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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133133
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】真空弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/02 20060101AFI20230914BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
F16K51/02 A
F16K31/04 A
F16K31/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010055
(22)【出願日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】17/690,470
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アール・ホダップ
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・エイ・カサロッティ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィド・ダブリュー・クローン
【テーマコード(参考)】
3H062
3H066
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA14
3H062AA15
3H062BB04
3H062BB33
3H062CC01
3H062CC02
3H062DD01
3H062EE06
3H062FF13
3H062FF38
3H062FF39
3H062FF40
3H062HH02
3H062HH06
3H066AA01
3H066BA38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】確実に操作可能で、よりエネルギー効率の高い真空弁を提供する。
【解決手段】第1開口18と第2開口20とを接続する通路を画定する弁筐体と、前記通路に配置された弁体及び相補的な座60であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材52を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、前記弁体の作動用の電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機34と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットとを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中真空、高真空、超高真空システム用の真空弁であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させるための電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットとを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットと
を備える、真空弁。
【請求項2】
機械的変換ユニットは、ナット要素と協働する送りネジを備える、請求項1に記載の真空弁。
【請求項3】
前記出力部は、前記ナット要素を備える、請求項2に記載の真空弁。
【請求項4】
前記弁筐体によって支持され、弁体に力が加えられると前記弁体を軸方向で閉位置に促すように作用する少なくとも1つの第1弾性要素が提供されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空弁。
【請求項5】
前記弁体は、前記出力部に対して直線的な軸方向に移動可能である。請求項1から4のいずれか一項に記載の真空弁。
【請求項6】
前記電気機械式作動機構は、前記出力部によって支持され、前記出力部から離れて軸方向にそれを促す力が前記弁体に及ぼされるように前記弁体に作用する少なくとも1つの第2弾性要素を備える、請求項5に記載の真空弁。
【請求項7】
前記出力部と前記弁体とは、前記出力部と前記弁体の軸方向への相対移動を制限する結合ユニットによって結合されている、請求項5に記載の真空弁。
【請求項8】
第1弾性要素は、第2弾性要素よりも高い弾性を持つ、請求項4及び6に記載の真空弁。
【請求項9】
前記出力部は、案内装置によって回転可能に固定保持されている。請求項1から8のいずれか一項に記載の真空弁。
【請求項10】
前記案内装置は、軸方向に延在する、案内スロット又は溝と協働する突起を備える、請求項9に記載の真空弁。
【請求項11】
前記電動機と前記入力部は、少なくとも1つの減速駆動部を介して駆動上結合される、請求項1から10のいずれか一項に記載の真空弁。
【請求項12】
電気機械式作動ユニットは、前記出力部又は前記弁体を所望の軸方向位置にロックするように、ロック装置とロック機能との少なくとも一方を少なくとも1つ備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の真空弁。
【請求項13】
前記機械的変換ユニットは自己ロック特性を持つ、請求項12に記載の真空弁。
【請求項14】
前記出力部と前記弁体との少なくとも一方の位置を検出するために位置センサが設けられている、請求項1から13のいずれか一項に記載の真空弁。
【請求項15】
中真空システム、高真空システム、又は超高真空システム用の真空弁であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置と閉位置との間で直線方向に移動可能であり、ここで前記弁体は、前記真空筐体の通路を閉じるために閉位置の前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させる作動ユニットと、
前記第1開口部に垂直な断面において、非円形の形状を持つことと、中空であることと、PTFE材料又は塗布部を有することと、フルオロエラストマー材料又は塗布部を有することとの中の少なくともいずれか一つを備えるシール部材と
を備える、前記真空弁。
【請求項16】
前記作動ユニットは、前記電動機に電気エネルギーを供給するエネルギー貯蔵ユニットを備える。請求項1から15のいずれか一項に記載の真空弁。
