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特開2023-133240静電容量式タッチパネルの欠陥検出のためのシステム、方法およびデバイス
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  • 特開-静電容量式タッチパネルの欠陥検出のためのシステム、方法およびデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133240
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】静電容量式タッチパネルの欠陥検出のためのシステム、方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230914BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G06F3/041 520
G06F3/044 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023036267
(22)【出願日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】17/654,385
(32)【優先日】2022-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cypress Semiconductor Corporation
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】タラス クゾ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター クレミン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディム グリゴレンコ
(72)【発明者】
【氏名】オレクサンドル ピロゴフ
(72)【発明者】
【氏名】オレクシ ブフティ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タッチパネル内の欠陥を検出し、この種の欠陥の影響を緩和する能力を有する方法、デバイスおよびシステムを提供する。
【解決手段】方法は、指定された積分窓を用いて、検知デバイスの複数の電極を走査して複数の測定値を取得するステップと、複数の測定値に基づいて複数の電極のための複数の分散値を決定するステップと、を含み、複数の分散値は、検知デバイスの隣接する検知位置の間の複数の測定値の分散を識別する。方法は、複数の差分値と複数の閾値との比較に少なくとも部分的に基づいて、欠陥が検知デバイス内に存在するかを決定するステップをさらに含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された積分窓を用いて、検知デバイスの複数の電極を走査し、複数の測定値を取得するステップと、
前記複数の測定値に基づいて、前記複数の電極のための複数の分散値を決定するステップであって、前記複数の分散値は、前記検知デバイスの隣接する検知位置の間の前記複数の測定値の分散を識別するステップと、
複数の差分値と複数の閾値との比較に少なくとも部分的に基づいて、欠陥が前記検知デバイス内に存在するかを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記検知デバイスは、複数の第1の電極および複数の第2の電極を備える容量検知デバイスであり、前記複数の第1の電極および前記複数の第2の電極は、互いに対して直交し、複数の検知位置の各々は、前記複数の第1の電極の1つと前記複数の第2の電極の1つとの間の交点である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の分散値を決定する前記ステップは、
前記複数の測定値に基づいて、前記複数の電極のための複数の差分値を決定するステップであって、前記複数の差分値は、前記検知デバイスの隣接する検知位置の間の前記複数の測定値の差分を識別するステップと、
前記検知デバイスの前記検知位置のための複数の閾値を識別するステップであって、前記複数の閾値は、各検知位置のための指定された閾値を識別するステップと、
を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の差分値は、検知位置の間の距離に関連付けられた距離計算に少なくとも部分的に基づいて決定され、前記距離計算は、2次元のハイパスフィルタ計算である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の差分値の少なくとも1つは、最小二乗回帰に少なくとも部分的に基づいて決定される、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の閾値は、複数の指定されたパネル特性に基づいて識別される、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、欠陥が存在すると決定することに応答して、1つまたは複数の補正動作を実行するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の補正動作は、前記欠陥を識別する通知を生成することを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の補正動作は、前記検知デバイスの動作周波数を修正することを含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数のプロセッサを備えるデバイスであって、
前記1つまたは複数のプロセッサは、
指定された積分窓を用いて、複数の第1の電極および複数の第2の電極から取得された複数の測定値を受信するステップであって、前記複数の第1の電極および前記複数の第2の電極は、互いに対して直交するステップと、
前記複数の測定値に基づいて複数の分散値を決定するステップであって、前記複数の分散値は、前記複数の第1の電極および前記複数の第2の電極によって定義される隣接する検知位置の間の前記複数の測定値の分散を識別するステップと、
複数の差分値と複数の閾値との比較に少なくとも部分的に基づいて、欠陥が存在するかを決定するステップと、
を行うように構成される、
デバイス。
【請求項11】
前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記複数の測定値に基づいて、前記複数の電極のための複数の差分値を決定するステップであって、前記複数の差分値は、検知デバイスの隣接する検知位置の間の前記複数の測定値の差分を識別するステップと、
前記検知デバイスの前記検知位置のための複数の閾値を識別するステップであって、前記複数の閾値は、各検知位置のための指定された閾値を識別するステップと、
を行うようにさらに構成され、
前記複数の差分値は、検知位置の間の距離に関連付けられた距離計算に少なくとも部分的に基づいて決定される、
請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記複数の差分値の少なくとも1つは、最小二乗回帰に少なくとも部分的に基づいて決定される、
請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記1つまたは複数のプロセッサは、欠陥が存在すると決定することに応答して、1つまたは複数の補正動作を実行するようにさらに構成される、
請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
前記1つまたは複数の補正動作は、前記欠陥を識別する通知を生成することを含む、
請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記1つまたは複数の補正動作は、検知デバイスの動作周波数を修正することを含む、
請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
複数の第1の電極、複数の第2の電極および処理デバイスを備えるシステムであって、
前記複数の第1の電極および前記複数の第2の電極は、互いに対して直交し、
前記複数の第1の電極と前記複数の第2の電極との間の交点は、複数の検知位置を形成し、
前記処理デバイスは、
指定された積分窓を用いて、前記複数の第1の電極および前記複数の第2の電極から取得された複数の測定値を受信するステップと、
前記複数の測定値に基づいて複数の分散値を決定するステップであって、前記複数の分散値は、前記複数の第1の電極および前記複数の第2の電極によって定義される隣接する検知位置の間の測定値の分散を識別するステップと、
複数の差分値と複数の閾値との比較に少なくとも部分的に基づいて、欠陥が存在するかを決定するステップと、
を行うように構成される、
システム。
【請求項17】
前記処理デバイスは、
前記複数の測定値に基づいて、前記複数の電極のための複数の差分値を決定するステップであって、前記複数の差分値は、検知デバイスの隣接する検知位置の間の前記複数の測定値の差分を識別するステップと、
