IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新思考電機有限公司の特許一覧

特開2023-133184レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器
<>
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図1
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図2
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図3
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図4
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図5
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図6
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図7
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図8
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図9
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図10
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図11
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図12
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図13
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図14
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図15
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図16
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図17
  • 特開-レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133184
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20230914BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20230914BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230914BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B5/00 J
H04N23/50
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032027
(22)【出願日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202210225047.2
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】316006783
【氏名又は名称】新思考電機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一嘉
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE17
2H044BE18
2H044BE20
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA40
2K005CA45
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA41
5C122EA55
5C122FB03
5C122FB08
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA75
(57)【要約】
【課題】量産が容易なレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置5は、レンズ体6を保持するキャリア22と、キャリア22をレンズ体6の光軸の方向に移動可能に支持するフレーム24と、フレーム24を光軸と直交する方向に移動可能に支持するベース33と、キャリア22の位置を検出しキャリア22を光軸の方向に駆動する回路素子であるAFドライブIC61を搭載して電気接続するFPCであるAFドライブFPC60と、を備える。フレーム24は、折り曲げられた細長い板状体である第1金属部材T2~T5及び第2金属部材T1、T6が樹脂の中に組み込まれて形成されている。AFドライブFPC60は、フレーム24に取り付けられて第1金属部材T2~T5及び第2金属部材T1、T6に電気接続されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ体を保持するキャリアと、
前記キャリアを前記レンズ体の光軸の方向に移動可能に支持するフレームと、
前記フレームを前記光軸と直交する方向に移動可能に支持するベースと、
前記キャリアの位置を検出し前記キャリアを前記光軸の方向に駆動する回路素子を搭載して電気接続するFPCと、を備え、
前記フレームは、折り曲げられた細長い板状体である第1金属部材及び第2金属部材が樹脂の中に組み込まれて形成されており、
前記ベースは前記第1金属部材の露出している第1端部に電気接続され、前記キャリアは前記第2金属部材の露出している第1端部に電気接続され、
前記FPCは、前記フレームに取り付けられて前記第1金属部材及び前記第2金属部材の露出している各第2端部に電気接続されているレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記第2端部は、前記フレームの前記光軸と平行な1つの側面に露出し、前記FPCはこの側面に取り付けられている請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
各前記第1端部は、前記光軸方向の前側を向いた前記フレームの前側面に露出し、前記第1金属部材の前記第1端部は、前記ベースから延びるサスペンションワイヤに電気接続する第1前側スプリングに電気接続し、前記第2金属部材の前記第1端部は、前記キャリアに固定される第2前側スプリングに電気接続する請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記第1金属部材及び前記第2金属部材は、前記第2端部が前記板状体の板面を外側に向けて前記フレームの側面で前記光軸方向の後側から前側に延びるように設けられ、
前記第2端部の前側で前記板面が前側を向くように折れ曲がって水平部が構成され、
前記第1端部が前記水平部からクランク状に折れ曲がり、前記板面が前側を向いたまま前記水平部よりも前側に位置している請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記第1金属部材及び前記第2金属部材は、前記第2端部が前記板状体の板面を外側に向けて前記フレームの側面で前記光軸方向の後側から前側に延びるように設けられ、
前記第2端部の前側で前記板面が前側を向くように折れ曲がって水平部が構成され、
前記第1端部が前記水平部の延びる方向に対して直交する方向に折目が付くように前側に折れ曲がっている請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記第1金属部材及び前記第2金属部材は、前記第2端部が前記板状体の板面を外側に向けて前記フレームの側面で前記光軸方向の後側から前側に延びるように設けられ、
前記第2端部の前側で前記板面が外側を向いたまま前記光軸と直交する方向に曲がって水平部が構成され、
前記第1端部は、前記板面が外側を向いたまま前側に曲がっている請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記回路素子はホール素子を有し、前記キャリアには前記回路素子に対向する位置検出用磁石が設けられている請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
前記第1金属部材は4つあり、前記第2金属部材は2つある請求項7に記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
前記キャリアには駆動用コイルが設けられて前記第2金属部材の前記第1端部に電気接続され、前記フレームには駆動用磁石が前記駆動用コイルに対向して設けられている請求項7に記載のレンズ駆動装置。
【請求項10】
請求項1に記載のレンズ駆動装置を備えたカメラ装置。
【請求項11】
請求項10に記載のカメラ装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン等の電子機器に用いられるレンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
