(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023133267
(43)【公開日】2023-09-22
(54)【発明の名称】レーダを利用して睡眠イベントを判断する装置、方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20230914BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/11 110
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023037713
(22)【出願日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0030032
(32)【優先日】2022-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0020009
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523089128
【氏名又は名称】ビットセンシング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソン タク
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP05
4C038PS07
4C038VA04
4C038VA15
4C038VB33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レーダを利用して人の睡眠中の呼吸パターンを分類するだけでなく、睡眠中に発生する睡眠呼吸障害及び睡眠呼吸障害が発生した時間も検出する。
【解決手段】レーダを利用して睡眠イベントを判断する装置において、対象客体に向けてレーダ信号を送信し、前記対象客体から反射される前記レーダ信号を受信する送受信部と、前記レーダ信号に基づいて前記対象客体に対する平均呼吸信号を導出する平均呼吸信号導出部と、前記平均呼吸信号と前記レーダ信号とを比較することで前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成する呼吸特徴情報生成部と、前記呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出する予測情報導出部と、前記イベント発生予測情報に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断する睡眠イベント判断部とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダを利用して睡眠イベントを判断する装置において、
対象客体に向けてレーダ信号を送信し、前記対象客体から反射される前記レーダ信号を受信する送受信部と、
前記レーダ信号に基づいて前記対象客体に対する平均呼吸信号を導出する平均呼吸信号導出部と、
前記平均呼吸信号と前記レーダ信号とを比較することで前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成する呼吸特徴情報生成部と、
前記呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出する予測情報導出部と、
前記イベント発生予測情報に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断する睡眠イベント判断部と
を含む、睡眠イベント判断装置。
【請求項2】
前記平均呼吸信号導出部は、
前記レーダ信号に対する時間感度因子及び振幅感度因子に基づいて前記対象客体に対する平均呼吸信号を予め設定された単位時間毎に導出する、請求項1に記載の睡眠イベント判断装置。
【請求項3】
前記呼吸特徴情報生成部は、
前記レーダ信号において前記平均呼吸信号を離脱する区間が予め設定された臨界時間以上持続される場合を検出することで、前記対象客体に対する呼吸特徴区間を導出する、請求項1に記載の睡眠イベント判断装置。
【請求項4】
前記呼吸特徴情報生成部は、
前記呼吸特徴区間から尖頭値を導出し、前記尖頭値が前記平均呼吸信号及び予め設定された臨界条件に基づいて前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成する、請求項3に記載の睡眠イベント判断装置。
【請求項5】
前記予測情報導出部は、
前記複数の睡眠項目に関する睡眠イベント別の正解値に基づいて予測モデルを学習する学習部をさらに含み、
前記予測情報導出部は、前記予測モデルを利用して前記イベント発生予測情報を導出する、請求項1に記載の睡眠イベント判断装置。
【請求項6】
前記睡眠イベント判断部は、
前記イベント発生予測情報に対する移動合計を算出し、
前記移動合計の最大尤度値を導出し、
前記最大尤度値に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断する、請求項1に記載の睡眠イベント判断装置。
【請求項7】
