(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133228
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】バレニクリン化合物およびその製造プロセス
(51)【国際特許分類】
A61K 31/55 20060101AFI20230914BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20230914BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230914BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230914BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230914BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61K31/55
A61P25/34
A61K9/20
A61K47/12
A61K47/38
A61K47/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023035657
(22)【出願日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】63/319,043
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/721,857
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517316823
【氏名又は名称】パー ファーマスティカル, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PAR PHARMACEUTICAL, INC.
【住所又は居所原語表記】6 Ram Ridge Road Chestnut Ridge, New York 10977 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ プラバハー コイルピライ
(72)【発明者】
【氏名】サユジ ナス
(72)【発明者】
【氏名】サティッシュ パティル
(72)【発明者】
【氏名】ソマスンダラム ムスラマリンガム
(72)【発明者】
【氏名】セルヴァクマー ヴィルザギリ
(72)【発明者】
【氏名】モハンクマ― ラクシュマナン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA37
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD43
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB11
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA20
4C086ZC39
(57)【要約】 (修正有)
【課題】許容できるレベルのニトロソアミン不純物を有するバレニクリン活性医薬成分、および実質的に純粋なバレニクリンを製造する改善されたプロセスを提供する。
【解決手段】錠剤の形態での医薬組成物であって、a)実質的に純粋なバレニクリン遊離塩基;b)前記バレニクリン遊離塩基に対する対イオンとしての酒石酸;およびc)1または複数の賦形剤;を含み、HPLCまたはLCMSによって測定して50ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン(7,8,9,10-テトラヒドロ-8-ニトロソ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン)不純物を含む、医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤の形態での医薬組成物であって、
a)実質的に純粋なバレニクリン遊離塩基;
b)前記バレニクリン遊離塩基に対する対イオンとしての酒石酸;および
c)1または複数の賦形剤;
を含み、
ここで、前記実質的に純粋なバレニクリン遊離塩基は、LC-ESI-HRMS(米国FDA法)、HPLCまたはLCMSによって測定して50ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン(7,8,9,10-テトラヒドロ-8-ニトロソ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン)不純物を含み;および
ここで、前記錠剤は、LC-ESI-HRMS(米国FDA法)、HPLCまたはLCMSによって測定して50ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン(7,8,9,10-テトラヒドロ-8-ニトロソ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン)不純物を含む、
医薬組成物。
【請求項2】
実質的に純粋な酒石酸バレニクリン錠剤を生産するためのプロセスであって、
a)バレニクリン遊離塩基を提供するステップ;
b)前記バレニクリン遊離塩基を酒石酸と混合して酒石酸バレニクリンを形成するステップ;および
c)前記錠剤が50ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を含むように、酸を適用して前記錠剤の製造における前記N-ニトロソ-バレニクリン不純物を除去するステップ
を含む
プロセス。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、
前記実質的に純粋なバレニクリン遊離塩基が、LC-ESI-HRMS(米国FDA法)、HPLCまたはLCMSによって測定される前に、バレニクリン遊離塩基の酸精製によって得られる、
組成物。
【請求項4】
請求項3に記載の組成物であって、
前記実質的に純粋なバレニクリン遊離塩基が、LC-ESI-HRMS(米国FDA法)、HPLCまたはLCMSによって測定して25ppm未満の前記N-ニトロソ-バレニクリン不純物を含む、
組成物。
【請求項5】
請求項3に記載の組成物であって、
前記実質的に純粋なバレニクリン遊離塩基が、LC-ESI-HRMS(米国FDA法)、HPLCまたはLCMSによって測定して10ppm未満の前記N-ニトロソ-バレニクリン不純物を含む、
組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物であって、
前記実質的に純粋なバレニクリン遊離塩基が、LCMSによって測定して10ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を含み、かつ、
前記錠剤が、LCMSによって測定して10ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を含む、
組成物。
【請求項7】
請求項2に記載のプロセスまたは請求項3に記載の組成物であって、
前記酸が有機酸または無機酸である、
プロセスまたは組成物。
【請求項8】
請求項7に記載のプロセスまたは組成物であって、
前記酸が、酒石酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、塩酸、コハク酸、シュウ酸、クエン酸、およびそれらの混合物から選択される、
プロセスまたは組成物。
【請求項9】
請求項8に記載のプロセスまたは組成物であって、
前記酸が、前記N-ニトロソ-バレニクリン不純物を約75%~約100%減少させる、
プロセスまたは組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物であって、
前記1または複数の賦形剤が、マルトデキストリン、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、グリシン、デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、アカシア、ケイ酸塩、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、ラクトース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、二酸化チタン、無水リン酸水素カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、または前述のいずれかの混合物から選択される、
組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物であって、
前記錠剤が、約0.5mg~約1mgの前記実質的に純粋なバレニクリン遊離塩基を含む、
組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物であって、
前記錠剤が、
a)前記実質的に純粋なバレニクリン塩基および前記酒石酸の組み合わせから形成される約0.85mg~約1.7mgの酒石酸バレニクリン;
b)約5mg~約15mgのクロスカルメロースナトリウム;
c)約5mg~約50mgのマルトデキストリン;
d)約100mg~約200mgの微結晶セルロース;および
e)約0.5mg~約2mgのステアリン酸
を含む、
組成物。
【請求項13】
請求項2に記載のプロセスであって、
前記酒石酸バレニクリンおよびマルトデキストリンを噴霧乾燥するステップをさらに含む、
プロセス。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスであって、
前記噴霧乾燥するステップが、酒石酸バレニクリンおよびマルトデキストリンのほぼ球状の粒子を生じさせる、
プロセス。
【請求項15】
請求項13または14に記載のプロセスであって、
前記マルトデキストリンが、前記錠剤中のニトロソアミン不純物の生成を阻害する、
プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2022年3月11日に出願された米国仮出願番号63/319,043の優先権を主張するものであり、その全体が、法律によって許容される全範囲において参照により本明細書中に援用される。
【0002】
[技術分野]
本開示は、不純物を実質的に含まないバレニクリンの合成に関する。本開示はまた、実質的に純粋なバレニクリンを含む医薬組成物、および、そのような化合物を投与することによりニコチン依存症、嗜癖および禁断症状を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
酒石酸バレニクリン塩、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]-ベンザゼピン酒石酸塩は、以下の式を有する:
【0004】
バレニクリン塩基およびその様々な塩は、米国特許第6,410,550号、EP1044189、EP1659114、およびEP1866308に記載されている。
【0005】
バレニクリンL-酒石酸塩およびその結晶形態A、BおよびCは、米国特許第6,890,927号および同7,265,119号に記載されており、6.1、12.2、13.0、14.7、16.8、19.4、21.9、24.6のXRPDピークを特徴とし(形態A);5.9、12.8、14.4、15.3、16.9、17.2、21.8、23.8、25.1のXRPDピークを特徴とし(形態B);5.9、11.8、16.5、21.2、23.1、23.8、26.5のXRPDピークを特徴とする(形態C)。
【0006】
WO2008060487は、バレニクリン塩基およびその中間体の結晶形態を記載している。また、バレニクリン遊離塩基の多形(形態A、C、D、およびE)も記載している。EP2260037は、バレニクリン遊離塩基の多形(形態I、およびII)を記載しており、CN103896943は、ヘミ酒石酸塩を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酒石酸バレニクリンは、特定のサブタイプのニコチン受容体に選択的な部分的アゴニストとしてCHANTIX(登録商標)の商品名で、禁煙を適応症としてファイザーによって販売された。しかしながら、CHANTIX(登録商標)中の許容できないレベルのニトロソアミン不純物のため、その製品は撤退した。したがって、許容できるレベルのニトロソアミン不純物を有するバレニクリン活性医薬成分(「API」)が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、活性医薬成分として使用するための実質的に純粋なバレニクリンを製造する改善されたプロセスを提供する。ある特定の実施形態では、本プロセスは、1mgのバレニクリン遊離塩基あたり、もしくは0.5mgのバレニクリン遊離塩基あたり、100ppm未満、または50ppm未満、または25ppm未満、または10ppm未満、または5ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を有する酒石酸バレニクリンを生じさせる(バレニクリンニトロソ-薬物物質関連不純物の決定のためのLC-ESI-HRMS方法、米国FDA、2021年8月6日、https://www.fda.gov/media/151470/download(2022年2月27日アクセス)(「LC-ESI-HRMS方法」);HPLCまたはLCMSによって測定)。
【0009】
本開示はさらに、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2R,3R)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエートマルトデキストリンの調製のためのプロセスを記載し、そのプロセスは以下のステップを含む:
(a)還元剤を、1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンと接触させて、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンを形成するステップ;
(b)グリオキサール水溶液、触媒および溶媒を、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンと接触させて、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンを形成するステップ;
(c)炭酸ナトリウム溶液およびメタノールを、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンと接触させて、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを形成するステップ;
(d)粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを酸-塩基処理によって精製し、不純物を実質的に除去し、精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを形成するステップ;および
(e)精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを、L-(+)酒石酸、マルトデキストリン、メタノールおよび水と接触させて、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6h-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2r,3r)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエート.マルトデキストリンプレミックス(1:10)を形成するステップ。
【0010】
特定の態様では、本プロセスは、ニトロソアミン不純物、特にN-ニトロソ-バレニクリンを実質的に含まない7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6h-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2r,3r)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエート.マルトデキストリンプレミックス(1:10)を生じさせる。
【0011】
1つの実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンは、以下のステップを含むプロセスによって、反応質量から単離される:
(a)反応質量を冷却および濾過して、濾液および湿ケークを形成するステップ;
(b)濾液を蒸留してメタノールを除去するステップ;
(c)塩化ナトリウム溶液を蒸留濾液に添加するステップ;
(d)塩化メチレンを用いて生7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを抽出し、塩化ナトリウム溶液で洗浄するステップ;
(e)生7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを活性炭で処理し、二塩化メチレンで洗浄し、ハイフロ床(hyflo bed)を通して二塩化メチレンを濾過するステップ;
(f)二塩化メチレンを留去後、第3級ブチルメチルエーテルと共蒸留して、半乾燥生成物を形成するステップ;
(g)第3級ブチルメチルエーテルを半乾燥生成物に添加するステップ;および
(i)粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを単離するステップ。
【0012】
別の実施形態では、上記プロセスは、25ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物、または約18.5ppm以下のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を有する約1mgの精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6h-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2r,3r)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエート.マルトデキストリンプレミックス(1:10)を生じさせる。
【0013】
本開示のプロセスは、ほぼ球状の形状の粒子を生産する噴霧乾燥ステップを用いてよく、ここで、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6h-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2r,3r)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエートは、粒子内のマルトデキストリンマトリックスにおいて本質的に均一に分散している。
【0014】
本開示はまた、それを必要とする対象においてニコチン依存症、嗜癖および禁断症状を処置する方法に関し、約0.5mg~約2mgの実質的に純粋な酒石酸バレニクリンを含む医薬組成物を提供するステップ;および1または複数の毎日の用量で組成物を経口投与するステップを含み、ここで、対象は、1日あたり合計約37ng以内のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を投与される。1つの実施形態では、組成物は、LC-ESI-HRMS方法、HPLCまたはLCMSによって測定して25ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を有する約1.7mgの酒石酸バレニクリンを含む。別の実施形態では、組成物は、LC-ESI-HRMS方法、HPLCまたはLCMSによって測定して25ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を有する約0.85mgの酒石酸バレニクリンを含む。
【0015】
別の態様では、組成物は、禁煙を試みるために対象によって設定された日の1週間前に経口投与される。本明細書に記載の処置レジメンは、対象が処置の8~35日目の間に禁煙するのに効果的である。
【0016】
一部の実施形態では、組成物は、1日2回の約1mgのバレニクリン遊離塩基の用量で投与され、またはここで、組成物は、以下を含むレジメンで投与される:
(a)処置の1~3日目の間は、1日1回の0.5mgのバレニクリン遊離塩基;
(b)処置の4~7日目の間は、1日2回の0.5mgのバレニクリン遊離塩基;および
(c)処置の7日目以降は、1日2回の1mgのバレニクリン遊離塩基。
【0017】
本開示はさらに、実質的に純粋な酒石酸バレニクリンおよび少なくとも1の賦形剤を含む医薬組成物に関する。組成物は、約0.5mg~約2mgの酒石酸バレニクリンを含んでよく、錠剤またはカプセルの形態である。1つの実施形態では、N-ニトロソ-バレニクリン不純物は、LC-ESI-HRMS方法、HPLCまたはLCMSによって測定して錠剤またはカプセルあたり50ppm未満の量で存在する。
【0018】
本開示の医薬組成物は、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース、ステアリン酸、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、タルク、および二酸化チタンなどの1または複数の賦形剤を含んでよい。一部の実施形態では、本発明の固形剤形は、約0.5mgのバレニクリン遊離塩基および約5ppm以下のN-ニトロソ-バレニクリン不純物、または1mgのバレニクリン遊離塩基および約5ppm以下のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を含む。
【0019】
