯時に、上述した冷却ファンにより生じた気流(風)をアウターレンズの内面に沿って循環させることで、アウターレンズの内面に曇りが発生することを抑制することが行われている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の車両用灯具では、冷却ファンにより生じた気流がアウターレンズの内面に到達するまでに、灯体内の狭い隙間を通過する必要がある。
【0010】
このため、冷却ファンからアウターレンズの内面に気流が到達するまでの圧力損失が大きく、アウターレンズの内面に沿って気流を効率良く循環させることが困難となっている。
【0011】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ファンにより送風される気流をアウターレンズの内面に沿って効率良く循環させることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 前面が開口したハウジングと、前記ハウジングの開口を覆うアウターレンズとにより構成される灯体と、
前記灯体の内側に配置されて、前方に向けて光を照射する光源ユニットと、
少なくとも1つの発熱部を冷却するための送風を行うファンと、
前記ファンにより送風される気流を流通させるダクトとを備え、
前記ダクトを介して前記ファンにより送風される気流を少なくとも前記アウターレンズの内面に沿って循環させることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記発熱部の少なくとも一部は、前記ダクトの内側に臨んで配置されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記ダクトは、前記発熱部に臨む位置の流路断面積が相対的に小さくなっていることを特徴とする前記〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記ファンは、前記ダクトの内側に配置されていることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記ダクトは、前記ファンを挟んだ上流側と下流側とにおいて、それぞれの流路断面積が変化していることを特徴とする前記〔4〕に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記ダクトは、前記ファンにより送風される気流を吸気する吸気口と、前記ファンにより送風される気流を排気する排気口とを含み、
前記吸気口と前記排気口とは、前記アウターレンズの内面側における長手方向の一端側と他端側とに臨んで配置されていることを特徴とする前記〔4〕又は〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記ファンは、前記発熱部と対向する位置において前記ダクトの内側に臨んで配置されていることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕,〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記ダクトは、前記ファンにより送風される気流を排気する一方の排気口と他方の排気口とを含み、
前記一方の排気口と前記他方の排気口とは、前記アウターレンズの内面側における長手方向の一端側と他端側とに臨んで配置されていることを特徴とする前記〔7〕に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記灯体の内部の、前記アウターレンズ側をアウターレンズ側領域、前記ハウジング側をハウジング側領域に区画する板状部材を有し、
前記ダクトは、前記ファンにより送風される気流を排気する排気口を有し、
前記排気口は、前記アウターレンズの内面側における長手方向の一方側に臨んで配置され、
前記ファンは、前記ハウジング側領域から吸気を行うこと特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔10〕 前記ダクトの内側に面して配置された、前記発熱部が発する熱の一部を前記ダクトの内部を通る気流へ放熱させるヒートシンクを備え、
前記ダクトは、前記ヒートシンクを通過した気流の一部を前記ダクトの外部へ流出させる流出口を含むことを特徴とする前記〔9〕に記載の車両用灯具。
〔11〕 前記発熱部は、光源が実装された基板と、前記光源を駆動する駆動回路が設けられた基板と、前記光源及び前記駆動回路が設けたれた基板との何れかであり、
前記基板の背面側を前記ダクトの内側に臨んで配置されていることを特徴とする前記〔1〕~〔10〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔12〕 前記ヒートシンクは、前記発熱部が発する熱を外部へと放熱させる複数のフィンを備え、
前記ヒートシンクは、前記複数のフィンの間を通して前記ファンにより送風される気流が流通されるように前記ダクトの内側に配置されていることを特徴とする前記〔1〕~〔11〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔13〕 前記光源ユニットの非点灯時に前記ファンによる送風を行うことを特徴とする前記〔1〕~〔12〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔14〕 前記複数のフィンの隙間に連通した前記流出口が形成されていることを特徴とする前記〔12〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、ファンにより送風される気流をアウターレンズの内面に沿って効率良く循環させることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す透視斜視図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図3】