前記睡眠イベント判断部は、
前記最大尤度値が予め設定された臨界値以上である場合、前記対象客体に対して無呼吸睡眠障害又は低呼吸睡眠障害が発生したと判断する、請求項6に記載の睡眠イベント判断装置。
【請求項8】
前記睡眠イベント判断部は、
前記イベント発生予測情報に基づいて前記睡眠イベントの発生時間を検出する、請求項1に記載の睡眠イベント判断装置。
【請求項9】
レーダを利用して睡眠イベントを判断する方法において、
対象客体に向けてレーダ信号を送信するステップと、
前記対象客体から反射される前記レーダ信号を受信するステップと、
前記レーダ信号に基づいて前記対象客体に対する平均呼吸信号を導出するステップと、
前記平均呼吸信号と前記レーダ信号とを比較することで前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成するステップと、
前記呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出するステップと、
前記イベント発生予測情報に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断するステップと
を含む、睡眠イベント判断方法。
【請求項10】
前記平均呼吸信号を導出するステップは、
前記レーダ信号に対する時間感度因子及び振幅感度因子に基づき、前記対象客体に対する平均呼吸信号を予め設定された単位時間毎に導出するステップ
をさらに含む、請求項9に記載の睡眠イベント判断方法。
【請求項11】
前記呼吸特徴情報を生成するステップは、
前記レーダ信号において前記平均呼吸信号を離脱する区間が予め設定された臨界時間以上持続される場合を検出することで、前記対象客体に対する呼吸特徴区間を導出するステップ
をさらに含む、請求項9に記載の睡眠イベント判断方法。
【請求項12】
前記呼吸特徴情報を生成するステップは、
前記呼吸特徴区間から尖頭値を導出するステップと、
前記尖頭値が前記平均呼吸信号及び予め設定された臨界条件に基づいて前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成するステップと
をさらに含む、請求項11に記載の睡眠イベント判断方法。
【請求項13】
前記予測情報を導出するステップは、
前記複数の睡眠項目に関する睡眠イベント別の正解値に基づいて予測モデルを学習するステップをさらに含み、
前記予測情報を導出するステップは、前記予測モデルを利用して前記イベント発生予測情報を導出するステップをさらに含む、
請求項9に記載の睡眠イベント判断方法。
【請求項14】
前記睡眠イベントの発生有無を判断するステップは、
前記イベント発生予測情報に対する移動合計を算出するステップと、
前記移動合計の最大尤度値を導出するステップと、
前記最大尤度値に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の睡眠イベント判断方法。
【請求項15】
前記睡眠イベントの発生有無を判断するステップは、
前記最大尤度値が予め設定された臨界値以上である場合、前記対象客体に対して無呼吸睡眠障害又は低呼吸睡眠障害が発生したと判断するステップ
をさらに含む、請求項14に記載の睡眠イベント判断方法。
【請求項16】
前記睡眠イベントの発生有無を判断するステップは、
前記イベント発生予測情報に基づいて前記睡眠イベントの発生時間を検出するステップ
をさらに含む、請求項9に記載の睡眠イベント判断方法。
【請求項17】
レーダを利用して睡眠イベントを判断する命令語のシーケンスを含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータプログラムは、コンピューティング装置によって実行される場合、
対象客体に向けてレーダ信号を送信し、
前記対象客体から反射される前記レーダ信号を受信し、
前記レーダ信号に基づいて前記対象客体に対する平均呼吸信号を導出し、
前記平均呼吸信号と前記レーダ信号とを比較することで前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成し、
前記呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出し、
前記イベント発生予測情報に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断するようにする命令語のシーケンスを含む、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダを利用して睡眠イベントを判断する装置、方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠ポリグラフ検査は、睡眠の質と量を測定し、睡眠疾患と睡眠関連障害を診断する検査である。一般的に、睡眠中に人の体から出てくる生理的、物理的な信号を測定することで様々な睡眠疾患と睡眠障害を診断する。例えば、脳波、眼電図、筋電図、心電図、動脈血、酸素飽和度、腹部と胸部の呼吸運動、呼吸気流、いびき及び体の姿勢などを測定する。