前記検知デバイスの前記検知位置のための複数の閾値を識別するステップであって、前記複数の閾値は、各検知位置のための指定された閾値を識別するステップと、
を行うようにさらに構成され、
前記複数の差分値は、検知位置の間の距離に関連付けられた距離計算に少なくとも部分的に基づいて決定される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の差分値の少なくとも1つは、最小二乗回帰に少なくとも部分的に基づいて決定される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記処理デバイスは、前記欠陥が存在すると決定することに応答して、前記欠陥を識別する通知を生成するようにさらに構成される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記処理デバイスは、前記欠陥が存在すると決定することに応答して、検知デバイスの動作周波数を修正するようにさらに構成される、
請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、タッチパネルに関するものであり、より詳しくは、この種のタッチパネル内の欠陥を検出することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
検知デバイスを用いて、ユーザ入力を検出することができる。例えば、検知デバイスは、ユーザのタッチおよびホバーを識別するように構成されてもよい。したがって、1つまたは複数の検知モダリティーは、この種の入力を検出するために実施されてもよい。一例では、容量検知を用いて、検知デバイスから取得される容量測定に基づいて、この種のタッチおよびホバーを識別してもよい。この種の容量検知デバイスは、電極のアレイを含んでもよく、電極のアレイは、信号によって駆動され、測定値を取得し、ユーザ入力を検出する。しかしながら、従来の検知デバイスは、電極が損傷を受けやすいので、制限されたままであり、この種の損傷にもかかわらず機能する能力は制限されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】いくつかの実施形態に従って構成される、欠陥検出のためのデバイスの一例を示す。
図2】いくつかの実施形態に従って構成される、欠陥検出のシステムの一例を示す。
図3】いくつかの実施形態に従って構成される、タッチパネル電流の図の一例を示す。
図4】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための方法の一例を示す。
図5】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための他の方法の一例を示す。
図6】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のためのさらに他の方法の一例を示す。
図7】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための追加の方法の一例を示す。
図8】いくつかの実施形態に従って構成される、適応閾値マップの一例の図を示す。
図9】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための他の方法の一例を示す。
図10】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための追加の方法の一例を示す。
図11】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥緩和のための方法の一例を示す。
図12】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥緩和のための他の方法の一例を示す。
図13】(A)(B)は、いくつかの実施形態に従って構成される、検知デバイスの一例を示す。
図14】いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥緩和のための追加の方法の一例を示す。
図15】(A)(B)は、いくつかの実施形態に従って構成される、検知デバイスの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の説明では、多数の具体的な詳細は、提示された概念の完全な理解を提供するために記載される。提示された概念は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで実行されてもよい。他の例において、既知のプロセス動作は、記載されている概念を不必要に不明瞭にしないように詳述されていない。いくつかの概念が具体例と連動して記載されるが、これらの例が制限することを意図するものではないことを理解されたい。
【0005】
検知デバイスは、電極のさまざまなアレイを含んでもよい。例えば、送信電極は、受信電極によって受信されてもよい信号によって駆動されてもよい。1つまたは複数の測定は、この種の信号の適用に応答して行われてもよい。例えば、相互キャパシタンス測定が行われ、測定データとして格納されてもよい。以下に詳述するように、検知デバイス内に含まれる1つまたは複数の電極は、とりわけ、ユーザタッチの間発生する物理的変形および撓みに起因して、時間とともに損傷を受けうる。したがって、電極の導電性は、欠陥および/または損傷に起因して変化しうるし、この種の変化した導電性は、容量測定に影響を及ぼしうる。したがって、損傷した電極が結果としてエラー表示および誤ったタッチ検出になりうるので、従来の検知デバイスは、制限されたままであり、従来の検知デバイスは、この種の損傷した電極の影響を効率的かつ効果的に緩和することができない。
【0006】
本願明細書において開示される実施形態は、欠陥を検出し、この種の欠陥の影響を緩和する能力を有する検知デバイスを提供する。以下に詳述するように、測定値のために用いられる現在の積分窓(integration window)を検知する可変時間の受信電極は、基準電極と欠陥のある電極との間の区別を容易にするように構成されてもよい。より詳しくは、差分値計算のような計算が実行されてもよく、結果は、閾値と比較されてもよい。1つまたは複数の欠陥は、比較に基づいて検出されてもよく、1つまたは複数の補正動作が実行され、欠陥の影響を緩和し、減少することができる。このようにして、欠陥、例えば、欠陥のある電極または損傷した電極の悪影響を減少することができ、電極を含む検知デバイスの安全操業を延ばすことができる。
【0007】
図1は、いくつかの実施形態に従って構成される、欠陥検出のためのデバイスの一例を示す。図1に示すように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。したがって、デバイス100のような検知デバイスは、検出動作のための測定、例えば、キャパシタンス測定を行うように構成される1つまたは複数の行および列の電極を含んでもよい。以下に詳述するように、1つまたは複数の欠陥は、デバイス100の電極内に存在しうる。したがって、本願明細書において開示される実施形態は、この種の欠陥を検出し、1つまたは複数の緩和動作を実行し、この種の欠陥の影響を緩和し、デバイス100の寿命および動作を延ばすように構成することができる。
【0008】
さまざまな実施形態において、デバイス100は、複数の第1の電極および複数の第2の電極を含む。例えば、行電極でもよい第1の電極は、信号によって駆動されるように構成されてもよく、第2の電極は、第1の電極に対する信号の適用に応答して、1つまたは複数の測定値を取得するように構成されてもよい。列電極が信号によって駆動されてもよく、行電極を用いて測定値を取得してもよいことを認識されたい。このようにして、1つまたは複数の測定値、例えば、インピーダンス測定値および相互キャパシタンス測定値は、この種の信号の適用に基づいて取得されてもよい。この種の信号の生成および適用に関する追加の詳細は、以下で詳述される。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の電極は、第1の電極102を含み、第2の電極は、列電極でもよい第2の電極104を含む。図1に示すように、電極は、時間とともに、電極の性能に影響を及ぼしうる損傷または欠陥を生じうる。例えば、電極への損傷は、伝導率を減少させかつ正確な測定値を取得する能力を減少させることによって、それらのコンダクタンスに影響を及ぼしうる。この種の損傷および欠陥は、応力破壊、マイクロスクラッチまたは他のタイプの任意の損傷または欠陥でもよい。さまざまな実施形態において、電極は、酸化インジウムスズ(ITO)のような材料から製造されてもよい。時間とともに、欠陥は、例えば、タッチパネル内に含まれうるデバイス100に対する曲げまたは加圧から、電極によって耐えられる機械的応力に基づいて、電極内に現れうる。欠陥はまた、製造プロセスの1つまたは複数の態様からも生じる。したがって、図1に示すように、第1の電極102は、受信信号に影響を及ぼしうる欠陥106を有しうる。さらに、送信信号に影響を及ぼす追加の欠陥、例えば、欠陥108もまた存在しうる。以下に詳述するように、デバイス100に結合された追加の構成要素は、欠陥106を検出し、さまざまな緩和動作を実行し、タッチ/ホバー検出動作における欠陥106の影響を補償するように構成することができる。
