(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133135
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】浴室空調機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/65 20180101AFI20230914BHJP
F24F 3/044 20060101ALI20230914BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20230914BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20230914BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F3/044
F24F110:10
F24F110:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011875
(22)【出願日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2022035787
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】末廣 保
(72)【発明者】
【氏名】三田 英治
(72)【発明者】
【氏名】本田 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】清本 訓央
(72)【発明者】
【氏名】多田 健一郎
【テーマコード(参考)】
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BB02
3L053BB04
3L260AA01
3L260AA02
3L260AB05
3L260AB07
3L260BA23
3L260BA24
3L260CA12
3L260CA13
3L260CB62
3L260EA07
3L260FA02
3L260FB01
(57)【要約】
【課題】本発明は二室空調運転中において、使用者が浴室内の給湯設備を使用した際に、高温多湿の空気が居住空間へと吹き出されることを防止し、結露現象の発生や衣類乾燥の効率低下を抑制した浴室空調機を提供することを目的とする。
【解決手段】浴室10から本体ケース101に空気を吸い込むための第一吸込口103と、居住空間13から本体ケース101に空気を吸い込むための第二吸込口と、本体ケース101内に吸い込んだ空気を空調する冷凍サイクル102と、空調された空気を浴室10へ吹き出すための第一吹出口104と、空調された空気を居住空間13へ吹き出すための第二吹出口106と、第一吸込口103と第二吸込口105とを切り替えて本体ケース101内へ空気を吸い込む吸込口切替機構109と、第一吹出口104と第二吹出口106とを切り替えて本体ケース101内の空気を吹き出す吹出口切替機構110と、を備えた浴室空調機。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、
浴室から前記本体ケースに空気を吸い込むための第一吸込口と、
前記浴室とは異なる居住空間から前記本体ケースに空気を吸い込むための第二吸込口と、前記本体ケース内に吸い込んだ空気を空調する冷凍サイクルと、
前記空調された空気を前記浴室へ吹き出すための第一吹出口と、
前記空調された空気を前記居住空間へ吹き出すための第二吹出口と、
前記第一吸込口と前記第二吸込口とを切り替えて前記本体ケース内へ空気を吸い込む吸込口切替機構と、
前記第一吹出口と前記第二吹出口とを切り替えて前記本体ケース内の空気を吹き出す吹出口切替機構と、を備えた浴室空調機。
【請求項2】
前記吸込口切替機構と前記吹出口切替機構の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
空気の吸い込み先を前記第一吸込口とし、前記本体ケース内で空調された空気の吹き出し先を前記第一吹出口とする浴室空調モードと、
空気の吸い込み先を前記第二吸込口とし、前記本体ケース内で空調された空気の吹き出し先を前記第二吹出口とする居住空間空調モードと、
空気の吸い込み先を前記第一吸込口とし、前記本体ケース内で空調された空気の吹き出し先を前記第二吹出口とする二室空調モードと、を備えた、請求項1に記載の浴室空調機。
【請求項3】
前記冷凍サイクルは、冷媒の移動により空気を加熱または冷却する第一熱交換器と前記冷媒の移動により前記第一熱交換器に対応して空気を冷却または加熱する第二熱交換器とを備え、
前記浴室空調モードは、
前記第一吸込口から吸いこんだ空気を前記第一熱交換器により加熱して前記第一吹出口より吹き出す浴室暖房モードと、
前記第一吸込口から吸いこんだ空気を前記第一熱交換器により冷却して前記第一吹出口より吹き出す浴室冷房モードと、
前記第一吸込口から吸いこんだ空気を前記第二熱交換器により冷却した後に、前記第一熱交換器により加熱して前記第一吹出口より吹き出す浴室再熱除湿モードと、を備えた、請求項2に記載の浴室空調機。
【請求項4】
前記冷凍サイクルは、冷媒の移動により空気を加熱または冷却する第一熱交換器と前記冷媒の移動により前記第一熱交換器に対応して空気を冷却または加熱する第二熱交換器とを備え、
前記居住空間空調モードは、
前記第二吸込口から吸いこんだ空気を前記第一熱交換器により加熱して前記第二吹出口より吹き出す居住空間暖房モードと、
前記第二吸込口から吸いこんだ空気を前記第一熱交換器により冷却して前記第二吹出口より吹き出す居住空間冷房モードと、
前記第二吸込口から吸いこんだ空気を前記第二熱交換器により冷却した後に、前記第一熱交換器により加熱して前記第二吹出口より吹き出す居住空間再熱除湿モードと、を備えた、請求項2に記載の浴室空調機。
【請求項5】
前記冷凍サイクルは、冷媒の移動により空気を加熱または冷却する第一熱交換器と前記冷媒の移動により前記第一熱交換器に対応して空気を冷却または加熱する第二熱交換器とを備え、
前記二室空調モードは、
前記第一吸込口から吸いこんだ空気を前記第一熱交換器により加熱して前記第二吹出口より吹き出す二室暖房モードと、
前記第一吸込口から吸いこんだ空気を前記第一熱交換器により冷却して前記第二吹出口より吹き出す二室冷房モードと、
前記第一吸込口から吸いこんだ空気を前記第二熱交換器により冷却した後に、前記第一熱交換器により加熱して前記第二吹出口より吹き出す二室再熱除湿モードと、を備えた、請求項2に記載の浴室空調機。
【請求項6】
前記本体ケースに吸い込んだ空気の温度を検知する温度検知部を備え、
前記制御部は、前記二室空調モードの実施時において前記温度検知部が所定温度以上を検知した際、前記二室空調モードから前記居住空間空調モードへと切り替える、請求項2から5のいずれかに記載の浴室空調機。
【請求項7】
前記本体ケースに吸い込んだ空気の湿度を検知する湿度検知部を備え、
前記制御部は、前記二室空調モードの実施時において前記湿度検知部が所定湿度以上を検知した際、前記二室空調モードから前記居住空間空調モードへと切り替える、請求項2から5のいずれかに記載の浴室空調機。
【請求項8】
前記吸込口切替機構は、
