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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013326
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/268 20170101AFI20230119BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230119BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230119BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20230119BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230119BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20230119BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20230119BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20230119BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20230119BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20230119BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230119BHJP
   B22F 12/49 20210101ALI20230119BHJP
【FI】
B29C64/268
B29C64/153
B33Y30/00
B29C64/393
B33Y50/02
B23K26/34
B23K26/21 Z
B23K26/082
B22F3/105
B22F3/16
B22F10/28
B22F12/49
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117415
(22)【出願日】2021-07-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000146087
【氏名又は名称】株式会社松浦機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光慶
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔太
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA81
4E168CB04
4E168EA15
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL43
4F213WL45
4F213WL78
4F213WL85
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
【課題】テーブル面のスペースを有効に活用し、レーザビーム又は電子ビームの均一な照射を可能とするガルバノスキャナーの配置を実現している三次元造形装置提供。
【解決手段】 2個~6個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を後端側とし、第1ミラー31の収容領域を先端側とする長手方向を、テーブルの中心位置Pを内側として、Pを囲む方向に設定し、一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向の前記内側又は後端側領域のうち、前記内側の一部領域に当接した状態にて配置し、長手方向の領域を、2個の場合には、交差状態とし、3個~6個の場合には、多角形の辺を形成する状態とし、かつ第2ミラー32を長手方向と交差する方向にて前記内側に突設することによって、前記課題を達成する三次元造形装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端側の領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の先端側以外の領域の内側側部の位置又は当該位置の近傍に配置し、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置。
【請求項2】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端側の領域又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置又は当該位置の近傍に配置し、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置。
【請求項3】
各ガルバノスキャナーにおいて、第2ミラーの突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラーを、前記中心位置を両側にて挟んだ状態にて配列していることを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項4】
各第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、前記中心位置を基準として水平方向に即して等距離にて配列していることを特徴とする請求項1、2の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項5】
各ガルバノスキャナーにおける第1ミラーがテーブル面と直交する鉛直方向の回動中心軸を介して回動し、かつ水平方向のレーザビーム又は電子ビームを反射することを特徴とする請求項1、2、3、4の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項6】
各第2ミラーの反射の中心位置が、回動中心軸及びその近傍であり、かつ各第2ミラーの反射の領域が、回動段階における上端近傍及び下端近傍の範囲であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項7】
各ガルバノスキャナーの長手方向を、第1ミラーを収容している先端側を上側とするような傾斜状態に配置し、第1ミラーの回動中心軸を当該傾斜角度に即して傾斜し、かつ第1ミラーがレーザビーム又は電子ビームを水平方向に反射していることを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項8】
各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーの突設方向を、上向きとするような傾斜状態に配置すると共に、第1ミラーの回動中心軸を当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することによって、第1ミラーがレーザビーム又は電子ビームを上記傾斜する方向に反射していることを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項9】
請求項7記載の傾斜状態及び請求項8記載の傾斜状態の双方を採用し、かつ第1ミラーの回動中心軸を鉛直方向に設定していることを特徴とする請求項1、2、3の何れか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項10】
2個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、前記中心位置の周囲にて水平方向に即して各長手方向を90°の交差状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーにおける先端側領域及び第2ミラーの収容領域の双方を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向内側側部の位置に配列していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形装置。
【請求項11】
2個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、前記中心位置の周囲にて水平方向に即して各長手方向を90°の交差状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーの収容領域を、他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形装置。
【請求項12】
3個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置から等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーの収容領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向内側側部の位置に配列していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形装置。