閉ループ制御のオートフォーカス機能と手振れ補正機能を備えたカメラ装置が知られている。この種のカメラ装置に関する文献として特許文献1がある。この種のカメラ装置では、レンズホルダの外周面に立体回路を形成し、この立体回路に位置センサのような回路素子を直接実装していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-37306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術は、回路素子実装用の専用の設備が大量に必要であり、量産性に問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、量産が容易なレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の好適な態様であるレンズ駆動装置は、レンズ体を保持するキャリアと、前記キャリアを前記レンズ体の光軸の方向に移動可能に支持するフレームと、前記フレームを前記光軸と直交する方向に移動可能に支持するベースと、前記キャリアの位置を検出し前記キャリアを前記光軸の方向に駆動する回路素子を搭載して電気接続するFPCと、を備え、前記フレームは、折り曲げられた細長い板状体である第1金属部材及び第2金属部材が樹脂の中に組み込まれて形成されており、前記ベースは前記第1金属部材の露出している第1端部に電気接続され、前記キャリアは前記第2金属部材の露出している第1端部に電気接続され、前記FPCは、前記フレームに取り付けられて前記第1金属部材及び前記第2金属部材の露出している各第2端部に電気接続されていることを特徴とする。
【0007】
この態様において、前記第2端部は、前記フレームの前記光軸と平行な1つの側面に露出し、前記FPCはこの側面に取り付けられていてもよい。
【0008】
また、各前記第1端部は、前記光軸方向の前側を向いた前記フレームの前側面に露出し、前記第1金属部材の前記第1端部は、前記ベースから延びるサスペンションワイヤに電気接続する第1前側スプリングに電気接続し、前記第2金属部材の前記第1端部は、前記キャリアに固定される第2前側スプリングに電気接続してもよい。
【0009】
また、前記第1金属部材及び前記第2金属部材は、前記第2端部が前記板状体の板面を外側に向けて前記フレームの側面で前記光軸方向の後側から前側に延びるように設けられ、前記第2端部の前側で前記板面が前側を向くように折れ曲がって水平部が構成され、前記第1端部が前記水平部からクランク状に折れ曲がり、前記板面が前側を向いたまま前記水平部よりも前側に位置していてもよい。
【0010】
この態様において、前記第1金属部材及び前記第2金属部材は、前記第2端部が前記板状体の板面を外側に向けて前記フレームの側面で前記光軸方向の後側から前側に延びるように設けられ、前記第2端部の前側で前記板面が前側を向くように折れ曲がって水平部が構成され、前記第1端部が前記水平部の延びる方向に対して直交する方向に折目が付くように前側に折れ曲がっていてもよい。
【0011】
また、前記第1金属部材及び前記第2金属部材は、前記第2端部が前記板状体の板面を外側に向けて前記フレームの側面で前記光軸方向の後側から前側に延びるように設けられ、
前記第2端部の前側で前記板面が外側を向いたまま前記光軸と直交する方向に曲がって水平部が構成され、前記第1端部は、前記板面が外側を向いたまま前側に曲がっていてもよい。
【0012】
また、前記回路素子はホール素子を有し、前記キャリアには前記回路素子に対向する位置検出用磁石が設けられていてもよい。
【0013】
また、前記第1金属部材は4つあり、前記第2金属部材は2つあってもよい。
【0014】
また、前記キャリアには駆動用コイルが設けられて前記第2金属部材の前記第1端部に電気接続され、前記フレームには駆動用磁石が前記駆動用コイルに対向して設けられていてもよい。
【0015】
本発明の別の好適な態様であるカメラ装置は、上記のレンズ駆動装置を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の別の好適な態様である電子機器は、上記のカメラ装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるレンズ駆動装置は、レンズ体を保持するキャリアと、前記キャリアを前記レンズ体の光軸の方向に移動可能に支持するフレームと、前記フレームを前記光軸と直交する方向に移動可能に支持するベースと、前記キャリアの位置を検出し前記キャリアを前記光軸の方向に駆動する回路素子を搭載して電気接続するFPCと、を備え、前記フレームは、折り曲げられた細長い板状体である第1金属部材及び第2金属部材が樹脂の中に組み込まれて形成されており、前記ベースは前記第1金属部材の露出している第1端部に電気接続され、前記キャリアは前記第2金属部材の露出している第1端部に電気接続され、前記FPCは、前記フレームに取り付けられて前記第1金属部材及び前記第2金属部材の露出している各第2端部に電気接続されている。よって、本発明によれば、フレームはインサート成形で形成することができ、回路素子を搭載したFPCがフレームに取り付けられて第1金属部材及び第2金属部材に電気接続される。回路素子実装用の専用の設備を必要としないので、自動化生産しやすく、量産が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態であるレンズ駆動装置5を含むカメラ装置3が搭載されたスマートフォン100の正面図である。