略板形状の第一閉塞手段と、
前記第一閉塞手段を回動可能に支持する第一支持部と、を備えた、請求項1から7のいずれかに記載の浴室空調機。
【請求項9】
前記制御部は、前記第一閉塞手段を回動させることで、前記第一閉塞手段により前記第一吸込口と前記第二吸込口のいずれか一方を閉塞し、または前記第一吸込口と前記第二吸込口の開口率を変化させる、請求項8に記載の浴室空調機。
【請求項10】
前記吹出口切替機構は、
略板形状の第二閉塞手段と、
前記第二閉塞手段を回動可能に支持する第二支持部と、を備えた、請求項1から7のいずれかに記載の浴室空調機。
【請求項11】
前記制御部は、前記第二閉塞手段を回動させることで、前記第二閉塞手段により前記第一吹出口と前記第二吹出口のいずれか一方を閉塞、または前記第一吸込口と前記第二吸込口の開口率を変化させる、請求項10に記載の浴室空調機。
【請求項12】
前記居住空間は、脱衣室である、請求項1から11のいずれかに記載の浴室空調機。
【請求項13】
前記吸込口切替機構と前記吹出口切替機構の動作を制御する制御部を備え、
前記冷凍サイクルは、冷媒の移動により空気を加熱または冷却する第一熱交換器と前記冷媒の移動により前記第一熱交換器に対応して空気を冷却または加熱する第二熱交換器とを備え、
前記制御部は、
前記第二吸込口から吸いこんだ空気を前記第一熱交換器により加熱して前記第二吹出口より吹き出す居住空間暖房モードと、
前記第一吸込口および前記第二吸込口から吸いこんだ空気を前記第一熱交換器により加熱して前記第二吹出口より吹き出す混合モードと、を備えた、請求項1に記載の浴室空調機。
【請求項14】
前記浴室の温度を検知する第一温度検知部と、
前記浴室の湿度を検知する第一湿度検知部と、
前記居住空間の温度を検知する第二温度検知部と、
前記居住空間の湿度を検知する第二湿度検知部と、を備え、
前記第一温度検知部による検知温度をT1、前記第一湿度検知部による検知絶対湿度をH1、前記第二温度検知部による検知温度をT2、前記第二湿度検知部による検知絶対湿度をH2、とすると、
前記制御部は、
「T1>T2」且つ「H1>H2」の場合は前記混合モードとなるように制御し、
「T1≦T2」または「H1≦H2」の場合は前記居住空間暖房モードとなるように制御することを特徴とする請求項13に記載の浴室空調機。
【請求項15】
前記第二湿度検知部による検知相対湿度をH2’とすると、
前記制御部は、
「T1>T2」且つ「H1>H2」且つ「H2’<第一所定相対湿度」の場合は前記混合モードとなるように制御し、
「T1≦T2」または「H1≦H2」または「H2’≧第二所定相対湿度」の場合は前記居住空間暖房モードとなるように制御し、
「第一所定相対湿度<第二所定相対湿度」の関係を満たすことを特徴とする請求項14に記載の浴室空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内の空気に対して暖房等の空気調和(以後、空調と表現する)を行う浴室空調機が知られている。なお、空調とは、空気の温度や湿度、清浄度、気流などを調整することである。例えば、特許文献1には、暖房運転や除湿運転などにより浴室と脱衣室の空気を同時に空調することのできる空気調和機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の浴室空調機においては、浴室から空気を吸い込み、居住空間へと吹き出す二室空調運転がある。この二室空調運転中において、使用者がシャワーなどの浴室内の給湯設備を使用した場合には、シャワーやお湯はりなどで浴室に水蒸気が発生し浴室内の温湿度が高くなる。その高温多湿の空気を浴室空調機が吸込み、居住空間へと吹き出すことにより、居住空間の温湿度が上昇する。これによって、居住空間の壁面に水滴が生じたり、吹出口から居住空間への液だれが生じたりする等の結露現象が発生するという課題を有していた。また、居住空間での衣類乾燥を目的とした除湿運転中においては、居住空間の湿度が上昇することにより衣類乾燥の効率が低下するという課題も有していた。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、居住空間を快適にする浴室空調機を提供することを目的とする。特に、二室空調運転中において、使用者が浴室内の給湯設備を使用した際に、高温多湿の空気が居住空間へと吹き出されることを防止し、結露現象の発生や衣類乾燥の効率低下を抑制した浴室空調機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る浴室空調機は、本体ケースと、浴室から本体ケースに空気を吸い込むための第一吸込口と、浴室とは異なる居住空間から本体ケースに空気を吸い込むための第二吸込口と、本体ケース内に吸い込んだ空気を空調する冷凍サイクル102と、空調された空気を浴室へ吹き出すための第一吹出口と、空調された空気を居住空間へ吹き出すための第二吹出口と、第一吸込口と第二吸込口とを切り替えて本体ケース内へ空気を吸い込む吸込口切替機構と、第一吹出口と第二吹出口とを切り替えて本体ケース内の空気を吹き出す吹出口切替機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、居住空間を快適にする浴室空調機を提供できる。特に、二室空調運転中において、使用者が浴室内の給湯設備を使用した際に、高温多湿の空気が居住空間へと吹き出されることを抑制し、結露現象の発生や衣類乾燥の効率低下を抑制した浴室空調機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明に係る浴室空調機を建物内に設置する一例を概略的に示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る浴室空調機の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、浴室空調機の構成と浴室空調機の浴室暖房モードおよび浴室冷房モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【
図4】
図4は、浴室空調機の構成と浴室空調機の浴室再熱除湿モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【
図5】
図5は、浴室空調機の構成と浴室空調機の居住空間暖房モードおよび居住空間冷房モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【
図6】
図6は、浴室空調機の構成と浴室空調機の居住空間再熱除湿モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【
図7】
図7は、浴室空調機の構成と浴室空調機の二室暖房モードおよび二室冷房モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【
図8】
図8は、浴室空調機の構成と浴室空調機の二室再熱除湿モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【
図9】
図9は、温度検知部の検知した温度に応じて制御部が二室空調モードから居住空間空調モードへと切り替える制御フローを示す図である。
【