【請求項13】
3個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置から等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーの収容領域を、他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうちの内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形装置。
【請求項14】
4個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次90°の等角度交差による正方形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーにおける先端側領域及び第2ミラーの収容領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向内側の位置に配列していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形装置。
【請求項15】
4個のガルバノスキャナーの前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次90°の等角度交差による正方形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーにおける第2ミラーの収容領域を、他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形装置。
【請求項16】
5個のガルバノスキャナーの前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーの先端側領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向内側領域の位置に配列していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形装置。
【請求項17】
5個のガルバノスキャナーの前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーの収容領域を、他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形装置。
【請求項18】
6個のガルバノスキャナーの前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置と等距離とし、当該長手方向の領域を、順次60°の等角度交差による正六角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーの先端側領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向内側領域の位置に配列していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形装置。
【請求項19】
6個のガルバノスキャナーの前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置と等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーの収容領域を、他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする請求項2記載の三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックフォーカスレンズを透過して順次集束するレーザビーム又は電子ビームを、二次元方向に走査するガルバノスキャナーを複数個採用している三次元造形装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
テーブル面上に積層した粉末層に対するレーザビーム又は電子ビームの照射によって焼結面を形成する三次元造形においては、焦点距離を調整し得るダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームをガルバノスキャナーによって焼結面又はその近傍に集束するような走査(スキャニング)が行われている。
【0003】
前記走査を実現するガルバノスキャナーを、2個又は4個採用することによって効率的な走査を実現する三次元造形方法は、特許文献1記載の発明(以下「先願発明1」と称する。)として開示されている。
【0004】
しかも、先願発明1においては、水平方向にて向かい合う位置にある第2ミラーにおける反射位置の距離を150mm又は100mm以下とすることを要件としており、2個又は4個のガルバノスキャナーをコンパクトな配置とするような工夫が行われている。
【0005】
しかしながら、第2ミラーの相互間の反射位置の距離は第2ミラーの規格、具体的には、回動中心軸と直交する方向の幅によって左右される以上、全ての第2ミラーについて妥当する訳ではない。
【0006】
尤も、上記数値要件は、技術常識として採用する全ての第2ミラーの場合に妥当するという趣旨かもしれないが、どうして技術常識として採用する全ての第2ミラーにつき、上記数値要件が成立するかの根拠につき、先願発明1は全く明らかにしていない。
【0007】
このように、根拠及び技術的趣旨が不明である前記数値要件は、本来無意味である。
【0008】
しかも、先願発明1においては、テーブル面のスペースを有効に活用し得るような複数個のガルバノスキャナーの配置について格別の工夫が行われている訳ではない。
【0009】
現に、先願発明1の図5、6、13を参照するも、2個のガルバノスキャナー22、42の長手方向、及び4個のガルバノスキャナー32、42、52、62は長手方向が何れも平行状態であって、二次元のテーブル面を有効に活用していない。
【0010】
即ち、通常テーブル面は、正方形又は円形であるが、先願発明1においては、このようなテーブル面を有効に活用するような工夫は行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】日本国特許第6,793,806号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、テーブル面のスペースを有効に活用する一方、相互の協働によって、レーザビーム又は電子ビームの均一な照射を可能とするような複数個のガルバノスキャナーの配置を実現している三次元造形装置の構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するため、本発明の基本構成は、
(1)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端側の領域及び/又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の先端側以外の領域の内側側部の位置又は当該位置の近傍に配置し、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置、
(2)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの前記先端側の領域又は第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置又は当該位置の近傍に配置し、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置、
(3)各ガルバノスキャナーにおいて、第2ミラーの突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラーを、前記中心位置を両側にて挟んだ状態にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
(4)各第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、前記中心位置を基準として水平方向に即して等距離にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
からなる。
【発明の効果】
【0014】
基本構成(1)、(2)においては、複数個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、テーブル面の中心位置を内側として、当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態とすることによって設定しているが、前記中心位置と長手方向の領域との距離が調整自在であることから、このような設定によって、テーブル面の全領域を有効に活用することができる。
【0015】
しかも、基本構成(1)、(2)においては、複数個のガルバノスキャナーを前記中心位置の周囲に配置することによって、各ガルバノスキャナーの分担による区分された領域の照射、又は重複状態による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【0016】