図2図1のレンズ駆動装置5の斜視図である。
図3図2のレンズ駆動装置5の分解斜視図である。
図4図3の上下を逆にした分解斜視図である。
図5図3のAF部20の分解斜視図である。
図6図5の上下を逆にした分解斜視図である。
図7図3図6の前側支持部21を+Z側から見た図である。
図8図2のレンズ駆動装置5のケース10を除いて+Z側から見た図である。
図9】フレーム24を+Z側から見た図である。
図10図9のフレーム24の斜視図である。
図11】(a)は内部の金属部材T1~T6を破線で表したフレーム24を+Z側から見た図、(b)は内部の金属部材T1~T6を破線で表したフレーム24を-Y側から見た図、(c)は金属部材T1~T6を-X側から見た図、(d)は金属部材T1~T6を+X側から見た図、(e)は金属部材T1~T6を+Z側から見た図、(f)は金属部材T1~T6を-Y側から見た図である。
図12図10のフレーム24を他の角度から見た斜視図である。
図13】AFドライブIC61を固定したAFドライブFPC60を+Y側から見た図である。
図14】AFドライブFPC60とフレーム24との接続状態を示す図である。
図15】本発明の第2実施形態におけるフレーム24aの斜視図である。
図16】(a)は、図15のフレーム24aの金属部材T1~T6を+Z側から見た図、(b)は金属部材T1~T6を-Y側から見た図である。
図17】本発明の第3実施形態におけるフレーム24bの斜視図である。
図18】(a)は、図17のフレーム24aの金属部材T1~T6を-X側から見た図、(b)は金属部材T1~T6を+X側から見た図、(c)は金属部材T1~T6を+Z側から見た図、(d)は金属部材T1~T6を-Y側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、本発明の第1実施形態であるレンズ駆動装置5を含むカメラ装置3は、スマートフォン9の筐体内に収容される。
【0020】
カメラ装置3は、レンズ体6と、レンズ体6を経由して入射する光を画像信号に変換する画像センサ7と、レンズ体6を駆動するレンズ駆動装置5とを有する。
【0021】
以下では、レンズ体6の光軸と平行なZ軸と、互いに直交し、かつ、Z軸と直交するX軸及びY軸とからなるXYZ直交座標系を想定し、レンズ駆動装置5の構成を説明する。また、レンズ体6から見て被写体の側を前側と称し、その反対側(画像センサ7側)を後側と称することがある。前側が+Z側、後側が-Z側に相当する。
【0022】
図3及び図4に示すように、レンズ駆動装置5は、ベース33とケース10とを組み合わせた筐体内に、前側支持部21、キャリア22、AFコイル23、フレーム24、駆動磁石52、後側支持部25、コイルプレート31、ベースFPC32、サスペンションワイヤ411~414等を収容し、図2に示すように略直方体形状をなしている。レンズ駆動装置5の中央にはZ方向に貫いて被写体からの入射光を通過させる貫通孔11が設けられている。
【0023】
レンズ駆動装置5の筐体内の部材は、AF(Auto Focus)部20と、OIS(Optical Image Stabilization)部30とに大別でき、この両者をサスペンションワイヤ411~414が繋いでいる。AF部20は、レンズ体6を保持するキャリア22をZ軸方向に駆動することにより、オートフォーカスを実現する。OIS部30は、AF部20をキャリア22とともにX軸方向及びY軸方向に駆動することにより、手振れ補正を実現する。
【0024】
AF部20は、前側支持部21と、キャリア22と、AFコイル23と、フレーム24と、駆動磁石52と、後側支持部25とを有する。フレーム24は、中空の略四角筒形状の部材であり、その内側の四隅に台形柱形状の4個の駆動磁石52を保持する。
【0025】
キャリア22は、図1のレンズ体6を保持するレンズ保持孔221を有する、略円環状の部材である。レンズ保持孔221は、貫通孔11を構成する1つである。AFコイル23は、キャリア22を囲うようにキャリア22の外側面の溝222に巻回されて固定される。キャリア22の外側面の凹部223には、AFセンサ磁石51が嵌め込まれて固定される。AFコイル23及びAFセンサ磁石51が固定されたキャリア22は、フレーム24内に収容される。このとき、AFコイル23は、駆動磁石52の各々と対向し、AFセンサ磁石51は、AFドライブIC61と対向する。