図10】
図10は、湿度検知部の検知した湿度に応じて制御部が二室空調モードから居住空間空調モードへと切り替える制御フローを示す図である。
【
図11】
図11は、浴室空調機の構成と浴室空調機の居住空間暖房モードを概略的に示す模式図である。
【
図12】
図12は、浴室空調機の構成と浴室空調機の混合モードを概略的に示す模式図である。
【
図13】
図13は、居住空間暖房モードと混合モードとの切り替え制御の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
また、第一、第二などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
(実施の形態1)
(浴室空調機100)
浴室空調機100の構成を説明する。
【0011】
図1は、浴室空調機100を建物内に設置する一例を概略的に示す模式図である。
【0012】
浴室空調機100は、建物の第一フロアF1と第二フロアF2との間の非居住空間である階間Sに配置される。
【0013】
第一フロアF1は、建物の一階部分に相当し、浴室10や居住空間13に区分けされる。第二フロアF2は、建物の居住空間13の二階部分に相当する。浴室空調機100は、浴室10の天井面に配置される。なお、本実施の形態において、居住空間13は浴室10に隣接する脱衣室であり、浴室10と居住空間13である脱衣室は空気の往来が可能なように一部で連通している。なお、本発明において浴室10は居住空間13および非居住空間のどちらにも属さず、所定の機能を提供する特定機能空間として区別されるものである。
【0014】
浴室10は、浴室吸込用開口11と、浴室吹出用開口12と、を備える。
【0015】
浴室吸込用開口11は、浴室10の空気を浴室空調機100へと吸い込ませるための開口であり、浴室10の天面の一部に設けられている。なお、浴室吸込用開口11は、浴室10の空気を浴室空調機100へと吸い込ませることが可能であればよく、浴室10の床面や壁面に設けてもよい。
【0016】
浴室吹出用開口12は、浴室空調機100で空調した空気を浴室10へ吹き出すための開口であり、浴室10の天面の一部に設けられている。なお、浴室吹出用開口12は、浴室空調機100で空調した空気を浴室10へ吹き出すことが可能であればよく、浴室10の床面や壁面に設けてもよい。
【0017】
居住空間13は、居住空間吸込用開口14と、居住空間吹出用開口15と、を備える。
【0018】
居住空間吸込用開口14は、居住空間13の空気を浴室空調機100へと吸い込ませるための開口であり、居住空間13の壁面の一部に設けられている。
【0019】
居住空間吹出用開口15は、浴室空調機100で空調した空気を居住空間13へ吹き出すための開口であり、居住空間13の壁面の一部に設けられている。
【0020】
図2は、本発明に係る浴室空調機の構成を示す図である。
【0021】
図2に示すように、浴室空調機100は、浴室10や居住空間13の空気の空調を行う。浴室空調機100は、本体ケース101と、冷凍サイクル102と、第一吸込口103と、第一吹出口104と、第二吸込口105と、第二吹出口106と、給気口107と、排気口108と、吸込口切替機構109と、吹出口切替機構110と、第一ダンパ111と、第二ダンパ112と、第三ダンパ113と、第四ダンパ114と、循環ファン115と、排気ファン116と、温度検知部117と、湿度検知部118と、制御部119と、を備える。
【0022】
本体ケース101は、略箱形状であり、浴室空調機100を構成する他の部材を格納する。
【0023】
冷凍サイクル102は、第一熱交換器120と、第二熱交換器121と、を備えており、本体ケース101内に吸い込んだ空気を空調する。
【0024】
第一熱交換器120は、本体ケース101内を通過する空気と第一熱交換器120を流れる冷媒との間で熱交換を行う。
【0025】
第二熱交換器121は、第一吸込口103、または給気口107から吸い込まれた空気と第二熱交換器121を流れる冷媒との間で熱交換を行う。第一熱交換器120および第二熱交換器121は、冷凍サイクル102を構成する部材のひとつである図示しない四方弁の動作制御により、凝縮器(コンデンサ)または蒸発器(エバポレータ)となる。なお、第一熱交換器120および第二熱交換器121は、同時に凝縮器および蒸発器になることはなく、いずれか一方が凝縮器であるとき、他方は蒸発器となる。四方弁は、冷凍サイクル102における冷媒の流れる方向を切替えるための部材である。
【0026】
なお、冷凍サイクル102は、第一熱交換器120、第二熱交換器121、四方弁に加えて、ほかにも圧縮機や膨張弁などの部材(図示せず)によって構成される。圧縮機は、
冷媒を圧縮するほか、冷媒の流れを生成するものである。膨張弁は、冷媒の密度を下げ、気体を膨張させるものである。
【0027】
第一吸込口103は、浴室吸込用開口11を介して浴室10から本体ケース101に空気を吸い込むための吸込口である。
【0028】
第一吹出口104は、本体ケース101内において空調された空気を浴室吹出用開口12を介して浴室10へ吹き出すための吹出口である。
【0029】
第二吸込口105は、居住空間吸込用開口14を介して居住空間13から本体ケース101に空気を吸い込むための吸込口である。第二吸込口105は、ダクトD1を介して、居住空間13の天井面に設けた居住空間吸込用開口14と連通する。
【0030】
ダクトD1は、第二吸込口105から吸い込む空気を居住空間13から搬送するための空気搬送路である。
【0031】
第二吹出口106は、本体ケース101内において空調された空気を居住空間吹出用開口15を介して居住空間13へ吹き出すための吹出口である。第二吹出口106は、ダクトD2を介して、居住空間13の天井面に設けた居住空間吹出用開口15と連通する。
【0032】
ダクトD2は、第二吹出口106から吹き出す空気を居住空間13へ搬送するための空気搬送路である。なお、ダクトD2および居住空間吹出用開口15は、浴室空調機100の構成に含まない。
【0033】
給気口107は、屋外(建物の外)の空気を浴室空調機100の内部へ吸い込むための吸込口である。給気口107は、ダクトD3を介して第一外壁口30と連通する。
【0034】
第一外壁口30は、建物の外壁に設けられ、給気口107に吸い込まれる空気をダクトD3を介して屋外から吸い込むための開口である。
【0035】
ダクトD3は、第一外壁口30から吸い込まれた空気を給気口107へ搬送するための空気搬送路である。なお、第一外壁口30およびダクトD3は、浴室空調機100の構成に含まない。
【0036】
排気口108は、給気口107から浴室空調機100の内部へ吸い込まれた空気を屋外へ吹き出すための吹出口である。排気口108は、ダクトD4を介して、建物の外壁に設けた第二外壁口40と連通する。
【0037】
第二外壁口40は、建物の外壁に設けられ、排気口108から吹き出した空気をダクトD4を介して屋外(建物の外)へ吹き出すための開口ある。
【0038】
ダクトD4は、排気口108から吹き出した空気を第二外壁口40へ搬送するための空気搬送路である。なお、第二外壁口40およびダクトD3は、浴室空調機100の構成に含まない。
【0039】