本プロセス、組成物、処置方法などのさらなる実施形態は、以下の説明、図面、実施例、および請求項から明らかであろう。前述および以下の説明から認識できるように、本明細書に記載の各々および全ての特徴、ならびに、そのような特徴の2以上の組み合わせの各々および全ては、そのような組み合わせに含まれる特徴が互いに矛盾しない限り本開示の範囲内に含まれる。さらに、任意の特徴または特徴の組み合わせは、任意の実施形態または態様から明確に除外され得る。さらなる態様および実施形態は、以下の説明および請求項において、特に付随する実施例および図面とともに考慮した場合に示されている。
【0020】
特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面を含むこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な手数料の支払により、官庁から提供される。
【0021】
前述の実施形態の特徴は、付随する図面とともに以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】結晶性API-PAT(結晶性酒石酸バレニクリン塩)のSEM画像である。
【
図3】マルトデキストリン(Glucidex 12D)のSEM画像である。
【
図4】APIプレミックス(酒石酸バレニクリン:マルトデキストリン-1:10)_PATのSEM画像である。
【
図5】API+マルトデキストリン(物理的ミックス)(1:10)のSEM画像である。
【
図6】
図6Aは、結晶形態Bの特徴的ピークの存在を示す酒石酸バレニクリンのX線ディフラクトグラムである。
図6Bは、
図6Aに示されるピークのリストである。
【
図7】非晶質形態に存在する酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)のX線ディフラクトグラムである。結晶性酒石酸バレニクリンの結晶性ピークの特徴はディフラクトグラムにおいて観察されない。
【
図8】
図8Aは、HPLC方法:RS方法-Iの特異性クロマトグラムである。
図8B~8Dは、
図8Aのクロマトグラフのセグメントである。RS方法-Iにおける不純物、すなわち、N-メチルバレニクリン、バレニクリンN-グルコシドの特異性研究クロマトグラムを
図8Eに提供する。
【
図9】
図9Aは、HPLC方法:RS方法-IIの特異性クロマトグラムである。
図9Bおよび
図9Cは、
図9Aのクロマトグラフのセグメントである。
【
図11】有機酸または無機酸を用いて、およびパラジウム炭素存在下での接触水素化によって、ニトロソアミン不純物を除去するための、バレニクリン遊離塩基の精製を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
様々な態様および実施形態が本明細書中に十分に記載される。しかしながら、これらの態様および実施形態は、多くの異なる形態において具体化されてよく、限定と解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全となり、そして本要旨の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。先か後かにかかわらず本明細書中に記載される全ての刊行物、特許および特許出願は、それらの全体で参照により本明細書中に援用される。
【0024】
A.定義
別段の定義がない限り、本明細書中で用いられる全ての用語および語句は、そうでないことが用語または語句が用いられる文脈から明らかに指示または明らかに明白でない限り、当該分野において用語および語句が到達する意味を含む。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、特定の方法および材料をここに記載する。
【0025】
特に記載のない限り、個々の数値の使用は、その値の前に単語「約」または「およそ」があるかのように近似値として記載される。同様に、本出願において規定される様々な範囲内の数値は、別段の明示の指示がない限り、記載された範囲内の最小値および最大値の前に、両方とも単語「約」または「およそ」があるかのように近似値として記載される。このように、記載された範囲の上下の変動を用いて、範囲内の値と実質的の同一の結果を達成することができる。本明細書において用いられる用語「約」および「およそ」は、数値に対して言及する場合、開示された要旨が最も密接に関連する分野または問題となっている範囲または要素に関連する分野の当業者にとって明白かつ通常の意味を有するものとする。厳密な数値境界からの広がりの量は、多くの因子に依存する。例えば、考慮され得る因子のいくつかは、要素の重要性および/または所定量の変動が特許請求の範囲に記載された要旨の性能に与える効果、ならびに当業者に公知の他の考慮を含む。本明細書において用いられる、異なる数値に関する有効数字の異なる量の使用は、単語「約」または「およそ」の使用がどのように特定の数値または範囲を広げるのに役立つのか限定することを意味しない。したがって、一般的な事柄として、「約」または「およそ」は数値を広げる。また、範囲の開示は、最小値と最大値の間の全ての値と、用語「約」または「およそ」の使用によって与えられる範囲の広がりとを含む連続的な範囲として意図される。その結果として、本明細書における値の範囲の記載は、範囲内に入るそれぞれの別個の値を個々に言及する短縮された方法として役立つことを単に意図しており、それぞれの別個の値は、あたかも個々に本明細書中に記載されているかのように本明細書中に組み込まれる。
【0026】
「ジアミド不純物」は、ビス(7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]-ベンザゼピン)-アミドである。
【0027】
「ジアミノニトロソアミン」は、10-ニトロソ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2,4,6-トリエン-4,5-ジアミンである。
【0028】
用語「LOD」は、検出限界または検出レベルを意味する。
【0029】
用語「LOQ」は、定量限界を意味する。
【0030】
「モノニトロ(脱保護)」は、7-ニトロ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1,5-メタノ-3-ベンザゼピンである。
【0031】
「N-ホルミルバレニクリン」は、6,7,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-8H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン-8-カルボキサルデヒドである。
【0032】
用語「ニトロソアミンバレニクリン不純物」、「バレニクリンニトロソアミン不純物」および「N-ニトロソ-バレニクリン」は、本明細書において相互交換可能に用いられる。
【0033】
用語「ニトロソアミン不純物」は、ジニトロニトロソアミン不純物(4,5-ジニトロ-10-ニトロソ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2,4,6-トリエン);ジアミノニトロソアミン不純物(10-ニトロソ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2,4,6-トリエン-4,5-ジアミン);ニトロソバレニクリン不純物(7,8,9,10-テトラヒドロ-8-ニトロソ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン);またはそれらの組み合わせについて用いられる。
【0034】
「N-メチルバレニクリン」は、6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン7,8,9,10-テトラヒドロ-8-メチルである。
【0035】
「optional」または「optionally」は、続いて記載される要素、構成要素または状況が生じてもよく、または生じなくてもよいことを意味し、したがって、その記載は、その要素、構成要素、または状況が生じる場合、および生じない場合を含む。
【0036】
本明細書において用いられる用語「プレミックス」は、一般的な溶媒(例えば水)中に溶解して、生じた溶液を、噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥したマルトデキストリンおよび酒石酸バレニクリンを指す。
【0037】
用語「物理的ミックス」または「物理的混合物」は、構成要素(酒石酸バレニクリンおよびマルトデキストリン)をブレンダー内でブレンドすることによって調製される混合物である。ブレンドは、典型的に拡散メカニズムによって生じる。
【0038】
用語「パウダートランスファーシステム」または「PTS」は、化学プロセスにおいて材料移送のために一般に用いられる方法である。調剤および化学プラントの爆発は、破壊的な結果を伴う産業災害である。粉体を取り扱う領域では、反応器に粉塵の多いバルク材料を充填することは、爆発の大きな原因の1つである。反応器は溶媒を含むことが多く、その中に反応物質が添加される。爆発性雰囲気の形成は、可燃性の溶媒蒸気および粉末の粉塵/空気混合物から構成され得、発火の潜在的な由来とともに、過去に激しい爆発を引き起こし、施設全体を破壊している。そのようなリスクは、PTS(パウダートランスファーシステム(登録商標))の使用によって効果的に軽減することができる。これはDecグループ(Dietrich Engineering Consultants)による特許技術である。PTSシステムは、乾燥および湿潤の粉を移送するための効果的な方法である。これは、粉体を濃厚相(プラグフロー)、すなわち低速で移送するため、生成物内で静電放電を形成する多すぎるエネルギーを避ける。別の利点は、粉末から空気を分離することによって粉末充填プロセス中に収納容器を隔離させ、したがって反応器を不活性に維持することである。PTSは、爆発性、毒性または任意の他の種類の粉末を、加圧された容器または有害蒸気を含む反応器へ安全かつ自動的に導く。本システムは通常、充填されるプロセス設備に対して直接設置される。真空を用いることにより、粉末がPTSポンプ本体内に引き込まれる。平らな濾過膜によって、真空ライン内に粉末が入るのを隔離する。チャンバーが満たされると、加圧ガス(窒素または別の不活性ガスであることが多い)を用いて生成物が容器内へ排出される。同時に、ガスの逆の流れによって、生成物が反応器内へ排出されるたびに膜が清浄化され、次の吸引サイクルに最適な性能条件を復活させる。チャンバー内の過剰圧力は、容器内に存在する蒸気がPTS本体内に入るのも妨げる。移送速度は空圧制御盤によって簡単に制御される。パウダートランスファーシステムは、反応器、乾燥器および遠心分離機を含む全てのプロセス設備を空にし、または満たし;全ての粉末を、それらの特徴(粘着性、微細性、非流動性、吸湿性、湿潤など)にかかわらず移送し;毒性<1μg/m3または粉塵爆発性粉末<1mJを安全に運搬し;閉じた容器内に真空下または加圧下で直接充填し;粉塵生成を防ぎ;プロセスに入る前に粉末から酸素を除去し;および溶媒の存在下で充填する。
【0039】
用語「対象」または「患者」は、本明細書において相互交換可能に用いられ、ヒトまたは他の哺乳類を指す。
【0040】
本明細書において用いられる用語「治療的に有効量」は、所望の生物学的結果を達成するために必要なバレニクリンの量を指す。
【0041】
本明細書において用いられる用語「実質的に純粋な」または「不純物を実質的に含まない」は、バレニクリンニトロソ-薬物物質関連不純物の決定のためのLC-ESI-HRMS方法、米国FDA、2021年8月6日、https://www.fda.gov/media/151470/download(2022年2月27日アクセス);HPLC;またはLCMSによって測定して1mgのバレニクリン遊離塩基あたり150ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリンの存在を有する、本明細書中に開示されるバレニクリン化合物、その塩または誘導体を指す。
【0042】
「バレニクリンN-グルコシド」は、(8-β-D-グルコピラノシル-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン)である。
【0043】
B.序論
本開示は、バレニクリンおよびその中間体の合成分野に関する。本開示はまた、ニトロソアミンなどの不純物を実質的に含まないバレニクリン化合物に関する。本開示はさらに、バレニクリン、塩または(of)誘導体を含む医薬組成物、および、そのような組成物を禁煙または他の障害のために用いる方法に関する。
【0044】
C.バレニクリンを生成するためのプロセス
一般に、不純物を実質的に含まない活性医薬成分(「API」)を生じさせる酒石酸バレニクリンの合成手順には4つのステージがある:
【0045】
・ステージI:1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(「ジアミノ」)の調製
【0046】
・ステージII:1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(「キノキサリン」)の調製
【0047】
・ステージIII:精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(「精製バレニクリン遊離塩基」)の調製
【0048】
・ステージIV:7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2R,3R)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエート.マルトデキストリン(「酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)」)の調製
【0049】
各ステージを以下に詳述する。
【0050】
ステージI:1-(4,5-ジアミノ-10-アザトリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンの調製
1つの実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)は、還元剤を、1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(KSM)と、溶媒中、水素ガス圧力下で反応させて形成される。反応は、約20℃~約50℃の温度下で行なわれる。約30分~約5時間の反応時間後、反応質量を濾過し、溶媒を留去する。生成物をヘキサンの添加によって沈殿させ、濾過により単離し、ヘキサンで洗浄する。収率パーセンテージ[収率パーセンテージ=(得られた収率×100)/理論収率]は約50%~約100%である。
【0051】
別の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成で用いられる還元剤は、(a)ニッケル触媒、例えば、還元ニッケル、ニッケル酸化物、ラネーニッケルなど(水素ガスまたは反応中に水素を産生することのできる試薬とともに);(b)白金触媒、例えば、白金板、白金海綿、白金黒、コロイド状白金、白金酸化物、白金線など;(c)パラジウム触媒、例えば、パラジウム海綿、パラジウム黒、パラジウム酸化物、パラジウム炭素、水酸化パラジウム炭素、コロイド状パラジウム、パラジウム硫酸バリウム、パラジウム炭酸バリウム;(d)金属水素化物、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素アルミニウムリチウム、金属水素化物の置換形態など(トリメチルシリル塩化物などの他の試薬(regent)の組み合わせを含むまたは含まない);(e)硫化物、例えば、硫化アンモニウム、硫化水素;(f)金属塩、例えば、二ヨウ化サマリウムから選択される。
【0052】
1つの特定の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成で用いられる還元剤は、パラジウム炭素と水素ガスである。別の実施形態では、水素ガスの圧力は、1.0kg/cm2~10.0kg/cm2の間で変化する。
【0053】
1つの実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成中の温度は、約20℃~約50℃、約25℃~約45℃、または約30℃~約40℃である。1つの特定の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成中の温度は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、または約50℃である。
【0054】
別の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成のための反応時間は、約30分~約5時間、約45分~約4時間、約1時間~約3時間、または約1時間~約2時間である。1つの特定の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成のための反応時間は、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、約120分、約135分、約150分、約165分、約180分、約195分、約210分、約225分、約240分、約255分、約270分、約285分、または約300分である。1つの実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成における溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびn-プロパノールなどのアルコール;ジクロロメタン、クロロホルムおよび四塩化炭素などのハロゲン化溶媒;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルおよび酢酸t-ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンなどのエーテル溶媒;アセトニトリルおよびプロピオニトリルなどのニトリル溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO);Ν,Ν-ジメチルホルムアミド(DMF);NN-ジメチルアセトアミド;水;およびそれらの混合物から選択される。
【0055】
1つの実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成における溶媒は、メタノールである。
【0056】
別の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の反応質量の濾過は、重力濾過、温濾過、冷濾過、粒状培地濾過、機械的濾過、遠心濾過または真空濾過を用いて行なわれる。さらに別の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の反応質量の濾過は、スパークラー濾過器、リーフ濾過器、ANFDの後に、最終的な単離材料のためのNutche濾過を用いて行なわれる。さらに別の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の合成中に用いられる溶媒は、蒸留、共蒸留、または共沈殿によって除去される。1つの実施形態では、用いられる溶媒は、(a)メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノールなどのアルコール;(b)ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよび、メチルt-ブチルエーテルなどのエーテル溶媒としての抗溶媒;(c)トルエン、キシレン、n-ヘプタン、シクロヘキサンおよびn-ヘキサンなどの炭化水素溶媒;(d)水;または(e)それらの混合物から選択される。1つの実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)は、エーテル溶媒などの溶媒、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt-ブチルエーテル;トルエン、キシレン、n-ヘプタン、シクロヘキサンおよびn-ヘキサンなどの炭化水素溶媒;水;およびそれらの混合物を用いて反応混合物から沈殿される。1つの特定の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)は、ジイソプロピルエーテルまたはヘキサンを用いて反応混合物から沈殿される。
【0057】
別の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の収率パーセンテージは、約50%~約100%、約55%~約99%、約60%~約98%、約65%~約87%、または約72.28%~約96.38%である。1つの特定の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の収率パーセンテージは、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である。
【0058】
さらに別の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の純度は、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー(LC)、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)、滴定、核磁気共鳴(NMR)または液体クロマトグラフィー高分解能質量分析(LC-ESI-HRMS)によって測定して約50%~約100%である。1つの特定の実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)の純度は、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、HPLC、滴定、NMR、LCMSまたはLC-ESI-HRMSによって測定して、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である。
【0059】