基本構成(3)のように、基本構成(1)、(2)において、各ガルバノスキャナーにおいて、第2ミラーの突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラーを、前記中心位置を両側にて挟んだ状態とした場合には、第2ミラーのコンパクトかつ略均等な配列状態を実現し、その結果、前記中心位置を基準として均一な照射のコントロールを実現することができる。
【0017】
前記中心位置を両側にて挟んだ状態とする具体的構成については、実施例1~5に即して後述する通りである。
尚、第2ミラーを、長手方向と直交する方向に突設することは、殆どのガルバノスキャナーにおいて採用されている技術常識に該当する。
【0018】
基本構成(3)、(4)においては、各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、水平方向に即して等距離に配列することによって、基本構成(1)及び(2)における均一な照射を助長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】基本構成(1)、(2)において、2個のガルバノスキャナーを配置した実施例1の平面図であり、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。 Qは、第2ミラーの回動中心軸の中央位置を示しており、この点は、図2図8においても同様である。
図2】基本構成(1)、(2)において、3個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置の周囲にて正三角形状に配置した実施例2の平面図であって、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図3】基本構成(1)、(2)において、4個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置の周囲にて正方形状に配置した実施例3の平面図であって、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図4】基本構成(1)、(2)において、5個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、テーブル面の中心位置の周囲にて正五角形の辺を形成するように設定している実施例4の平面図であって、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図5】基本構成(1)、(2)において、6個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置の周囲にて正六角形の辺を形成するように設定している実施例5の平面図であって、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図6】基本構成(1)のアウトラインを示す平面図であって、(a)は、一方側のガルバノスキャナーの先端側領域を他方側のガルバノスキャナーの長手方向内側側部の位置に配置した場合を示し、(b)は、一方側のガルバノスキャナーの第2ミラー収容領域を他方側のガルバノスキャナーの長手方向内側側部の位置に配置した場合を示し、(c)は、各ガルバノスキャナーの構成要素の配列状態を示す。
図7】基本構成(2)のアウトラインを示す平面図であって、(a)は、一方側のガルバノスキャナーの先端側領域を他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配置した場合を示し、(b)は、一方側のガルバノスキャナーの第2ミラー収容領域を他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配置した場合を示し、(c)は、各ガルバノスキャナーの構成要素の配列状態を示す。
図8】基本構成(4)の特徴を示す平面図であって、(a)は、基本構成(1)において3個のガルバノスキャナーを採用した場合を示し、(b)は、基本構成(2)において4個のガルバノスキャナーを採用した場合を示す。
図9】第2ミラーの反射領域が回動中心軸の位置及びその近傍であると共に、第2ミラーの反射領域が回動段階における上端近傍及び下端近傍の範囲内にあることを特徴とする実施形態を示す側面図である。
図10】各ガルバノスキャナーを水平方向に対して傾斜するように配置した実施形態を示す側面図であって、(a)は、ガルバノスキャナーの長手方向を、レーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至る方向に即して順次上向きとなるような傾斜状態にて配置した実施形態を示し、(b)は、第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜状態に設定した実施形態を示し、(c)は、(a)及び(b)の双方の傾斜状態を採用した実施形態を示す。 尚、図10(a)における両側方向の矢印は、第1ミラーが上向きの傾斜方向に進行するレーザビーム又は電子ビームを水平方向に反射している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
基本構成(1)は、図6(a)、(b)に示すように、粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査するガルバノスキャナー3を複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置Pを内側として当該中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナー3の前記先端側の領域及び/又は第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向領域の先端側以外の領域の内側側部の位置又は当該位置の近傍に配置し、かつ前記先端側から第2ミラー32を、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置である。
尚、配置の位置として内側側部の位置のみならず、当該位置の近傍をも包摂しているが、その根拠は、このような近傍の位置における配置であっても、基本構成(1)の作用効果を発揮し得ることにある。
【0021】
図6(a)、(b)に示すように、基本構成(1)においては、ガルバノスキャナー3の長手方向がテーブル面の中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む方向に設定しているが、前記周囲の位置については、前記中心位置Pとの距離を任意に選択することが可能であることから、このような設定によって、テーブルのスペースを有効に活用することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0022】
基本構成(1)において、一方側のガルバノスキャナー3において、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向の内側側部の位置又は当該位置の近傍に配置する領域としては、図6(a)に示すように、先端側領域のみである場合と、図6(b)に示すように、第2ミラー32の収容領域の場合には、当然選択可能であるが、図1(a)に示す実施例1の場合及び図3(a)に示す実施例3の場合には、先端側領域及び第2ミラー32の収容領域の双方を選択する場合も当然発生する。
【0023】
基本構成(2)は、図7(a)、(b)に示すように、粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査するガルバノスキャナー3を複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ複数個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置Pを内側として当該中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナー3の前記先端側の領域又は第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向領域の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置又は当該位置の近傍に配置し、かつ前記先端側から第2ミラー32を、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置である。
尚、配置の位置として内側の一部領域の位置だけでなく、当該位置の近傍をも包摂しているが、その根拠は、このような近傍の位置であっても、基本構成(2)の作用効果を発揮し得ることにある。
【0024】
図7(a)、(b)に示すように、基本構成(2)においては、基本構成(1)の場合と同様の根拠によって、テーブルのスペースを有効に活用することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0025】