【0010】
図2は、いくつかの実施形態に従って構成される、欠陥検出のシステムの一例を示す。上述したように、本願明細書において開示されるシステムは、インピーダンスおよびキャパシタンス測定値を取得し、この種の測定値に基づいて、ユーザが検知デバイスをホバーまたはタッチするときに発生しうるようなホバーおよびタッチイベントを識別するように構成される。したがって、システム200のようなシステムは、容量性センサの文脈で実施されるようなこの種の検知デバイスを含んでもよい。
【0011】
したがって、システム200は、タッチパネルでもよい検知デバイス202を含み、検知デバイス202は、構成要素、例えば、検知デバイスの指定された距離内で測定された電気特性の変化を検知するように構成される電極を含む。上述したように、検知デバイスは、タッチスクリーン、タッチパネル、指紋センサまたは1つもしくは複数の電極を含むボタンでもよい。一例では、電極は、送信および受信電極のアレイに配置されてもよく、アレイでは、送信電極は、走査プロトコルまたはシーケンスに従って信号を送信するように構成され、受信電極は、信号を受信し、したがって、2つの間のキャパシタンスおよび/またはインピーダンスの検知した測定値を取得するように構成される。
【0012】
システム200は、1つまたは複数の検知チャネル204をさらに含み、検知チャネル204は、検知デバイス内に含まれる受信電極によって生成されうる、検知デバイス202によって検知される信号を受信するように構成される。さまざまな実施形態において、検知チャネル204は、さまざまな構成要素、例えば、減衰器および積分コンデンサを含む。さまざまな実施形態において、検知チャネル204は、電荷をコードに変換する1つまたは複数の動作を実行するように構成され、したがって、後に追加の計算がデジタルフォーマットで行われることを可能にする。さまざまな実施形態において、検知チャネル204からの出力データは、生データである。図2に示すように、検知チャネル204はまた、構成要素、例えば、本願明細書では処理デバイスとも称される処理ユニット208に結合されてもよい。処理ユニット208は、さまざまな計算、例えば、生データマルチフェーズデコンボリューション、フィルタリングおよびノイズ除去、ベースライン計算および減算、タッチおよびホバー物体位置計算、指識別子計算、パネル欠陥検出および緩和行動実行を実行するように構成される。さまざまな実施形態において、処理ユニット208は、コントローラを含むように構成されてもよく、かつ、処理動作および緩和動作を実施するように構成される1つまたは複数のプロセッサまたはハードウェアアクセラレータを含むように構成されてもよい。例えば、処理ユニット208は、測定データを識別し、メモリデバイス内に格納するように構成されてもよく、1つまたは複数の計算を実行して、特定のイベント、例えば、ホバーイベントおよびタッチイベントを識別するように構成されてもよい。さらに、処理ユニット208はまた、以下に詳述するように、欠陥検出動作および緩和動作を実行するように構成されてもよい。処理ユニット208は、検知チャネル204に結合するように示されている。
【0013】
システム200は、検知デバイス202に提供される1つまたは複数の信号を生成するように構成される送信チャネル210をさらに含み、送信チャネル210は、走査シーケンスの間用いられる信号を提供し、次の測定値の基礎を形成する。したがって、送信チャネル210は、さまざまな構成要素、例えば、1つまたは複数の増幅器および/またはバッファならびに電流源および/または電圧源を含んでもよい。図2に示すように、送信チャネル210は、信号発生器212ならびに電荷ポンプ214に結合されてもよい。したがって、信号発生器212は、走査シーケンスの間、送信電極を駆動するのに用いられる信号を生成するように構成されてもよく、したがって、この種の駆動信号のパラメータを構成してもよい。電荷ポンプ214は、送信チャネル210のための電圧制御を提供するように構成されてもよい。さらに、マルチプレクサ220は、走査シーケンスに従って、検知チャネル204および送信チャネル210を検知デバイス202の特定の電極に選択的に結合させるように構成されてもよい。さまざまな実施形態において、検知デバイス202は、並列の検知チャネル204の数より多くの受信電極を有するので、検知デバイス202の全部の走査は、1つより多い走査スロットにおいて達成される。いくつかの実施形態では、マルチプレクサ220は、送信電極のための送信マルチプレクサおよび本願明細書では受信電極とも称される検知のための検知マルチプレクサを含んでもよい。さまざまな実施形態において、マルチプレクサ220は、単一のマルチプレクサとして、または、別々に実施されるかもしくは結合される複数のマルチプレクサとして実施されてもよい。一例では、送信チャネル210のための1つまたは複数の送信マルチプレクサが存在してもよく、受信チャネル204のための1つまたは複数の受信マルチプレクサが存在してもよい。
【0014】
図3は、いくつかの実施形態に従って構成される、タッチパネル波形の図の一例を示す。上述したように、電極は、検知デバイス内に含まれてもよく、1つまたは複数の信号を用いて、第1の電極を駆動し、第2の電極上の測定値を取得してもよい。図300に示すように、上述したように、TX信号302を用いて電圧を印加して、検知デバイス内の第1の送信電極を駆動してもよい。この種の駆動信号の適用は、電流を、検知デバイスの受信電極に誘発してもよい。パネルでもよい検知デバイス内に欠陥がないとき、電流波形304は、受信電極の電流を示す。検知デバイス内に欠陥(例えば、マイクロスクラッチ)が存在するとき、電流波形306は、同じ受信電極の電流を示す。
【0015】
さまざまな実施形態において、電流波形304は、欠陥を有さない電極内の電流を表現する。さらに、電流波形306は、同じ電極であるが、マイクロスクラッチのような欠陥が存在する電極内の電流を表現する。したがって、欠陥のある検知電極は、欠陥によって生じる増加した受信電極抵抗値に起因して、より大きい時定数を有するので、図300に示すように、電流の減衰の時間的経過は、延ばされ、欠陥を有する損傷した電極のためにより長い期間にわたって発生する。以下に詳述するように、時間的経過のこの種の違いを用いて、損傷した電極を識別するとともに、緩和動作を識別して、実行することができる。
【0016】
図4は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための方法の一例を示す。上述したように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法400のような方法は、この種の検知デバイス内の欠陥を識別するために実行されてもよい。したがって、本願明細書において開示される方法は、検知デバイス内の欠陥を検出するために実行されてもよく、次の緩和動作は、この種の欠陥を緩和し、検知デバイスの動作を延ばすために実行されてもよい。
【0017】
方法400は、検知デバイスが指定された積分窓を用いて走査されてもよい動作402を実行してもよい。したがって、上述したのと同じように、行および列の電極は、順次走査され、複数の測定値を取得してもよい。いくつかの実施形態では、行および列の電極は、マルチフェーズ送信チャネルを用いて、または、複数の送受信チャネルを用いて同時に走査されてもよい。さらに、指定された積分窓が、この種の走査のために用いられてもよい。さまざまな実施形態において、指定された積分窓は、測定電荷が積分される指定された期間である。したがって、指定された積分窓は、測定窓でもよい。
【0018】
方法400は、隣接する行および列の間の複数の分散が決定されてもよい動作404を実行してもよい。したがって、隣接する行および隣接する列の間の測定値は、比較され、隣接する行の間の分散および隣接する列の間の差分を表現する複数の分散値を取得してもよい。以下に詳述するように、分散値は、差分を表現する差分値でもよいし、または、近似関数に少なくとも部分的に基づいて生成されるデータ値でもよい。
【0019】
方法400は、任意の欠陥がパネル内に存在するかが決定されてもよい動作406を実行してもよい。したがって、動作406の間、差分値は、複数の閾値と比較され、決定された差分のいずれかが閾値を超えるかを決定してもよい。差分値が閾値を超える場合、欠陥を識別してもよく、以下に詳述するように、1つまたは複数の緩和動作が実行されてもよい。
【0020】
図5は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための他の方法の一例を示す。上述したように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法500のような方法は、この種の検知デバイス内の欠陥を識別するために実行されてもよい。以下に詳述するように、位置を検知する時間応答が、閾値と結合して用いられ、検知デバイスの欠陥の検出および識別を容易にしてもよい。