1つの実施形態では、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージI-ジアミノ)は、10%パラジウム炭素およびメタノールを、1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(KSM)と、水素ガス圧力下で反応させることによって形成される。反応は、30~40℃で行なわれる。1~2時間後、反応質量を濾過し、メタノールを留去する。生成物をヘキサンの添加により沈殿させ、濾過により単離し、ヘキサンで洗浄する。収率パーセンテージ[収率パーセンテージ=(得られた収率×100)/理論収率]は、約72.28~約96.38%である。このステージの要約を表1に提供する。
【0060】
【0061】
ステージII:1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンの調製
別の実施形態では、グリオキサール水溶液、触媒および溶媒を、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ジアミノ)に添加して、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)を形成する。反応は、約30℃~約80℃の温度下で行なわれる。約30分~約5時間の反応時間後、生成物を抽出する。次いで、生成物を沈殿させ、濾過し、液体で洗浄する。次いで、生成物を精製する。収率パーセンテージは約30%~約80%である。
【0062】
1つの特定の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の合成で用いられる触媒は、重亜硫酸ナトリウム、Amberlite IRA 67などのイオン交換樹脂および同様の樹脂、またはそれらの混合物である。
【0063】
1つの実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の合成中の温度は、約30℃~約80℃、約35℃~約75℃、約40℃~約70℃、約45℃~約65℃、または約55℃~約60℃である。1つの特定の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の合成中の温度は、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約51℃、約51℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃である。
【0064】
別の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の合成のための反応時間は、約30分~約5時間、約1時間~約4時間、または約2時間~約3時間である。1つの特定の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の合成のための反応時間は、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、約120分、約135分、約150分、約165分、約180分、約195分、約210分、約225分、約240分、約255分、約270分、約285分、または約300分である。
【0065】
さらに別の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の合成中のpHは、約8.0~約14.0である。
【0066】
1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の合成における環化反応は、水または他の水性極性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドの水性混合物から選択される溶媒中、約10℃~約100℃の温度で行なわれる。
【0067】
別の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の沈殿は、水、アセトンなどのケトン類、および他の水混和性溶媒を用いて行なわれる。
【0068】
さらに別の実施形態では、沈殿後、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)を水で洗浄して無機材料を生成物から除去し、次いで、炭化水素などの非極性有機溶媒で洗浄して水および他の不純物を除去する。
【0069】
1つの実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)は、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール;またはエーテルおよび炭化水素などの他の有機溶媒を用いた再結晶によって精製される。
【0070】
別の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の収率パーセンテージは、約30%~約100%、約35%~約90%、約40%~約80%、または約46%~約70%である。1つの特定の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の収率パーセンテージは、約30%、約35%、約40%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%、または約100%である。
【0071】
さらに別の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の純度は、HPLC、LCMS、滴定、NMR、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはLC-ESI-HRMSによって測定して約50%~約100%である。1つの特定の実施形態では、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)の純度は、HPLC、LCMS、滴定、NMR、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはLC-ESI-HRMSによって測定して、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である。
【0072】
別の実施形態では、グリオキサール40%水溶液、重亜硫酸ナトリウムおよびメタノールを、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ジアミノ)に添加して、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)を形成する。反応は、55~60℃で行なわれる。2~3時間後、水を反応質量に添加する。次いで、反応質量を濾過し、水で洗浄する。メタノールを用いて生成物を再結晶化する。収率パーセンテージ[収率パーセンテージ=(得られた収率×100)/理論収率]は、約46.29%~約69.44%である。このステージの要約を表2に提供する。
【0073】
【0074】
ステージIII:精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンの調製
さらに別の実施形態では、炭酸ナトリウム溶液およびメタノールを、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)に添加して、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)を形成する。反応は、50~90℃で行なわれる。約1時間~5時間の反応時間後、反応質量を冷却し、濾過する。次いで、濾液を蒸留する。塩化ナトリウム溶液を添加し、生成物を抽出剤で抽出し、塩化ナトリウム溶液で洗浄する。塩化ナトリウムを飽和目的のために用いる。他の非反応性の水可溶性無機塩類を水の飽和に用いることができる。次いで、生成物を活性炭で処理し、二塩化メチレンで洗浄し、ハイフロ床を通して二塩化メチレンを濾過する。溶媒(二塩化メチレン)を留去する。次に共蒸留を行なう。次いで、生成物(半乾燥材料Aまたは生)を沈殿させ、濾別する。
【0075】
1つの特定の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)は、ニトロソアミン不純物を除去するための酸-塩基処理によって精製される。半乾燥材料A(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)を塩化メチレンに溶解し、次いで、塩形成のために酸を添加する。有機層を洗浄し、生成物を水層から抽出する。溶媒を蒸留し、次いで、共蒸留する。収率パーセンテージ約10%~約100%である。
【0076】
1つの実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の合成中の温度は、約50℃~約90℃、約55℃~約80℃、約60℃~約75℃、または約64℃~約70℃である。1つの特定の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の合成中の温度は、約50℃、約55℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、または約90℃である。
【0077】
別の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の合成のための反応時間は、約30分~約5時間、約1時間~約4時間、または約2時間~約3時間である。1つの特定の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の合成のための反応時間は、約30分、約45分、約60分、約75分、約90分、約105分、約120分、約135分、約150分、約165分、約180分、約195分、約210分、約225分、約240分、約255分、約270分、約285分、または約300分である。
【0078】
さらに別の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の合成中のpHは、約8.0~14.0である。
【0079】
1つの実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)を抽出するために用いる抽出剤は、塩化メチレンまたはクロロホルムなどの塩素化溶媒である。
【0080】
別の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の沈殿は、(a)イソプロピルアルコール、n-プロパノールのような高級アルコール(C3以上);(b)ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、テトラヒドロフランおよび1,4-ジオキサンなどのエーテル溶媒としての抗溶媒;(c)トルエン、キシレン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、ヘキサンおよびn-ヘキサンなどの炭化水素溶媒;(d)酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルおよび酢酸t-ブチルなどのエステル類;または(e)ケトン、例えば、アセトン、エチルメチルケトン メチルイソブチルケトンおよび水とケトンの混合物を用いて行なわれる。
【0081】
1つの実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)は、不純物を除去するために精製される。
【0082】
合計17の不純物がバレニクリン遊離塩基(ステージIII)合成プロセスにおいて制御される。これらの不純物はプロセス関連不純物である。これらのプロセス関連不純物のうち、一部の不純物は潜在的な遺伝毒性不純物として特定され、NMT0.0426%w/wの制限で制御される。他のバレニクリン関連化合物は全て、ICH Q3Aに従って0.15%を超えない(NMT)制限で制御される。
【0083】
1つの特定の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)は、バレニクリンニトロソアミン不純物、プロセス関連不純物、またはそれらの組み合わせを実質的に除去するために精製される。
【0084】
別の特定の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)は、(a)pKa2.0~6.0を有する有機酸および無機酸、例えば酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸などを用いた酸-塩基処理、(b)様々な溶媒を用いた再結晶、(c)カラムクロマトグラフィー、分取HPLCおよび他の同等技術などのクロマトグラフィー精製技術;または(d)ニトロソアミン不純物を除去するための還元/水素化によって精製される。
【0085】
1つの実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の酸-塩基処理に用いられる酸は、任意の酸または有機酸である。1つの特定の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の酸-塩基処理で用いられる酸は、L(+)酒石酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、またはそれらの組み合わせである。
【0086】
1つの特定の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の精製は、ニトロソアミン不純物の除去をもたらす。別の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の精製は、100%、99.9%、99.8%、99.7%、99.6%、99.5%、99.4%、99.3%、99.2%、99.1%、99.0%、98%、97%、96%、または95%のニトロソアミン不純物の除去をもたらし、精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(ステージIII-バレニクリン遊離塩基)を形成する。
【0087】
別の実施形態では、精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の収率パーセンテージは、約10%~約100%、約20%~約90%、約28.98~約86.95%、約40%~約80%、または約50%~約70%である。1つの特定の実施形態では、精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(ステージIII-バレニクリン遊離塩基)の収率パーセンテージは、約10%、約20%、約29%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約75%、約80%、約87%、約90%、約95%、または約100%である。
【0088】
さらに別の実施形態では、精製17,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(ステージIII-バレニクリン遊離塩基)は、HPLC、滴定、NMR、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはLC-ESI-HRMSによって測定して、約50%~約100%純粋である。1つの特定の実施形態では、精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(ステージIII-バレニクリン遊離塩基)は、HPLC、滴定、NMR、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはLC-ESI-HRMSによって測定して、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%純粋である。さらに別の特定の実施形態では、精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(ステージIII-バレニクリン遊離塩基)は、HPLC、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、滴定、NMR、またはLC-ESI-HRMSによって測定して、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.1%、少なくとも約99.2%、少なくとも約99.3%、少なくとも約99.4%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、または少なくとも約99.9%純粋である。
【0089】
1つの特定の実施形態では、炭酸ナトリウム溶液およびメタノールを、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ステージII-キノキサリン)に添加して、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)を形成する。反応は64~70℃で行なわれる。3時間後、反応質量を冷却し、濾過する。次いで、濾液を蒸留する。塩化ナトリウム溶液を添加し、生成物を塩化メチレンで抽出し、塩化ナトリウム溶液で洗浄する。次いで、生成物を活性炭で処理し、二塩化メチレンで洗浄し、ハイフロ床を通して二塩化メチレンを濾過する。溶媒(二塩化メチレン)を留去する。次に、第3級ブチルメチルエーテルによる共蒸留を行なう。生成物(半乾燥材料A)を第3級ブチルメチルエーテルの添加によって沈殿させ、濾別する。
【0090】
別の特定の実施形態では、粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(粗ステージIII-バレニクリン遊離塩基)は精製される。精製プロセスに用いられる試薬は:塩化ナトリウム、および第3級ブチルメチルエーテルである。粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンは、ニトロソアミン不純物を除去するために酸-塩基処理によって精製される。粗7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを塩化メチレンに溶解させ、次いで、塩形成のためにL(+)酒石酸溶液を添加する。溶液を撹拌し、層分離のために静置させる。水層を炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、水層から生成物を二塩化メチレンで抽出する。次いで、生成物を含む有機層に塩化ナトリウム溶液を添加し、下の有機層を分離する。有機層の二塩化メチレンを留去する。この工程後に、第3級ブチルメチルエーテルとの共蒸留を行なう。生成物(精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン)を、第3級ブチルメチルエーテルの添加によって沈殿させ、濾過の後に第3級ブチルメチルエーテル洗浄によって単離する。収率パーセンテージは、約28.98~約86.95%である。バレニクリン遊離塩基の精製の要約を表3に提供し、バレニクリン遊離塩基の精製の要約を
図1に提供する。
【0091】
表3.酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)の形成プロセスにおけるステージ-03
【0092】
ステージIV:7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2R,3R)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエート.マルトデキストリンの調製
1つの実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを、L-(+)酒石酸、マルトデキストリン、メタノールおよび水と混合することによって形成される。混合物を温度約20℃~約50℃で維持する。30分後、生成物を濾別し、沈殿させ、単離する。収率パーセンテージは約20%~約100%である。
【0093】
1つの実施形態では、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6h-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2r,3r)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエートおよびマルトデキストリンを、1:10の重量/重量比(すなわち酒石酸バレニクリン1×およびマルトデキストリン10×)で混合する。
【0094】
別の実施形態では、ステージIVにおける混合物を、約20℃~約50℃、約25℃~約45℃、または約25℃~約35℃の温度で維持する。1つの特定の実施形態では、混合物を、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、または約50℃の温度で維持する。
【0095】
さらに別の実施形態では、ステージIVにおける生成物を、マイクロ濾過を用いて、カートリッジフィルタを用いて、またはキャンドルフィルタを用いて濾別する。
【0096】
1つの実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)の収率パーセンテージは、約20%~約100%、約30%~約90%、約43%~約96%、約40%~約80%、または約50%~約70%である。1つの特定の実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)の収率パーセンテージは、約10%、約20%、約30%、約35%、約40%、約42%、約43%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、または約100%である。
【0097】
別の実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、噴霧乾燥によって単離される。さらに別の実施形態では、噴霧乾燥操作の持続時間は、約1時間~約30時間、約3時間~約27時間、約6時間~約24時間、約9時間~約21時間、約10時間~約18時間、または約11時間~約14時間である。1つの特定の実施形態では、噴霧乾燥操作の持続時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20、約25時間、または約30時間である。