基本構成(2)において、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置又は当該位置の近傍に配置する領域として、図7(a)に示すように、先端側領域の場合及び図7(b)に示すように、第2ミラー32の収容領域をも選択することが可能である一方、先端側領域及び第2ミラー32の収容領域の双方をも配置の対象としていないのは、配置の対象の位置を他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域の内側の一部領域に限定していることに由来している。
【0026】
即ち、先端側領域及び第2ミラー32の収容領域の双方を配置の対象とした場合には、後端側の内側の一部領域ではなく、全領域を配置の位置とせざるを得ないが、その場合には、一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32が照射したレーザビーム又は電子ビーム7が、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域によって遮蔽される可能性があり、このような可能性を避ける必要があることに由来している。
【0027】
基本構成(3)は、図6(c)、図7(c)に示すように、各ガルバノスキャナー3において、第2ミラー32の突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラー32を、前記中心位置Pを両側にて挟んだ状態にて配列していることを特徴としているが、このような特徴点の技術的意義については、既に効果の項において説明した通りである。
【0028】
基本構成(4)は、図8に示すように、各第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qを、前記中心位置Pを基準として水平方向に即して等距離にて配列していることを特徴としているが、このような特徴点の技術的意義については、既に効果の項において説明した通りである。
【0029】
基本構成(1)及び(2)におけるガルバノスキャナー3の複数個の最大数については、ガルバノスキャナー3の長手方向の寸法と、テーブル面の面積とによって選択される。
但し、後述する各実施例1~5に示すように、実際には2個~6個のガルバノスキャナー3を採用する場合が多い。
【0030】
基本構成(1)及び(2)においては、スキージ、ガルバノスキャナー3以外に、レーザビーム又は電子ビーム7の走査によって形成された焼結面に対する切削を行う切削工具を備えることによって、様々な形状の三次元造形物を製造する場合が多い。
【0031】
基本構成(1)及び(2)においては、通常、各ガルバノスキャナー3の長手方向においては、レーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に照射し、かつ第1ミラー31が鉛直方向の回動中心軸30を介して回動する設計が採用されている。
【0032】
しかしながら、レーザビーム又は電子ビーム7を長手方向の後端側から先端側に向かって上側に傾斜するような照射状態も可能であって、かつこの点については、図10(a)、(b)、(c)に示す実施形態において後述する通りである。
【0033】
基本構成(1)及び(2)においては、図9に示すように、各第2ミラー32の反射の中心位置が、回動中心軸30及びその近傍であり、かつ各第2ミラー32の反射の領域が、回動段階における上端近傍及び下端近傍の範囲であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0034】
通常、第2ミラー32の回動中心軸30の位置は固定されていることから、第2ミラー32における反射領域は回動中心軸30の下側又は上側に限定される場合がある。
【0035】
然るに、図9に示す実施形態の場合には、第2ミラー32における反射位置が回動中心の位置又はその近傍であり、回動中心軸30の位置に対する上端及び下端の双方の近傍の位置を反射領域に設定している。
【0036】
しかも、回動段階における上端及び下端の近傍の位置の範囲を反射領域としていることから、第2ミラー32の回動中心軸30と直交する方向の幅をレーザビーム又は電子ビーム7のスポット径より稍大きいという程度の極端に小さい状態と設定することができる。
【0037】
その結果、第2ミラー32につき、局所的にコンパクトな設計を実現することができる。
【0038】
基本構成(1)及び(2)においては、通常、ガルバノスキャナー3を水平方向に沿って長手方向の高さ位置を変化せずに配置している。
【0039】
しかしながら、基本構成(1)及び(2)においては、各ガルバノスキャナー3を水平方向に設定することが要件とされる訳ではなく、各ガルバノスキャナー3を水平方向に対し傾斜した状態とすることができる。
【0040】
具体的に説明するに、図10(a)に示すように、レーザビーム又は電子ビーム7の照射方向を前記中心位置Pに近づくにつれて上側とし、かつ長手方向につき、第1ミラー31が収容されている先端側を上側とするような傾斜状態に配置するような実施形態、及び図10(b)に示すように、各ガルバノスキャナー3における第2ミラー32の突設方向を、上側に傾斜する方向に設定していることを特徴とする実施形態、更には図10(c)に示すように、図10(a)、図10(b)の双方の特徴に立脚している実施形態を採用することができる。
【0041】
尚、図10(a)に示す実施形態の場合には、上向きに傾斜したレーザビーム又は電子ビーム7と第1ミラー31とが水平方向に反射することを必要とすることから、当該図10(a)に示すように、第1ミラー31の回動中心軸30については、上側に傾斜する方向に進行しているレーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に反射するために、鉛直方向ではなく、図10(a)に示すように当該方向に対し、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0042】
図10(b)に示す実施形態においては、水平方向に直進し、かつレーザビーム又は電子ビーム7を第2ミラー32が突設された方向に即して上側に傾斜する方向に反射するためには、第1ミラー31の回動中心軸30については、鉛直方向ではなく、当該方向に対し図10(b)に示すように、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0043】
これに対し、図10(a)及び図10(b)の各特徴点の双方を発揮し得るような実施形態を採用した場合には、上側に傾斜する方向にて進行するレーザビーム又は電子ビーム7は鉛直方向に設定された回転中心軸30を有する第1ミラー31によって、第2ミラー32が突設されている方向の上向き方向に反射することが可能であることから、図10(c)に示すように、図10(a)、(b)に示すような傾斜方向に設定する必要はない。
【0044】
図10(c)に示す実施形態は、第1ミラー31の回動中心軸30の設定方法において最もシンプルである。
【0045】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例0046】
実施例1は、基本構成(1)に立脚した上で、図1(a)に示すように、2個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、前記中心位置Pの周囲にて水平方向に即して各長手方向を90°の交差状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3における先端側領域及び第2ミラー32の収容領域の双方を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側側部の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)に立脚した上で、図1(b)に示すように、2個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、前記中心位置Pの周囲にて水平方向に即して各長手方向を90°の交差状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0047】
実施例1は、2個のガルバノスキャナー3を採用するというシンプルな構成によって、基本構成(1)及び(2)の作用効果を発揮することができる。
【0048】
しかも、2個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【実施例0049】
実施例2は、基本構成(1)に立脚した上で、図2(a)に示すように、3個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pから等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側側部の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)に立脚した上で、図2(b)に示すように、3個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pから等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうちの内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0050】