【請求項17】
真空弁の操作方法であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させるための電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、前記弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットと
を備える前記真空弁の操作方法において、
前記電動機が、前記弁体と前記座との接触前と接触中の少なくとも一方で前記弁体の速度が低下するように、前記弁体の閉位置への移動の間、操作される、真空弁を操作する方法。
【請求項18】
前記電動機は、開位置から閉位置への弁体の動きが、閉位置から開位置への弁体の動きよりも時間が長くかかるように操作される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電動機は、前記弁体が閉位置に移動する際のシール部材の圧縮が、前記弁体が閉位置から移動している間のシール部材の減圧よりも時間がかかるように操作される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記電動機は、前記シール部材に作用する力が所定のしきい値を下回らないように、前記弁体の閉位置で操作される、請求項17、18又は19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記シール部材に作用する力は、力、ひずみ又は温度センサのうちの少なくとも1つによって提供されるデータに基づいて決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シール部材に作用する力は、前記電動機の操作変数に基づいて決定される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中真空、高真空又は超高真空システム用の真空弁に関する。本発明のさらなる態様は、真空弁を操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中真空、高真空、超高真空システムは、多くの技術分野や産業又は科学用途で使用されている。特に100から10-9Paの範囲にあるそのような真空は、そのようなシステムで使用される部品の設計に非常に高い要件を設定する。特に、このようなシステムの弁は、閉じた状態のときに気体漏れを確実に防止できる必要があるため、高い基準を満たす必要がある。
【0003】
従来の真空弁は、空気圧又はソレノイドアクチュエータに基づいている。このような弁は一般的に信頼性があるが、弁を作動させたり、開いた位置又は閉位置に保持したりするには、かなりの量のエネルギーが必要である。しかし、エネルギー効率は、環境やコストなどの配慮からますます重要な問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、確実に操作可能で、よりエネルギー効率の高い真空弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点によれば、中真空、高真空又は超高真空システム用の真空弁が提供され、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座の少なくとも一方はシール部材を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させるための電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットと
を備える。
【0006】
このような電気機械式作動ユニットは非常にコンパクトにできて、入力された電気エネルギーを弁体の作動運動に効率的に変換できる。本発明に係る真空弁のエネルギー消費量は比較的低いので、その動作のために電力網を介して電力を供給する必要は必ずしもない。バッテリ又はキャパシタ電源から動作してもよいし、ソーラーパネルを備えていてもよい。
【0007】
電動機は、例えば、インランナータイプ又はアウトランナータイプのブラシ付きモータ又はブラシレスモータ(ステッピングモータなど)にしてよい。モータの代替品は、全体的な特性が最高の解決手段を特定する際の柔軟性を提供する。
【0008】
さらに、電気機械式作動ユニットにより、弁体は開位置又は閉位置だけでなく、任意の中間位置も想定できる。例えば、内部又は外部の制御ユニットによって提供されるモータの適切な制御は、弁の開閉中の弁体の動きのダイナミクスにさらに影響を与えることを可能にする。
【0009】
弁体と座の少なくとも一方は、複数のシール部材を備えてよい。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、機械的変換ユニットは、ナット要素と協働する送りネジを備える。このような変換ユニットは安価であり、実際の要件を満たすように簡単にサイズの変更(スケーリング)ができる。
【0011】
例えば、出力部は、ナット要素を備えてもよい。この場合、ナット要素は、電動機によって直接的又は間接的に提供される送りネジの回転によって軸方向に移動する。しかしながら、軸方向に可動なネジを設け、ナット要素を軸方向に固定位置に保持することも考えられる。
【0012】
一実施形態によれば、少なくとも1つの第1弾性要素、例えばバネが設けられ、それは、弁筐体によって支持され、弁体に力が加えられるように弁体に作用し、軸方向に閉位置に促す。この力は、弁体の閉鎖運動をサポートする付勢力である。これは、弁体の閉鎖運動中に所望の閉鎖力を生み出すために、電動機によって提供されるトルクが少なくなることを意味する。その結果、上記のモータの寸法を小さくできることと、弁を作動させるために必要なエネルギーが削減されることとの少なくとも一方である。
【0013】
一実施形態によれば、弁体は、軸方向に出力部に対して移動可能である。換言すると、弁体は、電気機械式作動ユニット、特に電動機の動作の熱効果と軽微な不正確さの補償との少なくとも一方を可能にするために、出力部に固定されて取り付けられていない。
【0014】
電気機械作動機構は、出力部によって支持され、出力部から離れて軸方向にそれを促す力が弁体に及ぼされるように弁体に作用する少なくとも1つの第2弾性要素、例えばバネを備えてよい。この付勢力は、上記の補償を行うのに役立つ。
【0015】
出力部と弁体とは、出力部と弁体の軸方向への相対移動を制限する結合ユニットによって結合されていてもよい。結合ユニットは、これらの部品の最大許容空間分離に達したとき、特に真空弁が開かれているときに、弁体が出力部と共に移動することを確実にするために設けられてもよい。