【0026】
図5に示すように、金属製の後側支持部25は、中央のリング状の内側部251と、内側部251の周囲の4つの外側部252と、内側部251と各外側部252とを接続する4つのばね部253とを有する。
【0027】
後側支持部25の内側部251は、キャリア22の-Z側の面を支持する。4つの外側部252は、フレーム24の-Z側の面の四隅に固定される。すなわち、後側支持部25は、キャリア22とフレーム24の間に介在しており、キャリア22をフレーム24に対して-Z側から弾性的に支持する。
【0028】
図7に示すように、金属製の前側支持部21は、4つの第1前側スプリング211~214及び2つの第2前側スプリング215~216により構成されている。第1前側スプリング211~214及び第2前側スプリング215~216は電気的に相互に絶縁されているが、いずれもフレーム24に固定される。前側支持部21は、Z方向から見たときにほぼ正方形の外形をしており、第1前側スプリング211~214は外側の各角部に位置し、第2前側スプリング215~216は内側に位置する。
【0029】
第1前側スプリング211、212、213、214は、それぞれ外側部2111、2121、2131、2141と、2つずつの第1ばね部2113、2123、2133、2143と、を有する。外側部2111、2121、2131、2141は、フレーム24の+Z側の面に固定される。外側部2111、2121、2131、2141にはそれぞれ接続部2112、2122、2132、2142が設けられ、後述する第1金属部材T2~T5に電気接続される。2つずつある第1ばね部2113、2123、2133、2143は、それぞれが直角二等辺三角形の等辺を構成するように外側部2111、2121、2131、2141から外側に向けて伸び出して、交わったところにワイヤ支持部2114、2124、2134、2144が形成されている。
【0030】
第2前側スプリング215、216は、2つずつある外側部2151、2161と、内側部2153、2163と、それぞれの外側部2151、2161を内側部2153、2163に接続する第2ばね部2154、2164と、を有する。各外側部2151、2161は、フレーム24の+Z側の面に固定される。各内側部2153、2163は、キャリア22の+Z側の面に固定される。一方の外側部2151、2161には接続部2152、2162が設けられ、後述する第2金属部材T1、T6に電気接続される。内側部2153、2163には接続部2155、2165が設けられ、それぞれAFコイル23に電気接続される。
【0031】
このように、第2前側スプリング215及び216は、フレーム24に固定され、キャリア22をフレーム24に対して+Z側から弾性的に支持する。
【0032】
図3及び図5に示すように、フレーム24の-Y側の外側面には、AFドライブFPC60が配置される。AFドライブFPC60の+Y側の面には、図6に示すように、AFドライブIC61が実装されている。AFドライブIC61は、後述するベースFPC32からの給電を受けて、キャリア22を光軸の方向に駆動する回路素子である。AFドライブIC61は、フレーム24に設けられた収容孔249に収容される。AFドライブIC61は、磁気位置センサ、例えばホール素子を有し、AFセンサ磁石51の磁界を検出することにより、キャリア22のZ軸方向の位置を検出する。そして、この検出位置に基づいて、AFコイル23への給電を行い、キャリア22を適正な位置に駆動するオートフォーカス制御を行う。フレーム24の内部構造と、ベースFPC32及びAFドライブIC61間の給電経路と、AFドライブIC61及びAFコイル23間の給電経路については、後述する。
【0033】
図3及び図4に示すように、OIS部30において、コイルプレート31と、ベースFPC32がベース33に重ねられて固定されており、それぞれの中央には貫通孔11の一部を構成する貫通孔が設けられている。コイルプレート31とベースFPC32とは電気的にも接続されている。コイルプレート31の四隅には、それぞれ孔311がある。また、コイルプレート31において、各孔311と中央の貫通孔との間の領域にはそれぞれOIS駆動コイル(図示略)が配置され、それぞれ駆動磁石52に対向している。
【0034】