実施例2においては、3個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pの周囲にて正三角形の各辺を形成するように配置することによってテーブルの全面を有効に活用することができる。
【0051】
しかも、3個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【実施例0052】
実施例3は、基本構成(1)に立脚した上で、図3(a)に示すように、4個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次90°の等角度交差による正方形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3における先端側領域及び第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)に立脚した上で、図3(b)に示すように、4個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次90°の等角度交差による正方形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3における第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0053】
実施例3においては、4個のガルバノスキャナー3をテーブル面の中心位置Pの周囲にて正方形の各辺を形成するように配置することによって、テーブルの全面を有効に活用することを可能としている。
【0054】
しかも、4個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【実施例0055】
実施例4は、基本構成(1)に立脚した上で、図4(a)に示すように、5個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の先端側領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側領域の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)に立脚した上で、図4(b)に示すように、5個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0056】
実施例4においては、5個のガルバノスキャナー3をテーブル面の中心位置Pの周囲にて正五角形の各辺を形成するように配置することによって、テーブルの全面を有効に活用することを可能としている。
【0057】
しかも、5個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【実施例0058】
実施例5は、基本構成(1)に立脚した上で、図5(a)に示すように、6個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離とし、当該長手方向の領域を、順次60°の等角度交差による正六角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の先端側領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側領域の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)に立脚した上で、図5(b)に示すように、6個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0059】
実施例5においては、6個のガルバノスキャナー3をテーブル面の中心位置Pの周囲にて正六角形の辺を形成する状態に配置することによって、テーブルの全面を有効に活用することを可能としている。
【0060】
しかも、6個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本願発明は、複数個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置を内側として、当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態に配置することによって、テーブル面のスペースを有効に活用すると共に、複数個のガルバノスキャナーの分担又は協働によって均一な照射による焼結面の形成に寄与することを可能とする点において画期的であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0062】
1 レーザビーム又は電子ビームの発振源
2 ダイナミックフォーカスレンズ
3 ガルバノスキャナー
30 回動中心軸
31 第1ミラー
32 第2ミラー
7 レーザビーム又は電子ビーム
P テーブル面の中心位置
Q 回動中心軸30における中央位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-10-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ2個~6個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の先端側以外の領域の前記内側の位置に当接した状態にて配置することによって、2個の場合には、前記長手方向の領域を交差状態に設定し、3個~6個の場合には、前記長手方向の領域を多角形の辺を形成するように設定しており、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ2個~6個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の後端側領域のうち、前記内側の一部領域の位置に当接した状態にて配置することによって、2個の場合には、前記長手方向の領域を交差状態に設定し、3個~6個の場合には、前記長手方向の領域を多角形の辺を形成するように設定しており、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックフォーカスレンズを透過して順次集束するレーザビーム又は電子ビームを、二次元方向に走査するガルバノスキャナーを複数個採用している三次元造形装置を対象としている。
【背景技術】
【0002】
テーブル面上に積層した粉末層に対するレーザビーム又は電子ビームの照射によって焼結面を形成する三次元造形においては、焦点距離を調整し得るダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームをガルバノスキャナーによって焼結面又はその近傍に集束するような走査(スキャニング)が行われている。
【0003】
前記走査を実現するガルバノスキャナーを、2個又は4個採用することによって効率的な走査を実現する三次元造形方法は、特許文献1記載の発明(以下「先願発明1」と称する。)として開示されている。
【0004】
しかも、先願発明1においては、水平方向にて向かい合う位置にある第2ミラーにおける反射位置の距離を150mm又は100mm以下とすることを要件としており、2個又は4個のガルバノスキャナーをコンパクトな配置とするような工夫が行われている。
【0005】
しかしながら、第2ミラーの相互間の反射位置の距離は第2ミラーの規格、具体的には、回動中心軸と直交する方向の幅によって左右される以上、全ての第2ミラーについて妥当する訳ではない。
【0006】
尤も、上記数値要件は、技術常識として採用する全ての第2ミラーの場合に妥当するという趣旨かもしれないが、どうして技術常識として採用する全ての第2ミラーにつき、上記数値要件が成立するかの根拠につき、先願発明1は全く明らかにしていない。
【0007】
このように、根拠及び技術的趣旨が不明である前記数値要件は、本来無意味である。
【0008】
しかも、先願発明1においては、テーブル面のスペースを有効に活用し得るような複数個のガルバノスキャナーの配置について格別の工夫が行われている訳ではない。
【0009】
現に、先願発明1の図5、6、13を参照するも、2個のガルバノスキャナー22、42の長手方向、及び4個のガルバノスキャナー32、42、52、62は長手方向が何れも平行状態であって、二次元のテーブル面を有効に活用していない。
【0010】
即ち、通常テーブル面は、正方形又は円形であるが、先願発明1においては、このようなテーブル面を有効に活用するような工夫は行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】日本国特許第6,793,806号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、テーブル面のスペースを有効に活用する一方、相互の協働によって、レーザビーム又は電子ビームの均一な照射を可能とするような複数個のガルバノスキャナーの配置を実現している三次元造形装置の構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するため、本発明の基本構成は、