【0003】
睡眠の質と量を測定する基礎的な方法は、手首活動量計(Wrist Actigraphy)を利用して睡眠時間を測定することである。具体的に、手首活動量計を着用した着用者の活動状態を基に着用者の睡眠時間を測定し、睡眠中の寝返り(Toss)などを検出する。
【0004】
また、手首に着用する光電容積脈波(Photoplethysmography、PPG)測定装置を利用し、着用者の睡眠中の心拍数及び心拍変動度を測定している。具体的に、着用者の睡眠段階を区別し、酸素飽和度(SpO2)を測定することで、無呼吸による酸素飽和度の低下(Desaturation)を検出する。
【0005】
しかし、従来技術による検査方法は、睡眠の質(例:疲労度に応じた満足感など)を予測するのに意味があるが、無呼吸の発生原因である閉塞性睡眠時無呼吸症(Obstructive Sleep Apnea、OSA)と中枢性睡眠時無呼吸症(Central Sleep Apnea、CSA)を区別することができない。
【0006】
具体的に、睡眠時無呼吸症は、睡眠中に喉の奥の気道が塞がりながら呼吸が良く途切れる閉塞性睡眠時無呼吸症と、睡眠中に息をしようとする人体反応自体がなくなる中枢性睡眠時無呼吸症とに区分される。閉塞性睡眠時無呼吸症は、睡眠時無呼吸症の約90%を占める代表的な睡眠疾患であり、中枢性睡眠時無呼吸症は、一部のみから観察される睡眠疾患である。
【0007】
従来技術による検査方法は、人の身体一部に検査装置を取り付けた状態で検査を進行しなければならないという不便が存在し、睡眠疾患をより精密に検査するためには、高コストの検査装置のみに依存しなければならないという限界が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-2321991号(2021年10月29日付にて登録)
【特許文献2】韓国公開特許公報第10-2018-0077453号(2018年7月9日付にて公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためのものであり、レーダを利用して人の睡眠中の呼吸パターンを分類するだけでなく、睡眠中に発生する睡眠呼吸障害及び睡眠呼吸障害が発生した時間も検出することのできる睡眠イベント判断装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【0010】
但し、本実施例が解決しようとする技術的課題は、上記したような技術的課題に限定されるものではなく、また他の技術的課題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した技術的課題を解決するための技術的手段として、本発明の一実施例は、レーダを利用して睡眠イベントを判断する装置において、対象客体に向けてレーダ信号を送信し、前記対象客体から反射される前記レーダ信号を受信する送受信部と、前記レーダ信号に基づいて前記対象客体に対する平均呼吸信号を導出する平均呼吸信号導出部と、前記平均呼吸信号と前記レーダ信号とを比較することで前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成する呼吸特徴情報生成部と、前記呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出する予測情報導出部と、前記イベント発生予測情報に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断する睡眠イベント判断部を提供しても良い。
【0012】
本発明の他の実施例は、レーダを利用して睡眠イベントを判断する方法において、対象客体に向けてレーダ信号を送信するステップと、前記対象客体から反射される前記レーダ信号を受信するステップと、前記レーダ信号に基づいて前記対象客体に対する平均呼吸信号を導出するステップと、前記平均呼吸信号と前記レーダ信号とを比較することで前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成するステップと、前記呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出するステップと、前記イベント発生予測情報に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断するステップを提供しても良い。
【0013】
本発明のまた他の実施例は、レーダを利用して睡眠イベントを判断する命令語のシーケンスを含むコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータプログラムは、コンピューティング装置によって実行される場合、対象客体に向けてレーダ信号を送信し、前記対象客体から反射される前記レーダ信号を受信し、前記レーダ信号に基づいて前記対象客体に対する平均呼吸信号を導出し、前記平均呼吸信号と前記レーダ信号とを比較することで前記対象客体に対する呼吸特徴情報を生成し、前記呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出し、前記イベント発生予測情報に基づいて前記対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断するようにする命令語のシーケンスを含む、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラムを提供しても良い。