吸込口切替機構109は、第一吸込口103と第二吸込口105とを切り替えて本体ケース101内へ空気を吸い込ませるものであり、制御部119により動作が制御される。吸込口切替機構109は、略板形状の第一閉塞手段122と、第一閉塞手段122を回動可能に支持する第一支持部123と、を備える。制御部119は、第一閉塞手段122を回動させることで、第一閉塞手段122により第一吸込口103と第二吸込口105のい
ずれか一方を閉塞し、または第一吸込口103と第二吸込口105の開口率を変化させる。
【0040】
吹出口切替機構110は、第一吹出口104と第二吹出口106とを切り替えて本体ケース101内の空気を吹き出させるものであり、制御部119により動作が制御される。吹出口切替機構110は、略板形状の第二閉塞手段124と、第二閉塞手段124を回動可能に支持する第二支持部125と、を備える。制御部119は、第二閉塞手段124を回動させることで、第二閉塞手段124により第一吹出口104と第二吹出口106のいずれか一方を閉塞し、または第一吹出口104と第二吹出口106の開口率を変化させる。
【0041】
第一ダンパ111は、回動可能な板状部材であり、回動することで本体ケース101内の風路の一部を選択的に閉塞する。第一ダンパ111は、回動することで、第一吸込口103および第二吸込口105と、第一熱交換器120との間の風路を閉塞する。もしくは、第一ダンパ111は、回動することで、第一吸込口103および第二吸込口105と、第二熱交換器121との間の風路を閉塞する。
【0042】
第二ダンパ112は、回動可能な板状部材であり、回動することで本体ケース101内の風路の一部を選択的に閉塞する。第二ダンパ112は、回動することで、第一吸込口103および第二吸込口105と、第一熱交換器120との間の風路を閉塞する。もしくは、第二ダンパ112は、回動することで、第一熱交換器120と、第二熱交換器121との間の風路を閉塞する。
【0043】
第三ダンパ113は、回動可能な板状部材であり、回動することで本体ケース101内の風路の一部を開放または閉塞する。第三ダンパ113は、回動することで、給気口107と、第二熱交換器121との間の風路を開放または閉塞する。
【0044】
第四ダンパ114は、回動可能な板状部材であり、回動することで本体ケース101内の風路の一部を開放または閉塞する。第四ダンパ114は、回動することで、排気口108と、第二熱交換器121との間の風路を開放または閉塞する。
【0045】
循環ファン115は、第一吸込口103と第二吸込口105の少なくとも一方から本体ケース101内へ空気を吸い込み、吸い込んだ空気を第一吹出口104と第二吹出口106の少なくとも一方から本体ケース101外へ吹き出す気流を生成する。循環ファン115は、遠心送風機や軸流送風機など、公知の流体機械を採用可能である。
【0046】
排気ファン116は、給気口107から本体ケース101内へ空気を吸込み、吸い込んだ空気を排気口108から本体ケース101外へ吹き出す気流を生成する。
【0047】
温度検知部117は、吸込口切替機構109近傍に設けられており、空気の温度を検知可能なセンサーである。温度検知部117は、第一吸込口103および第二吸込口105から本体ケース101内に吸い込まれ、冷凍サイクル102を通過する前の空気の温度を検知する。温度検知部117は、検知した温度の情報を含む信号を制御部119へ送信する。
【0048】
湿度検知部118は、吸込口切替機構109近傍に設けられており、空気の湿度を測定検知可能なセンサーである。湿度検知部118は、第一吸込口103および第二吸込口105から本体ケース101内に吸い込まれ、冷凍サイクル102を通過する前の空気の湿度を検知する。湿度検知部118は、検知した湿度の情報を含む信号を制御部119へ送信する。
【0049】
制御部119は、浴室空調機100の各種運転種別に基づく動作制御を、図示しない操作パネルからの指示、および温度検知部117から送信された情報により実行する。制御部119は、循環ファン115、排気ファン116、吸込口切替機構109、吹出口切替機構110、各種ダンパ、温度検知部117、冷凍サイクル102を構成する部材などと電気的に通信可能に接続し、浴室空調機100を統括的に制御する。また、制御部119は、浴室空調モード、居住空間空調モード、二室空調モードとを備えるが、詳細は後述する。操作パネルは、浴室空調機100の運転の各種指示を使用者が行うためのものであり、浴室10もしくは浴室10とは異なる空間の壁面に設けられている。
【0050】
各種運転種別(浴室空調モード、居住空間空調モード、二室空調モード)は、操作パネルからの指示、および温度検知部117から送信された情報に基づき、制御部119によって開始される。
【0051】
以上が、浴室空調機100の構成である。
【0052】
次に、
図2から
図7を参照して、浴室空調機100の各種運転種別(浴室空調モード、居住空間空調モード、二室空調モード)の詳細な動作について説明する。
【0053】
(浴室空調モード)
図3は、
図1の浴室空調機100の構成と浴室空調機100の浴室暖房モードおよび浴室冷房モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
図4は、
図1の浴室空調機100の構成と浴室空調機100の浴室再熱除湿モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【0054】
浴室空調モードにおいて、制御部119は、空気の吸い込み先を第一吸込口103とし、本体ケース101内で空調された空気の吹き出し先を第一吹出口104となるように、吸込口切替機構109および吹出口切替機構110を動作させる。つまり、浴室空調モードにおいては、浴室空調機100は浴室10の空気を本体ケース101内に吸い込み、冷凍サイクル102によって空調した空気を浴室10に吹き出すことで浴室10の空気を空調する。
【0055】
また、浴室空調モードは、第一吸込口103から吸いこんだ空気を第一熱交換器120により加熱して第一吹出口104より吹き出す浴室暖房モードと、第一吸込口103から吸いこんだ空気を第一熱交換器120により冷却して第一吹出口104より吹き出す浴室冷房モードと、第一吸込口103から吸いこんだ空気を第二熱交換器121により冷却した後に、第一熱交換器120により加熱して第一吹出口104より吹き出す浴室再熱除湿モードと、を備える。
【0056】
浴室暖房モードは、
図2に示すように、循環ファン115の動作により気流A1が生成され、排気ファン116の動作により気流B1が生成され、第一熱交換器120は凝縮器、第二熱交換器121は蒸発器となる様に、制御部119によって制御される。
【0057】
気流A1は、第一吸込口103と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、を順に通過して第一吹出口104へ至る空気の流れである。浴室暖房モードにおいて、気流A1は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A1の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A1の空気の温度に比べて高くなる。
【0058】