(1)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ2個~6個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の先端側以外の領域の前記内側の位置に当接した状態にて配置することによって、2個の場合には、前記長手方向の領域を交差状態に設定し、3個~6個の場合には、前記長手方向の領域を多角形の辺を形成するように設定しており、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置、
(2)粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビームを走査するガルバノスキャナーを複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナーは、ダイナミックフォーカスレンズを透過したレーザビーム又は電子ビームに対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸を介して回動する第1ミラー及び第1ミラーの回動と独立した状態にて前記第1ミラーにおける回動中心軸の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸を介して回動する第2ミラーからの反射によって、レーザビーム又は電子ビームの直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ2個~6個のガルバノスキャナーを、レーザビーム又は電子ビームの発振源を収容している領域を後端側とし、第1ミラーを収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル面の中心位置を内側として当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーを収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナーの長手方向領域の後端側領域のうち、前記内側の一部領域の位置に当接した状態にて配置することによって、2個の場合には、前記長手方向の領域を交差状態に設定し、3個~6個の場合には、前記長手方向の領域を多角形の辺を形成するように設定しており、かつ前記先端側から第2ミラーを、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置、
(3)各ガルバノスキャナーにおいて、第2ミラーの突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラーを、前記中心位置を両側にて挟んだ状態にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
(4)各第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、前記中心位置を基準として水平方向に即して等距離にて配列していることを特徴とする基本構成(1)、(2)の三次元造形装置、
からなる。
【発明の効果】
【0014】
基本構成(1)、(2)においては、2個~6個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、テーブル面の中心位置を内側として、当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態とすることによって設定しているが、前記中心位置と長手方向の領域との距離が調整自在であることから、このような設定によって、テーブル面の全領域を有効に活用することができる。
【0015】
しかも、基本構成(1)、(2)においては、2個~6個のガルバノスキャナーを前記中心位置の周囲に配置し、かつ2個の場合には、前記長手方向の領域を交差状態に設定し、3個~6個の場合には、前記長手方向の領域を多角形の辺を形成するように設定することによって、各ガルバノスキャナーの分担による区分された領域の照射、又は重複状態による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【0016】
基本構成(3)のように、基本構成(1)、(2)において、各ガルバノスキャナーにおいて、第2ミラーの突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラーを、前記中心位置を両側にて挟んだ状態とした場合には、第2ミラーのコンパクトかつ略均等な配列状態を実現し、その結果、前記中心位置を基準として均一な照射のコントロールを実現することができる。
【0017】
前記中心位置を両側にて挟んだ状態とする具体的構成については、実施例1~5に即して後述する通りである。
尚、第2ミラーを、長手方向と直交する方向に突設することは、殆どのガルバノスキャナーにおいて採用されている技術常識に該当する。
【0018】
基本構成(4)においては、各ガルバノスキャナーにおける第2ミラーの回動中心軸の中央位置を、水平方向に即して等距離に配列することによって、基本構成(1)及び(2)における均一な照射を助長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】基本構成(1)、(2)において、2個のガルバノスキャナーを配置した実施例1の平面図であり、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。 Qは、第2ミラーの回動中心軸の中央位置を示しており、この点は、図2図8においても同様である。
図2】基本構成(1)、(2)において、3個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置の周囲にて正三角形状に配置した実施例2の平面図であって、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図3】基本構成(1)、(2)において、4個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置の周囲にて正方形状に配置した実施例3の平面図であって、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図4】基本構成(1)、(2)において、5個のガルバノスキャナーの長手方向の領域を、テーブル面の中心位置の周囲にて正五角形の辺を形成するように設定している実施例4の平面図であって、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図5】基本構成(1)、(2)において、6個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置の周囲にて正六角形の辺を形成するように設定している実施例5の平面図であって、(a)は、基本構成(1)の場合を示し、(b)は、基本構成(2)の場合を示す。
図6】基本構成(1)のアウトラインを示す平面図であって、(a)は、2個のガルバノスキャナーに即して、一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーを収容している先端側領域の近傍領域を他方側のガルバノスキャナーの長手方向の前記内側の位置に当接した状態にて配置し、かつ前記長手方向の領域を、交差状態に設定した場合を示し、(b)は、3個~6個のガルバノスキャナーに即して、一方側のガルバノスキャナーの第2ミラー収容している先端側領域の近傍領域を他方側のガルバノスキャナーの長手方向の前記内側の位置に当接した状態にて配置し、かつ前記長手方向の領域を、多角形の辺を形成するように設定した場合を示し、(c)は、各ガルバノスキャナーの構成要素の配列状態を示す。
図7】基本構成(2)のアウトラインを示す平面図であって、(a)は、2個のガルバノスキャナーに即して、一方側のガルバノスキャナーの第2ミラーを収容している先端側領域の近傍領域を他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうち、前記内側の一部領域の位置に当接した状態にて配置し、かつ前記長手方向の領域を、交差状態に設定した場合を示し、(b)は、3個~6個のガルバノスキャナーに即して、一方側のガルバノスキャナーの第2ミラー収容している先端側領域の近傍領域を他方側のガルバノスキャナーの後端側領域のうち、前記内側の一部領域の位置に当接した状態にて配置し、かつ前記長手方向の領域を、多角形の辺を形成するように設定した場合を示し、(c)は、各ガルバノスキャナーの構成要素の配列状態を示す。
図8】基本構成(4)の特徴を示す平面図であって、(a)は、基本構成(1)において3個のガルバノスキャナーを採用した場合を示し、(b)は、基本構成(2)において4個のガルバノスキャナーを採用した場合を示す。
図9】第2ミラーの反射領域が回動中心軸の位置及びその近傍であると共に、第2ミラーの反射領域が回動段階における上端近傍及び下端近傍の範囲内にあることを特徴とする実施形態を示す側面図である。