【0014】
上述した課題を解決するための手段は、単なる例示であり、本発明を制限する意図で解釈されてはならない。上述した例示的な実施例の他にも、図面及び発明の詳細な説明に記載された追加の実施例が存在し得る。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明の課題を解決するための手段の何れか一つによれば、人の睡眠中にレーダを利用して睡眠と係わる人の呼吸信号を分析することができ、これにより、人の睡眠中における呼吸障害による覚醒(arousal)回数を算出することができる。人の呼吸信号を利用して睡眠障害及び睡眠障害が発生した時間を検出し、睡眠関連疾患を判断することができる。
【0016】
また、レーダを利用して閉塞性睡眠時無呼吸症、中枢性睡眠時無呼吸症及び混合性睡眠時無呼吸症などを含む睡眠関連病症を判断することができる。つまり、睡眠ポリグラフ検査を進行しなくても、睡眠ポリグラフ検査のように人の睡眠関連病症を精密に判断し、原因を分析することができる。
【0017】
さらに、レーダを利用して日常生活でも簡便に人の睡眠呼吸を分析することができるので、睡眠と係わる病症を持続的に追跡観察することができる。それだけでなく、非対面でも容易に進行可能な睡眠イベント判断装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】平均呼吸信号を導出する過程を説明するための例示的な図である。
【
図4】呼吸特徴区間を検出する過程を説明するための例示的な図である。
【
図5】検出された呼吸特徴区間を説明するための例示的な図である。
【
図6】呼吸特徴情報を生成する過程を説明するための例示的な図である。
【
図7】イベント発生予測情報に対する移動合計を算出する過程を説明するための例示的な図である。
【
図8】睡眠イベントの発生区間を説明するための例示的な図である。
【
図9】睡眠イベントの発生有無を判断する過程を説明するための例示的な図である。
【
図10】睡眠イベント判断方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。ところが、本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0020】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味し、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除するものではないと理解されなければならない。
【0021】
本明細書において「部」とは、ハードウェアによって実現されるユニット(unit)、ソフトウェアによって実現されるユニット、両方を利用して実現されるユニットを含む。また、1つのユニットが2つ以上のハードウェアを利用して実現されても良く、2つ以上のユニットが1つのハードウェアによって実現されても良い。
【0022】
本明細書において、端末又はデバイスが行うと記述された動作や機能のうち一部は、当該端末又はデバイスと連結されたサーバにおいて代わりに行われても良い。それと同様に、サーバが行うと記述された動作や機能のうち一部も、当該サーバと連結された端末又はデバイスにおいて行われても良い。
【0023】
以下、添付された図面を参照しながら、本発明の一実施例を詳しく説明することとする。
【0024】
図1は、睡眠イベント判断システムの構成図である。
図1を参照すると、睡眠イベント判断システム1は、睡眠イベント判断装置100と、レーダ110とを含んでいても良い。
【0025】
図1の睡眠イベント判断システム1の各構成要素は、一般的にネットワーク(network)を介して連結される。例えば、
図1に示すように、睡眠イベント判断装置100及びレーダ110は、同時に又は時間間隔を空けて連結されても良い。
【0026】
睡眠イベント判断装置100は、対象客体111の睡眠中にレーダ110を利用して対象客体111の呼吸信号を分析しても良い。睡眠呼吸分析装置100は、対象客体111の呼吸信号を利用して対象客体111の睡眠障害及び睡眠障害が発生した時間を検出し、睡眠関連疾患を判断しても良い。
【0027】
例えば、睡眠イベント判断装置100は、睡眠中の対象客体111と所定距離を維持した位置に配置され、レーダ110を介して対象客体111に向けてレーダ信号を送信しても良く、対象客体111から反射されるレーダ信号を受信しても良い。
【0028】
睡眠イベント判断装置100は、レーダ110を利用して対象客体111の閉塞性睡眠時無呼吸症、中枢性睡眠時無呼吸症及び混合性睡眠時無呼吸症などを含む睡眠関連病症を判断しても良い。
【0029】