ベースFPC32の後面には、図4に示す2つのOISドライブIC325が実装されている。OISドライブIC325は、それぞれ-X+Y側の駆動磁石52及び-X-Y側の駆動磁石52の後側に位置し、対向する駆動磁石52の磁界を検出することにより、AF部20のXY方向における位置を検出する。この検出位置に基づいて、OISドライブIC325は、OIS駆動コイルへの給電を行い、AF部20をXY方向に駆動し、キャリア22をAF部20とともにXY方向の適正な位置にする手振れ補正制御を実行する。ベースFPC32の-Y側の端部は、-Z側に折れ曲がったFPC入出力部323となっており、外部と電気接続されている。OISドライブIC325は、FPC入出力部323に接続されている。図3に示すように、ベースFPC32の四隅にはコイルプレート31の孔311と対応する各位置に孔321が設けられ、それぞれ一つの貫通孔を構成している。
【0035】
ベース33は、レンズ駆動装置5全体を支持する部材である。ベース33の四隅には切り欠きが設けられている。
【0036】
金属製の4本のサスペンションワイヤ411~414は、各々の一端が、ベースFPC32の孔321の後側から半田にて固定されてベース33の切り欠きに収容され、他端が、AF部20における前側支持部21のワイヤ支持部2114、2124、2134、2144に半田にて固定される。このように、レンズ駆動装置5において、AF部20は、前側支持部21及び4本のサスペンションワイヤ411~414を介すことにより、ベース33によって光軸と直交するXY方向に移動可能に支持される。また、前側支持部21の第1前側スプリング211~214は、サスペンションワイヤ411~414を介して、ベースFPC32に電気接続される。
【0037】
次に、本実施形態におけるフレーム24の内部構造、ベースFPC32-AFドライブIC61間の給電経路、及びAFドライブIC61-AFコイル23間の給電経路について説明する。まず、図5及び図8に示すように、キャリア22の+Z側の面の外端から+Z方向に2つの柱状部224が突出しており、ここにAFコイル23の端部が巻き付けられて端子225及び226が形成されている。端子225及び226は、第2前側スプリング215及び216の内側部2153及び2163に設けられた接続部2155及び2165に各々電気接続されている。
【0038】
図9及び図10に示すように、フレーム24には、AFドライブIC61と4本のサスペンションワイヤ411~414との間の配線の一部となる第1金属部材T2~T5と、AFドライブIC61とAFコイル23との間の配線の一部となる第2金属部材T1及びT6とがインサート成形されている。第1金属部材T2~T5並びに第2金属部材T1及びT6は、折り曲げられた板状体であり、樹脂の中に組み込まれて両端部が樹脂から露出している。第1金属部材T2~T5並びに第2金属部材T1及びT6は、単に金属部材T1~T6と称することがある。これらの金属部材T1~T6は、XY平面に沿って延びた水平部T1h~T6hを含む。フレーム24の+Z側にある前側を向いた前側面には、第1金属部材T2、T3、T4及びT5の第1端部T2a、T3a、T4a及びT5aと、第2金属部材T1及びT6の第1端部T1a及びT6aと、が露出している。また、-Y側にある-Y側を向いた側面には第1金属部材T2、T3、T4及びT5の第2端部T1b、T2b、T3b、T4b及びT5bと、第2金属部材T1及びT6の第2端部T1b及びT6bと、が露出している。第2金属部材T1b~T6bは-X側からこの順番で並んでいる。
【0039】
図8に示すように、接続部2155においてAFコイル23の端子225が電気接続された第2前側スプリング215は、接続部2152において第2金属部材T6の第1端部T6aに電気接続されている。また、接続部2165においてAFコイル23の端子226が電気接続された第2前側スプリング216は、接続部2162において第2金属部材T1の第1端部T1aに電気接続されている。
【0040】
また、図8において、ワイヤ支持部2114においてサスペンションワイヤ411に電気接続された第1前側スプリング211は、接続部2112において第1金属部材T2の第1端部T2aに電気接続されている。ワイヤ支持部2124においてサスペンションワイヤ412に電気接続された第1前側スプリング212は、接続部2122において第1金属部材T3の第1端部T3bに電気接続されている。ワイヤ支持部2134においてサスペンションワイヤ413に電気接続された第1前側スプリング213は、接続部2132において第1金属部材T4の第1端部T4bに電気接続されている。ワイヤ支持部2144においてサスペンションワイヤ414に電気接続された第1前側スプリング214は、第1金属部材T5の第1端部T5aに電気接続されている。ここで、電気接続は半田付けや溶接等で電気的に接続することをいう。
【0041】
図13に示すように、AFドライブFPC60の+Y側の面の中央には、AFドライブIC61が予め配置されている。AFドライブIC61の裏面には、AFドライブIC61が電力の給電、受給あるいは信号の授受を行うための6個のパッドがある。AFドライブFPC60において、AFドライブIC61の-X側には、6個のパッドのうちの3個に接続された電極A1~A3がX軸方向に並んで配置され、AFドライブIC61の+X側には、残りの3個のパッドに接続された電極A4~A6がX軸方向に並んで配置されている。