気流B1は、給気口107と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第四ダンパ114と、排気ファン116と、を順に通過して、排気口108へ至る空気の流れである。つまり、気流B1は、屋外から吸い込んだ空気を屋外へと排気する空気の流れである。気流B1は、気流A1と独立している。気流B1は、第二熱交換器121を通過する際に冷凍サイクル102の蒸発工程によって、冷媒に熱エネルギーを奪われる。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流B1の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流B1の空気の温度に比べて低くなる。
【0059】
浴室冷房モードは、
図2に示すように、循環ファン115の動作により気流A1が生成され、排気ファン116の動作により気流B1が生成され、第一熱交換器120は蒸発器、第二熱交換器121は凝縮器となる様に、制御部119によって制御される。
【0060】
気流A1は、第一吸込口103と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、を順に通過して第一吹出口104へ至る空気の流れである。浴室冷房モードにおいて、気流A1は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の蒸発工程によって、冷媒に熱エネルギーを奪われる。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A1の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A1の空気の温度に比べて低くなる。
【0061】
気流B1は、給気口107と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第四ダンパ114と、排気ファン116と、を順に通過して、排気口108へ至る空気の流れである。つまり、気流B1は、屋外から吸い込んだ空気を屋外へと排気する空気の流れである。気流B1は、気流B1と独立している。気流B1は、第二熱交換器121を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流B1の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流B1の空気の温度に比べて高くなる。
【0062】
浴室再熱除湿モードは、
図3に示すように、循環ファン115の動作により気流A2が生成され、第一熱交換器120は凝縮器、第二熱交換器121は蒸発器となる様に、制御部119によって制御される。
【0063】
気流A2は、第一吸込口103と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、を順に通過して、第一吹出口104へ至る空気の流れである。気流A2は、第二熱交換器121を通過する際に、蒸発工程によって、冷媒に熱を奪われる。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流A2の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流A2の空気の温度に比べて低くなる。空気の温度が低くなることで、露点温度も低くなり、気流A2に含まれる水分の凝縮が開始される。水分の凝縮が開始されると、結露が発生し、結露水が第二熱交換器121に付着する。第二熱交換器121に付着した結露水は、図示しないドレンパンなどに集められ、さらにそこから図示しない排水口を経由して浴室空調機100の外部へ排水される。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流A2の空気に含まれる水分量は、第二熱交換器121を通過する前の気流A2の空気に含まれる水分量に比べて小さくなる。よって、気流A2は、第二熱交換器121を通過することで除湿される。第二熱交換器121を通過した後の気流A2は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A2の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A2の空気の温度に比べて高くなる。よって、気流A2は、第二熱交換器121を通過することで除湿された後、第一熱交換器120を通過することで加熱(再熱)される。
【0064】
(居住空間空調モード)
図5は、
図1の浴室空調機100の構成と浴室空調機100の居住空間暖房モードおよび居住空間冷房モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
図6は、
図1の浴室空調機100の構成と浴室空調機100の居住空間再熱除湿モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【0065】
居住空間空調モードにおいて、制御部119は、空気の吸い込み先を第二吸込口105とし、本体ケース101内で空調された空気の吹き出し先を第二吹出口106となるように、吸込口切替機構109および吹出口切替機構110を動作させる。つまり、居住空間空調モードにおいては、浴室空調機100は居住空間13の空気を本体ケース101内に吸い込み、冷凍サイクル102によって空調した空気を居住空間13に吹き出すことで居住空間13の空気を空調する。
【0066】
また、居住空間空調モードは、第二吸込口105から吸いこんだ空気を第一熱交換器120により加熱して第二吹出口106より吹き出す居住空間暖房モードと、第二吸込口105から吸いこんだ空気を第一熱交換器120により冷却して第二吹出口106より吹き出す居住空間冷房モードと、第二吸込口105から吸いこんだ空気を第二熱交換器121により冷却した後に、第一熱交換器120により加熱して第二吹出口106より吹き出す居住空間再熱除湿モードと、を備える。
【0067】
居住空間暖房モードは、
図4に示すように、循環ファン115の動作により気流A3が生成され、排気ファン116の動作により気流B1が生成され、第一熱交換器120は凝縮器、第二熱交換器121は蒸発器となる様に、制御部119によって制御される。
【0068】
気流A3は、第二吸込口105と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、を順に通過して第二吹出口106へ至る空気の流れである。居住空間暖房モードにおいて、気流A3は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A3の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A3の空気の温度に比べて高くなる。
【0069】