【0016】
第1及び第2弾性要素の両方を備える実施形態では、第1弾性要素は、所望の弁特性を得るために、第2弾性要素よりも高い弾性を有してもよい。
【0017】
一実施形態によれば、出力部は、案内装置によって回転可能に固定が保持される。案内装置は、軸方向に延在する案内スロット又は溝と協働する突起を備えてもよい。代替の案内の概念、例えば案内レール及び、又は出力部の外側(非回転対称)形状に基づく案内も採用され得る。
【0018】
一実施形態によれば、電動機と入力部は、少なくとも1つの減速駆動部を介して駆動可能に結合される。このような減速駆動部は、推力及びアクチュエータ線速度を最適化することを可能にする。これは、例えばギア、ベルト及び、又はプーリーホイールを備えてよい。しかしながら、モータの出力部材を機械変換ユニットの入力部に直接結合した直接駆動部を用いてもよい。
【0019】
一実施形態によれば、電気機械式作動ユニットは、出力部又は弁体を所望の軸位置にロックするための少なくとも1つのロック装置及び、又はロック機能を備える。ロック機能は、機械的変換ユニットによって、又は存在する場合は減速駆動部によって提供される場合がある。例えば、機械的変換ユニット及び、又は減速駆動部は、例えばその機械部品の特定の設計のために、自己ロック特性を持つ。しかしながら、包装、サイクル寿命及びエネルギー効率を改善するための設計代替案を得るために、複数のロック装置又は機能が提供されることも考えられる。ロック方法には、機械的、電気的、及び電気機械的な概念が含まれる。電動機は、ロック装置として使用され、次に電気ロック装置として機能することもある。電気クランプブレークは、電気機械式ロック装置の一例である。
【0020】
自己ロックの概念は、時間平均消費電力の削減や電動機の摩耗の低減、弁の変換ユニット、及び関連する制御ユニット(電子機器)など、多くの特定の利点に関連している。特に、電動機はスタンバイモードにすることも、電気機械式作動ユニットが自己ロック状態にある場合は完全にシャットダウンすることもできる。この場合、特定の保持ブレーク又はモータのアクティブ制御も廃止される。さらなる有利点はまた、弁が停電の間、例えば弁体の開位置、閉位置又は中間位置において現在の状態に維持されることである。
【0021】
一実施形態によれば、出力部と弁体の少なくとも一方の位置を検出するのに位置センサが提供される。そのようなセンサは、前記センサによって提供されるデータが電動機を制御するために使用され得るように閉ループ制御を提供することを可能にする。センサは、エンコーダ、及び光学センサ、ホール効果に基づくセンサ、又は他の任意の適切なセンサであり得る。
【0022】
出力部と弁体の少なくとも一方の位置に関する情報により、電動機をそれに応じて制御することにより、電気機械式作動ユニットのダイナミクスを決定し、必要に応じて適応できる。また、弁体を所望の中間位置に配置して、真空システム内のガス流量ダイナミクスを制御し、圧力時間プロファイル、圧力スパイク、ガス速度、流れ誘起破片の生成と移動、ポンプ入口圧力に影響を与え、抑制、強化することも容易に可能である。
【0023】
また、モータの開ループ制御の提供も可能である。例えば、作動ユニットは、ステップカウンタを備えるステッピングモータを備える。カウンタによって提供されるデータは、出力部の実際の位置又は状態の指標である。
【0024】
本発明の第2態様によれば、中真空、高真空又は超高真空システム用の真空弁が提供され、中真空システム、高真空システム、又は超高真空システム用の真空弁であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置と閉位置との間で直線方向に移動可能であり、ここで前記弁体は、前記真空筐体の通路を閉じるために閉位置の前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させる作動ユニットと、
前記第1開口部に垂直な断面において、非円形の形状を持つことと、中空であることと、PTFE材料又は塗布部を有することと、フルオロエラストマー材料又は塗布部を有することとの中の少なくともいずれか一つを備えるシール部材と
を備える。このシール部材を保有する中空材料と、塗布された材料と、フルオロエラストマー材料との少なくともいずれかは、円形を持っていてよい。
【0025】
比較的低い力での圧縮と、比較的低い力が作用しているときに適切なシール特性の提供との少なくとも一方を行うこのようなシール部材(「低力シール」)の使用は、弁を作動させるのに必要なエネルギーを削減するのに役立つ。本発明の第2態様による概念を、本発明の第1態様による真空弁と組み合わせ可能であり、逆もまた同様である。
【0026】
一実施形態によれば、第1及び第2シール部材が設けられ、ここで、第1シール部材は弁体に固定され、第2シール部材はハウジングに固定される。第1及び第2シール部材は、弁を閉じる時に接触するように配置されていてもよい。本実施形態では、弁体が閉位置に移動すると、両シール部材が互いに圧縮する。シール間の圧縮は、ほとんどの場合、所定の圧縮力で、シールから金属への圧縮よりも信頼性の高いシールを提供する。あるいは換言すると、弁の適切なシーリングを得るのに必要な力は、比較的低い。
【0027】
第1及び第2シール部材は、加硫により対応する部品に固定されていてもよい。シール部材は、PTFE及び、又はフルオロエラストマー材料であってもよく、そして弁体及び、又は座上の塗布部であってもよい。
【0028】
本発明の第1態様と第2態様との少なくとも一方に係る真空弁は、電動機に電気エネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵ユニットを備える作動ユニットを備え得る。本発明による概念がエネルギー消費を低減した弁につながるように、適切なエネルギー貯蔵ユニット(例えば電池パック)は、電力網に接続する必要なしに電動機をかなりの時間、作動可能にする。モータの制御と弁の状態の監視との少なくとも一方用に提供された制御ユニットに有線接続がない場合(例えば、ワイヤレスデータ接続が想定される場合がある)、弁の動作は完全にコードレスである可能性がある。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、真空弁の操作方法、特に上述した実施形態に従って、提供され、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させるための電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、前記弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットと
を備える前記真空弁の操作方法において、
前記電動機が、前記弁体と前記座との接触前と接触中の少なくとも一方で前記弁体の速度が低下するように、前記弁体の閉位置への移動の間、操作される。
【0030】
特に、シール部材が弁体上に設けられている場合、シール部材が座に接触する前に速度が低下する。シール部材が座に設けられている場合、弁体がシール部材に接触する前に速度が低下してよい。座と弁体の両方にシール部材が設けられている場合、シール部材が互いに衝突する前に弁体の速度が低下する可能性がある。
【0031】
たとえていうならば、弁体の速度の低下は、相補的な座への弁体の「軟着陸」を提供する。弁体の接近が遅くなると、シール部材にかかる応力が軽減され、摩耗の誘発も軽減される。さらに、適切な速度プロファイルを選択すると、弁の閉鎖中の振動の発生が最小限に抑えられる。これにより、真空システムに導入する際に深刻な問題を引き起こす可能性のある弁内の微細な破片粒子の発生や輸送も減少する。
【0032】
本方法の一実施形態によれば、電動機は、開位置から閉位置への弁体の動きが、閉位置から開位置への弁体の動きよりも長くかかるように動作される。特に、電動機は、弁体の閉位置への移動中のシール部材の圧縮が、弁体の閉位置外への移動中のシール部材の減圧よりも長くかかるように作動する。
【0033】
弁を開くと、シール部材や座、弁体に振動が発生したり、応力が発生したりする問題は、それほど顕著ではない。したがって、閉じるよりも速く開けて、それによって弁の動的特性を証明できる。これは、シール部材の減圧に特に当てはまる。
【0034】
本方法の一実施形態によれば、電動機は、シール部材に作用する力が所定のしきい値を下回らないように、弁体の閉位置で作動する。この対策により、弁が確実に閉じられる。シール部材に作用する力は、力、ひずみ又は温度センサのうちの少なくとも1つによって提供されるデータに基づいて決定されてよい。特に、適切に配置された力又はひずみセンサによって提供されるデータは、シール部材に作用する力を直接決定するために使用され得る。例えば、弁ハウジング、座、作動ユニットと弁体の少なくとも一方の温度に基づいて力を推定することによって、力の間接的な決定も可能である。実施形態によれば、シール部材に作用する力は、電動機の動作変数に基づいて決定される。力のそのような間接的な決定は、測定されたモータカレント又は電圧データに基づいてもよい。例えば、電流は本質的にシール部材に作用する力に比例するので、特定の角度(例えば5°未満の角度)のモータの回転に必要な電流は、シール部材に作用する力の推定に使える。
【0035】
真空弁の状態を監視するために任意選択で提供できる他のセンサは、上述の力を決定又は推定するデータの供給源となっていてもよい。しきい値は、固定値であってもよいし、弁と真空システムの少なくとも一方の動作変数に基づいて決定されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、真空弁の第1実施形態を断面で示す。
図2図2は、第1実施形態の断面を斜視図で示す。
図3図3は、第1実施例を斜視図で示す。
図4図4は、真空弁の第2実施形態を模式的に示す。
図5図5は、第2実施形態の概略上面図を示す。
図6図6に真空弁の第3実施形態を模式的に示す。
図7図7は、第3実施形態の概略上面図を示す。
図8図8は、真空弁の設計を最適化するアプローチを可視化したフローチャートを示す。
図9図9は、真空弁を作動させる方法の第1実施形態を示す。
図10図10は、真空弁の操作方法の第2実施形態を示す。
図11図11は、低力シール部材の第1実施形態を示す。
図12図12は、非圧縮及び圧縮状況における低力シール部材の第2実施形態を示す。
図13図13は、結合ユニットの一実施形態を示す。
図14図14は、非圧縮状況における低力シール配置の第3の実施形態を示す。
図15図15は、真空弁の第4の実施形態を斜視図で示す。
図16図16は、図15の一部拡大を示す。
図17図17は、第4の実施例を断面で示す。
図18図18は、図17の一部拡大を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1図2及び図3は、筐体12を備えた真空弁10を示す。筐体12は、第1開口18及び第2開口20を持つ第1室16を画定する底部部材14を備える。両方の開口部18、20は、真空弁10を中、高又は超高真空システムへ統合可能にするフランジ区間22a、22bに接続されている。室16の上側は壁要素24で覆われていて、壁要素24は案内装置28の壁部26に当接している。壁部26は、カバー要素30とともに第2室32を形成している。換言すると、複数部に分かれている筐体12は、2つの室16、32を画定している。これらは以下に説明するように、開口部18のシール用の弁体(ポペット50)及びその作動に必要な主要部品をそれぞれ収容している。室16は、基本的に開口部18、20の間の通路として機能する。
【0038】
第2室32は、送りネジ38を持つ減速駆動部36を介して駆動接続された電動機34を収容する。減速駆動部36は、例えば平歯車、ウォーム歯車及び、又は遊星歯車を備えてよい。送りネジ38はナット40と協働して、電動機34が作動して送りネジ38を回転させると、ナット40の突起42が案内装置28の軸方向スロット44に係合してナット40の回転を防止するので、ナット40が軸方向(軸方向への移動AM)する。
【0039】
ナット40は、袖部46に固定接続されている。袖部46は、袖部46の内側肩部によって支持され、シール52を備えたポペット50に次に接触する先端要素48に作用する第1バネ要素47を備えている。シール52は、例えば従来のOリング又は上記及びさらに後述するような低力シールであってよい。
【0040】
第2バネ要素54は、壁要素24の開口部を通って第1室16に突出する案内装置28の軸方向突起56によって支持されている。第2バネ要素54は、ポペット50に作用し、開口部18に向かって下向きに促す。第2バネ要素54は、袖部46の下部を径方向に囲んでいて、その一方で第2バネ要素を第1室16の内部から隔てるベローズ58に囲まれている。
【0041】