図1に示す車両用灯具が備えるダクトの構成を示す透視斜視図である。
【
図4】
図3に示すダクトの変形例を示す透視斜視図である。
【
図5】
図3に示すダクトの吸気口及び排気口の一例を示す斜視図である。
【
図6】
図3に示すダクトをエクステンションと一体に形成した構成を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図10】
図9に示す車両用灯具が備えるダクトの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0016】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0017】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図6に示す車両用灯具1Aについて説明する。
【0018】
なお、
図1は、車両用灯具1Aの構成を示す透視斜視図である。
図2は、車両用灯具1Aの構成を示す断面図である。
図3は、車両用灯具1Aが備えるダクト9の構成を示す透視斜視図である。
図4は、ダクト9の変形例を示す透視斜視図である。
図5は、ダクト9の吸気口9a及び排気口9bの一例を示す斜視図である。
図6は、ダクト9をエクステンション6と一体に形成した構成を示す斜視図である。
【0019】
本実施形態の車両用灯具1Aは、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部(本実施形態では右前端側のコーナー部)に搭載される車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用したものである。
【0020】
具体的に、この車両用灯具1Aは、
図1に示すように、前面が開口したハウジング2と、このハウジング2の開口を覆う透明なアウターレンズ3とにより構成される灯体4を備えている。灯体4は、その長手方向が車幅方向に沿った向き(横長)に配置されている。
【0021】
灯体4では、車両の前端側のコーナー部に付与されるスラント形状に合わせて、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって、アウターレンズ3が傾斜した形状を有している。
【0022】
なお、アウターレンズ3については、このような傾斜した形状に限らず、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって湾曲した形状であってもよい。また、灯体4の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0023】
本実施形態の車両用灯具1Aは、灯体4の内側に配置された光源ユニット5と、光源ユニット5の正面側の周囲を覆うエクステンション6と、光源ユニット5の点灯時に発熱する発熱部7を冷却するための送風を行うファン8と、ファン8により送風される気流Fを流通させるダクト9とを備えている。
【0024】
光源ユニット5は、
図1及び
図2に示すように、例えば、白色光を発する発光ダイオード(LED)からなる光源10と、光源10から出射された光を前方に向けて投影する投影レンズ11と、光源10が一面側(本実施形態では正面側)に実装された基板12と、基板12の他面側(本実施形態では背面側)に接触した状態で、光源10が発する熱を放熱させるヒートシンク13とを有している。
【0025】
なお、光源ユニット5は、このような構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば光源10から出射された光を前方に向けて反射するリフレクタ(図示せず。)を配置し、このリフレクタで反射された光を投影レンズ11により前方に向けて投影する構成であってもよい。
【0026】
また、光源ユニット5については、すれ違い用ビーム(ロービーム)として、シェードの前端によって規定される光源像を投影レンズにより反転投影することで、上端にカットオフラインを含むロービーム用配光パターンを形成するものや、走行用ビーム(ハイビーム)として、光源が出射する光を投影レンズにより投影することで、ロービーム用配光パターンの上方にハイビーム用配光パターンを形成するもの、若しくは、これらロービーム用配光パターンを形成する光源ユニットと、ハイビーム用配光パターンを形成する光源ユニットとが一体化されたものであってもよい。
【0027】
エクステンション6は、有色(例えば黒色や銀色)の遮光部材からなり、光源ユニット5の正面側に投影レンズ11を前方に臨ませる開口部6aを有している。
【0028】
エクステンション6は、光源ユニット5の正面側の周囲を覆うことで、この光源ユニット5以外から出射される光を遮光している。また、エクステンション6は、車両用灯具1の意匠の役割も担っている。
【0029】
なお、光源ユニット5及びエクステンション6は、灯体4の内側に配置されたブラケット(図示せず。)に対してネジ止め等により取り付けられている。
【0030】
発熱部7は、光源10が実装された基板12と、光源を駆動する駆動回路(図示せず。)が設けられた基板12と、光源10及び駆動回路が設けたれた基板12との何れかである。
【0031】
光源ユニット5は、この発熱部7となる基板12の背面側をダクト9の内側に臨んで配置されている。なお、発熱部7として、例えばミリ波レーダやLiDARなどのセンサが発する熱を利用することも可能である。
【0032】
ヒートシンク13は、その背面側から一の方向(本実施形態では上下方向)に並んだ状態で平板状に突出された複数のフィン13aを有している。ヒートシンク13は、複数のフィン13aの各間を通してファン8により送風される気流Fが流通されるようにダクト9の内側に配置されている。