【0042】
図10及び図12に示すように、フレーム24の-Y側の側壁には、AFドライブIC61を収容するための収容孔249がある。AFドライブFPC60は、収容孔249にAFドライブIC61を収容させて、フレーム24の-Y側の側壁に-Y側から固定される。そして、図12及び図14に示すように、金属部材T1~T6の第2端部T1b~T6bは、AFドライブFPC60の対応する電極A1~A6に各々半田付け等により接続される。
【0043】
次に、フレーム24の内部構造、即ち、金属部材T1~T6の構成について説明する。図11に示すように、金属部材T1~T6は、第2端部T1b~T6bが板状体の板面を外側に向けてフレーム24の-Y側にある側面で光軸方向の後側から前側に延びるように設けられている。金属部材T1~T6は、第2端部T1b~T6bの前側でこの板面が前側を向くように折れ曲がって水平部T1h~T6hが構成される。水平部T1h~T6hは所定の位置まで延伸する。第1端部T1a~T6aは、所定の位置において、板面が前側を向いたまま水平部T1h~T6hよりも前側に位置するように、水平部T1h~T6hからクランク状に折れ曲がる。第2端部T1b~T6bの先端は完全に露出するが、それ以外は、AFドライブFPC60が固定される部分を除いて樹脂に覆われており、水平部T1h~T6hは完全に樹脂に覆われる。第1端部T1a~T6aは、前側を向いた面だけが露出して、その他の面は樹脂に覆われる。なお、本実施形態において、水平部T3hとT4hはその長さが0である。
【0044】
以上の構成により、本実施形態では、次の6つの電気配線が形成される。
第1の電気配線:ベースFPC32→サスペンションワイヤ411→第1前側スプリング211→第1金属部材T2→電極A2(AFドライブFPC60)→AFドライブIC61
第2の電気配線:ベースFPC32→サスペンションワイヤ412→第1前側スプリング212→第1金属部材T3→電極A3(AFドライブFPC60)→AFドライブIC61
第3の電気配線:ベースFPC32→サスペンションワイヤ413→第1前側スプリング213→第1金属部材T4→電極A4(AFドライブFPC60)→AFドライブIC61
第4の電気配線:ベースFPC32→サスペンションワイヤ414→第1前側スプリング214→第1金属部材T5→電極A5(AFドライブFPC60)→AFドライブIC61
第5の電気配線:AFドライブIC61→電極A1(AFドライブFPC60)→第2金属部材T1→第2前側スプリング216→端子226→AFコイル23
第6の電気配線:AFドライブIC61→電極A6(AFドライブFPC60)→第2金属部材T6→第2前側スプリング215→端子225→AFコイル23
【0045】
金属部材T1~T6は、インサート成形によってフレーム24と一体に形成されるので、安価に量産可能である。また、それによって、第1端部T1a~T6a及び第2端部T1b~T6bも良い位置精度で形成できる。また、AFドライブIC61は、平板状のAFドライブFPC60に固定、電気接続すればよいので、特別な設備を必要とすることなく安価に量産可能である。また、AFドライブFPC60のフレーム24への固定及び金属部材T1~T6への電気接続も特別な設備を必要とすることなく安価に量産可能である。よって、本実施形態のレンズ駆動装置5は、回路素子実装用の専用の設備を必要としないので、自動化生産しやすく、量産が容易である。
【0046】
以上が、本実施形態の詳細である。本実施形態によるレンズ駆動装置5は、レンズ体6を保持するキャリア22と、キャリア22をレンズ体6の光軸の方向に移動可能に支持するフレーム24と、フレーム24を光軸と直交する方向に移動可能に支持するベース33と、キャリア22の位置を検出しキャリア22を光軸の方向に駆動する回路素子であるAFドライブIC61を搭載して電気接続するFPCであるAFドライブFPC60と、を備える。フレーム24は、折り曲げられた細長い板状体である第1金属部材T2~T5及び第2金属部材T1、T6が樹脂の中に組み込まれて形成されている。ベース33は第1金属部材T2~T5の露出している第1端部T2a~T5aに電気接続されている。キャリア22は第2金属部材T1、T6の露出している第1端部T1a、T6aに電気接続されている。AFドライブFPC60はフレーム24に取り付けられて第1金属部材T2~T5及び第2金属部材T1、T6の露出している各第2端部T1b~T6bに電気接続されている。
【0047】