【0021】
方法500は、短い積分窓幅検索に基づいて、検知デバイスのピーク感度が識別されてもよい動作502を実行してもよい。さまざまな実施形態において、短い積分窓は、検知デバイス内の蓄積電荷が放電するための全時間より短い指定された期間でもよい。より詳しくは、図3を参照して上述したのと同じように、電圧は、送信電極に印加されてもよく、蓄積電荷および電流は、受信電極で測定されてもよい。電荷は、放電するにつれて、時間とともに減衰しうる。TINTとしても記載される積分窓は、放電の初期部分をカバーするように、したがって、信号および欠陥検出を可能にするように構成されてもよい。
【0022】
さまざまな実施形態において、ピーク感度は、複数の異なる短い積分窓期間の適用に基づいて識別されてもよい。したがって、動作502は、較正動作の一部として実行されてもよく、テスト信号が提供され、検知デバイスの較正および初期構成の間、検知デバイス内に含まれる電極によって測定されてもよい。異なる短い積分窓は、製造業者のようなエンティティによって決定される異なる長さの時間を有する窓の指定されたセットでもよい。さまざまな実施形態において、窓の指定されたセットは、シミュレーションデータに基づいて決定されていてもよく、または、マイクロスクラッチのような欠陥によって生じる抵抗値の変化を模倣するかまたはシミュレーションするために検知電極と直列の抵抗を用いた以前のテストに基づいて決定されていてもよい。例えば、1つまたは複数の較正動作は、直列に結合された較正抵抗を用いた検知チャネル表示と、例えば、スイッチにより較正抵抗をバイパスすることによって較正抵抗を用いない表示と、を比較する。較正抵抗を含むことにより、結果として、検知チャネル生データの相対変化が最大になるとき、指定された積分窓を識別してもよい。例えば、測定された相互キャパシタンスの増減率は、異なる積分窓に対してプロットされてもよく、最大の差分率が生じる積分窓は、指定された積分窓として識別されてもよい。したがって、動作502の間、感度表示は、異なる短い積分窓に基づいて、検知デバイスのために取得されてもよく、ピークまたは最大の感度を提供する短い積分窓が識別されてもよい。
【0023】
方法500は、検知デバイスが指定された短い積分窓を用いて走査されてもよい動作504を実行してもよい。したがって、走査動作は、短い積分窓に基づいて、検知デバイス上で実行されてもよく、測定が行われ、測定データとして格納されてもよい。さまざまな実施形態において、測定は、送信電極と受信電極との間の相互キャパシタンスを測定する相互キャパシタンス測定を含む。上述したのと同じように、測定はまた、インピーダンス測定を含んでもよい。
【0024】
方法500は、検知デバイスが指定された完全積分窓を用いて走査されてもよい動作506を実行してもよい。さまざまな実施形態において、完全積分窓は、検知デバイス内の蓄積電荷転送がほぼ完全に充電または放電する全時間を超える指定された期間でもよい。したがって、完全積分窓の間、検知デバイスの過渡プロセスは、完了しなければならない。この種の期間は、製造業者のようなエンティティによって、シミュレーションおよび/または製造プロセスの一部として決定される指定された期間でもよい。したがって、走査動作は、完全積分窓に基づいて、検知デバイス上で実行されてもよく、測定が行われ、測定データとして格納されてもよい。上述したように、測定は、送信電極と受信電極との間の相互キャパシタンスを測定する相互キャパシタンス測定を含み、および/または、インピーダンス測定を含んでもよい。
【0025】
方法500は、短い積分窓結果が完全積分窓結果に基づいて正規化されてもよい動作508を実行してもよい。さまざまな実施形態において、正規化は、完全積分窓での相互キャパシタンスに対する、短い積分窓で測定された相互キャパシタンスのセル対セル(cell-to-cell)(または、他の用語では、送受信電極の断面)分割によって実行されてもよい。正規化プロセスのために用いられてもよい式は、以下に式(1)で示される。
【数1】
【0026】
式(1)に示すように、
【数2】
および
【数3】
は、それぞれ、短い積分窓および完全積分窓を用いて測定されたi列およびj行の相互キャパシタンスを表現する。この種の正規化動作は、検知デバイスの製造プロセスにおける分散に起因して発生しうる、セル対セルの相互キャパシタンス変化に対する感度の減少を可能にする。したがって、測定値の追加の分散を減少することができる。さまざまな実施形態において、動作506および508は、オプションで実行される。例えば、いくつかの実施形態において、方法500は、動作506および508を含まない。したがって、さまざまな実施形態では、完全積分窓測定は行われず、正規化動作は実行されない。
【0027】
方法500は、検知デバイスの隣接する行および列の間の複数の差分が決定されてもよい動作510を実行してもよい。したがって、複数の差分値は、検知デバイス上の検知セルの間の距離に関する1つまたは複数の距離計算に基づいて生成されてもよい。より詳しくは、測定値は、データ値のテーブル内に格納されていてもよく、各データ値は、検知デバイス内の行電極と列電極との間の交点での測定値を表現する。以下に詳述するように、この種の交点は、セルまたは検知セルとも称されてもよい。さらに、差分は、差分計算に基づいて計算されてもよい。例えば、2次元のハイパスフィルタ(2D HPF)を用いて、差分値を生成してもよい。さまざまな実施形態において、2D HPFは、パネル欠陥によって生じうる相互キャパシタンス変化の非単調さを識別する。一例では、2D HPFは、第1のステップで相互キャパシタンスマトリックスの行対行の、および、第2のステップで列対列のエントリの差分を計算することによって実施される。任意の適切な2D HPF動作が用いられてもよい。
【0028】
方法500は、複数の閾値が、既知のパネル特性に少なくとも部分的に基づいて生成されてもよい動作512を実行してもよい。さまざまな実施形態において、既知の相互キャパシタンスの差分および既知の検知デバイス抵抗値は、メモリ内に格納されてもよい。この種の既知のパネル特性は、製造業者のようなエンティティによって、シミュレーションおよび/または製造プロセスの間決定されていてもよい。例えば、検知デバイスの設計の間用いられるシミュレーションツールを用いて、既知の相互キャパシタンスの差分および既知の検知デバイス抵抗値を決定してもよく、この種の既知のパネル特性は、製造業者によって、検知デバイスに関連付けられたメモリデバイス内に格納されていてもよい。以下に詳述するように、既知のパネル特性は、各セルのための閾値を表現するように構成される特定のデータ構造で格納されてもよい。一例では、すべての電極交点のために同じ閾値を選択することができる。他の例では、個々の閾値は、各電極交点のために決定されてもよい。閾値は、マイクロスクラッチが相互キャパシタンス表示に与える影響のPSPICEシミュレーションに基づいて、かつ、較正手順の一部として選択された最適積分窓を用いて識別可能である。さまざまな実施形態において、閾値の生成は、方法500の他の動作と並列に実行されてもよいし、または、別個のおよび/または以前実行されたプロセスとして実行されてもよい。したがって、閾値の生成は、方法500の他の動作と独立して実行されてもよい。
【0029】
一例では、シミュレーションでは、セルルーティング抵抗値は、2倍に増加して、マイクロスクラッチをシミュレーションしてもよい。測定された相互キャパシタンスは、測定されてもよく、例えば、観察されたセルのために10%減少してもよい。したがって、予想されるパネルの相互キャパシタンスの10%の検出閾値は、閾値として識別されてもよい。この種の閾値決定動作は、小さい(5%未満の)セル対セルの相互キャパシタンス許容度を有する検知デバイスのために適切となりうる。より大きい製造許容度を有する検知デバイスのために、上述したような1つまたは複数の正規化動作が実行されてもよい。したがって、閾値は、正規化された相互キャパシタンス(Ni,j)を用いて識別されてもよく、計算方法については式(1)を参照されたい。
【0030】
方法500は、決定された差分が、任意の検知位置のための閾値より大きいか否かが決定されてもよい動作514を実行してもよい。この種の決定は、差分値と閾値との比較に基づいて行われてもよい。さまざまな実施形態において、比較は、1セルずつ(cell-by-cell)または1エントリずつの比較でもよく、データテーブルの対応するエントリが比較される。決定された差分が検知位置のための閾値より大きいことが決定される場合、方法500は、動作516に進んでもよい。
【0031】
したがって、動作516の間、欠陥の存在が識別されてもよい。したがって、差分値が特定のセルのための決定された閾値を超える場合、欠陥が識別されてもよい。さらに、データテーブル内の差分の位置に基づいて、欠陥の位置は、行電極および列電極の対応する交点に基づいて識別されてもよい。以下に詳述するように、欠陥を識別することに応答して、1つまたは複数の緩和動作が実行され、欠陥の影響を緩和してもよい。
【0032】