弁10を閉じると、電動機34が起動して送りネジ38を駆動する。送りネジ38の回転は、ナット40の下方への軸方向の動きを引き起こし、それによって袖部46を下方に押し出す。この動きは、袖部46に固定接続されていないポペット50上の第1バネ要素47及び先端要素48を介して伝達される。この動きは、予め圧縮されている第2バネ要素54によって支持されている。したがって、バネ要素54によって提供される力は、送りネジ38の回転を部品40、46、47、48及び50の軸方向の並進に変換する送りネジ機構38、40によってポペット50に加えられる推力に平行に作用する。したがって、第2バネ要素54は、前記軸方向の並進を作成するのに必要なトルクを低減し、電動機34のエネルギー消費が低減される。さらなる利点は、特に減速駆動部36が適切に選択される場合、電動機34を比較的小さなサイズにできることである。
【0042】
シール52が開口部18を取り囲む座60に接すると、その圧縮が始まり、開口部18をシールする工程が開始される。所与の時点でシール52の圧縮は停滞し、ポペット50は軸方向での移動を停止する。ポペット50は今、閉位置になっている。ポペット50と袖部46との間には隙間が設けられているので、電動機34が短時間作動しても問題はない。これは、その隙間の減少及び第1バネ要素47のさらなる圧縮を引き起こすだけである。
【0043】
電動機34(例えばステッピングモータ)の開ループ制御が提供される場合、モータ制御における小さな不正確さは、その隙間によって補償できる。もちろん、電動機34の閉ループ制御を提供できるように、部品40、46、47及び50のいずれかの位置を監視する位置センサが提供されてもよい。
【0044】
送りネジ機構38、40及び、又は減速駆動部36が自己ロック設計を持つ場合、ポペット50を閉位置に保持するためのエネルギーは必要とされない。バネ要素47、54は、座60に対してポペット50を押す。この状況では、上記の隙間は、弁10の部品の熱膨張差及び、又は応力緩和も補償する。
【0045】
弁10を開くために、送りネジ38は、電動機34の適切な制御によって反対方向に回転され、それによってナット40に固定された袖部46が上方に移動するように誘発される。当初、ポペット50はまだバネ要素47、54によって下向きに押されている。しかしながら、袖部46の後退に伴い、袖部46とポペット50との間の隙間が拡大され、ポペット50に作用する第1バネ要素47によって提供される力が減少する。以下に詳述される結合機構は、最大隙間が達成されたときにポペット50を袖部46に結合する。それから、ポペット50は、バネ要素54によって加えられる力に逆らって袖部46と共に上方に移動する。「全開」状態を定義する終了位置に達するまで移動できる。しかしながら、閉位置と全開位置との間の任意の所望の中間位置は、ポペット50によって想定され得る。
【0046】
図4は、真空弁10の第2実施形態を模式的に示す。電動機34は、送りネジ38でベルト62及びプーリ64、66を介して順に結合される減速駆動部36と同軸に配置される。送りネジ38は、シール52を持つポペット50を搬送するロッド68と固定接続されたナット40と協働する。軸方向の案内は、ナット40の案内開口部72を通して突出する案内要素70によって本実施形態で提供される。たとえでいうと、案内要素70は案内レールとして機能する。室16に関する詳細は、わかりやすくするために省略している。
【0047】
この構成では、ポペットのストロークSは、弁10の動作中のナット40の軸方向移動AMと平行である。ただし、両ストロークSも軸方向移動AMも軸方向への移動である。
【0048】
図5は、プーリ64(及び電動機34)の回転軸RA1、プーリ66及び送りネジ38の回転軸RA2、及びロッド68の軸方向突起が、カバー30の対角線D上に本質的に配置されていることを上面図で示している。この配置はシンプルでコンパクトである。
【0049】
代替のコンパクトな配置を図6及び7に示す。送りネジ38は、軸受76を備える軸受支持74によって保持されている。これは、減速駆動部36に接続された電動機34によって駆動され、減速駆動部36は、送りネジ38に固定された入力ギア80と噛み合う出力ギア78を駆動する。送りネジ38は、軸方向に移動可能であるが回転固定されているナット40と協働する。ナット40は、ロッド68によりポペット50に接続されている。本実施形態では、ストロークS、入力ギア80及び送りネジ38の軸方向移動AM及び回転軸RA2が同軸に配置されている。
【0050】
図8は、本発明による真空弁の設計を最適化し、それを市場の要件に適合させる方法の例示的なアプローチを視覚化するためのフローチャートを示す。重要な目標は、エネルギー効率の他に、最適化されたフローコンダクタンス、最適化された作動運動とダイナミクス、コンパクトなサイズ、弁閉止時の低衝撃速度、温度安定性、信頼性の高い自己ロック特性、再現性のあるデューティサイクルなどである。パッケージング、コスト、製造可能性などの非性能関連の問題も、弁の最適化中に考慮される場合がある。
【0051】
左端のフローは、入力A1として弁を通る所望のフローコンダクタンスを必要とする。例えば、ポペット又はシールの直径及びポペットストロークなどの適切な変数が選択され(A2)、実際のフローコンダクタンス(A3)につながる。それら変数は、A3を変更するのに編集可能である。
【0052】
右の次のフローは、所望のシール材の入力を要する(B1)。それから、シールのさらなる特性に関する変数、例えば、その直径、断面、弾性がステップB2で選択され、それがどのように保持されるかを記述する変数(例えば、シールが配置される溝の形状、相対熱膨張による応答に影響を与える)が選択される。この情報は、予想される実際の圧搾力と、発揮されるシールの実際の圧搾力との少なくとも一方に関するさらなる洞察につながる(B3)。この情報に応じて、上記の変数が編集されてもよい。これにより、第1バネ要素47の特性を最適にできる(B4)。
【0053】
右の次のフローは、入力として、例えばポペット50の直線運動及び推力のための所望の作動プロファイル、所望のトルク及び回転速度、並びに所望の自己ロック力を必要とする(C1)。関連する変数は、例えば、送りネジの直径及び、又は送りネジとナットの間の特徴的な摩擦である(C2)。これは、とりわけ、実際の直線運動と、関連する部品の駆動トルクと回転速度の推力応答につながる。実際の圧搾力と実際の自己ロック力についての洞察がさらに得られる(C3)。これにより、第2バネ要素54の特性を最適にできる(C4)。
【0054】