【0098】
さらに別の別の実施形態では、噴霧乾燥操作中の温度は、約20℃~約50℃、約25℃~約45℃、または約30℃~約40℃である。1つの特定の実施形態では、噴霧乾燥操作中の温度は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、または約50℃である。
【0099】
1つの実施形態では、噴霧乾燥操作中に用いられる噴霧乾燥器の入口温度は、約100℃~約180℃、約105℃~約170℃、約110℃~約160℃、約120℃~約150℃、または約115℃~約150℃である。1つの特定の実施形態では、噴霧乾燥操作中に用いられる噴霧乾燥器の入口温度は、約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃、約130℃、約135℃、約140℃、約145℃、約150℃、約155℃、約160℃、約165℃、約170℃、約175℃、または約180℃である。
【0100】
1つの実施形態では、噴霧乾燥操作中の噴霧乾燥器のID送風機(誘引ファン送風機)の流速は、約500NM3/hr~約1000NM3/hr、約600NM3/hr~約900NM3/hr、または約700NM3/hr~約800NM3/hrである。1つの特定の実施形態では、噴霧乾燥操作中の噴霧乾燥器のID送風機の流速は、約500NM3/hr、約550NM3/hr、約600NM3/hr、約650NM3/hr、約700NM3/hr、約750NM3/hr、約800NM3/hr、約850NM3/hr、約900NM3/hr、約950NM3/hr、または約1000NM3/hrである。
【0101】
1つの実施形態では、噴霧乾燥操作中の噴霧乾燥器のFD送風機(押込ファン送風機)の流速は、約100NM3/hr~約700NM3/hr、約200NM3/hr~約600NM3/hr、または約300NM3/hr~約500NM3/hrである。1つの特定の実施形態では、噴霧乾燥操作中の噴霧乾燥器のFD送風機の流速は、約100NM3/hr、約150NM3/hr、約200NM3/hr、約250NM3/hr、約300NM3/hr、約350NM3/hr、約400NM3/hr、約450NM3/hr、約500NM3/hr、約550NM3/hr、約600NM3/hr、約650NM3/hr、または約700NM3/hrである。
【0102】
ID送風機およびFD送風機は噴霧乾燥器の一部であり、システム内の正気圧を循環/生成するために用いられる。
【0103】
別の実施形態では、噴霧乾燥操作中の噴霧乾燥器の霧化圧力は、約1kg/cm2~約10kg/cm2、約1.5kg/cm2~約8kg/cm2、約2kg/cm2~約6kg/cm2、または約3kg/cm2~約4.2kg/cm2である。1つの特定の実施形態では、噴霧乾燥操作中の噴霧乾燥器の霧化圧力は、約1kg/cm2、約1.5kg/cm2、約2kg/cm2、約2.5kg/cm2、約3kg/cm2、約3.5kg/cm2、約4kg/cm2、約4.2kg/cm2、約4.5kg/cm2、約5kg/cm2、約5.5kg/cm2、約6kg/cm2、約6.5kg/cm2、約7kg/cm2、約7.5kg/cm2、約8kg/cm2、約8.5kg/cm2、約9kg/cm2、約9.5kg/cm2、または約10kg/cm2である。
【0104】
さらに別の実施形態では、噴霧乾燥操作中の噴霧乾燥器の流加速度は、約10ml/分~約120ml/分、約20ml/分~約100ml/分または約30ml/分~約90ml/分である。1つの特定の実施形態では、噴霧乾燥操作中の噴霧乾燥器の流加速度は、約10ml/分、約20ml/分、約30ml/分、約40ml/分、約50ml/分、約60ml/分.約70ml/分、約80ml/分、約90ml/分、約100ml/分、約11ml/分、または約120ml/分である。
【0105】
別の実施形態では、噴霧乾燥された酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、500ミクロン以下、400ミクロン以下、300ミクロン以下、200ミクロン以下、100ミクロン以下、または50ミクロン以下のD90粒子サイズを有する。さらに別の実施形態では、噴霧乾燥された酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、約5ミクロン~約50ミクロン、約50ミクロン~約100ミクロン、約100ミクロン~約200ミクロン、約300ミクロン~約400ミクロン、または約400ミクロン~約500ミクロンのD90粒子サイズを有する。
【0106】
1つの特定の実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンを、L-(+)酒石酸、マルトデキストリン、メタノールおよび水と混合することによって形成される。混合物を30±3℃で維持する。30分後、マイクロ濾過を用いて生成物を濾別し、沈殿させ、噴霧乾燥を用いて単離する。収率パーセンテージは約42.78~約96.25%である。合成手順のこのステージの要約を表4に提供する。
【0107】
【0108】
本開示によれば、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)中の不純物のレベルは、HPLC、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、滴定、NMR、LCMS、またはLC-ESI-HRMSによって決定される。
【0109】
別の実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、分析技術によって決定して約50ppm、約40ppm、約30ppm、約25ppm、約24ppm、約23ppm、約22ppm、約21ppm、約20ppm、約19ppm、約18.5ppm、約17ppm、約16ppm、約15ppm、約14ppm、約13ppm、約12ppm、約11ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppmのニトロソアミン不純物を有する。1つの実施形態では、分析技術は、HPLC、滴定、NMR、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはLC-ESI-HRMSである。
【0110】
さらに別の実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、分析技術によって決定して約50ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満、約25ppm未満、約24ppm未満、約23ppm未満、約22ppm未満、約21ppm未満、約20ppm未満、約19ppm未満、約18.5ppm未満、約17ppm未満、約16ppm未満、約15ppm未満、約14ppm未満、約13ppm未満、約12ppm未満、約11ppm未満、約10ppm未満、約9ppm未満、約8ppm未満、約7ppm未満、約6ppm未満、約5ppm未満、約4ppm未満、約3ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満のニトロソアミン不純物を有する。1つの実施形態では、分析技術は、HPLC、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、滴定、NMR、またはLC-ESI-HRMSである。
【0111】
別の実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、HPLC、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、滴定、NMR、またはLC-ESI-HRMSによって決定して、約50ppm、約40ppm、約30ppm、約25ppm、約24ppm、約23ppm、約22ppm、約21ppm、約20ppm、約19ppm、約18.5ppm、約17ppm、約16ppm、約15ppm、約14ppm、約13ppm、約12ppm、約11ppm、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppmのニトロソアミン不純物を有する。
【0112】
さらに別の実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、HPLC、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、滴定、NMR、またはLC-ESI-HRMSによって決定して、約50ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満、約25ppm未満、約24ppm未満、約23ppm未満、約22ppm未満、約21ppm未満、約20ppm未満、約19ppm未満、約18.5ppm未満、約17ppm未満、約16ppm未満、約15ppm未満、約14ppm未満、約13ppm未満、約12ppm未満、約11ppm未満、約10ppm未満、約9ppm未満、約8ppm未満、約7ppm未満、約6ppm未満、約5ppm未満、約4ppm未満、約3ppm未満、約2ppm未満、約1ppm未満のニトロソアミン不純物を有する。
【0113】
D.バレニクリン化合物
本明細書に記載される本発明のプロセスによって生産されるバレニクリンは、L-酒石酸塩、D,L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、メゾ酒石酸塩の形態であり得る。酒石酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸などを、ニトロソアミンの除去のために用いることができる。塩はインサイチュで形成され、塩を水相に溶解し、溶解しないニトロアミンを、ニトロソアミン不純物を取り除くために有機溶媒中で抽出する。さらに、水層を酸性化して純粋なバレニクリン塩基を得る。さらに、そのような塩形態は無水、水和物、または一水和物であってもよい。そのような形態は、1mgのバレニクリン遊離塩基あたり、150ppm未満、約125ppm未満、約100ppm未満、約75ppm未満、約50ppm未満、約25ppm未満、約20ppm未満、約19ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満、または約5ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリンを有するバレニクリン化合物をヒト対象に投与するのに適切である。
【0114】
他の実施形態では、酒石酸バレニクリンは、1mgのバレニクリン遊離塩基あたり、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppm、または約10ppmのN-ニトロソ-バレニクリンを有する。
【0115】
本明細書に記載のプロセスは、様々な形態の実質的に純粋なバレニクリンAPIを作成するために用いることができる。L-酒石酸塩は、3つのあり得る形態:2つの無水形態および1つの水和物形態として存在する。2つの無水形態(形態Aおよび形態B)のうち、形態Aは動態多形であり、適切な条件下で熱力学的に好ましい形態Bへと転換する。水和物L-酒石酸塩形態Cは一水和物であり、周囲条件下で相対的に安定である。真空下において適温でその1等量の水を少なくとも1日維持するが(例えば、45℃の真空オーブン中で24時間)、最終的には、経時的に(すなわち、48時間以上)、水を失って無水形態Bへと転換する。形態Bは、低湿度で最も安定な多形である。したがって、形態Bは、医薬製剤の使用のための5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.04,9]-ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエンのL-酒石酸塩の最も適切かつ最も安定な多形と考えられる。
【0116】
E.不純物
3つのニトロソアミン不純物が、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)APIの製造プロセス中に形成され得る。ジニトロニトロソアミン不純物は、1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(KSM)の調製のためのニトロ化反応中に形成され得る。この不純物はキャリーオーバー不純物であり、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)合成手順のステージ1においてジアミノニトロソアミン不純物へと転換する。このジアミノニトロソアミンは、その後のステージにおいてバレニクリンニトロソアミン不純物へと転換する。両方のジニトロニトロソアミンおよびジアミノニトロソアミンはキャリーオーバー不純物であり、製造プロセス中にバレニクリンニトロソアミンに転換するため、これらのジニトロニトロアミンおよびジアミノニトロソアミン不純物はステージ3において制御され、精製自体の前にバレニクリン遊離塩基中に「検出されない」レベルで観察される。
【0117】
合計17の不純物が、バレニクリン遊離塩基(ステージIII)合成プロセスにおいて制御される。これらの不純物は、プロセス関連不純物である。これらのプロセス関連不純物のうち、一部の不純物は潜在的な遺伝毒性不純物として特定され、NMT0.0426%w/wの制限で制御される。他のバレニクリン関連化合物は全て、ICH Q3Aに従ってNMT0.15%の制限で制御される。
【0118】
さらに、6つのプロセス関連/分解不純物は、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPIにおいて、NMT0.15%w/wの制限で制御される。
【0119】
さらに、3つのニトロソアミン不純物は、それぞれプレミックスAPIにおいてNMT5.26ppmの制限で制御され、総ニトロソアミンは、NMT7.24ppmの制限で制御される。
【0120】
このプロセスは、ニトロソアミン不純物をAPIから取り除くのに効率的である。ニトロソアミン不純物は、pKa2~6を有する有機酸または無機酸を用いてバレニクリン塩基をバレニクリン塩へと転換することによって実質的または完全に取り除かれる。ニトロソ基の存在に起因して塩基性窒素の不存在により、ニトロソアミン不純物が酸の塩を形成することが妨げられるので、ニトロソアミン不純物は、水溶液中に溶解することができず、有機溶媒中に抽出され得る。したがって、ニトロソアミン不純物は、この酸-塩基処理プロセスにおいて完全に除去され得る。
【0121】
1つの実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、分析技術によって決定して、約0.2%w/wを超えない、約0.15%w/wを超えない、約0.1%w/wを超えない、約0.05%w/wを超えない、約0.0438%w/wを超えない、約0.03%w/wを超えない、約0.02%w/wを超えない、または約0.01%w/wを超えない、以下の表5および6に挙げたもののような不純物、例えば、バレニクリンKSM、バレニクリンステージ-01、モノニトロ(保護)化合物、メタジニトロ(保護)化合物、モノニトロ(脱保護)、不純物-G、メタジニトロ(脱保護)、モノアミノ(保護)化合物、メタジアミノ(保護)化合物、不純物-C、不純物-F、不純物-D、アミノニトロ(保護)、アミノニトロ(脱保護)、バレニクリンステージ-02、メチルバレニクリン(保護)、またはメチルバレニクリンを有する。1つの実施形態では、分析技術は、HPLC、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、滴定、NMR、またはLC-ESI-HRMSである。
【0122】
別の実施形態では、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)は、分析技術によって決定して、約10ppm、約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5.26、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppmを超えないジニトロニトロソアミン不純物、ジアミノニトロソアミン不純物、またはニトロソバレニクリン不純物を有する。1つの実施形態では、分析技術は、HPLC、LCMS、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、滴定、NMR、またはLC-ESI-HRMSである。
【0123】
あり得る不純物のリストを以下の表5および6に提供する。
【0124】
【0125】
【0126】
F.バレニクリン化合物を含む医薬組成物
本開示の実質的に純粋なL-酒石酸塩、D-酒石酸塩、D,L-酒石酸塩、およびメゾ酒石酸塩は、経口、経皮(例えば、パッチ)、鼻腔内、舌下、直腸、非経口または局所経路のいずれかを介して投与され得る。経皮および経口投与が好ましい。これらの塩は、1日あたり約0.01mgから約1500mgまで、好ましくは1日あたり約0.1~約300mgの範囲の投薬量で、1回または分割用量で投与され得るが、処置される対象の体重および状態ならびに選択される特定の投与経路に応じて、変動が必ず生じる。しかしながら、約0.001mg~約10mg/kg体重/日の範囲の投薬量レベルが典型的に用いられる。
【0127】
酒石酸塩は、単独で、または薬学的に許容できる担体または希釈剤と組み合わせて、前に示した様々な経路のいずれかによって投与され得る。より具体的には、活性の塩は、多種多様の異なる剤形において投与することができ、例えばそれらは、錠剤、カプセル、経皮パッチ、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディ、粉末、スプレー、クリーム、膏薬、坐薬、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、水性懸濁液、注入可能な溶液、エリキシル剤、シロップなどの形態において、様々な薬学的に許容できる不活性担体と組み合わせられ得る。そのような担体は、固体の希釈剤または充填剤、滅菌水性培地および様々な非毒性有機溶媒を含む。加えて、経口医薬組成物は、適切に甘味付けおよび/または香味付けすることができる。一般に、活性の化合物は、約5.0%~約70%(重量)の範囲の濃度レベルでそのような剤形中に存在する。
【0128】
経口投与のために、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンのような様々な賦形剤を含む錠剤が、デンプン(好ましくはトウモロコシ、イモまたはタピオカデンプン)、アルギン酸および特定の複合体ケイ酸塩のような様々な崩壊剤とともに、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアカシアなどの造粒バインダと一緒に用いられ得る。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような平滑剤を、錠剤化目的のために用いることができる。同様のタイプの固形組成物をゼラチンカプセル中の充填剤として用いてもよい;この関連において好ましい材料は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールも含む。水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与に所望である場合は、活性成分を、様々な甘味料または香料、着色剤、および、もし所望のならば、乳化剤および/または懸濁剤とともに、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびそれらの様々な組み合わせのような希釈剤と一緒に組み合わせてよい。
【0129】
1つの実施形態では、0.5mgバレニクリン錠剤は、約0.5mgのバレニクリン遊離塩基と同等の約0.85mgの酒石酸バレニクリンを含む。別の実施形態では、1mgのバレニクリン錠剤は、約1mgのバレニクリン遊離塩基と同等の約1.7mgを含む。
【0130】
特定の実施形態では、錠剤は、
約0.85mgの実質的に純粋な酒石酸バレニクリン(0.5mgの遊離塩基と同等);
約5~15mgのクロスカルメロースナトリウム
約5~50mgのマルトデキストリン;
約100~200mgの微結晶セルロース;
約0.5~2.0mgのステアリン酸
を含む。
【0131】
別の特定の実施形態では、錠剤は、
約1.7mgの実質的に純粋な酒石酸バレニクリン(1mgの遊離塩基と同等);
約5~15mgのクロスカルメロースナトリウム
約5~50mgのマルトデキストリン;
約100~200mgの微結晶セルロース;
約0.5~2.0mgのステアリン酸
を含む。
【0132】
錠剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、タルク、および二酸化チタンを含むコーティング材料でフィルムコーティングすることができる。別の実施形態では、錠剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、タルク、二酸化チタン、FD&Cブルー#2/インジゴカルミンアルミニウムレーキおよび酸化鉄(黄色)を含むコーティング材料でフィルムコーティングされる。
【0133】
別の実施形態では、錠剤は、実質的に純粋な酒石酸バレニクリン、微結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、Opadry(登録商標)White(0.5mgのバレニクリン遊離塩基について)、Opadry(登録商標)Blue(1mgのバレニクリン遊離塩基)、およびOpadry(登録商標)Clearを含む。
【0134】
G.処置方法
本開示はさらに、必要とする対象におけるニコチン依存症、嗜癖および禁断症状を処置するための方法を提供し、その方法は、1mgのバレニクリン遊離塩基あたり、150ppm未満、約125ppm未満、約100ppm未満、約75ppm未満、約50ppm未満、約25ppm未満、約20ppm未満、約15ppm未満、約10ppm未満、または約5ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリンを有する、ヒト対象へのバレニクリン塩の投与を含む。