図10】各ガルバノスキャナーを水平方向に対して傾斜するように配置した実施形態を示す側面図であって、(a)は、ガルバノスキャナーの長手方向を、レーザビーム又は電子ビームの発振源から第1ミラーに至る方向に即して順次上向きとなるような傾斜状態にて配置した実施形態を示し、(b)は、第2ミラーの突設方向を上向きとするような傾斜状態に設定した実施形態を示し、(c)は、(a)及び(b)の双方の傾斜状態を採用した実施形態を示す。 尚、図10(a)における両側方向の矢印は、第1ミラーが上向きの傾斜方向に進行するレーザビーム又は電子ビームを水平方向に反射している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
基本構成(1)は、図6(a)、(b)に示すように、粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査するガルバノスキャナー3を複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ2個~6個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル4の面の中心位置Pを内側として当該中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向領域の先端側以外の領域の前記内側の位置に当接した状態にて配置することによって、2個の場合には、前記長手方向の領域を交差状態に設定し、3個~6個の場合には、前記長手方向の領域を多角形の辺を形成するように設定しており、かつ前記先端側から第2ミラー32を、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置である。
【0021】
図6(a)、(b)に示すように、基本構成(1)においては、ガルバノスキャナー3の長手方向がテーブル4の面の中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む方向に設定しているが、前記周囲の位置については、前記中心位置Pとの距離を任意に選択することが可能であることから、このような設定によって、テーブルのスペースを有効に活用することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0022】
基本構成(1)において、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向の前記内側の位置に当接した状態にて配置する一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32を収容している先端側領域の近傍領域としては、2個の場合には図6(a)に示すように、当該近傍領域のコーナーの場合、又は後述する実施例1の図1(a)に示すように、全領域の場合の何れをも選択することが可能であり、3個~6個の場合においても図6(b)に示すように、当該近傍領域のコーナーの場合、及び後述する実施例3の図3(a)に示すように、全領域の場合の何れをも選択することができる。
【0023】
基本構成(2)は、図7(a)、(b)に示すように、粉末を走行を介してテーブル上に積層するスキージ、当該粉末層に対しレーザビーム又は電子ビーム7を走査するガルバノスキャナー3を複数個備えた三次元造形装置であって、各ガルバノスキャナー3は、ダイナミックフォーカスレンズ2を透過したレーザビーム又は電子ビーム7に対し、当該透過方向と直交する方向の回動中心軸30を介して回動する第1ミラー31及び第1ミラー31の回動と独立した状態にて前記第1ミラー31における回動中心軸30の方向と直交状態にあり、かつ水平方向の回動中心軸30を介して回動する第2ミラー32からの反射によって、レーザビーム又は電子ビーム7の直交座標を基準とする二次元方向の走査を実現しており、かつ2個~6個のガルバノスキャナー3を、レーザビーム又は電子ビーム7の発振源1を収容している領域を後端側とし、第1ミラー31を収容している領域を先端側とする長手方向が、水平方向に即してテーブル4の面の中心位置Pを内側として当該中心位置Pの周囲の全部又は一部を囲む状態を形成しており、隣接し合う一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32を収容している当該先端側領域の近傍領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向領域の後端側領域のうち、前記内側の一部領域の位置に当接した状態にて配置することによって、2個の場合には、前記長手方向の領域を交差状態に設定し、3個~6個の場合には、前記長手方向の領域を多角形の辺を形成するように設定しており、かつ前記先端側から第2ミラー32を、前記長手方向と交差する方向であって、かつ前記内側への方向にて突設している三次元造形装置である。
【0024】
図7(a)、(b)に示すように、基本構成(2)においては、基本構成(1)の場合と同様の根拠によって、テーブルのスペースを有効に活用することができることについては、既に効果の項において説明した通りである。
【0025】
基本構成(2)において、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、前記内側の一部領域の位置に当接した状態にて配置する他方側のガルバノスキャナー3の領域として2個の場合には図7(a)に示すように、後端側の内側コーナーの場合、及び後述する実施例2の図1(b)に示すように、一部領域の何れをも選択することが可能であるが、3個~6個の場合においても図7(b)に示すように、コーナーを含む後端側一部領域の場合、及び後述する実施例2の図2(b)、及び実施例4の図4(b)、実施例5の図5(b)に示すように、コーナーの場合の何れをも選択することができる。
【0026】
基本構成(3)は、図6(c)、図7(c)に示すように、各ガルバノスキャナー3において、第2ミラー32の突設方向が長手方向と直交しており、かつ複数個の第2ミラー32を、前記中心位置Pを両側にて挟んだ状態にて配列していることを特徴としているが、このような特徴点の技術的意義については、既に効果の項において説明した通りである。
【0027】
基本構成(4)は、図8に示すように、各第2ミラー32の回動中心軸30の中央位置Qを、前記中心位置Pを基準として水平方向に即して等距離にて配列していることを特徴としているが、このような特徴点の技術的意義については、既に効果の項において説明した通りである。
【0028】
基本構成(1)及び(2)においては、スキージ、ガルバノスキャナー3以外に、レーザビーム又は電子ビーム7の走査によって形成された焼結面に対する切削を行う切削工具を備えることによって、様々な形状の三次元造形物を製造する場合が多い。
【0029】
基本構成(1)及び(2)においては、通常、各ガルバノスキャナー3の長手方向においては、レーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に照射し、かつ第1ミラー31が鉛直方向の回動中心軸30を介して回動する設計が採用されている。
【0030】
しかしながら、レーザビーム又は電子ビーム7を長手方向の後端側から先端側に向かって上側に傾斜するような照射状態も可能であって、かつこの点については、図10(a)、(b)、(c)に示す実施形態において後述する通りである。
【0031】
基本構成(1)及び(2)においては、図9に示すように、各第2ミラー32の反射の中心位置が、回動中心軸30及びその近傍であり、かつ各第2ミラー32の反射の領域が、回動段階における上端近傍及び下端近傍の範囲であることを特徴とする実施形態を採用することができる。
【0032】
通常、第2ミラー32の回動中心軸30の位置は固定されていることから、第2ミラー32における反射領域は回動中心軸30の下側又は上側に限定される場合がある。
【0033】
然るに、図9に示す実施形態の場合には、第2ミラー32における反射位置が回動中心の位置又はその近傍であり、回動中心軸30の位置に対する上端及び下端の双方の近傍の位置を反射領域に設定している。
【0034】
しかも、回動段階における上端及び下端の近傍の位置の範囲を反射領域としていることから、第2ミラー32の回動中心軸30と直交する方向の幅をレーザビーム又は電子ビーム7のスポット径より稍大きいという程度の極端に小さい状態と設定することができる。
【0035】
その結果、第2ミラー32につき、局所的にコンパクトな設計を実現することができる。
【0036】
基本構成(1)及び(2)においては、通常、ガルバノスキャナー3を水平方向に沿って長手方向の高さ位置を変化せずに配置している。
【0037】
しかしながら、基本構成(1)及び(2)においては、各ガルバノスキャナー3を水平方向に設定することが要件とされる訳ではなく、各ガルバノスキャナー3を水平方向に対し傾斜した状態とすることができる。
【0038】
具体的に説明するに、図10(a)に示すように、レーザビーム又は電子ビーム7の照射方向を前記中心位置Pに近づくにつれて上側とし、かつ長手方向につき、第1ミラー31が収容されている先端側を上側とするような傾斜状態に配置するような実施形態、及び図10(b)に示すように、各ガルバノスキャナー3における第2ミラー32の突設方向を、上側に傾斜する方向に設定していることを特徴とする実施形態、更には図10(c)に示すように、図10(a)、図10(b)の双方の特徴に立脚している実施形態を採用することができる。
【0039】