よって、睡眠イベント判断装置100を利用すれば、睡眠ポリグラフ検査を進行しなくても、睡眠ポリグラフ検査のように対象客体111の睡眠関連病症を精密に判断し、原因を分析することができる。
【0030】
これにより、睡眠イベント判断装置100は、レーダ110を利用して対象客体111の睡眠と係わる呼吸信号を分析することで、従来の睡眠ポリグラフ検査を進行する過程における煩雑さを簡素化することができる。また、睡眠イベント判断装置100は、日常生活で簡便に対象客体111の睡眠呼吸を持続的に分析することができ、睡眠関連病症の追跡観察を進行することができる。また、非対面で対象客体111の睡眠呼吸を分析することができるという効果もある。
【0031】
以下、睡眠イベント判断装置100の各構成要素を検討することとする。
【0032】
図2は、睡眠イベント判断装置の構成図である。
図2を参照すると、睡眠イベント判断装置100は、送受信部210と、平均呼吸信号導出部220と、呼吸特徴情報生成部230と、予測情報導出部240と、睡眠イベント判断部250とを含んでいても良い。そして、予測情報導出部240は、学習部241を含んでいても良い。但し、上記の構成要素210~250は、睡眠イベント判断装置100によって制御され得る構成要素を例示的に示したものに過ぎない。
【0033】
送受信部210は、対象客体に向けてレーダ信号を送信しても良い。送受信部210は、対象客体から反射されるレーダ信号を受信しても良い。例えば、送受信部210は、レーダを利用して対象客体に向けてレーダ信号を送信し、対象客体から反射されるレーダ信号を受信しても良い。
【0034】
平均呼吸信号導出部220は、レーダ信号に基づいて対象客体に対する平均呼吸信号を導出しても良い。例えば、平均呼吸信号導出部220は、対象客体から反射されるレーダ信号のパターン、信号の振幅の変化を利用し、対象客体の通常の呼吸に当たる信号を導出しても良い。
【0035】
具体的に、平均呼吸信号導出部220は、レーダ信号に対する時間感度因子及び振幅感度因子に基づき、対象客体に対する平均呼吸信号を予め設定された単位時間毎に導出しても良い。以下、
図3を参照しながら平均呼吸信号を算出する過程を検討することとする。
【0036】
図3は、平均呼吸信号を導出する過程を説明するための例示的な図である。
図3を参照すると、平均呼吸信号導出部220は、対象客体から反射されるレーダ信号320を利用して対象客体の平均呼吸信号310を導出しても良い。例えば、平均呼吸信号導出部220は、レーダ信号320に基づき、時間感度因子及び振幅感度因子を利用して平均呼吸信号310を導出しても良い。平均呼吸信号導出部220は、下記数学式1を利用しても良い。
【0037】
【0038】
数学式1において(
図3を参照)、bは、対象客体の平均呼吸信号310であり、xは、対象客体から反射されて受信したレーダ信号320である。Lは、特定連続区間の時間長さを意味する時間感度因子であり、シーケンス単位でレーダ信号の周波数と秒単位の長さを掛けた整数である。そして、Fは、特定連続区間の振幅に反応する振幅感度因子である。
【0039】
数学式1を参照すると、対象客体に対する平均呼吸信号は、時間感度因子が大きくなるほど、振幅感度因子が小さくなるほど、時間に応じた信号の波形が鈍り、時間感度因子が小さくなるほど、振幅感度因子が大きくなるほど、時間に応じた信号の波形が急変し得る。
【0040】
図4は、呼吸特徴区間を検出する過程を説明するための例示的な図である。
図4を参照すると、呼吸特徴情報生成部230は、平均呼吸信号410とレーダ信号420とを比較することで対象客体に対する呼吸特徴情報を生成しても良い。
【0041】
呼吸特徴情報生成部230は、レーダ信号420において平均呼吸信号410を離脱する区間430、440が予め設定された臨界時間以上持続される場合を検出することで、対象客体に対する呼吸特徴区間を検出しても良い。
【0042】
例えば、呼吸特徴情報生成部230は、対象客体から受信したレーダ信号420と平均呼吸信号410とを比較しても良い。例えば、呼吸特徴情報生成部230は、レーダ信号420のうち平均呼吸信号410よりも小さい区間430を検出しても良い。呼吸特徴情報生成部230は、レーダ信号420のうち平均呼吸信号410よりも小さい区間430が予め設定された臨界時間T以上持続されれば、当該区間430を対象客体に対する呼吸特徴区間として検出しても良い。
【0043】
他の例において、呼吸特徴情報生成部230は、レーダ信号420のうち平均呼吸信号410よりも大きくなった区間440を検出しても良い。呼吸特徴情報生成部230は、レーダ信号420のうち平均呼吸信号410よりも大きい区間440が予め設定された臨界時間T以上持続されれば、当該区間440を対象客体に対する呼吸特徴区間として検出しても良い。
【0044】
図5は、検出された呼吸特徴区間を説明するための例示的な図である。
図5の(a)は、対象客体の平均呼吸信号であり、(b)及び(c)は、対象客体から受信したレーダ信号に基づいて検出された対象客体の呼吸特徴区間である。
【0045】