最も右端のフローには、ブラシ付きモータ(D2)、ステッピングモータ(D3)、インランナー(D4)、アウトランナー(D5)のような所望のモータタイプの制約(D1)がある。関連する変数は、例えば、モータトルクと、提供された回転速度と、デューティサイクルに関する変数やデューティサイクルの定義に関する変数である(D6)。これは、実際の「パワーイン」の実際に必要な値又は期待される値につながる(D7)。適切なモータの選択は、関連する変数に基づいて最適にできる。
【0055】
D8では、減速駆動又は同等のものが必要か、又は望ましいかを決定する必要がある。ここで関連する変数は、弁の作動に提供される実際のトルクと回転速度と、予想される実際の自己ロック力(D10)につながる減速比(D9)である。
【0056】
上記の最適化フローは例示的な性質のものにすぎないことを強調しておく必要がある。追加及び、又は修正された最適化アプローチが採用されてよい。最適化フローを実行する順序は自由に選択してよい。
【0057】
図9は、位置(P)対時間(t)図における事前に送られた本発明による真空弁の例示的なデューティサイクルを示す。時間t=0では、弁のポペット50は全開位置(位置P1)にある。電動機34を作動させると、ポペット50は加速され、座60に向かって比較的速く移動する。シール52が圧縮され始める前に既に、ポペット50の速度は積極的に低下する。これは、座60の接点シール52(シール接触SC、位置P2)の前に破線の移動曲線の傾きが小さくなっていることを反映している。シール52の圧縮中、ポペット50の速度は、閉位置(位置P3、時間t1)でゼロ0に達するまでさらに低下する。シール52は、SR(圧搾範囲)で示された量だけ圧縮されている。弁は、ポペット50と座60との間の金属間接触(MMC)が回避されるように適切に制御される。上記に概説したアプローチは、弁を閉止している間、ポペット50の「軟着陸」をもたらす。
【0058】
電気機械式作動ユニットの1つ又はそれより多い部品、例えば送りネジ機構38、40と、減速駆動部36との少なくとも一つが自己ロック特性を持つ場合、ポペット50の閉位置の保持は、電動機34への電気エネルギーの供給を必要としない。
【0059】
真空弁を開くことは時間t2(P4)から始まる。既に指摘したように、シール部材52と座60と弁体50との少なくとも一つに、振動を発生させ、及び、又は応力を引き起こす問題は、弁を開くときの方が閉弁時よりも著しく顕著ではない。したがって、ポペット50は急速に加速できる。その結果、シール52の減圧は、その圧縮よりもはるかに速く起こる。
【0060】
示した実施例では、シール52が座60との接触がなくなるとき(位置P5)にポペット50は既にその最大速度に達している。再び完全に開いた位置(t6のP3)に到達するまで、座60からさらに離れる。
【0061】
以上の説明から、本発明による弁のデューティサイクルは、開閉に関して非対称であり得ることが導かれる。上記の例では、弁を閉じる(0からt1へ)と、弁を開く(t2からt3へ)よりも時間がかかる。この概念は、本発明による真空弁の電気機械式作動ユニットによって容易に実施可能であり、そのような作動ユニットは、弁体、ポペットの位置及びダイナミクスの非常に正確な制御を可能にする。また、用途ごとに適切な位置-時間プロファイルと推力プロファイルとの少なくとも一方の設計も可能である。
【0062】
図10は、弁の閉じた状態で発生する効果を力(F)対時間(t)の図で示している。水平破線は、適切なシールの確保にシール52に及ぼすべき最小スラスト力(Fmin)を示す。この値は、弁の正常又は適切な閉止後に得られる圧搾力F1を下回っている。弁の部品の熱膨張差は、推力又は圧搾力の低下につながる可能性がある(ΔTを参照)。この効果が検出された場合、例えば適切なセンサを用いて作動ユニットのポペット50又は他の部品の位置の監視によって、電動機34を作動させて、適切な応答(アクチュエータ応答ARを参照)によって前記効果を補償して、力を所望のシール圧搾範囲SR1に保てる。関与する機械部品の応力緩和は、シール52に及ぼされる力の低減を別の源にできる(StR参照)。
【0063】
真空弁のエネルギー消費量の削減は、作動ユニットの性質とは無関係に、いわゆる「低力シール」、すなわち比較的小さな力を加えることによって適切に圧縮できるシール、及び、又は既に低力でシール特性を持つシールを使用することによっても達成できる。
【0064】
PTFE材料又は塗布部を備えるシールと、フルオロエラストマー材料又は塗布部を備えるシールとの少なくとも一方は、そのような低力シールの例である。必要な特性は、シールの円形断面から離れて非円形の形状の選択によっても得られる。例えば、図12の左側に描かれているような菱形のシール52(溝82に配置され、圧縮されていない)は、所与の力が加えられると(図12、右側)、同等の寸法の従来のOリングよりも高い程度に変形する。この効果は、シール52が少なくとも部分的に中空である場合に増強される(図11参照)。適切な中空シール又はより柔らかいコアを持つシールもまた、図11に示される菱形の幾何学的形状とは異なる形状を持ってよい。
【0065】
ポペット52と袖部46を結合する機構の例示的な1実施形態が図13に示されている。弁の開状態では、ポペット50は、バネ付勢された先端要素48によって袖部46から押し離され、その結果、それら部品間に隙間84が設けられている。この状態では、袖部46の指86の突起が、この位置に保持しているポペット50の溝88の上端に係合する。弁の閉状態では、ポペット50は、例えばモータ制御のわずかな不正確さ及び、又は漸進的なシール圧縮及び、又は熱効果から生じる効果を補償するために袖部46に向かって移動される(図13に示される状況)。
【0066】
弁を開いている間、袖部46は上方向に移動するが、ポペット50はバネ要素47、54によって座60に押し付けられたままである。指86の突起が溝86の上端に係合する場合にのみ、ポペット50が座60から能動的に持ち上げられる。
【0067】
同等又は同等のタイプの結合を提供できる多数の代替機構の存在は容易に考えられるはずである。
【0068】
図14は、低力シールのさらなる実施形態を示す。これは、非圧縮状況において、それぞれポペット50及び座60上に配置されたシール52a、52bを備える。弁を閉じている間、シール52a、52bは互いに接触している状態にされて、徐々に圧縮されている。既に上で述べたように、そのような弁の適切な密閉を得るのに、従来の配置で必要な力より低力でよい。
【0069】
図15から図18は、軸方向に固定されたナット40aと協働する軸方向に可動な送りネジ38aを持つ小型真空弁10を示している。ナット40aは、軸壁90a、90bの間に配置された電動機34aによって回転駆動される。