【0135】
他の実施形態では、酒石酸バレニクリンは、1mgのバレニクリン遊離塩基あたり、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppm、または約10ppmのN-ニトロソ-バレニクリンを有する。
【0136】
別の実施形態では、必要とする対象におけるニコチン依存症、嗜癖および禁断症状のための処置方法であり、その方法は、実質的に純粋な酒石酸バレニクリンを含む医薬組成物の経口投与を含む。
【0137】
一部の実施形態では、バレニクリンは、禁煙するために患者によって設定された日の1週間前に経口投与される。あるいは、患者は、投薬を始めて、それから、処置の8~35日目の間に禁煙することができる。
【0138】
一部の実施形態では、バレニクリン遊離塩基の推奨される用量は、以下の表7に詳述されるように、1mgを1日2回の後に、1週間の滴定である。
【0139】
【0140】
患者は好ましくは、バレニクリンで12週間処置される。12週間の終了時に禁煙に成功した患者については、長期の禁欲の可能性をさらに増大させるために追加コースの12週間のバレニクリンによる処置が推奨される。
【0141】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法は、最初の4週間以内にベースラインから喫煙を50%減少させ、次の4週間でさらに50%減少させ、12週で完全な禁欲に到達する目標で減少させ続ける。本開示はまた、必要とする対象におけるニコチン依存症、嗜癖および禁断症状の処置方法に関し、その方法は、約0.5mg~約2mgの実質的に純粋な酒石酸バレニクリンを含む医薬組成物を提供するステップ;および1回または複数回の1日用量で組成物を経口投与するステップを含み、ここで、対象は、1日あたり合計約37ng以内のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を受ける。1つの実施形態では、組成物は、LC-ESI-HRMS方法;HPLC;またはLCMSによって測定して25ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を有する約1.7mgの酒石酸バレニクリンを含む。別の実施形態では、組成物は、LC-ESI-HRMS方法;HPLC;またはLCMSによって測定して25ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を有する約0.85mgの酒石酸バレニクリンを含む。
【0142】
あるいは、組成物は、LC-ESI-HRMS方法、HPLC、またはLCMSによって測定して19ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を有する約1.7mgの酒石酸バレニクリンを含み;または、組成物は、LC-ESI-HRMS方法、HPLC、またはLCMSによって測定して19ppm未満のN-ニトロソ-バレニクリン不純物を有する約0.85mgの酒石酸バレニクリンを含む。
【0143】
1つの実施形態では、本開示の化合物、中間体および医薬組成物は、ニコチン嗜癖、炎症性腸疾患(制限されないが、潰瘍性大腸炎、壊疽性膿皮症およびクローン病を含む)、過敏性腸症候群、痙攣性ジストニア、慢性疼痛、急性疼痛、セリアックスプルー、嚢炎、血管狭窄、不安、パニック障害、鬱病、双極性障害、自閉症、睡眠障害、時差ぼけ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知機能障害、高血圧症、過食症、食欲不振、肥満、心筋梗塞、不整脈、胃酸分泌過多、潰瘍、褐色細胞腫、進行性核上麻痺、薬物依存および嗜癖(例えば、ニコチン(および/またはタバコ製品)、アルコール、ベンゾジアゼピン、バルビツレート、オピオイドまたはコカインに対する依存または嗜癖)、頭痛、脳卒中、外傷性脳損傷(TBI)、強迫性障害、精神病、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジア、多動、失読症、神経分裂症、多発脳梗塞性認知症、年齢関連の認知低下、小発作性の欠神てんかんを含むてんかん、アルツハイマー型の老年性認知症(AD)、パーキンソン病(PD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)およびトゥレット症候群の処置に用いられる。
【0144】
別の実施形態では、本開示の化合物、中間体および医薬組成物は、AD、PD、脳卒中、ハンチントン舞踏病または外傷性脳損傷(TBI)に関連する認知低下および鬱病の両方を処置するために、例えば三環系抗鬱薬またはセロトニン再取込み阻害抗鬱薬(SRI)のような抗鬱薬と組み合わせて:例えばALS、認知機能障害、年齢関連の認知低下、AD、PD、脳卒中、ハンチントン舞踏病およびTBIの処置のために、中心性ムスカリン受容体およびニコチン受容体の両方を刺激するためにムスカリン性アゴニストと組み合わせて;例えばALS、認知機能障害、年齢関連の認知低下、AD、PD脳卒中、ハンチントン舞踏病およびTBIの処置のために、コリン作動薬増強を最大限にするためにNGFのような神経栄養因子と組み合わせて;または、ADを遅延または阻止する薬剤、例えば、認知改善薬、アミロイド凝集阻害剤、セクレターゼ阻害剤、tauキナーゼ阻害剤、ニューロン抗炎症剤およびエストロゲン様療法と組み合わせて、用いてもよい。
【実施例0145】
H.実施例
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を示すために含まれる。しかしながら、当業者は本開示に照らして、開示される特定の実施形態において改変がなされ得ること、および、それでもなお、本発明の主旨および範囲を逸脱せずに同様または類似の結果を得ることができることを理解するはずである。したがって、示される全ての事柄は例示的であり、限定する意味ではないことが理解されるべきである。
【0146】
KSM、1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノンからの酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)の調製のための実施例が提供される。ニトロソアミンを除去するためのバレニクリン塩基の精製、および、精製前後のバレニクリン塩基におけるニトロソアミン含有量の結果を示すための実施例も提供される。
【0147】
実施例1-ステージI:1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンの調製
【0148】
以下は、1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.0
2,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(KSM)からスタートして、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.0
2,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ジアミノ)を生産するための化学反応の説明である。合成手順を以下に詳細に述べる。この合成手順全体を通して、X=32.50±2.50kgの1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.0
2,7ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン]である。
【0149】
パートA
反応器Aおよび触媒調製容器をメタノールで事前に清澄化し、真空下で乾燥させる。反応器A内に、以下の材料を順に投入する:11.50Xkgのメタノールおよび1.00Xkgの1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(KSM)(30±5℃の温度にて)。パウダートランスファーシステム(PTS)を0.30Xkgのメタノールで流し、流したメタノールを反応器A内に移す。次に、1.00Xkgのメタノールを反応器Aに噴霧ノズルを通して添加する。
【0150】
触媒調製容器内に、0.10Xkgの10%パラジウム炭素および1.00Xkgのメタノールを窒素雰囲気下で添加する。触媒スラリーを10±5分間撹拌する。
【0151】
混合溶液の圧力を約1.0kg/cm2まで上げ、触媒スラリーを触媒調製容器から反応器A内へ窒素雰囲気下で移す。
【0152】
1.00Xkgのメタノールを触媒調製容器内に投入し、混合物を5分間撹拌する。圧力を1.0kg/cm2に上げ、メタノールを反応器A内へ窒素雰囲気下で移す。1.00Xkgのメタノールを反応器A内へ噴霧ノズルを通して投入する。
【0153】
反応質量を、5.0~6.0kg/cm2の水素圧の下、35±5℃で3時間±5分間撹拌する。反応は、わずかに発熱性である。温度は、40℃を超えて上昇するべきではない。もし温度が45℃を超える場合は、水素を放出し、反応器ジャケット内で冷却水/冷却塩水を用いて質量を冷却する。
【0154】
反応を監視するために、反応サンプルを、1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(KSM)の含有量について、HPLC分析(%面積)によって確認する。試験パラメーターを表8に提供する。
【0155】
【0156】
反応サンプルが制限を満たす場合は、次の操作に進む。反応サンプルが制限を満たさない場合は、反応質量を35±5℃の温度および5.0~6.0kg/cm2の圧力で維持し、2時間毎の間隔で、満たすまでサンプルを試験する。
【0157】
次いで、反応質量を反応器Aから触媒濾過器を通して濾過し、澄んだ濾液を反応器Aへと再循環させる。触媒濾過器からの濾液を、カートリッジ濾過器Aを通して母液タンク内に集める。次いで、3.16Xkgのメタノールを反応器A内へ噴霧ノズルを通して投入する。メタノールを反応器Aから、触媒濾過器を通して濾過し、濾液を、カートリッジ濾過器Aを通して母液タンク内に移す。母液タンクからの濾液を反応器B内に移行ライン領域を通して窒素雰囲気下で移して回収する。
【0158】
次いで、0.35Xkgのメタノールを母液タンク内に窒素雰囲気下で投入する。次いで、母液タンクからのメタノールを反応器B内に移行ライン領域を通して窒素雰囲気下で移して回収する。
【0159】
80Lのプロセス水を触媒調製容器内に投入し、300Lのプロセス水を反応器A内に噴霧ノズルを通して投入する。水を反応器Aへ触媒濾過器を通して再循環させる。再循環水を母液タンク内へ排水する。
【0160】
パートB
反応器(反応器B/C)、カートリッジ濾過器B、および遠心分離機Bを、メタノールで事前に清澄化し、真空下で乾燥させる。真空トレイ乾燥器をヘキサン類(異性体の混合物)で流し、真空下で乾燥させる。乾燥器を真空下で乾燥させる。
【0161】
反応器Bを用いる場合は、母液タンクからの濾液を反応器B内へカートリッジ濾過器Bを通して窒素雰囲気下で回収する。反応器Cを用いる場合は、濾液を母液タンクから清潔なHDPEコンテナー内へ反応器C付近の移行ラインを通して窒素雰囲気下で回収する。およそ半量の濾液が反応器C内へカートリッジ濾過器Bを通してHDPEコンテナーから窒素雰囲気下で投入される。
【0162】
メタノールを650mmHg以上の真空下および45℃以内の温度で完全に留去する。温度は45℃を超えてはならず、蒸留時間は15時間を超えてはならない。真空を窒素雰囲気下で解除し、質量を30±3℃まで冷却する。
【0163】
0.34Xkgのヘキサン類を反応器B内へ窒素雰囲気下で投入し、NLT650mmHgの真空を適用する。ヘキサン類をNLT650mmHg真空下およびNMT45℃の温度で完全に留去する。真空を窒素雰囲気下で解除し、質量を30±3℃まで冷却する。
【0164】
2.62Xkgのヘキサン類を反応器B/C内へ30±3℃にて窒素雰囲気下で投入する。質量を30±3℃で2時間±5分間撹拌し、遠心分離機Bを通して500±50のRPMで、窒素雰囲気下で濾過する。遠心分離機RPMを950±50まで上げ、材料を撹拌して乾燥させる。反応器Bを0.655Xkgのヘキサン類で、窒素雰囲気下で流す。
【0165】
500±50のRPMで遠心分離機B中の湿ケークを窒素雰囲気下、前の操作から得られたヘキサン類で洗浄する。遠心分離機RPMを950±50まで上げ、材料を撹拌して乾燥させる。次いで、スピン乾燥材料を乾燥器内に投入し、43±2℃の温度およびNLT650mmHgの真空下で8時間±5分間乾燥させる。次いで、真空を解除し、乾燥材料を取り出して計量する。
【0166】
収率:予期される収率は約0.60X~0.80Xである。収率パーセンテージ[収率パーセンテージ=(得られた収率×100)/理論収率]は、約72.28~約96.38%である。
【0167】
実施例2-ステージII:1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンの調製
【0168】
以下は、1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.0
2,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(ジアミノ)からスタートして、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.0
2,11.0.
4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(キノキサリン)を生産するための化学反応の説明である。合成手順を以下に詳細に述べる。この合成手順全体を通して、X=38.00±1.50kgの酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-01(ジアミノまたは「酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-01」)である。
【0169】
反応器2-Aおよび真空トレイ乾燥器をメタノールで流し、真空下で乾燥する。反応器B/Cをプロセス水で流し、真空下で乾燥する。ガラス投与タンクおよび遠心分離機をプロセス水で清澄化する。カートリッジ濾過器および混合容器MV-0101をメタノールで流す。
【0170】
グリオキサール重亜硫酸ナトリウム水溶液の調製:5.61XLのプロセス水を反応器B/C内に投入する。0.802Xkgの重亜硫酸ナトリウムを反応器B/C内に窒素雰囲気下で添加し、0.56Xkgの40%グリオキサール水溶液を反応器B/C内に30±3℃にて撹拌条件下で投入する。溶液の透明性を視覚的に確認する。溶液が透明の場合は次の操作に進む。溶液が透明でない場合は、溶液を30±3℃で撹拌し、溶液の透明性を15分毎に、溶液が透明になるまで確認する。
【0171】
1.58Xkgのメタノールを反応器2-A内に窒素雰囲気下で投入し、1.00Xkgの酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-01(またはジアミノ)を反応器2-A内に30±3℃で投入する。2.00XLのプロセス水を反応器2-A内に窒素雰囲気下で30±3℃にて添加する。次いで、質量を30±3℃で15±分間攪拌する。質量温度を撹拌下で58±2℃まで上げる。
【0172】
グリオキサール重亜硫酸ナトリウム水溶液を投与タンク内へ反応器B/Cから残留真空を用いてロット単位で投入し、窒素を用いて真空を解除する。反応器B/C内の全てのグリオキサール重亜硫酸ナトリウム水溶液が投与タンク内に添加された時点で、反応器を0.15XLのプロセス水で流し、流した水を投与タンク内に投入する。
【0173】
グリオキサール重亜硫酸ナトリウム水溶液を投与タンクから反応器2-Aに58±2℃で45分かけてゆっくり添加する。投与タンクから流した水を反応器2-A内に投入する。質量を58±2℃で3時間±5分間撹拌する。酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-01(またはジアミノ)含有量をHPLC分析によって確認する。酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-01(またはジアミノ)含有量は、1.50(%面積)以内であるべきである。含有量がこの制限を超える場合は、反応質量を58±2℃で2時間維持し、2時間毎の間隔で制限を満たすまで再試験する。HPLCサンプルが制限を満たした時点で、質量を30±3℃まで冷却する。次いで、10.00XLのプロセス水を反応器2-A内へ投入ラインを通して30±3℃で投入する。質量を30±3℃の温度で1時間±5分間撹拌する。必要な場合は、質量を27±3℃まで冷却する。質量を27±3℃の温度で1時間±5分間撹拌する。
【0174】
粗-I濾過:反応器2-Aから得られた質量を、500±50のRPMで遠心分離機を通して窒素雰囲気下で濾過する。遠心分離機RPMを950±50まで上げて、材料をスピン乾燥させる。反応器2-Aを2.00XLのプロセス水で流す。湿ケークを500±50のRPMで遠心分離機において、前の操作から得られたプロセス水を用いて窒素雰囲気下で洗浄する。遠心分離機RPMを950±50まで上げて、材料をスピン乾燥させる。遠心分離機を止めて、10±2分間待った後に、スピン乾燥材料を遠心分離機から窒素雰囲気下で取り出す。
【0175】
断続的なクリーニング:反応器2-Aを10Lのプロセス水で流し、流した水を強い排水(strong effluent)へ排出する(drained in to strong effluent)。
【0176】
水スラリー洗浄:7.00XLのプロセス水を反応器2-A内へ投入ラインを通して投入する。スピン乾燥材料を反応器2-A内にマンホールを通して窒素雰囲気下で投入する。質量を10±5分間27±3℃で撹拌する。
【0177】
断続的なクリーニング:遠心分離機を10Lのプロセス水で流し、流した水を強い排水へ排出する。
【0178】
粗-II濾過:反応器2-Aから得られた質量を500±50のRPMで遠心分離機を通して窒素雰囲気下で濾過する。遠心分離機RPMを950±50まで上げて、材料をスピン乾燥させる。反応器2-Aを2.00XLのプロセス水で流す。湿ケークを500±50のRPMで遠心分離機において前の操作から得られたプロセス水を用いて窒素雰囲気下で洗浄する。遠心分離機RPMを950±50まで上げて、材料を950±50のRPMでスピン乾燥させる。遠心分離機を止める。10±2分間待った後、スピン乾燥材料を窒素雰囲気下で取り出す。
【0179】
断続的なクリーニング:反応器2-Aおよび反応器B/Cを10.00kgのメタノールを用いてそれぞれ流す。5.00kgのメタノールをガラス投与タンク内へ真空を用いて投入し、真空を制御することによってメタノールを3~4回はね返らせる。はね返ったメタノールを排出する。
【0180】
精製:3.00Xkgのメタノールを反応器2-A内へ窒素雰囲気下で投入する。スピン乾燥材料を反応器2-A内へ30±3℃での撹拌下、窒素雰囲気下で投入する。反応器2-Aを0.95Xkgのメタノールで、窒素雰囲気下で流す。撹拌しながら質量温度を55±2℃まで上げる。溶液の透明性を視覚的に確認する。溶液が透明でない場合は、0.50Xkgのメタノールを反応器2-A内へ投与タンクを介して55±2℃で残留真空を用いることにより撹拌下で投入し、窒素を用いて真空を解除する。この手順を溶液が透明になるまで繰り返すことができる。溶液が透明になった時点で、質量を反応器2-Aから反応器B/Cへカートリッジ濾過器を通して55±2℃で真空を用いることによって移す。質量を30±5℃までゆっくり冷却し、それから、7.5±2.5℃まで冷却する。質量を7.5±2.5℃で3時間±5分間撹拌する。
【0181】
断続的なクリーニング:遠心分離機を5.00kgのメタノールで流す。
【0182】
生成物の単離:得られた質量を反応器B/Cから500±50のRPMで遠心分離機を通して窒素雰囲気下で濾過する。遠心分離機RFMを950±50まで上げて、材料をスピン乾燥させる。0.79Xkgのメタノールを混合容器MV-0101内へ投入ラインを通して窒素雰囲気下で投入する。メタノールを7.5±2.5℃まで冷却する。冷却メタノールを混合容器MV-0101からHDPEコンテナー内へ取り出し、反応器B/Cを冷却メタノールで、窒素雰囲気下で流す。湿ケークを反応器B/Cから得られた冷却メタノールを用いて500±50のRPMで遠心分離機において窒素雰囲気下で洗浄する。遠心分離機RPMを950±50まで上げて、材料をスピン乾燥させる。遠心分離機を止めて、10±2分間待った後に、スピン乾燥材料を窒素雰囲気下で取り出す。
【0183】
乾燥:スピン乾燥材料を乾燥器VTD-101/102内に投入し、43±2℃の温度およびNLT650mmHgの真空下で10時間±5分間乾燥させる。10th時間での乾燥時の損失(%w/w)を確認する。サンプルはNMT1.0%の仕様書制限を有するべきである。乾燥が完了した時点で、乾燥および真空を乾燥器内で窒素により解除する。乾燥材料を取り出して計量する。
【0184】
収率:予期される収率は約0.50X~0.75Xである。収率パーセンテージ[収率パーセンテージ=(得られた収率×100)/理論収率]は約46.29~約69.44%である。
【0185】
実施例3-ステージIII:精製7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピンの調製
【0186】
以下は、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.0
2,11.0.
4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(キノキサリン)からスタートして、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(バレニクリン遊離塩基)を生産するための化学反応の説明である。合成手順を以下に詳細に述べる。この合成手順全体を通じて、X=27.00±3.00kgの酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-02(1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.0
2,11.0.