動作514に戻ると、任意の検知位置のための閾値より大きい決定された差分がないことが決定される場合、方法500は、欠陥が検出されないと決定されてもよい動作518に進んでもよい。欠陥が検出されないと決定される場合、検知デバイスの通常動作を継続してもよい。方法500の次の繰り返しは、保守/診断動作の一部として周期的に実行されてもよいし、または、イベントまたは入力をトリガする診断動作に応答して動的に実行されてもよいことを認識されたい。
【0033】
図6は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のためのさらに他の方法の一例を示す。上述したように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法600のような方法は、位置および関連付けられた閾値を検知する時間応答に少なくとも部分的に基づいて、欠陥を識別するために実行されてもよい。以下に詳述するように、さまざまな異なるタイプの計算を用いて、欠陥を識別してもよい。
【0034】
方法600は、短い積分窓幅検索に基づいて、検知デバイスのピーク感度が識別されてもよい動作602を実行してもよい。上述したのと同じように、ピーク感度は、複数の異なる短い積分窓期間の適用に基づいて識別されてもよい。したがって、動作602は、較正動作の一部として実行されてもよく、テスト信号が提供され、検知デバイスの較正および初期構成の間、検知デバイス内に含まれる電極によって測定されてもよい。したがって、図5の動作502を参照して上述したのと同じように、動作602の間、感度表示は、異なる短い積分窓に基づいて、検知デバイスのために取得されてもよく、ピークまたは最大の感度を提供する短い積分窓が識別されてもよい。
【0035】
方法600は、検知デバイスが指定された短い積分窓を用いて走査されてもよい動作504を実行してもよい。したがって、走査動作は、短い積分窓に基づいて、検知デバイス上で実行されてもよく、測定が行われ、測定データとして格納されてもよい。さまざまな実施形態において、測定は、送信電極と受信電極との間の相互キャパシタンスを測定する相互キャパシタンス測定を含む。
【0036】
方法600は、検知デバイスが指定された完全積分窓を用いて走査されてもよい動作606を実行してもよい。上述したのと同じように、完全積分窓は、放電する検知デバイス内の蓄積電荷のための全時間を超える指定された期間でもよい。したがって、走査動作は、完全積分窓に基づいて、検知デバイス上で実行されてもよく、相互キャパシタンス測定および/またはインピーダンス測定でもよい測定が行われ、測定データとして格納されてもよい。
【0037】
方法600は、短い積分窓結果が完全積分窓結果に基づいて正規化されてもよい動作608を実行してもよい。したがって、上述したように、測定値の追加の分散を減少することができる。さまざまな実施形態において、動作606および608は、オプションで実行される。例えば、いくつかの実施形態において、方法600は、動作606および608を含まない。したがって、さまざまな実施形態では、完全積分窓測定は行われず、正規化動作は実行されない。正規化手順は、図5の正規化手順508に類似する。
【0038】
方法600は、最小二乗回帰に少なくとも部分的に基づいて、近似関数が生成されてもよい動作610を実行してもよい。さまざまな実施形態において、本願明細書では最小二乗あてはめとも称される最小二乗回帰の適用は、測定データにおけるステップまたはトランジションを識別するために用いられてもよい。例えば、上述したのと同じように、測定値は、データ値のテーブル内に格納されていてもよく、各データ値は、検知デバイス内の行電極と列電極との間の交点での測定値を表現する。したがって、1次元の最小二乗近似関数を用いて、検知デバイス内に含まれる各電極のための相互キャパシタンス依存を近似してもよい。このようにして、最小二乗あてはめを用いて、検知デバイス挙動の近似表現を生成してもよく、近似表現は、1つまたは複数のトランジション、例えば、ステップパラメータによって定義されるステップを含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、最小二乗近似技術は、近似関数と実験データとの間の差分の二乗の合計(sum of difference squares)を計算する。したがって、あてはめ近似法(例えばレーベンバーグ・マルカート・アルゴリズム)は、差分の二乗の合計を最小化する近似関数の係数を決定することを試みる。近似関数は、ステップパラメータを有するように定義される。例えば、近似関数は、インデックスオフセットおよびステップ振幅を有するヘビサイドのステップ関数と二次多項式関数との合計である。近似関数は、最小二乗あてはめ最適化動作の間、ヘビサイドのステップ関数オフセットおよびステップ振幅とともに多項式係数を計算する。多項式関数は、検知デバイスの中心に接近している本来の(natural)相互キャパシタンス減衰を表現する。ヘビサイドステップ関数振幅が、閾値より高く、オフセットインデックスが、欠陥位置を識別するとき、欠陥が検出されるとみなされる。1次元のためのこの種の相互キャパシタンス近似関数の一例は、以下に式(2)で示される。
y(x)=A・(x-x)2+B・(x-x)+C+D・H(x-x) (2)
【0040】
上記の式(2)に示すように、A、BおよびCは、近似関数の多項式の部分を表現する係数でもよい。いくつかの実施形態では、Bは、セル中心x位置に対して完全に対称形の相互キャパシタンス表示を有する高品質のパネルのためにゼロに設定することができる。さらに、xは、検知デバイスの中心のインデックスでもよい。例えば、検知デバイスが25の電極を有する場合、中心のインデックスxは13である。さらに、H(x)はヘビサイドステップ関数でもよく、Dはステップ振幅でもよく、xは欠陥のある電極インデックスでもよい。D係数が指定された閾値より高い場合、欠陥が識別されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、近似関数は、異なる走査からの測定データの複数のセットに基づいて生成され、したがって、減少した分散を有してもよい。以下に詳述するように、近似関数によって識別されるステップパラメータは、閾値と比較され、欠陥を識別してもよい。2次元の近似関数または他の任意の適切な近似関数も用いてもよいことを認識されたい。方法600は、複数の閾値が、既知のパネル特性に少なくとも部分的に基づいて生成されてもよい動作612を実行してもよい。上述したのと同じように、既知のパネル特性は、各セルのための閾値を表現するように構成される特定のデータ構造で格納されてもよい。
【0042】
したがって、動作612の間、指定された閾値マッピングは、メモリから読み出されてもよい。上述したように、閾値は、方法600の他の動作から独立しておよび/または非同期で生成されてもよい。
【0043】
方法600は、決定されたステップパラメータが、任意の検知位置のための閾値より大きいか否かが決定されてもよい動作614を実行してもよい。この種の決定は、ステップパラメータと閾値との比較に基づいて行われてもよい。さまざまな実施形態において、比較は、1セルずつまたは1エントリずつの比較でもよく、データテーブルの対応するエントリが比較される。決定された差分が検知位置のための閾値より大きいことが決定される場合、方法600は、動作616に進んでもよい。
【0044】
したがって、動作616の間、欠陥の存在が識別されてもよい。したがって、ステップパラメータ値が特定のセルのための決定された閾値を超える場合、欠陥が識別されてもよい。さらに、データテーブル内の差分の位置に基づいて、欠陥の位置は、行電極および列電極の対応する交点に基づいて識別されてもよい。以下に詳述するように、欠陥を識別することに応答して、1つまたは複数の緩和動作が実行され、欠陥の影響を緩和してもよい。
【0045】
動作614に戻ると、任意の検知位置のための閾値より大きい決定されたステップパラメータ値がないことが決定される場合、方法600は、欠陥が検出されないと決定されてもよい動作618に進んでもよい。欠陥が検出されないと決定される場合、検知デバイスの通常動作を継続してもよい。方法600の次の繰り返しは、保守/診断動作の一部として周期的に実行されてもよいし、または、イベントまたは入力をトリガする診断動作に応答して動的に実行されてもよいことを認識されたい。
【0046】
図7は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための追加の方法の一例を示す。上述したように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法700のような方法は、適応閾値マップに少なくとも部分的に基づいて、欠陥を識別するために実行されてもよい。以下に詳述するように、この種の適応閾値マップの使用は、検知デバイスにおける不均一性を説明してもよい。
【0047】
方法700は、検知デバイスが、指定された積分窓に基づいて走査されてもよい動作702を実行してもよい。上述したのと同じように、走査動作は、指定された期間を有する積分窓に基づいて、検知デバイス上で実行されてもよく、測定が行われ、測定データとして格納されてもよい。さまざまな実施形態において、測定は、送信電極と受信電極との間の相互キャパシタンスを測定する相互キャパシタンス測定を含む。