【0070】
電動機34aの起動により、ナット40aが回転する。これは次に、軸壁90aに固定され、送りネジ38aの軸方向溝44aに係合する突起42aによって回転が妨げられる送りネジ38aの軸方向の動きをもたらす。機能的に等価な機構が考えられる。
【0071】
弁10は、上述した実施形態の弁と同様に操作できる。さらに、1つの実施形態に関連して説明した個々の特徴は、必要に応じて他の実施形態において実施され得ることに留意されたい。これは、図1及び図2に示す実施形態に関連して説明されるバネ要素47、54によって提供される機能性について特に当てはまる。
【符号の説明】
【0072】
10 真空弁
12 筐体
14 底部
16 第1室
18 第1開口部
20 第2開口部
22a、22b フランジ区間
24 壁要素
26 壁部分
28 案内装置
32 第2室
36 減速駆動部
38、38a 送りネジ
40、40a ナット
42、42a 突出部
44、44a 軸方向のスロット又は溝
46 袖部
47 第1バネ要素
48 先端要素
50 ポペット
52、52a、52b 封止部
54 第2バネ要素
56 軸方向突出部
58 ベローズ
60 座
62 ベルト
64、66 プーリ
68 棒部
70 案内要素
72 案内開口部
74 軸受支持
76 軸受
78 出力ギア
80 入力ギア
82 溝
84 隙間
86 指
88 溝
90a、90b 軸壁
AM 軸方向への移動
S ストローク
RA1, RA2 回転軸
D 対角線
P 位置
t 時間
SC シール接触
SR、SR1 圧搾範囲
MMC 金属間接触
StR 応力緩和
F 力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中真空、高真空、超高真空システム用の真空弁であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させるための電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットとを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットと
を備える、真空弁。
【請求項2】
機械的変換ユニットは、ナット要素と協働する送りネジを備える、請求項1に記載の真空弁。
【請求項3】
前記出力部は、前記ナット要素を備える、請求項2に記載の真空弁。
【請求項4】
前記弁筐体によって支持され、弁体に力が加えられると前記弁体を軸方向で閉位置に促すように作用する少なくとも1つの第1弾性要素が提供されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空弁。
【請求項5】
前記弁体は、前記出力部に対して直線的な軸方向に移動可能である、請求項に記載の真空弁。
【請求項6】
前記電気機械式作動ユニットは、前記出力部によって支持され、前記出力部から離れて軸方向にそれを促す力が前記弁体に及ぼされるように前記弁体に作用する少なくとも1つの第2弾性要素を備える、請求項5に記載の真空弁。
【請求項7】
前記出力部と前記弁体とは、前記出力部と前記弁体の軸方向への相対移動を制限する結合ユニットによって結合されている、請求項5に記載の真空弁。
【請求項8】
前記電気機械式作動ユニットは、前記出力部によって支持され、前記出力部から離れて軸方向にそれを促す力が前記弁体に及ぼされるように前記弁体に作用する少なくとも1つの第2弾性要素を備え、第1弾性要素は、第2弾性要素よりも高い弾性を持つ、請求項1を引用する請求項4に記載の真空弁。
【請求項9】
前記出力部は、案内装置によって回転するように固定されている、請求項に記載の真空弁。
【請求項10】
前記案内装置は、軸方向に延在する、案内スロット又は溝と協働する突起を備える、請求項9に記載の真空弁。
【請求項11】
前記電動機と前記入力部は、少なくとも1つの減速駆動部を介して駆動上結合される、請求項に記載の真空弁。
【請求項12】
電気機械式作動ユニットは、前記出力部又は前記弁体を所望の軸方向位置にロックするように、ロック装置とロック機能との少なくとも一方を少なくとも1つ備える、請求項に記載の真空弁。
【請求項13】
前記機械的変換ユニットは自己ロック特性を持つ、請求項12に記載の真空弁。
【請求項14】
前記出力部と前記弁体との少なくとも一方の位置を検出するために位置センサが設けられている、請求項に記載の真空弁。
【請求項15】
中真空システム、高真空システム、又は超高真空システム用の真空弁であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置と閉位置との間で直線方向に移動可能であり、ここで前記弁体は、前記真空筐体の通路を閉じるために閉位置の前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させる作動ユニットと、
前記第1開口部に垂直な断面において、非円形の形状を持つことと、中空であることと、PTFE材料又は塗布部を有することと、フルオロエラストマー材料又は塗布部を有することとの中の少なくともいずれか一つを備えるシール部材と
を備える、前記真空弁。
【請求項16】
前記作動ユニットは、前記電動機に電気エネルギーを供給するエネルギー貯蔵ユニットを備える、請求項1又は15に記載の真空弁。
【請求項17】
真空弁の操作方法であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させるための電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、前記弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットと
を備える前記真空弁の操作方法において、
前記電動機が、前記弁体と前記座との接触前と接触中の少なくとも一方で前記弁体の速度が低下するように、前記弁体の閉位置への移動の間、操作される、真空弁を操作する方法。
【請求項18】