4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンまたは(キノキサリン))およびY=半乾燥材料Aの量である。
【0187】
事前クリーニング:反応器B/Cおよび反応器2-Aを10Lの精製水でそれぞれ流す。流した精製水を弱い排水(lean effluent)で排出し、反応器を真空下で乾燥させる。反応器Cおよびスパークラー濾過器SF-0104を10.00kgの二塩化メチレンでそれぞれ流す。反応器Cを真空下で乾燥させる。Nutsche濾過器SSNF-301/NF-0303を10.00kgのメタノールで流す。混合容器MV-0101を5.00kgのメタノールで流す。濾布を固定し、スパークラー濾過器SF-0104を組み立てる。カートリッジ濾過器を2.00kgの二塩化メチレンで流す。真空トレイ乾燥器を10.00kgの第3級ブチルメチルエーテルで流し、乾燥器を真空下で乾燥させる。保持タンクを5.00kgの二塩化メチレンで流す。
【0188】
炭酸ナトリウム水溶液の調製:6.25XLの精製水および0.69Xkgの炭酸ナトリウムを反応器2-A内へ投入し、透明になるまで質量を撹拌する。
【0189】
塩化ナトリウム溶液の調製:2.86XLの精製水および1.00Xkgの塩化ナトリウムを反応器B/C内に投入し、塩化ナトリウム溶液を10±5分間撹拌する。
【0190】
反応:4.00Xkgのメタノールを反応器B/C内へ投入ラインを通して窒素雰囲気下で投入する。1.00Xkgの酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-02(または(1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン)を反応器内へ、反応器B/Cマンホール/PTS/Powder charging AOD the manholeを通して30±3℃で投入する。反応器B/Cを0.74Xkgのメタノールで30±3℃にて窒素雰囲気下で流す。質量を30±3℃で15±5分間撹拌する。炭酸ナトリウム水溶液を反応器2-Aから反応器B/C内へ移行ラインを通して30±3℃でゆっくり移し、反応質量を30±3℃で15±5分間撹拌する。反応質量の温度を67±3℃まで上げる。
【0191】
断続的なクリーニング:反応器2-Aを10.00kgのメタノールで流す。
【0192】
質量を67±3℃で3時間±5分間撹拌する。反応を監視するために、サンプルを酒石酸バレニクリンステージ-02(これは、1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンまたはキノキサリンである)含有量についてHPLC分析によって確認する。含有量は、NMT0.10(%面積)であるべきである。HPLCサンプルによる酒石酸バレニクリンステージ-02が制限を満たさない場合は、反応質量を67±3℃の温度で維持し、サンプルを2時間毎の間隔で、満たすまで確認する。次いで、反応質量を30±3℃まで冷却する。
【0193】
濾過:反応質量を反応器B/CからNutsche濾過器SSNF-301/NF-0303を通して窒素雰囲気下で濾過する。真空を用いて、視覚的に確認して母液の除去速度が1分あたり数滴に減少するまで窒素雰囲気下で材料を吸引乾燥させる。反応器B/Cを1.58Xkgのメタノールで流す。湿ケークを前の操作から得られる流したメタノールで洗浄する。真空を用いて、視覚的に確認して濾液の除去速度が1分あたり数滴に減少するまで窒素雰囲気下で材料を吸引乾燥させる。湿ケークをNutsche濾過器から取り出す。
【0194】
断続的なクリーニング:反応器B/Cを10.00kgのメタノールで流す。
【0195】
蒸留:濾液を反応器B/C内へ真空/投入ノズルを通して窒素雰囲気下で投入する。NLT650mmHgの真空を反応器B/Cに適用する。次に、3.0X~6.0XkgのメタノールをNLT650mmHgの真空下およびNMT50℃の温度で留去する。反応器B/Cにおいて窒素を用いて真空を解除する。質量を30±3℃まで冷却し、5.00XLの精製水を反応器B/C内に30±3℃で投入する。1.25Xkgの塩化ナトリウムを反応器B/C内に30±3℃にて窒素雰囲気下で投入する。質量を30±3℃で15±5分間撹拌する。
【0196】
抽出-I:6.65Xkgの二塩化メチレンを反応器B/Cライン内に窒素雰囲気下で投入する。質量を30±3℃で20±5分間撹拌する。次に、撹拌を止めて、質量を20±5分間静置する。底部の有機層(生成物層)を反応器B/Cから保持タンク内に分離し、上部の水層は反応器自体に維持する。抽出をさらに3回繰り返す(合計4回の抽出)。
【0197】
断続的なクリーニング:反応器B/Cを10Lの精製水で流し、流した水を強い排水へ排出する。
【0198】
保持タンクからの有機層を反応器2-Aに窒素雰囲気下で移す。反応器B/Cからの塩化ナトリウム溶液を反応器2-Aに窒素雰囲気下で移す。質量を30±3℃で20±5分間撹拌し、次いで、20±5分間静置する。底部の有機層を反応器2-Aから保持タンク内に分離し、水層を別個のコンテナー内に回収する。
【0199】
断続的なクリーニング:反応器2-Aを10.00kgのメタノールで流し、次いで10.00kgの二塩化メチレンで流す。
【0200】
スパークラー濾過器におけるハイフロ床の調製:130.00kgの二塩化メチレンを反応器2-A内に反応器投入ラインを通して窒素雰囲気下で投入する。5.00kgのハイフロを反応器2-A内へ反応器マンホールを通して投入し、ハイフロが二塩化メチレン中で完全に分散するまで撹拌を開始する。スパークラー濾過器SF-0104を通してハイフロを濾過し、ハイフロ床を形成する。このステップを透明な濾液が得られるまで再循環させ、次いで二塩化メチレンを反応器2-Aから清潔なHDPEコンテナー内に排出する。二塩化メチレンは、スパークラー濾過器から濾過前にのみ排出される。
【0201】
断続的なクリーニング:反応器2-Aおよび反応器Cを10.00kgの二塩化メチレンでそれぞれ流す。
【0202】
有機層を保持タンクから反応器2-Aに移行ラインを通して窒素雰囲気下で移す。0.10Xkgの活性炭を反応器2-A内へマンホールを通して30±3℃で投入し、質量を30±3℃で30±5分間撹拌する。次いで、反応質量を反応器2-Aからスパークラー濾過器SF-0104を通して濾過し、濾液を反応器Cにカートリッジ濾過器を通して窒素雰囲気下で移す(濾過の前に、二塩化メチレンをスパークラー濾過器から排出する)。次に、2.66Xkgの二塩化メチレンを反応器2-A内へ投入ラインを通して窒素雰囲気下で投入する。反応器2-Aから得られた二塩化メチレンを、スパークラー濾過器SF-0104を通して濾過し、濾液を反応器Cにカートリッジ濾過器を通して窒素雰囲気下で移す。真空を反応器Cに適用する。
【0203】
蒸留:二塩化メチレンを真空下およびNMT40℃の温度で留去する。1.48Xkgの第3級ブチルメチルエーテルを反応器C内へ真空を用いることによって投入する。次に、第3級ブチルメチルエーテルを真空下およびNMT40℃の温度で留去する。窒素を用いて真空を解除する。質量を30±3℃に冷却する。次に、2.96Xkgの第3級ブチルメチルエーテルを反応器C内に投入ラインを通して窒素雰囲気下で30±3℃にて投入する。質量を30±3℃で1時間±5分間撹拌する。質量を7±3℃まで冷却して2時間±5分間撹拌する。
【0204】
断続的なクリーニング:Nutsche濾過器SSNF-301/NF-0303を5.00kgの第3級ブチルメチルエーテルで流す。
【0205】
生成物の単離:反応質量を反応器CからNutsche濾過器SSNF-301/NF-0303を通して窒素雰囲気下で濾過する。真空を用いて、材料を窒素雰囲気下で吸引乾燥する。母液を清潔なHDPEコンテナー内に回収する。反応器Cを第3級ブチルメチルエーテルで、窒素雰囲気下で流し、流した第3級ブチルメチルエーテルを混合容器MV-0101へ移す。Nutsche濾過器内の湿ケークを反応器Cからの流した第3級ブチルメチルエーテルで洗浄し、窒素雰囲気下で吸引乾燥する。母液をHDPEコンテナー内に回収する。吸引乾燥材料をNutsche濾過器から窒素雰囲気下で取り出す。吸引乾燥材料を43±2℃の温度およびNLT650mmHgの真空下で2時間±5分間乾燥する。半乾燥材料(半乾燥材料A)のサンプルを分析のために計量して回収する。
【0206】
炭酸ナトリウム水溶液の調製:10.00YLの精製水および1.00Ykgの炭酸ナトリウムを反応器2-A内に投入して撹拌する。
【0207】
L(+)酒石酸溶液の調製:5.00YLの精製水を清潔なHDPEコンテナー内に投入し、0.78YkgのL(+)酒石酸を同一のHDPEコンテナー内に投入する。混合物を撹拌して透明な溶液を得る。
【0208】
断続的なクリーニング:反応器B/Cを最初に10.00kgのメタノールで流し、次いで10.00kgの二塩化メチレンで流す。
【0209】
精製:6.65YKgの二塩化メチレンを反応器B/C内へ投入ラインを通して窒素雰囲気下で投入する。半乾燥材料Aを反応器B/C内へ窒素雰囲気下で投入する。質量を30±5℃で10±5分間撹拌する。L(+)酒石酸溶液を反応器B/C内へ窒素雰囲気下で投入する。反応質量を30±5℃で15±5分間撹拌する。撹拌を止めて、質量を20±5分間静置する。底部の有機層を反応器B/Cから清潔なHDPEコンテナー内に分離し、上部の水層を反応器自体に維持する。
【0210】
6.65YKgの二塩化メチレンを反応器B/C内へ投入ラインを通して窒素雰囲気下で投入する。質量を30±5℃で20±5分間撹拌する。撹拌を止めて、質量を20±5分間静置する。底部の有機層を反応器B/Cから清潔なHDPEコンテナー内に分離し、上部の水層を反応器自体に維持する。
【0211】
炭酸ナトリウム水溶液を反応器B/C内へ反応器2-Aから移行ラインを通して窒素雰囲気下で移す。質量を30±5℃で20±5分間撹拌する。
【0212】
抽出:13.30Ykgの二塩化メチレンを反応器B/C内へ投入ラインを通して窒素雰囲気下で投入する。質量を30±5℃で20±5分間撹拌する。撹拌を止めて、質量を20±5分間静置する。底部の有機層を反応器B/Cから保持タンク内に分離し、上部の水層を反応器自体に維持する。抽出をさらに3回繰り返す。最後に、水層を別個のコンテナー内に取り出す。
【0213】
断続的なクリーニング:反応器Cを10Lの精製水で流し、流した水を強い排水で排出する。
【0214】
塩化ナトリウム溶液の調製:4.30YLの精製水および1.50Ykgの塩化ナトリウムを反応器C内に投入し、塩化ナトリウム溶液を10±5分間撹拌する。
【0215】
断続的なクリーニング:反応器2-Aを最初に10Lの精製水で流し、次いで10.00kgの二塩化メチレンで流す。
【0216】
有機層を保持タンクから反応器2-Aに移行ラインを通して窒素雰囲気下で移す。塩化ナトリウム溶液を反応器Cから反応器2-A内に移行ラインを通して窒素雰囲気下で移す。質量を30±5℃で20±5分間撹拌する。撹拌を止めて、質量を20±5分間静置する。底部の有機層を反応器2-Aから保持タンク内に分離し、水層を別個のコンテナー内に回収する。
【0217】
断続的なクリーニング:反応器Cを10.00kgの二塩化メチレンで流し、カートリッジ濾過器を2.00kgの二塩化メチレンで流す。
【0218】
有機層を保持タンクからカートリッジ濾過器を通して反応器C内へ投入ラインを通して窒素雰囲気下で移し、真空を反応器Cに適用する。
【0219】
蒸留:二塩化メチレンを真空下およびNMT40℃の温度で留去する。1.48Ykgの第3級ブチルメチルエーテルを反応器C内へ真空/投入ラインによって窒素雰囲気下で投入する。次に、第3級ブチルメチルエーテルを真空下およびNMT40℃の温度で蒸留する。窒素を用いて真空を解除し、質量を30±3℃まで冷却する。
【0220】
2.96Ykgの第3級ブチルメチルエーテルを反応器C内に窒素雰囲気下、30±3℃で流す。質量を30±3℃で1時間±5分間撹拌し、次いで7±3℃まで冷却する。次に、質量を7±3℃で2時間±5分間撹拌する。
【0221】
断続的なクリーニング:Nutsche濾過器SSNF-301/NF-0303を5.00kgの第3級ブチルメチルエーテルで流す。
【0222】
生成物の単離:反応質量を反応器CからNutsche濾過器SSNF-301/NF-0303を通して窒素雰囲気下で濾過する。真空を用いて、材料を窒素雰囲気下で吸引乾燥する。反応器Cを0.74Ykgの第3級ブチルメチルエーテルにより窒素雰囲気下で流し、流した第3級ブチルメチルエーテルを混合容器MV-0101に移す。流した第3級ブチルメチルエーテルを7±3℃まで冷却し、HDPEコンテナー内に取り出す。反応器Cを冷却した第3級ブチルメチルエーテルで、窒素雰囲気下で流す。Nutsche濾過器SSNF-301/NF-0303内の真空を、窒素を用いて解除する。Nutsche濾過器内の湿ケークを反応器Cから流した第3級ブチルメチルエーテルで洗浄し、窒素雰囲気下で吸引乾燥する。
【0223】
0.74Ykgの第3級ブチルメチルエーテルを混合容器MV-0101内に窒素雰囲気下で投入する。流した第3級ブチルメチルエーテルを7±3℃まで冷却し、HDPEコンテナー内に取り出す。反応器Cを、冷却した第3級ブチルメチルエーテルで、窒素雰囲気下で流す。Nutsche濾過器SSNF-301/NF-0303内の真空を、窒素を用いて解除する。Nutsche濾過器内の湿ケークを、反応器Cから流した第3級ブチルメチルエーテルで洗浄し、窒素雰囲気下で吸引乾燥する。Nutsche濾過器SSNF-301/NF-0303内の真空を、窒素を用いて解除し、吸引乾燥材料を窒素雰囲気下で取り出す。
【0224】
断続的なクリーニング:真空トレイ乾燥器を10.00kgの第3級ブチルメチルエーテルで流す。乾燥器を真空下で乾燥する。
【0225】
乾燥:吸引乾燥材料を43±2℃の温度およびNLT650mmHgの真空下で14時間±5分間乾燥する。サンプルを乾燥時の損失について確認する(仕様書制限:NMT2.0(%w/w))。満たす場合は、乾燥器内の真空を窒素で解除する。乾燥材料を10±2分間休ませ、次いで、内側が半透明で外側が黒色のポリエチレンバッグ内に取り出し、計量し、サンプルを試験のために取ってバッグを閉じる。材料を2℃~8℃の温度で保管する。
【0226】
収率:期待される収量は約0.20X~0.60Xである。収率パーセンテージ[収率パーセンテージ=(得られた収率×100)/理論収率]は約28.98~約86.95%である。
【0227】
実施例4-ステージIV:酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)の調製
【0228】
以下は、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(バレニクリン遊離塩基)からスタートして、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン、(2R,3R)-2,3-ジヒドロキシブタンジオエート.マルトデキストリンプレミックス(酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10))を生産するための化学反応の説明である。合成手順を以下に詳細に述べる。この合成手順全体を通じて、X=1.00±0.20kgの酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-03(または7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(バレニクリン遊離塩基))(LOD補正後)であり、Y=L(+)酒石酸の計算した量である。
【0229】
*ステージ-3の乾燥重量は、以下の式を用いて計算される:
【0230】
**L(+)酒石酸の重量は、以下の式を用いて計算される:
【0231】
***マルトデキストリンの重量は、以下の式を用いて計算される:
【0232】
事前クリーニング:混合容器MV-05-SD-1201および混合容器MV-1-5D-1201を、5.00kgのメタノールでそれぞれ流す。フィード調製容器FPV-1-SD-1201を5.00kgの精製水で流し、流した水を弱い排水へ排出する。カートリッジ濾過器CGF-1205/1206を2.00kgのメタノールで流す(カートリッジ:0.20ミクロン)。噴霧乾燥器SD-1201および真空トレイ乾燥器VTD-1201を、10.00kgのメタノールでそれぞれ流して乾燥させる。シフターSFT-1201およびそのメッシュを5.00kgのメタノールで流す。シフターをリントフリーの布で十分に拭き、窒素を用いて乾燥する。20#シフターメッシュをシフターSFT-1201内に固定する。