尚、図10(a)に示す実施形態の場合には、上向きに傾斜したレーザビーム又は電子ビーム7と第1ミラー31とが水平方向に反射することを必要とすることから、当該図10(a)に示すように、第1ミラー31の回動中心軸30については、上側に傾斜する方向に進行しているレーザビーム又は電子ビーム7を水平方向に反射するために、鉛直方向ではなく、図10(a)に示すように当該方向に対し、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0040】
図10(b)に示す実施形態においては、水平方向に直進し、かつレーザビーム又は電子ビーム7を第2ミラー32が突設された方向に即して上側に傾斜する方向に反射するためには、第1ミラー31の回動中心軸30については、鉛直方向ではなく、当該方向に対し図10(b)に示すように、当該傾斜角度に即して傾斜する方向に設定することを必要不可欠とする。
【0041】
これに対し、図10(a)及び図10(b)の各特徴点の双方を発揮し得るような実施形態を採用した場合には、上側に傾斜する方向にて進行するレーザビーム又は電子ビーム7は鉛直方向に設定された回中心軸30を有する第1ミラー31によって、第2ミラー32が突設されている方向の上向き方向に反射することが可能であることから、図10(c)に示すように、図10(a)、(b)に示すような傾斜方向に設定する必要はない。
【0042】
図10(c)に示す実施形態は、第1ミラー31の回動中心軸30の設定方法において最もシンプルである。
【0043】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例0044】
実施例1は、基本構成(1)、(3)、(4)に立脚した上で、図1(a)に示すように、2個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、前記中心位置Pの周囲にて水平方向に即して各長手方向を90°の交差状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3における先端側領域及び第2ミラー32の収容領域の双方を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側側部の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)、(3)、(4)に立脚した上で、図1(b)に示すように、2個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、前記中心位置Pの周囲にて水平方向に即して各長手方向を90°の交差状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0045】
実施例1は、2個のガルバノスキャナー3を採用するというシンプルな構成によって、基本構成(1)及び(2)の作用効果を発揮することができる。
【0046】
しかも、2個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【実施例0047】
実施例2は、基本構成(1)、(3)、(4)に立脚した上で、図2(a)に示すように、3個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pから等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側側部の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)、(3)、(4)に立脚した上で、図2(b)に示すように、3個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pから等距離であって、かつ順次60°毎の等角度交差による正三角形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうちの内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0048】
実施例2においては、3個のガルバノスキャナー3を前記中心位置Pの周囲にて正三角形の各辺を形成するように配置することによってテーブルの全面を有効に活用することができる。
【0049】
しかも、3個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【実施例0050】
実施例3は、基本構成(1)、(3)、(4)に立脚した上で、図3(a)に示すように、4個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次90°の等角度交差による正方形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3における先端側領域及び第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)、(3)、(4)に立脚した上で、図3(b)に示すように、4個のガルバノスキャナー3の前記長手方向の領域を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次90°の等角度交差による正方形の辺を形成するように設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3における第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0051】
実施例3においては、4個のガルバノスキャナー3をテーブル4の面の中心位置Pの周囲にて正方形の各辺を形成するように配置することによって、テーブルの全面を有効に活用することを可能としている。
【0052】
しかも、4個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【実施例0053】
実施例4は、基本構成(1)、(3)、(4)に立脚した上で、図4(a)に示すように、5個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の先端側領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側領域の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)、(3)、(4)に立脚した上で、図4(b)に示すように、5個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0054】
実施例4においては、5個のガルバノスキャナー3をテーブル4の面の中心位置Pの周囲にて正五角形の各辺を形成するように配置することによって、テーブルの全面を有効に活用することを可能としている。
【0055】
しかも、5個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【実施例0056】
実施例5は、基本構成(1)、(3)、(4)に立脚した上で、図5(a)に示すように、6個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離とし、当該長手方向の領域を、順次60°の等角度交差による正六角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の先端側領域を、他方側のガルバノスキャナー3の長手方向内側領域の位置に配列していることを特徴とする構成、及び基本構成(2)、(3)、(4)に立脚した上で、図5(b)に示すように、6個のガルバノスキャナー3の前記長手方向を、水平方向に即して前記中心位置Pと等距離であって、かつ当該長手方向領域が順次72°の等角度交差による正五角形の辺を形成する状態に設定し、かつ一方側のガルバノスキャナー3の第2ミラー32の収容領域を、他方側のガルバノスキャナー3の後端側領域のうち、内側の一部領域の位置に配列していることを特徴とする構成を採用している。
【0057】
実施例5においては、6個のガルバノスキャナー3をテーブル4の面の中心位置Pの周囲にて正六角形の辺を形成する状態に配置することによって、テーブルの全面を有効に活用することを可能としている。
【0058】
しかも、6個のガルバノスキャナー3の分担による区分領域の照射、又は協働による共通領域の照射によって均一な照射を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本願発明は、複数個のガルバノスキャナーを、テーブル面の中心位置を内側として、当該中心位置の周囲の全部又は一部を囲む状態に配置することによって、テーブル面のスペースを有効に活用すると共に、複数個のガルバノスキャナーの分担又は協働によって均一な照射による焼結面の形成に寄与することを可能とする点において画期的であり、その利用範囲は広範である。
【符号の説明】
【0060】
1 レーザビーム又は電子ビームの発振源
2 ダイナミックフォーカスレンズ
3 ガルバノスキャナー
30 回動中心軸
31 第1ミラー
32 第2ミラー
4 テーブル
7 レーザビーム又は電子ビーム
P テーブル4の面の中心位置
Q 回動中心軸30における中央位置
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10