図5の(b)は、対象客体から受信したレーダ信号のうち平均呼吸信号よりも小さい区間が臨界時間以上持続されて検出された対象客体の呼吸特徴区間であり、(c)は、対象客体から受信したレーダ信号のうち平均呼吸信号よりも大きい区間が臨界時間以上持続されて検出された対象客体の呼吸特徴区間である。
【0046】
図6は、呼吸特徴情報を生成する過程を説明するための例示的な図である。
図6を参照すると、呼吸特徴情報生成部230は、レーダ信号620のうち呼吸特徴区間630、640から尖頭値631、641を導出しても良い。
【0047】
呼吸特徴情報生成部230は、尖頭値631、641が平均呼吸信号610及び予め設定された臨界条件E、F、G、H、I及びJに基づいて対象客体に対する呼吸特徴情報を生成しても良い。ここで、予め設定された臨界条件(
図6のE、F、G、H、I及びJ)は、下記数学式2乃至7に当たっても良い。
【0048】
<式2>
[1.2×平均呼吸信号の値]<[尖頭値の値]≦[2.1×平均呼吸信号の値]
【0049】
<式3>
[2.1×平均呼吸信号の値]<[尖頭値の値]≦[3.0×平均呼吸信号の値]
【0050】
<式4>
[3.0×平均呼吸信号の値]<[尖頭値の値]
【0051】
数学式2、3及び4は、
図6に示された(E)、(F)及び(G)に当たる予め設定された臨界条件であっても良い。例えば、呼吸特徴情報生成部230は、レーダ信号620のうち対象客体の呼吸特徴区間640の尖頭値641が平均呼吸信号610に対して上述した数学式2乃至4を満たせば、当該呼吸特徴区間640から対象客体に対する呼吸特徴情報を生成しても良い。
【0052】
<式5>
[尖頭値の値]<[0.1×平均呼吸信号の値]
【0053】
<式6>
[0.1×平均呼吸信号の値]≦[尖頭値の値]<[0.3×平均呼吸信号の値]
【0054】
<式7>
[0.3×平均呼吸信号の値]≦[尖頭値の値]<[0.5×平均呼吸信号の値]
【0055】
数学式5、6及び7は、
図6に示された(H)、(I)及び(J)に当たる予め設定された臨界条件であっても良い。例えば、呼吸特徴情報生成部230は、対象客体の呼吸特徴区間630の尖頭値631が平均呼吸信号610に対して上述した数学式5乃至7を満たせば、当該呼吸特徴区間630から対象客体に対する呼吸特徴情報を生成しても良い。
【0056】
予測情報導出部240は、呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出しても良い。具体的に、予測情報導出部240は、学習部241を含んでいても良い。学習部241は、複数の睡眠項目に関する睡眠イベント別の正解値に基づいて予測モデルを学習しても良い。
【0057】
予測情報導出部240は、予測モデルを利用してイベント発生予測情報を導出しても良い。例えば、予測情報導出部240は、生成された呼吸特徴情報を学習された予測モデルに入力することでイベント発生予測値を導出しても良い。
【0058】
睡眠イベント判断部250は、イベント発生予測情報に基づいて対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断しても良い。例えば、睡眠イベント判断部250は、予測モデルから導出されたイベント発生予測値から対象客体の睡眠障害有無を判断しても良い。
【0059】
具体的に、睡眠イベント判断部250は、イベント発生予測情報に対する移動合計を算出しても良い。睡眠イベント判断部250は、移動合計の最大尤度値を導出しても良い。睡眠イベント判断部250は、最大尤度値に基づいて対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断しても良い。
【0060】
図7は、イベント発生予測情報に対する移動合計を算出する過程を説明するための例示的な図である。
図7のグラフ700を参照すると、睡眠イベント判断部250は、予測モデルから導出された睡眠イベント発生予測値に対してそれぞれ移動合計(moving summation)を算出しても良い。例えば、睡眠イベント判断部250は、下記数学式8に基づいて移動合計を算出しても良い。例えば、移動合計のウィンドウサイズは60秒(600sample)であっても良い。
【0061】
【0062】
図8は、睡眠イベントの発生区間を説明するための例示的な図である。
図8を参照すると、睡眠イベント判断部250は、導出された睡眠イベント発生予測値820に対して睡眠イベントが発生した始点と終点で予め設定されたマージン(margin)区間821、822を設定しても良い。マージン区間は、連続した信号において学習に混同が生じ得る回避区間を意味しても良い。
【0063】
例えば、睡眠イベント判断部250は、レーダ信号810のうち睡眠イベント発生始点に対して2.5秒の開始マージン区間821を適用しても良く、レーダ信号810のうち睡眠イベント発生終点に対して2.5秒の終了マージン区間822を適用しても良い。
【0064】
図9は、睡眠イベントの発生有無を判断する過程を説明するための例示的な図である。
図9を参照すると、睡眠イベント判断部250は、イベント発生予測情報930に基づき、対象客体に対して無呼吸睡眠障害又は低呼吸睡眠障害940が発生したと判断しても良い。
【0065】