【0033】
ファン8は、このファン8により送風される気流Fをダクト9の内部で流通させるように、ダクト9の内側に配置されている。また、ファン8は、ヒートシンク13の放熱性能を低下させないように、ヒートシンク13とは離間して配置されている。
【0034】
なお、ファン8については、例えば軸流ファンやシロッコファン、遠心ファンなど、如何なる種類の送風装置を用いることも可能である。
【0035】
ダクト9は、
図1~
図3に示すように、灯体4の長手方向に沿って延在する断面矩形状の筒状部材からなる。ダクト9は、エクステンション6の背面側に配置されて、上述したブラケットに対してネジ止め等により取り付けられている。
【0036】
ダクト9は、その長手方向の一端側にファンにより送風される気流を吸気する吸気口9aと、その長手方向の他端側にファンにより送風される気流を排気する排気口9bとを有し、これら吸気口9a及び排気口9bが灯体4の正面側に臨むように、その両端側が前方に向かって湾曲した形状を有している。
【0037】
吸気口9aと排気口9bとは、エクステンション6に設けられた開口部(図示せず。)を通して、アウターレンズ3の内面側における長手方向の一端側と他端側とに臨んで配置されている。
【0038】
また、ダクト9は、上述したファン8により送風される気流Fが複数のフィン13aの各間を効率良く通過するように、フィン13aの長さに合わせて、発熱部7に臨む位置の流路断面積が相対的に小さくなっている。
【0039】
また、ダクト9は、上述したファン8により送風される気流Fを効率良く流通させるために、ファン8を挟んだ上流側(流入側)と下流側(流出側)とにおいて、それぞれの流路断面積が変化している。
【0040】
具体的に、本実施形態では、ダクト9のファン8を挟んだ上流側(流入側)の流路断面積よりも下流側(流出側)の流路断面積が相対的に大きくなっている。
【0041】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述したダクト9を介してファン8により送風される気流Fをアウターレンズ3の内面に沿って効率良く循環させることが可能である。
【0042】
すなわち、ファン8により送風される気流Fは、ダクト9の排気口9bから排気された後、アウターレンズ3の内面に沿って流通され、ダクト9の吸気口9aから吸気されることで、灯体4の内部で繰り返し循環されることになる。
【0043】
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述したダクト9を用いることで、ファン8により生じた気流Fがアウターレンズ3の内面に到達するまでの圧力損失を小さくすることが可能である。
【0044】
なお、ダクト9については、圧力損失が小さくなるように、その断面形状を矩形状としたものに限らず、円形状や楕円形状とすることも可能である。
【0045】
また、ダクト9の角部については、C面やR面などの面取り形状を設けてもよい。また、ダクト9の曲げ部分についても、滑らかに湾曲させることが好ましい。
【0046】
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した光源ユニット5の非点灯時においても、ファン8による送風を行うことが可能である。
【0047】
これにより、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した光源ユニット5の点灯時及び非点灯時に限らず、アウターレンズ3の内面に曇りが発生することを防ぐことが可能である。
【0048】
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、発熱部7から放熱された熱によって気流Fの温度が上昇する。これにより、灯体4内の相対湿度の低下や、アウターレンズ3の温度上昇等の作用をもたらし、アウターレンズ3の内面の曇り防止効果を向上させることが可能である。
【0049】
なお、本発明は、上記車両用灯具1Aの構成に必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
具体的に、上記ダクト9については、例えば
図4に示すように、その長手方向の中途部で分岐させることによって、吸気口9aと排気口9bとの何れか一方又は両方が複数(
図4では吸気口9a及び排気口9bが2つずつ)設けられた構成としてもよい。
【0051】
これより、吸気口9a及び排気口9bの数や配置を最適化し、アウターレンズ3の内面に対して更に効率良く気流Fを流通させることが可能である。
【0052】
また、吸気口9a及び排気口9bについては、灯体4の正面側に位置することから、例えば
図5に示すエクステンション6のように、吸気口9a及び排気口9bに対応した複数のスリット6bを設けることで、これら吸気口9a及び排気口9bを目立たなくし、意匠的に優れたものとすることが可能である。
【0053】
上記ダクト9や継手ダクトは、車両用灯具1Aのエーミングや振動等による光源ユニット5とエクステンション6の位置関係の変化に対応できる自由度を持った構造・材質にすることが可能である。例えば、シリコーンゴム等の弾性を有する材質や、蛇腹やボールジョイントによる自在継手等が適用可能である。
【0054】
また、上記ダクト9については、例えば
図6に示すように、エクステンション6と一体に形成された構成とすることも可能である。すなわち、このダクト9については、エクステンション6の背面側の一部と組み合わせてファン8により送風される気流Fを流通させる流路を設けた構成とすることも可能である。
【0055】
また、上記ダクト9については、上述したエクステンション6以外にも、光源ユニット5やエクステンション6を保持するブラケットの一部と一体に形成された構成とすることも可能である。