気流B1は、給気口107と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第四ダンパ114と、排気ファン116と、を順に通過して、排気口108へ至る空気の流れである。つまり、気流B1は、屋外から吸い込んだ空気を屋外へと排気する空気の流れである。気流B1は、気流A1と独立している。気流B1は、第二熱交換器121を通過する際に冷凍サイクル102の蒸発工程によって、冷媒に熱エネルギーを奪われる。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流B1の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流B1の空気の温度に比べて低くなる。
【0070】
居住空間冷房モードは、
図4に示すように、循環ファン115の動作により気流A3が生成され、排気ファン116の動作により気流B1が生成され、第一熱交換器120は蒸発器、第二熱交換器121は凝縮器となる様に、制御部119によって制御される。
【0071】
気流A3は、第二吸込口105と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、順に通過して第二吹出口106へ至る空気の流れである。居住空間冷房モードにおいて、気流A3は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の蒸発工程によって、冷媒に熱エネルギーを奪われる。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A3の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A3の空気の温度に比べて低くなる。
【0072】
気流B1は、給気口107と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第四ダン
パ114と、排気ファン116と、を順に通過して、排気口108へ至る空気の流れである。つまり、気流B1は、屋外から吸い込んだ空気を屋外へと排気する空気の流れである。気流B1は、気流B1と独立している。気流B1は、第二熱交換器121を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流B1の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流B1の空気の温度に比べて高くなる。
【0073】
居住空間再熱除湿モードは、
図5に示すように、循環ファン115の動作により気流A4が生成され、第一熱交換器120は凝縮器、第二熱交換器121は蒸発器となる様に、制御部119によって制御される。
【0074】
気流A4は、第二吸込口105と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、を順に通過して、第一吹出口104へ至る空気の流れである。気流A4は、第二熱交換器121を通過する際に、蒸発工程によって、冷媒に熱を奪われる。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流A4の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流A4の空気の温度に比べて低くなる。空気の温度が低くなることで、露点温度も低くなり、気流A4に含まれる水分の凝縮が開始される。水分の凝縮が開始されると、結露が発生し、結露水が第二熱交換器121に付着する。第二熱交換器121に付着した結露水は、図示しないドレンパンなどに集められ、さらにそこから図示しない排水口を経由して浴室空調機100の外部へ排水される。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流A4の空気に含まれる水分量は、第二熱交換器121を通過する前の気流A4の空気に含まれる水分量に比べて小さくなる。よって、気流A4は、第二熱交換器121を通過することで除湿される。第二熱交換器121を通過した後の気流A4は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A4の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A4の空気の温度に比べて高くなる。よって、気流A4は、第二熱交換器121を通過することで除湿された後、第一熱交換器120を通過することで加熱(再熱)される。
【0075】
(二室空調モード)
図7は、
図1の浴室空調機100の構成と浴室空調機100の二室暖房モードおよび二室冷房モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
図8は、
図1の浴室空調機100の構成と浴室空調機100の二室再熱除湿モードにおける気流を概略的に示す模式図である。
【0076】
二室空調モードにおいて、制御部119は、空気の吸い込み先を第一吸込口103とし、本体ケース101内で空調された空気の吹き出し先を第二吹出口106となるように、吸込口切替機構109および吹出口切替機構110を動作させる。つまり、二室空調モードにおいては、浴室空調機100は浴室10の空気を本体ケース101内に吸い込み、冷凍サイクル102によって空調した空気を居住空間13に吹き出すことで、浴室10および居住空間13の空気を空調する。
【0077】
また、二室空調モードは、第一吸込口103から吸いこんだ空気を第一熱交換器120により加熱して第二吹出口106より吹き出す二室暖房モードと、第一吸込口103から吸いこんだ空気を第一熱交換器120により冷却して第二吹出口106より吹き出す二室冷房モードと、第一吸込口103から吸いこんだ空気を第二熱交換器121により冷却した後に、第一熱交換器120により加熱して第二吹出口106より吹き出す二室再熱除湿モードと、を備える。
【0078】
二室暖房モードは、
図6に示すように、循環ファン115の動作により気流A5が生成
され、排気ファン116の動作により気流B1が生成され、第一熱交換器120は凝縮器、第二熱交換器121は蒸発器となる様に制御される。
【0079】
気流A5は、第一吸込口103と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、を順に通過して第二吹出口106へ至る空気の流れである。二室暖房モードにおいて、気流A5は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A5の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A5の空気の温度に比べて高くなる。
【0080】
気流B1は、給気口107と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第四ダンパ114と、排気ファン116と、を順に通過して、排気口108へ至る空気の流れである。つまり、気流B1は、屋外から吸い込んだ空気を屋外へと排気する空気の流れである。気流B1は、気流A1と独立している。気流B1は、第二熱交換器121を通過する際に冷凍サイクル102の蒸発工程によって、冷媒に熱エネルギーを奪われる。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流B1の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流B1の空気の温度に比べて低くなる。