【0233】
15.80Xkgのメタノールを混合容器MV-05-SD-1201内に投入する。1.00Xkgの酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)ステージ-03(または7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(バレニクリン遊離塩基))を、混合容器MV-05-SD-1201内に投入する。透明な溶液が得られるまで質量を撹拌し、溶液をフィード調製容器FPV-1-SD-1201に移す。
【0234】
L(+)酒石酸溶液の調製:10.00Xkgの精製水および1.00YkgのL(+)酒石酸を混合容器MV-05-SD-1201内に投入する。透明な溶液が得られるまで質量を撹拌する。溶液をフィード調製容器FPV-1-SD-1201に移す。
【0235】
マルトデキストリン溶液の調製:60.07Xkgの精製水および17.12Xkgのマルトデキストリンを混合容器MV-05-SD-1201内に投入する。透明な溶液が得られるまで質量を撹拌する。溶液をフィード調製容器FPV-1-SD-1201に移す。質量を30±3℃で30±5分間、フィード調製容器FPV-1-SD-1201内で撹拌する。質量をフィード調製容器FPV-1-SD-1201から混合容器MV-1-SD-1201にカートリッジ濾過器CGF-1205/1206を通して窒素雰囲気下で移し、透明な溶液を得る。
【0236】
混合容器MV-05-SD-1201を20.00Xkgの精製水で流す。流した精製水をフィード調製容器FPV-1-SD-1201に移す。流した水をフィード調製容器FPV-1-SD-1201から混合容器MV-1-SD-1201にカートリッジ濾過器CGF-1205/1206を通して窒素雰囲気下で濾過し、透明な溶液を得る。
【0237】
噴霧乾燥:噴霧乾燥器SD-1201は、視覚的に清潔かつ乾燥している必要がある。窒素ガス圧を霧化に用いる。3.60kgのメタノールおよび16.40kgの精製水を含むプレーン溶媒混合物(混合物A)をHDPEコンテナー内に調製する。噴霧乾燥器のスイッチを入れ、噴霧乾燥器における必要なパラメーターを表10に示すとおりに設定し、噴霧乾燥器をプレーン溶媒混合物(混合物A)で実行して安定状態を達成する。溶液を混合容器MV-1-SD-1201から噴霧乾燥器SD-1201に供給する。
【0238】
【0239】
噴霧乾燥器の噴霧チャンバーを精製水で3時間±5分毎に断続的に清澄化し、窒素を用いて乾燥する、噴霧乾燥器をプレーン溶媒混合物で実行して安定状態を達成する。フィード溶液をNMT3時間供給する。噴霧乾燥器からの材料を窒素雰囲気下で取り出す。噴霧乾燥材料を乾燥器VTD-1201内に投入する。最初の残留溶媒分析を、GCを用いて行なう。結果を以下の表11に提供する。
【0240】
【0241】
乾燥:材料を35±5℃の温度およびNLT650mmHgの真空下で12時間±5分間乾燥する。乾燥時の損失を確認する(仕様書制限:NMT3.5%w/w)。サンプルがこの制限を満たした時点で、乾燥を止めて、窒素で真空を解除する。10±2分後、乾燥材料を窒素雰囲気下で取り出して計量する。
【0242】
ふるい分け(SIFTING):乾燥材料を含むバッグをシフターSFT-1201の下の排出シュートで縛り、シフト材料を窒素雰囲気下で回収する。シフターSFT-1201のスイッチを入れて、材料をシフター内に清潔なスコップを用いて窒素雰囲気下で投入する。シフターを、ふるい分け(sifting)の完了まで実行し、こし器にかけた(sieved)材料を排出シュート内に固定したバッグ内に窒素雰囲気下で回収して計量する。材料を冷却した保存領域へ移動させる。
【0243】
収率:予期される収率は約8.00X~18.0Xである。収率パーセンテージ[収率パーセンテージ=(得られた収率×100)/理論収率]は、約42.78~約96.25%である。
【0244】
実施例5-酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)の特性化
走査電子顕微鏡(SEM)を、結晶性API-PAT(結晶性酒石酸バレニクリン塩)(
図2)、マルトデキストリン(Glucidex 12D)(
図3)、APIプレミックス(酒石酸バレニクリン:マルトデキストリン-1:10)_PAT(
図4)およびAPI+マルトデキストリン(物理的ミックス)(1:10)(
図5)のイメージングのために用いた。
【0245】
噴霧乾燥プロセスは、SEM画像から観察されるように、本開示のプレミックスのほぼ球状形態を与えた。そのような形態は、プレミックスで用いたものと同じ重量比(すなわち1:10)の酒石酸バレニクリンおよびマルトデキストリンの物理的混合物では観察されない。この結果は、本開示の噴霧乾燥プロセスにより、酒石酸バレニクリンがマルトデキストリンマトリックス内に均一に分散している、ほぼ球状の形状の粒子が生産されることを示す。
【0246】
所定の体積について球状形状は最小の表面積を有するため、噴霧乾燥したプレミックスのほぼ球状の形態はプレミックスの最小限の表面積を与える。プレミックス粒子のこの小さい表面積は重要な因子である可能性があり、プレミックス粒子と製剤化で用いられる他の賦形剤との間の相互作用(接触)の程度をより少なくさせ、したがって、そのような相互作用(接触)のために形成される可能性のある任意の不純物の生成の機会を低減させる。
【0247】
バレニクリン/マルトデキストリン混合物の球状の凝集作用を作り出すことによる表面:体積比の減少は、活性剤と他の賦形剤との間の接触量を減少させ、それにより、不純物生成の可能性を減らす。
【0248】
そのような形態は、プレミックスで用いたものと同じ重量比(すなわち1:10)の酒石酸バレニクリンとマルトデキストリンの物理的混合物では観察されない。このことは、本開示の噴霧乾燥プロセスにより、酒石酸バレニクリンがマルトデキストリンマトリックス内に均一に分散している、ほぼ球状の形状の粒子が生産されることを示す。
【0249】
所定の体積について球状形状は最小の表面積を有するため、噴霧乾燥したプレミックスのほぼ球状の形態はプレミックスの最小限の表面積を与える。
【0250】
プレミックス粒子のこの小さい表面積は重要な因子である可能性があり、プレミックス粒子と製剤化で用いられる他の賦形剤との間の相互作用(接触)の程度をより少なくさせ、したがって、そのような相互作用(接触)のために形成される可能性のある任意の不純物の生成の機会を低減させる。
【0251】
実施例6-X線回折試験
酒石酸バレニクリンのX線ディフラクトグラムは、結晶形態Bの特徴的ピークの存在を示す(
図6Aおよび
図B)。一方で、噴霧乾燥プロセスは、X線回折試験によって観察されるように、非晶質形態で存在するバレニクリン-マルトデキストリンプレミックスをもたらす(
図7)。
【0252】
噴霧乾燥プレミックス形態における酒石酸バレニクリンの希釈は、製剤内の薬物物質と他の賦形剤との接触を減少させる役割を果たす可能性がある。この効果は、薬物物質と賦形剤が近づいて接触した場合の相互作用によって形成される本開示の薬物生成物における不純物のレベルを制御するのを助け得る。
【0253】
噴霧乾燥プロセスは、X線回折試験によって観察されるように、非晶質形態で存在するバレニクリン-マルトデキストリンプレミックスを生じさせる。
【0254】
噴霧乾燥プレミックス形態における酒石酸バレニクリンの希釈は、製剤内の薬物物質と他の賦形剤との接触を減少させる役割を果たす可能性がある。
【0255】
このことは、薬物物質と賦形剤が近づいて接触した場合の相互作用によって形成される、出願人が製造する薬物生成物における不純物のレベルを制御するのを助け得る。
【0256】
実施例7-不純物の試験
バレニクリンニトロソ-薬物物質関連の不純物の決定のためのLC-ESI-HRMS方法、米国FDA、2021年8月6日、https://www.fda.gov/media/151470/download(2022年2月27日にアクセス)を、不純物の試験のために用いることができる。
【0257】
プロセス全体に関する他の分析方法を、不純物の試験のために用いることができる。その方法はICHガイドラインに従って検証される。
【0258】
例えば、HPLC RS方法が不純物の定量に用いられる。ニトロソアミン、モノメチルおよびジメチル酒石酸エステルがLCMS方法によって定量される。
【0259】
実施例8-バレニクリン塩基(ステージ3)および酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPIを分析するために分析方法
バレニクリンの同様の発色団を有する全ての不純物を定量するためにバレニクリン塩基(ステージ3)を分析するためのHPLCによる2つの関連する物質方法を開発した。同じ2つのHPLC方法を用いて、それぞれの(respected)不純物の定量のために酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPIを分析した。HPLCによる第3のさらなるRS方法を、2つのさらなる不純物、すなわち、バレニクリンとマルトデキストリンの分解産物の反応に起因して形成し得るN-メチルバレニクリンおよびバレニクリン-N-グルコシド(Gluoside)を分析するために開発した。さらに、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPI内の不純物としての酒石酸のモノメチルおよびジメチルエステルを分析するために、2つのLCMS方法を開発した。さらに、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPI内のニトロソアミン不純物を定量するために、2つのLCMS方法を開発した。詳細な方法ならびにLOD値およびLOQ値を以下に述べる。関連物質の方法-Iおよび関連物質の方法-IIのリストをそれぞれ表12および表13に提供する。
【0260】
【0261】
【0262】
固定された制限(limit fixed)に関する計算(遺伝毒性)=PDE(μg/日)/MDD(mg/日)=1.5/3.42=0.438ppmまたは0.0438%w/w。
MDD=1日あたり3.42mgの酒石酸バレニクリン
【0263】
酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスにおいて制御されるプロセス不純物のリストを表14に提供する。
【0264】
【0265】
A.バレニクリン塩基(ステージ3)を分析するための関連物質の方法-I(RS方法-I)
HPLC(方法-I)による関連物質:Empowerクロマトグラフィーソフトウェアまたはその同等物を備えるAlliance 2695モデルポンプおよび2487または同等物(UV)検出器を有するWaters HPLCシステム。
【0266】
試薬:この方法で用いた試薬のリストを表15に提供する。
【0267】
【0268】
【0269】
希釈剤:0.10%v/vオルトリン酸:メタノール(95:05)(v/v)
【0270】
バッファー調製:0.02Mのリン酸水素二アンモニウム溶液を使用、希釈オルトリン酸を用いてpHを7.00(+0.05)に調整する。
【0271】
有機修飾剤の調製:アセトニトリルおよびメタノールを(50:50)(v/v)比で予混合する。
【0272】
移動相-A:バッファー:有機修飾剤(95:5)(v/v)の予混合および脱気混合物を調製
【0273】
移動相-B:バッファー:有機修飾剤(10:90)(v/v)の予混合および脱気混合物を調製
【0274】
勾配プログラム
時間(分):0、5、15、20、35、45、55、60、70
移動相B(%):0、0、25、25、40、60、75、0、0
・標準的な溶液:希釈剤中、0.5μg/mlの酒石酸バレニクリン。(0.3μg/mlのバレニクリン)
・サンプル調製:500μg/ml(2連の調製)
・システム適合性溶液:0.38μg/mlのDおよびFの両方の不純物
【0275】
システム適合性判定基準:
・a)DおよびFの間のUSP分離度は1.5以上である。
・b)6連の注入からのバレニクリンの面積の%RSDは5.0%以内である。
【0276】
表16は、不純物の保持時間(RT)および相対保持時間(RRT)を提供する。
【0277】
【0278】
B.バレニクリン塩基(ステージ3)を分析するための関連物質の方法-II(RS方法-II)
Empowerクロマトグラフィーソフトウェアまたはその同等物を備えるAlliance 2695モデルポンプおよび2487または同等物(UV)検出器を有するWaters HPLCシステムを分析に用いた。
【0279】
試薬:この方法で用いた試薬のリストを表17に提供する。
【0280】
【0281】
【0282】
希釈剤:0.10%v/vオルトリン酸:メタノール(95:05)(v/v)
【0283】
移動相-A:1000mLの水中、約3.45gのオルトリン酸二水素アンモニウムを計量して移し、2.0mlのオルトリン酸85%を添加し、0.45μmまたは細かい多孔性膜を通して濾過し、脱気する。
【0284】
移動相-B:アセトニトリル、メタノールおよび水を550:500:50の比で混合する。
【0285】
勾配プログラム
時間(分):0、35、40、42、52
移動相B(%):10、70、70、10、10
・標準的な溶液:希釈剤中、0.5μg/mlの酒石酸バレニクリン。(0.3μg/mlのバレニクリン)
・サンプル調製:500μg/ml(2連の調製)
・システム適合性溶液:0.38μg/mlの不純物Gおよびモノアミノ(保護)の両方。
【0286】
システム適合性判定基準:
・a)Gおよびモノアミノ(保護)の間のUSP分離度は1.5以上である。
・b)6連の注入からのバレニクリンの面積の%RSDは5.0%以内である。
【0287】
表18は、不純物のRTおよびRRTを提供する。
【0288】
【0289】
C.酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)(ステージ4)を分析するための関連物質の方法III(RS方法-III)
この方法は、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)中のN-メチルバレニクリンおよびバレニクリン-N-グルコシド不純物の制御として用いる。
【0290】
器具:UV検出器を備えるHPLC(Waters-Empowerソフトウェアまたは同等物を備えるAlliance)
【0291】
【0292】
勾配プログラム
時間(分):0、20、23、33、35、45
移動相B(%):10、35、90、90、10、10
【0293】
バッファー:1000mLの水中、約2.64gのリン酸水素二アンモニウムを計量および溶解し、希釈オルトリン酸を用いてpHを7.00(±0.05)に調整する。
【0294】
有機修飾剤の調製:アセトニトリルおよびメタノールを(50:50)(v/v)比で予混合する。
【0295】
移動相-A:バッファー:有機修飾剤(95:5)(v/v)の予混合および脱気混合物を調製する。
【0296】
移動相-B:アセトニトリル、メタノールおよび水を550:500:50の比で混合する。
【0297】
希釈剤:0.1%OPA:メタノール(85:15)v/v
・標準的な溶液:N-メチルバレニクリンおよびバレニクリン-N-グルコシド不純物の両方の0.15μg/mlの混合物
・サンプル調製:550mgのプレミックス、50ml中(1000μgの酒石酸バレニクリン/ml(2連の調製)
【0298】
システム適合性溶液/RT同定溶液:メチルバレニクリン、バレニクリン-N-グルコシドおよびメタジアミノ(保護)不純物をそれぞれ0.15μg/ml含む、1000μg/ml酒石酸バレニクリンの酒石酸バレニクリン(1:10)プレミックスサンプル溶液
【0299】
システム適合性判定基準:
a)バレニクリンN-グルコシドおよびメタジアミノ(保護)の間のUSP分離度は1.0以上である。
b)6連の注入からのバレニクリンの面積の%RSDは5.0%以内である。
【0300】
計算:
既知の不純物(%w/w):(At/As)×(Cs/Ct)×100/9.09×100
ここで、
As=標準的な溶液の応答面積の平均
At=サンプル溶液の応答面積。
Cs=標準濃度(μg/ml)
Ct=サンプル濃度(μg/ml)
【0301】
D.
酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPIを分析するためのRS方法-I、RS方法-II、およびRS方法-III
同じ3つのHPLC方法(関連物質の方法-I;関連物質の方法-II;および関連物質の方法-III)を用いて、それぞれの(respected)不純物を定量するために酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPIを分析した。結果を表19~21および
図8A~10Cに提供する。RS方法1における不純物、すなわち、N-メチルバレニクリン、バレニクリンN-グルコシドの特異性研究クロマトグラムを
図8Eに提供する。
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
E.LCMSによる酒石酸モノメチルエステルの含有量:
器具:MS検出器を備えるUPLC(Waters-Mass lynxソフトウェアおよびXevo TQ質量検出器を備えるAcquity)
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
移動相A:水中0.1%ギ酸(1000mlの水中、1ml)
【0313】
移動相B:アセトニトリル
【0314】
希釈剤:水中0.1%ギ酸:アセトニトリル(90:10)%v/v
【0315】
標準的な溶液:希釈剤中0.002%濃度
【0316】
【0317】
計算:
酒石酸モノメチルエステルの含有量(%w/w)
A
2=サンプル中の酒石酸モノメチルエステル不純物のピーク面積
A
1=標準における酒石酸モノメチルエステル不純物の平均ピーク面積
W
1=標準濃度
W
2=サンプル濃度
P=標準的な酒石酸モノメチルエステル不純物の純度
Y=9.09(すなわち、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)中の酒石酸バレニクリンの理論ラベルクレーム(Theoretical Label claim)(%))
【0318】
F.LCMSによる酒石酸ジメチルエステルの含有量:
器具:MS検出器を備えるUPLC(Waters-Mass lynxソフトウェアおよびXevo TQ質量検出器を備えるAcquity)
【0319】
【0320】
【0321】
【0322】
【0323】
【0324】
【0325】
移動相A:水中0.1%ギ酸。(1000mlの水中、1ml)
【0326】
移動相B:アセトニトリル
【0327】
希釈剤:水中0.1%ギ酸:アセトニトリル(90:10)%v/v
【0328】
標準的な溶液:希釈剤中0.002%濃度
【0329】
【0330】
計算:
ここで:
A
2=サンプル中の酒石酸ジメチルエステル不純物のピーク面積
A
1=標準における酒石酸ジメチルエステル不純物の平均ピーク面積
W
1=標準濃度
W
2=サンプル濃度
Y=9.09(すなわち、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)中の酒石酸バレニクリンの理論ラベルクレーム(%))
【0331】
G.LCMS方法-Iによるニトロソアミン含有量:
器具:質量検出器を備えるUPLC(Waters-Mass lynxソフトウェアまたは同等物を備えるXEVO-TQ MS検出器を備えるUPLC)
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
【0336】
【0337】
【0338】
【0339】
移動相A:水中0.2%ギ酸。(1000mlの水中、2ml)
【0340】
移動相B:メタノール
【0341】
希釈剤:メタノール
【0342】
標準的な溶液:希釈剤中0.000163%conc
【0343】
サンプル調製:希釈剤中200mg/ml、および、3分間の超音波および濾過
ニトロソバレニクリン不純物:親質量240.97の3つのフラグメントは、169.01、181.0および194.05である。
ジニトロニトロソアミン不純物:親質量278.99の4つのフラグメントは、127.16、156.05、202.11および232.03である。
【0344】
計算:
i)ニトロソ不純物含有量(ppm)(バレニクリンニトロソアミン不純物およびジニトロニトロソアミン不純物の両方のために使用)
ここで:
A
2=サンプル中の、ニトロソバレニクリン不純物/ジニトロニトロソアミン不純物のピーク面積の合計
A
1=標準における、ニトロソバレニクリン不純物/ジニトロニトロソアミン不純物の平均ピーク面積の合計
W
1=ニトロソバレニクリン不純物/ジニトロニトロソアミン不純物(標準)の標準濃度
W
2=サンプル濃度
P=ニトロソバレニクリン不純物/ジニトロニトロソアミン不純物(標準)の濃度
Y=9.09(すなわち、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)中の酒石酸バレニクリンの理論ラベルクレーム(%))
【0345】
ニトロソバレニクリン不純物:親質量240.97の3つのフラグメントは、169.01、181.0および194.05である。
【0346】
ジニトロニトロソアミン不純物:親質量278.99の4つのフラグメントは、127.16、156.05、202.11および232.03である。
【0347】
H.LCMS方法-IIによるニトロソアミン含有量
器具:質量検出器を備えるUPLC(Waters-Mass lynxソフトウェアまたは同等物を備えるXEVO-TQ MS検出器を備えるUPLC)
【0348】
【0349】
【0350】
【0351】
【0352】
【0353】
【0354】
移動相A:水中0.01Mギ酸アンモニウム。(1000mLの水中0.63gm)
【0355】
移動相B:メタノール中0.1%ギ酸(1000mLメタノール中1.0mLのギ酸)
【0356】
希釈剤:アセトニトリル100%
【0357】
標準的な溶液:希釈剤中0.000069%濃度
【0358】
サンプル調製:希釈剤中150mg/mlおよび3分間超音波処理および濾過
【0359】
ジアミノニトロソアミン:親質量218.97の2つのフラグメントは145.86および188.98である。
【0360】
【0361】
【0362】
ジアミノニトロソアミン不純物の保持時間は以下のとおりである。
【0363】
計算:ジアミノニトロソアミン不純物含有量(ppm)について
ここで:
A
2=サンプル中のジアミノニトロソアミン不純物のピーク面積
A
1=標準におけるジアミノニトロソアミン不純物の平均ピーク面積
W
1=ニトロソバレニクリン不純物の標準濃度/ジニトロニトロソアミン不純物(標準)
W
2=サンプル濃度
P=ジアミノニトロソアミン不純物(標準)の純度
Y=9.09(すなわち、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)中の酒石酸バレニクリンの理論ラベルクレーム(%))
【0364】
考察:
HPLCによる2つの関連物質方法を、バレニクリンの同様の発色団を有する全ての不純物を定量するために、バレニクリン塩基(ステージ3)を分析するために開発した。同じ2つのHPLCを、それぞれの(respected)不純物を定量するために酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPIを分析するのに用いた。HPLCによる第3のさらなるRS方法を、2つのさらなる不純物、すなわち、バレニクリンとマルトデキストリンの分解産物の反応に起因して形成し得るN-メチルバレニクリンおよびバレニクリン-N-グルコシド(Gluoside)を分析するために開発した。
【0365】
2つのLCMS方法を、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPI中の不純物として酒石酸のモノメチルおよびジメチルエステルを分析するために開発した。
【0366】
2つのLCMS方法を、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPI中のニトロソアミン不純物を定量するために開発した。
【0367】
全ての不純物は、出願人によって調製および定量された。また上記分析方法も全て、出願人によって開発および検証された。
【0368】
3つのあり得るニトロソアミン不純物が、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPIにおいて制御されるべきである。しかしながら、FDAの公開された方法はバレニクリンニトロソアミン不純物のみを制御する。
【0369】
FDAの方法は、酒石酸バレニクリンのプレーンAPIを分析するために用いられる。対照的に、実施例8で分析されるAPIは、酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックスAPI(1:10)である。プレミックスAPIは、ほんの約10%w/wの酒石酸バレニクリン薬物物質を含む。このことは、即時の(instant)プレミックスAPI中のニトロソアミン不純物を分析する方法を開発するのに直面した主な挑戦である。
【0370】
ニトロソアミンを分析するための、FDAの方法に対する出願人の方法(上記実施例8に開示)の比較および利点を表22に提供する。
【0371】
【0372】
実施例9- 1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンの調製
1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノン(100.0g、0.2896モル)を、水素(0.5~1.0kg/cm2)雰囲気下、10%パラジウム炭素(10.0g、50%湿潤)存在下で、メタノール(1000mL)中で水素化した。3時間後、反応質量を定性的HPLCによって分析して反応の完了を確認した。その後、反応質量を、セライトパッドを通して濾過し、メタノール(100ml)でリンスした。濾液を減圧下30~35℃で完全に濃縮した。ヘキサンを濃縮質量に添加し、減圧下、30~35℃で完全に蒸留して微量のメタノールを除去した。質量をヘキサンと撹拌し、沈殿した固体を濾過してヘキサンで洗浄した。湿潤材料を減圧下40~45℃で8時間乾燥させた。収量:82.0g(100%)。
【0373】
実施例10- 1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.02,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロ-エタノンの調製
【0374】
1-(4,5-ジアミノ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロ-エタノン(73.0g、0.256モル)、メタノール(146mL)および水(146mL)の混合物を、40%グリオキサール水溶液(40.88g、0.2816モル)および重亜硫酸ナトリウム水溶液(117.5mLの水中、58.58g、0.563モル)で、55~60℃にて3時間処理した。その後、質量を20~30℃まで冷却し、水(730mL、10.0容量)を添加して20~30℃で2時間撹拌した。得られた固体を濾過し、スラリーを水で洗浄した。半乾燥させた粗生成物をメタノールから結晶化させた。収量:58.0g.
【0375】
実施例11- 7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン:(バレニクリン遊離塩基)の調製
【0376】
1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.0 2,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロエタノンを、50%水性メタノール中の炭酸ナトリウムを用いて脱保護すると、7,8,9,10-テトラヒドロ-6,10-メタノ-6H-ピラジノ[2,3-h][3]ベンザゼピン(バレニクリン遊離塩基)が得られる。
【0377】
したがって、メタノール(290mL)中の1-(5,8,14-トリアザテトラシクロ[10.3.1.0 2,11.0.4,9]ヘキサデカ-2(11),3,5,7,9-ペンタエン)-2,2,2-トリフルオロエタノン(48.0g、0.1562モル)を、炭酸ナトリウム水溶液(300mLの水中、33.12g)で65~70℃にて3時間撹拌した。反応質量を濾過し、残渣をメタノール(48.0mL)で洗浄した。
【0378】
合わせた濾液を減圧下30~35℃で濃縮した。濃縮した反応質量を塩化ナトリウムで飽和し、二塩化メチレンで抽出した。有機層を25%ブライン溶液で洗浄し、活性炭(5.0g)で処理した。有機層を30~35℃で油質の質量まで濃縮し、30~35℃でメチルtert-ブチルエーテル(96mL)を用いて共蒸留して微量の二塩化メチレンを除去した。メチルtert-ブチルエーテル(192mL)を濃縮質量に添加し、5~10℃で3時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、冷却メチルtert-ブチルエーテルで2回洗浄した。湿潤材料を真空下35~40℃で乾燥させる。収量:27.5g。
【0379】
A.有機酸または無機酸を用いてバレニクリン遊離塩基を精製するための一般的手順:
二塩化メチレン(500mL、5.0vol)中、バレニクリン遊離塩基(100.0g、0.4733mol)の溶液を、有機酸または無機酸の水溶液(1.2eq、500mLの水、5.0vol)と、30分間25~30℃と撹拌した。対応するバレニクリン塩類溶液を含む水層を分離し、二塩化メチレン(2×250mL)と撹拌して、溶媒抽出によってニトロソアミン不純物を除去した。その後、水層を炭酸ナトリウム水溶液(8.0容量の水中、2.2eq)で塩基性にして(pH8.5~9.5)、遊離バレニクリン塩基を二塩化メチレン(3×10.0容量)で3回抽出した。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、活性炭(2.0g)で処理した。有機層を油質の質量まで濃縮し、メチルtert-ブチルエーテルを用いて共蒸留して微量の二塩化メチレンを除去した。メチルtert-ブチルエーテル(80mL、4.0容量)を濃縮質量に添加し、5~10℃で3時間撹拌した。生成物を濾過によって単離し、冷却メチルtert-ブチルエーテルで2回洗浄した。湿潤材料を真空下40℃で乾燥させた。収量:62.0g
【0380】
実施例12- L-(+)-酒石酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(250mL)中、バレニクリン遊離塩基(50.0g)の溶液をL-(+)-酒石酸の水溶液(250mLの水中、1.2eq、39.08g)と撹拌した。酒石酸バレニクリン塩を含む水層を二塩化メチレン(3×150ml)と撹拌して、ニトロソアミン不純物を溶媒抽出によって除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量:31.00g。
【0381】
実施例13-フマル酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(100mL)中のバレニクリン遊離塩基(20.0g)の溶液を、フマル酸水溶液(100mLの水中、13.18g、1.2eq)と撹拌した。フマル酸バレニクリン塩を含む水層を二塩化メチレンと撹拌して、溶媒抽出によってニトロソアミン不純物を除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量:14.0g
【0382】
実施例14-乳酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(100mL)中、バレニクリン遊離塩基(20.0g)の溶液を、乳酸水溶液(100mLの水中、10.23g、1.2eq).と撹拌した。乳酸バレニクリン塩を含む水層を二塩化メチレンと撹拌して、溶媒抽出によってニトロソアミン不純物を除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量:12.4g
【0383】
実施例15-リンゴ酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(100mL)中、バレニクリン遊離塩基(20.0g)の溶液を、リンゴ酸水溶液(100mLの水中、15.23g、1.0eq)と撹拌した。リンゴ酸バレニクリン塩を含む水層を二塩化メチレンと撹拌して、ニトロソアミン不純物を溶媒抽出によって除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量:13.0g。
【0384】
実施例16-マロン酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(100ml)中、バレニクリン遊離塩基(20.0g)の溶液を、マロン酸水溶液(100mlの水中、11.82g、1.2eq)と撹拌した。マロン酸バレニクリンを含む水層を二塩化メチレンと撹拌して、ニトロソアミン不純物を溶媒抽出によって除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量:13.6g
【0385】
実施例17-塩酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(50.0ml)中、バレニクリン遊離塩基(10.0g)の溶液を、塩酸水溶液(50mlの水中、6.9gの30%水性HCl)と撹拌した。バレニクリン塩酸塩を含む水層を二塩化メチレンと撹拌して、ニトロソアミン不純物を溶媒抽出によって除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量8.0g
【0386】
実施例18-コハク酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(125mL)中、バレニクリン遊離塩基(25.0g)の溶液を、コハク酸水溶液(125mLの水中、16.77g、1.2eq)と撹拌した。コハク酸バレニクリンを含む水層を二塩化メチレンと撹拌して、ニトロソアミン不純物を溶媒抽出によって除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量15.6g
【0387】
実施例19-シュウ酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(100ml)中、バレニクリン遊離塩基(20.0g)の溶液を、シュウ酸水溶液(100mlの水中、14.35g、1.2eq)と撹拌した。シュウ酸バレニクリンを含む水層を二塩化メチレンと撹拌して、ニトロソアミン不純物を溶媒抽出によって除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量:14.6g。
【0388】
実施例20-クエン酸を用いたバレニクリン遊離塩基の精製
二塩化メチレン(125mL)中、バレニクリン遊離塩基(25.0g)の溶液を、クエン酸水溶液(125mLの水中、27.28g、1.2eq)と撹拌した。クエン酸バレニクリンを含む水層を二塩化メチレンと撹拌して、ニトロソアミン不純物を溶媒抽出によって除去した。その後、水層からのバレニクリン塩基の単離のための一般的な手順に従う。収量16.2g。
【0389】
実施例21-還元プロセスを用いたバレニクリン遊離塩基の精製
メタノール(50mL)中、バレニクリン遊離塩基(5.0g)の溶液を、10%パラジウム炭素(0.5g、50%湿潤)存在下、25~35℃で、水素(6.0kg/cm2)圧力下で撹拌した。6時間後、セライトパッドを通して反応質量を濾過し、メタノール(50ml)でリンスした。濾液を減圧下で完全に蒸留し、メチルtert-ブチルエーテルと共蒸留して、微量のメタノールおよび水を除去した。メチルtert-ブチルエーテル(50.0mL、10.0容量)を濃縮質量に添加し、5~10℃で3時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、冷却メチルtert-ブチルエーテルで2回洗浄した。湿潤材料を真空下40℃で乾燥させた。収量:4.2g
【0390】
実施例22-酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス
バレニクリン遊離塩基(7g)をメタノール(140ml)中に25~30℃で溶解させた。別個のフラスコにおいて、酒石酸(4.92g)を70mlの水中に25~30℃で溶解させた。バレニクリン溶液を酒石酸溶液と25~35℃で混合した。生じる透明溶液を25~35℃で30分間撹拌して酒石酸バレニクリン塩類溶液を形成した。マルトデキストリン(119.84g)を水(420.53ml)中に25~35℃で別個に溶解させ、このマルトデキストリン溶液を先に調製した酒石酸バレニクリン溶液に添加した。生じる透明溶液を30分間撹拌し、ミクロン濾過器を通して濾過し、水(2×70ml)で洗浄した。透明の濾液を、噴霧乾燥器を用いて噴霧乾燥に供し、非晶質酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)APIを得た。収量:130.0g。HPLCによる純度:99.99%。
【0391】
実施例23-有機酸および無機酸を用いた精製前後のバレニクリン塩基中のニトロソアミン不純物含有量
主な出発原料、1-(4,5-ジニトロ-10-アザ-トリシクロ[6.3.1.02,7]ドデカ-2(7),3,5-トリエン-10-イル)-2,2,2-トリフルオロエタノンからの酒石酸バレニクリンマルトデキストリンプレミックス(1:10)APIの調製、および、好ましくはpKa2~6の有機酸、または無機酸を用いることによってニトロソアミン不純物を除去するためのバレニクリン塩基の精製を、実施例9~22に示す。
【0392】
有機酸または無機酸を用いた、およびパラジウム炭素存在下での接触水素化による、ニトロソアミン不純物を除去するためのバレニクリン遊離塩基の精製のグラフによる図示を
図11に提供する。
【0393】
表23は、有機酸または無機酸を用いた精製前後のバレニクリン塩基中のニトロソアミン含有量を提供する(実施例12~21に基づく)。好ましくはpKa2~6の有機酸が選択される。また、バレニクリンニトロソアミンで汚染されたバレニクリン塩基を、水素圧下、パラジウム炭素存在下で還元すると、バレニクリンニトロソアミン不純物が所望の制限まで除去されることが観察された(実施例-21および表23のS.No.10を参照)。
【0394】
【0395】
結論:この結果は、ニトロソアミンが、水溶液中の様々な有機塩または無機塩と塩を形成することによってバレニクリン遊離塩基(粗)から除去され得ること、および、非プロトン化(un protanated)ニトロソアミンが、溶媒抽出によって除去されることを示す。その後、純粋な遊離バレニクリン塩基を、水性バレニクリン塩類溶液から、塩基性化(酸-塩基処理によるバレニクリンの精製)によって単離することができる。バレニクリン塩基を、バレニクリン塩基の精製前後のニトロソアミン含有量を決定するためにLCMSによって分析した。
【0396】
当業者は、ルーチン実験の範囲内を用いて、本明細書中に記載される本発明の具体的な実施形態の均等物を認識し、または確認することが可能であろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。