【0048】
方法700は、検知デバイスの隣接する行および列の間の複数の差分が決定されてもよい動作704を実行してもよい。上述したのと同じように、複数の差分値は、1つまたは複数の計算に基づいて生成されてもよい。一例では、測定値は、データ値のテーブル内に格納されていてもよく、各データ値は、検知デバイス内の行電極と列電極との間の交点での測定値を表現する。さらに、差分は、差分計算に基づいて計算されてもよい。例えば、2次元のハイパスフィルタ(2D HPF)を用いて、差分値を生成してもよい。いくつかの実施形態では、上述したのと同じように、最小二乗計算が実行されてもよい。
【0049】
方法700は、指定されたパネル特性に少なくとも部分的に基づいて、適応閾値マップが識別されてもよい動作706を実行してもよい。さまざまな実施形態において、適応閾値マップは、製造業者のようなエンティティによって生成される。以下に詳述するように、適応閾値マップは、1つまたは複数の検知デバイスパラメータに基づいてさまざまな閾値を有するように構成される。適応閾値がこのようにして実施されるとき、適応閾値マップが検知デバイスの不均一性を補償するように構成されてもよいので、欠陥検出の偽陽性を減少することができる。より詳しくは、閾値は、検知デバイスの既知の不均一性の性能特性に基づいて変化して、不均一になりうる。例えば、適応閾値マップの閾値は、検知デバイスの端の付近および/または電極のコネクタの近くでは増加してもよい。上述したように、適応閾値マップは、シミュレーションデータ、または、デバイスおよび/または構造を検知する間のテストから取得された他のデータに基づいて生成されてもよい。
【0050】
方法700は、複数の差分および適応閾値マップに少なくとも部分的に基づいて、欠陥が存在するかが決定されてもよい動作708を実行してもよい。上述したのと同じように、この種の決定は、差分値と適応閾値との比較に基づいて行われてもよい。さまざまな実施形態において、比較は、1セルずつまたは1エントリずつの比較でもよく、データテーブルの対応するエントリが比較される。したがって、動作708の間、差分値は、閾値マップ内に含まれる閾値と比較されてもよく、差分値のいずれも対応する閾値を超えないか否かに基づいて、欠陥が識別されてもよい。
【0051】
図8は、いくつかの実施形態に従って構成される、適応閾値マップの一例の図を示す。上述したように、適応閾値マップの使用は、検知デバイスにおける不均一性を説明してもよい。したがって、適応閾値マップ内に含まれる閾値は、検知デバイスの性能特性に従って変化してもよい。図8に示すように、画像800は、検知デバイスの中心からの距離に基づいて適用されてもよいさまざまな閾値の一例を示す。例えば、第1の適応閾値802は、検知デバイスの中心から第1の距離範囲に位置決めされた検知セルのために用いられてもよい。さらに、第2の適応閾値804は、検知デバイスの中心から第2の距離範囲のために用いられてもよい。さらに、第3の適応閾値806は、検知デバイスの中心から第3の距離範囲のために用いられてもよい。このようにして、適応閾値マップは、異なる閾値を検知デバイスの異なる検知位置にマップするように構成されてもよい。
【0052】
図9は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための他の方法の一例を示す。上述したように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法900のような方法は、異なるタイプのキャパシタンス測定値に少なくとも部分的に基づいて、欠陥を識別するために実行されてもよい。以下に詳述するように、自己キャパシタンスのキャパシタンス測定値を用いて、欠陥を識別してもよい。
【0053】
方法900は、複数の電極が接地されてもよい動作902を実行してもよい。さまざまな実施形態において、複数の電極は、走査されていない電極でもよい。一例では、複数の電極は、検知デバイス内に含まれる受信電極の1つまたは複数を含んでもよい。したがって、検知デバイス内に含まれる受信電極は、接地回路に結合されてもよい。以下に詳述するように、電極の接地は、自己キャパシタンス測定値を取得することを容易にするために実行されてもよい。
【0054】
方法900は、検知デバイスが走査されてもよく、検知デバイスのピーク感度が識別されてもよい動作904を実行してもよい。上述したのと同じように、ピーク感度は、複数の異なる短い積分窓期間の適用に基づいて識別されてもよい。したがって、動作904は、較正動作の一部として実行されてもよく、テスト信号が提供され、検知デバイスの較正および初期構成の間、検知デバイス内に含まれる電極によって測定されてもよい。したがって、動作904の間、感度表示は、自己キャパシタンス測定値を用いて、異なる短い積分窓に基づいて取得されてもよく、ピークまたは最大の感度を提供する短い積分窓が識別されてもよい。
【0055】
方法900は、検知デバイスが指定された積分窓を用いて走査されてもよい動作906を実行してもよい。上述したのと同じように、指定された積分窓は、検知デバイス内の蓄積電荷が放電する指定された期間でもよい。したがって、走査動作は、積分窓に基づいて検知デバイス上で実行されてもよく、自己キャパシタンス測定でもよい測定が行われ、測定データとして格納されてもよい。
【0056】
方法900は、検知デバイスの隣接する行および列の間の複数の差分が決定されてもよい動作908を実行してもよい。上述したのと同じように、複数の差分値は、1つまたは複数の計算に基づいて生成されてもよい。さらに、差分は、差分計算に基づいて計算されてもよい。
【0057】
方法900は、複数の閾値が、既知のパネル特性に少なくとも部分的に基づいて生成されてもよい動作910を実行してもよい。上述したのと同じように、既知のパネル特性は、各セルのための閾値を表現するように構成される特定のデータ構造で格納されてもよい。したがって、動作910の間、指定された閾値マッピングは、メモリから読み出されてもよい。上述したように、閾値は、方法900の他の動作から独立しておよび/または非同期で生成されてもよい。
【0058】
方法900は、決定された差分が、任意の検知位置のための閾値より大きいか否かが決定されてもよい動作912を実行してもよい。この種の決定は、差分値と閾値との比較に基づいて行われてもよい。さまざまな実施形態において、比較は、1行ずつまたは1列ずつの比較でもよく、データテーブルの対応するエントリが比較される。決定された差分が検知位置のための閾値より大きいことが決定される場合、方法900は、動作914に進んでもよい。
【0059】
したがって、動作914の間、欠陥の存在が識別されてもよい。したがって、差分値が特定のセルのための決定された閾値を超える場合、欠陥が識別されてもよい。以下に詳述するように、欠陥を識別することに応答して、1つまたは複数の緩和動作が実行され、欠陥の影響を緩和してもよい。
【0060】
動作912に戻ると、任意の検知位置のための閾値より大きい決定された差分がないことが決定される場合、方法900は、欠陥が検出されないと決定されてもよい動作916に進んでもよい。欠陥が検出されないと決定される場合、検知デバイスの通常動作を継続してもよい。方法900の次の繰り返しは、保守/診断動作の一部として周期的に実行されてもよいし、または、イベントまたは入力をトリガする診断動作に応答して動的に実行されてもよいことを認識されたい。
【0061】
図10は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥検出のための追加の方法の一例を示す。上述したように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法1000のような方法は、位置および関連付けられた閾値を検知する時間応答に少なくとも部分的に基づいて、欠陥を識別するために実行されてもよい。以下に詳述するように、異なる走査周波数を用いて、欠陥を識別してもよい。
【0062】
方法1000は、検知デバイスが高い動作周波数で走査されてもよい動作1002を実行してもよい。したがって、動作1002の間、検知デバイスは、第1の周波数で走査されてもよく、第1の複数の測定値が取得されてもよい。さまざまな実施形態において、第1の周波数は、特定の検知動作または検知モードに用いられてもよいより高い動作周波数である。さまざまな実施形態において、性能特性は、検知デバイスの周波数依存特性に起因して、動作周波数に基づいて変化しうる。一例では、高い動作周波数では、検知デバイスが完全には再充電されていなかったので、過渡プロセスは完了しない。検知デバイスは、より低い動作周波数を有する第2の走査の間、完全に再充電される(安定)。一例では、第1の周波数は300kHzであり、第2の周波数は100kHzである。
【0063】
方法1000は、検知デバイスが低い動作周波数で走査されてもよい動作1004を実行してもよい。したがって、動作1004の間、検知デバイスは、第2の周波数で走査されてもよく、第2の複数の測定値が取得されてもよい。さまざまな実施形態において、第2の周波数は、検知デバイスの通常動作の間用いられてもよい通常の動作周波数である。さらに、第2の周波数は、第1の周波数より低くてもよい。上述したように、検知デバイスの性能特性は、検知デバイスの周波数依存特性に起因して、第1の周波数と第2の周波数とで異なってもよい。