【0081】
二室冷房モードは、
図6に示すように、循環ファン115の動作により気流A5が生成され、排気ファン116の動作により気流B1が生成され、第一熱交換器120は蒸発器、第二熱交換器121は凝縮器となる様に、制御部119によって制御される。
【0082】
気流A5は、第一吸込口103と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、順に通過して第二吹出口106へ至る空気の流れである。居住空間冷房モードにおいて、気流A5は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の蒸発工程によって、冷媒に熱エネルギーを奪われる。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A5の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A5の空気の温度に比べて低くなる。
【0083】
気流B1は、給気口107と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第四ダンパ114と、排気ファン116と、を順に通過して、排気口108へ至る空気の流れである。つまり、気流B1は、屋外から吸い込んだ空気を屋外へと排気する空気の流れである。気流B1は、気流B1と独立している。気流B1は、第二熱交換器121を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流B1の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流B1の空気の温度に比べて高くなる。
【0084】
二室再熱除湿モードは、
図7に示すように、循環ファン115の動作により気流A6が生成され、第一熱交換器120は凝縮器、第二熱交換器121は蒸発器となる様に、制御部119によって制御される。
【0085】
気流A6は、第一吸込口103と、第三ダンパ113と、第二熱交換器121と、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、を順に通過して、第二吹出口106へ至る空気の流れである。気流A6は、第二熱交換器121を通過する際に、蒸発工程によって、冷媒に熱を奪われる。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流A6の空気の温度は、第二熱交換器121を通過する前の気流A6の空気の温度に比べて低くなる。空気の温度が低くなることで、露点温度も低くなり、気流A6に含まれる水分の凝縮が開始される。水分の凝縮が開始されると、結露が発生し、結露水が第二熱交換器121に付着する。第二熱交換器121に付着した結露水は、図示しないドレンパンなどに集められ、さらにそこから図示しない排水口を経由して浴室空調機100の外部へ排
水される。つまり、第二熱交換器121を通過した後の気流A6の空気に含まれる水分量は、第二熱交換器121を通過する前の気流A6の空気に含まれる水分量に比べて小さくなる。よって、気流A6は、第二熱交換器121を通過することで除湿される。第二熱交換器121を通過した後の気流A6は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A6の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A6の空気の温度に比べて高くなる。よって、気流A6は、第二熱交換器121を通過することで除湿された後、第一熱交換器120を通過することで加熱(再熱)される。
【0086】
(各運転モードの切り替え)
図9は、温度検知部117の検知した温度に応じて制御部119が二室空調モードから居住空間空調モードへと切り替える制御フローを示す図である。
図10は、湿度検知部118の検知した湿度に応じて制御部119が二室空調モードから居住空間空調モードへと切り替える制御フローを示す図である。
【0087】
図9に示すように、制御部119は、二室空調モードの実施時において温度検知部117が所定温度以上を検知した際、二室空調モードから居住空間空調モードへと切り替える。浴室10の使用者が浴室10へと入浴をする際、浴室10内のシャワーの使用やお湯はりによって、浴室10内の空気は入浴前に比べ高温となる。この時、本体ケース101内へと吸込まれる空気も同様に入浴前に比べ高温となる。制御部119は、温度検知部117が予め決められた閾値である所定温度以上、例えば38℃、を検知した際は、二室空調モードから居住空間空調モードへと切り替える。
【0088】
これによって、二室空調運転中において、使用者が浴室を使用した際に、高温多湿の空気を居住空間へ吹き出すことを防止し、結露現象の発生や衣類乾燥の効率低下を抑制する効果を得ることができる。
【0089】
また、
図10に示すように、制御部119は、二室空調モードの実施時において湿度検知部118が所定湿度以上を検知した際、二室空調モードから居住空間空調モードへと切り替える。浴室10の使用者が浴室10へと入浴をする際、浴室10内のシャワーの使用やお湯はりによって、浴室10内の空気は、入浴前に比べ高湿となる。この時、本体ケース101内へと吸込まれる空気も同様に、入浴前に比べ高湿となる。制御部119は、湿度検知部118が閾値である所定湿度以上、例えば70%、を検知した際は、二室空調モードから居住空間空調モードへと切り替える。
【0090】
これによって、二室空調運転中において、使用者が浴室を使用した際に、高温多湿の空気を居住空間へ吹き出すことを防止し、結露現象の発生や衣類乾燥の効率低下を抑制する効果を得ることができる。
(実施の形態2)
一般的にヒートポンプ式の空調機は、ヒーター式の空調機に比べ、暖房能力が低い。そのため、ヒートポンプ式の空調機は、対象空間を所定の温度にするために時間がかかったり、または、所定の温度に達しないことがある。これにより、使用者が不快感を得るという課題があった。その課題を解決するための手段を以下に説明する。
【0091】
第一温度検知部131は、浴室吸込用開口11近傍に設けられており、空気の温度を検知可能なセンサーである。第一温度検知部131は、浴室10の空気の温度を検知する。第一温度検知部131は、検知した温度の情報を含む信号を制御部119へ送信する。
【0092】
第一湿度検知部141は、浴室吸込用開口11近傍に設けられており、空気の湿度を測定検知可能なセンサーである。第一湿度検知部141は、浴室10の湿度を検知する。第
一湿度検知部141は、検知した湿度の情報を含む信号を制御部119へ送信する。
【0093】
第二温度検知部132は、第二吸込口105近傍に設けられており、空気の温度を検知可能なセンサーである。第二温度検知部132は、第二吸込口105に吸い込まれる前の空気の温度を検知する。第二温度検知部132は、検知した温度の情報を含む信号を制御部119へ送信する。
【0094】
第二湿度検知部142は、第二吸込口105近傍に設けられており、空気の湿度を測定検知可能なセンサーである。第二湿度検知部142は、第二吸込口105に吸い込まれる前の空気の湿度を検知する。第二湿度検知部142は、検知した湿度の情報を含む信号を制御部119へ送信する。