具体的に、予測情報導出部240は、予測モデルを通じてイベント発生予測値920を導出しても良い。例えば、予測情報導出部240は、学習モデルを通じて無呼吸睡眠障害又は低呼吸睡眠障害に対するイベント発生予測値920を導出しても良い。
【0066】
予測情報導出部240は、導出されたイベント発生予測値920を無呼吸睡眠障害又は低呼吸睡眠障害毎に移動合計を算出しても良い。予測情報導出部240は、算出された移動合計に基づいてイベント発生予測情報930を生成しても良い。
【0067】
その後、睡眠イベント判断部250は、イベント発生予測情報930において最大尤度値が予め設定された臨界値以上である場合、対象客体が無呼吸睡眠障害又は低呼吸睡眠障害940を経ていると判断しても良い。
【0068】
また、睡眠イベント判断部250は、イベント発生予測情報に基づいて睡眠イベントの発生時間を検出しても良い。例えば、睡眠イベント判断部250は、対象客体から受信したレーダ信号から検出された睡眠イベントの発生を時間順に分割して、睡眠イベントが発生した回数だけでなく睡眠イベントが発生した時間を特定しても良い。
【0069】
具体的に、睡眠イベント判断装置100は、時分割した信号を独立的に予測しても良く、再び時間的に類似した領域にある予測値を活用することで、対象客体に対する睡眠イベント判断の正確度を向上させても良い。つまり、睡眠イベント判断装置100は、独立的に時分割した信号を機械学習し、時間的に類似した領域にある多くの予測値に対する最大尤度関数を利用することで、対象客体に対する睡眠障害を検出しても良い。
【0070】
図10は、睡眠イベント判断方法のフローチャートである。
図10に示された睡眠イベント判断方法は、
図1乃至
図9に示された実施例により時系列的に処理されるステップを含む。よって、以下、省略された内容であるとしても、
図1乃至
図9に示された実施例に係る睡眠イベント判断装置において対象客体に対する睡眠イベントを判断する方法にも適用される。
【0071】
ステップS1010において、睡眠イベント判断装置は、対象客体に向けてレーダ信号を送信しても良い。
【0072】
ステップS1020において、睡眠イベント判断装置は、対象客体から反射されるレーダ信号を受信しても良い。
【0073】
ステップS1030において、睡眠イベント判断装置は、レーダ信号に基づいて対象客体に対する平均呼吸信号を導出しても良い。
【0074】
ステップS1040において、睡眠イベント判断装置は、平均呼吸信号とレーダ信号とを比較することで対象客体に対する呼吸特徴情報を生成しても良い。
【0075】
ステップS1050において、睡眠イベント判断装置は、呼吸特徴情報に基づいて複数の睡眠項目に関するイベント発生予測情報を導出しても良い。
【0076】
ステップS1060において、睡眠イベント判断装置は、イベント発生予測情報に基づいて対象客体に対する睡眠イベントの発生有無を判断しても良い。
【0077】
上述した説明において、ステップS1010乃至S1060は、本発明の具現例によって追加のステップにさらに分割されたり、より少ないステップに組み合わせられても良い。また、一部のステップは必要に応じて省略されても良く、ステップ間の順番が変更されても良い。
【0078】
図1乃至
図10を通じて説明された睡眠イベント判断装置においてレーダを利用して睡眠イベントを判断する方法は、コンピュータにより実行されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラム又はコンピュータにより実行可能な命令語を含む記録媒体の形態に具現されても良い。また、
図1乃至
図10を通じて説明された 睡眠イベント判断装置においてレーダを利用して睡眠イベントを判断する方法は、コンピュータにより実行されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたコンピュータプログラムの形態に具現されても良い。
【0079】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の可用媒体であっても良く、揮発性及び不揮発性の媒体、分離型及び非分離型の媒体を全て含む。また、コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ格納媒体を含んでいても良い。ンピュータ格納媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令語、データ構造、プログラムモジュール、又はその他のデータのような情報格納のための任意の方法又は技術に具現された揮発性及び不揮発性、分離型及び非分離型の媒体を全て含む。
【0080】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0081】
本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0082】
100: 睡眠イベント判断装置
210: 送受信部
220: 平均呼吸信号導出部
230: 呼吸特徴情報生成部
240: 予測情報導出部
250: 睡眠イベント判断部
【外国語明細書】