【0056】
また、上記ダクト9については、1つの部材により構成されたものに限らず、複数の部材により構成されたものであってもよい。例えば、吸気口9a側のダクトと排気口9b側のダクトとを別々に形成し、これらダクトの間を接続する継手ダクトを設けて、上記ダクト9を構成することも可能である。
【0057】
また、上記ダクト9については、複数の部材により構成されることで隙間が生じる場合、この隙間の通風抵抗が、排気口9bや吸気口9a、気流が流れるその他の流路の通風抵抗よりも大きな通風抵抗になるように、隙間の断面積や形状を適宜変更することで、ダクト9の外部への気流の流出を防ぎ、流量の低下を防ぐことが可能である。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図7に示す車両用灯具1Bについて説明する。
【0059】
なお、
図7は、車両用灯具1Bの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0060】
本実施形態の車両用灯具1Bは、例えば、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部に搭載されるリアコンビネーションランプに本発明を適用したものである。
【0061】
具体的に、この車両用灯具1Aでは、
図7に示すように、灯体4の長手方向が上下方向に沿った向き(縦長)に配置されている。
【0062】
光源ユニット5は、赤色光を発する複数の光源10が基板12の正面側に上下方向に並んで配置され、この基板12の背面側が発熱部7としてダクト9の内側に臨んで配置されている。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0063】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した車両用灯具1Aと同様に、ダクト9を介してファン8により送風される気流Fをアウターレンズ3の内面に沿って効率良く循環させることが可能である。
【0064】
また、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述したダクト9を用いることで、ファン8により生じた気流Fがアウターレンズ3の内面に到達するまでの圧力損失を小さくすることが可能である。
【0065】
また、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した光源ユニット5の非点灯時においても、ファン8による送風を行うことが可能である。
【0066】
これにより、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した光源ユニット5の点灯時及び非点灯時に限らず、アウターレンズ3の内面に曇りが発生することを防ぐことが可能である。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば
図8に示す車両用灯具1Cについて説明する。
【0068】
なお、
図8は、車両用灯具1Cの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0069】
本実施形態の車両用灯具1Cは、
図8に示すように、ヒートシンク13(発熱部7)と対向する位置においてファン8がダクト9の内側に臨んで配置されている。
【0070】
ダクト9は、その長手方向の一端側にファン8により送風される気流Fを排気する一方の排気口9cと、その長手方向の他端側にファン8により送風される気流Fを排気する他方の排気口9dとを有し、これらの排気口9c,9dが灯体4の正面側に臨むように、その両端側が前方に向かって湾曲した形状を有している。
【0071】
一方の排気口9cと他方の排気口9dとは、エクステンション6に設けられた開口部(図示せず。)を通して、アウターレンズ3の内面側における長手方向の一端側と他端側とに臨んで配置されている。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0072】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Cでは、上述したダクト9を介してファン8により送風される気流Fをアウターレンズ3の内面に沿って効率良く循環させることが可能である。
【0073】
すなわち、ファン8により送風される気流Fは、ダクト9の両側の排気口9c,9dから排気された後、アウターレンズ3の内面に沿って流通される。また、ファン8により送風される気流Fは、灯体4の背面側に回り込んだ後、ファン8からダクト9内に吸気されることで、灯体4の内部で繰り返し循環されることになる。
【0074】
また、本実施形態の車両用灯具1Cでは、上述したダクト9を用いることで、ファン8により生じた気流Fがアウターレンズ3の内面に到達するまでの圧力損失を小さくすることが可能である。
【0075】
また、本実施形態の車両用灯具1Cでは、上述した光源ユニット5の非点灯時においても、ファン8による送風を行うことが可能である。これにより、本実施形態の車両用灯具1Cでは、上述した光源ユニット5の点灯時及び非点灯時に限らず、アウターレンズ3の内面に曇りが発生することを防ぐことが可能である。
【0076】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態として、例えば
図9に示す車両用灯具1Dについて説明する。
【0077】
なお、
図9は、車両用灯具1Dの構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0078】
本実施形態の車両用灯具1Dは、