【0064】
方法1000は、走査データが正規化されてもよい動作1006を実行してもよい。したがって、上述したのと同じように、1つまたは複数の正規化動作を介して、測定値の追加の分散を減少することができる。より詳しくは、高い動作周波数での間取得される測定データは、低い動作周波数で取得される測定データに基づいて正規化されてもよい。さまざまな実施形態において、動作1004および1006は、オプションで実行される。例えば、いくつかの実施形態において、方法1000は、動作1004および1006を含まない。さまざまな実施形態において、高周波数の走査結果は、低周波数の走査結果に基づいて正規化されてもよい。例えば、パネル交点ごとに、係数の新しいマトリックスは、高い動作周波数での走査結果と低い動作周波数での走査結果との関係に基づいて計算可能である。したがって、さまざまな実施形態では、低い動作周波数測定は行われず、正規化動作は実行されない。
【0065】
方法1000は、検知デバイスの隣接する行および列の間の複数の差分が決定されてもよい動作1008を実行してもよい。上述したのと同じように、複数の差分値は、1つまたは複数の計算に基づいて生成されてもよい。一例では、測定値は、データ値のテーブル内に格納されていてもよく、各データ値は、検知デバイス内の行電極と列電極との間の交点での測定値を表現する。さらに、差分は、差分計算に基づいて計算されてもよい。例えば、2次元のハイパスフィルタを用いて、差分値を生成してもよい。いくつかの実施形態では、上述したのと同じように、最小二乗計算が実行されてもよい。
【0066】
方法1000は、複数の閾値が、既知のパネル特性に少なくとも部分的に基づいて生成されてもよい動作1010を実行してもよい。上述したのと同じように、既知のパネル特性は、各セルのための閾値を表現するように構成される特定のデータ構造で格納されてもよい。したがって、動作1010の間、指定された閾値マッピングは、メモリから読み出されてもよい。上述したように、閾値は、方法1000の他の動作から独立しておよび/または非同期で生成されてもよい。
【0067】
方法1000は、決定された差分が、任意の検知位置のための閾値より大きいか否かが決定されてもよい動作1012を実行してもよい。この種の決定は、差分値と閾値との比較に基づいて行われてもよい。さまざまな実施形態において、比較は、1セルずつ(1断面ずつ)または1エントリずつの比較でもよく、データテーブルの対応するエントリが比較される。決定された差分が検知位置のための閾値より大きいことが決定される場合、方法1000は、動作1014に進んでもよい。
【0068】
したがって、動作1014の間、欠陥の存在が識別されてもよい。したがって、差分値が特定のセルのための決定された閾値を超える場合、欠陥が識別されてもよい。さらに、データテーブル内の差分の位置に基づいて、欠陥の位置は、行電極および列電極の対応する交点に基づいて識別されてもよい。以下に詳述するように、欠陥を識別することに応答して、1つまたは複数の緩和動作が実行され、欠陥の影響を緩和してもよい。
【0069】
動作1012に戻ると、任意の検知位置のための閾値より大きい決定された差分がないことが決定される場合、方法1000は、欠陥が検出されないと決定されてもよい動作1016に進んでもよい。欠陥が検出されないと決定される場合、検知デバイスの通常動作を継続してもよい。方法1000の次の繰り返しは、保守/診断動作の一部として周期的に実行されてもよいし、または、イベントまたは入力をトリガする診断動作に応答して動的に実行されてもよいことを認識されたい。
【0070】
図11は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥緩和のための方法の一例を示す。上述したように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法1100のような方法は、位置および関連付けられた閾値を検知する時間応答に少なくとも部分的に基づいて、欠陥を識別するために実行されてもよい。以下に詳述するように、異なる走査周波数を用いて、欠陥を識別してもよい。
【0071】
方法1100は、1つまたは複数の欠陥検出動作が実行されてもよい動作1102を実行してもよい。上述したように、欠陥検出動作は、検知デバイスを走査して複数の測定値を取得すること、ならびに、1つまたは複数の計算を実行すること、例えば、差分値の決定を含んでもよい。さまざまな実施形態において、欠陥検出動作はまた、検知デバイスのための1つまたは複数の閾値の決定を含んでもよい。
【0072】
方法1100は、欠陥が検出されたかが決定されてもよい動作1104を実行してもよい。したがって、上述したように、測定データは閾値と比較され、1つまたは複数の欠陥の存在を識別してもよい。例えば、差分値は、閾値と比較され、差分値が任意の検知セルのための閾値を超えるかを決定してもよい。欠陥が検出されたことが決定される場合、方法1100は、動作1106に進んでもよい。
【0073】
したがって、動作1106の間、1つまたは複数の補正動作は、検出された欠陥に少なくとも部分的に基づいて実行されてもよい。さまざまな実施形態において、補正動作は、検出された欠陥が検知デバイスの有効性に与える影響を減少するように選択および構成されてもよい。例えば、欠陥を識別することに応答して、走査動作は、損傷した電極の走査をスキップしてもよい。したがって、さもなければパネルによって検出される偽陽性を回避することができる。他の例では、検知デバイスの動作周波数を減少してもよい。さらに、欠陥のあるセンサの性能は、周囲のシステムによって正規化されてもよい。他の補正動作は、欠陥のある電極をより長く走査すること、より高い送信信号を用いること、および/または、利得値を受信信号に適用することを含んでもよい。したがって、送信信号および/または受信利得の増加は、欠陥のあるセンサに限局されて実施されてもよい。他の例では、走査周波数を減少してもよいし、または、重要であるかもしくは優先度が高いと識別された特定の走査動作を欠陥の位置から離して移動してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、補正動作を選択するためのオプションが提供されてもよい。したがって、ユーザは、例えば、構成動作の間、どの補正動作を実行すべきかを識別してもよい。
【0074】
さまざまな実施形態において、補正動作は、通知またはメッセージの生成を含んでもよい。したがって、通知は、生成され、他のシステム構成要素または他のシステムに送信され、欠陥が検出されたことを示してもよい。例えば、通知は、修理が推奨されることを示すメッセージでもよいし、または、次の修理サービスの間、パネルが交換されなければならないことを示すフラグを含んでもよい。さらに、この種の通知メッセージはまた、修理を完了するための命令を含んでもよい。
【0075】
このようにして、欠陥が動作に与える影響を緩和し、減少することができ、したがって、検知デバイスがより長く用いられることを可能にし、検知デバイスが故障し、置換されなければならない時間を遅延させる。上述したように、検知デバイスは、システム、例えば、自動車およびセキュリティコントロールパネル内に含まれてもよく、したがって、この種の検知デバイスの置換を高価および非実用的にするシステム構成要素に組み込まれてもよい。本願明細書において開示される実施形態は、この種の検知デバイスの機能を延ばし、したがって、この種のシステムの耐用期間を改善する。さらに、本願明細書において開示される実施形態は、この種の検知デバイスの安全操業を延ばすことによって、この種のシステムの動作の安全を改善する。より詳しくは、本願明細書において開示されるように構成されるタッチパネルは、自動車のような文脈において組み込まれ、この種のタッチパネルの安全操業を延ばし、タッチパネルの一部の欠陥または故障の存在にもかかわらず、自動車の構成要素の安全操業および制御を維持できることを確実にしてもよい。
【0076】
動作1104に戻ると、欠陥が存在しないことが決定される場合、方法1100は、検知デバイスの通常動作が実行されてもよい動作1108を実行してもよい。したがって、通常の走査周波数は、走査動作のために用いられてもよく、検知デバイスの通常動作を継続してもよい。方法1100の追加の繰り返しは、周期的にまたは動的に実行されてもよいことを認識されたい。例えば、欠陥検出動作の追加の繰り返しは、指定された期間の経過後に実行されてもよい。他の例では、欠陥検出動作の追加の繰り返しは、特定のイベント、例えば、他のシステム構成要素からのメッセージもしくは通知の発生、または、アクティビティの1つもしくは複数のパターンの検出に応答して実行されてもよい。
【0077】
図12は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥緩和のための他の方法の一例を示す。上述したのと同じように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法1200のような方法は、検知デバイスまたは関連付けられたセンサ内の欠陥を識別し、1つまたは複数の信号生成動作を実行して、識別された欠陥のある電極を補償するために実行されてもよい。