【0095】
各種運転種別(居住空間暖房モード、混合モード)は、操作パネルからの指示、および第一温度検知部131、第一湿度検知部141、第二温度検知部132、第二湿度検知部142から送信された情報に基づき、制御部119によって開始される。
【0096】
図11は居住空間暖房モード時の気流を概略的に示す模式図である。
図11に示すように循環ファン115の動作により気流A7が生成され、排気ファン116の動作により気流B1が生成され、第一熱交換器120は凝縮器、第二熱交換器121は蒸発器となる様に、制御部119によって制御される。
【0097】
気流A7は、第二温度検知部132と第二湿度検知部142、第二吸込口105、第二ダンパ112と、第一熱交換器120と、循環ファン115と、を順に通過して第二吹出口106へ至る空気の流れである。居住空間暖房モードにおいて、気流A7は、第一熱交換器120を通過する際に冷凍サイクル102の凝縮工程によって、冷媒から熱エネルギーを受け取る。つまり、第一熱交換器120を通過した後の気流A7の空気の温度は、第一熱交換器120を通過する前の気流A7の空気の温度に比べて高くなる。
【0098】
図12は混合モード時の気流を表す模式図である。混合モードとは、居室空間暖房モード時に所定の条件を満たすと居室空間暖房モードから切り替わるモードである。居室空間暖房モード時に所定の条件を満たすと、制御部119は、空気の吸い込み先を第二吸込口105および第一吸込口103となるように吸込口切替機構109を例えば30°動作させる。つまり、混合モードにおいて、浴室空調機100は居住空間13および浴室10の空気を本体ケース101内に吸い込み、冷凍サイクル102によって空調した空気を居住空間13に吹き出すことで居住空間13の空気を空調する。
【0099】
混合モードは、
図12に示すように、循環ファン115の動作により気流A7およびA8が生成され、排気ファン116の動作により気流B1が生成され、第一熱交換器120は凝縮器、第二熱交換器121は蒸発器となる様に、制御部119によって制御される。
【0100】
気流A8は、第一吸込口103と、第一温度検知部131と、第一湿度検知部141とを順に通過して気流A7へ合流する。つまり、居住空間13へ吹き出す空気の中に居住空間13から吸い込んだ空気と浴室10から吸い込んだ空気が混合する。
【0101】
(居住空間暖房モードと混合モードの切り替え)
図13は、第一温度検知部131と、第一湿度検知部141と、第二温度検知部132と、第二湿度検知部142の検知した温度および湿度に応じて制御部119が居住空間暖房モードと混合モードを切り替える制御フローを示す図である。第一温度検知部131による検知温度をT1、第一湿度検知部141による検知絶対湿度をH1、第二温度検知部132による検知温度をT2、第二湿度検知部142による検知絶対湿度をH2、第二湿
度検知部142による検知相対湿度をH2’とする。
【0102】
図13に示すように、制御部119は、居住空間暖房モードの実施時において、「T1>T2」且つ「H1>H2」且つ「H2’<第一所定相対湿度」の時、混合モードに切り替わるように制御する。
【0103】
また制御部119は混合モード時において、「T1≦T2」または「H1≦H2」または「H2’≧第二所定相対湿度」の時、居住空間暖房モードに切り替わるように制御する。
【0104】
第一所定相対湿度(例えば50%)と第二所定相対湿度(例えば60%)は「第一所定相対湿度<第二所定相対湿度」の関係を満たす。また第一所定相対湿度と第二所定相対湿度は、一般的に人が快適に感じる湿度である40%から60%の間で設定するのが好ましい。ここで相対湿度とはある温度の空気中に含むことができる最大限の水分量に対して、実際に含まれている水蒸気の割合である。絶対湿度とは単位体積あたりの空気に含まれる水蒸気の質量である。相対湿度および絶対湿度は一般的に定義されているものと同様のものである。
【0105】
作用効果を以下に説明する。居住空間暖房モード時に、居住空間13の温湿度よりも浴室10の温湿度が高いとき、例えば浴室10で使用者がシャワーなどの浴室内の給湯設備を使用した場合、混合モードに切り替わり、浴室10の高温多湿の空気を本体に吸込み、居住空間13へ吹き出す。これによって居住空間13の湿度が上がり、体感温度が高まることによって使用者の不快感を解消、低減する。また、混合モードが継続されると居住空間13の湿度が快適な湿度以上に上がり、結露現象の発生する可能性がある。そのような状態になる前に居室暖房モードへと切り替えることで、結露現象の発生を抑制する。
【0106】
なお、
図13において、「H2’<第一所定相対湿度」や「H2’≧第二所定相対湿度」などの条件はあった方が好ましいが、必須の条件ではなく、その条件がなくても動作することは可能である。
【0107】
また、混合モードにおいて、第一吸込口103は例えば30°開くものとしたが、30°とは限らず、5°~75°開く、或いはさらに好ましくは15°~45°開くものとしても良い。
【0108】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。各実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施の形態の」「実施の形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。特に、本実施の形態において、居住空間13は浴室10に隣接する脱衣室であるが、浴室10と空気の往来が可能な室内であればよく、その形態を限定するものではない。また、本実施の形態において、浴室空調機100は、温度検知部117および湿度検知部118を備えているが、いずれも使用者が浴室を使用したことを単独で検知可能であるため、必ずしも両者を備えている必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明に係る浴室空調機は、冷凍サイクル102を用いた浴室の空調を可能とするものであるので、浴室を用いた衣類の乾燥等を行うのに使用される浴室暖房乾燥機等として有用である。
【符号の説明】
【0110】
10 浴室
11 浴室吸込用開口
12 浴室吹出用開口
13 居住空間
14 居住空間吸込用開口
15 居住空間吹出用開口
30 第一外壁口
40 第二外壁口
100 浴室空調機
101 本体ケース
102 冷凍サイクル
103 第一吸込口
104 第一吹出口
105 第二吸込口
106 第二吹出口
107 給気口
108 排気口
109 吸込口切替機構
110 吹出口切替機構
111 第一ダンパ
112 第二ダンパ
113 第三ダンパ
114 第四ダンパ
115 循環ファン
116 排気ファン
117 温度検知部
118 湿度検知部
119 制御部
120 第一熱交換器
121 第二熱交換器
122 第一閉塞手段
123 第一支持部
124 第二閉塞手段
125 第二支持部
131 第一温度検知部
132 第二温度検知部
141 第一湿度検知部
142 第二湿度検知部
D1 ダクト
D2 ダクト
D3 ダクト
D4 ダクト
F1 第一フロア
F2 第二フロア
S 階間