図9に示すように、ヒートシンク13(発熱部7)と対向する位置においてファン8がダクト9の内側に臨んで配置されている。
【0079】
ダクト9は、その長手方向の一端側にファン8により送風される気流Fを排気する排気口9eを有している。排気口9eは、エクステンション6に設けられた開口部(図示せず。)を通して、アウターレンズ3の内面側における長手方向の一方側に臨んで配置されている。
【0080】
一方、アウターレンズ3の内面側における長手方向の他方側には、排気口9eから排気された気流Fの一部を吸気する吸気口6cが設けられている。吸気口6cは、エクステンション6に設けられた開口部により構成されている。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0081】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1Dでは、上述したダクト9を介してファン8により送風される気流Fをアウターレンズ3の内面に沿って効率良く循環させることが可能である。
【0082】
すなわち、ファン8により送風される気流Fは、ダクト9の排気口9eから排気された後、アウターレンズ3の内面に沿って流通される。また、ダクト9の排気口9eから排気された気流Fの一部は、アウターレンズ3の内面に沿って流通され、エクステンション6の吸気口6cから吸気される。
【0083】
これにより、ファン8により送風される気流Fは、アウターレンズ3の内面に沿って流通され、灯体4の背面側に回り込んだ後、ファン8からダクト9内に吸気されることで、灯体4の内部で繰り返し循環されることになる。
【0084】
本実施形態の車両用灯具1Dでは、アウターレンズ3の内面のうち、排気口9eから排気された気流Fが直接当たる部分においては、気流Fの勢いにより曇りの解消が促進されることになる。一方、吸気口6cに向かって気流Fが流れる部分においては、気流Fが緩やかに流れるため、曇りが広範囲に亘って解消されることになる。
【0085】
また、本実施形態の車両用灯具1Dでは、上述したダクト9を用いることで、ファン8により生じた気流Fがアウターレンズ3の内面に到達するまでの圧力損失を小さくすることが可能である。
【0086】
一方、上述したダクト9を設けた位置とは反対側には、部品を配置するための十分な空間Kを確保することが可能である。
【0087】
また、本実施形態の車両用灯具1Dでは、上述した光源ユニット5の非点灯時においても、ファン8による送風を行うことが可能である。
【0088】
これにより、本実施形態の車両用灯具1Dでは、上述した光源ユニット5の点灯時及び非点灯時に限らず、アウターレンズ3の内面に曇りが発生することを防ぐことが可能である。
【0089】
なお、上記車両用灯具1Dでは、上述したダクト9について、例えば
図10(A),(B)に示すような構成とすることも可能である。
【0090】
具体的に、
図10(A)に示すダクト9には、ファン8により送風される気流Fのうち、ヒートシンク13を通過する気流Fの一部を外部に流出する流出口9fが設けられている。流出口9fは、上述したファン8により送風される気流Fが複数のフィン13aの各間を効率良く通過するように、複数のフィン13aの隙間と連通するように設けられている。
【0091】
また、複数のフィン13aの延在方向は、直線に限らず、その延在方向を変化させたり、曲線状や放射状に延在してもよい。この場合も、複数のフィン13aの隙間が流出口9fと連通することが望ましい。
【0092】
これにより、ヒートシンク13を通過する気流Fの流量を増やすことができ、発熱部7を効率良く冷却することが可能となる。
【0093】
また、流出口9fは、例えば
図10(B)に示すようなダクト形状としてもよい。この場合、流出口9fから外部に流出する発熱部7の熱が移動した気流Fが、直ちにファン8から吸気されることを防ぐことが可能である。
【0094】
また、空間Kに配置する部品の間隙を連続させることによって、この間隙を気流Fが流れるように構成することも可能である。部品の間隙を通る気流Fによって、空間Kに配置される部品の冷却を行うことが可能である。
【0095】
また、部品は、例えば、センサユニットや、制御部、電源回路部等である。特に、温度制御の優先度の高い部品、例えば、制御部を流出口9fに近い部分に配置すること事によって、車両用灯具1Dの動作安定性を向上させることが可能である。
【0096】
また、制御部は、車両用灯具1Dの点灯制御の他にも、センサの制御や、エーミング用アクチュエータの制御等の機能を含む統合制御部であってよい。制御部の温度安定は、車両用灯具1Dの動作安定につながる。
【0097】
なお、本実施形態では、上述したファン8により送風される気流Fが複数のフィン13aの各間を効率良く通過するような流出口9fの配置となっているが、例えば、複数のピンが突出したヒートシンク13に対しては、上述したダクト9の延長方向とは反対側に限らず、ヒートシンク13に臨む何れかの位置に、少なくとも1つ以上の流出口9fを配置した構成とすればよい。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0099】
例えば、上記光源10については、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。さらに、ハロゲンランプやHIDランプなどの光源を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0100】
1A~1D…車両用灯具 2…ハウジング 3…アウターレンズ 4…灯体 5…光源ユニット 6…エクステンション 6c…吸気口 7…発熱部 8…ファン 9…ダクト 9a…吸気口 9b,9c,9d,9e…排気口 9f…流出口 10…光源 11…投影レンズ 12…基板 13…ヒートシンク