前記電動機は、開位置から閉位置への弁体の動きが、閉位置から開位置への弁体の動きよりも時間が長くかかるように操作される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電動機は、前記弁体が閉位置に移動する際のシール部材の圧縮が、前記弁体が閉位置から移動している間のシール部材の減圧よりも時間がかかるように操作される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記電動機は、前記シール部材に作用する力が所定のしきい値を下回らないように、前記弁体の閉位置で操作される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記シール部材に作用する力は、力、ひずみ又は温度センサのうちの少なくとも1つによって提供されるデータに基づいて決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シール部材に作用する力は、前記電動機の操作変数に基づいて決定される、請求項21に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
弁10は、上述した実施形態の弁と同様に操作できる。さらに、1つの実施形態に関連して説明した個々の特徴は、必要に応じて他の実施形態において実施され得ることに留意されたい。これは、図1及び図2に示す実施形態に関連して説明されるバネ要素47、54によって提供される機能性について特に当てはまる。
次に、本発明による別の観点からの実施形態を列挙する。
(1)中真空、高真空、超高真空システム用の真空弁であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させるための電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットとを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットと
を備える、真空弁。
(2)
機械的変換ユニットは、ナット要素と協働する送りネジを備える、上記(1)に記載の真空弁。
(3)
前記出力部は、前記ナット要素を備える、上記(3)に記載の真空弁。
(4)
前記弁筐体によって支持され、弁体に力が加えられると前記弁体を軸方向で閉位置に促すように作用する少なくとも1つの第1弾性要素が提供されている、上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の真空弁。
(5)
前記弁体は、前記出力部に対して直線的な軸方向に移動可能である、上記(1)から(4)のいずれか一つに記載の真空弁。
(6)
前記電気機械式作動機構は、前記出力部によって支持され、前記出力部から離れて軸方向にそれを促す力が前記弁体に及ぼされるように前記弁体に作用する少なくとも1つの第2弾性要素を備える、上記(5)に記載の真空弁。
(7)
前記出力部と前記弁体とは、前記出力部と前記弁体の軸方向への相対移動を制限する結合ユニットによって結合されている、上記(5)に記載の真空弁。
(8)
第1弾性要素は、第2弾性要素よりも高い弾性を持つ、上記(4)及び(6)に記載の真空弁。
(9)
前記出力部は、案内装置によって回転可能に固定保持されている、上記(1)から(8)のいずれか一つに記載の真空弁。
(10)
前記案内装置は、軸方向に延在する、案内スロット又は溝と協働する突起を備える、上記(9)に記載の真空弁。
(11)
前記電動機と前記入力部は、少なくとも1つの減速駆動部を介して駆動上結合される、上記(1)から(10)のいずれか一つに記載の真空弁。
(12)
電気機械式作動ユニットは、前記出力部又は前記弁体を所望の軸方向位置にロックするように、ロック装置とロック機能との少なくとも一方を少なくとも1つ備える、上記(1)から(11)のいずれか一つに記載の真空弁。
(13)
前記機械的変換ユニットは自己ロック特性を持つ、上記(12)に記載の真空弁。
(14)
前記出力部と前記弁体との少なくとも一方の位置を検出するために位置センサが設けられている、上記(1)から(13)のいずれか一つに記載の真空弁。
(15)
中真空システム、高真空システム、又は超高真空システム用の真空弁であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置と閉位置との間で直線方向に移動可能であり、ここで前記弁体は、前記真空筐体の通路を閉じるために閉位置の前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させる作動ユニットと、
前記第1開口部に垂直な断面において、非円形の形状を持つことと、中空であることと、PTFE材料又は塗布部を有することと、フルオロエラストマー材料又は塗布部を有することとの中の少なくともいずれか一つを備えるシール部材と
を備える、前記真空弁。
(16)
前記作動ユニットは、前記電動機に電気エネルギーを供給するエネルギー貯蔵ユニットを備える、。請求項1から15のいずれか一項に記載の真空弁。
(17)
真空弁の操作方法であって、前記真空弁が、
弁筐体の第1開口と第2開口とを接続する通路を画定する弁筐体と、
前記通路に配置された弁体及び相補的な座であって、前記弁体及び相補的な座はシール部材を備え、前記弁体は開位置及び閉位置に沿って直線軸方向に移動可能であり、ここで、前記弁体は、第1開口部を気密に閉じるため、閉位置にある前記座と協働する、前記弁体及び相補的な座と、
前記弁体を作動させるための電気機械式作動ユニットであって、前記作動ユニットは、電動機と、前記電動機と駆動上接続される入力部と、前記弁体に駆動上接続される出力部とを備える機械変換ユニットを備え、ここで、前記機械変換ユニットは、電動機の回転出力を出力部の直線運動に変換して、前記弁体を軸方向に移動させる、前記電気機械式作動ユニットと
を備える前記真空弁の操作方法において、
前記電動機が、前記弁体と前記座との接触前と接触中の少なくとも一方で前記弁体の速度が低下するように、前記弁体の閉位置への移動の間、操作される、真空弁を操作する方法。
(18)
前記電動機は、開位置から閉位置への弁体の動きが、閉位置から開位置への弁体の動きよりも時間が長くかかるように操作される、上記(17)に記載の方法。
(19)
前記電動機は、前記弁体が閉位置に移動する際のシール部材の圧縮が、前記弁体が閉位置から移動している間のシール部材の減圧よりも時間がかかるように操作される、上記(17)又は(18)に記載の方法。
(20)
前記電動機は、前記シール部材に作用する力が所定のしきい値を下回らないように、前記弁体の閉位置で操作される、上記(17)から(19)のいずれか一つに記載の方法。
(21)
前記シール部材に作用する力は、力、ひずみ又は温度センサのうちの少なくとも1つによって提供されるデータに基づいて決定される、上記(20)に記載の方法。
(22)
前記シール部材に作用する力は、前記電動機の操作変数に基づいて決定される、上記の(21)に記載の方法。
【外国語明細書】