【0078】
方法1200は、検知デバイスが相互キャパシタンスモードで走査されてもよい動作1202を実行してもよい。上述したのと同じように、1つまたは複数の走査動作は、検知デバイス内に含まれる電極を用いて複数の相互キャパシタンス測定値を取得するために実行されてもよい。上述したように、この種の相互キャパシタンス測定値は、測定データとして格納されてもよい。
【0079】
方法1200は、複数のセンサの少なくともいくつかに関連付けられた1つまたは複数の診断動作が実行されてもよい動作1204を実行してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、検知デバイスは、タッチセンサのような1つまたは複数のセンサ内に含まれてもよい。動作1204の間、1つまたは複数の診断動作は、センサが適切に動作しているか、または、センサの動作に関する問題が検出されたかを決定するために実行されてもよい。
【0080】
方法1200は、欠陥のある電極が存在するかが決定されてもよい動作1206を実行してもよい。したがって、動作1206の間、上述した欠陥検出技術の1つまたは複数は、欠陥のある電極が検知デバイス内に存在するかを決定するために実行されてもよい。
【0081】
欠陥のある電極が存在すると決定される場合、方法1200は、1つまたは複数の内挿演算に基づいて、1つまたは複数のシミュレーション信号を生成してもよい動作1208を実行してもよい。さまざまな実施形態において、シミュレーション信号は、識別された欠陥のある電極に隣接した電極に基づいて生成されてもよい。したがって、隣接した電極は、欠陥のある電極が適切に動作していた場合、この欠陥のある電極によって生成されるであろう信号を近似またはシミュレーションするために用いられてもよい。いくつかの実施形態では、シミュレーション信号は、1つまたは複数の内挿演算に基づいて生成される。さまざまな実施形態において、1つまたは複数の線形補間技術を用いて、以下に示す式(3)のような式を用いて、隣接するi-1、i+1列から信号の平均をとることによって、損傷したi列のための信号を生成してもよい。
i,j=1/2(Ci-1,j+Ci+1,j) (3)
【0082】
さまざまな実施形態は、損傷したi列が検知デバイスの端(例えば、最大または最小の可能性があるインデックス番号を有する列)に位置する場合、損傷した列のための信号は、i列に隣接する列から、例えば、列i-1およびi-2からの相互キャパシタンス値を用いて、式(4)で示すように、線形外挿技術に基づいて決定されてもよい。
i,j=2・Ci-1,j-Ci-2,j (4)
【0083】
この種の計算は、式(3)および(4)において、インデックスjを掃き出す(sweep)ことによりすべての行のために実行されてもよい。さまざまな実施形態において、欠陥が検知デバイスの行電極上に位置する場合、類似の内挿または外挿技術を実行することができる。したがって、線形補間技術を用いて、損傷した行列(row line)のための置換信号を決定してもよい。
【0084】
方法1200は、1つまたは複数の欠陥のある電極によって生成される信号が1つまたは複数のシミュレーション信号により置換されてもよい動作1210を実行してもよい。したがって、シミュレーション信号を用いて、近似した測定データセットを生成してもよく、近似した測定データは、欠陥のある電極の出力の代わりに測定データ内に含まれてもよい。
【0085】
方法1200は、1つまたは複数の入力位置計算が実行されてもよい動作1212を実行してもよい。したがって、近似した測定データを含んでもよい測定データを用いて、タッチまたはホバーのような入力が検知デバイスに存在するかを決定してもよい。この種の決定は、測定データと所定の閾値との比較に基づいて行われてもよいし、または、任意の適切なタッチ検出計算に基づいて行われてもよい。
【0086】
図13Aは、いくつかの実施形態に従って構成される、検知デバイスの一例を示す。図13Aに示すように、検知デバイス1300のような検知デバイスは、測定値のために用いられる交点を有する1つまたは複数の行および列の電極を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極の1つまたは複数に欠陥がありうる。例えば、電極1304は、欠陥があるかもしれず、適切に機能しないかもしれない。より詳しくは、電極1304は、損傷を受けているかもしれず、キャパシタンス測定値を正確に取得できないかもしれない。
【0087】
図13Bは、いくつかの実施形態に従って構成される、他の検知デバイスの一例を示す。図13Bに示すように、検知デバイス1310のような検知デバイスは、1つまたは複数の欠陥のある電極、例えば、電極1312を有しうる。さまざまな実施形態において、隣接した電極、例えば、電極1314および電極1316を用いて、電極1312の出力を近似するための信号を生成してもよい。したがって、内挿演算は、電極1314および1316に関連付けられた測定値に実行され、上述したように、シミュレーション信号を生成してもよい。
【0088】
図14は、いくつかの実施形態に従って実行される、欠陥緩和のための追加の方法の一例を示す。上述したのと同じように、検知デバイスは、タッチおよび/またはホバー検出のための1つまたは複数の測定値を取得するように構成されるさまざまな電極を含んでもよい。さまざまな実施形態において、方法1400のような方法は、検知デバイスまたは関連する指紋センサ内の欠陥を識別し、1つまたは複数のマッチング動作を実行して、識別された欠陥のある電極を補償するために実行されてもよい。
【0089】
方法1400は、指紋センサが相互キャパシタンスモードで走査されてもよい動作1402を実行してもよい。上述したのと同じように、1つまたは複数の走査動作は、指紋センサ内に含まれてもよい検知デバイス内に含まれる電極を用いて複数の相互キャパシタンス測定値を取得するために実行されてもよい。
【0090】
方法1400は、指紋センサに関連付けられた1つまたは複数の診断動作が実行されてもよい動作1404を実行してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、検知デバイスは、指紋センサ内に含まれてもよい。動作1404の間、1つまたは複数の診断動作は、指紋センサが適切に動作しているか、または、問題が検出されたかを決定するために実行されてもよい。
【0091】
方法1400は、欠陥のある電極が存在するかが決定されてもよい動作1406を実行してもよい。したがって、動作1406の間、上述した欠陥検出技術の1つまたは複数は、欠陥のある電極が検知デバイス内に存在するかを決定するために実行されてもよい。
【0092】
欠陥のある電極が存在すると決定される場合、方法1400は、1つまたは複数の指紋画像領域が生成されてもよい動作1408を実行してもよい。したがって、検知デバイスは、識別された有効電極に基づいて、1つまたは複数の領域に分割されてもよい。例えば、第1および第2の領域は、欠陥のある電極の両側に識別されてもよく、欠陥のある電極は、除外されてもよい。追加の詳細は、図15Aおよび図15Bを参照して以下で詳述される。
【0093】
方法1400は、1つまたは複数の指紋画像領域に基づいて、マッチデータを生成してもよい動作1410を実行してもよい。したがって、測定データは、識別された指紋領域の各々のために生成されてもよく、データは、マッチデータとして格納されてもよい。
【0094】
方法1400は、1つまたは複数のマッチ動作が実行されてもよい動作1412を実行してもよい。したがって、マッチデータは、指紋マッチが発生したかを決定するために、1領域ずつのベースで、基準データと比較されてもよい。このようにして、生成された指紋領域に関連付けられた測定値は、基準データの対応する領域と比較され、マッチが発生したかを決定してもよく、欠陥のある電極が、この種のマッチング動作に与える影響を緩和することができる。
【0095】
図15Aは、いくつかの実施形態に従って構成される、検知デバイスの一例を示す。図15Aに示すように、検知デバイス1502は、電極1504のようなさまざまな電極を有する。電極1504が適切に機能するとき、指紋画像領域1506のような単一の指紋画像領域が識別されてもよい。図15Bに示すように、ある電極が適切に機能しないとき、その電極は除外されてもよく、電極1508および1510のグループのような電極のみが用いられてもよい。したがって、電極1504が適切に機能しないとき、指紋画像領域1512および1514のような複数の指紋画像領域が識別されてもよい。
【0096】
上述した概念は、理解の明快さのためにいくつかの詳細において記載されてきたが、特定の変化および修正が添付の請求の範囲内で実行されてもよいことは明らかである。プロセス、システムおよびデバイスを実施する多くの代替方法がある点に留意されたい。したがって、本例は、例示的であり限定的ではないとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】