よって、本実施形態によれば、フレーム24はインサート成形で形成することができ、AFドライブIC61を搭載したAFドライブFPC60がフレーム24に取り付けられて第1金属部材T2~T5及び第2金属部材T1、T6に電気接続される。そのため、回路素子実装用の専用の設備を必要としないので、自動化生産しやすく、量産が容易である。
【0048】
次に、図15図16を用いて、本発明の第2実施形態におけるフレーム24aの金属部材T1~T6の構成について説明する。フレーム24aの金属部材T1~T6は、第2端部T1b~T6bが板状体の板面を外側に向けてフレーム24aの側面で光軸方向の後側から前側に延びるように設けられている。第2端部T1b~T6bの前側で板面が前側を向くように折れ曲がって水平部T1h~T6hが構成される。水平部T1h~T6hは所定の位置まで延伸する。第1端部T1a~T6aは、所定の位置において、水平部T1h~T6hの延びる方向に対して直交する方向に折目が付くように前側に折れ曲がっている。即ち、本第2実施形態では、金属部材T1~T6の第1端部T1a~T6aの先端がフレーム24aの+Z側の表面から突き出している。他の点は第1実施形態と同様である。
【0049】
本第2実施形態においても第1実施形態と同じく、自動化生産しやすく、量産が容易であるという効果が得られる。特に、本第2実施形態の第1端部T1a~T6aは前側に折れ曲がっているだけなので、第1端部T1a~T6aの部分をより容易に製造しやすいが、第1実施形態の第1端部T1a~T6aの方が、電気接続はしやすい。
【0050】
次に、図17図18を用いて、本発明の第3実施形態におけるフレーム24bの金属部材T1~T6の構成について説明する。フレーム24bの金属部材T1~T6は、第2端部T1b~T6bが板状体の板面を外側に向けてフレーム24bの側面で光軸方向の後側から前側に延びるように設けられている。第2端部T1b~T6bの前側で板面が外側を向いたまま光軸と直交する方向に曲がって水平部T1h~T6hが構成される。水平部T1h~T6hは所定の位置まで延伸する。第1端部T1a~T6aは、所定の位置において、板面が外側を向いたまま前側に曲がっている。但し、本第3実施形態では、第1端部T3aは、第2端部T3bから水平部T3hに移行する途中の斜めの部分から前側に曲がっており、第1端部T4aは、第2端部T4bから水平部T4hに移行する途中の斜めの部分から前側に曲がっている。
【0051】
本第3実施形態では、金属部材T1~T3の水平部T1h~T3h及び金属部材T4~T6の水平部T4h~T6hは、フレーム24bの側壁内においてZ軸方向に並んでいる。これをZ方向から見ると、金属部材T1~T6は、その板厚方向の寸法しか要していない。従って、Z方向から見たときのフレーム24bのZ軸と直交する方向のフレーム厚さを薄いものにすることができる。本第3実施形態においても第1及び第2実施形態と同じく、回路素子実装用の専用の設備を必要としないので、自動化生産しやすく、量産が容易であるという効果が得られる。なお、本第3実施形態においては、第1端部T1a~T6aの配置を第1及び第2実施形態と同じにするために、第2端部T1bと第2端部T2bの位置が入れ替わるように第2金属部材T1と第1金属部材T2とを入れ替え、第2端部T5bと第2端部T6bの位置が入れ替わるように第1金属部材T5と第2金属部材T6とを入れ替えてある。
【符号の説明】
【0052】
5 レンズ駆動装置
6 レンズ体
7 画像センサ
8 カメラ装置
9 スマートフォン
10 ケース
11 貫通孔
20 AF部
21 前側支持部
211~214 第1前側スプリング
215~216 第2前側スプリング
2111、2121、2131、2141、2151、2161 外側部
2112、2122、2132、2142、2152、2162 接続部
2113、2123、2133、2143 第1ばね部
2114、2124、2134、2144 ワイヤ支持部
2153、2163 内側部
2154、2164 第2ばね部
2155、2165 接続部
22 キャリア
221 レンズ保持孔
222 溝
223 凹部
224 柱状部
225、226 端子
23 AFコイル
24,24a,24b フレーム
249 収容孔
25 後側支持部
251 内側部
252 外側部
253 ばね部
30 OIS部
31 コイルプレート
311 孔
32 ベースFPC
321 孔
323 FPC入出力部
325 OISドライブIC
33 ベース
411~414 サスペンションワイヤ
51 AFセンサ磁石
52 駆動磁石
60 AFドライブFPC
61 AFドライブIC
A1~A6 電極
T2~T5 第1金属部材
T1,T6 第2金属部材
T1a~T6a 第1端部
T1b~T6b 第2端部
T1h~T6h 水平部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18